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特許7120884保持ユニット、吊り上げ装置および搬送装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】保持ユニット、吊り上げ装置および搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 1/28 20060101AFI20220809BHJP
【FI】
B66C1/28 D
B66C1/28 K
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018206279
(22)【出願日】2018-11-01
(65)【公開番号】P2020070169
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】岡田 寿
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-330279(JP,A)
【文献】実開昭57-096173(JP,U)
【文献】実開昭51-156175(JP,U)
【文献】特開平11-292128(JP,A)
【文献】中国実用新案第200981786(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 1/00 - 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物を挟み込んで保持する一対の保持体と、
前記一対の保持体のそれぞれが水平方向で移動自在なように、前記一対の保持体を支持している保持体ガイド体と、
前記保持体ガイド体に対して上下方向で移動自在な被搬送物検出体と、
前記被搬送物検出体とのバランスを取るための第1の錘と、
長手方向の中間部に前記一対の保持体のうちの一方の保持体が固定されており、長手方向の一端が前記被搬送物検出体に接続されており、長手方向の他端が前記第1の錘に接続されている第1の保持体用綱状部材と、
長手方向の中間部に前記一対の保持体のうちの他方の保持体が固定されており、長手方向の一端が前記被搬送物検出体に接続されており、長手方向の他端が前記第1の錘に接続されている第2の保持体用綱状部材と、
を有することを特徴とする保持ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の保持ユニットが支持されているフレームと、
前記保持体ガイド体を上下方向で移動させるための空気圧シリンダと、
長手方向の一端部が前記保持体ガイド体に接続されており、長手方向の他端部が前記空気圧シリンダの移動体に接続されており、前記保持体ガイド体を吊っているガイド体用綱状部材と、
前記ガイド体用綱状部材の長手方向の一端部と、前記ガイド体用綱状部材の長手方向の他端部との間に位置している中間部に設けられており、前記ガイド体用綱状部材に張力を発生させている第2の錘と、
を有し、
前記保持ユニットの一対の保持体は、上下方向に積み重ねられている複数の被搬送物を保持するように構成されており、
前記第2の錘は、前記一対の保持体が前記上下方向に積み重ねられている複数の被搬送物を保持するときの高さ位置の変化に応じて上下動することで、前記ガイド体用綱状部材に張力を発生させるように構成されていることを特徴とする吊り上げ装置。
【請求項3】
請求項1に記載の保持ユニットが支持されているフレームと、
前記保持体ガイド体を上下方向で移動させるための空気圧シリンダと、
長手方向の一端部が前記保持体ガイド体に接続されており、長手方向の第1の中間部が前記空気圧シリンダの移動体に支持されおり、前記保持体ガイド体を吊っているガイド体用綱状部材と、
前記ガイド体用綱状部材の長手方向の一端部と、前記ガイド体用綱状部材の長手方向の第1の中間部との間に位置している第2の中間部に設けられており、前記ガイド体用綱状部材に張力を発生させている第2の錘と、
前記第2の錘が上昇端に位置しているときに前記第2の錘が前記上昇端よりも上側に移動することを阻止するストッパと、
前記ガイド体用綱状部材の長手方向の他端部が接続されている第3の錘と、
を有し、
前記保持ユニットの一対の保持体は、上下方向に積み重ねられている複数の被搬送物を保持するように構成されており、
前記第2の錘は、前記一対の保持体が前記上下方向に積み重ねられている複数の被搬送物を保持するときの高さ位置の変化に応じて上下動することで、前記ガイド体用綱状部材に張力を発生させるように構成されており、
前記第3の錘は、前記一対の保持体を上昇させるために前記空気圧シリンダの移動体が移動しており、前記第2の錘が前記上昇端に位置しており、かつ、前記一対の保持体の上昇が阻止されているときに、上昇するように構成されていることを特徴とする吊り上げ装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の吊り上げ装置と、
前記吊り上げ装置による前記被搬送物の吊り上げで前記被搬送物が上昇端に位置しているときに、水平方向の一方の端まで移動して、前記被搬送物の下側に入り込むとともに、前記一対の保持体に係合して、前記一対の保持体による前記被搬送物に保持を解除し、前記被搬送物を載置し、この載置がされた被搬送物とともに水平方向の他方の端まで移動する被搬送物載置体と、
を有することを特徴とする搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持ユニット、吊り上げ装置および搬送装置に係り、特に、電力を用いることなく被搬送物の保持等をするものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気とエアー(空気圧)との2系統の動力源を用いて、ポリテナー等の被搬送物を搬送等する搬送装置が知られている。このような搬送装置では、リミットスイッチ等の検出器の電気信号に応じて、空気圧シリンダを作動させ、被搬送物を搬送等するようになっている。ここで、従来の技術に関する文献として、たとえば特許文献1を掲げる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-149546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の搬送装置は、2系統の動力源が必要であるとともに、空気圧シリンダに加えてリミットスイッチ等のセンサ、および、このセンサからの電気信号に応じて空気圧シリンダの動作を制御するシーケンサ等の制御機器が必要になる。これにより構成が煩雑になるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、電力を用いることなく稼働し、構成が簡素である保持ユニット、吊り上げ装置および搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、被搬送物を挟み込んで保持する一対の保持体と、前記一対の保持体のそれぞれが水平方向で移動自在なように、前記一対の保持体を支持している保持体ガイド体と、前記保持体ガイド体に対して上下方向で移動自在な被搬送物検出体と、前記被搬送物検出体とのバランスを取るための第1の錘と、長手方向の中間部に前記一対の保持体のうちの一方の保持体が固定されており、長手方向の一端が前記被搬送物検出体に接続されており、長手方向の他端が前記第1の錘に接続されている第1の保持体用綱状部材と、長手方向の中間部に前記一対の保持体のうちの他方の保持体が固定されており、長手方向の一端が前記被搬送物検出体に接続されており、長手方向の他端が前記第1の錘に接続されている第2の保持体用綱状部材とを有する保持ユニットである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電力を用いることなく稼働し、構成が簡素である保持ユニット、吊り上げ装置および搬送装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る搬送装置の概略構成を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る搬送装置の概略構成を示す正面図である。
図3】(a)は、図2におけるIII矢視図であり、(b)(c)は、(a)に対応した図であって被搬送物載置体の動作を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る搬送装置の吊り上げ装置の概要を示す図である。
図5図4で示す吊り上げ装置の動作を示す図である。
図6図4で示す吊り上げ装置の動作を示す図である。
図7図4で示す吊り上げ装置の動作を示す図である。
図8図4で示す吊り上げ装置の動作を示す図である。
図9図4で示す吊り上げ装置の動作を示す図である。
図10】本発明の実施形態に係る搬送装置の保持ユニットの概要を示す図である。
図11図10で示す保持ユニットの動作を示す図である。
図12図10で示す保持ユニットの動作を示す図である。
図13図10に対応する図であって、本発明の実施形態に係る搬送装置の保持ユニットと被搬送物載置体とを示す図である。
図14図13におけるXIV-XIV矢視図である。
図15】本発明の実施形態に係る搬送装置の保持ユニットと、保持ユニットの一対の保持体がお互いに接近することを一時的に阻止する移動阻止部を示す図である。
図16】本発明の実施形態に係る搬送装置の吊り上げ装置の第3の錘の設置態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態に係る搬送装置(被搬送物搬送装置)1は、電力を駆動源として用いることなく空気圧(エアー)のみを駆動源として稼働するように構成されている。また、搬送装置1は、図1図4図12図13図14等で示すように、被搬送物(たとえばポリテナー)3を吊り上げて、この吊り上げられた被搬送物3を水平方向に搬送するものであり、吊り上げ装置(被搬送物吊り上げ装置)5と被搬送物載置体(テーブル)7とを備えて構成されている。
【0010】
吊り上げ装置5は、保持ユニット(被搬送物保持ユニット;チャックユニット)9(詳細は、図4図10等を参照)を用いて被搬送物3を保持して吊り上げるようになっている。
【0011】
ここで説明の便宜のために水平な所定の一方向を横方向とし、水平な所定の他の一方向であって横方向に対して直交する方向を前後方向とし、横方向と前後方向とに対して直交する方向を上下方向とする。
【0012】
保持ユニット9は、図10図11等で示すように、一対の保持体(被搬送物保持体;チャック)11(11A、11B)と保持体ガイド体13と被搬送物検出体(被搬送物当接体)15と第1の錘17と第1の保持体用綱状部材19と第2の保持体用綱状部材21とを備えて構成されている。
【0013】
一対の保持体11(11A、11B)は、図12等で示すように、被搬送物3を挟み込んで保持するように構成されている。
【0014】
保持体ガイド体13は、一対の保持体11(11A、11B)のそれぞれが水平方向(横方向)で移動自在なように、一対の保持体11(11A、11B)のそれぞれを支持している(ガイドするように構成されている)。
【0015】
すなわち、一対の保持体11のうちの一方の保持体11Aが保持体ガイド体13に対して横方向で移動自在になっており、一対の保持体11のうちの他方の保持体11Bも保持体ガイド体13に対して横方向で移動自在になっている。
【0016】
また、一対の保持体11のそれぞれは、所定の摩擦抵抗をもって保持体ガイド体13に係合し支持されている。
【0017】
被搬送物検出体15は、保持体ガイド体13に対して上下方向で移動自在になっている。たとえば、被搬送物検出体15は、所定の摩擦抵抗をもって保持体ガイド体13に係合し支持されている。なお、被搬送物検出体15が保持体ガイド体13に係合していない態様で保持体ガイド体13に対して上下方向で移動するように構成されていてもよい。
【0018】
第1の錘17は、被搬送物検出体15とのバランス(重量バランス)を取るために設けられている。
【0019】
第1の保持体用綱状部材19は、この長手方向の中間部に一対の保持体11のうちの一方の保持体11Aが固定されており、長手方向の一端が被搬送物検出体15に接続されており、長手方向の他端が第1の錘17に接続されている。
【0020】
第1の保持体用綱状部材19には、被搬送物検出体15の重量(質量×重量加速度)と第1の錘17の重量(質量×重量加速度)とによって張力が加わっており、第1の保持体用綱状部材19は、弛むことなく張られた状態になっている。また、第1の保持体用綱状部材19は、保持体ガイド体13に回転(自転)自在に支持されているガイドローラ(定滑車)23(23A)、25(25A)、27(27A)に巻き掛けられていることでガイドされている。そして、第1の保持体用綱状部材19は、被搬送物検出体15や第1の錘17の上下方向での移動に伴って、この長手方向で移動するようになっている。
【0021】
第2の保持体用綱状部材21も、第1の保持体用綱状部材19と同様に、長手方向の中間部に一対の保持体11のうちの他方の保持体11Bが固定されており、長手方向の一端が被搬送物検出体15に接続されており、長手方向の他端が第1の錘17に接続されている。
【0022】
第2の保持体用綱状部材21にも、第1の保持体用綱状部材19と同様にして、被搬送物検出体15と第1の錘17とによって張力が加わっており、第2の保持体用綱状部材21は、弛むことなく張られた状態になっている。また、第2の保持体用綱状部材21も、第1の保持体用綱状部材19と同様にして、保持体ガイド体13に回転(自転)自在に支持されているガイドローラ(第1の保持体用綱状部材が巻き掛けられているローラとは別のローラ)23(23B)、25(25B)、27(27B)に巻き掛けられていることでガイドされている。そして、第2の保持体用綱状部材21も、被搬送物検出体15や第1の錘17の上下方向での移動に伴って、この長手方向で移動するようになっている。
【0023】
なお、被搬送物検出体15の重量と第1の錘17の重量とは、お互いが等しくなっている。また、被搬送物検出体15側の箇所では、各保持体用綱状部材19、21が上下方向に延びており、第1の錘17側の箇所でも、各保持体用綱状部材19、21が上下方向に延びている。
【0024】
図10等に参照符号29で示すものは、補助錘であり、被搬送物検出体15に対して着脱自在になっている。被搬送物検出体15の重量と第1の錘17の重量とが異なる場合、補助錘29を適宜の重量ものに変更することで、被搬送物検出体15の重量と第1の錘17の重量とをお互いに一致させることができる。
【0025】
保持ユニット9において、重力以外に何ら外力が働いていない状態では、被搬送物検出体15と第1の錘17との重量バランスが取れており、被搬送物検出体15と第1の錘17と一対の保持体11とが、保持体ガイド体13に対して静止している状態が保たれるようになっている。
【0026】
なお、補助錘29で調整したにもかかわらず、被搬送物検出体15の重量の値と第1の錘17の重量の値とがお互いに一致しておらず若干異なっていても、被搬送物検出体15と保持体ガイド体13の間の摩擦力等により、重力以外に何ら外力が働いていない状態では、被搬送物検出体15と第1の錘17と一対の保持体11とが、保持体ガイド体13に対して静止している状態が保たれるようになっている。
【0027】
また、保持ユニット9は、横方向(前後方向でもよい)に対して直交し保持ユニット9の中心を通っている平面に対して対称に形成されている。すなわち、図10等で示すように左右対称に形成されている。
【0028】
保持ユニット9では、保持体ガイド体13に対して被搬送物検出体15が上側に移動し第1の錘17が下側に移動することで、一対の保持体11の間隔が狭まるようになっている。
【0029】
このときの、保持体ガイド体13に対する被搬送物検出体15の上側への移動距離の値と、保持体ガイド体13に対する第1の錘17の下側への移動距離の値とは、お互いが等しくなっている。さらに、第1の錘17の下側への移動距離の値と、一対の保持体11のうちの一方の保持体11Aの保持体ガイド体13に対する移動距離の値とは、お互いが等しくなっており、第1の錘17の下側への移動距離の値と、一対の保持体11のうちの他方の保持体11Bの保持体ガイド体13に対する移動距離の値とは、お互いが等しくなっている。
【0030】
同様にして、保持ユニット9では、保持体ガイド体13に対して被搬送物検出体15が下側に移動し第1の錘17が上側に移動することで、一対の保持体11の間隔が広がるようになっている。
【0031】
上下方向における一対の保持体11(11A、11B)それぞれの位置はお互いが一致している。また、上下方向では、一対の保持体11の下端は、被搬送物検出体15よりも下側に位置している。
【0032】
一対の保持体11(11A、11B)の間隔が開いており、被搬送物検出体15が下降端に位置しており、保持ユニット9が被搬送物3の上方(真上)に位置している状態から、被搬送物3に対して保持体ガイド体13を下降すると、保持ユニット9が次に示すような挙動をするように構成されている。
【0033】
まず、被搬送物検出体15が被搬送物3の上端に当接する(図11参照)。この当接がされている状態でさらに保持体ガイド体13を下降すると、被搬送物検出体15が被搬送物3に対して停止したまま保持体ガイド体13が下降することで、被搬送物検出体15が保持体ガイド体13に対し上方に移動し、第1の錘17が保持体ガイド体13に対し下方に移動する。これにより、一対の保持体11(11A、11B)の間隔が狭まり、一対の保持体11で被搬送物3を挟んで保持するようになっている(図12参照)。
【0034】
また、一対の保持体11(11A、11B)で被搬送物3を挟んで保持している状態で、保持体ガイド体13が上方に移動するときには、保持体ガイド体13に対する一対の保持体11(11A、11B)の位置と被搬送物検出体15の位置と第1の錘17の位置とが変化することなく、一対の保持体11(11A、11B)で被搬送物3を挟んで保持している状態を保ったまま、保持されている被搬送物3が保持ユニット9とともに上昇するようになっている(被搬送物3の吊り上げがされるように構成されている)。
【0035】
なお、上記説明では、第1の錘17が、保持体用綱状部材19、21のみによって吊り下げられ、一対の保持体11等に支持されているが、これに加えて、第1の錘17が、第3の錘39と同様にして(図16参照)、所定の摩擦抵抗をもって保持体ガイド体13に係合し上下方向で移動自在なように支持されている構成であってもよい。なお、図16に関する詳しい説明は後述する。
【0036】
また、第1の保持体用綱状部材19の一端部と第2の保持体用綱状部材21の一端部とがお互いに束ねられる等してまとめられて被搬送物検出体15に接続されていてもよいし、第1の保持体用綱状部材19の他端部と第2の保持体用綱状部材21の他端部とがお互いに束ねられる等してまとめられて第1の錘17に接続されていてもよい。
【0037】
吊り上げ装置5は、図4等で示すように、フレーム31と空気圧シリンダ(第1の空気圧シリンダ)33とガイド体用綱状部材35と第2の錘37とストッパ(図示せず)と第3の錘39とを備えて構成されている。
【0038】
フレーム31は、たとえば、床面41上で床面41に設置されている。保持ユニット9は、フレーム31に支持されている。
【0039】
空気圧シリンダ33は、保持体ガイド体13(保持ユニット9)を上下方向で移動させるために設けられている。
【0040】
空気圧シリンダ33の固定体(たとえばシリンダ本体)43はフレーム31に一体的に設けられており、空気圧シリンダ33の移動体(駆動体;たとえばピストンロッド)45は、空気圧シリンダ33に供給された空気圧よって、シリンダ本体43やフレーム31に対して上下方向で移動するようになっている。当然ではあるが、空気圧シリンダ33(ピストンロッド45)のストローク(上下方向での移動距離の値)は一定になっている。
【0041】
なお、ピストンロッド45がフレーム31に一体的に設けられており、シリンダ本体43がフレーム31に対して上下方向で移動するように構成されていてもよい。
【0042】
ガイド体用綱状部材35は、長手方向の一端部が保持体ガイド体13に接続されており、長手方向の第1の中間部47が空気圧シリンダ33のピストンロッド45に支持されていることで、保持体ガイド体13(保持ユニット9)を吊っている。
【0043】
第2の錘37は、第2の中間部49に設けられており、ガイド体用綱状部材35に弛みが生じないように、自らの重量によって、ガイド体用綱状部材35に張力を発生させている。第2の中間部49は、ガイド体用綱状部材35の長手方向の一端部と、ガイド体用綱状部材35の長手方向の第1の中間部47との間に位置している。
【0044】
図示しないストッパは、第2の錘37が上下方向で上昇端に位置しているときに、第2の錘37に当接し第2の錘37が上昇端よりも上側に移動することを阻止するようになっている。第3の錘39には、ガイド体用綱状部材35の長手方向の他端部が接続されている。
【0045】
吊り上げ装置5についてさらに詳しく説明する。
【0046】
ガイド体用綱状部材35は、図4図9で示すように、ガイドローラ51、53、55、57、59、61に巻き掛けられている。ガイドローラ51、53、57、61は、定滑車であり、フレーム31に回転自在に設けられている。ガイドローラ55、59は動滑車である。
【0047】
動滑車55には、第2の錘37が吊り下げられており、動滑車59は、空気圧シリンダ33のピストンロッド45の上端でピストンロッド45に回転(自転)自在に支持されており、ピストンロッド45の上下動に応じて上下動するようになっている。
【0048】
なお、ガイド体用綱状部材35は、保持ユニット9から第3の錘39に向かって、ガイドローラ51、ガイドローラ53、ガイドローラ55、ガイドローラ57、ガイドローラ59、ガイドローラ61にこの順で巻き掛けられている。
【0049】
保持ユニット9の一対の保持体11は、上下方向に積み重ねられている複数の被搬送物3を、たとえば最も上に存在しているものから順に1つずつ保持するように構成されている(図2も併せて参照)。
【0050】
複数の被搬送物3が上下方向に積み重ねられており、一対の保持体11が上に存在しているものから順に被搬送物3を保持し吊り上げ搬送すると、残った被搬送物3の高さは次第に低くなる。
【0051】
第2の錘37は、一対の保持体11(保持ユニット9)が上下方向に積み重ねられている複数の被搬送物3を保持するときの高さ位置の変化に応じて、空気圧シリンダ33によってフレーム31に対し上下動することで、ガイド体用綱状部材35に、空気圧シリンダ33のピストンロッド45の位置や一対の保持体11の位置にかかわらず、常に張力を発生させるように構成されている。
【0052】
第3の錘39は、一対の保持体11(保持ユニット9)を上昇させるために空気圧シリンダ33のピストンロッド45が下側に移動しており、第2の錘37が前記上昇端に位置しており、かつ、一対の保持体11(保持ユニット9)の上昇が阻止されているときに、上昇するように構成されている(図9参照)。
【0053】
さらに説明すると、初期状態で、空気圧シリンダ33のピストンロッド45が下端に位置しており、保持ユニット9が上昇端に位置しており、第2の錘37が上昇端に位置しており、ガイド体用綱状部材35には張力が発生しており、一対の保持体11の下に複数の被搬送物3が積み重ねられて設置されているものとする。
【0054】
上記初期状態で、空気圧シリンダ33のピストンロッド45が上昇を開始すると、第2の錘37がほぼ停止したままで、保持ユニット9が下降するように構成されている。
【0055】
空気圧シリンダ33のピストンロッド45が上側へさらに移動すると、保持ユニット9がさらに下降し積み重ねられている複数の被搬送物3のうちの最も上側に位置している被搬送物3に当接し、保持ユニット9の下側への移動が阻止され、上述したように一対の保持体11による最も上側に位置している被搬送物3の保持がされるように構成されている。
【0056】
この一対の保持体11による被搬送物3の保持がされた状態で、空気圧シリンダ33のピストンロッド45が停止すればよいが、空気圧シリンダ33では、ピストンロッド45がストロークいっぱいまで上側へ移動する。したがって、このままでは、ガイド体用綱状部材35に弛みが発生してしまう。
【0057】
そこで、保持ユニット9の代わりに第2の錘37が下側へ移動することで、ガイド体用綱状部材35における弛みの発生を防ぐように構成されている。
【0058】
なお、積み重ねられている被搬送物3の数が少なくなるにつれて、保持ユニット9が被搬送物3に当接する高さは当然に低くなる。一対の保持体11による被搬送物3の保持後における第2の錘37の下側への移動量は、保持ユニット9が被搬送物3に当接する高さが低くなるにしたがって少なくなるように構成されている。
【0059】
保持ユニット9で保持されている被搬送物3を吊り上げるときには、空気圧シリンダ33のピストンロッド45が下降端まで移動する。
【0060】
この空気圧シリンダ33のピストンロッド45の下側への移動により、まず、第2の錘37のみが上昇端まで上昇し、続いて、保持ユニット9と被搬送物3とが上昇端まで上昇する。第2の錘37が上昇端まで移動し終え、保持ユニット9と被搬送物3とが上昇端まで移動し終えた状態では、空気圧シリンダ33のピストンロッド45が下降端に位置しており、被搬送物3の吊り上げが終了するように構成されている。
【0061】
ところで、保持ユニット9が下降しているときであって被搬送物3に到達する前に、この下降が阻止された場合(図8参照)も、保持ユニット9の代わりに第2の錘37が下側へ移動することで、ガイド体用綱状部材35での弛みの発生が防止されるように構成されている。
【0062】
また、第3の錘39は、保持ユニット9が通常の状態で異常なく上下動しているときには、移動せず、搬送装置1が設置されている床面41上に置かれている。
【0063】
しかし、保持ユニット9が上昇しているときにこの上昇が阻止された場合、第2の錘37の上昇後(第2の錘37が上昇端に位置した後)、第3の錘39が上昇するようになっている(図9参照)。
【0064】
なお、保持ユニット9、第2の錘37、第3の錘39が上述した挙動をするためには、ガイド体用綱状部材35等の重量を無視して被搬送物3の重量と保持ユニット9の重量と第2の錘37の重量と第3の錘39の重量のみを考えると、被搬送物3の重量と保持ユニット9の重量との和の値が、第2の錘37の重量の1/2の値よりも大きくなっており、第3の錘39の重量の値が、被搬送物3の重量と保持ユニット9の重量との和の値よりも大きくなっている。なお、「第2の錘37の重量の1/2の値」としたのは、第2の錘37が動滑車55によってガイド体用綱状部材35に支持されていることによる。
【0065】
なお、上記説明では、第3の錘39が、ガイド体用綱状部材35のみによって支持されているが、第3の錘39が、図16で示すように、所定の摩擦抵抗をもってフレーム31に係合し上下方向で移動自在なように支持されている構成であってもよい。
【0066】
すなわち、第3の錘39が、上下方向でのみ移動自在なように、第3の錘支持部材52を介してフレーム31に支持されているとともに、ガイド体用綱状部材35で吊られている構成であってもよい。なお、図16(a)では、第3の錘39は床面41に接しており、図16(b)では、第3の錘39が上昇し床面41から離れている。
【0067】
搬送装置1の被搬送物載置体7は、図1図2で示すように、前後方向で移動自在なようにフレーム31に設けられている。また、被搬送物載置体7は、吊り上げ装置5による被搬送物3の吊り上げで被搬送物3が上昇端に位置しているときに、図13図14で示すように、水平方向の一方の端(後端)まで移動して、被搬送物3の下側に入り込むように構成されている。
【0068】
そして、被搬送物3の下側に入り込むときに一対の保持体11に係合して、一対の保持体11による被搬送物3の保持を解除し、被搬送物3を載置し、この載置がされた被搬送物3とともに水平方向の他方の端(前端)まで移動するよう構成されている。
【0069】
また、被搬送物載置体7が水平方向の他方の端(前端)まで移動したときに、図3で示すように、被搬送物載置体7に載置されている被搬送物3の取り出し(人の素手による取り出し)を容易にするために、被搬送物載置体7が傾斜するように構成されている。
【0070】
さらに詳しく説明すると、フレーム31や吊り上げ装置5は、このほとんどの部位が、断面形状(長手方向に対して直交する平面による断面の形状)が一定形状になっている所定長さの棒状のアルミフレーム(市販のアルミフレーム)と、このアルミフレーム用のブラケット、スライダ、スライダ等の部品で構成されている。
【0071】
被搬送物載置体7は、概ね矩形な平板状に形成されており、図3で示すように、被搬送物載置体支持体54に支持されており、被搬送物載置体支持体54に対して、第2の空気圧シリンダ56(図1参照)によって、前後方向で移動するようになっている。なお、空気圧シリンダ56のストロークは、第1の空気圧シリンダ33と同様に一定になっているので、被搬送物載置体7は、後端位置もしくは前端位置のいずれかの位置のみで停止するようになっている。
【0072】
また、図3で示すように、被搬送物載置体支持体54は横方向の裏側で前後方向に延びている軸C1を回動中心にして、第3の空気圧シリンダ58(図1参照)によって、30°程度の所定の角度だけ回動するようになっている(図3(b)(c)参照)。
【0073】
すなわち、被搬送物載置体支持体54は、被搬送物載置体7の上面が水平方向に展開している図3(a)で示すような基準姿勢、もしくは、被搬送物載置体7の上面が横方向の表側が下側に位置するようにして斜めに傾いている傾斜姿勢(図3(b)(c)参照)をとるようになっている。
【0074】
被搬送物載置体7の上面が傾斜姿勢になることで、図3(c)で示すように、被搬送物載置体7の上面に載置されている被搬送物3が横方向表側にずれ落ちる(滑り落ちる)ようになっている。ずれ落ちた被搬送物3は、たとえば、フレーム31の一部で構成されたストッパ60に当接し停止している。この停止している被搬送物3を、横方向の表側から人が素手で搬出する。
【0075】
保持体11Aは、図13等で示すように、保持体ガイド体係合部62と爪部63とガイドローラ支持体65とローラ67を備えて構成されている。
【0076】
保持体ガイド体係合部62は、保持体ガイド体13に係合している。爪部63は、被搬送物3に係合する(直接接する)ものであり、保持体ガイド体係合部62の下側で保持体ガイド体係合部62に一体的に設けられている。
【0077】
ガイドローラ支持体65は、爪部63に一体的に設けられている。円柱状のローラ67は、ガイドローラ支持体65の下端でガイドローラ支持体65に回転(自転)自在に設けられている。ローラ67の回転中心軸C2は上下方向に延びている。
【0078】
保持体11Bも、保持体11Aと同様に、保持体ガイド体係合部62と爪部63とガイドローラ支持体65とローラ67を備えて構成されている。
【0079】
被搬送物載置体7を平面視すると、図14で示すように、横方向の幅寸法の値が、後端側部位69で小さく先端側部位71で大きくなっており、後端側部位69と先端側部位71との間には、傾斜部73が設けられている。
【0080】
そして、被搬送物3を吊っている保持ユニット9が上昇端に位置している状態で、被搬送物載置体7が前端位置から後端位置に移動すると、一対のローラ67が被搬送物載置体7の横方向の両端に当接するようになっている。
【0081】
図13で示すように、一対のローラ67が被搬送物載置体7の後端側部位69に当接している状態では、図13で示すように、一対の保持体11による被搬送物3の保持がされているが、図14で示す状態から被搬送物載置体7がさらに後側(図14の下側)に移動すると、一対のローラ67が傾斜部73に当接し、一対の保持体11(11A、11B)の間隔(横方向での間隔)が次第に広がるようになっている。
【0082】
そして、被搬送物載置体7がさらに後側に移動すると、一対のローラ67が先端側部位71に当接し、一対の保持体11(11A、11B)の間隔(横方向での間隔)がさらに広がった状態になり、一対の保持体11による被搬送物3の保持が解除され、被搬送物3が僅かな距離だけ落下して被搬送物載置体7上に載置されるようになっている。
【0083】
ここで、移動阻止部75について図15を参照しつつ説明する。移動阻止部75は、被搬送物3を吊っている保持ユニット9が上昇端に位置している状態で、被搬送物載置体7が後端位置に移動して一対の保持体11(11A、11B)の間隔がさらに広がり一対の保持体11による被搬送物3の保持が解除された状態(一対の保持体11(11A、11B)の間隔が広がっている状態)を維持するために設けられている。
【0084】
移動阻止部75は、一対の阻止体77(77A、77B)と一対の阻止体ガイド体79(79A、79B)とを備えて構成されている。
【0085】
阻止体ガイド体79Aは、保持ユニット9の保持体11Aの保持体ガイド体係合部62の上側でフレーム31に一体的に設けられている。阻止体77Aは、上下方向で所定の距離だけ移動自在なように阻止体ガイド体79Aに支持されているとともに、上下方向の両端部(少なくとも下側の端部)が阻止体ガイド体79Aから所定の長さ突出するようになっている。なお、図15(a)で示す状態では、阻止体77Aが上昇端に位置しており、図15(b)で示す状態では、阻止体77Aが下降端に位置している。
【0086】
阻止体77Bも、阻止体77Aと同様に、阻止体ガイド体79Bを介してフレーム31に支持されている。
【0087】
図15(a)では、被搬送物3を保持している保持ユニット9が上昇端まで上昇してきた状態を示しており、この状態では、阻止体77Aが保持ユニット9の保持体11Aの保持体ガイド体係合部62に当接して押し上げられており、阻止体77Bが保持ユニット9の保持体11Bの保持体ガイド体係合部62に当接して押し上げられている。
【0088】
図15(b)では、図15(a)で示す状態から、一対の保持体11(11A、11B)の間隔が広がり被搬送物3の保持が解除された状態を示している。この状態では、阻止体77Aが自らの重量で落下して、保持体ガイド体13と保持ユニット9の保持体11Aの保持体ガイド体係合部62とに当接しており、阻止体77Bが自らの重量で落下して、保持体ガイド体13と保持ユニット9の保持体11Bの保持体ガイド体係合部62とに当接している。これにより、一対の保持体11(11A、11B)の間隔が広がった状態が維持されるようなっている。
【0089】
搬送装置1の後端部には、図1図2等で示すように、積み重ねられている複数の被搬送物3が搬入される被搬送物搬入部81が設けられている。被搬送物搬入部81に搬入された複数の被搬送物3は、複数のローラ83上を転がって、保持ユニット9の下側(真下の位置)に設けられている被搬送物吊り上げ部85まで、たとえば、手動で移動するようになっている。
【0090】
また、搬送装置1には、第1のセンサ(被搬送物取り上げ検知センサ)87と、第2のセンサ(チャックユニット上昇端検知センサ)89と、第3のセンサ(テーブル前進端検知センサ)91と、第4のセンサ(テーブル後退端検知センサ)93と、第5のセンサ(チャック閉じ検知センサ)95と、第6のセンサ(チャック開き検知センサ)97と、第7のセンサ(テーブル上の被搬送物検知センサ)99と、第8のセンサ(テーブル上昇位置検知センサ)101と、制御部103とが設けられている。
【0091】
搬送装置1は、上述したように、圧縮空気のみを駆動源としているので、第1~第8のセンサ87、89、91、93、95、97、99、101は、メカニカルバルブ(押しボタン式の方向制御弁やレバー式の方向制御弁等)で構成されており、制御部103は、エアーオペレイトバルブ(空気圧によって空気の流路を変えるパイロット式方向弁等)を複数用いて構成されている。
【0092】
搬送装置1は、第1~第8のセンサ87、89、91、93、95、97、99、101の検出結果に応じて、制御部103の制御の下、各シリンダ33、56、58を適宜駆動することで動作するようになっている。
【0093】
ここで、搬送装置1の動作について説明する。
【0094】
初期状態として、被搬送物載置体7がこの上面が水平方向に展開している姿勢で前進端(保持ユニット9から離れたところ)に位置しており、被搬送物3を保持していない保持ユニット9が上昇端に位置しており、保持ユニット9の下には、積み重ねられている複数の被搬送物3が設置されているものとする。
【0095】
上記初期状態において、保持ユニット9が下降して1つの被搬送物3を保持し、この保持した状態を維持したまま保持ユニット9が上昇端まで上昇して1つの被搬送物3を吊り上げる。
【0096】
続いて、被搬送物載置体7が後側に後退端(保持ユニット9で保持されている被搬送物3の下側)まで移動する。そして、被搬送物載置体7が、一対の保持体11を開いて保持ユニット9による被搬送物3の保持を解除し、被搬送物3を載置する。
【0097】
続いて、被搬送物3を載置している被搬送物載置体7が前側に前進端まで移動する。
【0098】
続いて、被搬送物3を載置している被搬送物載置体7の姿勢を、図3(b)で示すように傾けると被搬送物3が図3(c)で示すようにストッパ60に当接する。
【0099】
この状態で、人が、被搬送物3を搬出し、この搬出がされると、被搬送物載置体7の姿勢が元に戻り(上面が水平方向に展開している姿勢に戻り)、次の1つの被搬送物3の搬送がされる。
【0100】
搬送装置1によれば、被搬送物3に対して保持体ガイド体13が下降すると、被搬送物検出体15が被搬送物3の上端に当接し、この状態でさらに保持体ガイド体13が下降すると、被搬送物検出体15が保持体ガイド体13に対し上方に移動し、第1の錘17が保持体ガイド体13に対し下方に移動し、一対の保持体11の間隔が狭まり、一対の保持体11で被搬送物3を挟んで保持するように構成されているので、電力を用いることなく被搬送物3を保持することができる。
【0101】
また、搬送装置1によれば、被搬送物検出体15と第1の錘17との重量バランスで一対の保持体11が動作するように構成されており、リミットスイッチ等のセンサ、および、このセンサからの電気信号によって空気圧シリンダの動作を制御するシーケンサ等の制御機器を備えていないので、構成が簡素になっており、コスト高になることが抑えられる。
【0102】
また、搬送装置1は、電気信号を用いることなく空気圧のみを使用して稼働するようになっているので、節電効果を得ることができるとともに、故障した場合にシーケンサ等の制御機器に関する知識が無くても対応可能であり、メンテナンスがしやすくなる。
【0103】
また、搬送装置1によれば、一対の保持体11で積み重ねられている複数の被搬送物3を保持するときの高さ位置の変化に応じて、第2の錘37が上下動することで、ガイド体用綱状部材35に張力を発生させるように構成されているので、複数の被搬送物3を保持するときの高さ位置が変化しても、被搬送物3を保持ユニット9で確実に保持することができる。
【0104】
また、搬送装置1によれば、異常負荷がかかったことによって一対の保持体11(保持ユニット9)の上昇が阻止されているときに、第3の錘39が上昇するように構成されているので、電気信号を用いることなく異常事態の発生に対応することができ、保持ユニット9に過度の負荷がかかることが防止され、保持ユニット9の破損等を防ぐことができる。
【0105】
また、搬送装置1によれば、吊り上げ装置5による吊り上げで被搬送物3が上昇端に位置しているときに、被搬送物載置体7が、被搬送物3の下側に入り込むとともに、一対の保持体11に係合して一対の保持体11による被搬送物3の保持を解除し、被搬送物3を載置し、この載置がされた被搬送物3とともに水平方向の他方の端まで移動するので、積み重ねられている被搬送物3を一定の高さで人が腰をほとんど曲げることなく受け取り運ぶことができ、人の身体的な負担を軽減することができる。
【0106】
また、搬送装置1によれば、被搬送物載置体7が水平方向の他方の端まで移動したときに、被搬送物載置体7の上面が傾斜するように構成されているので、被搬送物3を一定の高さでより容易に人が受け取り運ぶことができ、人の身体的な負担を一層軽減することができる。
【0107】
ところで、搬送装置1において、第3の錘39を削除してもよい。そして、ガイド体用綱状部材35の長手方向の他方の端部を、空気圧シリンダ33のピストンロッド45の上端に接続してもよい。
【0108】
すなわち、保持ユニット9が支持されているフレーム31と、保持体ガイド体13を上下方向で移動させるための空気圧シリンダ33と、長手方向の一端部が保持体ガイド体13に接続されており、長手方向の他端部が空気圧シリンダ33の移動体45に接続されていることで、保持体ガイド体13を吊っているガイド体用綱状部材35と、ガイド体用綱状部材35の長手方向の一端部とガイド体用綱状部材35の長手方向の他端部との間に位置している中間部に設けられておりガイド体用綱状部材35に張力を発生させている第2の錘37とを有し、保持ユニット9の一対の保持体11が、上下方向に積み重ねられている複数の被搬送物3を保持するように構成されており、第2の錘37が、一対の保持体11が上下方向に積み重ねられている複数の被搬送物3を保持するときの高さ位置の変化に応じて上下動することで、ガイド体用綱状部材35に張力を発生させるように構成されている吊り上げ装置5としてもよい。
【符号の説明】
【0109】
1 搬送装置
3 被搬送物(ポリテナー)
5 吊り上げ装置
7 被搬送物載置体
9 保持ユニット
11、11A、11B 一対の保持体
13 保持体ガイド体
15 被搬送物検出体
17 第1の錘
19 第1の保持体用綱状部材
21 第2の保持体用綱状部材
31 フレーム
33 空気圧シリンダ
35 ガイド体用綱状部材
37 第2の錘
39 第3の錘
45 空気圧シリンダの移動体(ピストンロッド)
47 第1の中間部
49 第2の中間部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16