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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】新規コンジュゲート
(51)【国際特許分類】
   C07H 21/02 20060101AFI20220809BHJP
   C07H 21/04 20060101ALI20220809BHJP
   A61K 31/713 20060101ALI20220809BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20220809BHJP
   A61P 7/04 20060101ALI20220809BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220809BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220809BHJP
   A61P 5/06 20060101ALI20220809BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20220809BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20220809BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20220809BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20220809BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20220809BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20220809BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
C07H21/02
C07H21/04 B
A61K31/713
A61P1/16
A61P7/04
A61P43/00 105
A61P29/00
A61P5/06
A61P3/06
A61P9/00
A61P3/04
A61P7/06
C12N15/09 Z ZNA
C12N15/11 Z
C12N5/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018552707
(86)(22)【出願日】2017-04-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-04-18
(86)【国際出願番号】 EP2017058112
(87)【国際公開番号】W WO2017174657
(87)【国際公開日】2017-10-12
【審査請求日】2020-04-01
(31)【優先権主張番号】16163939.8
(32)【優先日】2016-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505047256
【氏名又は名称】サイレンス・セラピューティクス・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】フラウエンドルフ,クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】キャメロン,マーク
【審査官】三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/168589(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/055601(WO,A1)
【文献】PRAKASH THAZHA P; ET AL,SOLID-PHASE SYNTHESIS OF 5'-TRIANTENNARY N-ACETYLGALACTOSAMINE CONJUGATED ANTISENSE 以下備考,BIOORGANIC & MEDICINAL CHEMISTRY LETTERS,NL,ELSEVIER,2015年08月08日,VOL:25, NR:19,PAGE(S):4127 - 4130,http://dx.doi.org/10.1016/j.bmcl.2015.08.019,OLIGONUCLEOTIDES USING PHOSPHORAMIDITE CHEMISTRY
【文献】Bioconjugate Chemistry,2003年,Vol.14,pp.239-246,ISSN: 1043-1802
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H 21/02
C07H 21/04
A61K 31/713
A61P 1/16
A61P 7/04
A61P 43/00
A61P 29/00
A61P 5/06
A61P 3/06
A61P 9/00
A61P 3/04
A61P 7/06
C12N 15/09
C12N 15/11
C12N 5/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(式中、Zは核酸であり、Z-Oの結合は前記核酸の末端ヌクレオチドの糖の3’位または5’位と酸素原子との単結合である):
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

のいずれかの化合物。
【請求項2】
前記核酸が、RNAi、siRNA、アンチセンス核酸、リボザイム、アプタマーおよびスピーゲルマーから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記核酸が、塩基、糖もしくはリン酸部分の化学修飾を含む1つ以上のヌクレオチドを含む、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物、および適切な担体または賦形剤を含む、組成物。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物、および適切な担体または賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項6】
肝疾患、遺伝子疾患、血友病および出血障害、肝線維症、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、ウイルス性肝炎、稀少疾患(例えば、末端肥大症)、代謝性疾患(例えば、高コレステロール血症、脂質異常症、高トリグリセリド血症)、心血管疾患、肥満、サラセミア、肝損傷(例えば、薬剤誘発性肝障害)、ヘモクロマトーシス、アルコール性肝疾患、アルコール依存性、貧血、並びに慢性疾患の貧血の治療に使用するための、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
肝細胞を、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物とインビトロで接触させることを含む、肝細胞への核酸の送達方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、新規核酸コンジュゲート化合物に関する。本発明はさらに、前記コンジュゲートを含む組成物、ならびに医学、研究および診断におけるそれらの使用に関する。新規紺綬ゲート化合物は、中枢神経系疾患、炎症性疾患、代謝性疾患、遺伝性疾患および遺伝性疾患、腫瘍、感染症並びに眼疾患を含む多くの疾患の治療に使用することができる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
二本鎖RNA(dsRNA)は、遺伝子発現を阻害することが示されており(Fireら、1998およびElbashirら、2001)、これは干渉RNA分子(iRNA)によって媒介されるRNA干渉、すなわち「RNAi」と呼ばれている。短いdsRNAは、脊椎動物を含む多くの生物において、遺伝子特異的な転写後サイレンシングを指示し、遺伝子機能を研究するための新しいツールを提供している。RNAiは、サイレンシングトリガーと相同なメッセンジャーRNAを破壊する配列特異的な多成分ヌクレアーゼであるRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)によって媒介される。siRNA(短鎖干渉RNA)、アンチセンスRNA、およびマイクロRNAなどのiRNA(干渉RNA)は、遺伝子サイレンシング、すなわちタンパク質の翻訳の阻害によるタンパク質の形成を防止するオリゴヌクレオチドである。遺伝子サイレンシング物質は、医学における治療的な応用のためにますます重要になりつつある。
【0003】
したがって、オリゴヌクレオチド(特に二本鎖siRNA)のインビボでの細胞への効率的な送達のための手段はますます重要になっており、特異的な標的化および、細胞外環境、特に血清タンパク質からの実質的な保護を必要とする。特異的な標的化を達成する1つの方法は、標的化部分をiRNA二本鎖に共役させることである。標的化部分は、必要とされる標的部位へのiRNA二本鎖の標的化を助け、エンドサイトーシスなどによって細胞に取り込まれる共役分子の所望の受容体部位のための適切な標的化部分を設計する必要がある。
【0004】
例えば、アシアロ糖タンパク質受容体(ASGP-R)は、肝細胞に非常に豊富に存在する高容量受容体である。3分岐クラスター配糖体の最初の開示の1つは、米国特許第5,885,968号であった。3つのGalNAcリガンドを有し、リン酸基を含むコンジュゲートは公知であり、Dubberら(2003)に記載されている。ASGP-Rは、D-GalよりN-アセチル-D-ガラクトシルアミン(GalNAc)に対して50倍高い親和性を示す。
【0005】
レクチン(アシアロ糖タンパク質受容体;ASGPR)を発現する肝細胞は、グリコシル化タンパク質の末端β-ガラクトシルサブユニットまたは他のオリゴ糖を特異的に認識するが(P.H.Weigelら、2002)、これは薬物へのガラクトースまたはガラクトサミンの共有結合によって肝臓に薬物を標的化するために使用されうる(S.Ishibashi、1994)。さらに、結合親和性は多葉性効果によって有意に増大されうるが、これは標的ユニットの繰り返しによって達成される(E.A.L.Biessenら、1995)。
【0006】
ASGPRは、末端β-ガラクトシル含有糖タンパク質の活性エンドソーム輸送のメディエーターであるため、ASGPRは細胞に送達されなければならないsiRNAのような薬物候補の標的送達に非常に適している(Akincら)。
【0007】
しかし、これまでに開発された標的化リガンドは、常にインビボでの設定へと翻訳するわけではなく、オリゴヌクレオチド治療薬、核酸および二本鎖siRNA)のインビボ送達のために、より効率的で受容体に特異的なリガンド共役iRNA二本鎖およびそれらの調製のための方法に対する明確なニーズが存在している。本発明は、これらのニーズに対処することを試みるものである。
【発明の概要】
【0008】
発明の概要
本発明は、化合物の糖部分内に3つの糖リガンドおよび修飾リン酸基を有するコンジュゲート化合物に関する。これらのコンジュゲート化合物は、インビボでの効力および持続時間が改善されていることが示されている。さらに、コンジュゲート基は、当該分野で公知のコンジュゲートと比較して、調製がずっと容易である。
【0009】
本発明のコンジュゲート化合物は、式Iを有する:
【0010】
【化1】
【0011】
ここで:
Sは、糖を表し;
は、C-Cアルキレンまたはエチレングリコール幹(-CH-CH-O)(-CH-を表し、この際、mは、1,2、または3であり;
Pは、修飾リン酸基であり;
は、アルキレンまたは式(-CH-O-CH-(n=1~6)のアルキレンエーテルであり;
Aは、分岐単位であり;
は、架橋単位を表し;
Zは、核酸であり;
とZとの間の結合はリン酸またはチオリン酸である。
【0012】
核酸は、RNAi、siRNA、siNA、アンチセンス核酸、リボザイム、アプタマーおよびスピーゲルマーから選択されうる。本発明はまた、式Iのコンジュゲート化合物を含む医薬組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、チオホスフェート基で修飾された3つの糖リガンド部分に共役した修飾二本鎖siRNAの図解を提供する。
図2図2は、マウスでのTTRノックダウンのインビボでの効果による、マウスにおけるインビボでの効果を示す棒グラフである。マウス(1群あたり4匹の動物)を1mg/kgの1回の皮下投与で処置し、注射2日後に屠殺した。TTRのmRNAレベルをTAQmanPCRによって定量した。ノックダウンのレベルを棒の上に示す。mRNAレベルをPTENに対して正規化した。TTRCF02V21およびTTRCF02V23に示すように、GalNAcリンカーシステムにおけるホスホロチオエートの導入により、(TTRCF02V20およびTTRCF02V22に示すように)標準的なホスホジエステル結合と比較して実質的に大きな効力を示した。
図3図3は、マウスにおけるTTRノックダウンの持続時間を示す棒グラフである。マウス(1群あたり4匹の動物)を2mg/kgの1回の皮下投与で処置し、与えられた時点(注射後7,14,21および28日)で屠殺した。TTRのmRNAレベルをTAQmanPCRによって定量した。ノックダウンのレベルを棒の上に示す。mRNAレベルをPTENに対して正規化した。本発明のsiRNAコンジュゲートによるノックダウンの持続時間は、(構造ST13に示すように)標準的なBiessen/vanBerkelタイプのGalNAcリンカーを組み込んだ化合物TTRCF02と比較して、はるかに顕著であり、より長く持続する。
図4図4は、マウスにおけるTTRノックダウンの用量力価を示す棒グラフである。マウス(1群あたり4匹の動物)を、各用量(3、1、0.3、0.1mg/kg)で処置した。TTRのmRNAレベルをTAQmanPCRによって定量した。mRNAレベルをPTENに対して正規化した。
図5図5は、TTR siRNAのGalNAcコンジュゲートであるSTS016L8およびL9によるTTRノックダウンのインビトロでの定量を示す棒グラフである。TTRCF02V23は陽性対照を表す。GN_Lucは陰性対照を表す。mRNAレベルをPTENに対して正規化した。
図6図6は、TTR siRNAのGalNAcコンジュゲートであるSTS016L4~L7によるTTRノックダウンのインビトロでの定量を示す棒グラフである。TTRCF02V23は陽性対照を表す。GN_Lucは陰性対照を表す。mRNAレベルをPTENに対して正規化した。
図7図7は、マウスにおけるTTRノックダウンのインビボでの効果を示す棒グラフである。マウス(1群あたり4匹の動物)を、1mg/kgの1回の皮下投与で処置した。各時点(注射後8日目、15日目、22日目)の後に血液を採取し、市販のマウスTTR特異的ELISAキットを用いてTTRレベルを分析した。
図8図8は、マウスにおけるPTENノックダウンのインビボでの効果を示す棒グラフである。マウス(1群あたり4匹の動物)を、各用量(1、3、10mg/kg)で処置した。PTENのmRNAレベルをTAQmanPCRによって定量した。明らかなPTENの用量依存的なノックダウンが確認された。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の詳細な説明
以下の定義および説明は、明細書および特許請求の範囲の双方を含むこの文書全体を通じて使用される用語に関するものである。
【0015】
特記のない限り、以下の用語は以下の意味を有する:
「コンジュゲート」または「コンジュゲート基」は、オリゴヌクレオチドまたはオリゴマー化合物に結合した原子または原子群を意味する。一般に、コンジュゲート基は、薬力学、薬物動態、結合、吸収、細胞分布、細胞取り込み、電荷および/またはクリアランス特性を含むがそれらに限定されない、それらが結合する化合物の1つまたは複数の特性を修飾する。
【0016】
「GalNAc」は、N-アセチルガラクトサミンを意味する。
【0017】
-Cアルキルは、線状または分枝状であってよいx~y個の炭素原子を有する飽和脂肪族炭化水素基を指す。例えばC-Cアルキルは、C、C、C、C、CおよびCを含む。「分岐した」とは、少なくとも1つの炭素分岐点が基中に存在することを意味する。例えば、tert-ブチルおよびイソプロピルはともに分岐した基である。C-Cアルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、2-メチル-1-プロピル、2-メチル-2-プロピル、2-メチル-1-ブチル、3-メチル-1-ブチル、2-メチル-3-ブチル、2,2-ジメチル-1-プロピル、2-メチル-ペンチル、3-メチル-1-ペンチル、4-メチル-1-ペンチル、2-メチル-2-ペンチル、3-メチル-2-ペンチル、4-メチル-2-ペンチル、2,2-ジメチル-1-ブチル、3,3-ジメチル-1-ブチル、2-エチル-1-ブチル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルおよびn-ヘキシルが挙げられる。これはまた、C-Cアルキレンにも適用される。
【0018】
-Cアルコキシは、上のC-Cアルキルの定義に従った-OC-Cアルキル基を有する基または基の一部をいう。C-Cアルコキシは、1から3個の炭素原子を含み、C、CおよびCを含む。C-Cアルコキシの例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシおよびイソプロポキシが挙げられる。本明細書で用いられるアルコキシはまた、酸素原子(例えば、単一酸素原子)がアルキル鎖内に位置する実施形態、例えばCHCHOCHまたはCHOCHにも及ぶ。このように、アルコキシは炭素を介して分子の残りの部分、例えば-CHCHOCHに結合していてもよく、あるいはアルコキシは酸素を介して分子の残りの部分、例えば-OC1-3アルキルに結合していてもよい。場合によっては、アルコキシは酸素を介して分子の残部に結合していてもよいが、アルコキシ基はさらなる酸素原子を含み、例えば-OCHCHOCHである。
【0019】
用語「核酸」は、モノマーヌクレオチドからなる分子を指す。核酸としては、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、一本鎖核酸(ssDNA)、二本鎖核酸(dsDNA)、低分子干渉リボ核酸(siRNA)およびマイクロRNA(miRNA)が挙げられる。核酸はまた、単一分子内にこれらの要素の任意の組み合わせを含むことができる。
【0020】
「治療する(treat)」または「治療する(treating)」または「治療(treatment)」という用語は、予防を含み、一時的または永続的に、症状を改善し、軽減し、症状の原因を排除し、または所定の障害もしくは症状の兆候の出現を予防または緩徐化することを意味する。本発明の化合物は、ヒトおよび非ヒト動物の治療に有用である。
【0021】
「有効量」または「治療有効量」または「有効用量」とは、所望の薬理学的または治療的効果を引き出し、それによって障害の有効な予防または治療をもたらすのに十分な量を意味する。障害の予防は、障害の症状の発症を医学的に有意な程度まで遅らせることによって明らかになる。障害の治療は、障害に伴う症状の減少または障害の症状の再発の改善によって明らかにされる。
【0022】
「医薬組成物」または「組成物」は、個体に投与するのに適した物質の混合物を意味する。例えば、医薬組成物は、1つ以上の活性薬剤および医薬担体、例えば滅菌水溶液を含むことができる。
【0023】
第1の態様において、本発明は、式Iの化合物を提供する:
【0024】
【化2】
【0025】
ここで:
Sは、糖を表し;
は、C-Cアルキレンまたはエチレングリコール幹(-CH-CH-O)(-CH-を表し、この際、mは、1,2、または3であり;
Pは、修飾リン酸基であり;
は、アルキレンまたは式(-CH-O-CH-(n=1~6)のアルキレンエーテルであり;
Aは、分岐単位であり;
は、架橋単位を表し;
Zは、核酸であり;
とZとの間の結合はリン酸またはチオリン酸である。
【0026】
式Iにおいて、分岐ユニット「A」は3つの糖リガンドを収容するために3つに分岐する。この分岐単位は繋留リガンドおよび核酸に共有結合している。この分岐単位は、アルキル、アミド、ジスルフィド、ポリエチレングリコール、エーテル、チオエーテルおよびヒドロキシアミノ基から選択される基を含む分岐脂肪族基を含むことができる。この分岐単位は、アルキル基およびエーテル基から選択される基を含んでもよい。
【0027】
分岐単位Aは、以下から選択される構造を有しうる:
【0028】
【化3】
【0029】
ここで、各Aは、独立してO、S、C=OまたはNHを表し;
各nは、独立して1~20の整数を表す。
【0030】
この分岐単位は、以下から選択される構造を有しうる:
【0031】
【化4】
【0032】
ここで、各Aは、独立してO、S、C=OまたはNHを表し;
各nは、独立して1~20の整数を表す。
【0033】
この分岐単位は、以下から選択される構造を有しうる:
【0034】
【化5】
【0035】
ここで、Aは、O、S、C=OまたはNHであり;
各nは、独立して1~20の整数を表す。
【0036】
この分岐単位は、以下の構造を有しうる:
【0037】
【化6】
【0038】
この分岐単位は、以下の構造を有しうる:
【0039】
【化7】
【0040】
この分岐単位は、以下の構造を有しうる:
【0041】
【化8】
【0042】
任意に、この分岐単位は炭素原子のみからなる。
【0043】
式Iの化合物の「X」部分は、架橋単位である。Xはまた、コンジュゲートリンカーとも称されうる。この架橋単位は、直鎖状であり、上記分岐単位および上記核酸に共有結合している。
【0044】
は、-C-C20アルキレン、-C-C20アルケニレン、式-(C-C20アルキレン)-O-(C-C20アルキレン)-のアルキレンエーテル、-C(O)-C-C20アルキレン、-C-Cアルキレン(Cy)C-Cアルキレン(式中、Cyは置換または非置換の5員または6員のシクロアルキレン、アリーレン、ヘテロシクリレンまたはヘテロアリーレン環を表す)、-C-Cアルキレン-NHC(O)-C-Cアルキレン、-C-Cアルキレン-C(O)NH-C-Cアルキレン、-C-Cアルキレン-SC(O)-C-Cアルキレン、-C-Cアルキレン-C(O)S-C-Cアルキレン、-C-Cアルキレン-OC(O)-C-Cアルキレン、-C-Cアルキレン-C(O)O-C-Cアルキレン-、および-C-Cアルキレン-S-S-C-Cアルキレン-から選択されうる。
【0045】
は、式-(C-C20アルキレン)-O-(C-C20アルキレン)-のアルキレンエーテルであってもよい。Xは、式-(C-C20アルキレン)-O-(C-C20アルキレン)-のアルキレンエーテルであって、この際、前記(C-C20アルキレン)がZに結合しているものであってもよい。Xは、-CH-O-C-、-CH-O-C-、-CH-O-C12-および-CH-O-C16-からなる群から選択されてもよく、特に-CH-O-C-、-CH-O-C12-および-CH-O-C16-からなる群から選択されてもよく、この際、それぞれの場合において-CH-基がAに結合している。
【0046】
第2の態様において、本発明は、式(II)の化合物を提供する:
【0047】
【化9】
【0048】
ここで:
Sは、糖を表し;
は、C-Cアルキレンまたはエチレングリコール幹(-CH-CH-O)(CHを表し、この際、mは、1,2、または3であり;
Pは、修飾リン酸基であり;
は、C-Cアルキレンであり;
Aは、以下から選択される分岐単位であり:
【0049】
【化10】
【0050】
は、架橋単位であり;
Zは、核酸であり;
とZとの間の結合はリン酸またはチオリン酸である。
【0051】
分岐単位Aは、以下の構造を有しうる:
【0052】
【化11】
【0053】
分岐単位Aは、以下の構造を有しうる:
【0054】
【化12】
【0055】
この際、Xは上記窒素原子に結合している。
【0056】
は、C-C20のアルキレンであってもよい。好ましくは、Xは、-C-、-C-、-C12-および-C16-からなる群から選択され、特に-C-C12-および-C16-からなる群から選択される。
【0057】
第3の態様において、本発明は、式(III)の化合物を提供する:
【0058】
【化13】
【0059】
ここで:
Sは、糖を表し;
は、C-Cアルキレンまたはエチレングリコール幹(-CH-CH-O)(CH-を表し、mは、1,2、または3であり、
Pは、修飾リン酸基であり;
は、式-C-O-CH-のアルキレンエーテルであり;
Aは、分岐単位であり;
は、-CH-O-CH-、-CH-O-C-、-CH-O-C-、-CH-O-C-H-、-CH-O-C10-、-CH-O-C12-、-CH-O-C14-および-CH-O-C16-からなる群から選択され、それぞれの場合において-CH-基がAに結合しており;
Zは、核酸であり;
とZとの間の結合はリン酸またはチオリン酸である。
【0060】
上記分岐単位は、炭素を含んでもよい。好ましくは、分岐単位は炭素である。
【0061】
は、-CH-O-C-、-CH-O-C10-、-CH-O-C12-、-CH-O-C14-および-CH-O-C16-からなる群から選択されうる。好ましくは、Xは、-CH-O-C、-CH-O-C12-および-CH-O-C16からなる群から選択される。
【0062】
上記の態様のいずれについても、Pは、修飾リン酸基を表す。Pは、以下のように表されうる:
【0063】
【化14】
【0064】
ここで、YおよびYは、それぞれ独立して=O、=S、-O-、-OH、-SH、-BH、-OCHCO、-OCHCO、-OCHC(S)ORおよび-OR(式中、RはC-Cアルキルを表す)を表し、この際、
【0065】
【化15】
【0066】
は、化合物の残りの部分への結合を示す。
【0067】
例えば、Yが-OHを表してもよく、Yが=Oまたは=Sを表してもよく;または、
が-Oを表してもよく、Yが=Oまたは=Sを表してもよく;
が=Oを表してもよく、Yが-CH、-SH、-ORまたは-BHを表してもよく;
が=Sを表してもよく、Yが-CH、ORまたは-SHを表してもよい。
【0068】
ある場合には、YとYとの間に非局在化が存在することは、当業者には理解されるであろう。
【0069】
好ましくは、修飾リン酸基はチオホスフェート基である。チオホスフェート基は、ジチオホスフェート(すなわち、Yが=Sを表し、Yが-Sを表す)およびモノチオホスフェート(すなわち、Yが-Oを表し、Yが=Sを表すか、またはYが=Oを表し、Yが-Sを表す)を含む。好ましくは、Pはモノチオホスフェートである。本発明者らは、ホスフェート基の代わりにチオホスフェート基を有するコンジュゲートによれば、インビボでの効力および作用持続時間が改善されることを見出した。
【0070】
Pはまた、エチルホスフェート(すなわち、Yが=Oを表し、YがOCHCHを表す)であってもよい。
【0071】
糖は、リガンドとも呼ぶことができ、標的細胞上の少なくとも1つのタイプの受容体に対する親和性を有するように選択されうる。特に、受容体は、哺乳動物の肝細胞の表面上のものであり、例えば、肝臓アシアロ糖タンパク質受容体(ASGP-R)である。
【0072】
上記の態様のいずれについても、糖は、N-アセチルガラクトサミン、マンノース、ガラクトース、グルコース、グルコサミンおよびフルクトースから選択されうる。好ましくは、糖は、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)である。本発明の化合物は、3つのリガンドを有し、これはそれぞれ好ましくはN-アセチルガラクトサミンである。
【0073】
「GalNAc」は、2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-D-ガラクトピラノースを意味し、文献中ではN-アセチルガラクトサミンと一般に呼ばれている。「GalNAc」または「N-アセチルガラクトサミン」への言及は、β型:2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノースおよびα型:2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-α-D-ガラクトピラノースの双方を含む。特定の実施形態では、β型:2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノースおよびα型:2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-α-D-ガラクトピラノースが互換的に使用されうる。好ましくは、本発明の化合物は、β型、すなわち2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノースを含む。
【0074】
【化16】
【0075】
本発明の化合物の「X-P-X」部分は、テザーまたはリンカーとも称されうる。このリンカーは直鎖状の基を含み、上記糖リガンドおよび上記分岐単位に共有結合している。
【0076】
上記の態様のいずれについても、Xは、エチレングリコール幹(-CH-CH-O)(-CH-(式中、mは1、2または3である)でありうる。Xは、(-CH-CH-O)(-CH-であってもよい。Xは、(-CH-CH-O)(-CH-であってもよい。Xは、(-CH-CH-O)(-CH-であってもよい。好ましくは、Xは、(-CH-CH-O)(-CH-である。あるいは、Xは、C-Cアルキレンを表す。Xは、プロピレンでありうる。Xは、ブチレンであってもよい。Xは、ペンチレンであってもよい。Xは、ヘキシレンであってもよい。好ましくは、アルキルは、直鎖アルキレンである。特に、Xはブチレンであってもよい。
【0077】
第3の態様の化合物について、Xは、式-C-O-CH-のアルキレンエーテル(すなわち、Cアルコキシメチレンまたは-CHCHCHOCH-)を表す。
【0078】
第4の態様において、本発明は、以下の構造を有するコンジュゲート化合物を提供する:
【0079】
【化17】
【0080】
ここで、Zは核酸である。
【0081】
第5の態様において、本発明は、以下の構造を有するコンジュゲート化合物を提供する:
【0082】
【化18】
【0083】
ここで、Zは核酸である。
【0084】
第6の態様において、本発明は、以下の構造を有するコンジュゲート化合物を提供する:
【0085】
【化19】
【0086】
ここで、Zは核酸である。
【0087】
第7の態様において、本発明は、以下の構造を有するコンジュゲート化合物を提供する:
【0088】
【化20】
【0089】
ここで、Zは核酸である。
【0090】
第8の態様において、本発明は、以下の構造を有するコンジュゲート化合物を提供する:
【0091】
【化21】
【0092】
ここで、Zは核酸である。
【0093】
第9の態様において、本発明は、以下の構造を有するコンジュゲート化合物を提供する:
【0094】
【化22】
【0095】
ここで、Zは核酸である。
【0096】
第10の態様において、本発明は、以下の構造を有するコンジュゲート化合物を提供する:
【0097】
【化23】
【0098】
ここで、Zは核酸である。
【0099】
第11の態様において、本発明は、以下の構造を有するコンジュゲート化合物を提供する:
【0100】
【化24】
【0101】
ここで、Zは核酸である。
【0102】
本明細書に記載される全ての場合において、核酸は、DNA、RNA、PNAおよびLNAからなる群から選択されうる。
【0103】
核酸は、機能的核酸であってもよく、好ましくは、当該機能的核酸は、mRNA、マイクロRNA、shRNAを、RNAとDNAとの組み合わせ、siRNA、siNA、アンチセンス核酸、リボザイム、アプタマーおよびシュピーゲルマーからなる群から選択される。特に、核酸はsiRNAであってもよい。
【0104】
核酸は、RNAi、siRNA、アンチセンス核酸、リボザイム、アプタマーおよびスピーゲルマーから選択されうる。
【0105】
核酸は任意の長さであってよく、それらがRNAiとして有効であるような任意の数のヌクレオチドを有しうる。好ましくは、siRNAは15~30ヌクレオチドの範囲である。二本鎖RNAの二本鎖領域は、ワトソン-クリック塩基対形成を用いて15~30ヌクレオチド塩基対の範囲でありうる。二本鎖領域は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30の塩基対を含みうる。
【0106】
好ましくは、核酸は、19~23の塩基対を有する。例えば、核酸は、19、20、21、22または23塩基対の長さでありうる。
【0107】
二本鎖iRNAは、一端または両端が平滑末端でありうる。二本鎖iRNAは、一方または両方の鎖の一方または両方の末端に1または2以上のヌクレオチドのオーバーハングを有しうる。オーバーハングは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10ヌクレオチド長でありうる。
【0108】
上記態様のいずれについても、核酸は修飾核酸でありうる。修飾は、核酸または塩基の類似体による置換または挿入、ならびに塩基、糖またはリン酸部分の化学修飾から選択されうる。
【0109】
核酸は、a)両端で平滑末端になっていてもよいし、b)一方の端にオーバーハングを有し、他方の端が平滑末端であってもよいし、c)両端にオーバーハングを有してもよい。
【0110】
第1の鎖および/または第2の鎖上の1つまたは複数のヌクレオチドを修飾して修飾ヌクレオチドを形成してもよい。第1の鎖の奇数番目のヌクレオチドの1つ以上を修飾することができる。第1の鎖の偶数番目のヌクレオチドの1つ以上は、少なくとも1つの第2の修飾によって修飾することができ、この際、少なくとも第2の修飾は1つ以上の奇数番目のヌクレオチドの修飾とは異なる。1つ以上の修飾された偶数番目のヌクレオチドの少なくとも1つは、1つ以上の修飾された奇数番目のヌクレオチドの少なくとも1つに隣接していてもよい。
【0111】
本発明の核酸において、第1の鎖中の複数の奇数番目のヌクレオチドが修飾されていてもよい。第1の鎖中の複数の偶数番目のヌクレオチドは、第2の修飾によって修飾することができる。第1の鎖は、共通の修飾によって修飾された隣接するヌクレオチドを含むことができる。第1の鎖はまた、第2の異なる修飾によって修飾された隣接するヌクレオチドを含んでもよい。
【0112】
第2の鎖の奇数番目のヌクレオチドの1つ以上は、第1の鎖の奇数番目のヌクレオチドの修飾とは異なる修飾によって修飾されてもよく、および/またはm第2の鎖の偶数番目のヌクレオチドの1つ以上が第1の鎖の奇数番目のヌクレオチドと同じ修飾によって修飾されてもよい。第2の鎖の1つ以上の修飾された偶数番目のヌクレオチドの少なくとも1つは、1つ以上の修飾された奇数番目のヌクレオチドに隣接していてもよい。第2の鎖の複数の奇数番目のヌクレオチドは、共通の修飾によって修飾することができ、および/または、複数の偶数番目のヌクレオチドを、第1の鎖の奇数番目のヌクレオチドに存在するのと同じ修飾によって修飾することができる。第2の鎖上の複数の奇数番目のヌクレオチドは、第2の修飾によって修飾することができ、この際、第2の修飾は、第1の鎖の奇数番目のヌクレオチドの修飾とは異なる。
【0113】
第2の鎖は、第1の鎖の奇数番目のヌクレオチドの修飾とは異なる第2の修飾でありうる共通の修飾によって修飾された隣接するヌクレオチドを含む。
【0114】
本発明の核酸において、第1の鎖の奇数番目のヌクレオチドおよび第2の鎖の偶数番目のヌクレオチドの各々は、共通の修飾で修飾されてもよく、偶数番目のヌクレオチドの各々は、第2の修飾を伴い、奇数番目のヌクレオチドの各々は、第2の異なる修飾によって第2の鎖において修飾されうる。
【0115】
本発明の核酸は、第1の鎖の修飾されたヌクレオチドを、第2の鎖の未修飾または異なる修飾がなされたヌクレオチドと比較して少なくとも1つのヌクレオチドだけシフトさせて有してもよい。
【0116】
1つの修飾および/または複数の修飾は、それぞれ独立して、3’末端のデオキシチミン、2’Oメチル、2’デオキシ修飾、2’アミノ修飾、2’アルキル修飾、モルホリノ修飾、5’-ホスホロチオエート基修飾、5’リン酸または5’-リン酸模倣体修飾、およびコレステリル誘導体またはドデカン酸ビスデシルアミド基修飾からなる群から選択することができ、および/または、修飾ヌクレオチドは、ロックドヌクレオチド、無塩基ヌクレオチドまたはヌクレオチドを含む非天然塩基であってもよい。少なくとも1つの修飾は2’-O-メチルであってよく、および/または、少なくとも1つの修飾は2’-Fでありうる。
【0117】
核酸とは、遺伝子発現を妨害することができるヌクレオチドを含む2つの鎖を含む核酸を意味する。阻害は、完全または部分的であり得、標的化された様式で遺伝子発現の下方制御をもたらす。核酸は、第1の鎖(ガイド鎖でありうる)および第2の鎖(パッセンジャー鎖でありうる)である2つの別個のポリヌクレオチド鎖を含む。第1の鎖および第2の鎖は、二本鎖分子を形成するために「折り畳まれる」自己相補的である同じポリヌクレオチド分子の一部であってもよい。核酸は、siRNA分子であってもよい。
【0118】
第1の鎖は、アンチセンス鎖とも称されうる。第2の鎖は、センス鎖とも称されうる。
【0119】
核酸は、リボヌクレオチド、修飾リボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、またはヌクレオチド類似体を含みうる。核酸はさらに、第1の鎖(当技術分野ではガイド鎖としても知られている)の全部または一部および第2の鎖(当技術分野ではパッセンジャー鎖としても知られている)の全部または一部によって形成される二本鎖核酸部分または二本鎖領域をさらに含みうる。二本鎖領域は、第1の鎖と第2の鎖との間に形成される最初の塩基対から始まり、第1の鎖と第2の鎖との間に形成される最後の塩基対で終わる(両端を含む)と定義される。
【0120】
二本鎖領域とは、ワトソン-クリック塩基対形成または相補的または実質的に相補的なオリゴヌクレオチド鎖間の二本鎖を可能にする他の任意の方法によって、互いに塩基対を形成する2つの相補的または実質的に相補的なオリゴヌクレオチドにおける領域を意味する。例えば、21ヌクレオチド単位を有するオリゴヌクレオチド鎖は、21ヌクレオチド単位の別のオリゴヌクレオチドと塩基対を形成することができるが、各鎖上の19ヌクレオチドのみが相補的または実質的に相補的であると、「二本鎖領域」は19塩基対からなる。残りの塩基対は、5’および3’オーバーハングとして、または一本鎖領域として存在しうる。さらに、二本鎖領域内では、100%相補性は必要ではなく、二本鎖領域内では実質的な相補性が許容される。実質的な相補性とは、それらが生物学的条件下でアニーリングすることができるような鎖間の相補性を指す。2つの鎖が生物学的条件下でアニーリングすることができるかどうかを経験的に決定する技術は、当技術分野で周知である。あるいは、2つの鎖を合成し、生物学的条件下で一緒に添加して、それらが互いにアニールするかどうかを決定することができる。
【0121】
少なくとも1つの二本鎖領域を形成する第1の鎖および第2の鎖の部分は、完全に相補的であってもよく、互いに少なくとも部分的に相補的であってもよい。核酸の長さに依存して、第1の鎖と第2の鎖との間の塩基相補性に関して完全に一致する必要は必ずしもない。しかしながら、第1の鎖および第2の鎖は、生理学的条件下でハイブリダイズすることができなければならない。
【0122】
少なくとも1つの二本鎖領域における第1の鎖と第2の鎖との間の相補性は、いずれの鎖にもヌクレオチドミスマッチまたは付加/欠失ヌクレオチドが存在しない点で完全でありうる。あるいは、相補性は完全ではなくてもよい。相補性は、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%または95%でありうる。
【0123】
第1の鎖および第2の鎖はそれぞれ、3個までのヌクレオチドだけが異なる少なくとも15個の連続したヌクレオチドを含む相補性の領域をそれぞれ含むことができる。
【0124】
本明細書中で使用される「オーバーハング」は、当技術分野における通常のおよび慣習的な意味、すなわち、二本鎖核酸中の相補鎖の末端ヌクレオチドを超えて伸びる核酸の一本鎖部分という意味を有する。用語「平滑末端」は、末端ヌクレオチドが塩基対を形成しているかどうかにかかわらず、両方の鎖が同じ位置で終結する二本鎖核酸を含む。平滑末端における第1の鎖および第2の鎖の末端ヌクレオチドは、塩基対を形成していてもよい。平滑末端における第1の鎖および第2の鎖の末端ヌクレオチドは、塩基対を形成していなくてもよい。平滑末端における第1の鎖および第2の鎖の末端の2つのヌクレオチドは、塩基対を形成していてもよい。平滑末端における第1の鎖および第2の鎖の末端の2つのヌクレオチドは、塩基対を形成していなくてもよい。
【0125】
核酸は、一端にオーバーハングを有し、他端に平滑末端を有しうる。核酸は、両端にオーバーハングを有していてもよい。核酸は、両端で平滑末端になっていてもよい。核酸は、第1の鎖の5’末端および第2の鎖の3’末端を有する末端で平滑末端になっていてもよいし、または第1の鎖の3’末端および第2の鎖の5’末端を有する末端で平滑末端になっていてもよい。
【0126】
核酸は、3’末端または5’末端にオーバーハングを含みうる。核酸は、第1の鎖上に3’オーバーハングを有しうる。核酸は、第2の鎖上に3’オーバーハングを有しうる。核酸は、第1の鎖上に5’オーバーハングを有しうる。核酸は、第2の鎖上に5’オーバーハングを有しうる。核酸は、第1の鎖の5’末端および3’末端の両方にオーバーハングを有しうる。核酸は、第2の鎖の5’末端および3’末端の両方にオーバーハングを有しうる。核酸は、第1の鎖上に5’オーバーハングを有し、第2の鎖上に3’オーバーハングを有しうる。核酸は、第1の鎖上に3’オーバーハングを有し、第2の鎖上に5’オーバーハングを有しうる。核酸は、第1の鎖上に3’オーバーハングを有し、第2の鎖上に3’オーバーハングを有しうる。核酸は、第1の鎖上に5’オーバーハングを有し、第2の鎖上に5’オーバーハングを有しうる。
【0127】
第2の鎖または第1の鎖の3’末端または5’末端のオーバーハングは、1、2、3、4および5ヌクレオチドの長さからなるものから選択することができる。必要に応じて、オーバーハングは、1個または2個のヌクレオチドからなっていてもよく、修飾されていてもいなくてもよい。
【0128】
未修飾ポリヌクレオチド、特にリボヌクレオチドは、細胞ヌクレアーゼによる分解を受けやすい可能性があり、したがって、修飾/修飾ヌクレオチドは本発明の核酸に含まれうる。
【0129】
本発明の核酸の第2の鎖および/または第1の鎖上の1つまたは複数のヌクレオチドは修飾されていてもよい。
【0130】
本発明の核酸の修飾は、一般に、天然RNA分子に固有のインビトロおよびインビボでの安定性およびバイオアベイラビリティを含むが、これに限定されない潜在的な限界を克服する強力なツールを提供する。本発明による核酸は、化学修飾によって修飾されうる。修飾された核酸はまた、ヒトにおいてインターフェロン活性を誘導する可能性を最小にすることもできる。修飾は、標的細胞への核酸の機能的送達をさらに増強することができる。本発明の修飾された核酸は、第1の鎖または第2の鎖のいずれかまたは両方の1つ以上の化学的に修飾されたリボヌクレオチドを含みうる。リボヌクレオチドは、塩基部分、糖部分またはリン酸部分の化学修飾を含みうる。リボ核酸は、核酸または塩基の類似体による置換または挿入によって修飾されうる。
【0131】
本発明の核酸の1つ以上のヌクレオチドは修飾されていてもよい。核酸は、少なくとも1つの修飾されたヌクレオチドを含みうる。修飾されたヌクレオチドは、第1の鎖上に存在しうる。修飾されたヌクレオチドは、第2の鎖に存在しうる。修飾されたヌクレオチドは、二本鎖領域内にあってもよい。修飾されたヌクレオチドは、二本鎖領域の外側、すなわち一本鎖領域内にあってもよい。修飾されたヌクレオチドは、第1の鎖上にあって、二本鎖領域の外側にあってもよい。修飾されたヌクレオチドは、第2の鎖上にあって、二本鎖領域の外側にあってもよい。第1の鎖の3’末端ヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであってもよい。第2の鎖の3’末端ヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであってもよい。第1の鎖の5’末端ヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであってもよい。第2の鎖の5’末端ヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであってもよい。
【0132】
本発明の核酸は、1個の修飾されたヌクレオチドを有していてもよく、または本発明の核酸は約2~4個の修飾されたヌクレオチドを有していてもよく、または核酸は約4~6個の修飾されたヌクレオチド、約8~10個の修飾ヌクレオチド、約12~14個の修飾ヌクレオチド、約14~16個の修飾ヌクレオチド、約16~18個の修飾ヌクレオチド、約18~20個の修飾ヌクレオチド、約20~22個の修飾ヌクレオチド、約22~24個の修飾ヌクレオチド、約24~26個の修飾ヌクレオチドまたは約26~28個の修飾ヌクレオチドを有していてもよい。それぞれの場合において、前記修飾ヌクレオチドを含む核酸は、前記修飾ヌクレオチドを含まない同じ核酸と比較して少なくとも50%のその活性を保持する。当該核酸は、前記修飾ヌクレオチドを含まない同じ核酸と比較して55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%もしくは100%またはそれよりも多いその活性を保持しうる。
【0133】
修飾されたヌクレオチドは、プリンまたはピリミジンでありうる。プリンの少なくとも半分が修飾されていてもよい。ピリミジンの少なくとも半分が修飾されていてもよい。全てのプリンが修飾されていてもよい。全てのピリミジンが修飾されていてもよい。修飾されたヌクレオチドは、3’末端デオキシチミン(dT)ヌクレオチド、2’Oメチル修飾ヌクレオチド、2’修飾ヌクレオチド、2’デオキシ修飾ヌクレオチド、ロックドヌクレオチド、無塩基ヌクレオチド、2’アミノ修飾ヌクレオチド、2’アルキル修飾ヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ホスホルアミデート、ヌクレオチドを含む非天然塩基、5’-ホスホロチオエート基を含むヌクレオチド、5’リン酸基または5’リン酸基模倣体を含むヌクレオチド、およびコレステリル誘導体またはドデカン酸ビスデシルアミド基に連結された末端ヌクレオチドからなる群から選択されうる。
【0134】
この核酸は、修飾ヌクレオチドを含むヌクレオチドを含むことができ、この際、塩基は、2-アミノアデノシン、2,6-ジアミノプリン、イノシン、ピリジン-4-オン、ピリジン-2-オン、フェニル、シュードウラシル、2,4,6-トリメトキシベンゼン、3-メチルウラシル、ジヒドロウリジン、ナフチル、アミノフェニル、5-アルキルシチジン(例えば、5-メチルシチジン)、5-アルキルウリジン(例えば、リボチミジン)、5-ハロウリジン(例えば、5-ブロモウリジン)、6-アザピリミジン、6-アルキルピリミジン(例えば、6-メチルウリジン)、プロピン、キューオシン、2-チオウリジン、4-チオウリジン、ワイブトシン、ワイブトキソシン、4-アセチルシチジン、5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウリジン、5’-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウリジン、β-D-ガラクトシルキューオシン、1-メチルアデノシン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアノシン、3-メチルシチジン、2-メチルアデノシン、2-メチルグアノシン、N6-メチルアデノシン、7-メチルグアノシン、5-メトキシアミノメチル-2-チオウリジン、5-メチルアミノメチルウリジン、5-メチルカルボニルメチルウリジン、5-メチルオキシウリジン、5-メチル-2-チオウリジン、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデノシン、β-D-マンノシルキューオシン、ウリジン-5-オキシ酢酸および2-チオシチジンから選択される。
【0135】
本明細書で論じる核酸は、非修飾RNAのほか、例えば有効性を改善するために修飾されたRNA、およびヌクレオシド代用物のポリマーを含む。非修飾RNAは、核酸の成分、すなわち糖、塩基、およびリン酸部分が、天然に存在するものと同じまたは実質的に同じである(例えば、人体において自然に生じる)分子を指す。本明細書で使用される修飾ヌクレオチドは、核酸の1つ以上の成分、すなわち糖、塩基およびリン酸部分が天然に存在するものと異なるヌクレオチドを指す。それらは修飾ヌクレオチドと呼ばれるが、修飾のために、もちろんヌクレオチドではない分子、例えばリボホスエフェート骨格が鎖間のハイブリダイゼーションを可能にする非リボホスフェート構造で置換された(すなわち、修飾ヌクレオチドがリボホスフェート骨格を模倣している)ポリヌクレオチド分子を含む。
【0136】
核酸内で生じる以下に記載される修飾の多くは、ポリヌクレオチド分子内で、例えば、塩基、リン酸部分、またはリン酸部分の非結合Oの修飾のように繰り返される。場合によっては、ポリヌクレオチド中の可能な全ての位置/ヌクレオチドにおいて修飾が起こるが、多くの場合、そうではない。修飾は、3’または5’末端位置でのみなされてもよく、末端ヌクレオチド上の位置または鎖の最後の2、3、4、5または10ヌクレオチドなどの末端領域でのみなされてもよい。修飾は、二本鎖領域、一本鎖領域、またはその両方において生じうる。修飾は、本発明の核酸の二本鎖領域でのみなされてもよく、または本発明の核酸の一本鎖領域でのみなされてもよい。非連結O位でのホスホロチオエート修飾は、一方または両方の末端でのみなされうるが、末端領域、例えば末端ヌクレオチド上の位置または鎖の最後の2、3、4または5ヌクレオチドの位置でのみなされてもよく、二本鎖領域および/または一本鎖領域の特に末端でなされてもよい。5’末端または3’末端はリン酸化されていてもよい。
【0137】
本発明の核酸の安定性は、オーバーハングに特定の塩基を含ませるか、または修飾されたヌクレオチドを一本鎖オーバーハング、例えば5’もしくは3’オーバーハング、またはその両方に含ませることによって増加させることができる。プリンヌクレオチドがオーバーハングに含まれてもよい。3’または5’オーバーハングの塩基のすべてまたは一部を修飾してもよい。修飾は、リボース糖の2’OH基における修飾の使用、リボヌクレオチドの代わりのデオキシリボヌクレオチドの使用、およびホスホチオエート修飾などのリン酸基の修飾を含むことができる。オーバーハングは、標的配列と相同である必要はない。
【0138】
ヌクレアーゼは、核酸のホスホジエステル結合を加水分解することができる。しかしながら、核酸への化学修飾は、改善された特性を付与することができ、オリゴリボヌクレオチドをヌクレアーゼに対してより安定にすることができる。
【0139】
本明細書中で使用される場合、修飾された核酸は、以下の1つ以上を含みうる:
(i)非結合のリン酸基酸素および/または1つ以上の結合リン酸基酸素の一方または双方の改変(例えば、置換)(本発明の核酸の5’末端および3’末端に存在していても結合と称する);
(ii)リボース糖の構成成分(例えば、リボース糖上の2’ヒドロキシル)の改変(例えば、置換);
(iii)リン酸部分の「脱リン」リンカーによる置換;
(iv)天然に存在する塩基の修飾または置換;
(v)リボース-リン酸骨格の置換または修飾;
(vi)RNAの3’末端または5’末端の修飾(例えば、末端リン酸基の除去、修飾もしくは置換、またはRNAの3’末端または5’末端のいずれかへの蛍光標識された部分の共役)。
【0140】
置換、修飾、改変という用語は、天然に存在する分子との差異を示す。
【0141】
特定の改変については、以下でより詳細に説明する。
【0142】
修飾リン酸基の例としては、ホスホロチオエート、ホスホロセレネート、ボラノホスフェート、ボラノリン酸エステル、水素ホスホネート、ホスホロアミデート、アルキルまたはアリールホスホネートおよびホスホトリエステルが挙げられる。ホスホロジチオエートは、非結合酸素の両方が硫黄で置換されている。リン酸基中の1つ、それぞれまたは両方の非結合酸素は、それぞれ独立して、S、Se、B、C、H、NまたはOR(Rはアルキルまたはアリールである)のいずれか1つでありうる。
【0143】
ホスフェートリンカーは、結合酸素を窒素(架橋ホスホロアミデート)、硫黄(架橋ホスホロチオエート)および炭素(架橋メチレンホスホネート)で置換することによって修飾することもできる。置換は末端酸素でなされてもよい。非結合酸素は窒素によって置換されてもよい。
【0144】
修飾されたヌクレオチドは、糖基の修飾を含むことができる。2’ヒドロキシル基(OH)は、多くの異なる「オキシ」または「デオキシ」置換基で修飾または置換されうる。
【0145】
「オキシ」-2’ヒドロキシル基修飾の例としては、アルコキシまたはアリールオキシ(OR、例えばR=H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールまたは糖);ポリエチレングリコール(PEG)、O(CHCHO)CHCHOR;2’ヒドロキシルが、例えばメチレン架橋によって、同じリボース糖の4’炭素に結合している「ロックド」核酸(LNA);O-AMINE(AMINE=NH;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、またはジヘテロアリールアミノ、エチレンジアミン、ポリアミノ)およびアミノアルコキシ、O(CHAMINE(例えば、AMINE=NH;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、またはジヘテロアリールアミノ、エチレンジアミン、ポリアミノ)が挙げられる。
【0146】
「デオキシ」修飾としては、水素ハロ;アミノ(例えば、NH;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、またはアミノ酸);NH(CHCHNH)CHCH-AMINE(AMINE=NH;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノまたはジヘテロアリールアミノ)、-NHC(O)R(R=アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールまたは糖)、シアノ;メルカプト;アルキル-チオ-アルキル;チオアルコキシ;並びに、例えばアミノ官能基で任意に置換されていてもよいアルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニルおよびアルキニルが挙げられる。特定の実施形態の他の置換基としては、2’-メトキシエチル、2’-OCH,2’-O-アリル、2’-C-アリルおよび2’-フルオロが挙げられる。
【0147】
糖基はまた、リボース中の対応する炭素とは反対の立体化学配置を有する1つ以上の炭素を含むことができる。したがって、修飾されたヌクレオチドは、アラビノースなどの糖を含みうる。
【0148】
修飾されたヌクレオチドはまた、C-I’において核酸塩基を欠いている「無塩基」糖を含むことができる。これらの無塩基糖は、構成糖原子の1つ以上の修飾をさらに含むことができる。
【0149】
2’修飾は、1つ以上のホスフェートリンカー修飾(例えば、ホスホロチオエート)と組み合わせて使用されうる。
【0150】
リン酸基は、非リン含有連結基で置き換えることができる。
【0151】
リン酸基を置換することができる部分の例としては、シロキサン、カーボネート、カルボキシメチル、カルバメート、アミド、チオエーテル、エチレンオキシドリンカー、スルホネート、スルホンアミド、チオホルムアセタール、ホルムアセタール、オキシム、メチレンイミノ、メチレンメチルイミノ、メチレンヒドラゾ、メチレンジメチルヒドラゾおよびメチレンオキシメチルイミノが挙げられる。特定の実施形態において、置換は、メチレンカルボニルアミノ基およびメチレンメチルイミノ基を含みうる。
【0152】
リン酸リンカーおよびリボース糖は、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドで置き換えられてもよい。
【0153】
例としては、モフィリノ、シクロブチル、ピロリジンおよびペプチド核酸(PNA)ヌクレオシド代用物が挙げられる。特定の実施形態では、PNA代用物を使用することができる。
【0154】
オリゴヌクレオチドの3’末端および5’末端は修飾することができる。そのような修飾は、分子の3’末端または5’末端または両端に存在し得る。これらは、末端リン酸基全体またはリン酸基の1つ以上の原子の修飾または置換を含むことができる。例えば、オリゴヌクレオチドの3’および5’末端は、例えばフルオロフォア(例えば、ピレン、TAMRA、フルオレセイン、Cy3色素もしくはCy5色素)などの標識部分、または保護基(例えば、硫黄、ケイ素、ホウ素またはエステルに基づく)のような他の機能的分子体に結合させることができる。この機能的分子体は、リン酸基および/またはリンカーを介して糖に結合することができる。リンカーの末端原子は、リン酸基または糖のC-3’またはC-5’O、N、SもしくはC基の連結原子に連結または置換することができる。あるいは、リンカーは、ヌクレオチド代用物(例えば、PNA)の末端原子に接続するか、または置換することができる。これらのスペーサーまたはリンカーは、例えば、-(CH)N-、-(CHN-、-(CHO-、-(CHS-、O(CHCHO)CHCHOH(例えば、n=3または6)、無塩基糖、アミド、カルボキシ、アミン、オキシアミン、オキシイミン、チオエーテル、ジスルフィド、チオ尿素、スルホンアミド、もしくはモルホリノ、またはビオチンおよびフルオレセイン試薬を含みうる。3’末端は-OH基であってもよい。
【0155】
末端修飾の他の例としては、色素、インターカレート剤(例えば、アクリジン類)、架橋剤(例えば、ソラレン、マイトマイシンC)、ポルフィリン類(TPPC4、テキサフィリン、サフィリン)、多環芳香族炭化水素類(例えば、フェナジン、ジヒドロフェナジン)、人工エンドヌクレアーゼ類(例えば、EDTA)、親油性担体(例えば、コレステロール、コール酸、アダマンタン酢酸、1-ピレン酪酸、ジヒドロテストステロン、1,3-ビス-O(ヘキサデシル)グリセロール、ゲラニルオキシヘキシル基、ヘキサデシルグリセロール、ボルネオール、メントール、1,3-プロパンジオール、ヘプタデシル基、パルミチン酸、ミリスチン酸、O3-(オレオイル)リトコール酸、O3-(オレオイル)コレン酸、ジメトキシトリチル、またはフェノキサジン)およびペプチド共役体(例えば、アンテナペディアペプチド、Tatペプチド)、アルキル化剤、ホスフェート、アミノ、メルカプト、PEG(例えば、PEG-40K)、MPEG、[MPEG]2、ポリアミノ、アルキル、置換アルキル、放射性標識マーカー、酵素、ハプテン(例えば、ビオチン)、輸送/吸収促進剤(例えば、アスピリン、ビタミンE、葉酸)、合成リボヌクレアーゼ(例えば、イミダゾール、ビスイミダゾール、ヒスタミン、イミダゾールクラスター、アクリジン-イミダゾール共役体、テトラアザマクロサイクルのEu3+錯体)が挙げられる。
【0156】
活性を調節する、または分解に対する耐性を調節するなどの多くの理由で末端修飾を加えることができる。活性の調節に有用な末端修飾には、リン酸またはリン酸類似体による5’末端の修飾がある。本発明の核酸は、第一鎖または第二鎖上で5’リン酸化されていてもよく、または5’プライム末端にホスホリル類似体を含んでいてもよい。5’-リン酸修飾としては、RISC媒介性の遺伝子サイレンシングに適合性のものが挙げられる。適切な修飾としては、5’-モノホスフェート((HO)2(O)P-O-5’);5’-ジホスフェート((HO)2(O)P-O-P(HO)(O)-O-5’);5’-トリホスフェート((HO)2(O)P-O-(HO)(O)P-O-P(HO)(O)-O-5’);5’-グアノシンキャップ(7-メチル化または非メチル化)(7m-G-O-5’-(HO)(O)P-O-(HO)(O)P-O-P(HO)(O)-O-5’);5’-アデノシンキャップ(Appp)、および任意の修飾または非修飾ヌクレオチドキャップ構造(N-O-5’-(HO)(O)P-O-(HO)(O)P-O-P(HO)(O)-O-5’);5’-モノチオホスフェート(ホスホロチオエート;(HO)2(S)P-O-5’);5’-モノジチオホスフェート(ホスホロジチオエート;(HO)(HS)(S)P-O-5’)、5’-ホスホロチオエート((HO)2(O)P-S-5’);酸素/硫黄の任意の追加の組み合わせで置換されたモノホスフェート、ジホスフェートおよびトリホスフェート(例えば、5’-α-チオトリホスフェート、5’-γ-チオトリホスフェートなど)、5’-ホスホルアミダイト類((HO)2(O)P-NH-5’、(HO)(NH2)(O)P-O-5’)、5’-アルキルホストネート類(R=アルキル=メチル、エチル、イソプロピル、プロピルなど、例えば、RP(OH)(O)-O-5’-、(OH)2(O)P-5’-CH2-)、5’-ビニルホスホネート、5’-アルキルエーテルホスホネート類(R=アルキルエーテル=メトキシメチル(MeOCH2-)、エトキシメチルなど、例えば、RP(OH)(O)-O-5’-)が挙げられる。
【0157】
本発明の核酸は、第1および/または第2の鎖の1つまたは複数の末端に1つまたは複数のホスホロチオエート修飾を含むことができる。必要に応じて、第1の鎖のそれぞれまたはいずれかの末端は、1または2または3個のホスホロチオエート修飾ヌクレオチドを含み得る。必要に応じて、第2の鎖のそれぞれまたはいずれかの末端は、1または2または3個のホスホロチオエート修飾ヌクレオチドを含み得る。必要に応じて、第1の鎖の両端および第2の鎖の5’末端は、2つのホスホロチオエート修飾ヌクレオチドを含み得る。ホスホロチオエート修飾ヌクレオチドとは、ヌクレオチドと隣接ヌクレオチドとの間の結合が、標準的なリン酸基ではなくホスホロチオエート基を含むことを意味する。
【0158】
末端修飾は、分布のモニタリングにも有用である可能性があり、そのような場合、添加される基としては、フルオロフォア、例えばフルオルセインまたはAlexa色素が挙げられる。末端修飾はまた、取り込みを増強するために有用である可能性があり、これに対する有用な修飾としては、コレステロールが挙げられる。末端修飾はまた、RNA因子を別の部分に架橋するのにも有用であり得る。
【0159】
アデニン、グアニン、シトシンおよびウラシルは、RNA中に見出される最も一般的な塩基である。これらの塩基は、改良された特性を有するRNAを提供するために修飾または置換することができる。例えば、ヌクレアーゼ耐性オリゴリボヌクレオチドは、これらの塩基または合成および天然の核酸塩基(例えば、イノシン、チミン、キサンチン、ヒポキサンチン、ヌブラリン、イソグアニシンまたはツベルシジン)および上記修飾のいずれかを用いて調製することができる。あるいは、上記塩基のいずれかの置換または修飾類似体および「ユニバーサル塩基」を使用することができる。例としては、2-アミノアデニン、アデニンおよびグアニンの6-メチルおよび他のアルキル誘導体、アデニンおよびグアニンの2-プロピルおよび他のアルキル誘導体、5-ハロウラシルおよびシトシン、5-プロピニルウラシルおよびシトシン、6-アゾウラシル、シトシンおよびチミン、5-ウラシル(シュードウラシル)、4-チオウラシル、5-ハロウラシル、5-(2-アミノプロピル)ウラシル、5-アミノアリルウラシル、8-ハロ、アミノ、チオール、チオアルキル、ヒドロキシルおよび他の8-置換アデニン類およびグアニン類、5-トリフルオロメチルおよび他の5-置換ウラシル類およびシトシン類、7-メチルグアニン、5-置換ピリミジン類、6-アザピリミジン類およびN-2、N-6およびO-6置換プリン類が挙げられ、2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシルおよび5-プロピニルシトシン、ジヒドロウラシル、3-デアザ-5-アザシトシン、2-アミノプリン、5-アルキルウラシル、7-アルキルグアニン、5-アルキルシトシン、7-デアザアデニン、N6、N6-ジメチルアデニン、2,6-ジアミノプリン、5-アミノアリルウラシル、N3-メチルウラシル、置換1,2,4-トリアゾール類、2-ピリジノン類、5-ニトロインドール、3-ニトロインドール、5-メトキシウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸、5-メトキシカルボニルメチルウラシル、5-メチル-2-チオウラシル、5-メトキシカルボニルメチル-2-チオウラシル、5-メチルアミノメチル-2-チオウラシル、3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)ウラシル、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N<4>-アセチルシトシン、2-チオシトシン、N6-メチルアアデニン、N6-イソペンチルアデニン、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン、N-メチルグアニン類、またはO-アルキル化塩基がある。
【0160】
本明細書で使用する場合、用語「非対合ヌクレオチド類似体」は、非塩基対合部分を含むヌクレオチド類似体を意味し、以下のものが挙げられるがこれに限定されない:6デスアミノアデノシン(ネブラリン)、4-Meインドール、3-ニトロピロール、5-ニトロインドール、Ds、Pa、N3-MeリボU、N3-MeリボT、N3-Me-dC、N3-Me-dT、N1-Me-dG、N1-Me-dA、N3-エチル-dC、N3-Me dC。いくつかの実施形態では、非塩基対形成ヌクレオチド類似体はリボヌクレオチドである。他の実施形態では、デオキシリボヌクレオチドである。
【0161】
本明細書で使用される場合、用語「末端官能基」には、ハロゲン、アルコール、アミン、カルボン酸、エステル、アミド、アルデヒド、ケトン、エーテル基が含まれるが、これらに限定されない。
【0162】
特定の部分が第1の鎖または第2の鎖の5’末端に連結されてもよく、無塩基リボース部分、無塩基デオキシリボース部分、2’Oアルキル修飾などの修飾無塩基リボースおよび修飾無塩基デオキシリボース部分;逆位無塩基性リボースおよび逆位無塩基デオキシリボース部分並びにその修飾体、C6-イミノ-Pi;L-DNAおよびL-RNAなどのミラーヌクレオチド;5’OMeヌクレオチド;および4’,5’-メチレンヌクレオチドなどのヌクレオチド類似体;1-(β-D-エリスロフラノシル)ヌクレオチド;4’-チオヌクレオチド、炭素環式ヌクレオチド;5’-アミノ-アルキルホスフェート;1,3-ジアミノ-2-プロピルホスフェート、3-アミノプロピルホスフェート、6-アミノヘキシルホスフェート;12-アミノドデシルホスフェート;ヒドロキシプロピルホスフェート;1,5-アンヒドロヘキシトールヌクレオチド;α-ヌクレオチド;トレオ-ペントフラノシルヌクレオチド;非環状3’,4’-セコヌクレオチド;3,4-ジヒドロキシブチルヌクレオチド;3,5-ジヒドロキシペンチルヌクレオチド、5’-5’-逆位無塩基部分;1,4-ブタンジオールホスフェート;5’-アミノ;ブリッジングまたは非ブリッジングメチルホスホネートおよび5’-メルカプト部分が挙げられる。
【0163】
本発明の核酸は、1つ以上の逆位ヌクレオチド、例えば逆位チミジンまたは逆位アデニンを含み得る(例えば、Takeiら、2002.JBC277(26):23800-06を参照のこと)。
【0164】
本明細書で使用される場合、遺伝子発現に関して「阻害する」、「ダウンレギュレートする」、または「低減する」という用語は、遺伝子の発現、または1つ以上のタンパク質もしくはタンパク質サブユニットをコードするRNA分子もしくは等価RNA分子(例えば、mRNA)のレベルの発現が、あるいは、は1つまたは複数のタンパク質またはタンパク質サブユニットの活性が、本発明の核酸の非存在下で観察されるものよりも低減されていることを意味し、例えば、発現は、阻害剤の非存在下で観察されるものより90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%以下まで低減され得る。
【0165】
本発明の核酸は、無塩基ヌクレオチドを含んでいてもよい。本明細書で使用される場合、「無塩基」という用語は、塩基を欠いているか、または1’位に塩基の代わりに他の化学基を有する部分、例えば3’,3’-結合または5’,5’-結合デオキシ無塩基リボース誘導体を意味する。
【0166】
核酸は、修飾された第2および/または第1の鎖上の1つ以上のヌクレオチドを含み得る。交互のヌクレオチドを修飾して修飾ヌクレオチドを形成することができる。
【0167】
本明細書に記載されている「交互に」とは、規則的な方法で次々に起こることを意味する。言い換えれば、交互に繰り返すということは、繰り返して起こることを意味する。例えば、1つのヌクレオチドが修飾されている場合、次の連続したヌクレオチドは修飾されず、続く連続したヌクレオチドは修飾され、以下同様である。1つのヌクレオチドを第1の修飾で修飾し、次の隣接するヌクレオチドを第2の修飾で修飾し、次の連続ヌクレオチドを第1の修飾で修飾し、以下同様であるが、この際、第1および第2の修飾は異なる。
【0168】
本発明の核酸の第1の鎖の奇数番目のヌクレオチドの1つ以上が修飾されていてもよく、この際、第1の鎖は5’から3’へと番号が付けられる。本明細書に記載の「奇数番号」という用語は、2で割り切れない数を意味する。奇数の例は、1、3、5、7、9、11などである。本発明の核酸の第1の鎖の偶数番目のヌクレオチドの1つ以上が修飾されていてもよく、この際、第1の鎖は5’から3’へと番号が付けられる。本明細書に記載の「偶数番号」という用語は、2で割り切れる数を意味する。偶数の例は、2、4、6、8、10、12、14などである。本発明の核酸の第2の鎖の奇数番目のヌクレオチドの1つ以上が修飾されていてもよく、この際、第2の鎖は3’から5’へと番号が付けられる。本発明の核酸の第2の鎖の偶数番号のヌクレオチドの1つ以上が修飾されていてもよく、この際、第2の鎖は3’から5’へと番号が付けられる。
【0169】
第1および/または第2の鎖上の1つまたは複数のヌクレオチドを修飾して修飾ヌクレオチドを形成することができる。第1の鎖の奇数番目のヌクレオチドの1つ以上を修飾することができる。第1の鎖の偶数番号のヌクレオチドの1つ以上は、少なくとも第2の修飾によって修飾することができ、この際、少なくとも第2の修飾は1つ以上の偶数番目のヌクレオチドの修飾とは異なる。1つ以上の修飾偶数ヌクレオチドの少なくとも1つは、1つ以上の修飾奇数ヌクレオチドの少なくとも1つに隣接していてもよい。
【0170】
本発明の核酸においては、第1の鎖中の複数の奇数番号のヌクレオチドが修飾されていてもよい。第1の鎖中の複数の偶数番号のヌクレオチドは、第2の修飾によって修飾されていてもよい。第1の鎖は、共通の修飾によって改変された隣接するヌクレオチドを含むことができる。第1の鎖はまた、第2の異なる修飾によって改変された隣接するヌクレオチドを含んでもよい。
【0171】
第2の鎖の奇数番目のヌクレオチドの1つ以上は、第1の鎖の奇数番目のヌクレオチドの修飾とは異なる修飾によって修飾されてもよく、および/または、第2の鎖の偶数番目のヌクレオチドの1つ以上は、第1の鎖の奇数番目のヌクレオチドと同じ修飾によって修飾されてもよい。第2の鎖の1つ以上の修飾された偶数のヌクレオチドの少なくとも1つは、1つ以上の修飾された奇数番目のヌクレオチドに隣接していてもよい。第2の鎖の複数の奇数番目のヌクレオチドは共通の修飾によって修飾されてもよく、および/または、複数の偶数番目のヌクレオチドが第1の鎖の奇数番目のヌクレオチドに存在するのと同じ修飾によって修飾されてもよい。第2の鎖上の複数の奇数番号のヌクレオチドは、第2の修飾によって修飾することができ、この際、第2の修飾は第1の鎖の奇数番号のヌクレオチドの修飾とは異なる。
【0172】
第2の鎖は、第1の鎖の奇数番目のヌクレオチドの修飾とは異なる第2の修飾であり得る共通の修飾によって修飾される隣接するヌクレオチドを含み得る。
【0173】
本発明の核酸において、第1の鎖の奇数番目のヌクレオチドのそれぞれ、および第2の鎖の偶数番目のヌクレオチドのそれぞれは、共通の修飾で修飾されてもよく、偶数番目のヌクレオチドのそれぞれは、第2の修飾を伴って第1の鎖において改変されてもよく、奇数番目のヌクレオチドのそれぞれは、第2の修飾を伴って第2の鎖において改変されてもよい。
【0174】
本発明の核酸は、第2の鎖の未修飾のまたは異なる修飾がなされたヌクレオチドに対して少なくとも1つのヌクレオチドだけシフトさせた、第1の鎖の修飾されたヌクレオチドを有してもよい。
【0175】
第1の鎖において奇数番号のヌクレオチドの1つ以上またはそれぞれを修飾し、第2の鎖において偶数番号のヌクレオチドの1つ以上またはそれぞれを修飾することができる。いずれかまたは両方の鎖上の1つ以上またはそれぞれの交互のヌクレオチドは、第2の修飾によって改変され得る。第1の鎖において偶数番号のヌクレオチドの1つ以上またはそれぞれを修飾し、第2の鎖において偶数番号のヌクレオチドの1つ以上またはそれぞれを修飾することができる。いずれかまたは両方の鎖上の1つ以上またはそれぞれの交互のヌクレオチドは、第2の改変によって改変され得る。第1の鎖において奇数番号のヌクレオチドの1つ以上またはそれぞれを修飾し、奇第2の鎖において偶数番号のヌクレオチドの1つ以上を共通の修飾によって修飾することができる。いずれかまたは両方の鎖上の1つ以上またはそれぞれの交互のヌクレオチドは、第2の修飾によって改変され得る。第1の鎖において偶数番号のヌクレオチドの1つ以上またはそれぞれを修飾し、第2の鎖において奇数番号のヌクレオチドの1つまたは複数またはそれぞれを共通の修飾によって修飾することができる。いずれかまたは両方の鎖上の1つ以上のまたはそれぞれの交互のヌクレオチドは、第2の修飾によって改変され得る。
【0176】
第12の態様において、本発明は、上記態様のいずれかによる化合物および適切な担体または賦形剤を含む組成物を提供する。
【0177】
第13の態様において、本発明は、医薬に使用するための第1~第11のいずれかの態様に係る化合物または第12の態様に係る組成物を提供する。
【0178】
化合物または組成物は、肝疾患、遺伝子疾患、血友病および出血障害、肝線維症、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、ウイルス性肝炎、稀少疾患(例えば、末端肥大症)、代謝性疾患(例えば、高コレステロール血症、脂質異常症、高トリグリセリド血症)、心血管疾患、肥満、サラセミア、肝損傷(例えば、薬剤誘発性肝障害)、ヘモクロマトーシス、アルコール性肝疾患、アルコール依存性、貧血、並びに慢性疾患の貧血の治療のためのものであり得る。
【0179】
上記化合物または組成物は、肝疾患、貧血、慢性疾患、サラセミア;薬剤誘発性肝障害、ヘモクロマトーシスおよび慢性疾患の貧血の治療に使用することができる。
【0180】
第14の態様において、本発明は、幹細胞を、第1~第11の態様のいずれかに係る化合物に接触させることを含む、肝細胞への核酸の送達方法を提供する。
【0181】
第15の態様において、本発明は、第1~第11の態様のいずれかに係る式(I)、(II)又は(III)の化合物の製造方法を提供し、当該方法は、各成分を一緒に添加して式(I)、(II)又は(III)の化合物を形成することを含む。
【0182】
以下の構造の基本要素が、この製造方法において用いられ得る。
【0183】
【化25】
【0184】
【化26】
【0185】
RNAの修飾
本発明のsiRNA分子の修飾は、一般に、天然RNA分子に内在するインビトロおよびインビボでの安定性およびバイオアベイラビリティを含むがこれに限定されない潜在的な限界を克服する強力なツールを提供する。本発明によるsiRNAは、化学修飾によって修飾することができる。修飾されたsiRNAはまた、ヒトにおけるインターフェロン活性の活性化の可能性を最小化することができる。修飾は、標的細胞へのsiRNAの機能的送達をさらに増強することができる。本発明の修飾siRNAは、アンチセンス鎖またはセンス鎖のいずれかまたは両方の1つ以上の化学的に修飾されたリボヌクレオチドを含み得る。リボヌクレオチドは、塩基部分、糖部分またはリン酸部分の化学修飾を含み得る。リボ核酸は、核酸または塩基の類似体による置換または挿入によって修飾され得る。
【0186】
本発明のsiRNAの1つ以上のヌクレオチドは、修飾された塩基を含むことができる。一態様では、siRNAは、修飾塩基を含む少なくとも1つのヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖上の修飾塩基である。別の実施形態では、センス鎖上の修飾塩基である。別の実施形態では、修飾塩基は二本鎖領域にある。別の実施形態では、修飾塩基は二本鎖領域の外側、すなわち一本鎖領域内にある。別の実施形態では、修飾塩基はアンチセンス鎖上にあり、二本鎖領域の外側にある。別の実施形態では、修飾塩基はセンス鎖上にあり、二本鎖領域の外側にある。別の実施形態において、アンチセンス鎖の3’末端ヌクレオチドが、修飾塩基を有するヌクレオチドである。別の実施形態では、センス鎖の3’末端ヌクレオチドが、修飾塩基を有するヌクレオチドである。別の実施形態では、アンチセンス鎖の5’末端ヌクレオチドが、修飾塩基を有するヌクレオチドである。別の実施形態では、センス鎖の5’末端ヌクレオチドが、修飾塩基を有するヌクレオチドである。
【0187】
一実施形態では、siRNAは1個の修飾塩基を有することができる。別の実施形態において、siRNAは、約2~4個の修飾塩基を有し得る。別の実施形態では、siRNAは、約4~6の修飾塩基を有する。他の実施形態では、siRNAは約6~8の修飾塩基を有する。別の実施形態において、siRNAは、約8~10の修飾塩基を有する。別の実施形態では、siRNAは約10~12の修飾塩基を有する。別の実施形態では、siRNAは、約12~14の修飾塩基を有する。別の実施形態では、siRNAは、約14~16の修飾塩基を有する。別の実施形態では、siRNAは約16~18の修飾塩基を有する。別の実施形態では、siRNAは約18~20の修飾塩基を有する。別の実施形態では、siRNAは、約20~22個の修飾塩基を有する。別の実施形態では、siRNAは約22~24個の修飾塩基を有する。別の実施形態では、siRNAは、約24~26個の修飾塩基を有する。別の実施形態において、siRNAは約26~28個の修飾塩基を有する。各場合において、前記修飾塩基を含むsiRNAは、前記修飾塩基を含まない同じsiRNAと比較して、少なくとも50%の活性を保持する。
【0188】
修飾された塩基は、プリンまたはピリミジンであり得る。別の実施形態では、プリンの少なくとも半分が改変される。別の実施形態では、ピリミジンの少なくとも半分が改変される。別の実施形態において、プリンの全てが改変される。別の実施形態において、ピリミジンの全てが改変される。別の実施形態において、siRNAは、修飾塩基を含むヌクレオチドを含んでいてもよく、この際、当該塩基は、2-アミノアデノシン、2,6-ジアミノプリン、イノシン、ピリジン-4-オン、ピリジン-2-オン、フェニル、シュードウラシル、2、4,6-トリメトキシベンゼン、3-メチルウラシル、ジヒドロウリジン、ナフチル、アミノフェニル、5-アルキルシチジン(例えば、5-メチルシチジン)、5-アルキルウリジン(例えば、リボチミジン)、5-ハロウリジン(例えば、5-ブロモウリジン)、6-アザピリミジン、6-アルキルピリミジン(例えば、6-メチルウリジン)、プロピン、クエオシン、2-チオウリジン、4-チオウリジン、ウィブトシン、ウィブトキソシン、4-アセチルシチジン、5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウリジン、5’-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウリジン、β-D-ガラクトシルクエオシン、1-メチルアデノシン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアノシン、3-メチルシチジン、2-メチルアデノシン、2-メチルグアノシン、N6-メチルアデノシン、7-メチルグアノシン、5-メトキシアミノメチル-2-チオウリジン、5-メチルアミノメチルウリジン、5-メチルカルボニルメチルウリジン、5-メチルオキシウリジン、5-メチル-2-チオウリジン、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデノシン、β-D-マンノシルクエオシン、ウリジン-5-オキシ酢酸および2-チオシチジンから選択される。
【0189】
別の態様では、本発明のsiRNAは無塩基ヌクレオチドを含む。本明細書で使用される「無塩基」という用語は、塩基を欠いているか、または1’位に塩基の代わりに他の化学基(例えば、3’、3’-結合または5’、5’-結合デオキシ無塩基リボース誘導体)を有する部分を意味する。本明細書中で使用される場合、修飾された塩基を有するヌクレオチドは、無塩基ヌクレオチドを含まない。一態様では、siRNAは、少なくとも1つの無塩基ヌクレオチドを含む。一実施形態では、無塩基ヌクレオチドはアンチセンス鎖上にある。別の実施形態では、無塩基ヌクレオチドはセンス鎖上にある。別の実施形態において、無塩基性ヌクレオチドは二本鎖領域にある。別の実施形態では、無塩基ヌクレオチドは二本鎖領域の外側にある。別の実施形態では、無塩基ヌクレオチドはアンチセンス鎖上にあり、二本鎖領域の外側にある。別の実施形態では、無塩基ヌクレオチドはセンス鎖上にあり、二本鎖領域の外側にある。別の実施形態では、アンチセンス鎖の3’末端ヌクレオチドが無塩基ヌクレオチドである。別の実施形態では、センス鎖の3’末端ヌクレオチドが無塩基ヌクレオチドである。別の実施形態では、アンチセンス鎖の5’末端ヌクレオチドが無塩基ヌクレオチドである。別の実施形態では、センス鎖の5’末端ヌクレオチドが無塩基ヌクレオチドである。別の実施形態では、siRNAは、1,2,3,4,5および6から選択される数の無塩基ヌクレオチドを有する。
【0190】
糖部分への修飾
別の態様は、糖部分の修飾に関する。本発明のsiRNAの1つまたは複数のヌクレオチドは、修飾リボース部分を含み得る。2’-OHが置換されている2’位の修飾としては、アルキル、置換アルキル、アルカリール、アリールアルキル、-F、-Cl、-Br、-CN、-CF、-OCF、-OCN、-O-アルキル、-S-アルキル、HS-アルキル-O、-O-アルケニル、-S-アルケニル、-N-アルケニル、-SO-アルキル、-アルキル-OSH、-アルキル-OH、-O-アルキル-OH、-O-アルキル-SH、-S-アルキル-OH、-S-アルキル-SH、-アルキル-S-アルキル、-アルキル-O-アルキル、-ONO、-NO、-N、-NH、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ-、アミノアルキル-、アミノアルコキシ、アミノ酸、アミノアシル、-ONH、-O-アミノアルキル、-O-アミノ酸、-Oアミノアシル、ヘテロシクロアルキル-、ヘテロシクロアルカリール-、アミノアルキルアミノ-、ポリアルキルアミノ-、置換シリル、メトキシエチル-(MOE)、アルケニルおよびアルキニルから選択される非制限的な例が挙げられる。2’ヒドロキシルが、例えばメチレン架橋によって同じリボース糖の4’炭素に結合している「ロックド」核酸(LNA)は、本発明の2’修飾体としてさらに挙げられる。好ましい置換基は、2’-メトキシエチル、2’-O-CH、2’-O-アリル、2’-C-アリルおよび2’-フルオロである。
【0191】
一実施形態では、siRNAは、1~5の2’修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、siRNAは5~10の2’修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態において、siRNAは、15~20の2’修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態において、siRNAは、20~25の2’修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態において、siRNAは、25~30の2’修飾ヌクレオチドを含む。
【0192】
一実施形態では、siRNAは、1~5の2’-O-CH修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、siRNAは5~10の2’-O-CH修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、siRNAは、15~20個の2’-O-CH修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態において、siRNAは、20~25の2’-O-CH修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態において、siRNAは、25~30の2’-O-CH修飾ヌクレオチドを含む。
【0193】
一実施形態では、siRNA二本鎖領域は、1~5の2’-O-CH修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、siRNA二本鎖領域は、5~10の2’-O-CH修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、siRNA二本鎖領域は、15~20個の2’-O-CH修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、siRNA二本鎖領域は、20~25の2’-O-CH修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、siRNA二本鎖領域は、25~30の2’-O-CH修飾ヌクレオチドを含む。
【0194】
一実施形態では、siRNAは、長さが19ヌクレオチドであるアンチセンス鎖と、長さが19ヌクレオチドであるセンス鎖とを含み、前記アンチセンス鎖がヌクレオチド1,3,5,7,9,11,13,15,17および19に2’-O-CH修飾を含み、前記センス鎖がヌクレオチド2,4,6,8,10,12,14,16および18に2’-O-CH修飾を含み、この際、前記アンチセンス鎖は5’から3’に向けて番号付けられており、前記センス鎖は3’から5’に向けて番号付けされている。別の実施形態では、siRNAは、長さが20ヌクレオチドのアンチセンス鎖と、長さが20ヌクレオチドのセンス鎖とを含み、前記アンチセンス鎖がヌクレオチド1,3,5,7,9,11,13,15,17および19に2’-O-CH修飾を含み、前記センス鎖がヌクレオチド2,4,6,8,10,12,14,16,18および20に2’-O-CH修飾を含み、この際、前記アンチセンス鎖は5’から3’に向けて番号付けられており、前記センス鎖は3’から5’に向けて番号付けされている。
【0195】
別の実施形態では、siRNAは、長さが21ヌクレオチドのアンチセンス鎖と、長さが21ヌクレオチドのセンス鎖とを含み、前記アンチセンス鎖がヌクレオチド1,3,5,7,9,11,13,15,17,19および21に2’-O-CH修飾を含み、前記センス鎖がヌクレオチド2,4,6,8,10,12,14,16,18および20に2’-O-CH修飾を含み、この際、前記アンチセンス鎖は5’から3’に向けて番号付けられており、前記センス鎖は3’から5’に向けて番号付けされている。別の実施形態では、siRNAは、22ヌクレオチドの長さのアンチセンス鎖と、22ヌクレオチドの長さのセンス鎖とを含み、前記アンチセンス鎖がヌクレオチド1,3,5,7,9,11,13、15、17、19および21に2’-O-CH修飾を含み、前記センス鎖がヌクレオチド2,4,6,8,10,12,14,16,18,20および22に2’-O-CH修飾を含み、この際、前記アンチセンス鎖は5’から3’に向けて番号付けられており、前記センス鎖は3’から5’に向けて番号付けされている。別の実施形態では、siRNAは、23ヌクレオチドの長さのアンチセンス鎖と、23ヌクレオチドの長さのセンス鎖とを含み、前記アンチセンス鎖がヌクレオチド1,3,5,7,9,11,13,15、17、19,21および23に2’-O-CH修飾を含み、前記センス鎖がヌクレオチド2,4,6,8,10,12,14,16,18,20および22に2’-O-CH修飾を含み、この際、前記アンチセンス鎖は5’から3’に向けて番号付けられており、前記センス鎖は3’から5’に向けて番号付けされている。
【0196】
別の実施形態では、siRNAは、長さが18~23ヌクレオチドのアンチセンス鎖および長さが18~23ヌクレオチドのセンス鎖を含み、前記アンチセンス鎖がヌクレオチド3,5,7,9,11,13,15および17に2’-O-CH修飾を含み、前記センス鎖がヌクレオチド4,6,8,10,12,14および16に2’-O-CH修飾を含み、この際、前記アンチセンス鎖は5’から3’に向けて番号付けられており、前記センス鎖は3’から5’に向けて番号付けされている。別の実施形態では、siRNAは、長さが18~23ヌクレオチドのアンチセンス鎖および長さが18~23ヌクレオチドのセンス鎖を含み、前記アンチセンス鎖がヌクレオチド5,7,9,11,13および15に2’-O-CH修飾を含み、前記センス鎖がヌクレオチド6,8,10,12および14に2’-O-CH修飾を含み、この際、前記アンチセンス鎖は5’から3’に向けて番号付けられており、前記センス鎖は3’から5’に向けて番号付けされている。別の実施形態では、siRNAは、長さが18~23ヌクレオチドのアンチセンス鎖および長さが18~23ヌクレオチドのセンス鎖を含み、前記アンチセンス鎖がヌクレオチド7,9,11および13に2’-O-CH修飾を含み、前記センス鎖がヌクレオチド10および12に2’-O-CH修飾を含み、この際、前記アンチセンス鎖は5’から3’に向けて番号付けられており、前記センス鎖は3’から5’に向けて番号付けされている。別の実施形態では、siRNAは、長さが18~23ヌクレオチドのアンチセンス鎖および長さが18~23ヌクレオチドのセンス鎖を含み、前記アンチセンス鎖がヌクレオチド7,9および11に2’-O-CH修飾を含み、前記センス鎖がヌクレオチド8,10および12に2’-O-CH修飾を含み、この際、前記アンチセンス鎖は5’から3’に向けて番号付けられており、前記センス鎖は3’から5’に向けて番号付けされている。別の実施形態では、siRNAは、長さが18~23ヌクレオチドのアンチセンス鎖および長さが18~23ヌクレオチドのセンス鎖を含み、前記アンチセンス鎖がヌクレオチド7および9に2’-O-CH修飾を含み、前記センス鎖がヌクレオチド8および10に2’-O-CH修飾を含み、この際、前記アンチセンス鎖は5’から3’に向けて番号付けられており、前記センス鎖は3’から5’に向けて番号付けされている。別の実施形態では、siRNAは、長さが18~23ヌクレオチドのアンチセンス鎖および長さが18~23ヌクレオチドのセンス鎖を含み、前記アンチセンス鎖がヌクレオチド9および11に2’-O-CH修飾を含み、前記センス鎖がヌクレオチド8および10に2’-O-CH修飾を含み、この際、前記アンチセンス鎖は5’から3’に向けて番号付けられており、前記センス鎖は3’から5’に向けて番号付けされている。
【0197】
パターン
一態様では、アンチセンス二本鎖領域は、本明細書において「修飾された基」と呼ばれる複数の修飾ヌクレオチド群を含み、各修飾された基は、1つ以上の同一に修飾されたヌクレオチドからなり、各修飾された基は、その一方の側または両側が、本明細書で「隣接する基」と呼ばれる第2のヌクレオチド群に隣接しており、各隣接する基は、修飾されていないか、または前記修飾された基のヌクレオチドとは異なる様式で修飾された1つ以上のヌクレオチドからなる。一実施形態では、アンチセンス二本鎖領域における各修飾基は同一であり、すなわち、各修飾基は、同数の同一に修飾されたヌクレオチドからなる。別の実施形態では、各隣接基は等しい数のヌクレオチドを有する。別の実施形態において、各隣接基は同一である。別の実施形態において、アンチセンス二本鎖領域における前記修飾された基のヌクレオチドは、修飾塩基を含む。別の実施形態において、前記修飾された基のヌクレオチドは、修飾されたリン酸骨格を含む。別の実施形態では、前記修飾された基のヌクレオチドは修飾された2’位を含む。
【0198】
別の態様では、センス二本鎖領域は複数の修飾された基の群を含み、各修飾基は1つ以上の同一に修飾されたヌクレオチドからなり、各修飾基の片側または両側に隣接する基が隣接し、各隣接基は、修飾されていないか、または前記修飾された基のヌクレオチドとは異なる様式で修飾されている1つ以上のヌクレオチドからなる。一実施形態では、センス二本鎖領域の各修飾基は同一である。別の実施形態では、各隣接基は等しい数のヌクレオチドを有する。別の実施形態において、各隣接基は同一である。別の実施形態では、センス二本鎖領域における前記修飾された基のヌクレオチドは修飾塩基を含む。別の実施形態では、前記修飾された基のヌクレオチドは修飾リン酸骨格を含む。別の実施形態では、前記修飾された基のヌクレオチドは修飾された2’位を含む。
【0199】
別の態様では、アンチセンス二本鎖領域およびセンス二本鎖領域はそれぞれ、複数の修飾された基を含み、各修飾された基は、1つまたは複数の同一に修飾されたヌクレオチドからなり、各隣接基は、修飾されていないか、または前記修飾された基のヌクレオチドとは異なる様式で修飾されている1つ以上のヌクレオチドからなる。一実施形態では、アンチセンス二本鎖領域およびセンス二本鎖領域の各修飾基は同一である。別の実施形態では、アンチセンス二本鎖領域およびセンス二本鎖領域における各隣接基は、それぞれ等しい数のヌクレオチドを有する。別の実施形態では、アンチセンス二本鎖領域およびセンス二本鎖領域の各隣接基は同一である。別の実施形態では、アンチセンス二本鎖領域およびセンス二本鎖領域における前記修飾された基のヌクレオチドは、それぞれ同じ修飾された基および同じ隣接する基を含む。別の実施形態では、アンチセンス二本鎖領域およびセンス二本鎖領域における前記修飾された基のヌクレオチドはそれぞれ修飾塩基を含む。別の実施形態では、アンチセンス二本鎖領域およびセンス二本鎖領域における前記修飾された基のヌクレオチドは、それぞれ修飾リン酸骨格を含む。別の実施形態では、アンチセンス二本鎖領域およびセンス二本鎖領域における前記修飾された基のヌクレオチドはそれぞれ、修飾された2’位を含む。
【0200】
一態様において、アンチセンス鎖は、本明細書において「修飾された基」と呼ばれる複数の修飾ヌクレオチドの群を含み、各修飾された基は1つ以上の同一に修飾されたヌクレオチドからなり、各修飾された基の片側または両側には、本明細書において「隣接する基」と呼ばれるヌクレオチドの第2の群が隣接し、各隣接する基は、修飾されていないか、または前記修飾された基のヌクレオチドとは異なる様式で修飾された1つ以上のヌクレオチドからなる。一実施形態では、アンチセンス鎖の各修飾された基は同一であり、すなわち、各修飾された基は同数の同一に修飾されたヌクレオチドからなる。別の実施形態では、各隣接基は等しい数のヌクレオチドを有する。別の実施形態において、各隣接基は同一である。別の実施形態では、アンチセンス鎖における前記修飾された基のヌクレオチドは、修飾された塩基を含む。別の実施形態において、前記修飾された基のヌクレオチドは、修飾されたリン酸骨格を含む。別の実施形態では、前記修飾された基のヌクレオチドは修飾された2’位を含む。
【0201】
別の態様では、センス鎖は、修飾された基の複数の群を含み、各修飾された基は1つ以上の同一に修飾されたヌクレオチドからなり、各修飾された基の片側または両側には隣接する基が隣接し、各隣接する基は、修飾されていないかまたは前記修飾された群のヌクレオチドとは異なる様式で修飾されている1つまたは複数のヌクレオチドからなる。一実施形態では、センス鎖中の各修飾基は同一である。別の実施形態では、各隣接基は等しい数のヌクレオチドを有する。別の実施形態において、各隣接基は同一である。別の実施形態では、センス鎖における前記修飾された基のヌクレオチドは、修飾された塩基を含む。別の実施形態において、前記修飾された基のヌクレオチドは、修飾されたリン酸骨格を含む。別の実施形態では、前記修飾された基のヌクレオチドは修飾された2’位を含む。
【0202】
別の態様では、アンチセンス鎖およびセンス鎖はそれぞれ複数の修飾された基を含み、各修飾された基は1つまたは複数の同一に修飾されたヌクレオチドからなり、各修飾された基の片側または両側には隣接する基が隣接し、該隣接する基は、修飾されていないか、または前記修飾された基のヌクレオチドとは異なる様式で修飾された1つ以上のヌクレオチドからなる。一実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖の各修飾基は同一である。別の実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖中の各隣接基は、それぞれ等しい数のヌクレオチドを有する。別の実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖の各隣接基は同一である。別の実施形態において、アンチセンス鎖およびセンス鎖における前記修飾された基のヌクレオチドは、それぞれ、同じ修飾された基および同じ隣接する基を含む。別の実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖中の前記修飾された基のヌクレオチドはそれぞれ修飾塩基を含む。別の実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖中の前記修飾された基のヌクレオチドは、それぞれ修飾リン酸骨格を含む。別の実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖中の前記修飾された基のヌクレオチドはそれぞれ修飾2’位を含む。
【0203】
別の態様では、修飾された基および隣接する基は、アンチセンス鎖上に規則的なパターンを形成する。別の態様において、修飾された基および隣接する基は、センス鎖上に規則的なパターンを形成する。一実施形態では、修飾された基および隣接する基は、アンチセンス鎖およびセンス鎖の両方に規則的なパターンを形成する。別の実施形態では、修飾された基および隣接する基は、アンチセンス二本鎖領域上に規則的なパターンを形成する。別の態様において、修飾された基および隣接する基は、センス二本鎖領域上に規則的なパターンを形成する。一実施形態では、修飾された基および隣接する基は、アンチセンス二本鎖領域およびセンス二本鎖領域の両方に規則的なパターンを形成する。
【0204】
別の態様では、パターンは空間的パターンまたは位置的パターンである。空間的または位置的パターンとは、(a)ヌクレオチドが二本鎖部分のヌクレオチド配列内におけるそれらの位置に依存して修飾されることを意味する。したがって、修飾されるヌクレオチドがピリミジンであるかプリンであるかは問題ではない。むしろ、修飾されたヌクレオチドの位置は、(a)5’末端から3’末端に向かって番号付けされた核酸鎖上における、当該鎖の5’末端のヌクレオチドを1位としたときの当該ヌクレオチドの位置(アンチセンス鎖およびセンス鎖の両方がそのそれぞれの5’末端ヌクレオチドから番号付けされている)、または、(b)隣接する基に対する当該修飾された基の位置に依存する。したがって、この実施形態によれば、変更されるべき配列にかかわらず修飾パターンは常に同じである。
【0205】
一実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖の両方の各修飾基は同一である。一実施形態では、アンチセンス二本鎖領域およびセンス二本鎖領域の両方の各修飾基は同一である。別の実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖上の各修飾基および各隣接基は同一である。一実施形態では、アンチセンス二本鎖領域およびセンス二本鎖領域の両方における各修飾基および各隣接基は同一である。
【0206】
一実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖の両方の各修飾基、各修飾基の位置、各隣接基および各隣接基の位置は同一である。一実施形態では、アンチセンス二本鎖領域およびセンス二本鎖領域の両方における各修飾基、各修飾基の位置、各隣接基および各隣接基の位置は同一である。別の実施形態では、アンチセンス鎖上の修飾された基は、センス鎖上の修飾された基と相補的である(アンチセンス鎖上の修飾された基およびセンス鎖は互いに完全に整列している)。別の実施形態では、修飾基にミスマッチはなく、これによりアンチセンス鎖上の各修飾基はセンス鎖上の各修飾基と塩基対形成するようになっている。
【0207】
別の実施形態では、センス鎖上の各修飾基は、アンチセンス鎖上の修飾された基に対して1,2,3,4または5ヌクレオチドだけシフトしている。例えば、センス鎖上の各修飾された基が1個のヌクレオチドまたは1個のヌクレオチド群だけシフトし、修飾された基がアンチセンス鎖上の1位から開始した場合、センス鎖上の修飾された基は2位から始まる。別の実施形態では、アンチセンス鎖の修飾された基は、センス鎖の修飾された基と重複しない。すなわち、アンチセンス鎖上の修飾された基のヌクレオチドは、センス鎖上の修飾された基のヌクレオチドと塩基対形成しない。
【0208】
一実施形態では、核酸鎖の末端のデオキシリボヌクレオチドは、修飾された基の位置を決定する際に考慮されない。すなわち、位置番号付けは最初のリボヌクレオチドまたは修飾されたリボヌクレオチドから始まる。別の実施形態では、修飾された基の位置を決定する際に、核酸鎖の末端の無塩基ヌクレオチドは考慮されない。
【0209】
一態様では、修飾された基は、アンチセンス鎖およびセンス鎖のいずれかまたは両方の5’末端ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、隣接する基は、アンチセンス鎖およびセンス鎖のいずれかまたは両方の5’末端ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖のいずれかまたは両方の5’末端ヌクレオチドは修飾されていない。別の実施形態では、修飾された基は、アンチセンス二本鎖領域およびセンス二本鎖領域のいずれかまたは両方の5’末端ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、隣接する基は、アンチセンス二本鎖領域またはセンス二本鎖領域のいずれかまたは両方の5’末端ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、アンチセンス二本鎖領域またはセンス二本鎖領域のいずれかまたは両方の5’末端ヌクレオチドは修飾されていない。一実施形態では、2’位の修飾は、アミノ、フルオロ、メトキシ、アルコキシおよびC1-C3-アルキルを含む群から選択される。別の実施形態において、修飾は、2’-O-メチル、2’-アミノ-2’-デオキシ、2’-デオキシ-2’-フルオロ、2’-O-メチル、2’-O-アルキル、および2’-O-(C1-C3-アルキル)である。他の実施形態では、2’位の修飾は2’-O-メチルである。
【0210】
別の態様では、各修飾基は1つのヌクレオチドからなり、各隣接基は1つのヌクレオチドからなる。一実施形態では、アンチセンス鎖上の各修飾基は、センス鎖上の隣接する基と整列している。別の実施形態では、アンチセンス鎖上の各修飾基とセンス鎖上の修飾基とのアライメントは、1以上のヌクレオチドだけシフトしている。
【0211】
リン酸骨格の修飾
別の態様は、リン酸骨格への修飾に関する。本発明のsiRNAのヌクレオチドの全部または一部は、非修飾核酸に見られるようなホスホジエステル結合を介して連結されていてもよい。しかし、本発明のsiRNAは、修飾ホスホジエステル結合を含んでいてもよい。アンチセンス鎖またはセンス鎖のいずれかのホスホジエステル結合は、独立して、窒素および硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含むように修飾され得る。一実施形態において、リボヌクレオチドを隣接するリボヌクレオチドに連結するホスホエステル基は、修飾された基で置換される。一実施形態において、ホスホエステル基を置換する修飾基は、ホスホロチオエート、メチルホスホネート、ホスホロジチオエートまたはホスホルアミデート基から選択される。
【0212】
一実施形態では、アンチセンス鎖のヌクレオチドの全てがホスホジエステル結合を介して連結される。別の実施形態では、アンチセンス二本鎖領域のヌクレオチドの全てがホスホジエステル結合を介して連結される。別の実施形態では、センス鎖のヌクレオチドの全てがホスホジエステル結合を介して連結される。別の実施形態では、センス二本鎖領域のヌクレオチドのすべてがホスホジエステル結合を介して連結される。別の実施形態において、アンチセンス鎖は、1,2,3,4,5,6,7,8,9または10から選択される数の修飾ホスホエステル基を含む。別の実施形態において、アンチセンス二本鎖領域は、1,2,3,4,5,6,7,8,9または10から選択される数の修飾ホスホエステル基を含む。別の実施形態において、センス鎖は、1,2,3,4,5,6,7,8,9または10から選択される数の修飾ホスホエステル基を含む。別の実施形態において、センス二本鎖領域は、1,2,3,4,5,6,7,8,9または10から選択される数の修飾ホスホエステル基を含む。
【0213】
5’および3’末端修飾
本発明のsiRNAは、センス鎖またはアンチセンス鎖のいずれかまたは両方の末端5’または3’末端に、一つまたは複数の修飾ヌクレオチド、無塩基ヌクレオチド、非環式ヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドを含む核酸分子を含んでいてもよい。一実施形態では、センス鎖およびアンチセンス鎖の両方の5’および3’末端ヌクレオチドは修飾されていない。別の実施形態では、アンチセンス鎖の5’末端ヌクレオチドが修飾される。別の実施形態では、センス鎖の5’末端ヌクレオチドが修飾される。別の実施形態では、アンチセンス鎖の3’末端ヌクレオチドが修飾される。別の実施形態では、センス鎖の3’末端ヌクレオチドが修飾される。別の実施形態では、アンチセンス鎖の5’末端ヌクレオチドおよびセンス鎖の5’末端ヌクレオチドが修飾される。別の実施形態では、アンチセンス鎖の3’末端ヌクレオチドおよびセンス鎖の3’末端ヌクレオチドが修飾される。別の実施形態では、5’アンチセンス鎖の3’末端ヌクレオチドおよびセンス鎖の3’末端ヌクレオチドが修飾される。別の実施形態では、アンチセンス鎖の3’末端ヌクレオチドおよびセンス鎖の5’末端ヌクレオチドが修飾される。別の実施形態では、アンチセンス鎖の3’末端ヌクレオチドおよびセンス鎖の5’および3’末端ヌクレオチドの両方が修飾される。アンチセンス鎖の5’末端ヌクレオチドおよび3’末端ヌクレオチドの両方が修飾されてもよい。別の実施形態では、センス鎖の5’および3’末端ヌクレオチドの両方が修飾される。
【0214】
アンチセンス鎖の5’末端ヌクレオチドはリン酸化されていてもよい。別の実施形態では、センス鎖の5’末端ヌクレオチドがリン酸化される。別の実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖の両方の5’末端ヌクレオチドがリン酸化される。別の実施形態では、アンチセンス鎖の5’末端ヌクレオチドはリン酸化され、センス鎖の5’末端ヌクレオチドは遊離ヒドロキシル基(5’-OH)を有する。別の実施形態では、アンチセンス鎖の5’末端ヌクレオチドがリン酸化され、センス鎖の5’末端ヌクレオチドが修飾される。別の実施形態において、アンチセンス鎖の5’末端ヌクレオチドは5’Eビニルホスホネートを有する。
【0215】
5’および3’末端ヌクレオチドへの修飾は、これらの末端ヌクレオチド上の5’および3’位に限定されない。末端ヌクレオチドへの修飾の例としては、これらに限定されないが、ビオチン、逆位(デオキシ)無塩基、アミノ、フルオロ、クロロ、ブロモ、CN、CF、メトキシ、イミダゾール、カルボキシレート、チオエート、C~C10の低級アルキル、置換された低級アルキル、アルカリールまたはアリールアルキル、OCF、OCN、O-、S-、またはN-アルキル;O-、S-またはN-アルケニル;SO-CH;SOCH;ONO;NO、N;ヘテロシクロアルキル;ヘテロシクロアルカリール;アミノアルキルアミノ;例えば、特にPCT特許出願WO99/54459、欧州特許EP0586520B1またはEP0618925B1(これらの全体が参照により引用される)に記載されているような、ポリアルキルアミノまたは置換シリルが挙げられる。本明細書で使用する場合、「アルキル」とはC-C12アルキルを意味し、「低級アルキル」は、C-、C-、C-、C-、C-およびC-アルキルなどのC-Cアルキルを意味する。
【0216】
別の態様では、アンチセンス鎖の5’末端、センス鎖の5’末端、アンチセンス鎖の3’末端またはセンス鎖の3’末端がプロドラッグ部分に共有結合させてもよい。一実施形態において、この部分は、エンドソームにおいて切断され得る。別の実施形態では、この部分は細胞質内で切断され得る。
【0217】
異なる種類の末端修飾の例を表1に示す。
【0218】
【表1】
【0219】
別の実施形態では、アンチセンス鎖またはセンス鎖のいずれかまたは両方の末端3’ヌクレオチドまたは2つの末端3’-ヌクレオチドは、2’-デオキシヌクレオチドである。別の実施形態では、2’-デオキシヌクレオチドは2’-デオキシ-ピリミジンである。別の実施形態では、2’-デオキシヌクレオチドは2’デオキシ-チミジンである。
【0220】
shRNA(ショートヘアピンループRNA)および連結siRNA
別の態様は、shRNAおよび連結siRNAに関する。アンチセンス鎖とセンス鎖とは、互いに共有結合していてもよい。そのような結合は、アンチセンス鎖およびセンス鎖をそれぞれ形成するいずれのヌクレオチドの間でも起こり得、そして共有結合または非共有結合によって形成され得る。共有結合は、好ましくはメチレンブルーおよび二官能基を含む群から選択される化合物により、両方の鎖を1回または数回、1つまたは複数の位置でそれぞれ連結することによって形成され得る。そのような二官能基は、好ましくはビス(2-クロロエチル)アミン、N-アセチル-N’-(p-グリオキシルベンゾイル)シスタミン、4-チオウラシルおよびソラレンを含む群から選択される。
【0221】
さらに、アンチセンス鎖およびセンス鎖は、ループ構造によって連結されていてもよい。ループ構造は、ポリエチレングリコールなどの非核酸ポリマーから構成されてもよい。アンチセンス鎖の5’末端がセンス鎖の3’末端に連結されていてもよく、またはアンチセンス鎖の3’末端がセンス鎖の5’末端に連結されていてもよい。ループは、核酸、ロックド核酸(LNA)、ペプチド核酸(PNA)からなることができ、またはポリマーによって形成されてもよい。ループの長さは、ループ構造または類似の構造を介して折り畳みが起こり得るように2つの鎖を共有結合的に連結できれば十分である。
【0222】
リボ核酸構築物は、適切なベクター系に組み込むことができる。好ましくは、ベクターは、RNAiの発現のためのプロモーターを含む。プロモーターは、polIII、U6、H1または7SKのような当該分野で公知の任意のものから選択することができる。
【0223】
本発明による核酸は、1つ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含み得る。好ましくは、ホスホロチオエートヌクレオチド間結合は、ヌクレオチド配列全体に分布していてもよく、任意の数で任意の位置に存在してもよい。好ましくは、核酸は、1~10個のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含むことができる。好ましくは、アンチセンス鎖は、各末端に少なくとも1個のホスホロチオエート修飾を有する。好ましくは、アンチセンス鎖は、各末端に1~3個のホスホロチオエート修飾を有する。最も好ましくは、アンチセンス鎖は、各末端に2個のホスホロチオエート修飾を有する。好ましくは、センス鎖は、3’末端に少なくとも1個のホスホロチオエート修飾を有する。好ましくは、センス鎖は、3’末端に1~3個のホスホロチオエート修飾を有する。最も好ましくは、センス鎖は、3’末端に2個のホスホロチオエート修飾を有する。
【0224】
オーバーハングしたsiRNA
センス鎖またはアンチセンス鎖の3’末端または5’末端のオーバーハングは、1,2,3,4および5ヌクレオチドの長さからなるものから選択され得る。あるいは、siRNA分子は、両端が平滑末端のものであってもよく、16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28または29の連続したヌクレオチドの長さを有し得る。
【0225】
一実施形態において、siRNA分子は、一端が平滑末端であり、siRNA分子の二本鎖部分は、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28または29の連続したヌクレオチドから選択される長さを有し得る。
【0226】
一実施形態では、siRNA分子は、いずれかの鎖上の両端にオーバーハングを有し、siRNA分子の二本鎖部分は、16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28または29の連続したヌクレオチドから選択される長さを有し得る。
【0227】
オーバーハングは、少なくとも1つのデオキシリボヌクレオチドおよび/またはTTジヌクレオチドを含み得る。
【0228】
本発明の核酸分子の製造
本発明の核酸は、インビトロ(例えば、転写から脱落)またはインビボのいずれかで核酸を化学的に合成または発現させるなどの当技術分野における通常の方法を用いて作製することができる。例えば、固相化学合成を使用するか、または発現ベクターを使用する。一実施形態では、発現ベクターは、標的細胞において本発明の核酸を産生することができる。本明細書に記載の核酸分子の合成方法は、当業者に公知である。
【0229】
本発明の核酸の送達のための製剤
siRNAおよび共役された化合物は、細胞との直接接触(「ネイキッド」siRNA)などの当業者に公知の様々な方法によって、または細胞への標的化もしくは送達を容易にする1つまたは複数の薬剤との組み合わせによって、インビトロおよびインビボの両方で細胞に送達することができる。このような薬剤および方法には、リポプレックス、リポソーム、イオントフォレシス、ヒドロゲル、シクロデキストリン、ナノカプセル、マイクロおよびナノスフェア並びにタンパク質性ベクターが含まれる。核酸/ビヒクルの組み合わせは、直接注入または注入ポンプの使用によってインビボで局所的に送達することができる。本発明のsiRNAおよびコンジュゲートは、静脈内、皮下、筋肉内もしくは皮内注射または吸入などの様々な手段によってインビボで送達することができる。分子は、医薬品として使用することができる。好ましくは、医薬品は、被験体における疾患状態の症状を予防し、発症を調節し、治療し、または緩和する。
【0230】
ポリ(エチレングリコール)脂質(PEG修飾、または長期循環リポソームまたはステルスリポソーム)を含む表面修飾リポソームを含む組成物の使用もまた、提供される。これらの製剤は、リポソームまたはリポプレックスの凝集および融合を防止することによって、リポソームまたはリポプレックス溶液の安定性を増加させる方法を提供する。これらの製剤によれば、単核食細胞系(MPSまたはRES)によるオプソニン作用および排除に抵抗し、それにより、カプセル化薬物のより長い血液循環時間および増強された組織曝露を可能にするというインビボでのさらなる利点も得られる。このようなリポソームは、恐らくは血管新生が生じた標的組織における血管外漏出および捕捉によって腫瘍に選択的に蓄積する可能性がある。長期循環リポソームは、特にMPSの組織に蓄積することが知られている従来のカチオン性リポソームと比較して、DNAおよびRNAの薬物動態および薬力学を向上させる(Liuら、J.Biol.Chem. 1995,42,24864-24780;Choiら、国際PCT公開WO96/10391;Ansellら、国際PCT公開WO96/10390;Hollandら、国際PCT公開WO96/10392)。長期循環リポソームはまた、ヌクレアーゼ分解からsiRNAを保護する。
【0231】
本発明のsiRNA結合体は、医薬組成物として製剤化することができる。医薬組成物は、単独でまたは他の薬剤と組み合わせて、医薬品または診断薬として使用することができる。例えば、本発明の1つ以上のsiRNAコンジュゲートは、送達ビヒクル(例えば、リポソーム)および、担体や希釈剤などの賦形剤と組み合わせることができる。他の薬剤、例えば防腐剤および安定剤を添加することもできる。核酸分子の送達のための方法は、当該分野で公知であり、当業者の知識の範囲内である。
【0232】
本発明のsiRNAコンジュゲートは、別々にまたは同時に投与される他の治療化合物と組み合わせて、例えば組み合わせ単位用量として投与することもできる。一実施形態では、本発明は、安定剤、防腐剤、希釈剤、緩衝剤などの生理学的/薬学的に許容される賦形剤中に本発明による1つ以上のsiRNAコンジュゲートを含む医薬組成物を含む。
【0233】
投与量
本発明の薬剤および医薬組成物の投与量レベルは、当業者であれば通常の実験によって決定することができる。一実施形態では、単位用量は、約0.01mg/kg~約100mg/kg体重のsiRNAを含み得る。あるいは、用量は、10mg/kg~25mg/kg体重、または1mg/kg~10mg/kg体重、または0.05mg/kg~5mg/kg体重、または0.1mg/kg~5mg/kg体重、または0.1mg/kg~1mg/kg体重、または0.1mg/kg~0.5mg/kg体重、または0.5mg/kg~1mg/kg体重であり得る。
【0234】
医薬組成物は、滅菌注射用の水性の懸濁液または溶液、または凍結乾燥形態であってもよい。一実施形態では、医薬組成物は、凍結乾燥されたリポプレックスまたはリポプレックスの水性懸濁液を含み得る。リポプレックスは、好ましくは、本発明のsiRNAを含む。そのようなリポプレックスは、インビトロまたはインビボのいずれかで、本発明のsiRNAを標的細胞に送達するために使用され得る。
【0235】
本発明の医薬組成物および医薬は、薬学的に有効な用量で哺乳動物被験体に投与することができる。哺乳動物は、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、マウス、ラット、ハムスターおよびモルモットから選択することができる。
【0236】
送達の経路
二本鎖siRNAを含むコンジュゲート組成物は、種々の経路によって被験体に送達され得る。例示的な経路としては、皮下、静脈内、局所、直腸、肛門、膣、鼻、肺、眼が挙げられる。
【0237】
コンジュゲート組成物は、薬学的に許容される担体とともに、投与に適した医薬組成物に組み込むことができる。本明細書中で使用される場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、薬学的投与に適合する任意のおよび全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張化剤および吸収遅延剤などを含むものとする。薬学的に活性な物質のためのそのような媒体および薬剤の使用は、当技術分野において周知である。任意の従来の媒体または薬剤が活性化合物と不適合である場合を除いて、組成物中でのその使用は本発明の範囲内のものである。補助的な活性化合物も組成物に組み込まれ得る。
【0238】
本発明の組成物は、局所的または全身的治療が望まれるかどうか、および治療される領域に応じて、多くの方法で投与され得る。投与は、局所(眼、膣、直腸、鼻腔内、経皮など)、経口または非経口であり得る。非経口投与には、静脈内点滴、皮下、腹腔内もしくは筋肉内注射、または髄腔内または脳室内投与が含まれる。
【0239】
投与経路および投与部位は、標的化を強化するために選択され得る。例えば、筋細胞を標的化するためには、関心のある筋肉への筋肉内注射が理にかなった選択であろう。肺細胞は、エアロゾル形態のiRNAを投与することによって標的化され得る。血管内皮細胞は、バルーンカテーテルをiRNAでコーティングし、DNAを機械的に導入することによって標的化することができる。
【0240】
上記のような修飾、糖部分の修飾、パターン、5’および3’末端修飾、オーバーハング、製剤、送達、投与量および送達経路がいずれのタイプのiRNA分子にも等しく適用され得、siRNAに限定されないことは、当業者には理解されるであろう。
【0241】
本発明の第13の態様によれば、医薬における本発明の化合物または組成物の使用が提供される。本発明によるGalNAcコンジュゲートは、肝疾患、慢性疾患、サラセミア、薬物誘導性肝障害、血色素症および貧血または慢性疾患の貧血の治療に使用することができる。
【0242】
本発明のさらなる態様において、本発明のコンジュゲートを用いて肝細胞へ核酸を送達する方法が提供される。この方法は、肝細胞を本発明の化合物と接触させる工程を含む。この方法は、診断目的、治療目的または研究目的のために、インビトロまたはインビボで使用され得る。
【実施例
【0243】
実施例:
一般情報
特に断りのない限り、すべての反応は窒素雰囲気下で行った。NMRスペクトルをBruker 400MHz UltrashieldTMで記録し、すべての化学シフト(δ)をTMSと比較して測定した。
【0244】
実施例1-GalNAcの合成ホスホルアミダイト:
【0245】
【化27】
【0246】
各ホスホルアミダイトの合成は、主にPrakashら,Bioorg.Med.Chem.Lett.25(2015)4127-4130に記載されている手順に従う。
【0247】
ガラクトサミンペンタアセテートをトリメチルシリルトリフルオロメチルスルホネートを用いて活性化し、4-ベンジルオキシ-1-ブタノールと反応させた。ベンジル保護基を加水分解により除去した後、得られたアルコールを、Dubber,2003に記載の方法に従ってホスホルアミダイトに変換した。
【0248】
【化28】
【0249】
ベンジル保護トリエチレングリコールを出発物質として使用して、上記と同じ手順に従ってST21を合成した。
【0250】
【化29】
【0251】
(2R,3R,4R,5R,6R)-5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)-6-(2-(2-(2-(ベンゾイルオキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-34-ジイルジアセテート(19)
1,2-ジクロロエタン(700mL)中の15(64.2g、166ミリモル)の溶液に、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(22.10g、99ミリモル、18.04mL、0.6当量)を添加し、褐色の懸濁液を15分間撹拌した。粉砕した4Aモレキュラーシーブ(85g)を添加し、15分間攪拌を続けた。トリエチレングリコールモノベンジルエーテル(51.8g、215ミリモル、47.5mL、1.3当量)を滴下添加により15分間かけて添加し、室温で攪拌を続けた。反応混合物を珪藻土のプラグで濾過し、続いて温ジクロロメタンですすいだ。濾液を氷冷NaHCO飽和水溶液(800mL)に注ぐことによりクエンチし、激しく撹拌した。層を分離し、水層をジクロロメタン(2×300mL)でさらに2回抽出した。合わせた有機層を水(600mL)およびブライン(600mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空濃縮して黄色油状物を得た。精製は、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中5~100%EtOAc)により行い、19と採りエチレングリコールモノベンジルエーテルとの混合物(64g)を得た。この物質をジクロロメタン(430mL)に溶解し、続いてトリエチルアミン(38.4g、380ミリモル、52.8mL、4当量)およびDMAP(2.321g、19.00ミリモル、0.2当量)を添加した。次いで、バッチ式添加により、TBDMSCl(21.47g、142ミリモル、1.5当量)を加え、室温で2時間撹拌を続けた。反応混合物を濾過し、続いて氷冷飽和NaHCO3飽和溶液(1L)に注いだ。層を分離し、水層をジクロロメタン(2×300mL)でさらに2回抽出した。合わせた有機層をブライン(1L)で1回洗浄し、NaSOで乾燥させた。減圧濃縮後、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中70~100%EtOAc)により19を無色油状物として得た(36g、収率30%)。H NMR (400 MHz,クロロホルム-d) δ 7.38 - 7.28 (m, 5H), 6.58 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 5.26 (d, J = 3.3 Hz, 1H), 4.96 (dd, J = 11.2, 3.4 Hz, 1H), 4.79 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 4.53 (d, J = 1.3 Hz, 2H), 4.28 (dt, J = 11.2, 9.0 Hz, 1H), 4.16 - 4.06 (m, 2H), 3.88 (dd, J = 6.0, 2.7 Hz, 2H), 3.75 (td, J = 5.7, 2.7 Hz, 4H), 3.71 - 3.58 (m, 7H), 2.15 (s, 3H), 2.04 (s, 3H), 1.97 (s, 3H), 1.95 (s, 3H)。
【0252】
(2R,3R,4R,5R,6R)-5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)-6-(2-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート(ST20)
テトラヒドロフラン(330mL)および2-プロパノール(330mL)中の19(47.68g、84ミリモル)の溶液に、活性炭上の10%パラジウム(12.92g、12.14ミリモル、1.45当量)を添加した。反応混合物に水素(バルーン)を入れ、室温で一晩撹拌を続けた。反応混合物を珪藻土で濾過し、温ジクロロメタンですすいだ。真空濃縮後、ST20を得た(37g、収率94%)。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 7.81 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 5.22 (d, J = 3.3 Hz, 1H), 4.97 (dd, J = 11.2, 3.4 Hz, 1H), 4.61 (t, J = 5.4 Hz, 1H), 4.56 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 4.03 (s, 3H), 3.88 (dt, J = 11.1, 8.9 Hz, 1H), 3.82 - 3.73 (m, 1H), 3.63 - 3.45 (m, 9H), 3.41 (t, J = 5.1 Hz, 2H), 2.11 (s, 3H), 2.00 (s, 3H), 1.89 (s, 3H), 1.78 (s, 3H)。
【0253】
(2R,3R,4R,5R,6R)-5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)-6-(2-(2-(((2-シアノエトキシ)(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノ)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート(ST21)
無水アセトニトリル(8mL)および乾燥ジクロロメタン(40mL)中の4,5-ジシアノイミダゾール(961mg、8.13ミリモル、0.65当量)の溶液に、粉砕した4Aモレキュラーシーブ(4.4g)を添加した。次いで、2-シアノエチルテトライソプロピルホスホロジアミダイト(4903mg、16.27ミリモル、5.16mL、1.3当量)をシリンジを介して添加し、10分間室温で撹拌した。次いで、乾燥ジクロロメタン(20mL)中のST20の溶液(6000mg、12.51ミリモル)を10分間かけて反応混合物に添加した。反応混合物を綿栓で濾過し、続いて減圧下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製を2回(ヘプタン中10~100%EtOAc)行い、ST21を淡黄色油状物として得た(6.9g、収率74%)。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 7.81 (d, J = 9.3 Hz, 1H), 5.21 (d, J = 3.4 Hz, 1H), 4.97 (dd, J = 11.2, 3.4 Hz, 1H), 4.55 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 4.03 (d, J = 3.0 Hz, 3H), 3.88 (dt, J = 11.2, 8.9 Hz, 1H), 3.82 - 3.45 (m, 16H), 2.77 (t, J = 6.1 Hz, 2H), 2.11 (s, 3H), 2.00 (s, 3H), 1.89 (s, 3H), 1.77 (s, 3H), 1.13 (dd, J = 6.8, 3.1 Hz, 12H)。
【0254】
【化30】
【0255】
(3aR、5R、6R、7R、7aR)-5-(アセトキシメチル)-2-メチル-5,6,7,7a-テトラヒドロ-3aH-ピラノ[3,2-d]オキサゾール-6,7-ジイルジアセテート(15)
ジクロロメタン(870mL)中のガラクトサミンペンタアセテート(125g、321ミリモル)の懸濁液に、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(107g、482ミリモル、87mL、1.5当量)を室温で30分間かけて滴下により添加した。反応混合物を40℃に2時間加熱した後、室温に冷却し、氷冷した飽和NaHCO水溶液(1000mL)を注ぐことによりクエンチした。層を分離し、水層をジクロロメタン(2×300mL)でさらに2回抽出した。合わせた有機層を水(500mL)およびブライン(800mL)で洗浄し、続いてNaSOで乾燥させた。真空中で濃縮した後、15を淡黄色油状物として得た(109g、粗収率103%)。H NMR (400 MHz,クロロホルム-d) δ 6.00 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 5.47 (t, J = 3.0 Hz, 1H), 4.91 (dd, J = 7.4, 3.3 Hz, 1H), 4.29 - 4.06 (m, 3H), 4.03 - 3.97 (m, 1H), 2.13 (s, 3H), 2.07 (d, J = 1.0 Hz, 6H), 2.06 (d, J = 1.3 Hz, 3H)。
【0256】
(2R、3R、4R、5R、6R)-5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)-6-(4-(ベンジルオキシ)ブトキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート(16)
ジクロロメタン(1200mL)中の15(109g、331ミリモル)の溶液に、粉末状のモレキュラーシーブ4A(75g)を添加し、続いて室温で15分間撹拌した。混合物に4-ベンジルオキシ-1-ブタノール(89g、497ミリモル、87mL、1.5当量)を添加し、撹拌をさらに15分間続けた。次いで、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(44.1g、199ミリモル、36.0mL、0.6当量)を滴下により15分間かけて添加した。反応混合物の撹拌を2時間続けた。混合物の濾過を珪藻土のプラグで行い、続いてジクロロメタン(200mL)で1回すすいだ。ろ液を氷冷飽和NaHCO水溶液(1000mL)に注ぐことによりクエンチした。層を分離し、続いて水層をジクロロメタン(2×500mL)で2回抽出した。合わせた有機層を水(600mL)およびブライン(600mL)で洗浄し、続いてNaSOで乾燥させた。減圧下で濃縮した後、1%EtN(ヘプタン中20~80%EtOAc)で中和したシリカ上でのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、16を無色油状物として得て、ゆっくりと結晶化させた(109g、収率65%)。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 7.83 (d, J = 9.3 Hz, 1H), 7.39 - 7.23 (m, 5H), 5.21 (d, J = 3.5 Hz, 1H), 4.96 (dd, J = 11.2, 3.5 Hz, 1H), 4.48 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 4.44 (s, 2H), 4.07 - 3.97 (m, 3H), 3.87 (dt, J = 11.2, 8.8 Hz, 1H), 3.72 (p, J = 5.3 Hz, 1H), 3.49 - 3.37 (m, 3H), 2.10 (s, 3H), 1.99 (s, 3H), 1.89 (s, 3H), 1.76 (s, 3H), 1.54 (qd, J = 8.0, 5.2, 4.6 Hz, 4H)。
【0257】
(2R、3R、4R、5R、6R)-5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)-6-(4-ヒドロキシブトキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート(17)
テトラヒドロフラン(1000mL)および2-プロパノール(1000mL)中の16(109.6グラム、215ミリモル)の溶液に、炭素上の10%パラジウム(17.17g、16.13ミリモル、10%、0.075当量)を添加し、フラスコに水素(大気圧)を入れた。反応混合物の撹拌を室温で一晩続けた。混合物を珪藻土のプラグで濾過し、減圧濃縮した。トルエン(2×300mL)およびジクロロメタン(2×300mL)で物質を2回ストリッピングした後、17を白色粘着性固体として得た(87g、収率97%)。H NMR (400 MHz,メタノール-d) δ 5.33 (dd, J = 3.5, 1.0 Hz, 1H), 5.05 (dd, J = 11.3, 3.3 Hz, 1H), 4.55 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 4.20 - 3.97 (m, 4H), 3.87 (dt, J = 10.1, 5.8 Hz, 1H), 3.60 - 3.48 (m, 3H), 3.30 (p, J = 1.8 Hz, 1H), 2.14 (s, 3H), 2.02 (s, 3H), 1.94 (s, 3H), 1.92 (s, 3H), 1.61 (dtd, J = 16.8, 11.0, 10.1, 3.6 Hz, 4H)。
【0258】
(2R、3R、4R、5R、6R)-5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)-6-(4-(((2-シアノエトキシ)(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノ)オキシ)ブトキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3、4-ジイルジアセテート(ST23)
乾燥アセトニトリル(20mL)および乾燥ジクロロメタン(20mL)中の4,5-ジシアノイミダゾール(1.940グラム、16.43ミリモル、0.65当量)の溶液に、アルゴン雰囲気下、粉砕したモレキュラーシーブ4A(9g)を添加した。次いで、2-シアノエチルテトライソプロピルホスホロジアミダイト(10.00g、33.2ミリモル、10.53mL、1.31当量)をシリンジを介して添加し、10分間室温で撹拌した。次に、乾燥ジクロロメタン(50mL)中の17(10.6g、25.3ミリモル)の溶液を滴下により10分間かけて添加した。さらに30分間撹拌した後、反応混合物を綿栓で濾過し、減圧濃縮した。この物質の精製は、複数のフラッシュカラムクロマトグラフィー工程(ヘプタン中0%~100%EtOAc、5%EtN)により行い、ST23(11.75g、収率72%)を淡黄色油状物として得た。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 7.82 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 5.21 (d, J = 3.4 Hz, 1H), 4.96 (dd, J = 11.2, 3.5 Hz, 1H), 4.48 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 4.02 (s, 3H), 3.93 - 3.82 (m, 1H), 3.78 - 3.65 (m, 3H), 3.64 - 3.49 (m, 4H), 3.48 - 3.40 (m, 1H), 2.76 (t, J = 5.9 Hz, 2H), 2.11 (s, 3H), 2.00 (s, 3H), 1.89 (s, 3H), 1.77 (s, 3H), 1.62 - 1.46 (m, 4H), 1.13 (dd, J = 6.8, 3.6 Hz, 12H). 31P NMR (162 MHz, Chloroform-d) 147 (d, J = 8.6 Hz)。
【0259】
【化31】
【0260】
6-(ベンジルオキシ)ヘキサン-1-オール(18)
冷却し、激しく撹拌したテトラヒドロフラン(500mL)中の水素化ナトリウム(90g、2242ミリモル、3.5当量)の懸濁液に、テトラヒドロフラン(1000mL)中の1,6-ヘキサンジオール(265g、2242ミリモル、3.5当量)の溶液を滴下により1時間かけて添加した。さらに30分間撹拌した後、テトラヒドロフラン(500mL)中の臭化ベンジル(76mL、641ミリモル、1当量)の溶液を30分間かけて添加した。添加が完了したら、反応混合物を室温にし、一晩撹拌を続けた。反応混合物を5℃の温度に冷却し、続いて水(200mL)をゆっくりと添加した。次いで、混合物を減圧濃縮し、ジクロロメタン(600mL)に再溶解し、水(3000mL)で洗浄した。水層をジクロロメタン(3×500mL)でさらに3回抽出した。合わせた有機層を水(3×400mL)およびブライン(1×500mL)で洗浄し、続いてNaSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。重力カラムクロマトグラフィー(ヘプタン中の0~50%EtOAc)により精製を行い、18(25g、収率20%)を得た。H NMR (400 MHz,クロロホルム-d) δ 7.40 - 7.27 (m, 5H), 4.50 (s, 2H), 3.64 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 3.47 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 1.68 - 1.51 (m, 4H), 1.47 - 1.31 (m, 4H), 1.27 (s, 1H)。
【0261】
(2R、3R、4R、5R、6R)-5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)-6-((6-(ベンジルオキシ)ヘキシル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート(ST30Bn)
ジクロロメタン(320mL)中の15(28g、85ミリモル)の溶液に、粉末状のモレキュラーシーブ4A(10g)を添加し、5分間攪拌した。次いで、18(26.6g、128ミリモル、1.5当量)を添加し、さらに15分間撹拌を続けた。トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(9.26mL、51.0ミリモル、0.6当量)を15分間かけて滴下により添加した。撹拌を室温で2時間続けた。反応混合物を綿栓で濾過し、続いて氷冷飽和NaHCO水溶液(300mL)でクエンチした。層を分離し、抽出をジクロロメタン(2×150mL)でさらに2回行った。合わせた有機層を水(150mL)およびブライン(150mL)で洗浄し、続いてNaSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中の20~100%EtOAc)により精製して、ST30Bnを無色油状物として得た(25g、収率55%)。H NMR (400 MHz,クロロホルム-d) δ 7.38 - 7.27 (m, 5H), 5.43 (t, J = 6.9 Hz, 1H), 5.38 - 5.27 (m, 2H), 4.71 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 4.50 (s, 2H), 4.21 - 4.07 (m, 2H), 3.96 - 3.81 (m, 3H), 3.47 (t, J = 6.3 Hz, 3H), 2.14 (s, 3H), 2.05 (s, 3H), 2.00 (s, 3H), 1.94 (s, 3H), 1.68 - 1.51 (m, 4H), 1.44 - 1.30 (m, 4H)。
【0262】
(2R、3R、4R、5R、6R)-5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)-6-((6-ヒドロキシヘキシル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート(ST30)
テトラヒドロフラン(250mL)および2-プロパノール(250mL)中のST30Bn(29g、54ミリモル)の溶液に、炭素上の10%パラジウム(0.582g、0.547ミリモル、0.075当量)を添加した。フラスコに水素(大気圧)を入れ、混合物の撹拌を室温で一晩続けた。反応混合物を珪藻土のプラグで濾過し、濾液を真空中で濃縮した。トルエン(2×200mL)およびジクロロメタン(2×200mL)で2回ストリッピングした後、ST30を無色油状物として得た(24g、収率99%)。H NMR (400 MHz,メタノール-d) δ 5.37 - 5.26 (m, 1H), 5.10 - 4.97 (m, 1H), 4.67 - 4.48 (m, 2H), 4.20 - 3.93 (m, 4H), 3.92 - 3.77 (m, 1H), 3.52 (hept, J = 9.4, 8.1 Hz, 3H), 3.36 - 3.23 (m, 1H), 2.17 - 2.09 (m, 3H), 2.05 - 1.98 (m, 3H), 1.97 - 1.87 (m, 6H), 1.63 - 1.45 (m, 4H), 1.43 - 1.29 (m, 4H)。
【0263】
(2R、3R、4R、5R、6R)-5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)-6-((6-(((2-シアノエトキシ)(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノ)オキシ)ヘキシル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート(ST31)
乾燥ジクロロメタン(550mL)中のST30(21.2g、47.4ミリモル)の溶液に、アルゴン雰囲気下、DIPEA(83mL、474ミリモル、10当量)およびモレキュラーシーブ4A(30グラム)を添加した。反応混合物を0℃の温度に冷却し、2-シアノエチル-N、N-ジイソプロピルクロロホスホルアミダイト(13.46g、56.9ミリモル、1.2当量)を滴下により10分間かけて添加した。混合物を温めながら、30分間撹拌を継続した。反応混合物を綿栓で濾過し、EtN処理したシリカ(60g)上に直接被覆した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中の10~60%EtOAc、5%EtN)により精製して、ST31を黄色タールとして得た(24.8g、収率78%)。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 7.82 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 5.21 (d, J = 3.4 Hz, 1H), 4.96 (dd, J = 11.3, 3.4 Hz, 1H), 4.48 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 4.02 (s, 3H), 3.91 - 3.81 (m, 1H), 3.79 - 3.63 (m, 3H), 3.63 - 3.49 (m, 4H), 3.45 - 3.37 (m, 1H), 2.76 (t, J = 5.8 Hz, 2H), 2.10 (s, 3H), 2.00 (s, 3H), 1.89 (s, 3H), 1.77 (s, 3H), 1.58 - 1.40 (m, 4H), 1.37 - 1.22 (m, 4H), 1.13 (dd, J = 6.8, 3.9 Hz, 12H)。
【0264】
実施例2-トレブラーシントンST41の合成
【0265】
【化32】
【0266】
2-((4-(ベンジルオキシ)ブトキシ)メチル)-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオール(1)
ジメチルスルホキシド(320mL)中のペンタエリトリトール(160g、1175ミリモル、10当量)の懸濁液に、水酸化カリウム(65.9g、1175ミリモル、10当量)を添加し、室温で15分間攪拌した。次いで、1.5時間にわたって、ジメチルスルホキシド(107mL)中の4-ベンジルオキシ-1-ブロモブタン(22.32mL、118ミリモル、1当量)の溶液を添加した。添加が完了したら、反応混合物の撹拌を室温で一晩続けた。反応混合物を3M HCl水溶液の添加によりpH=2に酸性化し、得られた白色懸濁液をガラスフィルターで濾過した。濾液をさらに水(900mL)で希釈し、分液漏斗に移し、生成物をジクロロメタン(3×200mL)で抽出した。合わせた有機層を水(4×200mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧濃縮した。淡黄色油状物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中の50~100%EtOAc)により精製して、1を無色油状物として得た(20.46g、収率58%)。H NMR (400 MHz,クロロホルム-d) δ 7.41 - 7.27 (m, 5H), 4.50 (s, 2H), 3.70 (s, 6H), 3.52 - 3.43 (m, 6H), 2.54 (s, 3H), 1.71 - 1.64 (m, 4H)。
【0267】
ジエチル3,3’-((2-((4-(ベンジルオキシ)ブトキシ)メチル)-2-(((3-エトキシ-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル)オキシ)メチル)プロパン-1,3-ジイル)ビス(オキシ))ジアクリレート(2)
ジクロロメタン(300mL)中の1(20.46g、68.6ミリモル)の溶液に、N-メチルモルホリン(33.9mL、309ミリモル、4.5当量)を加えた。反応混合物を氷浴で冷却し、プロピオン酸エチル(27.8mL、274ミリモル、4当量)を単一ストリームを介して添加した。反応混合物の撹拌を15分間続け、続いて反応混合物を室温まで温めた。2時間の反応時間の後、反応混合物を減圧濃縮して暗褐色油状物を得た。粗物質の精製をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中の0~37%EtOAc)により行い、2を黄色油状物として得た(31.56g、収率78%)。H NMR (400 MHz,クロロホルム-d) δ 7.54 (d, J = 12.6 Hz, 3H), 7.39 - 7.28 (m, 5H), 5.23 (d, J = 12.6 Hz, 3H), 4.50 (s, 2H), 4.16 (q, J = 7.1 Hz, 6H), 3.87 (s, 6H), 3.53 - 3.33 (m, 6H), 1.69 - 1.55 (m, 4H), 1.26 (t, J = 7.1 Hz, 12H)。
【0268】
ジエチル3,3’-((2-((4-(ベンジルオキシ)ブトキシ)メチル)-2-((3-エトキシ-3-オキソプロポキシ)メチル)プロパン-1,3-ジイル)ビス(オキシ))ジプロパノエート(3)
エタノール(1463mL)中の2(31.56g、53.2ミリモル)の溶液に、炭素上の10%パラジウム(2.83g、2.66ミリモル、0.05当量)およびピリジン(2.153mL、26.6ミリモル、0.5当量)を加えた。反応混合物に水素(大気圧)を加え、混合物の撹拌を室温で一晩続けた。反応混合物を珪藻土のプラグでろ過し、続いてろ液を減圧下で濃縮した。これにより、3を黄色油状物として得た(29.75g、収率93%)。H NMR (400 MHz,クロロホルム-d) δ 7.38 - 7.27 (m, 5H), 4.51 (s, 2H), 4.13 (q, J = 7.1 Hz, 6H), 3.64 (t, J = 6.5 Hz, 6H), 3.48 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 3.39 - 3.33 (m, 8H), 3.30 (s, 2H), 2.52 (t, J = 6.5 Hz, 6H), 1.70 - 1.56 (m, 4H), 1.26 (t, J = 7.1 Hz, 9H)。
【0269】
3,3’-((2-((4-(ベンジルオキシ)ブトキシ)メチル)-2-((3-ヒドロキシプロポキシ)メチル)プロパン-1,3-ジイル)ビス(オキシ))ビス(プロパン-1-オール)(ST40)
乾燥テトラヒドロフラン(331mL)中の、2.4M水素化アルミニウムリチウムのテトラヒドロフラン溶液(76mL、183ミリモル、6.2当量)を0℃の温度に冷却した。次いで、温度が10℃未満に保たれるような速度で、乾燥テトラヒドロフラン(200mL)中の3(17.7g、29.6ミリモル)の溶液を加えた。添加が完了したら、反応混合物をゆっくりと室温に到達させながら一晩撹拌を続けた。反応物をテトラヒドロフラン(100mL)でさらに希釈し、0℃の温度に冷却した。水(2.0mL)、4M NaOH水溶液(2.0mL)および水(6.0mL)をゆっくりと添加することによって、反応混合物のクエンチを行った。白色の沈殿物を乾燥NaSOプラグ上での濾過により除去し、続いてテトラヒドロフランで2回リンスした。濾液を真空中で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン中の0~10%MeOH)によりこれを精製して、ST40を無色油状物として得た(9.55g、収率68%)。H NMR (400 MHz,クロロホルム-d) δ 7.39 - 7.27 (m, 5H), 4.51 (s, 2H), 3.74 (q, J = 5.2 Hz, 6H), 3.58 (t, J = 5.5 Hz, 6H), 3.49 (t, J = 6.1 Hz, 2H), 3.40 (s, 8H), 3.33 (s, 2H), 3.27 (s, 3H), 1.79 (p, J = 5.3 Hz, 6H), 1.71 - 1.58 (m, 4H)。
【0270】
8,8-ビス((3-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)プロポキシ)メチル)-1,1-ビス(4-メトキシフェニル)-1,16-ジフェニル-2,6,10,15-テトラオキサヘキサデカン(ST40DMTrBn)
ピリジンで2回ストリッピングすることによりST40(9.55g、20.21ミリモル)から残留水を除去し、次いで、アルゴン雰囲気下でピリジン(464mL)に再溶解させた。反応混合物にモレキュラーシーブ3A(20g)を加え、15分間攪拌を続けた。固体DMTrCl(30.8g、91ミリモル、4.5当量)を添加し、暗橙色となった混合物の撹拌を一晩続けた。反応物を綿栓で濾過し、濾液をEtN中和シリカに被覆した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中の0~40%EtOAc、5%EtN)により精製を行い、ST40DMTrBnを黄色発泡油として得た(25.3g、収率84%)。H NMR (400 MHz,クロロホルム-d) δ 7.43 - 7.37 (m, 6H), 7.33 - 7.21 (m, 23H), 7.19 - 7.13 (m, 3H), 6.82 - 6.75 (m, 12H), 4.46 (s, 2H), 3.74 (s, 18H), 3.43 (t, J = 6.3 Hz, 2H), 3.39 (t, J = 6.5 Hz, 6H), 3.26 - 3.17 (m, 10H), 3.06 (t, J = 6.4 Hz, 6H), 1.78 (p, J = 6.4 Hz, 6H), 1.64 - 1.49 (m, 4H)。
【0271】
4-(3-(3-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)プロポキシ)-2,2-ビス((3-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)プロポキシ)メチル)プロポキシ)ブタン-1-オール(ST40DMTrOH)
テトラヒドロフラン(275mL)中のST40DMTrBn(25.3g、18.34ミリモル)の溶液に、ジョンソン・マッセイ・タイプ338の炭素上5%パラジウム(5.85g、2.75ミリモル、0.15当量)を添加した。フラスコに水素(大気圧)を充填し、45分の反応時間後、それを窒素でフラッシュした。反応混合物を珪藻土のプラグでろ過し、真空中で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中の0~40%EtOAc、5%EtN)により精製を行い、ST40DMTrOHを白色発泡固体(11.95g、収率50%)として得た。H NMR (400 MHz,クロロホルム-d) δ 7.44 - 7.37 (m, 6H), 7.34 - 7.21 (m, 18H), 7.20 - 7.13 (m, 3H), 6.83 - 6.75 (m, 12H), 3.75 (s, 18H), 3.60 - 3.53 (m, 2H), 3.39 (t, J = 6.4 Hz, 6H), 3.27 (t, 2H), 3.22 (s, 8H), 3.07 (t, J = 6.4 Hz, 6H), 2.26 (t, J = 5.9 Hz, 1H), 1.79 (p, J = 6.5 Hz, 6H), 1.60 - 1.51 (m, 4H)。
【0272】
4-(3-(3-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)プロポキシ)-2,2-ビス((3-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)プロポキシ)メチル)プロポキシ)ブチル(2-シアノエチル)ジイソプロピルホスホルアミダイト(ST41)
乾燥ジクロロメタン(162mL)中のST40DMtrOH(11.95g、9.27ミリモル)の溶液に、DIPEA(16.18mL、93ミリモル、10当量)およびモレキュラーシーブ4A(25g)を添加し、0℃の温度に冷却した。次いで、2-シアノエチルN,N-ジイソプロピルクロロホスホルアミダイト(2.61g、11.03ミリモル、1.2当量)を滴下により15分間かけて反応物に添加した。室温に到達させながら、反応混合物の撹拌をさらに15分間続けた。反応混合物を綿栓で濾過し、濾液をEtN処理シリカ(50g)に被覆した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中の0~35%EtOAc、5%EtN)により精製を行い、無色タール(10.65g、収率77%)としてST41を得た。H NMR (400 MHz,クロロホルム-d) δ 7.44 - 7.37 (m, 6H), 7.33 - 7.21 (m, 18H), 7.20 - 7.13 (m, 3H), 6.83 - 6.75 (m, 12H), 3.86 - 3.70 (m, 20H), 3.67 - 3.50 (m, 4H), 3.39 (t, J = 6.4 Hz, 6H), 3.29 - 3.16 (m, 10H), 3.06 (t, J = 6.4 Hz, 6H), 2.57 (t, 2H), 1.78 (p, J = 6.4 Hz, 6H), 1.65 - 1.49 (m, 4H), 1.16 (dd, J = 9.1, 6.8 Hz, 12H)。
【0273】
【化33】
【0274】
2-(((6-(ベンジルオキシ)ヘキシル)オキシ)メチル)-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオール(4)
ジメチルスルホキシド(110mL)中のペンタエリスリトール(55.2g、406ミリモル、10当量)の懸濁液に、水酸化カリウム(22.76g、406ミリモル、10当量)を加え、室温で15分間攪拌した。次いで、1.5時間にわたって、ジメチルスルホキシド(36.6mL)中のベンジル6-ブロモヘキシルエーテル(11g、40.6ミリモル、1当量)の溶液を加えた。添加が完了したら、反応混合物の撹拌を室温で一晩続けた。反応混合物を3M HCl水溶液の添加によりpH~1に酸性化し、得られた白色エマルジョンを水(700mL)でさらに希釈し、分液漏斗に移し、生成物をジクロロメタン(4×70mL)で抽出した。合わせた有機層を水(3×70mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧濃縮した。淡黄色油状物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中の50~100%EtOAc)により精製して、4を無色油状物として得た(9.16g、収率67%)。H NMR (400 MHz,クロロホルム-d) δ 7.38 - 7.27 (m, 5H), 4.50 (s, 2H), 3.70 (s, 6H), 3.49 - 3.39 (m, 6H), 2.83 (s, 3H), 1.66 - 1.52 (m, 4H), 1.45 - 1.28 (m, 4H)。
【0275】
ジエチル3,3’-((2-(((6-(ベンジルオキシ)ヘキシル)オキシ)メチル)-2-(((3-エトキシ-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル)オキシ)メチル)プロパン-1,3-ジイル)ビス(オキシ))ジアクリレート(5)
ジクロロメタン(150mL)中の2(9.1g、27.9ミリモル)の溶液に、N-メチルモルホリン(13.79mL、125ミリモル、4.5当量)を加えた。反応混合物を氷浴上で冷却し、そこにプロピオン酸エチル(11.30mL、112ミリモル)を単一ストリームを介して加えた。反応混合物の撹拌を15分間続け、続いて反応混合物を室温まで温めた。2時間の反応時間の後、反応混合物を減圧濃縮して暗褐色油状物を得た。粗物質の精製をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中の0~30%EtOAc)により行い、5を淡黄色油状物として得た(15.85g、収率79%)。H NMR (400 MHz,クロロホルム-d) δ 7.54 (d, J = 12.6 Hz, 3H), 7.37 - 7.27 (m, 5H), 5.23 (d, J = 12.6 Hz, 3H), 4.50 (s, 2H), 4.16 (q, J = 7.1 Hz, 6H), 3.88 (s, 6H), 3.46 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 3.41 (s, 2H), 3.36 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 1.65 - 1.49 (m, 4H), 1.43 - 1.21 (m, 13H)。
【0276】
ジエチル3,3’-((2-(((6-(ベンジルオキシ)ヘキシル)オキシ)メチル)-2-((3-エトキシ-3-オキソプロポキシ)メチル)プロパン-1,3-ジイル)ビス(オキシ))ジプロパノエート(6)
エタノール(750mL)中の5(15.85g、25.5ミリモル)の溶液に、炭素上の10%パラジウム(1.359g、1.277ミリモル、0.05当量)およびピリジン(1.033mL、12.77ミリモル、0.5当量)を添加した。反応混合物に水素(大気圧)を加え、これを室温で一晩撹拌した。反応混合物を珪藻土のプラグで濾過した後、濾液を減圧下で濃縮し、6を淡黄色油状物として得た(15.27g、収率91%)。H NMR (400 MHz,クロロホルム-d) δ 7.37 - 7.27 (m, 5H), 4.50 (s, 2H), 4.14 (q, J = 7.1 Hz, 6H), 3.64 (t, J = 6.5 Hz, 6H), 3.47 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 3.40 - 3.26 (m, 10H), 2.52 (t, J = 6.5 Hz, 6H), 1.69 - 1.46 (m, 4H), 1.44 - 1.30 (m, 4H), 1.26 (t, J = 7.1 Hz, 9H)。
【0277】
3,3’-((2-(((6-(ベンジルオキシ)ヘキシル)オキシ)メチル)-2-((3-ヒドロキシプロポキシ)メチル)プロパン-1,3-ジイル)ビス(オキシ))ビス(プロパン-1-オール)(ST42)
乾燥テトラヒドロフラン(360mL)中の6(19.27g、30.7ミリモル)の溶液を0℃の温度に冷却した。次いで、テトラヒドロフラン(128mL、307ミリモル、10当量)中の2.4M水素化アルミニウムリチウムを滴下により1時間かけて添加した。添加が完了したら、反応混合物をゆっくりと室温に到達させながら一晩撹拌を続けた。冷却した後、水(11.7mL)、4M NaOH水溶液(11.7mL)および水(35mL)をゆっくり添加することによって反応を停止させた。白色の沈殿物を乾燥NaSOプラグ上での濾過により除去し、続いてテトラヒドロフランで2回リンスした。濾液を減圧下で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン中の0~6%MeOH)により精製を行って、ST42(11.64g、収率72%)を無色油として得た。H NMR (400 MHz,クロロホルム-d) δ 7.38 - 7.27 (m, 5H), 4.50 (s, 2H), 3.74 (t, J = 5.4 Hz, 6H), 3.58 (t, J = 5.5 Hz, 6H), 3.47 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 3.40 (s, 6H), 3.36 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 3.32 (s, 2H), 3.29 (s, 3H), 1.79 (p, J = 5.4 Hz, 6H), 1.70 - 1.49 (m, 4H), 1.44 - 1.28 (m, 4H)。
【0278】
8,8-ビス((3-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)プロポキシ)メチル)-1,1-ビス(4-メトキシフェニル)-1,18-ジフェニル-2,6,10,17-テトラオキサオクタデカン(ST43DMTrBn)
ピリジンで2回ストリッピングすることによりST42(4.00g、7.99ミリモル)から残留水を除去し、次いで、アルゴン雰囲気下でピリジン(165mL)に再溶解させた。反応混合物にモレキュラーシーブ4A(8g)を加え、15分間撹拌を続けた。固体DMTrCl(13.54g、39.9ミリモル、5当量)を添加し、暗橙色となった混合物の撹拌を室温で続けた。2時間後、追加のDMTrCl(4.06g、11.98ミリモル、1.5当量)を加え、撹拌を一晩続けた。反応物を綿栓で濾過し、濾液をEtN中和シリカ(40g)に被覆した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中の0~35%EtOAc、5%EtN)により精製を行い、ST43DMTrBnを黄色発泡油(10.44g、収率86%)として得た。H NMR (400 MHz,クロロホルム-d) δ 7.43 - 7.37 (m, 6H), 7.34 - 7.21 (m, 23H), 7.19 - 7.12 (m, 3H), 6.82 - 6.76 (m, 12H), 4.47 (s, 2H), 3.74 (s, 18H), 3.41 (dt, J = 14.6, 6.5 Hz, 8H), 3.26 - 3.16 (m, 10H), 3.06 (t, J = 6.4 Hz, 6H), 1.78 (p, J = 6.5 Hz, 6H), 1.56 (p, 2H), 1.45 (p, J = 6.6 Hz, 2H), 1.38 - 1.21 (m, 4H)。
【0279】
6-(3-(3-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)プロポキシ)-2,2-ビス((3-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)プロポキシ)メチル)プロポキシ)ヘキサン-1-オール(ST43DMTrOH)
テトラヒドロフラン)(200mL)中のST43DMTrBn(10.2g、7.25ミリモル)の溶液に、炭素上の5%パラジウムであるジョンソン・マッセイ・タイプ338(2.313g、1.08ミリモル、0.15当量)を添加した。フラスコに水素(大気圧)を充填し、50分の反応時間の後、それを窒素でフラッシュした。反応混合物を珪藻土のプラグで濾過し、減圧濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中の0~40%EtOAc、5%EtN)により精製を行い、ST43DMTrOHを白色泡状物として得た(3.83g、収率38%)。H NMR (400 MHz,クロロホルム-d) δ 7.44 - 7.36 (m, 6H), 7.34 - 7.21 (m, 18H), 7.20 - 7.13 (m, 3H), 6.84 - 6.73 (m, 12H), 3.75 (s, 18H), 3.62 - 3.53 (m, 2H), 3.40 (t, J = 6.4 Hz, 6H), 3.27 - 3.16 (m, 10H), 3.07 (t, J = 6.4 Hz, 6H), 1.79 (p, J = 6.4 Hz, 6H), 1.56 - 1.41 (m, 4H), 1.37 - 1.23 (m, 5H)。
【0280】
6-(3-(3-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)プロポキシ)-2,2-ビス((3-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)プロポキシ)メチル)プロポキシ)ヘキシル(2-シアノエチル)ジイソプロピルホスホルアミダイト(ST43)
乾燥ジクロロメタン(50mL)中のST43DMtrOH(3.83g、2.76ミリモル)の溶液に、DIPEA(4.82mL、27.6ミリモル、10当量)およびモレキュラーシーブ4A(7g)を加え、0℃の温度に冷却した。次いで、2-シアノエチルN、N-ジイソプロピルクロロホスホルアミダイト(0.948g、4.00ミリモル、1.45当量)を15分かけて滴下により反応物に添加した。室温に到達させながら、反応混合物の撹拌をさらに15分間続けた。反応混合物を綿栓で濾過し、濾液をEtN処理したシリカ(10g)に被覆した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中の0~30%EtOAc、5%EtN)により精製を行い、ST43を無色タール(3.48g、収率83%)として得た。H NMR (400 MHz,クロロホルム-d) δ 7.44 - 7.37 (m, 6H), 7.33 - 7.20 (m, 18H), 7.19 - 7.13 (m, 3H), 6.83 - 6.75 (m, 12H), 3.87 - 3.69 (m, 20H), 3.66 - 3.51 (m, 4H), 3.39 (t, J = 6.4 Hz, 6H), 3.28 - 3.15 (m, 10H), 3.07 (t, J = 6.4 Hz, 6H), 2.60 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 1.79 (p, J = 6.4 Hz, 6H), 1.58 (p, J = 3.9 Hz, 2H), 1.46 (p, J = 6.7 Hz, 2H), 1.39 - 1.23 (m, 4H), 1.17 (t, J = 7.3 Hz, 12H)。
【0281】
【化34】
【0282】
((8-ブロモオクチル)オキシ)(tert-ブチル)ジメチルシラン(7)
乾燥N,N-ジメチルホルムアミド(10mL)中の8-ブロモオクタン-1-オール(8g、38.3ミリモル)の溶液に、イミダゾール(6.51g、96ミリモル、2.5当量)を添加した。透明な溶液が得られたら、TBDMS-Cl(7.50g、49.7ミリモル、1.2当量)を少量ずつ添加したところ発熱反応が観察され、最高温度は40℃に達した。反応混合物の撹拌を室温で一晩続けた。得られた黄色の懸濁液をEtO(40mL)で希釈し、ブライン(40mL)で洗浄した。水層をEtO(2×40mL)でさらに2回抽出し、合わせた有機層をNaSOで乾燥させた。減圧下で濃縮した後、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中の0~40%EtOAc)により精製を行い、7を無色油状物として得た(11.73g、収率95%)。H NMR (400 MHz,クロロホルム-d) δ 3.60 (t, J = 6.6, 1.7 Hz, 2H), 3.41 (t, J = 6.9 Hz, 2H), 1.85 (p, J = 7.0 Hz, 2H), 1.60 - 1.37 (m, 4H), 1.37 - 1.24 (m, 6H), 0.89 (s, 9H), 0.05 (s, 6H)。
【0283】
2-(((8-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)オクチル)オキシ)メチル)-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオール(8)
ジメチルスルホキシド(45mL)中のペンタエリスリトール(16.84g、124ミリモル、10当量)の懸濁液に、水酸化カリウム(6.94g、124ミリモル、10当量)を加え、これを室温で15分間撹拌した。次いで、2時間かけて、7(4g、12.37ミリモル、1当量)を添加した。添加が完了したら、反応混合物の撹拌を室温で一晩続けた。反応混合物をEtO(3×150mL)で3回抽出し、全ての有機層をブライン(50mL)で別々に洗浄した。次いで、合わせた水層をEtO(50mL)でもう一度抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。淡黄色油状物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中の0~100%EtOAc)により精製して、8を無色油状物として得た(0.53g、収率11%)。H NMR (400 MHz,クロロホルム-d) δ 3.72 (d, J = 3.7 Hz, 6H), 3.60 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 3.47 (s, 2H), 3.42 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 2.73 (s, 3H), 1.63 - 1.44 (m, 4H), 1.30 (s, 8H), 0.89 (s, 9H), 0.05 (s, 6H)。
【0284】
エチル15,15-ビス(((3-エトキシ-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル)オキシ)メチル)-2,2,3,3-テトラメチル-4,13,17-トリオキサ-3-シライコス-18-エン-20-オエート(9)
ジクロロメタン(30mL)中の8(2.94g、7.76ミリモル)の溶液に、N-メチルモルホリン(3.84mL、34.9ミリモル、4.5当量)およびエチルプロピオネート(3.7mL、36.5ミリモル、4.7当量)を添加した。発熱反応が観察され、氷浴を用いて20℃の温度に冷却した。反応混合物の撹拌を室温で一晩続けた。反応混合物を減圧濃縮して暗褐色油状物を得た。これをフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中の0~40%EtOAc)により精製して、9を淡黄色油状物として得た(3.84g、収率73%)。H NMR (400 MHz,クロロホルム-d) δ 7.54 (d, J = 12.6 Hz, 3H), 5.23 (d, J = 12.6 Hz, 3H), 4.16 (q, J = 7.1 Hz, 6H), 3.89 (s, 6H), 3.59 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 3.42 (s, 2H), 3.36 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 1.56 - 1.45 (m, 4H), 1.35 - 1.22 (m, 17H), 0.89 (s, 9H), 0.05 (s, 6H)。
【0285】
エチル15,15-ビス((3-エトキシ-3-オキソプロポキシ)メチル)-2,2,3,3-テトラメチル-4,13,17-トリオキサ-3-シライコサン-20-オエート(10)
エタノール(167mL)中の9(3.84g、5.71ミリモル)の溶液に、炭素上の10%パラジウム(0.304g、0.285ミリモル、0.05当量)およびピリジン(0.213mL、2.85ミリモル、0.5当量)を添加した。反応混合物に水素(大気圧)を加え、混合物の撹拌を室温で一晩続けた。反応混合物を珪藻土のプラグで濾過した後、濾液を減圧濃縮し、10を黄色油状物として得た(3.86g、収率100%)。H NMR (400 MHz,クロロホルム-d) δ 4.14 (q, J = 7.1 Hz, 6H), 3.64 (t, J = 6.5 Hz, 6H), 3.59 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 3.40 - 3.28 (m, 10H), 2.53 (t, J = 6.5 Hz, 6H), 1.55 - 1.46 (m, 4H), 1.35 - 1.23 (m, 17H), 0.89 (s, 9H), 0.05 (s, 6H)。
【0286】
15、15-ビス((3-ヒドロキシプロポキシ)メチル)-2,2,3,3-テトラメチル-4,13,17-トリオキサ-3-シライコサン-20-オール(ST44)
乾燥テトラヒドロフラン(67mL)中の10(3.86g、5.69ミリモル)の溶液を-5℃の温度に冷却した。次いで、テトラヒドロフラン(24mL、57ミリモル、10当量)中の2.4M水素化リチウムアルミニウムを滴下により1時間かけて添加した。添加が完了したら、反応混合物をゆっくりと室温に到達させながら一晩撹拌を続けた。翌日、反応混合物を0℃の温度に冷却し、硫酸ナトリウム・十水和物(18.32g、56.9ミリモル、10当量)をバッチ式で添加することによりクエンチした。白色の沈殿物を、乾燥NaSOプラグによる濾過によって除去し、続いてテトラヒドロフランで2回すすいだ。濾液を減圧下で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン中の0~7%MeOH)による精製を行って、ST44を淡黄色油状物(1.96g、収率60%)として得た。H NMR (400 MHz,クロロホルム-d) δ 3.75 (t, J = 5.3 Hz, 6H), 3.64 - 3.55 (m, 8H), 3.48 - 3.27 (m, 13H), 1.80 (h, J = 5.4, 4.8 Hz, 6H), 1.58 - 1.46 (m, 4H), 1.36 - 1.25 (m, 8H), 0.89 (s, 9H), 0.05 (s, 6H)。
【0287】
8,8-ビス((3-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)プロポキシ)メチル)-1,1-ビス(4-メトキシフェニル)-20,20,21,21-テトラメチル-1-フェニル-2,6,10,19-テトラオキサ-20-シラドコサン(ST45DMTrTBDMS)
ピリジンで2回ストリッピングすることによりST44(1.94g、3.51ミリモル)から残留水を除去し、次いで、アルゴン雰囲気下でピリジン(70mL)に再溶解させた。反応混合物にモレキュラーシーブ4A(4g)を加え、15分間攪拌を続けた。固体DMTrCl(4.16g、12.28ミリモル、3.5当量)を2時間かけてバッチで添加した。さらに1.5時間後、追加のDMTrCl(2.38g、7.02ミリモル、2当量)を加え、暗橙色となった混合物の撹拌を室温で一晩続けた。この反応物を、MeOH(4.4mL、109ミリモル、31当量)の添加によってクエンチし、15分間撹拌した。次いで、反応混合物を綿栓で濾過し、濾液をEtN中和シリカ(20g)に被覆した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中の0~100%EtOAc、5%EtN)により精製し、ST45DMTrTBDMSを黄色発泡油として得た(0.44g、収率8%)。出発物質および中間体を収率60%で回収した。H NMR (400 MHz,クロロホルム-d) δ 7.43 - 7.38 (m, 6H), 7.27 (q, J = 8.1, 7.3 Hz, 18H), 7.19 - 7.13 (m, 3H), 6.81 - 6.76 (m, 12H), 3.76 (s, 18H), 3.58 (td, J = 6.5, 3.0 Hz, 2H), 3.44 (dt, J = 33.9, 6.4 Hz, 6H), 3.35 - 3.16 (m, 10H), 3.07 (t, J = 6.4 Hz, 6H), 1.79 (h, J = 6.3 Hz, 6H), 1.52 - 1.39 (m, 4H), 1.34 - 1.20 (m, 8H), 0.89 (s, 9H), 0.04 (s, 6H)。
【0288】
8-(3-(3-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)プロポキシ)-2,2-ビス((3-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)プロポキシ)メチル)プロポキシ)オクタン-1-オール(ST45DMTrOH)
乾燥テトラヒドロフラン(12mL)中のST45DMTrTBDMS(2.20g、1.507ミリモル)の溶液に、テトラヒドロフラン(1.688mL、1.688ミリモル、1.12当量)中の1M TBAFを添加し、これを室温で一晩撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中の0~100%EtOAc、5%EtN)により精製して、ST45DMTrOHを無色油状物として得た(1.74g、収率83%)。H NMR (400 MHz,クロロホルム-d) δ 7.44 - 7.37 (m, 6H), 7.34 - 7.21 (m, 18H), 7.20 - 7.12 (m, 3H), 6.82 - 6.75 (m, 12H), 3.75 (s, 18H), 3.59 (q, J = 6.5 Hz, 2H), 3.40 (t, J = 6.5 Hz, 6H), 3.26 - 3.15 (m, 10H), 3.07 (t, J = 6.4 Hz, 6H), 1.79 (p, J = 6.4 Hz, 6H), 1.56 - 1.39 (m, 4H), 1.37 - 1.20 (m, 9H)。
【0289】
8-(3-(3-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)プロポキシ)-2,2-ビス((3-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)プロポキシ)メチル)プロポキシ)オクチル(2-シアノエチル)ジイソプロピルホスホルアミダイト(ST45)
乾燥ジクロロメタン(25mL)中のST45DMTrOH(1.9g、1.412ミリモル)の溶液に、DIPEA(2.466mL、14.12ミリモル、10当量)およびモレキュラーシーブ4A(3.8g)を添加し、0℃の温度に冷却した。次いで、2-シアノエチルN、N-ジイソプロピルクロロホスホルアミダイト(0.401g、1.694ミリモル、1.2当量)を5分間かけて滴下により反応物に添加した。室温に到達させながら、反応混合物の撹拌をさらに15分間続けた。反応混合物を綿栓で濾過し、濾液をEtN処理したシリカ(7.5g)上に被覆した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中の0~100%EtOAc、5%EtN)により精製して、ST45を透明な油として得た(1.37g、収率59%)。H NMR (400 MHz,クロロホルム-d) δ 7.44 - 7.37 (m, 6H), 7.33 - 7.20 (m, 18H), 7.19 - 7.13 (m, 3H), 6.82 - 6.74 (m, 12H), 3.88 - 3.70 (m, 20H), 3.68 - 3.52 (m, 4H), 3.39 (t, J = 6.4 Hz, 6H), 3.30 - 3.15 (m, 10H), 3.07 (t, J = 6.4 Hz, 6H), 2.61 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 1.79 (h, J = 6.5, 5.9 Hz, 6H), 1.63 - 1.54 (m, 2H), 1.50 - 1.40 (m, 2H), 1.37 - 1.21 (m, 8H), 1.17 (t, J = 6.4 Hz, 12H)。
【0290】
実施例3-核酸コンジュゲートの合成
すべてのオリゴヌクレオチドは、AKTAオリゴパイロットシンセサイザーで合成された。市販の固体支持体および2’O-メチルRNAホスホルアミダイト、2’-フルオロ、2’-デオキシRNAホスホルアミダイトおよび市販の長いトレブラーホスホルアミダイト(STKS)(グレンリサーチ)を使用した。オリゴヌクレオチド合成、脱保護および精製は、当技術分野で公知の標準的な手順に従った。オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドコンジュゲートの合成は、商業的に利用可能なオリゴヌクレオチド製造業者(バイオスプリング、フランクフルト、ドイツ)によって実施した。
【0291】
【化35】
【0292】
GalNAcシントン(ST21、ST23、ST31)またはトレブラーシントン(STKS、ST41、ST43、ST45)の共役は、標準的なホスホルアミダイトのカップリング条件下で、対応するホスホルアミダイトをオリゴ鎖の5’末端にカップリングすることにより行った。ホスホロチオエートの導入は、標準的な市販のチオール化試薬(EDITH、リンクテクノロジーズ)を用いて行った。
【0293】
一本鎖は、メチルアミン水溶液を用いてCPGを切断し、得られた粗オリゴヌクレオチドについては、塩化ナトリウム勾配を用いたAKTAピュアHPLCシステム上のイオン交換クロマトグラフィー(リソースQ、6mL、GEヘルスケア)を用いて精製した。生成物を含有する画分をプールし、サイズ排除カラム(ゼータデックス、EMPバイオテック)上で脱塩し、凍結乾燥した。
【0294】
二本鎖化には、それぞれの一本鎖の等モル量を水に溶解し、80℃で5分間加熱した。冷却後、得られた二本鎖を凍結乾燥した。
【0295】
【表2】
【0296】
比較核酸コンジュゲート分子の合成-TTRCF02
【0297】
【化36】
【0298】
GalNAcリンカーST13の活性エステル(NHS)を用いて、センス鎖を合成後に修飾した:
【0299】
【化37】
【0300】
ST13の合成およびカップリングは、PFP活性エステルの代わりにNHSを使用したこと以外は、公開された手順(Ostergaard、Bioconjug Chem.2015 Aug 19;26(8):1451-5)と同様に行った。
【0301】
最終コンジュゲート(TTRCF02)の構造:
【0302】
【化38】
【0303】
配列
以下の配列の修飾キー:
太字=2’O-メチルリボヌクレオチド
下線=2’フルオロ/2’デオキシリボヌクレオチド
ps=ホスホロチオエート結合
【0304】
【化39】
【0305】
以下の配列の修飾キー:
fは2’フルオロ2’デオキシリボヌクレオチドを示し、
mは2’Oメチルリボヌクレオチドを示し、
(ps)はホスホロチオエート結合を示す。
【0306】
【化40】
【0307】
【化41】
【0308】
実施例4-インビボアッセイおよびマウスにおけるTTRノックダウンの持続時間
8週齢の雄のC57BL/6JOlaHsdマウスに、300μL/kgの単回皮下注射(各群4匹)によりそれぞれの用量を注射した。
【0309】
各時点でマウスを屠殺し、肝臓を採取し、TAQman分析を用いてTTR mRNAについて分析した。
【0310】
インビボでの標的遺伝子の発現:
新鮮な肝臓組織から、実質的にFehringら、2014年に記載の手法により、全RNAを単離した:
標的mRNAノックダウン分析のために、マウスを屠殺した直後に組織を解剖し、直ちに液体窒素中で急速冷凍した。タングステンカーバイドビーズ(キアゲン、ヒルデン、ドイツ)を使用して、MixerMillMM301(レッチュゲーエムベーハー、ハーン、ドイツ)で約20mgの組織をホモジナイズした。InvisorbSpinTissueRNAMiniKit(インビテック、ベルリン、ドイツ)を用いて、全RNAをライセートから単離した。組織に応じて、25~100ngの全RNAを、バイオテズゲーエムベーハー、ベルリン、ドイツから得られたアンプリコンセットを用いた定量的TaqManRT-PCRに使用した:TaqManRT-PCR反応は、RT-PCRのための標準的なプロトコールを用いたABIPRISM7700SequenceDetector(ソフトウェア:SequenceDetectionSystem v1.6.3(エービーアイライフテクノロジーズ))またはStepOnePlusRealTimePCR System(ABI)により、それぞれ300nmol/Lおよび100nmol/Lの濃度のプライマーおよびプローブを用いて(Fehringら、2014年に記載されているように)行った。TaqManデータは、比較Ct法を用いて計算した。mRNAレベルをPTENに対して正規化した。
【0311】
【表3】
【0312】
上記の方法を、1mg/kgの単回皮下投与に用いた。マウスを注射の2日後に犠牲にした。試験化合物は、TTRCF02、TTRCF02V20、TTRCF02V21、TTRCF02V22およびTTRCF02V23であった。GalNAcリンカーシステム(TTRCF02V21およびTTRCF02V23)にホスホロチオエートを導入したところ、標準的なホスホジエステル結合(TTRCF02V20およびTTRCF02V22)と比較して実質的に大きい効力を示した。結果を図2に示す。
【0313】
上記の方法を、2mg/kgの単回皮下投与に用いた。所定の時点(注入後7,14,21および28日)にマウスを屠殺した。試験化合物は、PTENCF02(コントロール)、TTRCF02、TTRCF02V21およびTTRCF02V23であった。結果を図3に示す。
【0314】
実施例5-TTRCF02V21およびTTRCF02V23の用量力価
8週齢の雄性C57BL/6JOlaHsdマウスに、300μL/kgの単回皮下注射(1群当たり4匹)のそれぞれの用量(3、1、0.3、0.1mg/kg)を注射した。PBSをコントロールとして使用した。2日後にマウスを屠殺し、肝臓を採取し、TAQman分析を用いてTTR mRNAについて分析した。実施例4と同様にしてサンプルの分析を行った。
【0315】
siRNA GalNAcコンジュゲートTTRCF02V21およびTTRCF02V23の両方が、用量依存的にTTRレベルを低下させるのに非常に有効であった。結果を図4に示す。
【0316】
実施例6-様々なTTR siRNA GalNAcコンジュゲートのTTRノックダウンのインビトロでの定量
種々のTTR siRNA GalNAcコンジュゲートであるSTS016L4~L9のTTRノックダウンについてのインビトロでの定量を、肝細胞アッセイにより行った。
【0317】
一次肝細胞(ライフテクノロジー)を、製造者のプロトコールに従って6ウェルプレート(600,000細胞/ウェル)に播種し、それぞれの濃度のGalNacコンジュゲートとともにインキュベートした。インキュベーションの24時間後に細胞を回収し、RNAを単離し、実施例4と同様にTaqman分析を用いて分析した。
【0318】
すべての異なるsiRNA GalNAcコンジュゲートであるSTS016L4~L9が、TTRレベルの低減に非常に有効であった。結果を図5および図6に示す。TTRCF02V23は陽性対照を表す。GN_Lucは陰性対照を表す。
【0319】
実施例7-インビボアッセイおよびマウスにおけるTTRノックダウンの持続時間
8週齢の雄のC57BL/6JOlaHsdマウスに、1mg/kgの用量を300μL/kgの単回皮下注射(1群当たり4匹)で注射した。
【0320】
各時点(注射後8日目、15日目、22日目)後に血液を採取し、市販のマウスTTR特異的ELISAキットを用いてTTRレベルを分析した。
【0321】
すべての異なるsiRNA GalNAcコンジュゲートであるSTS016L4~L9が、TTRレベルの低減に非常に有効であった。結果を図7に示す。
【0322】
実施例8-マウスにおけるPTENノックダウンのインビボアッセイ
8週齢の雄のC57BL/6JOlaHsdマウスに、300μL/kgの単回皮下注射(1群当たり4匹)のそれぞれの用量(1、3、10mg/kg)を注射した。PBSをコントロールとして使用した。
【0323】
投与2日後にマウスを屠殺し、肝臓を採取し、TAQman分析を用いてPTENmRNAについて分析した。
【0324】
インビボでの標的遺伝子の発現:
新鮮な肝臓組織から、実質的にFehringら、2014年に記載の手法を用いて全RNAを単離した:
標的mRNAノックダウン分析のために、マウスを屠殺した直後に組織を解剖し、直ちに液体窒素中で急速冷凍した。タングステンカーバイドビーズ(キアゲン、ヒルデン、ドイツ)を使用してMixerMillMM301(レッチュゲーエムベーハー、ハーン、ドイツ)で約20mgの組織をホモジナイズした。InvisorbSpinTissueRNAMiniKit(インビテック、ベルリン、ドイツ)を用いて、全RNAをライセートから単離した。組織に応じて、25~100ngの全RNAを、バイオテズゲーエムベーハー、ベルリン、ドイツから得られたアンプリコンセットを用いた定量的TaqManRT-PCRに使用した:TaqManRT-PCR反応は、RT-PCRのための標準的なプロトコールを用いたABIPRISM7700SequenceDetector(ソフトウェア:SequenceDetectionSystem v1.6.3(エービーアイライフテクノロジーズ))またはStepOnePlusRealTimePCR System(ABI)により、それぞれ300nmol/Lおよび100nmol/Lの濃度のプライマーおよびプローブを用いて(Fehringら、2014年に記載されているように)行った。PTEN用のTaqManプローブは、実施例4に記載のものと同じであった。
【0325】
結果を図8に示す。PTENの明確な用量依存性ノックダウンが確認された。
【0326】
参考文献:
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図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【配列表】
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