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特許7120927フェニルプロパンアミド誘導体ならびにそれらの製造方法および医薬用途
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  • 特許-フェニルプロパンアミド誘導体ならびにそれらの製造方法および医薬用途 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】フェニルプロパンアミド誘導体ならびにそれらの製造方法および医薬用途
(51)【国際特許分類】
   C07K 5/103 20060101AFI20220809BHJP
   A61K 38/07 20060101ALI20220809BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20220809BHJP
   A61P 3/02 20060101ALI20220809BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20220809BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20220809BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20220809BHJP
   A61P 27/06 20060101ALI20220809BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20220809BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220809BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
C07K5/103
A61K38/07
A61P1/00
A61P3/02
A61P7/00
A61P11/00
A61P17/04
A61P27/06
A61P25/04
A61P43/00 111
A61P29/00
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2018563586
(86)(22)【出願日】2017-06-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-24
(86)【国際出願番号】 CN2017087328
(87)【国際公開番号】W WO2017211272
(87)【国際公開日】2017-12-14
【審査請求日】2020-05-13
(31)【優先権主張番号】201610397516.3
(32)【優先日】2016-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516174219
【氏名又は名称】江蘇恒瑞医薬股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】516174208
【氏名又は名称】上海恒瑞医薬有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI HENGRUI PHARMACEUTICAL CO., LTD
【住所又は居所原語表記】NO. 279 WENJING ROAD, MINHANG DISTRICT, SHANGHAI 200245, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】李 心
(72)【発明者】
【氏名】王 斌
(72)【発明者】
【氏名】銭 文建
(72)【発明者】
【氏名】陳 陽
(72)【発明者】
【氏名】賀 峰
(72)【発明者】
【氏名】陶 維康
【審査官】斉藤 貴子
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-509343(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
〔式中、
Mは無機酸または有機酸であり;
GはO、および-CRから成る群から選択され;
は6~10員アリールC~Cアルキル、3~6員シクロアルキルC~Cアルキルおよび3~6員シクロアルキルから成る群から選択され、ここで6~10員アリールC~Cアルキル、3~6員シクロアルキルC~Cアルキルおよび3~6員シクロアルキルはそれぞれ、C~Cアルキル、3~6員シクロアルキルおよび6~10員アリールから成る群から選択される1以上の基により、場合により置換されていてよく;
は水素、C~Cアルキル、C~Cハロアルキルおよび3~6員シクロアルキルから成る群から選択され;
およびRはそれぞれ、独立して、水素、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cヒドロキシアルキル、ヒドロキシ、-C(O)OR、-NRおよび-NHC(O)NRから成る群から選択され;
は水素およびC~Cアルキルから成る群から選択され;
およびRはそれぞれ、独立して、水素およびC~Cアルキルから成る群から選択され;そして
zは0または1である〕
の化合物またはその互変異性体、メソ体、もしくはラセミ体、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
式(III):
【化2】
〔式中、
M、G、Rおよびzは請求項1で定義されるとおりである〕
の化合物である、請求項1に記載の化合物またはその互変異性体、メソ体、もしくはラセミ体、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
式(IV):
【化3】
〔式中、
M、Rおよびzは請求項1で定義されるとおりである〕
の化合物である、請求項1または2に記載の化合物またはその互変異性体、メソ体、もしくはラセミ体、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
式(III-A):
【化4】
〔式中、
10は水素またはC~Cアルキルであり;
11およびR12は同一であるかまたは異なり、それぞれ水素またはC~Cアルキルであり;
またはR11およびR12は一体となって3~6員シクロアルキルを形成し;
13は水素またはC~Cアルキルであり;
sは0、1または2であり;そして
G、Mおよびzは請求項1で定義されるとおりである〕
の化合物である、請求項1または2に記載の化合物またはその互変異性体、メソ体、もしくはラセミ体、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
GがCRであり、RおよびRが請求項4で定義されるとおりである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
式(IV-A):
【化5】
〔式中、
10~R13、M、zおよびsは請求項4で定義されるとおりである〕
の化合物である、請求項1または2に記載の化合物またはその互変異性体、メソ体、もしくはラセミ体、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
式(IV-B):
【化6】
〔式中、
10~R11、R13、M、zおよびsは請求項4で定義されるとおりである〕
の化合物である、請求項1または2に記載の化合物またはその互変異性体、メソ体、もしくはラセミ体、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
Mが有機酸である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
Mがトリフルオロ酢酸である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
化合物が
【化7】
から成る群から選択される、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項11】
式(VI):
【化8】
〔式中、
はアミノ保護基であり;そして
GおよびRは請求項2で定義されるとおりである〕
の化合物またはその互変異性体、メソ体、もしくはラセミ体、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
がt-ブトキシカルボニル、9-フルオレニルメトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、トリクロロエトキシカルボニル、トリメチルシリルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、p-メチルベンゼンスルホニル、p-ニトロベンゼンスルホニルおよびtert-ブチルから成る群から選択される、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
酸性条件下、式(VI)の化合物におけるRの保護基を除去し、式(III):
【化9】
〔式中、
M、G、zおよびRは請求項2で定義されるとおりであり、Rは請求項11で定義されるとおりである〕
の化合物を得る工程を含む、請求項2に記載の式(III)の化合物を製造する方法。
【請求項14】
治療有効量の請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物および1以上の薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項15】
κオピオイド受容体アゴニスト介在性および関連性疾患を予防および/または処置するための医薬の製造における、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物、または請求項14に記載の医薬組成物の使用。
【請求項16】
κオピオイド受容体アゴニスト介在性および関連性疾患が疼痛、炎症、そう痒、浮腫、低ナトリウム血症、低カリウム血症、腸閉塞、咳嗽および緑内障から成る群から選択される、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
κオピオイド受容体アゴニスト介在性および関連性疾患が疼痛である、請求項15または16に記載の使用。
【請求項18】
疼痛および疼痛に関連する疾患を予防および/または処置するための医薬の製造における、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物、または請求項14に記載の医薬組成物の使用。
【請求項19】
疼痛が神経障害性疼痛、体幹痛、内臓痛、皮膚痛、関節炎痛、腎臓結石痛、子宮痙攣、月経困難症、子宮内膜症、消化不良、術後痛、医療処置後の疼痛、眼痛、耳炎痛、劇症癌痛およびGI障害に関連する疼痛から成る群から選択される、請求項16~18のいずれか一項に記載の使用。
【請求項20】
アゴナイズκオピオイド受容体に対する医薬の製造における、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物、または請求項14に記載の医薬組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬の分野に属し、フェニルプロパンアミド誘導体、その製造方法および医薬におけるその使用に関する。特に、本発明は式(I)で表されるフェニルプロパンアミド誘導体、その製造方法およびそれを含む医薬組成物、κ-オピオイド受容体(KOR)アゴニストとしてのその使用ならびに疼痛および疼痛に関連する疾患を処置および/または予防するための医薬の製造におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
オピオイド受容体はGタンパク質共役受容体の重要な一群であり、内因性オピオイドペプチドおよびオピオイドの結合標的である。活性化オピオイド受容体は神経系免疫および内分泌系における調節の役割を果たす。オピオイドは現在、最も強力であり、最も一般的に使用される中枢性鎮痛剤である。内因性オピオイドペプチドは哺乳動物において天然に存在するオピオイド活性物質である。現在知られている内因性オピオイドペプチドはエンケファリン、エンドルフィン、ダイノルフィンおよびネオモルフィンに大きく分類される(Pharmacol Rev 2007; 59: 88-123)。中枢神経系において対応するオピオイド受容体、すなわち、μ受容体、δ受容体、κ受容体などが存在する。
【0003】
κ-オピオイド受容体(KOR)は380個のアミノ酸から成り、ダイノルフィンはその内因性リガンドである。それは感覚ニューロン、後根神経節細胞および一次求心性ニューロンにおいて発現し、疼痛、神経内分泌、情動行動および認知のような重要な生理学的活動に関与する。ヒトKORはOPRK1遺伝子によりコードされ、染色体8q11-12に位置することが現在知られている(Simonin F, Gaveriaux Ruff C, Kieffer BL, et al. Proc Natl Acad Sci USA 1995, 92(15): 7006-10)。活性化KORはGタンパク質Gi/G0と結合し、ホスホジエステラーゼ活性を増大させ、アデニレートシクラーゼの活性を阻害し、細胞内cAMPレベルを減少させ、それによりニューロン阻害を引き起こす。KORアゴニストは受容体において繰り返し作用して脱感作を引き起こし、アデニレートシクラーゼ活性の阻害を減少させる(Raynor K, Kong H, Hines J, et al. J Pharmacol Exp Ther, 1994, 270:1381-6)。KORはまた、内向き整流性カリウムチャネルおよびN型カルシウムイオンチャネルに結合する(Henry DJ, Grandy DK, Lester HA, Davidson N, Chavkin C (Mar 1995) Molecular Pharmacology 47 (3): 551-7)。KORアゴニストは、末梢感覚神経末端からの創傷促進性(pre-hurt)および炎症促進性(pre-inflammatory)サブスタンスPの(カルシウム依存性)放出を阻害することができ、それらの抗侵害受容性および抗炎症性効果に貢献し得る。ダイノルフィンに加えて、種々の天然アルカロイドおよび合成リガンドもまたKORに結合し得る。KORは天然耽溺制御機構を提供するため、薬物耽溺処置のための可能性を有する。
【0004】
これらの観察、例えば、齧歯類糖尿病性ニューロパチーにおけるKORアゴニスト、アシマドリンの効果(Jolivalt et al. Diabetologia 2006, 49(11): 2775-85; Epub Aug. 19)および神経障害性疼痛を有するラットにおける慢性圧迫傷害(CCI)モデルにおけるKORアゴニスト、U-50488の効果およびオピオイドアンタゴニスト、ナロキソンのその効果に対する遮断(Bileviciute-Ljungar et al. Eur. J. Pharm 2004. 494 :139-46)は、糖尿病、ウイルスおよび化学療法により引き起こされる神経障害性疼痛の処置におけるKORアゴニストの使用を支持する。月経困難症および子宮内膜症のような婦人科的状態を含む内臓痛の処置または予防におけるKORアゴニストの使用もまた評価されている(Riviere, Br. J. Pharmacol 2004. 141: 1331-4)。
【0005】
κ-オピオイドアゴニストは水の腎排泄を増大させ、尿ナトリウム排泄を減少させる(すなわち、選択的な水利尿(水促進としても知られる)をもたらす)。多くの研究者らは、この効果はバソプレシンの下垂体分泌の阻害によると考えている。中枢作用性と末梢選択的であると考えられるκオピオイドを比較する研究は、血液脳関門内のKORがこの効果を媒介する原因であると結論付けた。研究者にはノシセプチン受容体表面で作用するノシセプチンペプチドまたは荷電ペプチドコンジュゲートを用いた低ナトリウム血症の処置を提唱する者も存在し、ノシセプチン受容体はKORに関連するが、異なるものである(DR Kapusta, Life Sci., 60:15-21, 1997)。
【0006】
現在KORアゴニストを開示する特許出願は、国際公開第20071398、国際公開第2008060552号、国際公開第09932510号、国際公開第2013184794号、国際公開第2014089019号、国際公開第2014184356号および国際公開第2015065867号を含む。
【0007】
κ-オピオイド受容体(KOR受容体)アゴニストは医薬品産業において良好な応用展望を有する。より良好な治療効果を達成し、かつより良好に市場の需要を満たすために、本発明者らは高い効果および低い毒性を有する新世代KOR受容体アゴニストの開発を望んでいた。本発明は、驚くべきことに優れた効果および機能を示す新規κオピオイド受容体(KOR受容体)アゴニスト化合物(核構造におけるグリシンのアミノ基をさらに修飾した)を提供する。特に、グリシンのアミノ基上の置換基が置換または非置換エチレン基であるとき、本化合物は予想外の効果を有する。
【発明の概要】
【0008】
本発明は式(I):
【化1】
〔式中、
Mは無機酸または有機酸、好ましくは有機酸、より好ましくはトリフルオロ酢酸であり;
GはO、-NRおよび-CRから成る群から選択され;
は水素、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロゲン、アミノ、ニトロ、ヒドロキシ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-OR、-C(O)R、-C(O)OR、-S(O)および-NRから成る群から選択され、ここでアルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールはそれぞれ、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールから成る群から選択される1以上の基により場合により置換されていてよく;
は水素、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、-OR、-C(O)Rおよび-C(O)ORから成る群から選択され、ここでアルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキルはそれぞれ、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールから成る群から選択される1以上の基により場合により置換されていてよく;
は水素、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、-OR、-C(O)Rおよび-C(O)ORから成る群から選択され、ここでアルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキルはそれぞれ、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールから成る群から選択される1以上の基により場合により置換されていてよく;
は水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシ、アミノ、アルコキシカルボニル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-OR、-C(O)R、-C(O)OR、-S(O)、-NRおよび-NHC(O)NRから成る群から選択され、ここでアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールはそれぞれ、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルコキシカルボニル、ニトロ、シアノ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールから成る群から選択される1以上の基により場合により置換されていてよく;
およびRはそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシ、アミノ、アルコキシカルボニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-OR、-C(O)R、-C(O)OR、-S(O)、-NRおよび-NHC(O)NRから成る群から選択され、ここでアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールはそれぞれ、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルコキシカルボニル、ニトロ、シアノ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールから成る群から選択される1以上の基により場合により置換されていてよく;
は水素、アルキル、アミノ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールから成る群から選択され、ここでアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールはそれぞれ、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールから成る群から選択される1以上の基により場合により置換されていてよく;
およびRは水素、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシ、アミノ、アルコキシカルボニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールから成る群から選択され、ここでアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールはそれぞれ、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルコキシカルボニル、ニトロ、シアノ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールから成る群から選択される1以上の基により場合により置換されていてよく;
zは0、1、2、3または4であり;そして
mは0、1または2である〕
の化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマーもしくはその混合物、またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0009】
本発明の好ましい実施態様において、式(I)の化合物はさらに、式(II):
【化2】
〔式中、
M、G、R、Rおよびzは式(I)で定義されるとおりである〕
の化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマーもしくはその混合物、またはその薬学的に許容される塩である。
【0010】
本発明の好ましい実施態様において、式(I)または式(II)の化合物はさらに、式(III):
【化3】
〔式中、
M、G、Rおよびzは式(I)で定義されるとおりである〕
の化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマーもしくはその混合物、またはその薬学的に許容される塩である。
【0011】
本発明の好ましい実施態様において、式(I)、式(II)または式(III)の化合物はさらに、式(IV):
【化4】
〔式中、
M、Rおよびzは式(I)で定義されるとおりである〕
の化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマーもしくはその混合物、またはその薬学的に許容される塩である。
【0012】
本発明の好ましい実施態様において、式(I)、式(II)、式(III)または式(IV)の化合物において、Rはアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびシクロアルキルから成る群から選択され、ここでアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびシクロアルキルはそれぞれ、アルキル、シクロアルキルおよびアリールから選択される1以上の基により場合により置換されていてよい。
【0013】
本発明の好ましい実施態様において、式(I)、式(II)または式(III)の化合物はさらに、式(III-A):
【化5】
〔式中、
GはOまたはCR、好ましくはCRであり;
10は水素、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールから成る群から選択され;
11およびR12は同一であるかまたは異なり、各々は独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールから成る群から選択され;
またはR10およびR11は一体となってシクロアルキルを形成し;
またはR11およびR12は一体となってシクロアルキルを形成し;
13は水素、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールから成る群から選択され;
sは0、1または2であり;そして
~R、Mおよびzは式(I)で定義されるとおりである〕
の化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマーもしくはその混合物、またはその薬学的に許容される塩である。
【0014】
本発明の好ましい実施態様において、式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)または式(III-A)の化合物はさらに、式(IV-A):
【化6】
〔式中、
10~R13、M、zおよびsは式(III-A)で定義されるとおりである〕
の化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマーもしくはその混合物、またはその薬学的に許容される塩である。
【0015】
本発明の好ましい実施態様において、式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)、式(III-A)または式(IV-A)の化合物はさらに、式(IV-B):
【化7】
〔式中、
10~R11、R13、M、zおよびsは式(III-A)で定義されるとおりである〕
の化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマーもしくはその混合物、またはその薬学的に許容される塩である。
【0016】
本発明の好ましい実施態様において、式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)、式(III-A)、式(IV-A)または式(IV-B)の化合物において、zは0または1である。
【0017】
典型的な式(I)の化合物は、限定されないが、次のものまたはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマーもしくはその混合物、またはその薬学的に許容される塩を含む。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【0018】
別の態様において、本発明はまた、式(II)の化合物を製造するための中間体である式(V):
【化8】
〔式中、
はアミノ保護基、好ましくはt-ブトキシカルボニル、9-フルオレニルメトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、トリクロロエトキシカルボニル、トリメチルシリルエトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、p-メチルベンゼンスルホニル、p-ニトロベンゼンスルホニルまたはtert-ブチル(すなわち、Boc、Fmoc、Alloc、Troc、Teoc、CBz、Tosyl、Nosylおよびt-Bu)であり;そして
G、RおよびRは式(II)で定義されるとおりである〕
の化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマーもしくはその混合物、またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0019】
別の態様において、本発明は酸性条件下で式(V)の化合物における保護基Rを除去して式(II)の化合物を得る工程:
【化9】
〔式中、
M、G、z、RおよびRは式(II)で定義されるとおりであり、Rは式(V)で定義されるとおりである〕
を含む、式(II)の化合物の製造方法に関する。
【0020】
別の態様において、本発明は式(III)の化合物を製造するための中間体である式(VI):
【化10】
〔式中、
はアミノ保護基、好ましくはt-ブトキシカルボニル、9-フルオレニルメトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、トリクロロエトキシカルボニル、トリメチルシリルエトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、p-メチルベンゼンスルホニル、p-ニトロベンゼンスルホニルまたはtert-ブチルであり;そして
GおよびRは式(III)で定義されるとおりである〕
の化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマーもしくはその混合物、またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0021】
別の態様において、本発明は酸性条件下で式(VI)の化合物における保護基Rを除去して式(III)の化合物を得る工程:
【化11】
〔式中、
M、G、zおよびRは式(III)で定義されるとおりであり、Rは式(VI)で定義されるとおりである〕
を含む、式(III)の化合物の製造方法に関する。
【0022】
酸性条件を提供する酸性試薬は、好ましくはトリフルオロ酢酸または塩酸の1,4-ジオキサン溶液である。
【0023】
さらに、式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)、式(III-A)、式(IV-A)または式(IV-B)の化合物においてzが0でないとき、場合により、遊離状態の生成物、すなわち、式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)、式(III-A)、式(IV-A)または式(IV-B)の化合物を得るための遊離反応を実施するために弱塩基を添加してよい。
【0024】
別の態様において、本発明はまた、治療有効量の前記式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)、式(III-A)、式(IV-A)または式(IV-B)の化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマーもしくはその混合物、またはその薬学的に許容される塩および1以上の薬学的に許容される担体、希釈剤もしくは賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0025】
本発明はまた、式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)、式(III-A)、式(IV-A)または式(IV-B)の化合物、その互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマーもしくはその混合物、またはその薬学的に許容される塩ろ1以上の薬学的に許容される担体、希釈剤もしくは賦形剤を混合する工程を含む、前記組成物を製造する方法に関する。
【0026】
ある実施態様において、本発明の医薬組成物はさらに、1以上の以下の化合物:オピオイド、カンナビノイド、抗うつ剤、抗痙攣剤、精神安定剤、コルチコステロイド、イオンチャネルブロッカーまたは非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)を含む。
【0027】
本発明はさらに、κオピオイド受容体(KOR受容体)をアゴナイズまたはアンタゴナイズするための医薬の製造における式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)、式(III-A)、式(IV-A)または式(IV-B)の化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマーもしくはその混合物、またはその薬学的に許容される塩、またはそれらを含む医薬組成物の使用に関する。
【0028】
本発明はさらに、κオピオイド受容体(KOR受容体)アゴニスト介在性および関連性疾患を予防および/または処置するための医薬の製造における式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)、式(III-A)、式(IV-A)または式(IV-B)の化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマーもしくはその混合物、またはその薬学的に許容される塩、またはそれらを含む医薬組成物の使用に関し、ここでκオピオイド受容体(KOR受容体)アゴニスト介在および関連障害は、好ましくは疼痛、炎症、そう痒、浮腫、低ナトリウム血症、低カリウム血症、腸閉塞、咳嗽および緑内障から選択され、より好ましくは疼痛である。
【0029】
本発明はさらに、哺乳動物(例えば、ヒト)における疼痛および疼痛に関連する疾患を予防および/または処置するための医薬の製造における式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)、式(III-A)、式(IV-A)または式(IV-B)、またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマーもしくはその混合物、またはその薬学的に許容される塩、またはそれらを含む医薬組成物の使用に関し、ここで疼痛は術後痛、癌により引き起こされる疼痛、神経障害性疼痛、外傷性疼痛および炎症により引き起こされる疼痛などであり得る。
【0030】
本発明はまた、治療有効量の本発明の式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)、式(III-A)、式(IV-A)または式(IV-B)の化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマーもしくはその混合物、またはその薬学的に許容される塩を、それらを必要とする患者に投与することを含む、κオピオイド受容体(KOR受容体)をアゴナイズまたはアンタゴナイズするための方法に関する。
【0031】
本発明はまた、治療有効量の本発明の式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)、式(III-A)、式(IV-A)または式(IV-B)の化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマーもしくはその混合物、またはその薬学的に許容される塩を必要とする患者に投与することを含む、KOR受容体アゴニスト介在および関連疾患を予防および/または処置するための方法に関する。本方法は優れた有効性および少ない副作用を示す。ここで、κオピオイド受容体(KOR受容体)アゴニスト介在および関連障害は疼痛、炎症、そう痒、浮腫、低ナトリウム血症、低カリウム血症、腸閉塞、咳嗽および緑内障から成る群から選択され、好ましくは疼痛である。
【0032】
本発明はさらに、医薬として使用するための式(I)の化合物、式(II)、式(III)、式(IV)、式(III-A)、式(IV-A)または式(IV-B)、特に式(I)またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマーもしくはその混合物、またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0033】
本発明はさらに、κオピオイド受容体(KOR受容体)のアゴナイズまたはアンタゴナイズにおける使用のための式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)、式(III-A)、式(IV-A)または式(IV-B)、特に式(I)の化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマージアステレオマーもしくはその混合物、またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0034】
本発明はさらに、KOR受容体アゴニスト介在および関連疾患の予防および/または処置における使用のための式(I)、(II)、式(III)、式(IV)、式(III-A)、式(IV-A)または式(IV-B)の化合物、またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマージアステレオマーもしくはその混合物、またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0035】
本発明はさらに、哺乳動物(例えば、ヒト)における疼痛および疼痛に関連する疾患の予防および/または処置における使用のための式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)、式(III-A)、式(IV-A)または式(IV-B)の化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマージアステレオマーもしくはその混合物、またはその薬学的に許容される塩、またはそれらを含む医薬組成物に関し、ここでκオピオイド受容体(KOR受容体)アゴニスト介在および関連疾患、障害または状態は、限定されないが、急性または慢性疼痛、炎症、そう痒、低ナトリウム血症、浮腫、腸閉塞、咳嗽および緑内障を含むあらゆるκオピオイド受容体(KOR受容体)アゴニスト介在性状態である。例えば、κオピオイド受容体(KOR受容体)が関連する疼痛は神経障害性疼痛、体性痛、内臓痛または皮膚痛であり得る。いくつかの疾患、障害または状態は1以上の形態の疼痛と関連する。例えば、術後痛は使用される外科手術のタイプおよび程度により、いずれかまたは全ての神経障害性疼痛、体性痛、内臓痛または皮膚痛であり得る。
【0036】
本発明に関与するκオピオイド受容体(KOR受容体)に関連する炎症は、限定されないが、副鼻腔炎、リウマチ性関節炎、腱滑膜炎、滑液包炎、腱炎、上腕骨上顆炎、癒着性関節包炎、骨髄炎、骨関節症、炎症性腸疾患(IBD)、過敏性腸症候群(IBS)、眼炎症、耳炎症または自己免疫性炎症を含む何らかの炎症性疾患または状態であり得る。
【0037】
本発明に関与するκオピオイド受容体(KOR受容体)に関連するそう痒は、何らかのそう痒疾患および状態、例えば、結膜炎眼そう痒のような眼そう痒、掻痒および末期の腎疾患(多数の患者が腎臓透析を受ける)と関連するそう痒、ならびに原発性胆汁性肝硬変、妊娠の肝臓内胆汁うっ滞、慢性コレステロール性肝疾患、尿毒症、悪性胆汁うっ滞、黄疸を含む他の形態の胆汁うっ滞、およびアトピー性皮膚炎または接触性皮膚炎を含む湿疹(皮膚炎)のような皮膚状態、皮膚の染み、赤血球増加症、扁平苔癬、慢性単純性苔癬、シラミ寄生症、甲状腺中毒症、水虫、蕁麻疹、疥癬、膣炎、痔関連肛門そう痒、虫刺されによるそう痒、および薬物により引き起こされるそう痒、例えばμオピオイドにより引き起こされるそう痒であり得る。
【0038】
本発明に関与するκオピオイド受容体(KOR受容体)に関連する浮腫は、うっ血性心臓疾患により引き起こされる浮腫または抗利尿ホルモン(ADH)の分泌が不適切である症候群により引き起こされる浮腫のような何らかの浮腫疾患または状態であり得る。
【0039】
本発明に関与するκオピオイド受容体(KOR受容体)に関連する腸閉塞は、限定されないが、術後腸閉塞またはオピオイド誘発性腸機能不全を含む何らかの腸閉塞疾患または状態である。
【0040】
本発明に関与するκオピオイド受容体(KOR受容体)に関連する神経障害性疼痛は、何らかの神経障害性疼痛、例えば三叉神経痛、糖尿病性疼痛、帯状疱疹関連性疼痛のようなウイルス誘発性疼痛、化学療法誘発性疼痛、侵襲性の神経転移癌の痛み、外傷および術後関連性神経障害疼痛および片頭痛のような神経病理学的因子を有する種々のタイプの頭痛であり得る。
【0041】
本発明に関与するκオピオイド受容体(KOR受容体)に関する疼痛は、眼痛、例えば屈折角膜切除(PRK)、眼裂傷、眼底骨折、化学的熱傷、角膜上皮の擦過傷もしくは刺激後の眼痛または結膜炎に関連する眼痛、角膜潰瘍、強膜炎、強膜炎症、強膜角膜炎、眼帯状疱疹、間質性角膜炎、急性虹彩炎、乾性角結膜炎、眼窩蜂巣炎、眼窩偽腫瘍、天疱瘡、トラコーマまたはブドウ膜炎を含む。
【0042】
本発明に関与するκオピオイド受容体(KOR受容体)に関連する疼痛はまた、咽頭痛、特にアレルギー性鼻炎のような炎症性状態に関連する咽頭痛、急性気管支炎、一般的な風邪、接触性潰瘍、単純ヘルペスウイルス性損傷、伝染性単核球症、インフルエンザ、喉頭癌、急性喉頭炎、急性壊死性潰瘍性歯肉炎、扁桃膿瘍、咽頭灼熱、咽頭炎、逆流性咽頭炎、急性副鼻腔炎および扁桃炎を含む。
【0043】
κオピオイド受容体(KOR受容体)に関連する疼痛は、関節炎痛、腎臓結石、尿結石および胆管結石痛、子宮痙攣、月経困難症、子宮内膜症、乳房炎、消化不良、術後痛(例えば、虫垂切除術、開腹直腸結腸手術、ヘルニア修復、前立腺切除術、結腸切除術、胃切除術、脾臓切除術、結腸摘除術、人工肛門造設術、骨盤腹腔鏡検査、卵管結紮、子宮摘出術、膀胱切除術または胆嚢摘出術による術後痛)、医学的処置後の疼痛(例えば、大腸内視鏡検査、膀胱鏡検査、子宮鏡検査、子宮頸部または子宮内膜生検)、耳炎痛、劇症癌性疼痛およびIBDまたはIBSまたは他の炎症性状態、特に内臓炎症(例えば、胃食道逆流性疾患、膵炎、急性腎盂腎炎、潰瘍性大腸炎、胆嚢炎、肝硬変、肝嚢胞、肝炎、十二指腸潰瘍または胃潰瘍、食道炎、胃炎、胃腸炎、大腸炎、憩室炎、腸閉塞、卵巣嚢胞、骨盤内炎症性疾患、潰瘍穿孔、腹膜炎、前立腺炎、間質性膀胱炎、前立腺炎、間質性膀胱炎)に関連する疼痛のようなGI障害に関連する疼痛または毒物(例えば、昆虫毒素またはサリチレート(塩)またはNSAIDのような薬物)との接触による疼痛であり得る。
【0044】
κオピオイド受容体(KOR受容体)に関連する低ナトリウム血症は、低ナトリウム血症(低ナトリウム状態)が存在する、例えばヒトにおいて、血漿中のナトリウム濃度が135mmol/l未満で存在するとき、異常が起こり得る何らかの疾患または状態であり得るか、または他の医学的状態との合併症またはナトリウム欠乏症を引き起こす薬物の使用の結果として一般的に見られ、低ナトリウム血症に関連する疾患は、限定されないが:肺癌、十二指腸癌、膵臓癌、卵巣癌、膀胱癌および輸尿管癌、胸腺腫、中皮腫、気管支腺腫、カルチノイド腫瘍、神経節細胞腫およびユーイング肉腫を含む過剰ADH分泌を引き起こす腫瘍因子;感染、例えば肺炎(細菌またはウイルス)、膿瘍(肺または脳)、空胞形成(アスペルギルス症)、結核(肺または脳)、髄膜炎(細菌またはウイルス)、脳炎およびAIDS;血管因子、例えば:脳血管梗塞または出血性および空洞性海綿静脈塞栓症;神経学的因子、例えばギラン・バレー症候群、多発性硬化症、振戦せん妄、筋肉側副硬化、水頭症、精神病、末梢ニューロパチー、頭部外傷(閉鎖性および貫通性)、CNS腫瘍または感染および視床下部浸透圧受容器に影響を与えるCNS損傷;脳梁欠損、口唇裂および口蓋ならびに他の正中線欠損を含む先天性奇形;代謝因子、例えば急性間欠性ポルフィリン症、喘息、気胸および陽圧呼吸;薬物、例えば、チアジド利尿剤、パラセタモール、バルビツレート、コリン、エストロゲン、経口血糖降下薬、バソプレシンまたはデスモプレシン、高用量オキシトシンクロロプロパミド、ビンクリスチン、カルバマゼピン、ニコチン、フェノチアジン、シクロホスファミド、三環式抗うつ剤、モノアミンオキシダーゼ阻害剤およびセロトニン再取り込み阻害剤;例えば、入院中、手術中または身体的活動中または活動後の低張液の過剰投与(すなわち、運動関連性低ナトリウム血症)、および高齢者における低ナトリウム栄養補助剤の使用、腎不全、ネフローゼ症候群(モデル腎症および微小変化型疾患)、悪性腫瘍、栄養障害、横紋筋融解症、外科的処置、選択的心臓カテーテル法、失血、および高カルシウム血症、低カリウム血症および浸透圧利尿を引き起こす可能性がある高血糖の糖尿を含む低ナトリウム血症に関連する他の状態を含む。
【0045】
本発明はまた、治療有効量の各式の化合物、特に式(I)の化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマージアステレオマーもしくはその混合物、またはその薬学的に許容される塩を、それらを必要とする患者に投与する過程を含む、κオピオイド受容体(KOR受容体)介在性および関連性疾患、障害または状態を予防および/または処置する方法に関する。本方法は顕著な有効性かつ少ない副作用を示す。ここで、κオピオイド受容体(KOR受容体)介在性および関連性疾患は、限定されないが、急性または慢性疼痛、炎症、そう痒、低ナトリウム血症、浮腫、腸閉塞、咳嗽および緑内障を含む。
【0046】
本発明はまた、治療有効量の式(I)、式(II)、式(III)の化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマージアステレオマーもしくはその混合物、またはその薬学的に許容される塩を、それらを必要とする患者に投与することを含む、哺乳動物における疼痛または疼痛に関連する疾患を予防および/または処置するための方法に関する。本方法は顕著な有効性およびより少ない副作用を示す。ここで、疼痛は術後痛、癌により引き起こされる疼痛、神経障害性疼痛、外傷性疼痛、体性痛、内臓痛、皮膚痛および炎症による疼痛を含み、例えば、術後痛は、使用される外科手術の型および程度に依存して神経障害性疼痛、体性痛、内臓痛または皮膚痛のいずれか一つまたは全ての因子のものであり得て;癌は乳癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、皮膚癌、前立腺癌、卵巣癌、卵管腫瘍、卵巣腫瘍、血友病および白血病から成る群から選択され得る。
【0047】
活性成分を含む医薬組成物は、経口投与に適切な形態、例えば、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ、水性または油性懸濁液剤、分散可能な粉剤または粒剤、エマルジョン、硬カプセル剤もしくは軟カプセル剤、またはシロップ剤またはエリキシル剤であり得る。経口組成物は、医薬組成物の製造のための当分野において既知のいずれかの方法により製造される。このような組成物は、好まれるおよび飲みやすい医薬製剤を提供するために、甘味剤、風味剤、着色剤および防腐剤から成る群から選択される1以上の物質を含み得る。錠剤は、錠剤の製造に適切な非毒性の薬学的に許容される賦形剤と混合して活性成分を含む。これらの賦形剤は不活性賦形剤、造粒剤、崩壊剤および滑沢剤であり得る。錠剤はコーティングされていないか、または薬物の味をマスクするまたは消化管における崩壊と活性成分の吸収を遅延させるための既知の技術手段によりコーティングされ得る。
【0048】
経口製剤は、活性成分を不活性固体希釈剤と混合した、または活性成分を水に可溶な担体または油媒体またはオリーブ油と混合した軟ゼラチンカプセル剤として提供され得る。
【0049】
水性懸濁液剤は、水性懸濁液剤を製造するために適切な賦形剤を有する混合物において活性成分を含む。このような賦形剤は懸濁剤、分散剤または湿潤剤である。水性懸濁液剤はまた、エチルパラベンまたはn-プロピルパラベンのような1以上の防腐剤、1以上の着色剤、1以上の風味剤および1以上の甘味剤を含み得る。
【0050】
油性懸濁液は、植物油に活性成分を懸濁することにより製剤され得る。油性懸濁液は増粘剤を含み得る。前記甘味剤および風味剤は、飲みやすい製剤を提供するために添加され得る。これらの組成物は、抗酸化剤を添加することにより保存され得る。
【0051】
分散剤または湿潤剤、懸濁剤または1以上の防腐剤と混合された活性成分は、水を添加することにより水性懸濁液剤を製造するために適当な分散可能な粉末または顆粒として製造され得る。適当な分散剤もしくは湿潤剤および懸濁剤は、上記で既に言及されたものが例である。甘味剤、風味剤および着色剤のようなさらなる賦形剤もまた、添加され得る。
【0052】
本発明の医薬組成物はまた、水中油型エマルジョンの形態であり得る。油相は植物油または液体パラフィンのような鉱油またはその混合物であり得る。適切な乳化剤は天然に存在するリン脂質または部分エステルであり得る。エマルジョンはまた、甘味剤、風味剤、防腐剤および抗酸化剤を含み得る。
【0053】
本発明の医薬組成物は、無菌水溶液の形態であり得る。使用され得る許容されるビークルまたは溶媒は水、リンガー溶液および等張塩化ナトリウム溶液である。無菌注射用製剤はまた、活性成分が油相に溶解している無菌注射用水中油型マイクロエマルジョンであり得る。注射用溶液またはマイクロエマルジョンは、局所急速静注により個体の血流に導入され得る。
【0054】
本発明の医薬組成物は、筋肉内および皮下投与のための無菌注射用水性または油性懸濁液の形態であり得る。このような懸濁液は、既知の技術により上記のような適当な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて製剤され得る。無菌注射用製剤はまた、非毒性の非経腸的に許容される希釈剤または溶媒中で調製される無菌注射用溶液または懸濁液であり得る。さらに、無菌固定油は溶媒または懸濁媒体として容易に使用できる。
【0055】
本発明の化合物は、直腸投与のための坐剤の形態で投与され得る。これらの医薬組成物は、常温で固体であるが、直腸において液体であり、それ故に直腸で融解して薬物を放出させる、適切な賦形剤と薬物を混合することにより製造され得る。
【0056】
薬物の用量は、限定されないが、以下の因子:特定の化合物の活性、患者の年齢、患者の体重、患者の一般的な健康、患者の行動、患者の食習慣、投与時間、投与経路、排泄率、併用薬などを含む多様な因子に依存することが当業者に知られている。さらに、処置様式、式(I)の化合物の一日用量またはその薬学的に許容される塩の種類のような最良の処置は、伝統的な治療レジメンにより検証され得る。
【0057】
本発明の詳細な説明
特に断らない限り、本明細書および特許請求の範囲において使用される用語は、以下に記載の意義を有する。
【0058】
「アルキル」とは、C~C20直鎖および分岐鎖基、好ましくは12個の炭素原子を有するアルキル、およびより好ましくは1~6個の炭素原子を有するアルキルを含む飽和脂肪族炭化水素基をいう。非限定的例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、n-ヘキシル、1-エチル-2-メチルプロピル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2,3-ジメチルブチル、n-ヘプチル、2-メチルヘキシル、3-メチルヘキシル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシル、2,3-ジメチルペンチル、2,4-ジメチルペンチル、2,2-ジメチルペンチル、3,3-ジメチルペンチル、2-エチルペンチル、3-エチルペンチル、n-オクチル、2,3-ジメチルヘキシル、2,4-ジメチルヘキシル、2,5-ジメチルヘキシル、2,2-ジメチルヘキシル、3,3-ジメチルヘキシル、4,4-ジメチルヘキシル、2-エチルヘキシル、3-エチルヘキシル、4-エチルヘキシル、2-メチル-2-エチルペンチル、2-メチル-3-エチルペンチル、n-ノニル、2-メチル-2-エチルヘキシル、2-メチル-3-エチルヘキシル、2,2-ジエチルペンチル、n-デシル、3,3-ジエチルヘキシル、2,2-ジエチルヘキシルおよびそれらの分岐異性体を含む。より好ましくは、アルキル基は1~6個の炭素原子を有する低級アルキルであり、非限定的例はメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、n-ヘキシル、1-エチル-2-メチルプロピル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2,3-ジメチルブチルなどを含む。アルキル基は置換または非置換であり得る。置換されるとき、置換基は任意の利用可能な結合点で置換され得る。置換基は、好ましくはアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ハロゲン、チオール、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルコキシ、ヘテロ環式アルコキシ、シクロアルキルチオ、ヘテロ環式アルキルチオ、オキソ、カルボキシおよびアルコキシカルボニルから成る群から独立して選択される1以上の基である。
【0059】
「シクロアルキル」とは、3~20個の炭素原子、好ましくは3~12個の炭素原子、より好ましくは3~6個の炭素原子、および最も好ましくは5~6個の炭素原子を有する飽和または一部が不飽和の単環式または多環式炭化水素基をいう。単環式シクロアルキルの非限定的例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロヘプタトリエニル、シクロオクチルなどを含む。多環式シクロアルキルはスピロ環、縮合環または架橋環を有するシクロアルキルを含む。
【0060】
「スピロシクロアルキル」とは、1個の共通の炭素原子(スピロ原子と称される)により結合した環を有し、1以上の環が1以上の二重結合を含み得るが、完全に共役したπ電子系を有する環は存在しない5~20員多環式基、好ましくは6~14員スピロシクロアルキル、およびより好ましくは7~10員スピロシクロアルキルをいう。環の間で共有されるスピロ原子の数によって、スピロシクロアルキルはモノスピロシクロアルキル、ジスピロシクロアルキルまたはポリスピロシクロアルキルおよび好ましくはモノスピロシクロアルキルまたはジスピロシクロアルキル、およびより好ましくは4員/4員、4員/5員、4員/6員、5員/5員、または5員/6員モノスピロシクロアルキルに分類され得る。スピロシクロアルキルの非限定的例は、
【化12】
を含む。
【0061】
「縮合シクロアルキル」とは、系における各環が隣接する炭素原子の対を別の環と共有し、1以上の環が1以上の二重結合を含み得るが、完全に共役したπ電子系を有する環は存在しない5~20員の全炭素多環式基、好ましくは6~14員縮合シクロアルキルおよびより好ましくは7~10員縮合シクロアルキルをいう。員環の数によって、縮合シクロアルキルは二環式、三環式、四環式または多環式縮合シクロアルキル、好ましくは二環式または三環式縮合シクロアルキル、およびより好ましくは5員/5員または5員/6員二環式縮合シクロアルキルに分類され得る。縮合シクロアルキルの非限定的例は、
【化13】
を含む。
【0062】
「架橋シクロアルキル」とは、系内の全ての2つの環が結合していない炭素原子を共有し、環が1以上の二重結合を有し得るが、完全に共役したπ電子系を有する環は存在しない5~20員全炭素多環式基、好ましくは6~14員架橋シクロアルキル、およびより好ましくは7~10員架橋シクロアルキルをいう。員環の数によって、架橋シクロアルキルは二環式、三環式、四環式または多環式架橋シクロアルキル、および好ましくは二環式、三環式または四環式架橋シクロアルキル、およびより好ましくは二環式または三環式架橋シクロアルキルに分類される。架橋シクロアルキルの非限定的例は、
【化14】
を含む。
【0063】
シクロアルキルの環はアリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルの環と縮合することがあり、ここで親構造に結合する環はシクロアルキルである。非限定的例は、インダニル、テトラヒドロナフチル、ベンゾシクロヘプチルなど、好ましくはベンゾシクロペンチル、テトラヒドロナフチルを含む。シクロアルキルは場合により、置換または非置換であり得る。置換されるとき、置換基は好ましくは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ハロゲン、チオール、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルコキシ、ヘテロ環式アルコキシ、シクロアルキルチオ、ヘテロ環式アルキルチオ、オキソ、カルボキシおよびアルコキシカルボニルから成る群から独立して選択される1以上の基である。
【0064】
「ヘテロシクリル」とは、N、O、およびS(O)(ここで、mは0~2の整数である)から成る群から選択される1以上のヘテロ原子を有するが、環に-O-O-、-O-S-または-S-S-を含まず、残りの環原子は炭素原子である3~20員の飽和または一部不飽和の単環式または多環式炭化水素基をいう。好ましくは、ヘテロシクリルは3~12個の原子を有し、ここで1~4個の原子はヘテロ原子であり、より好ましくは3~8個の原子を有し、ここで1~3個の原子はヘテロ原子であり、および最も好ましくは5~6個の原子を有し、ここで1~2個または1~3個の原子はヘテロ原子である。単環式ヘテロシクリルの非限定的例は、ピロリジニル、イミダゾリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチエニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピロリル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ホモピペラジニルなど、好ましくはテトラヒドロピラニル、ピペリジルまたはピロリジニルを含む。多環式ヘテロシクリルは、スピロ環、縮合環または架橋環を有するヘテロシクリルを含む。
【0065】
「スピロヘテロシクリル」とは、環が、N、O、およびS(O)(ここで、mは0~2の整数である)から成る群から選択される1以上のヘテロ原子から選択されるヘテロ原子を環原子として有し、残りの環原子は炭素原子であり、1以上の環が1以上の二重結合を含み得るが、完全に共役したπ電子系を有する環は存在しない、1個の共通する原子(スピロ原子と称される)を介して結合した環を有する5~20員多環式ヘテロシクリル、好ましくは6~14員スピロヘテロシクリル、およびより好ましくは7~10員スピロヘテロシクリルをいう。環の間で共有されるスピロ原子の数によって、スピロヘテロシクリルは、モノスピロヘテロシクリル、ジスピロヘテロシクリルまたはポリスピロヘテロシクリル、好ましくはモノスピロヘテロシクリルまたはジスピロヘテロシクリル、およびより好ましくは4員/4員、4員/5員、4員/6員、5員/5員または5員/6員モノスピロヘテロシクリルに分類され得る。スピロヘテロシクリルの非限定的例は、
【化15】
を含む。
【0066】
「縮合ヘテロシクリル」とは、系内の各環が隣接する原子の対を別の環と共有し、1以上の環が1以上の二重結合を含み得るが、完全に共役したπ電子系を有する環は存在せず、環がN、OおよびS(O)(ここで、mは0~2の整数である)から成る群から選択される1以上のヘテロ原子を環原子として含み、残りの原子は炭素原子である5~20員多環式ヘテロシクリル基;好ましくは6~14員縮合ヘテロシクリル、およびより好ましくは7~10員縮合ヘテロシクリルをいう。員環の数によって、縮合ヘテロシクリルは二環式、三環式、四環式または多環式縮合ヘテロシクリル、好ましくは二環式または三環式縮合ヘテロシクリル、およびより好ましくは5員/5員、または5員/6員二環式縮合ヘテロシクリルに分類され得る。縮合ヘテロシクリルの非限定的例は、
【化16】
を含む。
【0067】
「架橋ヘテロシクリル」とは、系内の全ての2つの環が、2つの結合していない原子を共有し、環が1以上の二重結合を含み得るが、完全に共役したπ電子系を有する環は存在せず、環がN、O、およびS(O)(ここで、mは0~2の整数である)から成る群から選択される1以上のヘテロ原子を環原子として有し、残りの原子は炭素原子である5~14員多環式ヘテロシクリル基、好ましくは6~14員架橋ヘテロシクリル、およびより好ましくは7~10員架橋ヘテロシクリルをいう。員環の数によって、架橋ヘテロシクリルは二環式、三環式、四環式または多環式架橋ヘテロシクリル、および好ましくは二環式、三環式または四環式架橋ヘテロシクリル、およびより好ましくは二環式または三環式架橋ヘテロシクリルに分類され得る。架橋ヘテロシクリルの非限定的例は、
【化17】
を含む。
【0068】
ヘテロシクリル環はアリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルに縮合することがあり、ここで親構造に結合する環はヘテロシクリルである。非限定的例は、
【化18】
を含む。
【0069】
ヘテロシクリルは場合により、置換または非置換であり得る。置換されるとき、置換基は好ましくは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ハロゲン、チオール、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルコキシ、ヘテロ環式アルコキシ、シクロアルキルチオ、ヘテロ環式アルキルチオ、オキソ、カルボキシおよびアルコキシカルボニルから成る群から独立して選択される1以上の基である。
【0070】
「アリール」とは、完全に共役したπ電子系を有する6~14員全炭素単環式環または多環式縮合環(すなわち系内の各環が系内の別の環と隣接する炭素の対を共有している)、好ましくは6~10員アリール、およびより好ましくは5~6員アリール、例えば、フェニルおよびナフチルをいう。アリール環はヘテロアリール、ヘテロシクリルまたはシクロアルキルに縮合することがあり、ここで親構造に結合する環はアリール環である。非限定的例は、
【化19】
を含む。
【0071】
アリール場合により、置換または非置換であり得る。置換されるとき、置換基は好ましくは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ハロゲン、チオール、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルコキシ、ヘテロ環式アルコキシ、シクロアルキルチオ、ヘテロ環式アルキルチオ、カルボキシおよびアルコキシカルボニルから成る群から独立して選択される1以上の基である。
【0072】
「ヘテロアリール」とは、O、SおよびNから成る群から選択される1~4個のヘテロ原子を環原子として有する5~14員ヘテロ芳香族系、好ましくは1~3個のヘテロ原子を有する5~10員ヘテロアリール、およびより好ましくは1~2個のヘテロ原子有する5員または6員ヘテロアリール、例えば、イミダゾリル、フリル、チエニル、チアゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、ピロリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、チアジアゾリル、ピラジニルなど、好ましくはイミダゾリル、ピラゾリル、ピリミジニルまたはチアゾリル、およびより好ましくはピラゾリルをいう。ヘテロアリール環はアリール、ヘテロシクリルまたはシクロアルキルに縮合することがあり、ここで親構造に結合する環はヘテロアリール環である。非限定的例は、
【化20】
を含む。
【0073】
ヘテロアリールは場合により、置換または非置換であり得る。置換されるとき、置換基は好ましくは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ハロゲン、チオール、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルコキシ、ヘテロ環式アルコキシ、シクロアルキルチオ、ヘテロ環式アルキルチオ、カルボキシおよびアルコキシカルボニルから成る群から独立して選択される1以上の基である。
【0074】
「アルコキシ」とは、アルキルが上で定義される、-O-(アルキル)または-O-(非置換シクロアルキル)基をいう。非限定的例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシなどを含む。アルコキシは場合により、置換または非置換であり得る。置換されるとき、置換基は好ましくは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ハロゲン、チオール、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルコキシ、ヘテロ環式アルコキシ、シクロアルキルチオ、ヘテロ環式アルキルチオ、カルボキシおよびアルコキシカルボニルから成る群から独立して選択される1以上の基である。
【0075】
「ヒドロキシアルキル」とは、アルキルが上で定義される、ヒドロキシにより置換されたアルキルをいう。
【0076】
「ハロアルキル」とは、アルキルが上で定義される、1以上のハロゲンにより置換されたアルキルをいう。
【0077】
「シクロアルキルアルキル」とは、シクロアルキルおよびアルキルが上で定義される、1以上のシクロアルキルにより置換されたアルキルをいう。
【0078】
「ヘテロシクリルアルキル」とは、ヘテロシクリルおよびアルキルが上で定義される1以上のヘテロシクリルにより置換されたアルキルをいう。
【0079】
「アリールアルキル」とは、アリールおよびアルキルが上で定義される1以上のアリールにより置換されたアルキルをいう。
【0080】
「ヒドロキシ」とは、-OH基をいう。
【0081】
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素をいう。
【0082】
「アミノ」とは、-NH基をいう。
【0083】
「シアノ」とは、-CN基をいう。
【0084】
「ニトロ」とは、-NO基をいう。
【0085】
「カルボキシ」とは、-C(O)OH基をいう。
【0086】
「アルコキシカルボニル」とは、アルキルおよびシクロアルキルが上で定義される-C(O)O(アルキル)または-C(O)O(シクロアルキル)基をいう。
【0087】
「アシルハライド」とは、-C(O)-ハロゲン基を含む化合物をいう。
【0088】
「XはA、BまたはCから成る群から選択される」、「XはA、BおよびCから成る群から選択される」、「XはA、BまたはCである」、「XはA、BおよびCである」などは全て、同義である。これは、XがA、BおよびCのいずれか1つ以上であり得ることを意味する。
【0089】
「任意の(optional)」または「場合により(optionally)」は、後に記載される事象または状況が生じ得るが、生じる必要はないことを意味し、本記載は事象または状況が生じるまたは生じない状況を含む。例えば、「ヘテロ環式基は場合により、アルキルにより置換されていてよい」は、アルキル基が存在し得るが、存在する必要はないことを意味し、本記載はアルキルにより置換されたヘテロ環式基およびアルキルにより置換されていないヘテロ環式基の状況を含む。
【0090】
「置換された」とは、基における1以上の水素原子、好ましくは最大5個、より好ましくは1~3個の水素原子が独立して、対応する数の置換基により置換されることをいう。置換基は可能性のある化学的位置のみに存在することは言うまでもない。当業者は過度の努力を要することなく、実験または理論により置換が可能か不可能か決定することができる。例えば、フリーの水素を有するアミノまたはヒドロキシと不飽和結合(例えばオレフィン)を有する炭素原子の組合せは不安定であり得る。
【0091】
「医薬組成物」とは、1以上の本発明の化合物またはその生理学的に/薬学的に許容される塩または他の化学的要素を伴うプロドラッグと、生理学的/薬学的に許容される担体および賦形剤のような他の成分の混合物をいう。医薬組成物の目的は、化合物の生物への投与を簡易化し、活性成分の吸収、ひいては生物学的活性の発揮に貢献することである。
【0092】
「薬学的に許容される塩」とは、哺乳動物において安全かつ有効であり、所望の生物学的活性を有する化合物の塩をいう。
【表2】
【0093】
本発明の化合物の合成法
本発明の目的を達成するために、本発明は以下の技術的解決策を使用する。
【0094】
本発明の式(II)の化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマージアステレオマーもしくはその混合物、またはその薬学的に許容される塩を製造する方法は、以下の工程を含む。
【化21】
【0095】
アルカリ性条件下、式(II-A)の化合物を式(II-B)の化合物と反応させ、式(II-C)を得て、ここで本条件下のアルカリ性試薬は、好ましくはトリエチルアミンである。アルカリ性条件および加熱下、得られた式(II-C)の化合物をヨウ化カリウムの存在下で式(II-D)の化合物と反応させ、式(II-E)の化合物を得て、ここで本条件下のアルカリ性試薬は、好ましくは炭酸カリウムである。得られた式(II-E)の化合物を脱保護し、式(II-F)の化合物を得る。縮合剤の存在下、得られた式(II-F)の化合物を式(II-J)と反応させ、式(V)の化合物を得て、ここで本条件下の縮合剤は、好ましくは2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートである。得られた式(V)の化合物を、酸性条件下でアミノ基上の保護基の脱保護に供し、式(II)の化合物を得て、ここで本条件下の酸性試薬は、好ましくはトリフルオロ酢酸または塩酸の1,4-ジオキサン溶液である。
【0096】
さらに、式(II)の化合物においてzが0でないとき、場合により、遊離反応を行って遊離状態の生成物、すなわち式(II)の化合物を得るために弱塩基が添加され得る。
【0097】
アルカリ性条件を提供する試薬は有機塩基および無機塩基を含むが、前記有機塩基は、限定されないが、ピリジン、ピペリジン、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、n-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、酢酸カリウム、ナトリウムtert-ブトキシドおよびカリウムtert-ブトキシドを含み、無機塩基は、限定されないが、水素化ナトリウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化リチウムを含む。
【0098】
酸性条件を提供する試薬は、限定されないが、塩酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、酢酸、塩酸、硫酸およびメタンスルホン酸を含む。
【0099】
縮合剤は、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド、O-ベンゾトリアゾール-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール、O-ベンゾトリアゾール-N,N,N’,N’-テトラメチルウロンヘキサフルオロホスフェート、2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチル尿素ヘキサフルオロホスフェート、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートおよびベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、好ましくは2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロンヘキサフルオロホスフェートから成る群から選択される。
【0100】
使用される溶媒は、限定されないが、酢酸、メタノール、エタノール、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、1,4-ジオキサン、水およびN,N-ジメチルホルムアミドを含む。
【0101】
スキーム中:
はアミノ保護基、好ましくはt-ブトキシカルボニル、9-フルオレニルメトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、トリクロロエトキシカルボニル、トリメチルシリルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、p-メチルベンゼンスルホニル、p-ニトロベンゼンスルホニルおよびtert-ブチルであり;
はカルボキシル保護基、好ましくはDMB、Bn、Allyl、PfP、Me、PMB、MEMおよびt-Buであり;そして
M、G、z、RおよびRは式(II)で定義されるとおりである。
【0102】
本発明の式(III)の化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマージアステレオマーもしくはその混合物、またはその薬学的に許容される塩を製造する方法は、以下の工程を含む。
【化22】
【0103】
アルカリ性条件および加熱下、ヨウ化カリウム存在下で式(II-C)の化合物と式(III-1)の化合物を反応させ、式(III-2)の化合物を得て、ここで本条件下のアルカリ試薬は、好ましくは炭酸カリウムである。得られた式(III-2)の化合物をアミノ保護基とともに添加し、式(III-3)の化合物を得る。縮合剤存在下、得られた式(III-4)の化合物を式(II-J)と反応させ、式(VI)の化合物を得て、ここで本条件下の縮合剤は、好ましくは2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートである。酸性条件下、得られた式(VI)の化合物のアミノ基上の保護基を除去し、式(III)の化合物を得て、ここで本条件下の酸性試薬は、好ましくはトリフルオロ酢酸または塩酸の1,4-ジオキサン溶液である。
【0104】
さらに、式(III)の化合物においてzが0でないとき、場合により、遊離反応を行って遊離状態の生成物、すなわち式(III)の化合物を得るために弱塩基が添加され得る。
【0105】
アルカリ性条件を提供する試薬は有機塩基および無機塩基を含み、ここで前記有機塩基は、限定されないが、ピリジン、ピペリジン、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、n-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、酢酸カリウム、ナトリウムtert-ブトキシドおよびカリウムtert-ブトキシドを含み、無機塩基は、限定されないが、水素化ナトリウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化リチウムを含む。
【0106】
酸性条件を提供する試薬は、限定されないが、塩酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、酢酸、塩酸、硫酸およびメタンスルホン酸を含む。
【0107】
縮合剤は、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド、O-ベンゾトリアゾール-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール、O-ベンゾトリアゾール-N,N,N’,N’-テトラメチルウロンヘキサフルオロホスフェート、2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチル尿素ヘキサフルオロホスフェート、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートおよびベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、好ましくは2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロンヘキサフルオロホスフェートから成る群から選択される。
【0108】
使用される溶媒は、限定されないが、酢酸、メタノール、エタノール、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、1,4-ジオキサン、水およびN,N-ジメチルホルムアミドを含む。
【0109】
スキーム中:
はアミノ保護基、好ましくはt-ブトキシカルボニル、9-フルオレニルメトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、トリクロロエトキシカルボニル、トリメチルシリルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、p-メチルベンゼンスルホニル、p-ニトロベンゼンスルホニルおよびtert-ブチルであり;
はカルボキシル保護基、好ましくはDMB、Bn、Allyl、PfP、Me、PMB、MEMおよびt-Buであり;そして
M、G、zおよびRは式(III)で定義されるとおりである。
【0110】
本発明の式(III-A)の化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマージアステレオマーもしくはその混合物、またはその薬学的に許容される塩を製造する方法は、以下の工程を含む。
【化23】
【0111】
アルカリ性条件および加熱下、ヨウ化カリウム存在下で式(II-C)の化合物と式(III-1-1)の化合物を反応させ、式(III-2-1)の化合物を得て、ここで本条件下のアルカリ試薬は、好ましくは炭酸カリウムである。得られた式(III-2-1)の化合物にアミノ保護基を添加し、式(III-3-1)の化合物を得る。縮合剤存在下、得られた式(III-4-1)の化合物を式(II-J)と反応させ、式(III-5)の化合物を得て、ここで本条件下の縮合剤は、好ましくは2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートである。酸性条件下、得られた式(III-5)の化合物のアミノ基上の保護基を除去し、式(III-A)の化合物を得て、ここで本条件下の酸性試薬は、好ましくはトリフルオロ酢酸または塩酸の1,4-ジオキサン溶液である。
【0112】
さらに、式(III-A)の化合物においてzが0でないとき、場合により、遊離反応を行って遊離状態の生成物、すなわち式(III-A)の化合物を得るために弱塩基が添加され得る。
【0113】
アルカリ性条件を提供する試薬は有機塩基および無機塩基を含み、ここで前記有機塩基は、限定されないが、ピリジン、ピペリジン、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、n-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、酢酸カリウム、ナトリウムtert-ブトキシドおよびカリウムtert-ブトキシドを含み、無機塩基は、限定されないが、水素化ナトリウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化リチウムを含む。
【0114】
酸性条件を提供する試薬は、限定されないが、塩酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、酢酸、塩酸、硫酸およびメタンスルホン酸を含む。
【0115】
縮合剤は1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド、O-ベンゾトリアゾール-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール、O-ベンゾトリアゾール-N,N,N’,N’-テトラメチルウロンヘキサフルオロホスフェート、2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチル尿素ヘキサフルオロホスフェート、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートおよびベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、好ましくは2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロンヘキサフルオロホスフェートから成る群から選択される。
【0116】
使用される溶媒は、限定されないが、酢酸、メタノール、エタノール、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、1,4-ジオキサン、水およびN,N-ジメチルホルムアミドを含む。
【0117】
スキーム中:
はアミノ保護基、好ましくはt-ブトキシカルボニル、9-フルオレニルメトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、トリクロロエトキシカルボニル、トリメチルシリルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、p-メチルベンゼンスルホニル、p-ニトロベンゼンスルホニルおよびtert-ブチルであり;
はカルボキシル保護基、好ましくはMB、Bn、Allyl、PfP、Me、PMB、MEMおよびt-Buであり;そして
10~R13、M、Gおよびzは式(III-A)で定義されるとおりである。
【0118】
本発明の式(IV-A)の化合物またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマージアステレオマーもしくはその混合物、またはその薬学的に許容される塩を製造する方法は、以下の工程を含む。
【化24】
【0119】
アルカリ性条件および加熱下、ヨウ化カリウム存在下で式(II-C)の化合物と式(III-1-1)の化合物を反応させ、式(III-2-1)の化合物を得て、ここで本条件下のアルカリ試薬は、好ましくは炭酸カリウムである。得られた式(III-2-1)の化合物をアミノ保護基とともに添加し、式(III-3-1)の化合物を得る。縮合剤存在下、得られた式(III-4-1)の化合物を式(IV-1)と反応させ、式(IV-2)の化合物を得て、ここで本条件下の縮合剤は、好ましくは2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートである。酸性条件下、得られた式(IV-2)の化合物の保護基RおよびRを除去し、式(IV-3)の化合物を得る。得られた式(IV-3)の化合物の保護基Rをさらに除去し、式(IV-A)の化合物を得て、ここで本条件下の酸性試薬は、好ましくはトリフルオロ酢酸または塩酸の1,4-ジオキサン溶液である。
【0120】
さらに、式(IV-A)の化合物においてzが0でないとき、場合により、遊離反応を行って遊離状態の生成物、すなわち式(IV-A)の化合物を得るために弱塩基が添加され得る。
【0121】
アルカリ性条件を提供する試薬は有機塩基および無機塩基を含て、ここで前記有機塩基は、限定されないが、ピリジン、ピペリジン、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、n-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、酢酸カリウム、ナトリウムtert-ブトキシドおよびカリウムtert-ブトキシドを含み、無機塩基は、限定されないが、水素化ナトリウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化リチウムを含む。
【0122】
酸性条件を提供する試薬は、限定されないが、塩酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、酢酸、塩酸、硫酸およびメタンスルホン酸を含む。
【0123】
縮合剤は1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド、O-ベンゾトリアゾール-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム テトラフルオロボレート、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール、O-ベンゾトリアゾール-N,N,N’,N’-テトラメチルウロンヘキサフルオロホスフェート、2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチル尿素ヘキサフルオロホスフェート、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートおよびベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、好ましくは2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロンヘキサフルオロホスフェートから成る群から選択される。
【0124】
使用される溶媒は、限定されないが、酢酸、メタノール、エタノール、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、1,4-ジオキサン、水およびN,N-ジメチルホルムアミドを含む。
【0125】
スキーム中、
はアミノ保護基、好ましくはt-ブトキシカルボニル、9-フルオレニルメトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、トリクロロエトキシカルボニル、トリメチルシリルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、p-メチルベンゼンスルホニル、p-ニトロベンゼンスルホニルおよびtert-ブチルであり;
はカルボキシル保護基、好ましくはMB、Bn、Allyl、PfP、Me、PMB、MEMおよびt-Buであり;
はアミノ保護基、好ましくはベンジルオキシカルボニル、t-ブトキシカルボニル、9-フルオレニルメトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、トリクロロエトキシカルボニル、トリメチルシリルオキシカルボニル、p-メチルベンゼンスルホニル、p-ニトロベンゼンスルホニルまたはtert-ブチルであり;そして
10~R13、Mおよびzは式(IV-A)で定義されるとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0126】
図1】ラットにおけるカラギーナンにより誘発されるカラギーナン炎症性疼痛に対する本願発明の化合物の効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0127】
好ましい実施態様
本発明は以下の実施例を参照してさらに説明されるが、実施例は本発明の範囲を限定するものであると考えられるべきではない。
【0128】
実施例
化合物の構造は核磁気共鳴(NMR)および/または質量スペクトロメトリー(MS)により特定する。NMR化学シフト(δ)は10-6(ppm)で与えられる。NMRはBruker AVANCE-400機器により決定される。決定のための溶媒は重水素化-ジメチルスルホキシド(DMSO-d)、重水素化クロロホルム(CDCl)および重水素化メタノール(CDOD)であり、内部標準はテトラメチルシラン(TMS)である。
【0129】
MSはFINNIGAN LCQAd(ESI)質量スペクトロメーター(製造者:Thermo、型式:Finnigan LCQ advantage MAX)により決定される。
【0130】
キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析は、LC-10A vp(島津)またはSFC-analytical(Berger Instruments Inc.)で決定される。
【0131】
Yantai Huanghai HSGF254またはQingdao GF254シリカゲルプレートを薄層シリカゲルクロマトグラフィー(TLC)のために使用する。TLCに使用されるシリカゲルプレートの大きさは0.15mm~0.2mm、および生成物の精製に使用されるシリカゲルプレートの大きさは0.4mm~0.5mm。
【0132】
Yantai Huanghai 200~300メッシュシリカゲルをカラムクロマトグラフィーの担体として使用する。
【0133】
Prep Star SD-1(Varian Instruments Inc.) またはSFC-multigram (Berger Instruments Inc.)をキラル分取カラムクロマトグラフィーのために使用する。
【0134】
平均キナーゼ阻害速度およびIC50値をNovoStar ELISA(BMG社、ドイツ)により決定する。
【0135】
本発明の既知の原材料は、当分野において知られる従来の合成法により製造され得るか、またはABCR GmbH&Co.KG、Acros Organnics、Aldrich Chemical Company、Accela ChemBio Inc.またはDari chemical Companyなどから購入され得る。
【0136】
特に断らない限り、反応は窒素雰囲気またはアルゴン雰囲気下で実施される。
【0137】
用語「窒素雰囲気」または「アルゴン雰囲気」は、反応フラスコが1Lの窒素またはアルゴン風船を備えていることを意味する。
【0138】
用語「水素雰囲気」は、反応フラスコが1Lの水素風船を備えていることを意味する。
【0139】
加圧水素化反応は、Parr 3916EKX水素化機器およびQL-500水素発生装置またはHC2-SS水素化機器を用いて実施される。
【0140】
水素化反応において、反応系は一般的に、真空にして、水素で満たし、かつ前記の操作を3回繰り返す。
【0141】
CEM Discover-S 908860型マイクロウェーブ反応器をマイクロウェーブ反応において使用する。
【0142】
特に断らない限り、溶液とは水溶液をいう。
【0143】
特に断らない限り、反応における反応温度は20℃~30℃の範囲の室温をいう。
【0144】
反応を薄層クロマトグラフィー(TLC)によりモニタリングし、展開溶媒の系の溶媒は、A:ジクロロメタンおよびメタノール系、B:n-ヘキサンおよび酢酸エチル系、C:石油エーテルおよび酢酸エチル系、D:アセトンを含む。溶媒の体積比は化合物の極性により調整され得る。
【0145】
カラムクロマトグラフィーおよび薄層クロマトグラフィーによる化合物の精製のための溶出系は、A:ジクロロメタンおよびメタノール系、B:n-ヘキサンおよび酢酸エチル系、C:ジクロロメタンおよびアセトン系を含む。溶媒の体積比は化合物の極性により調整され得て、時々、トリエチルアミンのようなアルカリ性試薬または酢酸のような酸性試薬が少量添加され得る。
【0146】
実施例における高速液体クロマトグラフィーにおいて使用される高速液体クロマトグラフィー機器は、Gilson-281であり、クロマトグラフィーカラムは島津のShim-pack PREP-ODSであり、使用される移動相はトリフルオロ酢酸緩衝液系、すなわち、水(0.05%トリフルオロ酢酸塩を含む)-アセトニトリルである。
【0147】
実施例におけるトリフルオロ酢酸塩の形態におけるそれぞれの化合物は、不義の一般的方法により遊離状態で得られ得る:そのトリフルオロ酢酸塩を適当な溶媒(例えば、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、アセトンなど)に溶解し、弱塩基(例えば重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど)を添加し、pHを中性に調整し、混合物を減圧下で濃縮し、そして残渣を精製して遊離状態を得る。
【実施例
【0148】
実施例1
4-アミノ-1-((6R,9R,12R)-12-(4-アミノブチル)-6-ベンジル-9-イソブチル-4,7,10-トリオキソ-1-(1-フェニルシクロプロピル)-2,5,8,11-テトラアザトリデカン-13-オイル)ピペリジン-4-カルボン酸 1
【化25】
【化26】
【化27】
工程1
4-ベンジル 1-tert-ブチル 4-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)ピペリジン-1,4-ジカルボキシレート 1b
4-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)-1-(tert-ブトキシカルボニル)ピペリジン-4-カルボン酸1a(1.2g、0.0032mol、"Bioorganic Medicinal Chemistry Letters, 2007, 7(9), 2448-2451"に開示される既知の方法により製造)、臭化ベンジル(0.65g、0.0038mol)および炭酸セシウム(2.1g、0.0064mol)を20mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、室温12時間撹拌した。反応溶液を水に注ぎ、酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮し、得られた残渣を、溶出系Bを用いた薄層クロマトグラフィーにより精製し、表題化合物1b(800mg、収率:53%)を得た。
【0149】
工程2
ベンジル 4-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)ピペリジン-4-カルボキシレート塩酸塩 1c
1b(800mg、1.71mmol)を2mLのジクロロメタンに溶解し、2mLの塩酸(4M 1,4-ジオキサン溶液)を添加した。室温で4時間撹拌後、反応溶液を減圧下で濃縮して粗製の表題化合物1c(800mg)を得て、これを精製することなく、次の工程で直接使用した。
【0150】
工程3
(R)-ベンジル 1-(2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-6-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ヘキサノイル)-4-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)ピペリジン-4-カルボキシレート 1e
粗製の化合物1c(800mg、1.97mmol)および(R)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-6-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ヘキサン酸1d(926mg、1.97mmol、"ChemMedChem, 2015, 10(7), 1232-1239"に開示される既知の方法により製造)を20mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解した。2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(1.12g、3.0mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.7mL、3.94mmol)を添加した。室温で12時間撹拌後、反応溶液を2Nクエン酸溶液に注ぎ、酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮し、粗製の表題化合物1e(1.6g)を得て、これを精製することなく、次の工程で直接使用した。
【0151】
工程4
(R)-ベンジル 1-(2-アミノ-6-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ヘキサノイル)-4-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)ピペリジン-4-カルボキシレート 1f
粗製の化合物1e(1.6g、0.002mol)の10mLのジクロロメタンに溶解し、その後10mLのピペリジンを添加した。室温で2時間撹拌後、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を、溶出系Aを用いた薄層クロマトグラフィーで精製し、表題化合物1f(900mg、収率:77%)を得た。
【0152】
工程5
(R)-ベンジル 2-((R)-2-(2-クロロアセトアミド)-3-フェニルプロピオンアミド)-4-メチルペンタノエート 1i
(R)-ベンジル 2-((R)-2-アミノ-3-フェニルプロパンアミド)-4-メチルペンタノエート1g(500mg、1.36mmol、米国特許第20110212882A1号に開示される方法により製造)およびトリエチルアミン(275mg、2.72mmol)を10mLのジクロロメタンに溶解し、その後クロロアセチルクロライド(230mg、2mmol)を滴下添加した。室温で12時間撹拌後、反応溶液を水に注ぎ、飽和塩化アンモニウム溶液で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮し、粗製の表題化合物1i(500mg)を得て、これを精製することなくすることなく、次の工程で直接使用した。
【0153】
工程6
(R)-ベンジル 4-メチル-2-((R)-3-フェニル-2-(2-(((1-フェニルシクロプロピル)メチル)アミノ)アセトアミド)プロパンアミド)ペンタノエート 1k
粗製の化合物1i(150mg、0.33mmol)および(1-フェニルシクロプロピル)メタンアミン塩酸塩1j(74mg、0.4mmol、"Journal of American Chemical Society, 2015, 137(5), 2042- 2046"に開示される既知の方法により製造)を10mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、その後ヨウ化カリウム(110mg、0.67mmol)および炭酸カリウム(139mg、1mmol)を添加した。反応溶液を60℃まで昇温させ、5時間撹拌し、その後減圧下で濃縮した。得られた残渣に水を添加し、ジクロロメタン(30mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮し、粗製の表題化合物1k(187mg)を得て、これを精製することなくすることなく、次の工程で直接使用した。
【0154】
工程7
(9R,12R)-ベンジル 9-ベンジル-12-イソブチル-2,2-ジメチル-4,7,10-トリオキソ-5-((1-フェニルシクロプロピル)メチル)-3-オキサ-5,8,11-トリアザトリデカン-13-オエート 1l
粗製の化合物1k(187mg、0.337mmol)をジクロロメタンに溶解し、その後二炭酸ジ-tert-ブチル(147mg、0.67mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(130mg、1.01mmol)を添加した。室温で12時間撹拌後、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を、溶出系Aを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、表題化合物1l(100mg、収率:45.5%)を得た。
【0155】
工程8
(9R,12R)-9-ベンジル-12-イソブチル-2,2-ジメチル-4,7,10-トリオキソ-5-((1-フェニルシクロプロピル)メチル)-3-オキサ-5,8,11-トリアザトリデカン-13-酸 1m
1l(100mg、0.152mmol)を10mLのエタノールに溶解し、その後パラジウム炭素(100mg、触媒量)を添加した。添加完了後、反応系を水素で3回パージし、室温で5時間撹拌した。反応溶液をセライトろ過し、ろ液を減圧下で濃縮し、粗製の表題化合物1m(86mg)を得て、これを精製することなくすることなく、次の工程で直接使用した。
【0156】
工程9
ベンジル 1-((9R,12R,15R)-9-ベンジル-15-(4-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ブチル)-12-イソブチル-2,2-ジメチル-4,7,10,13-テトラオキソ-5-((1-フェニルシクロプロピル)メチル)-3-オキサ-5,8,11,14-テトラアザヘキサデカン-16-オイル)-4-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)ピペリジン-4-カルボキシレート 1n
粗製の化合物1m(86mg、0.152mmol)、1f(91mg、0.152mmol)および2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(115mg、0.3mmol)を10mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解した。室温で5時間撹拌後、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を、溶出系Aを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、表題化合物1n(100mg、収率:57.5%)を得た。
【0157】
工程10
4-アミノ-1-((9R,12R,15R)-9-ベンジル-15-(4-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ブチル)-12-イソブチル-2,2-ジメチル-4,7,10,13-テトラオキソ-5-((1-フェニルシクロプロピル)メチル)-3-オキサ-5,8,11,14-テトラアザヘキサデカン-16-オイル)ピペリジン-4-カルボン酸 1o
1n(100mg、0.087mmol)を10mLのエタノールに溶解し、その後パラジウム炭素(100mg、触媒量)を添加した。添加完了後、反応系を水素で3回パージし、室温で12時間撹拌した。反応溶液をセライトろ過し、ろ液を減圧下で濃縮し、粗製の表題化合物1o(80mg)を得て、これを精製することなく、次の工程で直接使用した。
【0158】
工程11
4-アミノ-1-((6R,9R,12R)-12-(4-アミノブチル)-6-ベンジル-9-イソブチル-4,7,10-トリオキソ-1-(1-フェニルシクロプロピル)-2,5,8,11-テトラアザトリデカン-13-オイル)ピペリジン-4-カルボン酸 トリフルオロアセテート 1p
粗製の化合物1o(80mg、0.087mmol)を10mLのジクロロメタンに溶解し、2mLのトリフルオロ酢酸を添加した。室温で5時間撹拌後、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を高速液体クロマトグラフィーにより精製し、表題化合物1p(10mg、収率:15.9%)を得た。
MS m/z(ESI):720.4[M+1]
H NMR(400MHz、CDOD)δ 8.47-8.40(m、2H)、7.42-7.27(m、11H)、4.84-4.81(m、1H)、4.70-4.67(m、1H)、4.40-4.38(m、1H)、4.25-4.10(m、1H)、3.95-3.85(m、2H)、3.78-3.70(m、2H)、3.61-3.52(m、1H)、3.5-3.41(m、1H)、3.25-3.10(m、3H)、3.10-2.95(m、2H)、2.95-2.89(m、2H)、2.89-2.75(m、2H)、2.31-2.24(m、2H)、1.95-1.45(m、13H)、1.1-0.9(m、6H)、0.9-0.86(m、4H)。
【0159】
工程12
4-アミノ-1-((6R,9R,12R)-12-(4-アミノブチル)-6-ベンジル-9-イソブチル-4,7,10-トリオキソ-1-(1-フェニルシクロプロピル)-2,5,8,11-テトラアザトリデカン-13-オイル)ピペリジン-4-カルボン酸 1
1p(10mg、0.012mmol)をジクロロメタンおよびメタノール(V/V=10:1)の混合液に溶解し、その後飽和炭酸ナトリウム水溶液を滴下添加し、pHを約7に調整した。反応溶液を室温で30分環撹拌し、静置して分離させた。有機相を回収し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮し、表題化合物1(8.6mg、収率:100%)を得た。
MS m/z(ESI):720.4[M+1]
【0160】
実施例2
4-アミノ-1-((2R,5R,8R,14S)-2-(4-アミノブチル)-8-ベンジル-5-イソブチル-4,7,10-トリオキソ-14-フェニル-3,6,9,12-テトラアザペンタデカン-1-オイル)ピペリジン-4-カルボン酸 2
【化28】
【化29】
工程1
(R)-ベンジル 4-メチル-2-((R)-3-フェニル-2-(2-(((S)-2-フェニルプロピル)アミノ)アセトアミド)プロパンアミド)ペンタノエート 2b
1i(500mg、1.12mmol)および(S)-2-フェニルプロパン-1-アミン 2a(228mg、1.68mmol、"Advanced Synthesis & Catalysis, 2015, 357(18), 3875-3879"に開示される既知の方法により製造)を10mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、その後ヨウ化カリウム(372mg、2.24mmol)および炭酸カリウム(309mg、2.24mmol)を添加した。反応溶液を60℃まで昇温させ、12時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却し、水を添加し、ジクロロメタン(30mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮し、粗製の表題化合物2b(600mg)を得て、これを精製することなく、次の工程で直接使用した。
【0161】
工程2
(9R,12R)-ベンジル 9-ベンジル-12-イソブチル-2,2-ジメチル-4,7,10-トリオキソ-5-((S)-2-フェニルプロピル)-3-オキサ-5,8,11-トリアザトリデカン-13-オエート 2c
粗製の化合物2b(600mg、1.1mmol)を10mLのジクロロメタンに溶解し、その後二炭酸ジ-tert-ブチル(360mg、1.65mmol)およびトリエチルアミン(222mg、2.2mmol)を添加した。12時間撹拌後、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を、溶出系Aを用いた薄層クロマトグラフィーにより精製し、表題化合物2c(380mg、収率:54%)を得た。
【0162】
工程3
(9R,12R)-9-ベンジル-12-イソブチル-2,2-ジメチル-4,7,10-トリオキソ-5-((S)-2-フェニルプロピル)-3-オキサ-5,8,11-トリアザトリデカン-13-酸 2d
2c(380mg、0.59mmol)を15mLのメタノールに溶解し、その後パラジウム炭素(40mg、触媒量)を添加した。添加完了後、反応系を水素で3回パージし、室温で12時間撹拌した。反応溶液をセライトろ過し、ろ液を減圧下で濃縮し、粗製の表題化合物2d(300mg)を得て、これを精製することなく、次の工程で直接使用した。
【0163】
工程4
ベンジル 1-((9R,12R,15R)-9-ベンジル-15-(4-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ブチル)-12-イソブチル-2,2-ジメチル-4,7,10,13-テトラオキソ-5-((S)-2-フェニルプロピル)-3-オキサ-5,8,11,14-テトラアザヘキサデカン-16-オイル)-4-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)ピペリジン-4-カルボキシレート 2e
粗製の化合物2d(300mg、0.54mmol)、1f(356mg、0.6mmol)、2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(308mg、0.81mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(104mg、0.81mmol)を10mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解した。室温で1.5時間撹拌後、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を、溶出系Aを用いた薄層クロマトグラフィーにより精製し、表題化合物2e(500mg、収率:81.8%)を得た。
【0164】
工程5
4-アミノ-1-((9R,12R,15R)-9-ベンジル-15-(4-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ブチル)-12-イソブチル-2,2-ジメチル-4,7,10,13-テトラオキソ-5-((S)-2-フェニルプロピル)-3-オキサ-5,8,11,14-テトラアザヘキサデカン-16-オイル)ピペリジン-4-カルボン酸 2f
2e(500mg、0.44mmol)を10mLのメタノールに溶解し、その後パラジウム炭素(50mg、触媒量)を添加した。添加完了後、反応系を水素で3回パージし、室温で12時間撹拌した。反応溶液をセライトろ過し、ろ液を減圧下で濃縮し、粗製の表題化合物2f(400mg)を得て、これを精製することなく、次の工程で直接使用した。
【0165】
工程6
4-アミノ-1-((2R,5R,8R,14S)-2-(4-アミノブチル)-8-ベンジル-5-イソブチル-4,7,10-トリオキソ-14-フェニル-3,6,9,12-テトラアザペンタデカン-1-オイル)ピペリジン-4-カルボン酸 トリフルオロアセテート 2g
粗製の化合物2f(400mg、0.44mmol)5mLのジクロロメタンに溶解し、その後2mLの塩酸(4M 1,4-ジオキサン溶液)aを添加した。室温で2時間撹拌後、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を、高速液体クロマトグラフィーにより精製し、表題化合物2g(150mg、収率:48%)を得た。
MS m/z(ESI):708.6[M+1]
H NMR(400MHz、CDOD)δ 7.40-7.17(m、11H)、4.89-4.82(m、1H)、4.79-4.74(m、1H)、4.40-4.39(m、1H)、4.22-4.15(m、1H)、4.01-3.95(m、1H)、3.85-3.60(m、5H)、3.49-3.36(m、1H)、3.21-3.09(m、5H)、2.96-2.92(m、4H)、2.27-2.25(m、3H)、1.83-1.45(m、14H)、1.34-1.33(m、3H)、1.01-0.92(m、6H)
【0166】
工程7
4-アミノ-1-((2R,5R,8R,14S)-2-(4-アミノブチル)-8-ベンジル-5-イソブチル-4,7,10-トリオキソ-14-フェニル-3,6,9,12-テトラアザペンタデカン-1-オイル)ピペリジン-4-カルボン酸 2
2g(150mg、0.182mmol)を1mLのジクロロメタンおよびメタノール(V/V=10:1)の混合溶液に溶解し、その後飽和炭酸ナトリウム水溶液を滴下添加し、pHを約7に調整した。反応溶液を室温で30分間撹拌し、静置して分離させた。有機相を回収し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮し、表題化合物2(129mg、収率:100%)を得た。
MS m/z(ESI):708.6[M+1]
【0167】
実施例3
4-アミノ-1-((2R,5R,8R)-2-(4-アミノブチル)-8-ベンジル-5-イソブチル-14-メチル-4,7,10-トリオキソ-14-フェニル-3,6,9,12-テトラアザペンタデカン-1-オイル)ピペリジン-4-カルボン酸 3
【化30】
【化31】
工程1
(9R,12R)-ベンジル 9-ベンジル-12-イソブチル-2,2-ジメチル-5-(2-メチル-2-フェニルプロピル)-4,7,10-トリオキソ-3-オキサ-5,8,11-トリアザトリデカン-13-オエート 3b
粗製の化合物1i(130mg、0.293mmol)および2-メチル-2-フェニルプロパン-1-アミン3a(130mg、0.878mmol、特許出願国際公開第2007030582号に開示される既知の方法により製造)を2mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、その後ヨウ化カリウム(73mg、0.44mmol)および炭酸カリウム(121mg、0.878mmol)を添加した。反応溶液を80℃まで昇温させ、12時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却し、その後1mLのテトラヒドロフランおよび1mLの水を添加した。均一に撹拌した後、二炭酸ジ-tert-ブチル(96mg、0.439mmol)を添加した。反応溶液を室温で2時間撹拌し、その後減圧下で濃縮した。残渣に水を添加し、酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を、溶出系Bを用いた薄層クロマトグラフィーにより精製し、表題化合物3b(110mg、収率:57%)を得た。
【0168】
工程2
(9R,12R)-9-ベンジル-12-イソブチル-2,2-ジメチル-5-(2-メチル-2-フェニルプロピル)-4,7,10-トリオキソ-3-オキサ-5,8,11-トリアザトリデカン-13-酸 3c
3b(110mg、0.162mmol)をメタノールに溶解し、その後パラジウム炭素(20mg、触媒量)を添加した。添加完了後、反応系を水素で3回パージし、30℃まで昇温させ、12時間撹拌した。反応溶液をセライトろ過し、ろ液を減圧下で濃縮し、粗製の表題化合物3c(74mg)を得て、これを精製することなく、次の工程で直接使用した。
【0169】
工程3
メチル 1-((9R,12R,15R)-9-ベンジル-15-(4-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ブチル)-12-イソブチル-2,2-ジメチル-5-(2-メチル-2-フェニルプロピル)-4,7,10,13-テトラオキソ-3-オキサ-5,8,11,14-テトラアザヘキサデカン-16-オイル)-4-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ピペリジン-4-カルボキシレート 3e
粗製の化合物3c(74mg、0.13mmol)、(R)-メチル 1-(2-アミノ-6-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ヘキサノイル)-4-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ピペリジン-4-カルボキシレート3d(70mg、0.143mmol、特許出願日本国特許第5807140B1号に開示される既知の方法により製造)、2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(74mg、0.195mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(50mg、0.39mmol)を2mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、0℃で2時間撹拌した。反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣に水を添加し、酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮し、粗製の表題化合物3e(134mg)を得て、これを精製することなく、次の工程で直接使用した。
【0170】
工程4
4-アミノ-1-((2R,5R,8R)-2-(4-アミノブチル)-8-ベンジル-5-イソブチル-14-メチル-4,7,10-トリオキソ-14-フェニル-3,6,9,12-テトラアザペンタデカン-1-オイル)ピペリジン-4-カルボン酸 トリフルオロアセテート 3f
粗製の化合物3e(134mg、0.13mmol)を2mLのテトラヒドロフランおよびメタノール(V/V=3:1)の混合溶媒に溶解し、その後0.65mLの1M 水酸化リチウムを添加した。室温で2時間撹拌後、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を高速液体クロマトグラフィーにより精製し、表題化合物3f(40mg、収率:30%)を得た。
MS m/z(ESI):722.6[M+1]
H NMR(400MHz、CDOD)δ 7.90-7.759(m、2H)、7.45-7.15(m、10H)、4.80-4.71(m、1H)、4.45-4.37(m、1H)、4.17-4.10(m、1H)、4.02-3.85(m、2H)、3.80-3.72(m、3H)、3.65-3.50(m、1H)、3.48-3.40(m、1H)、3.25-3.15(m、3H)、3.05-2.80(m、5H)、2.38-2.20(m、3H)、2.02-1.40(m、20H)、1.05-0.92(m、6H)。
【0171】
工程5
4-アミノ-1-((2R,5R,8R)-2-(4-アミノブチル)-8-ベンジル-5-イソブチル-14-メチル-4,7,10-トリオキソ-14-フェニル-3,6,9,12-テトラアザペンタデカン-1-オイル)ピペリジン-4-カルボン酸 3
3f(40mg、0.048mmol)をジクロロメタンおよびメタノール(V/V=10:1)の混合溶液に溶解した。飽和炭酸ナトリウム水溶液を滴下添加し、pHを約7に調整した。反応溶液を室温で30分間撹拌し、静置して分離させた。有機相を回収し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮し、表題化合物3(34.6mg、収率:100%)を得た。
MS m/z(ESI):722.6[M+1]
【0172】
実施例4
4-アミノ-1-((2R,5R,8R,14R)-2-(4-アミノブチル)-8-ベンジル-5-イソブチル-15-メチル-4,7,10-トリオキソ-14-フェニル-3,6,9,12-テトラアザヘキサデカン-1-オイル)ピペリジン-4-カルボン酸 4
【化32】
【化33】
工程1
(R)-ベンジル 4-メチル-2-((R)-2-(2-(((R)-3-メチル-2-フェニルブチル)アミノ)アセトアミド)-3-フェニルプロパンアミド)ペンタノエート 4b
粗製の化合物1i(1g、2.45mmol)および(R)-3-メチル-2-フェニルブタン-1-アミン4a(500mg、3mmol、"Tetrahedron:Asymmetry, 2003, 14(16), 2401-2406"に開示される既知の方法により製造)を10mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、その後ヨウ化カリウム(1g、6mmol)および炭酸カリウム(1.3g、9.2mmol)を添加した。反応溶液を60℃まで昇温させ、12時間撹拌し、その後減圧下で濃縮した。得られた残渣に水を添加し、ジクロロメタン(30mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮し、粗製の表題化合物4b(500mg)を得て、これを精製することなく、次の工程で直接使用した。
【0173】
工程2
(9R,12R)-ベンジル 9-ベンジル-12-イソブチル-2,2-ジメチル-5-((R)-3-メチル-2-フェニルブチル)-4,7,10-トリオキソ-3-オキサ-5,8,11-トリアザトリデカン-13-オエート 4c
粗製の化合物4b(500mg、0.875mmol)をジクロロメタンに溶解し、その後二炭酸ジ-tert-ブチル(380mg、1.75mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(340mg、2.62mmol)を添加した。室温で12時間撹拌後、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を、溶出系Aを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、表題化合物4c(300mg、収率:51.1%)を得た。
【0174】
工程3
(9R,12R)-9-ベンジル-12-イソブチル-2,2-ジメチル-5-((R)-3-メチル-2-フェニルブチル)-4,7,10-トリオキソ-3-オキサ-5,8,11-トリアザトリデカン-13-酸 4d
4c(300mg、0.447mmol)を10mLのエタノールに溶解し、その後パラジウム炭素(100mg、触媒量)を添加した。添加完了後、反応系を水素で3回パージし、室温で12時間撹拌した。反応溶液をセライトろ過し、ろ液を減圧下で濃縮し、粗製の表題化合物4d(260mg)を得て、これを精製することなく、次の工程で直接使用した。
【0175】
工程4
ベンジル 1-((9R,12R,15R)-9-ベンジル-15-(4-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ブチル)-12-イソブチル-2,2-ジメチル-5-((R)-3-メチル-2-フェニルブチル)-4,7,10,13-テトラオキソ-3-オキサ-5,8,11,14-テトラアザヘキサデカン-16-オイル)-4-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)ピペリジン-4-カルボキシレート 4e
粗製の化合物4d(260mg、0.447mmol)、1f(270mg、0.447mmol)、2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(500mg、1.34mmol)および3mLのトリエチルアミンを10mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解した。室温で2時間撹拌後、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を、溶出系Aを用いた薄層クロマトグラフィーにより精製し、表題化合物4e(100mg、収率:19.2%)を得た。
【0176】
工程5
4-アミノ-1-((9R,12R,15R)-9-ベンジル-15-(4-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ブチル)-12-イソブチル-2,2-ジメチル-5-((R)-3-メチル-2-フェニルブチル)-4,7,10,13-テトラオキソ-3-オキサ-5,8,11,14-テトラアザヘキサデカン-16-オイル)ピペリジン-4-カルボン酸 4f
4e(100mg、0.086mmol)を20mLのエタノールに溶解し、パラジウム炭素(100mg、触媒量)を添加した。添加完了後、反応系を水素で3回パージし、室温で12時間撹拌した。反応溶液をセライトろ過し、ろ液を減圧下で濃縮し、粗製の表題化合物4f(81mg)を得て、これを精製することなく、次の工程で直接使用した。
【0177】
工程6
4-アミノ-1-((2R,5R,8R,14R)-2-(4-アミノブチル)-8-ベンジル-5-イソブチル-15-メチル-4,7,10-トリオキソ-14-フェニル-3,6,9,12-テトラアザヘキサデカン-1-オイル)ピペリジン-4-カルボン酸 トリフルオロアセテート 4g
粗製の化合物4f(81mg、0.086mmol)を10mLのジクロロメタンに溶解し、その後3mLのトリフルオロ酢酸を添加した。室温で2時間撹拌後、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を高速液体クロマトグラフィーにより精製し、表題化合物4g(8mg、収率:12.7%)を得た。
MS m/z(ESI):736.4[M+1]
H NMR(400MHz、CDOD)δ 7.45-7.15(m、10H)、4.9-4.8(m、1H)、4.8-4.62(m、1H)、4.41-4.28(m、1H)、4.1-4.0(m、1H)、3.98-3.85(m、1H)、3.85-3.65(m、3H)、3.65-3.55(m、1H)、3.55-3.45(m、1H)、3.38-3.28(m、2H)、3.25-3.08(m、2H)、3.25-3.05(m、2H)、2.95-2.87(m、2H)、2.85-2.75(m、1H)、2.75-2.65(m、2H)、2.4-2.15(m、3H)、2-1.35(m、14H)、1.2-0.83(m、9H)、0.71-0.62(d、3H)。
【0178】
工程7
4-アミノ-1-((2R,5R,8R,14R)-2-(4-アミノブチル)-8-ベンジル-5-イソブチル-15-メチル-4,7,10-トリオキソ-14-フェニル-3,6,9,12-テトラアザヘキサデカン-1-オイル)ピペリジン-4-カルボン酸 4
4g(8mg、0.009mmol)を1mLのジクロロメタンおよびメタノール(V/V=10:1)の混合溶媒に溶解した。飽和炭酸ナトリウム水溶液を添加し、pHを約7に調整した。反応溶液を室温で30分撹拌し、静置して分離させた。有機相を回収し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮し、表題化合物4(6.9mg、収率:100%)を得た。
MS m/z(ESI):736.4[M+1]
【0179】
実施例5
4-アミノ-1-((2R,5R,8R,14R)-2-(4-アミノブチル)-8-ベンジル-5-イソブチル-4,7,10-トリオキソ-14-フェニル-3,6,9,12-テトラアザペンタデカン-1-オイル)ピペリジン-4-カルボン酸 5
【化34】
【化35】
工程1
(R)-ベンジル 4-メチル-2-((R)-3-フェニル-2-(2-(((R)-2-フェニルプロピル)アミノ)アセトアミド)プロパンアミド)ペンタノエート 5b
1i(500mg、1.12mmol)および(R)-2-フェニルプロパン-1-アミン5a(228mg、1.68mmol、"Angewandte Chemie,International Edition, 2003, 42(39), 4793-4795"に開示される既知の方法により製造)を10mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、その後ヨウ化カリウム(372mg、2.24mmol)および炭酸カリウム(309mg、2.24mmol)を添加した。反応溶液を60℃まで昇温させ12時間撹拌した。反応溶液を室温で冷却し、水を添加し、ジクロロメタン(30mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮し、粗製の表題化合物5b(600mg)を得て、これを精製することなく、次の工程で直接使用した。
【0180】
工程2
(9R,12R)-ベンジル 9-ベンジル-12-イソブチル-2,2-ジメチル-4,7,10-トリオキソ-5-((R)-2-フェニルプロピル)-3-オキサ-5,8,11-トリアザトリデカン-13-オエート 5c
粗製の化合物5b(600mg、1.1mmol)を20mLのジクロロメタンに溶解し、その後二炭酸ジ-tert-ブチル(361mg、1.66mmol)およびトリエチルアミン(222mg、2.2mmol)を添加した。室温で12時間撹拌後、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を、溶出系Aを用いた薄層クロマトグラフィーにより精製し、表題化合物5c(580mg、収率:82%)を得た。
【0181】
工程3
(9R,12R)-9-ベンジル-12-イソブチル-2,2-ジメチル-4,7,10-トリオキソ-5-((R)-2-フェニルプロピル)-3-オキサ-5,8,11-トリアザトリデカン-13-酸 5d
5c(580mg、0.9mmol)10mLのメタノールに溶解し、その後パラジウム炭素(60mg、触媒量)を添加した。添加完了後、反応系を水素で3回パージし、室温で12時間撹拌した。反応溶液をセライトろ過し、ろ液を減圧下で濃縮し、粗製の表題化合物5d(500mg)を得て、これを精製することなく、次の工程で直接使用した。
【0182】
工程4
ベンジル 1-((9R,12R,15R)-9-ベンジル-15-(4-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ブチル)-12-イソブチル-2,2-ジメチル-4,7,10,13-テトラオキソ-5-((R)-2-フェニルプロピル)-3-オキサ-5,8,11,14-テトラアザヘキサデカン-16-オイル)-4-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)ピペリジン-4-カルボキシレート 5e
粗製の化合物5d(365mg、0.66mmol)、1f(393mg、0.66mmol)、2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(376mg、0.99mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.16mL、0.99mmol)を10mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解した。室温で2時間撹拌後、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を、溶出系Aを用いた薄層クロマトグラフィーにより精製し、表題化合物5e(170mg、収率:23%)を得た。
【0183】
工程5
4-アミノ-1-((9R,12R,15R)-9-ベンジル-15-(4-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ブチル)-12-イソブチル-2,2-ジメチル-4,7,10,13-テトラオキソ-5-((R)-2-フェニルプロピル)-3-オキサ-5,8,11,14-テトラアザヘキサデカン-16-オイル)ピペリジン-4-カルボン酸 5f
5e(80mg、0.0706mmol)を10mLのメタノールに溶解し、その後パラジウム炭素(10mg、触媒量)を添加した。添加完了後、反応系を水素で3回パージし、室温で12時間撹拌した。反応溶液をセライトろ過し、ろ液を減圧下で濃縮し、粗製の表題化合物5f(60mg)を得て、これを精製することなく、次の工程で直接使用した。
【0184】
工程6
4-アミノ-1-((2R,5R,8R,14R)-2-(4-アミノブチル)-8-ベンジル-5-イソブチル-4,7,10-トリオキソ-14-フェニル-3,6,9,12-テトラアザペンタデカン-1-オイル)ピペリジン-4-カルボン酸トリフルオロアセテート 5g
粗製の生成物5f(60mg、0.066mmol)を2mLのジクロロメタンに溶解し、その後、1mLの塩酸(4M 1,4-ジオキサン)溶液を添加した、室温で2時間撹拌後、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を高速液体クロマトグラフィーにより精製し、表題化合物5g(30mg、収率:55.6%)を得た。
MS m/z(ESI):708.6[M+1]
【0185】
工程7
4-アミノ-1-((2R,5R,8R,14R)-2-(4-アミノブチル)-8-ベンジル-5-イソブチル-4,7,10-トリオキソ-14-フェニル-3,6,9,12-テトラアザペンタデカン-1-オイル)ピペリジン-4-カルボン酸 5
5g(30mg、0.028mmol)を5mLのメタノール/水混合溶媒に溶解し、その後固形重炭酸ナトリウム(10mg)を添加し、pHを7に調整した。反応溶液を30分間撹拌し、その後減圧下で濃縮した。得られた残渣を10mLのジクロロメタンで溶解し、30分間撹拌し、ろ過した。ろ物を10mLのジクロロメタンで洗浄し、ろ液を減圧下で濃縮し、表題化合物5(17mg、収率:85.9%)を得た。
MS m/z(ESI):708.6[M+1]
H NMR(400MHz、CDOD):δ 7.33-7.19(m、10H)、4.90-4.84(m、2H)、4.64-4.61(m、2H)、4.42-4.39(m、1H)、3.86-3.74(m、5H)、3.20-3.12(m、4H)、2.94-2.84(m、4H)、2.61-2.54(m、2H)、2.20-2.15(m、3H)、1.79-1.70(m、2H)、1.68-1.60(m、8H)、1.45-1.40(m、3H)、1.30-1.20(m、5H)、0.99-0.76(m、6H)。
【0186】
実施例6
(R)-N-((R)-6-アミノ-1-モルホリノ-1-オキソヘキサン-2-イル)-4-メチル-2-((R)-3-フェニル-2-(2-(((1S,2R)-2-フェニルシクロプロピル)アミノ)アセトアミド)プロパンアミド)ペンタンアミド 6
【化36】
【化37】
工程1
(R)-ベンジル tert-ブチル(6-モルホリノ-6-オキソヘキサン-1,5-ジイル)ジカルバメート 6b
(R)-2-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)-6-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ヘキサン酸6a(1.14g、3mmol、"African Journal of pure and Applied Chemistry, 2009, 3(6), 108-115"に開示される既知の方法により製造)、モルホリン(0.31mL、3.6mmol)、2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(1.73g、4.5mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.8mL、4.5mmol)を10mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し室温で2時間撹拌した。反応溶液に50mLの酢酸エチルを添加し、飽和塩化アンモニウム溶液、飽和重炭酸ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮し、粗製の表題化合物6b(1.3g)を得て、これを精製することなく、次の工程で直接使用した。
【0187】
工程2
(R)-tert-ブチル(5-アミノ-6-モルホリノ-6-オキソヘキシル)カルバメート 6c
粗製の化合物6b(1.3g、2.9mmol)15mLのメタノールに溶解し、その後パラジウム炭素(350mg、触媒量)を添加した。添加完了後、反応系を水素で3回パージし、室温で12時間撹拌した。反応溶液をセライトろ過し、ろ液を減圧下で濃縮し、粗製の表題化合物6c(914mg)を得て、これを精製することなく、次の工程で直接使用した。
【0188】
工程3
(R)-ベンジル 4-メチル-2-((R)-3-フェニル-2-(2-(((1S,2R)-2-フェニルシクロプロピル)アミノ)アセトアミド)プロパンアミド)ペンタノエート 6e
粗製の化合物1i(300mg、0.675mmol)および(1S,2S)-2-フェニルシクロプロパンアミン6d(120mg、0.68mmol、特許出願、米国特許第20060116370A1号に開示される既知の方法により製造)を10mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、その後ヨウ化カリウム(560mg、3.375mmol)および炭酸カリウム(465mg、3.375mmol)を添加した。反応溶液を60℃まで昇温させ、5時間撹拌し、その後減圧下で濃縮した。得られた残渣に水を添加し、ジクロロメタン(30mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮し、表題化合物6e(200mg)を得て、これを精製することなく、次の工程で直接使用した。
【0189】
工程4
(9R,12R)-ベンジル 9-ベンジル-12-イソブチル-2,2-ジメチル-4,7,10-トリオキソ-5-((1S,2R)-2-フェニルシクロプロピル)-3-オキサ-5,8,11-トリアザトリデカン-13-オエート 6f
粗製の化合物6e(200mg、0.35mmol)をジクロロメタンに溶解し、その後二炭酸ジ-tert-ブチル(100mg、0.525mmol)およびトリエチルアミン(110mg、1.05mmol)を添加した。室温で12時間撹拌後、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を、溶出系Aを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、表題化合物6f(140mg、収率:62.5%)を得た。
【0190】
工程5
(9R,12R)-9-ベンジル-12-イソブチル-2,2-ジメチル-4,7,10-トリオキソ-5-((1S,2R)-2-フェニルシクロプロピル)-3-オキサ-5,8,11-トリアザトリデカン-13-酸 6g
6f(140mg、0.218mmol)を4.5mLのテトラヒドロフラン、メタノールおよび水(V/V/V=4:4:1)の混合溶媒に溶解し、その後水酸化リチウム一水和物(55mg、1.31mmol)を添加した。室温で12時間撹拌後、反応溶液を減圧下で濃縮してメタノールおよびテトラヒドロフラン溶媒を除去した。水を添加し、1M塩酸を滴下添加し、pHを6に調整した。反応溶液をジクロロメタン(30mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮し粗製の表題化合物6g(130mg)を得て、これを精製することなく、次の工程で直接使用した。
【0191】
工程6
tert-ブチル((10R,13R,16R)-16-フェニル-13-イソブチル-2,2-ジメチル-10-(モルホリン-4-カルボニル)-4,12,15,18-テトラオキソ-3-オキサ-5,11,14,17-テトラアザノナデカン-19-イル)((1S,2R)-2-フェニルシクロプロピル)カルバメート 6h
粗製の化合物6g(130mg、0.218mmol)、粗製の化合物6c(85mg、0.26mmol)、2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(125mg、0.327mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(85mg、0.654mmol)を5mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、室温で12時間撹拌した。反応溶液に30mLのアセチルアセテートを添加し、飽和塩化アンモニウム溶液、飽和重炭酸ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を、溶出系Aを用いた薄層クロマトグラフィーにより精製し、表題化合物6h(130mg、収率:70%)を得た。
【0192】
工程7
(R)-N-((R)-6-アミノ-1-モルホリノ-1-オキソヘキサン-2-イル)-4-メチル-2-((R)-3-フェニル-2-(2-(((1S,2R)-2-フェニルシクロプロピル)アミノ)アセトアミド)プロパンアミド)ペンタンアミド 6
6h(60mg、0.071mmol)を3mLのジクロロメタンに溶解し、その後0.8mLの塩酸(4M 1,4-ジオキサン溶液)を添加した。室温で2時間撹拌後、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を、メタノールおよび水(V:V=20:1)の混合溶媒に溶解した。炭酸ナトリウムを添加し、pHを8以上に調整した。溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣に10mLのジクロロメタンを添加し、10分間撹拌し、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮し、表題化合物6(19mg、収率:43.5%)を得た。
MS m/z(ESI):649.3 [M+1]
1H NMR(400MHz、CD3OD)δ 7.26-7.23(m、10H)、4.95-4.93(m、1H)、4.80-4.78(m、1H)、4.70-4.68(m、1H)、3.66-3.60(m、8H)、3.32-3.30(m、6H)、3.28-3.26(m、1H)、3.18-3.16(m、1H)、2.94-2.91(m、1H)、2.65-2.63(m、1H)、2.26-2.23(m、1H)、1.71-1.68(m、5H)、1.48-1.42(m、6H)、0.95-0.93(dd、6H)。
【0193】
実施例7
4-アミノ-1-((2R,5R,8R)-2-(4-アミノブチル)-8-ベンジル-5-イソブチル-4,7,10-トリオキソ-14-フェニル-3,6,9,12-テトラアザヘキサデカン-1-オイル)ピペリジン-4-カルボン酸 7
【化38】
【化39】
工程1
(9R,12R)-9-ベンジル-12-イソブチル-2,2-ジメチル-4,7,10-トリオキソ-5-(2-フェニルブチル)-3-オキサ-5,8,11-トリアザトリデカン-13-酸 7a
1l(300mg、0.458mmol)を10mLのメタノールに溶解し、その後触媒量のパラジウム炭素を添加した。添加完了後、反応系を水素で3回パージし、室温で12時間撹拌した。反応溶液をセライトろ過し、ろ液を減圧下で濃縮し、粗製の表題化合物7a(189mg)を得て、これを精製することなく、次の工程で直接使用した。
【0194】
工程2
ベンジル 1-((9R,12R,15R)-9-ベンジル-15-(4-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ブチル)-12-イソブチル-2,2-ジメチル-4,7,10,13-テトラオキソ-5-(2-フェニルブチル)-3-オキサ-5,8,11,14-テトラアザヘキサデカン-16-オイル)-4-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)ピペリジン-4-カルボキシレート 7b
粗製の化合物7a(189mg、0.34mmol)、1f(200mg、0.34mmol)、2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(194mg、0.51mmol)およびトリエチルアミン(67mg、0.68mmol)を10mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解した。室温で12時間撹拌後、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を、溶出系Aを用いた薄層クロマトグラフィーにより精製し、表題化合物7b(80mg、収率:20%)を得た。
【0195】
工程3
4-アミノ-1-((9R,12R,15R)-9-ベンジル-15-(4-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ブチル)-12-イソブチル-2,2-ジメチル-4,7,10,13-テトラオキソ-5-(2-フェニルブチル)-3-オキサ-5,8,11,14-テトラアザヘキサデカン-16-オイル)ピペリジン-4-カルボン酸 7c
7b(80mg、0.07mmol)を10mLのメタノールに溶解し、その後パラジウム炭素(10mg、触媒量)を添加した。添加完了後、反応系を水素で3回パージし、室温で12時間撹拌した。反応溶液をセライトろ過し、ろ液を減圧下で濃縮し、粗製の表題化合物7c(50mg)を得て、これを精製することなく、次の工程で直接使用した。
【0196】
工程4
4-アミノ-1-((2R,5R,8R)-2-(4-アミノブチル)-8-ベンジル-5-イソブチル-4,7,10-トリオキソ-14-フェニル-3,6,9,12-テトラアザヘキサデカン-1-オイル)ピペリジン-4-カルボン酸トリフルオロアセテート 7d
粗製の化合物7c(50mg、0.054mmol)を10mLのジクロロメタンに溶解し、その後2mLの塩酸(4M 1,4-ジオキサン溶液)を添加した。室温で1時間撹拌後、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を高速液体カラムクロマトグラフィーにより精製し、表題化合物7d(10mg、収率:25.6%)を得た。
MS m/z(ESI):722.6[M+1]
H NMR(400MHz、CDOD)δ 7.42-7.25(m、10H)、4.84-4.69(m、3H)、4.39-4.38(m、2H)、3.90-3.73(m、8H)、3.22-3.19(m、4H)、2.94-2.67(m、5H)、2.24-2.19(m、3H)、1.79-1.58(m、15H)、0.99-0.93(m、6H)、0.78(t、3H)
【0197】
工程5
4-アミノ-1-((2R,5R,8R)-2-(4-アミノブチル)-8-ベンジル-5-イソブチル-4,7,10-トリオキソ-14-フェニル-3,6,9,12-テトラアザヘキサデカン-1-オイル)ピペリジン-4-カルボン酸 7
7d(10mg、0.012mmol)を1mLのジクロロメタンおよびメタノール(V/V=10:1)の混合溶媒に溶解し、その後飽和炭酸ナトリウム水溶液を添加し、pHを約7に調整した。反応溶液を室温で30分間撹拌し静置して分離させた。有機相を回収し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ液を減圧下で濃縮し、表題化合物7(8.6mg、収率:100%)を得た。
MS m/z(ESI):722.6[M+1]
【0198】
実施例8
4-アミノ-1-((2R,5R,8R)-2-(4-アミノブチル)-8-ベンジル-5-イソブチル-4,7,10-トリオキソ-14-フェニル-3,6,9,12-テトラアザテトラデカン-1-オイル)ピペリジン-4-カルボン酸 8
【化40】
【化41】
工程1
(R)-メチル 2-アミノ-6-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)ヘキサノエート塩酸塩 8b
1.3mLのジクロロスルホキシドを20mLのメタノールに溶解し、氷浴中で0℃に冷却した。(R)-2-アミノ-6-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)ヘキサン酸8a(2g、7.1mmol)を添加した。室温で12時間撹拌後、反応溶液を減圧下で濃縮し、表題化合物8b(2.09g)を得て、これを精製することなく、次の工程で直接使用した。
【0199】
工程2
(9R,12R)-ベンジル 9-ベンジル-12-イソブチル-2,2-ジメチル-4,7,10-トリオキソ-5-フェニルエチル-3-オキサ-5,8,11-トリアザトリデカン-13-オエート 8d
2-((tert-ブトキシカルボニル)(フェニルエチル)アミノ)酢酸8c(332mg、1.19mmol、米国特許第6245746B1号に開示される方法により製造)および1g(439mg、1.19mmol)を6.6mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、その後2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(679mg、1.785mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(615mg、4.76mmol)を添加した。溶液を0℃で2時間撹拌し、その後減圧下で濃縮した。得られた残渣を水で希釈し、酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を、溶出系Bを用いた薄層クロマトグラフィーにより精製し、表題化合物8d(410mg、収率:55%)を得た。
【0200】
工程3
(9R,12R)-9-ベンジル-12-イソブチル-2,2-ジメチル-4,7,10-トリオキソ-5-フェニルエチル-3-オキサ-5,8,11-トリアザトリデカン-13-酸 8e
8d(410mg、0.65mmol)を20mLのメタノールに溶解し、その後パラジウム炭素(60mg、触媒量)を添加した。添加完了後、反応系を水素で3回パージし、室温で12時間撹拌した。反応溶液をセライトろ過し、ろ液を減圧下で濃縮し、粗製の表題化合物8e(313mg)を得て、これを精製することなく、次の工程で直接使用した
【0201】
工程4
(9R,12R,15R)-メチル 9-ベンジル-15-(4-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)ブチル)-12-イソブチル-2,2-ジメチル-4,7,10,13-テトラオキソ-5-フェニルエチル-3-オキサ-5,8,11,14-テトラアザヘキサデカン-16-オエート
粗製の化合物8e(100mg、0.125mmol)および粗製の化合物8b(85mg、0.231mmol)を5mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、その後2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(105mg、0.277mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(72mg、0.555mmol)を添加した。室温で2時間撹拌後、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣に水を添加し、酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化アンモニウム溶液(30mL×3)、飽和重炭酸ナトリウム溶液(30mL×3)および飽和塩化ナトリウム溶液(30mL×3)で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮し、粗製の表題化合物8f(140mg)を得て、これを精製することなく、次の工程で直接使用した。
【0202】
工程5
(9R,12R,15R)-9-ベンジル-15-(4-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)ブチル)-12-イソブチル-2,2-ジメチル-4,7,10,13-テトラオキソ-5-フェニルエチル-3-オキサ-5,8,11,14-テトラアザヘキサデカン-16-酸 8g
粗製の化合物8f(140mg、0.17mmol)を7mLのテトラヒドロフラン、メタノールおよび水(V/V/V=3:3:1)の混合溶媒に溶解し、その後水酸化リチウム一水和物(40mg、0.85mmol)を添加した。室温で0.5時間撹拌後、反応溶液を減圧下で濃縮してメタノールおよびテトラヒドロフラン溶媒を除去した。水を添加し、その後1M塩酸を滴下添加し、pHを6に調整した。反応溶液をジクロロメタン(30mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮し、粗製の表題化合物8g(220mg)を得て、これを精製することなく、次の工程で直接使用した。
【0203】
工程6
ベンジル 1-((9R,12R,15R)-9-ベンジル-15-(4-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)ブチル)-12-イソブチル-2,2-ジメチル-4,7,10,13-テトラオキソ-5-フェニルエチル-3-オキサ-5,8,11,14-テトラアザヘキサデカン-16-オイル)-4-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)ピペリジン-4-カルボキシレート 8h
粗製の化合物8g(220mg、0.17mmol)および粗製の化合物1c(130mg、0.26mmol)を5mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、その後2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(100mg、0.26mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(66mg、0.51mmol)を添加した。室温で3時間撹拌後、、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣に水を添加し酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化アンモニウム溶液(30mL×3)、飽和重炭酸ナトリウム溶液(30mL×3)および飽和塩化ナトリウム溶液(30mL×3)で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を、溶出系Aを用いた薄層クロマトグラフィーにより精製し、表題化合物8h(170mg、収率:87%)を得た。
【0204】
工程7
1-((9R,12R,15R)-15-(4-アミノブチル)-9-ベンジル-12-イソブチル-2,2-ジメチル-4,7,10,13-テトラオキソ-5-フェニルエチル-3-オキサ-5,8,11,14-テトラアザヘキサデカン-16-オイル)-4-(カルボキシアミノ)ピペリジン-4-カルボン酸 8i
8h(170mg、0.147mmol)を5mLのメタノールに溶解し、その後パラジウム炭素(50mg、触媒量)を添加した。添加完了後、反応系を水素で3回パージし、室温で12時間撹拌した。反応溶液をセライトろ過し、ろ液を減圧下で濃縮し、粗製の表題化合物8i(140mg)を得て、これを精製することなく、次の工程で直接使用した。
【0205】
工程8
4-アミノ-1-((2R,5R,8R)-2-(4-アミノブチル)-8-ベンジル-5-イソブチル-4,7,10-トリオキソ-14-フェニル-3,6,9,12-テトラアザテトラデカン-1-オイル)ピペリジン-4-カルボン酸 8
粗製の化合物8i(140mg、0.167mmol)を3mLのジクロロメタンに溶解し、その後0.5mLの塩酸(4M 1,4-ジオキサン溶液)を添加した。室温で1時間撹拌後、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をメタノールおよび水(V/V=20:1)の混合溶媒に溶解し、その炭酸ナトリウムを添加してpHを8以上に調整した8。反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣に10mLのジクロロメタンを添加し、10分間撹拌してろ過した。ろ液を減圧下で濃縮し、表題化合物8(19mg、収率:17.4%)を得た。
MS m/z(ESI):694.4[M+1]
H NMR(400MHz、CD3OD)δ 7.32-7.01(m、10H)、4.68-4.66(m、1H)、4.44-4.42(m、1H)、3.75-3.65(m、6H)、3.35(s、2H)、3.32-3.28(m、6H)、3.20-3.18(m、2H)、3.00(s、2H)、2.70-2.58(m、5H)、2.10-1.98(m、3H)、1.55-1.50(m、6H)、0.95-0.93(dd、6H)。
【0206】
実施例9
(R)-N-((R)-6-アミノ-1-(4-(3-メチルウレイド)ピペリジン-1-イル)-1-オキソヘキサン-2-イル)-4-メチル-2-((R)-3-フェニル-2-(2-(((R)-2-フェニルプロピル)アミノ)アセトアミド)プロパンアミド)ペンタンアミド 9
【化42】
【化43】
工程1
tert-ブチル 4-(3-メチルウレイド)ピペリジン-1-カルボキシレート 9c
9a(8.11g、40mmol、特許出願国際公開第2006115353号に開示される方法により製造)を130mLのジクロロメタンに溶解し、その後N,N-ジイソプロピルエチルアミン(15.51g、120mmol)を添加した。0℃に冷却後、反応溶液に9b(3.74g、40mmol)を添加し、室温で2時間撹拌した。反応溶液に200mLの飽和重炭酸ナトリウム溶液を添加し、ジクロロメタン(200mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(200mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮し、粗製の表題化合物9c(9.3g)を得て、これをさらに精製することなく、次の工程で直接使用した。
【0207】
工程2
1-メチル-3-(ピペリジン-4-イル)尿素塩酸塩 9d
粗製の化合物9c(1g、4mmol)を10mLのジクロロメタンに溶解し、その後2mLの塩酸(4M 1,4-ジオキサン溶液)を添加した。2時間撹拌後、反応溶液を減圧下で濃縮して粗製の表題化合物9d(1g、白色固体)を得て、これを精製することなく、次の工程で直接使用した。
【0208】
工程3
(R)-(9H-フルオレン-9-イル)メチル tert-ブチル(6-(4-(3-メチルウレイド)ピペリジン-1-イル)-6-オキソヘキサン-1,5-ジイル)ジカルバメート 9e
粗製の化合物9d(1g、5.16mmol)および1d(2.42g、5.16mmol)を20mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、その後2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(2.94g、7.74mmol)およびトリエチルアミン(1.03g、10.32mmol)を添加した。室温で4時間撹拌後、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を、溶出系Aを用いた薄層クロマトグラフィーにより精製し、表題化合物9e(1g、収率:32%)を得た。
【0209】
工程4
(R)-tert-ブチル(5-アミノ-6-(4-(3-メチルウレイド)ピペリジン-1-イル)-6-オキソヘキシル)カルバメート 9f
9e(304mg、0.5mmol)を2mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、その後6mLのトリエチルアミンを添加した。反応溶液を12時間撹拌し、その後精製することなく、次の工程で直接使用した。
【0210】
工程5
tert-ブチル((10R,13R,16R)-16-ベンジル-13-イソブチル-2,2-ジメチル-10-(4-(3-メチルウレイド)ピペリジン-1-カルボニル)-4,12,15,18-テトラオキソ-3-オキサ-5,11,14,17-テトラアザノナデカン-19-イル)((R)-2-フェニルプロピル)カルバメート 9g
粗製の化合物9f(193mg、0.5mmol)、粗製の化合物5d(277mg、0.5mmol)、2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(380mg、1mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(129mg、1mmol)を30mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、室温で12時間撹拌した。反応溶液に10mLの飽和クエン酸溶液および20mLの水を添加し、酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和重炭酸ナトリウム溶液(20mL)および飽和塩化ナトリウム溶液(20mL)で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮し、粗製の表題化合物9g(500mg)を得て、これを精製することなく、次の工程で直接使用した
【0211】
工程6
(R)-N-((R)-6-アミノ-1-(4-(3-メチルウレイド)ピペリジン-1-イル)-1-オキソヘキサン-2-イル)-4-メチル-2-((R)-3-フェニル-2-(2-(((R)-2-フェニルプロピル)アミノ)アセトアミド)プロパンアミド)ペンタンアミド トリフルオロアセテート 9
粗製の化合物9g(184mg、0.2mmol)を10mLのジクロロメタンに溶解し、その後2mLの塩酸(4M 1,4-ジオキサン溶液)を添加した。室温で12時間撹拌後、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を高速液体クロマトグラフィーにより精製し、表題化合物9(20mg、収率:14%)を得た。
MS m/z(ESI):721.6[M+1]
H NMR(400MHz、CDOD)δ 8.37-8.25(m、1H)、7.73-7.65(m、1H)、7.41-7.37(m、2H)、7.39-7.29(m、7H)、7.18-7.16(m、2H)、4.93-4.90(m、1H)、4.83-4.82(m、1H)、4.54-4.50(m、2H)、4.00-3.92(m、1H)、3.88-3.60(m、6H)、3.15-3.08(m、5H)、3.05-2.98(m、4H)、2.70(s、3H)、2.15-1.88(m、3H)、1.79-1.61(m、15H)、1.01-0.96(m、6H)。
【0212】
工程7
(R)-N-((R)-6-アミノ-1-(4-(3-メチルウレイド)ピペリジン-1-イル)-1-オキソヘキサン-2-イル)-4-メチル-2-((R)-3-フェニル-2-(2-(((R)-2-フェニルプロピル)アミノ)アセトアミド)プロパンアミド)ペンタンアミド 9
9h(20mg、0.024mmol)を1mLのジクロロメタンおよびメタノール(V/V=10:1)の混合溶媒に溶解し、その後飽和炭酸ナトリウム水溶液を滴下添加し、pHを約7に調整した。反応溶液を室温で30分間撹拌し、静置して分離させた。有機相を回収し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮し、表題化合物9(17mg、収率:100%)を得た。
MS m/z(ESI):721.6[M+1]
【0213】
実施例10
(R)-N-((R)-6-アミノ-1-モルホリノ-1-オキソヘキサン-2-イル)-2-((R)-2-(2-((2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アミノ)アセトアミド)-3-フェニルプロパンアミド)-4-メチルペンタンアミド 10
【化44】
【化45】
工程1
(R)-(9H-フルオレン-9-イル)メチル(6-((1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキシリデン)エチル)アミノ)-1-モルホリノ-1-オキソヘキサン-2-イル)カルバメート 10b
(R)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-6-((1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキシリデン)エチル)アミノ)ヘキサン酸10a(1.06g、2mmol、Accela ChemBio Inc.から購入)およびモルホリン(200mg、2.4mmol)を10mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、その後2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(1.51g、4mmol)およびトリエチルアミン(400mg、4mmol)を添加した。室温で3時間撹拌後、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣に5mLの飽和クエン酸溶液および50mLの水を添加し、酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、水(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮し、粗製の表題化合物10b(1.3g)を得て、これを精製することなく、次の工程で直接使用した。
【0214】
工程2
(R)-2-(1-((5-アミノ-6-モルホリノ-6-オキソヘキシル)アミノ)エチリデン)-5,5-ジメチルシクロヘキサン-1,3-ジオン 10c
粗製の化合物10b(1.3g、2mmol)を5mLのジクロロメタンに溶解し、その後2mLのピペリジンを添加した。室温で12時間撹拌後、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を、溶出系Aを用いた薄層クロマトグラフィーにより精製し、表題化合物10c(500mg、収率:75%)を得た。
【0215】
工程3
(R)-ベンジル 2-((R)-2-(2-((2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アミノ)アセトアミド)-3-フェニルプロパンアミド)-4-メチルペンタノエート 10e
粗製の化合物1i(222mg、0.5mmol)および2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-アミン塩酸塩10d(127mg、0.4mmol、"Tetrahedron, 2005, 61(28), 6801-6807"に開示される既知の方法により製造)を5mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、その後ヨウ化カリウム(415mg、2.5mmol)および炭酸カリウム(345、2.5mmol)を添加した。反応溶液を60℃まで昇温させ、12時間撹拌し、その後減圧下で濃縮した。得られた残渣を、溶出系Aを用いた薄層クロマトグラフィーにより精製し、表題化合物10e(300mg、収率:100%)を得た。
【0216】
工程4
(9R,12R)-ベンジル 9-ベンジル-5-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-12-イソブチル-2,2-ジメチル-4,7,10-トリオキソ-3-オキサ-5,8,11-トリアザトリデカン-13-オエート 10f
10e(300mg、0.55mmol)を10mLのジクロロメタンに溶解し、その後二炭酸ジ-tert-ブチル(181mg、083mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.3mL、1.65mmol)を添加した。室温で12時間撹拌後、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を、溶出系Aを用いた薄層クロマトグラフィーにより精製し、表題化合物10f(170mg、収率:48%)を得た。
【0217】
工程5
(9R,12R)-9-ベンジル-5-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-12-イソブチル-2,2-ジメチル-4,7,10-トリオキソ-3-オキサ-5,8,11-トリアザトリデカン-13-酸 10g
10f(170mg、0.26mmol)を10mLのメタノールに溶解し、その後パラジウム炭素(50mg、10%)を添加した。反応系を水素で3回パージし、室温で12時間撹拌した。反応溶液をろ過し、ろ液を減圧下で濃縮し、粗製の表題化合物10g(112mg)を得て、これを精製することなく、次の工程で直接使用した。
【0218】
工程6
tert-ブチル((4R,7R,10R)-4-ベンジル-16-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキシリデン)-7-イソブチル-10-(モルホリン-4-カルボニル)-2,5,8-トリオキソ-3,6,9,15-テトラアザヘプタデシル)(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメート 10h
粗製の化合物 10g(112mg、0.2mmol)、10c(78mg、0.2mmol)、2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(114mg、0.3mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.1mL、0.6mmol)を15mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、室温で2時間撹拌した。反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣に100mLの酢酸エチルを添加し、水(50mL×3)および飽和塩化アンモニウム溶液(50mL×3)で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮し、粗製の表題化合物10h(183mg)を得て、これを精製することなく、次の工程で直接使用した。
【0219】
工程7
tert-ブチル(2-(((R)-1-(((R)-1-(((R)-6-アミノ-1-モルホリノ-1-オキソヘキサン-2-イル)アミノ)-4-メチル-1-オキソペンタn-2-イル)アミノ)-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-2-オキソエチル)(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメート 10i
粗製の化合物10h(183mg、0.2mmol)を10mLのメタノールに溶解し、その後0.5mLのヒドラジン水和物を添加した。室温で1時間撹拌後、反応溶液を減圧下で濃縮し、粗製の表題化合物10i(150mg)を得て、これを精製することなく、次の工程で直接使用した。
【0220】
工程8
(R)-N-((R)-6-アミノ-1-モルホリノ-1-オキソヘキサン-2-イル)-2-((R)-2-(2-((2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アミノ)アセトアミド)-3-フェニルプロパンアミド)-4-メチルペンタンアミド トリフルオロアセテート 10j
粗製の化合物10i(150mg、1.31mmol)を5mLのジクロロメタンに溶解し、その後1mLのトリフルオロ酢酸を添加した。室温で1時間撹拌後、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を高速液体クロマトグラフィーにより精製し、表題化合物10j(5mg、収率:4%)を得た。
MS m/z(ESI):649.4[M+1]
H NMR(400MHz、DMSO-d)δ 8.36(d、1H)、7.88(d、2H)、7.21-7.33(m、9H)、4.61-4.64(m、1H)、4.36-4.47(m、1H)、4.02-4.15(m、2H)、3.60-3.70(m、3H)、3.45-3.59(m、5H)、3.35-3.44(m、3H)、2.90-3.25(m、9H)、1.55-1.80(m、6H)、1.30-1.45(m、4H)、0.98(d、3H)、0.92(d、3H)。
【0221】
工程9
(R)-N-((R)-6-アミノ-1-モルホリノ-1-オキソヘキサン-2-イル)-2-((R)-2-(2-((2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アミノ)アセトアミド)-3-フェニルプロパンアミド)-4-メチルペンタンアミド 10
10j(5mg、0.0057mmol)を2mLのジクロロメタンおよびメタノール(V/V=10:1)の混合溶媒に溶解し、その後飽和炭酸ナトリウムを滴下添加してpHを約7に調整した。反応溶液を室温で30分間撹拌し、静置して分離させた。有機相を回収し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮し、表題化合物10(4mg、収率:100%)を得た。
MS m/z(ESI):649.4[M+1]
【0222】
生物学的アッセイ
本発明は以下の試験例を参照してさらに説明されるが、この試験例は本発明の範囲を限定するものと考えられるべきではない。
【0223】
試験例1
1.試験目的
本試験の目的は、ヒトKOR(h-KOR)受容体に対する本発明の化合物のアゴニスト効果を決定することおよびEC50の値により化合物のインビトロ活性を評価することである。
【0224】
2.h-KOR活性試験
2.1 試験目的
本発明の化合物はh-KOR受容体を活性し、それにより細胞内cAMP量を減少させ得る。第二メッセンジャーcAMPは核に移行し、DNAのCREと結合し、それにより下流ルシフェラーゼの発現を開始する。ルシフェラーゼはその基質と反応して蛍光を放出し、測定された蛍光シグナルは化合物のアゴニスト活性を反映する。
【0225】
2.2 試験方法
アゴナイズh-KOR対する試験例化合物の効果および下流cAMP量への影響を、以下の方法により試験した。
【0226】
2.1.1 試験材料および機器
【表3】
【0227】
2.2.2 試験方法
1)HEK293/KOR/CREモノクローナル細胞株の取得
KOR/pcDNA3.1(+)およびCRE/pGL4.29をHEK293細胞に転移させた。G418およびハイグロマイシンを培地に添加し、HEK293/KOR/CREモノクローナル細胞株を96ウェル細胞培養プレートでスクリーニングした。
【0228】
2)h-KORに対する実施例化合物のアゴニスト効果
HEK293/h-KOR/CREモノクローナル細胞をDMEM/高グルコース培地(10%FBS、1mg/ml G418、200μg/ml ハイグロマイシン、均一に混合)で培養し、3日ごとに継代した。試験日に、新たな細胞培地を用いて細胞懸濁液を調製し、20,000細胞/ウェルと共に96ウェルプレート(BD、#356692)に添加し、5%CO、37℃でインキュベートした。2日目に、化合物を純粋なDMSOに20mMの濃度に溶解し、DMSOを用いて200nMの初期濃度に製剤し、3倍濃度勾配で8濃度まで希釈した。90μlのDMSOをブランクおよび対照ウェルに添加した。化合物溶液を、10μMフォルスコリンを含むDMEM/高グルコース(SH30243.01B、Hyclone)培地を用いて希釈した。初日に播種した細胞培養プレートを取り出し、10μlの希釈した薬剤または対照(0.5%DMSO)を各ウェルに添加した。プレートを穏やかに振盪させ、37℃で4時間放置した。96ウェル細胞培養プレートで、100μlのルシフェラーゼアッセイ溶液(Promega、#E6110)を各ウェルに添加した。プレートを室温で5分間放置した。Victor 3.0を用いて化学発光値を測定した。化合物の濃度および対応するシグナル値に基づいて、化合物のEC50値を計算した。
【0229】
2.3 試験結果
本発明の化合物のh-KORをアゴナイズし、かつ下流cAMP量に影響を与える活性を上記試験により決定し、EC50値を表1.1に示す。
【表4】
結論:本発明の化合物はh-KOR受容体に対して顕著なアゴニスト効果を有する。特に、グリシンのアミノ基上の置換基が置換または非置換エチレン基であるとき、化合物は予想外の効果を有する。
【0230】
薬物動態評価
試験例2.ラットにおける本発明の実施例2、5および8の化合物の薬物動態アッセイ
1.要約
試験動物としてラットを使用した。実施例2、5および8の化合物のラットへの静脈内投与後、種々の時点での血漿における薬物濃度をLC/MS/MSにより決定した。SDラットにおいて本発明の化合物の薬物動態を試験し、評価した。
【0231】
2.プロトコル
2.1 試験化合物
実施例2、5および8の化合物
【0232】
2.2 試験動物
12匹のSprague-Dawley(SD)ラット(半数が雄性であり、半数が雌性)を、ライセンス番号:SCXK(上海)2008-0016を有するSINO-BRITSH SIPPR/BK LAB. ANIMAL LTD., COから購入した。
【0233】
2.3 試験化合物の調製
適切な量の試験化合物を計量し、5%DMSO+5%PEG400+90%生理食塩水を順次添加した。
【0234】
2.4 投与
一晩絶食後、12匹のSDラット(半数が雄性であり、半数が雌性)、を3つの群に均等に分け、5mL/kgの投与体積の用量で静脈内投与した。
【0235】
3.方法
静脈群において、投与前および投与0.25時間後、0.5時間後、1.0時間後、2.0時間後、4.0時間後、8.0時間後、11.0時間後および24.0時間後に眼窩静脈叢から血液(0.2mL)を採取した。サンプルを、ヘパリンを添加したチューブで保存し、3,500rpmで10分間遠心分離し、血液血漿を分離させた。血漿サンプルを-20℃で保存した。
静脈内投与後のSDラット血漿における試験化合物の濃度をLC-MS/MSにより決定した。
【0236】
4.SDラットにおける薬物動態パラメーターの結果
本発明の実施例2、5および8の化合物の薬物動態パラメーターを以下に示す。
【表5】
【0237】
試験例3.イヌにおける本発明の実施例5の化合物の薬物動態アッセイ
1.要約
ビーグル犬を試験動物として使用した。実施例5の化合物のビーグル犬への静脈内投与後、種々の時点での血漿における薬物濃度をLC/MS/MSにより決定した。ビーグル犬における化合物の薬物動態を試験し、評価した。
【0238】
2.プロトコル
2.1 試験化合物
実施例5の化合物
2.2 試験動物
1つの群で3匹の雄性ビーグル犬を、Medicilon Pharmaceutical Technology Co.,Ltd. (上海)から購入した
【0239】
2.3 試験化合物の調製
適切な量の試験化合物を計量し、100%生理食塩水を添加した。
【0240】
2.4 投与
一晩絶食後、1つの群の3匹の雄性ビーグル犬に、2mL/kgの投与体積の用量で静脈内投与した。
【0241】
3.方法
静脈群において、投与前および投与5分後、15分後、0.5時間後、1.0時間後、2.0時間後、4.0時間後、8.0時間後、12.0時間後および24.0時間後に頸静脈から血液(1mL)を採取した。サンプルを、ヘパリンを添加したチューブで保存し、3,500rpmで10分間遠心分離し、血液血漿を分離させた。血漿サンプルを-80℃で保存した。
静脈内投与後のビーグル犬血漿における試験化合物の濃度をLC-MS/MSにより決定した。
【0242】
4.ビーグル犬における薬物動態パラメーターの結果
本発明の実施例5の化合物の薬物動態パラメーターを以下に示す。
【表6】
【0243】
試験例4.ラットにおけるカラギーナン誘発性炎症性疼痛の処置におけるKORアゴニストの試験報告
1.試験目的
ラットにおける炎症性疼痛に対するKORアゴニストの治療効果を評価するために、ラットにおけるカラギーナン炎症性疼痛モデルを確立した。
【0244】
2.試験方法および試験材料
2.1.試験動物および飼育条件
雄性WistarラットをShanghai Slac Laboratory Animal Co., Ltd. (中国、上海、証明書番号2015000513408、ライセンス番号SCXK(上海) 2012-0002)から購入した。ラットは150~180gであり、および5匹/ケージで、12/12時間の明/暗サイクル調整、23±1℃の一定温度、湿度50~60%、食料および水の自由摂取の条件で飼育した。購入後、試験開始前に、動物を7日間本条件に順応させた。
【0245】
2.2.試験化合物
実施例5の化合物;
λ-カラギーナン、バッチ番号BCBP8978V、sigmaから購入。
0.9%塩化ナトリウム溶液(500mL、4.5g)
1%λ-カラギーナンを生理食塩水に入れて、一晩撹拌し、ゼリー状の懸濁液を形成させた。
基準に基づいて化合物用量を計算した。
【0246】
2.3.試験設計および試験方法
2.3.1 動物のグループ化
適応飼育後、ラットを以下のようにグループ化した。
【表7】
【0247】
2.3.2.試験方法[1][2]
文献1(ナカオ カズナリら)の方法により、試験方法を変更した。炎症性疼痛試験の前に、ラットを体重に応じて以下の群:ブランク対照群、モデル群、実施例5-0.1mg/kg群および実施例5-0.3mg/kgに無作為に分類した。各群に8匹のマウスが存在した。1%カラギーナン(100μl)を皮下注射したWistarラットの足蹠に炎症性疼痛モデルを設置した。4時間後、機械的な疼痛閾値を評価するために、ラットを足底圧痛試験に供した。薬物の単回尾静脈投与(1mL/kg)を検出前に30分間実施し、対照群およびモデル群は対応する溶媒を与えた。
注記:文献1、CJ-023,423, a Novel, Potent and Selective Prostaglandin KOR Receptor Antagonist with Anti-hyperalgesic Properties[J]. The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics, 2007, 322(2):686-694.
【0248】
2.4 試験器具
Electronic Von Frey:UGO BASILE、型式38450。
【0249】
2.5 データ表示と統計処理
試験データを平均±標準偏差(S.D.)として表した。エクセルソフトウェアt検定を使用して統計処理を行った。モデル群と対照群の間のデータを解析し、顕著な統計的有意差があるかどうかを比較したP<0.05はモデル群と対照群の間に顕著な差異があることを示し、**P<0.01はモデル群と対照群の間に極めて顕著な差異があることを示し、P<0.05はモデル群と投与群の間に顕著な差異があることを示し、##P<0.01はモデル群と投与群の間に極めて顕著な差異があることを示す
【0250】
3.結果:ラットにおけるカラギーナン誘発性カラギーナン炎症性疼痛に対する本発明の化合物の効果
ラットにおける試験結果は、ブランク対照群における感受性の閾値は約20gであり、モデル群における圧痛の閾値は7.6gであることを示した。ブランク対照群と比較して、モデル群における圧痛の閾値は顕著に減少した(P<0.01)。モデル群と比較して、全ての薬物は炎症性ラットの圧痛に対する閾値を顕著に増大させ得る(P<0.01)。実施例5-0.1mg/kgおよび実施例5-0.3mg/kgの圧痛に対する閾値は、それぞれ13.7gおよび23.2gであった。この増大はそれぞれ79.5%および204.5%であり、顕著な用量依存性を有した(図1を参照)。
【0251】
4.検討
λ-カラギーナンは、水生植物から抽出されるコロイド状物質であり、アレルギー性刺激効果を有する。カラギーナン自体は炎症を誘発し、疼痛を引き起こし得る。試験において、カラギーナン炎症性疼痛のモデルを確立し、ラットにおけるKORアゴニスト投与後の圧痛に対する閾値変化を観察し、亜急性炎症性疼痛およびその強度に対する薬物の鎮痛効果を評価した。試験では、感受性に対するラットの応答を測定するために電気触覚測定機器を使用した。Ugo Basileオリジナルデザインを使用して電気触覚測定機器(e-VF)を設計し、ラットおよびマウスアレルギーおよび異痛を評価した。機器は自動的に動物の刺激時間および刺激強度を記録する。独特のプリズム設計により、試験中の試験動物の足底領域を観察することが容易になる。検出の間、機器は、試験動物が試験する足を引っ込めるのを感知することができ、またはそれは足を踏み変えることによって判断することができる。局所疼痛および神経障害性疼痛の測定については、より集約的な位置調整がより適切である。
【0252】
5.結論
試験化合物はラットにおける炎症性疼痛を用量依存的に改善することができた。
図1