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  • 特許-防煙垂れ壁の塞ぎ部材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】防煙垂れ壁の塞ぎ部材
(51)【国際特許分類】
   A62C 2/06 20060101AFI20220809BHJP
   E04B 1/94 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
A62C2/06 506
E04B1/94 F
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019039082
(22)【出願日】2019-03-04
(65)【公開番号】P2020141768
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 渉
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2007-0091702(KR,A)
【文献】特開2008-180063(JP,A)
【文献】特開2000-084104(JP,A)
【文献】特開2019-183499(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/06
E04B 1/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内の防煙区画を形成する防煙垂れ壁に設けられて、折畳み式扉が貫通する部分を塞ぐ塞ぎ部材であって、
前記折畳み式扉は、天井面に取り付けられてガイド溝が設けられたレールと、当該レールに沿って移動可能に吊り下げ支持されて互いに連結された複数枚のパネルと、を備え、
当該レールは、前記防煙垂れ壁に形成された開口を貫通しており、
当該開口のうち前記レールの下端よりも上側の部分を塞ぐ塞ぎ板と、前記開口のうち当該塞ぎ板の下方に設けられて前後に開閉可能なスイング扉と、を備えることを特徴とする防煙垂れ壁の塞ぎ部材。
【請求項2】
前記スイング扉の上下端には、当該スイング扉を前後に開閉可能なグレビティヒンジが設けられることを特徴とする請求項1に記載の防煙垂れ壁の塞ぎ部材。
【請求項3】
前記スイング扉の上側の端縁には、防煙シートが設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の防煙垂れ壁の塞ぎ部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物内の防煙区画を形成する防煙垂れ壁に設けられて、折畳み式扉が貫通する部分を閉塞する塞ぎ部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、従来、オフィスビルやショッピングモール等では、建築基準法により定められた防煙区画を形成するため、天井面に防煙垂れ壁が設けられている。
ところで、改修工事において、この防煙垂れ壁を貫通するように、折畳み式扉を取り付ける場合がある(特許文献1、2参照)。
特許文献1には、天井面に取り付けられてガイド溝が設けられたレールと、このレールに吊り下げ支持されて互いに連結された複数枚のパネルと、を備える折畳み式扉が示されている。この折り畳式扉によれば、連結された複数枚のパネルをガイド溝に沿って移動させることで、パネルを展開させたり折り畳んだりできる。
【0003】
特許文献2には、ガイド溝が形成された下枠と、吊りレールが形成された上枠と、ガイド溝および吊りレールに沿って移動する複数のマリオンと、これらマリオンに取り付けられた複数の戸体と、を備える折れ戸が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-184787号公報
【文献】特開2015-196976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のような折畳み式扉では、天井面に取り付けたレールが防煙垂れ壁を貫通するため、火災時に貫通部分から煙が漏洩してしまい、防煙区画としての機能を果たすことができないおそれがあった。
【0006】
本発明は、折り畳み式扉が貫通する場合であっても、煙が漏洩するのを防止できる防煙垂れ壁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の防煙垂れ壁の塞ぎ部材(例えば、後述の塞ぎ部材1)は、建物内の防煙区画を形成する防煙垂れ壁(例えば、後述の防煙垂れ壁10)に設けられて、折畳み式扉(例えば、後述の折畳み式扉20)が貫通する部分を塞ぐ塞ぎ部材であって、前記折畳み式扉は、天井面(例えば、後述の天井面13)に取り付けられてガイド溝(例えば、後述のガイド溝21)が設けられたレール(例えば、後述のレール22)と、当該レールに沿って移動可能に吊り下げ支持されて互いに連結された複数枚のパネル(例えば、後述のパネル23)と、を備え、当該レールは、前記防煙垂れ壁に形成された開口(例えば、後述の開口12)を貫通しており、当該開口のうち前記レールの下端よりも上側の部分を塞ぐ塞ぎ板(例えば、後述の塞ぎ板30)と、前記開口のうち当該塞ぎ板の下方に設けられて前後に開閉可能なスイング扉(例えば、後述のスイング扉31)と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、折り畳み式扉のパネルを折り畳んだ状態では、パネルが防煙垂れ壁を貫通しておらず、スイング扉が閉じているため、火災時に防煙垂れ壁の塞ぎ部材から煙が漏洩するのを防止できる。そして、この状態からパネルを展張すると、パネルが防煙垂れ壁を貫通し、パネルに押されてスイング扉が開いた状態となるので、パネルを円滑に展張できる。
【0009】
請求項2に記載の防煙垂れ壁の塞ぎ部材は、前記スイング扉の上下端には、当該スイング扉を前後に開閉可能なグレビティヒンジ(例えば、後述のグレビティヒンジ34)が設けられることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、スイング扉を閉じた状態から前後に開くと、グレビティヒンジにより、スイング扉が螺旋状に迫り上がるので、スイング扉の自重により自然と閉じた状態に力がかかる。よって、パネルを展張してスイング扉が開いた状態からパネルを折り畳むと、グレビティヒンジによりスイング扉が閉じた状態に自然に復帰するので、直ちに防煙垂れ壁としての機能を果たすことができる。
【0011】
請求項3に記載の防煙垂れ壁の塞ぎ部材は、前記スイング扉の上側の端縁には、防煙シート(例えば、後述の防煙シート35)が設けられることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、スイング扉の上側の端縁に防煙シートを設けたので、スイング扉と塞ぎ板およびレールとの隙間を確実に塞いで、火災時に防煙垂れ壁の塞ぎ部材から煙が漏洩するのをより確実に防止できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、折り畳み式扉が貫通する場合であっても、煙が漏洩するのを防止できる防煙垂れ壁を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る防煙垂れ壁の塞ぎ部材の正面図である。
図2図1のA-A断面図である。
図3図2のB-B断面図である。
図4図2のC-C断面図である。
図5】前記塞ぎ部材の動作を示す平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る防煙垂れ壁10の塞ぎ部材1の正面図である。図2は、図1のA-A断面図であり、図3および図4は、図2のB-B断面図およびC-C断面図である。
建物内には、防煙区画を形成する防煙垂れ壁10が設けられており、この防煙垂れ壁10には、折畳み式扉20が貫通して設けられている。防煙垂れ壁10のうち折畳み式扉20が貫通する部分は、塞ぎ部材1で塞がれている。
【0016】
天井内には、天井内間仕切壁11が設けられており、防煙垂れ壁10は、この天井内間仕切壁11の下端面から下方に延びている。
折畳み式扉20は、天井面13に取り付けられてガイド溝21が設けられたレール22と、レール22に沿って移動可能に吊り下げ支持されて互いに連結された複数枚のパネル23(図5参照)と、を備える。
天井内にはレール下地14が設けられており、レール22は、このレール下地14に取り付けられている。このレール22は、防煙垂れ壁10に形成された矩形形状の開口12を貫通している。
【0017】
塞ぎ部材1は、防煙垂れ壁10の開口12のうちレール22の下端よりも上側の部分を塞ぐ塞ぎ板30と、開口12のうち塞ぎ板30の下方に設けられて前後に開閉可能なスイング扉31と、を備える。
防煙垂れ壁10の開口12の両端には、鉛直方向に延びる鉛直下地材32が取り付けられており、防煙垂れ壁10の上端つまり天井内間仕切壁11の下端には、水平方向に延びる水平下地材33が取り付けられている。
塞ぎ板30は、一部が折り曲げ形成されたアングル材であり、水平下地材33および鉛直下地材32に溶接固定されている。
【0018】
スイング扉31の上下端には、スイング扉31を前後に開閉可能にするグレビティヒンジ34が設けられている。スイング扉31を閉じた状態から前後に開くと、グレビティヒンジ34により、このスイング扉31が螺旋状に迫り上がるので、スイング扉31の自重により自然と閉じた状態に復帰するようになっている。
また、スイング扉31の上側の端縁には、スイング扉31と塞ぎ板30およびレール22との隙間を塞ぐ防煙シート35が設けられている。
【0019】
以上の塞ぎ部材1によれば、折り畳み式扉20のパネル23を折り畳んだ状態では、図1図4に示すように、パネル23が防煙垂れ壁10を貫通しておらず、スイング扉31が自重により閉じている。そして、この状態からパネル23を展開すると、図5に示すように、パネル23が防煙垂れ壁10を貫通し、パネル23に押されてスイング扉31が開いた状態となる。
【0020】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)折り畳み式扉20のパネル23を折り畳んだ状態では、パネル23が防煙垂れ壁10を貫通していない。よって、スイング扉31が閉じているため、火災時に防煙垂れ壁10の塞ぎ部材1から煙が漏洩するのを防止できる。そして、この状態からパネル23を展開すると、パネル23が防煙垂れ壁10を貫通し、パネル23に押されてスイング扉31が開いた状態となるので、パネル23を円滑に展張できる。
【0021】
(2)スイング扉31を閉じた状態から前後に開くと、グレビティヒンジ34により、スイング扉31が螺旋状に迫り上がるので、スイング扉31の自重により自然と閉じた状態に力がかかる。よって、パネル23を展張してスイング扉31が開いた状態からパネル23を折り畳むと、グレビティヒンジ34によりスイング扉31が閉じた状態に自然に復帰するので、直ちに防煙垂れ壁10としての機能を果たすことができる。
【0022】
(3)スイング扉31の上側の端縁に防煙シート35を設けたので、スイング扉31と塞ぎ板30およびレール22との隙間を確実に塞いで、火災時に防煙垂れ壁10の塞ぎ部材1から煙が漏洩するのをより確実に防止できる。
【0023】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0024】
1…防煙垂れ壁の塞ぎ部材
10…防煙垂れ壁 11…天井内間仕切壁 12…開口 13…天井面
14…レール下地
20…折畳み式扉 21…ガイド溝 22…レール 23…パネル
30…塞ぎ板 31…スイング扉 32…鉛直下地材 33…水平下地材
34…グレビティヒンジ 35…防煙シート
図1
図2
図3
図4
図5