(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】表示ユニット
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20220809BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20220809BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20220809BHJP
G09G 5/36 20060101ALI20220809BHJP
G09G 5/377 20060101ALI20220809BHJP
G01C 21/36 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
B60R11/02 C
B60K35/00 A
G09G5/00 510B
G09G5/00 550C
G09G5/36 510A
G09G5/36 520M
G09G5/00 530H
G09G5/36 520D
G09G5/00 530M
G01C21/36
(21)【出願番号】P 2019095315
(22)【出願日】2019-05-21
【審査請求日】2020-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 元暁
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/052186(WO,A1)
【文献】特開2019-012483(JP,A)
【文献】特開2018-205254(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0349066(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
B60R 1/00
B60K 35/00
G09G 5/00
G09G 5/36
G09G 5/377
G01C 21/36
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被照射面に映像光を照射して各種情報を表示する第1の表示部と、
前記第1の表示部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、自車両の進行方向前方に存在する直近の交差点を自車両が左折又は右折する場合において、自車両の進行方向前方を走行する他車両との間の車間距離に関する情報と、前記交差点までの交差点間距離に関する情報と、前記交差点において交差する道路の幅方向端部を模した交差点画像と、前記交差点において前記自車両が進行すべき前記道路を指し示す矢印と、を前記第1の表示部に同時に表示するよう制御
し、
前記交差点画像は、前記交差点において交差する第1の道路と第2の道路とを含んで構成され、
前記矢印は、前記交差点に向かって前記自車両が進行している前記第1の道路に沿って延びる第1の矢印部と、前記交差点に進入後に前記交差点から離れる前記自車両が進行する前記第2の道路に沿って延びる第2の矢印部と、を含んで構成され、
前記制御部は、前記第1の道路の幅方向両側の端部に外形が沿う前記第1の矢印部を、前記交差点画像における前記第1の道路に収まるよう前記第1の表示部に表示させ、
前記制御部は、前記車間距離に関する情報を、前記第1の道路に収まるよう前記第1の表示部に表示させ、
前記車間距離に関する情報は、当該車間距離に応じてバーの長さが変動するバーグラフとして表現され、
前記制御部は、前記バーの長さが変動する方向が前記第1の道路の延設方向に沿うよう前記バーグラフを前記第1の表示部に表示させ、
前記交差点画像は、前記第1の道路の延設方向に沿って奥行きを持たせた絵柄として表現され、
前記制御部は、前記交差点画像の消失点に向かって先細るよう、前記第1の矢印部及び前記バーグラフを前記第1の表示部に表示させ、
前記第1の矢印部は、前記第1の道路の幅方向のうちの左側端部に沿う左側線部と、前記第1の道路の幅方向のうちの右側端部に沿う右側線部と、に分かれ、前記左側線部及び前記右側線部の奥行き方向端部が前記第2の矢印部に連結され、
前記交差点までの交差点間距離に関する情報は、デジタル数値として表現され、
前記制御部は、前記第1の矢印部を構成する前記左側線部及び前記右側線部と、前記第2の矢印部とに囲まれる前記第1の道路の領域内に収まるよう、前記バーグラフを前記第1の表示部に表示させると共に、前記第1の道路の前記領域外にて前記バーグラフと横方向に並ぶよう、前記デジタル数値を前記第1の表示部に表示させる、
表示ユニット。
【請求項2】
各種情報を表示する第2の表示部を更に備え、
前記制御部は、前記第2の表示部を制御して、前記第1の道路に関する詳細形状を模した道路画像を前記第2の表示部に表示させるとともに、当該道路画像に重畳させて前記第1の道路を走行する前記自車両を表示する、
請求項
1に記載の表示ユニット。
【請求項3】
前記制御部は、前記自車両が前記交差点において右左折する場合、前記道路画像における、その右左折するために走行すべきレーンを強調表示する、
請求項
2に記載の表示ユニット。
【請求項4】
前記制御部は、前記車間距離に関する情報を、当該道路画像に重畳させて前記自車両の進行方向前方に表示させる、
請求項
2または
3に記載の表示ユニット。
【請求項5】
前記制御部は、前記自車両がレーン変更する場合であって、当該自車両が変更しようとするレーンにおいて当該自車両の進行方向後方を他車両が走行しているとき、前記道路画像における当該自車両が変更しようとするレーンを強調表示する、
請求項
2から
4のいずれか1項に記載の表示ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される表示ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
運転者による運転を支援する表示ユニットとして、特許文献1~3に開示された発明がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-016705号公報
【文献】特開2015-017810号公報
【文献】特開2016-182845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献3には、ドライバが必要な情報を直感的に取得することを可能にするヘッドアップディスプレイ装置が開示されている。特に、特許文献3の
図3Aから
図3Dには、ヘッドアップディスプレイ装置がウィンドシールドに向けて出射した映像光によって表される概略的な画像が記載されている。特許文献3の
図3Cに示されるように、ドライバは、矢印画像ARIと距離画像DTIとを見て、車両が「500m先」において、「右折」すべきことを知ることができる。
【0005】
また、特許文献3の
図5及び
図6には、ヘッドアップディスプレイ装置がウィンドシールドWSDに向けて出射した映像光によって表される画像の一例が記載されている。特許文献3の
図5及び
図6において、境界像BDIと境界像BDIより上の領域との間の位置関係は、ボンネットとウィンドシールド越しに見える景色との間の位置関係に類似する。また、シンボル画像SBIと境界像BDIとの間の距離は、ターゲットの先行車両(シンボル画像SBIに相当)と車両(境界像BDIに相当)との間の距離として表される。
【0006】
ところで、ドライバに対して、これから自車両が進入する交差点において右左折する方向、及びその交差点までの距離を提示するだけでは不十分である。カーナビゲーションシステムによって提示されるように、これから自車両が進入する交差点において道路がどのように交差しているのかその形状を知りたいという欲求がドライバにはある。一方で、ヘッドアップディスプレイによる映像光では、カーナビゲーションシステムのディスプレイが提示できるほど多くの情報を提示することがハードウェアの構造上難しい。本発明者は、ヘッドアップディスプレイによる映像光によって提示できる情報量が限られる中で、ドライバに交差点の形状を提示できる表示手法について開発を進めた。
【0007】
また、特許文献3では、ヘッドアップディスプレイによる表示モードをドライバが切り替えることによって各モードにおいて様々な情報がドライバに提示されるようにしている。しかし、このような表示モードの切り替えを負担と感じるドライバも少なくない。本発明者は、上述した交差点の形状の表示手法に加え、特許文献3のような表示モードの切り替えなしで、ドライバの運転支援に必要十分な情報をヘッドアップディスプレイによって提示できる表示手法についても、開発を進めた。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ヘッドアップディスプレイによって、交差点の形状をドライバに提示するとともにドライバの運転支援に必要十分な情報を提示することができる表示ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するために、本発明に係る表示ユニットは、下記(1)~(5)を特徴としている。
(1)
被照射面に映像光を照射して各種情報を表示する第1の表示部と、
前記第1の表示部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、自車両の進行方向前方に存在する直近の交差点を自車両が左折又は右折する場合において、自車両の進行方向前方を走行する他車両との間の車間距離に関する情報と、前記交差点までの交差点間距離に関する情報と、前記交差点において交差する道路の幅方向端部を模した交差点画像と、前記交差点において前記自車両が進行すべき前記道路を指し示す矢印と、を前記第1の表示部に同時に表示するよう制御し、
前記交差点画像は、前記交差点において交差する第1の道路と第2の道路とを含んで構成され、
前記矢印は、前記交差点に向かって前記自車両が進行している前記第1の道路に沿って延びる第1の矢印部と、前記交差点に進入後に前記交差点から離れる前記自車両が進行する前記第2の道路に沿って延びる第2の矢印部と、を含んで構成され、
前記制御部は、前記第1の道路の幅方向両側の端部に外形が沿う前記第1の矢印部を、前記交差点画像における前記第1の道路に収まるよう前記第1の表示部に表示させ、
前記制御部は、前記車間距離に関する情報を、前記第1の道路に収まるよう前記第1の表示部に表示させ、
前記車間距離に関する情報は、当該車間距離に応じてバーの長さが変動するバーグラフとして表現され、
前記制御部は、前記バーの長さが変動する方向が前記第1の道路の延設方向に沿うよう前記バーグラフを前記第1の表示部に表示させ、
前記交差点画像は、前記第1の道路の延設方向に沿って奥行きを持たせた絵柄として表現され、
前記制御部は、前記交差点画像の消失点に向かって先細るよう、前記第1の矢印部及び前記バーグラフを前記第1の表示部に表示させ、
前記第1の矢印部は、前記第1の道路の幅方向のうちの左側端部に沿う左側線部と、前記第1の道路の幅方向のうちの右側端部に沿う右側線部と、に分かれ、前記左側線部及び前記右側線部の奥行き方向端部が前記第2の矢印部に連結され、
前記交差点までの交差点間距離に関する情報は、デジタル数値として表現され、
前記制御部は、前記第1の矢印部を構成する前記左側線部及び前記右側線部と、前記第2の矢印部とに囲まれる前記第1の道路の領域内に収まるよう、前記バーグラフを前記第1の表示部に表示させると共に、前記第1の道路の前記領域外にて前記バーグラフと横方向に並ぶよう、前記デジタル数値を前記第1の表示部に表示させる、
表示ユニット。
(2)
各種情報を表示する第2の表示部を更に備え、
前記制御部は、前記第2の表示部を制御して、前記第1の道路に関する詳細形状を模した道路画像を前記第2の表示部に表示させるとともに、当該道路画像に重畳させて前記第1の道路を走行する前記自車両を表示する、
上記(1)の構成の表示ユニット。
(3)
前記制御部は、前記自車両が前記交差点において右左折する場合、前記道路画像における、その右左折するために走行すべきレーンを強調表示する、
上記(2)の構成の表示ユニット。
(4)
前記制御部は、前記車間距離に関する情報を、当該道路画像に重畳させて前記自車両の進行方向前方に表示させる、
上記(2)または(3)の構成の表示ユニット。
(5)
前記制御部は、前記自車両がレーン変更する場合であって、当該自車両が変更しようとするレーンにおいて当該自車両の進行方向後方を他車両が走行しているとき、前記道路画像における当該自車両が変更しようとするレーンを強調表示する、
上記(2)から(4)のいずれか1つの構成の表示ユニット。
【0010】
上記(1)の構成の表示ユニットによれば、交差点画像は、交差点を構成する複数の道路(
図4及び
図5(A)では第1の道路81と第2の道路82)の縁に関する情報のみによって構成される、非常に簡素な情報である。このような交差点画像は、ヘッドアップディスプレイによって照射する情報として適している。このため、運転者は、ヘッドアップディスプレイによって照射された交差点画像を視認することによって、道路の形状を正確に把握することができる。さらに、この交差点画像に、車間距離に関する情報と、交差点間距離に関する情報と、自車両が進行すべき前記道路を指し示す矢印とが組み合わされて表示される。これにより、運転者は、自車両が右左折する交差点の形状をイメージしつつ、右左折のためのハンドル操作にどの程度の舵角が必要かを把握することができる。このような運転支援は、ドライバにとって非常に有益である。
また、上記(
1)の構成の表示ユニットによれば、第1の矢印部が第1の道路の延在方向に延びていることを明示することにより、第1の矢印部が第1の道路を進む自車両であることをドライバに認識させることができる。
また、上記(
1)の構成の表示ユニットによれば、第1の道路上に車間距離に関する情報を表示することによって、車間距離に関する情報を提示するための領域を第1の道路とは別に確保する必要がない。このため、ヘッドアップディスプレイによって照射される限られた照射範囲を有効に活用することができる。
また、上記(
1)の構成の表示ユニットによれば、ドライバは、バーグラフにより自車両の前方に位置する他車両との車間距離を直感的に把握することができる。
また、上記(
1)の構成の表示ユニットによれば、交差点画像が奥行きをもって表示されることによって、交差点を上面から視た平面図として照射する場合に比べて、照射される交差点画像の高さを小さくすることができる。つまり、交差点画像が照射される範囲を抑えることができる。このため、ヘッドアップディスプレイによって照射される限られた照射範囲を有効に活用することができる。
また、上記(
1)の構成の表示ユニットによれば、矢印の内側に空けたスペースにバーグラフを描画することによって、車間距離に関する情報を提示するための領域を第1の道路と矢印の領域とは別に確保する必要がない。このため、ヘッドアップディスプレイによって照射される限られた照射範囲を有効に活用することができる。
また、上記(
2)の構成の表示ユニットによれば、ヘッドアップディスプレイと、ヘッドアップディスプレイとは別の表示手段とを組み合わせた運転支援が可能となる。つまり、別の表示手段による運転支援により、ヘッドアップディスプレイによる運転支援のメリットを活かしつつ、ヘッドアップディスプレイの構造的なデメリットを補うことができる。
また、上記(
3)の構成の表示ユニットによれば、ドライバは、強調表示を視認することによって、自車両が左折するためにどのレーンを走行すべきであるのかを把握することができる。
また、上記(
4)の構成の表示ユニットによれば、ドライバは、前方を走行する他車両との距離を把握することができる。
また、上記(
5)の構成の表示ユニットによれば、ドライバは、レーン変更する場合であってレーン変更しようとするレーンにおいて他車両が自車両後方を走行中のとき、強調表示を視認することによってその他車両に対して注意を払いつつレーン変更を行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の表示ユニットによれば、ヘッドアップディスプレイによって、交差点の形状をドライバに提示するとともにドライバの運転支援に必要十分な情報を提示することができる。
【0012】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態における表示ユニット30が組み込まれたインストルメントパネル20の近傍の外観を示す正面図である。
【
図2】
図2は、インストルメントパネル20及びその周辺に配置された表示ユニット30を制御する制御装置52を中心としたハードウェア構成を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態における表示ユニット30による、自車両が直進する際の表示内容を説明する図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態における表示ユニット30による、自車両が次の交差点を左折する際の表示内容を説明する図である。
【
図5】
図5(A)及び
図5(B)は、本発明の実施形態における表示ユニット30における、ヘッドアップディスプレイ35による表示内容を詳細に説明する図である。
図5(A)は、ヘッドアップディスプレイ35による映像光を視認した際の絵柄であり、
図5(B)は、
図5(A)の表示内容を模式的に説明する、交差点近傍を上方から視た平面図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態における表示ユニット30による、自車両が次の交差点を左折する際の表示内容の変遷を説明する図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態における表示ユニット30による、自車両が次の交差点を左折する際の表示内容の変遷を説明する図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態における表示ユニット30による、自車両が次の交差点を左折する際の表示内容の変遷を説明する図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態における表示ユニット30による、自車両が次の交差点を左折する際の表示内容の変遷を説明する図である。
【
図10】
図10(A)から
図10(C)は、本発明の実施形態における表示ユニット30による、道路表示状態から地図表示状態へ切り替わる際の表示内容の変遷を説明する図である。
【
図11】
図11(A)から
図11(C)は、本発明の実施形態における表示ユニット30による、道路表示状態から地図表示状態へ切り替わる際の表示内容の変遷を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。本発明の実施形態の表示ユニットは、インストルメントパネルの一部として、その表面に組み込まれている。
【0015】
[表示ユニットの構成]
図1は、本発明の実施形態における表示ユニット30が組み込まれたインストルメントパネル20の近傍の外観を示す正面図である。運転席側から視た車室内には、フロントガラス10、インストルメントパネル20、表示ユニット30、ハンドル50等が配置されている。また、表示ユニット30は、メータパネル32(第2の表示部と称することがある。)、ヘッドアップディスプレイ35(第1の表示部と称することがある。)、及び液晶ディスプレイ36を含む複数のディスプレイによって構成される。
【0016】
表示ユニット30のうちのメータパネル32は、液晶ディスプレイによって構成される。メータパネル32は、デジタルメータ、グラフィックメータ、ディスプレイメータ等と称されることもある。メータパネル32は、速度計、回転数計、パワーメータ、温度計、燃料計等の各種計器が、画像として表示される。このメータパネル32は、ハンドル50に最も近く、運転者から見やすい位置にある、インストルメントパネル20の中央前面に、インストルメントパネル20に組み込まれて一体化されている。
【0017】
また、メータパネル32の向かって左側には、メータパネル32とは別の液晶ディスプレイ36が配置される。液晶ディスプレイ36は、運転情報、危険報知情報、ナビゲーション情報、エンタメ情報等の各種情報を表示する。
【0018】
また、フロントガラス10に近接するインストルメントパネル20の上面には、フロントガラス10に向けて投影するヘッドアップディスプレイ35が配置される。ヘッドアップディスプレイ35は、運転者が視認し易いフロントガラス10上の領域35aに、各種情報を投影する。
【0019】
表示ユニット30は、メータパネル32、ヘッドアップディスプレイ35、及び液晶ディスプレイ36から各種情報をドライバに提示することによって、ドライバに対して運転支援を行う。
【0020】
図2は、インストルメントパネル20及びその周辺に配置された表示ユニット30を制御する制御装置52を中心としたハードウェア構成を示す図である。制御装置52は、ECU(Electronic Control Unit)により構成される。制御装置52には、前述したメータパネル32、ヘッドアップディスプレイ35、及び液晶ディスプレイ36が接続される。加えて制御装置52には、速度センサ56、車間距離センサ57、ナビゲーション装置58、スピーカ59、操作スイッチ(SW)53、カメラ51等が接続される。
【0021】
速度センサ56は、車両の速度を検出する。車間距離センサ57は、赤外線を送受信して対象物との距離を測定し、自車両への接近を検知する。なお、カメラで撮像された画像を解析することで、自車両への接近が検知される構成であってもよい。また、車間距離センサ57は、車両の前方及び後方に限らず、左右方向に対しても対象物の自車両への接近を検知可能とするよう、複数設けられてもよい。
【0022】
ナビゲーション装置58は、GPS(Global Positioning System)及び地図データを搭載し、自車両を目的地に案内する機能を有する。ここでは、ナビゲーション画面は、液晶ディスプレイ36に表示される。スピーカ59は、制御装置52から出力される音声データに従って、運転情報、警報、音楽等の音情報を発する。
【0023】
操作SW53は、運転者による各種のスイッチ入力(例えば、ウィンカーレバーの押倒し操作などを含む。)、エンタメ情報の選択等、に用いられる。カメラ51は、車両の前部、後部、左側部、右側部等に取り付けられ、車両の前方、後方、左側方、右側方等を撮像して画像を取得する。カメラ51で撮像された画像は、障害物の検知や自車両への接近検知等に利用される。
【0024】
[表示ユニットによる表示内容]
続いて、本発明の実施形態における表示ユニット30による表示内容について説明する。ここでは、主に、メータパネル32及びヘッドアップディスプレイ35に表示される内容について詳細に説明する。
図3は、本発明の実施形態における表示ユニット30による、自車両が直進する際の表示内容を説明する図である。
図4は、本発明の実施形態における表示ユニット30による、自車両が次の交差点を左折する際の表示内容を説明する図である。
図5(A)及び
図5(B)は、本発明の実施形態における表示ユニット30における、ヘッドアップディスプレイ35による表示内容を詳細に説明する図である。
図5(A)は、ヘッドアップディスプレイ35による映像光を視認した際の絵柄であり、
図5(B)は、
図5(A)の表示内容を模式的に説明する、交差点近傍を上方から視た平面図である。
【0025】
[自車両が直進する際の表示内容]
まず、
図3を参照して、自車両が直進する際にメータパネル32及びヘッドアップディスプレイ35に表示される内容について詳細に説明する。
図3には、上段にヘッドアップディスプレイ35により照射されドライバに視認される像が、下段にメータパネル32に表示された画像が、それぞれ示されている。
【0026】
ヘッドアップディスプレイ35により視認される像では、第1の道路61が図中の手前から奥にかけて奥行きを持たせた絵柄として表現されている。具体的には、第1の道路61は、図中下側から上側にかけて先細る位置関係にある2つの実線61aによって、第1の道路61の幅方向端部が表現され、これにより、道路として模されている。また、ヘッドアップディスプレイ35により視認される像では、全体として水平に延び、両端において図中下側に向けて屈曲する曲線によって自車両のボンネット65が表現されている。また、ヘッドアップディスプレイ35により視認される像では、自車両の進行方向前方を走行する他車両との間の車間距離に関する情報がバーグラフ67として表現されている。バーグラフ67は、バーの長さが変動する方向が第1の道路61の延設方向(図中の手前から奥にかけての方向)に沿う位置関係になるよう表示される。バーグラフ67は、車間距離に応じてバーの長さ、つまり、
図3では3つのセグメントの個数、が変動する。バーグラフ67は、車間距離が大きければ視認されるセグメントの個数が多くなり、車間距離が小さければ視認されるセグメントの個数が少なくなる。
【0027】
メータパネル32に表示された画像では、自車両を模した絵柄70がメータパネル32の幅方向(図中左右方向)の中央に描画される。また、メータパネル32に表示された画像では、ヘッドアップディスプレイ35により表示される第1の道路61に対応する道路画像71が、メータパネル32の幅方向(図中左右方向)の中央に描画される。道路画像71は、
図3では、3車線の絵柄として描画されている。道路画像71は、第1の道路61と同様、図中の手前から奥にかけて奥行きを持たせた絵柄として表現されている。自車両を模した絵柄70及び道路画像71それぞれは、異なるレイヤーに描画されており、自車両を模した絵柄70が道路画像71よりも上位レイヤーに位置する。このため、自車両を模した絵柄70が道路画像71に重畳された状態で表示される。こうして、メータパネル32に表示される画像は、自車両が走行する道路が拡大表示された道路画像71を含む。
【0028】
また、メータパネル32に表示された画像では、メータパネル32の幅方向(図中左右方向)の左側に、自車両の走行速度を示す速度計72が描画される。速度計72は、全体として円形状である。速度計72は、周方向に沿って時計回りに20km/h間隔で速度メモリ72aが標示されるとともに、外形状を示す速度計枠体72bが周方向に沿って位置する。速度計枠体72bには、速度計枠体72bの周方向に沿って伸縮する速度ゲージ72cが並べられている。ところで、制御装置52は、速度センサ56から自車両の速度に関する情報を得ることができる。速度ゲージ72cは、速度センサ56により検出される自車両の速度に応じて速度計枠体72bに沿って伸縮し、これにより速度ゲージ72cの一端が任意の速度を指すことができる。さらに、メータパネル32に表示された画像では、メータパネル32の高さ方向(図中上下)の上側に、自車両の走行速度を示すデジタル数値72dが描画される。デジタル数値72dは、速度ゲージ72cが指す速度値と同じ値をとる。
【0029】
また、メータパネル32に表示された画像では、メータパネル32の幅方向(図中左右方向)の右側に、電池への充放電の状況を示すパワーメータ73が描画される。パワーメータ73は、全体として円形状である。パワーメータ73は、周方向に沿って反時計周りに「CHARGE」、「ECO」、「POWER」の順でステータス73aが標示されるとともに、外形状を示すパワーメータ枠体73bが周方向に沿って位置する。パワーメータ枠体73bには、パワーメータ枠体73bの周方向に沿って伸縮するパワーゲージ73cが並べられている。パワーゲージ73cは、電池への充電状況を管理する電力管理ユニット(図示せず)により検出される充電状況に応じてパワーメータ枠体73bに沿って伸縮し、これによりパワーゲージ73cの一端が任意の充電状況を指すことができる。
【0030】
また、メータパネル32に表示された画像では、自車両の進行方向前方を走行する他車両との間の車間距離に関する情報がバーグラフ77として表現されている。バーグラフ77は、ヘッドアップディスプレイ35により表示されるバーグラフ67と同様、バーの長さが変動する方向が道路画像71の延設方向(図中の手前から奥にかけての方向)に沿う位置関係になるよう表示される。バーグラフ77は、車間距離に応じてバーの長さ、つまり、
図3では3つのセグメントの個数、が変動する。バーグラフ77は、車間距離が大きければ視認されるセグメントの個数が多くなり、車間距離が小さければ視認されるセグメントの個数が少なくなる。バーグラフ77は、道路画像71に重畳させて自車両の絵柄70の進行方向前方に表示される。
【0031】
メータパネル32及びヘッドアップディスプレイ35は、以上に説明した表示内容を、自車両の進行方向においてしばらくの間交差点がなく、自車両が直進走行している期間において出力する。なお、メータパネル32は、上述した情報以外に各種の情報を表示することができる。例えば、
図3に示されるような、オドメーター、燃費数値、シフトゲージを表示するようにしてもよい。また、後述するような右左折時またはレーン変更時における運転者に注意喚起するための強調表示や、同じく後述するような地図表示を行うことも可能である。
【0032】
[自車両が次の交差点を左折する際の表示内容]
続いて、
図4及び
図5(A)、
図5(B)を参照して、自車両が次の交差点を左折する際にメータパネル32及びヘッドアップディスプレイ35に表示される内容について詳細に説明する。
図4には、
図3と同様、上段にヘッドアップディスプレイ35により照射されドライバに視認される像が、下段にメータパネル32に表示された画像が、それぞれ示されている。
図5(A)に示されるヘッドアップディスプレイ35により照射される像と、
図5(B)に示される平面図とを併せて参照することで、ヘッドアップディスプレイ35により照射される像の理解が進むであろう。
【0033】
ヘッドアップディスプレイ35により視認される像では、交差点において交差する2つの道路の幅方向端部を模した交差点画像80が表現されている。交差点画像80は、交差点80aにおいて交差する第1の道路81と第2の道路82とによって構成される。交差点画像80は、第1の道路81が図中の手前から奥にかけて奥行きを持たせた絵柄として表現されている。具体的には、第1の道路81は、図中下側から上側にかけて先細る位置関係にある2つの実線81aによって第1の道路81の幅方向端部が表現され、これにより自車両が走行中の道路として模されている。一方、第2の道路82は、図中上下方向に離間する、左右方向に延びる2つの実線82aによって第2の道路82の幅方向端部が表現され、これにより自車両が左折後に走行する道路として模されている。
【0034】
制御装置52は、ナビゲーション装置58に搭載された地図データを加工することにより交差点画像80を生成する。具体的には、制御装置52は、ナビゲーション装置58の地図データからこれから自車両が左折する交差点の形状を読み取る。ここでいう形状は、
図5(B)に示される、交差点を垂直に見下ろした平面図において、道路の延設方向に沿って延びる道路の幅方向両端の縁である。ここで読み取る交差点の範囲は、交差点にて交差する道路の延在方向を人間が視認できる程度であればよく、例えば交差点の中央から20~30m程度あればよい。制御装置52は、交差点80aを構成する2つの道路の縁を読み取ると、自車両が走行する道路の延設方向に奥行きを持たせるよう上記の平面図を所定角度傾斜させた座標変換を行う。こうして交差点画像80が得られる。このような交差点画像80は、その奥行きの無限遠方(消失点)に向かって先細るよう、ドライバによって視認される。
【0035】
このようにして得られる交差点画像80は、交差点80aを構成する複数の道路(
図4及び
図5(A)では第1の道路81と第2の道路82)の縁に関する情報のみによって構成される、非常に簡素な情報である。このような交差点画像80は、ヘッドアップディスプレイによって照射する情報として適している。また、交差点画像80は、ナビゲーション装置58の地図データを基に生成されるため、交差点80aの形状が高い精度で再構築されている。このため、運転者は、ヘッドアップディスプレイによって照射された交差点画像80を視認することによって、道路の形状を正確に把握することができる。また、交差点画像80は、奥行きをもたせるための傾斜角度を調整することによって、照射される交差点画像80の高さ(
図5(A)の図中上下方向の高さ)を小さくすることができる。つまり、交差点画像80が照射される範囲を抑えることができる。
【0036】
また、ヘッドアップディスプレイ35により視認される像では、自車両の進行方向前方を走行する他車両との間の車間距離に関する情報がバーグラフ87として表現されている。バーグラフ87は、バーの長さが変動する方向が第1の道路81の延設方向(図中の手前から奥にかけての方向)に沿う位置関係になるよう表示される。バーグラフ87は、車間距離に応じてバーの長さ、つまり、
図4及び
図5(A)では3つのセグメントの個数、が変動する。バーグラフ87は、車間距離が大きければ視認されるセグメントの個数が多くなり、車間距離が小さければ視認されるセグメントの個数が少なくなる。また、バーグラフ87は、交差点画像80の奥行きに合わせるように1つのセグメントが台形状であって、各セグメントは下方に位置するものほど幅が大きくなっている。このように、バーグラフ87もまた、交差点画像80の第1の道路81と同様、その奥行き方向に先細る絵柄となっている。このようなバーグラフ87により、ドライバは自車両の前方に位置する他車両との車間距離を直感的に把握することができる。
【0037】
また、ヘッドアップディスプレイ35により視認される像では、自車両の進行方向前方に存在する直近の交差点80aまでの交差点間距離に関する情報が、デジタル数値85として表現される。制御装置52は、交差点間距離に関する情報をナビゲーション装置58から得ることができる。制御装置52は、ナビゲーション装置58から得られる交差点間距離に関する情報を、デジタル数値85として出力する。
【0038】
また、ヘッドアップディスプレイ35により視認される像では、交差点80aにおいて自車両が進行すべき道路が矢印88によって指し示される。具体的には、矢印88は、第1の道路81の下側から交差点80aへと上方に延び、交差点80aから第2の道路82の左側へと左方に延びる矢印線として表現される。このような矢印88は、交差点80aに向かって自車両が進行している第1の道路81に沿って延びる第1の矢印部88aと、交差点80aに進入後に交差点80aから離れる自車両が進行する第2の道路82に沿って延びる第2の矢印部88bと、に分かれる。第1の矢印部88aは、交差点80aに自車両が進入する方向を示す役割を有し、第2の矢印部88bは、交差点80aから自車両が離れる方向を示す役割を有する。ドライバは、このような矢印88を視認することにより、自車両が次の交差点において進むべき道路を判別することができる。
【0039】
第1の矢印部88aは、第1の道路81の端部(実線81a)に沿う外形状を有する。より具体的には、第1の矢印部88aの外形状は、第1の道路81の端部(実線81a)と同程度または若干小さく、実線81aによって囲まれる領域に収まる程度の大きさである。このように、第1の矢印部88aもまた、交差点画像80の第1の道路81と同様、その奥行き方向に先細る絵柄となっている。このように第1の矢印部88aが第1の道路81の延在方向に延びていることを明示することにより、第1の矢印部88aが第1の道路81を進む自車両であることをドライバに認識させることができる。また、第1の矢印部88aは、第1の道路81の左側端部(
図5中の左側の実線81a)に沿う左側線部88cと、第1の道路81の右側端部(
図5中の右側の実線81a)に沿う右側線部88dと、に分かれている。つまり、第1の矢印部88aは、内側が中空のように描画されている。そして、第1の矢印部88aを構成する左側線部88cと右側線部88dの間に前述のバーグラフ87が位置している。
【0040】
他方、第2の矢印部88bは、交差点80a中央に位置する一端部に、第1の矢印部88aの左側線部88c及び右側線部88dの一端部が連結されている。一方、第2の矢印部88bの他端部は、自車両が走行すべき向きを指し示す三角形状が描かれている。こうして、第1の矢印部88a及び第2の矢印部88bは、全体として「λ(ラムダ)」の字のような絵柄として描画される。そして、バーグラフ87は、第1の矢印部88a(左側線部88c及び右側線部88d)と第2の矢印部88bに囲まれる第1の道路81の領域内に収まるよう表示される。このように、矢印88の内側に空けたスペースにバーグラフ87を描画することによって、車間距離に関する情報を提示するための領域を第1の道路81と矢印88の領域とは別に確保する必要がない。このため、ヘッドアップディスプレイ35によって照射される限られた照射範囲を有効に活用することができる。
【0041】
メータパネル32による表示の内容は、道路画像71の右側に交差点間距離75が標示される点を除き、前述した項目[自車両が直進する際の表示内容]で説明した内容と共通である。
【0042】
なお、本項目[自車両が次の交差点を左折する際の表示内容]では、自車両が左折する際の表示内容を説明した。右折する際の表示内容は、矢印の向きが左右反転する点以外共通であるため、繰り返しの説明を省略する。
【0043】
[自車両の左折時における運転支援表示の変遷]
続いて、本発明の実施形態における表示ユニット30による運転支援表示の一例として、自車両が次の交差点を左折する際の表示内容の変遷について
図6から
図9を参照して説明する。
図6から
図9は、本発明の実施形態における表示ユニット30による、自車両が次の交差点を左折する際の表示内容の変遷を説明する図である。
【0044】
制御装置52は、自車両が左折する交差点に向けて直進を続けている期間は、前項目[自車両が直進する際の表示内容]にて説明した
図3に示す表示内容をメータパネル32及びヘッドアップディスプレイ35に表示させる。この期間において、制御装置52は、ナビゲーション装置58からの信号を受けて、自車両とその自車両が左折する交差点との間の交差点間距離を監視している。制御装置52は、この交差点間距離が所定値である「50m」を下回ると、
図6に示す表示内容をメータパネル32及びヘッドアップディスプレイ35に表示させる。ヘッドアップディスプレイ35は、前項目[自車両が次の交差点を左折する際の表示内容]にて説明したように、交差点画像80、交差点間距離(デジタル数値85)、車間距離(バーグラフ87)、及び矢印88を表示する。ヘッドアップディスプレイ35が標示する、
図6に示される像では、交差点画像80は十字路の交差点を模した形状であり、交差点間距離は「50m」であり、車間距離は3セグメント分であり、矢印88は左曲りのものとなっている。
【0045】
他方、メータパネル32は、前項目[自車両が次の交差点を左折する際の表示内容]にて説明したように、自車両を模した絵柄70、道路画像71、速度計72、パワーメータ73、交差点間距離75、バーグラフ77を表示する。メータパネル32に表示される画像では、道路画像71は3つのレーンがそれぞれ、左折レーン、直進レーン、右折レーンとなっており、自車両を模した絵柄70は直進レーンに配置されている。また、速度計72は「時速60km/h」であることを示しており、パワーメータ73は走行状況を示すステータスが「ECO」であることを示しており、交差点間距離75は「50m」であることを示している。さらに、道路画像71では、その左折するために走行すべき左折レーンが強調表示されている。この強調表示は、左折レーンにおける路面標示を含む領域を色づけすることで表現される(
図6では色付けされた部分76がハッチングで描かれている。)。
【0046】
図6に示される表示ユニット30による表示により、ドライバは、ヘッドアップディスプレイによって照射された交差点画像80を視認することによって、道路の形状を正確に把握することができる。また、ドライバは、メータパネル32に表示された道路画像71を視認することによって、自車両が左折するためにどのレーンを走行すべきであるのかを把握することができる。なお、道路画像71において強調表示を開始する時点は、交差点間距離が所定値である「50m」を下回る前であっても構わない。交差点間距離が例えば500~700mを下回ったころに道路画像71において強調表示がなされれば、レーン変更をする十分な時間をドライバに与えることできるであろう。
【0047】
続いて、制御装置52は、操作SW53のうちのウィンカーレバーから左側に倒された旨の信号を受け付けると、
図7に示す表示内容をメータパネル32及びヘッドアップディスプレイ35に表示させる。
図6に示す表示内容との違いを説明すると、ヘッドアップディスプレイ35による表示内容に違いは無い。他方、メータパネル32に表示される画像においてバーグラフ77が消え、デジタル数値72dの左側では左を向く矢印が点滅する。さらに、自車両が変更しようとするレーンにおいて当該自車両の進行方向後方を他車両が走行していることをセンサが検出したときには、当該自車両がレーン変更しようとする道路画像71の左折レーンを強調表示する。この強調表示は、左折レーンのうちの自車両の絵柄に近い領域を色づけすることで表現される(
図7では色付けされた部分78がハッチングで描かれている。)。ところで、制御装置52は、ウィンカーレバーからの信号を受け付けたとき、交差点までの距離に応じてその信号がレーン変更のためのレバーの押倒であるか、右左折のためのレバーの押倒であるかを判別することができる。制御装置52は、交差点までの距離が50mある中でのウィンカーレバーの押倒をレーン変更を目的とするものと判別することによって、符号78で示される強調表示を行うことができる。
【0048】
図7に示される表示ユニット30による表示により、ドライバは、ヘッドアップディスプレイによって照射された交差点画像80を視認することによって、道路の形状を正確に把握することができる。また、ドライバは、レーン変更する場合であってレーン変更しようとするレーンにおいて他車両が自車両後方を走行中のとき、符号78で示される強調表示を視認することによってその他車両に対して注意を払いつつレーン変更を行うことができる。
【0049】
続いて、制御装置52は、各種センサによって自車両のレーン変更を検出すると、
図8及び
図9に示す表示内容をメータパネル32及びヘッドアップディスプレイ35に表示させる。
図7に示す表示内容との違いを説明すると、ヘッドアップディスプレイ35による表示内容に違いは無い。他方、メータパネル32に表示される画像において符号78で示される強調表示が消え、自車両を模した絵柄70が道路画像71の直進レーンから左折レーンへと横断するよう移動する。
【0050】
以上、
図6から
図9を参照して、本発明の実施形態における表示ユニット30による運転支援を説明した。
【0051】
[自車両の左折時における運転支援表示による効果]
【0052】
本発明の実施形態における表示ユニット30によれば、交差点画像80は、交差点80aを構成する複数の道路(
図4及び
図5(A)では第1の道路81と第2の道路82)の縁に関する情報のみによって構成される、非常に簡素な情報である。このような交差点画像80は、ヘッドアップディスプレイによって照射する情報として適している。このため、運転者は、ヘッドアップディスプレイ35によって照射された交差点画像80を視認することによって、道路の形状を正確に把握することができる。さらに、この交差点画像80に、バーグラフ87と、交差点間距離(デジタル数値85)と、矢印88とが組み合わされて表示される。これにより、運転者は、自車両が右左折する交差点の形状をイメージしつつ、右左折のためのハンドル操作にどの程度の舵角が必要かを把握することができる。このような運転支援は、ドライバにとって非常に有益である。
【0053】
また、本発明の実施形態における表示ユニット30によれば、第1の道路81上に車間距離に関する情報を表示することによって、車間距離に関する情報を提示するための領域を第1の道路81とは別に確保する必要がない。このため、ヘッドアップディスプレイによって照射される限られた照射範囲を有効に活用することができる。
【0054】
また、本発明の実施形態における表示ユニット30によれば、矢印88の内側に空けたスペースにバーグラフ87を描画することによって、車間距離に関する情報を提示するための領域を第1の道路81と矢印88の領域とは別に確保する必要がない。このため、ヘッドアップディスプレイによって照射される限られた照射範囲を有効に活用することができる。
【0055】
また、本発明の実施形態における表示ユニット30によれば、交差点画像80が奥行きをもって表示されることによって、交差点を上面から視た平面図として照射する場合に比べて、照射される交差点画像80の高さを小さくすることができる。つまり、交差点画像80が照射される範囲を抑えることができる。このため、ヘッドアップディスプレイによって照射される限られた照射範囲を有効に活用することができる。
【0056】
また、本発明の実施形態における表示ユニット30によれば、ヘッドアップディスプレイと、ヘッドアップディスプレイ35とはメータパネル32とを組み合わせた運転支援が可能となる。つまり、メータパネル32による運転支援により、ヘッドアップディスプレイ35による運転支援のメリットを活かしつつ、ヘッドアップディスプレイ35の構造的なデメリットを補うことができる。
【0057】
以上のように、本発明の実施形態における表示ユニット30によれば、ヘッドアップディスプレイによって交差点の正確な形状をドライバに提示することができる。これは、ドライバが右左折のためのハンドル操作にどの程度の舵角が必要かを把握することができるため、非常に有益である。且つ、ヘッドアップディスプレイが情報を提示できる照射範囲が限られる中で、必要十分な情報(車間距離に関する情報、交差点間距離に関する情報、交差点画像、矢印)をその範囲内で提示できるレイアウトを見出した。このようなヘッドアップディスプレイによる運転支援により、ドライバはヘッドアップディスプレイからの情報の提示だけでも自車両の右左折に必要な十分な運転支援を得ることができる。
【0058】
[道路表示状態から地図表示状態への切り替え時における運転支援表示の変遷]
続いて、本発明の実施形態における表示ユニット30による運転支援表示の一例として、道路表示状態から地図表示状態への切り替え時における表示内容の変遷について
図10(A)から
図11(C)を参照して説明する。
図10(A)から
図11(C)は、本発明の実施形態における表示ユニット30による、道路表示状態から地図表示状態へ切り替わる際の表示内容の変遷を説明する図である。
【0059】
本発明の実施形態における表示ユニット30は、メータパネル32に液晶ディスプレイを用いることにより、メータパネルに様々な情報を表示させることができる。それらの情報の一つとして、メータパネル32に地図を表示させるものがある。本項目では、
図3及び
図4に示すような道路画像71が表示された状態(道路表示状態と称することがある)と、地図画像が表示された状態(地図表示状態と称することがある)と、を切り替えて表示する表示ユニット30について説明する。
【0060】
本実施形態で言う道路表示状態とは、
図10(A)に示されるように、計器(速度計72、パワーメータ73)と、自車両が走行する道路が拡大表示された道路画像71と、がメータパネル32に表示された状況を指す。また、地図表示状態とは、
図11(C)に示されるように、自車両が走行する地点を含むエリアが縮小表示された地図画像91と、その地図画像91が内部に位置する地図枠体92と、がメータパネル32に表示された状況を指す。拡大表示された道路画像71と、エリアが縮小表示された地図画像91とはそれぞれ、情報が提示する範囲(地図上の広さ)に違いはあるが、自車両の位置を示す情報であり、親和性の高い情報と言える。道路表示状態と地図表示状態を切り替えるにあたって、道路画像71と地図画像とが滑らかに連続するよう繋ぐことができれば、ドライバはその切り替えに不自然さを感じることがない。以下、本発明の実施形態における表示ユニット30による、道路表示状態と地図表示状態を切り替える際の表示内容について詳細説明する。
【0061】
図10(A)は、道路表示状態にあるときにメータパネル32に表示される表示例である。道路表示状態にあるとき、周方向に沿って各種情報(速度メモリ72a、ステータス73a)が標示されるとともに外形状を示す計器枠体(速度計枠体72b、パワーメータ枠体73b)がその周方向に沿って位置する計器(速度計72、パワーメータ73)と、自車両が走行する道路が拡大表示された道路画像71と、がメータパネル32に表示される。表示されるそれぞれの要素については、前項目[表示ユニットによる表示内容]にて説明したとおりであるため、改めての説明を省略する。
【0062】
図10(B)から
図11(B)は、道路表示状態から地図表示状態に変遷中にメータパネル32に表示される表示例である。
図10(B)、
図10(C)、
図11(A)、
図11(B)の順に表示内容が変遷する。
図10(B)から
図11(C)を参照すると、道路画像71が徐々に縮小表示されていることがわかる。具体的には、道路画像71は、車両が走行する道路が、より高い地点から鳥瞰した画像になるとともに、
図10(A)において表現されていた道路の奥行きが徐々になくなり平面的な画像となっている。
【0063】
また、
図10(B)から
図11(C)を参照すると、計器(速度計72、パワーメータ73)は、外形状が徐々に形状を変えていることがわかる。具体的には、ゲージ(速度ゲージ72c、パワーゲージ73c)が円弧形状から両端部の間隔が広がるように変形する。また、円形状であった計器枠体(速度計枠体72b、パワーメータ枠体73b)が徐々に薄れ、代わりに計器枠体(速度計枠体72b、パワーメータ枠体73b)が配置されていた箇所の周辺に別の枠体が徐々に浮き出てくる。
図11(A)においては、これらの枠体を点線で記載することによって、徐々に薄れる、または徐々に浮き出る模様を表している。このとき、別の枠体は、縮小表示の過程にある地図画像を囲むような位置にある。また、
図11(B)に示されるように、この別の枠体は、縮小表示前に計器枠体(速度計枠体72b、パワーメータ枠体73b)に付与されていた情報(速度メモリ72a、ステータス73a)が並び順が変わらず付与されている。
【0064】
図11(C)は、地図表示状態にあるときにメータパネル32に表示される表示例である。
図10(B)から
図11(C)に示すように表示内容が変遷した結果、自車両が走行する地点を含むエリアが縮小表示された地図画像91と、地図画像91が内部に位置する地図枠体92、93と、が表示される。地図画像91は、
図10(A)の道路画像71から見ると縮小表示されたものとなっている。また、地図枠体92、93は、
図10(A)の計器枠体(速度計枠体72b、パワーメータ枠体73b)が変形して形成されたものである。速度計72が提示していた情報は地図枠体92に、パワーメータ73が提示していた情報は地図枠体93に、それぞれ引き継がれている。また、地図画像91は、自車両が走行するルート94が重畳表示されており、自車両が左折する交差点を中心とするエリアが描画されている。また、地図画像91には、上側(図中上側)の中央に交差点間距離95が重畳表示されている。また、地図画像91には、上側(図中上側)の中央に、自車両が走行中のレーンに関するレーン画像96が重畳表示されている。さらに、レーン画像96では、その左折するために走行すべき左折レーンが強調表示されている。
【0065】
ここまでは、
図10(A)から
図11(C)を参照して道路表示状態から地図表示状態へ切り替える際の表示内容の変遷を説明した。逆に、地図表示状態から道路表示状態へ切り替える際は、
図11(C)、
図11(B)、
図11(A)、
図10(C)、
図10(B)、
図10(A)の順に表示内容が変遷する。
【0066】
[道路表示状態から地図表示状態への切り替え時における運転支援表示による効果]
拡大表示された道路画像71と、エリアが縮小表示された地図画像91とはそれぞれ、情報が提示する範囲(地図上の広さ)に違いはあるが、自車両の位置を示す情報であり、親和性の高い情報と言える。本発明の実施形態における表示ユニット30によれば、道路表示状態と地図表示状態を切り替えるにあたって、道路画像と地図画像とが滑らかに連続するよう繋ぐことにより、ドライバはその切り替えに不自然さを感じることがない。
また、本発明の実施形態における表示ユニット30によれば、道路表示状態から地図表示状態への切り替えの際、計器(速度計、パワーメーター)に標示される各種情報が地図枠体に引き継がれる。このように、道路表示状態と地図表示状態の間で運転情報が受け渡しされることにより、ドライバは画像が切り替わってもその運転情報を見失わずに確認し続けることができる。
また、本発明の実施形態における表示ユニット30によれば、自車両が右左折する交差点を中心にエリアが表示されることにより、ドライバが知りたい運転情報をタイムリーに提示することができる。
【0067】
ここで、上述した本発明に係る表示ユニットの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[10]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
被照射面に映像光を照射して各種情報を表示する第1の表示部(ヘッドアップディスプレイ35)と、
前記第1の表示部(ヘッドアップディスプレイ35)を制御する制御部(制御装置52)と、
を備え、
前記制御部(制御装置52)は、自車両の進行方向前方を走行する他車両との間の車間距離に関する情報(バーグラフ87)と、自車両の進行方向前方に存在する直近の交差点(80a)までの交差点間距離に関する情報(デジタル数値85)と、前記交差点(80a)において交差する道路の幅方向端部を模した交差点画像(80)と、前記交差点(80a)において前記自車両が進行すべき前記道路を指し示す矢印(88)と、を前記第1の表示部(ヘッドアップディスプレイ35)に表示するよう制御する、
表示ユニット(30)。
[2]
前記交差点画像(80)は、前記交差点(80a)において交差する第1の道路(81)と第2の道路(82)とを含んで構成され、
前記矢印(88)は、前記交差点(80a)に向かって前記自車両が進行している前記第1の道路(81)に沿って延びる第1の矢印部(88a)と、前記交差点(80a)に進入後に前記交差点(80a)から離れる前記自車両が進行する前記第2の道路(82)に沿って延びる第2の矢印部(88b)と、を含んで構成され、
前記制御部(制御装置52)は、前記第1の道路(81)の幅方向両側の端部(実線81a)に外形が沿う前記第1の矢印部(88a)を、前記交差点画像(80)における前記第1の道路(81)に収まるよう前記第1の表示部(ヘッドアップディスプレイ35)に表示させる、
上記[1]に記載の表示ユニット(30)。
[3]
前記制御部(制御装置52)は、前記車間距離に関する情報(バーグラフ87)を、前記第1の道路(81)に収まるよう前記第1の表示部(ヘッドアップディスプレイ35)に表示させる、
上記[2]に記載の表示ユニット(30)。
[4]
前記車間距離に関する情報(バーグラフ87)は、当該車間距離に応じてバーの長さが変動するバーグラフとして表現され、
前記制御部(制御装置52)は、前記バーの長さが変動する方向が前記第1の道路(81)の延設方向に沿うよう前記バーグラフを前記第1の表示部(ヘッドアップディスプレイ35)に表示させる、
上記[3]に記載の表示ユニット(30)。
[5]
前記交差点画像(80)は、前記第1の道路(81)の延設方向に沿って奥行きを持たせた絵柄として表現され、
前記制御部(制御装置52)は、前記交差点画像(80)の消失点に向かって先細るよう、前記第1の矢印部(88a)及び前記バーグラフ(87)を前記第1の表示部(ヘッドアップディスプレイ35)に表示させる、
上記[4]に記載の表示ユニット(30)。
[6]
前記第1の矢印部(88a)は、前記第1の道路(81)の幅方向のうちの左側端部に沿う左側線部(88c)と、前記第1の道路(81)の幅方向のうちの右側端部に沿う右側線部(88d)と、に分かれ、前記左側線部(88c)及び前記右側線部(88d)の奥行き方向端部が前記第2の矢印部(88b)に連結され、
前記制御部(制御装置52)は、前記第1の矢印部(88a)を構成する前記左側線部(88c)及び前記右側線部(88d)と、前記第2の矢印部(88b)とに囲まれる前記第1の道路(81)の領域内に収まるよう、前記前記バーグラフ(87)を前記第1の表示部(ヘッドアップディスプレイ35)に表示させる、
上記[5]に記載の表示ユニット(30)。
[7]
各種情報を表示する第2の表示部(メータパネル32)を更に備え、
前記制御部(制御装置52)は、前記第2の表示部(メータパネル32)を制御して、前記第1の道路(81)に関する詳細形状を模した道路画像(71)を前記第2の表示部(メータパネル32)に表示させるとともに、当該道路画像(71)に重畳させて前記第1の道路(81)を走行する前記自車両を表示する、
上記[6]に記載の表示ユニット(30)。
[8]
前記制御部(制御装置52)は、前記自車両が前記交差点(80a)において右左折する場合、前記道路画像(71)における、その右左折するために走行すべきレーンを強調表示(76)する、
上記[7]に記載の表示ユニット(30)。
[9]
前記制御部(制御装置52)は、前記車間距離に関する情報(バーグラフ77)を、当該道路画像(71)に重畳させて前記自車両の進行方向前方に表示させる、
上記[7]または[8]に記載の表示ユニット(30)。
[10]
前記制御部(制御装置52)は、前記自車両がレーン変更する場合であって、当該自車両が変更しようとするレーンにおいて当該自車両の進行方向後方を他車両が走行しているとき、前記道路画像(71)における当該自車両が変更しようとするレーンを強調表示()78する、
上記[7]から[9]のいずれか1項に記載の表示ユニット(30)。
【符号の説明】
【0068】
10 フロントガラス
20 インストルメントパネル
30 表示ユニット
32 メータパネル
35 ヘッドアップディスプレイ
35a 領域
36 液晶ディスプレイ
50 ハンドル
51 カメラ
52 制御装置
53 操作スイッチ(SW)
56 速度センサ
57 車間距離センサ
58 ナビゲーション装置
59 スピーカ
61 第1の道路
65 ボンネット
67 バーグラフ
70 絵柄
71 道路画像
72 速度計
72a 速度メモリ
72b 速度計枠体
72c 速度ゲージ
72d デジタル数値
73 パワーメータ
73a ステータス
73b パワーメータ枠体
73c パワーゲージ
75 交差点間距離
77 バーグラフ
80 交差点画像
81 第1の道路
82 第2の道路
85 デジタル数値
87 バーグラフ
88 矢印
88a 第1の矢印部
88b 第2の矢印部
88c 左側線部
88d 右側線部
91 地図画像
92、93 地図枠体
94 ルート
95 交差点間距離
96 レーン画像