(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】トイレ使用状況管理システム
(51)【国際特許分類】
E03D 11/00 20060101AFI20220809BHJP
A47K 17/00 20060101ALI20220809BHJP
E05B 41/00 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
E03D11/00 Z
A47K17/00
E05B41/00 F
(21)【出願番号】P 2019115995
(22)【出願日】2019-06-24
【審査請求日】2022-03-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】301072063
【氏名又は名称】株式会社エコー総合企画
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】森山 明彦
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-146813(JP,A)
【文献】特開2017-102591(JP,A)
【文献】特開2019-192037(JP,A)
【文献】特開2018-062776(JP,A)
【文献】特開2017-152029(JP,A)
【文献】特開2014-177749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 11/00
A47K 17/00
G08B 5/00-5/38
E05B 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ室に設置された複数の個室トイレの使用状況を前記トイレ室の外側に設置
された表示装置に表示するトイレ使用状況管理システム
であって、
前記個室トイレ
のドアを施錠又は解錠するドアロック毎に設けられ、前記個室トイレの使用開始を検出して所定の使用開始信号を送信し、前記個室トイレの使用終了を検出して所定の使用終了信号を送信する使用状態検出部と、
前記使用状態検出部から受信した前記使用開始信号及び前記使用終了信号に基づき、前記表示装置に、使用中の個室トイレの数を所定の花の第1花形態を含む使用中マークの数で表示し、空いている個室トイレの数を前記花の第1花形態とは異なる前記花の第2花形態を含む空きマークの数で表示する表示制御部と、
を
備え、
前記使用状態検出部は、
前記ドアロックの施錠操作又は解錠操作により発電する発電部と、
前記ドアロックの施錠操作による発電電力で前記使用開始信号を無線送信し、前記ドアロックの解錠操作による発電電力で前記使用終了信号を無線送信する送信部と、
を備えたことを特徴とするトイレ使用状況管理システム。
【請求項2】
請求項
1記載のトイレ使用状況管理システムに於いて、
前記表示制御部は、前記個室トイレの使用予測時間
が予め設定
され、前記使用開始信号を受信したときからの使用時間の経過に伴って前記使用中マークの前記第1花形態を前記使用予測時間内で連続的又は段階的に変化させることを特徴とするトイレ使用状況管理システム。
【請求項3】
トイレ室に設置された複数の個室トイレの使用状況を前記トイレ室の外側に設置された表示装置に表示するトイレ使用状況管理システム
であって、
前記個室トイレ毎に設けられ、前記個室トイレの使用開始を検出して所定の使用開始信号を送信し、前記個室トイレの使用終了を検出して所定の使用終了信号を送信する使用状態検出部と、
前記使用状態検出部から受信した前記使用開始信号及び前記使用終了信号に基づき、前記表示装置に、使用中の個室トイレの数を所定の花の第1花形態を含む使用中マークの数で表示し、空いている個室トイレの数を前記花の第1花形態とは異なる前記花の第2花形態を含む空きマークの数で表示する表示制御部と、
を備え、
前記表示制御部は、前記使用状態検出部から受信した前記使用開始信号及び前記使用終了信号に基づき、前記複数の個室トイレの各々の使用時間を記憶し、当該記憶した前記使用時間に基づき平均使用時間を求めて前記
個室トイレの使用予測時間を設定
し、前記使用開始信号を受信したときからの使用時間の経過に伴って前記使用中マークの前記第1花形態を前記使用予測時間内で連続的又は段階的に変化させることを特徴とするトイレ使用状況管理システム。
【請求項4】
トイレ室に設置された複数の個室トイレの使用状況を前記トイレ室の外側に設置された表示装置に表示するトイレ使用状況管理システム
であって、
前記個室トイレ毎に設けられ、前記個室トイレの使用開始を検出して所定の使用開始信号を送信し、前記個室トイレの使用終了を検出して所定の使用終了信号を送信する使用状態検出部と、
前記使用状態検出部から受信した前記使用開始信号及び前記使用終了信号に基づき、前記表示装置に、使用中の個室トイレの数を所定の花の第1花形態を含む使用中マークの数で表示し、空いている個室トイレの数を前記花の第1花形態とは異なる前記花の第2花形態を含む空きマークの数で表示する表示制御部と、
を備え、
前記表示制御部は、前記使用状態検出部から受信した前記使用開始信号及び前記使用終了信号に基づき、前記複数の個室トイレの各々の使用時間を所定の時間帯に分けて記憶し、当該記憶した前記使用時間に基づき前記時間帯毎の平均使用時間を求めて前記時間帯毎に前記
個室トイレの使用予測時間を設定
し、前記使用開始信号を受信したときからの使用時間の経過に伴って前記使用中マークの前記第1花形態を前記時間帯毎の前記使用予測時間内で連続的又は段階的に変化させることを特徴とするトイレ使用状況管理システム。
【請求項5】
請求項1
乃至4の何れかに記載のトイレ使用状況管理システムに於いて、
前記表示制御部は、前記使用中マークの
前記第1花形態を開花した前記花とし、前記空きマークの
前記第2花形態を前記花の蕾としたことを特徴とするトイレ使用状況管理システム。
【請求項6】
請求項1
乃至4の何れかに記載のトイレ使用状況管理システムに於いて、
前記表示制御部は、前記使用中マークの前記第1花形態を前記花の蕾とし、前記空きマークの前記第2花形態を開花した前記花としたことを特徴とするトイレ使用状況管理システム。
【請求項7】
請求項1乃至
6の何れかに記載のトイレ使用状況管理システムに於いて、
前記表示制御部は、前記使用中マークの前記第1花形態に使用中を示す文字、図形又は記号を付加して表示し、前記空きマークの前記第2花形態に空きを示す文字、図形又は記号を付加して表示することを特徴とするトイレ使用状況管理システム。
【請求項8】
請求項1乃至
7の何れかに記載のトイレ使用状況管理システムに於いて、
前記表示制御部は、前記使用中マークの前記第1花形態及び他の部位を暖色系の所定の色で表示し、前記空きマークの前記第2花形態を前記第1花形態と同じ暖色系の所定の色で表示すると共に他の部位を寒色系の所定の色で表示することを特徴とするトイレ使用状況管理システム。
【請求項9】
請求項
2乃至4の何れかに記載のトイレ使用状況管理システムに於いて、
前記表示制御部は、前記使用時間の経過に伴って前記使用中マークの前記第1花形態の色を使用開始時の所定の濃い色から薄い色に変化させることを特徴とするトイレ使用状況管理システム。
【請求項10】
請求項
2乃至4の何れかに記載のトイレ使用状況管理システムに於いて、
前記表示制御部は、前記使用時間の経過に伴って前記使用中マークの前記第1花形態の開花状態を、使用開始時の前記第1花形態から前記第2花形態に向けて変化させることを特徴とするトイレ使用状況管理システム。
【請求項11】
請求項
2乃至4の何れかに記載のトイレ使用状況管理システムに於いて、
前記表示制御部は、前記使用時間の経過に伴って前記使用中マークの前記
第1花形態の色を使用開始時の所定の濃い色から薄い色に変化させ、且つ前記使用中マークの前記第1花形態を使用開始時の前記第1花形態から前記第2花形態に向けて変化させることを特徴とするトイレ使用状況管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商業施設や公共施設等に設置された複数の個室トイレを備えたトイレ室の使用状態をトイレ室外側から分かるように表示するトイレ使用状況管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デパート、ショッピングモール等の商業施設やイベントホール等の公共施設に設置された複数の個室トイレを備えたトイレ室にあっては、トイレ室の外側から個室トイレの使用状況が分かるようにするため、トイレ室外側にトイレ使用表示装置を設けている。
【0003】
例えば、特許文献1のトイレシステムにあっては、トイレ室外側に設けたトイレ使用表示装置に、「トイレ空き状況 個室→2」というように空いている個室トイレの数を表示している。
【0004】
また、特許文献2のトイレシステムにあっては、ドアロックセンサにより個室トイレの使用開始と使用終了を検出する以外に、例えば便座の着座センサのオンによりトイレ使用開始直後の状態を判定し、また着座センサのオフによりトイレ使用終了直前の状態を判定し、トイレ室外側の表示装置に、個室トイレの使用と空きに加え、使用中の状態を更に詳細に表示することを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-016514号公報
【文献】特開2018-161342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、個室トイレの空き数を表示する従来のトイレ使用表示装置にあっては、個室トイレの空き数は分かるが、個室トイレが幾つあって、その内の幾つが使用中かは不明であり、トイレ全体としての使用状況がわかりにくく、トイレが空くのを待つ方が良いのか、別の場所に行った方が良いのか判断がしにくいといった問題がある。
【0007】
また、個室トイレの使用と空きに加え、使用中の状態を更に詳細に表示する従来のトイレシステムにあっては、個室トイレの使用状況を外部に詳細に表示することは利用者のプライバシーを損なう恐れがあり、特に、女性トイレにあっては、その傾向が強く、使い勝手を損なうことになりかねない。
【0008】
また、従来のトイレ使用の表示にあっては、一般的に、「使用中」「空き」といった文字や空き数を示す数字などの直接的な表示としており、更には、トイレのレイアウトに合わせて使用状態を表示しており、トイレ外側から空いている個室トイレの場所が分かることから利用し易い利点はあるが、逆に、どの個室トイレの使用時間が長いかが解ることとなり、利用者のプライバシーを損なう恐れがある。
【0009】
本発明は、利用者のプライバシー、特に女性の利用者に対するプライバシーを十分に配慮しながらトイレの使用状態を一見して把握可能な表示を行うトイレ使用状況管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(第1発明のトイレ使用状況管理システム)
本発明は、トイレ室に設置された複数の個室トイレの使用状況をトイレ室の外側に設置した表示装置に表示するトイレ使用状況管理システムに於いて、
個室トイレ毎に設けられ、個室トイレの使用開始を検出して所定の使用開始信号を送信し、個室トイレの使用終了を検出して所定の使用終了信号を送信する使用状態検出部と、
使用状態検出部から受信した使用開始信号及び使用終了信号に基づき、表示装置に、使用中の個室トイレの数を所定の花の第1花形態を含む使用中マークの数で表示し、空いている個室トイレの数を花の第1花形態とは異なる花の第2花形態を含む空きマークの数で表示する表示制御部と、
を設けたことを特徴とする。
【0011】
(使用中マークは花、空きマークは蕾)
表示制御部は、使用中マークの第1花形態を開花した花とし、空きマークの第2花形態を花の蕾とする。
【0012】
(使用中マークは蕾、空きマークは花)
表示制御部は、使用中マークの第1花形態を花の蕾とし、空きマークの第2花形態を開花した花とする。
【0013】
(付加表示)
表示制御部は、使用中マークの第1花形態に使用中を示す文字、図形又は記号を付加して表示し、空きマークの第2花形態に空きを示す文字、図形又は記号を付加して表示する。
【0014】
(暖色系と寒色系の色)
表示制御部は、使用中マークの第1花形態及び他の部位を暖色系の所定の色で表示し、空きマークの第2花形態を第1花形態と同じ暖色系の所定の色で表示すると共に他の部位を寒色系の所定の色で表示する。
【0015】
(トイレ使用時間の経過に伴って花形態を変化)
表示制御部は、個室トイレの使用予測時間を予め設定し、使用開始信号を受信したときからの使用時間の経過に伴って使用中マークの第1花形態を使用予測時間内で連続的又は段階的に変化させる。
【0016】
(花の色の時間変化)
表示制御部は、使用時間の経過に伴って使用中マークの第1花形態の色を使用開始時の所定の濃い色から薄い色に変化させる。
【0017】
(花の形の時間変化)
表示制御部は、使用時間の経過に伴って使用中マークの第1花形態の状態を、使用開始時の第1花形態から第2花形態に向けて形を変化させる。
【0018】
(花の色と形の時間変化)
表示制御部は、使用時間の経過に伴って使用中マークの第1花形態の色を使用開始時の所定の濃い色から薄い色に変化させ、且つ使用中マークの第1花形態を使用開始時の第1花形態から第2花形態に向けて形を変化させる。
【0019】
(使用時間の平均時間による使用予測時間の設定)
表示制御部は、使用状態検出部から受信した使用開始信号及び使用終了信号に基づき、複数の個室トイレの各々の使用時間を記憶し、当該記憶した使用時間に基づき平均使用時間を求めて使用予測時間を設定する。
【0020】
(時間帯に分けた使用時間の平均時間による使用予測時間の設定)
表示制御部は、使用状態検出部から受信した使用開始信号及び使用終了信号に基づき、複数の個室トイレの各々の使用時間を所定の時間帯に分けて記憶し、当該記憶した使用時間に基づき時間帯毎の平均使用時間を求めて時間帯毎に使用予測時間を設定する。
【0021】
(発電部と送信部を備えたドアロック)
使用状態検出部は、個室トイレのドアを施錠又は解錠するドアロックに設けられ、
ドアロックの施錠操作又は解錠操作により発電する発電部と、
ドアロックの施錠操作による発電電力で使用開始信号を無線送信し、ドアロックの解錠操作による発電電力で使用終了信号を無線送信する送信部と、
を備える。
【発明の効果】
【0022】
(第1発明のトイレ使用状況管理システムの効果)
本願の第1発明は、トイレ室に設置された複数の個室トイレの使用状況をトイレ室の外側に設置した表示装置で表示するトイレ使用状況管理システムに於いて、個室トイレ毎に設けられ、個室トイレの使用開始を検出して所定の使用開始信号を送信し、個室トイレの使用終了を検出して所定の使用終了信号を送信する使用状態検出部と、使用状態検出部から受信した使用開始信号及び使用終了信号に基づき、表示装置に、使用中の個室トイレの数を所定の花の第1花形態を含む使用中マークの数で表示し、空いている個室トイレの数を花の第1花形態とは異なる花の第2花形態を含む空きマークの数で表示する表示制御部とを設けたため、トイレ室の外側の表示装置に、使用中の個室トイレの数が所定の花、例えばバラの第1花形態の数で表示され、また、空いている個室トイレの数が第1花形態とは異なるバラの第2花形態の数で表示され、第1花形態のバラの数と第2花形態のバラの数によりトイレの使用状況、即ち使用中と空きの状況が一見して分かり、また、花形態による利用状況の表示となることから、人に優しい表示となって好印象が得られ、更に、トイレの使用状況をトイレの外側、例えば商業施設の売り場等に面して表示していたとしても、トイレの利用表示を意識させないことにより周囲の景観を損なうことが無く、高い意匠性を実現することができる。
【0023】
また、個室トイレのレイアウトとは無関係に、使用中は第1花状態の数、空きは第2花状態の数によりトイレの使用状況を表示しているため、使用時間が長めになっても、どの個室トイレかは不明であり、利用者のプライバシーを損なうことがない。
【0024】
ここで、トイレの使用状況の表示に花を使用する理由は、女性による「トイレに行ってきます」の隠語表現として「お花摘みに行ってきます」が知られており、トイレの使用状況の表示に花を使用することで、女性の利用者に配慮したものである。
【0025】
(使用中マークは花、空きマークは蕾による効果)
また、表示制御部は、使用中マークの第1花形態を開花した花とし、空きマークの第2花形態を花の蕾とするようにしたため、トイレ室の外側の表示装置に、使用中の個室トイレの数が例えば開いたバラの花の数で表示され、また、空いている個室トイレの数がバラの蕾の数で表示され、開いたバラの花と蕾によりトイレの使用状況、即ち使用中と空きの状況が一見して分かる。また、トイレ使用中を開花した花で示すことで、使用中トイレの数を重視したトイレ使用状況の表示とすることができる。
【0026】
(使用中マークは蕾、空きマークは花による効果)
また、表示制御部は、使用中マークの第1花形態を花の蕾とし、空きマークの第2花形態を開花した花とするようにしたため、トイレ室の外側の表示装置に、使用中の個室トイレの数が例えばバラの蕾の数で表示され、また、空いている個室トイレの数が開花したバラ数で表示され、バラの蕾と開花したバラの花と蕾によりトイレの使用状況、即ち使用中と空きの状況が一見して分かる。また、トイレ空きを開花した花で示すことで、空きトイレの数を重視したトイレ使用状況の表示とすることができる。
【0027】
(付加表示の効果)
また、表示制御部は、使用中マークの第1花形態に使用中を示す文字、図形又は記号を付加して表示し、空きマークの第2花形態に空きを示す文字、図形又は記号を付加して表示するようにしたため、例えば使用中マークの花に加えて例えば「Lock」を付加表示することで、花が使用中を示していることが明確に分かり、また、空きマークの蕾に加えて例えば「Open」「空室」等を付加表示することで蕾が空きを示していることが明確に分かる。
【0028】
(暖色系と寒色系の色による効果)
また、表示制御部は、使用中マークの第1花形態及び他の部位を暖色系の所定の色で表示し、空きマークの第2花形態を第1花形態と同じ暖色系の所定の色で表示すると共に他の部位を寒色系の所定の色で表示するようにしたため、例えば使用中マークの花及び他の部位を暖色系の例えば赤やピンクで表示し、空きマークの蕾を花と同じ暖色系の赤やピンクで表示し、他の部位、例えば付帯部分等を寒色系の例えば青で表示することで、例えば信号機の、赤は止まれ、青は進め、といった潜在的に人が持つ意識から、赤であればトイレが使用できない状態を連想し、青であればトイレが使用できる状態を連想し、利用者はトイレの使用状況を直感的に判断して対処することが可能となる。なお、使用中マークと空きマークを暖色系と寒色系又はその組み合わせとすることは、上記に限定されず、任意である。
【0029】
(トイレ使用時間の経過に伴って花形態を変化する効果)
また、表示制御部は、個室トイレの使用予測時間を予め設定し、使用開始信号を受信したときからの使用時間の経過に伴って使用中マークの第1花形態を使用予測時間内で連続的又は段階的に変化させるようにしたため、例えば、女性トイレの使用時間は、短くて2~3分、長くて5~6分程度であることから、例えば使用予測時間を例えば4分30秒に設定し、90秒(1分30秒)を経過する毎に使用中マークの第1花形態を例えば3段階に変化させることで、トイレ使用時間がどの程度すすんでいるかを概略的に判断することができ、トイレが空くのを待つか、別の場所に行くかといった判断が適切且つ容易にできる。
【0030】
(花の色の時間変化による効果)
また、表示制御部は、使用時間の経過に伴って使用中マークの第1花形態の色を使用開始時の所定の濃い色から薄い色に変化させるようにしたため、例えば、トイレ使用中を示すバラの花の色を濃い色かに薄い色に3段階に変化させることで、トイレ使用時間がどの程度かを概略的に判断することができる。
【0031】
(花の形の時間変化による効果)
また、表示制御部は、使用時間の経過に伴って使用中マークの第1花形態の状態を、使用開始時の第1花形態から第2花形態に向けて形を変化させるようにしたため、例えば、トイレ使用中を示すバラの花を蕾に向けて閉じるように3段階に形を変化させることで、トイレ使用時間がどの程度かを概略的に判断することができる。
【0032】
(花の色及び形の時間変化による効果)
また、表示制御部は、使用時間の経過に伴って使用中マークの第1花形態の色を使用開始時の所定の濃い色から薄い色に変化させ、且つ使用中マークの第1花形態の状態を、使用開始時の第1花形態から第2花形態に向けて形を変化させるようにしたため、例えば、トイレ使用中を示すバラの花の色を濃い色から薄い色に3段階に変化させると共にバラの花を蕾に向かって閉じるように3段階に形を変化させることで、トイレ使用時間がどの程度かをより明確に判断することができる。
【0033】
(使用時間の平均時間による使用予測時間の設定の効果)
また、表示制御部は、使用状態検出部から受信した使用開始信号及び使用終了信号に基づき、複数の個室トイレの各々の使用時間を記憶し、当該記憶した使用時間に基づき平均使用時間を求めて使用予測時間を設定するようにしたため、予め設定したトイレの使用予測時間では、実際の使用時間とのずれがあるが、実際の使用時間を検出して統計的に使用予測時間を設定することで、使用中マークの花の状態の変化から実際の使用時間に見合って使用時間の経過をより正確に知ることができる。
【0034】
(時間帯に分けた使用時間の平均時間による使用予測時間の設定による効果)
また、表示制御部は、使用状態検出部から受信した使用開始信号及び使用終了信号に基づき、複数の個室トイレの各々の使用時間を所定の時間帯に分けて記憶し、当該記憶した使用時間に基づき時間帯毎の平均使用時間を求めて時間帯毎に使用予測時間を設定するようにしたため、例えば朝、昼、夜といった時間帯や曜日ごとに異なる時間帯に分けた統計的処理により時間帯毎に異なる使用予測時間を設定することで、使用中マークの花の状態の変化から使用時間帯に見合った使用時間の経過をより正確に知ることができる。
【0035】
(発電部と送信部を備えたドアロックの効果)
また、使用状態検出部は、個室トイレのドアを施錠又は解錠するドアロックに設けられ、ドアロックの施錠操作又は解錠操作により発電する発電部と、ドアロックの施錠操作による発電電力で使用開始信号を無線送信し、ドアロックの解錠操作による発電電力で使用終了信号を無線送信する送信部とを備えたため、電池交換が必要ないことから運用管理が容易でコストを低減でき、また、信号を無線送信することからトイレ外側に設置した表示装置との間の信号線接続を不要とし、既設のトイレであっても簡単に設置できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】トイレ使用状況管理システムが設置された建物を示した説明図
【
図2】トイレ使用状況管理システムが設置されたトイレ室を示した平面図
【
図3】トイレ使用状況管理システムの機能構成を示した説明図
【
図4】表示装置のディスプレイによる表示画面の第1実施形態を示した説明図
【
図5】
図4で使用する使用中マークと空きマークを取り出して示した説明図
【
図6】全ての個室トイレが空いているときの表示画面を示した説明図
【
図7】全ての個室トイレが使用中のときの表示画面を示した説明図
【
図8】表示装置における表示制御動作を示したフローチャート
【
図9】バラを用いた使用中マークと空きマークの他の例を示した説明図
【
図10】コスモスを用いた使用中マークと空きマークの他の例を示した説明図
【
図11】時間の経過に伴って使用中マークのバラの形を段階的に変化させる処理を示した説明図
【
図12】時間の経過に伴ってバラの形が変化する表示画面の一例を示した説明図
【
図13】時間の経過に伴って使用中マークのバラの色の濃さを段階的に低下させる処理を示した説明図
【
図14】開花したバラで使用中を示し、バラの蕾で空きを示す表示装置のディスプレイによる表示画面の第2実施形態を示した説明図
【
図15】
図14で使用する使用中マークと空きマークを取り出して示した説明図
【
図16】
図14の空きマークにより全ての個室トイレが空いているときの表示画面を示した説明図
【
図17】
図14の使用中マークにより全ての個室トイレが使用中のときの表示画面を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0037】
[本実施形態の基本的な概念]
図1はトイレ使用状況管理システムが設置された建物を示した説明図、
図2はトイレ使用状況管理システムが設置されたトイレ室を示した平面図、
図3はトイレ使用状況管理システムの機能構成を示した説明図である。
【0038】
本実施形態の基本的な概念は、例えばデパートやショッピングモール等の商業施設の建物10の各階に設けたトイレ室(公共トイレ設備)12に設置された複数の個室トイレ14の使用状況を、トイレ室12の外側に設置した表示装置20で表示するトイレ使用状況管理システムであって、個室トイレ14毎に使用状態検出部18が設けられ、使用状態検出部18は個室トイレ14のドアロック32の施錠による使用開始を検出して所定の使用開始信号、例えば固有のアドレスを設定した使用開始信号を送信し、個室トイレ14のドアロック32の解錠による使用終了を検出して所定の使用終了信号、例えば固有のアドレスを設定した使用終了信号を送信し、表示装置20の表示制御部40は、使用状態検出部18から受信した使用開始信号及び使用終了信号に基づき、表示装置20のディスプレイ46に、使用中の個室トイレ14の数を所定の花の第1花形態を含む使用中マークの数、例えば開花したバラを含む使用中マークの数で表示し、空いている個室トイレ14の数を所定の花の第1花形態とは異なる第2花形態を含む空きマークの数、例えばバラの蕾を含む空きマークの数で表示する、というものである。
【0039】
このため例えば
図4に示すように、トイレ外側の表示装置20のディスプレイ46に、使用中の個室トイレ14の数が第1花形態として開いたバラを配置した使用中マークの数で表示され、また、空いている個室トイレ14の数が第2花形態としてバラの蕾を配置した空きマークの数で表示され、使用中を示すバラと空きを示す蕾によりトイレの使用状況、即ち使用中と空きの状況が一見して分かり、また、バラと蕾による使用状況の表示となることから、人に優しい表示となって好印象が得られ、更に、トイレの使用状況をトイレの外側、例えば商業施設の売り場等に面して表示していても、トイレに係る表示を意識させないことにより周囲の景観を損なうことが無く、高い意匠性を実現することができる。
【0040】
また、個室トイレ14のレイアウトとは無関係に、空きは蕾、使用中はバラによりトイレの使用状況を表示しているため、使用時間が長めになっても、どの個室トイレかは不明であり、利用者のプライバシーを損なうことがない。
【0041】
また、使用中マークの第1花形態を開花したバラとすることで、空きマークの第2花形態のバラの蕾に比べて注目度が高くなり、トイレ使用中を重視したトイレ使用状況の表示とすることができる。以下詳細に説明する。
【0042】
[トイレ使用状況管理システムの概要]
図1に示すように、デパート等の商業施設が入ったビル等の建物10の例えば1F~nFの各階にはトイレ室12が設置されており、
図2に示すように、女性用のトイレ室12を例にとると、トイレ室12には10箇所に分けて個室トイレ14が設置されている。
【0043】
個室トイレ14は内開きの個室ドア16と便器28が設けられ、個室ドア16にはドアロックを一体に備えた使用状態検出部18が設けられ、また共用部には洗面台30が設けられ、出入口にはトイレ室ドア15が設けられている。
【0044】
個室トイレ14を使用する場合には、個室ドア16を開いて中に入り、使用状態検出部18に一体化されたドアロック32により施錠する。ドアロック32により施錠すると使用状態検出部18は固有のアドレスを含む使用開始信号を無線送信する。また、トイレの使用が終わってドアロックを解錠すると、使用状態検出部18は固有のアドレスを含む使用終了信号を無線送信する。
【0045】
個室トイレ14に設置した使用状態検出部18から送信された使用開始信号及び使用終了信号は、トイレ室12の外側、例えばトイレ室ドア15を設けた出入口の近くに設置した表示装置20で受信され、表示装置20は液晶カラーパネル等を用いたディスプレイ46にトイレ使用状況を、使用中の個室トイレ14の数を例えば開花したバラを含む使用中マーク60の数で表示し、空いている個室トイレ14の数を例えばバラの蕾を含む空きマーク50の数で表示する。
【0046】
また、各階に設置した表示装置20は有線LAN等の伝送線22を介して防災センター26に設置した管理装置24と接続されており、表示装置20で受信された個室トイレ14のアドレスを含む使用開始信号と使用終了信号は管理装置24に伝送される。管理装置24はサーバとして機能し、必要に応じてトイレ室12の配置平面図に開花したバラによる使用中マーク60と蕾による空きマーク50によりトイレ使用状況を画面表示する。
【0047】
また、管理装置24は例えば使用開始信号によりタイマをスタートして使用時間を監視し、所定の閾値時間を超えたときに個室トイレ14の利用者に何かの異常が発生したと判断して警報を出力と表示を行い、警備員等が異常と判定したトイレ室12に出向いて必要な対処を行うようにしている。
【0048】
また、伝送線22には必要に応じてクライアントとして機能するパーソナルコンピュータ等の端末が接続されており、端末により管理装置24で管理しているトイレ室12の使用状況を画面表示することができる。なお、伝送線22に代えて無線LANとしても良い。
【0049】
[トイレ使用状況管理システムの機能構成]
(使用状態検出部)
図3に示すように、個室トイレ14にはドアロック32と使用状態検出部18が設けられ、使用状態検出部18には発電部34と送信部36を設けている。ドアロック32は例えばレバーの回転操作により個室ドア16の施錠と解錠を行う。
【0050】
ドアロック32を施錠又は解錠するレバーの動きは使用状態検出部18の発電部34に機械的に伝達され、永久磁石とコイルの瞬時的な相対移動による磁界の変化による電磁誘導により発電し、この発電電力を整流平滑した直流電力として送信部36に供給して動作させることで、予め設定された固有のアドレスを含む使用開始信号又は使用終了信号をアンテナ38から無線送信する。
【0051】
また、発電部34による発電電力の極性は、ドアロック32の施錠によるレバーの動きと解錠によるレバーの動きが逆になることから、送信部36は発電電力の極性の相違に対応して使用開始信号又は使用終了信号を送信する。
【0052】
このように使用状態検出部18はドアロック32の施錠操作又は解錠操作による発電部34が動作して送信部36に動作電力を供給していることから、電池を必要としない電池レスの機器となり、電池交換が必要ないことから運用管理が簡単となり、また、既設のトイレ室であっても、個室ドアのドアロックを、本実施形態のドアロック32付きの使用状態検出部18に交換することで、簡単に設置することができる。
【0053】
(表示装置)
図3に示すように、表示装置20は、表示制御部40、アンテナ44を接続した受信部42、ディスプレイ46及び伝送部48で構成される。
【0054】
表示制御部40は、例えばCPU、メモリ、各種入出力ポートを備えたコンピュータ回路であり、CPUによるプログラムの実行により表示制御機能を実現する。受信部42は個室トイレ14に設置した使用状態検出部18から固有アドレスを含む使用開始信号又は使用終了信号を受信して表示制御部40に出力する。
【0055】
ディスプレイ46は例えばカラー液晶パネル等を使用し、表示制御部40の表示制御に基づきトイレ室12の使用状況を示す表示をカラー画像により表示する。なお、ディスプレイ46はカラー液晶パネル以外に、トイレの使用中マークや空きマークを個別の表示部として配列して表示する表示装置としてもよい。
【0056】
(表示制御)
図4は表示装置のディスプレイによるトイレ表示の第1実施形態を示した説明図、
図5は
図4で使用する使用中マークと空きマークを取り出して示した説明図、
図6は全ての個室トイレが空いているときの表示画面を示した説明図、
図7は全ての個室トイレが使用中のときの表示画面を示した説明図である。
【0057】
図3に示した表示装置20の表示制御部40は、受信部42を介して使用状態検出部18から受信した使用開始信号及び使用終了信号に基づき、ディスプレイ46に、使用中の個室トイレの数を第1花形態となる開花した所定の花を含む使用中マークの数で表示し、空いている個室トイレ14の数を第2花形態となる花の蕾を含む空きマークの数で表示する制御を行う。
【0058】
例えば、表示制御部40が個室トイレ14の使用状態検出部18から受信した使用開始信号に基づき個室トイレ14の使用数N=2室を検出した場合、トイレ室12の個室トイレ14の全数は10室であることから空き数M=(10-N)=8室となり、使用数N=2室、空き数M=8室に基づき、
図4のディスプレイ46の画面に、使用中マーク60を2個と空きマーク50を8個表示する制御を行う。
【0059】
また、ディスプレイ46の画面には、必要に応じて、利用者として女性を示す表示46aやフロア表示46b等が表示されるが、これらの表示はトイレ室12の設置場所等に対応して任意に行われる。
【0060】
ここで使用中マーク60は、
図5(A)に取り出して示すように、略矩形の枠61の中に、デザインされた開花したバラ62を配置しており、バラ62は例えば濃い赤であり、背景64は例えばピンクとしている。バラ62及び背景64の色は、赤やピンク以外に、暖色系となる所定の色を組み合わせてもよい。また、色の濃さは、バラ62を背景64より濃くして目立つようにする。
【0061】
また、空きマーク50は、
図5(B)に取り出して示すように、略矩形の枠51の中に、デザインされたバラの蕾52を配置しており、蕾52は例えば濃い赤であり、背景54は例えばピンクとしている。なお、蕾52及び背景54の色は、赤やピンク以外に、暖色系となる所定の色を組み合わせてもよい。また、色の濃さは、蕾52を背景54より濃くして目立つようにする。なお、蕾52は開き始めの状態を示しているが、色づき始めた蕾としても良く、蕾の度合いは任意で良い。
【0062】
更に、本実施形態にあっては、空きマーク50の枠51の中に、文字、図形又は記号等により空き状態にあることを示す付加表示56,58を配置している。付加表示56は、例えば青の丸印の中に「空室」の白文字で配置している。また、付加表示58は例えば「Open」の文字を配置している。
【0063】
ここで、付加表示56の丸印は青としており、これは使用中マーク60のバラ62を赤としたことに対抗するものであり、赤が使用中を示していることから青により空きを示し、利用者が潜在意識として持っている交通信号機の赤は止まれ、青は進めから、赤は使用できない、青は使用できる、ということを直観的に導出することを意図している。なお、空きマーク50の付加表示56の丸印の青は、これ以外に寒色系の他の色を用いても良い。
【0064】
また、本実施形態では、使用中マーク60には、文字、図形又は記号により使用中を示す付加表示を設けていないが、必要に応じて使用中マーク60にも例えば「使用中」、「Lock」等の使用中を示す付加表示を設けることを妨げない。
【0065】
図4に示す表示装置20に設けたディスプレイ46の表示を利用者が見た場合、バラを配置した使用中マーク60の数と、バラの蕾を配置した空きマーク50の数により、使用中と空きの状況が一見して分かる。また、バラと蕾による利用状況の表示となることから、人に優しい表示となって好印象が得られる。また、表示装置20を商業施設の売り場等に面して表示していたとしても、バラと蕾による表示であることから、トイレに係る表示であることが意識されず、周囲の景観を損なうことが無く、高い意匠性を実現することができる。
【0066】
また、個室トイレのレイアウトとは無関係に、空きはバラの蕾の数、使用中はバラの数によりトイレの使用状況を表示しているため、使用時間が長めになっても、どの個室トイレかは不明であり、利用者のプライバシーを損なうことがない。
【0067】
図6は個室トイレ14が全て空きの場合のディスプレイ46の画面表示であり、全てバラの蕾を配置した空きマーク50の表示となる。
【0068】
また、
図7は個室トイレ14の全てが使用中の場合のディスプレイ46の画面表示であり、全て開花したバラを配置した使用中マーク60の表示となる。
【0069】
(表示制御動作)
図8は表示装置における表示制御動作を示したフローチャートであり、
図3に示した表示制御部40の制御動作となる。
【0070】
図8に示すように、表示制御部40は、ステップS1で個室トイレ14の使用数を示す使用数カウンタNをN=0に初期化し、続いて、ステップS2でディスプレイ46に、
図6に示したように、個室トイレ14の全室空きに対応してバラの蕾を配置した空きマーク50を表示することで、全個室トイレの空き状況を表示する。
【0071】
続いて、表示制御部40はステップS3に進み、個室トイレ14に設置した使用状態検出部18からの使用開始信号の受信を判別するとステップS4に進み、使用数カウンタNを+1とするインクリメントを行い、ステップS5で現在表示しているバラの蕾を配置した複数の空きマーク50中の先頭に位置する空きマーク50をバラを配置した使用中マーク60の表示に変更する。
【0072】
ここで、複数の空きマーク50の先頭位置とは、例えば、
図6の場合は、最上段の左端となる。即ち、空きマーク50の使用中マーク60への変更は、最上段左端から右側に向かって(行方向)行い、右端に達したら2段目に移って右側に向かうようにする。なお、最上段の左端を起点に、下方向(列方向)に向かい、下端の達したら右側に移ってこれを繰り返すように、空きマーク50の使用中マーク60に変更しても良い。
【0073】
また、表示制御部40はステップS3で使用開始信号の受信を判別しない場合はステップS6に進み、個室トイレ14に設置した使用状態検出部18からの使用終了信号の受信を判別するとステップS7に進み、使用数カウンタNを-1とするデクリメントを行い、ステップS8で現在表示しているバラを配置した1又は複数の使用中マーク60中の最後尾に位置する使用中マーク60をバラの蕾を配置した空きマーク50の表示に変更する。
【0074】
ここで、ステップS4又はS7で更新している使用数カウンタNの値は、空きマーク50と使用中マーク60の表示制御には直接使用されないが、使用数カウンタNの値から空き数Mが分かることから、使用数Nと空き数Mを常に認識し、ディスプレイ46上の空きマーク50の数及び使用中マーク60の数と常に一致するように制御すること等に利用する。なお、使用中カウンタNは必ずしも設けなくても良い。
【0075】
(空きマークと使用中マークの他の形態)
図9はバラを用いた使用中マークと空きマークの他の例を示した説明図である。
図9(A)に示すように、本実施形態の使用中マーク60は、枠61の中に、開花したバラ62aを葉の付いた茎と共に配置し、バラ62aの花は赤、茎と葉は緑、背景はピンクとしている。
【0076】
また、
図9(B)に示すように、本実施形態の空きマーク50は、枠51の中に、バラの蕾52aを葉のついた茎と共に配置し、蕾52aは赤、茎と葉は緑、背景はピンクとしている。また、空きマーク50には、付加表示56aとして「空いています Vacant」の文字が表示され、空き状態にあることを示している。
【0077】
図10はコスモスを用いた使用中マークと空きマークの他の例を示した説明図である。
図10(A)に示すように、本実施形態の使用中マーク60は、枠61の中に、開花したコスモス62bを葉の付いた茎と共に配置し、コスモス62bはピンク、茎と葉は緑、背景は白系としている。また、使用中マーク60には、付加表示66として「Lock」の文字が表示され、使用状態にあることを示している。
【0078】
また、
図10(B)に示すように、本実施形態の空きマーク50は、枠51の中に、コスモスの蕾52bを葉のついた茎と共に配置し、蕾52bはピンク、茎と葉は緑、背景は青みかかった白系としている。また、空きマーク50には、付加表示え56b,58bとして「空室」、「Open」の文字が表示され、空き状態にあることを示している。
【0079】
なお、本実施形態の表示装置20に表示する使用中マーク60に配置する花と、空きマーク50に配置する蕾は、前述したバラやコスモスに限定されず、必要に応じて任意の花とその蕾を配置し、任意の色とすることを妨げない。また、使用中マーク60と空きマーク50に付加する付加表示の文字、図形又は記号も上記の例に限定されず、任意である。
【0080】
[使用中マークを時間経過に応じて変化させる実施形態]
図3の表示装置20に設けた表示制御部40は、個室トイレ14の使用予測時間Tを予め設定し、使用開始信号を受信したときからの使用時間の経過に伴って使用中マーク60の花の状態、例えば花の色の濃さや形態を段階的に変化させる制御を行う。
【0081】
図11は時間の経過に伴って使用中マークのバラの形態を段階的に変化させる処理を示した説明図であり、
図9に示した使用中マークと空きマークを例にとっている。
【0082】
図11に示すように、表示制御部40は予め設定された使用予測時間Tを例えばn=3分割して表示変更待ち時間Tdを求め、使用開始信号を受信した時刻t0からの時間の経過を監視し、時刻t0で最初の表示変更待ち時間Tdを経過するまでは、最初に表示した使用中マーク60-1の赤としたバラ62-1の形態を維持し、表示変更待ち時間Tdを経過して時刻t1に達したら、蕾に向けて閉じ始めたバラ62-2の使用中マーク60-2に変更する。
【0083】
続いて、表示変更待ち時間Tdを経過して時刻t2に達したら、蕾に向けて更に閉じたバラ62-3の使用中マーク60-3に変更し、更に、表示変更待ち時間Tdを経過して時刻t3を超えた後も使用中マーク60-3の表示を維持する。
【0084】
通常のトイレ使用であれば、使用予測時間T以内か少し超えた時に使用終了信号が受信され、その段階でバラの蕾を配置した空きマーク50の表示に変更する。
【0085】
ここで、女性トイレの使用時間は、短くて2~3分、長くて5~6分程度であることから、例えば使用予測時間Tを例えば4分30秒に設定し、これを3分割した表示変更待ち時間Td=90秒(1分30秒)を経過する毎に使用中マーク60の花の形を段階的に蕾に向けて変化させることで、トイレ使用時間がどの程度すすんでいるかを概略的に判断することができ、トイレが空くのを待つか、別の場所に行くかといった判断が適切且つ容易にできる。
【0086】
図12は時間の経過に伴ってバラの形が変化する表示画面の一例を示した説明図であり、
図11に示した時間の経過に伴いバラの形態を変化する表示を利用している。
【0087】
図12に示すように、ディスプレイ46の表示画面には、3つの使用中マーク60-1,60-2,60-3と、7つの空きマーク50が表示されている。使用中マーク60-1は開花したバラ62-1であり、使用開始からの経過時間が少ないことを示している。使用中マーク60-2は蕾に向かって閉じ始めたバラ62-2であり、使用開始からある程度の時間が経過したことを示している。更に、使用中マーク60-3は蕾に向かって更に閉じたバラ62-3であり、使用開始から経過時間が長く、使用終了が近いことを示している。
【0088】
また、バラの形の異なる使用中マーク60-1~60-3を複数表示する場合には、上段左端を起点に、経過時間の短い使用中マーク60-1,60-2,60-3の順に左詰めに表示する。
【0089】
このようなディスプレイ46の画面表示を見た利用者は、空きマーク60-1~60-3によるバラの蕾に向かう形態の変化から使用中となっている個室トイレ14の使用開始からの経過時間がどの程度かが分かり、例えば使用中マーク60-3の表示があることで、少し待てばトイレが使用可能になることが容易に認識できる。
【0090】
図13は時間の経過に伴って使用中マークのバラの色の濃さを段階的に低下させる処理を示した説明図である。
【0091】
図13に示すように、表示制御部40は使用開始信号を受信した時刻t0からの時間の経過を監視し、時刻t0で最初の表示変更待ち時間Tdを経過するまでは、最初に表示した使用中マーク60-1の赤としたバラ62-11及びピンクとした背景64-11の色の濃さを維持し、表示変更待ち時間Tdを経過して時刻t1に達したら、色の濃さを薄くした赤のバラ62-12及びピンクの背景64-12の使用中マーク60-2に変更する。
【0092】
続いて、表示変更待ち時間Tdを経過して時刻t2に達したら、色の濃さを更に薄くした赤のバラ62-13及びピンクの背景64-13の使用中マーク60-3に変更し、更に、表示変更待ち時間Tdを経過して時刻t3を超えた後も最も薄い色とした使用中マーク60-3の表示を維持する。
【0093】
なお、時間の経過に伴って使用中マーク60の花の色や形態を連続的に変化させても良い。また、使用時間の経過に伴う使用中マーク60の花の変化は
図11及び
図13に限定されず、任意である。
【0094】
(使用予測時間の設定)
図3に示した表示装置20の表示制御部40は、
図11又は
図13に示した使用中マーク60に配置した花の状態を使用時間の経過に伴って変化させる制御で使用する使用予測時間Tについて、使用状態検出部18から受信した使用開始信号及び使用終了信号に基づき、複数の個室トイレ14の各々の使用時間を記憶し、記憶した使用時間に基づき平均使用時間を求めて使用予測時間Tを設定する制御を行う。
【0095】
このため、予め設定したトイレの使用予測時間Tでは、実際の使用時間とのずれが大きくなるが、実際の使用時間を検出して統計的に使用予測時間を設定することで、使用中マークの花の状態の変化から実際の使用時間に見合って使用時間の経過をより正確に知ることができる。
【0096】
また、
図3に示した表示装置20の表示制御部40は、使用状態検出部18から受信した使用開始信号及び使用終了信号に基づき、複数の個室トイレ14の各々の使用時間を所定の時間帯、例えば朝、昼、夜といった時間帯や曜日ごとに異なる時間帯に分けて記憶し、記憶した使用時間に基づき時間帯毎の平均使用時間を求めて時間帯毎に使用予測時間を設定する制御を行う。
【0097】
このため、例えば朝、昼、夜といった時間帯や曜日ごとに異なる時間帯に分けた統計的処理により時間帯毎に異なる使用予測時間Tを設定することで、実際の時間帯の使用時間に適合した使用中マーク50の花の状態の変化から実際の使用時間に見合って使用時間の経過をより正確に知ることができる。
【0098】
[トイレ使用状況管理システムの第2実施形態]
図14は開花したバラで使用中を示しバラの蕾で空きを示す表示装置のディスプレイによる表示画面の第2実施形態を示した説明図、
図15は
図14で使用する使用中マークと空きマークを取り出して示した説明図である。
【0099】
図3に示した表示装置20の表示制御部40は、受信部42を介して使用状態検出部18から受信した使用開始信号及び使用終了信号に基づき、ディスプレイ46に、使用中の個室トイレ14の数を所定の花の第1花形態として蕾を含む使用中マーク80の数で表示し、空いている個室トイレ14の数を所定の花の第2花形態として開花した花を含む空きマーク70の数で表示する制御を行う。
【0100】
例えば、個室トイレ14の使用数N=2室、空き数M=8室とした場合、
図14のディスプレイ46の画面に、第2花形態として開花したバラの空きマーク70を2個、第1花形態としてバラの蕾の使用中マーク80を8個、表示する制御を行う。
【0101】
ここで空きマーク70は、
図15(A)に取り出して示すように、第2発形態として、略矩形の枠71の中にデザインされた開花したバラ72を配置しており、バラ72は例えば濃い赤であり、背景74は例えばピンクとしている。バラ72及び背景74の色は、赤やピンク以外に、暖色系となる所定の色を組み合わせてもよい。また、色の濃さは、バラ72を背景74より濃くして目立つようにする。
【0102】
また、空きマーク70の中には付加表示76として「Open」の文字を寒色系の色となる青文字により表示し、空き状態が分かるようにしている。
【0103】
一方、使用中マーク80は、
図15(B)に取り出して示すように、第1花形態として、略矩形の枠81の中にデザインされたバラの蕾82を配置しており、蕾82は例えば濃い赤であり、背景84は例えばピンクとしている。なお、蕾82及び背景84の色は、赤やピンク以外に、暖色系となる所定の色を組み合わせてもよい。また、色の濃さは、蕾82を背景84より濃くして目立つようにする。
【0104】
また、本実施形態では、使用中マーク80には、文字、図形又は記号により使用中を示す付加表示を設けていないが、必要に応じて使用中マーク80にも例えば「使用中」「Lock」等の使用中を示す付加表示を設けることを妨げない。
【0105】
図16は個室トイレ14が全て空きの場合のディスプレイ46の画面表示であり、全て開花したバラを配置した空きマーク70の表示となる。
【0106】
また、
図17は個室トイレ14の全てが使用中の場合のディスプレイ46の画面表示であり、全て蕾を配置した使用中マーク80の表示となる。
【0107】
図14に示す表示装置20に設けたディスプレイ46の表示を利用者が見た場合、第2花形態として開いたバラを配置した空きマーク70の数と、第1花形態としてバラの蕾を配置した使用中マーク80の数により、使用中と空きの状況が一見して分かる。それ以外の作用や効果も
図4に示した第1実施形態の表示と同様に得られる。
【0108】
また、本実施形態は、空きマーク70の第2花形態を開花したバラ72とすることで、使用中マーク80の第2花形態のバラの蕾82に比べて注目度が高くなり、トイレの空きを重視したトイレ使用状況の表示とすることができる。
【0109】
また空きマーク70の第2花形態を開花したバラ72とし、使用中マーク80をバラの蕾82とした本実施形態のトイレ使用状況の表示制御については、
図4乃至
図13に示した第1実施形態と同様に、バラの蕾82を含む使用中マーク80について、使用時間の経過に伴ってバラの蕾82を開花するバラに向けて段階的又は連続的に変化させることで、トイレ使用時間の経過が分かるように表示制御する。
【0110】
例えば、使用時間の経過に伴ってパラの蕾82の色を例えば薄い色から濃い色に変化させるか、又は、バラの蕾82が開くように変化させる。
【0111】
[本発明の変形例]
(男性用トイレ)
上記の実施形態は女性用トイレを例にとるものであったが、複数の個室トイレを備えた男性用トイレについても、基本的に女性用トイレの場合と同様となる。また、男性用トイレについては、女性用と区別するために、花と蕾を用いた使用中マークと空きマークを、例えば寒色系の色を基調としたものにしても良い。
【0112】
(ディスプレイの表示形態)
上記の実施形態は、ディスプレイの画面に、先頭側に例えば使用中マークを並べ、その後に空きマークを並べるように配列表示しているが、これに限定されない。例えば表示画面を左右又は上下の2画面(又は領域)に分け、一方を空き表示領域、他方を使用中表示領域とし、それぞれに空きマークと使用中マークを分けて表示しても良い。
【0113】
(使用中マークと空きマーク)
上記の実施形態は、使用中マークと空きマークに花の異なる形態、例えば花と蕾を配置してトイレ使用状態を表示しているが、花に限定されず、2状態が形態の変化により明確に区別可能な対象物、例えば、絵文字等を使用しても良い。
【0114】
(その他)
また、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0115】
10:建物
12:トイレ室
14:個室トイレ
15:トイレ室ドア
16:個室ドア
18:使用状態検出部
20:表示装置
22:伝送線
24:管理装置
26:防災センター
28:便器
30:洗面台
32:ドアロック
34:発電部
36:送信部
38,44:アンテナ
40:表示制御部
42:受信部
46:ディスプレイ
48:伝送部
50,70:空きマーク
51,61,71,81:枠
52,52a,52b,82:蕾
54,64,74,84:背景
56,56a,56b,58,58b,66,76:付加表示
60,60-1~60-3,80:使用中マーク
62,62a,72:バラ
62b:コスモス