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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 17/24 20060101AFI20220809BHJP
   B41J 2/325 20060101ALI20220809BHJP
   B41J 17/02 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
B41J17/24
B41J2/325 A
B41J17/02
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019545143
(86)(22)【出願日】2018-09-25
(86)【国際出願番号】 JP2018035515
(87)【国際公開番号】W WO2019065654
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】P 2017185378
(32)【優先日】2017-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 英幸
(72)【発明者】
【氏名】陣内 孝賢
【審査官】上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-286000(JP,A)
【文献】実開昭61-128052(JP,U)
【文献】特開2003-080783(JP,A)
【文献】特開平02-219673(JP,A)
【文献】米国特許第05374007(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 17/24
B41J 2/325
B41J 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタであって、
印字媒体に印字を行う印字部と、
前記印字部に供給されるインクリボンを保持するリボン供給軸と、
使用済の前記インクリボンを巻き取るリボン巻取軸と、
を備え、
前記リボン供給軸は、
前記インクリボンを前記印字部に供給するリボン供給位置と、前記プリンタに着脱可能なリボン交換位置と、の間で、前記リボン巻取軸に対して移動自在に設けられ、
前記リボン交換位置から前記リボン供給位置に移動するに伴って、前記インクリボンを巻き取る方向に回転する、
プリンタ。
【請求項2】
プリンタであって、
印字媒体に印字を行う印字部と、
前記印字部に供給されるインクリボンを保持するリボン供給軸と、
使用済の前記インクリボンを巻き取るリボン巻取軸と、
を備え、
前記リボン供給軸は、
前記インクリボンを前記印字部に供給するリボン供給位置と、前記プリンタに着脱可能なリボン交換位置と、の間で移動自在に設けられ、
前記リボン交換位置から前記リボン供給位置に移動するに伴って、前記インクリボンを巻き取る方向に回転し、
前記リボン供給位置にある状態では、前記リボン交換位置にある状態よりも前記リボン巻取軸に近い、
プリンタ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプリンタであって、
前記リボン供給軸にはギヤが設けられ、
前記リボン供給軸が前記リボン交換位置から前記リボン供給位置に移動する途中で前記ギヤと噛み合うラックを備える、
プリンタ。
【請求項4】
請求項に記載のプリンタであって、
前記ラックは、前記リボン供給軸が前記リボン供給位置にある状態では、前記ギヤと噛み合わない、
プリンタ。
【請求項5】
請求項1からのいずれか1つに記載のプリンタであって、
揺動自在に設けられ、前記インクリボンと前記印字媒体との間を仕切る仕切部材を備え、
前記リボン供給軸は、前記仕切部材に取り付けられる、
プリンタ。
【請求項6】
請求項に記載のプリンタであって、
揺動自在に設けられ、前記印字部を構成するサーマルヘッドを有する印字ユニットを備え、
前記リボン供給軸、前記リボン巻取軸、及び前記仕切部材は、前記印字ユニットに設けられ、
前記リボン巻取軸は、前記印字ユニットに対して移動不能である、
プリンタ。
【請求項7】
請求項に記載のプリンタであって、
筐体と、
前記筐体の開口部を覆うカバーと、
を備え、
前記仕切部材は、前記カバーに設けられた被係合部と係合する係合部を有し、
前記係合部と前記被係合部とが係合すると、前記リボン供給軸が前記リボン供給位置になる位置に前記仕切部材が維持されると共に、前記印字ユニットと前記カバーとが結合される、
プリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
JP2009-179010Aには、印字部に供給されるインクリボンをロール状に保持するリボン供給軸と、使用済のインクリボンを巻き取るリボン巻取軸と、を備え、インクリボンを熱してインクリボンのインクを印字媒体に転写して印字する熱転写方式のプリンタが開示されている。
【発明の概要】
【0003】
上記のプリンタでは、インクリボンの交換を行った際は、リボン供給軸或いはリボン巻取軸を回転させてインクリボンの弛みを解消する必要がある。このため、インクリボンの交換作業が煩雑なものとなっていた。
【0004】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、インクリボンの交換作業を効率よく行うことができるようにすることを目的とする。
【0005】
本発明のある態様によれば、プリンタであって、印字媒体に印字を行う印字部と、前記印字部に供給されるインクリボンを保持するリボン供給軸と、使用済の前記インクリボンを巻き取るリボン巻取軸と、を備え、前記リボン供給軸は、前記インクリボンを前記印字部に供給するリボン供給位置と、前記プリンタに着脱可能なリボン交換位置と、の間で、前記リボン巻取軸に対して移動自在に設けられ、前記リボン交換位置から前記リボン供給位置に移動するに伴って、前記インクリボンを巻き取る方向に回転する、プリンタが提供される。
【0006】
これによれば、リボン供給軸をリボン交換位置からリボン供給位置にすると、リボン供給軸が自動的に回転してインクリボンを巻き取る。よって、インクリボンの弛みを解消するためにリボン供給軸或いはリボン巻取軸を回転させる作業を行う必要がなく、インクリボンの交換作業を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の実施形態に係るプリンタの斜視図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係るプリンタの概略構成図である。
図3図3は、仕切部材及びリボン供給軸の斜視図である。
図4図4は、カバーを開放した状態を示す図である。
図5図5は、リボン供給軸をリボン交換位置にした状態を示す図である。
図6図6は、印字ユニットについて説明するための図である。
図7図7は、仕切部材を開放位置から閉止位置にする様子について説明するための図である。
図8図8は、印字ユニットの変形例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態に係るプリンタ100について説明する。
【0009】
プリンタ100は、インクリボンRを熱してインクリボンRのインクを印字媒体Mに転写することで印字を行う熱転写方式のプリンタである。印字媒体Mは、例えば、帯状の台紙に複数のラベルが連続して仮着されたラベル連続体である。
【0010】
プリンタ100は、図1図2に示すように、筐体10と、筐体10の開口部を覆うカバー11と、を備える。
【0011】
印字媒体Mは、図2に示すように、ロール状に巻き回された状態で媒体供給軸12に保持される。なお、印字媒体Mとして、台紙なしラベルやファンフォールド型媒体を使用することもできる。
【0012】
カバー11は、筐体10に設けられた支持軸13により一端側の端部が揺動自在に支持される。カバー11は、支持軸13を支点として揺動させることで、筐体10の開口部を開放する開放状態(図4参照)と、閉止する閉止状態(図2参照)と、を切り替えることができる。
【0013】
筐体10には、カバー11を閉止状態に維持するロック機構(図示せず)が設けられる。ロック機構は、図1に示すレバー14を操作することで解除される。
【0014】
カバー11の他端側の端部と筐体10との間には、図2に示す印字部15で印字された印字媒体Mがプリンタ100から排出される排出口16が形成される。
【0015】
本実施形態のカバー11には、排出口16に臨むカッタ17が取り付けられる。これにより、排出口16から排出された印字済の印字媒体Mを切断することができる。なお、カバー11には、カッタ17に代えて他の様々なユニットを取り付けることができる。
【0016】
また、カバー11には、プリンタ100を操作するための操作ユニット19が設けられる。操作ユニット19は、各種操作ボタン、ディスプレイ、近距離無線通信モジュール、LED等を有する。ディスプレイは、タッチパネルであってもよい。
【0017】
プリンタ100の内部には、印字媒体Mに印字を行うための印字ユニット30、プリンタ100の動作を制御するコントローラ40等が収容される。
【0018】
印字ユニット30は、一端側が支持軸13に揺動自在に支持される本体部31と、本体部31に取り付けられるサーマルヘッド32と、を備える。
【0019】
サーマルヘッド32は、筐体10側に設けられたプラテンローラ20と共に、印字媒体Mに印字を行う印字部15を構成する。
【0020】
また、印字ユニット30は、印字部15に供給されるインクリボンRをロール状に保持するリボン供給軸33と、使用済のインクリボンRを巻き取るリボン巻取軸34と、インクリボンRと印字媒体Mとの間を仕切る仕切部材35と、リボン供給軸33から印字部15へのインクリボンRの搬送路を規定するガイド軸36と、印字部15からリボン巻取軸34へのインクリボンRの搬送路を規定するガイド軸37と、を備える。リボン供給軸33は、仕切部材35に着脱可能に取り付けられている。なお、本実施形態のインクリボンRは、インクが塗布された面が外側になる表巻きのリンクリボンである。
【0021】
印字媒体Mは、媒体供給軸12から印字部15に供給され、サーマルヘッド32とプラテンローラ20との間にインクリボンRと共に挟持される。
【0022】
印字媒体M及びインクリボンRがサーマルヘッド32とプラテンローラ20との間に挟持された状態でサーマルヘッド32の発熱素子への通電が行われると、発熱素子の熱によってインクリボンRのインクが印字媒体Mに転写され、印字媒体Mへの印字が行われる。
【0023】
また、プラテン駆動モータ(図示せず)によってプラテンローラ20を正回転させると、印字媒体M及びインクリボンRが搬送方向下流側へと搬送されて印字媒体Mが排出口16からプリンタ100の外部に排出される。
【0024】
仕切部材35は、図3に示すように、ベース部35aと、ベース部35aの一端側に設けられた軸部35bと、リボン供給軸33を軸部35bと平行且つ回動自在に支持する支持部35c、35dと、軸部35bの中央部に形成された係合部35eと、を有する。
【0025】
仕切部材35は、軸部35bにより本体部31に揺動自在に支持される。
【0026】
係合部35eは、図2に示すように、カバー11に設けられた被係合部11aと係合するように構成される。仕切部材35を係合部35eが被係合部11aと係合する位置(閉止位置)にすると、リボン供給軸33が本体部31内に収容される。これにより、リボン供給軸33が、印字部15にインクリボンRを供給するリボン供給位置になる。
【0027】
このように、係合部35eと被係合部11aとが係合することで、リボン供給軸33がリボン供給位置になる閉止位置に仕切部材35が維持される。また、印字ユニット30とカバー11とが結合された状態となる。
【0028】
プリンタ100による印字を行う際は、カバー11は閉止状態とされ、且つ、仕切部材35の係合部35eとカバー11の被係合部11aとが係合した状態とされる。
【0029】
よって、カバー11を閉止状態から開放状態にすると、印字ユニット30がカバー11と一体となって揺動し、図4に示すように、筐体10の開口部が開放される。
【0030】
これにより、プリンタ100への印字媒体Mのセットや筐体10内の各部のメンテナンスを行うことができる。
【0031】
さらに、図4に示す状態から係合部35eと被係合部11aとの係合を解除して仕切部材35を筐体10側に向けて揺動させると、仕切部材35が図5に示す開放位置になる。
【0032】
仕切部材35が開放位置になるのに伴い、リボン供給軸33及びリボン供給軸33に保持されたロール状のインクリボンRがリボン巻取軸34に対して相対的に移動し、印字媒体Mの排出口16側に露出する。なお、リボン巻取軸34は本体部31に取り付けられており、印字ユニット30に対して移動不能である。
【0033】
これにより、リボン供給軸33がプリンタ100から着脱可能なリボン交換位置となり、インクリボンRの交換作業を行うことができる。
【0034】
このように、本実施形態では、リボン供給軸33は、リボン巻取軸34に対して相対移動自在とされ、インクリボンRの交換を行う際に、作業を容易に行うことができるリボン交換位置にリボン供給軸33を移動させることができる。
【0035】
また、リボン供給軸33は、印字媒体Mの排出口16側、すなわち、ユーザの作業位置側に露出する。これによれば、作業性をより向上させることができる。
【0036】
また、リボン供給軸33がリボン交換位置になった状態では、図5に示すように、リボン供給軸33からリボン巻取軸34までのインクリボンRの搬送路が全て露出する。よって、リボン供給軸33からリボン巻取軸34までインクリボンRを掛け渡す作業も容易になる。
【0037】
係合部35eと被係合部11aとの係合は、仕切部材35を所定トルク以上のトルクで筐体10側に揺動させると、係合部35e及び被係合部11aが弾性変形して解除される。
【0038】
なお、係合部35eと被係合部11aとの係合が解除されることで、印字ユニット30自体も、筐体10側に向けて所定の位置まで揺動する。所定の位置は、筐体10における支持軸13の近傍に設けられた揺動規制部(図示せず)と本体部31とが当接する位置である。
【0039】
揺動規制部による印字ユニット30の位置決めは、印字ユニット30を所定トルク以上のトルクで筐体10側に揺動させると、揺動規制部が弾性変形して本体部31が揺動規制部を乗り越えて解除される。
【0040】
また、図2に示すように、仕切部材35のベース部35aは、筐体10に設けられた反射センサ21と対向する位置まで延伸している。これにより、反射センサ21と仕切部材35における反射センサ21と対向する部位との間に、印字媒体Mの搬送路が形成される。
【0041】
反射センサ21は、印字媒体Mの印字が施される面とは反対側の面に所定の間隔で予め印刷されているアイマークを検出するセンサである。これにより、印字媒体Mの搬送方向における位置を検出することができる。
【0042】
本実施形態では、仕切部材35が印字媒体Mをガイドすることで、反射センサ21から一定の距離内で印字媒体Mが安定して搬送される。これにより、反射センサ21の検出精度を向上させることができる。
【0043】
なお、プリンタ100を印字可能な状態、つまり、図2に示す状態にすると、自動的に仕切部材35が印字媒体Mをガイドする状態となる。
【0044】
このように、仕切部材35によって印字媒体Mがガイドされるので、反射センサ21から一定の距離内で印字媒体Mが搬送されるようにするためのガイド部材を別途設ける必要がなく、ガイド部材に印字媒体Mを挿通する作業も不要となる。
【0045】
また、プリンタ100は、搬送方向における印字媒体Mの位置を検出する透過センサ22を備える。
【0046】
透過センサ22は、所定の光を出射する発光部としての発光ユニット22aと、発光ユニット22aから出射された光を受光し、受光した光の強度に対応する電気信号を出力する受光部としての受光ユニット22bと、を有するセンサである。
【0047】
例えば、印字媒体Mが、帯状の台紙に複数のラベルが所定の間隔で連続して仮着されたラベル連続体である場合は、隣り合う2つのラベルの間には、台紙のみの部分が存在する。
【0048】
ラベルが存在する部分と台紙のみの部分とでは、発光ユニット22aから出射された光の透過量が異なるので、受光ユニット22bが受光する光の強度が変化する。これにより、透過センサ22は、搬送方向における印字媒体Mの位置を検出することができる。
【0049】
本実施形態では、図2図3に示すように、発光ユニット22aは、ベース部35aにおける印字媒体Mの搬送路とは反対側、つまり、ベース部35aの上面側に設けられる。また、ベース部35aには、発光ユニット22aから出射された光を通す貫通孔35gが形成されている。一方、受光ユニット22bは、図2に示すように、搬送路を挟んで筐体10側に設けられる。
【0050】
上述したように、印字媒体Mをプリンタ100にセットする作業は、印字ユニット30を非印字位置にして筐体10の開口部を開放した状態で行われる。
【0051】
つまり、本実施形態では、発光ユニット22aと受光ユニット22bとの間が大きく開放された状態で印字媒体Mをプリンタ100にセットできるので、印字媒体Mをプリンタ100にセットする作業を容易に行うことができる。なお、発光ユニット22aと受光ユニット22bとの位置を入れ替えてもよい。
【0052】
プリンタ100は、使用する印字媒体Mの態様に応じて、反射センサ21と透過センサ22とのいずれか作動させて搬送方向における印字媒体Mの位置を検出するようになっている。
【0053】
例えば、アイマークが設けられていない印字媒体Mを使用する場合は、プリンタ100は、透過センサ22によって印字媒体Mの位置を検出する。
【0054】
コントローラ40は、マイクロプロセッサ、ROMやRAM等の記憶装置、入出力インターフェース、これらを接続するバス等で構成される。コントローラ40には、入出力インターフェースを介して、外部コンピュータからの印字データ、反射センサ21からの信号、透過センサ22からの信号等が入力される。
【0055】
コントローラ40は、記憶装置に格納されている印字制御プログラムをマイクロプロセッサによって実行し、サーマルヘッド32の発熱素子への通電、プラテン駆動モータへの通電等を制御する。
【0056】
続いて、印字ユニット30について、主に図6図7を参照して詳しく説明する。なお、図6図7は、理解を容易にするためにインクリボンRを省略して記載している。
【0057】
図3図6に示すように、リボン供給軸33は、一端側に形成されたギヤ33aを有する。
【0058】
また、図6に示すように、印字ユニット30は、リボン供給軸33がリボン供給位置にある状態(二点鎖線)で、ギヤ33aと噛合うギヤ38を備える。リボン供給軸33は、ギヤ38を介して供給軸駆動モータ(図示せず)により駆動される。
【0059】
また、図6に示すように、リボン巻取軸34は、一端側に形成されたギヤ34aを有する。リボン巻取軸34は、ギヤ(図示せず)を介して巻取軸駆動モータ(図示せず)により駆動される。
【0060】
リボン供給軸33及びリボン巻取軸34の回転は、プラテンローラ20の回転と同期するようにコントローラ40によって制御される。なお、リボン供給軸33及びリボン巻取軸34が1つの駆動モータにより駆動されるようにしてもよい。
【0061】
上述したように、印字ユニット30は、軸部35bにより一端側が本体部31に揺動自在に支持される仕切部材35を備える。また、リボン供給軸33は、仕切部材35に取り付けられる。
【0062】
これにより、図6に示すように、仕切部材35を閉止位置(二点鎖線)にすると、リボン供給軸33が、印字部15にインクリボンRを供給するリボン供給位置(二点鎖線)となり、開放位置(実線)にすると、リボン供給軸33が、プリンタ100に着脱可能なリボン交換位置(実線)となる。なお、仕切部材35には、リボン供給軸33を保持するためのロック機構(図示せず)が設けられる。リボン供給軸33は、リボン交換位置においてロック機構によるロックを解除することで、プリンタ100から取り外すことができる。
【0063】
また、本体部31には、図6図7に示すように、ラック31aが設けられる。
【0064】
ラック31aは、図7に示すように、仕切部材35が開放位置から閉止位置に移動する途中でギヤ33aと噛合い、インクリボンRを巻き取る方向にリボン供給軸33を回転させる。
【0065】
インクリボンRの交換を行った場合等においては、図5に示すように、インクリボンRに弛みが生じる場合がある。インクリボンRに弛みが生じた場合は、リボン供給軸33或いはリボン巻取軸34を回転させてインクリボンRの弛みを除去する作業が必要となる。
【0066】
これに対して、本実施形態では、仕切部材35を開放位置から閉止位置にしてリボン供給軸33をリボン交換位置からリボン供給位置にすると、リボン供給軸33がインクリボンRを巻き取る方向に自動的に回転してインクリボンRを巻き取り、インクリボンRの弛みが除去される。
【0067】
これによれば、インクリボンRの弛みを解消するためにリボン供給軸33或いはリボン巻取軸34を回転させる作業を行う必要が無いので、インクリボンRの交換作業を効率よく行うことができる。また、インクリボンRの弛みが解消されるので、インクリボンRの弛みに起因する印字不良の発生を防止できる。
【0068】
なお、ギヤ33aとラック31aとの噛合いは、リボン供給軸33がリボン供給位置になる直前で解除される。つまり、ラック31aは、リボン供給軸33がリボン供給位置にある状態では、ギヤ33aと噛み合わないようになっている。よって、印字の際にラック31aがリボン供給軸33の回転を阻害することがない。
【0069】
また、ギヤ33aとラック31aとの噛合いが解除されてすぐにギヤ33aとギヤ38とが噛み合うので、ギヤ33aとラック31aとの噛合いが解除されてからギヤ33aとギヤ38とが噛み合うまでの間にリボン供給軸33がインクリボンRを印字部15に供給する方向に回転してしまうことを抑制できる。
【0070】
以上述べたように、本実施形態のプリンタ100は、印字媒体Mに印字を行う印字部15と、印字部15に供給されるインクリボンRを保持するリボン供給軸33と、使用済のインクリボンRを巻き取るリボン巻取軸34と、を備え、リボン供給軸33は、インクリボンRを印字部15に供給するリボン供給位置と、プリンタ100に着脱可能なリボン交換位置と、の間で移動自在に設けられ、リボン交換位置からリボン供給位置に移動する途中で、インクリボンRを巻き取る方向に回転する。
【0071】
具体的には、リボン供給軸33にはギヤ33aが設けられ、プリンタ100は、リボン供給軸33がリボン交換位置からリボン供給位置に移動する途中でギヤ33aと噛み合うラック31aを備える。
【0072】
これによれば、リボン供給軸33をリボン交換位置からリボン供給位置にすると、リボン供給軸33が自動的に回転してインクリボンRを巻き取る。よって、インクリボンRの弛みを解消するためにリボン供給軸33或いはリボン巻取軸34を回転させる作業を行う必要がなく、インクリボンRの交換作業を効率よく行うことができる。
【0073】
また、ラック31aは、リボン供給軸33がリボン供給位置にある状態では、ギヤ33aと噛み合わない。
【0074】
よって、印字の際にラック31aがリボン供給軸33の回転を阻害することがない。
【0075】
また、プリンタ100は、揺動自在に設けられ、インクリボンRと印字媒体Mとの間を仕切る仕切部材35を備え、リボン供給軸33は、仕切部材35に取り付けられる。
【0076】
これによれば、インクリボンRの交換を行う際に、作業を容易に行うことができるリボン交換位置にリボン供給軸33を移動させることができる。
【0077】
また、プリンタ100は、揺動自在に設けられ、印字部15を構成するサーマルヘッド32を有する印字ユニット30を備え、リボン供給軸33、リボン巻取軸34、及び仕切部材35は、印字ユニット30に設けられ、リボン巻取軸34は、印字ユニット30に対して移動不能となっている。
【0078】
これによれば、リボン巻取軸34が印字ユニット30に対して移動しないので、リボン供給軸33をリボン供給位置にしてインクリボンRを巻き取ると、インクリボンRの弛みを効率的に解消できる。
【0079】
また、プリンタ100は、筐体10と、筐体10の開口部を覆うカバー11と、を備え、仕切部材35は、カバー11に設けられた被係合部11aと係合する係合部35eを有し、係合部35eと被係合部11aとが係合すると、リボン供給軸33がリボン供給位置になる閉止位置に仕切部材35が維持されると共に、印字ユニット30とカバー11とが結合される。
【0080】
これによれば、カバー11を閉止状態から開放状態にすると、印字ユニット30がカバー11と一体となって揺動する。よって、印字媒体Mのセットや筐体10内の各部のメンテナンスを行う際に、カバー11と印字ユニット30とを個別に開く必要がなく、作業を効率よく行うことができる。
【0081】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0082】
例えば、上記実施形態では、印字ユニット30に仕切部材35を揺動自在に設けることで、仕切部材35に取り付けられたリボン供給軸33がリボン巻取軸34に対して相対移動するようになっている。しかしながら、図8に示す印字ユニット50のように、仕切部材55をスライドさせるスライド機構56を設けることで、リボン供給軸33が移動するようにしてもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、プリンタ100がカバー11を備えているが、カバー11を備えずに、印字ユニット30がカバーとして機能するように構成してもよい。この場合は、仕切部材35の係合部35eと係合する被係合部は、印字ユニット30の本体部31等に設けられる。
【0084】
本願は2017年9月26日に日本国特許庁に出願された特願2017-185378に基づく優先権を主張し、この出願の全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8