(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】エアロゾル発生システム内のエアロゾル発生要素のための成形された取り付け
(51)【国際特許分類】
A24F 40/30 20200101AFI20220809BHJP
【FI】
A24F40/30
(21)【出願番号】P 2019545349
(86)(22)【出願日】2018-02-13
(86)【国際出願番号】 EP2018053579
(87)【国際公開番号】W WO2018153732
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2021-01-29
(32)【優先日】2017-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】シルヴェストリーニ パトリック チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】フレデリク ギヨーム
(72)【発明者】
【氏名】ジノヴィク イハル ニコラエヴィチ
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/117700(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0181943(US,A1)
【文献】特表2014-511175(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0338410(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
A61M 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生システム用のカートリッジであって、
空気吸込み口、および空気出口、および前記空気吸込み口から前記空気出口までの気流経路と、
流体透過性エアロゾル発生要素、および前記エアロゾル発生要素に接続された二つの電気接点部分を備えるアトマイザー組立品であって、前記アトマイザー組立品が第一の側面および前記第一の側面の反対側の第二の側面を有し、前記エアロゾル発生要素の第一の側面が前記気流経路に露出されていて、前記エアロゾル発生要素の第二の側面が液体エアロゾル形成基体と接触している、アトマイザー組立品と、
前記アトマイザー組立品の周りに成形されたアトマイザーマウントであって、前記アトマイザーマウントが前記電気接点部分を前記気流経路から分離するために前記アトマイザー組立品の前記第一の側面の一部分を覆い、かつ前記電気接点部分を前記液体エアロゾル形成基体から分離するために前記アトマイザー組立品の前記第二の側面の少なくとも一部分を覆う、アトマイザーマウントと、を備える、カートリッジ。
【請求項2】
前記流体透過性エアロゾル発生要素が、前記第二の側面から前記第一の側面まで延びる複数の隙間または開口を備え、流体がこれを通過しうる、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記流体透過性エアロゾル発生要素が発熱体である、請求項1または2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記流体透過性発熱体が、メッシュを形成する複数の導電性フィラメントを備える、または穿孔されたプレートを備える請求項3に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記流体透過性エアロゾル発生要素が平面状である、請求項1~4のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記電気接点部分が、発熱体の反対側の端に位置付けられている、請求項1~5のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項7】
第一の部分および第二の部分を有する液体貯蔵区画を備え、前記アトマイザーマウントが、前記液体貯蔵区画の前記第二の部分を画定する少なくとも一つの壁を備え、前記壁が前記アトマイザー組立品の前記第二の側面から延びる、請求項1~6のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記液体貯蔵区画の前記第一の部分が、前記液体貯蔵区画の前記第二の部分に対して前記アトマイザー組立品の反対側にある、請求項7に記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記アトマイザーマウントが、前記アトマイザー組立品の第一の側面から前記アトマイザー組立品の前記第二の側面までの囲まれた液体流路を画定する、請求項1~8のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項10】
前記エアロゾル発生要素の前記第二の側面と接触している毛細管材料を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項11】
前記カートリッジが、ユーザーによって引き出されうる、発生するエアロゾルが通る口側端と、エアロゾル発生システムの制御本体に接続するように構成された接続端と、を有し、前記エアロゾル発生要素の第一の側面が前記口側端に面し、かつ前記エアロゾル発生要素の前記第二の側面が前記接続端に面する、請求項1~10のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項12】
前記アトマイザーマウントが、成形された高分子材料で形成されている、請求項1~11のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項13】
前記アトマイザーマウントが、前記アトマイザー組立品の前記第一の側面上の前記電気接点部分を完全に覆う、請求項1~12のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載のカートリッジと、前記カートリッジに接続された制御本体と、を備え、前記制御本体が、前記エアロゾル発生要素への電力供給を制御するように構成されている、エアロゾル発生システム。
【請求項15】
エアロゾル発生システムであって、
空気吸込み口、および空気出口、および前記空気吸込み口から前記空気出口までの気流経路と、
流体透過性エアロゾル発生要素、および前記エアロゾル発生要素に接続された二つの電気接点部分を備えるアトマイザー組立品であって、前記アトマイザー組立品が第一の側面および前記第一の側面の反対側の第二の側面を有し、前記エアロゾル発生要素の第一の側面が前記気流経路に露出されていて、前記エアロゾル発生要素の第二の側面が液体エアロゾル形成基体と接触している、アトマイザー組立品と、
前記アトマイザー組立品の周りに成形されたアトマイザーマウントであって、前記電気接点部分を前記気流経路から分離するために前記アトマイザー組立品の前記第一の側面の一部分を覆い、かつ前記電気接点部分を前記液体エアロゾル形成基体から分離するために前記アトマイザー組立品の前記第二の側面の少なくとも一部分を覆う、アトマイザーマウントと、
前記電気接点部分に接続された電源と、
電源から電気接点部分への電力供給を制御するように構成された制御回路と、を備える、エアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアロゾル発生システムに関し、特にエアロゾル発生システム内のエアロゾル発生要素のための取り付け構成に関する。
【背景技術】
【0002】
液体エアロゾル形成基体からエアロゾルを発生させる手持ち式エアロゾル発生システムにおいては典型的に、気化器によって気化された液体を補充するために、発熱体などの電気的に作動する気化器の近くに液体を移動する何らかの手段がある。気化器からベイパー(蒸気)を同伴するために、および気化器に電力を供給するために、気化器を通る、または気化器を通り過ぎる気流を提供することも必要である。電力は典型的に、気化器に接続された電気接点を通して気化器に供給される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、気流経路内の液体またはベイパーが電気接点と接触すると問題が生じうる。ベイパーまたは液体は経時的に、電気接点を損傷し、システムの動作に影響を与えうる。
【0004】
気化器の電気接点がシステム内の液体およびベイパーから保護されるエアロゾル発生システムのための配置構成を提供することが望ましい。eシガレットなどの手持ち式エアロゾル発生システムはマスマーケット製品である。そのため、単純、頑丈、かつ安価に生産できる配置構成を提供することが望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第一の態様において、エアロゾル発生システム用のカートリッジが提供されていて、このカートリッジは、
空気吸込み口、および空気出口、および空気吸込み口から前記空気出口までの気流経路と、
流体透過性エアロゾル発生要素、およびエアロゾル発生要素に接続された二つの電気接点部分を備えるアトマイザー組立品であって、第一の側面および第一の側面の反対側の第二の側面を有し、エアロゾル発生要素の第一の側面が気流経路に露出されていて、エアロゾル発生要素の第二の側面がカートリッジ内の液体エアロゾル形成基体と接触している、アトマイザー組立品と、
アトマイザー組立品の周りに成形されたアトマイザーマウントであって、アトマイザーマウントが電気接点部分を気流経路から分離するためにアトマイザー組立品の第一の側面の一部分を覆い、かつ電気接点部分を液体エアロゾル形成基体から分離するためにアトマイザー組立品の第二の側面の少なくとも一部分を覆う、アトマイザーマウントと、を備える、カートリッジである。
【0006】
このようにして構築されたカートリッジは、ヒーター組立品などの流体透過性アトマイザー組立品を固定するための単純で安価な方法を提供し、一方でカートリッジ内の液体およびベイパーから電気接点を保護する。有利なことに、アトマイザーマウントは単一部品として成形されている。
【0007】
流体透過性エアロゾル発生要素は、第二の側面から第一の側面に延びる複数の隙間または開口を備えてもよく、またこれを通して流体が通ってもよい。流体透過性エアロゾル発生要素は実質的に平面であってもよい。
【0008】
流体透過性エアロゾル発生要素は発熱体であってもよい。別の方法として、エアロゾル発生要素は振動要素であってもよい。
【0009】
発熱体は、単純な製造を可能にするために実質的に平坦な発熱体を備えてもよい。幾何学的には、「実質的に平坦な」発熱体という用語は、実質的に二次元の位相幾何学的マニホールドの形態である発熱体を指すために使用される。従って、実質的に平坦な発熱体は、実質的に第三次元でよりも、表面に沿って二次元で延びる。特に、その表面内での二次元の実質的に平坦な発熱体の寸法は、表面に垂直な三次元の寸法より少なくとも五倍である。実質的に平坦な発熱体の例は、二つの実質的に平行な仮想表面間の構造であって、これらの二つの仮想表面間の距離はその表面内の延長部よりも実質的に小さい。一部の実施形態において、実質的に平坦な発熱体は平面状である。その他の実施形態において、実質的に平坦な発熱体は一つ以上の寸法に沿って湾曲しており、例えばドーム形状またはブリッジ形状を形成する。
【0010】
発熱体は、第二の側面から第一の側面に延びる複数の隙間または開口を備えてもよく、それを通して流体が通ってもよい。
【0011】
発熱体は複数の導電性フィラメントを備えてもよい。「フィラメント」という用語は本明細書全体を通して、二つの電気接点間に配置された電気的な経路を指すために使用される。フィラメントは恣意的に、幾つかの経路またはフィラメントへとそれぞれ枝分かれおよび分岐させてもよく、または幾つかの電気的な経路から一つの経路へと合流させてもよい。フィラメントは丸型、正方形、平坦型、または任意の他の断面の形態を有してもよい。フィラメントは、真っ直ぐな様態または湾曲した様態で配置されてもよい。
【0012】
発熱体は、例えば相互に平行に配列されたフィラメントのアレイであってもよい。フィラメントはメッシュを形成しうることが好ましい。メッシュは織られていてもよく、または不織であってもよい。メッシュは、異なるタイプの織り構造または格子構造を使用して形成されてもよい。別の方法として、導電性発熱体は、フィラメントのアレイまたはフィラメントの織物から成る。導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、または織物はまた、液体を保持するその能力によっても特徴付けられる場合がある。
【0013】
好ましい実施形態において、実質的に平坦な発熱体は、ワイヤーメッシュへと形成されたワイヤーで構築されてもよい。メッシュは平織の設計を有することが好ましい。発熱体は、メッシュ細片から作製されたワイヤーグリルであることが好ましい。
【0014】
導電性フィラメントはフィラメント間の隙間を画定する場合があり、隙間は10マイクロメートル~100マイクロメートルの幅を有してもよい。使用時に気化されることになる液体が隙間の中へと引き出されるように、フィラメントは隙間内に毛細管作用を生じさせることが好ましく、発熱体と液体エアロゾル形成基体の間の接触面積を増大する。
【0015】
導電性フィラメントは、1センチメートル当たりのフィラメント数が60~240個(±10パーセント)のサイズのメッシュを形成してもよい。メッシュ密度は、1センチメートル当たりのフィラメント数が100~140個(±10パーセント)であることが好ましい。メッシュ密度は、1センチメートル当たりのフィラメント数がおよそ115個であることがより好ましい。隙間の幅は100マイクロメートル~25マイクロメートルであってもよく、80マイクロメートル~70マイクロメートルであることが好ましく、およそ74マイクロメートルであることがより好ましい。メッシュの総面積に対する隙間の面積の比であるメッシュの開口面積の割合は、40パーセント~90パーセントであってもよく、85パーセント~80パーセントであることが好ましく、およそ82パーセントであることがより好ましい。
【0016】
導電性フィラメントは8マイクロメートル~100マイクロメートルの直径を有してもよく、10マイクロメートル~50マイクロメートルであることが好ましく、12マイクロメートル~25マイクロメートルであることがより好ましく、およそ16マイクロメートルであることが最も好ましい。フィラメントは丸い断面を有してもよく、または扁平な断面を有してもよい。
【0017】
導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、または織物の面積は小さくてもよく、例えば50平方ミリメートル以下であってもよく、25平方ミリメートル以下であることが好ましく、およそ15平方ミリメートルであることがより好ましい。サイズは、発熱体を手持ち式システムに組み込めるように選択される。導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、または織物のサイズを50平方ミリメートル以下にすることは、導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、または織物を加熱するのに必要な総電力量を低減する一方で、導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、または織物と液体エアロゾル形成基体の十分な接触を依然として確保する。導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、または織物は、例えば長方形であってもよく、また2ミリメートル~10ミリメートルの長さ、および2ミリメートル~10ミリメートルの幅を有してもよい。メッシュは、およそ5ミリメートル×3ミリメートルの寸法を有することが好ましい。
【0018】
発熱体のフィラメントは、適切な電気特性を有する任意の材料から形成されてもよい。適切な材料としては、ドープされたセラミックなどの半導体、「導電性」のセラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、金属合金、およびセラミック材料と金属材料とで作製された複合材料が挙げられるが、これらに限定されない。こうした複合材料は、ドープされたセラミックまたはドープされていないセラミックを含んでもよい。適切なドープされたセラミックの例としては、ドープ炭化ケイ素が挙げられる。適切な金属の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル、および白金族の金属が挙げられる。適切な金属合金の例としては、ステンレス鋼、コンスタンタン、ニッケル含有、コバルト含有、クロム含有、アルミニウム含有、チタン含有、ジルコニウム含有、ハフニウム含有、ニオビウム含有、モリブデン含有、タンタル含有、タングステン含有、スズ含有、ガリウム含有、マンガン含有、および鉄含有合金、ならびにニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼系の超合金、Timetal(登録商標)、鉄-アルミニウム系合金、鉄-マンガン-アルミニウム系合金が含まれる。Timetal(登録商標)は、Titanium Metals Corporationの登録商標である。フィラメントは一つ以上の絶縁体で被覆されていてもよい。導電性フィラメント用の好ましい材料はステンレス鋼および黒鉛であり、AISI 304、316、304L、316Lなどの300シリーズのステンレス鋼であることがより好ましい。追加的に、導電性発熱体は上記の材料の組み合わせを含んでもよい。材料の組み合わせを使用して、実質的に平坦な発熱体の抵抗の制御を改善しうる。例えば、固有抵抗が高い材料を、固有抵抗が低い材料と組み合わせてもよい。これは、材料のどれか一つが他の観点、例えば価格、機械加工性またはその他の物理的および化学的パラメータの観点から、より有益である場合に、有利でありうる。有利なことに、抵抗を増大させた実質的に平坦なフィラメント配列は、寄生損失を低減する。有利なことに、抵抗が高いヒーターは、電池エネルギーのより効率的な使用を可能にする。
【0019】
フィラメントはワイヤーで作製されることが好ましい。ワイヤーは金属で作製されることがより好ましく、ステンレス鋼で作製されることが最も好ましい。
【0020】
発熱体の導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、または織物の電気抵抗は、0.3オーム~4オームであってもよい。電気抵抗は0.5オーム以上であることが好ましい。導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、または織物の電気抵抗は、0.6オーム~0.8オームであることがより好ましく、約0.68オームであることが最も好ましい。導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、または織物の電気抵抗率は、導電性接点部分の電気抵抗率よりも少なくとも1桁大きいことが好ましく、また少なくとも2桁大きいことがより好ましい。これは、発熱体に電流を通過させることによって発生した熱が、導電性フィラメントのメッシュまたはアレイに局在化されることを確実にする。システムが電池によって電力供給される場合、発熱体に対する全体抵抗が低いことは有利である。低抵抗で大電流のシステムは、発熱体に高電力を送達することを可能にする。これは、発熱体が導電性フィラメントを望ましい温度に素早く加熱することを可能にする。
【0021】
別の方法として、発熱体は、開口のアレイがその中に形成された加熱プレートを備えてもよい。開口は、例えばエッチングまたは機械加工によって形成されてもよい。プレートは、発熱体のフィラメントに関して上述した材料などの、適切な電気特性を有する任意の材料から形成されてもよい。
【0022】
有利なことに、電気接点部分は発熱体の反対側の端に位置付けられている。電気接点部分は、二つの導電性接点パッドであってもよい。導電性接点パッドは、発熱体の縁の区域に位置付けられてもよい。少なくとも二つの導電性接点パッドは、発熱体の先端に位置付けられうることが好ましい。導電性接点パッドは、発熱体の導電性フィラメントに直接固定されてもよい。導電性接点パッドは、スズのパッチを備えてもよい。別の方法として、導電性接点パッドは発熱体と一体型にされてもよい。
【0023】
有利なことに、アトマイザーマウントは、アトマイザー組立品の第一の側面上の電気接点部分を完全に覆う。電気接点部分は、電源との電気接点を可能にするために、アトマイザー組立品の第二の側面上に露出されていることが好ましい。
【0024】
カートリッジは、液体貯蔵区画を備えてもよい。液体エアロゾル形成基体は、液体貯蔵区画内に保持されている。液体貯蔵区画は、互いに連通する第一の部分および第二の部分を有してもよい。アトマイザーマウントは、液体貯蔵区画の第二の部分を画定する少なくとも一つの壁を備えてもよく、壁はアトマイザー組立品の第二の側面から延びる。
【0025】
液体貯蔵区画の第一の部分は、液体貯蔵区画の第二の部分に対してアトマイザー組立品の反対側の上にあってもよい。液体エアロゾル形成基体は、液体貯蔵区画の第一の部分内に保持されている。液体貯蔵区画の第一の部分は、少なくとも部分的にアトマイザーマウントによって画定されてもよい。
【0026】
有利なことに、貯蔵区画の第一の部分は、貯蔵区画の第二の部分よりも大きい。カートリッジは、ユーザーがカートリッジで発生したエアロゾルを吸い込むために、ユーザーがカートリッジから引き出す、またはカートリッジを吸うことを可能にするように構成されてもよい。使用時に、カートリッジの口側端の開口部は典型的に、エアロゾル発生要素の上方に位置付けられていて、貯蔵区画の第一の部分は、口側端の開口部とアトマイザー組立品との間に位置付けられている。貯蔵区画の第二の部分より大きい貯蔵区画の第一の部分を有することは、液体が貯蔵区画の第一の部分から貯蔵区画の第二の部分に送達され、そのため使用中に重力の影響下でエアロゾル発生要素に送達されることを確実にする。
【0027】
カートリッジは、ユーザーが引き出すことのできる発生したエアロゾルが通る口側端と、エアロゾル発生システムの制御本体に接続するように構成された接続端とを有してもよく、エアロゾル発生要素の第一の側面は口側端に面し、エアロゾル発生要素の第二の側面は接続端に面する。
【0028】
有利なことに、アトマイザーマウントは、アトマイザー組立品の第一の側面からアトマイザー組立品の第二の側面までの囲まれた液体流路を画定し、液体貯蔵区画の第一の部分と第二の部分を接続する。アトマイザーマウントは、アトマイザー組立品の第一の側面からアトマイザー組立品の第二の側面までの二つの囲まれた液体流路を画定してもよい。二つの囲まれた液体流路は、エアロゾル発生要素を中心として対称的に配置されてもよい。
【0029】
カートリッジは、アトマイザー組立品の第一の側面を通り過ぎる空気吸込み口からカートリッジの口側端の開口部までの囲まれた気流経路を画定してもよい。囲まれた気流経路は、液体貯蔵区画の第一の部分または第二の部分を通過してもよい。一実施形態において、気流経路は液体貯蔵区画の第一の部分と第二の部分の間に延びる。追加的に、気流通路は液体貯蔵区画の第一の部分を通って延びてもよい。例えば、液体貯蔵区画の第一の部分は環状の断面を有してもよく、エアロゾル発生要素から口側端部分まで液体貯蔵区画の第一の部分を通して延びる気流通路を有する。別の方法として、気流通路は、エアロゾル発生要素から液体貯蔵区画の第一の部分に隣接した口側端の開口部まで延びてもよい。
【0030】
カートリッジは、エアロゾル発生要素の第二の側面と接触している毛細管材料を備えてもよい。毛細管材料は、重力に逆らって液体エアロゾル形成基体をエアロゾル発生要素に送達する。使用時にエアロゾル発生要素に到達するために重力に逆らった液体エアロゾル形成基体の移動を要求することによって、液体の大きい液滴が気流通路に入る可能性が減少する。
【0031】
毛細管材料は、エアロゾル発生要素の表面の少なくとも一部分と接触している液体エアロゾル形成基体があることを保証する能力を有する材料で作製されてもよい。毛細管材料はエアロゾル発生要素内の隙間または開口の中へと延びてもよい。エアロゾル発生要素は、毛細管作用によって液体エアロゾル形成基体を隙間または開口の中へと引き出してもよい。
【0032】
毛細管材料は、液体を材料の一方の端から別の端に能動的に運ぶ材料である。毛細管材料は繊維状または海綿体状の構造を有してもよい。毛細管材料は一束の毛細管を含むことが好ましい。例えば、毛細管材料は複数の繊維もしくは糸、またはその他の微細チューブを含んでもよい。繊維または糸は、液体エアロゾル形成基体を発熱体に向かって運ぶために概して整列していてもよい。別の方法として、毛細管材料は海綿体様または発泡体様の材料を含んでもよい。毛細管材料の構造は複数の小さい穴または管を形成し、これを通して液体エアロゾル形成基体を毛細管作用によって移動することができる。毛細管材料は任意の適切な材料または材料の組み合わせを含んでもよい。適切な材料の例は、海綿体もしくは発泡体材料、繊維もしくは焼結粉末の形態のセラミック系またはグラファイト系の材料、発泡性の金属材料もしくはプラスチック材料、繊維質材料、例えば紡糸繊維または押出成形繊維(酢酸セルロース、ポリエステル、または結合されたポリオレフィン、ポリエチレン、テリレンもしくはポリプロピレン繊維、ナイロン繊維またはセラミックなど)で作製された繊維質材料である。毛細管材料は、異なる液体物理特性で使用されるように、任意の適切な毛細管現象および空隙率を有してもよい。液体エアロゾル形成基体は、毛細管作用によって毛細管媒体を通して液体エアロゾル形成基体を移動することを可能にする粘度、表面張力、密度、熱伝導率、沸点、蒸気圧などの物理特性(ただし、これらに限定されない)を有する。
【0033】
別の方法として、または加えて、カートリッジは液体エアロゾル形成基体を保持するための担体材料を収容してもよい。担体材料は、貯蔵区画の第一の部分、貯蔵区画の第二の部分、または貯蔵区画の第一の部分および第二の部分の両方にあってもよい。担体材料は、発泡体および繊維の収集物の海綿体状物であってもよい。担体材料はポリマーまたはコポリマーで形成されてもよい。一実施形態において、担体材料は紡糸ポリマーである。エアロゾル形成基体は、使用中に担体材料の中へと放出されてもよい。例えば、液体エアロゾル形成基体はカプセル内に提供されてもよい。
【0034】
アトマイザーマウントは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)またはLCP(液晶ポリマー)などの高温に耐えることができる成形された高分子材料から形成されてもよい。
【0035】
カートリッジは有利なことに、液体エアロゾル形成基体を収容する。本発明に関して本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体である。揮発性化合物はエアロゾル形成基体を加熱することによって放出されてもよい。揮発性化合物は、エアロゾル形成基体を振動可能な要素の通路を通して動かすことによって放出されてもよい。
【0036】
エアロゾル形成基体は室温では液体であってもよい。エアロゾル形成基体は、液体構成成分および固体構成成分の両方を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体はニコチンを含んでもよい。ニコチンを含有する液体エアロゾル形成基体はニコチン塩マトリクスであってもよい。液体エアロゾル形成基体は植物由来材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体はたばこを含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は非たばこ含有材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は均質化した植物由来材料を含んでもよい。
【0037】
液体エアロゾル形成基体は、一つ以上のエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体は、使用時に高密度の安定したエアロゾルの形成を容易にし、かつシステムの操作温度にて熱分解に対して実質的に抵抗性である任意の適切な周知の化合物または化合物の混合物である。適切なエアロゾル形成体の例としては、グリセリンおよびプロピレングリコールが挙げられる。適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、多価アルコール(トリエチレングリコール、1、3-ブタンジオール、およびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)を含むが、これらに限定されない。液体エアロゾル形成基体は水、溶媒、エタノール、植物抽出物、および天然風味または人工風味を含んでもよい。
【0038】
液体エアロゾル形成基体は、ニコチンおよび少なくとも一つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体は、グリセリンまたはプロピレングリコールであってもよい。エアロゾル形成体は、グリセリンおよびプロピレングリコールの両方を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、約0.5%~約10%(例えば、約2%)のニコチン濃度を有してもよい。
【0039】
カートリッジはハウジングを備えてもよい。アトマイザーマウントはハウジングに固定されてもよい。ハウジングは、ポリプロピレン(PP)またはポリエチレンテレフタラート(PET)などの成形可能プラスチック材料で形成されてもよい。ハウジングは、貯蔵区画の一方または両方の部分の壁の一部またはすべてを形成してもよい。ハウジングおよび貯蔵区画は一体的に形成されてもよい。別の方法として、貯蔵区画はハウジングとは別個に形成されて、ハウジングへと組み立てられてもよい。
【0040】
カートリッジは、ユーザーが引き出しうるエアロゾルが通る取り外し可能なマウスピースを備えてもよい。取り外し可能なマウスピースは、口側端の開口部を覆う場合がある。別の方法として、カートリッジは、ユーザーが口側端の開口部で直接吸うことを可能にするように構成されてもよい。
【0041】
カートリッジは、液体エアロゾル形成基体を再充填可能であってもよい。別の方法として、カートリッジは、貯蔵区画の液体エアロゾル形成基体が空になった時に廃棄されるように設計されてもよい。
【0042】
本発明の第二の態様において、先行する請求項のいずれか一項に記載のカートリッジと、カートリッジに接続された制御本体とを備えるエアロゾル発生システムが提供されており、制御本体はエアロゾル発生要素への電力供給を制御するように構成されている。
【0043】
制御本体は、制御本体がカートリッジに接続された時にエアロゾル発生要素への電気的接続を提供するように構成された少なくとも一つの電気接点要素を備えてもよい。電気接点要素は細長くてもよい。電気接点要素は、ばね式であってもよい。電気接点要素はカートリッジ内の電気接点パッドに接触してもよい。
【0044】
制御本体はカートリッジの接続端と係合するための接続部分を備えてもよい。
【0045】
制御本体は電源を備えてもよい。
【0046】
制御本体は、電源からエアロゾル発生要素への電力供給を制御するように構成された制御回路を備えてもよい。
【0047】
制御回路はマイクロコントローラーを備えてもよい。マイクロコントローラーはプログラム可能なマイクロコントローラーであることが好ましい。制御回路はさらなる電子構成要素を備えてもよい。制御回路はエアロゾル発生要素への電力供給を調節するように構成されてもよい。電力はシステムの起動後、エアロゾル発生要素に連続的に供給されてもよく、または毎回の吸煙ごとなどのように断続的に供給されてもよい。電力は、電流パルスの形態でエアロゾル発生要素に供給されてもよい。
【0048】
制御本体は、制御システムおよびエアロゾル発生要素のうちの少なくとも一つに電力を供給するように配置された電源を備えてもよい。エアロゾル発生要素は独立した電源を含んでもよい。制御本体は、電力を制御回路に供給するように配置された第一の電源、および電力をエアロゾル発生要素に供給するように構成された第二の電源を備えてもよい。
【0049】
電源はDC電源であってもよい。電源は電池であってもよい。電池は、リチウム系の電池、例えばリチウムコバルト電池、リチウム鉄リン酸塩電池、チタン酸リチウム電池、またはリチウムポリマー電池であってもよい。電池はニッケル水素電池またはニッケルカドミウム電池であってもよい。電源はコンデンサーなど別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要とする場合があり、また数多くの充放電サイクルのために構成されてもよい。電源は、1回以上の喫煙体験のための十分なエネルギーの保存を可能にする容量を有してもよく、例えば電源は従来の紙巻たばこ1本を喫煙するのにかかる典型的な時間に対応する約六分間、または六分間の倍数の期間にわたるエアロゾルの連続的な生成を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の実施例において、電源は所定の吸煙回数、またはアトマイザー組立品の不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有してもよい。
【0050】
エアロゾル発生システムは、ユーザーがマウスピースを吸って口側端の開口部を通してエアロゾルを引き出すことを可能にするように構成された手持ち式エアロゾル発生システムであってもよい。エアロゾル発生システムは従来の葉巻たばこまたは紙巻たばこと同等のサイズを有してもよい。エアロゾル発生システムは約30mm~約150mmの全長を有してもよい。エアロゾル発生システムは約5mm~約30mmの外径を有してもよい。
【0051】
本発明のシステムは、カートリッジおよび制御本体を含むものとして説明されているが、一体型のシステムで本発明を実施することが可能である。本発明の第三の態様において、
空気吸込み口、空気出口、および空気吸込み口から空気出口への気流経路と、
エアロゾル発生要素、およびエアロゾル発生要素に接続された二つの電気接点部分を備えるアトマイザー組立品であって、第一の側面および第一の側面の反対側の第二の側面を有し、エアロゾル発生要素の第一の側面が気流経路に露出されていて、エアロゾル発生要素の第二の側面が液体エアロゾル形成基体と接触しているアトマイザー組立品と、
アトマイザー組立品の周りに成形されたアトマイザーマウントであって、電気接点部分を気流経路から分離するためにアトマイザー組立品の第一の側面の一部分を覆い、かつ電気接点部分を液体エアロゾル形成基体から分離するためにアトマイザー組立品の第二の側面の少なくとも一部分を覆う、アトマイザーマウントと、
電気接点部分に接続された電源と、
電源から電気接点部分への電力供給を制御するように構成された制御回路と、を備えるエアロゾル発生システムが提供されている。
【0052】
エアロゾル発生要素は、本発明の第一の態様に関連して説明されるエアロゾル発生要素の特徴のうちのいずれかを備えてもよい。
【0053】
貯蔵区画は、本発明の第一の態様に関連して説明される貯蔵区画の特徴のうちのいずれかを含んでもよい。貯蔵区画は、液体エアロゾル形成基体を再充填可能であってもよい。別の方法として、システムは、貯蔵区画の液体エアロゾル形成基体が空になった時に廃棄されるように設計されてもよい。
【0054】
エアロゾル発生システムはハウジングを備えてもよい。ハウジングは細長くてもよい。ハウジングは任意の適切な材料または材料の組み合わせを含んでもよい。適切な材料の例としては、金属、合金、プラスチック、もしくはこれらの材料のうちの一つ以上を含有する複合材料、または食品もしくは医薬品用途に適切な熱可塑性樹脂、例えばポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、およびポリエチレンが挙げられる。材料は軽量であり、脆くないものであってもよい。ハウジングは、本発明の第一の態様に関連して説明されるハウジングの特徴のうちのいずれかを含んでもよい。
【0055】
気流通路は、本発明の第一の態様に関連して説明される気流通路の特徴のうちのいずれかを含んでもよい。
【0056】
電源は、本発明の第一の態様に関連して説明される電源の特徴のうちのいずれかを含んでもよい。
【0057】
制御回路は、本発明の第一の態様に関連して説明される制御回路の特徴のうちのいずれかを含んでもよい。
【0058】
カートリッジ、制御本体、またはエアロゾル発生システムは、制御回路と通信する吸煙検出器を備えてもよい。吸煙検出器は、ユーザーが気流経路を通して空気を引き出す時にそれを検出するように構成されてもよい。
【0059】
カートリッジ、制御本体、またはエアロゾル発生システムは、制御回路と通信する温度センサーを備えてもよい。カートリッジ、制御本体、またはエアロゾル発生システムは、スイッチまたはボタンなどのユーザー入力を備えてもよい。ユーザー入力は、ユーザーがシステムをオンおよびオフにすることを可能にしてもよい。
【0060】
カートリッジ、制御本体、またはエアロゾル発生システムはまた、液体貯蔵部分内に保持された液体エアロゾル形成基体の判定された量をユーザーに示すための表示手段も備えてもよい。制御回路は、液体貯蔵部分内に保持された液体エアロゾル形成基体の量の判定がなされた後、表示手段を起動するように構成されてもよい。
【0061】
表示手段は、発光ダイオード(LED)などの光、LCDディスプレイなどのディスプレイ、ラウドスピーカーまたはブザーなどの可聴式表示手段、および振動手段のうちの一つ以上を備えてもよい。制御回路は、一つ以上の光を点灯させ、ディスプレイ上にある量を表示し、ラウドスピーカーまたはブザーを介して音を発し、また振動手段を振動させるように構成されてもよい。
【0062】
本発明の一態様の特徴は、本発明のその他の態様にも適用されてもよい。
【0063】
ここで本発明の実施形態を、添付図面を参照しながら、例証としてのみではあるが詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【
図1】
図1は、本発明によるエアロゾル発生システムの概略図である。
【
図2a】
図2aは、本発明によるカートリッジ(マウスピースを含む)の第一の断面の概略図である。
【
図2b】
図2bは、本発明によるカートリッジの第二の断面の概略図である。
【
図3】
図3は、マウスピースのないカートリッジを図示する。
【
図5a】
図5aは、
図4aおよび
図4bのヒーター組立品およびヒーターマウントの上面斜視図である。
【
図5b】
図5bは、
図4aおよび
図4bのヒーター組立品およびヒーターマウントの上面斜視図である。
【
図6a】
図6aは、
図4aおよび
図4bのヒーター組立品およびヒーターマウントの底面図である。
【
図6b】
図6bは、
図4aおよび
図4bのヒーター組立品およびヒーターマウントの底面図である。
【
図7】
図7は、ヒーター組立品への制御本体の電気的接続を図示する。
【0065】
図1は、本発明によるエアロゾル発生システムの概略図である。システムは、二つの主構成要素、カートリッジ100、および制御本体200を備える。カートリッジ100の接続端115は、制御本体200の対応する接続端205に取り外し可能に接続されている。制御本体は、電池210(この例では再充電可能リチウムイオン電池である)と、制御回路220とを収容する。エアロゾル発生装置10は携帯型であり、従来の葉巻たばこまたは紙巻たばこに匹敵するサイズを有する。
【0066】
カートリッジ100は、霧化組立品120と、第一の部分130および第二の部分135を有する液体貯蔵区画とを収容するハウジング105を備える。液体エアロゾル形成基体は、液体貯蔵区画内に保持されている。
図1には図示していないが、液体貯蔵区画の第一の部分130は、第一の部分内の液体が第二の部分に移動することができるように、液体貯蔵区画135の第二の部分に接続されている。霧化組立品は、液体貯蔵区画の第二の部分135から液体を受容する。この実施形態において、霧化組立品は概して平面状の、流体透過性ヒーター組立品である。
【0067】
気流通路140、145は、空気吸込み口150から霧化組立品120を通り過ぎ、かつ霧化組立品からハウジング105内の口側端の開口部110へとカートリッジを通って延びる。
【0068】
カートリッジの構成要素は、液体貯蔵区画の第一の部分130が霧化組立品120と口側端の開口部110との間にあるように配置されていて、液体貯蔵区画の第二の部分135は、霧化組立品の口側端の開口部に対して反対側に位置付けられている。言い換えれば、霧化組立品は、液体貯蔵区画の二つの部分の間にあり、第二の部分から液体を受容し、液体貯蔵区画の第一の部分は、液体貯蔵区画の第二の部分よりも口側端の開口部に近い。気流通路は、霧化組立品を通り過ぎ、液体貯蔵区画の第一の部分と第二の部分の間に延びる。
【0069】
システムは、ユーザーがカートリッジの口側端の開口部で吸煙するまたはそれを吸って、エアロゾルを自分の口の中へと引き出すことができるように構成されている。動作時、ユーザーが口側端の開口部で吸煙する時、空気は空気吸込み口から気流通路を通して、霧化組立品を通り過ぎて、口側端の開口部に引き出される。制御回路は、システムが起動された時に、電池210からカートリッジへの電力供給を制御する。これは結果として、霧化組立品によって生成されるベイパーの量および特性を制御する。制御回路は気流センサーを含んでもよく、制御回路は、ユーザーのカートリッジの吸煙が気流センサーによって検出された時に、霧化組立品に電力を供給してもよい。このタイプの制御装置は、吸入器およびeシガレットなどのエアロゾル発生システムで良好に確立されている。そのため、ユーザーがカートリッジの口側端の開口部を吸う時、霧化組立品が起動されて、気流通路140を通過する気流中に同伴されるベイパーを生成する。ベイパーは通路145内の気流の中で冷却されてエアロゾルを形成し、これが口側端の開口部110を通してユーザーの口の中へと引き出される。
【0070】
動作時、口側端の開口部110は典型的に、装置の最高点である。カートリッジの構築、および特に液体貯蔵区画の第一の部分130と第二の部分135との間の霧化組立品の配置は、液体貯蔵区画が空になろうとしても重力を活用して液体基体の送達を確保するが、気流通路の中への液体の漏れにつながる場合がある霧化組立品への液体の供給過剰を防止するので、有利である。
【0071】
図2aは、本発明の実施形態によるカートリッジの第一の断面である。
図2bは、
図2aの断面に対し直角な第二の断面である。
【0072】
図2aのカートリッジは、口側端の開口部110を有する口側端を有する外部ハウジング105と、口側端と反対側の接続端とを備える。ハウジングの中には液体エアロゾル形成基体131を保持する液体貯蔵区画がある。液体は、上部貯蔵区画ハウジング137、ヒーターマウント134、および端部キャップ138の三つの構成要素によって、液体貯蔵区画内に収容される。ヒーター組立品120はヒーターマウント134内に保持されている。毛細管材料136は、液体貯蔵区画135の第二の部分内に提供されていて、ヒーター組立品の中央領域内のヒーター要素に隣接する。毛細管材料は、液体をヒーター要素に移動させるような向きにされる。ヒーター要素は、複数のフィラメントで形成されたメッシュヒーター要素を備える。このタイプのヒーター要素構造の詳細は、例えば国際特許公開公報第2015/117702号の中に見いだすことができる。気流通路140は、貯蔵区画の第一の部分と第二の部分の間に延びる。気流通路の底部壁はヒーター要素121およびヒーターマウント134を備え、気流通路の側壁はヒーターマウント134の部分を含み、気流通路の上部壁は上部貯蔵区画ハウジング137の一部分を含む。気流通路は、
図2aに示す通り、液体貯蔵区画の第一の部分130を通って口側端の開口部110に向かって延びる垂直部分145を有する。
【0073】
ヒーター組立品120は概して平面状であり、二つの面を有する。ヒーター組立品120の第一の面は、液体貯蔵区画の第一の部分130および口側端の開口部110に面する。ヒーター組立品120の第二の面は、貯蔵区画内の毛細管材料136および液体131と接触し、カートリッジ100の接続端115に面する。ヒーター組立品120は、説明する通り、ヒーター組立品120の電源210への電気的接続を簡単にかつ頑丈に達成することができるように、接続端115により近い。貯蔵区画の第一の部分130は、貯蔵区画の第二の部分135より大きく、かつヒーター組立品120とカートリッジ100の口側端の開口部110との間の空間を占める。貯蔵区画の第一の部分130の液体は、ヒーター組立品120のいずれかの側の液体チャネル133を通して貯蔵区画の第二の部分135に移動することができる。この実施例では二つのチャネルが提供されていて、対称構造を提供しているが、一つのチャネルのみが必要である。チャネルは、上部貯蔵区画ハウジング137とヒーターマウント134との間に画定された囲まれた液体流路である。
【0074】
図3は、
図2aおよび
図2bに示したカートリッジ100の液体貯蔵区画およびヒーター組立品120の拡大図である。外部ハウジング105またはマウスピースなしで、
図3に示す構成要素を備えるカートリッジ100を提供することが可能である。マウスピースは、
図3に示す通り、制御本体200の中へと挿入されるように構成されたカートリッジを有して、別個の構成要素としてカートリッジ100に提供されてもよく、または制御本体200の一部として提供されてもよい。
【0075】
図3に示すカートリッジは、最初にヒーターマウント134をヒーター組立品120の周りに成形することによって組み立てられてもよい。ヒーター組立品は、説明した通り、ヒーター要素122よりもずっと低い電気抵抗率を有する一対のスズ接点パッド121に固定されたメッシュヒーター要素122を備える。接点パッド121は、
図6aおよび
図6bに図示した通り、ヒーター要素122の反対側の端に固定されている。次いで、ヒーターマウント134は、例えばスナップ嵌めなどの機械的嵌合を使用して、または溶接もしくは接着剤などの別の手段によって、上部貯蔵区画ハウジング137に固定されてもよい。毛細管材料136は、液体貯蔵区画の第二の部分135の中へと挿入されている。次いで、端部キャップ138は貯蔵区画をシールするためにヒーターマウント134に固定されている。
【0076】
別の方法として、ヒーターマウント134、毛細管材料136および端部キャップ138は、上部貯蔵区画ハウジング137に固定される前に最初に組み立てることができる。
図4aは、ヒーター組立品120、ヒーターマウント134、毛細管材料136および端部キャップ138の第一の断面である。液体チャネル133が明確に示されている。
図4bは、ヒーター組立品120、ヒーターマウント134、毛細管材料136および端部キャップ138の第二の断面である。ヒーターマウント134は、ヒーター組立品120の両側でヒーター組立品120を固定していることが分かる。接点パッド121は、ヒーター組立品120の第二の側面から簡単にアクセス可能であるが、気流通路140内のベイパーから接点パッドを保護するためにヒーター組立品120の第一の側面の上でヒーターマウント134によって覆われている。ヒーターマウント134の下部壁は、ヒーター組立品120の第二の側面から延び、接点パッド121を液体貯蔵区画の第二の部分135の液体から分離する。
【0077】
ヒーターマウントおよびヒーター組立品は、
図5a、
図5b、
図6a、および
図6bに、より詳細に示されている。
図5aおよび
図5bは、
図4aおよび
図4bのヒーター組立品120およびヒーターマウント134の上面斜視図である。
図6aおよび
図6bは、
図4aおよび
図4bのヒーター組立品120およびヒーターマウント134の底面図である。端部キャップ138および毛細管材料136は取り外されている。
【0078】
図5aおよび5bは、ヒーター組立品120の接点パッド121の第一の側面を覆うヒーターマウント134のカバー表面160を示し、一方でメッシュヒーター要素122は露出されている。貯蔵区画の第一の部分130から貯蔵区画の第二の部分135までの液体チャネル133は、ヒーターマウント134の垂直な壁によって画定されている。同じ壁はまた、ヒーター要素120を通り過ぎる際に気流通路140の境界となる。
【0079】
ヒーターマウントは射出成形されていて、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)またはLCP(液晶ポリマー)などのエンジニアリングポリマーで形成されている。
【0080】
図6aおよび
図6bは、ヒーターマウント134が貯蔵区画の第二の部分135から接点パッド121を分離する方法を示すが、接点パッド121にアクセスできるようにすることを可能する。ヒーターマウント134の壁は、貯蔵区画内の液体から接点部分121を分離する。ヒーターマウント134はまた、接点パッド121の露出した部分を気流通路140から分離する。
【0081】
ヒーター組立品120の上にヒーターマウント134をオーバーモールドすることは、ヒーター要素120の繊細な部分を損傷することなくシステムの組み立て中に簡単に取り扱うことができる頑丈な構成要素を提供する。
【0082】
液体は、端部キャップ138が固定される前に下部端から、または端部キャップ138が固定された後に上部貯蔵区画ハウジング137の中の充填ポート(図示せず)を通して、貯蔵区画の中へと挿入されてもよい。貯蔵区画は、充填ポートを通して再充填可能であってもよい。
【0083】
次いで、貯蔵区画は、機械的固定を使用して、または例えば接着剤もしくは溶接などの別の手段を使用して、カートリッジハウジング105の内側に固定されてもよい。別の方法として、貯蔵区画は、エアロゾル発生システムの制御本体のハウジングに固定されてもよく、または取り外し可能に連結されてもよい。
【0084】
図7は、エアロゾル発生システムの制御本体内の電気接点を、ヒーター組立品120の露出した接点パッド121と嵌合するように配置することができる方法を図示する。制御本体の電気接点のみが示されている。電気接点は、ヒーターマウント134のいずれかの側に形成されたスロット内に延びて接点パッド121と接触する一対のばね式ピン160を備える。この配置でカートリッジは、ピンの長軸方向軸に平行な挿入方向のピンと接触するようにカートリッジを動かすことによって、制御本体の中に挿入またはそれに結合することができる。ピンが接点パッド121と接触している時、電流を発熱体122に送達することができる。カートリッジは、制御本体ハウジング内に保持されてもよく、または押し嵌めまたはスナップ嵌めを使用して制御本体に固定されてもよい。
【0085】
図7はまた、上部貯蔵区画ハウジング137の切り欠き部分を示す。内壁139が、貯蔵区画の中で気流145を液体131から分割するために使用されることが分かる。空気吸込み口150も明瞭に図示されている。
【0086】
ここで、システムの動作を簡潔に説明する。システムは最初に、制御本体200(
図1には図示せず)上のスイッチを使用してスイッチをオンにされる。システムは、気流通路と流体連通している気流センサーを備えていてもよく、吸煙起動式とすることができる。これは、気流センサーからの信号に基づいて、制御回路が発熱体122に電力を供給するように構成されていることを意味する。ユーザーはエアロゾルを吸入したい時、システムの口側端の開口部110で吸煙する。別の方法として、発熱体122への電力供給は、ユーザーによるスイッチの作動に基づいてもよい。電力が発熱体122に供給される時、発熱体122は液体エアロゾル形成基体131の気化温度より高い温度まで加熱される。発熱体122の近くにある液体エアロゾル形成基体はそれによって、気化されて、気流通路140の中へと漏れ出る。空気吸込み口150を通して引き出される空気と発熱体122からのベイパーとの混合物は、気流通路140、145を通って口側端の開口部110に向かって引き出される。気流通路140を通って移動すると、ベイパーは冷却されてエアロゾルを形成し、その後これがユーザーの口の中へと引き出される。ユーザー吸煙の終了時または設定された期間の後に、発熱体122への電力は切断され、次の吸煙の前にヒーターが再び冷却される。
【0087】
この方法での通常の使用中、およびユーザーの複数の吸煙の間で、システムは典型的に、システムの口側端が最も上にあるように保持されている。これは、液体貯蔵区画の第一の部分130が液体貯蔵区画の第二の部分135の上方にあり、また発熱体122が液体貯蔵区画の第二の部分135内の毛細管材料136の上方にあることを意味する。発熱体122の近くにある毛細管材料136内の液体が気化され、気流通路140の中へと漏れ出ると、重力の影響下で毛細管材料136の中へと流れる液体貯蔵区画の第一の部分130からの液体によって補充される。第一の部分からの液体は、二つの囲まれた液体流路133を通って毛細管材料136の中へと流れる。次いで、毛細管材料136は、次のユーザー吸煙の準備が整った発熱体122まで液体を引き出す。液体の移動方向は、
図2aの矢印によって図示されている。
【0088】
本発明は制御本体および別個の接続可能なカートリッジを備えるシステムに関連して説明されてきたが、ヒーター組立品に成形されたヒーターマウントの配置と、液体貯蔵区画、気流通路、およびヒーター組立品の構成とは、一体のエアロゾル発生システムで使用することができることは明らかである。
【0089】
代替的な幾何学的形状が本発明の範囲内で可能であることも明らかである。特に、気流通路は、異なる方法(液体貯蔵区画の中央を通してなど)で貯蔵区画の第一の部分を通って延びてもよい。カートリッジおよび液体貯蔵区画は異なる断面形状を有してもよく、ヒーター組立品は異なる形状および構成を有してもよい。
【0090】
説明した構造を有するエアロゾル発生システムは、幾つかの利点を有する。気流通路の中への液体の漏れの可能性は、液体貯蔵区画の第一の部分および第二の部分の配置によって低減される。液体またはベイパーによる電気接点部分の損傷または腐食の可能性は、ヒーターマウントの構造によって著しく低減される。構造は頑丈かつ安価であり、結果として液体エアロゾル形成基体の無駄を最小限にする。