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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】陽圧換気口腔ケアモジュール
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/00 20060101AFI20220809BHJP
   A61M 16/06 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
A61M16/00 305A
A61M16/06 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019545891
(86)(22)【出願日】2017-11-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-19
(86)【国際出願番号】 US2017060480
(87)【国際公開番号】W WO2018085864
(87)【国際公開日】2018-05-11
【審査請求日】2020-10-05
(31)【優先権主張番号】62/418,787
(32)【優先日】2016-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/568,314
(32)【優先日】2017-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517450378
【氏名又は名称】シンプリシティ、エアウェイ、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SIMPLICITY AIRWAY, INC.
(73)【特許権者】
【識別番号】519163359
【氏名又は名称】ライアン、ウェンドリング
【氏名又は名称原語表記】WENDLING, RIAN
(73)【特許権者】
【識別番号】519163360
【氏名又は名称】チャクラバルシー、ビー.レディー
【氏名又は名称原語表記】REDDY, CHAKRAVARTHY B.
(73)【特許権者】
【識別番号】519163371
【氏名又は名称】ジョセフ、オール
【氏名又は名称原語表記】ORR, JOSEPH
(73)【特許権者】
【識別番号】519163382
【氏名又は名称】ジャレッド、スペンドラブ
【氏名又は名称原語表記】SPENDLOVE, JARED
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】ライアン、ウェンドリング
(72)【発明者】
【氏名】チャクラバルシー、ビー.レディー
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ、オール
(72)【発明者】
【氏名】ジャレッド、スペンドラブ
【審査官】佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-512824(JP,A)
【文献】特表2011-529740(JP,A)
【文献】特開2013-176466(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/00
A61M 16/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
PPVマスクを通じた口腔ケア処置を行うための陽圧換気(PPV)口腔ケアモジュールであって、
歯ブラシまたはスワブ装置を含む口腔ケア器具であって、作業ヘッドと長尺部材とを含む、口腔ケア器具と、
PPVマスクのアクセスポートに取り外し可能に取り付けられるように構成されるPPV器具アダプタであって、前記器具アダプタが、前記PPVマスクに取り付けられるときに前記PPVマスクの前記アクセスポートと共に第1のPPVシールを形成するように構成される第1のシール面を有し、前記器具アダプタが、開口部を画定する隔壁を有し、前記長尺部材が前記開口部内に位置し、前記開口部と共に第2のPPVシールを形成し、前記器具アダプタが、前記隔壁の第1の側に内側部分を有するとともに、前記第1の側とは反対の第2の側に外側部分を有し、前記内側部分が人工呼吸器の圧力に晒され、前記外側部分が前記器具アダプタが前記PPVマスクに取り付けられるときに前記PPVマスクの外側の圧力に晒され、前記作業ヘッドが前記器具アダプタの前記内側部分に位置するとともに前記開口部及び前記長尺部材よりも大きな直径を有する、PPV器具アダプタと、 を備える陽圧換気(PPV)口腔ケアモジュール。
【請求項2】
前記作業ヘッドは、発泡体を含む、請求項1に記載のPPV口腔ケアモジュール。
【請求項3】
前記作業ヘッドの最大直径は、0.3~1.5インチの範囲内である、請求項1又は2に記載のPPV口腔ケアモジュール。
【請求項4】
前記隔壁は、前記長尺部材の関節動作を可能にする0.1インチ未満の最小厚さを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のPPV口腔ケアモジュール。
【請求項5】
前記長尺部材は、円形断面を有するチューブと、少なくとも2インチ及び12インチ未満のスライドシール面と、を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のPPV口腔ケアモジュール。
【請求項6】
前記器具アダプタは、前記作業ヘッドを収容するためのレセプタクルを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のPPV口腔ケアモジュール。
【請求項7】
前記器具アダプタは、前記ポートへの挿通の間、前記器具アダプタを保持するフィンガーグリップを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のPPV口腔ケアモジュール。
【請求項8】
前記第2のPPVシールは、前記器具が前記アダプタに対して完全伸長位置と完全引き込み位置との間の中間位置に位置されて、0.003インチから0.25インチの範囲の許容誤差で前記開口部と前記長尺部材との間の隙間によって形成される、請求項1~7のいずれか一項に記載のPPV口腔ケアモジュール。
【請求項9】
前記長尺部材は、前記作業ヘッドと流体連通する流体チャネルを含む吸引チューブを含み、前記口腔ケア器具は、吸引を取り付けるためのコネクタを更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のPPV口腔ケアモジュール。
【請求項10】
前記アダプタは、単一の射出成形部品からなる、請求項1~9のいずれか一項に記載のPPV口腔ケアモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
この出願は、2016年11月7日に出願された米国仮特許出願第62/418787号及び2017年10月4日に出願された米国仮特許出願第62/568,314号の利益を主張し、これらの米国仮特許出願のいずれも参照によりそれらの全体が本願に組み入れられる。
【0002】
本発明は、非侵襲的陽圧マスクを用いて経口アクセスを行なうための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
陽圧換気(PPV)マスクは、低い酸素飽和度、睡眠時無呼吸、及び、他の関連する呼吸器問題を伴う患者のために医療分野で現在使用される。マスクは、患者の顔面と接触するとともに陽圧を用いて顔面とのシールを形成する外周可撓性膜を含む。陽圧換気マスクの一例が、Kwokの米国特許第6,513,526号明細書に開示される。人工呼吸器と共に使用されるこれらのタイプのマスクは、陽圧気流を供給することができ、重症患者に関しては、患者に挿管する必要性又は早期の抜管を可能にする必要性を伴うことなく陽圧気流を供給することができる。
【0004】
陽圧マスクは、顔面領域の周囲で効果的なシールを要し、そのため、臨床医又はユーザが適切に配置するのが面倒となり得る。適切な位置に配置されると、マスク内の陽圧は、適切な吸気及び呼気を維持するために必要な適量の強制空気を供給することによって患者の呼吸を助ける。数時間又は数日足らずで、マスクは、口や鼻の乾燥、鼻詰まり、鼻炎又は鼻水、顔面の炎症、鼻血、粘膜組織の乾燥、唇の乾燥、呼吸器感染の危険性の増大、又は、経口気道又は経鼻気道を管理する他の困難性によって患者に不快感をもたらし得る。
【0005】
陽圧マスクは睡眠時無呼吸を治療するためにも使用される。これらの患者は、一般に重症ではないが、気道の乾燥及びマスクを外さなければ自分達の口腔にアクセスできないという不都合に見舞われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第6,513,526号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、器具モジュール、カプノメトリモジュール、噴霧器モジュール、口腔ケアキット、人工呼吸器、及び、人工呼吸器システム、並びに、これらのモジュール及びシステムを使用してPPV処置を行なう方法に関する。本発明の幾つかの実施形態は、陽圧換気マスクのアクセスポートを利用して口腔又は鼻腔へのアクセスを与える装置及び方法を含む。装置は、器具モジュールをアクセスポートに対してシールするとともにアダプタを器具に対してシールするための第1のシール面及び第2のシール面を有するPPV器具アダプタを含む。第2のシール面は、器具と第2のPPVシールを形成する開口部を画定する。器具アダプタは2つの表面を有し、これらの表面の一方側は、マスクの内側にあって人工呼吸器圧力に晒され、第2の側は、アダプタが取り付けられる際にマスクの外側にあってPPVマスクの外部の圧力に晒される。
【0008】
アダプタ内に位置される器具は、長尺なチューブと作業ヘッドとを含む。長尺なチューブ及び開口部は、第2のシールを維持しつつ互いに対してスライドする。作業ヘッドは開口部よりも大きい直径を有し、これにより、作業ヘッドが開口部を通過するのを防止する。作業ヘッドは、該作業ヘッドを患者の口腔内又は鼻腔内で使用できるようにアダプタの内側に位置される。
【0009】
器具モジュールに含まれてもよい器具の例としては、吸引スワブ、吸引ブラシ、ヤンカー、カニューレ、スワブアプリケータ、カプノメトリサンプリング装置、噴霧器装置が挙げられる。
【0010】
他の実施形態は、加圧下でシールするバルブを有するアクセスポートを伴うPPVマスクを含む人工呼吸器システムに関する。器具モジュールは、アクセスポートとシールを形成するとともにバルブも開放するように構成されるアダプタを有する。器具モジュールがアクセスポートから取り外されると、バルブは人工呼吸器の陽圧下でシールする。アクセスポート及び自己シールバルブは、PPVマスクのシェル内又はマスクのエルボコネクタ内に位置されてもよい。
【0011】
本発明の他の実施形態は吸引ブラシモジュールに関する。吸引ブラシモジュールは、吸引ブラシを含む作業ヘッドを有する。モジュールのブラシアダプタは、ブラシを収容するように構成されるレセプタクルと、レセプタクルの近位端の中央に位置される開口部とを含む。吸引ブラシは、ヘッドに接続される長尺なチューブを伴う吸引ヘッドを含む。長尺なチューブは、アダプタの開口部と吸引ブラシチューブとが軸方向に一直線に合うように近位端の中央に位置される。幾つかの実施形態において、チューブコネクタの長手方向軸は、ブラシヘッドの長手方向軸から30%、20%、10%又は5%未満だけ偏心している。
【0012】
他の実施形態は被覆ヤンカーに関する。ヤンカーは、PPVマスクのアクセスポートとシールを形成するヤンカーアダプタを有する。ヤンカーアダプタは、被覆位置でヤンカーを収容するためのレセプタクルも含む。ヤンカーは、被覆位置とヤンカーがカバーから伸長される露出位置との間で移動可能である。ヤンカーは、アダプタ及びヤンカーチューブに取り付くカバーを有するとともに、ヤンカーが被覆位置から伸長位置へ移動すると圧縮される。
【0013】
他の実施形態は、個別にパッケージングされた器具を含む口腔ケアキットに関する。各パッケージは器具モジュールを含む。幾つかの実施形態では、個々のパッケージが少なくとも2つの区画室を有するトレイを含み、それらの区画室の一方が器具モジュールを収容し、他方が口腔洗浄液を収容する。トレイは、第1及び第2の区画室の周囲でパッケージング材料とシールされ、剥離によって開放され得る。
【0014】
他の実施形態は、PPVマスクのアクセスポートに取り付くように構成されるアダプタを含むカプノメトリモジュールに関する。カプノメトリモジュールは、モジュールが取り付けられた状態のPPVマスクを着用している人の口の中へとアダプタの内側で延在する支持ハウジングを含む。支持ハウジングは、該支持ハウジングの口腔端に入口を伴うサンプリングラインを含む。サンプリングラインは、アダプタを通ってアダプタの外側部分へと至り、そこでサンプリングされた空気中のCOを測定できるカプノメトリ装置に接続する。
【0015】
他の実施形態において、カプノメトリアダプタは、被覆位置と使用のための伸長位置との間で移動する支持ハウジングを有する。支持ハウジングは、支持ハウジングがPPVマスクを着用している人の口の中に挿入されるときにPPVシールが維持されるように、アダプタと第2のスライド可能なシールを形成する。移動可能な支持ハウジングは、それが被覆位置にある(すなわち、口腔端がレセプタクル内に引き込まれる)ときに支持ハウジングを覆うためのシースを含んでもよい。
【0016】
他の実施形態は、PPVマスクとシールを形成するように構成されるアダプタを伴う噴霧器モジュールに関する。アダプタは、マスクのエルボ内又はシェル内へと延在するチューブを内側に含む。チューブの口腔端は、噴霧されたガスをマスク内又は患者の口の中へと送出する。チューブの反対側の端部は振動素子に当接する。振動素子の反対側は、噴霧されるべき流体を保持する流体リザーバと接触している。噴霧器モジュールは、振動素子を駆動するための制御モジュール、電源、及び、アダプタ内に収容されたユーザ入力装置(例えば、ボタン)を含むことができる。或いは、配線を介してモジュールを制御ユニットに接続することができる。
【0017】
本発明の他の実施形態は、換気回路から圧力入力を受けるとともにPPVマスク内の吸引器具の動作により引き起こされる圧力の変化を示す吸引圧力信号を検出する制御モジュールを有する換気システムに関する。制御モジュールは、人工呼吸器回路用の陽圧を生成する圧力生成システムを駆動するための出力信号を生成するときに検出される吸引圧力信号を使用する(例えば、吸引圧力信号はフィルタ除去される)。
【0018】
本発明の他の実施形態は、口腔ケア設定を選択するためのメニューをユーザに表示する人工呼吸器に関する。口腔ケア設定を選択する入力を受け取ると、人工呼吸器は人工呼吸器の少なくとも1つのパラメータを調整する(例えば、警報をトリガするために目標漏出速度を一時的に高く設定する)。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1A】人工呼吸器の圧力下でシールするバルブを有するエルボを含むフルフェース陽圧マスクを示す。
図1B】PPVマスク、換気回路、及び、人工呼吸器を含む人工呼吸器システムを示す。
図2A図1Aのエルボコネクタの斜視図である。
図2B図2Aのエルボの分解図である。
図2C図2Aのエルボの断面図である。
図3A図1のエルボの自己シールバルブの上面斜視図である。
図3B図3Aのバルブの底面斜視図である。
図4A】キャップを伴うがバルブを伴わないエルボを含むフルフェース陽圧マスクの別の実施形態を示す。
図4B】アクセスポートを伴うフルフェース陽圧マスクの別の実施形態を示す。
図5】スイベルコネクタを伴うエルボの別の実施形態を示す。
図6A】被覆位置にあるアダプタ内に配置される吸引スワブを示す。
図6B】部分伸長位置にある図6Aの吸引スワブを示す。
図6C図6Aと同様の吸引スワブの断面図である。
図7A】互いに対して様々な位置にある図3Aのエルボのリング及び図6Aのモジュールのアダプタを示す。
図7B】互いに対して様々な位置にある図3Aのエルボのリング及び図6Aのモジュールのアダプタを示す。
図7C】互いに対して様々な位置にある図3Aのエルボのリング及び図6Aのモジュールのアダプタを示す。
図8】アダプタがリングにロックする図7Bのアダプタ及びリングの別の実施形態を示す。
図9A】被覆位置にある図1のエルボ及び図6Aの吸引スワブモジュールの断面図である。
図9B】吸引スワブがマスクのシェル内へと部分的に伸長された状態の図9Aのエルボ及びモジュールの断面図である。
図11A】スライダスイッチを含む吸引ハンドルを示す。
図11b】閉位置にある図11Aの吸引ハンドルの断面図である。
図11c】開位置にある図11Aの吸引ハンドルの断面図である。
図12A】吸引ブラシモジュールを示す。
図12B図12Aのブラシヘッドの斜視図である。
図12C図12Aのブラシヘッドの断面図である。
図13A】被覆されたヤンカーモジュールを示す。
図13B図13Aのモジュールの作動及びアダプタの断面図である。
図13C】被覆位置にある図13Aのモジュールである。
図14】被覆されたヤンカーモジュールの別の実施形態を示す。
図15A】非被覆位置にあるスライド可能なカプノメトリモジュールを示す。
図15B】被覆位置にある図15Aのモジュールの断面図である。
図16A】カプノメトリアダプタ及びサンプリングラインの別の実施形態の部分断面図を示す。
図16B】固定支持ハウジングを有するカプノメトリモジュールの更に他の別の実施形態の部分断面図を示す。
図17A】内視鏡アダプタの斜視図を示す。
図17B図17Aの内視鏡アダプタの断面図を示す。
図18】別のスリットバルブの断面図を示す。
図19A図1のマスクとのシールを形成するように構成されるアダプタを伴う噴霧器モジュールの斜視図である。
図19B図19Aの噴霧器の断面図である。
図20A】本発明の別の実施形態に係る噴霧器モジュールの斜視図である。
図20B図20Aの噴霧器モジュールの断面図である。
図21】本発明の更なる他の実施形態に係る噴霧器モジュールの断面図である。
図22図1Aのマスクを含む陽圧人工呼吸器マイクロホンシステムのブロック図である。
図23図1Aのエルボコネクタにおけるマイクロホンモジュールの断面図である。
図24図22のマイクロホンシステムの一部の構成要素図である。
図25A】は、マイクロホン要素を伴うマイクロホン筐体を示す。
図25B】マイクロホン要素を伴うマイクロホン筐体の別の実施形態を示す。
図26】マイクロホンモジュールの他の実施形態を示す。
図27】取り外し可能な発泡体端部を伴うマイクロホンハウジングを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、陽圧マスク及び陽圧マスクに接続してこれをシールする装置に関する。装置は、マスクがシールするのに十分な陽圧及び/又は人工呼吸器が意図された換気を行なうのに十分な陽圧を維持しつつ口へのアクセスを可能にする。本発明の実施形態は、ツールを挿入するためのアクセスポート、アクセスポートをシールするためのバルブ、アクセスポートと嵌合する及び/又はアクセスポートでバルブを開くためのアダプタ、及び、アクセスポートと接続するように構成されるアダプタ内に収容され得る器具に関する。また、本発明の実施形態は、吸引スワブ、吸引ブラシ、スワブ、被覆ヤンカー、カプノメトリ装置、内視鏡装置、噴霧器モジュール、噴霧器、マイクロホン、及び、同様のものを含む、アダプタを使用してPPVマスクのアクセスポートに挿通するように特に構成される様々な器具に関する。
【0021】
アクセスポートを伴う陽圧換気マスク
本発明は、アクセスポートを伴う陽圧換気マスクを利用する。アクセスポートは、アダプタを取り付けるために選択的に開放され得る取り外し可能なキャップ又はバルブを伴う開口であってもよい。アクセスポートは、PPVマスクのシェル(マスク本体とも称される)内に又はPPVマスクのコネクタ(例えばエルボ)内に組み込まれてもよい。バルブは、スリットバルブ又は人工呼吸器の圧力下でシールするバルブ(本明細書では自己シールバルブとも称される)であってもよい。バルブは、自己復帰型(すなわち、物体がバルブを通じて引き寄せられることによって反転される際にその当初の形態に復帰する材料から形成されてそのように復帰する形態を有する)であってもよい。バルブは、マスク本体内又はバルブアダプタ内に位置され得る。
【0022】
図1A及び図1Bは、マスク本体12(本明細書中では「シェル」とも称される)を含む陽圧換気(PPV)マスク10を示す。図1Bに示されるように、人工呼吸器システム24は、マスク10、アクセスポート23、及び、アクセスポート23に接続するアダプタを含む器具モジュールを含む。また、人工呼吸器システム24は、人工呼吸器回路を形成するために可撓性ホース(図示せず)を介してエルボ26の入口30に接続する人工呼吸器ユニット21も含む。人工呼吸器は、システム内の圧力を感知するとともに圧力生成ユニット17を駆動することによって圧力を制御するために制御ユニット15により使用される圧力センサを含む。人工呼吸器のパラメータをディスプレイ17に表示することができ、また、ユーザインタフェース(図示せず)を通じて入力を受けることができる。本発明のPPVマスクと共に使用される人工呼吸器はバイレベルプレッシャー方式の人工呼吸器(或いは、連続プレッシャー方式の人工呼吸器)であることが好ましい。バイレベル換気は一般に重体患者にとって重要である。
【0023】
マスク本体12は、硬質又は半硬質材料であってもよい。マスク本体は、上側ストラップ14及び下側ストラップ16を使用して患者の頭部に固定される。ストラップ14,16はそれぞれマスク本体上のアイレット18,20に接続する。ストラップ14,16は、本体12の反対側の対応する位置(図示せず)でアイレットに接続する。ストラップはマスクを頭部に固定し、それにより、陽圧シールを得ることができるとともに、積極的な空気治療を低下させる空気漏れを引き起こし得る頭部に対するマスクの移動も回避される。 マスク本体12の外周において、マスク10は、陽圧が換気システム24からエルボ26を通じてマスク本体12の開口へと送出されるときに患者の顔面とシールを形成することができる可撓性膜(すなわち、フラップ)を含むクッション22を含む。マスク本体12のキャビティは、それと人の顔面との間に陽圧空気チャンバを形成する。この発明の目的のため、「マスク内」という用語は、人の顔面上にあるときにマスクによって画定されるチャンバを意味する。
【0024】
本発明の陽圧マスクは、キャビティを画定するマスク本体を含む。身体に取り付けられるのは、着用者の顔面と係合してシールを形成するように構成される薄膜を有する外周可撓性クッションである。陽圧を使用して患者の口及び鼻の周りをシールするのに適した膜を有するマスクは、D’Souzaの米国特許第9,119,931号明細書、McAuleyの米国特許第9,295,799号明細書、Kwokの米国特許第6,513,526号明細書、及び、PaulのD464,728号明細書、Lehmanの米国特許第6,792,943号明細書及び米国特許第8,365,734号明細書、並びに、Roseの国際公開第2017021836号パンフレットに記載されており、これらの全ては参照により本願に組み入れられる。また、マスクは、Respironics社(米国、ペンシルバニア州、マリーズヴィル)によるFDA認可のAF541マスク及び同様の特徴及び機能を有するマスクなどの交換可能な2マスクシステムも含む。
【0025】
PPVマスクは、マスク本体又はシェルを含むシュラウドモジュールを含んでもよく、この場合、シュラウドモジュールは、ヘッドギアのそれぞれのヘッドギアストラップに取り外し可能に取り付けられるようになっているヘッドギアコネクタと、呼吸チャンバを画定する硬質又は半硬質フレームを含むクッションモジュールとを含む。クッションは、患者の顔面の鼻梁領域、頬領域、及び、下唇/顎領域で患者の顔面とシールを形成する。クッションは、フレームに接続される1つ以上の比較的柔軟なエラストマー材料から構成されてもよく、フレームは、クッションよりも硬質な第2の材料から構成される。マスクは、エルボなどの空気供給コネクタ26を介して人工呼吸器21に流体的に結合されるように構成される。
【0026】
図2A図2Cは、エルボ及びバルブを更に詳しく示す。エルボ26は、上側ハウジング52及び下側ハウジング54から形成されるエルボ本体50を含む。クロススリットバルブ42などのアクセスバルブがロッキングリング46を用いて上側ハウジング52に固定される。また、エルボ26は、フラップ48を使用して開口部36を開閉する窒息防止バルブも含む。この発明の目的のため、別段に述べられ又は示唆されなければ、用語「バルブ」は、それ自体、アクセスポート23内の「アクセスバルブ」を指す。
【0027】
エルボ26は、空気送出管路を含む空気供給コネクタである。空気供給管路は、入口30と出口34との間に延在し、内部領域56a,56b,56cを含む(図2c)。バルブ42は領域56c内の空気送出管路と流体連通する。バルブ42は、開口部44と管路の領域56cとを通じて着用者の口及び鼻へのアクセスをもたらす。
【0028】
バルブアダプタ26によってもたらされる空気供給管路は、陽圧空気源(例えば、人工呼吸器21)から換気マスク10のキャビティへと加圧空気を送出するように構成される。 入口30における空気圧は、フラップバルブ48を強制的に開放させて、領域56a,56b間の流体連通をもたらす。領域56a,56b間の空気流は、シート58に着座させることによって開口部36を閉鎖するようにフラップ48を上方に押しやる。空気流が領域56a,56b間で停止する場合、フラップ48は、開口64まで降下して、空気が入口30を通じて逆流する(すなわち、領域56aから領域56bへと流れる)のを防止する。フラップ48は、人工呼吸器からの空気の供給が中断される場合には、空気を(開口部36を通じて)周囲から吸い込むことができるようにすることによって窒息を防止する。
【0029】
エルボ26は、陽圧空気供給ホース(図示せず)をエルボ26の入口30に流体接続する役目を果たす第1の圧入コネクタ28を含む。第2の圧入コネクタ32が、エルボ26の出口34をマスク本体12の入口に流体接続する役目を果たす。圧入接続部は、器具がアダプタ内に位置されて(図9B参照)バルブ42から引き出されるときに圧入がマスクに対する空気供給コネクタの接続を維持するように十分に緊密となるべく構成されてもよい。図1は、マスク12の本体上に構成されるスイベルコネクタ29を伴うマスクを示す。圧入コネクタ32は、スイベルコネクタ29の内側に配置され、空気をマスクへと送出するように十分に緊密となるべく構成される。スイベルコネクタは、スイベルを押圧する又はエルボ26を回転させるために使用されるテクスチャ加工されたフィンガーグリップ19を有する。
【0030】
エルボ26は、マスクにトルクを与えることなくエルボ26に接続されるホースの向きを変えることができるようにマスク本体12に対して旋回することが好ましい。任意のスイベル機構を使用することができる。スイベル機構は、マスク本体、エルボ、又は、それらの間の接続部に組み込まれてもよい。
【0031】
取り外し不可能な接続、ねじ山を用いた螺合、スナップ接続、固定隆起部と関連するスライド、クリップ、及び、急速解放接続を含む圧入以外の接続を使用して、エルボ26をマスク又は換気システムに接続してもよい。
【0032】
図5は、エルボがマスクとスイベル接続を形成する実施形態を示す。スイベル接続部300がPPVマスクの開口に嵌合するように形成される。また、スイベルコネクタ300は、マスク上の開口の縁部をシールするシールリム304を伴って構成される。エルボは、エルボがアクセスポートに強固に嵌合してシール状態を保つべく隆起部に嵌まり込む又はマスクの本体に装着するクリップコネクタを含む。エルボをマスクから解放するべく内側に押圧される際に屈曲する解放タブ306がクリップコネクタに取り付けられる。
【0033】
再び図2A図2Cを参照すると、エルボ26がステム38上に圧力ポート40を含んでもよい。圧力ポート40は、エルボ26内の圧力変化を監視するために使用される領域56bと流体連通する小開口を含む。圧力の変化は、マスクの着用者が吸い込んでいる又は吐き出している時期を検出するために使用され得る。バイレベルプレッシャー方式の人工呼吸器は、呼気動作中に低い圧力を供給するとともに吸気動作中に高い圧力を供給するべく圧力ポート40を使用することができる。圧力ポート40は、エルボ26と関連付けられる必要はなく、むしろ、マスク本体12内、人工呼吸器とマスクとの間のチューブ内、又は、これらの組み合わせの中に配置され得る。圧力ポート40は、検出が必要でないときに流れを塞いで止めるためにキャップ39で被覆され得る。
【0034】
エルボ26は、開口部44を伴うアクセスポート23と、ポート内に位置されるバルブ42とを有する。バルブ42は、アクセスポートに器具又はアダプタが無いときに人工呼吸器からの圧力を使用してバルブを閉じる自己シールバルブであってもよい。アクセスバルブは、バルブを伴わずに同じ最大直径開口を有するアクセスポートと比べて少ない漏れで口腔ケアを行なう又は器具を挿通するのに十分な開口直径を有する。(全開位置にある)自己シールバルブの開口の直径は、少なくとも5、10、15又は20mm(0.2、0.04、0.06、0.08インチ)及び/又は50、40、30、25又は20mm(2、0.16、0.12、0.1、0.08インチ)未満及び/又は前述の範囲内(開口の断面に基づき開口の高さ及び/又は幅において)であってもよい。開口のこれらの直径は、少なくとも4、5、8又は10cmHO及び/又は30、25、20、15cmHO未満又は前述のエンドポイントのいずれかの範囲内の圧力下で自己シールするバルブを用いて達成され得る。
【0035】
幾つかの実施形態では、アクセスバルブ42の開口が1つ以上のスリットによって与えられる。スリットの長さが最大開口幅を与えてもよい。幾つかの実施形態では、バルブが複数のスリットを含む。幾つかの実施形態では、バルブが2つのスリットを含むことができ、スリットが交差スリットを形成してもよい。
【0036】
圧力下での自己シールを容易にするために、アクセスバルブ42は、圧力が押圧作用する内側に傾斜する壁又は凹面を有してもよい。バルブ42は、ダックビルバルブ又はドーム型バルブであってもよい。図3A及び図3Bは、交差スリットを伴うダックビルバルブを示す。バルブ42は、リム58、支持壁66、及び、複数のリーフレット62a~62dを有する。図3Aの上面図に見られるように、リーフレットは、それぞれバルブの人工呼吸器の吐出側に対して凹状であり、スリット60a,60bで開窓を形成する。リーフレット62は、バルブの外側から器具又は器具アダプタによって押し開かれてバルブの内側からの圧力によって一緒に押圧されるように構成される。ダックビルバルブは、4つのリーフレットを伴って示されるが、単一のリーフレットを有してもよく(すなわち、硬質壁に対するシール)、より好ましくは少なくとも2、3、4又はそれ以上のリーフレットを有する。図3Bに示されるように、リーフレット62の凹面は、交差スリットの中心付近で交わる幾何学的形態を有する。例えば、リーフレット62bの凹面はポイント64付近で交わる。器具又はアダプタが挿入されると、リーフレット62bが押し出され、ポイント64が中心交差部から離れるように移動し、それにより、バルブが開く。バルブ42を形状記憶を有するエラストマー材料から形することができ、それにより、器具又はアダプタを取り外すと、圧力がリーフレットをシールできるように装置がその凹面の少なくとも一部を回復する。
【0037】
ドームバルブが使用される場合、ドームは、中心開口で薄く且つ縁部に向かってより大きい厚さまで先細るテーパ状の厚さを有してもよい。テーパは、開窓の中心縁部と比べて開窓/スリットの側縁部における厚さの1.2倍、1.5倍又は2倍を超える厚さの変化を含んでもよい。テーパは、バルブが中心でより容易に開くことができるようにしてもよい。
【0038】
好ましい実施形態において、バルブは、それが反転されるようになればそれ自体を元に戻す(すなわち、自己復帰すると)。本発明の目的のため、自己復帰型バルブは、反転される際にバルブをその自己シール位置に戻させる材料及び形態を有する(例えば、形状記憶を有するエラストマー材料)。したがって、器具がバルブから引き抜かれ、リーフレット又は他の構成要素が反転されれば、力が取り除かれた時点で、自己復帰型バルブがその自己シール位置に戻る。必須ではないが、バルブは、自己復帰を容易にするために凹状であってもよく及び/又はシリコーン材料(又は類似のポリマー、エラストマー、イソプレン、ニトリルゴム、ブチルゴム、又はシリコーンのような材料)から形成されてもよい。1つの実施形態において、バルブは、その中心に5、4、3又は2mm未満の厚さの材料の層を含む。
【0039】
アクセスバルブ42及び/又はアクセスバルブ42、窒息防止バルブ40、及び、マスク12の1つ以上の組み合わせは、マスクが少なくとも5、10、15cm HO及び/又は25、20又は15cmHO未満又は前述の範囲内の空気圧下にあるときに毎分70、50、40、30又は25リットル(「lpm」)未満及び/又は2、5、7又は10lpmを超える及び/又は前述の範囲内の漏出速度を有するように構成されてもよい。この発明の目的のため、漏出速度は、ISO規格17510(2015)にしたがって測定される際に5cmHOの圧力で測定される。
【0040】
幾つかの実施形態において、バルブは、バルブを通る器具又は器具アダプタの挿入を容易にするために生体適合性潤滑剤を含んでもよい。また、アクセスバルブ及び/又は潤滑剤は抗菌剤(例えば、クロルヘキシジン)を含んでもよい。幾つかの実施形態において、バルブアダプタは、バルブが使用されていないときにバルブ42への開口を覆うダストキャップを有してもよい。
【0041】
図4Aは、図1のエルボ26のアクセスバルブ42を含まないエルボ426を伴う別の実施形態を示す。エルボ426は、アダプタが取り付けられる及び/又は開口部44を挿通して配置されるときに開口部44をシールする器具アダプタを受けるように構成される開口部44を含む(図7A図7C参照)。エルボ426のアクセスポート23は非使用時にポートをシールするバルブを有さないため、エルボ426は、空気漏れを防止してマスクと顔面との間の空気圧を維持するべく開口部44を覆って又は開口部44内に配置され得るシールキャップ49を含む。
【0042】
図4Bは、エルボコネクタの代わりにアクセスポート23をシェル12bに組み込むシェル12bを有するマスク10の別の実施形態を示す。シェル12bは、アクセスポート23とは別個のエルボコネクタ27を有する。エルボコネクタ27は、加圧空気をマスクに供給し、PPVマスクで使用されるエルボコネクタに関して当技術分野で知られている任意の特徴を有してもよい。図1のマスク10と同様に、バルブ42は、マスク10内の陽圧を利用してアクセスポート23をシールする。アクセスポート23をエルボコネクタとは別個にマスクに配置することにより、エルボ27を図1のエルボ26よりも小さくすることができる。
【0043】
また、シェル12b内のアクセスポートは、図4Aのアクセスポート423に示されるようにバルブを伴わずに構成されてもよい。更に、アクセスポート23(バルブを伴う又は伴わない)は、患者の口又は鼻への直接的な外部アクセス(すなわち、マスクを介した口又は鼻へのアクセス)を可能にするシェル12b上の任意の場所に配置され得る。
【0044】
また、図4Bは、マスク本体12bの隣接部の材料よりも可撓性がある可撓部106を伴うマスク本体12bを示す1つの実施形態も例示する。可撓部106は、アクセスバルブ42に挿通配置される器具アダプタのためのより大きな関節動作及び移動をもたらし、並びに、クッション22によって形成される顔面周囲のシールの維持において支持及び可撓性をもたらす。シェル12bの可撓部106を図1A及び図4Aに示される実施形態のマスク本体12Aに組み込むこともできる。別の実施形態において、図1A又は図4Aのスイベルコネクタ29は、マスク12の本体よりも可撓性が高いように構成され得る。可撓性のエルボコネクタは、参照により本願に組み入れられる米国特許第8,302,605号に更に記載されている。更なる他の実施形態において、アクセスポートは、参照により本願に組み入れられるKumarの米国特許出願公開第2003/047189号明細書に記載されるバルブなどのアイリスバルブであってもよい。
【0045】
陽圧を維持する器具、アダプタ、モジュール、及び、キット:本発明の幾つかの実施形態は、器具アダプタを含む器具(例えば、スクラブブラシ、吸引装置、COサンプリングライン、噴霧器、マイクロホン、ヤンカー、及び、バイトブロック)に関する。器具アダプタを器具と結合して器具モジュールを形成することができる。器具アダプタは、マスク内の圧力を維持しつつ器具がPPVマスクのアクセスポートを通過できるようにする。例えば、吸引スワブ器具を器具アダプタと結合して吸引スワブモジュール(図6Aを参照)を形成することができ、吸引スワブモジュールは、アクセスバルブ42内に挿入された後、(図9Bに示されるように)マスク内の陽圧を維持しつつ患者に対して口腔ケアを行なうべく使用され得る。
【0046】
器具アダプタは、アクセスポート、好ましくは人工呼吸器からの圧力下でシールするアクセスバルブ(例えば、本明細書中に記載される自己シールアクセスバルブ及び自己復帰型アクセスバルブ)を含むアクセスポートと協働するように構成されることが好ましく、また、アクセスバルブを密封するべく係合するように構成される。器具アダプタと結合される器具は、様々な器具モジュールを形成するために吸引ブラシ、歯ブラシ、吸引チューブ、COサンプリングライン、噴霧器、マイクロホン、内視鏡装置を含むことができるが、これらに限定されない。アクセスポート又はアクセスバルブを伴う1つのマスクを使用して様々な器具モジュールを患者に提供することは重要となり得る。これは、マスクが配置されるときに患者に対して行なわれる必要があるかもしれない特定の処置が知られていないからである。異なる処置のために多数の異なる器具を受けることができるマスクにアクセスポート又はバルブを設けることにより、患者は、自分達の症状に必要な所望のケア又は処置を受けることができる。これは、特にPPVマスク又はエルボを取り外すことが臨床的に望ましくない場合には、マスク又はエルボを取り外す又は交換する必要なく行なうことができる。
【0047】
器具アダプタ:器具アダプタにおけるシーリング構造は、PPVマスク内のアクセスポート及び器具の一部の両方と係合してこれらに対してアダプタをシールするシール面をもたらす。シール構造は、壁、リブ、面取りシート、膜、ガスケット、或いは、アクセスポート又は器具に対してアダプタをシールするという機能を果たすのに適した他の構造であってもよい。
【0048】
1つの実施形態では、図7A図7Cに示されるように、器具アダプタが、口腔端78から近位端79まで延在するハウジング76(本明細書中では「本体」とも称される)を含む。ハウジングは、(その外周に)シール面72を含むとともに、ハウジング76の内側にハウジング部材74を含み、ハウジング部材74は、アダプタを外側部分75と内側部分77とに分ける。内側部分77は、シール面72及びハウジング部材74から口腔端87へ向けて延在する。内側部分は、アダプタがアクセスポートに取り付けられる際に人工呼吸器の圧力に晒されるアダプタの側にある表面を含む。外側部分は、シール面72及びハウジング部材74から近位端79へ向けて延在する。アダプタの外側部分は、マスクの外部の圧力(すなわち、周囲圧力)に晒される表面を含む。
【0049】
シール面72は、PPVマスク10に取り付けられる際にアクセスポート(例えばアクセスポート23)とPPVシールを形成するように構成される。図7A図7Cは、明確にするためにアクセスポートの残りの部分が取り外された状態でエルボ26のリング構造の係合を示す。図7Aは、アダプタが部分的に挿入された状態のリング46を示す。図7Bは、完全に着座されてリング46でシールされるアダプタ70を示す。図7Cは、リング46から完全に取り外されたアダプタ70を示す。
【0050】
図7B図7Cとの比較から最もよく分かるように、リング46及びアダプタ70が完全に着座され又は係合されると、シール面72がリング46の壁84及び面取り構造85と係合する。シールは、壁84の直径及びシール面72を形成する管状ハウジング76の表面の公差から形成される。シールは、開口部44を通じてスライドする管状構造体上にシールが形成されるスライド可能なシールであってもよい。
【0051】
幾つかの実施形態において、シール面72は、リングの面取り部85と嵌合する面取り構造であってもよい。面取り部は、0.1又は0.05インチ未満の直径を有するリブに形成されてもよい。シール構造からアダプタの口腔端まで測定されるアダプタの長さは、少なくとも0.3、0.6、1.2、2.4又は5インチ及び/又は8、6、4、2、1.5、1、0.6又は0.3インチ未満及び/又は前述のエンドポイントのいずれかの範囲内である。PPVシールは、0.02、0.015、0.01、0.006又は0.003未満及び/又は0.0、0.001、0.002、0.003、0.005、0.006、0.01インチを超える又は前述のエンドポイントの範囲内の隙間を有するアダプタの表面とアクセスポートの表面との間に形成されてもよい。アダプタの内側部分は、3、2、1.5、1.2又は0.6インチ未満及び/又は0.3、0.6、0.8、1.0、1.5インチを超える及び/又は前述のエンドポイントの範囲内の最大外径又は最小外径を有してもよい。特にアクセスポートがその内部にバルブを有する場合には、アクセスポートからのアダプタの取り外しを容易にするために適切な隙間を選択することが重要となり得る。幾つかの実施形態では、アダプタがPPVシールを形成することができ、また、アダプタを握ることなく器具を引き出してアダプタをスライドさせることによってアダプタを取り外すことができる。
【0052】
また、アダプタ70は器具開口部も含み、該器具開口部を通じて器具の長尺部材(例えばチューブ)がスライド可能にシール可能である。ハウジング部材74は、器具の長尺部材を受けるための器具開口部を画定してもよい。器具開口部81は、器具の一部でシールするように構成される。
【0053】
器具開口部はチューブ内の隔壁であってもよい。ハウジング部材がアダプタのハウジング壁と共に射出成形されてもよく、これにより、シールを形成するために別個の構造を組み立てる必要性が回避される。出願人は、驚くべきことに、小さい開口部を伴う射出成形ハウジング部材が十分なPPVシールを形成してチューブのスライド及び関節動作を可能にし得ることを見出した。長尺部材の十分な関節動作を確保するために、器具開口部に隣接するハウジング部材は薄くなければならない。開口部を形成して長尺部材と係合するハウジング部材は、0.5、0.1、0.05、0.01インチ未満及び/又は0.005、0.01、0.02又は0.04を超える及び/又は前述のエンドポイントのいずれかの範囲内の最大厚及び/又は最小厚を有してもよい。
【0054】
アダプタ70は、該アダプタの内側部分に形成されるレセプタクル86を含んでもよい。レセプタクルは、作業ヘッドのためのカバーを備えてもよく、及び/又は、作業ヘッドが挿入された状態で器具のシャフトを左右に関節動作させるためのスペースを備えてもよい。レセプタクル86は、アダプタの内側部分に関して前述したような寸法を有するキャビティを画定してもよい。器具は、バルブを通じて挿入される際に器具を保護することができる。例えば、自己シールバルブを伴うマスクに器具アダプタを結合する際、器具アダプタは、スポンジなどの圧縮性材料を収容するためのレセプタクルを有してもよい。レセプタクルは、吸引スワブモジュールをアクセスバルブから引っ込める際にスポンジがバルブによって締め付けられるのを防止できる。レセプタクルは、材料を圧縮させることなく自己シールバルブを通じたアクセスをもたらしてもよい(図9A及び図9B参照)。
【0055】
アダプタ本体と一体のハウジング部材に関して本発明を説明してきたが、第1のシールに関して前述したシール機構を含む他のシール機構を使用できることが分かる。1つの実施形態において、器具アダプタは、器具の一部の周囲をシールするように寸法付けられて構成される可撓性膜を有してもよい。可撓性膜は、膜を屈曲させることによりポートを通じて器具を操作できるようにする。
【0056】
装置のユーザは、アダプタ70の外側部分75にある垂直グリップタブ83を握ることによってアプリケーションモジュールをアクセスポート内又はアクセスバルブ42内へ配置できる。アダプタ70のレセプタクル86は、ロッキングリング46の開口部44に挿通配置されて、(図9Aに示すように)アクセスバルブ42内に入る。レセプタクル86がロックリング開口部44を通じてスライドすると、図7Bに示されるように水平タブ82がロッキングリング46の表面に対して接触する。この接触は、口腔ケアをもたらしつつ安定性のための一時的な固定プラットフォームを形成し、或いは、他の処置がPPVマスクを通じて行なわれる。この表面接触は、戦術的及び視覚的な接続ももたらし、アダプタが適切に配置されているというフィードバックをユーザに与える。
【0057】
本発明の器具アダプタは、リング46に対するロック機構及びリング46に対する解放可能なロックを含んでもよい。バヨネット、スナップ接続、圧入などを含む任意のロック機構が使用されてもよい。ロックは、器具アダプタをバルブアダプタに固定する。ロック機構は、それぞれのロックリング及び器具アダプタにおける雄構成要素及び雌構成要素を含んでもよい。図8は、バヨネットロックを形成するためにリング46のロック機構134(雌構成要素)の下方で横方向に延在するタブ132(雄構成要素)を有するアダプタ130を示す。また、雄構成要素134は、ロック機構が(例えばタブをスロット内にねじ込むことによって)完全に係合されるときにタブ132における対応する機構と係合するべくバンプ機構を含んでもよい。バヨネットロック機構が望ましい。これは、ユーザが、そうすることが望ましい場合には、依然として器具アダプタをロック機構と係合することなくバルブアダプタ内に挿入できるからである。その後、ロック機構はねじることによって容易に外れる。バヨネット機構は、膜に作用する陽圧力に抗する回転機構も有し、これにより、ロック機構を機能させなくする圧力が回避される。
【0058】
また、図8は、ロック機構134に必要な金型アンダーカットに対する直線的な引張りで成形され得るロックリングを示す。例えば、リング46は穴136を含む。
【0059】
図9A及び図9Bは、ロッキングリング46を通過してアクセスバルブ42に入る吸引スポンジモジュールを示す。レセプタクル86がアクセスバルブ42を通過すると、レセプタクル86は、スリット60を開放させるとともにリーフレット62を曲げてレセプタクル86を収容する開口をバルブ42内に形成し、それにより、内部にスポンジ部94が収容される。レセプタクル86は器具アダプタ70の挿入部を形成する。
【0060】
レセプタクル86は、器具表面部材74及びアダプタ開口部81とは反対側の開口端を有する。開口端は、器具のスポンジ部又はブラシ部94(例えば、又は様々な器具の他の部分)が自由に通過できるようにするべく構成される。レセプタクル86の開口端は、5、10、15又は20cmから及び/又は40、35、30、25、20又は15cm未満の範囲ない及び/又は前述のいずれかの範囲内の直径を有してもよい。また、レセプタクル86は、完全に挿入されたときにバルブ42のリーフレットを越えて延在してもよい。また、図9A及び図9Bは、マスク10のスイベル29及びシェル12も示す。図9Bに示されるように、作業ヘッド(スポンジ94)は、シェル12を越えてそれを遠位方向に(すなわち口腔に向かって)挿入することによってマスク10内に挿入される。器具を更に動かすと、マスク10を着用している人の口腔内にブラシ94がアダプタを取り付けた状態で配置される。
【0061】
本発明の幾つかの実施形態はレセプタクルを利用するが、本発明の幾つかのアダプタはレセプタクルを必要としない。例えば、バルブを有さないアクセスポートと嵌合する器具モジュール(例えば、図4A)は、場合によってはレセプタクルの利益を享受しないかもしれない。図10は、器具ヘッド139を実質的に覆うレセプタクルを欠くアダプタ130を示す。ハウジング140は、シール面を与えるが、ヘッド139を保護するのに十分な程度に口端に向かって延在しない。
【0062】
口腔ケア器具及びモジュール:図6A図6Cは、口腔ケア吸引スワブ及び器具アダプタと組み付けられる吸引スワブモジュール71の一例を示す。吸引スワブは、シャフト88、ハンドルコネクタ90、ハンドルコネクタポート97、及び、スクラブ部94を含む。
【0063】
シャフト88は、吸引開口部98から出口92まで延在する吸引チャネル100を有する。吸引開口部98と出口92との間の流体経路は、ハンドルコネクタ90及びハンドルコネクタポート97と流体連通している。開口部98を通じた吸引は、吸引源に接続される吸引ハンドル(図11A)にハンドル接続ポート97を挿入することによって行なうことができる。
【0064】
幾つかの実施形態において、器具は、マスク、アクセスポート、及び/又は、アダプタの深さによって加えられる付加的な距離に合わせるべく対応する伝統的な器具よりも長いシャフトを有する。
【0065】
図9Aを参照すると、使用時、バルブアダプタ70は領域56cでマスク本体12と流体連通し、入口30でベンチレータからの陽圧空気供給と流体連通し、また、フラップバルブ48は、入口30と出口34との間の管路を開くために上方に移動する。
【0066】
膜74が吸引ブラシ80のシャフト88の周囲でシールを形成する間、スクラブブラシ器具80をバルブアダプタ26の領域56cを通じて患者の口の中へと進めることができる。レセプタクル86は領域56c内の空間を完全に塞がないため、空気流、したがって陽圧は、マスクと患者の顔面との間のチャンバを加圧し続けることができる。流体をスポンジ94内で口に供給することができ、また、吸引ブラシ80を介して口から流体を除去するために吸引を使用することができる。膜74は可撓性があるため、吸引ブラシ80は、依然として比較的良好なシールを保ちながら、異なる方向に操作され得る。
【0067】
スポンジ94を除去するために、スポンジ94が再びレセプタクル86内に収容されるまでスクラブブラシ80が引き込まれる。バルブアダプタ70がバルブ42から取り外され、また、バルブ42のリーフレット62を押圧する領域56c内の陽圧空気からバルブ42が自己シールし、それにより、スリット60が閉じられる。ユーザがスポンジ94をレセプタクル86内に完全に引き込まず、スポンジがリーフレット62に引っ掛かりバルブが反転させられれば、陽圧換気に関して本明細書中に記載される圧力下でリーフレット62の形態及び弾性材料がそれ自体を復帰させる(すなわち自己復帰)。
【0068】
口腔ケア吸引ハンドル:図11A図11Cは、スワブブラシ80などの吸引器具104と共に使用するように構成される吸引ハンドル122の実施形態の一例を示す。吸引ハンドル122は、ハンドル122の遠位端に器具コネクタ124を含むとともに、ハンドル122の近位端に吸引コネクタ126を含む。流体を吸引コネクタ126に向けて送出するために流体チャネル132がコネクタ124,126間で延在する。スライダスイッチ128が2つの位置(図11Bでは閉じられ、図11Cでは開放して示される)の間で移動可能である。フラップ134が閉位置でチャネル132を横切って延在する(図11B)。開位置では、スライダが前方に移動され、フラップ部134がもはやチャネルを横切らず、それにより、流体を吸引するための開放管路がもたらされる。本発明の他の実施形態は、オンオフスイッチ及び吸引ポート(例えば、親指ポート)(図示せず)の両方を含む器具ハンドルに関する。図11Cは位置136を示し、この位置では、スライダボタン128の前方でハウジング130内に吸引ポートを配置するべくチャネル132に垂直なチャネルを形成できる。オンオフスイッチは、装置が使用されていないが吸引源に接続されているときに吸引をオフにできるようにする。吸引ポートにより、ユーザは、ポートを覆ったり露出させたりすることによって使用中に吸引のオンとオフを切り替えることができる。ポートが指や他の物により覆われない場合、患者への吸引は初期設定でオフになっている。初期設定のオフ位置は、コネクタ126を介した吸引と比べて短い吸引ポートまでの経路長によってもたらされる。吸引ポートが指又は他の物体によって塞がれると、吸引力がコネクタ126に伝達される。
【0069】
吸引ブラシモジュール:本発明の幾つかの実施形態は吸引ブラシモジュール140に関する。モジュール140は、押し出しチューブ143の形態を成す長尺部材を含むブラシ器具142を含む。チューブ143は、近位端で吸引コネクタ146に接続され、遠位端(すなわち口腔端)でブラシヘッド148に接続される。ブラシヘッドは、マスク10(図1A)に接続してマスク10とシールを形成するように構成されるアダプタ144内に収容される。
【0070】
チューブ143は、モジュール140が取り付けられた状態でブラシヘッドがマスク10を着用している患者の口の中に挿入されるときにより大きな関節動作を可能にする屈曲部145を含む。チューブ143は、前述のようにチューブ143とアダプタ144の開口部との間のシールを容易にするために一定の外径を有してもよい。ブラシヘッド148は、アダプタ144のレセプタクル内に収容されており、前述の吸引スワブモジュールと同じ態様でアダプタ144にスライド可能に接続される(図6A図6C及び図9A図9B)。
【0071】
図12B及び図12Cはブラシヘッド148を更に詳しく示す。ブラシヘッド148は、ヘッド本体154の表面170上に狭い間隔で配置された複数の剛毛を有する。剛毛は、ヘッド154内に配置されるタイプのものでもよく、或いは、ヘッド154を有する単一の射出成形部品であってもよい。剛毛を射出成形するための方法は、参照によりその全体が本願に組み入れられるMeadowsの米国特許出願公開第20090007357号明細書に開示される。スポンジは、剛毛150の反対側でヘッド本体154に取り付けられる。チューブ143を接続するためのチューブコネクタ152がヘッド154に形成される。チューブ143は、任意の適切な接合方法を使用して圧入され、溶剤接着され、又は、接続され得る。コネクタ152は、チューブをより中心に位置させることができるようにするべく表面170の上方に隆起される上部168を有する。チューブコネクタ152は、少なくとも0.05、0.1、0.15又は0.2及び/又は0.5、0.3、0.25又は0.2インチ未満或いは前述のエンドポイントのいずれかの範囲内の深さを有することができる。
【0072】
図12Cはブラシヘッド148の断面を示す。ブラシヘッド148は、口腔端(すなわち、遠位端)にある吸引ポート158及びスポンジ156を貫通する第2の吸引穴160を含めて、複数の吸引ポートを含んでもよい。吸引穴は、コネクタ152に取り付けられる吸引チューブと流体連通している。
【0073】
穴160,158からの流体チャネルは、チャネル162のロフト部又は上向き傾斜部を介して接続され得る。
【0074】
アダプタ144のレセプタクル内でのヘッドの配置を容易にするために、コネクタがヘッド148に対して中央に位置されるのが好ましい。ヘッド148は中点164を有し、コネクタ152は中点164と一直線に合わせられる長手方向軸166を有する。幾つかの実施形態において、チューブコネクタの長手方向軸は、幅及び/又は高さが30%、20%、10%又は5%未満だけブラシヘッドの中点から偏心している(ここで、高さは図12C示にされる寸法であり、幅は示される断面に対して垂直である)。
【0075】
被覆ヤンカー:本発明の幾つかの実施形態は、陽圧換気マスクのアクセスポートと接続するように構成されるアダプタを有する被覆吸引モジュール(例えば、ヤンカー)にも関連する。吸引モジュール172は、吸引器具アダプタ180にスライド可能に接続される吸引器具174を含む。吸引器具174は、複数の屈曲部178a~178bを有するチューブ176を含む。チューブ176は、吸引装置を吸引ハンドル又は他の吸引源に接続するために近位端で吸引コネクタ184に接続される。シース182(本明細書中ではカバーとも称される)がアダプタ180及びコネクタ184に接続される。アダプタ180が引き戻されて作業ヘッドである吸引チップ188が露出されることにより、シース182が束ねられる。シース182は、コネクタ184に溶着されるが、テープなどの他の手段又はシースを挟むスナップ接続などの物理的接続によって接続することもできる。
【0076】
吸引チップ188が複数の吸引穴190a、190b、190c(190cは図示せず)を含む。また、吸引ヘッドは、図13B及び図13Cに示されるように引き込み位置に配置されるとチップ188をアダプタ180のレセプタクル204内に保持する保持機構(リブ192a~192c)も含む。図13Bは、チップ188を更に詳しく示す断面図である。リブ192a,192cは、ハウジング部材198に対する締まり嵌めの状態で示され、ハウジング部材198は、チップ180の周囲にリングを形成するとともに、リブ192と係合して所望のレベルの保持をもたらす。幾つかの実施形態では、チップ188が複数のリブを含む。付加的なリブを使用して、ハウジング部材198の開口部においてより大きな安定性をもたらしてもよく、或いは、望ましくない引き抜きに対する抵抗を高めてもよい。リブ192は、ハウジング部材198へのリブの移行を滑らかにする傾斜面202を有してもよく、これにより、引き抜きに抵抗する干渉がもたらされる。チップ180がハウジング部材198の開口部を通じて完全に引き抜かれるのを回避するために、ストッパ機構200をチップ180に配置することもできる。
【0077】
シース182は、該シースが引き込み位置にあるときにチューブ174のためのカバーをもたらす。シース182は、挿入体194及びクランプリング196を用いてアダプタ180に接続されてもよい。挿入体194は、アダプタの壁と接続するように構成される。 シース182は挿入体194の一部を覆うように配置され、また、クランプリング196は挿入体194に対してクランプシース182に適用される。シース182の端部を挿入体194上にクランプしてシースをアダプタ180上に保持する摩擦嵌合又は「スナップオン」機能をもたらすためにクランプリング196上のバンプ218が挿入体194上のバンプと係合する。
【0078】
図13Cは、被覆位置にある吸引モジュール172を示す。被覆位置では、チップ188がレセプタクル204内に収容され、シース182が伸長される。被覆位置では、モジュール172を表面上に配置することができ、チップ188が表面との接触及び汚染又は表面汚染から保護される。モジュール172は、患者のベッドサイドに保管することができ、また、必要に応じて、コネクタ184をアダプタ180に向けて前進させてチップ188をハウジング部材198から解放するとともにシース182を圧縮することによってチップ188をレセプタクル204から取り出すことができる。
【0079】
図14は、吸引装置のシース及びアダプタの別の実施形態を示す。吸引モジュール220は、マスク10のアクセスポートとシールを形成するように構成されるアダプタ206を含む。アダプタ206は、その外側部分に管状グリップ216を含む。シース208の端部214が管状グリップ218の外面に取り付けられる。取り付けは、熱溶着、テープ、又は、他の適した接続であってもよい。端部212は吸引ハンドルコネクタ212に接着される。接続は、熱溶着、テープ、又は、任意の他の適した接続(例えば、モジュール172の挿入体194及びリング196のような挟持嵌合)であってもよい。
【0080】
前述の吸引装置は、本明細書中に記載される特徴のいずれかを伴うアダプタを有してもよく、バルブを有する又はバルブを有さないアクセスポートで使用されてもよい。
【0081】
カプノメトリ:本発明の幾つかの実施形態は、PPVマスク(例えば、マスク10)のアクセスポートに接続するとともにカプノメトリサンプリングラインをマスク内に及び/又はマスクを着用している患者の口腔内に導入できるようにするアダプタを有するカプノメトリモジュールを含むカプノメトリシステムに関する。カプノメトリモジュールは、人工呼吸器の圧力を維持しながら呼気終末COを正確にサンプリングするとともに呼気終末CO濃度を測定するべくCOサンプルをカプノメータに送出するために使用され得る。
【0082】
図15Aは、PPVマスクのアクセスポートに取り付くように構成されるアダプタ224を含むカプノメトリモジュール222を示す。アダプタは、前述の器具アダプタの特徴のいずれかを有することができ、また、前述のような任意のアクセスポート(例えばバルブを伴う又は伴わない)と共に使用され得る。モジュール222はカプノメトリ器具226を含む。カプノメトリ器具226は、外側サンプリングライン230bと隣接する内側サンプリングライン230a(総称してサンプリングライン230と呼ばれる)を支持して収容する支持ハウジング228を有する。ケーシング232がハウジング228の口腔端に位置される。ケーシング232は、サンプリングライン230の最遠位部を形成する入口を画定する。
【0083】
また、ケーシング232は、支持ハウジング228の内部と流体連通する開口を口腔端に含む。ハウジング228は、空気がハウジング228に出入りできるようにするとともに空気のためのバイパスとしての役目を果たす一連の穴(例えば、穴234で終端する一連の6つの穴)を含む。
【0084】
穴234,250によってもたらされる多孔性は、使用中に患者がハウジング228の周囲の自分達の唇をすぼめながら呼吸できるようにする。穴234は、取り付け時及び使用時に少なくとも1つの穴が患者の口の外側に且つマスク内に位置されるように構成され、それにより、患者は、自分達の口をハウジング228の周囲で閉じた状態で支持ハウジング228を通じて呼吸できる。口の中に位置される穴250又は穴234の一部を移動する空気は、口の外側であるがマスクの内側にある穴234の部分を介して空気をハウジング228を通じてマスク内へと送出する。試験により、最良のCOサンプリングは、陽圧マスク内の圧力を維持しながら、外側チューブの周囲で唇を閉じてバイパス穴を通じて吐き出すサンプリングによって生じることが分かった。
【0085】
アダプタ224は、その外側部分に、シース238の遠位端240を接続するために使用されるチューブ部分236を含む。シース238は、チューブ部分236に熱溶着され、テープ留めされ、又は、他の方法で接続され得る。シース238の近位端242は、熱溶着又はテープなどの任意の適した接続を使用して近位コネクタ244に取り付けられる。コネクタ244は外部チューブ230bとシールを形成する。外部チューブ230bは、呼気終末CO(図示せず)を測定するのに適したカプノメトリシステムに接続するサンプリングラインコネクタ246を含む。コネクタ246は、COを正確に測定できるカプノメトリシステムにカプノメトリサンプリングラインを取り付けるために圧入、ルアーロック、専用コネクタ、又は、任意の適したコネクタであってもよい。本発明のモジュール222と共に使用され得る適したカプノメトリシステムの一例は、参照によりその全体が本願に組み入れられる米国特許第5957127号に例示されている。カプノメトリ器具モジュール222に取り付けられ得るカプノメトリ装置の他の例は、Medtronic(商標)(ミネソタ州ミネアポリス)によるCapnostream(商標)35携帯型呼吸モニタである。
【0086】
別の実施形態では、カプノメトリシステムをその近位端で又は外側部分で支持ハウジング228に組み込むことができる。ハウジングに組み込まれるカプノメトリシステムの一例は、参照によりその全体が本願に組み入れられる米国特許第20050245836号に示される。カプノメトリ器具モジュール222の支持ハウジング228に組み込まれ得るカプノメトリ装置の更なる例は、Masimo、Inc.によるEMMA Mainstream Capnometerである。(カリフォルニア州アーバイン)
図15Bは、アダプタ224と支持ハウジング228との間の接続を示す図15Aのカプノメトリモジュールの断面図である。アダプタ224は、支持ハウジング228に対してスライド可能にシールする開口部229を含む。支持ハウジング228は、ハウジング228が開口部229に沿ってスライドしてシールを維持できるようにするべく比較的一定の直径を有することができる。好ましくは、隙間は、本発明の他の器具に関して前述したような範囲内にある。図15Bは、引き込み位置又は被覆位置(すなわち、アダプタ224のレセプタクル231内に引き込まれた位置)にある作業ヘッド(入口248を有するケーシング232)を示す。入口248が被覆位置にある状態では、シース238が伸長される(すなわち、もはや束ねられない又は殆ど束ねられない)。被覆位置において、穴234の一部は、ハウジング228とシールを形成する開口部229よりも近位側にある。しかしながら、シース238は、マスク内の圧力が開口部224によって維持されるようにシールされ得る。
【0087】
図15Bに示されるように、ケーシング232は、ハウジング228内の中央位置にライン230を支持する。この位置は、唾液がポート248に吸い込まれないようにするのに有益である。入口が支持ハウジングの内部にある場合には、入口248の他の構成を使用することができる。サンプリングラインへの入口は、50、25、10又は5mm未満或いは0、5、10、15mmを超える及び/又は前述の範囲内だけハウジングの口腔端付近に位置されてもよい。
【0088】
図16Aは、本発明の別の実施形態に係るカプノメトリモジュール223の断面図である。モジュール223はサンプリングライン230を伴う支持ハウジング228を含む。ケーシング232は、ガスがハウジング228内に流入できるようにするための穴233を示す。モジュール223は引き込み位置又は被覆位置で示される。モジュール223は、挿入体241と、ヤンカー挿入体に関して前述したのと同様の態様でシース235を取り付けるクランプリング237とを含む。
【0089】
図16Bは、アダプタ249に対して固定されたハウジング245を有するカプノメトリモジュール247を描く。固定ハウジング245は、アダプタ249のハウジングコネクタ251に結合される。また、コネクタ251は、サンプリングライン230が通過する開口部253aも含む。サンプリングライン及び開口部253aはPPVシールを形成する。また、アダプタ249は、マスク10のアクセスポート23とシールを形成するシール構造253bも有する。ハウジング245の長さは、マスク10のアクセスポート23に取り付けられるときに口腔端245aを患者の口内に配置するように構成される。ハウジング245は、自己シール及び/又は自己復帰型バルブ(例えばバルブ42)に挿通されるように構成され、或いは、バルブ又は取り外し可能なキャップを有するポートなどのマスクの他のポートを通じて導入されてもよい(図4A又は図4B)。
【0090】
支持ハウジングに関する前述の実施形態において、ハウジングは、口の中に挿入されるのに十分な剛性を有する。幾つかの実施形態において、ハウジングは、患者がサンプリングラインを噛み切るのを防ぐためにバイトブロックとしての機能を果たすべく十分に硬質であってもよい。支持ハウジングは、口の輪郭をたどるべく或いは患者の口蓋付近に入口を配置するべく屈曲部を有してもよい。幾つかの実施形態において、サンプリングラインは、水を遮断してガスの流れを許容するための流体フィルタを有してもよい。
【0091】
本発明のカプノメトリ装置の幾つかの実施形態は、本発明のカプノメトリモジュールを使用してCO測定値を出力するための人工呼吸器ディスプレイの使用に関する。この実施形態において、カプノメトリモジュールからの読み取り値は、人工呼吸器ユニット21によって受けられてディスプレイ19に表示される。
【0092】
本発明は、カプノメータ、噴霧器、及び/又は、人工呼吸器に組み込まれるソフトウェアシステムに関する。換気システムは、ある期間にわたって一連の呼気終末CO読み取り値を取得してもよい。一連の読み取り値は、少なくとも3、5、10個又はそれ以上の読み取り値を含み得る。周期性は、0.25、0.5、1.0又は2.0時間を超えてもよく及び/又は24、12、6、3又は1時間未満でもよく或いは前述の範囲内であってもよい。CO濃度の変化は、一般にmmHg又は他の圧力としてスクリーン上にプロットされてもよい。コンピュータ生成プロットは、数回の呼吸全体にわたる濃度を含むことができ、又は、呼気終末COのグラフであってもよく、及び/又は、間欠的に行なわれる呼気終末CO測定値のグラフであってもよい。人工呼吸器又はカプノメータは、カプノメトリに対して超えられる閾値パラメータ(例えば、COの増加又は減少の割合或いは絶対閾値の通過)のための警告インジケータを含んでもよい。
【0093】
カプノメトリサンプリングラインアダプタは、4cm HOを超える圧力での陽圧換気及びバイレベル換気と共に使用され得る。米国特許第8,146,591号、米国特許第5,957,127号、及び、米国特許出願公開第2012/0272962号は、陽圧換気マスクを身に着けた患者のCO測定値を与えるために本発明にしたがって修正され得るカプノメトリシステムについて記載する。人工呼吸器システム24は、カプノメトリ読み取り値を受けるのに用いる、換気回路11の長さを人工呼吸器ユニット21からマスク10まで延ばす電気コードを含んでもよい。また、電気コードは、マイクロホンから音声読み取り値を受けるため及び/又は噴霧を実行するために使用されてもよい。
【0094】
内視鏡モジュール:器具アダプタは、内視鏡とシールを形成するように構成されるシール構造(例えば、ガスケット、膜、又は、適切に寸法付けられる開口部)を含む内視鏡アダプタであってもよい。内視鏡を使用して、マスク内の圧力を維持しながら食道胃十二指腸鏡検査(EGD)処置を行なってもよい。内視鏡を受け入れるための器具アダプタの開口は、少なくとも8、10又は12mm及び/又は15、13又は11mm未満及び/又は前述の最大寸法及び最小寸法のいずれかの範囲内であってもよい。
【0095】
前述のマスク、バルブ、モジュール、及び/又は、器具を使用して、陽圧空気換気マスクを身に着けた患者の経口経路又は経鼻経路を洗浄するための口腔ケアシステム又は鼻ケアシステムを提供することができる。
【0096】
自己シール自己復帰型バルブに関して本発明の器具アダプタを例示してきたが、特段に明記しない限り、本発明の実施形態は、単なる開口部及び取り外し可能なキャップなどを伴うポート(例えば、Bayasiの米国特許出願公開第2010/0116276号明細書の開口部22参照)に取り付くように構成される器具及び器具アダプタを用いて加圧下で経口アクセス処置を行なうことも含む。
【0097】
本明細書中に記載の器具は、器具アダプタと共にパッケージングされてもよく、及び/又は、一緒に組み立てられ及び/又はパッケージングされてもよい。器具アダプタと器具との間のシールが器具に固有のものである場合、器具アダプタは一般に器具と事前に組み立てられる必要がある。例えば、吸引ブラシは、チューブの一端にハンドルを有し、チューブの他端にスポンジブラシを有してもよく、また、シールはチューブと係合する必要がある。場合によっては、特定の処置を実行するときに正しいアダプタを見つける必要性を回避するために、器具アダプタと対応する器具との事前組み立てが必要である。例えば、内視鏡処置を実行する際、麻酔薬を導入するために使用される器具は、術者が器具を使用して麻酔薬を導入する必要があるとともに器具アダプタを直ぐに利用できない状況を回避するためにアダプタと組み付けられるのが最も良い。それにもかかわらず、器具が高価で使い捨てでない場合(例えば内視鏡)には、そうするという利点にもかかわらず、器具アダプタの一体化は実用的ではないかもしれない。
【0098】
挿管アダプタ:本発明の他の実施形態は、マスクを通じてカメラベースの処置を実行するためのアダプタ及びモジュールに関する。例としては、気管支鏡検査、食道胃十二指腸鏡検査(EGD)処置、及び、挿管が挙げられる。アダプタは、マスク10のアクセスポート23とのシールのためのシール構造を含む。図17A及び図17Bは、アダプタ本体257と、スリットバルブ261を有する膜259とを伴うアダプタ255の一例を示す。スリットバルブ261は、内視鏡装置を受けるとともに内視鏡装置が患者の身体に対して挿脱される際に内視鏡装置の外周にわたってシールするように構成される。
【0099】
膜259は、可撓性材料又は弾性材料であってもよい。膜259は、シールを依然として形成しつつ伸張が異なるサイズの内視鏡を配置できるようにするべく十分に弾性(例えば、ポリウレタン)を有してもよい。膜は、特定の直径のカメラ(例えば、5、6、8、10又は12mmのカメラ)を受け入れる又は該カメラにまで伸びる穴サイズ(又は従来のカメラサイズの1、2、3mm以内の)を有してもよい。また、膜は、装置をより容易に引き抜くことができるようにするべく交差スリットを有してもよい。
【0100】
膜259は、アダプタ257のバンプ又は環状隆起部267に取り付けられてもよい。膜259のリム265をアダプタ壁に接着(例えば溶剤接着)することができる。膜259は、器具がスリットバルブ261に挿入されるときに可撓性を促進する薄い領域263を有する。当業者であれば分かるように、内視鏡装置の周囲にシールを形成するためにアダプタ257内に構成され得る他のタイプのバルブがある。
【0101】
本発明の内視鏡モジュールは、本明細書中に記載のアダプタの特徴のいずれかを伴うアダプタを有することができるとともに、本明細書中に記載の任意のアクセスポート及びマスクと共に使用され得る。
【0102】
図18は、バルブ材料が流通し得る穴を有するアダプタと共に膜をオーバーモールドすることにより形成される膜273の別の実施形態を示す。オーバーモールド膜273は、突出部の上下にリム271を取り付ける複数の接続部材273を含む。
【0103】
噴霧器:本発明は、非侵襲的陽圧換気(PPV)で患者に薬液を噴霧するためのアダプタ、器具モジュール、及び、方法にも関連する。本発明の噴霧器アダプタ及び噴霧器器具モジュールは、圧力を維持しつつ且つ噴霧器を取り付けるために人工呼吸器回路を切断することなく、エアロゾルをPPV患者の口腔に送出することができる。
【0104】
噴霧器アダプタは、マスク10のアクセスポート23とシールを形成して伝統的な噴霧器に接続するエルボコネクタであってもよい。噴霧器アダプタは、前述の器具アダプタの特徴のいずれかを有することができるとともに、前述の任意のアクセスポート(例えば、バルブを伴う又は伴わない)と共に使用され得る。
【0105】
例えば、図19A、19Bは、マスク10のアクセスポート23に接続するとともに伝統的な噴霧器に接続する噴霧器アダプタを示す。噴霧器アダプタ260に接続され得る伝統的な噴霧器の例は、米国特許第10/833,932号明細書に示されており、参照によりその全体が本願に組み入れられる。噴霧器アダプタ260に接続する伝統的な噴霧器は、マイクロ振動素子携帯型噴霧器、超音波噴霧器、又は、ピストンポンプジェット噴霧器から成ることができる。噴霧器アダプタ260は、PPVマスク10のアクセスポート23又はPPVマスクのポート内のアクセスバルブ42に挿通配置され得る内側部分270を伴って構成される。内側部分は、管状本体262と、マウスピース264と流体接続している管状チャンバ268とにより形成され得る。マウスピース264は、管状本体262から延在し、ロックリング266によって接続され得る。マウスピース264は、使用前に取り外して交換することができ、それにより、患者は、正しいサイズのマウスピースを噴霧器アダプタ260に取り付けることができる。他の実施形態では、マウスピース264を一体化して圧力機構又はスナップ嵌合接続により管状本体262に接続することができる。管状本体は、図7a~図7cにおいて、PPVマスク10と患者の口内との間の空間内に配置される。患者は、自分達の唇をマウスピース264の表面上に置き、マスク内の換気圧を維持しつつ噴霧器から治療を受けることができる。噴霧器アダプタの内側部分270は外側部分272に接続されてリム274により分離される。リム274は、他の器具モジュール及びアダプタにおいて前述したように、バルブ42とシールを形成する。他の器具モジュールで前述したように、バルブ又はポートとシールを形成するように噴霧器アダプタを構成するべく、タブがリム又はリム付近に配置される。
【0106】
外側部分272は、管状チャンバと流体連通する内側チャンバ278を伴って構成される。外側部分は、伝統的な噴霧器を受け入れるための入口ポート280を伴って構成され、外側チャンバと流体連通している。液体薬剤が、伝統的な噴霧器に通されてエアロゾル化薬剤を生成し、エアロゾル化薬剤は、入口ポート280を通り、内側チャンバ278、管状チャンバ268、及び、マウスピース264を通過する。マウスピースはユーザの唇とシールされ、ユーザはゆっくりと吸い込んで吐き出す。エアロゾル形成が止まって伝統的な噴霧器内の薬剤が患者の呼吸器系内へ送出されてしまうまで呼吸が続けられる。その後、伝統的な噴霧器が入口ポート280から取り外される。次いで、噴霧器アダプタ260がアクセスポート23又はバルブ42から取り外される。
【0107】
幾つかの実施形態において、噴霧器アダプタは、噴霧器器具モジュール250を形成するように噴霧器を伴って構成される。噴霧器器具モジュール250は、PPVマスク10のアクセスポート23又はバルブ42に挿入されるように構成される。噴霧器器具モジュールがマスク10に挿入されると、マスク内の換気空気を受けつつエアロゾル薬剤がユーザの口の中へと直接に受けられ得る。この実施形態は、前述の他の器具モジュールに記載されるように、器具モジュールが使用されている間、マスク内の換気圧を維持する。また、この実施形態は、薬剤がマスクの表面上に集まることも防ぎ、代わりに、高い割合の薬剤がユーザに送出される。
【0108】
図20A及び図20Bは、噴霧器器具モジュール250の一実施形態を示す。噴霧器器具モジュールは、内部流体リザーバ254を画定するアダプタ本体252と、モジュールチャンバ280と、シールリム256と、マウスピース258とから成る。別の実施形態では、マウスピース258が取り外し可能で且つ交換可能であってもよい。マウスピース258は、前述の噴霧器アダプタ260において記載されるように、内側管状部254に接続するように構成される。内側流体リザーバは、アダプタ本体252の内側部分及び外側部分から延在する。流体リザーバは、液体薬剤を受けるように構成される開口又は入口ポートを有し、また、リザーバキャップ278がリザーバ254の入口ポートをシールするように構成される。内側流体リザーバは、少なくとも2ml、4ml、6ml、8ml、12ml及び/又は50ml、30ml、25ml-ml、20ml未満及び/又は前述のエンドポイントの範囲内の液体容量を保持することができる。モジュールチャンバ280がアダプタ本体の外側部分からアダプタ本体の内側部分まで延在する。モジュールチャンバは、バッテリ286、回路基板288、コントローラリード線296、及び、流体センサ284を収容する。流体センサは、リザーバ254と流体連通しており、エアロゾル発生器294への電力を遮断するように構成される。エアロゾル発生器は、アダプタ本体252の遠位端又はその付近にあり、内側流体リザーバ254と流体連通している。エアロゾル発生器294は、振動可能部材300(例えば微小振動素子)と圧電素子302とを備える。振動可能部材300及び圧電素子302は、アダプタ本体252の遠位端の上側部分と下側部分との間で延在する複数のテーパ状開口部を有することができる。
【0109】
図20A及び図20Bは、噴霧器回路、部品、及び、接続部の簡略図を示す。電源スイッチ292及びLED290インジケータがアダプタ本体252の近位端に位置される。 マイクロエアロゾル発生器システムの回路、部品、及び、接続部の詳細な説明については、米国特許第10/833,932号を参照されたく、この特許は参照により本願に組み入れられる。
【0110】
電源スイッチ292からの入力は、回路基板288上の制御ユニット304によって受けられる。回路基板288は、その入力を使用してエアロゾル発生器をオン/オフする。エアロゾル発生器により圧電素子302が振動部材300を振動させる。
【0111】
振動可能部材300のこの振動により、液体薬剤が振動部材300の開口部を通過し、そこで薬剤が小滴の薬剤の放出によってエアロゾル化される。薬剤のエアロゾル化された液滴は、マウスピース258を通って、ユーザの気道により受けられるべき口腔気道に流れ込む。
【0112】
噴霧器システムは、モジュールチャンバ280に収容されるバッテリ286によって給電され得る、或いは、アダプタ本体252の近位端の噴霧器システムに差し込むコントローラによって給電され得る。図21は、給電口を伴って構成されるとともに噴霧器電力コントローラを受けるように構成される噴霧器器具モジュール310を示す。
【0113】
噴霧流体は、患者の吸気と連携して患者に送出され得る。吸気動作中の薬剤の送出は、キャリアガスを変えることによって制御され得る。患者が吸い込むとき又は吸い込む直前に、キャリアガス圧を高めて噴霧化を増加させ、次いで呼気動作時にキャリアガス圧を下げることができる。幾つかの実施形態において、キャリアガス圧は、バイレベル人工呼吸器により伝えられる圧力変動を使用して変えられる。幾つかの実施形態において、キャリアガス送出のタイミングは、次の吸気動作が起こると予期される時期に合わせて噴霧をマスク又は口腔内に流入させるのに必要な時間を予想することができる。
【0114】
図22は、マスク610、アクセスポート623、及び、アクセスポート623に接続するアダプタを含むマイクロホンモジュール700を含む人工呼吸器システム624を示す。また、人工呼吸器システム624は、人工呼吸器回路611を形成するために可撓性ホース(図示せず)を介してエルボ626の入口630に接続する人工呼吸器ユニット621も含む。人工呼吸器は、システム内の圧力を感知するとともに圧力生成ユニット617を駆動することによって圧力を制御するために制御ユニット615により使用される圧力センサを含む。人工呼吸器のパラメータをディスプレイ617に表示することができ、また、ユーザインタフェース(図示せず)を通じて入力を受けることができる。本発明のPPVマスクと共に使用される人工呼吸器はバイレベルプレッシャー方式の人工呼吸器(或いは、連続プレッシャー方式の人工呼吸器)であることが好ましい。バイレベル換気は一般に重体患者にとって重要である。
【0115】
図23は、マイクロホンモジュール700及び電力オーディオ処理システム750を含む音声増幅システム699を描く。オーディオ処理システムはラウドスピーカ706に出力してもよい。ラウドスピーカ706がベッドサイドであってもよい。ベッドサイドスピーカは、患者の近くに配置されたと有利となり得る。これは、音がベッドの中の人から聞こえてくるような(すなわち、より自然な)印象を音の発生が与える可能性がより高いからである。より自然な会話が重症患者にとって重要となり得る。これは、これらの患者がしばしば終末期にあって愛する人と最後にコミュニケーションをとることを望むからである。
【0116】
モジュール700は、複数のマイクロホン要素、好ましくは少なくとも2つのマイクロホンを含む。オーディオ処理システム750は、マイクロホン前置増幅器752、アナログ-デジタル変換器756、デジタル信号プロセッサ708、デジタル-アナログ変換器758、電力増幅器704、システムマイクロプロセッサ760、電源710、電源ON/OFFスイッチ762、音量増減ボタン764a,764b、電力インジケータLED766、及び、信号出力712を含む。
【0117】
図24は、マスク610及びマイクモジュール700の断面図である。図24は、アダプタのハウジングを遠位方向(すなわち口側端部に向かって)に延ばす延長ハウジング718を有するアダプタ718を示す。口腔端において、延長ハウジング718は、アダプタがマスク610内に位置されるときに人の口に面する開口720を有する。
【0118】
アダプタ718及びその延長ハウジング718は、マイクロホンモジュールの構成要素をハウジング内へ配置してマイクロホンモジュール構成要素の周囲にハウジングを組み付けるために取り外し可能である(例えば、圧入又はスナップ接続)。ハウジングは、患者の口の近くでマスクのキャビティ内にマイクロホンを配置するように構成されることが好ましく、これは、正確なデジタル信号処理を行なうのに適した信号対雑音比を得るために幾つかの実施形態において重要であることが分かってきた。
【0119】
延長ハウジング718の長さは、開口部を口の近くに配置するように選択される。長さは、3、2、1.5又は1インチ未満及び/又は0.25、0.5又は1.0インチを超える及び/又は前述の範囲内であることが好ましい。アクセスポートの開口からマイクロホンモジュールの口腔端まで測定されるアダプタ及びハウジングの長さは、1、1.5、2、2.5、3インチを超えてもよく、及び/又は、6、5、4、3.5、3、2.5未満であってもよく或いは前述の範囲内であってもよい。
【0120】
アダプタ716は、リング646及びエルボ626の開口664から延在するアクセスポート内に位置される。マイクロホンモジュール700は、マイクロホンをマスク本体612及びその隣接する構造体であるスイベル632を越えて配置するように開口664を通って延在する。マイクロホンを開口664から及び/又はシェル612から離れるように移動させると、信号対雑音比が実質的に改善されることが分かった。1つの実施形態において、アダプタは、アクセスポートと結合するとともにマイクロホン720への開口を開口664の中心点からマスクの少なくとも0.25、0.5、0.8又は1.2インチ内側に配置するように構成される。マイクロホンモジュールの開口720は、口からの会話による直接的な音を受けるように人の口領域に面していることが好ましい。
【0121】
複数のマイクロホン要素726a,726b(まとめて726)が回路基板722上に実装される。マイクロホン要素726がエレクトレット又はMEMSであってもよい。エレクトレットは、それらの高い音圧レベルのために好まれる可能性があり、これはNIVマスク環境において重要であることが分かってきた。MEMSは、モジュールのサイズ及び底部発射要素の利用可能性を最小にするために好ましい可能性がある。マイクロホン要素は、全方向性マイクロホン又は指向性マイクロホンであってもよい。好ましい要素は、高いダイナミックレンジ及び/又は高い音圧レベルを有する。デジタルMEMS(マイクロホン基板上のA/D変換器)も適しており、該デジタルMEMSは、ベッドサイド付近に配置される病院設備からの電気的なノイズを低減するために使用され得る。また、デジタルMEMSは、異なる要素からの信号を同じ配線上で送信できるため、より少ない配線でより多くのマイクロホン要素を有するのにも有用となる得る。幾つかの実施形態において、マイクロホン要素は能動マイクロホン(マイクロホンに送信される電力)であってもよい。また、マイクロホン要素は、オーディオ処理システム内のプリアンプの前にそれ自体のプリアンプを有してもよい。マイクロホン上のプリアンプは、マイクロホンのクリッピングを減少させることができ、これは、圧力の増大に起因する陽圧マスクでの音声増幅に伴う特に困難な問題となり得る。好ましくはないが、幾つかの実施形態は単一のマイクロホン要素を使用できる。単一のマイクロホン要素によりノイズ消去は付加的な計算能力を必要とし得る。信号の非会話要素を特定するために周波数領域を使用してノイズ消去を実行することができる。
【0122】
システムの好ましい実施形態は、2つ以上のマイクロホン要素を使用する。2つ以上の要素は、例えば弁別ノイズ消去において、一致信号が有用である場合に処理を実行することができる。2つのマイクロホン要素が基板上及び/又はハウジング内に装着されてもよい。マイクロホン要素は、異なって定められるマイクロホン要素或いは好ましくは同一仕様のマイクロホン要素であってもよい。マイクロホン要素は、同一平面内に、平面外に、及び/又は、異なる角度で装着されてもよい。同一平面マイクロホンは製造を容易にし得るが、角度が異なるマイクロホンは軸外信号のより良好な識別をもたらし得る。軸外信号を検出することは、乱流対同時音の検出を容易にし得る。
【0123】
好ましい実施形態では、マイクロホンが比較的高い最大音圧レベルを有する。マスク内のマイクロホンの接近及びマスク内の比較的高い圧力は、適度に大声で又は静かに話している患者にとってさえも驚くほど高い音レベルを引き起こす。マイクロホンモジュールは、50、60又は70dBで話している人にとってマイクロホンクリッピングを回避する有効な音圧レベルをもたらす音減衰材料を含んでもよい。この発明の目的のため、別段に示唆されなければ、有効な音圧レベルは、マイクロホンの音圧レベルと音減衰材料が音を減衰させるデシベルとの和である。音減衰材料は、マスク内に配置されるときにハウジング内のマイクロホンのクリッピングを防止する厚さ及び/又は密度を有してもよい。発泡体の音減衰は、その密度と厚さに依存し得る。厚さはかもしれない
適切なエレクトレットの一例は、任意のものに関して、以下の仕様±5%、10%、又は20%を有してもよい。すなわち、-42±3dB RL=2.2kΩ Vcc=2.0v(1kHz 0dB=1v/Pa)インピーダンス最大値2.2kΩ 1kHz(RL=2.2kΩ)周波数50-12000Hz 電流最大消費量0.5mA 動作電圧範囲1.0-10V 最大SPL(dB)120dB S/N比58dB以上 感度低下2.0-1.5V 3dB未満変動 保管条件-20~+60°C;相対湿度<45%~75% 操作条件-10~+45℃ 相対湿度<85%。
【0124】
好ましい実施形態において、マイクロホン要素は、0.8、0.5、0.3、0.25、0.2、0.15未満及び/又は0.03、0.05、0.1又は0.15インチを超える及び/又は前述の範囲内の直径を有する。マイクロホン要素は、指向性マイクロホン又は全方向性マイクロホンであってもよい。マイクロホン要素126は、低い自己雑音、高い最大SPL、及び/又は、高いダイナミックレンジ及び/又は小サイズを有するように選択される。この発明の目的のため、SNRは、1kHzで94dB SPL(1Pa)の標準基準圧力で測定される。1つの実施形態において、ダイナミックレンジは少なくとも80db、85db、90db又は95dbであり、SNRは少なくとも60、65又は70dbであり、及び/又は、マイクロホン要素の音圧レベルは少なくとも80、85、90、95、100、105、110、115、120及び/又は160、150、140、130未満又は前述のエンドポイントのいずれかの範囲内である(適切なエレクトレットについて先に記載した条件において)。
【0125】
モジュール700は減衰器724を含むことができる。マイクロホンを患者の口の近くに配置すると、マイクロホンの過度なゲイン又はクリッピングを引き起こす可能性がある。発声力を減らすために、音減衰材料をマイクロホン要素と患者の口との間に配置することができる。音減衰材料は、稠密な又は厚い発泡体であってもよい。口の近くに配置されて減衰される高ダイナミックレンジマイクロホンは、デジタル信号プロセッサでの処理に適した信号を生成できる。1つの実施形態において、減衰体は、少なくとも2、2.5、3、4又は5lb ft3又は10、8、7.5、7又は6lb ft3未満の密度を有する発泡体であってもよい。好ましい実施形態では、減衰体が生体適合性発泡体である。伝統的な発泡体ウインドスクリーンは一般に2lbs ft3未満の密度を有し、この密度は、PPVマスク内の口付近に配置された高ダイナミックレンジ又は高最大SPLマイクロホンを使用するときに音声のパワーを減衰させるのに十分ではないことが分かってきた。1つの実施形態において、減衰体は、減衰体を横切る音圧レベルを少なくとも3、5、10、12、15又は20dbだけ又はその範囲だけ減少させる。
【0126】
配線728が基板722をジャック730と接続する。ジャック730は、アダプタ716の本体に装着されるとともに、ケーブルコネクタ732と電気的に通じており、また、ケーブル701は、ジャック730内に挿入されるとともに、ジャック730から離れる近位方向に延在する。ジャック730は、マスク610内の圧力を維持するためにアダプタとPPVシールを形成してもよい。或いは、ケーブル701は、アダプタ701に装着されて、アダプタ716内のマイクロホン要素726に電気的に結合され得る。或いは、後述するように、シールは、基板722とアダプタ716の延在部718との間にあってもよい。
【0127】
幾つかの実施形態では、換気ガスが隔離された電気部品に到達するのを防ぐために、電気部品の大部分又は全部がマイクロホンハウジングの遠位開口から隔離されている。図25Aは、回路基板722と延在部718の壁とによって境界付けられるキャビティ737を伴う延長ハウジング718を示す。キャビティ737は口腔端に開口720を有する。マイクロホン要素726a,726bは、減衰材料と同様にキャビティ737内に配置される。回路基板722は、延長ハウジング718の壁上の環状特徴部134に対してシールされ得る。ハウジングに対する基板の接続に用いるのに適した圧入、熱溶着接着、スナップ接続、及び、その他の接続を含む任意の技術を使用してシールを形成することができる。キャビティ737は、マイクロホン要素726a,726bの装着前又は後に生体適合性ポリマーでコーティングされてもよい。マイクロホン要素は、半田バンプ736を形成するべく半田付けされるピンと接続され得る。
【0128】
図25Bは、図25Aと同様であるが底部発射マイクロホンを伴うシールマイクロホンキャビティの一実施形態を示す。基板738は、延在部748のハウジングに対して装着され又はシールされてキャビティ746を形成する。マイクロホン要素740a,740bは、キャビティ748及び開口720とは反対側の基板738の近位側に装着される。 穴(例えば、穴742)が基板738に形成され、それにより、開口720に入る音が基板738を通過して要素740の底部に入ることができる。マイクロホン要素740は、延在部746に固定される前に基板738にフロー半田付けされてもよい。キャビティ746は、ボトムマウントマイクロホン要素740a,740bの装着前又は後に生体適合性コーティングでシールされてもよい。
【0129】
図26は、マイクロホンモジュール768の更に別の実施形態を示す。モジュール768は、延長ハウジング780が取り付けられたアダプタ770を含む。アダプタ770は、マスク610内の623に接続してこれとシールを形成するするように構成されるシール構造178を含む。モジュール768は、その口腔端に開口786を含むとともに、ハウジング782内に配置される減衰体784を含む。マイクロホン要素800は、コネクタ776を用いて開口786に面して装着される。基板788は、アダプタ770の遠位端から壁773まで延在する。基板788を使用して、マイクロホン要素と壁773内のコネクタ774との間の配線の使用を回避できる。コネクタ774は、ケーブルを取り付けるためのジャック772を含むことができ。モジュール768は、シール要素800に開口をもたらすべくポイント802から始まって横方向及び要素802の周囲で延在する壁(図示せず)を有することができる。
【0130】
図27は、シール構造812を伴うアダプタ806とハウジング延在部810と基板808とを含むモジュール804の更なる他の実施形態を描く。取り外し可能なキャップが減衰体818へのアクセスを与えて減衰体を容易に交換できるようにする。減衰体818又は発泡体を交換することは、細菌をかくまうことを回避するために有利となる得る。これは、患者が感染から回復することが特に困難な救急医療設定において有利となり得る。 キャップは、キャップをハウジングに接続するのに適した圧入、ねじ山、又は、その他の任意の機構を有することができる。
【0131】
幾つかの実施形態では、コード又は他の要素が患者に取り付けられることを回避するために、オーディオ処理システム、スピーカ、及び、バッテリ電源をマイクロホンアダプタのハウジングに組み込むことができる。この実施形態は、小型のスピーカ及び限られた電力が適している場合、及び、コードが特に問題となる場合に好ましい。他の実施形態において、マイクロホンモジュールは、増幅及び信号処理構成要素を含むスピーカハウジング及び/又は増幅器ハウジングに接続する。
【0132】
口腔ケア中に人工呼吸器回路を制御して口腔ケア事象を監視するための人工呼吸器GUI及びコンピュータ実装方法:本発明は、口腔ケア中にePAP設定及びiPAP設定を与えるため及び/又は口腔ケアを監視して追跡するために人工呼吸器ユニット21を含む人工呼吸器システム24と人工呼吸器ユニット21に組み込まれるソフトウェアシステムとを使用することにも関連する。例えば、人工呼吸器ユニット21は、臨床医が人工呼吸器設定の変更を選択できるようにする又は人工呼吸器が呼吸数又は警報などの設定を計算する方法を臨床医が変更できるようにする口腔ケア設定を有してもよい。例えば、口腔ケア吸引が行なわれると、圧力が低下し、それにより、人工呼吸器がより早く呼吸できるようになる。口腔ケア設定は、吸引が行なわれている間、より遅い呼吸数を計算することによってこの影響を補償できる。幾つかの実施形態において、人工呼吸器警報は、吸引によって引き起こされる誤った警報を補償するためにより高い漏れ率に設定され得る。幾つかの実施形態では、口腔ケア設定が制限時間を有してもよい。
【0133】
また、人工呼吸器ソフトウェアは、口腔ケア活動を追跡してもよく、及び/又は、口腔ケアの実行が不十分である又は過剰であることに関する表示(例えば、注意喚起又は警告)を与えてもよい。幾つかの実施形態では、表示が病院の規格に基づく。人工呼吸器ソフトウェアは、特定の患者に口腔ケアを与える時刻、期間、及び/又は、人を記録してもよい。 人工呼吸器は、以前の口腔ケアがいつ行なわれたかに基づいて口腔ケアを行なう次回の時間を自動的に計算してもよい。
【0134】
陽圧を維持しながら器具を使用するための方法:本発明の幾つかの実施形態は、陽圧を維持しながら処置を行なうために口腔気道にアクセスするとともに、臨床的に関連する呼吸補助を与える及び/又は患者の開放気道を維持するのに十分な圧力を維持しながら患者に口腔ケアを行なうことに関する。
【0135】
(i)口腔ケア:本発明は、非侵襲的陽圧換気マスクを通じて口腔ケアを提供するための方法にも関連する。方法は、(i)陽圧換気マスクを用意するステップであって、マスクが、キャビティを画定するとともに着用者の顔面と係合するように構成される外周シールを有するマスク本体と、キャビティへの外部アクセスを与えるアクセスバルブと、加圧空気を受けるための入口とを含む、ステップと、(ii)人工呼吸器システムを使用してマスクを少なくとも200Paの圧力まで(或いは少なくとも1、2、5、10又は15及び/又は35、30、25、20、15cm HO未満及び/又は前述の圧力のいずれかの範囲内まで)加圧するステップと、(iii)バルブを通じて口腔器具をキャビティ内に導入し、口腔ケア処置又は鼻ケア処置を行ないつつ少なくとも200Paの圧力(或いは少なくとも2、5、10又は15cmHO及び/又は35、30又は25cm HO未満の圧力)を維持するステップとを含む。
【0136】
好ましい実施形態では、バイレベル人工呼吸器が使用され、また、人工呼吸器の2つの異なる圧力が少なくとも2、4、6又は8cmHO及び/又は20、15又は10cmHO未満だけ異なる。
【0137】
所望の圧力は、マスクに結合して十分なシールを維持するアダプタを器具に設けることによって、或いは、器具の周囲でシールするバルブをマスクに設けることによって、或いは、これらの両方によって維持される。例えば、幾つかの実施形態において、本明細書中に記載の自己シール及び/又は自己復帰型バルブは、口腔ケアを行なうために使用されてもよい。これに代えて又は加えて、本明細書中に記載されるような器具アダプタは、取り外し可能なキャップを伴うポートと共に使用されてもよい(例えば、Bayasiの米国特許出願公開第2010/0116276号明細書参照)。いずれの場合にも、バルブの開口又はポートは、大きい度合いの操作を適切に行なう必要がある口腔洗浄を容易にするために口腔上にわたって位置される及び/又は比較的広い開口(例えば、前述の寸法)を有することが好ましい。
【0138】
幾つかの実施形態において、口腔ケア処置は、口腔の少なくとも一部に洗浄流体を塗布すること、及び、過剰な洗浄液を吸引することを含む。洗浄流体は、水、洗口剤、又は、歯磨き粉であってもよい。洗浄流体は、創傷清拭剤又は抗菌剤などの洗浄剤を含んでもよい。例えば、洗浄流体は、口腔を洗浄するのに十分な濃度の抗菌剤(例えば、塩化セチルピリジニウム)を有する溶液を含んでもよい。例えば、抗菌剤は、少なくとも0.01、0.01、0.05又は0.1又は0.5%及び/又は1.0、0.5又は0.1%未満又は前述の範囲内の濃度で添加されてもよい。本発明の目的のため、(例えば挿管を行なうために)喉を麻痺させるのに適した麻酔薬は、本明細書中に記載の口腔ケアを行なうのに適した「洗浄流体」ではない。
【0139】
口腔を洗浄する際、洗浄流体は一般に口の表面の大部分に塗布される。一実施形態では、洗浄流体が歯肉及び/又は歯の少なくとも一部に塗布される。
【0140】
洗浄流体が容器内に用意されてもよく、また、所定量の溶液を吸収するためにスティック上のスポンジが容器中に浸漬されてもよい。その後、スポンジ及び流体がマスク内のバルブを通じて口腔内に挿入され、また、患者の歯、歯茎、舌及び/又は患者の頬を含む患者の口の表面を擦るためにスポンジが使用されてもよい。
【0141】
幾つかの実施形態において、流体は、吸引も含む器具を使用して送出されてもよい。スポンジ及び流体を使用して表面を擦ることができ、また、表面上へと押し込まれる流体を器具のシャフトを通じて吸引することができる。1つの実施形態において、器具は、器具が使用されているときに洗浄を行なうユーザが吸引を適用すべき時期を選択できるように選択可能な吸引コントローラを含むことができる。例えば、器具は吸引チャネルへのアクセスポートを有することができ、また、ポートはユーザが自分の指でポートを覆うことによって開閉され得る。幾つかの実施形態において、器具は、表面(例えば歯)のより厳格な洗浄のために剛毛を含んでもよい。
【0142】
バルブを通じて挿入される器具は、硬質で真っ直ぐなシャフトを有してもよく、それにより、シールを維持しながらシャフトを器具アダプタ内で動かすことができる。しかしながら、幾つかの実施形態において、シャフトは、歯の内面へのより容易なアクセスを可能にするために屈曲部を有してもよい。
【0143】
洗浄剤は、水又は洗口剤であってもよく、歯磨き粉又は他のキャリアを含む。しかしながら、スポンジ器具が望まれる場合、洗浄剤は好ましくは流体である。
【0144】
これに代えて又は加えて、方法は、湿潤剤を口腔又は鼻腔に塗布することを含んでもよい。幾つかの実施形態では、湿潤剤が保湿剤(例えば、メチルセルロース)を含んでもよい。幾つかの実施形態では、湿潤剤が氷又は氷水を含む。
【0145】
方法は、洗浄又は湿潤の目的で口又は鼻への塗布に適していることが知られている任意の抗菌剤又は保湿剤を塗布することを含み得る。流体が塗布される場合、流体を送出するために使用される器具は好ましくは吸引を含む。吸引するための器具の使用は重要である。これは、治療中に陽圧が維持されるとともに、過剰な流体の吸い込みを回避することが重要だからである。
【0146】
幾つかの実施形態において、方法は、鼻出血の治療、鼻腔の潤滑、及び/又は、鼻漏の治療を含む鼻の治療である。また、器具は、かゆみ又は他の刺激又は不快感を治療するために使用されてもよい。例えば、スティック上のスポンジは、皮膚の軽度の引っ掻き傷のために使用できる。
【0147】
陽圧空気を供給するために使用される換気システムは、従量式人工呼吸器、圧力制御式人工呼吸器、バイレベル気道陽圧装置、連続式気道陽圧装置、固定圧装置、自動気道陽圧装置、及び、呼気気道陽圧装置を含めて、当該技術分野において知られる任意のものであってもよい。
【0148】
口腔ケア又は鼻ケア処置中の圧力は、バルブ内での器具の使用中に少なくとも300Pa、400Pa、500Pa又は600Pa及び/又は5000、4000、3000Pa未満及び/又は前述の範囲内の圧力などの患者にとって許容可能な圧力に維持される。
【0149】
適切な口腔ケアを行なうために、バルブは適切な直径の開口を有する。1つの実施形態において、バルブは、少なくとも5、10、15、20又は25mm及び/又は60、50、40、30又は20未満及び/又は前述のサイズの範囲内の直径を伴う開口を有する。マスク内での器具の使用中、バルブは前述の範囲内の幅まで開放されてもよい。
【0150】
方法は、マスクの本体に組み込まれるバルブを用いて行なわれてもよい。或いは、バルブは、加圧空気がマスクの入口に流入する管路に組み込まれてもよく、また、バルブは、加圧空気入口を通じてキャビティへのアクセスを与えるように構成される。
【0151】
従来技術に記載される洗浄方法又は湿潤方法とは異なり、本発明の方法は、マスクを取り外すことなく且つ人工呼吸器のための最大漏出速度を超えることなく実行され得る。この手法は、本発明者らによって特定されて認識された実質的な利益を与える。例えば、使用中に適切なシールを維持することによって、口腔ケアのためにマスクを取り外すことができないほど病んだ患者に口腔ケアアダプタを使用できる。更に、口腔ケアは、呼吸療法士ではなく、患者自身又は看護師によって行なわれてもよい(ただし、RT又は医師も口腔ケアを行なうことができる)。患者及び看護師によって使用され得るシステムを容易にすることによって、ケア提供者は、ケアのコストを実質的に増大させることなく、定期的に口腔ケアを行なうのに十分なリソースを有することができる。
【0152】
本発明の他の実施形態は、加圧下で食道胃十二指腸鏡検査(EGD)処置を実施することに関する。方法は、(i)陽圧換気マスクを用意するステップであって、マスクが、キャビティを画定するとともに着用者の顔面と係合するように構成される外周シールを有するマスク本体と、キャビティへの外部アクセスを与えるアクセスバルブと、加圧空気を受けるための入口とを含む、ステップと、(ii)人工呼吸器システムを使用してマスクを少なくとも200Paの圧力まで(或いは少なくとも1、2、5、10又は15及び/又は35、30、25、20、15cm HO未満及び/又は前述の圧力のいずれかの範囲内まで)加圧するステップと、(iii)バルブを通じて内視鏡をキャビティ内に導入し、EGD処置を行ないつつ少なくとも200Paの圧力(或いは少なくとも2、5、10又は15cmHO及び/又は35、30又は25cmHO未満の圧力)を維持するステップとを含む。内視鏡は吸引及び作業チャネル及び/又は複数の作業チャネル及び少なくとも8mmの直径を有してもよい。内視鏡は器具アダプタを含んでもよく、器具アダプタは、所望の圧力を維持しながら内視鏡を器具アダプタ及びマスクを通じて患者の気道内で前進及び/又は操作できるようにしつつ、マスクのポートと係合して内視鏡をシールするように構成される。
【0153】
また、本発明は、バイトブロックアダプタを使用して実行される方法にも関連する。方法は、(i)陽圧換気マスクを用意するステップであって、マスクが、キャビティを画定するとともに着用者の顔面と係合するように構成される外周シールを有するマスク本体と、キャビティへの外部アクセスを与えるアクセスバルブと、加圧空気を受けるための入口とを含む、ステップと、(ii)人工呼吸器システムを使用してマスクを少なくとも200Paの圧力まで(或いは少なくとも1、2、5、10又は15及び/又は35、30、25、20、15cm HO未満及び/又は前述の圧力のいずれかの範囲内まで)加圧するステップと、(iii)バルブを通じて内視鏡をキャビティ内に導入し、EGD処置を行ないつつ少なくとも200Paの圧力(或いは少なくとも2、5、10又は15cmHO及び/又は35、30又は25cmHO未満の圧力)を維持するステップとを含む。内視鏡は吸引及び作業チャネル及び/又は複数の作業チャネル及び少なくとも8mmの直径を有してもよい。内視鏡は器具アダプタを含んでもよく、器具アダプタは、所望の圧力を維持しながら内視鏡を器具アダプタ及びマスクを通じて患者の気道内で前進及び/又は操作できるようにしつつ、マスクのポートと係合して内視鏡をシールするように構成される。
【0154】
また、本発明は、本明細書中に記載の他の器具モジュール又はアダプタのいずれかを使用する方法も含む。本出願人の同時係属中のPCT出願第PCT/US2016/039117号明細書は、参照によりその全体が本願に組み入れられる。前述の方法のいずれも、バルブを通じて器具を送出するために器具アダプタを使用して実施することができる。
【0155】
以下の例は、本明細書中に記載の本発明の実施形態にしたがって実行され得るシステム、モジュール、及び、方法の特定の形態を提供する。
【0156】
器具モジュール:第1シール面と第2シール面とを有するPPV器具アダプタを備え、第1シール面は、PPVマスクに取り付けられるときにPPVマスクのアクセスポートと第1のPPVシールを形成するように構成され、第2のシール面は、器具と第2のPPVシールを形成する器具開口部を画定し、器具アダプタは、第1及び第2のシールの第1の側に内側部分を有するとともに、第1の側と反対の第2の側に外側部分を有し、内側部分が人工呼吸器の圧力に晒され、アダプタがPPVマスクに取り付けられるときに外側部分がPPVマスクの外側の圧力に晒され、器具は、遠位端と近位端とを有する長尺部材を含み、遠位端は作業ヘッドを含み、作業ヘッドが器具開口部よりも大きい直径を有し、それにより、作業ヘッドが器具開口部に通されることが防止され、作業ヘッドがアダプタの第1の側に配置され、近位端がアダプタの第2の側に位置される、陽圧換気(PPV)器具モジュール。
【0157】
例2:(i)器具は、器具開口部よりも大きいコネクタを長尺部材の遠位端に含み、それにより、コネクタが器具開口部に通されることが防止され、(ii)長尺部材がチューブを備え、(iii)器具が吸引ポートと吸引チューブコネクタとを含み、(iii)コネクタが吸引ハンドルに接続し、吸引ハンドルは、吸引をオン/オフするためのスイッチと、吸引を取り付けるための吸引チューブコネクタとを有する、前述の例のいずれかのモジュール。
【0158】
例3:(i)器具開口部が円形断面を有し、(ii)長尺部材が円形断面を有し、(iii)長尺部材と器具開口部との間の許容誤差は、0.05、0.025、0.015、0.0075又は0.0035未満であり、及び/又は、0.0、0.001、0.0015、0.003、0.006、0.012インチを超え、及び/又は、前述のエンドポイントの範囲内にあり、(iv)長尺部材が硬質であり、(v)長尺部材がスライド可能なシール面を有し、(vi)スライドシール面は、少なくとも1、2、3、4又は5インチ及び15、12、10又は8インチ未満の長さを有し、(vii)器具は、完全引き込み位置及び完全伸長位置を有し、スライド可能なシール面は、完全伸長位置と完全引き込み位置との間の中間位置にPPVシールを維持し、(viii)中間位置で、シール面及び開口部は、0.05、0.025、0.015、0.0075又は0.0035未満或いは0.0、0.001、0.0015、0.003、0.006、0.012インチを超える及び/又は前述のエンドポイントの範囲内の最大隙間を有し、(ix)スライド可能なシール面を伴う長尺部材が押出成形チューブ又は射出成形チューブであり、(x)チューブは、射出成形されて、シール面の領域内に傾きのある内径を有し、(xi)作業ヘッドは、2、1.5、1.2、0.8又は0.6未満及び/又は0.2、0.3、0.5、0.7、1.0を超える或いは前述の範囲内の最大直径を有し、(xii)作業ヘッドは、1.5、1.2、0.8、0.6又は0.4未満及び/又は0.1、0.2、0.3、0.5又は0.7を超える或いは前述の範囲内の最小直径を有する、前述の例のいずれかのモジュール。
【0159】
例4:アクセスポートに対するアダプタの取り付け中に作業ヘッドを引き込むことができるレセプタクルを器具アダプタが含む、前述の例のいずれかの器具モジュール。
【0160】
例5:器具が(i)吸引器具、(ii)カプノメトリサンプリングライン、(iii)マイクロホン、(iv)ヤンカー、(v)吸引スワブ、又は、(vi)吸引ブラシである又はこれらを含む、前述の例のいずれかの器具モジュール。また、器具は、シングルユーズ又はディスポであってもよい(すなわち、患者間で洗浄できるように製造されていない)。
【0161】
例6:ロックが解除されるまで開口部内での器具の軸方向移動に対してアダプタをロックするように構成されるロック機構を更に備える、前述の例のいずれかの器具モジュール。
【0162】
アダプタの例
例7:(i)アダプタがPPVマスクに接続されるリングとシールを形成し、(ii)リングがマスクのシェル又はエルボにバルブを固定し、(iii)リングは、アダプタをリングにロックするためのロック機構を含み、(iv)ロック機構がバヨネットロックであり、(v)アダプタは、リングと嵌合するリブを有し、(vi)リブが面取りされ、(vii)リブが0.1又は0.05インチ未満であり、(viii)アダプタは、ハウジング部材に形成される開口部を有し、(ix)ハウジング部材が隔壁であり、(x)ハウジング部材は、アダプタのハウジング壁と共に射出成形され、(xi)ハウジング部材は、アダプタの内側部分に形成されるレセプタクルよりも近位側にある近位端を形成し、(xii)ハウジング部材が0.5、0.02又は0.01インチ未満の最小厚さを有し、(xiii)シール構造から口腔端までのアダプタの長さは、少なくとも0.3、0.6、1.2、2.4又は5インチ及び/又は8、6、4、2、1.5、1、0.6又は0.3インチ未満及び/又は前述のエンドポイントのいずれかの範囲内であり、(xiv)PPVシールがアダプタの表面間に形成され、アクセスポートは、
0.02、0.015、0.01、0.006又は0.003未満で且つ0.0、0.001、0.002、0.003、0.005、0.006、0.01インチを超える又は前述のエンドポイントのいずれかの範囲内の隙間を有し、(xv)内側部分は、3、2、1.5、1.2又は0.6インチ未満及び/又は0.3、0.6、0.8、1.0、1.5インチを超える及び/又は前述のエンドポイントの範囲内の最大外径又は最小外径を有する、前述の例のいずれかの器具モジュール。
【0163】
吸引スワブの例:例8:(i)作業ヘッドがスワブを備え、(ii)スワブがスポンジ材料を備え、(iii)スワブがチューブに接着され、(iv)チューブが押し出しスティックであり、(v)スワブは、ユーザがチューブ又はチューブに取り付けられたコネクタを引っ張ってアダプタをチューブによってアクセスポートから引き出すときにアダプタと係合するように構成される、前述の例のいずれかの器具モジュール。
【0164】
吸引ブラシの例:例9:(i)吸引器具が吸引ブラシを含み、(ii)吸引ブラシの作業ヘッドがブラシヘッドであり、該ブラシヘッドから複数の剛毛が延在し、(iii)少なくとも1つ又は
好ましくは少なくとも2つの吸引入口がブラシヘッドに形成され、(iv)剛毛がブラシヘッドの本体に配置される繊維の束から形成され(例えば、米国特許第3,256,545号及び米国特許第4,167,794号)、(v)ブラシヘッドは、剛毛とは反対側のヘッドに位置される発泡体を含み、(v)発泡体を貫通して吸引入口が位置される、前述の例のいずれかのモジュール。
【0165】
例10:(i)吸引ブラシヘッドがチューブコネクタを有し、(ii)長尺チューブがチューブコネクタ内に取り付け固定され、(iii)チューブコネクタがシリンダを備え、(iv)チューブコネクタは、少なくとも0.05、0.1、0.15又は0.2及び/又は0.5、0.3、0.25又は0.2インチ未満或いは前述のエンドポイントのいずれかの範囲内の深さを有する、前述の例のいずれかのモジュール。
【0166】
例11:作業ヘッドが吸引ブラシを含み、ブラシアダプタは、ブラシを収容するように構成されるレセプタクルと、レセプタクルの近位端の中央に位置される開口部とを含み、吸引ブラシは、ヘッドに接続される長尺チューブを伴う吸引ヘッドを含み、長尺チューブは、アダプタ開口部と吸引ブラシチューブとが軸方向に一直線に合うようにヘッドの近位端(すなわち、アダプタの開口部に最も近い端部)の中央に位置される、前述の例のいずれかの器具モジュール。幾つかの実施形態では、チューブコネクタの長手方向軸は、幅及び/又は高さにおいて30%、20%、10%又は5%未満だけブラシヘッドの中点から偏心している。
【0167】
ヤンカーの例:例12:(i)作業ヘッドがその遠位端又はその付近に複数の吸引入口を含み、(ii)複数の入口が互いに流体連通し、(iii)遠位端は、長尺チューブよりも柔らかい材料を伴う軟質チップを含み、(iv)遠位端は、引き込み位置で作業ヘッドを捕捉する複数のリブを有し、(v)作業ヘッドは、開口部を通じた移動を阻止するストッパ機構を有し、(vi)アダプタがカバーを含み、(vii)カバーは、器具の作業ヘッドを引き込み/被覆位置で捕捉する複数のリブを含み、又は、(viii)作業ヘッドがこれらの組み合わせを含む、前述の例のいずれかのモジュール。
【0168】
口腔ケアキットの例:例13:(i)前述の例のいずれかの複数の器具モジュール、(ii)複数の同じタイプ及び/又は異なるタイプの吸引器具モジュール、(iii)1つ以上の吸引スワブモジュール、(iv)1つ以上の吸引ブラシモジュール、(v)1つ以上のスワブアプリケータ、(vi)1つ以上の口腔洗浄液、(vii)1つ以上の歯垢除去溶液、(viii)塩化セチルピリジニウム、過酸化水素、又は、クロルヘキシジンから選択される活性剤を伴う1つ以上の溶液、或いは、(ix)吸引ハンドル、(x)ある期間(例えば、毎日の期間)内に複数の洗浄を実行するための個々の治療パッケージ、(xi)又はこれらの組み合わせ、を備える、口腔ケアキット。また、キットは、吸引ハンドルを含んでもよく、及び/又は、吸引ポート(例えば、親指で作動する吸引ポート)を伴うコネクタを有してもよい。
【0169】
例14:複数の個々のパッケージを備え、個々のパッケージの少なくとも一部が口腔器具及び口腔洗浄液を含み、口腔洗浄液が個々のパッケージの区画室内にパッケージングされ、(i)個々のパッケージングは、第1及び第2の区画室を伴うトレイを有し、第1の区画室が器具を収容し、第2の区画室が口腔洗浄液を収容し、(ii)剥離部材が第1及び第2の区画室を覆い、カバーを剥離することによって器具及び第2の区画室の少なくとも一部を露出させ、それにより、口腔洗浄液へのアクセスが与えられ、(iii)第1及び第2の区画室は、第1及び第2の区画室間の仕切りシールよりも強い外周シールを有し、(iv)第3の区画室が第1及び第2の区画室間に位置され、(v)口腔洗浄液が壊れやすいシールを伴う小袋にパッケージングされ、(vi)口腔洗浄液が剥離カバーを伴うカップ内にパッケージングされる、前述の例のいずれかの口腔ケアキット。
【0170】
アダプタの例:例15:(i)アダプタがPPVマスクに接続されるリングとシールを形成し、(ii)リングがバルブをマスクのシェル又はエルボに固定し、(iii)リングは、アダプタをリングにロックするためのロック機構を含み、(iv)ロック機構がバヨネットロックであり、(v)アダプタがリングと嵌合するリブを有し、(vi)リブが面取りされ、(vii)リブが0.1又は0.05インチ未満であり、(viii)アダプタが膜に形成される開口部を有し、膜は、(i)射出成形され、(ii)射出成形されたアダプタの射出成形構造体であり、(iii)0.5、0.02、0.01インチ未満の厚さを有する、前述の例のいずれかの器具モジュール。
【0171】
人工呼吸器の例:例16:1つ以上のプロセッサとコンピュータ実行可能命令とを含む人工呼吸器制御モジュールを備え、コンピュータ実行可能命令は、1つ以上のプロセッサ上で実行されるときに、モジュールに、(i)陽圧換気回路から入力される検出圧力を受けさせ、前記回路がPPVマスクを含み、(ii)PPVマスク内で吸引器具の動作により引き起こされる圧力の変化を示す吸引圧力信号に関して入力される圧力を解析させ、及び、(iii)検出された吸引圧力信号を少なくとも部分的に使用して圧力生成システムを駆動するための出力信号を生成させる、陽圧換気システム。
【0172】
例17:(i)制御モジュールは、吸引圧力信号の少なくとも一部をフィルタ除去し、(ii)吸引圧力は、変化の上昇、降下、速度の変化を有する圧力痕跡から、及び/又は、上昇、降下に関して呼吸圧力痕跡とは異なる圧力の変化中に、及び/又は、圧力の変化中に検出され、(iii)これらの組み合わせである、前述の例のいずれかの換気システム。
【0173】
例18:1つ以上のプロセッサとコンピュータ実行可能命令とを含む人工呼吸器制御モジュールを備え、コンピュータ実行可能命令は、1つ以上のプロセッサ上で実行されるときに、モジュールに、(i)陽圧換気回路から入力される検出圧力を受けさせ、前記回路がPPVマスクを含み、(ii)選択可能な口腔ケア設定をユーザに表示させ、口腔ケア設定の選択を指示するユーザから入力を受けさせ、(iii)選択されている口腔ケア設定の入力を受けると、人工呼吸器のパラメータを調整させる、陽圧換気システム。
【0174】
例19:(i)調整されたパラメータは、警報設定、iPAP設定、及び/又は、ePAP設定であり、(ii)警報設定は、警報がトリガされる漏出速度を増加させるように設定され、(iii)警報は、パラメータの変化を特定の時間に制限する持続時間パラメータを有し、(iv)持続時間パラメータは、20、15、10又は5分未満であり及び/又は1、3、5又は10分を超え又はその範囲内であり、(v)iPAPが低下され、(vi)iPAPがトリガされる圧力が低下され、(vii)ePAPがトリガされる圧力が低下され、(vii)ePAP又はiPAPをトリガするのに必要な圧力の変化率が増加され、或いは、(ix)前述の組み合わせである、前述のいずれかのシステム。
【0175】
例20:吸引器具及び/又はPPVマスクが前述の例のいずれかと同様である、前述のいずれかシステム。
【0176】
例21:本明細書中の例のいずれかのような、アクセスポートを有するPPVマスク、器具モジュール、口腔ケア器具モジュール、吸引器具モジュール、カプノメトリモジュール、内視鏡モジュール、又は、噴霧器モジュールを備え、モジュールは、PPVマスクのアクセスポートと第1のシールを形成し、(i)モジュールは、アクセスポートと第1のシールを形成するアダプタを含む、PPVシステム。
【0177】
例22:(i)アクセスポートがマスクのエルボコネクタによって与えられ、(ii)アクセスポートがマスクのシェルに可撓性をもって接続され、(iii)可撓性接続が可撓性シェル領域でマスクにより与えられ、(iv)可撓性接続がアクセスポートとシェルとの間の可撓性コネクタによって与えられ、(v)又はこれらの組み合わせである、前述の例のいずれかのPPVシステム。
【0178】
例23:口腔ケア、吸引、口腔洗浄、又は、ブラッシングを行なう方法であって、本明細書中の例のいずれかのPPVシステムを用意するステップと、アダプタをアクセスポートに接続するステップと、器具の作業ヘッドを口腔内に導入するステップと、作業ヘッドを使用して口腔処置を行なうステップと、アクセスポートからアダプタを取り外すステップとを含む方法。方法は、吸引すること、作業ヘッドを溶液に浸すこと、及び/又は、擦ることのうちの1つ以上を更に含む。方法は、作業ヘッドがアダプタと係合してアダプタをアクセスポートから押し出すまでアダプタからチューブを引き出すことによって、作業ヘッドをアダプタ内に引き込むこと及び/又はアダプタからアクセスポートからアダプタを引き出すことを更に含む。
【0179】
カプノメトリの例
例24:PPVマスクのアクセスポートを通じて配置されるように寸法付けられて構成される長尺な支持ハウジングであって、支持ハウジングが口腔端から該口腔端の反対側の外端まで延在し、支持ハウジングが、PPVマスクのアクセスポートを通じて配置されるとともにPPVマスクと共に第1のPPVシールを形成するように寸法付けられて構成され、支持ハウジングが挿入されてシールされた状態で、口腔端がマスクを着用している患者の口腔端に位置され、外端がマスクの外側にある、支持ハウジングと、支持ハウジング内に位置されるとともに、支持ハウジングの口腔端又はその付近に位置されるサンプリング入口を有するカプノメトリサンプリングラインであって、サンプリング入口が口腔ガスをサンプリングするために支持ハウジングの外部と流体連通し、サンプリングラインが、支持ハウジングの開口部を通過してアダプタの外部へと至り、長尺な支持ハウジングと又は該支持ハウジングに取り付けられるアダプタと第2のPPVシールを形成し、サンプリングラインが、外端よりも遠位側にラインコネクタを有するとともに、サンプリングガスの呼気終末COを測定するのに適したカプノメトリシステムにサンプリングラインを取り付けるように構成される、カプノメトリサンプリングラインと、を備える陽圧換気(PPV)カプノメトリモジュール。
【0180】
例25:カプノメトリモジュールは、(i)PPVマスクのアクセスポート内に位置されるスリットバルブ、(ii)人工呼吸器圧力からシールするバルブ、(iii)又はこれらの組み合わせを通じて挿入されるように寸法付けられて構成される例1に記載のカプノメトリモジュール。
【0181】
例26:PPVマスクに取り付けられるときにPPVマスクのアクセスポートと第1のPPVシールを形成するように構成される第1のシール面を有するPPVアダプタを更に備え、PPVアダプタは、第1のシール面の第1の側に内側部分を有するとともに、第1の側と反対の第2の側に外側部分を有し、内側部分が人工呼吸器の圧力に晒され、外側部分は、アダプタがPPVマスクに取り付けられるときにPPVマスクの外側の圧力に晒される、前述の例のいずれかのカプノメトリモジュール。
【0182】
例27:第1のシール面がアダプタの本体内に位置され、長尺なハウジングがアダプタ本体の延在部である又はアダプタ本体に取り付け固定され、サンプリングラインがアダプタ本体と第2のシールを形成する、前述の例のいずれかのカプノメトリモジュール。
【0183】
例28:第1のシール面がアダプタの本体によって与えられ、支持ハウジングは、該支持ハウジングの口腔端の深さがアダプタに対してPPVマスク内で調整可能であるようにアダプタ本体にスライド可能に取り付けられる、前述の例のいずれかのカプノメトリモジュール。
【0184】
例29:支持ハウジングは、口腔端と反対側の第2の端部を有し、支持ハウジングは、アダプタの外側部分を通じて第2の端部へと延在するとともに、サンプリングラインと第2のシールを形成する近位コネクタを有し、外側コネクタは、ユーザがアダプタ本体に対する支持ハウジングの深さをスライド可能に調整するのに適したグリップ面を与える、前述の例のいずれかのカプノメトリモジュール。
【0185】
例30:支持ハウジングは、口腔端のサンプリング入口が格納のためにアダプタ本体のカバー部内に位置される被覆位置と、口腔端のサンプリング入口が口腔内の呼気ガスをサンプリングするのに用いるために伸長される伸長位置とにスライド可能に調整され得る、前述の例のいずれかのカプノメトリモジュール。
【0186】
例31:シースの第1の端部がアダプタ本体に接続され、シースの第2の端部が支持ハウジングの第2の端部に接続され、シースは、支持ハウジングが被覆位置から伸長位置へと移動されるときにシースが圧縮するように可撓性を有する、前述の例のいずれかのカプノメトリモジュール。
【0187】
例32:口腔端又はその付近で支持ハウジングに取り付けられるケーシングを更に備え、サンプリング入口がケーシングに形成され、(i)前述の例のいずれかのカプノメトリモジュール、ケーシングが支持ハウジングよりも柔らかい材料(例えば、ゴム材料)から形成され、(ii)支持ハウジングがチューブを備え、ケーシングが口腔端でチューブ壁を覆い、(iii)ハウジングチューブは、患者の口がチューブの周囲でシールされるときに呼気ガスがハウジングチューブに出入りできるようにするべく位置されるチューブ壁の1つ以上の開口部を含み、(iv)サンプリングラインは、0.5、0.8又は1mmより大きい及び/又は5、4、3、2mm未満又は前述のエンドポイントの範囲内の内径を有する、前述の例のいずれかのカプノメトリモジュール。
【0188】
例33:アクセスポートを伴うPPVマスクと、アクセスポートに取り付けられる前述の例のいずれかのカプノメトリモジュールとを備えるPPVシステム。
【0189】
例34:(i)PPVマスクがアクセスポートにバルブを含み、(ii)バルブがスリットバルブであり、支持ハウジングがスリットバルブとシールを形成し、(iii)バルブは、自己シールバルブ又はPPV下でシールするバルブであり、(iv)モジュールは、アクセスポートとシールを形成するカプノメトリアダプタを含み、(iii)アクセスポートは、マスクのシェル内又はマスクのエルボコネクタ内に位置される、前述の例のいずれかのPPVシステム。
【0190】
噴霧器の例:例35:PPVマスクに取り付けられるときにPPVマスクのアクセスポートとPPVシールを形成するように構成される第1のシール面を有する噴霧器アダプタであって、噴霧器アダプタは、第1のシールの第1の側に内側部分を有するとともに、第1の側と反対の第2の側に外側部分を有し、内側部分は人工呼吸器圧力に晒され、外側部分は、アダプタがPPVマスクに取り付けられるときにPPVマスクの外側の圧力に晒される、噴霧器アダプタと、モジュールに形成される流体リザーバであって、リザーバを噴霧流体で満たすために開閉する入口ポートを有する、流体リザーバと、アダプタの内側部分によって画定される又はアダプタの内側部分に接続される管状構造であって、アダプタがPPVマスクに取り付けられるときに管状構造の少なくとも一部がPPVマスク内に位置され、管状構造が口腔端を有する(開口を形成する又はエアロゾル要素発生器は内部に位置される)、管状構造と、管状構造内に(随意的には口腔端とは反対側の管状構造の端部に)位置されるエアロゾル発生器であって、振動素子の第1の側が管状構造と流体連通し(又は口腔端に位置され)、振動素子の第2の反対の側がリザーバと流体連通する、エアロゾル発生器と、振動素子に給電するための信号を受信するために振動素子に接続される複数の導線と、を備える陽圧換気(PPV)噴霧器モジュール。
【0191】
例36:(i)アダプタがPPVマスクに取り付けられるときに振動素子がエルボコネクタ内又はPPVマスクのシェル内に位置されるようにエアロゾル発生器がモジュール内に位置され、(ii)リザーバの入口ポートがアダプタの外側部分に位置され、(iii)入口ポートがアダプタの内側部分に位置され、(iv)リザーバが振動素子の基部の凹部で終端する傾斜壁を有し、(v)リザーバ内の湿度センサ素子、(vi)湿度センサ素子が振動素子の基部の凹部内に位置され、(vii)アダプタのシール面がアクセスポートの開口とスライド可能に接続するように構成され、(viii)開口が円形断面を有し、(ix)アダプタは、マスクに取り付けられるときにアクセスポート内のバルブを開くように構成され、(x)アクセスポートは、少なくとも0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.8インチ及び2.0、1.5、1.25又は1.0インチ未満及び/又は前述の範囲内の最小幅及び/又は高さ(すなわち、x及びy)を伴う断面を有し、(xi)開口は、3.0、2.0、1.5、1.25又は1.0未満及び/又は0.4、0.6、0.8、1.0、2.0、3.0を超える最大幅及び/又は高さを伴う断面を有し、(xiii)アダプタは、該アダプタをアクセスポートに対してロックするロック機構を含み、(xiv)ロック機構がバヨネットロックであり、(xv)アダプタがリングと嵌合するリブを有し、(xvi)リブが面取りされ、(xvii)リブが0.1又は0.05インチ未満であり、(xviii)チューブ構造は、アダプタの本体にスライド可能に接続する支持ハウジングに形成され、アダプタ本体がシールを含み(カプノメトリアダプタ参照)、(xix)リザーバは、50、40、30又は25ml未満及び/又は2、4、8、12又は20mlを超える及び/又は前述の範囲内の容積を有し、(xx)制御モジュールから噴霧制御信号を受信するための配線コネクタ、又は、(xxi)前述の組み合わせである、前述の例のいずれかの噴霧器モジュール。
【0192】
例37:アダプタは、(i)バッテリ、(ii)バッテリにより給電される回路基板を収容し、(iii)回路基板が噴霧器要素を駆動するように構成され、アダプタは、(iv)噴霧オン/オフボタン、(v)バッテリ及び/又はオン/オフのためのLEDインジケータを収容し、(vi)ボタンは、噴霧のオン/オフ及び/又はオートオフのオン/オフを示す触覚フィードバックを有し、回路は、湿度センサにより示される湿度の欠如に基づいて回路をオフにするように構成され、(vii)アダプタは、アダプタがアクセスポートに取り付けられるときにアクセスポートから最大で3.0、2.5、2.0、1.5又は1.0インチ未満延在する、前述の例のいずれかの噴霧器モジュール。
【0193】
例38:シェルとクッションとを備えるPPVマスクであって、クッションが人工呼吸器からの陽圧下で顔面とシールを形成するように構成される膜を有し、シェルが人工呼吸器からの圧力下でシールするバルブを伴うアクセスポートを有する、PPVマスクと、マスクのアクセスポートに取り外し可能に接続するとともにアクセスポートに接続された際にバルブを開放するPPV噴霧器アダプタであって、アクセスポートに取り付けられるときにバルブを通る噴霧ガス用の流体経路を与える管状構造を含む、PPV噴霧器アダプタと、アダプタの管状構造と流体連通する噴霧器であって、流体リザーバ、噴霧器モジュール、及び、噴霧ガスを噴霧器モジュールからアダプタの管状構造へ送出するための管路とを含む、噴霧器と、
を備える陽圧換気(PPV)噴霧器システム。
【0194】
例39:(i)噴霧器モジュールが超音波処理ディスクを含み、(ii)超音波処理ディスクが振動素子を含み、(iii)超音波処理ディスクがバッテリにより給電され、(iv)噴霧器モジュールが携帯可能であるとともにアダプタに組み込まれ、(v)噴霧器モジュールは、噴霧化を引き起こすためにリザーバからの流体に押し通される空気の供給源に接続し、(v)及びこれらの組み合わせである、前述の例のいずれかの噴霧器システム。
【0195】
例40:(i)アクセスポートがマスクのエルボコネクタに形成され、(ii)バルブが交差スリットバルブ及び/又はダックビルバルブであり、及び/又は、(iii)これらの組み合わせである、前述の例のいずれかの噴霧器システム。
【0196】
例41:前述の例のいずれかの噴霧器アダプタ。
【0197】
例42:噴霧を行なうための方法であって、前述の例のいずれかの噴霧システムを用意するステップと、噴霧化可能な流体を噴霧器モジュールの流体リザーバ内へ導入するステップと、噴霧器装置を用いて流体を噴霧化するステップと、マスクに接続される人工呼吸器からマスク内に圧力を与えつつ噴霧化された流体をマスク内へ導入するステップとを含む方法。
【0198】
内視鏡検査の例
例43:シェルとクッションとを備えるPPVマスクであって、クッションが人工呼吸器からの陽圧下で顔面とシールを形成するように構成される膜を有し、シェルが人工呼吸器からの圧力下でシールするバルブを伴うアクセスポートを有する、PPVマスクと、アクセスポートに取り外し可能に接続するとともにアクセスポートに接続された際にバルブを開放するPPV内視鏡アダプタであって、バルブが内部に位置される管状構造を含み、バルブが内視鏡とスライド可能なシールを形成するように構成される、内視鏡アダプタと、を備える陽圧換気(PPV)内視鏡システム。
【0199】
例44:(i)アクセスポートがマスクのエルボコネクタに形成され、(ii)バルブが交差スリットバルブ及び/又はダックビルバルブであり、(iii)バルブがアダプタと共に射出成形プロセスでオーバーモールドされ、又は(iv)これらの組み合わせである、前述の例のいずれかの内視鏡システム。
【0200】
例45:アダプタがバイトブロックを更に備え、(i)バイトブロックは、アダプタを貫いて延在し、又は、アダプタの一体部分を形成し、(ii)バイトブロックは、アダプタがアクセスポート内に位置されるときに患者の歯間を通過するのに十分な長さである、前述の例のいずれかの内視鏡システム。
【0201】
例46:前述の例のいずれかの内視鏡アダプタ。
【0202】
前述の例のいずれかの内視鏡システムを用意するステップと、PPVマスク内に内視鏡アダプタを導入するステップと、PPVマスクに接続される人工呼吸器からの圧力下で内視鏡アダプタ内に内視鏡を導入するステップとを含む、内視鏡処置を行なうための方法。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図14
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B
図18
図19A
図19B
図20A
図20B
図21
図22
図23
図24
図25A
図25B
図26
図27