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特許7121044加圧マルチチャンバタンクを使用した統合水素リサイクルシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】加圧マルチチャンバタンクを使用した統合水素リサイクルシステム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/18 20060101AFI20220809BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20220809BHJP
【FI】
H01M8/18
H01M8/04 N
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019558777
(86)(22)【出願日】2018-04-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-25
(86)【国際出願番号】 US2018029992
(87)【国際公開番号】W WO2018201070
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】62/491,973
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519297300
【氏名又は名称】イーエスエス テック インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】ESS Tech,Inc.
【住所又は居所原語表記】26440 SW Parkway Avenue,Wilsonville,Oregon 97070 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】ソン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー ケネス キヨシ
(72)【発明者】
【氏名】マクドナルド ティモシー
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102593490(CN,A)
【文献】特開昭61-143948(JP,A)
【文献】特表2015-504233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/18
H01M 8/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電解液チャンバ、第2の電解液チャンバ、第1の戻りマニホルド、第2の戻りマニホルド、及び隔壁、
を備え、
前記第1の電解液チャンバ及び前記第2の電解液チャンバは、それぞれレドックスフロー電池セルの第1の側及び第2の側に流体的に連結されており、
前記第1の電解液チャンバ及び前記第2の電解液チャンバは、それぞれ第1の電解液容積及び第2の電解液容積を含み、
前記第1の電解液容積及び前記第2の電解液容積は、それらの間に配置された前記隔壁によって分離されており
前記第1の戻りマニホルド及び前記第2の戻りマニホルドは、前記第1の電解液容積及び前記第2の電解液容積内の浸漬位置にそれぞれ沈められるとともに流体的に連結されている、
レドックスフロー電池システム用のマルチチャンバ電解液貯蔵タンク。
【請求項2】
前記第1の電解液チャンバ及び前記第2の電解液チャンバにそれぞれ流体的に連結された第1の戻り入口及び第2の戻り入口をさらに備え、前記第1の戻り入口及び前記第2の戻り入口は、戻された流体をそれぞれ前記第1の電解液容積及び前記第2の電解液容積の前記浸漬位置に送達する、請求項1に記載のマルチチャンバ電解液貯蔵タンク。
【請求項3】
前記第1の戻りマニホルド及び前記第2の戻りマニホルドは、前記レドックスフロー電池セルから戻された電解液及びその中の同伴ガスを含む、請求項に記載のマルチチャンバ電解液貯蔵タンク。
【請求項4】
前記第1の電解液容積及び前記第2の電解液容積は、それぞれ第1の液体充填閾値レベル及び第2の液体充填閾値レベルまで前記第1の電解液チャンバ及び前記第2の電解液チャンバを充填する、請求項に記載のマルチチャンバ電解液貯蔵タンク。
【請求項5】
前記第1の戻りマニホルド及び第2の戻りマニホルドは、それぞれ、前記第1の液体充填閾値レベル及び第2の液体充填閾値レベルより下、及び第1の固体充填閾値レベル及び第2の固体充填閾値レベルより上に配置される、請求項に記載のマルチチャンバ電解液貯蔵タンク。
【請求項6】
前記第1の電解液チャンバ及び前記第2の電解液チャンバのそれぞれの、前記第1の固体充填閾値レベル及び前記第2の固体充填閾値レベルより上、及び前記第1の戻りマニホルド及び前記第2の戻りマニホルドより下に位置する液体出口をさらに備える、請求項に記載のマルチチャンバ電解液貯蔵タンク。
【請求項7】
前記第1の戻りマニホルド及び前記第2の戻りマニホルドは、それぞれ、前記浸漬位置で前記第1の戻り入口及び前記第2の戻り入口に流体的に連結された、より水平に配向されたパイプを備え、前記第1の戻り入口及び前記第2の戻り入口は、より垂直に配向されたパイプを備える、請求項に記載のマルチチャンバ電解液貯蔵タンク。
【請求項8】
前記より水平に配向されたパイプは、前記より水平に配向されたパイプの上面及び下面にそれぞれ上側開口部及び下側開口部を備え、前記上側開口部及び前記下側開口部を通って戻された前記電解液及び前記同伴ガスが前記第1の戻りマニホルド及び前記第2の戻りマニホルドから出る、請求項に記載のマルチチャンバ電解液貯蔵タンク。
【請求項9】
レドックスフロー電池セルの負極室に流体的に連結された負極電解液チャンバ、及び、
前記レドックスフロー電池セルの正極室に流体的に連結された正極電解液チャンバ、及び
隔壁によって分離された前記負極電解液チャンバと前記正極電解液チャンバを含むマルチチャンバ電解液貯蔵タンク、
を備え、
前記負極電解液チャンバ及び前記正極電解液チャンバは、それぞれ、負極の液体閾値レベル及び正極の液体閾値レベルまで満たされた負極電解液及び正極電解液を含み、前記負極電解液及び前記正極電解液は隔壁によって分離され、
前記マルチチャンバ電解液貯蔵タンクは、ガスヘッドスペースをさらに備え、前記ガスヘッドスペースは、前記負極電解液及び前記正極電解液の上に配置され、前記負極電解液及び前記正極電解液の両方に配管なしで流体的に連結され、
前記隔壁は、前記負極電解液及び正極電解液レベルの上にあり、前記ガスヘッドスペースに流体的に接触する溢流孔をさらに含み、前記負極室及び前記正極室は、前記溢流孔がない場合に流体的に分離される、
レドックスフロー電池システム。
【請求項10】
前記隔壁は、前記溢流孔の断面を除く前記マルチチャンバ電解液貯蔵タンクの横断面を占める垂直剛性パネルを備える、請求項に記載のレドックスフロー電池システム。
【請求項11】
マルチチャンバ電解液貯蔵タンクに配置された負極電解液チャンバからレドックスフロー電池セルの負極室へ負極電解液を導くこと、及び
前記マルチチャンバ電解液貯蔵タンクに配置された正極電解液チャンバから前記レドックスフロー電池セルの正極室に正極電解液を導くこと、
を備え、
前記負極電解液チャンバ内の前記負極電解液と前記正極電解液チャンバ内の前記正極電解液は、前記マルチチャンバ電解液貯蔵タンク内の隔壁によって分離されており
前記電解液から分離された同伴ガスを、それぞれ前記負極電解液チャンバ及び前記正極電解液チャンバの前記負極電解液及び前記正極電解液の上のガスヘッドスペースに貯蔵することをさらに含み、前記ガスヘッドスペースはマルチチャンバ電解液貯蔵タンクに配置され、
前記負極電解液チャンバ及び前記正極電解液チャンバと前記負極室及び前記正極室との間にそれぞれ流体的に連結された負極リバランス反応器及び正極リバランス反応器に前記ガスヘッドスペースからガスを送達することをさらに含む、
レドックスフロー電池システムの操作方法。
【請求項12】
前記電解液及び前記同伴ガスを、前記レドックスフロー電池セルから、それぞれ、前記負極電解液チャンバ及び前記正極電解液チャンバの前記負極電解液及び前記正極電解液内の浸漬位置に戻すことをさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記負極電解液チャンバ及び前記正極電解液チャンバ内の戻された前記電解液から前記同伴ガスを分離することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
戻された前記電解液から前記同伴ガスを分離することは、機械装置を動かすことなく戻された前記電解液から前記同伴ガスを分離することを含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、「加圧マルチチャンバタンクを使用した統合水素リサイクルシステム」と題され、2017年4月28日に出願された米国仮出願第62/491,973号に対する優先権を主張する。すべての目的のため、上記出願の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(政府支援の承認)
本発明は、DOE、ARPA-Eオフィスによって与えられた嘱託番号DEAR0000261の下で政府の支援を受けてなされた。政府は、本発明に所定の権利を有する。
【0003】
本明細書は、一般に、フロー電池システムに関する。
【背景技術】
【0004】
従来のレドックスフロー電池システムは、図7に示すように、それぞれ、正極電解液及び負極電解液を貯蔵/供給するための別個の独立したタンクを利用することができ、それぞれのタンクは独自の設置面積を有し、それぞれのタンクはレドックスフロー電池システムの作動中に不活性ガスパージを受ける。追加の独立したタンクを水素ガスの貯蔵/供給に用いてもよい。そのようなレドックスフロー電池システムは、正極電解液及び負極電解液タンクのそれぞれのためのセパレータを含む専用の気液分離システム600を備えてもよく、当該気液分離システムを使用して、正極電解液及び負極電解液から水素ガスを分離することができ、それにより、図6に示すように、専用の水素貯蔵タンクに貯蔵される前に水素ガスがアキュムレーターで濃縮される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
結果として、従来のレドックスフロー電池システムには多くの補助プロセスユニットが含まれる場合があり、製造コストが増加し、運用がより複雑になる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、上記の問題に対して、第1の電解液チャンバ及び第2の電解液チャンバ、並びに、隔壁を含み、第1の電解液チャンバ及び第2の電解液チャンバがレドックスフロー電池の第1の側及び第2の側にそれぞれ流体的に連結され、第1の電解液チャンバ及び第2の電解液チャンバがそれぞれ第1の電解液容積及び第2の電解液容積を有し、第1の電解液容積及び第2の電解液容積がそれらの間に配置された隔壁によって分離されている、レドックスフロー電池システムのマルチチャンバ電解液貯蔵タンクによって少なくとも部分的に対処することができる。
【0007】
このようにして、気液分離器及び専用ガス貯蔵タンク等のいくつかの補助プロセスユニットを排除することができ、製造及び操作の複雑さを軽減することができる。さらに、単一のマルチチャンバ電解液貯蔵タンク内に電解液チャンバとガス貯蔵を統合すると、レドックスフロー電池システムのレイアウトを大幅に簡素化し、システムの設置面積を削減することができる。さらに、マルチチャンバ電解液貯蔵タンクの電解液チャンバの上のヘッドスペースに水素ガスを貯蔵すると、自発的な気液分離が可能になり、電解液に不活性ガスブランケットが提供されるため、電解液の酸化を抑制し、レドックスフロー電池システムの容量損失を削減することができる。
【0008】
上記の概要が詳細な説明においてさらに説明される概念の選択を簡略化した形式で導入するために提供されることを、理解されたい。それは、クレームされた構成要件の重要な又は本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、その範囲は、詳細な説明に続く請求項によって一意に定義される。
さらに、クレームされた構成要件は、上記又は本開示の任意の部分で言及された欠点を解決する実施に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、マルチチャンバ電解液貯蔵タンクを有するレドックスフロー電池システムの概略図を示す。
図2図2は、図1に示すマルチチャンバ電解液貯蔵タンクの縦断面内部図を示す。
図3A図3Aは、図2に示すマルチチャンバ電解液貯蔵タンクの上面斜視外観図を示す。
図3B図3Bは、図2に示すマルチチャンバ電解液貯蔵タンクの側面斜視外観図を示す。
図4図4は、図1に示すマルチチャンバ電解液貯蔵タンクの端部斜視外観図を示す。
図5A図5Aは、図1に示すマルチチャンバ電解液貯蔵タンクを備えたレドックスフロー電池システムを含むフロー電池システムの例示的なレイアウトの側面斜視図を示す。
図5B図5Bは、図1に示すマルチチャンバ電解液貯蔵タンクを備えたレドックスフロー電池システムを含むフロー電池システムの例示的なレイアウトの上面斜視図を示す。
図6図6は、フロー電池システムで使用される従来の水素分離及び貯蔵セットアップの概略図を示す。
図7図7は、2つの別個の電解液貯蔵タンクを備えたフロー電池システムの図を示す。
図8図8は、図1に示す、マルチチャンバ電解液貯蔵タンクを含むレドックスフロー電池システムを作動させるための例示的なフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明は、統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンクを備えたフロー電池システムに関する。本明細書に記載のフロー電池システムは、レドックスフロー電池システムを含んでもよい。統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンクは、正極と負極の両方の電解液(エネルギー)を保持するように設計されている。そのため、マルチチャンバ電解液貯蔵タンクの設計により、複数の電解液貯蔵タンクを備えた従来のフロー電池システムと比較して、タンク及びフロー電池システム全体の設置面積が削減され、システムのエネルギー密度を向上し、システム全体を簡素化することができる。マルチチャンバ電解液貯蔵タンクは、さらに、水素分離の増加、水素貯蔵の提供、電解液の酸化防止のための非酸化性ブランケット(non-oxidant blanket)の提供、ガス貯蔵量を増やすための圧力を抑えるという効果を奏する。1つの実施例では、マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110は2つのチャンバに分割され、一方のチャンバは第1の電解液を貯蔵するために使用され、他方のチャンバは第2の電解液を貯蔵するために使用される。さらに、マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110は、同伴水素ガス(entrained hydrogen gas)を含む電解液がフロー電池システムのセルからタンクに戻された後、電解質溶液から水素を分離することができる。さらに、マルチチャンバ電解液貯蔵タンクは、分離されて再捕捉された水素ガスを貯蔵し、当該水素ガスをフロー電池システムに供給することができる。
【0011】
ハイブリッドレドックスフロー電池は、電極上の固体層として1つ又は複数の電気活性材料の蒸着を特徴とするレドックスフロー電池である。ハイブリッドレドックスフロー電池は、例えば、電池充電プロセスの間中電気化学反応を介して基板上に固体としてめっきする化学物質を含んでいてもよい。電池が放電している間、めっき種は、電気化学反応を介してイオン化し、電解液に可溶となることがある。ハイブリッド電池システムでは、レドックス電池の充電容量(例えば蓄電量)は、電池充電中にめっきされた金属の量によって制限されることがあり、したがって、めっきシステムの効率と、めっき可能な体積及び表面積と、に依存することがある。
【0012】
レドックスフロー電池システムでは、負極26は、めっき電極と呼ばれ、正極28は、レドックス電極と呼ばれることがある。電池のめっき側(例えば、負極室20)内の負極電解液は、めっき電解液と呼ばれ、電池のレドックス側(例えば、正極室22)内の正極電解液は、レドックス電解液と呼ばれることがある。
【0013】
陽極は、電気活性材料が電子を失う電極を指し、陰極は、電気活性材料が電子を得る電極を指す。電池充電中、正極電解液は、負極26において電子を得る;それゆえ、負極26は、電気化学反応の陰極である。放電中、正極電解液は、電子を失う;それゆえ、負極26は、反応の陽極である。したがって、充電中、負極電解液及び負極は、それぞれ電気化学反応の陰極液及び陰極と呼ばれ、正極電解液及び正極は、それぞれ電気化学反応の陽極液及び陽極と呼ばれることがある。あるいは、放電中、負極電解液及び負極は、それぞれ電気化学反応の陽極液及び陽極と呼ばれ、正極電解液及び正極は、それぞれ電気化学反応の陰極液及び陰極と呼ばれることがある。簡便のため、正及び負という用語は、本明細書では、レドックスフロー電池システムの電極、電解液、及び電極室を指すために使用される。
【0014】
ハイブリッドレドックスフロー電池の1つの実施例は、すべて鉄(all iron)のレドックスフロー電池(IFB)であり、電解液は、塩化鉄(例えばFeCl、FeCl等)の形で鉄イオンを含み、負極は、金属鉄を含む。例えば、負極では、電池充電中に、第一鉄イオンFe2+が、2つの電子を受け取って金属鉄として負極26をめっきし、電池放電中に、金属鉄Feが、2つの電子を失ってFe2+として再溶解する。正極では、充電中に、Fe2+が電子を失って第二鉄イオンFe3+を生じ、放電中に、Fe3+が電子を得てFe2+を生じる。電気化学反応は、式(1)及び(2)にまとめられ、正反応(左から右)は、電池充電中の電気化学反応を示し、逆反応(右から左)は、電池放電中の電気化学反応を示す:
Fe2+ + 2e- ⇔ Fe -0.44V (負極) (1)
2Fe2+ ⇔ 2Fe3+ + 2e- +0.77V (正極) (2)
【0015】
上記のように、すべて鉄のレドックスフロー電池(IFB)で使用される負極電解液は、充電中に、Fe2+が負極から2つの電子を受け入れてFeを生じ、基板上をめっきできるように、十分量のFe2+を供給する。放電中、めっきされたFeは、2つの電子を失い、Fe2+にイオン化し、電解液中に溶解する。上記の反応の平衡電位は、-0.44Vであり、この反応は、所望のシステムに負端子を供給する。IFBの正側では、電解液は、充電時に、電子を失ってFe3+に酸化するFe2+を供給してもよい。放電中、電解液によって供給されるFe3+は、電極によって供給される電子を吸収することによってFe2+になる。この反応の平衡電位は、+0.77Vであり、所望のシステムの正端子を作る。
【0016】
IFBは、非再生電解液を利用する他のタイプの電池と対照的に、その電解液を充電及び再充電する機能を提供する。充電は、端子40及び42を介して電極に電流を印加することによって達成される。負極は、端子40を介して電圧源の負側に結合されてもよく、そのため、電子は、正極を介して(例えば、正極室22において正極電解液中のFe2+がFe3+に酸化される)負極電解液に引き渡されてもよい。負極26(例えばめっき電極)に供給される電子は、負極電解液中のFe2+を還元してめっき基板にFeを生じ、負極上をめっきすることができる。
【0017】
負極電解液に酸化に利用可能なFeが残っており、正極電解液に還元に利用可能なFe3+が残っている間、放電を維持することができる。1つの実施例として、Fe3+の有効性は、正極電解液チャンバ52又は外部正極電解液タンクのような外部源を介して追加のFe3+を供給するために、セル18の正極室22側に正極電解液の濃度又は体積を増加することによって維持可能である。より一般的には、放電中のFeの有効性は、IFBシステム内で問題となり得、放電に利用可能なFeは、めっき効率と同様に、負極基板の表面積及び体積に比例する。充電容量は、負極室20におけるFe2+の有効性に依存していてもよい。1つの実施例として、Fe2+の有効性は、セル18の負極室20側に負極電解液の濃度又は体積を増加するために、負極電解液チャンバ50又は外部負極電解液タンクのような外部源を介して追加のFe2+を供給することによって維持可能である。
【0018】
IFBでは、IFBシステムの充電状態に応じて、正極電解液は、第一鉄イオン、第二鉄イオン、第二鉄錯体、又はこれらの任意の組合せを含み、負極電解液は、第一鉄イオン又は第一鉄錯体を含む。前述のように、負極電解液及び正極電解液の両方で鉄イオンを利用すると、電池セルの両側で同じ電解液種を利用することができ、電解液の相互汚染を減らし、IFBシステムの効率を高めることができるため、他のレドックスフロー電池システムに比較して電解液の交換を少なくすることができる。
【0019】
IFBにおける効率の損失は、セパレータ24(例えば、イオン交換膜バリア、微多孔膜等)を通る電解液のクロスオーバーから生じることがある。例えば、正極電解液中の第二鉄イオンは、第二鉄イオンの濃度勾配及びセパレータを横切る電気泳動力によって、負極電解液に向かって動かされることがある。続いて、膜バリアを透過して負極室20にクロスオーバーする第二鉄イオンは、クーロン効率の損失をもたらすことがある。低pHレドックス側(例えば、酸性が強い正極室22)から高pHめっき側(例えば、酸性が弱い負極室20)にクロスオーバーする第二鉄イオンは、Fe(OH)の沈殿をもたらし得る。Fe(OH)の沈殿は、セパレータ24を損傷し、永久的な電池の性能及び効率の損失を引き起こす可能性がある。例えば、Fe(OH)沈殿物は、イオン交換膜の有機官能基を化学的に塞ぎ、又はイオン交換膜の小さな微多孔を物理的に詰まらせることがある。いずれの場合も、Fe(OH)により、膜のオーム抵抗が時間と共に上昇し、電池の性能が低下することがある。沈殿物は、電池を酸で洗浄することによって除去され得るが、絶えず続くメンテナンス及びダウンタイムは、商用電池の使用に不利であることがある。さらに、洗浄は、電解液の定期的な準備に依存することがあり、プロセスのコスト及び複雑さが増す。電解液のpH変化に応じて特定の有機酸を正極及び負極に添加すると、電池の充電及び放電サイクル中の沈殿物の生成を軽減し得る。
【0020】
追加のクーロン効率の損失は、H(例えばプロトン)の還元とそれに続くH(例えば水素ガス)の生成によって引き起こされ得、負極室20におけるプロトンの電子との反応は、めっき金属鉄電極において、水素ガスを生成する。
【0021】
IFB電解液(例えば、FeCl、FeCl、FeSO、Fe(SO等)は容易に入手可能であり、低コストで製造することができる。IFB電解液は、同じ電解液を負極電解液と正極電解液とに使用できるため再利用の価値が高くなり、その結果、他のシステムと比較してクロスコンタミネーションの問題が低減する。さらに、その電子配置により、鉄は、負極基板上にめっきする際に、通常均一な固体構造に凝固することができる。ハイブリッドレドックス電池で一般的に使用される亜鉛及び他の金属では、めっき中に固体樹状構造が形成される場合がある。IFBシステムの安定した電極形態は、他のレドックスフロー電池と比較して電池の効率を向上させることができる。さらに、鉄のレドックスフロー電池は、毒性のある原材料の使用を減らし、他のレドックスフロー電池の電解液と比べて比較的中性のpHで作動可能である。したがって、IFBシステムは、製造中の他のすべての現在の高度なレドックスフロー電池システムと比較して、環境への有害性が低減する。
【0022】
上記の概要は、詳細な説明でさらに説明される概念の選択を簡略化した形で紹介するために提供されることを理解されたい。クレームされた主題の重要な又は本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、その範囲は詳細な説明に続くクレームによって一意に定義される。さらに、特許請求される主題は、上記または本開示の任意の部分で指摘された欠点を解決する実装に限定されない。
【0023】
図1は、レドックスフロー電池システムの概略図である。図2図4は、図1に示される統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンクを含む、マルチチャンバ加圧電解液貯蔵タンクの様々な斜視図を示し、当該マルチチャンバ加圧電解液貯蔵タンクは、図1のレドックスフロー電池システムに連結されてもよい。図5A及び図5Bは、レドックスフロー電池システムのレイアウトの側面及び上面の両方の斜視図を示している。図6は、レドックスフロー電池システムで使用される従来の水素分離及び貯蔵方法の概略図である。図7は、正極電解液貯蔵タンク及び負極電解液貯蔵タンクを別個に備える従来のフロー電池システムの概略図である。
【0024】
図1は、レドックスフロー電池システム10の概略図を提供する。レドックスフロー電池システム10は、マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110に流体接続されたレドックスフロー電池セル18を備えることができる。レドックスフロー電池セル18は、通常、負極室20、セパレータ24及び正極室22を含むことができる。セパレータ24は電気絶縁性のイオン伝導性バリアを備えることができ、それは正極電解液と負極電解液とのバルク混合を防ぎつつ、特定のイオンの伝導を可能にする。例えば、セパレータ24は、イオン交換膜及び/又は微多孔膜を備えることができる。負極室20は、負極26と、電気活性材料を含む負極電解液とを備えることができる。正極室22は、正極28と、電気活性材料を含む正極電解液とを備えることができる。いくつかの実施例では、複数のレドックスフロー電池セル18を直列または並列に組み合わせて、レドックスフロー電池システムでより高い電圧または電流を生成することができる。さらに図1に示されているのは、フロー電池システム10に電解液を送り込むために用いられる負極電解液ポンプ30及び正極電解液ポンプ32である。電解液は、セルの外部にある1つ又は複数のタンクに貯蔵され、それぞれ電池の負極室20側と正極室22側を通り負極電解液ポンプ30及び正極電解液ポンプ32によって送られる。
【0025】
図1に示すように、レドックスフロー電池セル18は、負極電池端子40及び正極電池端子42をさらに含んでもよい。電池端子40及び42に充電電流が印加されると、正極28で正極電解液が酸化され(1つ又は複数の電子を失う)、負極26で負極電解液が還元される(1つ又は複数の電子を獲得する)。電池放電中、電極上で逆酸化還元反応が起こる。換言すると、正極28で正極電解液が還元され(1つ又は複数の電子を獲得する)、負極26で負極電解液が酸化される(1つ又は複数の電子を失う)。電池の両端の電位差は、正極室22と負極室20における電気化学的酸化還元反応により維持され、反応が持続している間、導体を流れる電流を誘導することが可能である。レドックス電池によって蓄積されるエネルギーの量は、放電用の電解液で利用可能な電気活性材料の量により制限され、電解液の総量と電気活性材料の溶解度に依拠する。
【0026】
フロー電池システム10は、統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110をさらに備えてもよい。マルチチャンバ貯蔵タンク110は、隔壁98によって分割されてもよい。正極電解液及び負極電解液を単一のタンク内に含むことができるように、隔壁98は貯蔵タンク内に複数のチャンバを形成してもよい。負極電解液チャンバ50は、電気活性材料を含む負極電解液を保持し、正極電解液チャンバ52は、電気活性材料を含む正極電解液を保持する。負極電解液チャンバ50と正極電解液チャンバ52との間の所望の体積比をもたらすために、隔壁98は、マルチチャンバ貯蔵タンク110内に配置してもよい。1つの実施例では、隔壁98は、負極及び正極の酸化還元反応の間の化学量論比に従って、負極電解液チャンバ及び正極電解液チャンバの容積比を設定するように配置してもよい。図1は、貯蔵タンク110の充填高さ112をさらに示し、各タンク区画内の液位を示すことができる。図はまた、負極電解液チャンバ50の充填高さ112の上方に位置するガスヘッドスペース90と、正極電解液チャンバ52の充填高さ112の上方に位置するガスヘッドスペース92とを示している。ガスヘッドスペース92は、レドックスフロー電池の作動を通して生成され(例えば、プロトン還元及び腐食副反応により)、レドックスフロー電池セル18から電解液を戻すとともにマルチチャンバ貯蔵タンク110に運ばれる水素ガスを貯蔵するために利用できる。水素ガスは、マルチチャンバ貯蔵タンク110内の気液界面(例えば、充填高さ112)で自発的に分離することができ、それにより、レドックスフロー電池システムの一部としての追加の気液分離装置を排除することができる。電解液から分離されると、水素ガスがガスヘッドスペース90及び92を満たす。そのため、貯蔵された水素ガスは、マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110から他のガスをパージすることに役立ち、それにより、電解液種の酸化を低減するための不活性ガスブランケットとして機能し、レドックスフロー電池容量損失の低減に役立つことができる。このように、統合マルチチャンバ貯蔵タンク110を利用することによって、従来のレドックスフロー電池システムに共通の負極及び正極電解液貯蔵タンク、水素貯蔵タンク並びに気液分離器を別々に有さなくともよくなり、これにより、システム設計の簡略化、物理的システムの設置面積の削減、並びにシステムコストの削減ができる。
【0027】
マルチチャンバ貯蔵タンク110は、また、ガスヘッドスペース90と92との間の隔壁98に開口部を形成し、2つのチャンバ間のガス圧力を均一化する手段を提供する、溢流孔(spill-over hole)96を含む。溢流孔96は、充填高さ112より上の閾値高さに配置することができる。溢流孔96はさらに、電解液がクロスオーバーする場合に、正極電解液チャンバ及び負極電解液チャンバのそれぞれの電解液が自己平衡する機能を有効にする。すべて鉄(all iron)のレドックスフロー電池システムの場合、同じ電解液(Fe2+)が負極室20及び正極室22の両方において使用されるため、負極電解液チャンバ50及び正極電解液チャンバ52の間の電解液の溢れはシステム全体の効率を下げ得るが、その一方で、全体的な電解液の構成、電池モジュールの性能及び電池モジュール容量は維持される。漏れのない連続的な加圧状態を維持するために、マルチチャンバ貯蔵タンク110への入口及び出口からのすべての配管接続部にフランジ継手(flange fittings)を利用することができる。マルチチャンバ貯蔵タンクは、負極電解液チャンバ及び正極電解液チャンバのそれぞれからの少なくとも1つの出口と、負極電解液チャンバ及び正極電解液チャンバのそれぞれへの少なくとも1つの入口と、を含むことができる。さらに、水素ガスをリバランス反応器80及び82へと導くために、ガスヘッドスペース90及び92から1つ又は複数の出口接続部を備えていてもよい。
【0028】
図1には示されていないが、統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110は、負極電解液チャンバ50及び正極電解液チャンバ52のそれぞれに熱的に接続された1つ又は複数のヒーターをさらに含んでもよい。別の実施例では、負極電解液チャンバ及び正極電解液チャンバのうちの1つのみが、1つ又は複数のヒーターを含んでもよい。正極電解液チャンバのみが1つ又は複数のヒーターを含む場合、負極電解液は、電力モジュールの電池セルで発生した熱を負極電解液に伝達することにより加熱することができる。このようにして、電力モジュールの電池セルが加熱され、負極電解液の温度調節が促進される。1つ又は複数のヒーターは、負極電解液チャンバ50及び正極電解液チャンバの温度を、単独で又は共に調整するために、コントローラ88によって作動させることができる。例えば、電解液の温度が閾値温度未満に下がることに応じて、コントローラは、電解液への熱流束が増加するように、1つ又は複数のヒーターに供給される電力を増加させてもよい。電解液の温度は、センサ60及び62を含むマルチチャンバ電解液貯蔵タンク110に取り付けられた1つ又は複数の温度センサによって示されてもよい。1つの実施例として、1つ又は複数のヒーターには、電解液に浸された、コイル型ヒーター若しくは他の浸漬ヒーター、又は、負極電解液チャンバ及び正極電解液チャンバの壁を通して熱を伝達しその中の液体を加熱する表面マントル型ヒーターが含まれ得る。本開示の範囲から逸脱することなく、他の既知のタイプのタンクヒーターを使用することができる。さらに、コントローラ88は、液体レベルが固体充填閾値レベル(solids fill threshold level)未満に低下したことに応じて、負極電解液チャンバ及び正極電解液チャンバ内の1つ又は複数のヒーターの作動を停止させてもよい。換言すると、コントローラ88は、液体レベルが固体充填閾値レベルを超えて増加することに応じてのみ、負極電解液チャンバ及び正極電解液チャンバ内の1つ又は複数のヒーターを作動させることができる。このようにして、正極電解液チャンバ及び/又は負極電解液チャンバ内に十分な液体がない状態での1つ又は複数のヒーターの作動を防ぐことができ、したがってヒーターの過熱又は焼損のリスクが低減される。
【0029】
さらに図1に示すように、電解液は、マルチチャンバ貯蔵タンク110に一般に貯蔵され、フロー電池システム10全体にわたって負極電解液ポンプ30及び正極電解液ポンプ32によって送り込まれる。負極電解液チャンバ50に貯蔵された電解液は、負極電解液ポンプ30によって電池の負極室20側に送り込まれ、正極電解液チャンバ52に貯蔵された電解液は、正極電解液ポンプ32によって電池の正極室22側に送り込まれる。
【0030】
2つの電解液リバランス反応器80,82は、それぞれ、レドックスフロー電池システム10において、電池の負極側及び正極側で電解液の再循環流路と直列又は並列に接続されてもよい。冗長性のため(例えば、電池及びリバランス操作に支障を与えることなくリバランス反応器を提供するため)、及び、リバランス能力を向上させるため、1つ又は複数のリバランス反応器は、電池の負極側と正極側において電解液の再循環流路と直列に接続されてもよく、他のリバランス反応器は、電池の負極側と正極側において電解液の再循環流路と並列に接続されてもよい。1つの実施例では、電解液リバランス反応器80,82は、それぞれ、負極室20及び正極室22から負極電解液源チャンバ50及び正極電解液源チャンバ52への戻り流路に配置されてもよい。電解液リバランス反応器80,82は、本明細書に記載されるように、副反応、イオンのクロスオーバー等のために生じるレドックスフロー電池システムにおける電解液の電荷の不均衡をリバランスすることができる。1つの実施例では、電解液リバランス反応器80,82は、電解液リバランス反応を実施するため、パッキングされた床(ベッド)の触媒表面で水素ガスと電解液とが接触するトリクルベッド反応器(trickle bed reactor)を備えてもよい。他の実施例では、リバランス反応器80,82は、水素ガスと電解液とを接触させ、パッキングされた触媒床(catalyst bed)がなくてもリバランス反応を実行することができるフロースルー型反応器(flow-through type reactor)を備えてもよい。
【0031】
レドックスフロー電池システムの作動中、センサ及びプローブは、電解液のpH、濃度、電荷の状態等の電解液の化学的特性を監視し、制御してもよい。例えば、図1に示すように、センサ62,60は、それぞれ、正極電解液の状態及び負極電解液の状態を監視するために正極電解液チャンバ52及び負極電解液チャンバ50に配置されてもよい。他の実施例として、図1に示すセンサ72,70は、それぞれ、正極室22及び負極室20において正極電解液の状態及び負極電解液の状態を監視してもよい。センサは、電解液の化学的特性及びその他の特性を監視するために、レドックスフロー電池システム全体のその他の場所に配置されてもよい。例えば、センサは、外部酸タンク(図示せず)の酸の体積又はpHを監視するために、外部酸タンクに配置されてもよく、外部酸タンクからの酸は、電解液中の沈殿物の形成を低減するため、外部ポンプ(図示せず)によってレドックスフロー電池システムに供給される。他の添加剤をレドックスフロー電池システム10に供給するため、追加の外部タンクとセンサを取り付けてもよい。例えば、フィールド水和システムの温度センサ、圧力センサ、導電率センサ、及びレベルセンサを含む様々なセンサは、乾燥状態のレドックスフロー電池システムを水和する際に、コントローラ88に信号を送信してもよい。さらに、コントローラ88は、レドックスフロー電池システムの水和中に、フィールド水和システムのバルブ及びポンプ等のアクチュエータに信号を送ってもよい。センサ情報は、1つの実施例として、セル18を流れる電解液の流れを制御するため、又は、他の制御機能を実行するために、ポンプ30及び32を順に作動させ得るコントローラ88に送信されてもよい。このように、コントローラ88は、センサ及びプローブの1つ又は組み合わせに対応してもよい。
【0032】
レドックスフロー電池システム10は、水素ガス源をさらに備えてもよい。1つの実施例では、水素ガス源は、別個の専用の水素ガス貯蔵タンクを備えてもよい。図1に示す実施例では、水素ガスは、統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110に貯蔵され、当該統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110から供給されてもよい。統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110は、正極電解液チャンバ52及び負極電解液チャンバ50に追加の水素ガスを供給してもよい。統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110は、追加の水素ガスを電解液リバランス反応器80,82の入口に交互に供給してもよい。1つの実施例として、質量流量計又はコントローラ88によって制御可能な他の流量制御装置又はタンクに設置されているインジェクターが統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110からの水素ガスの流れを調整してもよい。
【0033】
統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110は、レドックスフロー電池システム10において生成された水素ガスを補ってもよい。例えば、レドックスフロー電池システム10においてガス漏れが検出された場合、又は、低水素分圧における還元反応速度が低すぎる場合、正極電解液中及び負極電解液中の電気活性種の電荷の状態をリバランスするために、統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110から水素ガスが供給されてもよい。1つの実施例として、コントローラ88は、測定されたpHの変化に応じて、又は電解液又は電気活性種(electro-active species)の測定された電荷の状態の変化に応じて、統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110から水素ガスを供給してもよい。例えば、負極電解液チャンバ50又は負極室20のpHの上昇は、レドックスフロー電池システム10から水素が漏れていること、及び/又は、利用可能な水素分圧では反応速度が遅すぎることを示している場合がある。pH上昇に応じて、コントローラ88は、統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110からレドックスフロー電池システム10への水素ガスの供給を増加させてもよい。さらなる実施例として、第1の閾値pHを超えて増加する、又は、第2の閾値pHを超えて減少するというpHの変化に応じて、コントローラ88は、統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110から水素ガスを供給してもよい。IFBの場合、コントローラ88は、第二鉄イオン(ferric ion)の還元速度及びプロトンの生成速度を増加させるため、追加の水素を供給してもよく、これにより、正極電解液のpHを低下させることができる。さらに、正極電解液から負極電解液にクロスオーバーする第二鉄イオンの水素還元によって、又は、正極側で生成されて、プロトン濃度勾配及び電気泳動力により負極電解液にクロスオーバーするプロトンによって、負極電解液pHは低下する場合がある。このようにして、第二鉄イオン(正極室からクロスオーバーする)がFe(OH)として沈殿するリスクを低減しながら、負極電解液のpHを安定した領域内に維持することができる。
【0034】
酸素還元電位(ORP)メータまたは光学センサ等の他のセンサによって検出された、電解液のpHの変化又は電解液の電荷の状態の変化に応じて、統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110からの水素ガスの供給速度を制御するための他の制御スキームが実装されてもよい。さらに、コントローラ88の作動をトリガーするpHの変化又は電荷の状態の変化は、変化率又は一定の期間にわたって測定された変化に基づいてもよい。変化率を算出する期間は、レドックスフロー電池システムの時定数に基づいて事前に決定又は調整されてもよい。例えば、再循環率が高い場合は、当該期間を短縮でき、時定数が小さい場合は、(例えば、副反応やガス漏れによる)濃度の局所的な変化を迅速に測定することができる。
【0035】
図2は、図1のレドックスフロー電池システムなどのフロー電池システムの一部として電解質溶液を貯蔵、受け取り及び送達するように設計されたマルチチャンバ電解液貯蔵タンク110の例示的な概略図を示す。図2は、マルチチャンバ貯蔵タンク110の縦断面を示し、その内部レイアウトを示している。1つの実施例では、統合マルチチャンバ貯蔵タンク110は、閾値タンク圧力よりも高い内部タンク圧力をサポートするのに十分な厚さの壁を備えた単一の水平円筒形のガラス繊維強化プラスチック(FRP)タンクを含んでいてもよい。1つの実施例では、壁の厚さは3/8インチ以上としてもよく、閾値タンク圧力は20psi以上としてもよい。閾値タンク圧力は、レドックスフロー電池システムの作動中に、タンク内に貯蔵された水素ガスによって及ぼされる圧力以上の圧力に対応してもよい。統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンクに向かう、及び当該タンクから出る入口及び出口配管接続には、タンク閾値圧力又はタンク圧力閾値以上の圧力を維持できるフランジ付きの密封可能な接続が含まれてもよい。統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110は、内部で第1の電解液チャンバ252と第2の電解液チャンバ250とに分割されている。図1に示す例では、第1の電解液チャンバ252及び第2の電解液チャンバ250は、正極電解液チャンバ52及び負極電解液チャンバ50に対応する。隔壁298は、溢流孔297を除いて、第1の電解液チャンバ252及び第2の電解液チャンバ250を流体的に分離及び切り離してもよい。溢流孔297は、第1の電解液チャンバ252と第2の電解液チャンバ250との間のガス圧力及び組成を平衡化するために、隔壁298に開口部を形成する。さらに、電解液のクロスオーバー又は混合が発生した場合、溢流孔の溢流閾値レベル213を超えて第1の電解液チャンバ252及び第2の電解液チャンバ250を満たすことにより、第1の電解液チャンバ252と第2の電解液チャンバ250との間の混合を可能にしてもよい。
【0036】
図2において破線で示されている、固体閾値充填レベル211は、空の第1の電解液チャンバ252及び第2の電解液チャンバ250を含む、レドックスフロー電池システムを水和及び始動するときの乾燥電解質前駆体(例えば、塩等)の充填レベルに対応するレベルを示す。図2に示すように、固体閾値充填レベル211は、第1の電解液チャンバ252及び第2の電解液チャンバ250の双方において同じであってもよいが、他の実施例では、固体閾値充填レベル211は、第1の電解液チャンバ252及び第2の電解液チャンバ250の双方において異なってもよい。1つの実施例では、固体閾値充填レベル211は、統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110の底部より0.6m上にあってもよい。また、図2において破線で示されているのは、液体充填閾値レベル212である。当該液体充填閾値レベル212は、固体閾値充填レベル212よりも高くてもよく、レッドクスフローバッテリーシステムの充電中、放電中、又はアイドル状態である作動モード中に、統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110内の電解液の充填高さを示してもよい。1つの実施例では、液体充填閾値レベル212は、統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110の底部より1.65~1.7mのレベルを含んでいてもよい。マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110を充填している間及びレドックスフロー電池システムの作動中、第1の電解液チャンバ252及び第2の電解液チャンバ250内の液体レベル間の差は、閾値圧力差に対応する閾値差未満に維持されてもよい。1つの実施例では、閾値差は150mm未満であってもよい。溢流孔297は、液体充填閾値レベル212よりも高い溢流閾値レベル213に配置することができ、これは、電解液が第1の電解液チャンバ252及び第2の電解液チャンバ250の間を流れ、混合する液体充填レベルに対応する。図2に示すように、1つの実施例では、溢流閾値レベル213は、液体充填閾値レベル212よりも75mm上を含んでいてもよい。
【0037】
さらに図2に示すように、ガスヘッドスペース292及び290は、第1の電解液チャンバ252及び第2の電解液チャンバ250の液体体積の上に位置する。例えば、レドックスフロー電池システム10の作動中、第1の電解液チャンバ252及び第2の電解液チャンバ250の液体体積は液体充填閾値レベル212にあり、ガスヘッドスペース292及び290は、それぞれ第1の電解液チャンバ252及び第2の電解液チャンバ250の液体充填閾値レベル212より上に位置していてもよい。ガスヘッドスペース292及び290は、始動前又はレドックスフロー電池の作動から(例えば、負極でのプロトン還元及び腐食副反応による)初期水素パージにより生成され、統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110に運ばれる水素ガスを含み得る。例えば、水素ガスは、レドックスフロー電池セル18から電解液を戻す際に同伴され得る。上述のように、ガスヘッドスペース292及び290は、溢流孔297によって流体的に接続され、平衡化され得る。
【0038】
隔壁298は、統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110を第1の電解液チャンバ252及び第2の電解液チャンバ250に横方向かつ堅固に分割するように配向されてもよい。したがって、隔壁298の位置決めは、第1の電解液チャンバ252及び第2の電解液チャンバ250の容積を画定することができる。1つの実施例において、隔壁298は、レドックスフロー電池セル18内で起こる負極及び正極のレドックス反応の間の化学量論比に対応する第1の電解液チャンバ及び第2の電解液チャンバの容積比を設定するように配置され得る。このように、電解液の容積比は、レドックスフロー電池セルの負極側と正極側の間の電荷バランスを維持するのに役立つ。IFBの場合(上記の酸化還元反応式(1)及び(2)を参照)、2モルのFe3+が正極で酸化され(2モルの電荷)、Fe2+のすべてのモルが負極で還元されるため(2モルの電荷)、負極における反応は、正極として鉄の半分の量を消費する。したがって、隔壁298は、負極電解液チャンバ50の容積が正極電解液チャンバ52の容積の半分になるように配置することができる。マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110は、レドックスフロー電池セル18の数に応じた大きさにすることができる。1つの実施例では、マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110は、5000Lを超えるガスヘッドスペース及び約1000Lの配管容積を含む21,000Lを超える容積を含んでいてもよい。
【0039】
引き続き図2を参照すると、電解液は、統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110内においてより垂直に(例えば、y方向に平行に)配向された第1の電解液戻りパイプ202及び第2の電解液戻りパイプ204によって、1つ以上のレドックスフロー電池セル18から第1の電解液チャンバ252及び第2の電解液チャンバ250に戻され得る。第1の電解液戻りパイプ202及び第2の電解液戻りパイプ204は、統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110の外部の端部において戻りフランジ206及び208を含むことができ、これにより、入口配管とのフランジ接続が可能となり、閾値タンク圧力以上の密封を維持できる。第1の電解液戻りパイプ202及び第2の電解液戻りパイプ204は、統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110の内部において、それぞれ第1の戻りマニホルド214及び第2の戻りマニホルド216に流体的に連結されてもよい。第1の戻りマニホルド214及び第2の戻りマニホルド216は、それぞれ、複数の開口部218及び219を有する中空配管の区間を含み、これを通って、戻された電解液及びガスが第1の電解液チャンバ252及び第2の電解液チャンバ250に流れることができる。第1の戻りマニホルド214及び第2の戻りマニホルド216は、隔壁298によって流体的に隔離されてもよく、この場合、第1の戻りマニホルド214及び第2の戻りマニホルド216を介した第1の電解液チャンバ252と第2の電解液チャンバ250との間の液体電解質又はガスの交換はない。
【0040】
図2に示すように、第1の戻りマニホルド214及び第2の戻りマニホルド216は液体充填閾値レベル212の下に配置され、これにより、レドックスフロー電池セルから電解液及びその中の同伴ガスを統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンクの浸漬レベルに戻す。1つの実施例では、浸漬レベルは、固体充填レベル211よりも高くてもよいが、液体充填閾値レベル212よりも低くてもよい。固体充填レベル211は、乾燥状態でのレドックスフロー電池システムの起動及び試運転時に、固体電解質前駆体(例えば、粉末または顆粒状の塩)が追加されるタンク内のレベルに対応してもよい。乾燥状態は、水または他の液体溶媒の非存在下で、その水和前のレドックスフロー電池システムを意味する。他の実施例では、浸漬レベルは、統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110の中心縦軸と一致してもよい。第1の戻りマニホルド214及び第2の戻りマニホルド216は、それぞれ、より水平に(x方向に平行に)配向され、統合マルチチャンバ電解質貯蔵タンク110の縦軸に及ぶ長さの配管を含んでいてもよい。第1の戻りマニホルド214及び第2の戻りマニホルド216を、それぞれ、より垂直に配向された第1の戻りパイプ202及び第2の戻りパイプ204に対してより水平に配向することにより、第1の戻りパイプ202及び第2の戻りパイプ204の長さにわたる水圧降下を増加させて、第1の戻りマニホルド214及び第2の戻りマニホルド216の長さ全体にわたる戻された電解液及びガスの分配を支援することができる。このようにして、第1の戻りマニホルド214及び第2の戻りマニホルド216をより低いレベル(例えば、固体充填レベル211により近いレベル)に配置することによって、また、第1の戻りパイプ202及び第2の戻りパイプ204の長さにわたる水圧低下を増加させることができる。開口部218及び219は、それぞれ第1の戻りマニホルド214及び第2の戻りマニホルド216の上面及び/又は下面に配置されてもよい。このようにして、同伴ガスは上面の開口部から泡となって上昇しやすく、一方、戻された電解液(the returning liquid)は下面の開口部から流れ出やすいため、戻された電解液とその中の同伴ガスの分離を促進することができる。このようにして、第1の戻りマニホルド214及び第2の戻りマニホルド216は、統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110内の自発的なガス/液体分離を促進して、より均質な電解液を戻すことができる。
【0041】
引き続き、図2に示すように、第1の電解液チャンバ及び第2の電解液チャンバのそれぞれからの1つ以上の液体出口244(断面切断の視点によって、第2の電解液チャンバ250の液体出口は見えない)は、フロー電池セル18及び/又はリバランス反応器80及び82に電解質を供給するために使用されてもよい。液体出口244への配管接続は、閾値タンク圧力よりも高い圧力又はそれより高い圧力に密封可能なフランジ接続を含んでもよい。液体出口244は、液圧によってそこから液体を運ぶことができるように、統合貯蔵タンク110の下面又はより低いレベルに向かって配置されてもよい。例えば、電解液をリバランス反応器80及び82及びレドックスフロー電池セル18に供給するために、液体出口244を第1の電解液チャンバ及び第2の電解液チャンバの双方に設けられてもよい。さらに、液体出口244をタンクの底面に向けて配置することにより、液体出口に同伴されるガスの量を減らすことができる。1つの実施例では、マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110内の液体出口244の開口部は、固体充填レベル211の上方に配置することができ、これにより、固体が液体出口に入るのを防ぐことができる。フランジ接続247は、統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンクのスペアの液体連結ポートを提供することができ、例えば、ドレインとして含まれてもよい。
【0042】
統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110は、第1の電解液チャンバ252及び第2の電解液チャンバ250のそれぞれから上面に向かって配置された1つまたは複数のガス出口ポート236及び238をさらに含んでいてもよい。例えば、ガス出口ポート236及び238は、液体充填閾値レベル212より上及び溢流閾値レベル213より上に配置されてもよい。このようにして、ガス出口ポートは、ヘッドスペース292及び290にそれぞれ流体的に連結され、統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンクからリバランス反応器80及び82への水素ガスの供給を促進し、又は、外部水素ガス源から水素ガスを受け取る。1つの実施例において、内部水素スタブ234は、フレキシブルチューブにより、電解液の表面(例えば、気液界面)に配置されたフロートに接続され、タンクのガスヘッドスペースの完全なパージを可能にしてもよい。統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110は、ガス出口236又はガス出口238において流体的に連結された内部水素スタブ234を含むことができ、又は、ガス出口236及び238の双方に流体的に連結された2つの内部水素スタブ234を含んでいてもよい。上述したように、タンクガスのヘッドスペースをパージして水素ガスを貯蔵することにより、電解液の分解酸化の低減に寄与するガスの非酸化性ブランケットの提供が促進される。
【0043】
図3A及び3Bを参照すると、それらは、統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110のそれぞれ上面及び側面の外観を示している。図3Aに示されるように、第1の戻りフランジ206、第1のレベルセンサ302、第1のケーブル導管306、及び第1の戻りフランジ206は、統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110の上面に向かって、縦方向のx軸に垂直な横方向のz軸に沿って整列されている。これにより、電気及び配管接続をより整然と配置することができる。第1のレベルセンサ302は、第1の電解液チャンバの流体レベルをコントローラ88に送信してもよい。第1のケーブル導管306は、熱電対、導電率センサ、レベルセンサ、圧力センサ、及び他のセンサなどのセンサ、及び第1の電解液チャンバのヒーター等の電気機器の、統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110の外部に位置する電源への電気的な連結を促進してもよい。マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110の第2の電解液チャンバ側では、第2の戻りフランジ208、第2のレベルセンサ304、第2のケーブル導管308、及び第2の戻りフランジ208は、統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110の上面に向かって、縦方向のx軸に垂直な横方向のz軸に沿って整列されている。これにより、電気及び配管接続をより整然と配置することができる。第2のレベルセンサ304及び第2のケーブル導管308の機能及び特徴は、第1のレベルセンサ304及び第1のケーブル導管308について説明したものと類似しているが、第2の電解液チャンバに関する。マンウェイ310は、統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110のいずれかの端部キャップのより中央に配置されるように示されており、保守目的のサービスのための入口を提供している。最後に、マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110は、その下面でマルチチャンバ電解液貯蔵タンク110の円周の一部を包囲する少なくとも2つの支持サドル386に取り付けられ、固定されてもよく、これにより、マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110の静止位置を支持及び維持することができる。1つの実施例では、支持サドル386は、エポキシ被覆鋼(epoxy-coated steel)を含んでいてもよい。
【0044】
図4には、統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110の外部端面図が示されている。マンウェイ310は、タンクへの内部アクセスを容易にする楕円形の開口部を含んでいてもよく、閾値タンク圧力以上となるように気体及び液体の漏れを密封することができる密封可能なドアを備えていてもよい。図4の例示的な概略図において、溢流孔297は、開口しているマンウェイ310から視認可能である。したがって、当該例示的な概略図において、マンウェイ310は、溢流閾値レベル213の位置及びそれ以上の高さでマルチチャンバ電解液貯蔵タンク110の上面に向かって配置されていてもよい。様々な液体出口244は、より大きな液体出口244a及びより小さな液体出口244bを含んでいてもよい。1つの実施例では、より大きな液体出口244aは、電解液をレドックスフロー電池セル18に運ぶために使用され、より小さな液体出口244bは、電解液をリバランス反応器80及び82に運ぶために使用されてもよい。このようにして、より大きな流量の電解液を供給して、レドックスフロー電池セルの充電及び放電速度をサポートしてもよい。
【0045】
2つ以上の支持サドル386は、マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110の位置を補強及び固定し、その下面の部分的に包囲してもよい。支持サドルは、溶接、ボルト等によってマルチチャンバ電解液貯蔵タンクに取り付けられてもよい。支持サドル386は、正方形の開口部406及び長方形の開口部402を含んでいてもよく、これにより、統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110の持ち上げ及び配置を可能にすることができる。特に、長方形の断面を有するI型ビームは、統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110を持ち上げて配置できるように、複数の支持サドル386の長方形の開口部を通って架けられていてもよい。さらに、円形開口部404は、統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110からの液体出口244(244a及び244bを含む)にフランジが付けられて流体接続された出口配管を支持してもよい。
【0046】
図5A及び図5Bを参照すると、当該図5A及び図5Bは、レドックスフロー電池システム10の例示的なレドックスフロー電池システムレイアウトの側面図502及び状メンズ503を示している。レドックスフロー電池システムのレイアウトは、レドックスフロー電池システムの長距離輸送及び配送を促進する剛性を有するハウジング590内に収容されてもよい。いくつかの実施例では、ハウジング590は、鉄道、トラック又は船を介して輸送することができる標準的な鋼鉄貨物コンテナ又は貨物トレーラーを含んでいてもよい。システムレイアウトは、ハウジング590の第1の側に配置された統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110、電解液リバランス反応器80、82、及び、ハウジング590の第2の側に配置された電力モジュール510、電力制御システム(PCS)588を備えていてもよい。支持サドル386等の補助部品、及び、様々な配管504、ポンプ530、バルブ(図示せず)等が、安定化のため、及び、ハウジング590内に配置された様々な部品を流体接続するため、ハウジング590内(図1を参照してさらに説明される)に備えられてもよい。例えば、1つ又は複数のポンプ530(電解液ポンプ30、32を含む)を利用して、統合マルチチャンバ貯蔵タンク110から電力モジュール510内の1つ又は複数の電池セルスタック514に電解液を供給することができる。さらに、追加のポンプ530を利用して、電解液を電力モジュール510から統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110の第1の電解液チャンバ250又は第2の電解液チャンバ252に戻すことができる。配管504は、電解液を電力モジュール510から統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110へ戻すための第1の戻りフランジ206及び第2の戻りフランジ208に流体的に連結された配管を含んでもよい。配管504は、電解液をリバランス反応器80、82及び電力モジュール510に供給するための液体出口244に流体的に連結された配管をさらに含んでもよい。
【0047】
電力モジュール510は、並列及び/又は直列に電気的に接続された1つ以上のレドックスフロー電池セルスタック514を備えてもよい。レドックスフロー電池スタック514のそれぞれは、並列及び/又は直列に接続された複数のレドックスフロー電池セル18をさらに備えてもよい。このようにして、電力モジュール510は、ある範囲の電流及び/又は電圧を外部負荷に供給することができてもよい。PCS588は、レドックスフロー電池システム10の作動を制御及び監視するためのコントローラ88及び他の電子機器を含む。さらに、PCS588は、外部負荷に供給される電圧とともに、電力モジュール510を充電するための外部電源からの電流及び/又は電圧の供給を調整及び監視してもよい。PCS588は、アイドル状態中にレドックスフロー電池システムの作動をさらに調整及び制御してもよい。したがって、PCS588は、マルチチャンバ電解液貯蔵タンクの様々なセンサ及びアクチュエータを含む、レドックスフロー電池システム10の様々なセンサ及びアクチュエータに電気的に連結されてもよい。
【0048】
したがって、第1の実施例では、レドックスフロー電池システム用のマルチチャンバ電解液貯蔵タンクは、第1の電解液チャンバ及び第2の電解液チャンバ、並びに隔壁を備えていてもよく、第1の電解液チャンバ及び第2の電解液チャンバは、それぞれレドックスフロー電池セルの第1の側及び第2の側に流体的に連結され、第1の電解液チャンバ及び第2の電解液チャンバは、それぞれ第1の電解液容積及び第2の電解液容積を含み、第1の電解液容積及び第2の電解液容積は、それらの間に配置された隔壁によって分離されている。マルチチャンバ電解液貯蔵タンクの第2の実施例は、オプションで第1の実施例を含み、さらに、第1の電解液チャンバ及び第2の電解液チャンバにそれぞれ流体的に連結された第1の戻り入口及び第2の戻り入口を備え、第1の戻り入口及び第2の戻り入口は戻された流体を第1の電解液容積及び第2の電解液容積の浸漬位置(submersed positions)に送達する。マルチチャンバ電解液貯蔵タンクの第3の実施例は、オプションで第1の実施例及び第2の実施例を含み、さらに、それぞれ第1の電解液容積及び前記第2の電解液容積の浸漬位置に浸漬され流体的に連結された第1の戻りマニホルド及び第2の戻りマニホルドを含む。マルチチャンバ電解液貯蔵タンクの第4の実施例は、第1の実施例乃至第3の実施例を任意に含み、さらに、第1の戻りマニホルド及び第2の戻りマニホルドが、レドックスフロー電池セルから戻された電解液及び同伴ガスを含むことをさらに含む。マルチチャンバ電解液貯蔵タンクの第5の実施例は、オプションで第1の実施例乃至第4の実施例を含み、第1の電解液容積及び第2の電解液容積が第1の電解液チャンバ及び第2の電解液チャンバをそれぞれ第1の液体充填閾値レベル及び第2の液体充填閾値レベルまで満たすことをさらに含む。マルチチャンバ電解液貯蔵タンクの第6の実施例は、オプションで第1の実施例乃至第5の実施例を含み、さらに、第1の戻りマニホルド及び第2の戻りマニホルドが、それぞれ第1の液体充填閾値レベル及び第2の液体充填閾値レベルより下、及び第1の固体充填閾値レベル及び第2の固体充填閾値レベルより上に配置されることを含む。マルチチャンバ電解液貯蔵タンクの第7の実施例は、オプションで第1の実施例乃至第6の実施例を含み、さらに、第1の電解液チャンバ及び第2の電解液チャンバのそれぞれの、第1の固体充填閾値レベル及び第2の固体充填閾値レベルより上、及び第1の戻りマニホルド及び第2の戻りマニホルドより下に位置する液体出口を備える。別の表現では、第1の固体充填閾値レベル及び第2の固体充填閾値レベルは、レドックスフロー電池システムを乾燥状態で試運転するときに乾燥電解質前駆体が追加されるレベルに対応し、乾燥状態は水又は他の液体溶媒が存在しないことを含む。マルチチャンバ電解液貯蔵タンクの第8の実施例は、オプションで第1の実施例乃至第7の実施例を含み、さらに、第1の戻りマニホルド及び第2の戻りマニホルドは、それぞれ、浸漬位置で第1の戻り入口及び第2の戻り入口に流体的に連結された、より水平に配向されたパイプを備え、第1の戻り入口及び第2の戻り入口は、より垂直に配向されたパイプを備える。マルチチャンバ電解液貯蔵タンクの第9の実施例は、オプションで第1の実施例乃至第8の実施例を含み、より水平に配向されたパイプは、より水平に配向されたパイプの上面及び下面にそれぞれ上側開口部及び下側開口部を備え、上側開口部及び下側開口部を通って戻された電解液及び同伴ガスが第1の戻りマニホルド及び第2の戻りマニホルドから出る。
【0049】
したがって、第1の実施例では、レドックスフロー電池システムは、レドックスフロー電池セルの負極室に流体的に連結された負極電解液チャンバと、レドックスフローの正極室に流体的に連結された正極電解液チャンバと、及び隔壁で分離された負極電解液チャンバと正極電解液チャンバを含むマルチチャンバ電解液貯蔵タンクとを備えてもよい。レドックスフロー電池システムの第2の実施例は、第1の実施例を任意に含んでもよく、さらに、負極電解液チャンバ及び正極電解液チャンバが、それぞれ負極の液体閾値レベル及び正極の液体閾値レベルまで満たされた負極電解液及び正極電解液を含み、負極電解液及び正極電解液は隔壁によって分離されることを含んでもよい。レドックスフロー電池システムの第3の実施例は、オプションで第1の実施例及び第2の実施例を含んでもよく、マルチチャンバ電解液貯蔵タンクがさらにガスヘッドスペースを含み、ガスヘッドスペースが負極電解液及び正極電解液の上に配置され、当該負極電解液及び正極電解液の両方に配管なしで流体的に連結されることをさらに含んでもよい。レドックスフロー電池システムの第4の実施例は、オプションで第1の実施例乃至第3の実施例を含んでもよく、隔壁は、負極電解液及び正極電解液レベルの上にあり、ガスヘッドスペースに流体接触する溢流孔をさらに含んでもよく、また、溢流孔がない場合、負極室及び正極室は流体的に分離されることをさらに含んでもよい。レドックスフロー電池システムの第5の実施例は、オプションで第1の実施例乃至第4の実施例を含んでもよく、隔壁は、溢流孔の断面を除くマルチチャンバ電解液貯蔵タンクの横断面を占める垂直剛性パネルをさらに備えてもよい。
【0050】
図8を参照すると、マルチチャンバ電解液貯蔵タンクを含む、図1のレドックスフロー電池システムを作動させる方法800の例示的なフローチャートが示されている。方法800は、コントローラ88等のコントローラ上の非一時メモリに格納された実行可能命令を含んでいてもよい。したがって、コントローラ88は、レドックスフロー電池システムの作動中に方法800の少なくとも一部を実行することができる。方法800はステップ810で始まり、コントローラ88は、pH、電池SOC、電解液濃度、電解液SOC、電力モジュール電圧、作動状態(例えば、充電、放電、又はアイドルモード)等のレドックスフロー電池システム作動条件を推定及び/又は測定する。ステップ820において、方法800は、マルチチャンバ電解液貯蔵タンクの負極電解液チャンバからレドックスフロー電池の負極室に負極電解液を導くことを継続する。1つの実施例において、負極電解液をマルチチャンバ電解液貯蔵タンクの負極電解液チャンバからレドックスフロー電池の負極室に導くことは、負極電解液を負極電解液チャンバ50から負極室20に送ることを含んでもよい。コントローラ88は、負極電解液ポンプ30に信号を送信して、負極電解液チャンバ50から負極室20に負極電解液を設定流量で供給してもよく、設定流量は、レドックスフロー電池システムが充電中、放電中、又はアイドル中かどうかに依存してもよい。充電及び放電作動中の負極電解液の流量は、アイドル作動中の負極電解液の流量よりも多くてもよい。
【0051】
次に、ステップ830において、方法800は、正極電解液をマルチチャンバ電解液貯蔵タンクの正極電解液チャンバからレドックスフロー電池の正極室に導いてもよい。1つの実施例では、マルチチャンバ電解液貯蔵タンクの正極電解液チャンバからレドックスフロー電池の正極室に正極電解液を導くことは、正極電解液チャンバ52から正極室22に正極電解液を送ることを含んでもよい。さらに、コントローラ88は、正極電解液ポンプ32に信号を送信して、正極電解液チャンバ52から正極電解液を設定流量で正極室22に供給してもよく、設定流量は、レドックスフロー電池システムが充電中、放電中、又はアイドル中かどうかに依存してもよい。充電及び放電作動中の正極電解液の流量は、アイドル作動中の正極電解液の流量よりも多くてもよい。
【0052】
ステップ840において、方法800は、マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110内に配置された隔壁98によって分離された負極電解液チャンバ50及び正極電解液チャンバ52に負極電解液及び正極電解液を導くことにより、負極電解液及び正極電解液を流体的に分離することを含んでもよい。上述したように、隔壁98は、マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110内の負極電解液を正極電解液から分離してもよい。さらに、負極電解液及び正極電解液の上のガスヘッドスペースは、負極電解液チャンバ及び正極電解液チャンバの負極液体閾値充填レベル及び正極液体閾値充填レベルより上に位置する溢流孔によって、圧力平衡化されてもよい。さらになお、隔壁は、負極及び正極のレドックス反応間の電解液消費の化学量論比に対応する負極電解液チャンバ及び正極電解液チャンバ間の容積比を規定するように配置されてもよい。
【0053】
引き続きステップ850において、コントローラ88は、同伴ガスを含む負極電解液及び正極電解液を、レドックスフロー電池セルから、それぞれ、負極電解液チャンバ50及び正極電解液チャンバ52の浸漬位置に戻してもよい。戻された電解液と同伴ガスは、マルチチャンバ電解液貯蔵タンクの負極電解液チャンバ及び正極電解液チャンバのそれぞれの液体閾値充填レベルより下に位置する戻りマニホルドに流体的に連結された戻り入口によって、負極液体閾値充填レベル及び正極液体閾値充填レベルより下の浸漬位置に導かれてもよい。同伴ガスを含む戻された電解液は、マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110に戻る前に、レドックスフロー電池セルから1つ又は複数のリバランス反応器80及び82を通って流れ、そこで電解液電荷の再平衡化を受けてもよい。
【0054】
次に、ステップ860において、方法800は、引き続き、負極電解液チャンバ及び正極電解液チャンバ内の同伴ガスを戻された電解液(the returning liquid)から分離する。負極電解液チャンバ50及び正極電解液チャンバ52に配置された戻りマニホルドは、戻された電解液及び同伴ガスを負極電解液チャンバ及び正極電解液チャンバに送達するための開口部を含んでいてもよい。開口部は、戻りマニホルドの上面及び下面に上部及び下部開口部を含んでもよい。したがって、同伴ガスは上面の開口部から泡となって上昇しやすく、戻された電解液は下面の開口部から流れ出やすいため、戻された電解液とその中の同伴ガスの分離を促進することができる。このようにして、第1の戻りマニホルド214及び第2の戻りマニホルド216は、統合マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110内において、自発的なガス/液体分離を促進して、より均質に混合された電解液を実現することができる。戻された電解液流体を戻りマニホルドに導くことにより、ステップ860において、戻り電解液からの同伴ガスを容易に分離することができる。
【0055】
次に、ステップ870において、方法800は、分離された同伴ガスを、マルチチャンバ電解液貯蔵タンク内で負極電解液及び正極電解液の上に位置するガスヘッドスペースに貯蔵する。戻りマニホルドを出た後、同伴ガスは泡となって上昇し、電解液から出て、負極電解液チャンバ及び正極電解液チャンバのガスヘッドスペースの体積を占める。ステップ880において、コントローラ88は、ガス平衡化反応を実行するために、ガスヘッドスペースから負極リバランス反応器及び正極リバランス反応器にガスを供給してもよい。1つの実施例では、ガス流量は、質量流量計、インジェクター、又は圧力調整器によって、マルチチャンバ電解液貯蔵タンク110から1つ又は複数のリバランス反応器に導くように制御されてもよい。ステップ880の後、方法800は終了する。
【0056】
したがって、第1の実施例では、レドックスフロー電池システムの操作方法は、マルチチャンバ電解液貯蔵タンクに配置された負極電解液チャンバから負極電解液をレドックスフロー電池セルの負極室に導くこと、マルチチャンバ電解液貯蔵タンクに配置された正極電解液チャンバからレドックスフロー電池セルの正極室に正極電解液を導くことを備えてもよい。ここで、負極電解液チャンバの負極電解液と正極電解液チャンバの正極電解液は、マルチチャンバ電解液貯蔵タンク内の隔壁によって分離されている。方法の第1の実施例は、電解液及びそれに含まれる気体を、レドックスフロー電池セルから、それぞれ、負極電解液チャンバ及び正極電解液チャンバの負極電解液及び正極電解液内の浸漬位置に戻すことを含んでいてもよい。方法の第2の実施例は、オプションで第1の実施例を含み、さらに、負極電解液チャンバ及び正極電解液チャンバ内の戻された電解液から同伴ガスを分離することを含む。方法の第3の実施例は、任意に第1の実施例及び第2の実施例を含み、さらに、同伴ガスを戻された電解液から分離することは、機械装置を動かすことなく戻された電解液から同伴ガスを分離することを含む。方法の第4の実施例は、オプションで第1の実施例乃至第3の実施例を含み、さらに、分離された同伴ガスを、それぞれ負極電解液チャンバ及び正極電解液チャンバの負極電解液及び正極電解液の上のガスヘッドスペースに貯蔵することを含み、ガスヘッドスペースはマルチチャンバ電解液貯蔵タンク内に配置される。方法の第5の実施例は、オプションで第1の実施例乃至第4の実施例を含み、さらに、負極電解液チャンバ及び正極電解液チャンバと、負極室及び正極室との間にそれぞれ流体的に連結された負極リバランス反応器及び正極リバランス反応器にガスヘッドスペースからガスを送達することを含む。
【0057】
このようにして、ガス/液体分離器及び専用ガス貯蔵タンク等のいくつかの補助プロセスユニットを排除する技術的効果を達成することができ、それによって製造及び操作の複雑さを低減することができる。さらに、単一のマルチチャンバ電解液貯蔵タンク内に電解液チャンバとガス貯蔵とを統合することにより、レドックスフロー電池システムのレイアウトを大幅に簡素化し、システムの設置面積を削減できる。さらに、マルチチャンバ電解液貯蔵タンクの電解液チャンバの上のヘッドスペースに水素ガスを貯蔵することにより、自発的な気液分離が可能になり、電解液に不活性ガスブランケットが提供されるため、電解液の酸化を低減し、レドックスフロー電池システムの容量損失を削減することができる。
【0058】
本明細書で開示される構成及びルーチンは本質的に例示であり、これらの特定の実施形態は、多数の変形が可能であるため、限定的な意味で考慮されるべきではないことが理解されることが好ましい。たとえば、上記の技術は、他のフローバッテリータイプに適用できる。本開示の主題は、本明細書に開示される、様々なシステム及び構成、並びに他の特徴、機能、及び/又は特性のすべての新規かつ非自明な組み合わせ及びサブコンビネーションを含む。
【0059】
本明細書に含まれる例示的な制御及び推定ルーチンは、様々な電池及び/又は車両システム構成で使用できることに留意されたい。本明細書で開示される制御方法及びルーチンは、実行可能な命令として非一時的なメモリに格納され、様々なセンサ、アクチュエータ、及び他の電池ハードウェアと組み合わせたコントローラを含む制御システムによって実施されてもよい。本明細書で説明する特定のルーチンは、イベント駆動型、割り込み駆動型、マルチタスク処理、マルチスレッド処理等の任意の数の処理戦略の1つ又は複数を表してもよい。したがって、例示された様々なアクション、作動、及び/又は機能は、例示された順序で、並行して、又は場合によっては省略されて実行されてもよい。同様に、処理の順序は、本明細書で説明される例示的な実施形態の特徴及び利点を達成するために必ずしも必要ではないが、例示及び説明を容易にするために提供される。例示されたアクション、作動、及び/又は機能の1つ又は複数は、用いられる特定の戦略に応じて繰り返し実行されてもよい。さらに、記載されたアクション、作動、及び/又は機能は、レドックスフロー電池制御システム内のコンピューター読み取り可能な記憶媒体の非一時的メモリにプログラムされるコードをグラフィカルに表してもよく、記載されたアクションは、電子コントローラと組み合わされて、様々な電池ハードウェア部品を含むシステムによって命令が実行されることによって実施される。
【0060】
以下の特許請求の範囲は、新規かつ非自明とみなされる特定の組み合わせ及びサブコンビネーションを特に挙げている。これらの請求項は、「1つの(an)」要素又は「第1の(a first)」要素又はそれらの同等物を意味してもよい。そのようなクレームは、1つ又は複数のそのような要素の組み込みを含むと理解されるべきであり、2つ以上のそのような要素を必要とすることも除外することもないと理解されるべきである。開示された特徴、機能、要素、及び/又は特性の他の組み合わせ及びサブコンビネーションは、本請求項の補正を通じて、又は本出願又は関連出願における新しい請求項の提示を通じて請求されてもよい。
【0061】
そのような請求項は、元の請求項よりも広い、狭い、等しい、又は異なる範囲であっても、本開示の構成要件内に含まれるものとみなされる。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8