(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】ゴルフクラブヘッドのための可変厚さフェース板
(51)【国際特許分類】
A63B 53/04 20150101AFI20220809BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20220809BHJP
【FI】
A63B53/04 C
A63B102:32
(21)【出願番号】P 2019559844
(86)(22)【出願日】2018-05-07
(86)【国際出願番号】 US2018031441
(87)【国際公開番号】W WO2018204932
(87)【国際公開日】2018-11-08
【審査請求日】2021-05-06
(32)【優先日】2017-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591086452
【氏名又は名称】カーステン マニュファクチュアリング コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エリック ジェイ. モラレス
(72)【発明者】
【氏名】マーティン アール. ジャーツソン
(72)【発明者】
【氏名】ライアン エム. ストック
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブ ティー. クラーク
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第01/083049(WO,A1)
【文献】特開2003-135630(JP,A)
【文献】登録実用新案第3208316(JP,U)
【文献】特開2015-027430(JP,A)
【文献】特開2015-195947(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/04-53/06
A63B 102/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
標準化された特性時間を有するゴルフクラブヘッドであって、
内部空洞を画定するクラウン部分、ソール部分、トゥ部分、ヒール部分、及び、リア部分を有するボディと、
フェース板と、を備え、
前記フェース板は、
前面と、
後面と、
前記ヒール部分近傍から前記トゥ部分近傍へと延びる水平軸、及び、前記水平軸に対して垂直であり、前記クラウン部分近傍から前記ソール部分近傍へと延びる鉛直軸を有する座標系の原点を画定する幾何学的中心と、
前記前面と前記後面との間で測定され、可変厚さプロフィールを画定するために前記フェース板にわたる異なる場所において変化する厚さと、を備え、
前記可変厚さプロフィールは、
前記フェース板の最小厚さを備える周囲領域と、
移行領域と、
前記フェース板の最大厚さを備える中心領域と、を備え、
前記中心領域は、前記
水平軸に対して2度から60度の間の角度で延びる長軸を有する卵形の形状を有する、
ゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記中心領域の前記長軸は、前記
水平軸に対して2度から30度の間の角度で延びる、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記フェース板の前記幾何学的中心が、前記中心領域内に設けられている、請求項1又は2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記移行領域における前記フェース板の前記厚さは、前記中心領域における前記フェース板の前記最大厚さと、前記周囲領域における前記フェース板の前記最小厚さと、の間で徐々に小さくなる、請求項1から3のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記フェース板の特性時間の範囲は110マイクロ秒未満である、請求項1から3のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記フェース板の特性時間の範囲は100マイクロ秒未満である、請求項4に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記フェース板の平均特性時間は230マイクロ秒から245マイクロ秒の間である、請求項1から6のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
前記フェース板の平均特性時間は235マイクロ秒から245マイクロ秒の間である、請求項7に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
前記中心領域は、さらに、第1の側と第2の側とを備え、
前記第1の側と前記第2の側と、前記中心領域の短軸によって分割され、
前記第1の側は、前記短軸と前記トゥ部分との間に設けられ、
前記第2の側は、前記短軸と前記ヒール部分との間に設けられ、
前記中心領域の前記第2の側の表面積に対する前記中心領域の前記第1の側の表面積の比率は1.2から2.0の間である、請求項1から8のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
前記フェース板は、
上方ヒール側四分円と、
上方トゥ側四分円と、
下方ヒール側四分円と、
下方トゥ側四分円と、を備え、
前記中心領域の全表面積のより大きな割合が、前記下方ヒール側四分円、前記上方ヒール側四分円、及び前記下方トゥ側四分円のうちの1つ以上においてよりも、前記上方トゥ側四分円において設けられている、請求項1から9のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
標準化された特性時間を有するゴルフクラブヘッドであって、
内部空洞を画定するクラウン部分、ソール部分、トゥ部分、ヒール部分、及びリア部分を有するボディと、
フェース板と、備え、
前記フェース板は、
前面と、
後面と、
前記ヒール部分近傍から前記トゥ部分近傍へと延びる水平軸、及び、前記水平軸に対して垂直であり、前記クラウン部分近傍から前記ソール部分近傍へと延びる鉛直軸を有する座標系の原点を画定する幾何学的中心と、
前記前面と前記後面との間で測定され、可変厚さプロフィールを画定するために前記フェース板にわたる異なる場所において変化する厚さと、を備え、
前記可変厚さプロフィールは、
前記フェース板の最小厚さを備える周囲領域と、
移行領域と、
前記フェース板の最大厚さを備える中心領域と、を備え、
前記フェース板の特性時間の範囲は105マイクロ秒未満であり、
前記フェース板の平均特性時間は230マイクロ秒から245マイクロ秒の間である、
ゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
前記フェース板の前記中心領域は、さらに、前記
水平軸から2度から60度の間の角度で延びる長軸を備える、請求項11に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項13】
前記フェース板の前記中心領域は、さらに、前記
水平軸から2度から30度の間の角度で延びる長軸をさらに備える、請求項12に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項14】
前記フェース板の前記幾何学的中心が前記中心領域に設けられている、請求項11から13のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項15】
前記移行領域における前記フェース板の前記厚さは、前記中心領域における前記フェース板の前記最大厚さと、前記周囲領域における前記フェース板の前記最小厚さと、の間で徐々に小さくなる、請求項11から14のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項16】
前記フェース板の特性時間の範囲は95マイクロ秒未満である、請求項11から15のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項17】
前記フェース板の平均特性時間は235マイクロ秒から245マイクロ秒の間である、請求項11から16のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項18】
前記中心領域は、さらに、第1の側と第2の側とを備え、
前記第1の側と前記第2の側と、前記中心領域の短軸によって分割され、
前記第1の側は、前記短軸と前記トゥ部分との間に設けられ、
前記第2の側は、前記短軸と前記ヒール部分との間に設けられ、
前記中心領域の前記第2の側の表面積に対する前記中心領域の前記第1の側の表面積の比率は1.2から2.0の間である、請求項11から17のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項19】
前記フェース板は、
上方ヒール側四分円と、
上方トゥ側四分円と、
下方ヒール側四分円と、
下方トゥ側四分円と、を備え、
前記中心領域の全表面積のより大きな割合が、前記下方ヒール側四分円、前記上方ヒール側四分円、及び前記下方トゥ側四分円のうちの1つ以上においてよりも、前記上方トゥ側四分円において設けられている、請求項11から18のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項20】
前記中心領域は卵状の楕円形を有する、請求項11から19のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2017年12月12日に出願された米国仮特許出願第62/608,363号、及び、2017年5月5日に出願された米国仮特許出願第62/502,482号の便益を主張し、それらのすべての内容は本明細書において参照により完全に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
ゴルフクラブヘッドの特性時間(CT:Characteristic Time)は、ゴルフボールにおけるフェース板の「スプリング効果」を決定するために全米ゴルフ協会(USGA)によって用いられている測定値である。大きなCTを有するゴルフクラブヘッドは、柔軟性を増加させており、小さいCTを有するゴルフクラブヘッドと比較して、インパクトにおいてより大きなエネルギーをゴルフボールへと伝達する。しかしながら、USGAはゴルフクラブヘッドのフェース板のCTを制限している。
【0003】
中空ボディ形式のゴルフクラブヘッドのフェース板又は打撃面は、一般的に、フェース板の上方のトゥエンドに向けての高CT領域と、フェース板の下のヒールエンドに向けての低CT領域と、を作り出す構造的な制約を有する。CTに影響を与える構造的な制約の例には、ホーゼルの剛性、又は、フェース板をクラブヘッドボディに結合する間に作り出される溶接線があり得る。高CT領域は、概して構造的な制約のためより遠くに離して設けられるが、低CT領域は、概して構造的な制約のためより近くに近接して設けられる。高CT領域は、「本質的に高いCT」を有する領域として概して言及され、低CT領域は、「本質的に低いCT」を有する領域として概して言及され得る。
【0004】
先に詳述されているように、一般的に、本質的に高いCT領域は、フェース板の中心からフェース板の上方のトゥエンドに向けて延びる領域において存在する。さらに、本質的に低いCT領域は、クラブヘッドの幾何学的中心点から下方のヒールエンドに向けて延びる領域と共に、フェース板の周りに存在する。フェース板にわたるCTの相違は、インパクトの後にボールに付与される一貫性のないボール飛行特性をもたらす可能性がある。
【0005】
ゴルフクラブの製造者は、本質的に高いCT値を有する領域を備えるフェース板におけるすべての領域が、USGAの制限未満に留まることを確保しなければならない。典型的には、最も高いCTの領域がUSGAの制限以下に留まることを確保するために、製造者はフェース板の厚さを増加させている。しかしながら、より厚いフェース板は、本質的に低いCT値を有するフェース板における領域のCTも低下させてしまう。このようにして、本質的に低いCTを有するこれらの領域は、さらに低下させられ、USGAの制限をだいぶ下回るCTを有することになる。その結果が、フェース板表面にわたってCT値における大きな変化を有するクラブヘッドであり、一貫性のない、および/または、性能の低いクラブヘッドになる。従って、特性時間におけるUSGA適合の制限内に留まりつつ、向上した柔軟性および一貫性を有するゴルフクラブヘッドが、当技術分野において要求されている。
【0006】
本開示は、同様の符号が同様の要素を指示している添付の図面と併せて、以下の詳細な説明を読むことによってより良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態による、可変フェース厚さを有するゴルフクラブヘッドの斜視図である。
【
図2】
図1のゴルフクラブヘッドボディの斜視図である。
【
図3】
図1のゴルフクラブヘッドのフェース板の前面図である。
【
図4】線4-4に沿っての
図1のゴルフクラブヘッドの側方からの断面図である。
【
図5】線5-5に沿っての
図1のゴルフクラブヘッドの後方からの断面図である。
【
図6】可変フェース厚さを有するゴルフクラブヘッドの別の実施形態の後方からの断面図である。
【
図7】
図6のゴルフクラブヘッドの側方からの断面図である。
【
図8】
図6の実施形態による例示のゴルフクラブヘッドの後方からの断面図である。
【
図9】
図6の実施形態による例示のゴルフクラブヘッドの後方からの断面図である。
【
図10】別の実施形態による例示のゴルフクラブヘッドの後方からの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の他の態様が、詳細な説明および添付の図面の検討によって明らかとなる。
【0009】
図示の単純化、及び、明確性のために、図面は構造の大まかな様態を示しており、よく知られている特徴、及び、技術の説明、及び、詳細は、本開示を不必要に不明瞭にすることを回避するために省略され得る。また、図面における要素は必ずしも一定の寸法で描かれていない。例えば、図における要素のうちの一部の寸法は、本開示の実施形態の理解を向上させるのを助けるために、他の要素に対して誇張されてもよい。異なる図における同じ符号は同じ要素を指示している。
【0010】
本明細書で説明されているのは、フェースにわたる異なるインパクトの場所についての特性時間(CT)を標準化するための可変厚さを有するフェース板を備える中空のボディのゴルフクラブヘッドである。多くの実施形態において、可変厚さのフェース板は、中心領域と、移行領域と、周囲領域と、を備える。厚くさせられた領域は、楕円形または卵形を備えることができ、厚くさせられた領域の長さに沿って延びる長軸の周りで対称となり得る。厚くさせられた領域は、フェース板の幾何学的中心にわたって延びることができ、長軸が地面に対して角度が付けられるかまたは傾斜させられるように設けられ、それによって角度が付けられた可変フェース厚さまたは角度が付けられたVFTを画定する。
【0011】
本明細書で説明されているクラブヘッドは、領域のCT値を低下させるために、本質的に高いCTを有する領域においてフェース板の厚さを増加させ、領域のCT値を増加させるために、本質的に低いCTを有する領域においてフェース板の厚さを低下させることで、上記のように本質的に大きいCTの領域および小さいCTの領域に対処している。したがって、本明細書で説明されているクラブヘッドは、USGA適合指針内に留まりつつ、本明細書で説明されている角度の付けられたVFTのない同様のクラブヘッドと比較して、フェース板において、より一貫性があり、かつ、より高い全体のCTを有する。
【0012】
詳細な説明及び特許請求の範囲の中の「第1の」、「第2の」、「第3の」、及び「第4の」などの用語は、それがある場合には、同様のエレメント同士の間を区別するために使用されており、必ずしも、特定のシーケンシャルな又は時系列の順序を説明するために使用されているわけではない。そのように使用されている用語は、適当な状況下で入れ替え可能であり、本明細書で説明されている実施形態が、例えば、本明細書で図示されているか又はそうでなければ説明されているもの以外のシーケンスの動作が可能であるようになっているということが理解されるべきである。そのうえ、「備える」及び「有する」という用語、ならびに、任意のそれらの変形は、非排他的な包含をカバーすることが意図されており、エレメントのリストを含むプロセス、方法、システム、物品、デバイス、又は、装置が、必ずしもそれらのエレメントに限定されないが、明示的に列挙されていないか、又は、そのようなプロセス、方法、システム、物品、デバイス、もしくは装置に本来備わっている他のエレメントを含むことが可能であるようになっている。
【0013】
詳細な説明及び特許請求の範囲の中の「左」、「右」、「前」、「後」、「上部」、「底部」、「上」、及び、「下」などの用語は、それがある場合には、説明目的のために使用されており、必ずしも、恒久的な相対位置を説明するために使用されているわけではない。そのように使用されている用語は、適当な状況下で入れ替え可能であり、本明細書で説明されている装置、方法、及び/又は、製造の物品の実施形態が、例えば、本明細書で図示されているか又はそうでなければ説明されているもの以外の他の配向での動作が可能であるようになっているということが理解されるべきである。
【0014】
本開示の任意の実施形態が詳細に説明される前に、本開示は、その適用において、以下の説明に述べられているような、又は、図面に図示されているような、コンポーネントの詳細又は構築及び配置に限定されないということが理解される。本開示は、他の実施形態をサポートすることが可能であり、さまざまな方式で実践又は実施され得る。
【0015】
本明細書で開示されているのは、標準化された特性時間(CT)を有する中空のボディとされたゴルフクラブヘッドの例示の実施形態である。標準化されたCTを有するゴルフクラブヘッドは、ボディと、可変厚さプロフィール又は可変フェース厚さ(VFT:Variable Face Thickness)を有するフェース板と、を備える。
【0016】
ボディは、内部空洞を画定するクラウン、ソール、トゥエンド、ヒールエンド、及び、リアエンドを備える。ボディは、内部空洞への開口を備える。開口は、フェース板を受容するように構成される。フェース板の可変厚さプロフィールは、中心領域と、移行領域と、周囲領域と、を備える。多くの実施形態において、以下に説明されているように、中心領域は厚くさせられており、周囲領域は薄くさせられており、移行領域は、中心の厚くさせられた領域の外側周辺から周囲領域へと厚さが低減する。
【0017】
多くの実施形態では、可変厚さプロフィール又は可変フェース厚さは、地面に対してある角度で位置決めされ、角度の付けられた可変厚さプロフィール又は角度の付けられたVFTを生成する。さらに、多くの実施形態では、可変厚さプロフィールは、最大厚さ又は増加した厚さの領域がヒール、及び/又は、ソールの近くよりもクラウン、及び/又は、トゥエンドの近くで大きくなるように位置決めされる楕円形を備える。
【0018】
中空ゴルフクラブヘッドは、ドライバー、フェアウェイウッド、ハイブリッド又はクロスオーバータイプのクラブヘッドであってもよい。クラブヘッドは、75ccから500ccの範囲の容積を有していてもよい。例えば、ゴルフクラブヘッドの容積は、75ccから150cc、200ccから300cc、250ccから350cc、400ccから440cc、430ccから450cc、440ccから460cc、450ccから470cc、460ccから480cc、470ccから490cc、又は、or480ccから500ccの範囲であってもよい。他の実施形態では、ゴルフクラブヘッドの容積は、75cc、100cc、150cc、200cc、250cc、300cc、350cc、400cc、440cc、445cc、450cc、455cc、460cc、465cc、470cc、475cc、480cc、485cc、490cc、495cc、又は、500ccであってもよい。
【0019】
さらに、クラブヘッドのロフトは、5度から40度の範囲であってもよい。例えば、ゴルフクラブヘッドは、5度から15度、10度から20度、15度から25度、20度から30度、25度から35度、or30度から40度の範囲のロフトを備えてもよい。また、他の実施形態では、ゴルフクラブヘッドは、5度、6度、7度、8度、9度、10度、11度、12、度、13度、14度、15度、20度、25度、30度、35度、又は、40度のロフトを備えてもよい。
【0020】
クラブヘッドは、シャフト(図示省略)の第1の端を受容するように構成されたホーゼル5をさらに備え得る。シャフトは、接着結合処理(例えば、エポキシ)及び/又は他の適切な結合処理(例えば、機械的な結合、半田付け、溶接、及び/又は、ロウ付け)によってゴルフクラブヘッドに固定され得る。さらに、使用可能なゴルフクラブを形成するために、グリップ(図示省略)がシャフト(図示省略)の第2の端に固定され得る。
【0021】
I.一実施形態による標準化されたCTを有するゴルフクラブヘッド
図1~
図5を参照すると、標準化されたCTを有するゴルフクラブヘッド10の例示の実施形態が示されている。クラブヘッド10は、ボディ30と、可変厚さプロフィール又は可変フェース厚さ40を有するフェース板または打撃面20と、を備える。フェース板20及びボディ30は、中空の内部、空隙、又は、内部空洞36を有するクラブヘッド10を一体になって形成している。
【0022】
A.ボディ
図2を参照すると、クラブヘッド10のボディ30が示されている。ボディ30は、内部空洞36を画定するクラウン部分31と、ソール部分32と、トゥ部分33と、ヒール部分34と、リア部分35と、を備える。図示されている実施形態では、ボディ30は、クラブヘッド10の最も前方の位置に設けられている開口37を備える。開口37は、フェース板20を受容するように構成されている。一部の実施形態では、開口は、クラブヘッドの前端に設けられていてもよく、挿入式のフェース板を受容するように構成され得る。他の実施形態では、開口は、クラブヘッドのクラウン部分、及び/又は、ソール部分に沿って設けられていてもよく、カップフェース式フェース板、又は、戻り部分もしくはカップ状の形状を有するフェース板を受容するように構成されていてもよい。
【0023】
クラブヘッドボディ30は強くて軽量な材料を含み得る。例えば、クラブヘッドボディ30は、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、鋼合金(例えば、455鋼、475鋼、431鋼、17-4ステンレス鋼、マルエージング鋼)、チタン合金(例えば、Ti-7-4、Ti-8-1-1、又は、Ti-6-4)、例えばプラスチックポリマ、熱硬化性ポリマ、熱可塑性ポリマ、共重合体、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維などの複合材料、又は、それらの任意の組み合わせから形成され得る。
【0024】
B.可変厚さプロフィールを有するフェース板
図3を参照すると、クラブヘッド10のフェース板20が示されている。フェース板20は、上部または上部分21と、底部または底部分22と、トゥまたはトゥ部分23と、ヒールまたはヒール部分24と、前面25と、後面26と、可変フェース厚さ(VFT)または可変厚さプロフィール40と、を備える。フェース板20は平面状の表面であってもよいし、若干の膨出、及び/又は、は丸まった湾曲を有していてもよい。
【0025】
図4を参照すると、
図1の線4-4に沿って切り取られた側方からの断面図が示されている。フェース板20は、さらに、ロフト平面と鉛直平面28との間の角度として測定されるロフト角27を備える。ロフト平面は、フェース板20の幾何学的中心29を通って延び、幾何学的中心29と接している。鉛直平面28は、フェース板20の幾何学的中心29を通って延び、クラブヘッド10が中立位置またはアドレス位置で保持されるときに地面に対して垂直に延びる。
【0026】
さらに
図5を参照すると、フェース板20の幾何学的中心29は、フェース板20の幾何学的中間点に配置され得る。同じ例または他の例において、幾何学的中心29は、フェース板20の溝の領域によって画定され得る設計上のインパクト領域に対して中心に配置されていてもよい。別の手法として、フェース板20の幾何学的中心29は、全米ゴルフ協会(USGA)などのゴルフ運営組織の定義に従って配置され得る。例えば、フェース板20の幾何学的中心29は、USGA’s Procedure for Measuring the Flexibility of a Golf Clubheadの第6.1節(USGA-TPX3004, Rev.1.0.0, May 1, 2008)(http://www.usga.org/equipment/testing/protocols/Procedure-For-Measuring-The-Flexibility-Of-A-Golf-Club-Head/において入手可能)(「Flexibility Procedure」)に従って決定され得る。
【0027】
フェース板20の幾何学的中心29は、x軸又は水平軸2と、y軸又は鉛直軸4と、を有する座標系の原点を定めている。x軸2は、クラブヘッド10がアドレス位置にあるとき、地面と平行な方向において、ヒール部分34の近くからフェース板20の幾何学的中心29を通ってクラブヘッド10のトゥ部分33の近くへと水平に延びている。y軸4は、クラブヘッド10がアドレス位置にあるとき、x軸および地面に対して垂直な方向において、クラウン部分31の近くからフェース板20の幾何学的中心29を通ってクラブヘッド10のソール部分32の近くへと鉛直に延びている。
【0028】
一部の実施形態では、フェース板又は打撃面20はボディ30とは別に形成されていてもよいし、中空のボディのクラブヘッド10が形成された後でボディ30に結合されてもよい。これらの実施形態、又は、他の実施形態では、フェース板又は打撃面20は、溶接結合、ロウ付け結合、共成形結合、接着結合、機械的留め具、又は、任意の他の適切な取付方法を介してボディ30に結合されてもよい。
【0029】
フェース板20は、強くて軽量な材料を含み得る。例えば、クラブヘッドボディ30は、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、鋼合金(例えば、455鋼、475鋼、431鋼、17-4ステンレス鋼、マルエージング鋼)、チタン合金(例えば、Ti-7-4、Ti-8-1-1、又は、Ti-6-4)、例えばプラスチックポリマ、熱硬化性ポリマ、熱可塑性ポリマ、共重合体、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維等の複合材料、又は、それらの任意の組み合わせから形成され得る。フェース板20は、ボディ30と同じ材料を含んでいてもよいし、ボディ30と異なる材料を含んでいてもよい。
【0030】
図4及び
図5を参照すると、クラブヘッド10のフェース板20は、前面25と後面26との間での距離として測定される厚さTを備える。フェース板20の厚さTは、異なる場所において幅が様々であり、可変フェース厚さ(VFT)又は可変厚さプロフィール40を画定する。フェース板20の可変厚さプロフィール40は、フェース板20の厚さにおける変化によって形成された中心領域50、移行領域60、及び周囲領域70を備える。
【0031】
図4及び
図5を参照すると、中心領域50は、フェース板20の幾何学的中心29にわたって延びる、又は、その幾何学的中心29もしくは近傍に設けられ、そのためフェース板20の幾何学的中心29は中心領域50に配置される。中心領域50は、フェース板20の最大厚さを備える。多くの実施形態では、中心領域50の厚さは実質的に一定である。さらに、周囲領域70は、フェース板20の周辺に設けられ、フェース板20の最小厚さを備える。多くの実施形態では、周囲領域70の厚さは実質的に一定である。中心領域50におけるフェース板20の厚さは、周囲領域70におけるフェース板20の厚さより大きい。さらに、多くの実施形態において、移行領域60は、中心領域50と周囲領域70との間の滑らかな移行を作り出す変化していく厚さを備える。図示されている実施形態では、移行領域60におけるフェース板20の厚さは、中心領域50における最大のフェース板の厚さと周囲領域70における最小のフェース板の厚さとの間で徐々に小さくなる。他の実施形態では、移行領域におけるフェース板20の厚さは、真っ直ぐな形状、及び/又は、湾曲した形状を含む任意のプロフィールにしたがって変化してもよい。
【0032】
(i.中心領域)
図示されている実施形態では、可変厚さプロフィール40の中心領域50は、長円形、楕円形、卵形、又は、卵のような形を備える。中心領域50は、概して長楕円形であり、底部22及びヒール24の近くのフェース板20の部分から、トゥ23及び上部21の近くのフェース板20の部分まで延びる。他の実施形態では、中心領域50は、1つだけの対称の軸を有する任意の他の形を備え得る。中心領域50の形は、概してヒール24からトゥ23への方向において延びる長軸55と、上部21から底部22への方向において概して延びる短軸53と、を画定している。長軸55と短軸53とは中心領域50の中心において交差している。長軸55は中心領域50の長さに沿って延びており、短軸53は中心領域50の最大幅に沿って延びている。
【0033】
図4及び
図5に図示されている実施形態では、可変厚さプロフィール40の中心領域50は1つの軸の周りでのみ対称である。図示されている実施形態では、中心領域50は長軸55の周りで対称であり、短軸53の周りでは対称ではない。従って、中心領域50の幅は、ヒール24からトゥ23へと中心領域50の長さに沿って変化する。図示されている実施形態では、中心領域50の幅は、短軸53から等距離の場所で測定されるとき、トゥ23の近くよりもヒール24の近くで大きい。非限定的な例として、短軸53からヒール24に向けて0.25インチにおいて測定される中心領域50の幅は、短軸53からトゥ23に向けて0.25インチにおいて測定される中心領域50の幅より大きい。
【0034】
図4及び
図5に図示されている実施形態では、中心領域50の中心はフェース板20の幾何学的中心29に対応する。他の実施形態では、中心領域50の中心は、フェース板20の幾何学的中心29とは別の場所にあってもよい。図示されている実施形態では、中心領域50は、幾何学的中心29を通過する軸の周りで対称である。他の実施形態では、中心領域50は、フェース板20の幾何学的中心29を通過する任意の軸に対して非対称であってもよい。
【0035】
中心領域50は、第1の側又はトゥ側51と、第2の側又はヒール側52と、を備える。中心領域50の第1の側51と第2の側52とは短軸53によって分けられている。第1の側は短軸53とトゥ部分23との間に設けられており、第2の側は短軸53とヒール部分24との間に設けられている。第1の側51は第1の楕円の一部分(又は、半分)によって形成されてもよく、第2の側52は第2の楕円の一部分(又は、半分)によって形成されてもよい。長軸55に沿って測定される第1の楕円の長さは、第2の楕円の長さより大きい。
【0036】
多くの実施形態では、クラブヘッド10の可変厚さプロフィール40の中央領域50は、第2の側52の表面積に対する第1の側51の表面積として測定される比率1.2から2を備える。いくつかの実施形態では、中央領域50における第2の側52の表面積に対する第1の側51の表面積として測定される比率は、1.0よりも大きくてもよいし、1.1よりも大きくてもよいし、1.2よりも大きくてもよいし、1.3よりも大きくてもよいし、1.4よりも大きくてもよいし、1.5よりも大きくてもよいし1.6よりも大きくてもよいし、1.7よりも大きくてもよいし、1.8よりも大きくてもよいし、1.9よりも大きくてもよいし、2.0よりも大きくてもよいし、又は、2.5よりも大きくてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、中央領域50における第2の側52の表面積に対する第1の側51の表面積として測定される比率は、1.0から2.0の間、1.1から2.0の間、1.2から2.0の間、1.3から2.0の間、1.4から2.0の間、又は、1.5から2.5の間であってもよい。
【0037】
図示されている実施形態では、中心領域50は、トゥ側長さTLと、ヒール側長さHLと、上側長さPLと、底側長さBLと、を備える。トゥ側長さTLは、中心領域50の中心からトゥ23に向けて長軸55に沿って測定される。ヒール側長さHLは、中心領域50の中心からヒール24に向けて長軸55に沿って測定される。上側長さPLは、中心領域50の中心から上部21に向けて短軸53に沿って測定される。底側長さBLは、中心領域50の中心から底部22に向けて短軸52に沿って測定される。
【0038】
図示されている実施形態では、上側長さPL及び底側長さBLは、0.285インチである。他の実施形態では、上側長さPL及び/又は底側長さBLは、0.05から1.0インチの間であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、上側長さPL及び/又は底側長さBLは、0.05から0.25、0.15から0.35、0.25から0.45、0.35から0.55、0.45から0.65、0.55から0.75、0.65から0.85、又は、0.75から0.1インチの間であってもよい。図示されている実施形態では、上側長さPL及び底側長さBLは同じである。他の実施形態では、上側長さPLが、底側長さBLよりも長くてもよいし、又は、底側長さBLが、上側長さPLよりも長くてもよい。
【0039】
図示されている実施形態では、トゥ側長さTLは0.546インチであり、ヒール側長さHLは0.312インチである。他の実施形態では、トゥ側長さTLは0.2から1.5インチであってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、トゥ側長さTLは、0.2から0.4、0.3から0.5、0.4から0.6、0.5から0.7、0.6から0.8、0.7から0.9、0.8から1.0、0.9から1.1、1.0から1.2、1.1から1.3、1.2から1.4、又は、1.3から1.5インチであってもよい。さらに、他の実施形態では、ヒール側長さHLは0.1から0.7インチであってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ヒール側長さHLは0.1から0.3、0.2から0.4、0.3から0.5、0.4から0.6、又は、0.5から0.7インチであってもよい。トゥ側長さTLは、ヒール側長さHLよりも長い。トゥ側長さTLとヒール側長さHLの違いは、
図5に表示される卵形または卵形の輪郭を生成又は形成し、フェースプレート20全体のCTの正規化を可能にする。
【0040】
図示されている実施形態では、中央領域50の厚さは、0.135インチである。他の実施形態では、中央領域50の厚さは、0.070から0.25インチまで変化し得る。例えば、いくつかの実施形態では、中央領域50の厚さは、0.07から0.1、0.09から0.1、0.095から0.105、0.1から0.12、0.105から0.115、0.11から0.12、0.115から0.125、0.12から0.13、0.125から0.135、0.13から0.14、0.135から0.145、0.14から0.15、0.145から0.155、0.15から0.17、0.16から0.18、0.17から0.2、0.19から0.22、又は、0.21から0.25インチであってもよい。さらに、図示されている実施形態では、中央領域50は、フェースプレート20の全表面積の6%を構成している。他の実施形態では、中央領域50は、フェースプレート20の全表面積の5%未満、10%未満、15%未満、20%未満、25%未満、又は、30%未満を構成していてもよい。例えば、中央領域50は、フェースプレート20の全表面積の2-10%、5-10%、2-15%、5-15%、又は、5-20%を構成していてもよい。
【0041】
多くの実施形態では、中心領域50はクラブヘッド10のフェース板20の後面26においてある角度で配置される。明確には、中心の厚くさせられた領域50の長軸55は、x軸2に対してある角度で配置される。角度は、中心領域50の第1の側51又は長い部分が、フェース板20の幾何学的中心29から、本質的に高いCT領域が存在するフェース板20の上方トゥ部分に向けて延びるように、構成され得る。
【0042】
図示されている実施形態では、中心領域50の短軸53は、y軸4と20度の角度を形成している。他の実施形態では、中心領域50の短軸53は、y軸4と2-60度の角度を形成してもよい。例えば、一部の実施形態では、中心領域50の短軸53とy軸4とは、2~20度、2~30度、5~40度、10~50度、又は、15~60度の間の角度を作り出すことができる。他の実施形態では、中心の厚くさせられた領域50の短軸52は、y軸4と、5度、6度、7度、8度、9度、10度、11度、12度、13度、14度、15度、16度、17度、18度、19度、20度、21度、22度、23度、24度、25度、26度、27度、28度、29度、30度、31度、32度、33度、34度、35度、36度、37度、38度、39度、40度、41度、42度、43度、44度、45度、46度、47度、48度、49度、50度、51度、52度、53度、54度、55度、56度、57度、58度、59度、又は、60度の角度を作り出してもよい。
【0043】
さらに、図示されている実施形態では、中心領域50の長軸55は、x軸2と20度の角度を形成している。概して、中心領域50の長軸とx軸2との間で形成される角度は、中心領域50の短軸53とy軸4との間で形成される角度と同じである。例えば、中心領域50の長軸55とx軸2との間で形成される角度は0~60度で変化できる。一部の実施形態では、中心領域50の長軸55とx軸2との間で形成される角度は、2~20度、2~30度、5~40度、10~50度、又は、15~60度で変化してもよい。他の実施形態では、中心領域50の長軸55は、x軸2と、5度、6度、7度、8度、9度、10度、11度、12度、13度、14度、15度、16度、17度、18度、19度、20度、21度、22度、23度、24度、25度、26度、27度、28度、29度、30度、31度、32度、33度、34度、35度、36度、37度、38度、39度、40度、41度、42度、43度、44度、45度、46度、47度、48度、49度、50度、51度、52度、53度、54度、55度、56度、57度、58度、59度、又は、60度の角度を作り出してもよい。中心の厚くさせられた領域50をある角度で配置することで、卵形の細長い部分を、高いCT値が存在するフェース板20の上方トゥ部分に向けて延ばすことがさらに可能である。
【0044】
(ii.移行領域)
図4及び
図5を参照すると、可変フェース厚さ40の移行領域60は、中心の厚くさせられた領域50の周辺から周囲領域70まで延びている。図示されている実施形態では、移行領域60は、中心の厚くさせられた領域50の周辺の近くの最も厚い部分から周囲領域70の近く又は隣接する最も薄い領域に向けて次第に徐々に小さくなる。移行領域60の最も厚い領域は、中心の厚くさせられた領域50の厚さと等しいか又は若干小さくてもよいし、移行領域60の最も薄い領域は周囲領域70と等しいか又は若干小さくてもよい。
【0045】
多くの実施形態において、移行領域60は、中心領域50の形と同様の形又は対応する形を備え得る。図示されている実施形態では、移行領域60は、中心の厚くさせられた領域50の周辺から周囲領域70まで0.45インチの一定又は固定の距離で延びている。他の実施形態では、移行領域は、中心の厚くさせられた領域50の周辺から周囲領域70まで0.15~0.75インチで延びてもよい。例えば、一部の実施形態では、移行領域60は、中心の厚くさせられた領域50の周辺から周囲領域70まで、0.15~0.35インチ、0.25~0.45インチ、0.35~0.55インチ、0.45~0.65インチ、又は、0.55~0.75インチの間で延びてもよい。他の実施形態では、移行領域60が中心の厚くさせられた領域50の周辺から延びる距離は異なってもよい。例えば、フェース板20の上部分21に向けて延びる移行領域60の長さは、フェース板20の底部分22に向けて延びる移行領域60の長さより大きいか又は小さくてもよい。他の実施形態では、中心の厚くさせられた領域50から任意の方向で延びる移行領域60の長さは、中心の厚くさせられた領域50から任意の他の方向に延びる移行領域60の長さより大きい、小さい、又は、その長さと同じであってもよい。
【0046】
さらに、図示されている実施形態では、移行領域60は、フェース板20の全表面積の27%を構成している。他の実施形態では、移行領域60は、フェース板20の全表面積の10%~70%の間で構成されていてもよい。例えば、一部の実施形態では、移行領域60は、フェース板20の全表面積の10%~30%、20%~40%、30%~50%、40%~60%、又は、50%~70%の間で構成されていてもよい。
【0047】
(iii.周囲領域)
図4及び
図5を再び参照すると、可変厚さプロフィール40の周囲領域70は、移行領域60の周辺からフェース板20の周辺へと延びている。図示されている実施形態では、周囲領域70の厚さは0.85インチである。他の実施形態では、周囲領域70の厚さは0.15インチ未満であってもよい。例えば、一部の実施形態では、周囲領域70は、0.15インチ未満、0.1インチ未満、0.09インチ未満、0.08インチ未満、0.07インチ未満、0.06インチ未満、0.05インチ未満、又は、0.04インチ未満であってもよい。
【0048】
さらに、図示されている実施形態では、周囲領域70はフェース板20の全表面積の67%を構成している。他の実施形態では、周囲領域70はフェース板20の全表面積の30%~90%を構成してもよい。例えば、一部の実施形態では、周囲領域70は、フェース板20の全表面積の30%~50%、40%~60%、50%~70%、60%~80%、又は、70%~90%の間で構成されていてもよい。
【0049】
(iii.フェース板四分円に対する可変厚さプロフィール)
図5を参照すると、フェース板20は、上方ヒール側四分円20Aと、上方トゥ側四分円20Bと、下方ヒール側四分円20Cと、下方トゥ側四分円20Dと、を含む4つの四分円を備え得る。上方ヒール側四分円20Aは、y軸4からヒール方向に(ヒールに向けて)、及び、x軸2からクラウン方向に(クラウンに向けて)、フェース板20の外側周囲へと延びている。上方トゥ側四分円20Bは、y軸4からトゥ方向に(トゥに向けて)、及び、x軸2からクラウン方向に(クラウンに向けて)、フェース板20の外側周囲へと延びている。下方ヒール側四分円20Cは、y軸4からヒール方向に(ヒールに向けて)、及び、x軸2からソール方向に(ソールに向けて)、フェース板20の外側周囲へと延びている。下方トゥ側四分円20Dは、y軸4からトゥ方向に、及び、x軸2からソール方向に、フェース板20の外側周囲へと延びている。
【0050】
中心領域50は、フェース板20のすべての4つの四分円20A、20B、20C、20Dへと少なくとも部分的に延び得る。フェース板20の各々の四分円は、中心領域50の全表面積の異なる部分又は割合を構成してもよい。多くの実施形態では、中心領域50の全表面積のより多くの割合が、下方ヒール側四分円20C、上方ヒール側四分円20A、及び、下方トゥ側四分円20Dのうちの1つ又は複数においてよりも、上方トゥ側四分円20Bに設けられていてもよい。さらに、多くの実施形態において、下方ヒール側四分円20Cは、上方トゥ側四分円20B、上方ヒール側四分円20A、及び、下方トゥ側四分円20Dのうちの1つ又は複数より、中心領域50の全表面積のより小さい割合を構成している。一部の実施形態では、上方ヒール側四分円20A内の中心の厚くさせられた領域50の表面積は、下方トゥ側四分円20D内の中心の厚くさせられた領域50の表面積と同じ又は同様であってもよい。
【0051】
図示されている実施形態では、上方トゥ側四分円20Bは中心領域50の全表面積の38%を構成し、下方ヒール側四分円20Cは中心領域50の全表面積の19%を構成し、下方トゥ側四分円20Dは中心領域50の全表面積の25%を構成し、上方ヒール側四分円20Aは中心領域50の全表面積の18%を構成する。
【0052】
多くの実施形態では、上方トゥ側四分円20Bは、中央領域50の全表面積の25%よりも大きい、30%よりも大きい、35%よりも大きい、40%よりも大きい、45%よりも大きい、又は、50%よりも大きい割合を構成してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、上方トゥ側四分円20Bは、中央領域50の全表面積の30-50%を構成してもよい。さらに、多くの実施形態では、下方ヒール側四分円20Cは、中央領域50の全表面積の30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、又は、5%未満を構成していてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、下方ヒール側四分円20Cは、中央領域50の全表面積の5-20%を構成してもよい。さらに、多くの実施形態では、下方トゥ側四分円20Dは及び/又は上方ヒール側四分円20Aは、中央領域50の全表面積の15-30%を構成していてもよい。
【0053】
移行領域60は、フェース板のすべての4つの四分円20A、20B、20C、20Dへと少なくとも部分的に延び得る。フェース板20の各々の四分円は、移行領域60の全表面積の異なる部分又は割合を構成してもよい。多くの実施形態では、移行領域60の全表面積のより多くの割合が、下方ヒール側四分円20C、上方ヒール側四分円20A、及び下方トゥ側四分円20Dのうちの1つ又は複数においてよりも上方トゥ側四分円20Bにおいて設けられていてもよい。さらに、多くの実施形態において、下方ヒール側四分円20Cは、上方トゥ側四分円20B、上方ヒール側四分円20A、及び下方トゥ側四分円20Dのうちの1つ又は複数より、移行領域60の全表面積のより小さい割合を構成している。一部の実施形態では、上方ヒール側四分円20A内の移行領域60の表面積は、下方トゥ側四分円20D内の移行領域60の表面積と同じ又は同様であってもよい。
【0054】
多くの実施形態では、上方トゥ側四分円20Bは、移行領域60の全表面積の25%よりも大きい、30%よりも大きい、35%よりも大きい、40%よりも大きい、45%よりも大きい、又は、50%よりも大きい割合を構成してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、上方トゥ側四分円20Bは、移行領域60の全表面積の30-50%を構成してもよい。さらに、多くの実施形態では、下方ヒール側四分円20Cは、移行領域60の全表面積の30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、又は、5%未満を構成していてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、下方ヒール側四分円20Cは、移行領域60の全表面積の5-20%を構成してもよい。さらに、多くの実施形態では、下方トゥ側四分円20Dは及び/又は上方ヒール側四分円20Aは、移行領域60の全表面積の15-30%を構成していてもよい。
【0055】
(iv.可変厚さプロフィールの便益)
楕円形、卵形、又は、卵のような形は、可変厚さプロフィール40の中心領域50の角度と共に、フェース板20のより厚い領域を本質的に高いCTを有する領域に設けることができ、フェース板20のより薄い領域を本質的に低いCTを有する領域に設けることができる。従って、本質的に高いCTを有するフェースの領域は縮小させられ、本質的に小さいCTを有するフェースの領域は増大させられ、フェース板20にわたって標準化されたCTをもたらす。多くの実施形態において、可変厚さプロフィール40は、115マイクロ秒未満、110マイクロ秒未満、105マイクロ秒未満、100マイクロ秒未満、95マイクロ秒未満、90マイクロ秒未満、又は、85マイクロ秒未満の特性時間における範囲をもたらす。さらに、多くの実施形態において、可変厚さプロフィール40は、230マイクロ秒よりも大きい、235マイクロ秒よりも大きい、又は、240マイクロ秒よりも大きい平均特性時間をもたらす。例えば、多くの実施形態において、フェース板20の平均CTは、230マイクロ秒から240マイクロ秒の間、235マイクロ秒から240マイクロ秒の間、又は、240マイクロ秒から245マイクロ秒の間であってもよい。
【0056】
さらに、角度の付けられたVFTが、フェース板20の厚くさせられた部分をそれが必要とされる領域に設けられるように設計されるため、フェース板は、本明細書で説明されている可変厚さプロフィール40のないフェース板と比較して、重量低減を享受することができる。追加的な任意の重量が、クラブヘッドの重心位置を操作するために、及び、クラブヘッドの慣性モーメントを増加させ、クラブヘッドの性能をさらに向上させるために、クラブヘッドの他の領域において再導入されてもよい。図示されている実施形態では、本明細書で説明されているような可変厚さプロフィール40を有するクラブヘッド10は、可変厚さプロフィール40のない同様のクラブヘッドと比較して、2.1グラムの重量を省いている。
【0057】
(II.別の実施形態による標準化されたCTを有するゴルフクラブヘッド)
図6及び
図7を参照すると、標準化されたCTを有するゴルフクラブヘッド100の別の実施形態が示されている。クラブヘッド100は、ボディ130と、可変厚さプロフィール又は可変フェース厚さ140を有するフェース板又は打撃面120と、を備える。フェース板120とボディ130とは、中空の内部、空隙、又は内部空洞を有するクラブヘッド100を一体になって形成している。多くの実施形態において、同様の符号が同様の構成要素を参照して以下に説明されているように、クラブヘッド100はクラブヘッド10と同様又は同一とでき、ボディ130はボディ30と同様又は同一とでき、フェース板120はフェース板20と同様とできる。
【0058】
(A.ボディ)
ボディ130は、内部空洞を画定するクラウン部分131と、ソール部分132と、トゥ部分133と、ヒール部分134と、リア部分135と、を備える。図示されている実施形態では、ボディ130は、クラブヘッド100の最も前方の位置に設けられている開口を備える。開口は、フェース板120を受容するように構成されている。一部の実施形態では、開口は、クラブヘッドの前端に設けられていてもよく、挿入式のフェース板を受容するように構成され得る。他の実施形態では、開口は、クラブヘッドのクラウン部分、及び/又は、ソール部分に沿って設けられていてもよく、カップフェース式フェース板、又は、戻り部分もしくはカップ状の形状を有するフェース板を受容するように構成されていてもよい。
【0059】
クラブヘッドボディ130は強くて軽量な材料を含み得る。例えば、クラブヘッドボディ130は、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、鋼合金(例えば、455鋼、475鋼、431鋼、17-4ステンレス鋼、マルエージング鋼)、チタン合金(例えば、Ti-7-4、Ti-8-1-1、又は、Ti-6-4)、例えばプラスチックポリマ、熱硬化性ポリマ、熱可塑性ポリマ、共重合体、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維などの複合材料、又は、それらの任意の組み合わせから形成され得る。
【0060】
(B.可変厚さプロフィールを有するフェース板)
フェース板120は、上部または上部分121と、底部または底部分122と、トゥまたはトゥ部分123と、ヒールまたはヒール部分124と、前面125と、後面126と、可変フェース厚さ(VFT)または可変厚さプロフィール140と、を備える。フェース板120は平面状の表面であってもよいし、若干の膨出、及び/又は、は丸まった湾曲を有していてもよい。
【0061】
図7を参照すると、
図6の線7-7に沿って切り取られた側方からの断面図が示されている。フェース板120は、さらに、ロフト平面と鉛直平面との間の角度として測定されるロフト角を備える。ロフト平面は、フェース板120の幾何学的中心129を通って延び、幾何学的中心129と接している。鉛直平面は、フェース板120の幾何学的中心129を通って延び、クラブヘッド100が中立位置またはアドレス位置で保持されるときに地面に対して垂直に延びる。
【0062】
さらに
図6を参照すると、フェース板120の幾何学的中心129は、フェース板120の幾何学的中間点に配置され得る。同じ例または他の例において、幾何学的中心129は、フェース板120の溝の領域によって画定され得る設計上のインパクト領域に対して中心に配置されていてもよい。別の手法として、フェース板120の幾何学的中心129は、全米ゴルフ協会(USGA)などのゴルフ運営組織の定義に従って配置され得る。例えば、フェース板120の幾何学的中心129は、USGA’s Procedure for Measuring the Flexibility of a Golf Clubheadの第6.1節(USGA-TPX3004, Rev.1.0.0, May 1, 2008)(http://www.usga.org/equipment/testing/protocols/Procedure-For-Measuring-The-Flexibility-Of-A-Golf-Club-Head/において入手可能)(「Flexibility Procedure」)に従って決定され得る。
【0063】
フェース板120の幾何学的中心129は、x軸または水平軸2と、y軸または鉛直軸4と、を有する座標系の原点を定めている。x軸2は、クラブヘッド10がアドレス位置にあるとき、地面と平行な方向において、ヒール部分の近くからフェース板20の幾何学的中心129を通ってクラブヘッド100のトゥ部分の近くへと水平に延びている。y軸4は、クラブヘッド100がアドレス位置にあるとき、x軸および地面に対して垂直な方向において、クラウン部分の近くからフェース板120の幾何学的中心129を通ってクラブヘッド100のソール部分の近くへと鉛直に延びている。
【0064】
一部の実施形態では、フェース板又は打撃面120はボディ130とは別に形成されていてもよいし、中空のボディのクラブヘッド100を形成するために後でボディ130に結合されてもよい。これらの実施形態、又は、他の実施形態では、フェース板又は打撃面120は、溶接結合、ロウ付け結合、共成形結合、接着結合、機械的留め具、又は、任意の他の適切な取付方法を介してボディ130に結合されてもよい。
【0065】
フェース板120は、強くて軽量な材料を含み得る。例えば、クラブヘッドボディ130は、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、鋼合金(例えば、455鋼、475鋼、431鋼、17-4ステンレス鋼、マルエージング鋼)、チタン合金(例えば、Ti-7-4、Ti-8-1-1、又は、Ti-6-4)、例えばプラスチックポリマ、熱硬化性ポリマ、熱可塑性ポリマ、共重合体、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維等の複合材料、又は、それらの任意の組み合わせから形成され得る。フェース板120は、ボディ130と同じ材料を含んでいてもよいし、ボディ130と異なる材料を含んでいてもよい。
【0066】
図6及び
図7を参照すると、クラブヘッド100のフェース板120は、前面125と後面126との間での距離として測定される厚さTを備える。フェース板120の厚さTは、可変フェース厚さ(VFT)又は可変厚さプロフィール140を定める異なる場所において様々である。可変厚さプロフィール140は、中心領域150と、移行領域160と、周囲領域170とを有する。クラブヘッド100のフェース板120は、クラブヘッド100の移行領域160が異なるプロフィール又は輪郭を備え得ることを除いて、クラブヘッド10のフェース板20と同様又は同一であり得る。多くの実施形態において、クラブヘッド100の中心領域150はクラブヘッド10の中心領域50と同様又は同一であり、クラブヘッドの周囲領域170はクラブヘッド10の周囲領域70と同様又は同一である。
【0067】
図6及び
図7を参照すると、中心領域150は、フェース板120の幾何学的中心129にわたって延びる、又は、その幾何学的中心129もしくは近くに設けられ、そのためフェース板120の幾何学的中心129は中心領域150に配置される。中心領域150は、フェース板120の最大厚さを備える。多くの実施形態では、中心領域150の厚さは実質的に一定である。周囲領域170は、フェース板の周辺に設けられ、フェース板120の最小厚さを備える。多くの実施形態では、周囲領域170の厚さは実質的に一定である。中心領域150におけるフェース板120の厚さは、周囲領域170におけるフェース板20の厚さより大きい。移行領域160は、中心領域150と周囲領域170との間の移行を作り出す変化していく厚さを備える。
【0068】
(i.中心領域)
図示されている実施形態では、可変厚さプロフィール140の中心領域150は、長円形、楕円形、卵形、又は、卵のような形を備える。中心領域150は、概して長楕円形であり、底部122及びヒール124の近くのフェース板120の部分から、トゥ123及び上部121の近くのフェース板120の部分まで延びる。他の実施形態では、中心領域150は、1つだけの対称の軸を有する任意の他の形を備え得る。中心領域150の形は、概してヒール124からトゥ123への方向において延びる長軸155と、上部21から底部122への方向において概して延びる短軸153と、を画定している。長軸155と短軸153とは中心領域150の中心において交差している。長軸155は中心領域150の長さに沿って延びており、短軸153は中心領域150の最大幅に沿って延びている。
【0069】
図6及び
図7に図示されている実施形態では、可変厚さプロフィール140の中心領域150は1つだけの軸の周りで対称である。図示されている実施形態では、中心領域150は長軸155の周りで対称であり、短軸153の周りでは対称ではない。従って、中心領域150の幅は、ヒール124からトゥ123へと中心領域150の長さに沿って変化する。図示されている実施形態では、中心領域150の幅は、短軸153から等距離の場所で測定されるとき、トゥ123の近くよりもヒール124の近くで大きい。非限定的な例として、短軸153からヒール124に向けて0.25インチにおいて測定される中心領域150の幅は、短軸153からトゥ123に向けて0.25インチにおいて測定される中心領域150の幅より大きい。
【0070】
図6及び
図7に図示されている実施形態では、中心領域150の中心はフェース板120の幾何学的中心129に対応する。他の実施形態では、中心領域150の中心は、フェース板120の幾何学的中心129とは別の場所にあってもよい。図示されている実施形態では、中心領域150は、幾何学的中心129を通過する軸の周りで対称である。他の実施形態では、中心領域150は、フェース板120の幾何学的中心129を通過する任意の軸に対して非対称であってもよい。
【0071】
中心領域150は、第1の側又はトゥ側151と、第2の側又はヒール側152と、を備える。中心領域150の第1の側151と第2の側152とは短軸153によって分けられている。第1の側は短軸153とトゥ部分123との間に設けられており、第2の側は短軸153とヒール部分124との間に設けられている。第1の側151は第1の楕円の一部分(又は、半分)によって形成されてもよく、第2の側152は第2の楕円の一部分(又は、半分)によって形成されてもよい。長軸155に沿って測定される第1の楕円の長さは、第2の楕円の長さより大きい。
【0072】
多くの実施形態では、クラブヘッド100の可変厚さプロフィール140の中央領域150は、第2の側152の表面積に対する第1の側151の表面積として測定される比率1.2から2を備える。いくつかの実施形態では、中央領域150における第2の側152の表面積に対する第1の側151の表面積として測定される比率は、1.0よりも大きくてもよいし、1.1よりも大きくてもよいし、1.2よりも大きくてもよいし、1.3よりも大きくてもよいし、1.4よりも大きくてもよいし、1.5よりも大きくてもよいし1.6よりも大きくてもよいし、1.7よりも大きくてもよいし、1.8よりも大きくてもよいし、1.9よりも大きくてもよいし、2.0よりも大きくてもよいし、又は、2.5よりも大きくてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、中央領域150における第2の側152の表面積に対する第1の側151の表面積として測定される比率は、1.0から2.0の間、1.1から2.0の間、1.2から2.0の間、1.3から2.0の間、1.4から2.0の間、又は、1.5から2.5の間であってもよい。
【0073】
図示されている実施形態では、中心領域150は、トゥ側長さTLと、ヒール側長さHLと、上側長さPLと、底側長さBLと、を備える。トゥ側長さTLは、中心領域150の中心からトゥ123に向けて長軸155に沿って測定される。ヒール側長さHLは、中心領域150の中心からヒール124に向けて長軸155に沿って測定される。上側長さPLは、中心領域150の中心から上部121に向けて短軸153に沿って測定される。底側長さBLは、中心領域150の中心から底部122に向けて短軸153に沿って測定される。
【0074】
図示されている実施形態では、上側長さPL及び底側長さBLは、0.285インチである。他の実施形態では、上側長さPL及び/又は底側長さBLは、0.05から1.0インチの間であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、上側長さPL及び/又は底側長さBLは、0.05から0.25、0.15から0.35、0.25から0.45、0.35から0.55、0.45から0.65、0.55から0.75、0.65から0.85、又は、0.75から0.1インチの間であってもよい。図示されている実施形態では、上側長さPL及び底側長さBLは同じである。他の実施形態では、上側長さPLは、底側長さBLよりも長くてもよいし、又は、底側長さBLが、上側長さPLよりも長くてもよい。
【0075】
図示されている実施形態では、トゥ側長さTLは0.546インチであり、ヒール側長さHLは0.312インチである。他の実施形態では、トゥ側長さTLは0.2から1.5インチであってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、トゥ側長さTLは、0.2から0.4、0.3から0.5、0.4から0.6、0.5から0.7、0.6から0.8、0.7から0.9、0.8から1.0、0.9から1.1、1.0から1.2、1.1から1.3、1.2から1.4、又は、1.3から1.5インチであってもよい。さらに、他の実施形態では、ヒール側長さHLは0.1から0.7インチであってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ヒール側長さHLは0.1から0.3、0.2から0.4、0.3から0.5、0.4から0.6、又は、0.5から0.7インチであってもよい。トゥ側長さTLは、ヒール側長さHLよりも長い。トゥ側長さTLとヒール側長さHLの違いは、
図6に表示される卵形または卵形の輪郭を生成又は形成し、フェースプレート120全体のCTの正規化を可能にします。
【0076】
図示されている実施形態では、中央領域150の厚さは、0.135インチである。他の実施形態では、中央領域150の厚さは、0.070から0.25インチまで変化し得る。例えば、いくつかの実施形態では、中央領域50の厚さは、0.07から0.1、0.09から0.1、0.095から0.105、0.1から0.12、0.105から0.115、0.11から0.12、0.115から0.125、0.12から0.13、0.125から0.135、0.13から0.14、0.135から0.145、0.14から0.15、0.145から0.155、0.15から0.17、0.16から0.18、0.17から0.2、0.19から0.22、or0.21から0.25インチであってもよい。さらに、図示されている実施形態では、中央領域150は、フェースプレート120の全表面積の6%を構成している。他の実施形態では、中央領域150は、フェースプレート120の全表面積の5%未満、10%未満、15%未満、20%未満、25%未満、又は、30%未満を構成していてもよい。例えば、中央領域150は、フェースプレート120の全表面積の2-10%、5-10%、2-15%、5-15%、又は、5-20%を構成していてもよい。
【0077】
多くの実施形態では、中心領域150はクラブヘッド100のフェース板120の後面126においてある角度で配置される。明確には、中心の厚くさせられた領域150の長軸155は、x軸2に対してある角度で配置される。角度は、中心領域150の第1の側151又は長い部分が、フェース板120の幾何学的中心129から、本質的に高いCT領域が存在するフェース板120の上方トゥ部分に向けて延びるように、構成され得る。
【0078】
図示されている実施形態では、中心領域150の短軸153は、y軸4と20度の角度を形成している。他の実施形態では、中心領域150の短軸153は、y軸4と2-60度の角度を形成してもよい。例えば、一部の実施形態では、中心領域150の短軸153とy軸4とは、2~20度、2~30度、5~40度、10~50度、又は15~60度の間の角度を作り出すことができる。他の実施形態では、中心の厚くさせられた領域150の短軸153は、y軸4と、5度、6度、7度、8度、9度、10度、11度、12度、13度、14度、15度、16度、17度、18度、19度、20度、21度、22度、23度、24度、25度、26度、27度、28度、29度、30度、31度、32度、33度、34度、35度、36度、37度、38度、39度、40度、41度、42度、43度、44度、45度、46度、47度、48度、49度、50度、51度、52度、53度、54度、55度、56度、57度、58度、59度、又は、60度の角度を作り出してもよい。
【0079】
さらに、図示されている実施形態では、中心領域150の長軸155は、x軸2と20度の角度を形成している。概して、中心領域150の長軸とx軸2との間で形成される角度は、中心領域150の短軸153とy軸4との間で形成される角度と同じである。例えば、中心領域150の長軸155とx軸2との間で形成される角度は0~60度で変化できる。一部の実施形態では、中心領域150の長軸155とx軸2との間で形成される角度は、2~20度、2~30度、5~40度、10~50度、又は15~60度で変化してもよい。他の実施形態では、中心領域150の長軸155は、x軸2と、5度、6度、7度、8度、9度、10度、11度、12度、13度、14度、15度、16度、17度、18度、19度、20度、21度、22度、23度、24度、25度、26度、27度、28度、29度、30度、31度、32度、33度、34度、35度、36度、37度、38度、39度、40度、41度、42度、43度、44度、45度、46度、47度、48度、49度、50度、51度、52度、53度、54度、55度、56度、57度、58度、59度、又は60度の角度を作り出してもよい。中心の厚くさせられた領域50をある角度で配置することで、卵形の細長い部分を、高いCT値が存在するフェース板20の上方トゥ部分に向けて延ばすことがさらに可能である。
【0080】
(ii.移行領域)
図6及び
図7を参照すると、可変フェース厚さ140の移行領域160は、中心の厚くさせられた領域150の周辺から周囲領域170まで延びている。図示されている実施形態では、移行領域160は、中心の厚くさせられた領域150の周辺の近くの最も厚い部分から周囲領域170の近く又は隣接する最も薄い領域に向けて次第に徐々に小さくなる。移行領域160の最も厚い領域は、中心の厚くさせられた領域150の厚さと等しいか又は若干小さくてもよいし、移行領域160の最も薄い領域は周囲領域170と等しいか又は若干小さくてもよい。
【0081】
多くの実施形態において、移行領域160は、中心領域150と周囲領域170との間の滑らかな移行を作り出す変化していく厚さを含む。明確には、
図6及び
図7を参照すると、クラブヘッド100の移行領域160におけるフェース板120の厚さは、湾曲したプロフィール、丸くされたプロフィール、又は曲線のプロフィールで少なくとも部分的に変化する。図示されている実施形態では、移行領域160におけるフェース板120の厚さは、中心領域150における最大のフェース板の厚さと周囲領域170における最小のフェース板の厚さとの間で融合された徐々に小さくなる部分を備える。多くの実施形態において、湾曲したプロフィール又は融合された徐々に小さくなるプロフィールは、中心領域150と移行領域160との間の第1の湾曲の半径と、移行領域160と周囲領域170との間の第2の湾曲の半径とを備える。さらに、多くの実施形態において、移行領域160の厚さプロフィールは、第1の湾曲の半径と第2の湾曲の半径との間で次第に徐々に小さくなる部分を備える。他の実施形態では、移行領域160におけるフェース板120の厚さは、凸状のプロフィール、凹状のプロフィール、正弦曲線のプロフィール、放物線状のプロフィール、又は任意の他の湾曲したプロフィールなどの、全体が湾曲したプロフィールに従って変化してもよい。さらに、他の実施形態では、移行領域160におけるフェース板120の厚さは、真っ直ぐな形状及び/又は湾曲した形状を含む任意のプロフィールに従って変化してもよい。
【0082】
多くの実施形態において、移行領域160は、中心領域150の形と同様の形又は対応する形を備え得る。図示されている実施形態では、移行領域160は、中心の厚くさせられた領域150の周辺から周囲領域170まで0.45インチの一定又は固定の距離で延びている。他の実施形態では、移行領域は、中心の厚くさせられた領域150の周辺から周囲領域170まで0.15~0.75インチで延びてもよい。例えば、一部の実施形態では、移行領域160は、中心の厚くさせられた領域150の周辺から周囲領域170まで、0.15~0.35インチ、0.25~0.45インチ、0.35~0.55インチ、0.45~0.65インチ、又は、0.55~0.75インチの間で延びてもよい。他の実施形態では、移行領域160が中心の厚くさせられた領域150の周辺から延びる距離は異なってもよい。例えば、フェース板120の上部分121に向けて延びる移行領域160の長さは、フェース板120の底部分122に向けて延びる移行領域160の長さより大きいか又は小さくてもよい。他の実施形態では、中心の厚くさせられた領域150から任意の方向で延びる移行領域160の長さは、中心の厚くさせられた領域150から任意の他の方向に延びる移行領域160の長さより大きい、小さい、又は、その長さと同じであってもよい。
【0083】
さらに、図示されている実施形態では、移行領域160は、フェース板120の全表面積の27%を構成している。他の実施形態では、移行領域160は、フェース板120の全表面積の10%~70%の間で構成されていてもよい。例えば、一部の実施形態では、移行領域160は、フェース板120の全表面積の10%~30%、20%~40%、30%~50%、40%~60%、又は、50%~70%の間で構成されていてもよい。
【0084】
(iii.周囲領域)
図6及び
図7を再び参照すると、可変厚さプロフィール140の周囲領域170は、移行領域160の周辺からフェース板120の周辺へと延びている。図示されている実施形態では、周囲領域170の厚さは0.85インチである。他の実施形態では、周囲領域170の厚さは0.15インチ未満であってもよい。例えば、一部の実施形態では、周囲領域170は、0.15インチ未満、0.1インチ未満、0.09インチ未満、0.08インチ未満、0.07インチ未満、0.06インチ未満、0.05インチ未満、又は、0.04インチ未満であってもよい。さらに、図示されている実施形態では、周囲領域170はフェース板120の全表面積の67%を構成している。他の実施形態では、周囲領域170はフェース板120の全表面積の30%~90%を構成してもよい。例えば、一部の実施形態では、周囲領域170は、フェース板120の全表面積の30%~50%、40%~60%、50%~70%、60%~80%、又は、70%~90%の間で構成されていてもよい。
【0085】
(iv.フェース板四分円に対する可変厚さプロフィール)
図5を参照すると、フェース板120は、上方ヒール側四分円120Aと、上方トゥ側四分円120Bと、下方ヒール側四分円120Cと、下方トゥ側四分円120Dと、を含む4つの四分円を備え得る。上方ヒール側四分円120Aは、y軸4からヒール方向に(ヒールに向けて)、及び、x軸2からクラウン方向に(クラウンに向けて)、フェース板120の外側周囲へと延びている。上方トゥ側四分円120Bは、y軸4からトゥ方向に(トゥに向けて)、及び、x軸2からクラウン方向に(クラウンに向けて)、フェース板120の外側周囲へと延びている。下方ヒール側四分円120Cは、y軸4からヒール方向に(ヒールに向けて)、及び、x軸2からソール方向に(ソールに向けて)、フェース板120の外側周囲へと延びている。下方トゥ側四分円120Dは、y軸4からトゥ方向に、及び、x軸2からソール方向に、フェース板120の外側周囲へと延びている。
【0086】
中心領域150は、フェース板120のすべての4つの四分円120A、120B、120C、120Dへと少なくとも部分的に延び得る。フェース板120の各々の四分円は、中心領域150の全表面積の異なる部分又は割合を構成してもよい。多くの実施形態では、中心領域150の全表面積のより多くの割合が、下方ヒール側四分円120C、上方ヒール側四分円120A、及び、下方トゥ側四分円120Dのうちの1つ又は複数においてよりも、上方トゥ側四分円120Bに設けられていてもよい。さらに、多くの実施形態において、下方ヒール側四分円120Cは、上方トゥ側四分円120B、上方ヒール側四分円120A、及び、下方トゥ側四分円120Dのうちの1つ又は複数より、中心領域150の全表面積のより小さい割合を構成している。一部の実施形態では、上方ヒール側四分円120A内の中心の厚くさせられた領域150の表面積は、下方トゥ側四分円120D内の中心の厚くさせられた領域150の表面積と同じ又は同様であってもよい。
【0087】
図示されている実施形態では、上方トゥ側四分円120Bは中心領域150の全表面積の38%を構成し、下方ヒール側四分円120Cは中心領域150の全表面積の19%を構成し、下方トゥ側四分円120Dは中心領域150の全表面積の25%を構成し、上方ヒール側四分円120Aは中心領域150の全表面積の18%を構成する。
【0088】
多くの実施形態では、上方トゥ側四分円120Bは、中央領域150の全表面積の25%よりも大きい、30%よりも大きい、35%よりも大きい、40%よりも大きい、45%よりも大きい、又は、50%よりも大きい割合を構成してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、上方トゥ側四分円120Bは、中央領域150の全表面積の30-50%を構成してもよい。さらに、多くの実施形態では、下方ヒール側四分円120Cは、中央領域150の全表面積の30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、又は、5%未満を構成していてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、下方ヒール側四分円120Cは、中央領域150の全表面積の5-20%を構成してもよい。さらに、多くの実施形態では、下方トゥ側四分円120Dは及び/又は上方ヒール側四分円120Aは、中央領域150の全表面積の15-30%を構成していてもよい。
【0089】
移行領域160は、フェース板のすべての4つの四分円120A、120B、120C、120Dへと少なくとも部分的に延び得る。フェース板120の各々の四分円は、移行領域160の全表面積の異なる部分又は割合を構成してもよい。多くの実施形態では、移行領域160の全表面積のより多くの割合が、下方ヒール側四分円120C、上方ヒール側四分円120A、及び下方トゥ側四分円120Dのうちの1つ又は複数においてよりも上方トゥ側四分円120Bにおいて設けられていてもよい。さらに、多くの実施形態において、下方ヒール側四分円120Cは、上方トゥ側四分円120B、上方ヒール側四分円120A、及び下方トゥ側四分円120Dのうちの1つ又は複数より、移行領域160の全表面積のより小さい割合を構成している。一部の実施形態では、上方ヒール側四分円120A内の移行領域160の表面積は、下方トゥ側四分円120D内の移行領域160の表面積と同じ又は同様であってもよい。
【0090】
多くの実施形態では、上方トゥ側四分円120Bは、 移行領域160の全表面積の25%よりも大きい、30%よりも大きい、35%よりも大きい、40%よりも大きい、45%よりも大きい、又は、50%よりも大きい割合を構成してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、上方トゥ側四分円120Bは、移行領域160の全表面積の30-50%を構成してもよい。さらに、多くの実施形態では、下方ヒール側四分円120Cは、移行領域160の全表面積の30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、又は、5%未満を構成していてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、下方ヒール側四分円120Cは、移行領域160の全表面積の5-20%を構成してもよい。さらに、多くの実施形態では、下方トゥ側四分円120Dは及び/又は上方ヒール側四分円120Aは、移行領域160の全表面積の15-30%を構成していてもよい。
【0091】
(v.便益)
楕円形、卵形、又は、卵のような形は、可変厚さプロフィール140の中心領域150の角度と共に、フェース板120のより厚い領域を本質的に高いCTを有する領域に設けることができ、フェース板120のより薄い領域を本質的に低いCTを有する領域に設けることができる。従って、本質的に高いCTを有するフェースの領域は縮小させられ、本質的に小さいCTを有するフェースの領域は増大させられ、フェース板120にわたって標準化されたCT、及び、フェース板120の平均CTの増加をもたらす。多くの実施形態において、可変厚さプロフィール140は、115マイクロ秒未満、110マイクロ秒未満、105マイクロ秒未満、100マイクロ秒未満、95マイクロ秒未満、90マイクロ秒未満、又は、85マイクロ秒未満の特性時間における範囲をもたらす。さらに、多くの実施形態において、可変厚さプロフィール140は、230マイクロ秒よりも大きい、235マイクロ秒よりも大きい、又は、240マイクロ秒よりも大きい平均特性時間をもたらす。例えば、多くの実施形態において、フェース板20の平均CTは、230マイクロ秒から240マイクロ秒の間、235マイクロ秒から240マイクロ秒の間、又は、240マイクロ秒から245マイクロ秒の間であってもよい。
【0092】
さらに、角度の付けられたVFTが、フェース板120の厚くさせられた部分をそれが必要とされる領域に設けられるように設計されるため、フェース板は、本明細書で説明されている可変厚さプロフィール140のないフェース板と比較して、重量低減を享受することができる。追加的な任意の重量が、クラブヘッドの重心位置を操作するために、及び、クラブヘッドの慣性モーメントを増加させ、クラブヘッドの性能をさらに向上させるために、クラブヘッドの他の領域において再導入されてもよい。図示されている実施形態では、本明細書で説明されているような可変厚さプロフィール40を有するクラブヘッド100は、可変厚さプロフィール140のない同様のクラブヘッドと比較して、2.1グラムの重量を省いている。
【0093】
(III.別の実施形態による標準化されたCTを有するゴルフクラブヘッド)
図10を参照すると、標準化されたCTを有するゴルフクラブヘッド200の別の実施形態が示されている。クラブヘッド200は、ボディと、可変厚さプロフィール240を有するフェース板又は打撃面とを備える。クラブヘッド200のボディは、クラブヘッド10のボディ30及び/又はクラブヘッド100のボディ130と同様又は同一とできる。クラブヘッド200のフェース板は、フェース板の幾何学的中心29に対する可変厚さプロフィールの位置決めを除いて、クラブヘッド10のフェース板20又はクラブヘッド100のフェース板120と同様であり得る。
【0094】
例えば、可変厚さプロフィール240は、中心領域と、移行領域と、周囲領域とを備える。クラブヘッド200の中心領域は、クラブヘッド10の中心領域50又はクラブヘッド100の中心領域150と同様又は同一とできる。クラブヘッド200の移行領域は、クラブヘッド10の移行領域60又はクラブヘッド100の移行領域160と同様又は同一とできる。クラブヘッド200の移行領域は、クラブヘッド10の周囲領域70又はクラブヘッド100の周囲領域170と同様又は同一とできる。
【0095】
図10の図示されている実施形態では、可変厚さプロフィール240は、中心領域の中心がフェース板の幾何学的中心29と一列に並ばないようにフェース板において位置決め又は位置付けられる。図示されている実施形態では、中心領域の中心は、フェース板の幾何学的中心29より上部分により近く、かつトゥ部分により近く位置付けられる。他の実施形態では、中心領域の中心は、フェース板の幾何学的中心29と比較して、上部分、トゥ部分、底部分、又はヒール部分のうちの1つ又は複数のより近くに位置付けられ得る。
【0096】
可変厚さプロフィール240を有するクラブヘッド200は、本明細書に説明されている可変厚さプロフィール240のないクラブヘッドと比較して、クラブヘッド10及びクラブヘッド100と同様に、フェース板にわたっての標準化されたCTと、フェース板の増加した平均CTとをもたらすことができる。
【0097】
(実施例1)
図9を参照すると、先に説明されているように、卵形と地面に対する角度とを有する可変フェース厚さ140を備える例示のゴルフクラブヘッド100が、本明細書で説明されている卵形及び角度のない可変フェース厚さを有する対照用のクラブヘッドと比較して、フェース板120にわたる特性時間(CT)での低下した変化及び増加した平均CTを実証している。明確には、例示のクラブヘッド100は、対照用のクラブヘッドと比較して、フェース板120にわたる25箇所の場所において測定されたとき、CTの範囲において27%の低下をもたらしている。さらに、例示のクラブヘッド100は、対照用のクラブヘッドと比較して、フェース板20の平均CTにおける3.1%の増加を実証している。
【0098】
この例では、クラブヘッド100の可変厚さプロフィール140の中心領域150は、地面に対して17度の角度を有している。さらに、この例では、可変厚さプロフィール140の中心領域150の第2の側152の表面積に対する第1の側151の表面積の割合は1.76である。なおもさらには、この例では、クラブヘッド100の上方トゥ側四分円120Bは中心領域150の全表面積の38%を含み、クラブヘッド100の下方ヒール側四分円120Cは中心領域150の全表面積の19%を含み、クラブヘッド100の下方トゥ側四分円120Dは中心領域150の全表面積の25%を含み、クラブヘッド100の上方ヒール側四分円120Aは中心領域150の全表面積の18%を含む。
【0099】
この例では、対照用のクラブヘッドは、クラブヘッドのx軸及びy軸に対して対称である(つまり、x軸及び/又はy軸に対してある角度で位置決めされていない)可変厚さプロフィールを有する。さらに、この例では、対照用のクラブヘッドの可変厚さプロフィールの中心領域の第2の側の表面積に対する第1の側の表面積の割合は1.0である。なおもさらには、対照用のクラブヘッドの上方トゥ側四分円、上方ヒール側四分円、下方トゥ側四分円、及び下方ヒール側四分円は、可変厚さプロフィールの中心領域の全表面積の25%を各々含む。
【0100】
例示のクラブヘッド100及び対照用のクラブヘッドの特性時間(CT)は、局所的なCT値を決定するためにフェース板における25箇所の場所において測定された。
図9は、例示のクラブヘッド100の25箇所の位置(つまり、1A~1E、2A~2E、3A~3E、4A~4E、及び5A~5E)を示しており、各々の点は、全体で1.68インチの格子の幅についてヒールからトゥへの方向において0.42インチの距離で隣接する点から離間されている。さらに、各々の点は、全体で1.42インチの格子の高さについてクラウンからソールへの方向において0.36インチの距離で隣接する点から離間されている。
【0101】
下記の表1は、対照用のクラブヘッドと比較された例示のクラブヘッド100のCTの結果を示している。対照用のクラブヘッドの25箇所の測定された場所についてのCTにおける範囲は133マイクロ秒であった。例示のクラブヘッド100の25箇所の測定された場所についてのCTにおける範囲は97マイクロ秒であった。これらの結果は、例示のクラブヘッド100のCTにおける範囲は、対照用のクラブヘッドのCTにおける範囲より27%小さかったことを示している。したがって、本明細書で説明されている可変厚さプロフィール140は、本明細書に説明されている形及び/又は角度のない可変厚さプロフィールと比較して、フェースにわたってのCTにおける可変性を相当に低減し、標準化されたCTをもたらす。
【0102】
【0103】
また、表1におけるデータは、対照用のクラブヘッドと比較して、例示のクラブヘッド100のヒール領域(例えば、点1A、2A、3A、4A、及び5A)において、より大きいCT値を示している。例えば、四分円120A(例えば、点1A、2A、1B、及び2B)における例示のクラブヘッド100の平均CTは、対照用のクラブヘッドと比較して、可変厚さプロフィール140の結果としておおよそ211.0マイクロ秒から223.3マイクロ秒まで増加した。さらなる例として、四分円120C(例えば、点4A、5A、4B、及び5B)における例示のクラブヘッド100の平均CTは、対照用のクラブヘッドと比較して、おおよそ186.5マイクロ秒から193.8マイクロ秒まで増加した。下記の表1は、1つのテストから群A、B、C、及びDについての平均CT値を描写している。
【0104】
さらに、例示のクラブヘッド100は、対照用のクラブヘッドと比較して、フェース板120にわたる平均CTにおける1.2~3.1%の増加をさらに実証している。明確には、対照用のクラブヘッドの様々なサンプルの平均CTは208マイクロ秒であり、例示のクラブヘッド100の様々なサンプルの平均CTは214.8マイクロ秒であった。
【0105】
本明細書において実証されたクラブヘッド100の標準化されたCTは、可変厚さプロフィール140のないクラブヘッドと比較して、中心を外したショットについての増加した一貫性をもたらすことができる。さらに、本明細書において実証された例示のクラブヘッド100の増加した平均CTは、可変厚さプロフィール140のないクラブヘッドと比較して、増加したボール速度と移動距離とをもたらすことができる。
【0106】
1つまたは複数の請求要素の置換は、再構成を構成し、補綴ではない。更に、問題に対する利点、他の有利な点及び解決を、特別な実施形態に関連して説明してきた。しかしながら、問題に対する利点、他の有利な点及び解決、並びに、任意の利点、有利な点または解決を発生させまたは明らかとさせる任意の1つまたは複数の要素は、請求の範囲の任意またはすべての要素の重大な、必須の、または、本質的な特徴若しくは要素を構成するものではない。
【0107】
ゴルフに対する規則は、時々変更される(例えば、全米ゴルフ協会(USGA)、英国ゴルフ協会(R&A)等のゴルフ標準組織及び/または管理機関によって、新しい規則が適用されることがあり、または、古いルールが撤廃若しくは変更されることがある)ため、本明細書に記載の装置、方法及び製品に関するゴルフ用品は、任意の特定時におけるゴルフのルールに適合しまたは適合しないことがある。したがって、本明細書に記載の装置、方法及び製品に関するゴルフ用品は、適合または非適合ゴルフ用品として、公表され、売り出され、及び/または、売却されることがある。本明細書に記載の装置、方法及び製品は、この点について制限されない。
【0108】
上記実施例は、ドライバタイプのゴルフクラブとの関連で記載されているが、本明細書に記載の装置、方法及び製品は、フェアウッドタイプのゴルフクラブ、ハイブリッドタイプのゴルフクラブ、アイアンタイプのゴルフクラブ、ウェッジタイプのゴルフクラブ、または、パタータイプのゴルフクラブ等の他のタイプのゴルフクラブに適用してもよい。一方、本明細書に記載の装置、方法及び製品は、ホッケー用スティック、テニスラケット、釣り竿、スキーのストック等の他のタイプのスポーツ用品に適用可能としてもよい。
【0109】
更に、本明細書に記載の実施形態及び制限は、実施形態及び/または制限が、(1)請求の範囲に明示的に主張されていない、及び、(2)均等論の下で、請求の範囲における表現要素及び/または制限と等価または潜在的に等価である場合、公開主義の下で公衆に提供するものではない。
【0110】
本開示の様々な特徴及び利点が、以下の条項において述べられている。
以下の項目は、出願当初の特許請求の範囲に記載の要素である。
(項目1)
標準化された特性時間を有するゴルフクラブヘッドであって、
内部空洞を画定するクラウン部分、ソール部分、トゥ部分、ヒール部分、及び、リア部分を有するボディと、
フェース板と、を備え、
前記フェース板は、
前面と、
後面と、
前記ヒール部分近傍から前記トゥ部分近傍へと延びる水平軸、及び、前記水平軸に対して垂直であり、前記クラウン部分近傍から前記ソール部分近傍へと延びる鉛直軸を有する座標系の原点を画定する幾何学的中心と、
前記前面と前記後面との間で測定され、可変厚さプロフィールを画定するために前記フェース板にわたる異なる場所において変化する厚さと、を備え、
前記可変厚さプロフィールは、
前記フェース板の最小厚さを備える周囲領域と、
移行領域と、
前記フェース板の最大厚さを備える中心領域と、を備え、
前記中心領域は、前記鉛直軸に対して2度から60度の間の角度で延びる長軸を有する卵形の形状を有する、
ゴルフクラブヘッド。
(項目2)
前記中心領域の前記長軸は、前記鉛直軸に対して2度から30度の間の角度で延びる、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目3)
前記フェース板の前記幾何学的中心が、前記中心領域内に設けられている、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目4)
前記移行領域における前記フェース板の前記厚さは、前記中心領域における前記フェース板の前記最大厚さと、前記周囲領域における前記フェース板の前記最小厚さと、の間で徐々に小さくなる、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目5)
前記フェース板の特性時間の範囲は110秒未満である、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目6)
前記フェース板の特性時間の範囲は100秒未満である、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目7)
前記フェース板の平均特性時間は230秒から245秒の間である、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目8)
前記フェース板の平均特性時間は235秒から245秒の間である、項目6に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目9)
前記中心領域は、さらに、第1の側と第2の側とを備え、
前記第1の側と前記第2の側と、前記中心領域の短軸によって分割され、
前記第1の側は、前記短軸と前記トゥ部分との間に設けられ、
前記第2の側は、前記短軸と前記ヒール部分との間に設けられ、
前記中心領域の前記第2の側の表面積に対する前記中心領域の前記第1の側の表面積の比率は1.2から2.0の間である、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目10)
前記フェース板は、
上方ヒール側四分円と、
上方トゥ側四分円と、
下方ヒール側四分円と、
下方トゥ側四分円と、を備え、
前記中心領域の全表面積のより大きな割合が、前記下方ヒール側四分円、前記上方ヒール側四分円、及び前記下方トゥ側四分円のうちの1つ以上においてよりも、前記上方トゥ側四分円において設けられている、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目11)
標準化された特性時間を有するゴルフクラブヘッドであって、
内部空洞を画定するクラウン部分、ソール部分、トゥ部分、ヒール部分、及びリア部分を有するボディと、
フェース板と、備え、
前記フェース板は、
前面と、
後面と、
前記ヒール部分近傍から前記トゥ部分近傍へと延びる水平軸、及び、前記水平軸に対して垂直であり、前記クラウン部分近傍から前記ソール部分近傍へと延びる鉛直軸を有する座標系の原点を画定する幾何学的中心と、
前記前面と前記後面との間で測定され、可変厚さプロフィールを画定するために前記フェース板にわたる異なる場所において変化する厚さと、を備え、
前記可変厚さプロフィールは、
前記フェース板の最小厚さを備える周囲領域と、
移行領域と、
前記フェース板の最大厚さを備える中心領域と、を備え、
前記フェース板の特性時間の範囲は105秒未満であり、
前記フェース板の平均特性時間は230秒から245秒の間である、
ゴルフクラブヘッド。
(項目12)
前記フェース板の前記中心領域は、さらに、前記鉛直軸から2度から60度の間の角度で延びる長軸を備える、項目11に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目13)
前記フェース板の前記中心領域は、さらに、前記鉛直軸から2度から30度の間の角度で延びる長軸をさらに備える、項目12に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目14)
前記フェース板の前記幾何学的中心が前記中心領域に設けられている、項目11に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目15)
前記移行領域における前記フェース板の前記厚さは、前記中心領域における前記フェース板の前記最大厚さと、前記周囲領域における前記フェース板の前記最小厚さと、の間で徐々に小さくなる、項目11に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目16)
前記フェース板の特性時間の範囲は95秒未満である、項目11に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目17)
前記フェース板の平均特性時間は235秒から245秒の間である、項目11に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目18)
前記中心領域は、さらに、第1の側と第2の側とを備え、
前記第1の側と前記第2の側と、前記中心領域の短軸によって分割され、
前記第1の側は、前記短軸と前記トゥ部分との間に設けられ、
前記第2の側は、前記短軸と前記ヒール部分との間に設けられ、
前記中心領域の前記第2の側の表面積に対する前記中心領域の前記第1の側の表面積の比率は1.2から2.0の間である、項目11に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目19)
前記フェース板は、
上方ヒール側四分円と、
上方トゥ側四分円と、
下方ヒール側四分円と、
下方トゥ側四分円と、を備え、
前記中心領域の全表面積のより大きな割合が、前記下方ヒール側四分円、前記上方ヒール側四分円、及び前記下方トゥ側四分円のうちの1つ以上においてよりも、前記上方トゥ側四分円において設けられている、項目11に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目20)
前記中心領域は卵状の楕円形を有する、項目11に記載のゴルフクラブヘッド。