(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】管理装置、管理システム、管理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20120101AFI20220809BHJP
G06Q 20/32 20120101ALI20220809BHJP
【FI】
G06Q10/10 322
G06Q20/32 300
(21)【出願番号】P 2020049345
(22)【出願日】2020-03-19
【審査請求日】2021-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】319013263
【氏名又は名称】ヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【氏名又は名称】沖田 壮男
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】福本 貴司
【審査官】安田 勇太
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-200013(JP,A)
【文献】特開2009-9178(JP,A)
【文献】特開2009-15768(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2008-43939(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/10
G06Q 20/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子決済アプリがインストールされた利用者の端末装置と通信する通信部と、
前記通信部を介して得られる情報に基づいて前記電子決済アプリの使用状況を監視し、店舗に前記利用者が訪れた状態で前記電子決済アプリの機能により生じ得る所定イベントが発生したことを検知した場合、予め収集され記憶部に記憶されている前記利用者の求職情報を読み出し、前記求職情報が、予め収集され記憶部に記憶されている前記店舗の求人情報に合致する場合、前記電子決済アプリに通知して求人情報を前記端末装置に出力させる求人案内部と、
を備える管理装置。
【請求項2】
前記所定イベントは、前記店舗において前記電子決済アプリが支払いのために使用されることである、
請求項1記載の管理装置。
【請求項3】
前記所定イベントは、前記店舗において掲示されているコード画像から、前記電子決済アプリの機能によって前記コード画像の内容が読み取られることである、
請求項1または2記載の管理装置。
【請求項4】
前記店舗に対して、利用者によるシフトの入力を受け付け、シフト情報を管理するサービスを提供するシフト管理部を更に備える、
請求項1から3のうちいずれか1項記載の管理装置。
【請求項5】
前記シフト情報には、勤務状況に関する情報が含まれ、
少なくとも前記勤務状況に関する情報に基づいて、前記店舗において勤務したことがある利用者の信用度を算定する算定部を更に備える、
請求項4記載の管理装置。
【請求項6】
前記算定された信用度に基づいて前記利用者に特典を付与する特典付与部を更に備える、
請求項5記載の管理装置。
【請求項7】
前記店舗から前記利用者への給料の支払いを電子決済サービスに係る電子マネーで行う給与支払い管理部を更に備える、
請求項1から6のうちいずれか1項記載の管理装置。
【請求項8】
前記店舗から前記利用者への給料の支払いを電子決済サービスに係る電子マネーで行うと共に、前記利用者の前払い及び/または前借りサービスを提供する給与支払い管理部を更に備え、
前記給与支払い管理部は、前記算定された信用度に基づいて前記前払い及び/または前借りに係る前記利用者のコストを変更する、
請求項5記載の管理装置。
【請求項9】
前記店舗の求人情報には、前記算定された信用度に関する絞込条件が含まれる場合がある、
請求項5記載の管理装置。
【請求項10】
請求項1から9のうちいずれか1項記載の管理装置と、
前記電子決済アプリと、
を備える管理システム。
【請求項11】
前記電子決済アプリは、前記求人情報が前記端末装置により出力された状態で前記利用者の操作に応じて、求人への応募を支援するためのミニアプリを起動させ、
前記管理装置は、前記ミニアプリからのリクエストに応じたサービスを前記利用者に提供する、
請求項10記載の管理システム。
【請求項12】
電子決済アプリがインストールされた利用者の端末装置と通信する通信部を備える管理装置が、
前記通信部を介して得られる情報に基づいて前記電子決済アプリの使用状況を監視し、
店舗に前記利用者が訪れた状態で前記電子決済アプリの機能により生じ得る所定イベントが発生したことを検知した場合、予め収集され記憶部に記憶されている前記利用者の求職情報を読み出し、
前記求職情報が、予め収集され記憶部に記憶されている前記店舗の求人情報に合致する場合、前記電子決済アプリに通知して求人情報を前記端末装置に出力させる、
管理方法。
【請求項13】
電子決済アプリがインストールされた利用者の端末装置と通信する通信部を備える管理装置のプロセッサに、
前記通信部を介して得られる情報に基づいて前記電子決済アプリの使用状況を監視させ、
店舗に前記利用者が訪れた状態で前記電子決済アプリの機能により生じ得る所定イベントが発生したことを検知した場合、予め収集され記憶部に記憶されている前記利用者の求職情報を読み出させ、
前記求職情報が、予め収集され記憶部に記憶されている前記店舗の求人情報に合致する場合、前記電子決済アプリに通知して求人情報を前記端末装置に出力させることを行わせる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理装置、管理システム、管理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、求人情報を記憶可能な求人情報記憶手段と、通信網を介して、求職者に対して求人情報を閲覧可能にする求人情報公開手段と、通信網を介して、求職者から、応募依頼、求職者情報および下見希望日を受信可能な応募依頼受信手段と、通信網を介して、求人事業者に、求職者情報および下見希望日を送信可能な応募情報送信手段と、通信網を介して、求人事業者から、求職者情報に対する審査結果を受信可能な審査結果受信手段と、通信網を介して、求職者に、審査結果を送信可能な審査結果送信手段と、を備える求人支援サービス提供システムの発明が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術は、手続きが煩雑であり、利便性が十分でなかった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、より利便性の高いサービスを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、電子決済アプリがインストールされた利用者の端末装置と通信する通信部と、前記通信部を介して得られる情報に基づいて前記電子決済アプリの使用状況を監視し、店舗に前記利用者が訪れた状態で前記電子決済アプリの機能により生じ得る所定イベントが発生したことを検知した場合、予め収集され記憶部に記憶されている前記利用者の求職情報を読み出し、前記求職情報が、予め収集され記憶部に記憶されている前記店舗の求人情報に合致する場合、前記電子決済アプリに通知して求人情報を前記端末装置に出力させる求人案内部と、を備える管理装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、より利便性の高いサービスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】管理装置を利用した電子決済サーバ100による電子決済の仕組みの一例を示す図である。
【
図2】電子決済サーバ100の構成の一例を示す図である。
【
図3】利用者情報202の内容の一例を示す図である。
【
図4】発生イベント情報204の内容の一例を示す図である。
【
図5】求人情報206の内容の一例を示す図である。
【
図6】シフト情報208の内容の一例を示す図である。
【
図7】所定イベントの発生から求人情報が提供されるまでの電子決済サービスにおける処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図8】電子決済をトリガとして端末装置10によって求人情報の画像IM1が表示される様子の一例を示す図である。
【
図9】所定イベントの発生から求人情報が提供されるまでの電子決済サービスにおける処理の流れの他の一例を示すシーケンス図である。
【
図10】電子決済アプリによって求人コード画像IM3から情報が読み取られることで端末装置10によって求人情報の画像IM2が表示される様子を示す図である。
【
図11】求人情報の出し分けについて説明するための図である。
【
図12】アルバイト勤務の動画が提供される様子を示す図である。
【
図13】応募支援部178の提供するサービスについて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の管理装置、管理システム、管理方法、およびプログラムの実施形態について説明する。管理装置は、一以上のプロセッサにより実現される。管理装置は、例えば、電子決済アプリと協働して電子決済サービスを提供する装置である。アプリとは、アプリケーションプログラムの略称である。管理装置は、電子決済サービスに付随して、求人ならびに関連業務を管理する装置である。求人とは、例えばアルバイトの募集であるが、正社員の募集を含んでもよい。以下の説明では、求人とはアルバイトの募集を意味するものとする。また、管理装置は、電子決済サービスを提供する装置(電子決済サーバ)に包含される、すなわち電子決済サーバの一部であるものとするが、管理装置は電子決済サーバとは別体の装置であってもよい。管理システムは、管理装置と電子決済アプリとを含むものである。
【0010】
図1は、管理装置を利用した電子決済サーバ100による電子決済の仕組みの一例を示す図である。電子決済サーバ100は、ネットワークを介して一以上の端末装置10と通信する。ネットワークNWは、WAN(Wide Area Network)やLAN(Local Area Network)、インターネット、セルラー網などを含む。端末装置10は、スマートフォンやタブレット端末などの可搬型であり、表示機能、入力受付機能(例えばタッチパネル)、コード読取機能および無線通信機能を有する端末装置である。端末装置10は、例えば、予め端末装置10にインストールされた電子決済アプリを実行するプロセッサを備える。
【0011】
「決済方法1」では、端末装置10が店舗に設置されたQRコード(登録商標)などのコード画像にエンコードされた店舗ID(識別情報、以下同様)などの情報を電子決済アプリの機能によって端末装置10が読み取り、利用者が端末装置10に料金を入力して店舗側の確認を経た上で確定操作することで、店舗ID、利用者ID、料金、日時などの情報が電子決済サーバ100にアップロードされる。電子決済サーバ100は、利用者IDに対応付けられた残高情報から料金の分を差し引くと共に、店舗IDに対応付けられた残高情報に料金の分を加算することで、電子決済を完了する。なお、コード画像の読み取りに際して電子決済アプリは端末装置10のカメラを起動し、エンコードされた情報が読み取り可能なフレーム画像が撮像された時点でカメラによる撮像を終了する。この仕組みに関しては公知技術であるため詳細な説明を省略する。
【0012】
「決済方法2」では、端末装置10が電子決済アプリの機能によって、利用者IDを含む情報がエンコードされたバーコードなどのコード画像を表示し、バーコードリーダーなどの読み取り装置を含む店舗端末が、バーコードにエンコードされた利用者IDなどの情報を読み取り、店舗ID、利用者ID、料金、日時などの情報を電子決済サーバ100にアップロードする。電子決済サーバ100は、決済方法1と同様に、利用者IDに対応付けられた残高情報から料金の分を差し引くと共に、店舗IDに対応付けられた残高情報に料金の分を加算することで、電子決済を完了する。なお、これらの二つの決済方法が採用されていることは、あくまで一例であり、本発明の適用において任意の決済方法が採用されてよい。
【0013】
図2は、電子決済サーバ100の構成の一例を示す図である。電子決済サーバ100は、例えば、通信部110を備える。通信部110は、ネットワークNWに接続するためのネットワークカードなどの通信インターフェースである。
【0014】
電子決済サーバ100は、更に、利用者情報管理部120と、総合管理部130と、対店舗サービス管理部140と、信用度算定部150と、給与支払い管理部160と、求人案内部170とを備える。これらの構成要素は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。上記の全ての構成要素が一つのプロセッサにより実現される必要はなく、適宜、複数のプロセッサによる分散処理などがなされてもよい。
【0015】
電子決済サーバ100は、更に、記憶部200を備える。記憶部200は、例えば、HDDやフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)などにより実現される。記憶部200には、例えば、利用者情報202、発生イベント情報204、求人情報206、シフト情報208、信用度情報210などの情報が格納される。これらの情報の詳細については順を追って説明する。記憶部200は、電子決済サーバ100に付随する装置ではなく、ネットワークNWなどを介して電子決済サーバ100からアクセス可能なNAS(Network Attached Storage)であってもよい。
【0016】
利用者情報管理部120は、利用者から種々の情報の登録を受け付け、利用者情報202を更新する。利用者情報202は、電子決済システムが管理する電子マネーの残高情報を含む。
図3は、利用者情報202の内容の一例を示す図である。利用者情報202は、例えば、基本的には支払者である一般利用者に関する一般利用者情報202Aと、基本的には支払いを受ける側である店舗に関する店舗情報202Bとを含む。以下の説明において、「利用者」と言えば一般利用者を指すものとする。
【0017】
一般利用者情報202Aは、例えば、利用者IDに対して、残高情報、求人情報の提供を希望するか否かを示す情報提供希望フラグ、利用者の求職情報、承諾レベルなどが対応付けられた情報である。求職情報には、利用者自身の属性情報と、どのような条件での労働を希望するかを示す希望条件情報とが含まれる。情報提供希望フラグは、0が希望しないことを、1が希望することを示すものである。属性情報には、例えば年齢や性別などの情報が含まれる。希望条件情報には、希望する勤務地、職種、時給などの情報が含まれる。承諾レベルは、電子決済サービスを利用する上で収集される利用者の個人情報を、電子決済サービス自身または店舗に対してどの程度まで提供することを承諾するか否かを示す情報である。承諾レベルは、0が全く承諾しないことを示し、1が後述する前払いの手数料率や前借りの利率を決定するために利用することを承諾することを示し、2が1に加えて、店舗がアルバイトを採用するための情報として利用することを承諾することを示している。このように、承諾レベルは、個人情報の利用に関する利用者の承諾を段階的に受け付けた結果を表している。
【0018】
情報提供希望フラグ、求職情報、および承諾レベルは、利用者が電子決済サービスに入会する際、或いはその後の任意のタイミングにおいて、利用者が端末装置10に入力することで電子決済サーバ100に伝えられ、利用者情報管理部120によって一般利用者情報202Aに追加される。承諾レベルに関して、電子決済アプリは、利用者の承諾を取得する際に、承諾レベルが高い程(0よりも1が高く、1よりも2が高いものとする)特典が受けられる旨を利用者に伝える。特典とは、例えば、後述する前払いの手数料率や前借の利率を優遇することである。これに加えて、特典とは、種々の電子サービスにおいて利用可能なポイントを付与することであってもよい。
【0019】
店舗情報202Bは、例えば、店舗IDに対して、残高情報と、属性情報とが対応付けられたものである。属性情報には、例えば、店舗の場所や職種が含まれる。
【0020】
総合管理部130は、電子決済の実行を含む主要サービスを管理する。総合管理部130は、
図1を用いて説明した電子決済の実行状況を監視し、電子決済の結果に応じて利用者情報202における残高情報を変更する。また、総合管理部130は、電子決済アプリが支払いのために使用されたり、後述するように電子決済アプリの機能によって求人コード画像から情報が読み取られたりした場合(所定イベントが発生した場合)、発生イベント情報204に情報を追加する。
図4は、発生イベント情報204の内容の一例を示す図である。発生イベント情報204は、例えば、イベントの発生した日時に対して、イベントの発生した店舗の店舗ID、イベント種別、イベントを発生させた利用者の利用者IDなどが対応づけられた情報である。
【0021】
対店舗サービス管理部140は、店舗が支払いを受けるためのサービス以外の、店舗に対するサービスを管理する。対店舗サービス管理部140は、例えば、求人情報受付部142と、シフト管理部144とを備える。
【0022】
求人情報受付部142は、店舗の運営者の端末装置から、求人情報の入稿を受け付け、求人情報206として記憶部200に記憶させる。
図5は、求人情報206の内容の一例を示す図である。求人情報206には、例えば、属性情報と、絞込条件とが含まれる。属性情報には、例えば、店舗の場所、職種、アルバイトに支払う最初の時給などの情報が含まれる。絞込条件とは、求職者である利用者の属性情報と信用度に関して絞り込みを行うための条件である。なお、
図4における店舗IDが112の店舗は、採用を希望していないため求人情報206にレコードが登録されていない。
【0023】
シフト管理部144は、店舗における利用者(この時点ではアルバイト労働者)のシフトを管理する。シフト管理部144は、利用者の端末装置10からシフト(勤務を希望する時間帯)の入力を受け付け、シフト情報208として記憶部200に記憶させる。
図6は、シフト情報208の内容の一例を示す図である。シフト情報208は、シフト管理サービスを希望する店舗の店舗IDごとに生成される。図示する店舗IDが114である店舗は、毎日二名のアルバイト労働者に勤務させており、例えば「1日に6時間以上勤務すること」などの条件の下、利用者自身の申し出によりシフトを決定する仕組みとなっている。また、シフト管理部144は、店舗の打刻装置などから取得した情報に基づいて、実際に勤務があったか否かを示す情報を取得し、勤務状況としてシフト情報208に追加する。勤務状況には、予定通り勤務したことを示す「OK」、所定時間以上の遅刻があったことを示す「遅刻」、連絡の上、欠勤したことを示す「キャンセル」、連絡なしで欠勤したことを示す「無断欠勤」などがある。
図6に示す時点では、3/11以降の勤務状況はまだ取得されていないためブランクとなっている。
【0024】
信用度算定部150は、シフト情報208などの情報に基づいて、利用者の信用度を算定する。信用度算定部150は、例えば、0、1、2、3、4の5段階で利用者の信用度を算定する。0が最も低く、1、2、3、4の順に信用度が高いものとする。なお、この仕組みはあくまで一例であり、段階数が異なってもよいし、連続値で利用者の信用度を算定するようにしてもよい。信用度算定部150は、例えば、承諾レベルが2の場合、信用度を0~4のいずれかに算定し、承諾レベルが1の場合、信用度を0~3のいずれかに算定し、承諾レベルが0の場合、信用度を1に固定する。要するに、個人情報の利用度合いが高い程、高い信用度が与えられる機会が利用者に提供される。信用度算定部150は、シフト情報208から得られる勤務日数、遅刻率、無断欠勤率などの指標に基づいて、勤務日数が高いほど信用度を高く、遅刻率が低いほど信用度を高く、無断欠勤率が低いほど信用度を高く算定する。更に、信用度算定部150は、他の金融サービスと連携し、利用者の各種ローンの支払い状況などに応じて信用度を算定してもよい。信用度算定部150により算定された信用度は、利用者IDに対応付けられて信用度情報210として記憶部200に記憶される。
【0025】
承諾レベルが2の場合の信用度は、例えば式(1)で算定される。承諾レベルが2の場合の勤務日数、遅刻率、無断欠勤率には、アルバイト勤務中であれば現在勤務している店舗に加えて、それ以前に勤務していた店舗における勤務情報も反映される。また、求職中であれば、少なくとも直前に勤務していた店舗の勤務状況が反映され、それ以前に勤務していた店舗における勤務情報も反映されてよい。すなわち、承諾レベルが2の場合、他店舗における勤務状況が信用度に反映されることになる。式中、f{}は、勤務日数が0である場合は初期値として1を出力し、勤務日数が高いほど大きい値を、遅刻率が低いほど大きい値を、無断欠勤率が低いほど大きい値を出力する関数である。
(信用度)=MAX[4,f{(勤務日数),(遅刻率),(無断欠勤率)}] …(1)
【0026】
承諾レベルが1の場合の信用度は、例えば式(2)で算定される。承諾レベルが1の場合の勤務日数、遅刻率、無断欠勤率には、アルバイト勤務中であれば現在勤務している店舗における勤務情報が反映され、求職中であれば、全てリセットされて0となる。すなわち、承諾レベルが1の場合、他店舗における勤務状況が信用度に反映されないことになる。式中、g{}は、勤務日数が0である場合は初期値として1を出力し、勤務日数が高いほど大きい値を、遅刻率が低いほど大きい値を、無断欠勤率が低いほど大きい値を出力する関数である。関数f{}と関数g{}の出力傾向は同じであってもよいし、異なってもよい。
(信用度)=MAX[3,g{(勤務日数),(遅刻率),(無断欠勤率)}] …(2)
【0027】
給与支払い管理部160は、店舗の残高情報を減らしつつ利用者の残高情報を増やすことで、電子マネーによる給与の支払いを実現する。これによって、店舗や利用者は、銀行口座を新たに作成したり、銀行口座を店舗側に登録したりする必要が無くなるため、求人~応募から給与の支払いまでシームレスなサービスを提供することができ、店舗と利用者の双方にとっての利便性を向上させることができる。
【0028】
給与支払い管理部160は、例えば、前払い/前借り管理部162を備える。前払いとは、既に勤務した分について給料日前に給料の支払いを受けることであり、前借りとは、未だ勤務していない分について見込みで給料の支払いを受けることである。前払い/前借り管理部162は、信用度情報210に従って、前払いにおける手数料率や、前借りにおける利率を決定する。手数料率や利率はコストの一例である。前払い/前借り管理部162は、信用度が高いほど、手数料率や利率を低くし、信用度が高いほど、手数料率や利率を高くする。この結果、信用度が高くなるのに応じて、利用者に特典が与えられることになる。
【0029】
求人案内部170は、通信部110を介して得られる情報(例えば発生イベント情報204)に基づいて電子決済アプリの使用状況を監視し、店舗に利用者が訪れた状態で電子決済アプリの機能により生じ得る所定イベントが発生したことを検知した場合(発生イベント情報204に新たなレコードが追加された場合)、予め収集され記憶部200に記憶されている利用者情報202の中から利用者の求職情報を読み出し、求職情報が、予め収集され記憶部200に記憶されている店舗(所定イベントに係る店舗)の求人情報206に合致する場合、電子決済アプリに通知して求人情報を端末装置10に出力させる。求人案内部170は、例えば、情報提供可否判定部172と、求人情報提供部174と、詳細情報提供部176と、応募支援部178とを備える。
【0030】
情報提供可否判定部172は、発生イベント情報204を監視し(
図4参照)、新たなレコードが追加される度に、当該レコードに係る利用者IDに該当する求職情報および信用度を、利用者情報202および信用度情報210からそれぞれ取得すると共に、当該レコードに係る店舗IDに該当する求人情報を求人情報206から取得する。そして、それらが合致する場合に、当該利用者IDに係る利用者に求人情報を提供すると決定する。合致するとは、例えば、求職情報における属性情報と希望条件情報が求人情報の全てを満たす(時給に関しては求人情報に含まれる方が高い)ことである。信用度に関して、情報提供可否判定部172は、求人情報における絞込条件に規定されていなければ上記決定において考慮しない。また、信用度を全く考慮せずに決定を行ってもかまわない。なお、一般利用者情報202Aにおける職種の内容と求人情報206における職種の内容は、表現が異なってもよく、対応関係を示す対応情報(不図示)によって、合致するか否かが判定されてよい。
【0031】
求人情報提供部174は、情報提供可否判定部172により求人情報を利用者に提供すると決定された場合、電子決済アプリに通知して求人情報を端末装置10に出力させる。端末装置10に出力させる求人情報は、少なくとも求人情報206から読み出した情報を含み、労働環境を提示するための動画、電子面接を設定するための他アプリへのリンクなどを含んでもよい。
【0032】
図7は、所定イベントの発生から求人情報が提供されるまでの電子決済サービスにおける処理の流れの一例を示すシーケンス図である。まず、電子決済が行われる(S1~S4)。電子決済の方法は決済方法1、2のいずれでもよいが、ここでは決済方法2が行われたものとする。決済方法1が行われた場合、以下のS1~S3の流れが異なるものとなるが、改めての図示および説明を省略する。
【0033】
端末装置10において電子決済アプリが起動し(S1)、利用者がバーコードを店舗端末に提示する(S2)。店舗端末は、バーコードから読み込んだ利用者IDを含む決済情報を電子決済サーバ100に送信する(S3)。電子決済サーバ100の総合管理部130は、前述したように利用者と店舗の残高を変更することで電子決済を行う(S4)。
【0034】
総合管理部130は、更に、発生イベント情報204に新たなレコードを追加する(S5)。これを検知した情報提供可否判定部172は、求職情報および信用度が求人情報に合致するか否かを判定する(S6)。合致すると判定された場合、求人情報提供部174が端末装置10に求人情報を送信する(S7)。これを受けて端末装置10では、電子決済アプリが求人情報を含む画像を表示部に表示させる(S8)。
【0035】
図8は、電子決済をトリガとして端末装置10によって求人情報の画像IM1が表示される様子の一例を示す図である。図示するように、画像IM1には、完了した電子決済の情報に加えて、利用した店舗における求人情報の内容が含まれる。
【0036】
図9は、所定イベントの発生から求人情報が提供されるまでの電子決済サービスにおける処理の流れの他の一例を示すシーケンス図である。
【0037】
端末装置10において電子決済アプリが起動し(S11)、店舗に掲示された求人コード画像から情報を読み取る(S12)。求人コード画像は、例えばレジの付近に掲示されており、求人情報が得られる旨の情報が提示されている。また、求人コード画像には、少なくとも店舗IDなどの情報がエンコードされている。電子決済アプリは、読み取った情報に基づいて電子決済サーバ100に、利用者IDや店舗IDなどを通知する(S13)。
【0038】
電子決済サーバ100の総合管理部130は、電子決済アプリからの通知を受けて発生イベント情報204に新たなレコードを追加する(S14)。これを検知した情報提供可否判定部172は、求職情報および信用度が求人情報に合致するか否かを判定する(S15)。合致すると判定された場合、求人情報提供部174が端末装置10に求人情報を送信する(S16)。これを受けて端末装置10では、電子決済アプリが求人情報を含む画像を表示部に表示させる(S17)。
【0039】
図10は、電子決済アプリによって求人コード画像IM3から情報が読み取られることで端末装置10によって求人情報の画像IM2が表示される様子を示す図である。画像IM2には、求人コード画像が掲示された店舗における求人情報の内容が含まれる。
【0040】
上記説明した処理によって、利用者にパーソナライズされた求人情報を、利用者に提供することができる。
図11は、求人情報の出し分けについて説明するための図である。図中、IM4は、ある雑貨店において、女性である利用者に対して提供された求人情報を含む画像である。IM5は、同じ雑貨店において、男性である利用者に対して提供された求人情報を含む画像である。図示するように、同じ店舗であっても、複数の職種でそれぞれ求人をしている場合、利用者には、その利用者の求職情報に合致する求人情報が提供される。この結果、単にその店舗の求人情報を一覧情報として提供したり、無作為に提供したりする技術に比して、より有用な情報を提供することができる。
【0041】
前述したように、求人情報は、労働環境を提示するための動画、電子面接を設定するための他アプリへのリンクなどを含んでもよい。詳細情報提供部176は、求人情報を含む画像(例えばIM1、IM2)において利用者が第1操作をした場合、アルバイト勤務の動画を端末10に再生させる。
図12は、アルバイト勤務の動画が提供される様子を示す図である。求人情報受付部142は、予め求人情報の一部として、動画の入稿を受け付けておき、記憶部200に記憶させておく。同じ店舗であっても職種に応じて異なる動画が用意されてよい。端末装置10の電子決済アプリは、利用者によって動画の再生を指示する操作がなされると、例えばストリーミングによって電子決済サーバ100から動画を逐次取得し、端末装置10に表示させる。
【0042】
応募支援部178は、求人情報を含む画像(例えばIM1、IM2)において利用者が第2操作をした場合、起動されたミニアプリに応じて面接の日時を決定することを支援したり、電子面接(ビデオ通話システムによるオンライン面接)をセットアップしたりする。
図13は、応募支援部178の提供するサービスについて説明するための図である。ミニアプリには、連絡を行うためのチャットアプリ、日時を確認し合うためのカレンダーアプリ、所在地を伝えるための地図アプリ、ビデオ通話システムを実現するためのビデオ通話アプリなどが含まれる。応募支援部178は、電子決済アプリの機能によってミニアプリが起動すると、ミニアプリからのリクエストに応じた情報を端末装置10に提供する。これによって、店舗への訪問からアルバイトへの応募までの流れをシームレスにサポートすることができる。
【0043】
上記の機能に加えて、電子決済サーバ100は、シフト情報208に基づいて、利用者の履歴書を作成するサービスを提供してもよい。シフト情報208には、過去のアルバイトの職歴が蓄積されるため、容易に履歴書を作成することができる。これによって、利用者は手作業で履歴書を作成する手間を省略することができる。
【0044】
上記説明した処理によって、電子決済サーバ100は、より利便性の高いサービスを提供することができる。調べによれば、アルバイトを希望する利用者にアンケートを取った結果、勤務先の店舗において求人情報を閲覧し、その流れで応募したいと考える割合は60%以上になっている。また、実際にアルバイト勤務先の下見を行う利用者も一定数存在する。そこで、電子決済サーバ100は、店舗に利用者が訪れた状態で電子決済アプリの機能により生じ得る所定イベントが発生したことを検知した場合に、その店舗の求人情報と利用者の求職情報とが合致することを条件に求人情報の提供を行う。これによって、利用者が、店舗の下見の意図があって店舗を利用した場合や、店舗を利用した結果としてアルバイト勤務したくなった場合に、即応的に利用者に合った求人情報を提供することができる。従って、より利便性の高いサービスを提供することができる。
【0045】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0046】
10 端末装置
100 電子決済サーバ
110 通信部
120 利用者情報管理部
130 総合管理部
140 対店舗サービス管理部
142 求人情報受付部
144 シフト管理部
150 信用度算定部
160 給与支払い管理部
162 前払い/前借り管理部
170 求人案内部
172 情報提供可否判定部
174 求人情報提供部
176 詳細情報提供部
178 応募支援部
200 記憶部
202 利用者情報
204 発生イベント情報
206 求人情報
208 シフト情報
210 信用度情報
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