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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】拡張可能な本体デバイス及び使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/12 20060101AFI20220809BHJP
【FI】
A61B17/12
【請求項の数】 59
(21)【出願番号】P 2020170088
(22)【出願日】2020-10-07
(62)【分割の表示】P 2017514868の分割
【原出願日】2015-09-17
(65)【公開番号】P2021007776
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2020-10-07
(31)【優先権主張番号】62/051,873
(32)【優先日】2014-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515254725
【氏名又は名称】アルティオ・メディカル・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Artio Medical, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】エフ・ニコラス・フラナノ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ブルネル
(72)【発明者】
【氏名】キャサリン・スティーブンソン
(72)【発明者】
【氏名】ハワード・エム・ロリー・ザ・セカンド
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-506809(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0317409(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B17/12
A61M25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の動脈又は静脈内に永久的に移植するよう構成された拡張可能な本体であって、
遠位領域と、前記遠位領域に対向する近位領域と、前記遠位領域から前記近位領域へと移行する中間領域と、前記近位領域と前記遠位領域との間で近位から遠位に延びる中心軸と、
前記遠位領域から前記中間領域を通って前記近位領域へと延びる壁であって、前記拡張可能な本体の外面と、前記拡張可能な本体の中心空隙を定義する前記拡張可能な本体の内面とを定義する、前記壁と、
を含む、前記拡張可能な本体と、
同心円状に整列した3つのカテーテルを有する多重内腔カテーテルアセンブリであって、
近位端及び近位端に対向する遠位端を有する内部カテーテルであって、当該内部カテーテルの近位端から遠位端へと続き、ガイドワイヤを受けるよう構成された第1内腔を定義し、当該内部カテーテルの外壁の少なくとも一部が、第2内腔の最内部を定義する、前記内部カテーテルと、
近位端及び近位端に対向する遠位端を有する中間カテーテルであって、当該中間カテーテルの遠位端が、前記拡張可能な本体の前記近位領域に動作可能に連結されており、当該中間カテーテルの内壁の少なくとも一部が、前記第2内腔の最外部を定義して、当該中間カテーテルの近位端と前記拡張可能な本体の前記中心空隙との間に流体連通を提供し、当該中間カテーテルの外壁の少なくとも一部が、第3内腔の最内部を定義する、前記中間カテーテルと、
近位端及び近位端に対向する遠位端を有する外部カテーテルであって、当該外部カテーテルの内壁の少なくとも一部が、前記第3内腔の最外部を定義して、当該外部カテーテルの近位端と前記拡張可能な本体に隣接する前記動脈または静脈内の領域との間に流体連通を提供する、前記外部カテーテルと、
を含む、前記多重内腔カテーテルアセンブリと
を備える、医療用システムであって、
前記拡張可能な本体が、送達可能な構成から拡張した構成へと拡張するよう構成されており、
前記外部カテーテルが、前記中間カテーテル及び前記内部カテーテルから独立して前進及び後退させられるように動作可能であり、
前記外部カテーテルの遠位端を前記拡張可能な本体に対して保持しながら前記中間カテーテルを後退させることにより、前記拡張可能な本体が前記中間カテーテルから分離されるように動作可能である、
医療用システム。
【請求項2】
前記拡張可能な本体が、前記拡張可能な本体から突出する、近位頸部、又は遠位頸部、又は近位及び遠位頸部を備える、請求項1に記載の医療用システム。
【請求項3】
前記中間カテーテルが、前記拡張可能な本体の前記近位頸部に動作可能に連結される、請求項2に記載の医療用システム。
【請求項4】
前記中間カテーテルの前記遠位端が、前記拡張可能な本体の前記近位頸部内へ挿入される、請求項3に記載の医療用システム。
【請求項5】
前記拡張可能な本体が、弁、クランプ、リング、エラストマースリーブ、またはラップによって、前記中間カテーテルに取り付けられる、請求項1~4の何れか1項に記載の医療用システム。
【請求項6】
前記拡張可能な本体が拡張した構成に拡張され、かつ前記拡張可能な本体と前記中間カテーテルとが分離された後に、前記拡張可能な本体内側の圧力が、前記拡張可能な本体外側の圧力以下である、請求項1~5の何れか1項に記載の医療用システム。
【請求項7】
前記拡張可能な本体が金属製であり、
前記拡張可能な本体が拡張した構成に拡張され、かつ前記動脈または静脈内で前記拡張可能な本体と前記中間カテーテルとの分離後、前記拡張可能な本体が、自身を前記拡張した構成又は部分的に拡張した構成に維持するのに十分な強度を有する、請求項1~5の何れか1項に記載の医療用システム。
【請求項8】
前記拡張可能な本体と前記中間カテーテルとの分離後に、前記拡張した構成又は部分的に拡張した構成を維持するのに、前記拡張可能な本体の前記中心空隙に、患者由来でない固体又は半固体材料もしくは部材が必要とされない、請求項7に記載の医療用システム。
【請求項9】
前記拡張可能な本体が、前記拡張可能な本体の最大容量の少なくとも20%、50%、75%、又は90%、及び最大100%を保つ、請求項7又は8に記載の医療用システム。
【請求項10】
前記第2内腔の少なくとも一部が、前記中間カテーテルの前記内壁と前記内部カテーテルの前記外壁との間の環状隙間によって定義され、前記第2内腔が、前記中間カテーテルの近位ハブと前記拡張可能な本体の前記中心空隙との間における流体連通を可能にする、請求項1に記載の医療用システム。
【請求項11】
加圧下で、前記中間カテーテルの前記近位ハブ内へ、次に前記第2内腔を通り、次に前記拡張可能な本体の前記中心空隙もしくは空間内へと、液状媒体を注入することができる、請求項10に記載の医療用システム。
【請求項12】
前記拡張可能な本体は、前記拡張可能な本体の前記中心空隙もしくは空間内へ、6気圧以下の圧力で、液状媒体を注入することにより、前記送達可能な構成から前記拡張した構成に拡張するように動作可能である、請求項1又は11に記載の医療用システム。
【請求項13】
前記第3内腔の少なくとも一部が、前記外部カテーテルの前記内壁と前記中間カテーテルの前記外壁との間の環状隙間によって定義される、請求項1に記載の医療用システム。
【請求項14】
前記動脈または静脈内へ挿入後、前記第3内腔が、前記外部カテーテルの近位ハブと前記動脈または静脈内の前記拡張可能な本体に隣接する領域との間における流体連通を可能にする、請求項1に記載の医療用システム。
【請求項15】
前記拡張可能な本体が、前記拡張した構成にあるとき、球形状、回転楕円体形状、楕円体形状、またはカージオイド形状を有する、請求項1に記載の医療用システム。
【請求項16】
前記拡張可能な本体の前記壁が、金を含む、請求項1に記載の医療用システム。
【請求項17】
前記拡張可能な本体の前記壁が、金の連続層を含む、請求項1に記載の医療用システム。
【請求項18】
前記外部カテーテル、前記中間カテーテル、及び前記内部カテーテルのうちの1つ以上が、巻付け又は編組ワイヤで補強されている、請求項1に記載の医療用システム。
【請求項19】
前記巻付け又は編組ワイヤが、ステンレス鋼又はニチノールで構成される、請求項18に記載の医療用システム。
【請求項20】
前記外部カテーテル、前記中間カテーテル、及び前記内部カテーテルのうちの1つ以上が、ポリマー外層と、コイル状又は編組金属ワイヤを含む中間層と、潤滑性コーティング又は潤滑性ポリマーを含む内層とを備える、請求項18又は19に記載の医療用システム。
【請求項21】
前記潤滑性ポリマーが、PTFEを含む、請求項20に記載の医療用システム。
【請求項22】
前記外部カテーテルは、前記拡張可能な本体と前記中間カテーテルが引き離されると、前記拡張可能な本体の軸移動を減少させるように配置されるように動作可能である、請求項1に記載の医療用システム。
【請求項23】
前記外部カテーテルの前記遠位端は、前記拡張可能な本体と前記中間カテーテルとが引き離されると、前記拡張可能な本体の前記近位領域と接触するように動作可能である、請求項22に記載の医療用システム。
【請求項24】
前記拡張可能な本体が、1つ以上のエラストマー弁を備え、
前記1つ以上のエラストマー弁の各々が、前記拡張可能な本体の前記壁に開口を定義する頸部に取り付けられたノーズコーンに組み込まれる、
請求項1に記載の医療用システム。
【請求項25】
前記1つ以上のエラストマー弁が、ポリマーディスクから成る、請求項24に記載の医療用システム。
【請求項26】
前記1つ以上のエラストマー弁が、シリコーン又はポリウレタンから成る、請求項24に記載の医療用システム。
【請求項27】
前記1つ以上のエラストマー弁が、中心オリフィスを備えるディスクを備え、前記中心オリフィスが、円形の孔、前記ディスクの直径に沿うスリット、又は前記ディスクの直径に沿った2つの直交するスリットを含む、請求項24に記載の医療用システム。
【請求項28】
前記拡張可能な本体と前記中間カテーテルが連結されると、前記1つ以上のエラストマー弁が、前記内部カテーテルの前記外壁と接触するよう構成されている、請求項24に記載の医療用システム。
【請求項29】
前記拡張可能な本体と前記中間カテーテルとを分離する前に、前記内部カテーテルが前記1つ以上のエラストマー弁を通して挿入され、前記1つ以上のエラストマー弁と内部カテーテルシャフトの前記外壁との間に摩擦嵌合が形成される、請求項24に記載の医療用システム。
【請求項30】
前記拡張可能な本体と前記中間カテーテルが連結されると、前記1つ以上のエラストマー弁が、内部カテーテルに対してシールを形成し、加圧下で前記拡張可能な本体の前記中心空隙へ液体媒体を注入することができるようにする、請求項24に記載の医療用システム。
【請求項31】
前記拡張可能な本体が前記中間カテーテルから分離されると、前記1つ以上のエラストマー弁が、前記1つ以上のエラストマー弁が組み込まれる前記ノーズコーンの前記頸部を閉じるよう構成されている、請求項24に記載の医療用システム。
【請求項32】
前記拡張可能な本体の前記壁が、3~50ミクロンの範囲の壁厚を有する、請求項1に記載の医療用システム。
【請求項33】
前記拡張可能な本体の前記壁が、少なくとも1つの層を備え、前記少なくとも1つの層が、金属層である、請求項1に記載の医療用システム。
【請求項34】
前記金属層が、金を含む、請求項33に記載の医療用システム。
【請求項35】
前記拡張可能な本体の前記壁の少なくとも一部が、電鋳法で形成される、請求項34に記載の医療用システム。
【請求項36】
前記拡張可能な本体が拡張した構成にあるときに、前記拡張可能な本体が中空構造である、請求項1に記載の医療用システム。
【請求項37】
前記拡張可能な本体の前記壁の少なくとも一部が、前記動脈又は静脈内に移植する前にアニーリングされる、請求項33~36の何れか1項に記載の医療用システム。
【請求項38】
前記拡張可能な本体が拡張した構成にあるときに、前記拡張可能な本体が、楕円形である全体形状を含む、請求項1に記載の医療用システム。
【請求項39】
前記拡張可能な本体が拡張した構成にあるときに、前記拡張可能な本体の前記中間領域が、円筒形である全体形状を含む、請求項1に記載の医療用システム。
【請求項40】
前記拡張可能な本体が拡張した構成にあるときに、前記拡張可能な本体の前記近位領域及び前記遠位領域が、湾曲形又は円錐形をしている、請求項38又は39に記載の医療用システム。
【請求項41】
前記拡張可能な本体が拡張した構成にあるときに、前記拡張可能な本体が、2mm~60mmの範囲の拡張した長さを有する、請求項1に記載の医療用システム。
【請求項42】
前記中間カテーテルの外径が、2~5Frである、請求項1に記載の医療用システム。
【請求項43】
前記外部カテーテル、前記中間カテーテル、及び前記内部カテーテルのうちの1つ以上の長さが、75cm~225cmである、請求項1に記載の医療用システム。
【請求項44】
前記拡張可能な本体と前記中間カテーテルの分離が起こるよう設計された位置を識別するために、X線不透過性マーカーバンドが組み込まれた、請求項1に記載の医療用システム。
【請求項45】
前記外部カテーテル、前記中間カテーテル、及び前記内部カテーテルのうちの1つ以上の前記遠位端を識別するために、X線不透過性マーカーバンドが組み込まれた、請求項1に記載の医療用システム。
【請求項46】
前記第1内腔が、前記内部カテーテルの前記近位端から前記遠位端へと続いている、請求項1に記載の医療用システム。
【請求項47】
前記拡張可能な本体が拡張した構成にあるときに、前記内部カテーテルが、固体又は半固体材料を、前記内部カテーテルの前記近位端から、前記第1内腔を通って、前記拡張した拡張可能な本体の前記中心空隙へと通過させるよう構成されている、請求項1に記載の医療用システム。
【請求項48】
前記固体又は半固体材料が、金属コイルから成る、請求項47に記載の医療用システム。
【請求項49】
前記固体又は半固体材料が、圧縮されたか、折り畳まれたか、束ねられたか、又は引き伸ばされた形状で、前記第1内腔を通過するよう構成された、第2の拡張可能な本体である、請求項47又は48に記載の医療用システム。
【請求項50】
前記第2の拡張可能な本体が、ワイヤを含む、請求項49に記載の医療用システム。
【請求項51】
前記ワイヤが、形状記憶特性を持つニチノールワイヤを含む、請求項50に記載の医療用システム。
【請求項52】
前記ワイヤの少なくとも一部が、コイルへと形成される、請求項50に記載の医療用システム。
【請求項53】
前記ワイヤの少なくとも一部が、メッシュへと形成される、請求項50に記載の医療用システム。
【請求項54】
前記ワイヤの少なくとも一部が、白金又は金で覆われる、請求項50に記載の医療用システム。
【請求項55】
前記ワイヤの少なくとも一部が、潤滑性ポリマーでコーティングされる、請求項50に記載の医療用システム。
【請求項56】
前記潤滑性ポリマーが、PTFEである、請求項55に記載の医療用システム。
【請求項57】
前記第2の拡張可能な本体が、蛍光透視法で可視の1つ以上のマーカーを有する、請求項49~56の何れか1項に記載の医療用システム。
【請求項58】
前記1つ以上のマーカーが、前記第2の拡張可能な本体の一部を取り巻くバンドの形状である、請求項57に記載の医療用システム。
【請求項59】
前記ワイヤの一部が、押し込みワイヤである、請求項50に記載の医療用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2014年9月17日に出願された米国仮特許出願第64/051873、「拡張可能な本体デバイス及び使用方法」の優先権を主張するものであり、参照によりその全内容を本明細書に包含する。
【0002】
本開示は、拡張可能な本体を含み、血管系の嚢状動脈瘤の治療用の拡張可能な本体を含む医療装置またはシステムの1つ以上の使用を含む医療用デバイス及びシステムに関する。ここで、1つ以上の拡張可能な本体は最終的に拡張した状態で動脈瘤内に留まる。さらに、本開示は、拡張可能な本体が拡張した状態で適所に残存するように嚢状動脈瘤の少なくとも一部を満たす、及び/または封鎖するように寸法決めされ、かつ構成された拡張可能な本体の様々な実施形態を送達及び配置するための方法及びシステムに関する。本開示はさらに、中空の金属製バルーンまたは金属を含むバルーン、及び送達カテーテルを含み、それらを使用する拡張可能な本体の形状を含む医療用デバイス及びシステムに関する。本開示はさらに、嚢状動脈瘤治療のためのデバイス、システム、及び方法に関し、拡張可能な本体の異なる形状が組み合わせて配置されてもよい。例えば、中空の金属製バルーン形態の拡張可能な本体は、動脈瘤の嚢内に配置され、拡張してもよく、その後1つ以上のコイル状ワイヤ形態の拡張可能な本体が動脈瘤の嚢内に配置されてもよく、それによりコイル状ワイヤは動脈瘤壁と動脈瘤頸部付近に配置され拡張した中空の金属製バルーンの壁の両方に接触し、動脈瘤頸部を封鎖するために拡張した中空の金属製バルーンに力を加える。
【0003】
本開示はさらに、拡張可能な本体を含み、血管セグメントまたは他の生体導管の閉塞のための拡張可能な本体を含む医療用デバイスまたはシステムの1つ以上の使用を含む医療用デバイス及びシステムに関する。ここで、拡張可能な本体は、血管セグメントまたは生体導管セグメントにおいて、拡張した状態で最終的に留まる。さらに、本開示は、拡張可能な本体が拡張した状態で適所に残存するように血管セグメント、または生体導管セグメントの少なくとも一部を満たす、及び/または封鎖するように寸法決めされ、かつ構成された拡張可能な本体の様々な実施形態を送達及び配置するための方法及びシステムに関する。本開示はさらに、中空の金属製バルーンまたは金属を含むバルーン、及び送達カテーテルを含み、それらを使用する拡張可能な本体の形状を含む医療用デバイス及びシステムに関する。本開示はさらに、血管セグメントまたは他の生体導管の閉塞のためのデバイス、システム、及び方法に関し、拡張可能な本体の異なる形状が組み合わせて配置されてもよい
【0004】
本開示はさらに、拡張可能な本体の製造に関し、ステンレス鋼のリングが心棒の近位端に連結され、心棒の上、及びステンレス鋼のリングまたは管の少なくとも一部の上に金属層を堆積し、かつ任意的に心棒を取り除き、金属層を心棒の形をした中空の本体の形状へと形成し、これが拡張可能な本体となり得る。製造方法のこの実施形態は、電鋳法を用いて金属を堆積する方法を含み、方法において堆積する金属は金である。従ってステンレス鋼のリングは結合され、中空の本体の近位領域から延び、頸部を形成する。頸部を形成することは、近位頸部を形成することを含む。ステンレス鋼のリングはさらに、拡張可能な本体の頸部または主本体に分割セグメントを溶接することで取り付けられてよく、主本体は近位領域、遠位領域、及び任意的に中間領域を含むものとして定義される。特定の実施形態では、ステンレス鋼のリングまたは管は、送達デバイスに連結され、かつリングまたは管が電気分解により分けることができるよう構成される。
【背景技術】
【0005】
動脈瘤は身体のあらゆる場所に発生し得る血管の異常な外側の隆起である。この隆起は血管壁を脆くし、破裂しやすくし、出血や失血を引き起こし得る。動脈瘤は脳の動脈循環においてよく見られ、この脳の動脈循環において、それらは脳動脈瘤または頭蓋内動脈瘤として知られている。脳動脈瘤が破裂する時、しばしば出血性脳卒中、脳損傷を引き起こし、時には死に至ることがある。脳動脈瘤はよく見られる疾患であり、成人人口の推定2%が罹患している。脳動脈瘤のおよそ90%は円形、嚢、またはポーチのような形をした嚢状である。侵襲性手術は、頭蓋骨を開き、動脈瘤の頸部または本体の外側に小さい外科用クリップを設置することで動脈瘤を封鎖し、それにより動脈瘤嚢への血流を制限する、外科手術を伴う治療の伝統的な方法である。
【0006】
もしくは、侵襲の少ない、カテーテルベースの血管内治療が用いられてきており、閉塞を生じるよう、一連の小さな金属製のコイル状ワイヤ(コイル)が動脈瘤嚢、血管セグメント、または生体導管セグメントを満たすように用いられる。動脈瘤または血管をコイルで閉塞するために、医師はカテーテルを血管系の内腔へと挿入し、閉塞を生じさせたい位置へとカテーテルの先端を誘導する。カテーテルの先端を適所へ位置し、医師はカテーテルを通じてコイルを動脈瘤、血管セグメント、または生体導管セグメントの内腔または内部空洞へと通す。
【0007】
効果的ではあるが、嚢状脳動脈瘤のコイリングには欠点がある。第1に、コイルの配置は制御が難しく、しばしば親血管へのコイル突出または目的外位置へのコイル移動をもたらす。第2に、コイルは動脈瘤嚢を部分的に満たし、閉塞するだけである。血栓及び繊維組織の蓄積は、動脈瘤を封鎖するのに必要であり、プロセスはしばしば生じるのに数週間から数ヶ月を有し、時に不完全なものとなり、くも膜下出血に伴う急性動脈瘤破裂の治療におけるコイルの効果を削減し得る。コイルの使用が最初は効果的であったとしても、動脈瘤、血管、または生体導管の再疎通はよく起こることであり、血流が動脈瘤に戻ってくることがあり、時間と共に破裂のリスクが増加する。コイルで動脈瘤嚢を満たすのが不完全であることは、コイル密度が低く血流速度の速い場合がある動脈瘤嚢の頸部領域においては特に一般的である。第3に、動脈瘤の治療には通常多くのコイルが必要であり、高いコストと長い治療期間を要する。第4に、コイルは圧縮されやすく、動脈瘤頸部をさらに露出し、それにより高い動脈瘤再発率の一因となる。
【0008】
最近では、従来の管状ステントが脳動脈瘤の治療に適していた。これらのステントはカテーテル送達デバイスに配置され、動脈瘤に隣接する親血管に置かれる。これらのステントはその後送達デバイスと共に親血管内で拡張し、続いて送達デバイスが取り除かれる。拡張した金属製ステントは、動脈瘤嚢への血流を削減し、動脈瘤血栓形成を促進するよう作用する。効果的ではあるが、これら「分流」ステントの使用には欠点がある。第1に、ステントは動脈瘤に隣接する主要な動脈枝を覆って、そこから血管をそらす場合があり、時に分岐部動脈瘤の治療において特に見られる問題である虚血及び脳卒中をもたらす。第2に、これらのステントは親血管内における血栓及び血管内膜過形成の発生源であり、親血管内腔の狭窄、虚血、及び脳卒中をもたらす場合がある。
【0009】
さらに最近では、ワイヤメッシュの拡張可能な本体が脳動脈瘤の治療に適用されてきた。これらのワイヤメッシュの拡張可能な本体は、カテーテル送達デバイスを通じて押し込みワイヤ、押し込みカテーテル、または押し込みシステムを含む押し込みデバイスを用いることで配置され、動脈瘤嚢内へ置かれる。これらのワイヤメッシュの拡張可能な本体はその後、動脈瘤嚢内で拡張し、押し込みデバイスから切り離される。ワイヤメッシュの拡張可能な本体は、動脈瘤嚢への血流を削減し、動脈瘤血栓形成を促進するよう作用する。
【0010】
より急速に、効果的かつ完全に嚢状動脈瘤への血流削減をもたらす、脳動脈瘤を含む嚢状動脈瘤治療のための医療用デバイス、システム、及び方法の必要性はまだ残り、それは頸部の封鎖においてより効果的であり、より恒久的かつ永続的である。動脈瘤頸部をより迅速に封鎖する医療用デバイス、システム、及び方法がさらに望まれている。最後に、より簡単に、より短期間で使用可能であり、既存の治療法と比較した時に、合併症のリスクがより低く、より低コストである嚢状動脈瘤治療のための医療用デバイス、システム、及び方法が望まれている。
【0011】
他の臨床的状況では、患者は特定の動脈または静脈セグメントの閉塞から恩恵を得ることができる。血管内の管閉塞が有益であるというような臨床状況は、血管異常及び血管奇形への血流を減少することといったような他の目的のための、損傷血管からの出血を減少すること、腫瘍への血流を減少すること、及び血管系における血液経路をリルートすることを含む。最小侵襲性の、カテーテルベースの血管内治療は、血管セグメントを閉塞するために開発されてきた。血管閉塞のための血管内医療用デバイスは、バルーンカテーテルを含み、バルーンは血管セグメントの内腔を満たすよう膨張でき、カテーテルから分離できる。血管閉塞のための分離可能なバルーンカテーテルの使用には2つの大きな欠点がある。第1に、バルーンは通常、耐組織取り込み性のポリマーから作られる。これが、置かれたデバイスの固定を制限し、移動のリスクを増加させる。第2に、バルーンは、加圧しながら拡張する弾性壁、及び分離後にその圧を維持するよう設計された弁で構成される。残念ながら、かなりの割合でバルーン及び弁の不具合が起こり、収縮をもたらす。組織の取り込みが起きなければ、バルーン収縮は、血管または生体導管の再疎通またはバルーン移動、及び目的外血管セグメントの閉塞を引き起こし得る。
【0012】
さらに最近では、拡張可能な本体の形状をしたワイヤメッシュ構造を含む血管閉塞のための血管内医療用デバイスは、血管セグメントの内腔の一部を満たすために用いられ、血管セグメントの血栓形成及び閉塞を誘発する。血管セグメントの閉塞に通常必要なのは単一のワイヤメッシュの拡張可能な本体のみであり、かつデバイスは通常制御が容易であるが、これらのデバイスは血管の一部分のみを満たし、血管を閉塞するために血栓の蓄積及び繊維組織が必要である。コイルの場合のように、このプロセスが発生するのに数週間かかり、時に未完成となり、しばしば不完全閉塞または再疎通及び治療の失敗に終わる。
【0013】
血管セグメント及び他の生体導管のセグメントを閉塞するための、実行し易く、より急速に、制御されておりかつ完全な閉塞をもたらし、再疎通、バルーン移動、または他の合併症のリスクが少なく、リーズナブルなコストで購入可能なカテーテルベースの医療用デバイス、システム、及び方法の必要性が残っている。
【発明の概要】
【0014】
本明細書における開示は、拡張可能な本体を用いた嚢状動脈瘤の治療のための医療用システム及びデバイスであり、拡張可能な本体は、中空の金属製バルーンまたは金属を含む中空のバルーンを備える拡張可能な本体、または組み合わせて嚢状動脈瘤を閉塞する1つ以上の拡張可能な本体を含む。開示はさらに、拡張可能な本体を用いた動脈、静脈、他の血管導管、及び他の生体導管を含む血管セグメントの閉塞または封鎖のための医療用システム及びデバイスである。拡張可能な本体は、中空の金属製バルーンまたは金属を含む中空のバルーンを備える拡張可能な本体、または組み合わされた1つ以上の拡張可能な本体を含む。
【0015】
大まかに言えば、拡張可能な本体は、圧縮したか、折り畳まれたか、ひだ状に折られたか、折り曲げられたか、巻かれたか、束ねられたか、引き伸ばされたか、またはそれ以外の拡張していない形状で身体の外部から送達でき身体の内部へと置かれ、その後治療部位で拡張し、空間を塞ぐかまたは隣接する構造に力を与える。拡張可能な本体の1つの実施例は、ひだ状に折るか、巻くか、圧縮することのできる中空の金製構造であり、治療位置に送達され、中空の金製構造の中心空隙に液体を注入することで拡張する。拡張可能な本体の他の実施例は、コイル状に形成でき、その後カテーテルの内腔で引き伸ばされるかまたは束ねられ得るニチノール、白金、またはステンレス鋼ワイヤであり、この構成で治療位置に送達され、その後カテーテルから引き出され、そこでコイル状へと拡張できる。拡張可能な本体のさらに他の実施例は、カテーテルの内腔で圧縮されるか、引き伸ばされるか、かつ束ねられ得るニチノールを備える単一のワイヤメッシュデバイスであり、この構成で治療位置に送達され、その後カテーテルから引き出され、そこで拡張した状態へと再拡張できる。
【0016】
本明細書に用いられるような、「拡張可能な本体」、「拡張した本体」、「拡張した拡張可能な本体」、「拡張可能な構造」、「拡張可能なバルーン」、「中空の金属製構造」、「中空の金属製の拡張可能な本体」、「中空の金属の拡張可能な本体」、「金属製バルーン」、「ボールステント」、及び「ブロックステント」という用語は、拡張可能な本体が第1に拡張していない状態で送達デバイスを任意的に用いて患者の中へと導入され、第2に拡張していない状態で患者の1つ以上の生体導管を通って目的の治療部位(すなわち、移植部位)へと通り抜け、第3に目的の治療部位で拡張した状態へと拡張し、第4に目的または治療部位において拡張した構成で患者の体内に残るよう送達デバイスから分離してもよい拡張可能な本体を指す。
【0017】
特定の実施形態では、拡張可能な本体は、中心空隙へ液体を注入することで膨張するかまたは拡張できる中空の金属製構造として用いるために構成されてもよい。この特定の実施形態を記述する際、この文脈において、「拡張可能な本体」、「拡張可能な構造」、「拡張可能なバルーン」、「中空の金属製構造」、「中空の金属製の拡張可能な構造」、「中空の金属の拡張可能な本体」、「金属製バルーン」、「ボールステント」、及び「ブロックステント」という用語は、本明細書に記述されるように用いられる。いくつかの実施形態では、この文脈における拡張可能な本体は、通常固体の表面を持ち、全体的な開口または穿孔のない単層壁または多層壁を有してもよい。
【0018】
本明細書に開示される医療用システムは、患者の生体空間を満たすために用いられてもよい。そういった医療用システムは、単一のローブ状金属製の拡張可能な本体及び送達デバイスを含んでもよい。そういった医療用システムはさらに、1つ以上の追加的拡張可能な本体を含んでもよく、それぞれ「コイル状ワイヤ拡張可能な本体」と呼ばれ、単一のローブ状拡張可能な本体に直接隣接して置かれ得るコイル状ワイヤを含む。生体空間を満たすことは、破裂した内腔、または、破裂していない嚢状動脈瘤の内腔、または血管セグメントの内腔、の少なくとも一部の閉塞を含む。血管セグメントの内腔は、動脈及び静脈、または他のタイプの生体導管内腔を含む。
【0019】
単一のローブ状中空金属製の拡張可能な本体は、遠位領域、一般的に遠位領域に対向する近位領域、及び任意的に、遠位領域から近位領域へと移行する中間領域を含む。中心軸は、単一のローブ状金属拡張可能な本体の近位領域と遠位領域の間で近位~遠位に延びる。1つの実施形態では、この拡張可能な本体の壁は、一般的には連続的に近位領域から任意的に中間領域を通じて遠位領域へと延び、拡張可能な本体の外面及び拡張可能な本体の内面を定義する。内面は、拡張可能な本体の内部容積を定義する。拡張可能な本体は、送達可能(すなわち、折り畳まれるかまたは拡張していない)構成から拡張した構成へと拡張するよう構成される。他の実施形態では、拡張可能な本体の壁は、ワイヤコンポーネントの間に隙間、穿孔、または開口のある単一のワイヤメッシュデバイスを含む。
【0020】
様々な実施形態では、単一のローブ状中空の金属製の拡張可能な本体は、拡張可能な本体の一体構造を形成する中間領域によって分けられた近位領域及び遠位領域を含む。単一のローブ状金属製の拡張可能な本体は、第1軸及び第1軸を横断する第2軸によってさらに定義されてもよい。第1軸は拡張可能な本体の近位頸部と遠位頸部の間で延び、または他の言い方では、近位面の中間部から遠位面の中間部まで延びる。1つの態様では、中間領域の形状は、第1軸に平行な弧によって記述され、かつ定義されてもよい。様々な実施形態では、第2軸に沿う拡張可能な本体の幅または長さは、第1軸に沿う拡張可能な本体の高さまたは長さよりも長い。いくつかの実施形態では、拡張時、第2軸に平行な遠位領域の最大半径は、第2軸に平行な近位領域の最大半径より短いかまたは等しい。いくつかの実施形態では、拡張時、第1軸に平行な遠位領域の最大半径は、第1軸に平行な近位領域の最大半径より短いかまたは等しい。
【0021】
様々な他の実施形態では、単一のローブ状中空の金属製の拡張可能な本体はさらに、略半球状の遠位領域に取り付けられた略半球状の近位領域を有するように定義され、かつ記述されてもよい。各領域によって形成された半球は、第1軸または第2軸と並ぶ長半径及び半短径によってさらに定義されてもよい。いくつかの実施形態では、各領域は対応する頸部を有し、偏半球状体、長半球状体、または半球体を個別に定義してもよい。
【0022】
1つの実施形態では、単一のローブ状中空の金属製の拡張可能な本体及びその送達デバイスは、ガイドワイヤ内腔として機能する内部カテーテルシャフト(すなわち、ガイドワイヤシャフト)を特徴とする。遠視下で、ガイドワイヤは動脈内に挿入され、目的の治療部位へと進む。その後送達デバイスは拡張していない拡張可能な本体をその遠位端に持ってガイドワイヤ上を通り目的の治療部位へと送達される。いくつかの実施形態において、ガイドワイヤは、この拡張可能な本体の送達、拡張、及び分離の後に取り除かれる。他の実施形態では、拡張可能な本体は送達され拡張し、ガイドワイヤは分離の前に取り除かれる。他の実施形態では、拡張可能な本体は送達され、その後拡張可能な本体の拡張及び分離の前にガイドワイヤは取り除かれる。
【0023】
送達デバイスは、近位端及び一般的に近位端に対向する遠位端を含む縦方向に延びる本体を有する。送達デバイスの遠位端は、単一のローブ状中空の金属製の拡張可能な本体の近位頸部に操作可能なように連結される。いくつかの実施形態では、送達デバイスの遠位端はさらに、拡張可能な本体の遠位頸部に操作可能なように連結される。1つの実施形態では、拡張可能な本体が送達可能な構成である時、壁は第1または中心軸に対して時計回りに、または代替的に、第1または中心軸に対して反時計回りに折り重ねられた複数のプリーツを有するプリーツ状構成であり、拡張可能な本体の折り重ね領域を形成すると考えられる。逆に、拡張可能な本体が拡張した構成である時、複数のプリーツは折り重ねられておらず、プリーツ状構成は実質的に消滅する。
【0024】
関連する実施形態では、単一のローブ状中空の金属製の拡張可能な本体の遠位端はさらに、「ブリッジセグメント」と呼ばれる独特な管状構造を含む。いくつかの実施形態では、ブリッジセグメントは2パートの伸縮ブリッジセグメントであり、カテーテルまたはカテーテルシャフト(「ブリッジカテーテル」)の遠位端上をスライドする剛性金属またはポリマーチューブ(「テレスコープ」)を含む。他の実施形態では、ブリッジセグメントは1パートの柔軟なブリッジセグメントであり、ブレイド補強されたかまたはされていないポリマーチューブを含む。いくつかの実施形態では、ブリッジセグメントは、接着剤、粘着剤、または溶接で拡張可能な本体の本体部に接続される。拡張可能な本体の拡張の際、ブリッジセグメントは拡張可能な本体の本体部が軸方向に自由に縮むことができる。次に拡張した中空の金属製の拡張可能な本体の遠位端と動脈瘤のドーム間の距離を最大化し、コイル状ワイヤ拡張可能な本体が動脈瘤のドームに孔を開けるリスクを低減しながら配置され得る。さらに、ブリッジセグメントは注入された液状媒体が拡張可能な本体から漏出するのを削減し、次に拡張に必要な適用圧力を削減する。
【0025】
送達デバイスから拡張した中空の金属製の拡張可能な本体を分離するのに様々な方法が用いられ得る。1つの実施形態では、システムまたは医療用システムは、送達デバイス上に部分的に支持され、電解により送達装置の遠位端から拡張可能な本体を切り離すよう構成された電気回路を有する分離システムを含む。他の実施形態では、分離は、電気回路が送達デバイスと拡張した中空の金属製の拡張可能な本体の頸部セグメント間の熱可塑性リンクを溶かすことによる電熱プロセスにより行われ得る。他の実施形態では、分離の機械的手段は、送達デバイスをねじることで切り離されるネジ接続、または送達デバイスをスリーブ、拡張可能な本体の上または中に配置された弁、または複数の弁から取り出すことで切り離されるスリップフィット接続などを採用してもよい。機械的分離のケースでは、切り離した分離カテーテルは、送達デバイスが取り出される間拡張可能な本体の軸移動を防ぐために採用されてもよい。
【0026】
患者の生体空間の少なくとも一部を満たす方法が同様に本明細書に記述される。1つの方法は、送達可能な構成から拡張した構成へと拡張するよう構成された単一のローブ状中空の金属製の拡張可能な本体を供給することを含む。拡張可能な本体は、拡張可能な本体の近位頸部、近位領域、または遠位頸部に動作可能なように係合する遠位端を有する送達デバイスを介して患者の生体空間に送達可能な構成で導入される。液状媒体は、拡張可能な本体を膨張するかまたは拡張するために送達デバイスを介して拡張可能な本体の内部容積へと送達され得、拡張した構成にさせる。拡張後、拡張可能な本体は送達デバイスから切り離される。いくつかの実施形態では、方法は、送達装置の遠位端から拡張可能な本体を電解で切断するよう送達デバイス上に部分的に支持された電気回路を有する分離システムを用いることを含む。ここで、近位頸部の一部を含む送達デバイスの一部は、分離の前に電解を受ける。特定の実施形態では、電解を受ける近位頸部の一部はリング状である。
【0027】
患者の生体空間の少なくとも一部を満たすためのデバイスまたはシステムを製造する方法が同様に本明細書に記述される。1つの方法は、遠位領域、一般的に遠位領域に対向する近位領域、及び遠位領域から近位領域へと移行する任意的中間領域を有する単一のローブ状中空金属製の拡張可能な本体を製造することを含む。中心または第1軸は、単一のローブ状金属製の拡張可能な本体の近位頸部と遠位頸部の間に延びる。拡張可能な本体の壁は、一般的には連続的に近位領域から中間領域を通じて近位領域へと延び、拡張可能な本体の外面及び拡張可能な本体の内面を定義する。内面は、拡張可能な本体の内部容積を定義する。方法はさらに、近位または遠位頸部セグメントの全てまたは一部を拡張可能な本体、または近位及び遠位頸部セグメントの両方に溶接するかまたは接続することを含む。他の実施形態では、近位頸部セグメント、遠位頸部セグメント、または近位及び遠位頸部セグメントの両方は、拡張可能な本体を形成するために電鋳プロセスの間に接続してもよい。
【0028】
方法はさらに、近位端及び一般的に近位端に対向する遠位端を含む縦方向に延びる本体を有する送達デバイスを製造することを含む。送達デバイスは、送達デバイスの遠位端を中空の金属製の拡張可能な本体に動作可能なように連結する。拡張可能な本体は、拡張可能な本体の近位頸部または近位領域を含む。製造方法はさらに、拡張可能な本体の壁をプリーツ状構成へと形成することを含む。プリーツ状構成は、第1または中心軸に対して時計回りに、または代替的に、第1または中心軸に対して反時計回りに折り重ねられた複数のプリーツを有し、拡張可能な本体の折り重ね領域を形成する。
【0029】
方法はさらに中空の金属製の拡張可能な本体を製造することを含み、本体を製造することは、ステンレス鋼のリングをアルミニウムマンドレルといったような犠牲マンドレルの近位端へと連結すること、犠牲マンドレル及びステンレス鋼のリングまたは管の少なくとも一部に金属層を堆積すること、及び犠牲マンドレルの形状をした中空体形状の金属層を残して犠牲マンドレルを取り除くことを含み、拡張可能な本体を形作ることができる。製造方法のこの実施形態は、電鋳法を用いて金属を堆積する方法を含み、方法において堆積する金属は金である。ステンレス鋼のリングはよって、中空体の近位領域に接続され、そこから延び、近位頸部の形成を含む頸部を形成する。ステンレス鋼のリングはさらに、拡張可能な本体の頸部または主本体に分割セグメントを溶接することで取り付けられ、主本体は近位領域、遠位領域、及び任意的に中間領域を含むものとして定義される。特定の実施形態では、ステンレス鋼のリングまたは管は、送達デバイスに連結され、かつリングまたは管が電気分解により分けることができるよう構成される
【0030】
方法はさらに中空の金属製の拡張可能な本体を製造することを含み、本体を製造することは、ステンレス鋼のリングをPETバルーンといったような中空の非犠牲マンドレルの近位端へと連結すること、非犠牲マンドレル及びステンレス鋼のリングまたは管の少なくとも一部に金属層を堆積すること、及び非犠牲マンドレルを内層として適所に残すことを含み、非犠牲マンドレルの形状をした中空の二層式拡張可能な本体をもたらし、拡張可能な本体を形作ることができる。製造方法のこの実施形態は、スパッタコーティングまたは電鋳法、スパッタコーティングした後に電鋳法、または電鋳法の後にスパッタコーティングを用いて金属を堆積する方法を含み、方法において堆積する金属は金である。スパッタコーティングはスパッタ堆積を含んでもよい
【0031】
前述のプロセスにおいて、ステンレス鋼のリングはよって、中空金属体の近位領域に接続され、そこから延び、近位頸部の形成を含む頸部を形成する。ステンレス鋼のリングはさらに、拡張可能な本体の頸部または主本体に分割セグメントを溶接することで取り付けられ、主本体は近位領域、遠位領域、及び任意的に中間領域を含むものとして定義される。特定の実施形態では、ステンレス鋼のリングまたは管は、送達デバイスに連結され、かつリングまたは管が電気分解により分けることができるよう構成される。特定の実施形態では、金で覆われたステンレス鋼の領域は、下層のステンレス鋼を露出するようエッチングされ得、領域は電解腐食に感応し、エッチングされた領域は電解により切断され得る。特定の実施形態では、エッチングはレーザーにより行われる
【0032】
方法は、金属コーティングまたは電気絶縁材料を中空の金属製の拡張可能な本体の外面または内面及びステンレス鋼のリングの外面または内面の全てまたは一部に適用すること、及びステンレス鋼のリングからなる頸部領域の外面を一部分金属コーティングまたは電気絶縁材料のない状態にすることで陽極を作り出すことを含むことができる。方法はさらに、ステンレス鋼のリングの少なくとも一部を送達デバイスの遠位端に連結すること及び電解システムをステンレス鋼のリングに電気的に連結することを含み、送達デバイスを通じて移動する伝導路を通じる電位陽極を形成する。
【0033】
方法は同様に、中空の金属製の拡張可能な本体の頸部または送達カテーテルの遠位端に1つ以上のエンドキャップまたはノーズコーンを取り付けることを含む。エンドキャップまたはノーズコーンは、ポリマー材料を含んでもよい。さらに、ポリマーシースまたはコーティングが拡張可能な本体及びエンドキャップまたはノーズコーンに付けられてもよく、ポリマーシースは拡張可能な本体が折り畳まれたか、巻かれたか、または圧縮された送達構成である時に拡張可能な本体を封入する
【0034】
前述のデバイス、システム及び方法の様々な実施形態では、中空の金属製の拡張可能な本体の壁は、厚さがおおよそ5~50μmの金属層を少なくとも1つ含んでもよい。1つの実施例では、近位、中間、及び遠位領域の金属層は、金または白金、またはそれらの合金を含んでもよい。拡張可能な本体の壁は、金属層の内面上に延在する非金属製コーティングの内層及び/または金属層の外面上に延在する非金属製コーティングの外層をさらに含んでもよい。非金属製「コーティング」は、製造中に用いられる中空の、非犠牲マンドレルであってもよいか、または例えばPETまたはパリレンを含む電気絶縁材料追加層であってもよい。1つの実施形態では、PETまたはパリレンの内層及び金の外層があってもよい。他の実施例では、金または白金の中心層を覆うパリレンの内層及び外層があってもよい。金属層の表面は、面の高さがおおよそ0.001~0.01μm、おおよそ0.001~0.1μm、おおよそ0.001~1μm、またはおおよそ0.001~10μmである、円形、小石状、または粒状の面構造を含んでもよい。金属層の外面は、略管状の突出部を含んでもよい。1つの実施形態では、略管状の突出部のいくつかは枝分かれしている。他の実施形態では、略管状の突出部のいくつかはループを形成するために金属層に両端部が繋がれている
【0035】
中空の金属製の拡張可能な本体の金属層は、マンドレル上で電鋳により作り出されてもよく、任意的にマンドレルの全てまたは一部は犠牲的である。犠牲マンドレルは、ドリリング及び酸エッチングといったプロセスにより電鋳内部から取り除かれてもよい。マンドレルの一部は犠牲アルミニウム成分ならびにステンレス鋼、亜鉛、マグネシウム、または銅といったような他の金属で作られた非犠牲成分を含んでもよい。他の実施形態では、非犠牲マンドレルの全てまたは一部は、中空であってもよく、ステンレス鋼(頸部用)から、及びPET及びパリレンといったポリマーから作られた非犠牲成分を含んでもよい。非犠牲ステンレス鋼のマンドレルの成分は、非犠牲マンドレルの成分の内面または外面のうち1つの少なくとも一部に渡って延在する金または白金の表面層を含んでもよい
【0036】
マンドレルは、1~30μインチR(すなわち、絶対値の算出平均)である表面粗度であってもよい。マンドレルの表面粗度は、中空の金属製の拡張可能な本体の最終的な表面粗度を最適化するよう選択されてもよい。
【0037】
あるいは、マンドレルは、送達可能な構成と拡張した構成の間の中間的形状をした中空の金属製の拡張可能な本体のプリーツ状構成を一般的に複製するプリーツ状外面を有してもよい。
【0038】
1つの実施形態では、マンドレルは、金でスパッタコーティングされた水溶性ポリマーを含んでもよく、それによりマンドレルを複製し、かつエッチングする両方の時間を削減し得る。1つの実施形態では、マンドレルは、厚さがおおよそ10~50nmの金の層でスパッタコーティングされたポリエチレングリコール(PEG)またはポリエチレンオキシド(PEO)から射出形成されてもよい。金は、電気を通すことができる表面を作り出すために回転する試料ステージと共に視線プロセスを用いてスパッタコーティングされてもよい。その後スパッタコーティングされたポリマーマンドレルはさらに電鋳プロセスによりコーティングされ得、その後水溶性ポリマーのマンドレルは電鋳プロセスの完了をもって温水へと浸けられ得る。
【0039】
様々な実施形態では、中空の金属製の拡張可能な本体は、1つ以上のアニーリングプロセスを受けてもよい。拡張可能な本体は、送達可能な構成へと折り畳まれる前後にアニーリングされてもよい。さらに、拡張可能な本体は、非金属製コーティングを含みながらアニーリングプロセスを受けてもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、中空の金属製の拡張可能な本体の壁は、内面から外面へと壁の厚みを通じて完全に延在し得る孔または穿孔を含んでもよい。孔は微細な0.1~500μmの範囲の直径であるか、または微細な500μm~3mmの範囲の直径であってもよい。孔の空いた拡張可能な本体の1つの実施例は、微細な孔の空いた自己拡張ワイヤメッシュ構造であり、ニチノールワイヤから作られた構造を含む。孔の空いた拡張可能な本体の他の実施例は、大部分が連続した壁及び微細な孔のある中空の金属構造である。このように、拡張可能な本体は、送達デバイスを介して拡張可能な本体の内部容積と流体連通する流体供給デバイスにより膨張してもよい。流体供給デバイスは、漏出流体流量を越える供給流体流量を流量送達圧で複数の孔から内部容積に供給するよう構成される。1つの実施形態では、拡張可能な本体の拡張時、孔が生体内で拡張後に一定期間開放するよう、孔は生分解性または生体内分解性の材料で満たされる。
【0041】
中空の金属製の拡張可能な本体の製造方法の1つは、a)犠牲マンドレルを供給すること、b)犠牲マンドレル上に金属層を堆積すること、c)犠牲マンドレルを取り除いて中空の金属製本体の形状に金属層を残すこと、及びd)中空の金属体を折り畳むこと、を含み、折り畳むことは中空の金属製プリーツ状本体の中心軸に対して時計回りに、または中空の金属製プリーツ状本体の中心軸に対して反時計回りに複数のプリーツを折り重ねることを含む。折り畳む前に、中空のプリーツ状本体は、摩擦を減少し、拡張可能な本体が折り畳む間に損傷を受けるリスクを低減し、かつ圧縮したデバイスの外形を最小化するために、生体適合性があり、かつ血液適合性がある潤滑流体で満たされてもよい。
【0042】
中空の金属製の拡張可能な本体の他の製造方法は、a)中空の非犠牲マンドレルを供給すること、b)中空の非犠牲マンドレル上に金属層を堆積すること、及びc)多層化した中空の金属体を折り畳むこと、を含み、折り畳むことは中空の金属製プリーツ状本体の中心軸に対して時計回りに、または中空の金属製プリーツ状本体の中心軸に対して反時計回りに複数のプリーツを折り重ねることを含む。折り畳む前に、中空のプリーツ状本体は、摩擦を減少し、拡張可能な本体が折り畳む間に損傷を受けるリスクを低減し、かつ圧縮したデバイスの外形を最小化するために、生体適合性があり、かつ血液適合性がある潤滑流体で満たされてもよい。
【0043】
送達または送達可能な構成である時、中空の金属製の拡張可能な本体の折り重ねられた領域または圧縮された領域は、ワイヤ受容チャネルを定義してもよい。1つの実施形態では、送達デバイスまたは送達カテーテルの一部は、拡張可能な本体の折り重ねられた領域または圧縮された領域内にはない。他の実施形態では、送達デバイスまたは送達カテーテルの一部は、拡張可能な本体の折り重ねられた領域または圧縮された領域内にある。プリーツ状である実施形態のために、各プリーツは、近位~遠位に延在し中心軸から半径方向に離れる稜線を含み、各プリーツは、近位~遠位に延在する介在溝により直接隣接するプリーツから分けられ、それによりプリーツ状構成が交互に稜-溝配置を有する。折り畳まれる時、各プリーツは、第1軸または中心軸に対して時計回りに、または第1軸または中心軸に対して反時計回りに直接隣接するプリーツ状に折り重なる。1つの実施形態では、送達デバイスの一部は、拡張可能な本体の折り重ねられた領域または圧縮された領域内にはない。他の実施形態では、拡張可能な本体の折り重ねられた領域または圧縮された領域は、ガイドワイヤを受容するためのチャネルを定義する。他の実施形態では、送達デバイスまたは送達カテーテルの一部は、拡張可能な本体の折り重ねられた領域または圧縮された領域内にある。
【0044】
様々な実施形態では、中空の金属製の拡張可能な本体は、拡張した構成に達するよう膨張するかまたは拡張する。拡張可能な本体は、拡張可能な本体の内部容積に液状媒体の送達を介して膨張または拡張する。液状媒体は、通常、液体またはガスを含む。様々な実施形態では、拡張の間、拡張可能な本体内の圧力は6気圧(atm)以下である。他の適切な圧力は、5atm以下、4atm以下、3atm以下、2atm以下、及び1atm以下を含む。
【0045】
拡張または膨張の間、送達可能な構成において存在する、中空の金属製の拡張可能な本体のプリーツ状構成及び複数のプリーツは、実質的に消滅する。拡張時、拡張可能な本体は、送達デバイスから分離または切り離された後に生体空間内でそれ自身を拡張した構成に維持するための十分な強度を持ち、拡張した拡張可能な本体が密封されていない時、かつ拡張した拡張可能な本体の空間内部の圧力が拡張した拡張可能な本体の外側圧力と同じかまたはたは近い時に、十分な強度を持つことを含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、中空の金属製の拡張可能な本体及び送達デバイスは、拡張可能な本体の内部容積を任意的に、固体または半固体の支持構造で少なくとも部分的に満たすことができるよう構成される。支持構造は、金属製またはポリマーのコイルまたはワイヤ、金属製またはポリマーの拡張性構造、ビーズ、ボール、微粒子、生体吸収性または生体内分解性材料、またはそれらの組み合わせを含む。1つの実施形態では、患者由来ではない固体または半固体の材料または部材は、拡張可能な本体と送達デバイスの分離後に拡張可能な本体に拡張した構成を取らせるかまたは維持させるために、拡張可能な本体の内部容積に必要ではない。
【0047】
拡張した構成である時、中空の金属製の拡張可能な本体は、球状、回転楕円体、または楕円体である全体形状をしていてもよい。1つの実施形態では、形状はディスク上で扁平な回転楕円体面であってもよい。様々な実施形態では、満たされる生体空間よりも小さい拡張可能な本体が選択される。様々な実施形態では、拡張時、拡張可能な本体は、生体空間への入口または開口部の幅よりも大きい第2軸に平行な最大幅、最大長、または最大直径を有し、それにより拡張可能な本体の拡張した形状が生体空間への生体液の流れを削減するかまたは生体空間への入口、頸部、または開口部を封鎖し得る。例えば、拡張可能な本体は、嚢状動脈瘤への開口部または頸部を封鎖するかまたは嚢状動脈瘤への血流を少なくとも削減するために用いられてもよい。
【0048】
動脈瘤の入口、頸部、または開口部への接触を維持するために、中空の金属製の拡張可能な本体は、1つ以上の追加的拡張可能な本体と組み合わせて配置してもよい。1つの実施形態では、1つ以上のコイル状ワイヤの拡張可能な本体は、拡張した中空の金属製の拡張可能な本体に隣接する動脈瘤嚢に配置され、それにより1つ以上のコイル状ワイヤが生体空間内の残りの空間の一部を満たし、かつ空間内における位置を維持し、かつ動脈瘤の入口、頸部、または開口部との継続的な接触を維持するために、拡張した中空の金属製の拡張可能な本体の表面に力を加える。特定の実施形態では、コイル状ワイヤの拡張可能な本体は、ニチノールまたは他の自己拡張材料を含む。他の実施形態では、コイル状ワイヤの拡張可能な本体は、白金またはステンレス鋼を含む。特別な実施形態では、1つ以上のコイル状ワイヤの拡張可能な本体(「補助コイル」と呼ばれる)は、拡張した中空の金属製の拡張可能な本体(「ボールステント」と呼ばれる)と親血管から動脈瘤内腔または嚢へと入口、頸部、または開口部が対向する動脈瘤の壁の間の動脈瘤の空隙内に配置される。本明細書に用いられるように、親血管は、動脈瘤が形成される血管である。
【0049】
拡張した中空の金属製の拡張可能な本体が動脈瘤の入口、頸部、または開口部よりも大きいかまたは幅広くなるように、かつ動脈瘤から押し出されるかまたは引き出されず、かつ親血管の内腔断面積の50%以上を閉塞して親血管へと入るよう、拡張した中空の金属製の拡張可能な本体のサイズは選択される。この文脈では、1つ以上の補助コイルは、i)動脈瘤の入口、頸部、または開口部に対向する動脈瘤の壁、及び、ii)拡張した中空の金属製の拡張可能な本体の両方に接触するよう配置され、補助コイル(複数可)は、動脈瘤の入口、頸部、または開口部に対して拡張した中空の金属製の拡張可能な本体を押圧するかまたは維持するよう力を加える。1つの実施形態では、補助コイルは、コイルに自己拡張する性質を与える方法及び材料で作られ得る。例えば、補助コイルは、ニチノールを含む球状のコイルであってもよい。他の実施形態では、補助コイルは、これに制限はされないが、球状、回転楕円体、楕円体、または円筒状の構成を含む様々な他の形状であってもよい。他の実施形態では、動脈瘤壁への外傷を減少させ、コイルをコイル送達カテーテルを通じて押し入れ、そこから押し出すのに必要な力を減少させることができる方法でコイルを和らげ、コイルの滑性を増加するために、補助コイルはPTFEといったようなポリマー材料でコーティングされてもよい。様々な態様では、補助コイルは、おおよそ0.002から0.0035インチの範囲の直径を有してもよい。好ましくは、補助コイルは、動脈瘤及び脳動脈瘤よりも小さいおおよそ0.004から0.008インチの間の直径、及び動脈瘤及び末梢動脈瘤よりも大きいおおよそ0.008から0.038インチの間の直径を有する。同様に、様々な態様では、補助コイル上のポリマーコーティングは、おおよそ0.001から0.004インチの範囲の厚さを有してもよい。好ましくは、ポリマーコーティングは、おおよそ0.0015から0.002インチの範囲の厚さを有してもよい。
【0050】
補助コイルは、分離及び区分送達カテーテルを用いることなく動脈瘤の内腔といったような生体空間へと送達されてもよい。例えば、補助コイルは、単一のローブ状金属製の拡張可能な本体及び送達カテーテルを備える医療用デバイスのガイドワイヤ内腔へと挿入され、押し込みデバイスを用いることを含み、動脈瘤嚢へと進んでもよい。補助コイルは、その後、押し込みデバイスと補助コイルの間の接続領域の電解をもたらす方法を含み、押し込みデバイスから離される。
【0051】
補助コイルは、分離及び区分送達カテーテルを用いて動脈瘤の内腔といったような生体空間へと送達されてもよい。例えば、補助コイルは、「補助コイル送達カテーテル」の内腔へと搭載されてもよく、補助コイル/補助コイル送達カテーテルアセンブリは、単一のローブ状金属製の拡張可能な本体及び送達カテーテルを備える医療用デバイスのガイドワイヤ内腔へと挿入されてもよく、補助コイル/補助コイル送達カテーテルアセンブリは、動脈瘤嚢へと進んでもよい。補助コイルは、その後押し込みデバイスを用いて補助コイル送達から引き出され、補助コイルは、押し込みデバイスと補助コイルの間の接続領域の電解をもたらす方法を含み、押し込みデバイスから離される。その後補助コイル送達カテーテルは、患者から取り除かれる。
【0052】
補助コイル送達カテーテルは、おおよそ0.010から0.050インチの範囲の外径、好ましくは、おおよそ0.016から0.020インチの範囲の外径を有してもよい。同様に、補助コイル送達カテーテルは、おおよそ0.006から0.044インチの範囲の内径、好ましくは、おおよそ0.010から0.014インチの範囲の内径を有してもよい。
【0053】
補助コイルは、押し込み可能なタイプまたは取り外し可能なタイプのいずれかであってもよい。取り外し可能なタイプのケースでは、コイルをその送達カテーテルから取り外す例示的方法は、電解システムまたは電熱システムの使用を含む。蛍光透視法による視認性を高めるために、補助コイル及び/または送達カテーテルの先端は、金と言ったようなX線不透過性金属で電気めっきされてもよいか、またはマーカーバンドまたはワイヤセグメントを含むX線不透過性マーカーが取り付けられていてもよい。そういったX線不透過性マーカーは、白金、ステンレス鋼、及び白金イリジウムを含有するマーカーを含む。あるいは、補助コイルは、X線不透過性液体またはパウダーを含むポリマーでコーティングされてもよい。様々な実施形態では、第1拡張可能な本体(単一のローブ状中空の金属製の拡張可能な本体を含む)及び第2拡張可能な本体(1つ以上のコイル状ワイヤの拡張可能な本体または補助コイルを含む)は、フレーミングコイルまたは血管ステントといったような他の最小侵襲性でカテーテルベースの血管内デバイスと組み合わせて用いられてもよい。ステントは、閉塞のために動脈瘤の嚢内にコイルを保持するよう設計されたステント及びコイルなしで動脈瘤を閉塞するよう設計された「分流」ステントを含む。
【0054】
特定の実施形態では、中空の金属製の拡張可能な本体は、それぞれが拡張可能な本体から離れて延びる近位頸部及び遠位頸部を含んでもよい。1つの実施形態では、拡張可能な本体と頸部は両方とも、金または白金といったような可鍛性金属から完全に形成される。他の実施形態では、少なくとも1つの頸部の一部は、電解を介してその後切断され得るステンレス鋼を含む。ステンレス鋼はステンレス鋼のリングを含む。さらに他の実施形態では、拡張可能な本体の近位頸部または近位本体は、動脈瘤頸部の閉塞を増進するためにヒドロゲルでコーティングされる。
【0055】
送達デバイスは、カテーテルの形状及び機能を有し得る縦方向に延びる本体を含み、かつ親水性または潤滑性コーティングを有し得る。このコーティングは、拡張可能な本体上に同様に存在してもよい。縦方向に延びる本体の遠位セグメントは、拡張可能な本体に動作可能なように連結される。拡張可能な本体は、近位頸部及び近位領域を含む。縦方向に延びる本体の遠位セグメントはさらに、遠位頸部に動作可能なように連結されてもよい。例えば、縦方向に延びる本体の遠位端は、拡張可能な本体の近位領域において頸部で受けられてもよく、それにより縦方向に延びる本体の遠位セグメントの外面が拡張可能な本体の近位頸部の内面と接する。他の実施例では、縦方向に延びる本体の遠位セグメントは、拡張可能な本体の頸部において露出した金属のリング状領域の近位端近くで終わる。他の実施例では、縦方向に延びる本体の遠位セグメントは、拡張可能な本体を通じて延び、拡張可能な本体の遠位頸部の内面と接する。他の実施例では、縦方向に延びる本体の遠位セグメントは、拡張可能な本体を通じ、かつ拡張可能な本体の遠位頸部を通じて延びる。
【0056】
様々なシステム及び方法は、電流を中空の金属製の拡張可能な本体へと送達するよう構成された電解システムを含むかまたはそれを用いてもよく、電流は、中空の金属製の拡張可能な本体の近位頸部または遠位頸部上の露出した金属面へ送達される。様々なシステム及び方法はさらに、電流をコイル状ワイヤの拡張可能な本体へと送達するよう構成された電解システムを含むかまたはそれを用いてもよく、電流は、コイル状ワイヤの拡張可能な本体と押し込みデバイス間の接続領域上の露出した金属面へ送達される。様々なシステム及び方法はさらに、電流をワイヤメッシュの拡張可能な本体へと送達するよう構成された電解システムを含むかまたはそれを用いてもよく、電流は、ワイヤメッシュの拡張可能な本体と押し込みデバイス間の接続領域上の露出した金属面へ送達される。
【0057】
様々な実施形態では、電流は、定電流、低電圧、または方形波電圧を含む。特別な実施形態では、電流は、2mAの直流及び一定2mAの直流を含む。縦方向に延びる本体または送達カテーテルが拡張可能な本体に連結する時、電流の送達は拡張可能な本体から送達カテーテルの分離または取り外しをもたらし得る。分離は、金のコーティングまたはめっきを施されたステンレス鋼で形成された頸部の円周状またはリング状の非コーティングまたは露出した金属面領域で起こり得、円周状またはリング状の非コーティングまたは露出した金属面領域は、エッチングによって、例えばレーザーエッチングによって露出されたステンレス鋼の面である。電解の間、頸部の円周状の非コーティングまたは露出した金属面領域は、陽極として作用する。方形波電圧を送達するとき、陽極の電圧は、陽極の電圧と、送達デバイス上に支持されるかまたは患者の体内外に取り付けられるニードルまたは電極パッド等を有する送達デバイス外部に存在する参照電極の電圧、または送達カテーテルの本体上に存在する電極間の比較に基づいて調整される。
【0058】
送達デバイス上に支持される電解システムの一部は、電気システム用の電気導体として作用する送達カテーテル壁の上またはその中に組み込まれた1つ以上の導体を含む。これらの導体はさらに、送達カテーテルの壁に構造的補強を同時に供給してもよい。導体は、ワイヤ、ケーブル、またはらせん状、編組状、または直線状構成を含む様々な構成でカテーテルまたはカテーテル壁を経由するかまたは通じ得る他の電気的導体である。いくつかの実施形態では、導体の1つは、露出した金属面を持つ頸部の円周領域で、またはその近くでといったように陽極として機能できる拡張可能な本体の一部と電気的に連通するが、一方他の導体は、白金の金属電極またはリングといったような陰極として機能できる送達デバイス上に支持された構造と電気的に連通する。他の実施形態では、導体の1つは、コイル状ワイヤと押し込みデバイス間の接続領域で、またはその近くでといったように陽極として機能できる拡張可能な本体の一部と電気的に連通するが、一方他の導体は、白金の金属電極またはリングといったような陰極として機能できる送達デバイス上に支持された構造と電気的に連通する。他の実施形態では、第3導体は、参照電極として機能できる送達デバイス上に支持された構造と電気的に連通する。
【0059】
拡張した構成である時、拡張可能な本体は円筒形である全体形状をしていてもよい。様々な実施形態では、拡張可能な本体の端部は、半球状または円すい形状を有してもよい。そういった拡張可能な本体は、動脈または静脈セグメントの閉塞のために最適化されてもよい。様々な実施形態では、拡張可能な本体の近位または遠位ノーズコーンは、拡張した拡張可能な本体の中心空隙を通じる血流を遮断し、目的の血管セグメントの閉塞を促進する1つ以上の弁を備えてもよい。
【0060】
本出願は、2014年3月14日に出願されたPTC国際特許出願第PTC/US14/30869、「拡張可能な本体デバイス及びその使用方法」、2012年7月17日に出願されたPCT国際特許出願第PTC/US12/47072、「拡張可能な本体デバイス及びその使用方法」、2012年1月17日に出願されたPCT国際特許出願第PTC/US12/21620、「分離可能な金属バルーン送達デバイス及び方法」、2012年1月17日に出願されたPCT国際特許出願第PTC/US12/21621、「ボールステントデバイス及びその使用方法」、2012年1月17日に出願されたPCT国際特許出願第PTC/US12/00030、「ブロックステントデバイス及びその使用方法」、及び2011年1月17日に出願された米国仮特許出願第61/433,305(’305出願)、「分離可能な金属バルーン送達デバイス及び方法」に関する。上記に上げられた各特許出願は、共有され、出願の期間における同じ発明者の構成により共有され、参照によりその全体は本明細書に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1A-1D】(図1A)拡張可能な本体の実施形態の平面図である。(図1B)拡張可能な本体の実施形態の平面図である。(図1C)拡張可能な本体の実施形態の平面図である。(図1D)拡張可能な本体の実施形態の平面図である。
図2A-2E】(図2A)拡張可能な本体の実施形態の斜視図である。(図2B図2Aの拡張可能な本体の実施形態の部分的内部図である。(図2C図2Aの拡張可能な本体の実施形態の断面図である。(図2D)拡張可能な本体の実施形態の斜視図である。(図2E)拡張可能な本体の実施形態の断面図である。
図2F-2I】(図2F)拡張可能な本体の実施形態の平面図である。(図2G図2Fの拡張可能な本体の実施形態の部分的内部図である。(図2H図2Fの拡張可能な本体の実施形態の拡大平面図である。(図2I図2Fの拡張可能な本体の実施形態の拡大断面図である。
図2J-2M】(図2J図2Fの拡張可能な本体の実施形態の拡大断面図である。(図2K図2Fの拡張可能な本体の実施形態の拡大断面図である。(図2L)拡張可能な本体の実施形態の斜視図である。(図2M図2Lの拡張可能な本体の実施形態の平面図である。
図2N-2Q】(図2N図2Lの拡張可能な本体の実施形態の断面図である。(図2O図2Lの拡張可能な本体の実施形態の拡大断面図である。(図2P図2Lの拡張可能な本体の内部を横断する送達デバイス及びコイルを説明する断面図である。(図2Q図2Lの拡張可能な本体の内部を横断する送達デバイスを説明する部分的内部図である。
図3A-3I】(図3A)拡張可能な本体の実施形態の断面図である。(図3B)拡張可能な本体の実施形態の拡大断面図である。(図3C)X線不透過性マーカーをその遠位端に持つブリッジカテーテルを備える拡張可能な本体の斜視図である。(図3D)X線不透過性マーカーをその遠位端に持つブリッジカテーテルを備える拡張可能な本体の斜視図である。(図3E)拡張可能な本体内の硬質な伸縮ブリッジセグメントの実施形態の断面図である。(図3F)拡張可能な本体内の硬質な伸縮ブリッジセグメントの実施形態の断面図である。(図3G)拡張可能な本体内の硬質な伸縮ブリッジセグメントの実施形態の断面図である。(図3H)拡張可能な本体内の柔軟なブリッジセグメントの実施形態の断面図である。(図3I)拡張可能な本体内の柔軟なブリッジセグメントの実施形態の断面図である。
図4A-5B】(図4A)拡張可能な本体の実施形態の平面図である。(図4B)拡張可能な本体の実施形態の拡大断面図である。(図5A)拡張可能な本体の実施形態のための電解頸部セグメントの平面図である。(図5B)拡張可能な本体の実施形態のための電解頸部セグメントの拡大断面図である。
図6A-6D】(図6A)拡張可能な本体及び送達デバイスの実施形態の断面図である。(図6B)拡張可能な本体及び送達デバイスの実施形態の断面図である。(図6C)拡張可能な本体の実施形態の斜視図である。(図6D)拡張可能な本体の実施形態の断面図である。
図6E-8G】(図6E)円すい状端部を持つ円柱形状をした拡張可能な本体の実施形態の平面図である。(図7)2重カテーテル送達デバイスの実施形態の斜視図である。(図8A)拡張可能な本体の実施形態の構成の平面図である。(図8B)拡張可能な本体の実施形態のための構成の平面図である。(図8C)拡張可能な本体の実施形態のための構成の平面図である。(図8D)拡張可能な本体の実施形態のための構成の平面図である。(図8E)拡張可能な本体の実施形態のための構成の平面図である。(図8F)拡張可能な本体の実施形態のための構成の平面図である。(図8G)拡張可能な本体の実施形態のための構成の斜視図である。
図8H-8K】(図8H)拡張可能な本体の実施形態のための構成の斜視図である。(図8I)拡張可能な本体の実施形態のための構成の平面図である。(図8J)拡張可能な本体の実施形態のための構成の平面図である。(図8K)拡張可能な本体の実施形態のための構成の断面図である。
図8L-8O】(図8L)拡張可能な本体の実施形態のための構成の断面図である。(図8M)拡張可能な本体の実施形態のための構成の断面図である。(図8N)拡張可能な本体の実施形態のための構成の断面図である。(図8O)拡張可能な本体の実施形態のための構成の断面図である。
図8P-8T】(図8P)拡張可能な本体の実施形態のための構成の平面図である。(図8Q)拡張可能な本体の実施形態のための構成の平面図である。(図8R)拡張可能な本体の実施形態のための構成の断面図である。(図8S)拡張可能な本体の実施形態のための構成の断面図である。(図8T)拡張可能な本体の実施形態のための構成の断面図である。
図8U-9C】(図8U)拡張可能な本体の実施形態のための構成の断面図である。(図8V)拡張可能な本体の実施形態のための構成の断面図である。(図8W)ディスク上で扁平な回転楕円体形状を有する拡張可能な本体の実施形態における平面図及である。(図8X)ディスク上で扁平な回転楕円体形状を有する拡張可能な本体の実施形態における平斜視図である。(図9A)遠位及び近位ノーズコーンにおいて弁を組み込む拡張可能な本体の縦方向断面図である。(図9B)遠位及び近位ノーズコーンにおいて弁を組み込む拡張可能な本体の縦方向断面図である。(図9C)遠位及び近位ノーズコーンにおいて弁を組み込む拡張可能な本体の縦方向断面図である。
図9D-9G】(図9D)遠位及び近位ノーズコーンにおいて弁を組み込む拡張可能な本体の縦方向断面図である。(図9E)遠位及び/または近位ノーズコーンに用いられる弁の実施形態のための中心穿孔構成の斜視図である。(図9F)遠位及び/または近位ノーズコーンに用いられる弁の実施形態のための中心穿孔構成の斜視図である。(図9G)遠位及び/または近位ノーズコーンに用いられる弁の実施形態のための中心穿孔構成の斜視図である。
図9H-10A】(図9H)遠位及び/または近位ノーズコーンにおいて複数の弁を用いる実施形態の断面図である。(図9I)遠位及び/または近位ノーズコーンにおいて複数の弁を用いる実施形態の断面図である。(図10A)医療用デバイスの実施形態の平面図である。
図10B-11C】(図10B)医療用デバイスの実施形態の平面図である。(図10C)医療用デバイスの実施形態の平面図である。(図11A)動脈瘤への拡張可能な本体の送達及び配置に関連する一連のステップを説明する医療用デバイスの実施形態の概略図である。(図11B)動脈瘤への拡張可能な本体の送達及び配置に関連する一連のステップを説明する医療用デバイスの実施形態の概略図である。(図11C)動脈瘤への拡張可能な本体の送達及び配置に関連する一連のステップを説明する医療用デバイスの実施形態の概略図である。
図11D-11K】(図11D)動脈瘤への拡張可能な本体の送達及び配置に関連する一連のステップを説明する医療用デバイスの実施形態の概略図である。(図11E)動脈瘤への拡張可能な本体の送達及び配置に関連する一連のステップを説明する医療用デバイスの実施形態の概略図である。(図11F)動脈瘤への拡張可能な本体の送達及び配置に関連する一連のステップを説明する医療用デバイスの実施形態の概略図である。(図11G)血管セグメントにおける拡張可能な本体の配置に関連する一連のステップを説明する医療用デバイスの実施形態の概略図である。(図11H)血管セグメントにおける拡張可能な本体の配置に関連する一連のステップを説明する医療用デバイスの実施形態の概略図である。(図11I)血管セグメントにおける拡張可能な本体の配置に関連する一連のステップを説明する医療用デバイスの実施形態の概略図である。(図11I)血管セグメントにおける拡張可能な本体の配置に関連する一連のステップを説明する医療用デバイスの実施形態の概略図である。(図11J)血管セグメントにおける拡張可能な本体の配置に関連する一連のステップを説明する医療用デバイスの実施形態の概略図である。(図11K)血管セグメントにおける拡張可能な本体の配置に関連する一連のステップを説明する医療用デバイスの実施形態の概略図である。
図12A-13】(図12A)補助コイルの実施形態の斜視図である。(図12B)補助コイルの実施形態の斜視図である。(図12C)その滑性及び蛍光透視法による視認性を高める機能を持つ補助コイルの実施形態の斜視図である。(図12D)その滑性及び蛍光透視法による視認性を高める機能を持つ補助コイルの実施形態の断面図を示す。(図12E)その滑性及び蛍光透視法による視認性を高める機能を持つ補助コイルの実施形態の断面図を示す。(図13)医療用デバイスの実施形態の平面図である。
図14A-15C】(図14A)医療用デバイスの実施形態の平面図である。(図14B)医療用デバイスの実施形態の平面図である。(図15A)動脈瘤における拡張可能な本体の配置に関連する一連のステップを説明する医療用デバイスの実施形態の概略図である。(図15B)動脈瘤における拡張可能な本体の配置に関連する一連のステップを説明する医療用デバイスの実施形態の概略図である。(図15C)動脈瘤における拡張可能な本体の配置に関連する一連のステップを説明する医療用デバイスの実施形態の概略図である。
図15D-15K】(図15D)動脈瘤における拡張可能な本体の配置に関連する一連のステップを説明する医療用デバイスの実施形態の概略図である。(図15E)動脈瘤における拡張可能な本体の配置に関連する一連のステップを説明する医療用デバイスの実施形態の概略図である。(図15F)動脈瘤における拡張可能な本体の配置に関連する一連のステップを説明する医療用デバイスの実施形態の概略図である。(図15G)血管セグメントにおける拡張可能な本体の配置に関連する一連のステップを説明する医療用デバイスの実施形態の概略図である。(図15H)血管セグメントにおける拡張可能な本体の配置に関連する一連のステップを説明する医療用デバイスの実施形態の概略図である。(図15I)血管セグメントにおける拡張可能な本体の配置に関連する一連のステップを説明する医療用デバイスの実施形態の概略図である。(図15J)血管セグメントにおける拡張可能な本体の配置に関連する一連のステップを説明する医療用デバイスの実施形態の概略図である。(図15K)血管セグメントにおける拡張可能な本体の配置に関連する一連のステップを説明する医療用デバイスの実施形態の概略図である。
図16A-16D】(図16A)拡張可能な本体の実施形態の直径により得られた半球状断面図である。(図16B)拡張可能な本体の実施形態の直径により得られた半球状断面図である。(図16C)拡張可能な本体の実施形態の直径により得られた半球状断面図である。(図16D)拡張可能な本体の実施形態の直径により得られた半球状断面図である。
図16E-17B】(図16E)送達カテーテルの遠位端上に支持される拡張可能な本体の縦方向断面図であり、拡張可能な本体は球状であり、ボールステントの実施形態として採用されてもよい。(図16F図16Eのボールステント壁を通じる部分的断面図である。(図16G)送達カテーテルの遠位端上に支持される拡張可能な本体の縦方向断面図であり、拡張可能な本体は半球状端部を持つ円柱形状であり、ボールステントまたはブロックステントの実施形態として採用されてもよい。(図16H図16Gの拡張可能な本体の壁を通じる部分的断面図である。(図16I)送達カテーテルの遠位端上に支持される拡張可能な本体の縦方向断面図であり、拡張可能な本体は球状であり、ボールステントの実施形態として採用されてもよい。(図16J図16Iのボールステント壁を通じる部分的断面図である。(図16K)送達カテーテルの遠位端上に支持される拡張可能な本体の縦方向断面図であり、拡張可能な本体は半球状端部を持つ円柱形状であり、ボールステントまたはブロックステントの実施形態として採用されてもよい。(図16L図16Kの拡張可能な本体の壁を通じる部分的断面図である。(図17A)1つの実施形態に従って補助コイルと共に分岐部動脈瘤内に配置される拡張可能な本体の平面図である。(図17B)1つの実施形態に従って補助コイルと共に分岐部動脈瘤内に配置される拡張可能な本体の平面図である。
図17C-17F】(図17C)拡張可能な本体内及び生体空間の空間内の両方に配置される補助コイルの挿入後に分岐部動脈瘤内に配置される拡張可能な本体の平面図である。(図17D)磁気的内部支持構造及び外部磁気コイルの挿入後に分岐部動脈瘤内に配置される拡張可能な本体の平面図である。(図17E)内部支持構造の挿入後の拡張可能な本体の平面図である。(図17F)拡張可能な本体の実施形態の平面図であり、拡張可能な本体の形状はバルーンカテーテルを用いて外力を適用することで変更される。
図17G-17K】(図17G)分岐部動脈瘤内への挿入後の拡張可能な本体の実施形態の平面図である。(図17H)動脈瘤アスペクト比の医療用デバイスでの治療効果を描写する幅広い頸部動脈瘤の断面図を示す。(図17I)動脈瘤アスペクト比の医療用デバイスでの治療効果を描写する幅広い頸部動脈瘤の断面図を示す。(図17J)動脈瘤アスペクト比の医療用デバイスでの治療効果を描写する幅広い頸部動脈瘤の断面図を示す。(図17K)動脈瘤を閉塞するためにフレーミングコイルに沿って医療用デバイスを用いるためのステップを示す断面図を供給する。
図17L-17O】(図17L)動脈瘤を閉塞するために血管ステントに沿って用いられた医療用デバイスの実施形態の断面図を示す。(図17M)動脈瘤を閉塞するために血管ステントに沿って医療用デバイスを用いるためのステップを詳述するフロー図である。(図17N)動脈瘤を閉塞するために血管ステントに沿って医療用デバイスを用いるためのステップを詳述するフロー図である。(図17O)その遠位端にX線不透過性マーカーを持つ補助コイル送達カテーテルの斜視図である。
図17P-18B】(図17P)補助コイルの実施形態で用いるのに適した一般的な電解分離システムの一連の動作を示す平面図を供給する。(図17Q)補助コイルの実施形態で用いるのに適した一般的な電熱分離システムの一連の動作を示す斜視図を供給する。(図18A)動脈瘤内での組織の内部成長を促進する穿孔面層を持つ拡張可能な本体の実施形態の部分的断面図である。(図18B)動脈瘤内での組織の内部成長を促進する穿孔面層を持つ拡張可能な本体の実施形態の部分的断面図である。
図18C-18F】(図18C)動脈瘤内での組織の内部成長を促進する穿孔面層を持つ拡張可能な本体の実施形態の部分的断面図である。(図18D)動脈瘤内での組織の内部成長を促進する穿孔面層を持つ拡張可能な本体の実施形態の部分的断面図である。(図18E)動脈瘤内での組織の内部成長を促進する穿孔面層を持つ拡張可能な本体の実施形態の部分的断面図である。(図18F)分岐部動脈瘤内接触し、血栓を確保する補助コイルを挿入した後の拡張可能な本体の平面図である。
図18G-19B】(図18G)周辺組織に拡張可能な本体を固定するための外面突起部を持つ拡張可能な本体の実施形態の平面図である。(図18H)周辺組織に拡張可能な本体を固定するための外面突起部を持つ拡張可能な本体の実施形態の平面図である。(図18I)動脈瘤内での組織の内部成長を促進する近位的に局在するヒドロゲル表面層を備える拡張可能な本体の実施形態の断面図である。(図19A)送達デバイスに対して圧縮されたような拡張可能な本体の実施形態の斜視図である。(図19B)圧縮された拡張可能な本体の実施形態の端面図である。
図19C-20D】(図19C)偏心チャネルを定義する圧縮された拡張可能な本体の実施形態の端面図である。(図19D)圧縮された拡張可能な本体の実施形態の端面図である。(図20A)複数の内腔を持つ医療用デバイスの送達カテーテルの実施形態の横断断面図である。(図20B)複数の内腔を持つ医療用デバイスの送達カテーテルの実施形態の横断断面図である。(図20C)複数の内腔を持つ医療用デバイスの送達カテーテルの実施形態の横断断面図である。(図20D)複数の内腔を持つ医療用デバイスの送達カテーテルの実施形態の横断断面図である。
図21A-21D】(図21A)ガイドワイヤよりもむしろガイドカテーテルを受け入れるよう構成された内腔を持つ医療用の実施形態の平面図である。(図21B図21AのA-A線によるデバイスの横断断面図である。(図21C)拡張可能な本体の近位頸部にエラストマースリーブを組み込む機械的分離システムの実施形態の拡大平面図である。(図21D)拡張可能な本体の近位頸部にエラストマースリーブを組み込む機械的分離システムの実施形態の部分的断面図である。
図21E-21H】(図21E)拡張可能な本体の近位頸部にエラストマースリーブを組み込む機械的分離システムの実施形態の部分的断面図である。(図21F)拡張可能な本体の近位頸部にエラストマースリーブを組み込む機械的分離システムの実施形態の斜視図である。(図21G)分離カテーテルを組み込む機械的分離システムの実施形態の横断断面図である。(図21H)分離カテーテルを組み込む機械的分離システムの実施形態の横断断面図である。
図21I-23B】(図21I)分離カテーテルを組み込む機械的分離システムの実施形態の斜視図における平面図である。(図21J)分離カテーテルを組み込む機械的分離システムの実施形態の斜視図における部分的内部図である。(図22)拡張可能な本体を膨張または収縮するための配置の斜視図である。(図23A)医療用デバイスの実施形態の平面図であり、医療用デバイスにおいて拡張可能な本体は、接着剤で送達カテーテルに取り付けられ、拡張可能な本体の頸部の一部のおける電解によって送達カテーテルから取り外される。(図23B)送達カテーテルの横断断面図である。
図23C-24A】(図23C)送達カテーテルの平面図である。(図23D)送達カテーテルの横断断面図である。(図23E)送達カテーテルの平面図である。(図23F)送達カテーテルの平面図である。(図23G)2つの電極リングを支持するカテーテルの写真である。(図23H)送達デバイスに取り付けられた拡張可能な本体の部分的断面図である。(図23I)送達デバイスに取り付けられた拡張可能な本体の斜視図である。(図24A)円筒状中間部及び半球状端部を持つ拡張可能な本体を様々な方向から説明する。
図24B-26】(図24B)拡張可能な本体の頸部領域を説明する縦方向断面図である。(図24C)拡張可能な本体の頸部領域を説明する縦方向断面図である。(図25A)マンドレル上の拡張可能な本体を電鋳するための一連の流れを描写する部分的断面図である。(図25B)マンドレル上の拡張可能な本体を電鋳するための一連の流れを描写する部分的断面図である。(図25C)マンドレル上の拡張可能な本体を電鋳するための一連の流れを描写する斜視図である。(図26)金属製の拡張可能な本体を電鋳するためのマンドレルの実施形態を描写する斜視図である。
図27-30A】(図27)金属製の拡張可能な本体を電鋳するためのマンドレルの他の実施形態を描写する縦方向断面図である。(図28)電鋳により生成された金属製の拡張可能な本体の部分的断面図である。(図29A)マンドレル及びマンドレル上に形成された金属製の拡張可能な本体の実施形態の写真である。(図29B)マンドレル及びマンドレル上に形成された金属製の拡張可能な本体の実施形態の写真である。(図29C)マンドレル及びマンドレル上に形成された金属製の拡張可能な本体の実施形態の写真である。(図29D)マンドレル及びマンドレル上に形成された金属製の拡張可能な本体の実施形態の写真である。(図29E)1つの実施形態に従う金属製の拡張可能な本体の外面を示す走査型電子顕微鏡写真である。(図30A)拡張可能な本体の球状の実施形態の外面及び内面におけるコーティングを描写する平面図である。
図30B-31A】(図30B)拡張可能な本体の球状の実施形態の外面及び内面におけるコーティングを描写する断面図である。(図30C)露出した金属面の領域を描写する平面図であり、そこにおいて金属製の拡張した本体は電解により送達デバイスから分離する。(図30D)露出した金属面の領域を描写する断面図であり、そこにおいて金属製の拡張した本体は電解により送達デバイスから分離する。(図30E)露出した金属面の領域を描写する平面図であり、そこにおいて金属製の拡張した本体は電解により送達デバイスから分離する。(図30F)露出した金属面の領域を描写する断面図であり、そこにおいて金属製の拡張した本体は電解により送達デバイスから分離する。(図31A)拡張可能な本体の実施形態を送達するための医療用デバイスの実施形態の斜視図である。
図31B-32F】(図31B)拡張可能な本体の実施形態を送達するための医療用デバイスの実施形態の斜視図である。(図32A)医療用デバイスに用いられるハブの断面図であり、そこにおいて、拡張した本体の電解分離は医療用デバイスへと電流を通すことで行われる。(図32B)医療用デバイスに用いられるハブの部分的透視図である。(図32C)医療用デバイスに用いられるハブの部分的透視図である。(図32D)医療用デバイスに用いられる二重ロッキングハブの実施形態の斜視部分的内部図であり、そこにおいて拡張した本体の機械的分離が行われる。(図32E)医療用デバイスに用いられる二重ロッキングハブの実施形態の斜視部分的内部図であり、そこにおいて拡張した本体の機械的分離が行われる。(図32F)医療用デバイスに用いられる二重ロッキングハブの実施形態の斜視部分的内部図であり、そこにおいて拡張した本体の機械的分離が行われる。
図32G-35】(図32G)1つの実施形態に従う送達カテーテルシャフトの近位端の斜視図である。(図33)医療用デバイスに用いられるハンドヘルドコントローラーの上面図及び側面図であり、そこにおいて、拡張した本体の分離は医療用デバイスへと電流を通すことで行われる。(図34)拡張可能な本体、送達カテーテル、及び医療用デバイスに含まれる医療用キットの製造のためのステップを説明するフロー図である。(図35)拡張可能な本体、送達カテーテル、及び医療用デバイスに含まれる医療用キットの製造のためのステップを説明するフロー図である。
図36-37D】(図36)拡張可能な本体、送達カテーテル、及び医療用デバイスに含まれる医療用キットの製造のためのステップを説明するフロー図である。(図37A)拡張可能な本体の実施形態の非臨床試験の間に行われるような、新たに作り出された頸動脈の終端部分岐上の嚢状動脈瘤を外科的に構築するためのプロセスを説明する。(図37B)拡張可能な本体の実施形態の非臨床試験の間に行われるような、新たに作り出された頸動脈の終端部分岐上の嚢状動脈瘤を外科的に構築するためのプロセスを説明する。(図37C)拡張可能な本体の実施形態の非臨床試験の間に行われるような、新たに作り出された頸動脈の終端部分岐上の嚢状動脈瘤を外科的に構築するためのプロセスを説明する。(図37D)拡張可能な本体の実施形態の非臨床試験の間に行われるような、新たに作り出された頸動脈の終端部分岐上の嚢状動脈瘤を外科的に構築するためのプロセスを説明する。
図38-40A】(図38)拡張可能な本体の実施形態の非臨床試験中に得られる嚢状動脈瘤の血管造影図である。(図39A)拡張可能な本体の実施形態の非臨床試験中に得られる閉塞された嚢状動脈瘤の血管造影図である。(図39B)拡張可能な本体の実施形態の非臨床試験中に得られる閉塞された嚢状動脈瘤の血管造影図である。(図40A)拡張可能な本体の実施形態の非臨床試験中に収集された嚢状動脈瘤組織サンプルの顕微鏡写真を示す。
図40B-43A】(図40B)従来の神経血管系コイルの非臨床試験中に得られる閉塞された嚢状動脈瘤の血管造影図である。(図40C)従来の神経血管系コイルの非臨床試験中に収集された嚢状動脈瘤組織サンプルの顕微鏡写真を示す。(図41)拡張可能な本体の実施形態の非臨床試験中に行われた治療済み動脈の血管造影図の結果を描写する。(図42A)拡張可能な本体の実施形態の非臨床試験中に収集された治療済み動脈組織サンプルの顕微鏡写真を示す。(図42B)従来の血管プラグの実施形態の非臨床試験中に収集された治療済み動脈組織サンプルの顕微鏡写真を示す。(図43A)動脈を閉塞するためにガイドワイヤ上に配置された未拡張の拡張可能な本体の実施形態の斜視図である。
図43B-43K】(図43B)動脈を閉塞するためにガイドワイヤ上に配置された未拡張の拡張可能な本体の実施形態の平面図である。(図43C)動脈を閉塞するためにガイドワイヤ上に配置された未拡張の拡張可能な本体の実施形態の断面図である。(図43D)動脈を閉塞するためにガイドワイヤ上に配置された未拡張の拡張可能な本体の実施形態の部分的断面図である。(図43E)動脈を閉塞するためにガイドワイヤ上に配置された、拡張した拡張可能な本体の実施形態の平面図である。(図43F)動脈を閉塞するためにガイドワイヤ上に配置された、拡張した拡張可能な本体の実施形態の断面図である。(図43G)動脈を閉塞するためにガイドワイヤ上に配置された、拡張した拡張可能な本体の実施形態の遠位部の詳細な断面図である。(図43H)動脈を閉塞するためにガイドワイヤ上に配置された、拡張した拡張可能な本体の実施形態の近位部の詳細な断面図である。(図43I)動脈を閉塞するためにガイドワイヤ上に配置された、拡張し、分離した拡張可能な本体の実施形態の平面図である。(図43J)動脈を閉塞するためにガイドワイヤ上に配置された、拡張し、分離した拡張可能な本体の実施形態の断面図である。(図43K)動脈を閉塞するためにガイドワイヤ上に配置された未拡張の拡張可能な本体の実施形態を示す部分的断面図である。
図43L-44H】(図43L)動脈を閉塞するためにガイドワイヤ上に配置された未拡張の拡張可能な本体の実施形態において、1)膨張及び2)ガイドワイヤ挿入またはX線造影剤注入のための二重内腔を示す断面図(図43Kに示されるA-A線による)である。(図43M)動脈を閉塞するためにガイドワイヤ上に配置された未拡張の拡張可能な本体の実施形態において、ガイドワイヤ挿入またはX線造影剤注入のための内腔を示す断面図(図43Kに示されるB-B線による)である。(図44A)動脈または静脈を閉塞するためにガイドワイヤ上に配置された未拡張の拡張可能な本体の実施形態の斜視図である。(図44B)動脈または静脈を閉塞するためにガイドワイヤ上に配置された、拡張した拡張可能な本体の実施形態の斜視図である。(図44C)動脈または静脈を閉塞するためにガイドワイヤ上に配置された、拡張した拡張可能な本体の実施形態の断面図である。(図44D)動脈または静脈を閉塞するためにガイドワイヤ上に配置された、拡張した拡張可能な本体の実施形態の分離中の斜視図である。(図44E)動脈または静脈を閉塞するためにガイドワイヤ上に配置された、拡張し、分離した拡張可能な本体の実施形態の分離中の斜視図である。(図44F)動脈または静脈を閉塞するためにガイドワイヤ上に配置された未拡張の拡張可能な本体の実施形態における膨張及びX線造影剤のための内腔を示す断面図である。(図44G)動脈を閉塞するためにガイドワイヤ上に配置された未拡張の拡張可能な本体の実施形態において、1)膨張、2)ガイドワイヤ挿入、及び3)X線造影剤注入のための3重内腔を示す断面図(図44Fに示されるA-A線による)である。(図44H)動脈を閉塞するためにガイドワイヤ上に配置された未拡張の拡張可能な本体の実施形態において、ガイドワイヤ挿入またはX線造影剤注入のための内腔を示す断面図(図43Kに示されるB-B線による)である。
図45A-47A】(図45A)動脈または静脈を閉塞するためにガイドワイヤ上に配置された、未拡張の拡張可能な本体の薄型の実施形態の断面図である。(図45B)動脈または静脈を閉塞するためにガイドワイヤ上に配置された、拡張した拡張可能な本体の薄型の実施形態の斜視図である。(図45C)動脈または静脈を閉塞するためにガイドワイヤ上に配置された、拡張した拡張可能な本体の薄型の実施形態の断面図である。(図46A)ニチノールのフレーミングコイルの熱処理に用いられるマンドレルの斜視図である。(図46B)拡張した拡張可能な本体を通じて配置されるフレーミングコイルの平面図である。(図46C)拡張した拡張可能な本体を通じて配置されるフレーミングコイルの図46Bからの連続平面図である。(図46D)拡張した拡張可能な本体を通じて配置されるフレーミングコイルの図46Cからの連続平面図である。(図47A)拡張可能な本体の1つの実施形態の平面図である。
図47B-49A】(図47B)拡張可能な本体の1つの実施形態の斜視図である。(図47C)拡張可能な本体の1つの実施形態の断面図である。(図48)医療用デバイスの実施形態の平面図であり、そこにおいて、中空の金属製の拡張可能な本体とワイヤコイルの拡張可能な本体は一般的な電源及び陰極を用いる電解によって送達デバイスから個別に分けられる。(図49A)1つの実施形態に従う補助コイルカテーテル及び拡張可能な本体の斜視図である。
図49B-49E】(図49B)1つの実施形態に従う補助コイルカテーテル及び拡張可能な本体の平面図である。 (図49C)1つの実施形態に従う補助コイルカテーテルから引き出される補助コイル及び拡張可能な本体の平面図である。 (図49D)1つの実施形態に従う補助コイルカテーテルから引き出される補助コイル及び拡張可能な本体の平面図である。 (図49E)1つの実施形態に従う補助コイルカテーテルから引き出される補助コイル及び拡張可能な本体の斜視図である。
図50A-50E】(図50A)1つの実施形態に従う補助コイル送達システムの平面図である。 (図50B)1つの実施形態に従う補助コイル送達システムの斜視図である。 (図50C)1つの実施形態に従う補助コイル送達システムの平面図である。 (図50D)1つの実施形態に従う補助コイル送達システムの斜視図である。 (図50E)1つの実施形態に従う補助コイルシステムから引き出される補助コイルの斜視図である。
図51A-52A】(図51A)1つの実施形態に従う電解により分離可能な補助コイルの斜視図である。 (図51B)1つの実施形態に従う電解により分離可能な補助コイルの平面図である。 (図51C)1つの実施形態に従う電解により分離可能な補助コイルの斜視図である。(図52A)1つの実施形態に従う補助コイル及びマーカーワイヤの斜視図である。
図52B-53C】(図52B)1つの実施形態に従う補助コイル及びマーカーワイヤの断面図である。(図53A)1つの実施形態に従う補助コイル及びマーカーバンドの平面図である。(図53B)1つの実施形態に従う補助コイル及びマーカーバンドの斜視図である。(図53C)1つの実施形態に従う補助コイル及びマーカーバンドの断面図である。
図54A】1つの実施形態に従うガイドワイヤカテーテルシャフトの断面図である。
【0062】
対応する参照記号は、図面の様々な見方の中から対応する要素を示す。図に用いられる見出しは、特許請求の範囲を制限するように解釈されるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0063】
本開示は、医療用デバイス及びシステムに関する。医療用デバイス及びシステムは、拡張可能な本体を含み、血管系の嚢状動脈瘤の治療用の拡張可能な本体を含む1つ以上の医療装置またはシステムの使用を含む。ここで、拡張可能な本体は最終的に拡張部位の動脈瘤内に留まる。さらに、本開示は、拡張可能な本体の様々な実施形態を送達及び配置するための方法及びシステムに関する。ここで、拡張可能な本体は、拡張した状態で適所に残存するように嚢状動脈瘤の少なくとも一部を満たす、及び/または封鎖するように寸法決めされ、かつ構成される。
【0064】
本開示はさらに、金属製バルーンまたは金属を含むバルーン、及び送達カテーテルを含む中空の金属製の拡張可能な本体の形状を含む医療用デバイス及びシステム、及びそれらを使用に関する。拡張可能な本体のこの形状は、薄壁の、中空の金属製構造である。これは圧縮でき、その後半硬質形状へと拡張できる。これは、拡張している間に体内に残り、拡張可能な本体の中心空隙に硬質または半硬質な材料がなくても圧縮に耐え、拡張した拡張可能な本体の中心空隙における圧力が拡張した拡張可能な本体の外側圧力と同じかまたは近い時に、密閉されていなくても圧縮に耐えることができる。
【0065】
本開示はさらに、嚢状動脈瘤治療のためのデバイス、システム、及び方法に関する。ここで、拡張可能な本体の異なる形状が組み合わせて配置されてもよい。例えば、中空の金属製形態の拡張可能な本体は、動脈瘤の嚢内に配置され、拡張してもよく、その後1つ以上のコイル状ワイヤ形態の拡張可能な本体が動脈瘤の嚢内に配置されてもよい。それによりコイル状ワイヤは動脈瘤壁と動脈瘤頸部付近に配置され拡張した金属製バルーンの壁の両方に接触し、動脈瘤頸部を封鎖するために拡張した金属製バルーンに力を加える。
【0066】
本開示はさらに、中空の金属製の拡張可能な本体を含む医療用デバイス及びシステムに関する。これは、拡張可能な本体を含み、血管セグメントまたは他の生体導管の閉塞のための拡張可能な本体を含む1つ以上の医療用デバイスまたはシステムの使用を含む。ここで、拡張可能な本体は、血管セグメントまたは生体導管セグメントにおいて拡張した状態で最終的に留まる。さらに、本開示は、拡張可能な本体の様々な実施形態を送達及び配置するための方法及びシステムに関する。拡張可能な本体は、拡張した状態で適所に残存するように血管セグメント、または生体導管セグメントの少なくとも一部を満たす、及び/または封鎖するように寸法決めされ、かつ構成される。本開示はさらに、金属製バルーンまたは金属を含むバルーン、及び送達カテーテルを含む拡張可能な本体の形状を含む医療用デバイス及びシステムと、それらを使用に関する。本開示はさらに、血管セグメントまたは他の生体導管の閉塞のためのデバイス、システム、及び方法に関し、拡張可能な本体の異なる形状が組み合わせて配置されてもよい。
【0067】
本明細書に記述されるような、「拡張可能な本体」、「拡張した本体」、「拡張した拡張可能な本体」、「拡張可能な構造」、「拡張可能なバルーン」、「中空の金属製構造」、「中空の金属製の拡張可能な本体」、「中空の金属の拡張可能な本体」、「金属製バルーン」、「ボールステント」、及び「ブロックステント」という用語は拡張可能な本体が生体空間を満たすのに用いるために本明細書に記述される。ここで、拡張可能な本体は、第1に拡張していない状態で送達デバイスを任意的に用いて患者の中へと導入され、第2に拡張していない状態で患者の1つ以上の生体導管を通って目的の治療部位(すなわち、移植部位)へと通り抜け、第3に目的の治療部位で拡張した状態へと拡張し、第4に目的または治療部位において拡張した構成で患者の体内に残るよう送達デバイスから分離してもよい。
【0068】
特定の実施形態では、拡張可能な本体は、中心空隙へ液体を注入することで膨張するかまたは拡張できる中空の金属製構造として用いるために構成されてもよい。この文脈において、この特定の実施形態が記述される時、本明細書に用いられるような「拡張可能な本体」、「拡張可能な構造」、「拡張可能なバルーン」、「中空の金属製構造」、「中空の金属製の拡張可能な本体」、「中空の金属製の拡張可能な本体」、「金属製バルーン」、「ボールステント」、及び「ブロックステント」という用語は、全体的な開口部または穿孔のない、通常固体である面を持つ単層または複数層の壁を持つ拡張可能な本体を指す。
【0069】
1つの実施例では、「ボールステント」という用語は、時には、略円形の中空の金属製の拡張可能な本体及び嚢状脳動脈瘤の治療に用いることができるものを記述するのに用いられる。他の実施例では、「ブロックステント」という用語は、時には、中空の金属製の拡張可能な本体の略長方形または円筒状形態、及び動脈または静脈セグメントの内腔の一部、または生体導管の別の形態のセグメントの内腔の一部を満たすよう用いられ得るものを記述するのに用いられ得る。具体的には、ボールステントは、血管の嚢状動脈瘤、特に嚢状脳動脈瘤及び破裂した動脈瘤を満たし、閉塞するのに用いるよう構成される。具体的には、ブロックステントは、動脈、静脈、及び他の生体導管のセグメントの内腔を遮断するかまたは閉塞するのに用いるよう構成される。
【0070】
ボールステントは、送達デバイスを用いて嚢状動脈瘤へと送達され得る。送達デバイスはさらに、ボールステントを拡張し、動脈瘤嚢の容積の少なくとも一部を満たすために、液体媒体がボールステントの空隙へと移動するための中空の円筒状部材または円筒状部材の内腔を通じた経路を供給する。送達デバイスはさらに、中空の円筒状部材または円筒状部材の内腔を通じて、ガイドワイヤのための経路を供給する。送達デバイスはさらに、患者の体外から動脈瘤の内腔または空洞へとコイル状ワイヤまたはワイヤメッシュの拡張可能な本体を通すための経路を中空の円筒状部材または円筒状部材の内腔を通じて供給することで、第2拡張可能な本体またはコイル状ワイヤまたはワイヤメッシュの拡張可能な本体といったような他の構造を動脈瘤へ送達するよう構成され得る。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤのための経路とコイル状ワイヤまたはワイヤメッシュの拡張可能な本体のための経路は、同じ経路である。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤのための経路とコイル状ワイヤまたはワイヤメッシュの拡張可能な本体のための経路は、異なる経路である。
【0071】
ブロックステントは、送達デバイスを用いて動脈、静脈、または生体導管の目的領域へと送達され得る。送達デバイスはさらに、ブロックステントを拡張し、血管セグメントの内腔の少なくとも一部を満たすために、流体がブロックステントの中心空隙へと移動するための中空の円筒状部材または円筒状部材の内腔を通じた経路を供給する。
【0072】
中空の金属製の拡張可能な本体は、動脈瘤、動脈または静脈セグメント、または生体導管の他の形状のセグメントへと導入するための送達可能な構成へと折り畳まれ得る。送達可能な構成へと折り畳まれる時、拡張可能な本体は、拡張可能な本体の中心軸の回りに時計回りまたは反時計回りで巻かれ得る複数のプリーツを有するプリーツ状構成へと形成され得る。
【0073】
動脈中を満たすのに用いられる時、カテーテル送達デバイス及び取り付けられたボールステントは、嚢状動脈瘤の内腔または空洞へと進む。同様に、血管または他の生体導管を閉塞するのに用いられる時、送達デバイス及び取り付けられたブロックステントは、血管または生体導管の内腔または空間へと進む。送達デバイスはさらに、動脈瘤嚢の内腔で本体を拡張し、かつ拡張した本体の拡張の維持を補佐するために、流体、固体、またはそれらの組み合わせを拡張可能な本体の内部空間へと送達できる。拡張した本体は、機械的、電解的、電熱的、化学的、水力的、または超音波デバイス、システム、配置及び方法を含む様々な配置及び方法のうちの1つ以上によって送達デバイスから分離されてもよい。
【0074】
医療用デバイスは、様々なシステム、方法、及び医療用キットの一部として用いられ得る。これらのシステム、方法、及び医療用キットは、嚢状脳動脈瘤といったような嚢状動脈瘤の治療及び、動脈または静脈、または動脈管、気管支、膵管、胆管、尿管、または卵管といったような他の生体導管のセグメントを閉塞するのに用いることができる。これらのシステム、方法、及び医療用キットは、様々な病状の治療に用いることができる。
【0075】
拡張可能な本体
様々な実施形態では、嚢状脳動脈瘤の閉塞用に構成された拡張可能な本体は、一般的にボールステントと呼ばれ、球状、回転楕円体、楕円体、またはカージオイド状を含む多くの形状であり得る。様々な他の実施形態では、拡張可能な本体は、動脈及び静脈セグメントを含む生体導管の内腔を閉塞するためのブロックステントとして構成されてもよく、略長方形または両方が平らで円形の端部を持つ円筒状を含む略円筒状を含む、多くの形状であり得る。
【0076】
一般的に、球状ボールステント100及び150は、図1A~D及び2A~4Bに示される。特に、球状ボールステント100は、図1A~4Aに拡張した状態で示される。ボールステント100及び150は、ボールステントから離れて突き出ており、ボールステントの空間へと入るかまたはそこを通じる流体、液体、ガス、ゲル、または固体の通路用の開口部112を定義する近位頸部116を有する。図1Bに示されるボールステント100において、頸部116は、流体、液体、ガス、ゲル、または固体のボールステント100への通路用の開口部112を定義するよう空間へと突き出る。
【0077】
ボールステント100の他の球状の実施形態は、拡張した状態で図1Cに示される。この実施形態は、流体、液体、ガス、ゲル、または固体がボールステントへと入るかまたはそこを通じる開口部112を定義する近位頸部116を含む。ボールステント100はさらに、遠位頸部118を含む。遠位頸部118は、ボールステントから離れて突き出ており、これは、図2A~B及び3A~Bに示されるように、ボールステントを通じるか、またはボールステントの内部からボールステントの外部への、ガイドワイヤ302またはコイル162の通路用の開口部114を定義する。ボールステントは、遠位頸部への遠位を含む。ボールステント100の類似の他の球状の実施形態は、拡張した状態で図1Dに示される。この実施形態は、開口部112を定義する近位頸部116及び開口部114を定義する遠位頸部118を含み、両方とも、ボールステントの内部へと入るかまたはそこを通じる流体、液体、ガス、ゲル、またはガイドワイヤ302またはコイル162を含む固体の通路用として、ボールステント100の内部へと突き出る。
【0078】
最終的には、本明細書に開示される金属製の拡張可能な本体は、様々な構成及び嚢状動脈瘤を含む動脈瘤、及び動脈及び静脈を含む生体導管のセグメントの閉塞を含む様々な使用に採用できるあらゆる構成を有してもよい。一般的に言えば、いくつかの構成は、1つの応用にまたは他の応用に、より素早く、または効果的に、自身を役立たせてもよい。例えば、図1A~Dの球状の拡張可能な本体100は、嚢状動脈瘤の内腔(または空間または空洞)を満たすためのボールステントとして機能する時、特に有利であってもよい。同様に、以下にさらに説明されるように、図1A~D及び2A~4Bの球状の拡張可能な本体100及び150及び図6A~D、8A~S、16G、及び16Kの拡張可能な本体140及び170A~Fは、例えば、嚢状動脈瘤の内腔(または空間または空洞)の少なくとも一部を満たすため、かつ親血管から動脈瘤の内腔への開口部を通じる血流を削減するかまたは遮断する、または嚢状動脈瘤の頸部を通じる動脈瘤内腔(または空間、または空洞)の本体への血流を削減するかまたは遮断するコイルまたは補助コイル162と共に用いられてもよい。様々な実施形態では、コイルまたは補助コイル162は、ニチノールワイヤといったような自己拡張型材料を含む。
【0079】
いくつかの実施形態では、図8A~G及び8Uに示されるように、拡張可能な本体170A~Hは、近位領域174A~G、中間領域173A~G、及び遠位領域172A~Gを含むよう特徴付けられてもよく、近位領域及び遠位領域は通常互いに対向している。各本体170A~H、近位領域174A~G、中間領域173A~G、及び遠位領域172A~Gは、拡張可能な本体の一体構造を形成する。この特徴のために、近位領域、中間領域、及び遠位領域は、共に拡張可能な本体の「主本体」を形成し、これは頸部を含まない。拡張可能な本体170A~Hは、第1軸176及び第1軸を横断する第2軸178によってさらに定義されてもよい。1つの態様では、第1軸176は、頸部116と118の間に延びる。
【0080】
1つの実施形態では、拡張可能な本体170A~Hの中間領域173A~Gの形状は、第1軸に沿って形成された可変半径弧の第1軸176まわりでの回転により定義されてもよく、可変弧の最大半径は、第2軸178に沿って計測される場合、遠位領域172の最大半径181または近位領域174の最大半径180のいずれかと等しい。いくつかの実施形態において、拡張した拡張可能な本体170A~Hは、第2軸178に沿う拡張した拡張可能な本体の最大直径182よりも短いかまたは等しい、第1軸176に沿う全長179を有する。
【0081】
中間領域のないいくつかの実施形態では、図8A~G及び8Uに示されるように、拡張可能な本体170A~Hは、近位領域174及び遠位領域172を含むよう特徴付けられてもよく、近位領域及び遠位領域は通常互いに対向している。各本体170A~H、近位領域174及び遠位領域172は、拡張可能な本体の一体構造を形成する。この特徴のために、近位領域及び遠位領域は、共に拡張可能な本体の「主本体」を形成する。これは、頸部を含まない。拡張可能な本体170A~Hは、第1軸176及び第1軸を横断する第2軸178によってさらに定義されてもよい。1つの態様では、第1軸176は、頸部116と118の間に延びる。いくつかの実施形態において、拡張した拡張可能な本体170A~Hは、第2軸178に沿う拡張した拡張可能な本体の最大直径182よりも長いかまたは等しい、第1軸176に沿う全長179を有する。
【0082】
様々な他の実施形態では、拡張可能な本体は近位領域174及び遠位領域172により定義されかつ記述されてもよく、各領域は略半球状体である。各領域172及び174により形成される半球状体は、第1軸176または第2軸178と平行であり得る長半径及び半短径により、各軸の長さに基づいてさらに定義される。様々な実施形態では、近位領域174の半球状体は、遠位領域172のものとは異なる長半径及び半短径を有する。他の実施形態では、近位領域174の半球状体は、遠位領域176のものと同じである長半径及び半短径を有する。同様に、各遠位領域172及び近位領域174のために、それぞれ、長半径及び半短径は互いに異なっているかまたは一致していてもよく、それにより対応する領域が偏半球状体、長半球状体、または半球体の一般形状をしていてもよい。示されるように、拡張可能な本体170A~Hはさらに、略回転楕円体または楕円体形状をしている様々な他の構成において組み立てられてもよい。拡張可能な本体170A~Hはさらに、近位頸部116及び遠位頸部118を含んでもよい。
【0083】
いくつかの実施形態では、拡張した拡張可能な本体170A~Hは、おおよそ4~16mm以上である近位頸部116から遠位頸部118の長さ179及びおおよそ4~16mm以上である最大直径182を有する。図8A~F及び8Uに示されるように、第1軸176による断面から見た時に拡張可能な本体170A~Hが略円形断面を有する場合があるように、近位領域174A~Gと遠位領域172A~Gの最大半径長は等しい。図8A~E及び8Uに示されるように、第2軸176による断面から見た時に拡張可能な本体170A~Hが略円形断面を有しない場合があるように、近位領域174A~Gと遠位領域172A~Gのあらゆる同等な位置における半径長は等しくない場合がある。図8Fに示されるように、他の実施形態では、第2軸176による断面から見た時に拡張可能な本体170A~Hが略円形断面を有する場合があるように、近位領域174A~Gと遠位領域172A~Gのあらゆる同等な位置における半径長は等しい場合がある。
【0084】
1つの態様では、拡張可能な本体170A~Hの異なる構成は、近位領域174A~Gと遠位領域172A~Gの第1軸176に沿う最大長(「高さ」)を別々に変動させることで得られてもよい。例えば、図8A、C、及びEに示されるように、近位領域174Aの高さ183は、遠位領域172Aの高さ184よりも低くてもよい。他の実施例では、図8B、D、及びFに示されるように、近位領域174Aの高さ183は、遠位領域172Aの高さ184と等しくてもよい。他の実施例では、近位領域174Aの高さ183は、遠位領域172Aの高さ184よりも高くてもよい。両方の拡張可能な本体170Aと170Bが同じ最大直径を有する一方で、各拡張可能な本体の近位及び遠位領域の高さは拡張可能な本体において全体的に異なる形状をもたらす。示されるように、拡張可能な本体170Aは、略心臓形状であり、一方で拡張可能な本体170Bは回転楕円体形状である。
【0085】
図8A~F及び8Uに示される他の実施例では、近位部174A~Fと遠位部173A~Fの高さ183と184はそれぞれ、拡張可能な本体170A~Hの幅広い構成を得るために別々に変動させられてもよい。近位領域174Cの高さ183はおおよそ2mmであってもよいが、遠位領域172Cの高さはおおよそ4mmである。同様に、近位領域174Dの高さ183はおおよそ3mmであってもよいが、遠位領域172Dの高さは同様におおよそ3mmである。拡張可能な本体170Eにおいては、近位領域174Eの高さ183はおおよそ2mmであってもよいが、遠位領域172Eの高さ184はおおよそ3.5mmであり、一方、拡張可能な本体170Fにおいては、近位領域174Fの高さ183はおおよそ3mmであってもよいが、遠位領域172Fの高さ184はおおよそ4mmである。示されるように、拡張可能な本体170A~Hは、略回転楕円体、略球状体、または略心臓形状であり得る多くの構成を有し得る。
【0086】
図8W~Xに示される他の実施例では、拡張可能な本体170Hは、ディスク上で扁平な球の形状であってもよい。近位領域174は、直径が自身の長さよりも大きい円筒形に類似していてもよいが、遠位領域172は、偏回転楕円体に類似していてもよい。近位領域の形状は、嚢状動脈瘤700の開口部を閉塞するために最適化されてもよい。
【0087】
図6Eに示される他の実施例では、拡張可能な本体140は、円筒形状であるが、前に図6A~Dに示されるように半球状というよりはむしろ円すい状である端部を持つ。そういった拡張可能な本体は、動脈または静脈セグメントの閉塞のために最適化されてもよい。図1A~D及び2A~4Bの拡張した球状ボールステント100と150、及び図8A~U、16G、及び16Kの拡張した拡張可能な本体140といったような金属製の拡張可能な本体は、図16Aに示されるように、単一の連続層122からなる壁102を有してもよい。壁102は金属製、好ましくは、生体適合性がありかつ延性があり、薄壁へと形成でき、拡張後に様々な形状になることができる金属を含む。限定はされるものではないが実施例のために、金属は、金、白金、銀、ニッケル、チタン、バナジウム、アルミニウム、タンタル、ジルコニウム、クロム、銀、マグネシウム、ニオブ、スカンジウム、コバルト、パラジウム、マンガン、モリブデン、これらの合金、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。好ましい金属は、金、白金、及び銀、それらの合金、及びそれらの組み合わせを含む。拡張可能な本体はさらに、圧縮及び拡張に耐えるのに十分な硬質または半硬質であり、体内で拡張状態を維持可能な薄壁の構造へと形成できる代替的材料から作られてもよい。代替的材料は、金属コイルまたはブレイズで補強されたポリマーまたはプラスチック、及び同様の特性を持つ材料を含む。壁102及び壁の厚みを形成する材料は、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hが、中心空隙または空間108の内部圧と外部圧が同じかまたは近い時であり、外部圧が内部圧よりも高い時の両方である場合に、拡張及び送達カテーテルからの分離後、通常の生理的条件下の体内において拡張状態で残るための十分な剛性を有するよう選択される。
【0088】
さらに、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hを形成し支持するのに用いられる材料は、裂けることなく圧縮されるかまたは折り畳まれ、かつ拡張後壊れることないような延性、可鍛性、及び可塑性の十分な機械的特性を持つことが望ましい。一般的には、延性とは壊れることなく変形する材料の能力の度合いであるが、材料の可鍛性は、金属が圧力または力を受けるときに壊れることなく変形しやすいかどうかを判断する。材料の延性及び可鍛性は、破裂や崩壊を起こさずに形状に永続的な変化に耐えることができるという材料の特性を一般的に指す、材料の可塑性を考慮する。このように、拡張可能な本体は、圧縮、折り畳みプロセス、及び拡張のうち1つ以上を耐えるのに十分な延性、可鍛性、及び可塑性を持つあらゆる生体適合性材料から構成され得る。
【0089】
壁102の中心層122は、壁の厚さ120を定義する内面106及び外面124を有する。特に、図16A及び16Bに関して、内面106と外面124間の距離は、壁102の全体的な壁の厚さ120である。好ましくは、壁102の中心層122は、厚さ120であり、約3μmから約50μm、好ましくは、おおよそ10μmの厚さである。壁の厚さ120は、均一であり得る。例えば、壁102は、3μm、5μm、10μm、15μm、20μm、30μm、40μm、または50μmの均一な厚さを有する。例えば、壁102の厚さ120は、拡張可能な本体が血液の拍動からの圧力に耐えるよう十分な強度を持ちながらも、治療した嚢状動脈瘤または閉塞した動脈、静脈、または生体導管の他の形状のセグメントの治癒及び萎縮中にへこみ、かつ折り畳むのに十分な弱さを持つように、選択されてもよい。
【0090】
あるいは、異なる位置における壁102の厚さは、厚さが変動してもよい。あるいは、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、図16Bに示されるように、孔または微細穿孔1300がある単一の穿孔層または壁122から構成されてもよく、微細穿孔の少なくともいくつかまたはその全ては、内面106から外面124まで幅広く延在する。この実施形態のために、壁102は、均一の厚さまたは変化した厚さであってもよい。この実施形態におけるボールステント100の拡張の間、液状媒体は、空隙または空間108から圧力を受けながら移動し、壁102を通じて外面124でボールステントから出てもよい。この実施形態のために、微細穿孔1300の直径は、1~500μmの範囲であってもよい。他の例示的微細穿孔直径の範囲は、0.01から50μmである。
【0091】
拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、図16Dに示されるように、任意的に外壁または層104を持ち、かつ任意的に内壁または層214を持つ中心壁または層122を含む。述べられたように、中心壁または層122、及び層104及び214の構成は、均一、多孔質、またはそれらの組み合わせであり得る。嚢状動脈瘤の治療に用いられるボールステント100の1つの実施形態では、壁102は、壁102の厚さ120を貫通する複数の微細穿孔1300を含む。
【0092】
1つの構成では、中心層または壁122は、連続しており、金で形成される。任意的に、この好適な構成には、多孔質の金で形成された外層104が追加されてもよい。任意的に、パリレンで形成された内層214が存在してもよい。任意的に、パリレンで形成された外層104が存在してもよい。拡張した拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hを送達カテーテルから分離するのに電解が用いられる特定の実施形態では、ボールステントまたは拡張した拡張可能な本体の特定部分(頸部または本体など)は、パリレンといったような絶縁体またはポリマーでコーティングされる。拡張した拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hを送達カテーテルから分離するのに電解が用いられる特定の実施形態では、ボールステントまたは拡張した拡張可能な本体の特定部分(頸部または本体など)は、金または白金といったような比較的電解耐性のある金属でコーティングされる。これらの部分とは、外面、内面、または内面と外面の両方を含むが、頸部または本体の一部は未コーティングかまたは絶縁されずにとどまる。この場合、壁の未コーティングかまたは非絶縁部分は、壁の露出した金属から周辺の電解質(すなわち、血液または漿液)へと電流が流れることによって電解的分解(すなわち、腐食)される。特定の実施形態では、壁の未コーティングかまたは非絶縁部分は、コーティングプロセス中にマスキングすることで作られる。他の実施形態では、コーティングまたは絶縁は、レーザーエッチングまたはレーザーアブレーションといったようなエッチングまたはアブレーションを通じて壁または頸部の未コーティングかまたは非絶縁部分から取り除かれる。
【0093】
略球状ボールステント150の1つの実施形態は、図1A~4Bに示される。略球状ボールステント100または150は、拡張時に回転楕円体を形成する壁102を含む。1つの態様では、壁102の遠位領域152は、1つ以上の環状部154A~Bを含む。環状部154A~Bは、遠位領域が壁の残部よりも平坦面を呈するように、壁102の残部よりも大きい曲率半径を有する。略回転楕円体ボールステント150はさらに、遠位領域152から離れて突き出る近位頸部116及び遠位頸部118を含む。他の実施形態では、遠位頸部は、拡張した拡張可能な本体の内部空隙へと突き出ることができる。
【0094】
図2B~C及び2Eに示されるように、様々な実施形態では、ブリッジセグメント160は、近位頸部116を通じて、拡張した拡張可能な本体の空隙を通じて遠位頸部118へと延びる。1つの態様では、ブリッジセグメント160は、ボールステント150へ構造的支持を供給する送達カテーテルの細長い管状部材コンポーネントである。1つの実施形態では、ブリッジセグメント160は、おおよそ0.5から2.0mmの範囲の外側内径及びおおよそ0.4から1.9mmの範囲の内径を有する。いくつかの実施形態では、ブリッジカテーテルは、送達カテーテルのコンポーネントであるかまたは送達カテーテルに動作可能なように連結される。
【0095】
他の態様では、ブリッジカテーテル160は、図2B~C、2E、2G、2N~P、8H、8J~O、及び8R~Sに示されるように、遠位頸部118を介して内部空間108を通じてボールステントの外部へとガイドワイヤ302またはコイル162といったような固体材料を送達するための経路を供給する。ブリッジカテーテル160はさらに、流体、液体、ガス、ゲル、または固体さえもボールステント150の内部108へと通すための1つ以上の開口部164を含む。よって、以下により完全に説明されるように、ブリッジカテーテル160は、拡張可能な本体の膨張または拡張に用いられてもよいが、さらにガイドワイヤ302またはコイル162をボールステント150の内部108へと、またはそこを通じて、かつ遠位領域152の外部へと通すことができる。
【0096】
様々な実施形態では、ブリッジカテーテル160内の開口部164は、おおよそ200μmから1mmの範囲の直径を有してもよい。図3A~3Bに示されるように、ブリッジカテーテル160は、コイルまたは補助コイル162を受けることができるように寸法決めされてもよい。コイルまたは補助コイル162は、ブリッジカテーテル160の内腔を通じて直接供給されるかまたは図7に示されるようにブリッジカテーテル160を通り抜ける第2カテーテル352B(「コイル送達カテーテル」)を通じて供給されてもよく、この方法では、ボールステント拡張可能な本体への使用に適した2重カテーテル送達システムを備える。
【0097】
他の実施形態では、ブリッジカテーテル160はさらに、コイル送達カテーテル352Bを拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの内部を通り抜けて、コイルまたは補助コイル162を嚢状動脈瘤700の内腔、空洞、または空隙701に送達させてもよい。図2L~Qに示されるように、コイル送達カテーテル352Bは、拡張可能な本体を通じて供給されてもよく、補助コイル162は、コイル送達カテーテル352Bを通じて同時に、または続けて供給されてもよい。
【0098】
他の実施形態では、ブリッジカテーテル160は、図3C~Dに示されるように、その遠位端にX線不透過性スポットまたはマーカー165を含む。マーカー165は、分離プロセスの際に拡張可能な本体150の相対位置及びブリッジカテーテル160の先端の蛍光視認性を高めるためのものである。マーカーは、バリウム、または金、白金、イリジウム、タンタル、またはステンレス鋼といった金属を含む様々なX線不透過性材料を含む。マーカーの形状は、バンド、スポット、またはラインといったように構成されてもよい。1つの態様では、X線不透過性材料は、ブリッジカテーテル160の押し出しの際にポリマー溶解へと混合されたX線不透過性液体または微粒子の形状であってもよい。
【0099】
図3E~Fに示されるものを含む様々な実施形態では、本明細書においてテレスコープ630または640と呼ばれる伸縮コンポーネントは、拡張可能な本体150の遠位端内の近位ハブ362Aに連結し、かつ硬質な伸縮ブリッジセグメントとして機能するアセンブリ642を形成するブリッジカテーテル160上をスライドしてもよい。拡張可能な本体150の長さに比較したその長さによって、テレスコープは短テレスコープ630または長テレスコープ640のいずれかに称され得る。拡張の際、伸縮ブリッジセグメント642は、拡張可能な本体150を軸方向644で自由に収縮させ、さらに注入した液状媒体の漏出を削減する。最終的な影響は、拡張可能な本体150の拡張に必要な適用圧力の減少である。
【0100】
1つの実施形態では、テレスコープ630または640は、金、白金、イリジウム、タンタル、またはステンレス鋼を含む金属管の一片であってもよく、X線不透過性マーカーとしても同様に機能してもよい。1つの態様では、テレスコープ630または640は、蛍光透視撮像の際に拡張可能な本体150の視認性を高める。
【0101】
様々な実施形態では、伸縮ブリッジセグメント642は、拡張可能な本体150が送達カテーテル306から分離する時に自身の構成コンポーネントへと分けられる。特に、ブリッジカテーテル160は、拡張可能な本体150から取り除かれるが、図3Gから理解できるようにテレスコープ630または640は後に残る。
【0102】
図3H~Iに説明される様々な他の実施形態では、柔軟なブリッジセグメント643は、拡張可能な本体150を軸方向644で自由に収縮させ、注入した液状媒体の漏出を削減する。図3Hに示されるように、柔軟なブリッジセグメント643は、ポリイミドまたはポリウレタンの押し出し薄板内にステンレス鋼またはニチノールの偏平編組を含む編組補強されたポリマー管の一片(すなわち、編組押し出し)であってもよい。図3Iに示されるように、他の実施形態では、柔軟なブリッジセグメント643は、次の、ステンレス鋼、ニチノール、またはそれらの組み合わせを含む金属として構成されてもよい。これらの代替的実施形態の態様は、拡張可能な本体150の柔軟性及び追従性を高めてもよい。拡張可能な本体150を送達カテーテル306から分離する際、柔軟なブリッジセグメント643は、送達カテーテル306に沿って取り外される。
【0103】
図47A~Cは、拡張可能な本体190の他の実施形態を説明する。この実施形態では、拡張可能な本体190は、遠位頸部362Aに係合する遠位領域202を含む。遠位領域202に隣接するのは、遠位領域と中間領域206の間に位置する遠位移行領域203である。近位移行領域205は、中間領域206に隣接して位置し、遠位移行領域203に対向する。近位移行領域205は、中間領域206を近位頸部362Bにさらに係合する近位領域208と繋ぐ。拡張可能な本体190は、単一のローブ状金属製の拡張可能な本体の形状である。図47Cは、B-B線に沿って見られる拡張可能な本体190の断面図である。
【0104】
1つの態様では、遠位領域202及び近位領域208は、拡張可能な本体190の中心193からの半径191及び192それぞれによって定義される、拡張可能な本体190の半楕円体であり、それにより191及び192は中間領域206の中心縦軸からの半径194よりも短くなる。さらに、遠位移行領域の半径195は、中間領域206に隣接する半径194と等しく、かつ拡張可能な本体190が遠位領域202に移行するところの半径191へと縮小し、それにより、遠位領域に達するにつれて遠位移行領域の曲率を増加する。同様に、近位移行領域の半径196は、中間領域206に隣接する半径194と等しく、かつ拡張可能な本体190が近位領域208に移行するところの半径191へと縮小し、それにより、近位領域に達するにつれて近位移行領域の曲率を増加する。結果、拡張可能な本体190の実施形態は、遠位及び近位領域202及び208が圧縮されたかまたは中間領域206に向かって内部に平坦化されたように見える。
【0105】
拡張可能な本体の外部
論じられるように、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、図16C~Dに示されるように、中心層122の外面124上に1つ以上の追加的コーティングまたは層(複数可)104を有してもよい。壁102及びあらゆる追加的外層は、拡張時には動脈瘤または血管の内壁と接する外面110を定義する。外層104は、均一または好ましくは約1μmと約59μmの間で変化した厚みであってもよい。1つの実施形態では、外層124は、0.1と10μmの間の厚みを有する。特別な実施形態では、外層124は、約1μmの間の厚みを有する。
【0106】
外層124は、ポリマー、ラテックス、エラストマー、または金属で形成され得る。外層124は、電気絶縁体であってもよく、好適な実施形態では、外層124は、パリレンコーティングで形成される。外層124は、貴金属といったような電解または電解腐食の影響を受けにくい金属製または非金属製材料であってもよく、好適な実施形態では、金または白金である。拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの外部コーティングまたは層104は、図16C及び16Dに示されるように、多孔質であり、複数の孔200を備える。あるいは、外層104は、多孔率または突出部の制限された、平滑であり得る。例えば、外層104は、磨かれた金属面であってもよい。1つの実施形態では、外層104の一部は平滑であり得るが、他の部分は多孔質であるかまたは突出部を備え得る。1つの実施形態では、表面変化はパターンを含み得る。図29Eは、電鋳及びパリレンコーティング後の外面110の構造を描写する。示されるように、壁102の外面110は、円形、小石状、または粒状構造であってもよい。様々な実施形態では、円形、小石状、または粒状の面構造は、おおよそ0.1~10μmの高さを有する。
【0107】
多孔質または海綿状層として構成される時、外層104は、調合薬、薬理活性分子、または医薬組成物を含む溶液を孔200内に含み得る(または含むよう構成され得る)。このように、調合薬、薬理活性分子、または医薬組成物といったような溶液は、治療位置に送達され得る。血栓形成を促進し、細胞増殖または細胞外マトリックス産生、または組織成長を刺激する薬、薬理活性分子、または医薬組成物は、外層104の孔200に配置され得る物質の実施例である。調合薬、薬理活性分子、または医薬組成物は、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hが所望の位置に配置される前に壁または外層104の孔200へと組み込まれる。薬の組成物は、毛細管現象またはウィッキング現象により孔200へと送達されてもよい。孔200の直径は、約0.01μmから約500μmの範囲である。各拡張可能な本体の孔直径は、組み込まれる特定の薬、薬理活性分子、または医薬組成物及び体内への望ましい放出速度に従って変化してもよい。限定はされるものではないが実施例のために、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、孔直径が平均して約0.01μmから約0.05μm、約0.05μmから約0.5μm、0.5μmから約5μm、約5μmから約25μm、約25μmから約500μm、約0.05μmから約500μm、または約0.01μmから約500μmである多孔質外層104を有してもよい。
【0108】
調合薬、薬理活性分子、または医薬組成物は、トロンビン、血小板由来増殖因子、エチオドール(Ethiodol)(登録商標)、ソトラデコール(Sotradecol)(登録商標)、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。血栓形成を促進し、細胞増殖を刺激し、細胞外マトリックス産生、または拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの多孔質外壁への組織成長を刺激する他の医薬化合物及び組成物は、同様に用いられてもよい。そういった薬または医薬組成物は、細胞増殖、細胞外マトリックス産生、または組織成長を促進するための分子を含んでもよく、それにより拡張した拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hが治療位置で組織により強固に取り付けられるようになる。調合薬、薬理活性分子、または医薬組成物が壁102または外層104へと組み込まれる場合の投薬量及び方法は、行われる治療に応じて選択できることである。他の化合物は、拡張可能な本体周辺の血液凝固または血栓形成を促進するために用いられてもよい。様々な態様では、孔200は、生分解性または生体内分解性の材料で満たされてもよく、それにより、孔内の材料の量が徐々に減少し、拡張可能な本体の配置の後で孔が体内の適所でやがて開かれる。多孔質層104を有する拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの実施形態において、ボールステント、ブロックステント、または拡張可能な本体は、徐々に拡張したままになり、拡張可能な本体はいずれ周辺組織に取り付くようになる。
【0109】
図18G~Hから理解できるように、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの外面110はさらに、拡張可能な本体の隣接組織への取り付け強度を増加できる1つ以上の突出部または突起1800(略管状であり得るかまたは他の構成である)を含んでもよく、それにより動きまたは移動のリスクを低減する。突出部は、約0.01μmから約167μmの範囲の長さを有する。いくつかの突出部は、分岐構造であり得るが、他はループを形成するために外面110に両端部が結合していてもよい。いくつかの実施形態では、突出部は硬質、または半硬質である。他の実施形態では、突出部は柔軟であり、かつ毛のようであり、さらにトカゲの足裏表面の突出部に類似した球形の端部を備えてもよい。突出部は、形成後に拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hへと取り付けられてもよい。さらに、または代替的に、突出部は、電鋳の間拡張可能な本体へと組み込まれてもよい。
【0110】
他の実施形態では、ボールステント100は、外面110上への、または孔200内の血栓形成を促進するため及び細胞増殖、細胞外マトリックス産生、またはボールステント100の壁102への、またはその周囲での組織成長を促進するために多孔質外層または壁104または外部突出部1800のある壁を備えてもよく、それにより、ボールステント100は、徐々に隣接する動脈瘤壁内の組織へとより強固に取り付けられるようになる。
【0111】
図18A~Dに示されるように、嚢状動脈瘤700へと配置されたボールステント100の中心層122及び多孔質外層104は、外層上への血栓1206の形成を促進するよう構成されてもよい。血栓は、赤血球1208、血小板1210、及びフィブリン1212で構成され得る。徐々に、血栓1206は、外層104へとある程度溶け込んでもよく、新たな内皮細胞1214が血栓上に形成される。新たな内皮細胞は、嚢状動脈瘤700の開口部にわたって結合組織のシールを形成してもよい。嚢状動脈瘤700の開口部を封鎖することに加え、動脈瘤の壁704からの結合組織1216が、図18Eに示されるように、ボールステントを動脈瘤の壁へと付着するようボールステント100の多孔質外層104へと成長してもよい。ほかの実施形態では、図18G~Hに示されるように、突起または突出部1800は、略管状、直線、湾曲、フック状、またはピッグテールフックとして構成されてもよい。微細な形状では、突出部は、ニチノールまたは他の適切な生体適合性材料から構成されてもよい。
【0112】
図18Hは、嚢状動脈瘤700の壁704に固定された、拡張したボールステント100を描写する。突出部のサイズ及び形状は、治療される状態に応じて選択されてもよく、かつ動脈瘤の壁または周辺組織へ必要以上に損傷を与えることなく十分な固定支持を供給するよう設計され、寸法決めされてもよい。あるいは、微細な突出部またはフィラメントが、ボールステントを固定するのに用いられてもよい。いくつかの実施形態において、これらの微細な突出部は、0.01μmから約57μmの長さの範囲であり、直線かまたは分岐している場合がある。様々な実施形態では、1つ以上の突出部の両端を、ループを形成するためにボールステント100の外面110及び/または壁102の外面216に接続してもよい。
【0113】
他の実施形態では、ヒドロゲル720の層は、図16E~F及び18Iに描写されるように、配置の後に拡張可能な本体100の近位領域208の外面110に適用されてもよい。この層は、嚢状動脈瘤700の開口部703において血栓形成を促進し、細胞増殖、細胞外マトリックス産生、または組織成長を刺激するためのものである。所望の位置にヒドロゲル720の層を取り付けるのに様々な方法が用いられてもよい。重合ヒドロゲル層が接着剤により取り付けられてもよい。あるいは、粘性液状ヒドロゲルプレポリマーが適用されてもよく、その後にヒドロゲル層を形成するために紫外線を用いて重合されてもよい。
【0114】
ボールステントまたは拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hはさらに、動脈瘤または他の生体空間内に形成された壁在血栓といったような血栓を含むかまたは捕捉するよう用いられてもよい。図18Fに示されるように、拡張可能な本体170Gは、1つ以上の血栓を有する嚢状動脈瘤700内に配置されてもよい。これは、空洞701または動脈瘤のドーム内の、壁在血栓707を含む。1つの態様では、動脈瘤空洞の容積よりも小さい拡張した容積を有する拡張可能な本体170Gが選択される。拡張可能な本体は、前述のように、膨張したかまたは拡張して動脈瘤へと送達され、補助コイル162の挿入によって接触する。この態様では、補助コイル162は、拡張可能な本体170G、血栓707、及び動脈瘤の壁に同時に接触する。補助コイル162と連結する拡張可能な本体170Gは、動脈瘤内に血栓707を捕捉し、患者が吸収するまで適所に保持するよう働く。
【0115】
様々な実施形態では、血塊を含む可能性がある嚢状動脈瘤700の空洞701を完全に満たすことのない拡張可能な本体が好適である。このように、空洞701をより完全に満たすより大きい拡張可能な本体は、嚢状動脈瘤700内の血栓を親血管1202または1203へと排出させる場合があり、血栓が閉塞を起こし、血管系を移動し脳卒中を引き起こし得るので、好ましくない。
【0116】
様々な実施形態では、拡張可能な本体100は、送達中かまたは送達可能な構成である時、拡張可能な本体の全体の周囲を取り巻く薄いポリマーシースを含んでもよい。シースは、拡張可能な本体の組立の間、拡張可能な本体100の外部に加えられてもよい。シースは、図2A~Qに示されるもののような近位ノーズコーン362B、遠位ノーズコーン360、または362A、または両方に取り付いてもよい。ポリマーシースは、拡張可能な本体が血管系を通じて送達される際の拡張可能な本体100の追従性を向上し、血管の内膜との摩擦を低減する。拡張可能な本体100の膨張または拡張の間、ポリマーシースは拡張可能な本体、送達カテーテル、近位ノーズコーン362B、または遠位ノーズコーン360または362Aに取り付けられたままで開放する。1つの実施形態では、シースは、拡張可能な本体100の拡張を容易にするために配置の前に孔が開けられるかまたは部分的に切れ目が入ってもよい。
【0117】
拡張可能な本体の内部
いくつかの実施形態では、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、図16D、16F、16H、16J、及び16Lに示されるように、中心層122の内面106上に1つ以上の追加層またはライナー214を含んでもよい。内層は、中心層と同じ材料から作られてもよいか、または異なる材料で作られ得る。内層は、金、白金、銀、それらの合金、またはそれらの組み合わせで形成されてもよい。拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの中心層122の内面106上の追加層214はさらに、ポリマー、プラスチック、ラテックス、ゴム、織られたか編まれたファイバー材料、金属、または他の材料、またはそれらの組み合わせで形成されてもよい。好ましくは、内層214は中心層122の内面106に付けられたエラストマー系コーティングである。内層214は、様々な厚さであり得、好ましくは約0.1μmから約59μmの範囲である。1つの実施形態では、内層214は、約0.1μmと約10μmの間の厚みを有する。壁が1、2、3、またはそれ以上の層を含む場合にかかわらず、中心層122,外層104、及び内層214を含む壁102の総厚は、好ましくは約2μmと約50μmの間である。内層214は、ポリマー、ラテックス、またはエラストマーを含み得る。好適な実施形態では、内層214はパリレンを含む。内層214はさらに、壁102に(強度といったような)機械的特性を追加する。さらに、内層214は任意的に、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hから液状媒体の漏出を防ぎ、シールを形成でき、中心層122は欠陥または欠点を含み得る。中心層122及びあらゆる追加層は、内面106または218をそれぞれ定義し、それにより、流体、液体、ガス、または固体でボールステントまたは拡張可能な本体が拡張する時に、中心空隙または空間108が定義される。図16Dに示されるように、内面218と外面110間の距離は、壁102の全体的な壁の厚さ120である。
【0118】
拡張可能な本体の頸部(複数可)及び開口部(複数可)
特定の実施形態では、中空の金属製の拡張可能な本体は、拡張可能な本体の反対端に位置する2つの頸部を含む。いくつかの実施形態では、1つの頸部は拡張可能な本体の近位端に位置してもよく、他の頸部は拡張可能な本体の遠位端に位置してもよい。任意的に、少なくとも1つの頸部は、ステンレス鋼といったような電解腐食に感応する金属を備えてもよく、生体空間内に拡張可能な本体を配置した後、電解により切断され得る。いくつかの実施形態では、ステンレス鋼のリングは、拡張可能な本体の頸部に接続してもよく、他の実施形態では、ステンレス鋼のリングは、接着剤、粘着剤、または溶接を用いるといったように拡張可能な本体の本体部へと接続されてもよい。この場合、拡張可能な本体の残部は、これに限定はされないが、金を含む貴金属といったような電解または電解腐食の影響を受けにくい材料を備えてもよいが、頸部または頸部の一部は、ステンレス鋼といったような電解または電解腐食の影響をより受けやすい、比較的貴でない材料を備えてもよい。
【0119】
他の実施形態では、中空の金属製の拡張可能な本体の本体部及び頸部は、電解または電解腐食の影響を受けやすい特徴に類似した材料を備えてもよい。そして、本体及び任意的に頸部の一部は、電解の間に頸部または頸部のコーティングされた部分への電解または電解腐食を制限する電気絶縁体として機能する材料でコーティングされてもよい。そういった電気絶縁体は、パリレンを含み得る。
【0120】
さらに他の実施形態では、中空の金属製の拡張可能な本体の頸部は、ステンレス鋼といったような電解または電解腐食の影響をより受けやすい、比較的貴でない材料を備えてもよく、電解または電解腐食の影響をより受けやすいこの材料の一部は、これに限定はされないが金を含む貴金属といったような電解または電解腐食の影響を受けにくい追加的材料でコーティングされてもよい。それにより、電解が、ステンレス鋼といったような電解または電解腐食の影響をより受けやすい比較的貴でない材料が露出しているかまたはそれでコーティングされていないところの頸部の一部に集中するようになる。
【0121】
中空の金属製の拡張可能な本体の各頸部は、動脈、静脈、または他の生体導管内で前後方向にデバイスを進める間、抵抗を低減するデバイスの動的プロファイルを向上するためにチップまたはノーズコーンを含んでもよい。この方法では、チップまたはノーズコーンは、動脈、静脈、または他の生体導管の壁を傷つけるリスクを低減できた。チップまたはノーズコーンは、生分解性または生体内分解性の材料を含む、ポリマー、金属製、または他の材料を備えてもよい。拡張可能な本体におけるチップまたはノーズコーンの存在は、摩擦を低減でき、本体の近位または遠位端による外傷を低減でき、かつデバイスの配置及び再配置の際の追従性を向上できる。動脈瘤のドームが脆く、鋭利であるか先端の細いデバイスで探る時に壁破裂の影響を受けやすいので、これは動脈瘤内に拡張可能な本体を配置する時に特に関係している。チップまたはノーズコーンはさらに、本体部が患者の体内に位置する際に、折り畳まれるか、巻かれるか、または圧縮された拡張可能な本体を取り囲むポリマーラップに、取付点を供給してもよい。ポリマーラップは、拡張可能な本体が血管系を通じて送達される際の本体の追従性をさらに増加し、摩擦を低減する。チップまたはノーズコーンはさらに、同じような目的を果たし得るところで送達カテーテルの遠位部上に配置されてもよい。
【0122】
図1A~D、2A~4B、8A~S、8U、16A~D、16G、及び16Kに説明されるように、拡張可能な本体140、150、または170A~Hは、壁102により、または近位頸部116または遠位頸部118により定義される1つ以上の開口部112及び114を有する。様々な実施形態では、ボールステント、ブロックステント、または拡張可能な本体は、頸部116または118によりそれぞれ定義される1つ以上の開口部112及び114を有する。全ての実施形態では、液状媒体は、開口部112に入り、内面106または218により定義される中心空隙または空間108へと移動でき、それにより拡張可能な本体を膨張するかまたは拡張する。様々な実施形態では、図1A、1C、2A~4B、8A~S、8U、16G及び16Kに示されるように、頸部116及び118のうち1つかまたは両方は、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hのそれぞれの端部領域(近位領域または遠位領域)から外側に向かって延びてもよい。さらに、図1A及び1Dに示されるように、頸部116及び118のうち1つかまたは両方は、それぞれの端部領域から内側に向かって、内部空隙108へと延びてもよい。近位頸部116は、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hを送達カテーテルに取り付けるために用いることができ、送達カテーテルからボールステントまたは拡張可能な本体を分離する機能を持ってもよい。様々な実施形態では、頸部116及び118及び壁102または主本体部は、異なる金属から形成されてもよい。例えば、1つの実施形態では、頸部(複数可)116及び118及び壁102または主本体部は、金で形成されてもよい。他の実施形態では、頸部116及び118は、これに限定はされないが304シリーズまたは316Lシリーズのステンレス鋼を含むステンレス鋼を備えてもよく、壁102または主本体部は、金、白金、または他の可鍛性金属で形成されてもよい。頸部116及び118は、ステンレス鋼及び金または白金といったような他の金属といったような複数の金属を備えてもよい。これは、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの様々な領域がその金属内容の点で異なっているという実施形態、及び異なる金属が様々な領域における層に形成されるという実施形態を含み、頸部が金の外層を持つステンレス鋼の内層を備えるという実施形態、及び頸部が金の内層及び外層を持つステンレス鋼の中心層を含むという実施形態を含み、外層の表面の少なくとも一部がステンレス鋼であるという実施形態を含み、金の外層の一部がマスキングで、またはレーザーエッチングを含むエッチングで欠けるという実施形態を含む。
【0123】
さらに、開口部112または114が、好ましくは近位開口部112が拡張可能な本体が送達カテーテルからの分離前、分離中、または分離後に閉じることができるかまたは部分的に閉じることができるよう、頸部116及び118を設計し、かつ寸法決めできる。1つ以上の開口部112または114は、空いたままで留まってもよい。任意的に、分離前、分離中、または分離後に、頸部116及び118は、シールを形成するよう折り畳まれるか、縮まされるか、または閉じられてもよい。頸部116及び118、または代替的にステンレス鋼のリング250は、図24A及び30Cに示されるように、約0.5mmから約20mmの範囲、好ましくは約0.5mmと約5mmの間の長さである長さN1であってもよい。1つの実施形態では、頸部長N1は、おおよそ1.27mm±0.08mmである。
【0124】
様々な実施形態では、頸部116及び118、及びステンレス鋼のリング250のうち少なくとも1つは、図2A~E、24A、及び30Dに示されるように、開口部112及び114をそれぞれ定義する外径N2及び内径N3を持つ。外径N2は、約0.25mmから約2mmの範囲であり、内径N3は、約0.24mmから約1.95mmの範囲である。1つの実施形態では、頸部外径N2は、おおよそ0.99±0.01mmであり、頸部内径N3は、おおよび0.89±0.01mmである。
【0125】
頸部116及び118のいずれかまたは両方の壁厚は、ボールステント、ブロックステント、または拡張可能な本体の主本体部と同じであってもよく、主本体部の壁よりも薄いかまたは厚くてもよい。好ましくは、頸部116及び118のいずれかまたは両方は、図24B~C、30D、及び30Fに示されるように、約3μmから約60μmの間の壁厚N4を有する。1つの特別な実施形態では、頸部は、おおよそ50μmの間の厚みを有する。図1B及び1Dに示されるように、頸部(複数可)116及び118が中心空隙空間108へと延びるボールステント100の1つの実施形態では、拡張したボールステントの外面110は、より湾曲した面輪郭を保ち、拡張したボールステントの強度を向上し、かつ配置中に動脈瘤壁または隣接する組織に損傷を与えるリスクを低減する。
【0126】
頸部116または118のうち1つかまたは両方は、内壁、外壁、またはその両方上でコーティングされるかまたは絶縁され得る。このコーティングは、金または白金といった金属及びパリレンといったようなポリマーを含み得る。さらに、頸部116及び118は、送達及び配置中に拡張可能な本体100の追従性を向上するために、図2A~C及び4A~Bに示されるような1つ以上のキャップまたはノーズコーン360、または図2D~Qに示されるようなノーズコーン362A~Bを含んでもよい。配置中に拡張可能な本体100の追従性を向上することに加え、ノーズコーン360または362A~Bは同様に配置中に頸部116及び118を保護する役割を持ち、さらに配置中に拡張可能な本体100が横断するあらゆる血管または導管の壁または内膜に損傷を与えるリスクを低減する。いくつかの実施形態では、送達カテーテルの遠位部に取り付けられたノーズコーンは、同じ目的を果たし得る。
【0127】
図2C及び4Bに示されるように、ノーズコーン360または362A~Bは、頸部116及び118を取り囲み、かつ係合する中心チャネル364を含む。1つの実施形態では、ノーズコーン360は、図2A~C及び4A~Bに示されるように、略円筒形であるが、一方、他の実施形態では、ノーズコーン362A~Bは、図2D~Qに示されるように、円すい台形または「弾丸型状」構成であり得る。ノーズコーン360または362A~Bは、ポリマー及び金属を含むあらゆる生体適合性材料で構成されてもよい。1つの実施形態では、ノーズコーン360または362A~Bは、PTFEで構成される。様々な実施形態では、ノーズコーン360または362A~Bは、おおよそ0.75から2.5mmの範囲の外径、おおよそ0.25から2mmの範囲の内径を有し、おおよそ1から4mmの範囲の長さを有する。
【0128】
図9A~Dに示されるもののような様々な実施形態では、ノーズコーン360または362A~Bは、2つのパートからそれぞれ形成され、それぞれが拡張した拡張可能な本体150の内部カテーテルシャフトの内腔(すなわち、ガイドワイヤ内腔)を通る血流を遮断し、目的の血管セグメントの閉塞を促進する弁560A~Bを含んでもよい。1つの態様では、弁560A~Bは、これに限定はされないが、シリコーンゴムといったような直径に沿ったスリットがある1つ以上の弾性ポリマーで構成されるディスクであってもよい。あるいは、弁560A~Bは、それぞれ直径に沿ったスリットまたは開口のあるノーズコーン362A~Bへと注入された接着剤から組み立てられてもよい。弁560A~Bは、ノーズコーン362A~Bのいずれかまたは両方へと組み込まれてもよい。遠位ノーズコーン362Aに組み込まれる時、弁560Aは、外側遠位ノーズコーン575と内側遠位ノーズコーン580間に固定される。近位ノーズコーン362Bに組み込まれる時、弁560Bは、外側近位ノーズコーン585と内側近位ノーズコーン590間に固定される。図9A~Bから理解できるように、拡張可能な本体150が送達カテーテル306に取り付けられる時、弁560Aまたは560Bはブリッジカテーテル160に対して封鎖する。分離後、図9C~Dに示されるように、弁560Aまたは560Bは自身に対して封鎖する。拡張可能な本体150内で止血を供給することに加え、弁560A及び/または560Bは、いくつかの実施形態では、送達カテーテル306への唯一の取り付け方法を供給してもよい。
【0129】
図9E~Gに示される様々な実施形態では、弁560A~Bは、おおよそ0.010~0.020インチ間の厚さのディスクを備えてもよい。弁の全厚を通じる中心開口565は、プラスまたはマイナス記号に似たスリットであるか、または円形の孔であってもよい。図9A~D及び9H~Kに示されるように、ノーズコーン262A~Bは、単一の弁または中心孔形状の様々な組み合わせで一連に配置された複数の弁を含んでもよい。好適な実施形態では、医療用デバイスの組み立て中、遠位ノーズコーン362Aのみが弁または複数の弁を含み、ガイドワイヤシャフト160は遠位方向から近位方向に遠位ノーズコーン362Aへと取り付けられる。他の好適な実施形態では、単一の遠位弁560Aが用いられ、0.010インチの厚さを持つ約40ショアーAから約90ショアーAのデュロメータ範囲のシリコーンゴムディスク及び円形の孔の中心開口を備える。
【0130】
様々な実施形態では、頸部116及び118は、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hを送達カテーテルから分離するための分離点を供給するためにさらに修正される。例えば、頸部、溶接部、蝋接部、または他の固定点の未コーティングまたは非絶縁部分、またはボールステント、ブロックステント、または拡張可能な本体自体の一部を含む導電性の材料片は、露出されたまま、未コーティングのまま、もしくは非絶縁のままであるか、またはコーティング後に後から露出される。これは、拡張した拡張可能な本体と送達デバイスの遠位端との間の分離を達成するために電解を受けることができる金属もしくは導電性材料の円周形状またはリング状の露出した表面である露出した、未コーティングまたは非絶縁の領域を含む。ステンレス鋼は電解腐食または電解に高い感応性を持つので、好ましくはステンレス鋼のリングが拡張可能な本体の壁102または主本体部に取り付けられる。例えば、図16E、16G、16I、16K、28、及び30A~Bから理解できるように、1つの実施形態では、金属製の拡張可能な本体の頸部の金属層の内面の少なくとも一部は、金属製の拡張可能な本体の頸部の金属層の内面に沿って延びる送達デバイスの遠位部の外面を有することで電気的に絶縁される。いくつかの実施形態では、近位頸部116の内面上で、リング状の露出した金属面の近位境界は、頸部領域における送達デバイスの遠位境界によって定義されてもよく、リング状の露出した金属面の遠位境界は、頸部領域における内部絶縁層の境界によって定義されてもよい。近位頸部116の外面に関して、リング状の露出した金属面の近位境界及び遠位境界は両方とも、頸部領域における外部絶縁層の境界によって定義されてもよい。そういった実施形態では、送達カテーテル300または400の遠位端は、頸部のリング状の露出した金属面の近位縁部の近くで遠位的に終結してもよい。図23Aに示されるように、未コーティングまたは非絶縁部が電解を介して分解(腐食)されるかまたは取り除かれるよう、導体ワイヤは、頸部と送達カテーテル間でまたは拡張可能な本体100、140、150、または170A~H上で頸部または溶接部または蝋接部の未コーティングまたは非絶縁部と電気的接触で係合できる。
【0131】
他の実施形態では、頸部116及び118のうち1つかまたは両方は、図2A、2B、5A、及び5Bに示されるように、金属製リング250で取り付けられてもよく、その後に電解を用いて切断されてもよい。金属製リング250は、ステンレス鋼で構成されてもよく、以下に説明されるように、鋼が電解腐食に感応するように1つ以上の熱処理を受けてもよく、それにより電解を介してより速く分離または切断することができる。
【0132】
拡張可能な本体の形状及び寸法
図16E~F及び16I~Jは、ボールステント100及びボールステントを送達するのに用いられ得る送達カテーテル220を説明する。1つの特性では、ボールステント100は、ボールステントの遠位端204を含む遠位領域202を含む。遠位領域202に隣接するのは、遠位領域202からボールステントの近位端210を含む近位領域208へボールステントを移行する中間領域206である。近位領域208は、遠位領域202と通常対向している。中心軸212は、近位領域208と遠位領域202間で近位~遠位に延びる。ボールステント壁102は、中間領域206を通じて近位領域208から遠位領域202へと通常連続的に延び、ボールステント100は単一のローブ状金属製の拡張可能な本体の形状である。他の特性では、ボールステント100は、遠位領域222に通常対向している近位領域228へと直接接続する近位領域222を含む。中心軸212は、近位領域208と遠位領域202間で近位~遠位に延びる。ボールステント壁102は、近位領域208から遠位領域202へと通常連続的に延び、ボールステント100は単一のローブ状金属製の拡張可能な本体の形状である。
【0133】
1つの実施形態では、ボールステント100が拡張する時、中間領域206、近位領域208、及び遠位領域202は略球状を形成するよう結び付く。様々な実施形態では、ボールステント100の寸法は、治療される嚢状動脈瘤のサイズ及び形状に基づいて選択される。ボールステント100の好適な形状は、円形、楕円形、及びゆがんだ形状を含む。円形に拡張したボールステント100の直径は、約2mmから約30mmの範囲であり、好ましくは約2mmから約20mmの範囲の拡張した直径を有する。楕円形ボールステントまたはブロックステントの拡張した長さは、好ましくは約2mmから約30mmの範囲である。ボールステント100は、約0.001mLから約65mLの範囲の拡張した容積を有してもよい。好適な実施形態では、回転楕円体ボールステント100の拡張した直径は、約2mmから約10mmの範囲であるが、好適な拡張した容積は、約0.004mLから約40mLの範囲である。好適な実施形態では、楕円形ボールステントまたはブロックステント100の拡張した長さは、約2mmから約30mmの範囲である。
【0134】
図16G~H及び16K~Lは、拡張可能な本体140及び拡張可能な本体を送達するのに用いられ得るカテーテル220を説明する。いくつかの実施形態では、図16Gに示されるように、拡張可能な本体140は、略円筒形の中間領域206(中心軸212に垂直である円筒形部分の縦軸の場所)、略球状の遠位領域208、及び略円すい状の遠位領域208を含むことができる。他の実施形態では、図24Aに示されるように、拡張可能な本体140は、略円筒形の中間領域206(頸部116の縦軸に沿って並ぶ円筒形部分の縦軸の場所)、略球状の遠位領域208、及び略円すい状の遠位領域208を含むことができる。中間領域206は、図24Aに示されるように、近位領域208と遠位領域208両方の半径R2と等しい半径R1を有してもよい。様々な実施形態では、送達カテーテル220は、拡張可能な本体の近位頸部116または近位領域208と通常係合する。
【0135】
他の実施形態では、拡張可能な本体壁102の1つ以上の部分は、壁の残部よりも厚くてもよい。限定はされるものではないが実施例のために、主本体部の中間にある壁または拡張可能な本体の中間領域は、拡張可能な本体の近位領域及び遠位領域または一部分における壁よりも薄いかまたは厚くてもよく、または頸部の壁は拡張可能な本体の主本体部よりも厚いかまたは薄くてもよい。様々な実施形態では、図16A~Dに示されるように、壁厚120は、直径を増加することで望ましくない壁への応力を避けるため、拡張可能な本体の全径に関して計測されてもよい。拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの様々な実施形態では、送達構成の様々な小さく圧縮された形状を十分に可能にする薄さであり、低い圧力でも拡張可能な本体の拡張が可能である壁厚120と、送達及び分離後に構造の完全性を維持し、圧縮に耐えるのに十分な厚さである壁厚の間でバランスを取ることができる。よって、壁厚120の平均値は、好ましくは約10μmから約50μmの範囲である。限定はされるものではないが実施例のために、約4mmの拡張した直径を有する、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hのための壁厚120は、約10μmであってもよいが、約10mmの拡張した直径を有する、拡張可能な本体のための壁厚は、約25μmであってもよい。好適な実施形態では、ブロックステント拡張可能な本体150は、4mmの拡張した直径のデバイスのために12.5μm及び6mmの拡張した直径のデバイスのために20μmの平均壁厚を有してもよい。他の好適な実施形態では、ボールステント拡張可能な本体150は、8mmの拡張した直径及び6mmの拡張した長さのデバイスのために20μmの平均壁厚を有してもよい。
【0136】
図24Aに示されるように、拡張した本体140は、湾曲したかまたは半球状の端部(頸部116の縦軸と並ぶ円筒形の縦軸の場所)のある略円筒形状であってもよく、それにより第1軸と平行な拡張可能な本体の主本体部の全長L1が第2軸と平行な拡張可能な本体の全幅よりも大きい(すなわち、半径距離R1の2倍)。他の実施形態では、拡張可能な本体140は、図16G及び16Kに示されるように、平坦化したかまたは平坦な端部を持つ略円筒形状であってもよく、それにより、中心軸212に沿う拡張可能な本体の主本体部の全長が、中心軸に垂直である拡張可能な本体の全幅よりも小さい。拡張可能な本体140は、単一のローブ状金属製の拡張可能な本体の形状である。
【0137】
様々な実施形態では、拡張可能な本体140は、約2mmから約30mmの範囲である拡張した直径(中心軸212に沿いながら中心軸に垂直である)を有する。壁厚120において変更がないと仮定すると、中間領域206の半径R1(図24A参照)が大きくなるにつれて拡張可能な本体140の壁における応力は増加する。よって、いくつかの実施形態では、拡張可能な本体140の直径は、拡張可能な本体を形成するのに用いられる材料(例えば、金)の最大抗張力によって、及び圧縮された拡張可能な本体を拡張するのに必要な圧力によって制限される。図24Aから理解できるように、拡張可能な本体140は、約2mmから約120mmの間の拡張した長さL1を有してもよく、そういった長さL1は、近位領域、中間領域、及び遠位領域を含む。好ましくは、長さは約5mmから約60mmの間であり、特別な実施形態では、拡張した長さL1はおおよそ40±0.03mmであり、中間領域206の長さはおおよそ24±0.03mmであってもよく、そういった長さL2は中間領域のみを含む。
【0138】
拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの頸部116と近位領域または近位端208の間の応力の集中は、図24B~Cに示されるように、頸部と近位領域間の半径R4を増加することで低減されるかまたはオフセットされ得る。例えば、図24Bにおける半径R4を持つ壁102によって受ける応力は、図24Cにおける、半径R4’を持つ壁によって受ける応力よりも大きい。ここで、R4’はR4よりも大きい。さらに、応力は、拡張可能な本体の形成中に頸部116へと組み込まれる金属製リングが原因で、頸部116が拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの近位領域208の壁を移行するポイントに集中し得る。この応力集中は、頸部116の全体的壁厚N4を削減することで軽減され得る。限定はされるものではないが実施例のために、図24Bに示される頸部116は、おおよそ25μmの壁厚N4を有し得るが、一方、図24Cに示される頸部は、おおよそ12.5μmの壁厚N4’を有してもよい。
拡張可能な本体の形成方法
【0139】
中空の金属製の拡張可能な本体は、電鋳プロセスを用いてマンドレル上に金属層を堆積することで形成できる。電鋳プロセスの間、拡張可能な本体の頸部を作り出すために金属のリングまたは構造が金属層へと組み込まれ得る。このリングまたは構造は、ステンレス鋼、亜鉛、銅または金、または電解腐食の影響を受けやすい他の材料の領域を含んでもよい。あるいは、リングまたは構造は、電熱分離に適しているポリマーを含む領域を含んでもよい。マンドレルは、中空の金属製構造を残すよう電鋳後に拡張可能な本体から取り除かれ得るか、または拡張可能な本体へと形成できる、犠牲マンドレルであってもよい。マンドレルの全てまたは一部は、電鋳後に拡張可能な本体と共に残り得、いくつかの実施形態では、複数層の中空の金属製構造をもたらし、拡張可能な本体へと形成できる、中空の非犠牲マンドレルであってもよい。
【0140】
1つの実施形態では、中空の金属製の拡張可能な本体は、ステンレス鋼のリングがマンドレルの近位端に連結され、マンドレルの上、及びステンレス鋼のリングまたは管の少なくとも一部の上に金属層を堆積し、かつ任意的にマンドレルを取り除き、金属層をマンドレルの形をした中空の本体の形状へと形成し、これが拡張可能な本体となり得るというプロセスを用いて製造される。この実施形態は、電鋳法を用いて金属を堆積する方法を含み、方法において堆積する金属は金である。従ってステンレス鋼のリングは結合され、中空の本体の近位領域から延び、頸部を形成し、これは、近位頸部を形成することを含む。ステンレス鋼のリングはさらに、拡張可能な本体の頸部または主本体に分割セグメントを溶接することで取り付けられ、主本体は近位領域、遠位領域、及び任意的に中間領域を含むものとして定義される。特定の実施形態では、ステンレス鋼のリングまたは管は、送達デバイスに連結され、かつリングまたは管が電気分解により分けることができるよう構成される。
【0141】
拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの例示的形成方法において、壁102の中心層122は、1つ以上のポリマー、純金属、合金、またはそれらの層からの蒸気が基材または型(例えば、マンドレル)上に凝結するという蒸着によって形成されてもよい。型は、純金属または合金で形成された中空のシェルを供給するために取り除かれてもよい
【0142】
好適な実施形態では、壁102の中心層122は、取り除くことが可能な形または型(例えば、マンドレル)上で金属製シェルを電鋳または電気めっきすることで形成される。例えば、図25A~Cに示されるように、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hを電鋳するための多部品マンドレル3200が部分断面図で示される。マンドレル3200は、鋼の基部3202および基部から取り外し可能な形成部材3204を含む。好ましくは、形成部材3204は、これに限定されるものではないが、アルミニウムまたはステンレス鋼を含む剛性材料から構成される。球体で示されているが、形成部材3204の他の実施形態は他の形状であってもよく、これに限定はされないが部分的にプリーツ状かまたは部分的に折り畳まれた本体3204の形状を含み、図26に描写される部分的にプリーツ状のマンドレル3204といったように、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hが送達可能な(すなわち、完全に折り畳まれたかまたはプリーツ加工されかつ折られたか)構成と完全に拡張した構成の中間である構成となる。さらに、図18G~Hに示される突出部1800は、電鋳または電気めっきプロセスの間に突出部1800が形成されるように、形成部材3204の上に形作られてもよい。形成部材3204は、球状の拡張可能な本体100、または150を形成するために図25A~B及び27に示されるような球状であってもよい。同様に、形成部材3204は、楕円形、半球状端部を持つ円筒形体、または拡張可能な本体140及び170A~Hを形成するための任意の他の形状であってもよい。様々な実施形態では、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの形成プロセス中に消耗されるように、マンドレル3200または少なくとも取り除くことが可能な形3204は犠牲的である。
【0143】
金属製の拡張可能な本体を形成するために、形成部材3204は基部3202から取り除かれる。形成部材3204の一部は、基部3202から延びるネジ式スピンドル3206を係合できるよう、ネジ式であってもよい。形成部材3204が基部3202から分離した後、金属製リング3208はネジ式スピンドル3206上に配置される。図27に示される1つの実施形態では、ネジ式スピンドル3206は、金属製リング3208が所望の位置に収容できるように、ネジ式スピンドル3206の直径よりも大きい直径の肩部3212を含む。
【0144】
金属製リング3208は、マンドレル3200の非犠牲コンポーネントである。1つの実施形態では、金属製リング3208は、電解に反応する任意の生体適合性金属であってもよい。例えば、金属製リング3208は、金、316Lステンレス鋼、または304ステンレス鋼から構成されてもよい。304ステンレス鋼が316Lステンレス鋼よりもニッケル含有量が少なく、電解中に細胞毒性のリスクを最小化するので、金属製リングは304ステンレス鋼を含むのが好ましい。いくつかの実施形態では、水による加水分解電位(おおよそ0.82V)よりも低い孔食電位(参照電極に対しておおよそ0.18~0.38V)を持つので、304ステンレス鋼が好ましい。よって、304ステンレス鋼による電解は、孔食電位(それぞれがおおよそ0.98~1.18V及びおおよそ0.7~0.9V)水の加水分解電位を越える316Lステンレス鋼または金で実行される電解よりも、より制御された条件下で、より再現性のある結果をもたらして実行され得る。
【0145】
様々な実施形態では、金属製リング3208は、おおよそ0.025~0.150インチ間の長さであり、おおよそ25.4~254μm間の厚さの壁を持つ。1つの実施形態では、金属製リング3208は、0.05インチの長さである。金めっきまたはコーティングは、金の拡張可能な本体を形成するのに用いられる金の堆積を促すために金属製リング3208の少なくとも一部3210に任意に適用してもよい。同様に、これに限定はされないが、白金を含む他の金属から構成されるめっきまたはコーティングは、他の金属の堆積を促すために用いられてもよい。このように、金属製リング3208は、拡張可能な本体100、140、150、または170A~H内へと組み込まれ、かつ拡張可能な本体の頸部116または118の全てまたは一部を形成する。非導電性ポリマーの接合部は、拡張可能な本体100の頸部116または118と湾曲した本体部の間に置かれてもよい。この接合部は、拡張可能な本体100にさらなる柔軟性を供給し、同時に様々な実施形態の拡張可能な本体を分離するのに用いられる電解電流から拡張可能な本体をさらに絶縁する。
【0146】
一度金属製リング3208及び形成部材3204がネジ式スピンドル3206上に配置されると、マンドレル3200は金といったような金属製イオンを含む電解質浴(図示せず)の中に置かれ、そこで金イオンが形成部材上及び金属製リング3208の少なくとも一部上に堆積する。特に、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hが形成部材3204及び金フラッシュを持つ金属製リング3208の一部にわたって電鋳されるように、マンドレル3200は配置され、それにより金属製リングを拡張可能な本体と結合する。いくつかの実施形態では、金属製リング3208の一部は、金ではコーティングされず、これは電鋳前にマスキングを用いる方法を含む。
【0147】
様々な実施形態では、及び図16A~Dから理解できるように、ボールステント壁102の厚さ120は、電鋳プロセスを変更することで制御できる。例えば、電鋳プロセスの継続時間を調節することで、より厚いかまたはより薄い厚さの壁が形成され得る。同様に、壁厚120は、マンドレル3200に1つ以上のマスクを適用することで特定の位置において変更してもよい。さらに、溶液浴における陽極に対するマンドレル3200の位置も、同様に壁厚に影響を与える。例えば、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの頸部における内部特徴は、拡張可能な本体の湾曲した球状部よりも薄い壁を有してもよい。金属製リング3208を含む頸部を含む頸部116から拡張可能な本体を分けるために頸部領域が切断できるよう、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、頸部領域が意図的により薄く、よってより脆く形成され得る。さらに、または代替的に、線または細片の形態での応力集中リングは、露出した金属のリング状領域において拡張した拡張可能な本体からの送達デバイスまたはカテーテルの分離を手助けするために、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの頸部または近位部208、特に、露出した金属のリング状領域(例えば、リング3208のステンレス鋼部分または頸部116の金部分)において定義されてもよい。そういった応力集中線は、レーザーエッチング、切断や機械加工または研削といったような様々な機械的操作、化学的成形、放電加工、または電解を含む様々な方法で露出した金属のリング状領域へと形成されてもよい。製造の様々な方法において、壁厚及び頸部の公差は、正確に制御され得る。例えば、頸部部分は、管状構造の押し出しで形成され得る。あるいは、頸部部分は、心なし研削で形成され得る。
【0148】
形成後、拡張可能な本体100、140、150、または170A~H及び形成部材3204は、マンドレル基部3202から取り除かれる。ここで、図28における部分断面図に示されるように本体部及び任意的に遠位頸部を含み得る拡張可能な本体の近位頸部の全てまたは一部及び残部を形成し得る金属製リング3208だけを残すように形成部材が取り除かれる。1つの実施形態では、アルミニウム形成部材3204は、化学的及び/または熱浸出またはエッチングによって頸部116を通じて取り除かれる。他の実施形態では、これに限定はされないが、オーガビットでの穿孔といった機械的操作によって穴が頸部116を通じてアルミニウム形成部材3204へと開けられる。穴はアルミニウム形成部材3204を拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hから取り除くための化学的エッチングプロセスを促進し、かつ制御するのに用いられてもよい。形成部材3204の構成の全てが取り除かれることを確実にするために、機械的、化学的、及び熱的方法の組み合わせが用いられるのが好ましい。拡張可能な本体の十分な可塑性または可鍛性を確実にし、かつ、特に拡張可能な本体が残留アルミニウムを含む場合といったような、移植後の任意の毒作用を最小化するために、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hから形成部材3204を完全に取り除くことが望ましい。
【0149】
拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの応力集中領域または表面変化の存在を削減するために、かつ形成部材3204から同心機械痕の移動を削除するために、マンドレル3200及び特に形成部材は、拡張可能な本体の電鋳前に研磨されるかまたは粗研磨されてもよい。未研磨の形成部材3204及び結果得られた金の拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、図29A及び29Bにそれぞれ示される。逆に、研磨され粗研磨仕上げの形成部材3204及び結果得られた金の拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、図29C及び29Dにそれぞれ示される。1つの実施形態では、形成部材3204を研磨することで16μインチRaの表面仕上げが得られる。
【0150】
一度形成部材3204が拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hから取り除かれると、拡張可能な本体は、拡張可能な本体の柔軟性を向上するためにアニーリングプロセスを受けてもよい。1つの実施形態では、拡張可能な本体は、おおよそ300℃でおおよそ1時間熱され、その後直ちに室温の蒸留水浴内にて急冷される。他の実施形態では、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、最初のアニーリングプロセスの後に折られるかまたは変形され、その後1回以上のさらなるアニーリングプロセスを受ける。さらなる実施形態では、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、外面をパリレンといったようなポリマーでのコーティングを含むコーティングを受け、その後1回以上のさらなるアニーリングプロセスを受ける。
【0151】
拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの内面及び外面は、残存する任意の汚染物質を製品から取り除くために洗浄されてもよい。例えば、1つの実施形態では、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、おおよそ10分間イソプロピルアルコール浴を含む超音波洗浄機内に置かれる。拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、その後浴から取り出され、拡張可能な本体の内部に残存する任意の汚染物質を取り除くために蒸留水を注入される。任意的に、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、おおよそ90℃に保たれた真空オーブン内で乾燥されてもよい。様々な実施形態では、拡張可能な本体の外面、及び任意的に内面は、配置の間に患者に望ましくない反応を引き起こす可能性を削減するために、白金でめっきされてもよい。これは、拡張した拡張可能な本体の主本体部または遠位頸部の表面上に電解の可能性を削減することを含む。
【0152】
図16D、30A、及び30Bに示されるように、ボールステント100の外面106、内面106、またはその両方は、パリレンまたはアクリルポリマーといったようなポリマーでコーティングできる。ポリマーは、蒸着、または他の方法で予め形成された材料を望ましい配向へと組み込むことで加えることができる。いくつかの実施形態では、頸部116の少なくとも一部または金属製リング3208の内面3304はコーティングされない。1つの実施形態では、ボールステント100は、非金属製コーティングが適用された後、前述のように少なくとも一度アニーリングされてもよい。
【0153】
拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの実施形態では、壁102は、白金といったような電解中に非常に反応しない材料で構成され、頸部116または118の内部及び外部がコーティングされる一方で、残りの表面はコーティングされない。同様に、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hが電解以外の操作によって分離されるといういくつかの実施形態では、内面106のみが非金属製コーティングでコーティングされてもよい。
【0154】
いくつかの実施形態では、コーティング後、図30C~Fに示されるように、金属面を片またはリング形態で露出するようにポリマーコーティングの一部は外面3300から取り除かれる。他の実施形態では、露出した金属面は、コーティング前にこの領域をマスキングすることで形成されてもよく、その後マスキング材料は取り除かれる。電解は、拡張した拡張可能な本体を頸部3300の残部及び露出した金属面を含む領域で送達カテーテルから分けるために用いることができる。分離位置(すなわち、細片またはリング形態で露出した金属面)3302の幅Wは、約0.1mmと約0.4mmの間の範囲であってもよい。分離位置3302は、頸部116の長さN1に沿う任意の場所に配置されてもよい。いくつかの実施形態Wは、金属製リング3208で形成された頸部の領域内に配置されてもよい。1つの特定の実施形態では、分離位置3302の露出した片は、0.25mm±0.03mmの幅Wを持ち、頸部116の端部からおおよそ0.51mm±0.03mmの長さN5に配置される。金属製細片は、これに限定はされないがレーザーエッチングまたはレーザー切断を含む任意の適切な方法で露出されてもよい。他の実施形態では、分離位置3302の金属製細片は、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの折り畳みまたは圧縮の前後に露出されてもよい。限定されるものではないが実施例として、1つの実施形態では、領域3302の露出した金属は金であるが、一方で他の実施形態では露出した金属はステンレス鋼である。他の実施形態では、分離位置3302は、拡張可能な本体の電鋳の前に拡張可能な本体の頸部を最終的に形成するステンレス鋼の金めっき部分をレーザーエッチングすることで形成されてもよい。好適な実施形態では、頸部316は、23μm±5μmの平均壁厚を持ち、レーザーエッチングされた分離位置3302は、約15μmの平均壁厚、約125μmの幅を持ち、頸部116の端部から約1mmに配置される。この実施形態では、レーザーエッチングされた部分は、電鋳プロセス中に続いてマスキングされる。
【0155】
様々な実施形態では、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの壁102は、図16Bに示されるように、複数の微細穿孔1300を作り出すために穿孔される。限定されるものではないが実施例として、微細穿孔1300は、壁102をレーザー貫通することで作り出されてもよい。微細穿孔1300または孔は、おおよそ1~500μmの範囲の直径であってもよく、内部空隙108から外面110へと壁1022の厚さを貫通して延びてもよい。あるいは、微細穿孔された拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、マスキングパターンを用いて、といったように、電鋳プロセス中に形成されてもよい。
【0156】
貫通後、拡張可能な本体面110及び106は、微細穿孔1300を完全には覆わないポリマーでコーティングされてもよく、それにより内面と外面の間にチャンネルを残す。あるいは、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、コーティング後にレーザー貫通してもよい。微細穿孔1300は、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの内部空隙108と拡張可能な本体の外部環境の間で流体交換を可能にする。
【0157】
図16C~Dに示されるように、様々な実施形態では、外層104は、さらなる電気めっきまたは電鋳で、蒸着で、またはスパッタ堆積で、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの中心層122の外側に形成されてもよく、材料は目的(例えば、金属または合金)から腐食され、その後基材(例えば、マンドレルまたは型)上へと堆積し、基材上に薄層を形成する。同様に、内層214は、さらなる電気めっきまたは電鋳で、蒸着で、またはスパッタ堆積で、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの中心層122の内部に形成されてもよい。
【0158】
様々な実施形態では、さらなるポリマーコーティングは、壁102の強度及び柔軟特性を修正するために拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hに適用される。例えば、ポリマーは、壁にさらなる強度または柔軟性を供給するために、浸漬、スピン、またはスプレーコーティングを介して、または特定のポリマーに特化した堆積プロセスを通じて適用されてもよい。さらなるコーティングは、とりわけ、パリレン、生体的合繊ポリウレタン、PTFE、及びシリコーンであってもよい。1つの実施形態では、このコーティングは、機械的または化学的テンプレートを用いることで、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの頸部116または118に限定できる。様々な実施形態では、詳細な形状及びデザインは、さらに折り畳み形状を持つ壁特性を最適化するために強化コーティングへとレーザーエッチングできる。さらに、必要のない領域における強化コーティングの除去は、折り畳まれ、かつ巻かれた拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの最終直径から不必要な材料をさらに取り除くであろう。
【0159】
拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの主本体部の壁102は、頸部116とは異なる方法で形成されてもよい。図16C~Dに示されるように、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの中心層122は、外層またはコーティング104または内層またはコーティング214とは異なる方法で形成されてもよい。様々な実施形態では、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、壁102及び/または外層104を形成するために望ましい構成で1枚以上の金属シートを操作し、かつ固定することで形成されてもよい。これらの2次元シートは、ゴム、プラスチック、ポリマー、織られたか編まれたファイバー材料、または他の材料、またはそれらの組み合わせをさらに含んでもよい。限定されるものではないが実施例として、1枚以上の金属の2次元シートは、拡張可能な本体の形状へと折り畳まれ、溶接、蝋接、接着、または一緒に結合されてもよい。同様に、材料の2次元シートは、外層104または内層214を形成するために操作され、かつ固定されてもよい。
【0160】
他の実施形態では、図2A、2B、5A、及び5Bに示されるように、ステンレス鋼(SST)リング250は、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの形成後に溶接で近位頸部116に取り付けられる。他の実施形態では、全頸部116はステンレス鋼であってもよく、拡張可能な本体の形成中かまたは本体への溶接に続いて組み合わせられてもよい。SSTリング250またはSST頸部116は、これに限定はされないが、300シリーズのステンレス鋼または400シリーズのステンレス鋼及び好ましくは304、316、316L、または316LVMステンレス鋼を含む生体適合性ステンレス鋼合金から構成されてもよい。
【0161】
SSTリング250は、電解により引き起こされる電解腐食により感応するSSTリングを作るために1つ以上の熱処理プロセスを受けてもよい。よって、熱処理プロセスは、SSTリング250がより容易に切断できるようにし、それによって送達カテーテルから拡張可能な本体を分離するのに必要な時間を削減する。1つの態様では、SSTリングは、SSTリングの表面をレーザーエッチングすることで熱される。SSTリング250は、リングを近位頸部116に取り付けるための溶接プロセスによって同様に熱される。溶接またはレーザーエッチングの熱処理は、SSTリング250を電解の電解腐食に感応させることができると見なされている。
【0162】
1つの実施形態では、SSTリング250は、図2A~B、2D~I、2K~N、2P~Q、6A~D、8G~K、8P、10C、及び14Bに示されるように、細長い電解セグメント260に含まれてもよい。この実施形態では、電解セグメント260は、陰極リング262及び電解のための陽極として機能するSSTリング250の少なくとも一部を含むよう修正されてきた送達カテーテル400の遠位部に取り付けられたカテーテルまたはガイドワイヤに類似したコイルセグメントである。図23H~Iに関連して以下に記述される熱硬化性ポリマーセグメント1020に類似して、電解セグメント260は、リング陰極電極262とSSTリング陽極250を分ける絶縁コーティング264を含む。他の実施形態では、電解セグメント260は、独立して製作されてもよく、その後任意の適切な方法を用いて送達カテーテル400へと固定されてもよい。限定されるものではないが実施例として、電解セグメント260を送達カテーテル400へと固定する方法は、溶接、はんだ接合、または接着を含んでもよい。
【0163】
中空の金属製の拡張可能な本体は、1つ以上のアニーリングプロセスを受けてもよい。アニーリングプロセスは、頚部セグメントの前後に発生してもよく、ステンレス鋼が拡張可能な本体に溶接されるかあるいは結合されることを含む。アニーリングプロセスは、折り畳み、巻き込み、または圧縮の前後に発生してもよい。金属製の拡張可能な本体の内面及び外面は、パリレンといったようなポリマーを含む電気的に絶縁材料である金属製または非金属製材料でコーティングされてもよい。金属製の拡張可能な本体の内面及び外面は、これに限定はされないが、金を含む貴金属といったような電解または電解腐食にあまり影響を受けない金属製または非金属製材料でコーティングされるかまたは部分的にコーティングされてもよい。金属製本体は、電気的に絶縁材料のコーティングを含むコーティングが適用される前後にアニーリングされてもよい。金属製の拡張可能な本体は、金属製の拡張可能な本体が送達可能な(すなわち、圧縮されたか、折り畳まれたか、プリーツ状にされたか、折り畳まれたか、巻かれたか、束ねられたか、引き伸ばされたか、あるいは拡張していないか)構成であると見なされることが起こる前後にアニーリングされてもよい。
【0164】
拡張可能な本体送達デバイスとしての単一内腔カテーテル
図10Aは、医療用デバイス500の送達カテーテル部分400の単一内腔カテーテルの縦方向図を描写し、図20Aは、単一内腔カテーテルの横断面図を描写する。図11A~Fに示されるように、単一内腔の実施形態に関して、送達カテーテル400は圧縮したボールステント100を嚢状動脈瘤700の内腔701へと送達するためにガイドカテーテル800の内腔を通じて移動する。この単一内腔実施形態に関して、送達カテーテル400は、ガイダンス部材またはガイドワイヤの経路を確保できるよう寸法決めされた内腔を定義する中空の円筒状部材を含まない。
【0165】
送達カテーテル300、352A~B、または400の寸法決めは、治療される動脈瘤のサイズ及び血管系の動脈瘤の位置に基づく設計選択の問題である。治療される動脈瘤と血管系へと医療用デバイスを挿入する位置の間の距離は、一部においては、送達カテーテル300、352A~B、または400の長さを決定する。送達カテーテルは、約5cm~約300cmの範囲の長さであり、好ましい範囲は約75cm~約225cmである。医療用デバイスが血管系に挿入される位置と治療される動脈瘤の間の経路における最小直径血管セグメントは、一部においては、送達カテーテル300、352A~B、または400の直径を決定する。送達カテーテルは、2Frと7Frの範囲の直径であり、好ましい範囲は2Fr~5Frである。
【0166】
図10B~Cは、医療用デバイス500の送達カテーテル部分400の単一内腔実施形態の縦方向図を描写する。図10Bは、圧縮した形状のボールステント100を持つ医療用デバイス500の単一内腔実施形態の縦方向図を描写する。図10Cは、拡張した形状のボールステント100を持つ医療用デバイス500の単一内腔実施形態の縦方向図を描写する。
【0167】
いくつかの実施形態では、図10B~Cに示されるように、送達カテーテル400の近位端は、シリンジ314(図示せず)またはポンプ(例えば、Karl StorzによるEndoflator(登録商標)、図示せず)といった液状媒体源を、送達カテーテルの近位端から拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの中心空隙または空間へと液状媒体を送るよう構成された中空の円筒状部材の内腔312へと接続するためのルアーロックまたはルアースリップ式接続を促し得るハブ3408を伴って構成される。図22に示されるように、送達カテーテル400の内腔312は、シリンジ314といった液状媒体源に、メス型ルアー接続金具2802を通じて接続される。活栓2804またはフロースイッチは、送達カテーテルを出入りする液状媒体の移動におけるより良い制御を可能にするために、液状媒体源と送達カテーテル400の間に配置されてもよい。
【0168】
図17Eに示されるように、1つの実施形態では、単一内腔送達カテーテルは、動脈瘤700の内腔701内にボールステント100を配置するのに用いることができる。この実施形態に関して、任意的な取り外し可能なワイヤまたは閉塞具404は、送達カテーテルから取り除かれる。取り外し可能なワイヤまたは閉塞具404は、ハンドル408または挿入及び取り除きを促すための他のデバイスを含んでもよい。その後、シリンジ314(図示せず)またはポンプ(例えば、Karl StorzによるEndoflator(登録商標)、図示せず)といった液状媒体源は、ハブ3408に接続でき、液状媒体は、シリンジ314からボールステント100の中心空隙または空間108へと圧力で移動でき、動脈瘤700の内腔701内にボールステントの膨張または拡張及び動脈瘤嚢の全てまたは一部を実質的に満たすことをもたらす。水(純水を含む)、生理食塩水、といった液状媒体、X線造影剤の溶液、またはトロンビンといった薬物の溶液などの液状媒体は、圧縮したボールステント100を拡張するのに用いることができる。図17Eに示されるように、ボールステント100の膨張または拡張後に、コイル、補助コイル、拡張ワイヤ、または拡張性構造1204は、ボールステント100の中心空隙内へと置かれ得る。
【0169】
様々な方法及びデバイスは、送達カテーテル400をボールステント、ブロックステント、または拡張可能な本体から分けるのに用いることができる。図9、10B~C、及び23Aに示されるように、1つの実施形態では、送達カテーテル300または400は、1つ以上の電解ワイヤ(複数可)320または絶縁導体ワイヤ(複数可)を含む。この実施形態に関して、ボールステント100の拡張後、電解によってボールステント100の近位頸部の一部(ステンレス部を含む)を分解するために、電流が電解ワイヤ(複数可)320または絶縁導体ワイヤ(複数可)に適用される。代替的実施形態では、電流は、ボールステント100と送達カテーテル300または400の間のステンレス鋼のリング250の一部を分解するため、または電解によってボールステントの近位領域の一部を分解するために適用されてもよい。これらの実施形態のいずれにおいても、直流(DC)が用いられてもよい。近位頸部の一部、ステンレス鋼のリング250、またはボールステント100の近位領域が一度分解または腐食すると、送達カテーテル300または400は、拡張したボールステント及び送達カテーテルから分けられ、ガイドカテーテル800が取り除かれる。
【0170】
図23B~Cに説明されるように、様々な実施形態では、単一内腔カテーテル1000は、より完全に以下に説明されるような電解を行うための導電経路(複数可)を供給するために、1つ、2つ、または3つの電気的導体(例えば、ワイヤまたはケーブル)で構成されるコイル補強された壁1002を有する。1つの実施形態では、壁1002の外面1004は、ポリイミドで構成され、親水性または潤滑性コーティングを有するが、一方で導電経路(複数可)は、0.001インチ×0.003インチの平らなステンレス鋼のコイル1006を含む。導体コイル(複数可)1006は、図23B~Fに示され、電解を行うことに関して以下に記述されるように、1つ、2つ、または3つの導体配置1008で構成できる。コイル1006の導体及び任意の他の導体は、直線状か、編組か、またはコイル状であってもよい。導体コイル1006によって定義される導電経路は、パリレンといった絶縁ポリマーにコーティングされるが、一方で内腔1012は、ポリイミド/PTFEといったPTFE複合体を含むPTFEで裏打ちされ得る。
【0171】
特定の実施形態では、取り外し可能なコアを持つ修正された注入ワイヤは、単一内腔送達カテーテルとして用いることができる。注入ワイヤは修正されたガイドワイヤであり、固体の金属コアは液状媒体を注入するのに用いられ得る内腔を残すよう取り除かれ得る。拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hが、遠位端に取り付けられ、コアワイヤの取り除き後にワイヤ内腔を通じて拡張することができるように、取り外し可能なコアを持つ注入ワイヤは、修正できる。
【0172】
いくつかの実施形態では、送達デバイスの内面または外面の全てまたは一部は、親水性または潤滑性コーティングでさらにコーティングできる。他の実施形態では、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの全てまたは一部は、親水性または潤滑性コーティングで同様にコーティングできる。
【0173】
拡張可能な本体送達デバイスとしての複数内腔カテーテル
図13及び図20Bに示されるように、送達カテーテル300は、図14A~B及び15A~Fから理解できるように、医療用デバイスのボールステント100コンポーネントの所望の位置への誘導を補助するガイドワイヤ302といったガイダンス部材を受けるための第2内腔324を定義する追加の中空の円筒状部材を含んでもよい。この第2内腔324は、第1内腔312に通常隣接し、かつ平行である。図13及び20Bに示されるように、送達カテーテル300は、送達カテーテルの近位端における液状媒体源から送達カテーテルの遠位端におけるボールステントの中心空隙または空間108へと液状媒体の通過を可能にするよう構成された1つの内腔312、及び血管系における医療用デバイスの前進及び配置を促すためのガイドワイヤ302といったようなガイダンス部材を受けるよう構成された他の内腔324、を持つ2重内腔カテーテルであってもよい。特定の実施形態では、ガイダンス部材を受けるよう構成された内腔324の遠位端は、近位ハブから送達カテーテルの遠位端へと通る送達カテーテルの一部として、または送達カテーテルの遠位端に連結されるかまたは結合される個別要素のいずれかとして図2B~C、2E、2G、2L~N、2O~P、8H、8J~O、及び8R~Sに示されるようなブリッジカテーテル160に類似した、ブリッジカテーテルによって定義されてもよい。前述のように、このガイダンスカテーテルは、ガイドワイヤ、ガイダンス部材、コイル、補助コイル、または補助コイルカテーテルが送達カテーテルのハブを通じて通過し、医療用デバイスの遠位端を出ることができるよう、近位頸部を通過し、拡張可能な本体の空隙を通じて、かつ遠位頸部へと動作可能なように連結でき、動脈、静脈または他の生体導管内でのガイドワイヤまたはガイダンス部材の配置を含み、さらに嚢状動脈瘤の内腔内でのコイルまたは補助コイルの配置を含む。
【0174】
図20Bに示されるように、送達カテーテル300は、それぞれが内腔を持つ2つの中空の円筒状部材を含み、中空の円筒状部材304または306は、約0.05mmから約0.25mmの範囲の壁厚を持つ。好ましくは、中空の円筒状部材304または306の壁厚は約0.1mmから約0.2mmの範囲である。ガイドワイヤ302を受けるための中空の円筒状部材304によって定義される内腔は、約0.25mmから約0.5mmの範囲の直径を持つ。ボールステント100へと液状媒体を通過させるための内腔の直径及びガイダンス部材324を受けるための内腔の直径は、同じような寸法であってもよい。あるいは、ボールステント、ブロックステント、または拡張可能な部材へと液状媒体を通過させるための内腔の直径は、ガイドワイヤ302といったガイダンス部材を受けるため、またはコイル、補助コイル、または補助コイルカテーテルを受けるための内腔の直径よりも大きいかまたは小さくてもよい。
【0175】
2つの内腔を持つ送達カテーテルに関して、第1及び第2中空の円筒状部材は、同じような寸法であってもよい。あるいは、第2中空の円筒状部材は、ガイドワイヤ、ガイダンス部材、コイル、補助コイル、または補助コイルカテーテルを受けるためにより大きい直径、またはより小さい直径を有してもよい。第2中空の円筒状部材304の近位端は、ハブ3408に係合される。ハブ3408は、ガイドワイヤ302、ガイダンス部材、コイル、補助コイル、または補助コイルカテーテルの第2中空の円筒状部材304への挿入を促す。図13、14A~B、15A~F、及び20Bから理解できるように、いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ302、ガイダンス部材、コイル、補助コイル、または補助コイルカテーテルは、第2中空の円筒状部材304を通じて供給され、送達カテーテル300の遠位端を延びて出て、かつ医療用デバイスの遠位端を同様に出ることができる。ブリッジカテーテルコンポーネントが欠けるそれらの実施形態を含む他の実施形態では、コイル、補助コイル、または補助コイルカテーテルは、第2中空の円筒状部材304を通じて供給され、ボールステント、ブロックステント、または拡張可能な本体の中心空隙内に配置できる。2重内腔送達カテーテルを用いたいくつかの実施形態では、送達カテーテル300は、圧縮したボールステント140が嚢状動脈瘤の内腔内に配置されるまでガイドワイヤ302上を前進する。一度圧縮したボールステント140が所望の位置に来ると、ボールステント140は、ボールステント拡張は部3408に接続されたシリンジ314(図示せず)またはポンプ(例えば、Karl StorzによるEndoflator(登録商標)、図示せず)によって第1中空の円筒状部材306へ供給される液状媒体によって拡張する。水、生理食塩水、といった液状媒体、X線造影剤の溶液、またはトロンビンといった薬物の溶液などの液状媒体は、圧縮したボールステントを拡張するのに用いることができる。ガイドワイヤ302は、好ましくは、ガイドワイヤの遠位先端が動脈瘤、及び血管系へと入るポイントから離れて延び出る近位端に到達するための十分な長さである血管造影ワイヤである。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ302は、直線状かまたは角度のついた遠位先端を持つが、一方で他の実施形態では、ガイドワイヤ302は、かかった応力がなくなった後、先端がJ形状に戻ることができるよう、形状記憶合金または編組金属から一般的に作られる湾曲したJ形状の遠位先端持つ。ガイドワイヤ302の材料及び寸法決めは、横断する血管の直径、長さ、及び蛇行具合に基づき選択されてもよい。一般的に、ガイドワイヤ302は、任意の適切な生体適合性材料から構成されてもよく、約0.012~0.035インチの範囲の外径を有する。一般用途の圧縮した拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの配置に関する1つの実施形態では、ガイドワイヤ直径は、0.018または0.035インチであってもよい。特に小型デバイスを必要とする末梢または蛇行性血管構造の治療に関する他の実施形態では、ガイドワイヤ直径は、0.012または0.014インチであってもよい。
【0176】
図20Cに描写される2重内腔カテーテルの他の実施形態では、送達カテーテル300は、2つの独立した同心カテーテルシャフトの機能を持っていてもよい。外部カテーテルシャフト306(すなわち、送達シャフト)は、配置及び送達の目的のために拡張可能な本体100へと接続する。内部カテーテルシャフト160(すなわち、ガイドワイヤシャフトまたはブリッジカテーテル)は、拡張可能な本体100の頸部116及び118を密閉し、かつ送達カテーテル300及び拡張可能な本体100を通るガイドワイヤ302の通過をスムーズにさせる目的のために、拡張可能な本体100へとスライドする。これらの2つのカテーテルシャフト間の環状隙間が膨張内腔312としての機能を持つ一方、内部カテーテルシャフト160の内部はガイドワイヤ内腔324としての機能を持つ。ガイドワイヤ302が欠如する場合、ガイドワイヤ内腔324は、X線造影剤を注入するのに用いられてもよい。様々な実施形態では、外部カテーテルシャフト306の内径及び内部カテーテルシャフト160の外径または内部カテーテルシャフト160の内径と、ガイドワイヤ302の間の最小隙間は、おおよそ0.004インチである。
【0177】
関連する実施形態では、3重内腔カテーテルが図20Dに描写される。送達カテーテル300は、3つの独立した同心カテーテルシャフトの機能を持っていてもよい。前述の、かつ図20Cにおける機能に加え、送達カテーテルシャフト306を取り囲む分離カテーテルシャフト610がある。これらの2つのカテーテルシャフト間の環状隙間は、X線造影内腔760として機能する。様々な実施形態では、分離カテーテルシャフト610の内径と送達カテーテルシャフト160の外径の間の最小隙間は、おおよそ0.004インチである。分離カテーテルシャフト610は、機械的分離機構に軸力を送るために用いられてもよい。分離後、分離カテーテルシャフト610は、診断に関する、または治療に関する治療に用いることができる。
【0178】
図54Aに示される他の実施形態では、ガイドワイヤカテーテルシャフト160は、薄板状のデザインをしている。外層160Aは、軸方向剛性を追加するためにポリイミドといったようなポリマーを含む。中間層160Bは、ねじれ及び曲げ剛性を追加するために平らなステンレス鋼の編組といった金属編組を含む。内層160Cは、ガイドワイヤカテーテルシャフト160とガイドワイヤ302の間の摩擦を削減するために、PTFEまたはポリイミド/PTFE複合体(例えばインターナショナルワイヤグループによるPD-Slick(商標))といった潤滑性ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤカテーテルシャフト160の内面または外面の全てまたは一部は、親水性または潤滑性コーティングでさらにコーティングできる。
【0179】
図14A~Bは、医療用デバイス500の送達カテーテル部分300の2重内腔カテーテルの縦方向図を描写する。図14Aは、圧縮した形状の拡張可能な本体140を持つ医療用デバイス500の2重内腔実施形態の縦方向図を描写するが、一方で図14Bは、拡張した形状のボールステント140を持つ医療用デバイス500の2重内腔実施形態の縦方向図を描写する。送達カテーテル300は、ボールステント140がガイドワイヤ302上を通り動脈瘤嚢の内腔へと前進するよう用いられる。送達カテーテル300は同様に、動脈瘤700の内腔701内のボールステント140を拡張するために、流体、液体、ガス、固体、またはそれらの組み合わせを送達するよう用いられる。いくつかの実施形態では、送達カテーテル300または400は、1つ以上の電解ワイヤ320(複数可)または絶縁導体ワイヤ(複数可)を含む。これらの実施形態に関して、ボールステント100の拡張後、電解によってボールステント100の近位頸部の一部(ステンレス部を含む)を分解するために、電流が電解ワイヤ(複数可)320または絶縁導体ワイヤ(複数可)に適用される。代替的実施形態では、電流は、ボールステント100と送達カテーテル300または400の間のステンレス鋼のリング250の一部を分解するため、または電解によってボールステントの近位領域の一部を分解するために適用されてもよい。これらの実施形態のいずれにおいても、直流(DC)が用いられてもよい。近位頸部の一部、ステンレス鋼のリング250、またはボールステント100の近位領域が一度分解または腐食すると、送達カテーテル300または400は、拡張したボールステント及び送達カテーテルから分けられ、ガイドカテーテル800が取り除かれる。
【0180】
1つの実施形態では、電解ワイヤ320または絶縁導体ワイヤは、露出した金属面3302を含む、ボールステントの近位頸部の一部に接続されるかまたは電気的に連結される。他の実施形態では、電解ワイヤ320または絶縁導体ワイヤは、接着を含む、溶接、蝋接、またはボールステントと送達カテーテルの間を結合する他の形態に接続されるかまたは電気的に連結される。他の実施形態では、電解ワイヤ320または絶縁導体ワイヤは、露出した金属面3302を同様に含む、ボールステント140の他の部分に接続されるかまたは電気的に連結される。
【0181】
図10B~C、13、14A~B、15A~F、及び17Oに関連して以下に説明されるような「オーバー・ザ・ワイヤ」ボールステント医療用デバイス500の様々な実施形態では、拡張可能な本体100または140は、嚢状動脈瘤700を閉塞するのに用いられる。始めに、ガイドワイヤ302が、図15Aに示されるように動脈瘤の嚢、内腔、または空洞701内にその遠位先端が置かれるように配置される。次に、送達カテーテル300または400は、図15Bに示されるように、取り付けられかつ圧縮した拡張可能な本体100または140を、ガイドワイヤ302上を通り動脈瘤の頸部または入口703を通じて前進させる。
【0182】
一度圧縮したボールステント100または140が嚢状動脈瘤700の内腔701内へ置かれると、その後図15Cに示されるように取り除かれる。このポイントでは、圧縮した拡張可能な本体100または140の位置を、蛍光透視法を用いて評価できるように、送達カテーテル300または400のガイドワイヤ内腔を通じてX線造影剤が注入されてもよい。
【0183】
一度嚢状動脈瘤700の内腔701内での拡張可能な本体100の適切な配置ができ、確認されると、その後図15Dに示されるように医療用デバイス500は拡張する。シリンジ314(図示せず)または例えば、Karl StorzによるEndoflator(登録商標)のようなポンプ(図示せず)といった液状媒体源は、ハブ3408に接続され、液状媒体は、ボールステント100または140の中心空隙または空間108へと注入され、動脈瘤の内腔の少なくとも一部を満たすまでボールステントの拡張をもたらす。
【0184】
膨張または拡張後、送達カテーテル300または400は、図15Dにおいて702としてしめされるように、拡張した拡張可能な本体100または140を親血管と動脈瘤の間の開口部703に向かって引き出すために動脈瘤嚢701内で引き戻される。これは、頸部または入口に向かうことを含む。これにより、図15Eに示されるように嚢状動脈瘤700の頸部または入口703に近くで、または隣接して拡張した拡張可能な本体100または140を動脈瘤壁704に接触させる。このポイントでは、拡張した拡張可能な本体100または140の位置を、蛍光透視法を用いて評価できるように、送達カテーテル300または400のガイドワイヤ内腔を通じてX線造影剤が注入されてもよい。コイルまたは補助コイル162は、その後カテーテル300または400を通じて供給され、図15Eに示されるように拡張可能な本体100または140の内部を通じて動脈瘤内腔701内へと送達される。これは、ガイドワイヤ内腔を通じてコイルまたは補助コイルを通すことを含む。補助コイル162は、補助コイルが入口703に対向する動脈瘤壁704と、拡張可能な本体に動脈瘤の入口を密閉させるよう補助コイルが拡張可能な本体上に連続力を加える場所である拡張可能な本体100または140の外面の両方に接触するまで挿入される。このポイントでは、補助コイル162及び拡張した拡張可能な本体100または140の最終位置を、蛍光透視法を用いて評価できるように、送達カテーテル300または400のガイドワイヤ内腔を通じてX線造影剤が再度注入されてもよい。
【0185】
拡張した拡張可能な本体100または140は、その後送達カテーテル300または400から分離され、送達カテーテルは図15Fに示されるように取り除かれる。ボールステント拡張した本体は、動脈瘤の入口703を密閉する場所で嚢状動脈瘤700の内腔701内に残される。同様に、補助コイルは、ボールステントを適所に保持するよう機能する場所で拡張した本体の背後の動脈瘤の内腔内に残される。
【0186】
オーバー・ザ・ワイヤの実施形態は、末梢及び蛇行性の両方である血管構造における脳動脈瘤の治療に特によく適していてもよい。この構造に直面した場合、細長いガイドワイヤ302の先端は、図15Aに示されるように、脳動脈瘤700の内腔701内へと直接配置できる。ガイドワイヤ302は、図15Aに示されるように、動脈瘤の入口703を通じて通るのを補助するよう事前形成された(例えば湾曲したJ形状)遠位端の機能を持ってもよい。
【0187】
図15G~Kに示されるプロセスから理解できるように、オーバー・ザ・ワイヤブロックステント医療用デバイス500の様々な実施形態は、血管802を閉塞するのに用いられてもよい。始めに、ガイドワイヤ302が、図15Gに示されるように閉塞する血管内腔804の目標領域のちょうど遠位にその遠位先端が置かれるように配置される。次に、送達カテーテル300は、取り付けられかつ圧縮した拡張可能な本体100を、図15Hに示されるようにガイドワイヤ302上を通り、図15Iに示されるように血管内腔804の目標領域内へと前進させる。このポイントでは、圧縮した拡張可能な本体100の位置を、蛍光透視法を用いて評価できるように、分離カテーテル610の内腔を通じてX線造影剤が注入されてもよい。
【0188】
一度血管内腔804内での拡張可能な本体100の適切な配置ができ、確認されると、その後図15Jに示されるように医療用デバイス500は拡張する。シリンジ314(図示せず)またはポンプ(例えば、Karl StorzによるEndoflator(登録商標)(図示せず))といった液状媒体源は、ハブ3408に接続され、液状媒体は、ブロックステント100の中心空隙または空間108へと注入され、内腔の目標領域を満たし、血管の管腔表面806に接するまでブロックステントの拡張をもたらす。血管802はここで閉塞される。このポイントでは、圧縮した拡張可能な本体100の最終位置及び血管閉塞の程度を、蛍光透視法を用いて評価できるように、分離カテーテル610の内腔を通じてX線造影剤が注入されてもよい。
【0189】
分離のプロセスは、その後図15J~Kに示されるように実行され、図3F及び9A~Dによって説明される。適所にガイドワイヤ302を適所に残して、送達カテーテル300が取り出され、ブリッジカテーテル160が遠位弁560Aの外に、かつ送達カテーテル300が近位弁560Bの外に引き出されるが、一方で同時に分離カテーテル610の遠位端を近位ノーズコーン362Bに対して保持する。分離カテーテル610の遠位端におけるX線不透過性マーカーバンド620は、分離プロセス中の蛍光視認性を高める。最後に、分離カテーテル610及びガイドワイヤ302が取り出される。ブロックステント拡張した本体100は、永続的閉塞を維持する場所で血管802の内腔804内に残される。
【0190】
様々な方法及びデバイスは、送達カテーテル300または400をボールステント、ブロックステント、または拡張可能な本体100または140から分けるのに用いることができる。図10A~C、及び23Aに示されるように、1つの実施形態では、送達カテーテル300または400は、1つ以上の電解ワイヤ(複数可)320または絶縁導体ワイヤ(複数可)を含む。この実施形態に関して、ボールステント100の拡張後、電解によってボールステント100の近位頸部の一部(ステンレス部を含む)を分解するために、電流が電解ワイヤ(複数可)320または絶縁導体ワイヤ(複数可)に適用される。代替的実施形態では、電流は、ボールステント100と送達カテーテル300または400の間のステンレス鋼のリング250の一部を分解するため、または電解によってボールステント100の近位領域の一部を分解するために適用されてもよい。これらの実施形態のいずれにおいても、直流(DC)が用いられてもよい。近位頸部の一部、ステンレス鋼のリング250、またはボールステント100の近位領域が一度分解または腐食すると、送達カテーテル300または400は、拡張したボールステント及び送達カテーテルから分けられ、ガイドカテーテル800が取り除かれる。
【0191】
2重内腔カテーテルは、より完全に以下に説明されるような電解を行うための導電経路(複数可)を供給するために、1つ、2つ、または3つの電気的導体(例えば、ワイヤまたはケーブル)で構成されるコイル補強された壁を有する。1つの実施形態では、壁の外面は、ポリイミドで構成され、親水性または潤滑性コーティングを有するが、一方で導電経路(複数可)は、0.001インチ×0.003インチの平らなステンレス鋼または銅のコイルを含む。導体コイル1006は、電解を行うことに関して以下に記述されるように、1つ、2つ、または3つの導体配置で構成できる。コイルの導体及び任意の他の導体は、直線状か、編組か、またはコイル状であってもよい。導体コイルによって定義される導電経路は、パリレンといった絶縁ポリマーにコーティングされるが、一方で内腔は、ポリイミド/PTFEといったPTFE複合体を含むPTFEで裏打ちされ得る。
【0192】
いくつかの実施形態では、送達デバイスまたはカテーテルの内面または外面の全てまたは一部は、親水性または潤滑性コーティングでさらにコーティングできる。他の実施形態では、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの全てまたは一部は、親水性または潤滑性コーティングで同様にコーティングできる。
【0193】
拡張可能な本体及び拡張可能な本体用の送達デバイスを含む医療用デバイス
拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、「送達デバイス」または「送達カテーテル」として知られる医療用デバイスの細長い部分によって人体内に前進し配置され、医療用デバイスの細長い部分が柔軟な時に特に用いられる送達カテーテルを伴う。1つの実施形態では、送達デバイスは、少なくとも1つの内腔、または潜在的な内腔を定義する細長い医療用デバイスである。送達デバイスは、近位端及び遠位端を有し、デバイスの近位端における液状媒体源から、送達デバイスの遠位端に取り付けられるかまたは連結する拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの中心空隙または空間108へと液状媒体を送達するよう寸法決めされている。さらに、嚢状動脈瘤の内腔または目標血管の内腔といった血管系の所望の位置に拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hを配置でき、拡張可能な本体の拡張を促し、その後送達デバイスから拡張可能な本体の切り離しを促す医療用デバイスの任意の医療用デバイスまたはコンポーネントは、送達デバイスとして一般に受け入れられる。一般的に、送達デバイスは柔軟なカテーテル(「送達カテーテル」)である。好ましくは、送達カテーテルは、図7、9、及び13に示される送達カテーテル300、352A~B、及び400を含む、血管系の位置にアクセスするのに適した任意の柔軟なカテーテル、中空ワイヤ、取り外し可能なコアワイヤ、またはそれらの組み合わせであってもよい。送達デバイスはさらに、血管系または他の生体導管内の位置にアクセスするのに適した他の任意のタイプのカテーテル、中空ワイヤ、または取り外し可能なコアワイヤ、または代替的に針またはトロッカー、探り針、またはそれらの組み合わせであってもよい。様々な実施形態では、送達デバイスは、取り付けられかつ圧縮した拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hを嚢状動脈瘤の内腔、または動脈または静脈、または生体導管の他の形態の内腔へ運ぶことができるカテーテル300、352A~B、または400である。
【0194】
カテーテルは、流体を注入または離脱できるよう、血管を含む身体の一部へと挿入するよう構成された、柔軟で、管状で、細長い医療用デバイスである。カテーテルは、しばしばポリマーまたはプラスチックで形成され、任意的にコイルまたは補強のための編組構成といった金属をさらに含む。カテーテルは、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hに取り付け可能なように構成でき、動脈瘤嚢の内腔または目標血管または他の生体導管の内腔への圧縮した拡張可能な本体の送達を促し、圧縮した拡張可能な本体の膨張または拡張を促し、拡張した拡張可能な本体から切り離す。いくつかの実施形態では、送達カテーテル300、352A~B、または400は、図10B及び17Aに示されるように、圧縮した形状の取り付けられた拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hを伴って血管系を通り抜けるよう構成できる。拡張後、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、送達カテーテル300、352A~B、または400から切り離され、それにより送達カテーテルが身体から取り除かれる一方で拡張した拡張可能な本体が適所に留まることができる。この方法では、送達カテーテルは、血管または他の生体導管の特定セグメントの内腔へと取り付けられ圧縮された従来の管状ステントの送達を促し、圧縮した従来の管状ステントの拡張を可能にし、かつ拡張した従来の管状ステントから切り離すために従来の剛性管状ステントに取り付け可能なように構成された、血管形成術用バルーンカテーテルに類似している。
【0195】
送達カテーテル300、352A~B、または400は、生体適合性材料から構成される。限定されるものではないが実施例として、送達カテーテル300、352A~B、または400及びそれらの様々なコンポーネントは、シリコーンゴム、天然ゴム、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、コポリエステルポリマー、熱可塑性ゴム、シリコーンポリカーボネートコポリマー、ポリエチレンエチル酢酸ビニルコポリマー(polyethylene ethyl-vinyl-acetate copolymers)、織布ポリエステル繊維、またはそれらの組み合わせで形成されてもよい。1つの実施形態では、使用中に送達カテーテルの制御を向上し、ねじれを減少させるために、送達カテーテル300、352A~B、または400の壁は、コイル状または編組ステンレス鋼またはニチノールとった金属で補強されてもよい。送達カテーテルの補強に適した金属は、ステンレス鋼及びニチノールを含む。
【0196】
図7、9、10B~C、13、14A~B及び23A~Bに示されるように、送達カテーテル300、352A~B、または400は、液状媒体を送達カテーテルの近位端から送達カテーテルの遠位端へ、かつ拡張可能な本体の中心空隙108へと通過させるための内腔を定義する中空の、または潜在的に中空の、円筒状部材を有する。送達カテーテル352A~Bは、圧縮した拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hを所望の位置へ送達し、拡張可能な本体の膨張または拡張を促し、かつ拡張した拡張可能な本体を送達カテーテルから切り離すのを促すために身体内に挿入できるよう設計され、かつ寸法決めされている。単一内腔カテーテル300、352A~B、または400が用いられる時、圧縮した拡張可能な本体は、動脈瘤の内部またはその付近の遠位端または目標血管内の目標位置に配置される独立したより大きいカテーテル、ガイドカテーテル、またはガイドシースを通じて前進した後に嚢状動脈瘤の内腔または目標血管の内腔へ配置されてもよい。一度動脈瘤嚢の内腔または目標血管の内腔に入り、ガイドカテーテルから出ると、圧縮した拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは拡張でき、その後拡張した拡張可能な本体及び送達カテーテル300、352A~B、または400は切り離され得、送達カテーテル及びガイドカテーテルは身体から取り除かれ得るが、一方で拡張した拡張可能な本体は適所に残る。送達カテーテル300、352A~B、または400の中空の、または潜在的に中空の円筒状部材306は、約0.05mm~約0.25mmの範囲の壁厚を有する。好ましくは、中空の円筒状部材306の壁厚は、約0.1mm~約0.2mmの範囲である。拡張可能な本体108の中心空隙または空間への液状媒体の通過を可能にするために中空の円筒状部材306により定義された内腔312は、約0.4mm~約1mmの範囲の直径を有する。中空の円筒状部材306の近位端は、例えば、水、生理食塩水またはX線造影剤溶液を収容するシリンジ314またはポンプ(例えば、Karl StorzによるEndoflator(登録商標))といった加圧液状媒体源と連通するポートまたはハブ3408を含む。拡張可能な本体を拡張するための液状媒体は、ハブまたはポート3408を通じて送達カテーテル300、352A~B、または400へと受けられる。
【0197】
拡張可能な本体を含む医療用デバイス
図31Aは、ボールステントカテーテル3400Aとして用いることができる拡張可能な本体医療用デバイスの実施形態を描写する。示されるように、ボールステントカテーテル医療用デバイス3400Aは、ボールステント100を係合するために遠位端3404において構成される送達カテーテル3402を含む。送達カテーテル3402の近位端3406は、カテーテルを通じてボールステント100と電気通信及び流体連通を可能にするハブ3408に係合される。シリンジ314またはポンプ(例えば、Karl StorzによるEndoflator(登録商標)、図示せず)は、ボールステント100に液状媒体を送達するのに用いられてもよい。デバイス3400Aはさらに、ハンドヘルドコントローラー3418からボールステント100へ電気通信を確立するための電気コネクタまたはポート3422を含む。
【0198】
図31Bは、ブロックステント医療用デバイス3400Bとして用いることができる拡張可能な本体医療用デバイスの実施形態を描写する。示されるように、医療用デバイス3400Bは、拡張可能な本体100を係合するために遠位端3404において構成される送達カテーテル3402を含む。送達カテーテル3402の近位端3406は、カテーテルを通じて拡張可能な本体150と電気通信及び流体連通を可能にするハブに係合される。シリンジ314は、拡張可能な本体150に液状媒体を送達するのに用いられてもよい。デバイス3400Bはさらに、電源(図示せず)から拡張可能な本体150へ送達カテーテルの壁に存在する電解ワイヤまたは導体を通じての電気通信を確立するための電気コネクタまたはポート3422を含む。
【0199】
分離の一時的方法が電解である、単一内腔送達カテーテルを持つ医療用デバイスのためのハブ3408の断面図が図32Aに示される。ハブ3408は、シリンジ314(図示せず)またはポンプ(例えば、Karl StorzによるEndoflator(登録商標)、図示せず)といった液状媒体源を、送達カテーテルの近位端から拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの中心空隙または空間108へと液状媒体を送るよう構成された送達カテーテル3402の中空の円筒状部材の内腔312へと接続するためのルアーロックまたはルアースリップ式接続を促し得るルアーハブまたはテーパーと共に構成された第1接続ポート3410を含む。任意的に、第1接続ポート3410はさらに、ガイドワイヤまたはガイダンス部材を受容してもよい。ハブ3408はさらに、カテーテル3402との電気通信を可能にするよう構成された第2接続ポート3422と共に構成される。例えば、カテーテル3402及び/またはボールステント、ブロックステント、または拡張可能な部材100と電気通信する1つ以上の電解ワイヤ(複数可)320は、ハブ3408のチャンネル3416を通じて第2接続ポート3422へと延びてもよい。あるいは、1つ以上の抵抗ワイヤが、ハブ3408のチャンネル3416を通じて第2接続ポート3422へと延びてもよい。図31A及び33に示されるハンドヘルドコントローラー3418といった電源または電力供給源は、これに限定はされないが、電解または感熱材料の加熱といった様々な機能を実行するためにワイヤ320と通信してもよく、そういった通信は、ハンドヘルドコントローラーの電気コネクタ部分3424とハブ3408の通信ポート3422の連結を通じて起こる。
【0200】
分離の一時的方法が電解である、2重内腔送達カテーテルを持つ医療用デバイスのためのハブ3408の図が図32Bに示される。ハブ3408は、シリンジ314といった液状媒体源を、送達カテーテルの近位端から拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの中心空隙または空間108へと液状媒体を送るよう構成された送達カテーテル3402の中空の円筒状部材の内腔312へと接続するためのルアーロックまたはルアースリップ式接続を促し得るルアーハブまたはテーパーと共に構成された第1接続ポート3410を含む。ハブ3408はさらに、カテーテル3402との電気通信を許可するよう構成された第2通信ポート3422と共に構成される。例えば、カテーテル3402及び/またはボールステント、ブロックステント、または拡張可能な部材100と電気通信する1つ以上の電解ワイヤ(複数可)320は、ハブ3408のチャンネル3416を通じて第2接続ポート3422へと延びてもよい。あるいは、1つ以上の抵抗ワイヤが、ハブ3408のチャンネル3416を通じて第2接続ポート3422へと延びてもよい。図31A及び33に示されるハンドヘルドコントローラー3418といった電源または電力供給源は、これに限定はされないが、電解または感熱材料の加熱といった様々な機能を実行するためにワイヤ320と通信してもよく、そういった通信は、ハンドヘルドコントローラー3418の電気コネクタ部分3424とハブ3408の通信ポート3422部分の連結を通じて起こる。第3通信ポート3410はさらに、ガイドワイヤ302または閉塞具ワイヤ404を受容し、かつ係合するよう構成される。
【0201】
分離の一時的方法が機械的である、2重内腔送達カテーテルを持つ医療用デバイスのためのハブ3408の図が図32Cに示される。ハブ3408は、シリンジ314(図示せず)またはポンプ(例えば、Karl StorzによるEndoflator(登録商標)、図示せず)といった液状媒体源を、送達カテーテルの近位端から拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの中心空隙または空間108へと液状媒体を送るよう構成された送達カテーテル3402の中空の円筒状部材の内腔312へと接続するためのルアーロックまたはルアースリップ式接続を促し得るルアーハブまたはテーパーと共に構成された第1接続ポート3410を含む。第2通信ポート3410はさらに、ガイドワイヤ302または閉塞具ワイヤ404を受容し、かつ係合するよう構成される。
【0202】
分離の一時的方法が機械的である、2重内腔送達カテーテルを持つ医療用デバイスのためのハブ3408の代替的デザインが図32D~Fに示される。ハブ3408は、送達カテーテル306が分離カテーテル610内に挿入された後、Y形状の送達カテーテルハブ670を、オス型及びメス型ルアー接続金具695及び675を介して一緒にロックするY形状の分離カテーテルハブ650と組み合わせる2重ロックタイプである。図32Dは、ハブ3408の組み立てられた構成を示し、図32E~Fは、分離カテーテルハブ650のみを残して解体された構成を示す。ハブ3408はさらに、ブロックステント拡張可能な本体と共に用いるのに適している。様々な実施形態に従って、ハブ650及び670を含むハブ3408のコンポーネントは、コンポーネントの識別及びアクセスを補助するよう色付けされていてもよい。好ましくは、ハブ3408へ進入した血液との混同を防ぐために赤色は避けられる。
【0203】
送達カテーテルハブ670は、膨張内腔として機能するこれら2つのカテーテルシャフト間の環状隙間を持って送達カテーテル306(すなわち、外部シャフト)及びブリッジカテーテル160(すなわち、内部シャフト)に取り付く。送達カテーテルハブ670の基部は、分離カテーテルハブ650を接続するためのオス型のルアースピンロック695の機能を持つ。送達カテーテルハブ670の1つの腕部は、拡張可能な本体150(図示せず)を膨張するのに用いられるシリンジ314またはポンプ(図示せず)(例えば、Karl StorzによるEndoflator(登録商標))といった液状媒体源を接続するためのオス型ルアーロック接続金具680を備える。この腕部はさらに、過膨張から拡張可能な本体150を保護するための圧力開放弁685を備える。送達カテーテルハブ670の他の腕部は、止血方法を含む、ガイドワイヤ302挿入用の内腔として機能する先細のメス型ルアーロック接続金具680を収容する。あるいはこの腕部は、オス型ルアーロック接続金具を持つシリンジまたは他の適切な分注ツール(図示せず)からのX線造影剤の注入のために用いられてもよい。
【0204】
分離カテーテルハブ650は、圧力解放615を介して分離カテーテル610に取り付く。送達カテーテル306と分離カテーテル610間の環状隙間は、X線造影剤を受けるための内腔としての機能を持つ。分離カテーテルハブ650の1つの腕部663は、送達カテーテルハブ670を接続するためのメス型ルアーロック接続金具675を備える。あるいは、拡張可能な本体150の分離及び送達カテーテルハブ670の取り除き後に用いるための止血弁665を収容する。分離カテーテルハブの他の腕部は、X線造影剤を注入するのに用いられるチューブ及び活栓660に取り付けられた側面ポート655を備える。
【0205】
図32Aに示されるように、好適な実施形態では、第2接続ポート3414は、電気端子3422がナット及びハブ3408に固定され得るように、ネジ式ナット3420に結合される。電気端子3422は、1つ以上の導体ワイヤと電気通信し、ハンドヘルドコントローラー3418といった外部電源から電気コネクタを受容するよう構成される。限定されるものではないが実施例として、電気コネクタ3424は、3.5mmのオーディオジャックであってもよい。他の電気コネクタも同様に用いられてもよい。
【0206】
図33に示されるように、ハンドヘルドコントローラー3418は、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hを分離するためにカテーテル3402を通じて電流を送達するためのジャック3424を通じて電気端子3422に接続できる。例えば、1つの実施形態では、カテーテル3402は、図23C及び23E及び23Fにそれぞれ示されるように1つ、2つ、または3つの導体配置1007、1008、及び1010で配置され得る導体コイル1006を含む。様々な導体配置1008及び1010は、強度の補強及びカテーテル3402の長さに沿う導体経路の両方を供給できる。ハンドヘルドコントローラー3418は、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hを以下に説明されるような電解または熱式分離によって分離するために、カテーテル3402を通じて延びる電極1014、1016、及び任意的に1026へと電流または電位を供給する。1つの実施形態では、ハンドヘルドコントローラー3418は、本体3426、バッテリーといった電源供給源、1つ以上の起動ボタン3428、及びコントローラーの状態、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの分離、及びバッテリーといった電源の状態を示す1つ以上の計器3430を含む。
【0207】
図50A~50Fは、補助コイル送達システム(ACDS)900の1つの実施形態を説明する。示されるように、補助コイル送達システム(ACDS)は、補助コイル162及び押し込みワイヤ950と共に事前搭載された補助コイルカテーテル902を含む。示されるように、補助コイルカテーテルの近位端は、外部ハイポチューブ906内で受けられ、かつメス型ルアーロックコネクタ908にさらに係合される。ルアーロックコネクタ908は、様々なポート912~914を通じて補助コイルカテーテルシャフト910及び拡張可能な本体190へのアクセスを供給するYアダプタハブ970にさらに係合する。示されるように、1つのポート912は、押し込みワイヤ950及び押し込みワイヤを受容する内部ハイポチューブ916を受容するよう構成される。1つの態様では、内部ハイポチューブは、ハブ970を通じて前進するにつれての押し込みワイヤ上の接線トルクを最小化するために押し込みワイヤ950に剛性を供給する。
【0208】
1つの実施形態では、押し込みワイヤ950は、ユーザーが押し込みワイヤを前進させるための握りを供給するハンドル918が装着されていてもよい。配置中のトルクハンドルとしての機能をさらに持つYアダプタハブ970と連動して、押し込みハンドル918は、ユーザーにより良い制御を供給する。ユーザーがハブ970を通じて前進させるために押し込みワイヤ950に力を加えるにつれて、押し込みワイヤ及び内部ハイポチューブは、ハブ970を通じて、補助コイルカテーテルシャフト910及び外部ハイポチューブ906へと前進する。補助コイル162を排出するために押し込みワイヤ950が補助コイルカテーテルシャフト910を通じて前進するにつれて、押し込みワイヤの前進中に剛性を供給するために内部ハイポチューブ及び外部ハイポチューブは伸縮方式で一緒に嵌め合わされる。
【0209】
拡張可能な本体を含む医療用デバイスのX線不透過性マーカー
拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hが送達カテーテルから分離されるかまたは切り離される任意の方法に従って、拡張可能な本体の配置、拡張可能な本体の拡張、拡張した拡張可能な本体の送達カテーテルからの分離または切り離し、及び分離または切り離し後の送達カテーテルの取り除きを補助するために、1つ以上のX線不透過性マーカーが、ノーズコーン360または362A~Bに加えて拡張可能な本体または送達カテーテルの適切な部分へと組み込まれてもよい。例えば、分離が起こると見なされるか分離が起こるよう設計された位置を識別するために、X線不透過性マーカーバンドまたはスポットが医療用デバイスへと組み込まれてもよい。加えて、X線不透過性材料が拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hへと組み込まれてもよい。加えて、送達カテーテルが拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hから引き出される間、送達カテーテルの先端が蛍光透視法で可視化できるようにX線不透過性スポットまたはマーカーバンドが送達カテーテルの遠位端に組み込まれてもよい。X線不透過性スポットまたはマーカーバンドはさらに、必要に応じて分離コンポーネントに配置されてもよい。X線不透過性マーカーは、これに限定はされないが、金属バンド、金属スポットまたはライン、またはバリウムのスポットまたはラインを含む様々なX線不透過性材料を備えてもよい。X線不透過性材料は、ポリマー押し出しまたはコーティングに混合されたX線不透過性液体または粒子を含んでもよい。
【0210】
様々な実施形態では、嚢状動脈瘤700または血管は、X線不透過性染料を用いて可視化されてもよい。X線不透過性染料は、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの導入前に注入されてもよく、圧縮したかまたは拡張した本体のおおよそのサイズ及び位置を確認するのに用いることができる。
【0211】
図52A~Bは、ガイドワイヤ302、補助コイル162、または押し込みワイヤ950のいずれかに組み込まれ得るマーカーワイヤ930を説明する。1つの実施形態に従って、マーカーワイヤ930は、白金、イリジウム、バリウム、金、タンタル、ステンレス鋼、及びそれらの合金といったX線不透過性材料を備える。1つの実施例では、マーカーワイヤ930は白金を備え、直径はおおよそ0.004~0.005インチであり、長さは0.075インチである。
【0212】
マーカーワイヤ930は、ガイドワイヤ302、補助コイル162、または押し込みワイヤ950と同軸上に整列する。例えば、図52Bは、ACDS900の実施形態内に配置されるような、かつC-C線に沿って見られるマーカーワイヤ930を持つ例示的補助コイル162の断面図である。マーカーワイヤ930は、少なくとも一部はマーカーワイヤ及びガイドワイヤ302、補助コイル162、または押し込みワイヤ950の長さに沿って適用されたPTFEシース932によって適所に保持される。1つの態様では、PTFEシース932は、熱されて収縮し、マーカーワイヤ930及び関連するコイルまたはワイヤに適合するシュリンクフィルムである。
【0213】
図53A~53Cは、本明細書に開示されるワイヤ、カテーテル、または配置システムのいずれかを係合し得るマーカーバンド920を説明する。これに限定はされないが、送達カテーテル220、または補助コイル162を含む。1つの実施形態に従って、マーカーバンド920は、白金、イリジウム、バリウム、金、タンタル、ステンレス鋼、及びそれらの合金といったX線不透過性材料を備える。マーカーバンド920は、ワイヤ、カテーテル、または配置システムのいずれかの外部に係合される。例えば、図53Cは、ACDS900の実施形態内に配置されるような、かつD-D線に沿って見られるマーカーバンド920を持つ例示的補助コイル162の断面図である。1つの実施例では、マーカーバンド920は白金イリジウム合金を備え、直径はおおよそ0.006インチ、厚さは0.010インチであり、長さはおおよそ0.068インチである。
【0214】
マーカーバンド920は、PTFEシュリンクラップシース932により少なくとも一部が適所に保持される。他の実施例では、マーカーバンド920は、ワイヤ、カテーテル、または配置システムを受け、かつそれらの外面に係合される管状構成によって定義されてもよい。
【0215】
送達可能な構成への拡張可能な本体の配置
血管系を通じて拡張可能な本体の前進を促すために、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、様々な形状及び寸法へと圧縮することができる。任意的に、この圧縮は折り畳みまたはプリーツ加工の様々な形状及びパターンを含むことができる。例えば、1つ以上のプリーツは、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hに作られることができ、その後プリーツは円筒状へと巻かれることができる。あるいは、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、平面状に平らにされてもよく、その後円筒状へと丸められる。あるいは、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、コンパクトな球状へと圧縮されてもよい。加えて、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの一部は、圧縮中にねじれてもよい。特定の実施形態では、拡張可能な本体は、図14Aのように送達カテーテル300の周囲に圧縮されてもよい。他の例では、拡張可能な本体は、図10Bのように閉塞具404の周囲に圧縮されてもよい。他の実施形態では、拡張可能な本体は、ガイドワイヤの周囲に圧縮されてもよく、これは、単一内腔の送達カテーテルを持つ医療用デバイスの実施形態を含む。ここで、単一内腔は、膨張または拡張のために拡張可能な本体の中心空隙に流体を送達すること、及びガイドワイヤまたはガイダンス部材を受けることの両方に用いられる。他の実施形態では、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、中心カテーテル、閉塞具、またはガイドワイヤがなしで、自身の上に圧縮してもよい。
【0216】
図32Gに示される他の実施形態では、送達カテーテルシャフト3402は、自身の近位端にハブ3408との通信における圧力解放3403を有してもよい。この圧力解放は、送達カテーテルシャフト3402ならびにその内部に挿入されたガイドワイヤカテーテルシャフト160の、それらの近位端でのねじれを防ぐ。この配置は、シングル、2重、及び3重内腔設計及び機械的及び電解を含む分離の様々な方法を含む送達カテーテルの様々な実施形態と共に用いるのに適している。
【0217】
図19Aでは、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、送達カテーテル300の円筒状部材304の周囲にプリーツ加工され、折り畳まれ、かつ巻かれてくる。そういった中空の円筒状部材は、ブリッジカテーテル160に類似したブリッジカテーテルを含む。そういった実施形態はさらに、送達カテーテルに対して折り畳まれかつ巻かれた拡張可能な本体の圧縮を含んでもよい。図19Bでは、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、中空の円筒状部材または送達カテーテルの周囲に巻かれることなくプリーツ加工され、かつ巻かれる。他の実施形態では、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、プリーツ状に折り畳まれ、その後図19Cに示されるように、折り畳まれた拡張可能な本体のプリーツは、閉塞具、取り外し可能なワイヤ、ガイドワイヤ、またはガイダンス部材304の周囲に巻かれる。そういった実施形態はさらに、閉塞具、取り外し可能なワイヤ、ガイドワイヤ、またはガイダンス部材304に対して折り畳まれ、かつ巻かれた拡張可能な本体の圧縮を含んでもよい。他の実施形態では、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、プリーツ状に折り畳まれ、その後図19Dに示されるように、プリーツ状の折り畳みは、中心固視点として動作する取り外し可能なワイヤ、閉塞具、ガイドワイヤ、ガイダンス部材またはカテーテルなしでも略円筒状へと丸められる。
【0218】
様々な実施形態では、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、送達カテーテル300、400へ取り付けられ、その後プリーツが形成され、かつその後プリーツ状の折り畳みは、送達カテーテル300、閉塞具404、またはガイドワイヤ上へと巻かれ、圧縮される。他の実施形態では、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、最初にプリーツを形成するよう折り畳まれ、その後送達カテーテル300、400へ取り付けられ、かつその後プリーツ状の折り畳みは、送達カテーテル300、閉塞具404、またはガイドワイヤの外面へと巻かれ、圧縮される。他の実施形態では、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、日本の折り紙に類似した方法で様々な形状へと折り畳まれ、圧縮されてもよい。
【0219】
拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、非対応の血管形成拡張可能な本体の折り畳みに類似してさらに折り畳まれ、丸められ、かつ圧縮され得る1つ以上のプリーツを形成するよう折り畳まれてもよい。様々な他の実施形態では、プリーツ状の拡張可能な本体は、柔軟なガイドワイヤの端部に嵌め合うよう折り畳まれ、かつ圧縮され、独立カテーテルの中空の円筒状部材内を移動する。拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、任意の適切な配置及び方法を用いて折り畳まれ、かつ圧縮されてもよい。送達構成にある時、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの表面は、滑らかであることが望ましい。特定の実施形態では、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの折り畳みは、均一な折り畳みをもたらすことが望ましい。
【0220】
様々な実施形態では、摩擦を低減し、本体及び周辺組織の損傷リスクを減少し、圧縮したデバイスの形状を最小化するために、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、折り畳み、巻き、及び圧縮の前に潤滑性流体で満たされてもよい。潤滑性流体は、生体適合性かつ血液適合性であることが好ましい。
【0221】
拡張可能な本体の拡張
拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hを拡張または膨張させるために、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの中心空隙または空間108は、流体またはゲル、もしくはそれらの組み合わせまたは固体(すなわち、固形物、格子、顆粒状粒子、またはそれらの組み合わせ)で満たされ得る。拡張、膨張、及びそれらの形状の用語は、拡張可能な本体を送達または送達可能な構成から拡張したかまたは少なくとも部分的に拡張した構成へと変化する動作を指すことに置き換え可能に用いられてもよい。液状媒体は、塊を分離することなく容易に移動し、かつその相対位置を変える粒子を持つ物質である。拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの拡張に用いられ得る液状媒体は、液体、ガス、ゲル、及びそれらの組み合わせを含む。限定されるものではないが実施例として、液状媒体は、水、生理食塩水溶液、X線造影剤溶液、またはそれらの混合物であってもよい。1つの実施形態では、液状媒体はさらに、薬剤の溶液または混濁液、薬理活性分子、または医薬製剤を含んでもよい。
【0222】
様々な実施形態では、多層構造を含む拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの形状及び構造は、患者由来でないいかなる支持構造を用いなくても、拡張可能な本体に膨張したかまたは拡張した構成を維持させる。例えば、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの膨張に用いられる液状媒体、及び任意的に患者からの血液は、内部空隙108を満たし、かつボールステント、ブロックステント、または拡張可能な本体を拡張した構成に維持させる。加えて、これに限定はされないが、血栓及び組織の内部成長を含む患者由来の支持構造は、拡張時に拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの構造的完全性を支持し、かつ維持してもよい。
【0223】
図17A~Bに示されるように、1つの実施形態では、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、血管1202及び1203の接続部付近に位置する嚢状動脈瘤700を密閉するのに用いられてもよい。示されるように、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、嚢状動脈瘤700の開口部703を密閉するために送達カテーテル352Aを通じ、かつ拡張した拡張可能な本体を通じる経路によって動脈瘤へと導入されるコイルまたは補助コイルを用いて送達カテーテル352Aによって配置され、膨張されてもよい。コイルまたは補助コイル162は、嚢状動脈瘤700の壁(親血管1202及び1203から動脈瘤703への開口部に対向する壁を含む)ならびに拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの外部に接する。ここで、コイル162は、705によって示されるように、開口部に対して拡張可能な本体に圧力をかけるよう開口部703に向けて拡張可能な本体上に力を加える。結果として、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、706で示されるような動脈瘤に入る血流を防ぐ。1つの態様では、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、補助コイル162の導入前に完全に拡張してもよい。他の態様では、補助コイル162は、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの膨張前に、少なくとも部分的に導入されてもよい。さらに他の態様では、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの拡張及び補助コイル162の導入は、同時に、または代替的インクリメンタル方式で起こってもよい。特定の実施形態では、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの膨張または拡張及びコイルまたは補助コイル162の挿入後に、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、露出したステンレス鋼のリング状領域を含む近位頸部250の一部を腐食させる電解によって送達カテーテル352Aから分離される。
【0224】
1つの実施形態では、複数のコイルまたは補助コイル162(複数可)は、嚢状動脈瘤700内に配置されてもよい。図17Cに示されるように、1つの実施形態では、1つ以上のコイルまたは補助コイル162は、動脈瘤の内腔、空隙、または空洞内に配置されるが、一方でコイルの他の部分は拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの空隙内に配置される。例えば、拡張可能な本体の膨張または拡張後、補助コイル送達カテーテル352Bは、送達カテーテル352Aを通じ、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hを通じて、嚢状動脈瘤700の内腔内へと完全に挿入されてもよく、補助コイル162は、嚢状動脈瘤700の満たされていない部分へと挿入されてもよい。コイル送達カテーテル352Bは、その遠位端が拡張可能な本体100、140、150、または170A~H内に位置するようにその後取り出され、補助コイル162または他の補助コイルの残部が拡張可能な本体と共に配置される。拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの内部及び外部の両方の補助コイル162の配置は、嚢状動脈瘤700内の拡張可能な本体の一部を安定化し、かつ維持するよう機能してもよい。
【0225】
他の実施形態では、複数の強磁気性補助コイルが拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hをコイルの磁力で動脈瘤内に安定化するよう配置され得るように、補助コイル162は磁気性であってもよい。例えば、図17Dに示されるように、第1磁気性補助コイル162Aは、前述のように膨張した拡張可能な本体100、140、150、または170A~H内に配置されてもよい。磁気性コイルは、磁気ナノ粒子(MNP)でコーティングされたニチノールまたはステンレス鋼のコイルを含んでもよいかまたは磁気性コイルはMNPsが組み込まれたポリマーコイルであってもよい。MNPsは、アルギニンーグリシンーアスパラギン(RGD)ペプチド、フィブロネクチン、またはデキストラン、またはそれらの組み合わせでコーティングされたイオン、ニッケル、またはコバルトを含んでもよい。1つ以上の他の強磁気性補助コイル162Bは、嚢状動脈瘤700の頸部または開口部703内にその後配置される。強磁気性コイルは、410シリーズ、416シリーズ、420シリーズ、及び440シリーズのステンレス鋼を含む磁気性ステンレス鋼合金を含んでもよい。補助コイル162Bは、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの配置後、頸部または開口部703の任意の残りの空間を満たし、かつ閉塞する。1つの態様では、補助コイル162A~Bは、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの外面に引きつけられ、かつ接触する。他の態様では、補助コイル162A~Bは、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの壁を通じて互いに引きつけ合う。磁気的かつ強磁気的コイルの設計は、磁気共鳴(MR)環境への安全性及び適合性のために最適化されてもよい。
【0226】
様々な方法及びデバイスが、補助コイル162を送達するのに用いることができる。補助コイルは、押し込み可能なタイプまたは分離可能なタイプのいずれかであってもよい。補助コイル162が押し込み可能なタイプである場合、1つの実施形態では、補助コイル送達カテーテル352Bからは流体の注入により取り出される。図17Oに示されるように、補助コイル送達カテーテル352Bの1つの実施形態は、示されるようにその遠位端におけるX線不透過性スポットまたはマーカー355の機能を持つ。このマーカー355は、コイル配置の間、カテーテル先端の蛍光視認性を高めるためのものである。マーカーは、バリウム、または金、白金、イリジウム、タンタル、またはステンレス鋼といった金属を含む様々なX線不透過性材料を含む。マーカーの形状は、バンド、スポット、またはラインといったように構成されてもよい。1つの態様では、X線不透過性材料は、送達カテーテル352Bの押し出しの際にポリマー溶解へと混合されたX線不透過性液体または微粒子の形状であってもよい。
【0227】
補助コイル162が分離可能なタイプである場合、補助コイル送達カテーテル352Bの遠位端に挿入され、電解システム3419(図17Pに示されるような)または電熱システム3421(図17Qに示されるような)の方法で切り離される。電熱システム3421は、補助コイル送達カテーテル352Bと補助コイル162の近位端上のリング540間の熱可塑性リンク530を溶かす電気的加熱回路550を組み込む。
【0228】
様々な他の実施形態では、拡張した拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの形状は、中心空隙または空洞108へと固体材料または支持構造を置くことで維持される。この固体材料の実施例は、金属またはポリマーのコイルまたはワイヤ、金属またはポリマーの固体支持構造、生体吸収性材料、放射状に拡張性材料、ビーズ、粒子、顆粒、球体、微小球、またはスポンジを含む。特定の実施形態では、これらの固体材料はさらに、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの拡張を手助けするのに用いることができる。他の実施形態では、これらの固体材料は、拡張後に加えられる。図17Eに示されるように、1つの実施形態では、患者の血管1202内の嚢状動脈瘤700は、少なくとも1つのコイルまたは拡張ワイヤ1204を備えるボールステント100で満たされる。1つの態様では、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、コイルまたは拡張コイル1204のみによって拡張してもよい。他の態様では、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、液状媒体によって拡張してもよく、または逆に、固体材料は拡張可能な本体の拡張した形状を維持するための支持を供給するための後から加えられてもよい。他の適切な生体適合性固体材料が同様に用いられてもよい。固体充填部材は、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの構造的完全性を確実にするための格子として機能できる。例えば、コイル1204は、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの構造的完全性を促進でき、拡張可能な本体の圧縮を削減できる。1つの実施形態では、固体材料は、特定のサイズまたは形状の拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hに合致するよう設計され、かつ製造されてもよく、封入された拡張可能な本体と共に用いるための医療用デバイスの一部として封入されてもよい。
【0229】
機械的方法を用いた拡張可能な本体の送達デバイスからの切り離し
拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、摩擦嵌合により、コンポーネントの結合により、または弁、クランプ、リング、エラストマースリーブまたはラップ、または圧迫バルーンからの圧力の適用により、送達カテーテル、36、または1000に取り付けられるかまたは係合されてもよい。様々な方法及びデバイスは、拡張した拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hを送達カテーテル306または1000から切り離すよう用いられてもよい。
【0230】
拡張可能な本体150を送達カテーテル306へ機械的に取り付ける様々な実施形態では、図21C~Eに示されるように、柔軟で、薄壁のエラストマースリーブ710が用いられてもよい。エラストマースリーブは、近位ノーズコーン362Bを送達カテーテル306の遠位部に接続する。その遠位端において、エラストマースリーブは外部近位ノーズコーン585と拡張可能な本体の近位頸部116の間で圧縮される。その近位端において、エラストマースリーブは、摩擦嵌合で送達カテーテル上をスライドする。送達カテーテルへの軸方向張力の適用で、拡張可能な本体はエラストマースリーブが自由にスライドするにつれて送達カテーテルから分離する。エラストマースリーブは、近位頸部(分離後に拡張可能な本体と共に残る)へ、または送達カテーテル(分離後に送達カテーテルと共に残る)へのいずれかと結合されてもよい。
【0231】
様々な実施形態では、エラストマースリーブ710は、約0.005~0.015インチの壁厚を有し、約ショアー80Aから約ショアー72Dの範囲のデュロメーターのポリウレタンを備えてもよい。エラストマースリーブの内径は、より高い必要分離力のために削減されてもよいかまたはより低い必要分離力のために拡大されてもよい。エラストマースリーブは、分離の間、強度を増加し、軸方向における伸張を防ぐために外面上の縦長の助材を含んでもよい。
【0232】
機械的分離のケースでは、切り離した分離カテーテル610は、図3F、9B、及び21Fに示されるように、送達カテーテル306または1000が取り出される間、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの軸移動を防ぐために採用されてもよい。分離カテーテル610は、近位ノーズコーン362Bに隣接し、送達カテーテル306または1000及びX線造影剤の注入用の内腔として機能する2つのカテーテル間の環状隙間上をスライドするよう寸法決めされた剛性の中空シャフトである。
【0233】
図21G~Hに示される様々な実施形態では、分離カテーテル610は、高い横方向柔軟性(蛇行性血管構造を通して配置を可能にする)及び高い軸方向剛性(送達カテーテル306からの拡張可能な本体150の機械的分離のための軸力の伝達を可能にする)のために最適化される。カテーテルの壁厚は、その近位から遠位端へと先細りしていてもよい。薄板状のデザインは、押し出しポリマー及び金属補強を含んで用いられてもよい。外層610Aは、軸剛性を加えるために約55ショアーDから約72ショアーDの範囲のデュロメーターのペバックスといったポリマーを備え、好適な実施形態では72ショアーDデュロメーターのペバックスを用いる。中間層610Bは、ねじれ及び曲げ剛性を加えるために偏平編組またはステンレス鋼またはニチノールの円形コイルワイヤを備える。内層160Cは、分離カテーテルと送達カテーテル306の間の摩擦を削減するために、PTFEまたはポリイミド/PTFE複合体(例えばインターナショナルワイヤグループによるPD-Slick(商標))といった潤滑性ポリマーを含む。第4層610Dは、軸方向剛性をさらに高めるために同様に用いられ得る内層と中間層の間に位置するポリイミドといったポリマーを備える。いくつかの実施形態では、分離カテーテル610の内面及び外面の全てまたは一部は、親水性または潤滑性コーティングでさらにコーティングできる。
【0234】
図21I~Jに示される他の実施形態では、分離カテーテル610の遠位部は、X線不透過性マーカーバンド620を持つかまたは持たないフレア状端部615を含んでもよい。フレア状端部は、拡張可能な本体150の壁102に接することなく近位ハブ362Bに接するよう寸法決めされる。X線不透過性マーカーバンドは、分離プロセスの間に蛍光視認性を高めると見なされる。
【0235】
他の実施形態では、電熱プロセスは、ボールステント、ブロックステント、または拡張可能な本体100または140を分離するために用いることができる。図17Qに示される構成から理解できるように、電気回路550は、2つの部分間の熱可塑性リンク530を溶かす。この適用では、デバイス送達カテーテル400は、補助コイル送達カテーテル352Bの代わりをする場合があり、近位ハブ362Bは、補助コイル162の代わりをする場合がある。
【0236】
電解による拡張可能な本体及び送達デバイスの切り離し
拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、接着剤、または粘着剤を用いて、溶接または蝋接により、コンポーネントの接続または結合により、またはクランプ、リング、エラストマースリーブまたはラップ、または圧迫バルーンからの圧力の適用により、送達カテーテル、36、または1000に取り付けられるかまたは係合されてもよい。様々な方法及びデバイスは、拡張した拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hを送達カテーテル306または1000から切り離すよう用いられてもよい。
【0237】
拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、電解によって送達カテーテル306または1000から分離または切り離されてもよい。電解が用いられる時、定電流、定電圧、または方形波電位が用いられてもよい。送達カテーテルからの拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの分離は、図23B~Fに示されるように医療用デバイスまたは1つ、2つ、または3つの電気的導体を持つシステムを用いて実行されてもよい。1つの実施形態では、導体配置1010は、送達カテーテル1000へ組み込まれるかまたは送達カテーテル1000によって運ばれる3つの導体を含む。3つの導体配置の代替的実施形態では、2つの導体が送達カテーテル1000へと組み込まれるかまたは送達カテーテル1000によって運ばれ、第3の導体は、電極パッチまたは電極針で、といったような他の方法で患者との電気接点を作るよう構成される。同様に、1つの導体は、送達カテーテル1000及び図23Aに示されるパッチ3106といった電極パッチまたは電極針で、といったような他の方法で患者との電気接点を作るよう構成された2つの導体へと組み込まれるかまたは送達カテーテル1000及び2つの導体によって運ばれてもよい。2つの導体配置1008では、2つの導体が送達カテーテル1000へ組み込まれるかまたは送達カテーテル1000によって運ばれる。あるいは、1つの導体は、送達カテーテル1000へと組み込まれるかまたは送達カテーテル1000によって運ばれてもよく、1つの導体は図23Aに示されるように、電極パッチ3106または電極針で、といったような他の方法で患者との電気接点を作るよう構成される。図23Fに示されるように、他の導体配置1007は、単一の導体が送達カテーテル1000へ組み込まれるかまたは送達カテーテル1000によって運ばれる、単一の導体配置を含む。
【0238】
医療用デバイスまたはシステムはさらに、導体の遠位端における電極といった終端を備えてもよく、これは、管状またはリング状の陰極リング1028である終端を含む。他の実施形態では、終端は、拡張可能な本体の近位頸部における露出したステンレス鋼のリング状セグメントであり、そういったセグメントは陽極としての機能を持つ。
【0239】
2つの導体配置は、定電流電解を実行するのに用いられてもよく、図23Gに示されるように、1つの導体は陽極に電気的に接続し、1つの導体は陰極に電気的に接続される。様々な3つの導体配置は、定電圧電解または方形波電位を用いた電解を実行するのに用いられてもよく、1つの導体は陽極に電気的に接続され、1つの導体は陰極に電気的に接続され、第3の導体は参照電極に電気的に接続される。これらの配置のいずれにおいても、電気的導体または電極は、白金、ステンレス鋼、金、または銀、及びそれらの合金を含む任意の生体適合性導電性材料から構成されてもよい。1つの実施例では、電気的導体または電極は、白金-イリジウム合金を含んでもよい。
【0240】
定電流電解を実行するのに2つの電気的導体配置1008を用いる時、陽極または作用電極1014における電位を超える制御が少ない。このため、作用電極、または陽極への電位または電流が作用電極または陽極付近の血流におけるイオンの酸化を引き起こすよう十分になるまで、作用電極1014及び陽極場所または部分3102における電位は増加する。例えば、電流は、H+イオン及び陰性O分子を作るために血流内のHO分子を破壊する場合がある。1つの実施例では、O分子は、その後金の拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの作用電極、または陽極における露出した金に結合でき、露出した金の細片を分解し、それにより拡張可能な本体及び送達カテーテルの分離を可能にする。
【0241】
1つの実施形態では、拡張可能な本体100、140、150、または170A~H上のポリマーコーティングは、H+イオン及びO分子を拡張可能な本体のコーティング部分との反応から防ぐかまたは妨害する電気的絶縁体または誘電性材料であってもよい。他の実施例では、電解は、陽極部位3102の露出したステンレス鋼のリング状の細片において起こってもよく、主本体部が金を含む拡張可能な本体の頸部において、露出したステンレス鋼の分解をもたらす。それにより拡張可能な本体及び送達カテーテルの分離を可能にする。1つの実施形態では、拡張可能な本体100、140、150、または170A~H上のポリマーコーティングは、拡張可能な本体のコーティング部分の電解を防ぐかまたは妨害する電気的絶縁体または誘電性材料であってよく、ステンレス鋼陽極部位3102における電解の効果を向上する。1つのそういったポリマーコーティングは、強い硫黄-金の相互作用を介して金の表面に結合するチオールを備えてもよく、これは、表面に疎水性を与え、電子移動を遮断する。あるいは、親水性の表面は、その終端部においてカルボキシル基を持つチオール分子を修正することで得られてもよい。このコーティングは、金の表面に自己組織化単分子膜(SAM)を形成する長(例えばC18)アルキル鎖を含むアルカリ性チオール溶液に浸すことで適用されてもよい。あるいは、血清周囲のアルブミンといったチオールを含むタンパク質は、電解中に金の表面上に自然とSAMを形成してもよい。
【0242】
1つの実施形態では、生体適合性ゲルコーティングは、図23A、23G、30A、及び30C~Fに描かれ得るように、陽極3102または3302へと、または陽極及び陰極1028または3106の両方へと適用されてもよい。ゲルは、タンパク質の堆積による陽極及び陰極の汚染を防ぎ、よって電解の効果を向上する。ポリエチレングリコール(PEG)(例えばDow Carbowax600NF)またはゼラチン(>20%w/v)といった水性ゲルが用いられてもよい。
【0243】
1つの実施形態では、おおよそ0.01~5.0mAの定電流が陽極部位3102または作用電極と陰極または患者の肌上の電極パッチ3106または電解システムまたはプロセスのための陰極として機能する患者内の針に電気的に係合する接地電極3106の間に供給される。他の実施形態では、陰極または接地電極は、図23Gの1028によって示されるように、送達カテーテル300上に取り付けられ、これは、導電性陰極リングまたはチューブの形状を含む。2つの電気的導体配置の他の実施形態は、図23H~Iに示される。この実施形態では、熱硬化性ポリマーセグメント1020の近位端1018は、カテーテル1000の遠位端1022に結合されるが、一方で熱硬化性ポリマーセグメントの遠位端1024は、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの頸部116または3208に形成される金属製リング3208に結合される。陽極部位3102は、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの頸部116に存在する。図23Hに示されるように、導体ワイヤ1014は、ポリマーセグメント1020内に組み込まれ、かつ拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの頸部116または3208に結合し、作用電極1014を介したリング状陽極部位3102への電気接続をもたらす。1つの実施形態では、導体ワイヤは、陽極部位3102へ直接結合されてもよい。いくつかの実施形態では、導体ワイヤ1014は、銀接着または任意の他の適切な接着を用いて拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの頸部116または3208へ結合されてもよい。他の実施形態では、導体ワイヤ1014は、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの頸部116または3208へ溶接されてもよく、これは、レーザー溶接を含む。
【0244】
図23Hに示されるように、陰極、接地電極1028は、送達カテーテル1000上に取り付けられる。加えて、導体ワイヤ1016は、送達カテーテルの壁内に組み込まれ、陰極または接地電極1028に結合され、リング状の陰極または接地電極1028への電気接続をもたらす。1つの実施形態では、導体ワイヤは、陰極リング1028へ直接結合されてもよい。いくつかの実施形態では、導体ワイヤ1016は、銀接着または任意の他の適切な接着を用いて陰極リング1028へ結合されてもよい。他の実施形態では、導体ワイヤ1016は陰極リング1028へ溶接されてもよく、これは、レーザー溶接を含む。
【0245】
他の実施形態では、3つの電気的導体配置は、陽極部位3102の電位におけるより良い制御及び選択制を供給するために用いられてもよい。作用電極1014及び接地電極1016に加えて、3つの電気的導体配置は、参照電極に対する作用電極1014の電位を監視し制御するのに用いられる参照電極(図示せず)及びポテンショスタット(図示せず)を含む。様々な実施形態では、参照電極は、白金、銀、または塩化銀から作られるのが好ましい。限定されるものではないが実施例として、3つの電気的導体配置は、定電流、定電圧、または交流方形波電位電圧を用いて拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hを分離するのに用いることができる。作用電極1014は、作用電極1014の電圧を介した陽極部位3102の電圧と参照電極の電圧の比較に基づいて調節される。参照電極は、いくつかの実施形態では送達カテーテル上に支持されることができ、他の実施形態では電極パッチまたは電極針で、といったような他の方法で患者との電気的接点を作るよう構成できる。1つの実施形態では、ポテンショスタットは、参照電極に対して作用電極1014においておおよそ+0.5~+1.5Vの範囲の電圧を供給するよう構成される。
【0246】
様々な実施形態では、電流は、送達カテーテル1000上に支持された陰極リング1028から送達カテーテルの壁内に組み込まれた導体ワイヤ1016によって患者の身体の外部位置へと流れる。導体ワイヤ1016はさらに、送達カテーテル1000の壁に構造的補強を同時に供給できる。
【0247】
他の実施形態では、拡張可能な本体100、140、150、または170A~H及び送達カテーテル300は、図23Aに示されるように1つ以上の非絶縁溶接316、蝋接、または接着318によって接続してもよく、これは、接続が送達カテーテル304または306の近位頸部116と遠位端の間である実施形態を含む。カテーテル壁及び/または電気的絶縁用の自身の電気的導体の専用の電気的絶縁ジャケットの電気的絶縁材料周囲に依存するワイヤ、またはケーブルの形状をしていてもよい電気的導体320は、送達カテーテルの長さに沿って送達カテーテル300の近位端から送達カテーテルの遠位端へと延びる。電気的導体320の近位端は、患者の身体外側の電源または電流供給源3100に電気的に連結する。電源3100はさらに、電解プロセスのための陰極として機能する患者の肌上の針または電極パッチ3106と電気通信する。電気的導体320の遠位端は、送達カテーテルの遠位部にさらに連結する拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの近位部に連結される。この実施形態では、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの頸部は、電解のための陽極部位3102として機能する。この実施形態では、電解電気的導体320は、電気的に絶縁しておらず、送達カテーテル(すなわち、陽極部位)に結合されていない拡張可能な本体の部分3102と電気的に連結する。様々な実施形態では、電解電気的導体320は、図23Aに示されるように、送達カテーテルの外面に沿って、または送達カテーテルの内腔内で送達カテーテル300の壁内に存在できる。
【0248】
いくつかの実施形態では、図23Aに示されるように、電気的導体320は絶縁されており、図30A~Fに示されるように分離部位3302に類似した近位頸部の一部を含む拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの近位陽極部3102は絶縁されていない。いくつかの実施形態では、電気的導体320及び頸部の残部を含む拡張可能な本体100、140、150、または170A~H及び116の残部は、絶縁されているが、一方でいくつかの実施形態における近位頸部の一部を含む拡張可能な本体の近位陽極部3102は絶縁されていない。いくつかの実施形態では、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの頸部116は、(ステンレス鋼といった)電解を容易に受けることのできる金属から構成され、拡張可能な本体の残部は、金または白金といった電解を容易に受けることのない金属で構成される。この実施形態に関して、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの金または白金部分は、絶縁される必要がない場合がある。電流または電荷は、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hが拡張した後に電気的導体320に適用される。電流は、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの非絶縁陽極部3102の少なくとも一部を分解するのに十分な量及び時間で適用され、拡張可能な本体から送達カテーテルを切り離すことができ、拡張した拡張可能な本体は所望の位置において適所に残るが、一方で送達カテーテル300は取り除かれる。
【0249】
他の実施形態では、電流は、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hが拡張した後に電気的導体320に適用される。電流は、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hと送達カテーテル300の間の溶接または蝋接の少なくとも一部を分解するのに十分な量及び時間で適用され、拡張可能な本体から送達カテーテルを切り離すことができ、拡張した拡張可能な本体は所望の位置において適所に残るが、一方で送達カテーテル300は取り除かれる。他の実施形態では、電流は、拡張可能な本体の主本体部の少なくとも一部を分解するのに十分な量及び時間で適用され、拡張可能な本体から送達カテーテルを切り離すことができ、拡張した拡張可能な本体は所望の位置において適所に残るが、一方で送達カテーテル300は取り除かれる。1つの実施形態では、電流は直流(DC)であるが、一方で他の実施形態では、電流は交流(AC)である。
【0250】
一般的に、定電流電解の間、電解の副産物として形成される気泡は、分離部位に絶縁バリアを形成するのに役立つ。分離部位において非イオンの血液成分(とりわけ、脂質、タンパク質、及びアミノ酸)の集まりと組み合わせた気泡バリアは、電解率が低下するにつれて分離部位でのインピーダンスを増加し、分離に必要な時間を増加する傾向がある。同様に、血液は分離部位3302において凝固し始めてもよく、さらに分離プロセスを妨害する。
【0251】
電解は、図30A~Fに示される分離部位3302がイオン血液成分の一定の流れの中にあるように、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hが配置される時に実行されるのが好ましい。例えば、ボールステント100が動脈瘤を満たすよう配置される時、分離部位が隣接する親血管内へと、または隣接する親血管の付近に突き出るように分離部位3302を配置することができる。隣接する親血管内に、またはその付近にある間、分離部位3302は、ボールステント100を分離するための電解プロセスを手助けするイオン血液成分の一定の流れに晒される。血液の一定の流れはさらに、電解中に分離部位3302における血液凝固の発生を最小化し、それにより拡張可能な本体100、140、150、または170A~H及び送達カテーテルの分離に必要な時間を潜在的に削減し、脳動脈瘤が治療される時の血栓の塞栓及び脳卒中のリスクを低減する。
【0252】
他の実施形態では、電圧制御された電解は、交流方形波電位電圧を用いて実行される。限定されるものではないが実施例として、陽極部位3102または作用電極1014における電位は、図23H~Iに示されるように、0.1Hz~10Hzの範囲の周波数で、参照電極に対しておおよそ+0.5~+0.8Vで変動する。1つの態様では、陽極部位3102または作用電極1014の電位が変化する率は、陽極または作用電極の表面上に形成する酸化物及び形成され得る任意のタンパク質の凝集の除去を可能にするよう構成されてもよい。この実施形態では、酸化物は低電圧の「非不動態化(depassivation)」期間中に取り除かれるが、一方で塊状タンパク質は、高電圧の「不動態化または加水分解」期間中に取り除かれる。酸化物と塊状タンパク質の両方の除去は、電圧循環により促進される。よって、交流方形波電位電圧の使用または方形波電圧パルスの使用は、より短く、かつより一貫した分離時間を可能にしてもよい。
【0253】
様々な実施形態では、電圧制御電解を実行するのに用いられる電圧範囲は、分離部位3302(例えば陽極部位3102)及び参照電極における材料の組成に応じて変化してもよい。例えば、分離部位3302が金で構成され、参照電極1026が白金で構成される場合、その後金の陽極における電圧はおおよそ1Hzの参照電極に対して+0.6~+1.4Vで変動してよい。逆に、304ステンレス鋼で構成された分離部位3302における電位は、おおよそ1Hzの白金の参照電極に対しておおよそ+0.1~+0.4Vで変動してもよい。1つの実施形態では、陽極部位3102として機能する分離部位3302は、316Lステンレス鋼である。この実施形態では、316Lステンレス鋼陽極における電位が、おおよそ1Hzの白金の参照電極に対しておおよそ+0.7~+1.2Vで変動するように、電解は実行される。様々な実施形態では、交流方形波電圧電位の低電圧は水の加水分解電位を下回ることが望ましい。
【0254】
図51A~Cは、補助コイル送達システム(ACDS)900の他の実施形態を描写する。特に、補助コイル送達システム(ACDS)900のこの実施形態は、非絶縁ステンレス鋼のセグメント922によって押し込みワイヤ950に係合される補助コイル162を含む。ステンレス鋼のセグメントは、補助コイル162の電解による分離のための陽極として機能する。配置の際、補助コイル162は、前述のように補助コイルカテーテル902を通じて前進し、所望の位置に配置される。押し込みワイヤ950は、陽極セグメント922が補助コイルカテーテル902から引き出されるまで前進する。補助コイル162及び押し込みワイヤ950上のマーカーバンド920は、それぞれ、配置の間に陽極セグメント922の可視化を手助けする。1つの実施形態では、陽極セグメント922は、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの分離に用いられる同じ電解コントローラー及び電源を用いて分解される。他の実施形態では、切り離しコントローラー及び電源は、補助コイル162を分離するためにACDS900に係合されてもよい。
【0255】
図48に示されるように、かつ図23A、23G~I、30C~F、及び51A~Cを参照して、好適な実施形態では、同じ電源3100が独立して最初に用いられてもよく、中空の金属製の拡張可能な本体(すなわち、ボールステント)100及びワイヤコイル拡張可能な本体(すなわち、補助コイル)162の電解による分離を制御してもよい。各拡張可能な本体は、それ自身の陽極を有する。すなわち、ボールステントのためにレーザーエッチングされた金めっきステンレス鋼近位頸部の外面3302上の分離部位3302、及び補助コイルのための押し込みワイヤ950へと接続する非絶縁ステンレス鋼922のセグメント、である。各拡張可能な本体の分離中に同じ陰極、つまり、ボールステントの送達カテーテル1000の遠位端に取り付けられた陰極リング1028が用いられる。この実施形態は、図23Aに示されるように、従来の電解によって分離する塞栓用コイルに通常必要とされる電極パッチ3106または電極針が患者の肌と接触する必要性を除去する。
【0256】
他の実施形態では、前述の電解による分離システムは、閉塞脳動脈及び静脈を治療するよう設計された実質的に円筒状のブロックステント拡張可能な本体150と共に用いられる。
【0257】
他の方法を用いた拡張可能な本体の送達デバイスからの切り離し
限定されるものではないが実施例として、拡張した拡張可能な本体の送達デバイスからの分離方法は、物理的、または機械的、電気的、熱的、化学的、水力利用の方法、及び音波利用の方法、として幅広く分類されてもよい。
【0258】
1つの実施形態では、電熱プロセスは、ボールステント、ブロックステント、または拡張可能な本体100または140を分離するために用いることができる。図17Qに示される構成から理解できるように、電気回路550は、2つの部分間の熱可塑性リンク530を溶かす。
【0259】
送達デバイスから分離後の拡張可能な本体の密封
1つの実施形態では、近位頸部または遠位頸部における開口部を含む、拡張した拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの開口部112及び/または114は、処置の最後では開口したままである。他の実施形態では、拡張した拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの開口部112及び/または114は、処置の最後を迎える前に閉じられる。限定されるものではないが実施例として、開口部112は、図17Eに示されるように、拡張した拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hに隣接するバルーンカテーテル1100のバルーン部分1102の膨張に伴う外力を適用することで密封されてもよい。あるいは、開口部は、拡張した拡張可能な本体と送達カテーテルの分離前に、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの頸部の外面周囲の柔軟な材料のループを引き寄せることで密封されてもよい。この方法では、材料のループは、ワイヤ、ポリマーより糸、フィラメント、紐、糸、またはスネアを備えてもよい。
【0260】
様々な実施形態では、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの頸部116及び118の1つまたは両方は、膨張後に塞がれるかあるいは密封される。例えば、頸部116及び118は、頸部内に強固に固定するために寸法決めされた固体構造の膨張によって塞がれてもよい。この材料は、頸部116及び118の上または内部に置かれるスポンジ、コイル、または金属製キャップであってもよい。
【0261】
拡張可能な本体の折り畳み及び回収
拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hが望ましい治療のための適切なサイズまたは寸法決めがされていない場合には、拡張可能な本体は意図的に折り畳まれ再捕獲されてもよい。拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hがまだ送達デバイスかに取り付けられる1つの実施形態では、拡張可能な本体の折り畳みを補助するために陰圧が送達カテーテル内に生成され得る。この実施形態では、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、真空圧のみで再度折り畳むことができる。
【0262】
他の実施形態では、拡張可能な本体の本質的な安定形状による配置後に、さらなる加力が拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの折り畳みに必要である。加えて、構造的機能は、意図された折り畳みを促すために、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hへと組み込まれてもよい。例えば、十分な真空圧下での折り畳みを促す形状的応力集中を作り出すために、電鋳プロセス中に一連の縦溝が拡張可能な本体100、140、150、または170A~H内に作られてもよい。他の実施形態では、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの外面は、ポリマー(厚膜ポリマーを含む)でコーティングされ、その後、ポリマーコーティングは拡張可能な本体の外面110に沿う一連の「助材」、チャンネルまたは溝を残すようエッチング(レーザーエッチングを含む)される。溝は、拡張可能な本体100、140、150、または170A~H周囲を横断するかまたは縦方向に形成されてもよい。
【0263】
他の実施形態では、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hを折り畳むよう設計された1つ以上のツールが用いられてもよい。1つの実施例では、外側に向かってバイアスされたかまたは広がる多数の「指」を持つ細長い管状の折り畳みツールが用いられてもよい。指は、折り畳みツールが患者へと挿入される時には内側に向かって折り畳まれている。折り畳みツールが作動する時、指は放射状に飛び出し、拡張した拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hを取り囲む。指が拡張した拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hに係合し、圧縮し、収縮させるように、折り畳みツールはその後取り出される。拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hの折り畳みを促すために、プロセス全体を通じて陰圧がさらに加えられてもよい。
【0264】
拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hがもはや送達カテーテルに取り付けられていないという1つの実施形態では、専用の回収カテーテルが拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hを折り畳み、かつ捕獲するのに用いられてもよい。
【0265】
拡張可能な本体を備える医療用デバイスに使用するガイダンス部材
図15A~Fに示されるように、2重内腔カテーテルを用いる実施形態に関して、送達カテーテル300は圧縮したボールステント140を嚢状動脈瘤700の内腔701へと送達するためにガイダンス部材またはガイドワイヤ302上を移動する。ガイダンス部材の実施例は、柔軟なガイドワイヤを含む。ガイドワイヤ302は、柔軟な糸、コイル、または細長いロッドの形状である金属を備えることができる。例えば、基本的な血管造影ガイドワイヤは、金属ばねコイルによって覆われた固定式固体金属コアからなる。他の状況では、送達カテーテルは針またはトロッカー上を前進する。ガイドワイヤ302は、送達カテーテル内の内腔を占領し、そういった内腔は送達カテーテルの管状部分によって定義される。一度適所に置かれると、ガイドワイヤ302は、液状媒体の注入のため、または離脱のために取り除かれ得る。
【0266】
図21A~Bに示されるように、他の実施形態では、医療用デバイスの送達カテーテルは、ガイダンス部材としてのガイドカテーテル800を受容できる内腔と共に構成できる。この構成では、医療用デバイスは、3軸構成で前進することができ、医療用デバイス500は、ガイドワイヤ上を前進するガイドカテーテル800上を前進する。特定の実施形態では、医療用デバイス500の送達カテーテル300の中空の円筒状部材304の内腔がガイドカテーテル800を受容できるよう、ガイドカテーテル上の近位ハブは取り除かれてもよい。特定の場合、医療用デバイスのこの実施例は、動脈瘤または目標血管内腔への圧縮した拡張可能な本体の送達においてより良い制御をもたらし、かつ所望の位置へと前進するにつれて拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hのより良い追従性をもたらすことができる。示されるように、1つの態様では、送達カテーテル300の中空の円筒状部材304は、環状であり、かつガイダンスカテーテル800を完全に取り囲んでもよいが、一方で他の態様では、送達カテーテルはガイダンスカテーテルの外周の60%、70%、80%、90%、またはそれ以上を係合してもよい。
【0267】
拡張可能な本体を含む医療用デバイスの使用
有利に、図17Fに説明されるように、拡張したボールステントが拡張状態で動脈瘤の内腔の一部、実質的に全て、または全てを満たしながら適所に残る一方で送達カテーテルが取り除かれ得るように、ボールステント100が内腔、空洞、または動脈瘤700のドーム701内へと送達され、拡張し、かつその後送達カテーテル300から切り離され得る。拡張したボールステント100は、配置される嚢状動脈瘤空洞701の形状に大体は適合する。拡張したボールステント100はさらに、図17Fに示されるように隣接するバルーンカテーテル1100の膨張したバルーン部分1102によって加えられる物理的力といったような外力で形成され得る。嚢状動脈瘤空洞701が完全に、またはおおむね満たされ、かつさらにボールステントがなくても、または最小数のボールステントで密封されるように、正確な配置及び形成で、ボールステント100を配置できる。ここで、ボールステントは、嚢状動脈瘤が形成される親血管1202の内腔へと延びる。
【0268】
様々な形状の嚢状動脈瘤を治療する際、円形、楕円形、及び不規則形を含む多数の拡張したボールステント形状は、形状が略湾曲しており、かつ拡張したボールステントが単一のローブを含む場合に限り、受け入れ可能である。形成された形状にかかわらず、ボールステントが動脈瘤700の空洞701内で拡張する時、1つの実施形態では、ボールステントは空洞の形状に少なくとも部分的に適合するよう設計される。
【0269】
1つの実施形態では、拡張可能な本体は、2つ以上の血管の交差位置に位置する分岐部動脈瘤の治療に用いられてもよい。図17Gに示されるように、分岐部動脈瘤600は、血管1202及び1203に対してほぼ直角を形成する頸部または開口部603を有する。1つの態様では、分岐部動脈瘤600は、図8T~Vに示されるように拡張可能な本体170Gによって治療されてもよく、図8Vは、185により示されるように、近位領域174Gが第1軸176に沿って見られる時、拡張可能な本体の図である。拡張可能な本体170Gは、構成が略円すい台形を持つ近位領域174G、及び図8A~F及び8Uに示される拡張可能な本体170A~Hの遠位領域172A~Gのいずれか1つに類似した構成を持つ遠位領域172Gを含む。拡張可能な本体170Gはさらに、近位及び遠位頸部116及び118をそれぞれ含む。図17Gに示されるように、拡張可能な本体170Gの円すい台形構成は、拡張可能な本体が分岐部動脈瘤600の開口部603で血管1202及び1203の垂直面と接触させ、かつ密封させることを可能にする。拡張可能な本体170Gの内及び/または外部のコイルまたは補助コイル(複数可)162の配置はまた、分岐部動脈瘤600内での拡張可能な本体170Gの位置を安定化し、かつ維持するよう機能してもよい。
【0270】
研究によると、特定の臨床的状況において、損傷を受けていない内皮細胞の存在が、血管及び動脈瘤の内腔の拡張と相互に関連することが示唆されている。これらの環境では、内皮細胞は血管または動脈瘤の内腔における変化を感知し、血管セグメントまたは動脈瘤の壁における細胞外及び細胞コンポーネントにおける変化及び内腔の拡張または肥大に関連して細胞及び酵素活性の増加を引き起こす生物学的プロセスを刺激する。研究によると、内皮細胞は、健康でかつ成長能力を保持するためにその管腔表面に血流を必要とすることがさらにわかった。よって、動脈瘤または血管セグメントに内張りする内皮細胞の管腔表面の血流を削減するかまたは消失させる場合がある医療用デバイス、システム、または方法は、よって内皮細胞の成長能力を減少させ、内皮細胞、及び細胞からの生化学的信号発信を低減させ、血管または動脈瘤拡張または肥大に関連する酵素活性化を低減させる。これは、動脈瘤の予防または治療における重要なゴールである。このことから、特定の実施形態では、ボールステント100は、嚢状動脈瘤を治療するために完全に拡張する。動脈瘤嚢内で拡張したボールステントの充填及び遮断効果の物理的本質に加え、この治療はさらに動脈瘤嚢における内皮の成長能力を減少させる。他の実施形態では、ボールステント100は、嚢状動脈瘤の治療のために完全に拡張する必要はないが、動脈瘤をうまく密封するかまたは部分的に拡張する一方で内皮細胞の成長能力を減少させてもよい。全ての実施形態では、送達カテーテルからの分離後、ボールステントは拡張状態(部分的にまたは完全に)で残る。拡張状態とは、ボールステント最大容量の少なくとも20%、50%、75%、または90%及び最大100%といったような、ボールステント100の少なくとも部分的な膨張を指す。様々な態様では、生体空間のサイズは、任意の適切な方法で判断されてもよい。拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hのサイズ及び構成はその後、空間または空間の所望の部分を最適に満たすよう選択される。
【0271】
図10B~C及び11A~Fに関連して以下に説明されるような「ワイヤなし」ボールステント医療用デバイス500の様々な実施形態では、図11Aに示されるように、拡張可能な本体100または140が、嚢状動脈瘤を閉塞するのに用いられる。最初に、図11Bに示されるように、その遠位先端部が動脈瘤の開口部703内にあるようにマイクロカテーテル805及びガイドカテーテルまたはガイドシース800が置かれる。その後送達カテーテル400上の拡張可能な本体100または140は、図11Cに示されるように、ガイドカテーテル800を通じて動脈瘤の嚢、内腔、または空洞701内に配置される。図11Dに示されるように、拡張可能な本体は、これに限定はされないが、Karl StorzによるEndoflator(登録商標)といったシリンジ(図示せず)またはポンプ(図示せず)を用いて拡張状態へと膨張し、それにより動脈瘤の壁704に対してマイクロカテーテル805を「拘置」する。この実施形態では、拡張可能な本体100または140は、親血管1202から動脈瘤の開口部703の幅よりも大きい拡張した幅または直径(近位ノーズコーン362Bから遠位ノーズコーン362Aへ延びる軸を横断して計測されるような)を有するよう寸法決めされる。
【0272】
膨張または拡張後、拡張可能な本体100または140は、図11Eの702として示されるように嚢状動脈瘤700の開口部703に向かって取り出される。拡張した拡張可能な本体100または140の位置を、蛍光透視法を用いて評価できるように、ガイドカテーテルまたはガイドシース800を通じてX線造影剤が注入されてもよい。コイルまたは補助コイル162はその後、拘置されたマイクロカテーテル805を通じて送達され、図11Eに示されるように、ドーム701の領域内の動脈瘤の嚢、内腔、または空洞内に配置される。補助コイル162は、動脈瘤の壁の内面704と拡張可能な本体の遠位面を含む拡張可能な本体100または140の外面の両方と接する。補助コイル162は、動脈瘤の開口部703に対して拡張可能な本体を押し込むよう拡張可能な本体100または140に対して力を加える。このポイントでは、補助コイル162及び拡張した拡張可能な本体100または140の位置を、蛍光透視法を用いて評価できるように、ガイドカテーテル800を通じてX線造影剤が再度注入されてもよい。
【0273】
拡張可能な本体100または140は、その後送達カテーテル400から分離され、送達カテーテル、ガイドカテーテル800、及びマイクロカテーテル805は、図11Fに示されるように取り除かれる。ボールステント拡張した本体100または140は、動脈瘤の入口703を密閉する場所で嚢状動脈瘤700の内腔701内に残される。同様に、補助コイル162は、ボールステントを適所に保持するよう機能する場所で動脈瘤の内腔内に残される。
【0274】
ワイヤなしの実施形態は、末梢でも蛇行性でもない血管構造における末梢動脈瘤の治療に特によく適し得る。末梢または蛇行性のいずれかである血管構造において、ガイドカテーテル800の遠位先端部は、嚢状動脈瘤700の開口部703から離れるが、可能な限り近くで配置されてもよい。ガイドワイヤ800は、図11Bに示されるように、動脈瘤の入口703を通じて拡張可能な本体100または140を送達するのを促すよう事前形成された遠位端の機能を持ってもよい。
【0275】
図11G~Kに示されるプロセスから理解できるように、ワイヤなしブロックステント医療用デバイス500の様々な実施形態は、図11Gに描写される血管802を閉塞するのに用いられてもよい。
【0276】
始めに、ガイドカテーテルまたはガイドシース800が、図11Hに示されるように、閉塞する血管内腔の目標領域のちょうど近位にその遠位先端が置かれるように配置される。その後、送達カテーテル400上の圧縮した拡張可能な本体100は、11Iに示されるように、ガイドカテーテルを通じて血管内腔の目標領域へと前進する。このポイントでは、圧縮した拡張可能な本体100の位置を、蛍光透視法を用いて評価できるように、ガイドカテーテル800を通じてX線造影剤が注入されてもよい。
【0277】
一度血管内腔804内での拡張可能な本体100の適切な配置ができ、確認されると、その後図11I~Jに示されるように、これに限定はされないが、Karl StorzによるEndoflator(登録商標)といったシリンジ(図示せず)またはポンプ(図示せず)を用いて、医療用デバイス500は拡張状態になるよう膨張する。拡張可能な本体100は、内腔の目標領域を満たし、かつ血管の管腔表面806に接する。血管802はここで閉塞される。このポイントでは、拡張した拡張可能な本体100の最終位置及び血管閉塞の程度を、蛍光透視法を用いて評価できるように、ガイドカテーテル800の内腔を通じてX線造影剤が注入されてもよい。
【0278】
分離のプロセスは、その後図11J~K及び21Cに示されるように実行される。ガイドカテーテル800を適所に残したまま、送達カテーテル300は取り出されるが、一方で送達カテーテル300を近位ノーズコーン362B上のエラストマースリーブ710の外に引き出すよう動作する近位ノーズコーン362Bに対してガイドカテーテル800の遠位端を同時に保持する。最後に、ガイドカテーテル800は取り出される。ブロックステント拡張した本体100は、永続的閉塞を維持する場所で血管802の内腔804内に残される。
【0279】
図17H~Jに説明されるように、補助コイル162と連動したボールステント拡張可能な本体150の使用は、「幅広頸部」の嚢状動脈瘤700の閉塞のための典型的なコイリング技術とは異なる実例に従う。1つの態様では、嚢状動脈瘤700の形状は、図17Hに示されるように、頸部幅(N)、ドーム高さ(H)、及びドーム直径(D)によって定義される。従来のコイリング治療では、幅広頸部の動脈瘤は、ドーム高さから頸部幅(H/N)の比<2を有するよう定義される。図17Iに描写されるように、コイルが動脈瘤700の頂点708と側壁704の両方上で外側に向かって均一に押す傾向があるので、未治療の動脈瘤700Aをコイル治療後の動脈瘤700Bと比較した時、H/N比は大きく変化しない。さらに、動脈血圧がすでに動脈瘤704の壁を拡張の最大レベルまで移動させたため、動脈瘤壁にはさらなる拡張が可能なほどの弾性がほとんどない。本明細書に記述されるボールステント拡張可能な本体治療では、幅広頸部の動脈瘤は、ドーム直径から頸部幅(D/N)の比<2を有するよう定義される。図17Jに描写されるように、拡張したボールステントが動脈瘤704の側壁のみを外側に向かって押し、それにより動脈瘤ドーム708の頂点を下方に引く用動作するので、すなわち、狭い動脈瘤がより短くかつより幅広くなるので、未治療の動脈瘤700Aをボールステント治療後の動脈瘤700Cと比較した時、この比は大きく変化する。ボールステント拡張可能な本体は、D/N比を増加させ、それにより治療された幅広頸部の動脈瘤700C内での自身の嵌合を向上し、動脈瘤頸部703を通じて装置が出てしまうのを防ぐ。
【0280】
様々な実施形態では、補助コイル162は、ニチノールから構成される。1つの態様では、補助コイル162は、おおよそ0.05~0.20mmの範囲の直径を有するワイヤから形成されてもよい。それらの潤滑性を高めるために、図3Bに示されるように、ニチノールのワイヤは、これに限定はされないが、PTFEを含むポリマー161でさらにコーティングされてもよい。ポリマーコーティングの方法は、これに限定はされないが、浸すこと、塗布すること、または熱収縮チューブの適用を含む。
【0281】
1つの態様では、コーティングされたニチノールワイヤまたは補助コイル162のファイバーは、図3Aに示されるように、動脈瘤表面またはコイルが横断する他の血管を損傷する可能性を最小限にするために、ポリマーのエンドキャップを含むエンドキャップ163を含んでもよい。コーティング及びエンドキャップはさらに、図7に示されるように、補助コイル送達カテーテル352Bと共にコイルが挿入される時の摩擦を低減してもよい。
【0282】
様々な実施形態では、補助コイル162は、おおよそ0.002~0.012インチの間の範囲の直径を有してもよい。好ましくは、補助コイル162は、おおよそ0.004~0.008インチの間の範囲の直径を有してもよい。同様に、補助コイル上162のポリマーコーティング161は、おおよそ0.001~0.003インチの間の範囲の厚さを有してもよい。好ましくは、ポリマーコーティングは、おおよそ0.0015~0.002インチの間の範囲の厚さを有してもよい。コイル送達カテーテル352Bは、おおよそ0.014~0.022インチの間の範囲の外径、好ましくは、おおよそ0.016~0.020インチの間の範囲の外径を有してもよい。同様に、コイル送達カテーテル352Bは、おおよそ0.008~0.016インチの間の範囲の内径、好ましくは、おおよそ0.010~0.014インチの間の範囲の内径を有してもよい。
【0283】
図12C~Eに示されるように、様々な実施形態では、補助コイル162は、蛍光透視法撮像下での可視性を高めるための構造及び特性を含んでもよい。これは、ニチノールから構成される補助コイル162を含む実施形態に関して利点がある。1つの態様では、金または白金めっきが、補助コイル162の全てまたは一部に適用される。第2の態様では、図12Dに示されるように、金、白金、イリジウム、タンタル、またはステンレス鋼を備えるマーカーバンド510は、補助コイル162の端部付近及び/または補助コイル162の長さに沿う区間に適用される。第3の態様では、マーカーブレット520は、図12Eに示されるように、補助コイル162の端部かまたはその付近に適用される。マーカーバンド510またはブレット520は、接着剤またはPTFEといったようなポリマー熱収縮チューブにより固定されてもよい。他の態様(図示せず)では、補助コイルは、製造中にポリマーへと混合されるX線不透過性材料と共にポリマーで形成される。
【0284】
1つの実施形態では、補助コイルは、動脈瘤へと送達され、拡張可能な本体により占領されていない動脈瘤内の空隙を満たすことができる。他の実施形態では、補助コイルは、図12Aに示されるように、X1×Y1の寸法を持つ球状へと事前形成されるかまたは図12Bに示されるように、X1×Y1またはX2×Y2の寸法を持つ長円形へと事前形成される。実施例として、補助コイル162は、直径がおおよそ8mmのボールまたはおおよそ8mm×4mmの回転楕円体へと形成されてもよい。他の実施例では、補助コイルは、おおよそ50mm3~300mm3の間の容量を持つ3次元構造へと構成されてもよい。
【0285】
図49A~Eは、補助コイル162の配置のためにそこを通じて延びる補助コイルカテーテル902の1つの実施形態を伴う拡張可能な本体190の実施形態を説明する。説明のために、拡張可能な本体190は、膨張した構成で示される。補助コイルカテーテル902はしかしながら、未膨張、及び任意的に折り畳まれたかまたはプリーツ加工された拡張可能な本体100を通じて前進し、かつ配置されてもよい。
【0286】
拡張可能な本体190及び補助コイルカテーテル902の所望の配置部位への送達後、補助コイル162は、補助コイルカテーテルの近位端に挿入される押し込みワイヤ950によって補助コイルカテーテル902から引き出される。押し込みワイヤ950は、補助コイル162の近位端に接触し、図49D~Eに示されるように、補助コイルカテーテル902の外に補助コイルを押す。1つの実施形態では、押し込みワイヤ950は、PTFEでコーティングされたステンレス鋼である。他の実施形態では、生体適合性金属とコーティングの任意の適切な組み合わせが用いられてもよい。
【0287】
1つの実施形態に従って、示されるように、補助コイルカテーテル902の遠位端904は、補助コイルの配置中に可視化を助けるためのマーカーバンド920を含む。様々な態様では、マーカーバンド920は、これに限定はされないが、白金、イリジウム、バリウム、金、タンタル、ステンレス鋼、及びそれらの合金を含むX線不透過性材料で構成されてもよい。1つの特定の実施例では、マーカーバンド920は、白金-イリジウム合金である。マーカーバンド920は、補助コイルカテーテル902のシャフトへと組み込まれてもよく、または補助コイルカテーテルの遠位端に係合されてもよい。
【0288】
他の実施形態では、補助コイル162は、図52A~Bに示され、かつ関連して記述されるように、組み込まれたX線不透過性マーカーワイヤ930を含んでもよい。マーカーは、白金、イリジウム、バリウム、金、タンタル、ステンレス鋼、及びそれらの合金といった金属を含む様々なX線不透過性材料を含んでもよい。
【0289】
拡張可能な本体を備える医療用デバイス及び人間の患者における嚢状動脈瘤の治療への使用
動脈瘤閉塞に用いるのに適したボールステント拡張可能な本体の実施形態は、図43A~Jに示されるように、0.014と0.018インチのガイドワイヤプラットフォームの両方上への配置用に設計されてきた。各実施形態のための設計特徴は、ガイドワイヤの直径と一致するよう計られた形状と類似する。
【0290】
ボールステントデバイスの拡張していない構成は、図43A~Dに示される。遠位ノーズコーン362Aは、その遠位頸部118で拡張可能な本体150に取り付けられる。近位ノーズコーン362Bは、その近位頸部116で拡張していない拡張可能な本体150に取り付けられる。1つの実施形態では、電解セグメント260は、125μm幅及び18μmの厚さのレーザーエッチングされた分離部位3302と共に陽極として機能する302または304シリーズのステンレス鋼のリング250を備える。絶縁コーティング264は、陰極リング262を陽極リング250から切り離す。拡張可能な本体150は、ポリイミドで構成されるブリッジカテーテル160及び90%の白金と10%のイリジウムで構成される長いテレスコープ640を含む剛性の伸縮ブリッジセグメント642を介して送達カテーテル1000上に取り付けられる。2つの導体配置1008は、電解セグメント260をハンドヘルドコントローラー3418(図示せず)に接続するよう用いられる。送達カテーテル1000は、ステンレス鋼編組で補強されたポリイミドの壁1002及びPEBAの外部覆い1004を備える。送達カテーテル1000内部内腔1012(図示せず)とブリッジカテーテル160は、ガイドワイヤ302上をスライドするための潤滑性表面を供給するポリイミド/PTFE(例えばインターナショナルワイヤグループによるPD-Slick(商標))のようなPTFEまたはPTFE複合体と整列する。
【0291】
ボールステントデバイスの拡張した構成は、図43E~Hに示される。拡張の間、遠位ノーズコーン362Aは、図43D~Eとの比較で理解できるように、固定近位ノーズコーン362B、ブリッジカテーテル160の伸展する露出した遠位部及びガイドワイヤ302に向かって軸方向に移動する。拡張可能な本体150内で、伸縮ブリッジセグメント642の全長は、ブリッジカテーテル160を備え、図43C及び43Fとの比較で理解できるように、テレスコープ640は縮小する。
【0292】
拡張したボールステントデバイスの分離した構成は、図43I~Jに示される。ガイドワイヤ302の取り出し、補助コイル162の配置及び電解による陽極リング250の切断の後、送達カテーテル1000は、近位ノーズコーン362B及びブリッジカテーテル160に沿って取り除かれる。遠位ノーズコーン362A及びテレスコープ640を持つ拡張可能な本体150は、よって適所に残される。
【0293】
様々な実施形態では、2つの内腔または流体経路は、ボールステント拡張可能な本体150及び、図20Cに関連して図43K~Mに説明されるように、膨張及びガイドワイヤ挿入またはX線造影媒体の注入のための送達カテーテル1000内に存在する。(図43L~Mにおいて、ガイドワイヤは図示されていないことに留意されたい。)膨張内腔312は、送達カテーテル1000の内壁とブリッジカテーテル160の外壁の間の環状隙間によって定義され、近位頸部116内の出口点745で終結する。ガイドワイヤ内腔324は、ブリッジカテーテル160の内壁によって定義され、ブリッジカテーテル160の遠位端における出口点755で終結する。ガイドワイヤ302が欠如する場合、ガイドワイヤ内腔324は、X線造影剤を注入するのに用いられてもよい。
【0294】
拡張可能な本体を備える医療用デバイス及び人間の患者における嚢状動脈瘤の治療への使用
限定されるものではないが実施例として、動脈の嚢状動脈瘤を治療するための拡張可能な本体を備える2つの医療用デバイス、中空の金属製の拡張可能な本体3400Aを備える第1医療用デバイス及び補助コイル拡張可能な本体を備える第2デバイスを用いる典型的な方法は、限定されるものではないが実施例として、針を伴うことを含む人間の動脈システムにアクセスすること、ガイドワイヤ302を動脈へと通すこと、任意的に血管アクセス部位を確保するために血管シースを配置すること、及びその後に任意的にガイドカテーテルを動脈システムへ挿入することを含む。折り畳まれ、巻かれ、かつ圧縮されたボールステント100及び送達カテーテル300または400を含む医療用デバイスは、その後ガイドカテーテルへと挿入され、折り畳まれ、巻かれ、圧縮されたボールステントが動脈瘤700の内腔701に配置されるまでガイドワイヤ上を前進し、嚢状動脈瘤の内腔または空洞の一部のみを占領するよう構成されたそういったボールステントは、拡張したボールステントの直径が動脈瘤の頸部の幅よりも広くなるよう構成される。ボールステント100は、流体で満たされたシリンジを医療用デバイスの近位ハブに取り付け、送達カテーテルの内腔を通じてボールステントの中心空隙または空間108へと流体を注入することで拡張する。拡張したボールステントは、動脈瘤の頸部に隣接する動脈瘤の壁と接触するようになるまで引き戻される。任意的に、ボールステントのサイズが適切で、動脈瘤内に適切に配置されるかどうか、及び嚢状動脈瘤700の動脈瘤頸部が完全に閉塞されるかどうかを判断するために、X線造影剤がガイドカテーテルを通じて親血管1202へと注入される。ガイドワイヤは取り除かれ、補助コイルが事前搭載された補助コイル送達カテーテルは、その先端がボールステントを備える医療用デバイスの遠位端を出るまで、ガイドワイヤ内腔を通じて通り抜ける。これは、拡張したボールステントの本体、拡張したボールステントの遠位頸部、拡張したボールステントに固定された遠位ノーズコーン、またはボールステントを備える医療用デバイスのカテーテルシャフトが出ることを含む。補助コイル送達カテーテルの配置は、補助コイル送達カテーテルの遠位先端付近のX線不透過性マーカーを監視するための蛍光透視法を用いて監視される。補助コイルはその後、押し込みワイヤを用いてコイル送達カテーテルから引き出され、補助コイルが親血管から動脈瘤内腔への開口部に対向する動脈瘤の壁と接触し、かつ同時に拡張したボールステントの壁の外面と接触するように、補助コイルを動脈瘤の内腔の満たされていない部分へと押し込む。空の補助コイル送達カテーテルは、患者から取り除かれる。任意的に、1つ以上の追加的補助コイルが必要に応じて配置される。送達カテーテルはその後、拡張したボールステント100から切り離され、送達カテーテルは身体から取り除かれるが、一方で拡張したボールステント及び補助コイル(複数可)は動脈瘤700の内腔701内の適所に残る。拡張したボールステントの送達カテーテル300からの切り離しは、開示される任意の分離方法で成し遂げることができる。
【0295】
処置中及び処置後のボールステント100及び補助コイル(複数可)の配置は、蛍光透視法、コンピューター断層撮影法、MRI、及び血管内超音波法を含む超音波を含む、任意の適切な方法で監視されてもよい。動脈瘤の閉塞の程度は、拡張したボールステント100の送達カテーテルからの分離の前後に血管造影法を用いて判断できる。拡張したボールステント100及び補助コイルは、患者の内部へ残され、動脈瘤への血流を減少させるように機能し、それによって動脈瘤の出血または拡張のリスクの低減、患者が体験している現在の医療的問題の解決、または治療されていない嚢状動脈瘤700を持った患者が体験するであろう将来の医療的問題のリスクを低減する。
【0296】
ボールステント100の様々な実施形態では、嚢状動脈瘤の内腔内で拡張したボールステントの直径、長さ、及び形状は、一部においては、ボールステントの形成された直径、長さ、及び形状によって判断される。例えば、いくつかの実施形態では、ボールステント100は、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、12mmまたはそれ以上の直径で製造され、動脈瘤の開口部または頸部の直径よりも大きい特定の直径が選択される。様々な実施形態では、動脈瘤の治療に用いられる拡張したボールステントの本体の最大直径は、特定の動脈瘤700の頸部の直径、本体の直径、及び高さに基づいて、ボールステントの本体の最大長よりも長いか、同じか、またはそれ以下である。拡張したボールステントの最終的に拡張したサイズ及び形状はさらに判断され、嚢状動脈瘤の内腔のサイズ及び形状によって一般的に制限される。拡張したボールステントの最終的に拡張したサイズ及び形状は、拡張したボールステント100に隣接するバルーンカテーテルのバルーン部分を膨張することでといったような、外力の適用によりさらに判断され得る。方法の特定の実施形態では、バルーンカテーテル1100のバルーン部分1102は、動脈瘤嚢の内腔内で拡張したボールステント100に隣接する親血管1202の内腔内で膨張し、それにより図17Eに示されるように、動脈瘤に向かってボールステント100の壁1104を押し込む。他の実施形態では、ボールステント拡張可能な本体は、拡張したボールステント拡張可能な本体を送達カテーテルから分離するステップの前後のステップで形成されてもよい。他の実施形態では、ボールステント100は、特定の嚢状動脈瘤700のための空洞の外形に適合するよう非球状配向へと製造される。
【0297】
ほとんどの実施形態では、ボールステント100の拡張したサイズ及び形状は、以下の、1)ボールステント100の製造されたサイズ及び形状、2)ボールステント拡張の程度、3)治療される嚢状動脈瘤700のサイズ及び形状、及び4)拡張後にボールステント上に適用される任意の外力の効果、といった要因によって判断される。限定されるものではないが実施例として、ボールステント100の製造されたサイズ及び形状は、嚢状動脈瘤700の計測によって判断されてもよい。計測は、2次元的及び3次元的再建、及び標準距離参照マーカーを含む医療用画像を用いることで行うことができる。動脈瘤を計測する他の方法が同様に用いられてもよい。
【0298】
他の実施形態では、拡張したボールステント100の位置、サイズ、及び形状は、嚢状動脈瘤700内に配置される間に操作できる。ボールステント100は、ボールステントの拡張の程度及び外力の適用によって形成される。例えば、外力は、拡張したボールステント100に隣接するバルーンカテーテルのバルーン部分を膨張することにより、または送達カテーテル400またはガイドカテーテル800を通じて、またはその周囲に挿入されるツールによって適用されてもよい。他の実施形態では、ボールステント100は、拡張したボールステントを送達カテーテル400から分離するステップの前後のステップで形成されてもよい。
【0299】
様々な実施形態では、ボールステント100は、拡張したボールステント100の外面110または124が図11A~F及び15A~Fに示されるように、嚢状動脈瘤700の内面704の実質的部分と接触するよう設計される。いくつかの実施形態では、ボールステント100及び140の外面110または124は、嚢状動脈瘤700の内面704の最大100%までを含む少なくとも10%、20%、30%、50%、75%、90%またはそれ以上と接触するようになる。いくつかの実施形態では、拡張したボールステント100及び140は、嚢状動脈瘤700の内腔701を、最大100%までを含む完全にまたはほぼ完全に満たすよう設計される。他の実施形態では、拡張したボールステント100及び140は、嚢状動脈瘤700の内腔701の容量の少なくとも10%、20%、30%、50%、75%、90%またはそれ以上を満たす。
【0300】
他の実施形態では、ボールステント拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、緊急の際は急速に配置されてもよい。特に、ボールステント拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、破裂した脳動脈瘤の治療のために、動脈瘤からの出血を直ちに減少させるために、急速に配置されてもよい。
【0301】
全ての実施形態では、拡張したボールステント拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、拡張した形状を維持するよう構成される。このため、拡張したボールステント拡張可能な本体は、送達カテーテルからの分離の前後にディスク様構造へと平らにするために設計されておらず、または意図されていない。
【0302】
拡張可能な本体及び他の医療用デバイスを備える他の医療用デバイスと共に拡張可能な本体を備える医療用デバイスの使用
様々な実施形態では、拡張可能な本体100、140、150、または170A~H及び補助コイル162は、他の最小侵襲性の、カテーテルベースの血管内デバイスと組み合わせて用いられてもよい。組み合わせでは、これらのデバイスは、難しい形状を持ち得る及び/または標準のコイリング技術に従わない嚢状動脈瘤700治療の際に特に利点があってもよい。
【0303】
図17Kに説明されるように、ボールステント拡張可能な本体150及び補助コイル162は、嚢状動脈瘤700を治療するためにフレーミングコイル725と組み合わせて用いられてもよい。描写される「フレーミングコイル第1」手法では、(1)フレーミングコイル725は最初に配置され、動脈瘤を安定化し、動脈瘤空洞701の開口を保持する動脈瘤壁704に沿う大きなループへと形成される、(2)ボールステント150に続いて、及びその後(3)補助コイル162、である。この手法の潜在的利点は、a)拡張可能な本体150が動脈瘤700から出て親血管1202または1203へと移動するリスクの低減、b)ボールステント150の壁と動脈瘤704の壁の間の血流を減少させることで動脈瘤血栓形成の完成率を増加、及びc)最適なサイズ及び形状を持つボールステント拡張可能な本体150の選択に役立つ動脈瘤空洞701のサイズ及び形状のより正確な定義、を含んでもよい。
【0304】
様々な実施形態では、フレーミングコイル725は、直径がおおよそ0.004~0.006インチの間のニチノールワイヤを備えてもよい。様々な実施形態では、フレーミングコイル725は、蛍光透視法撮像下での可視化を高めるための特徴を含んでもよい。1つの態様では、金または白金めっきが、フレーミングコイル725の全てまたは一部に適用される。第2の態様では、図12Dに示されるように、金、白金、イリジウム、タンタル、またはステンレス鋼を備えるマーカーバンド510は、端部及び/または補助コイル162用のものと類似するフレーミングコイル725の長さに沿う区間に適用される。第3の態様では、マーカーブレット520は、図12Eに示されるように、補助コイル162用のものと類似するフレーミングコイル725の端部に適用される。マーカーは、接着剤またはPTFEといったようなポリマー熱収縮チューブにより固定されてもよい。他の態様(図示せず)では、補助コイルは、製造中にポリマー融液へと混合されるX線不透過性液体または粒子と共にポリマーで形成される。様々な実施形態では、フレーミングコイルの送達に用いられるカテーテル(図示せず)は、おおよそ0.010~0.016インチの間の直径を有してもよい。
【0305】
図17L~Nに説明されるように、ボールステント拡張可能な本体150及び補助コイル162は、大きな開口部703を持つ嚢状動脈瘤700を治療するために親血管1202内の血管ステント730と組み合わせて用いられてもよい。治療の様々な方法が用いられてもよい。図17Mに描写される1つの実施形態に従って、拡張可能な本体150が最初に配置され、続いて血管ステント730及びその後に補助コイル162が配置される。図17Nに描写される1つの実施形態に従って、血管ステント730が最初に配置され、続いて拡張可能な本体150及びその後に補助コイル162が配置される。血管ステント730は、これに限定はされないが、バルーン拡張ステント、自己拡張ステント、または分流ステントを含む任意の適切なステントであってもよい。
【0306】
拡張可能な本体を備える医療用デバイス及び人間の患者の血管または他の生体導管のセグメント閉塞への使用
限定はされるものではないが実施例として、図13、14A~B、及び15A~Fから理解できるように、必要に応じて患者の血管セグメントを閉塞するための拡張可能な本体500または3400Aを備える医療用デバイスの使用方法は、患者を検査すること及び治療される血管のセグメントを識別するために診断的医療用画像を収集することのステップを含んでもよい。血管系は、セルディンガー法を用いて動脈にアクセスすることを含む任意の適切な方法を用いてアクセスされてもよい。ガイドワイヤ302はその後、血管系へと挿入される。任意的に、血管アクセス部位を確保するために血管シースが血管系へ挿入される。任意的に、ガイドカテーテル800が血管系へ挿入され、ガイドワイヤ302が治療される血管セグメント、目標血管セグメントの内腔内またはその付近へと配置されるまでガイドワイヤ302と共に前進する。目標血管セグメントの配置及び管腔寸法は、蛍光透視法下でX線造影剤溶液の管腔内注入によりその後可視化される。
【0307】
折り畳まれ、巻かれ、かつ圧縮されたブロックステント100及び送達カテーテル300または400を含む医療用デバイスは、その後ガイドカテーテルへと挿入され、折り畳まれ、巻かれ、圧縮されたブロックステントが目標血管セグメント内腔内へ位置するまでガイドワイヤ上を前進する。そういったブロックステントは、拡張したブロックステントが治療される血管セグメントの直径よりも約20%大きくなるように構成される。任意的に、デバイスの位置を判断するために分離シャフトによって結合された内腔を通じてハブから医療用デバイスの先端へと、X線造影剤が蛍光透視法下で注入される。ブロックステントは、流体で満たされたシリンジを医療用デバイスの近位ハブに取り付け、送達カテーテルの内腔を通じてブロックステントの中心空隙または空間へと流体を注入することで拡張する。任意的に、デバイスの位置及び血管セグメント閉塞を判断するために分離シャフトによって結合された内腔を通じてハブから医療用デバイスの先端へと、X線造影剤が蛍光透視法下で注入される。ガイドワイヤは、この時取り除かれるかまたは適所に残されてもよい。分離シャフトはその後、ハブで医療用デバイスの残部から切り離され、拡張したブロックステントの近位ノーズコーンに触れるまで前進する。送達シャフト/ガイドワイヤシャフトアセンブリはその後、分離シャフトを適所に保持しながら引き戻され、送達シャフト/ガイドワイヤシャフトアセンブリから拡張したブロックステントの分離をもたらし、その後患者から取り除かれる。ガイドワイヤは、この時取り除かれるかまたは適所に残されてもよい。任意に、拡張したブロックステントの位置及び目標血管セグメントの閉塞の程度を判断するために、X線造影剤が蛍光透視法下で分離シャフトを通じて注入される。拡張したブロックステントの位置及び目標血管セグメントの閉塞の程度が許容可能なものである場合、ガイドワイヤはブロックステントから取り除かれるが、一方でブロックステントは目標血管セグメント内で適所に残る。いくつかの実施形態では、近位または遠位頸部またはノーズコーンは、送達シャフト/ガイドワイヤシャフトアセンブリの除去後に閉じることができるエラストマー系弁及び拡張したブロックステントの中心空隙を通じる血流を減少させるガイドワイヤをさらに備える。1つの実施形態では、エラストマー系弁は、分離後に拡張したブロックステントの中心空隙を閉じるために遠位ノーズコーン内へ組み込まれるが、一方で拡張したブロックステントの近位頸部は開放したままである。この実施形態では、拡張したブロックステントの中心空隙及び拡張したブロックステントの外側の圧力は、同じかまたは類似しており、拡張したブロックステントは、中心空隙内に剛性または半剛性材料がなくても拡張状態に留まるよう構成される。
【0308】
処置中及び処置後のブロックステントの配置は、蛍光透視法、コンピューター断層撮影法、MRI、及び血管内超音波法を含む超音波を含む、任意の適切な方法で監視されてもよい。拡張したブロックステントは、患者の中に残され、目標血管セグメント内の血流を減少させるように機能し、それにより血流、出血のリスクを減少し、または患者が体験している他の現在の医療的問題を解決し、治療されていない血管を持つ患者が体験するであろう将来の医療的問題のリスクを減少する。
【0309】
ブロックステント100の様々な実施形態では、目標血管セグメントの内腔内で拡張したブロックステントの直径、長さ、及び形状は、一部においては、ブロックステントの形成された直径、長さ、及び形状によって判断される。例えば、いくつかの実施形態では、ボールステント100は、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、12mm、14mm、16mm、18mm、20mm、22mm、24mmまたはそれ以上の直径で製造され、治療される血管セグメントの直径よりも約20%大きい特定の直径が選択される。拡張したブロックステントの最終的に拡張したサイズ及び形状はさらに判断され、目標血管セグメントの内腔のサイズ及び形状によって一般的に制限される。拡張したボールステントの最終的に拡張したサイズ及び形状は、拡張したブロックステントに隣接するバルーンカテーテルのバルーン部分を膨張することでといったような、外力の適用によりさらに判断され得る。方法の特定の実施形態では、バルーンカテーテルのバルーン部分は、動脈瘤嚢の内腔内で拡張したブロックステントに隣接する親血管の内腔内で膨張し、それによりブロックステントの壁1104上に押し込む。他の実施形態では、ブロックステント拡張可能な本体は、拡張したブロックステント拡張可能な本体を送達カテーテルから分離するステップの前後のステップで形成されてもよい。
【0310】
ほとんどの実施形態では、ブロックステントの拡張したサイズ及び形状は、以下の、1)ブロックステントの製造されたサイズ及び形状、2)ブロックステント拡張の程度、3)治療される目標血管セグメントのサイズ及び形状、及び4)拡張後にブロックステント上に適用される任意の外力の効果、といった要因によって判断される。限定されるものではないが実施例として、ブロックステント100の製造されたサイズ及び形状は、目標血管セグメントの計測によって判断されてもよい。計測は、2次元的及び3次元的再建、及び標準距離参照マーカーを含む医療用画像を用いることで行うことができる。目標血管セグメントを計測する他の方法が同様に用いられてもよい。
【0311】
様々な実施形態では、ブロックステントは、拡張したブロックステントの外面が、目標血管セグメントの内面の実質的部分と接触するよう設計される。いくつかの実施形態では、ブロックステントは、目標血管セグメントの内面704の最大100%までを含む少なくとも10%、20%、30%、50%、75%、90%またはそれ以上と接触するようになる。拡張したブロックステントは、目標血管セグメントの内腔を最大100%までを含む、完全に、またはほぼ完全に満たすよう設計される。
【0312】
限定されるものではないが実施例として、ブロックステント拡張可能な本体の製造されたサイズ及び形状は、満たされる内腔、空隙、または空洞の計測によって判断されてもよい。計測は、2次元的及び3次元的再建、及び標準距離参照マーカーを含む医療用画像を用いることで行うことができる。内腔、空隙、または空洞を計測する他の方法が同様に用いられてもよい。
【0313】
他の実施形態では、ブロックステント拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、緊急の際は急速に配置されてもよい。特に、ブロックステント拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hは、動脈瘤からの出血を直ちに減少させるために、破裂したかまたは出血している血管セグメントを治療するために急速に配置されてもよく、これは、拡張したブロックステントが破裂または出血の領域を覆うという実施形態を含む。
【0314】
全ての実施形態では、拡張したブロックステント拡張可能な本体は、拡張した形状を維持するよう構成される。このため、拡張したブロックステント拡張可能な本体は、送達カテーテルからの分離の前後にディスク様構造へと平らにするための設計されておらず、または意図されていない。
【0315】
拡張可能な本体を備える医療用デバイス及び人間の患者における末梢動脈の治療への使用
動脈または静脈閉塞における汎用に適したブロックステント拡張可能な本体の実施形態は、図3F、3H、9C~D、及び44A~Eに示されるように、0.014と0.018インチのガイドワイヤ上への配置用に設計されてきた。
【0316】
ブロックステントデバイスの拡張していない構成は、図3F及び44Aに示される。遠位ノーズコーン362Aは、その遠位頸部118で拡張可能な本体150に取り付けられる。近位ノーズコーン362Bは、その近位頸部116で拡張可能な本体150に取り付けられる。図9C~Dに示されるように、遠位弁560Aは、弁コンポーネント内に中心貫通を伴って遠位ノーズコーン362Aへと組み込まれる。近位エラストマースリーブは、送達カテーテルアセンブリの遠位端へと結合され、摩擦嵌合を形成するために拡張可能な本体の近位頸部上に延びる。
【0317】
ブロックステント拡張可能な本体150は、送達カテーテルアセンブリ306上に取り付けられる。ここで、ブロックステント拡張可能な本体の近位頸部は、送達カテーテル(ステンレス鋼編組で補強された押し出しポリイミドで構成される)アセンブリの送達シャフト部分の遠位端と伸縮ブリッジセグメント(90%の白金と10%のイリジウムで構成される)を係合し、かつガイドワイヤシャフト(ステンレス鋼編組で補強された押し出しポリイミドで構成される)の遠位端を係合する拡張可能な本体の遠位頸部へと結合される。送達カテーテルアセンブリのガイドワイヤシャフトコンポーネントの内腔は、ガイドワイヤ302がスライドしていくための潤滑性表面を供給するPTFE、またはポリイミド/PTFE(例えばインターナショナルワイヤグループによるPD-Slick(商標))といったPTFE複合体と整列する。送達カテーテルアセンブリ306上にその遠位端でX線不透過性マーカーバンド620の機能を持つ外部カテーテルシャフト610を配置する。
【0318】
さらなる説明を供給する方法として、ブロックステント医療用デバイスは、2つの中空の円筒状本体または内腔を備える送達カテーテルアセンブリを備える。第1内腔は、0.014または0.018インチのガイドワイヤ(ガイドワイヤシャフトの内面により定義される)の経路のためのものであり、第2内腔は、膨張または拡張(送達シャフト内面及びガイドワイヤシャフトの外面により定義される)を引き起こすために近位ハブからブロックステントの中心空隙へと流体を注入するためのものである。ブロックステント医療用デバイスは、送達カテーテルアセンブリのハブと一緒にロックするよう構成された分離ハブを持つ外部シャフトをさらに備える。この外部シャフトは、外部シャフトの内面と送達カテーテルアセンブリの外面の間の内腔を定義した。外部シャフトのハブは、医療用デバイスの先端付近に出るこの内腔へとX線造影剤の注入を可能にする弁及びサイドアームを含む。
【0319】
ブロックステントデバイスの拡張した構成は、図44B~Cに示される。拡張の間、遠位ノーズコーン362Aは、固定近位ノーズコーン362Bに向かって軸方向に移動する。ここで、固定近位ノーズコーン362Bは、図44A~Bとの比較で理解できるように、ガイドワイヤシャフト160の露出した遠位部に伸展する。拡張可能な本体150内で、伸縮ブリッジセグメント642(ガイドワイヤシャフト160の遠位端の伸縮部分及びブロックステントの権威頸部に結合する伸縮セグメント640を備える)の全長は、図3F及び44Cとの比較で理解できるように、減少する。
【0320】
ブロックステント配置に関して、ガイドシースまたはガイドカテーテルの配置及び0.018インチのガイドワイヤの内部胸部動脈内の配置の後に、圧縮したブロックステントはガイドワイヤ上を前進し、外部シャフト(及びハブ)、送達シャフト/ガイドワイヤアセンブリ(ハブ付き)のアセンブリを用いて内部胸部動脈へと配置され、2つのハブは一緒にロックされた。圧縮したブロックステントはその後、膨張したかまたは拡張した。サイドアームを用いて外部シャフトの内腔を通じたX線造影剤の注入により動脈閉塞の程度を評価するために血管造影法が実行された。2つのハブはその後、アンロックされ、外部シャフトの先端は、拡張したブロックステントの近位ノーズコーンに触れるまで前進した。送達カテーテルアセンブリはその後引き戻され、拡張したブロックステントの近位頸部を送達カテーテルアセンブリの遠位端上のエラストマースリーブから切り離すことで、送達カテーテルアセンブリから拡張したボールステントの機械的分離をもたらす。拡張し、分離したブロックステントの位置及び目標血管の閉塞は、ガイドカテーテルとして今は機能した外部シャフトを通じて注入される血管造影で評価された。その後、ガイドワイヤは取り除かれ、内部胸部動脈の血管造影が繰り返された。
【0321】
処置の最後では、ブロックステントの遠位ノーズコーン内の弁は、拡張したブロックステントの中心空隙を通じて移動する血液の経路を密封した。近位ノーズコーンは弁がなく、よって血流に開放された。この構成で、処置の最後におけるブロックステントの中心空隙内部の圧力は、ブロックステント外側の圧力と同じ、類似している、またはより低く、高くはなかった。剛性または半剛性材料がブロックステントの中心空隙内に置かれなかった。
【0322】
分離のプロセスは、図44D及び9A~Bに関連して記述される。ガイドワイヤ302を任意的に適所に残して、送達カテーテル306が取り出され、ブリッジカテーテル160が遠位弁560Aの外に、送達カテーテル306が近位弁560Bの外に引き出されるが、一方で同時に分離カテーテル610の遠位端を近位ノーズコーン362Bに対して保持する。分離カテーテル610の遠位端におけるX線不透過性マーカーバンド620は、分離プロセス中の蛍光視認性を高める。最後に、ガイドワイヤ302が取り出される。
【0323】
上に提供された拡張及び分離プロセスの記述に基づいて、弁560A~B及び分離カテーテル610がユニットとして機能することが明らかとなり得る。よって、弁560A~Bは、膨張の間に拡張可能な本体150を送達カテーテル306上に保持するために十分な強度を持つべきであり、分離カテーテル610は、送達カテーテル306の弁560A~Bからの取り出し中に拡張可能な本体150を適所に保持するのに十分な強度を持つべきである。
【0324】
拡張したブロックステントデバイスの完全に分離した構成は、図3H、9C~D、及び44Eに示される。遠位ノーズコーン362A、テレスコープ640及び近位ノーズコーン362Bを持つ拡張可能な本体150は、よって適所に残される。遠位弁560A及び近位弁560Bは、拡張可能な本体150を通じる血流を防ぐよう封鎖する。
【0325】
前述の機械的分離システムの他の実施形態では、近位弁560Bは図21C~Fに示されるように、エラストマースリーブ710と取り替えられる。好適な実施形態では、エラストマースリーブを近位ノーズコーン362Bから、及びブリッジカテーテル160を遠位弁560Aから分離するための力の範囲は、約0.3~約1.3lbである。
【0326】
様々な実施形態では、3つの内腔または流体経路は、ブロックステント拡張可能な本体150、送達カテーテル306、及び、図20Dに関連して図44F~Hに説明されるように、ガイドワイヤ挿入、膨張、及びX線造影媒体の注入のための分離カテーテル610内に存在する。(図44G~Hにおいて、ガイドワイヤは図示されないことに留意されたい。さらに、ブリッジカテーテル160及び送達カテーテル306は、弁560A及び560Bの閉鎖効果のために近位方向へ取り出される。)膨張内腔312は、送達カテーテル306の内壁とブリッジカテーテル160の外壁の間の環状隙間によって定義され、近位頸部116内の出口点745で終結する。ガイドワイヤ内腔324は、ブリッジカテーテル160の内壁によって定義され、ブリッジカテーテル160の遠位端における出口点755で終結する。X線造影内腔760は、分離カテーテル610の内壁と送達カテーテル306の外壁の間の環状隙間によって定義され、分離カテーテル610の遠位端における出口点765で終結する。
【0327】
他の実施形態では、前述の機械的分離システムは、末梢動脈における嚢状動脈瘤を治療するよう設計された実質的に球状のボールステント拡張可能な本体150と共に用いられる。
【0328】
拡張可能な本体を備える医療用デバイスを含む医療用キット
様々な実施形態では、医療用キットは医療用デバイスと共に患者の治療のために供給されてもよい。医療用キットは、医療用デバイス500、ガイドワイヤ302、1つ以上のガイドカテーテル800、1つ以上の拡張可能な本体支持構造、1つ以上の補助コイル、及び拡張した拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hを送達カテーテル300または400から分離する方法の指示を含んでもよい。様々な実施形態では、医療用キットは、補助コイルまたは補助コイル用の送達カテーテルを備える医療用デバイスを含んでもよい。そして、医療用キットは、電解を実行するかまたは拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hと送達デバイスを結合する感熱性結合構造を熱するための電源及びコントローラーといった切り離し用の医療用デバイスを切り離してもよい。加えて、医療用キットは、不適切に配置された分離した拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hを捕獲し取り除くのに用いるための回収カテーテルを含んでもよい。医療用キットは、使用のための指示をさらに含んでもよい。使用のための指示は、ラベルの形状で医療用キットのパッケージ上に供給されてもよい。使用のための指示は、医療用キットから分かれているかまたは医療用キットのパッケージ内に含まれている任意の有形的表現媒体(例えば紙、CD、またはDVD)に提供されてもよい。使用のための指示は、供給された電子データを介して、またはインターネットに投稿された指示を介して提供されてもよい。
【0329】
医療用デバイス3400Aは、様々なシステム、方法、及び医療用キットの一部として用いられ得る。これらのシステム、方法、及び医療用キットは、嚢状脳動脈瘤といった嚢状動脈瘤を治療するのに用いることができる。あるいは、これらのシステム、方法、及び医療用キットは、様々な病状の治療に用いることができる。1つの実施形態では、システム、方法、及び医療用キットは、必要に応じて患者の生体導管を閉塞するのに用いることができ、生体導管は、とりわけ、動脈、静脈、血管構造、導管、気道、胆管、膵管、腸管皮膚瘻、尿管、卵管、及び尿道などを含む。医療用キットは、医療用デバイス及び使用のための指示を含む。医療用キットは、医療用デバイス500を用いて様々な治療を行うための追加的コンポーネントをさらに含んでもよい。
【0330】
電解による分離のために構成された中空の金属製の拡張可能な本体を備える医療用デバイスを含む医療用キットの製造
図34~36は、拡張可能な本体100、140、150、または170A~H、送達カテーテル1000、及び医療用キットを製造する方法のフロー図である。1つの実施形態では、拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hを作る方法4000は、ステップ4002におけるマンドレル上に拡張可能な本体を形成することを含む。ステップ4006では、分離部位及び導体ワイヤが拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hに結合する部位は、露出される。拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hはその後、アニーリングされ、折り畳まれ、巻かれ、かつステップ4008~4012で再度アニーリングされる。
【0331】
製造または既存の送達カテーテルを準備するための方法4100が供給される。ステップ4102で、電気的導体ワイヤを持つ補強されたカテーテル3402が得られ、かつステップ4104で電気的導体ワイヤの一部を露出するために外部コーティングがカテーテルから取り除かれる。ステップ4106で、露出した電気的導体ワイヤの一部が広げられる。ステップ4108で、陰極リング1028がカテーテル1000及びその電気的導体ワイヤに結合され、その後ステップ4110で、露出した電気的導体ワイヤが絶縁材料で覆われる。カテーテル3402上の結合部位はマスキングされ、ステップ4112及び4114で、カテーテルは親水性または潤滑性コーティングでコーティングされる。カテーテル3402の近位端は、限定はされないが実施例として、ルアー接続金具を持つシリンジを含む流体源に係合するために構成される。カテーテル3402の近位端の一部はさらに、電気的導体ワイヤ及び限定はされないが実施例として、電気ジャックまたはポートを含む電流供給源に係合するために構成される。カテーテル3402の近位端の一部はさらに、ガイドワイヤの経路のために構成される。流体源、電流供給源に係合するために構成され、かつガイドワイヤを受容するよう構成されたカテーテルの近位端の一部は、カテーテルに結合されるハブを備えてもよい。
【0332】
電気的導体1014及び1016は、それぞれ陽極と陰極に結合され、その後、ステップ4118及び4120で、電気的導体は送達カテーテルから延び、絶縁ジャケットで覆われる。ステップ4122及び4124で、拡張電気的導体は、電気端子3422といった電気的プラグにはんだ付けされ、はんだ付けされた結合部は絶縁される。
【0333】
図36に示されるように、医療用デバイス3400A及び医療用キットを組み立てる方法4200は、ステップ4202で拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hをカテーテル3402に結合することを含む。ステップ4204で、電気的導体1014は陽極を形成するために拡張可能な本体100、140、150、または170A~Hに結合され、露出した導体面は、ステップ4206でさらに絶縁される。一度組み立てられると、デバイス3400Aはステップ4208でテストされ、ステップ4210で医療用キットに封入される。
【実施例
【0334】
非臨床的モデルにおける嚢状動脈瘤の治療のための拡張可能な本体を備える医療用デバイスを用いる例示的方法
イヌの大きな末梢頸動脈の静脈嚢動脈瘤ポーチのモデルを用いて、ボールステント(n=2)での治療と標準コイル(n=1)での治療との比較が行われた。
【0335】
方法
実験モデルは、体重約16kgのイヌ属イヌ(イエイヌ)の交配猟犬を用いた。それぞれのイヌで、図37A~Dによると、単一の嚢状動脈瘤が新たに作られた頸動脈末端分岐上に外科的に作られ、頸動脈の切断(図37A)、末端分岐の構築(図37B)、嚢状動脈瘤の追加(図37C)、及び摘出した頸静脈の移植セグメントから形成された動脈瘤の最終構成(図37D)を説明する。対比血管造影は、動脈瘤製作後に動脈瘤の完全性を検証するために実行された。
【0336】
動脈瘤製作のおおよそ3週間後に、血管の外科的切開を介して適切なサイズのシースが大腿動脈に配置された。≧300秒の標的活性化凝固時間(ACT)を達成するために、ヘパリンが投与された。蛍光透視法のガイダンス下で、ガイドシース(6Fr×90cm長)を動脈瘤のすぐ後方にある近位右総頸動脈へと前進させた。動脈瘤の内腔及び親血管の可視化するために、対比血管造影がその後実行された。0.018インチのガイドワイヤがその後動脈瘤の内腔へと置かれ、ガイドシースを動脈瘤に向かって前進させた。
【0337】
ボールステントのテストグループに関して、動脈瘤の治療時には最初の動物は約12mm×9mm×6mm(図38)の動脈瘤であったが、一方で第2の動物における動脈瘤は約15mm×9mm×10mmであった。各イヌの動脈瘤は、ボールステント拡張可能な本体をさらに備える第1医療用デバイス、及び補助コイル送達カテーテルに事前搭載された補助コイルを備える1つ以上の第2医療用デバイス(複数可)、を含むシステムで治療された。ボールステントの拡張した形状は、いくらか平らな遠位面を持つ略球状であった。ボールステントの主本体部及び遠位頸部が金を備えた一方で、近位頸部は金でコーティングされたかまたはめっきされたステンレス鋼を備えた。ボールステントの主本体部は、第1軸(直径)において8mmの直径で、第2軸(長さ)において約6mmの直径であり、かつ20μmの厚さの金の単一層から形成された。ポリマーのノーズコーンがボールステントの遠位頸部に、さらに送達カテーテルの遠位端に取り付けられた。送達カテーテルは、2つの中空の円筒状本体または内腔から構成され、1つの内側に他方がある。その第1は、3.5Frの外径を持ち、ガイドワイヤシャフトの内面によって定義され、0.014または0.018インチのガイドワイヤまたは補助コイルまたは補助コイルカテーテルの経路用に構成された第1内腔(内部)である。その第2は、送達シャフトの内面及びガイドワイヤシャフトの外面によって定義され、折り畳まれ、巻かれ、圧縮され、かつ細長くなった送達構成からボールステントの膨張または拡張を引き起こすための送達カテーテルの近位ハブからボールステントの中心空隙へと流体の注入用に構成された第2内腔(外部)である。第1内腔の遠位部分は、伸縮ブリッジセグメントによって定義された。伸縮ブリッジセグメントの近位部分は、ガイドワイヤシャフトの柔軟な遠位端によって形成され、ポリイミドから構成された。伸縮ブリッジセグメントの遠位部分は、ボールステントの遠位頸部に結合された白金イリジウムの剛性チューブによって形成された。ブリッジセグメントの近位ポリイミド部分は、白金-イリジウムチューブの遠位部分の内部を伸縮した。送達カテーテルの壁は、PEBAの外層及び内腔と整列するポリイミド/PTFE複合体(例えばインターナショナルワイヤグループによるPD-Slick(商標))を持つステンレス鋼編組で補強されたポリイミドの内層で形成された。さらに送達カテーテルの壁に2つの絶縁導体ワイヤが組み込まれた。1つの導体ワイヤは、ボールステントの近位頸部のステンレス鋼部分に電気的に接続され、よって近位頸部のリング状領域に電気的に接続される。ここで、この領域の外面は、露出した、非絶縁の304シリーズのステンレス鋼を備え、さらに露出した領域は、陽極を形成するようレーザーエッチングによって形成された。第2の導体ワイヤは、陰極を形成するよう送達カテーテル上に取り付けられた90%白金及び10%イリジウムを備える非絶縁のリング状電極に電気的に接続された。両方の導体ワイヤは、送達カテーテルの近位ハブへと組み込まれた電気的ジャックに接続された。ボールステントの近位頸部は、送達カテーテルに連結され、接着剤によって固定され、プリーツへと折り畳まれ、かつプリーツは送達カテーテルとブリッジセグメントの遠位端の周囲に巻かれ、かつその後ブリッジセグメント上へと圧縮された。
【0338】
圧縮したボールステント/送達カテーテルアセンブリは、0.018インチのガイドワイヤ上を前進し、動脈瘤嚢内へ配置され、かつその後、膨張圧を計測しながら、送達シャフト内腔を通じてボールステントの中心空隙へと送達カテーテルのハブからの加圧下で生理食塩水を注入するための膨張デバイスを用いて膨張または拡張された。拡張したボールステントは、その後開口部を閉塞するために親血管から頸部を含む動脈瘤嚢の内腔へと引き戻された。ガイドワイヤは、その後取り除かれ、ニチノールを備える事前搭載された8mm径の補助コイルを持つ補助コイルカテーテルは、補助コイルカテーテルの先端が拡張したボールステントを通って、ブリッジセグメントを通って通り抜け、遠位頸部を過ぎるまで前進し、拡張したボールステントと親血管から動脈瘤内腔への開口部と一般的に対向する動脈瘤の壁の内膜間の動脈瘤の満たされていない部分の内腔内にあった。補助コイルは、その後押し込みデバイスとしてのニチノールワイヤを用いて補助コイルカテーテルから引き出された。配置後、補助コイルは拡張したボールステントの外面と親血管から動脈瘤内腔への開口部と一般的に対向する動脈瘤の壁の内膜両方と接触するようになり、親血管から動脈瘤内腔への開口部に向かって拡張したボールステントに力を加えた。第1動物では1つの補助コイルが置かれた。第2動物では3つの補助コイルが置かれた。血栓形成の誘発を助けるために、少量のトロンビンが空のコイル送達カテーテルを通じて、拡張したボールステントと親血管から動脈瘤内腔への開口部と一般的に対向する動脈瘤の壁の内膜間の動脈瘤内腔の満たされていない部分へと注入された。この後、補助コイル送達カテーテルは取り除かれ、ガイドカテーテルを通じたX線造影剤の注入によって動脈瘤閉塞の程度を評価するための血管造影が行われた。ボールステントは、ガルバノスタットシステム(テネシー州オークリッジのAMETEK社のVersSTAT3-200)を用いて送達カテーテルのハブ上のポートへと組み込まれた電気的ジャックに供給された2mAのDC電流での電解によって分離された。拡張したボールステント及び送達カテーテルの分離後、動脈瘤閉塞の程度を評価するためにガイドカテーテルを通じたX線造影剤の注入による血管造影が行われた。ガイドカテーテル及びシースはその後取り除かれ、動物は回復した。
【0339】
医療用デバイスの移植された部分に弁はなかった。処置の最後では、ボールステントの近位及び遠位頸部は血流へと開放された。この構成で、処置の最後におけるボールステントの中心空隙内部の圧力は、ボールステント外側の圧力と同じ、類似している、またはより低く、高くはなかった。剛性または半剛性材料がボールステントの中心空隙内に置かれなかった。
【0340】
コイルのテストグループに関して、動脈瘤の内腔は、標準のマイクロカテーテル及びガイドワイヤ、及び標準のコイリング技術を用いて動脈瘤嚢への血流を減少させるのに十分な様々なサイズの複数コイル(アイルランド、ダブリンのCovidienPLCのAxium(商標))で部分的に満たされた。コイルの位置及び実験用動脈瘤の閉塞の程度は、最終血管造影図を含む、ガイドカテーテルを通じたX線造影剤の注入による血管造影で評価された。両方のテストグループに関して、対比血管造影が、各デバイス配置の後に直ちに実行された。治療時間、デバイス数及びコスト、及び処置の最後における閉塞の程度が計測された。ガイドカテーテル及びシースはその後取り除かれ、動物は回復した。
【0341】
4週間目に、血管の外科的切開を介して適切なサイズのシースが大腿動脈に配置された。≧300秒の標的ACTを達成するために、ヘパリンが投与された。蛍光透視法のガイダンス下で、カテーテルを動脈瘤のすぐ後方にある近位右総頸動脈へと前進させた。対比血管造影はその後動脈瘤の可視化のために実行された。動物はその後過用量のペントバルビタールで安楽死させられ、組織病理用に動脈瘤及び親血管の隣接部分を含む組織サンプルが集められた。
【0342】
結果
ボールステントのテストグループにおける第1動物に関して、1つのボールステント及び1つの補助コイルが推定$11,750の費用で39分の治療期間にわたって配置された。このボールステント治療での閉塞の程度は、血管造影(図39A)によって100%であると推定された。治療から4週間後、組織病理学検査(図40A)で見られるように、ボールステントは、組織化され、成熟し、かつ動脈瘤頸部全体を覆う完全に内皮化した新生内膜を持つ動脈瘤の持続した閉塞(図39B)を示した。
【0343】
コイルのテストグループにおける動物に関して、17のコイルが$29,750の定価費用で56分の治療期間にわたって配置された。コイル治療の最後における急性閉塞の程度は、血管造影により85%~99%であると推定された。治療から4週間後、血管造影は85%~99%の動脈瘤の閉塞(図40B)を再度示したが、一方で、組織病理学検査は50%の頸部閉塞及び動脈瘤の本体へのチャネルの顕著な再疎通(図40C)を証明した。
【0344】
両方の治療に関して、親動脈は幅広い特許(patent)を留めた。ボールステントと比較した際、急性または4週間でも、コイルでの治療はほぼ50%長く、3倍にも近い費用がかかり、動脈瘤を完全に閉塞できなかった。これらの非常に有望な準備的な試験は、脳動脈瘤閉塞のためのデバイスのテスト用FDAによって一般的に受容された動物モデルにおいて、ボールステントが、コイルよりもより良い閉塞率で、より速く、より容易で、かつより費用的効果のある治療を提供できることを意味することをもたらした。
【0345】
拡張可能な本体を備える医療用デバイスを用いた脳動脈瘤を持つ患者の例示的治療方法
嚢状脳動脈瘤を持つ患者を治療するための医療用デバイス500または3400Aを用いた仮想的方法は、多くの検査が実行され得る1つ以上の外科手術前診察で開始されてもよい。検査は、血液検査、尿検査、心電図、及びとりわけ頭部CT、頭部MRI、及び脳血管造影などを含む撮像検査が含まれてもよい。診断的撮像検査、画像、及び動脈瘤の計測から、動脈瘤の位置、サイズ、及び形状の証明が得られてもよい。診断は、治療が行われる数日前、または同じ日に行われてもよい。
【0346】
治療の日には、患者は治療のための準備をされ、一般的には局所麻酔をされる。患者の鼠径部はその後無菌方式で前処理され、かつ布がけされる。その後医師は、任意的に微小穿刺セットを用いて、患者の大腿動脈にアクセスする。柔らかな先端のガイドワイヤ302が大腿動脈へと逆行して挿入される。任意的に、血管シースが配置される。診断カテーテルの先端が嚢状脳動脈瘤の内腔内、またはその付近に来るまで診断カテーテルをガイドワイヤ上で前進させ、診断的血管造影が行われる。ガイドワイヤの先端は動脈瘤の中またはその付近に配置されるが、一方で診断カテーテルは取り除かれる。医師がガイドワイヤを配置する間、外科的アシスタントは医療用デバイスを準備する。医療用デバイス500または3400Aがガイドワイヤ上で前進され、動脈瘤700の内腔701内に配置される。圧縮したボールステント100が所望の位置に置かれた後、圧縮したボールステントは、動脈瘤の少なくとも一部を満たすようボールステントが拡張するまで送達カテーテル300または400の内腔312を通じてボールステントの中心空隙108へと水または生理食塩水溶液の注入することにより拡張される。拡張したボールステント100が嚢状動脈瘤700の内腔701内で適切に配置され、動脈瘤の一部を十分に満たしていることを確認するために、医師は、X線造影材料の注入により嚢状動脈瘤700及び親動脈1202の血管造影を得る。ガイドワイヤは取り除かれ、医療用デバイスの遠位端を先端が出るまで、事前搭載された補助コイルを持つコイル送達カテーテルがガイドワイヤを通り抜ける。これは、拡張可能な本体、拡張可能な本体の頸部、または拡張可能な本体に固定されたノーズコーンから出ることを含む。補助コイルはその後、補助コイルが親血管から動脈瘤内腔への開口部に対向する動脈瘤の壁と接触し、かつ同時に拡張した拡張可能な本体の壁の外面と接触するように、コイル送達カテーテルから、補助コイルを動脈瘤の内腔の満たされていない部分へと引き出される。任意的に、1つ以上の追加的補助コイルが必要に応じて配置できる。
【0347】
オペレーターはその後、電解ワイヤ320または絶縁導体ワイヤをDC電源と電気的に連結し、未コーティングで絶縁されていないボールステントの頸部または近位本体部208の一部に分解をもたらすのに十分な量及び時間で、ボールステント100の頸部116に電気的に連結した電解ワイヤまたは絶縁導体ワイヤへと電流を供給し、拡張したボールステントと送達カテーテルの切り離しをもたらす。例えば、オペレーターは、1mAまたは2mAのDC電流を1分間、2分間、3分間、4分間、5分間、または6分間適用する。拡張し、解放されたボールステント100が嚢状動脈瘤の内腔内で適切に配置され、動脈瘤の一部を十分に満たしていることを確認するために、医師は、任意的にガイドカテーテルを通じたX線造影剤の注入することにより、嚢状動脈瘤700及び親動脈1202の他の血管造影を得る。医師は送達カテーテル400を取り除く。任意的に、医師は、バルーン1102が拡張したボールステント100に隣接するまでバルーンカテーテル1100をガイドワイヤ302上で前進させる。バルーンカテーテル1100のバルーン部分1102は、その後親動脈1202の内腔を満たし、伸ばし、嚢状動脈瘤700に向かって拡張したボールステント100の壁1104を押し込むまで、生理食塩水溶液で膨張される。拡張し、解放されたボールステント100が嚢状動脈瘤の内腔内で適切に配置され、動脈瘤を十分に満たし、かつ親血管1202の内腔が閉塞されていないことを確認するために、医師は、嚢状動脈瘤700及び親動脈1202の他の血管造影を得る。医師は、バルーンカテーテル1100、ガイドワイヤ302、及びシースを引き出し、かつ圧迫で大腿動脈の穴の止血を達成する。患者はその後、快復室へと移送される。快復中または快復後、医師は、患者ならびにボールステント100及び補助コイルの位置、及び嚢状動脈瘤700の密封の完成度を定期的に監視する。
【0348】
非臨床的腋窩動脈モデルにおける末梢動脈の治療のための拡張可能な本体を備える医療用デバイスを用いる例示的方法
イヌの腋窩動脈閉塞モデルを用いて、ブロックステント(n=3)での治療とAmplatzer(登録商標)血管プラグII(AVP2)(n=3)での治療の比較が行われた。
【0349】
方法
実験モデルは、体重約20kgのイヌ属イヌ(イエイヌ)の交配猟犬を用いた。試験は、中空の金の金属製「ブロックステント」拡張可能な本体及び6mm径のブロックステント拡張可能な本体を一方の側の腋窩動脈に配置する送達デバイスを備える医療用デバイスの使用に関するが、一方で反対側の腋窩動脈に6mm AVP2を配置するためにガイドカテーテルが用いられた。血管の外科的切開を介して適切なサイズのシースが大腿動脈に配置された。250~300秒の標的活性化凝固時間(ACT)を達成するために、ヘパリンが投与された。蛍光透視法のガイダンス下で、0.018インチのガイドワイヤを腋窩動脈内の予定閉塞部位を越えて前進させた。ガイドシース(6Fr×90cm長)またはガイドカテーテルを腋窩動脈へとガイドワイヤ上を前進させた。腋窩動脈及びその側枝を可視化するために、対比血管造影がその後実行された。
【0350】
ブロックステント医療用デバイスは、拡張した本体の形状のブロックステントを含む。ブロックステントの拡張した形状は、湾曲端をもつ円筒状であった。ブロックステントは、金を備える近位頸部及び遠位頸部を有した。ボールステントの主本体部は、6mmの直径で、約11.5mmの長さ(折り畳まれ、巻かれ、かつ圧縮された)及び10mmの長さ(拡張した)であり、かつ20μmの厚さの金の単一層から形成された。弁のないポリマーのノーズコーンが遠位頸部に取り付けられた。ブロックステント医療用デバイスは、2つの中空の円筒状本体または内腔を備える外径3.25Frの送達カテーテルをさらに備えた。第1は、0.014または0.018のインチガイドワイヤ(ガイドワイヤシャフトの内面により定義される)の経路のための第1内腔であり、第2は膨張または拡張(送達シャフトの内面及びガイドワイヤシャフトの外面により定義される)を引き起こすために近位ハブからブロックステントの中心空隙へと流体を注入するための第2内腔である。
【0351】
ブロックステントの近位頸部は、送達カテーテルに連結され、プリーツ状に折り畳まれ、送達カテーテル及び閉塞具ワイヤの遠位端周辺で巻かれ、かつ圧縮された。ブロックステントの近位頸部は、エラストマー系外部スリーブによって送達カテーテルの遠位端に固定された。ここで、スリーブの近位部分は、送達シャフトに結合され、スリーブの遠位部分はブロックステントの近位頸部上で延び、摩擦嵌合を形成するためにブロックステントの頸部を掴んだ。
【0352】
ガイドシースまたはガイドカテーテルの近位腋窩動脈への配置、及び0.018インチのガイドワイヤの配置の後に、圧縮したブロックステントはガイドワイヤ上を前進し、送達カテーテル(すなわち、近位ハブを持つ送達シャフト/ガイドワイヤシャフトアセンブリ)を用いて腋窩動脈へと配置され、その後膨張または拡張した。ガイドシースまたはガイドカテーテルを通じたX線造影剤の注入により動脈閉塞の程度を評価するために血管造影法が実行された。ガイドシースまたはガイドカテーテルの先端は、拡張したブロックステントの近位端に触れるまで前進した。送達カテーテルは引き戻され、拡張したブロックステントの近位頸部を送達カテーテルの遠位端上のエラストマースリーブから切り離すことで送達カテーテルから拡張したボールステントの機械的分離をもたらす。拡張し、分離したブロックステントの位置及び目標血管の閉塞は血管造影で評価され、ガイドワイヤが取り除かれた。
【0353】
AVP2治療に関して、デバイスの送達ワイヤがねじれないように気をつけながらガイドワイヤが取り除かれてAVP2に交換された。AVP2の遠位端は、予定閉塞部位の遠位縁部に配置された。ガイドシースまたはガイドカテーテルがその後AVP2を露出するよう引き出され、拡張をもたらした。拡張したデバイスの位置は、血管造影で確認された。AVP2はその後、送達ワイヤのねじを抜くことで分離された。拡張し、分離したAVP2の位置は、血管造影で評価され、ガイドシースは送達ワイヤに沿って取り除かれた。
【0354】
両方の治療に関して、対比血管造影が、デバイス配置の後に直ちに実行された。治療された血管セグメントは、最初の30分間は、または閉塞が観察されるまで、2.5分ごとの連続的血管造影で監視された。
【0355】
医療用デバイスの移植された部分に弁はなかった。処置の最後では、ブロックステントの近位及び遠位頸部は血流へと開放された。この構成で、処置の最後におけるブロックステントの中心空隙内部の圧力は、ブロックステント外側の圧力と同じ、類似している、またはより低く、高くはなかった。剛性または半剛性材料がブロックステントの中心空隙内に置かれなかった。
【0356】
29日目に、血管の外科的切開を介して適切なサイズのシースが大腿動脈に配置された。≧300秒の標的ACTを達成するために、ヘパリンが投与された。蛍光透視法ガイダンス下で、ガイドカテーテルを腋窩動脈へと前進させた。動脈及びその側枝を可視化するために、対比血管造影がその後実行された。このプロセスは、その後反対側で繰り返された。動物はその後過用量のペントバルビタールで安楽死させられ、H&E染色を用いた組織病理用に治療した動脈セグメント、移植されたブロックステント、及びAVP2デバイスを含む組織サンプルが集められた。
【0357】
結果
各デバイスの血管造影の概要は、図41に提供された。ブロックステントは、優れた蛍光透視法可視化、良好な追従性、低圧(1~3atm)拡張、及び確実な分離を証明した。ブロックステントでは10分以内で3動脈中3つ、AVP2では10分以内で3動脈中3つの完全閉塞が達成された。全ての動物は、予定された29日目が終了するまで生存した。29日目には、ブロックステントでは3動脈中3つ(100%)、AVP2では3動脈中0(0%)の完全閉塞が維持されていた。全てのブロックステントで治療された動脈は、図42Aに示されるように、血管壁に炎症反応またはデバイスに関連した損傷がほとんどない状態で組織病理によってさらに完全に閉塞された。イヌの前肢と胸壁の間の組織の内部成長または圧縮のいずれかにより引き起こされる可能性のある部分的なブロックステント変形が徐々に起こったが、この変形は目標動脈セグメントを完全かつ永続的に閉塞するブロックステントの能力に影響を与えなかった。AVP2で治療された動脈は、図42Bに示されるように、組織病理によって29日目では完全に閉塞しなかった。
【0358】
AVP2での現在の標準的治療と比較した際、ブロックステント治療はより迅速でより恒久的な動脈閉塞をもたらした。これらの非常に有望な準備的な試験は、末梢動脈閉塞用のデバイスのテストのために一般的に受容された動物モデルにおいて、ブロックステントが血管プラグに対してより長期の閉塞速度を供給できることを意味することをもたらした。
【0359】
非臨床的内胸動脈及び腋窩動脈モデルにおける嚢状動脈瘤の治療のための拡張可能な本体を備える医療用デバイスを用いる例示的方法
イヌの腋窩動脈及び内胸動脈が、ブロックステント(n=3)で治療された。
【0360】
方法
実験モデルは、それぞれ体重約20kgのイヌ属イヌ(イエイヌ)の交配猟犬を用いた。試験は、中空の金の金属製「ブロックステント」拡張可能な本体及び腋窩動脈への6mm径のブロックステント拡張可能な本体、または内胸動脈への4mm径のブロックステント拡張可能な本体のいずれかを配置するための送達デバイスを備える医療用デバイスの使用に関する。血管の外科的切開を介して適切なサイズのシースが大腿動脈に配置された。250~300秒の標的活性化凝固時間(ACT)を達成するために、ヘパリンが投与された。蛍光透視法のガイダンス下で、0.018インチのガイドワイヤを腋窩動脈または内胸動脈内の予定閉塞部位を越えて前進させた。腋窩動脈治療に関して、ガイドシース(6Fr×90cm長)またはガイドカテーテルを近位腋窩動脈へとガイドワイヤ上を前進させた。内胸動脈治療に関して、ガイドシースまたはガイドカテーテルを内胸動脈の始まり付近の鎖骨下動脈内に配置するよう前進させた。腋窩動脈または内胸動脈及びその側枝を可視化するために、対比血管造影がその後実行された。
【0361】
ブロックステント医療用デバイスは、拡張した本体の形状のブロックステントを含む。ブロックステントの拡張した形状は、湾曲端をもつ円筒状であった。ブロックステントは、金を備える近位頸部及び遠位頸部を有した。6mmのブロックステントの主本体部は、6mmの直径で、約11.5mmの長さ(折り畳まれ、巻かれ、かつ圧縮された)及び10mmの長さ(拡張した)であり、かつ20μmの厚さの金の単一層から形成された。4mmのブロックステントの主本体部は、4mmの直径で、約8.5mmの長さ(折り畳まれ、巻かれ、かつ圧縮された)及び7.5mmの長さ(拡張した)であり、かつ12.5μmの厚さの金の単一層から形成された。弁を持つポリマーのノーズコーンが両方のデバイスのためにブロックステントの遠位頸部に取り付けられた。ブロックステント医療用デバイスは、2つの中空の円筒状本体または内腔を備える外径3.25Frの送達カテーテルをさらに備えた。第1は、0.014または0.018インチのガイドワイヤ(ガイドワイヤシャフトの内面により定義される)の経路のための第1内腔であり、第2は膨張または拡張(送達シャフトの内面及びガイドワイヤシャフトの外面により定義される)を引き起こすために近位ハブからブロックステントの中心空隙へと流体を注入するための第2内腔である。
【0362】
ブロックステントの近位頸部は、送達カテーテルに連結され、プリーツ状に折り畳まれ、送達カテーテル及び閉塞具ワイヤの遠位端周辺で巻かれ、かつ圧縮された。ブロックステントの近位頸部は、エラストマー系外部スリーブによって送達カテーテルの遠位端に固定された。ここで、スリーブの近位部分は、送達シャフトに結合され、スリーブの遠位部分はブロックステントの近位頸部上で延び、摩擦嵌合を形成するためにブロックステントの頸部を掴んだ。
【0363】
ガイドシースまたはガイドカテーテルの配置、及び0.018インチのガイドワイヤの配置の後に、圧縮したブロックステントはガイドワイヤ上を前進し、送達カテーテル(すなわち、近位ハブを持つ送達シャフト/ガイドワイヤシャフトアセンブリ)を用いて腋窩動脈または内胸動脈へと配置され、その後膨張または拡張した。ガイドシースまたはガイドカテーテルを通じたX線造影剤の注入により動脈閉塞の程度を評価するために血管造影法が実行された。ガイドシースまたはガイドカテーテルの先端は、拡張したブロックステントの近位端に触れるまで前進した送達カテーテルは引き戻され、拡張したブロックステントの近位頸部を送達カテーテルの遠位端上のエラストマースリーブから切り離すことで送達カテーテルから拡張したボールステントの機械的分離をもたらす。拡張し、分離したブロックステントの位置及び目標血管の閉塞は血管造影で評価され、ガイドワイヤが取り除かれた。
【0364】
対比血管造影が、デバイス配置の後に直ちに実行された。治療された血管セグメントは、最初の30分間は、または閉塞が観察されるまで、2.5分ごとの連続的血管造影で監視された。
【0365】
処置の最後では、ブロックステントの遠位ノーズコーン内の弁は、拡張したブロックステントの中心空隙を通じて移動する血液の経路を遮断するよう構成された。近位ノーズコーンは弁がなく、よって血流へと開放された。この構成で、処置の最後におけるブロックステントの中心空隙内部の圧力は、ブロックステント外側の圧力と同じ、類似している、またはより低く、高くはなかった。剛性または半剛性材料がブロックステントの中心空隙内に置かれなかった。
【0366】
結果
ブロックステントは、優れた蛍光透視法可視化、良好な追従性、及び低圧(1~3atm)拡張を証明した。遠位ノーズコーンへと組み込まれた遠位弁を持つブロックステントでは、7動脈中7つにおいて完全閉塞が直ちに達成された。前の結果をAVP2での現在の標準的治療と比較した際、ブロックステント治療はより迅速な動脈閉塞をもたらした。
【0367】
非臨床的内胸動脈モデルにおける嚢状動脈瘤の治療のための拡張可能な本体を備える医療用デバイスを用いる例示的方法
イヌの内胸動脈閉塞モデルを用いて、ブロックステント(n=3)での治療とコックネスターコイル(Cook Nester Coil)(n=4)での治療との比較が行われた。
【0368】
方法
実験モデルは、それぞれ体重約20kgのイヌ属イヌ(イエイヌ)の交配猟犬を用いた。試験は、中空の金の金属製「ブロックステント」拡張可能な本体及び4mm径のブロックステント拡張可能な本体、または4mm径のコックネスターコイルのいずれかを内胸動脈へ配置するための送達デバイスを備える医療用デバイスの使用に関する。血管の外科的切開を介して適切なサイズのシースが大腿動脈に配置された。250~300秒の標的活性化凝固時間(ACT)を達成するために、ヘパリンが投与された。蛍光透視法のガイダンス下で、0.018インチのガイドワイヤを内胸動脈内の予定閉塞部位を越えて前進させた。ガイドシース(6Fr×90cm長)またはガイドカテーテルを内胸動脈の始まり付近の位置へとガイドワイヤ上を前進させた。内胸動脈及びその側枝を可視化するために、対比血管造影がその後実行された。
【0369】
コックネスターコイルは、G26988デバイスである。これは、約11ループを持つ4mm径へと拡張する0.021インチのカテーテルを通じて挿入されるよう設計された0.018インチのコイルであり、塞栓のための14cmの拡張した長さがある。
【0370】
ブロックステント医療用デバイスは、拡張した本体の形状のブロックステントを含む。ブロックステントの拡張した形状は、湾曲端をもつ円筒状であった。ブロックステントは、金を備える近位頸部及び遠位頸部を有した。4mmのブロックステントの主本体部は、4mmの直径で、約8.5mmの長さ(折り畳まれ、巻かれ、かつ圧縮された)及び7.5mmの長さ(拡張した)であり、かつ12.5μmの厚さの金の単一層から形成された。弁を持つポリマーのノーズコーンが遠位頸部に取り付けられた。弁のないポリマーのノーズコーンが近位頸部に取り付けられた。
【0371】
ブロックステント医療用デバイスは、2つの中空の円筒状本体または内腔を備える外径3.25Frの送達カテーテルアセンブリをさらに備えた。第1は、0.014または0.018インチのガイドワイヤ(ガイドワイヤシャフトの内面により定義される)の経路のための第1内腔であり、第2は膨張または拡張(送達シャフトの内面及びガイドワイヤシャフトの外面により定義される)を引き起こすために近位ハブからブロックステントの中心空隙へと流体を注入するための第2内腔である。ブロックステント医療用デバイスは、送達カテーテルアセンブリのハブと一緒にロックするよう構成された分離ハブを持つ外部シャフトをさらに備える。この外部シャフトは、外部シャフトの内面と送達カテーテルアセンブリの外面の間に内腔を定義した。外部シャフトのハブは、医療用デバイスの先端付近に出るこの内腔へとX線造影剤の注入を可能にする弁及びサイドアームを含む。
【0372】
ブロックステントの近位頸部は、送達カテーテルに連結され、プリーツ状に折り畳まれ、送達カテーテルアセンブリ及び閉塞具ワイヤの遠位端周辺で巻かれ、かつ圧縮された。ブロックステントの近位頸部は、エラストマー系外部スリーブによって送達カテーテルアセンブリの遠位端に固定された。ここで、スリーブの近位部分は、送達シャフトアセンブリに結合され、スリーブの遠位部分はブロックステントの近位頸部上で延び、摩擦嵌合を形成するためにブロックステントの頸部を掴んだ。
【0373】
コックネスターコイル配置に関して、5Frカテーテルをガイドシースまたはガイドカテーテルを通じてガイドワイヤ上を内胸動脈へと前進させた。ガイドワイヤは取り除かれ、0.021インチのカテーテルが5Frカテーテルを通じて同軸法で配置された。その後、コイルは0.021インチのカテーテルを通じて押し込みワイヤを用いて押し込まれ、内胸動脈へ配置された。配置されたコイルのそれぞれの位置は、0.021インチのカテーテルまたはガイドシース/カテーテルを通じたX線造影剤の注入による血管造影で確認された。2つのコイルは、それぞれの治療された血管に配置された。
【0374】
最終コイル配置(コイルがマイクロカテーテルから押し出され、最終形状になる時)の後に、治療された血管セグメントは、最初の30分間または血管セグメントの完全閉塞が観察されるまで2.5分ごとに連続的血管造影で監視された。
【0375】
ブロックステント配置に関して、ガイドシースまたはガイドカテーテルの配置及び0.018インチのガイドワイヤの内部胸部動脈内の配置の後に、圧縮したブロックステントはガイドワイヤ上を前進し、外部シャフト(及びハブ)、送達シャフト/ガイドワイヤアセンブリ(ハブ付き)のアセンブリを用いて内部胸部動脈へと配置され、2つのハブは一緒にロックされた。圧縮したブロックステントはその後、膨張したかまたは拡張した。サイドアームを用いて外部シャフトの内腔を通じたX線造影剤の注入により動脈閉塞の程度を評価するために血管造影法が実行された。2つのハブはその後、アンロックされ、外部シャフトの先端は、拡張したブロックステントの近位ノーズコーンに触れるまで前進した。送達カテーテルアセンブリはその後引き戻され、拡張したブロックステントの近位頸部を送達カテーテルアセンブリの遠位端上のエラストマースリーブから切り離すことで、送達カテーテルアセンブリから拡張したボールステントの機械的分離をもたらす。拡張し、分離したブロックステントの位置及び目標血管の閉塞は、ガイドカテーテルとして今は機能した外部シャフトを通じて注入される血管造影で評価された。その後、ガイドワイヤは取り除かれ、内部胸部動脈の血管造影が繰り返された。
【0376】
処置の最後では、ブロックステントの遠位ノーズコーン内の弁は、拡張したブロックステントの中心空隙を通じて移動する血液の経路を密封した。近位ノーズコーンは弁がなく、よって血流に開放された。この構成で、処置の最後におけるブロックステントの中心空隙内部の圧力は、ブロックステント外側の圧力と同じ、類似している、またはより低く、高くはなかった。剛性または半剛性材料がブロックステントの中心空隙内に置かれなかった。
【0377】
28日目に、血管の外科的切開を介して適切なサイズのシースが大腿動脈に配置された。≧300秒の標的ACTを達成するために、ヘパリンが投与された。蛍光透視法ガイダンス下で、ガイドカテーテルを腋窩動脈へと前進させた。動脈及びその側枝を可視化するために、対比血管造影がその後実行された。このプロセスは、その後反対側で繰り返された。動物はその後過用量のペントバルビタールで安楽死させられ、H&E染色を用いた組織病理用に治療した動脈セグメント、移植されたブロックステント、及びコックネスターコイルデバイスを含む組織サンプルが集められた。
【0378】
結果
ブロックステントは、優れた蛍光透視法可視化、良好な追従性、及び低圧(1~3atm)拡張を証明した。血管造影及び分離は、外部シャフトと共に完了できた。組織学及び血管造影によって、28日目に、ブロックステントで治療された内胸動脈の3/3が完全に閉塞した(100%)。組織学及び血管造影によって、28日目に、ブロックステントで治療された内胸動脈の0/3が完全に閉塞した(0%)。
【0379】
患者の末梢動脈の治療のための拡張可能な本体を備える医療用デバイスを用いる例示的方法
動脈塞栓の必要がある患者を治療するための医療用デバイスを用いた仮想的方法は、多くの検査が実行され得る1つ以上の外科手術前診察で開始されてもよい。検査は、血液検査、尿検査、心電図、ならびにCT、MRI、及び血管造影などを含む撮像検査が含まれてもよい。診断的撮像検査、画像、及び目標血管セグメントの計測から、目標血管セグメントの位置、サイズ、及び形状の証明が得られてもよい。診断は、治療が行われる数日前、または同じ日に行われてもよい。
【0380】
治療の日には、患者は治療のための準備をされ、一般的には局所麻酔をされる。患者の鼠径部はその後無菌方式で前処理され、かつ布がけされる。その後医師は、任意的に微小穿刺セットを用いて、患者の大腿動脈にアクセスする。柔らかな先端のガイドワイヤ302が大腿動脈へと逆行して挿入される。任意的に、血管シースが配置される。診断カテーテルの先端が目標血管セグメントの内腔内、またはその付近に来るまで診断カテーテルをガイドワイヤ上で前進させ、診断的血管造影が行われる。診断カテーテルは取り除かれ、ガイドカテーテルが挿入される。
【0381】
医師は、目標血管セグメントの治療のための適切なサイズ及び形状のブロックステント医療用デバイスを選択する。このケースでは、デバイスは、円筒状に拡張した形状の12.5μmの金の層、湾曲した端部、近位頸部及び遠位頸部、及び4mm径で8.5mm長(折り畳まれ、巻かれ、かつ圧縮された)及び7.5mm長(拡張した)の主本体部を備える。弁を持つポリマーのノーズコーンが遠位頸部に取り付けられる。弁のないポリマーのノーズコーンが近位頸部に取り付けられる。
【0382】
ブロックステント医療用デバイスは、2つの中空の円筒状本体または内腔を備える外径3.25Frの送達カテーテルアセンブリをさらに備えた。その第1は、0.014インチのガイドワイヤ(ガイドワイヤシャフトの内面により定義される)の経路のための第1内腔であり、その第2は膨張または拡張(送達シャフトの内面及びガイドワイヤシャフトの外面により定義される)を引き起こすために近位ハブからブロックステントの中心空隙へと流体を注入するための第2内腔である。ブロックステント医療用デバイスは、送達カテーテルアセンブリのハブと一緒にロックするよう構成された分離ハブを持つ外部シャフトをさらに備える。この外部シャフトは、外部シャフトの内面と送達カテーテルアセンブリの外面の間に内腔を定義した。外部シャフトのハブは、医療用デバイスの先端付近に出るこの内腔へとX線造影剤の注入を可能にする弁及びサイドアームを含む。
【0383】
ブロックステントの近位頸部は、送達カテーテルに連結され、プリーツ状に折り畳まれ、送達カテーテルアセンブリ及び閉塞具ワイヤの遠位端周辺で巻かれ、かつ圧縮される。ブロックステントの近位頸部は、エラストマー系外部スリーブによって送達カテーテルアセンブリの遠位端に固定された。ここで、スリーブの近位部分は、送達シャフトアセンブリに結合され、スリーブの遠位部分はブロックステントの近位頸部上で延び、摩擦嵌合を形成するためにブロックステントの頸部を掴んだ。
【0384】
0.014インチのガイドワイヤが目標血管に配置され、圧縮したブロックステントがガイドワイヤ上を前進し、外部シャフト(及びハブ)のアセンブリ、2つのハブは互いにロックされる送達シャフト/ガイドワイヤアセンブリ(ハブを有する)を用いて目標血管セグメントに配置される。圧縮したブロックステントはその後、膨張または拡張する。サイドアームを用いて外部シャフトの内腔を通じたX線造影剤の注入により動脈閉塞の程度を評価するために血管造影法が実行される。2つのハブはその後、アンロックされ、外部シャフトの先端を、拡張したブロックステントの近位ノーズコーンに触れるまで前進させる。送達カテーテルアセンブリはその後引き戻され、拡張したブロックステントの近位頸部を送達カテーテルアセンブリの遠位端上のエラストマースリーブから切り離すことで、送達カテーテルアセンブリから拡張したボールステントの機械的分離をもたらす。拡張し、分離したブロックステントの位置及び目標血管の閉塞は、ガイドカテーテルまたは診断カテーテルとして今は機能する外部シャフトを通じて注入される血管造影で評価される。その後、ガイドワイヤは取り除かれ、目標血管の血管造影が繰り返される。
【0385】
処置の最後では、ブロックステントの遠位ノーズコーン内の弁は、拡張したブロックステントの中心空隙を通じて移動する血液の経路を密封する。近位ノーズコーンは弁がなく、よって血流に開放される。この構成で、処置の最後におけるブロックステントの中心空隙内部の圧力は、ブロックステント外側の圧力と同じ、類似している、またはより低く、高くはない。剛性または半剛性材料はブロックステントの中心空隙内に置かれない。
【0386】
医師は、ガイドワイヤ、外部シャフト、及び血管シース(もしあれば)を引き出し、かつ圧迫で大腿動脈の穴の止血を達成する。患者はその後、快復室へと移送される。快復中または快復後、医師は、患者ならびに移植されたボールステントの位置、及び目標血管セグメントの閉塞の完成度を定期的に監視する。
【0387】
患者の末梢動脈の治療のための拡張可能な本体を備える薄型の医療用デバイスを用いる例示的方法
末梢または蛇行性血管の治療に最適化された中空の金の金属製ブロックステント拡張可能な本体を備える医療用デバイスの薄型の実施形態は、4Frまたは5Frカテーテルを通じて配置するように設計されてきた。医療用デバイスは、近位頸部及び遠位頸部を備える円筒状中空の金の金属製の拡張可能な本体を備える。遠位頸部は閉じられる。遠位ノーズコーンは遠位頸部に取り付けられる。近位頸部は開放している。近位ノーズコーンは遠位頸部に取り付けられる。中空の金の金属製の拡張可能な本体は、プリーツ状に折り畳まれ、時計回りまたは反時計回りに巻かれ、ワイヤマンドレル状へ圧縮される。折り畳まれ、巻かれ、かつ圧縮された拡張可能な本体の近位頸部は、糊、接着剤、または溶接を用いない物理的連結によって単一内腔送達カテーテルに結合される。この実施例では、エラストマー近位スリーブの近位部分は、単一内腔カテーテルへと結合され、近位スリーブの遠位部分は、拡張可能な本体の近位頸部上に延びる。塞栓具ワイヤは、単一内腔カテーテルの内腔内へ配置される。
【0388】
5Frカテーテルは、動脈系を通じて治療されるセグメントへと前進する。前述の、中空の金の金属製ブロックステント拡張可能な本体を備える医療用デバイスは、5Fr診断カテーテルのハブへと前進し、折り畳まれ、巻かれ、かつ圧縮された拡張可能な本体が5Frカテーテルの遠位先端から完全に出るまでカテーテルを通り抜ける。その後、塞栓具ワイヤは、医療用デバイスから取り除かれるが、一方で医療用デバイスの内腔への空気の吸引を防ぐためにハブへ流体を滴下する。その後、流体で満たされたシリンジまたはインフレータは、医療用デバイスのハブに取り付けられ、拡張可能な本体の空隙内への圧力で流体を注入するよう用いられ、拡張をもたらす。その後、5Frカテーテルは遠位先端が近位ノーズコーンと接するまで前進し、医療用デバイスのカテーテル部分が適所に保持された5Frカテーテルと共に引き戻され、送達カテーテルから、拡張した拡張可能な本体の分離をもたらす。送達カテーテルは患者から取り除かれ、蛍光透視法下で目標血管セグメント閉塞を確認するためにX線造影剤が5Frカテーテルへと注入される。
【0389】
中空の金属製の拡張可能な本体の壁厚を最適化する実施例
中空の金属製の拡張可能な本体の壁厚は、様々な競合設計要件を満たすために最適化できる。例えば、20μmの壁厚を持つ8mm径の球状の、中空の金の金属製ボールステント拡張可能な本体は、取り扱い及び組立中の耐久性、折り畳み及び巻きの容易さ、低圧での拡張、及び体内での拡張後の圧縮耐性に関して優れた性能を証明した。
【0390】
拡張後の圧縮(または座屈)への耐性は、拡張可能な本体の直径と壁厚の両方の機能である。例えば、密封されたボールステント及び実質的に円筒状のブロックステント拡張可能な本体の拡張後の圧縮特性の研究は、圧力室を用いて行われた。非アニーリング電鋳の座屈圧は、近似の薄い壁の圧力容器理論(壁厚/直径)で計ることがわかった。3~10mm径及び10~20μm壁厚のボールステントのための座屈圧は、680mmHgの中央値及び165mmHgの最小値を持ち、推定された血流の運動効果により引き起こされる局所の圧力負荷よりも大きい、約2つのオーダーの大きさである。4~6mm径及び10~20μm壁厚のボールステントのための座屈圧は、350mmHgの中央値及び170mmHgの最小値を持ち、脚の動き及び体重によって引き起こされる推定された局所の接触圧負荷よりも極めて高い。続くアニーリングされた電鋳の圧迫の研究は、非アニーリング電鋳のものより半分以下の座屈圧を証明した。
【0391】
中空の金属製の拡張可能な本体の製造に用いるための金属製犠牲マンドレルの表面仕上げを最適化する実施例
1つの実施例では、犠牲アルミニウムマンドレル上の16μインチの表面仕上げは、中空の金の金属製の拡張可能な本体に低いピンホール欠陥率をもたらすことが示されてきたが、一方で、体内での4週間を越える拡張可能な本体表面上での組織の過成長(図40A)が保たれる。
【0392】
中空の金属製の拡張可能な本体の製造に用いるためのポリマー性犠牲マンドレルの製造及び使用の実施例
金のコーティングを水溶性ポリマーに適用する実現可能性のある実施例では、PEG薄片が約10nm厚の金の層でスパッタコーティングされる。コーティングされた表面が接着テープで触れられる時、金が失われないので、十分な接着性を示す。
【0393】
補助コイル拡張可能な本体の製造及びそれを中空の金属製「ボールステント」拡張可能な本体と連動して使用する実施例
前述のように、コイル状ワイヤの「補助コイル」拡張可能な本体は、「ボールステント」中空の金の金属製の拡張可能な本体と共に用いられてもよい。1つの実施形態では、補助コイルは、ニチノールで形成される。
【0394】
以下の実施例は、1つの実施形態に従ってニチノールの補助コイルを形成し、配置する方法に関する。冷間加工状態(すなわち、引かれるように)の0.005インチ径のニチノールワイヤで始まり、ニチノールワイヤは形成マンドレルまたはダイ735(図46Aに示される)上へと巻かれることで新たな形状へと堅く抑制され、その後超弾性及び形状記憶を与えるために熱処理され、アニーリングされる。この実施例では、マンドレルは、8mm×8mmの球状の補助コイル725を作り出すためのサイズであった。形状設定アニーリングのための既知のガイドラインは以下に続く。加熱方法は、空気炉または真空炉、塩浴、砂浴、または加熱ダイを含んでもよい。温度は、500~550℃の範囲であり、より低い引張強度をもたらす温度よりも高い。冷却は、水焼き入れが用いられるといったように、時効効果を避けるために急速に行われる。熱処理時間は、材料がその断面にわたって所望の温度に達するようなものである。時間は混合物及び材料の多さ及び加熱方法に基づいている。限定されるものではないが実施例として、加熱回数は、塩浴または加熱ダイの小さい部分を加熱するための時間より少なくてもよい。
【0395】
続いて図46B~Dに示されるように、補助コイル725はその後検査された。補助コイルは0.016インチの内径の補助コイル送達カテーテル805の内腔へと搭載された。もたらされる補助コイル/補助コイル送達カテーテルアセンブリ(第2医療用デバイス)はその後、8mmの中空の金属製「ボールステント」拡張可能な本体(第1医療用デバイス)を備える医療用デバイスのガイドワイヤ内腔を通り抜けた。ここで、第1医療用デバイスは、拡張した構成で、ボールステント拡張可能な本体を出る前にボールステント拡張可能な本体の遠位頸部に取り付けられた伸縮セグメントを通り抜けた。補助コイルは、0.009インチのステンレス鋼押し込みワイヤを用いて補助コイル送達カテーテルの内腔から完全に引き出された。補助コイル送達カテーテルは、第1医療用デバイスから取り除かれた。補助コイルは、8mm径の球体ゾーンを定義する大きなループを形成して、予定された形状を達成した。
【0396】
形成及び配置プロセスの様々な実施形態が採用されてもよい。例えば、補助コイルは、より短いかまたはより長い軸寸法の形成マンドレル735を用いることで、非球状(すなわち、8mm×4mm、8mm×6mm、8mm×12mm、または8mm×16mm)へと形成されてもよい。
【0397】
X線不透過性マーカーで補助コイル拡張可能な本体を製造する実施例
図46A、50A~D、及び53A~Cに関連して、以下の実施例は、1つの実施形態に従って、ニチノールの補助コイル725を形成し、X線不透過性マーカーバンド920を取り付け、かつ補助コイル送達システム900へと組み立てる方法に関する。
【0398】
冷間加工状態(すなわち、引かれるように)の0.005インチ径のニチノールワイヤで始まり、ニチノールワイヤは形成マンドレルまたはダイ735(図46Aに示される)上へと巻かれることで新たな形状へと堅く抑制され、その後超弾性及び形状記憶を与えるために熱処理され、アニーリングされる。この実施例では、マンドレルは、所望の形状の補助コイル725を作り出すためのサイズであった。熱処理は、オーブンで、650℃±10℃で15~30分間行われた。その後形成マンドレル上にまだ残るコイルは、室温の水で15~30秒間急冷されることで冷やされた。
【0399】
補助コイル725はその後、形成マンドレル735から取り除かれ、その全長を覆うためにPFTEチューブ932の一部へと挿入された。400℃±10℃の部分加熱を用いて、PTFEチューブはその後補助コイル上に圧縮された。その後PTFE圧縮チューブは、適所にレーザー溶接された90%の白金/10%のイリジウムのマーカーバンド920を収容するようコイルの両端から縮小された。
【0400】
補助コイル送達カテーテル900は、メス型ルアーアダプタ908を316ステンレス鋼の外部ハイポチューブ906上へと結合することで組み立てられた。ポリイミドの補助コイルカテーテルシャフト910の近位端は、その後外部ハイポチューブへと挿入され、結合された。白金イリジウムのマーカーバンド920は、その後補助コイルカテーテルシャフトの遠位端へと結合された。UV処理されたエポキシ樹脂が全ての結合ステップに用いられた。最後に、メス型ルアーアダプタがYアダプタハブ970へと固定された。
【0401】
押し込みワイヤサブシステムの組立は、近位端において近位端と一緒にワイヤハンドル918を内部ハイポチューブの近位端へと固定するレーザー溶接が流れるまで、304ステンレス鋼押し込みワイヤ950を316ステンレス鋼内部ハイポチューブ916へと挿入することで行われ、その後内部ハイポチューブの遠位端と押し込みワイヤの結合部において滑らかな辺縁を形成するためにUV処理されたエポキシ樹脂を適用する。
【0402】
補助コイル送達システム900の組立は、押し込みワイヤの遠位端をYアダプタハブ970の近位端へと挿入し、補助コイルカテーテルシャフト910の遠位端から1~2mmだけが突き出るように押し込みワイヤ950の遠位端をレーザートリミングし、ハンドル918を引き戻し、補助コイル162を補助コイルカテーテルシャフトの遠位端へと搭載し、補助コイル162が補助コイルカテーテルシャフトの遠位端から突き出るようになるまでハンドルを前進させ、かつYアダプタハブを内部ハイポチューブ916へ締め付けることで、その後完成した。補助コイル送達システムはその後、封入され、滅菌され、かつ発送されるよう準備された。
【0403】
本発明のデバイス及び方法が、様々な実施形態の形で組み込まれることができ、説明され、前述されてきたものはごくわずかのみであることが明らかとなろう。本明細書の開示は、その趣旨または本質的特性から逸脱しない他の特定の形で組み込まれてもよい。記述される実施形態は、全てが説明だけのためのものであり、本発明の範囲を制限するものではなく、よって先行の記述よりもむしろ附随の特許請求によって示される。特許請求と同等の意味及び範囲内での全ての変更点はそれらの範囲内に包含される。

図1A-1D】
図2A-2E】
図2F-2I】
図2J-2M】
図2N-2Q】
図3A-3I】
図4A-5B】
図6A-6D】
図6E-8G】
図8H-8K】
図8L-8O】
図8P-8T】
図8U-9C】
図9D-9G】
図9H-10A】
図10B-11C】
図11D-11K】
図12A-13】
図14A-15C】
図15D-15K】
図16A-16D】
図16E-17B】
図17C-17F】
図17G-17K】
図17L-17O】
図17P-18B】
図18C-18F】
図18G-19B】
図19C-20D】
図21A-21D】
図21E-21H】
図21I-23B】
図23C-24A】
図24B-26】
図27-30A】
図30B-31A】
図31B-32F】
図32G-35】
図36-37D】
図38-40A】
図40B-43A】
図43B-43K】
図43L-44H】
図45A-47A】
図47B-49A】
図49B-49E】
図50A-50E】
図51A-52A】
図52B-53C】
図54A