(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】タッチスクリーンセンサ
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20220809BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
G06F3/041 490
G06F3/041 422
G06F3/041 495
G06F3/044 122
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020179404
(22)【出願日】2020-10-27
(62)【分割の表示】P 2019048195の分割
【原出願日】2009-02-26
【審査請求日】2020-11-25
(32)【優先日】2008-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2008-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2008-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2008-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】フレイ,マシュー エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ツ,リジュン
(72)【発明者】
【氏名】ヘイガーモザー,エドワード エス.
【審査官】酒井 優一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-344163(JP,A)
【文献】特開2004-192093(JP,A)
【文献】特開2007-048278(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0018076(US,A1)
【文献】特開平02-126315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触感知領域を有するタッチスクリーンセンサ用のパターン化された基材であって、
可視光透明基材と、
該可視光透明基材の上又は中に配置される
複数の導電性のメッシュバーを備え、
メッシュバーのそれぞれは1から10マイクロメートルであ
る寸法を有して複数の囲まれた開口を確定する
複数の配線を備え、
メッシュバーのそれぞれは幅が10マイクロメートルよりも大きい相互接続線に接続されており、相互接続線は電子装置への接続のためのコネクタパッドに接続されており、
メッシュバーのそれぞれは本来ならば連続的なメッシュ
バー内におい
て配線に複数の選択的な断絶部を有し、
前記配線
、相互接続線、および
コネクタパッドが同じ金属を含み、
接触感知領域において、5mm×5mmの正方形区域を有する第1の部分に関し、該正方形区域のいずれもが該正方形区域全体の平均から50%超異なる遮蔽面積率を有しない、
タッチスクリーンセンサ用のパターン化された基材。
【請求項2】
前記配線、および
相互接続線がほぼ同じ厚さを有する、請求項1に記載のパターン化された基材。
【請求項3】
コネクタパッドが、25マイクロメートルから1mmまで
の寸法を有する透明ではない金属を含む構造を有し、
前記配線と金属を含む構造とがほぼ同じ厚さで同じ金属を含む、請求項1または2に記載のパターン化された基材。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のパターン化された基材を含む、タッチスクリーンセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2008年2月28日に出願された米国特許仮出願第61/032,269号(その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、2008年2月28日に出願された同第61/032,273号(その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、2008年8月1日に出願された同第61/085,496号(その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、及び2008年8月1日に出願された同第61/085,764号(その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)の利益を請求する。
【背景技術】
【0002】
タッチスクリーンセンサは、タッチスクリーンディスプレイの表面に適用された物体(例えば、指、又はスタイラス)の位置、又はタッチスクリーンディスプレイの表面の付近に位置付けられた物体の位置を検出する。これらのセンサは、ディスプレイの表面に沿った、例えば、平坦な矩形のディスプレイの平面にある物体の位置を検出する。タッチスクリーンセンサの例としては、静電容量センサ、抵抗センサ、及び投影型静電容量センサが挙げられる。このようなセンサとしては、ディスプレイに重ねる透明導電性素子が挙げられる。この素子は、ディスプレイの付近の、又はこれと接触する物体の位置を決定するために、素子を探査する電気信号を使用する、電子的構成要素と組み合わされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
タッチスクリーンセンサの分野では、光学品質、又はディスプレイの特性を損なうことなく、透明タッチスクリーンセンサの電気的特性の制御を改善する必要性が存在する。典型的なタッチスクリーンセンサの透明導電性区域は、透明導電性酸化物(TCO)、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)の連続的なコーティングを含み、コーティングは、電圧源との接触位置、及び区域の全体形状に基づく電位勾配を呈する。この事実は、可能なタッチセンサの設計及びセンサの性能に対する制約へと繋がり、電位勾配を修正するための高価な信号処理電子機器又は追加的な電極の配置などの手段を必要とする。したがって、前述の要因とは別の、電位勾配の制御を提供する、透明導電性素子の必要性が存在する。
【0004】
導電性素子の設計における順応性に関する、タッチスクリーンセンサの分野における追加的な必要性が存在する。パターン化された透明導電性酸化物(TCO)、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)を使用するタッチスクリーンセンサの作製は、多くの場合、導電体の設計に制限を課す。この制限は、単一の等方性シート抵抗値を有する透明シート導電体の導電性素子全てをパターン化することによって生じる制約に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、本開示は、透明基材と、高い光学品質を達成するための特定のパターン形状で微小パターン化された導電体(典型的には、金属)と、を有する、タッチスクリーンセンサに関する。一般的に、光学品質は、導電体がタッチスクリーンセンサに組み立てられた際に、それを裸眼で観察して判断される可視光透過性、ヘイズ、及び導電体可視性という点において表現され得る。微小パターン化された導電体の形状は、微小パターンに使用される導電体配線(場合によって「線」と称される)の幅、線の密度、線の密度の均一性が挙げられるがこれらに限定されないパラメータによって規定され得る。
【0006】
良好な光学品質を有するタッチスクリーンセンサの第1実施形態では、タッチスクリーンセンサは、可視光透明基材と、可視光透明基材の上又は中に配置される導電性微小パターンと、を含む。微小パターンは、マイクロメートルの単位で約[X+0.5]の導電体配線幅、及び約[95-X]%~99.5%の開口率(0≦X≦4.5)を有する。別の実施形態では、タッチスクリーンは、約[98.5-(2.5X÷3.5)]%~[99.5-(X÷3.5)]%(0≦X≦3.5)の開口率を有する。別の実施形態では、タッチスクリーンセンサは、10%未満、好ましくは5%未満のヘイズ値、及び75%超、好ましくは85%超の可視光透過率を有する。別の実施形態では、タッチスクリーンセンサの導電体配線幅は、約6マイクロメートル未満であり、約300マイクロメートル未満のピッチを有する。別の実施形態では、タッチスクリーンセンサの導電体配線は、約500ナノメートル未満の厚さを有する。別の実施形態では、ピッチは約1mm~4mmであり、導電体の幅は3~10マイクロメートルである。
【0007】
別の態様では、本開示は、変化するシート抵抗を有するタッチスクリーンセンサに関する。
【0008】
変化するシート抵抗を有するタッチスクリーンセンサの第1実施形態では、センサは、可視光透明基材と、可視光透明基材の上又は中に配置される導電性微小パターンと、を含む。微小パターンは、接触感知領域内の第1区域微小パターン、及び第2区域微小パターンを含む。第1区域微小パターンは、第1の方向において第1シート抵抗値を有し、可視光透明であり、少なくとも90%の開口を有する。第2区域微小パターンは、第1の方向において、第2シート抵抗値を有する。第1シート抵抗値は、第2シート抵抗値とは異なる。
【0009】
変化するシート抵抗を有するタッチスクリーンセンサの別の実施形態では、センサは、可視光透明基材と、可視光透明基材の上又は中に配置される導電性微小パターンと、を含む。微小パターンは、接触感知領域内の第1区域微小パターンを含み、第1区域微小パターンは、異方性第1シート抵抗を有し、可視光透明であり、少なくとも90%の開口を有する。
【0010】
変化するシート抵抗を有するタッチスクリーンセンサの別の実施形態では、センサは、可視光透明基材と、可視光透明基材の上又は中に配置される導電性微小パターンと、を含む。微小パターンは、接触感知領域内の第1区域微小パターン、及び第2区域微小パターンを含む。導電性微小パターンは、500ナノメートル未満の厚さ、及び0.5~5マイクロメートルの幅を有する金属の線形導電性構造を有する。第1区域微小パターンは、第1の方向において5~500Ω/スクエアの第1シート抵抗値を有し、可視光透明であり、95%~99.5%の開口(又は別の実施形態では、更に99.9%の開口、若しくは更に99.95%の開口)を有する。第2区域微小パターンは、第1の方向において第2シート抵抗値を有する。第1シート抵抗値は、第2シート抵抗値とは異なる。
【0011】
変化するシート抵抗を有するタッチスクリーンセンサの更なる実施形態では、センサは、可視光透明基材と、可視光透明基材の上又は中に配置される導電性微小パターンと、を含む。微小パターンは、接触感知領域内に第1区域微小パターンを含む。導電性微小パターンは、500ナノメートル未満の厚さ、及び0.5~5マイクロメートルの幅を有する、金属の線形導電性構造を含む。第1区域微小パターンは、直交方向において、少なくとも1.5倍のシート抵抗値の差を有する異方性第1シート抵抗を有し、可視光透明であり、95%~99.5%の開口を有する。
【0012】
更なる実施形態では、可視光透明基材と、可視光透明基材の上又は中に配置される接触感知導電性微小パターンと、を含み、微小パターンは、約1~10マイクロメートルの幅を有する導電配線を含む、タッチスクリーンセンサが記載される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
添付の図面と共に本発明の様々な実施形態の以下の詳細な説明を検討することで、本発明はより完全に理解され得る。
【
図1】タッチスクリーンセンサ100の概略図である。
【
図2】タッチスクリーン感知領域内の、導電性可視光透明区域の斜視図である。
【
図3a】導電性インクの紫外線レーザー硬化を使用する、微小導電体の作製するためのプロセスを示す図である。
【
図3b】導電性インクの紫外線レーザー硬化を使用する、微小導電体の作製するためのプロセスを示す図である。
【
図4】微小導電体を作製するためのグラビア印刷プロセスを示す図である。
【
図5】導電性材料が充填された微小複製チャネルの断面図である。
【
図6】導電性材料が充填された微小複製チャネルとの指による容量結合を示す図である。
【
図7a】タッチセンサを製造するために有用な、可撓性基材上に作製された微小導電体のパターンを示す図である。
【
図7b】タッチセンサを製造するために有用な、可撓性基材上に作製された微小導電体のパターンを示す図である。
【
図8】ダウンウェブ方向の可撓性ウェブ材料に印刷された平行な微小導電体を示す図である。
【
図9】加えられた、追加的な相互接続する導電体を有する、
図8の可撓性材料の区分を示す図である。
【
図10】
図9の材料2層から構成されるマトリックスタッチセンサの実施例の断面図である。
【
図11】タッチスクリーンセンサの一実施形態のための導電体微小パターンを示す図である。
【
図12】局部シート抵抗を調節するための選択的な断絶部を有する導電性メッシュ、並びに接触パッドの形態のより大きな構造を含む、
図3に例示される導電体微小パターンの一部を示す図である。
【
図13】隣接するメッシュ内の選択的な断絶部によって生成される、
図3に示される水平方向のメッシュバーに沿った、抵抗の変調を示す図である。
【
図14】静電容量プレートが、抵抗素子によって分離される、
図3に例示される導電体微小パターンの特性に近似する、回路図である。
【
図15】導電性微小パターンメッシュ内の選択的な断絶部によって部分的に形成される、異なるシート抵抗を有する15a~15eと付番された区域を含む、タッチスクリーンセンサの一実施形態のための、導電体微小パターンを示す図である。
【
図15a】
図15に例示される異なる導電体微小パターンの一部を示す図である。
【
図15b】
図15に例示される異なる導電体微小パターンの一部を示す図である。
【
図15c】
図15に例示される異なる導電体微小パターンの一部を示す図である。
【
図15d】
図15に例示される異なる導電体微小パターンの一部を示す図である。
【
図15e】
図15に例示される異なる導電体微小パターンの一部を示す図である。
【
図16】均一な透明導電性酸化物、ITOのみを含む、同様の形状の区域における単位長さ当たりの抵抗と比較した際の、内部に区域15a及び15bを有する楔形透明導電性区域の長軸に沿った単位長さ当たりの抵抗の分布を示す図である。
【
図17】タッチスクリーンセンサの一実施形態のX-Yグリッド型の投影型静電容量タッチスクリーンセンサを形成するために互いに積層された層の構成を示す図である。
【
図18】
図17によるタッチスクリーンセンサの一実施形態のX層又はY層の導電体微小パターンを示す図である。
【
図19】接触パッドの形態のより大きな構造と接触する可視光透明導電性メッシュ、並びにメッシュ区域間の空間内の電気的に絶縁された導電体堆積物を含む、
図10に例示される導電体微小パターンの一部を示す図である。
【
図20】
図9によるタッチスクリーンセンサの別の実施形態のX層又はY層の、導電体微小パターンを示す図である。
【
図21】接触パッドの形態のより大きな構造と接触する可視光透明導電性メッシュ、並びにメッシュ区域間の空間内の電気的に絶縁された導電体堆積物を含む、
図12に示される導電体微小パターンの一部を示す図である。
【
図22】
図17によるタッチスクリーンセンサの別の実施形態のX層又はY層の、導電体微小パターンを示す図である。
【
図23】接触パッドの形態のより大きな構造と接触する可視光透明導電性メッシュ、並びにメッシュ区域間の空間内の電気的に絶縁された導電体堆積物を含む、
図22に示される導電体微小パターンの一部を示す図である。
【
図24】開口の割合対導電体配線幅(マイクロメートル)のプロットであり、区域3がタッチスクリーンセンサに使用できる良好な光学品質であり、区域2は、区域2と比較した際により良好な光学品質であり、区域1は3つの区域の中で最良の光学品質を有する、タッチスクリーンセンサの光学品質を示すグラフである。開口の割合は、本明細書において開口率と互換的に使用される。
【
図25】実施例6~40の特徴である六角形メッシュ(場合によって「六角」メッシュと称される)の形状の走査電子顕微鏡写真である。各画像の明るい色調の線は、金属導電体のパターンを表し、暗い領域は、実施例で使用される基材を表している。
【
図26】実施例6~40の特徴である正方形メッシュの形状の走査電子顕微鏡写真である。各画像の明るい色調の線は、金属導電体のパターンを表し、暗い領域は、実施例で使用される基材を表している。
【
図27】第1のパターン化された基材の様々な部分を示す図である。
【
図27a】第1のパターン化された基材の様々な部分を示す図である。
【
図27b】第1のパターン化された基材の様々な部分を示す図である。
【
図28】第2のパターン化された基材の様々な部分を示す図である。
【
図28a】第2のパターン化された基材の様々な部分を示す図である。
【
図28b】第2のパターン化された基材の様々な部分を示す図である。
【
図29】
図27及び
図28の第1及び第2のパターン化された基材から構成される、投影型静電容量タッチスクリーン透明センサ素子を示す図である。
【0014】
図面は、必ずしも縮尺に従っていない。図面で用いられる同様の番号は、同様の構成要素を指す。しかしながら、所定の図中の構成要素を指す数字の使用は、同じ数字を付けられた別の図中の構成要素を限定することを意図するものではないことが理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明において、本明細書の一部を構成し複数の特定の実施形態が例として示される添付の一連の図面を参照する。本発明の範囲又は趣旨を逸脱せずに、その他の実施形態が考えられ、実施され得ることを理解すべきである。したがって、以下の「発明を実施するための形態」は、限定する意味で理解すべきではない。
【0016】
本発明で使用する全ての科学用語及び専門用語は、特に指示がない限り、当該技術分野において一般的に使用される意味を有する。本明細書にて提供される定義は、本明細書でしばしば使用される特定の用語の理解を促進しようとするものであり、本開示の範囲を限定するものではない。
【0017】
他に指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される形状寸法、量、及び物理特性を表わす数字は全て、どの場合においても用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。それゆえに、そうでないことが示されない限り、前述の明細書及び添付の特許請求の範囲で示される数値パラメータは、当業者が本明細書で開示される教示内容を用いて、目標対象とする所望の特性に応じて、変化し得る近似値である。
【0018】
端点による数値範囲の列挙には、その範囲内の全ての数(例えば1~5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5が含まれる)、及びその範囲内の任意の範囲が含まれる。
【0019】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「a(1つの)」、「an(1つの)」及び「the(その)」は、その文脈が特に明確に指示しない限り、複数の指示対象を有する実施形態を包含する。本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、用語「又は」は、その文脈が特に明確に指示しない限り、一般的に「及び/又は」を包含する意味で用いられる。
【0020】
本明細書で使用するとき、「可視光透明」とは、少なくとも1つの偏光状態の可視光に対して、少なくとも60パーセント透過性である透過率の水準を指し、ここで透過率パーセントは、入射光、任意により偏光の強度に正規化される。入射光の少なくとも60%を透過する物品が、局部的に光を透過率80パーセント未満(例えば、0%)に遮蔽する微細構造(例えば、最小寸法、例えば0.5~10マイクロメートル、又は1~5マイクロメートルの幅の点、正方形、又は線)を含むのは、可視光線透明性の意味の範囲内であるが、このような場合、微細構造を含み、微細構造の最小寸法の1000倍の幅である、およそ等軸の面積に関して、平均透過率は60パーセントを超える。
【0021】
本開示は、内部に含まれる導電体微小パターンの設計を通じて設計される、電気的及び光学的特性を有するタッチスクリーンセンサに関する。本明細書において記載される導電体微小パターンを組み込むことにより、タッチスクリーンセンサにもたらされるいくつかの利点が存在する。いくつかの実施形態では、透明導電性区域内の透明導電特性は、使用中の接触感知区域内の電位勾配を制御するように設計される。これは、信号処理電子機器の単純化、及びいくつかの接触スクリーンセンサの種類においては、本来ならば電位勾配(電場)線形化に必要とされる追加的な導電体パターンの設計の単純化(又はその必要性の排除)に繋がる。いくつかの実施形態では、本明細書において記載されるタッチスクリーンセンサの電気的特性は、透明センサ要素に沿って、制御された電位勾配を生成するように設計される。例えば、電気的特性は、透明導電性区域内の特定の方向に沿った線形電位勾配を生成するように設計され、その全体的な形状は通常、標準的な透明導電体材料(例えば、連続的ITOコーティング)が使用された場合、非線形の勾配に繋がる。いくつかの実施形態では、電気的特性は、同じ形状であるが標準的な透明導電体材料(例えば、連続的ITOコーティング)からなる透明導電性区域内に存在するものよりも高い、透明導電性区域の電位勾配の非線形性の水準を生じるように設計される。より詳細には、微小パターン化された導電体の形態の、隣接する透明シート導電体を含み、感知領域の角部への電気的接続が作られる矩形の静電容量タッチスクリーンにおいては、感知領域にわたる電位勾配の垂直方向及び水平方向の線形性(電界の均一性)が、シート抵抗値の領域分布及び異方性を、場をより均一に分配するような方法で設計することによって改善され得る。他の実施形態では、センサは、同じ厚さ(即ち、同じ高さ)の同じ導電体材料からなるが、微小パターン化による異なる有効シート抵抗値を有する導電体素子を含む。例えば、いくつかの実施形態では、同じ厚さ(即ち、高さ)の同じ導電体材料が使用されて、透明導電性区域の第1の水準のシート抵抗に繋がる第1の微小パターン形状を画定する導電配線、及び第2の透明導電性区域の第2の水準のシート抵抗に繋がる第2の微小パターン形状を画定する導電配線を生成する。本開示はまた、いくつかの実施形態、例えば、微小パターン化された金属導電体に基づく実施形態において、例えば、インジウムなどの希元素を避けることによって、透明ディスプレイセンサの製造における、改善された効率性及び資源利用を可能にする。
【0022】
本開示は、電子装置(例えば、コンピューター、携帯電話など)への情報又は命令のタッチ入力のための、接触又は近接センサに更に関する。これらのセンサは、可視光透明であり、ディスプレイとの直接的な結合において有用であり、ディスプレイ素子に重なり、ディスプレイを駆動する装置と(「タッチスクリーン」センサとして)相互作用する。センサ素子は、シート様の形状を有し、少なくとも1つの電気的に絶縁性の可視光透明基材層を含み、これは、以下の、i)異なる有効シート抵抗値を有する2つの区域を生成するために、2つの異なるメッシュ構造を有する基材表面の2つの異なる区域にメッシュパターン化された導電性材料(例えば、金属)であって、区域のうちの少なくとも一方がセンサの接触感知領域内に位置する透明導電性区域である、導電性材料、ii)センサの接触感知領域内に位置し、異方性有効シート抵抗値を呈する、透明導電性区域を生成するように、メッシュ形状で基材の表面上にパターン化された導電性材料(例えば、金属)、及び/又はiii)有効に電気的に連続的な透明導電性区域内で、メッシュ形状で基材の表面上にパターン化された導電性材料(例えば、金属)であって、形状は、少なくとも一方向において局部的有効シート抵抗値(例えば、透明導電性区域の連続的に変化するシート抵抗)の異なる値を生成するために、区域内で異なり、この区域はタッチセンサの感知領域内に位置する、導電性材料、のうちの1つ以上を支持する。
【0023】
タッチセンサの感知領域は、情報ディスプレイの可視部分に重なることを意図されるか、又は重なり、情報ディスプレイの可視性を可能にするために、可視光透明である、センサの区域である。情報ディスプレイの可視部分とは、変化可能な情報内容を有する情報ディスプレイの部分、例えば、ピクセル(例えば、液晶ディスプレイのピクセル)が占めるディスプレイ「スクリーン」の部分を指す。
【0024】
本開示は、抵抗、静電容量、及び投影型静電容量の種類の、タッチスクリーンセンサに更に関する。可視光透明導電体微小パターンは、電子機器ディスプレイと一体化される投影型静電容量スクリーンセンサにおいて特に有用である。投影型静電容量タッチスクリーンセンサの構成要素として、可視光透明導電性微小パターンは、高い接触感度、複数接触検出、及びスタイラス入力を可能にするために有用である。
【0025】
透明導電性区域内の、2つ以上の異なるシート抵抗の水準、シート抵抗の異方性、又は変化するシート抵抗の水準は、下記の透明微小パターン導電体を構成する二次元メッシュの形状によって制御することができる。
【0026】
本発明を限定するものではないが、本発明の種々の態様は以下に提供する実施例の考察を通して正しく認識されるであろう。
【0027】
図1は、タッチスクリーンセンサ100の概略図を例示する。タッチスクリーンセンサ100は、接触感知領域105を有するタッチスクリーンパネル110を含む。接触感知領域105は、タッチセンサ駆動装置120と電気的に連結している。タッチスクリーンパネル110は、ディスプレイ装置に組み込まれる。
【0028】
図2は、タッチスクリーンパネルの接触感知領域、例えば、
図1の接触感知領域105内に位置する導電性可視光透明区域101の斜視図を例示する。導電性可視光透明区域101は、可視光透明基材130、及び可視光透明基材130の上又は中に配置される導電性微小パターン140を含む。可視光透明基材130は、主表面132を含み、電気的に絶縁性である。可視光透明基材130は、例えば、ガラス、又はポリマーなどの任意の有用な電気的に絶縁性の材料から形成され得る。光透明基材130のための有用なポリマーの例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びポリエチレンナフタレート(PEN)が挙げられる。導電性微小パターン140は、複数の線形金属構造から形成され得る。
【0029】
図2はまた、タッチスクリーンパネルの接触感知領域内に位置する導電性可視光透明区域101の説明に使用するための軸系を例示する。一般に、ディスプレイ装置の場合、x及びy軸はディスプレイの幅及び長さに相当し、z軸は典型的にディスプレイの厚さ(即ち、高さ)方向に沿っている。この取り決めは、特に明記しない限り、全体を通して使用される。
図2の軸系において、x軸及びy軸は、可視光透明基材130の主要面132と平行に定められ、正方形又は矩形表面の幅及び長さ方向に対応し得る。z軸は、この主表面と垂直であり、典型的には可視光透明基材130の厚さ方向に沿っている。導電性微小パターン140を形成する複数の線形金属構造の幅は、y軸に沿って直線的に延びる平行の線形金属構造のx方向の間隔に相当し、直交する線形金属構造のy方向の間隔は、直交する線形金属構造の幅に相当する。線形金属構造の厚さ、即ち高さは、z方向の距離に相当する。
【0030】
いくつかの実施形態では、タッチスクリーンパネルの接触感知領域内に位置する導電性可視光透明区域101は、それぞれが導電性微小パターン140を有する、可視光透明基材130の2つ以上の層を含む。
【0031】
導電性微小パターン140は、主表面132上に堆積される。センサは、タッチスクリーンディスプレイ、又はタッチパネルディスプレイを形成するために、ディスプレイと相互作用するため、基材130は、可視光透明であり、実質的に平面的である。基材及びセンサは、実質的に平面的、かつ可撓性であってよい。可視光透明とは、ディスプレイによってレンダリングされる情報(例えば、文字、画像、又は数字)が、タッチセンサを通して見えることを意味する。堆積された金属、更に光を遮蔽するために十分な厚さで堆積された金属の形態の導電体を含む、タッチセンサの可視性及び透明性は、金属が適切な微小パターンで堆積された場合に、達成され得る。
【0032】
導電性微小パターン140は、情報をレンダリングするディスプレイの可視部分に重なる、少なくとも1つの可視光透明導電性区域を含む。可視光透明導電体とは、ディスプレイの一部分が、導電性微小パターンの区域を通して見ることができ、かつ微小パターンの区域が、パターンの平面において、又は換言すれば、導電性微小パターンが堆積され、これが隣接する基材の主表面に沿って導電性があることを意味する。好ましい導電性微小パターンは、二次元メッシュを有する区域、例えば、正方形グリッド、矩形(非正方形)グリッド、又は規則的な六角形ネットワークを含み、導電配線は、メッシュの配線と電気的に接触している導電体が堆積されていない、メッシュ内の囲まれた開口を画定する。開放空間、及びそれらの縁部で関連付けられる導電体配線は、本明細書においては、セルと称される。メッシュセルの他の有用な形状としては、ランダムなセル形状、及び不規則多角形が挙げられる。
【0033】
いくつかの実施形態では、導電性微小パターンを画定する導電配線は、5つの隣接するセル、好ましくは4つの隣接するセル、より好ましくは3つの隣接するセル、更により好ましくは2つの隣接するセルの合わせた縁部の長さよりも大きな距離にわたってほぼ直線的である区分を含まないように設計される。より好ましくは、微小パターンを画定する配線は、単一のセルの縁部の長さよりも大きな距離にわたって直線的である区分を含まないように設計される。したがって、いくつかの実施形態では、微小パターンを画定する配線は、長い距離、例えば、10センチメートル、1センチメートル、又は更に1ミリメートルを超えて直線的であることはない。直前に述べた、最小の長さの直線区分を有するパターンは、ディスプレイの可視性に最小限の障害しか生じさせない利点を有するタッチスクリーンセンサにとって特に有用である。
【0034】
導電性微小パターンの二次元形状(即ち、平面内、又は基材の主表面に沿ったパターンの形状)は、タッチスクリーンセンサにおいて有用な特別な透明導電特性を達成するために、導電体材料の光学的及び電気的特性を考慮して設計され得る。例えば、導電体材料の連続的な(パターン化されていない)堆積物又はコーティングは、そのバルク抵抗率をその厚さで除して計算されるシート抵抗を有する一方で、本発明においては、異なる水準のシート抵抗は、導電体の微小パターン化によっても設計される。
【0035】
いくつかの実施形態では、二次元の導電性微小パターンは、センサの導電性区域(例えば、可視光透明導電性区域)における異方性シート抵抗を達成するように設計される。異方性シート抵抗とは、直交する二方向に沿って測定された又はモデル化した際に、導電性微小パターンのシート抵抗の規模が異なることを意味する。
【0036】
対照的に、いくつかの実施形態では、センサの導電性区域(例えば、可視光透明導電性区域)における等方性シート抵抗を達成するように、二次元の導電性微小パターンが設計される。等方性シート抵抗とは、平面内で直交する任意の二方向に沿って測定又はモデル化した際に(双方向において一定の幅の配線で形成される正方形のグリッドの場合)、導電性微小パターンのシート抵抗の規模が同じであることを意味する。
【0037】
区域内の異方性シート抵抗は、一方向において、直交する方向のシート抵抗よりも少なくとも10パーセント高い、又は少なくとも25パーセント高い、少なくとも50パーセント高い、少なくとも100パーセント高い、少なくとも200%高い、少なくとも500%高い、又は更には少なくとも10倍高いシート抵抗を含むことができる。いくつかの実施形態では、区域内の異方性シート抵抗は、一方向において、直交する方向におけるシート抵抗よりも、少なくとも1.5倍高いシート抵抗を含む。いくつかの実施形態では、区域内の異方性シート抵抗は、一方向において、直交する方向におけるシート抵抗よりも、1.1~10倍、他の実施形態では、1.25~5倍、及び更に別の実施形態では、1.5~2倍大きいシート抵抗を含む。
【0038】
異方性シート抵抗を生じ得る導電性微小パターン形状の例は、導電配線の幅が一定である、ほぼ矩形(非正方形)の微小グリッドである。このような矩形微小グリッド(非正方形)に関し、異方性シート抵抗は、他方よりも10パーセント長い、他方よりも25パーセント長い、他方よりも少なくとも50パーセント長い、他方よりも100パーセント長い、又は更には他方よりも10倍長い一縁部を含む、グリッドのセルの反復形状から生じ得る。異方性シート抵抗は、異なる方向で配線の幅を変えることによって(例えば、別の、非常に対称的なメッシュのセルのパターンで)、生成することができる。異方性シート抵抗を生成するための後者の手法の例は、例えば、200マイクロメートルのピッチを有する導電配線の正方形グリッドであり、第1の方向における配線は10マイクロメートルの幅であり、直交する方向の配線は、9マイクロメートル幅、7.5マイクロメートル幅、5マイクロメートル幅、又は更に1マイクロメートル幅である。区域内の異方性シート抵抗は、平行な導電線のパターンによって生じるように、一方向において有限の測定可能なシート抵抗を、及び他方向において本質的に無限のシート抵抗を含み得る。上記のように、いくつかの実施形態では、区域内の異方性シート抵抗は、一方向において有限の測定可能なシート抵抗を、及び第1の方向と直交する方向において有限の測定可能なシート抵抗を含む。
【0039】
導電性微小パターンの区域が等方性であるか又は異方性であるかを決定する目的で、関連する特性の測定又は計算を行うために、微小パターンの規模に対する関心の区域の規模が、合理的に選択されなくてはならないことが、当業者によって理解されるであろう。例えば、仮にも一度導電体がパターン化されると、異なる方向における測定においてシート抵抗における違いを生じる測定を行うための位置及び規模を選択することは、容易である。以下の詳細な実施例により、この点がより明確になり得る。100マイクロメートル幅の導電体配線、及び1ミリメートルのピッチ(グリッド内で900マイクロメートル×900マイクロメートルの正方形開口部となる)を有する正方形グリッドの形態の等方性形状の導電体パターンを想定し、正方形開口部の縁部に沿った配線のうちの1つの中のシート抵抗の4点プローブ測定を行い、プローブは、4つの直線状に配置されたプローブに沿って25マイクロメートルの一定間隔を有する(2つの電流プローブ間、外側のプローブの間の分離が75マイクロメートルとなる)ものと想定すると、プローブが配線と平行に整列されたか又は配線と直交するように整列されたかに応じて、異なる水準のシート抵抗が、測定された電流及び電圧の値によって算出される。したがって、正方形グリッド形状が、正方形グリッドセル寸法よりも大きな規模の等方性シート抵抗を生じるにも拘わらず、異方性を提示するシート抵抗の測定を実行することが可能である。したがって、本開示における、導電性微小パターン(例えば、メッシュを含む微小パターンの可視光透明導電性区域)のシート抵抗の異方性を定義する目的で、シート抵抗が測定又はモデル化されるべき、関連する規模は、メッシュのセルの長さ規模よりも大きく、好ましくは2つのセルの長さ規模よりも大きい。いくつかの場合においては、シート抵抗は、メッシュがそのシート抵抗において異方性であることを示すために、メッシュの中の5つ以上のセルの長さ規模にわたって測定又はモデル化される。
【0040】
導電性微小パターンが、区域内でシート抵抗の異方性を呈する実施形態とは対照的に、透明導電性酸化物薄膜(例えば、酸化インジウムスズ、即ち、ITO)を含むセンサは、導電体の隣接する区域において等方性シート抵抗を呈する。後者の場合、隣接する区域のシート抵抗の4点プローブ測定が、異なる方向で、より小さいプローブの間隔で行われて、これを測定、又はモデル化することができ、異なる方向における電流及び電圧の同じ読取り値が、明確に等方性を示す。
【0041】
いくつかの実施形態では、二次元導電性微小パターンは、所定の方向で測定された際に、センサの2つの異なるパターン化された導電体区域において、異なる水準又は規模のシート抵抗を達成するように設計される。例えば、異なる水準のシート抵抗に関し、2つのうちより高い方が、より低い方よりも1.25倍超、1.5倍超、2倍超、5倍超、10倍超、又は更に100倍超大きいことがある。いくつかの実施形態では、2つの面抵抗値のうちのより高い方が、より低い方よりも1.25~1000倍、他の実施形態では、1.25~100倍、他の実施形態では、1.25~10倍、他の実施形態では、2~5倍大きい。ある区域が、別の区域のものと異なるシート抵抗を有するものとみなされるためには、これは、他の区域のシート抵抗より、少なくとも1.1倍大きいか又は小さいシート抵抗を有する。
【0042】
いくつかの実施形態では、微小パターンは、電気的に隣接する、パターン化された2つの導電体区域の、前述の異なる水準のシート抵抗を達成するように設計されており、つまり、これらは、これらの境界に沿って互いに電気的に接触しているパターン化された導電体区域である。導電境界を共有する、パターン化された2つの導電体区域はそれぞれ、一様な、それぞれのパターン形状を有し得るが、やはり異なり得る。いくつかの実施形態では、微小パターンは、電気的に接触していない2つの異なるパターン化された導電体区域の、異なる水準のシート抵抗を達成するように設計されており、即ち、これらは、パターン化された区域が境界に沿って電気的に接触しているこれらの間に境界を共有しない、パターン化された導電体区域である。それらの間に導電境界を共有しない、パターン化された2つの導電体はそれぞれ、一様な、それぞれのパターン形状を有し得るが、やはり異なってもよい。電気的に接触していない区域について、これら双方が、同じ固体導電体素子、例えば、バスバー又はパッドに、このパターンで電気的に接触することは、本開示の範囲内である。いくつかの実施形態では、微小パターンは、互いに電気的に絶縁された2つの区域において、異なる水準の面抵抗を達成するように設計され、したがって、電気信号によって独立して対処することができる。電気的に絶縁された2つのメッシュ区域はそれぞれ、一様なパターン形状を有し得るが、やはり異なってもよい。最後に、いくつかの実施形態では、微小パターンは、例えば、電気的に隣接する2つの区域の第1区域から第2区域へと連続的に変化するシート抵抗を生成することにより、2つの異なる区域において、異なる水準のシート抵抗を達成するように設計される。
【0043】
測定方向において異なるシート抵抗を有する2つの区域を含む二次元導電性微小パターンは、この区域に関して好ましい水準の面抵抗(例えば、5~100Ω/スクエアの低い面抵抗)を有する、感知領域内の可視光透明導電性区域(変化する、又は異方性の面抵抗を任意に含む)の設計、及び感知領域内に位置してもしなくてもよいタッチスクリーンセンサの部分としての、電気素子、例えば抵抗素子の設計にとって有用であり、抵抗素子は、抵抗作用のために最適に選択されるシート抵抗(例えば、150~1000Ω/スクエアのより高いシート抵抗)を有するシート導電体を含み、場合により他の設計制約、例えば抵抗の占有面積の最小化による制約を考慮する。
【0044】
上記のように、測定又はモデル化し得る有限なシート抵抗を有する区域及び方向における導電性微小パターンのシート抵抗は、0.01Ω/スクエア~1メガΩ/スクエアの範囲、又は0.1~1000Ω/スクエアの範囲、又は1~500Ω/スクエアの範囲にあり得る。いくつかの実施形態では、導電性微小パターンのシート抵抗は、1~50Ω/スクエアの範囲にある。他の実施形態では、導電性微小パターンのシート抵抗は、5~500Ω/スクエアの範囲にある。他の実施形態では、導電性微小パターンのシート抵抗は、5~100Ω/スクエアの範囲にある。他の実施形態では、導電性微小パターンのシート抵抗は、5~40Ω/スクエアの範囲にある。他の実施形態では、導電性微小パターンのシート抵抗は、10~30Ω/スクエアの範囲にある。導電性微小パターン又は導電性微小パターンの区域を特徴付け得るシート抵抗の指示において、微小パターン又は微小パターンの区域は、それが、シート抵抗値を、任意の方向における電気伝導において有する場合、所定の値のシート抵抗を有するものとされる。
【0045】
センサの透明性、及びセンサを通じたディスプレイの可視性を達成するための導電体の適切な微小パターンは、一定の特質を有する。まず、これを通じてディスプレイが見られる導電性微小パターンの区域は、導電体によって遮蔽される、50%未満、又は25%未満、又は20%未満、又は10%未満、又は5%未満、又は4%未満、又は3%未満、又は2%未満、又は1%未満、又は0.25%~0.75%の範囲、又は0.5%未満のセンサの面積率を有するべきである。
【0046】
導電体微小パターン、又は導電性微小パターンの区域の開口率(又は開口若しくは開口の割合)は、導電体によって遮蔽されない微小パターン面積、又は区域面積の割合である。開口は、1から、導電体によって遮蔽される面積率を引いたものに相当し、少数又は百分率として、適宜互換的に表現することができる。導電体によって遮蔽される面積率は、微小パターン化された導電体の線の密度と互換的に使用される。微小パターン化された導電体は、電気的に導電性の微小パターン及び導電性微小パターンと互換的に使用される。したがって、導電体によって遮蔽される割合に関して上の文章で示された値に関し、開口値は、50%超、75%超、80%超、90%超、95%超、96%超、97%超、98%超、99%超、99.25~99.75%、99.8%、99.85%、99.9%、及び更に99.95%である。いくつかの実施形態では、導電体微小パターンの区域の開口(例えば、可視光透明導電性区域)は、80%~99.5%であり、他の実施形態では90%~99.5%であり、他の実施形態では、95%~99%であり、他の実施形態では、96%~99.5%であり、他の実施形態では、97%~98%であり、他の実施形態では、最大99.95%である。実際的な製造方法を使用した、有用な光学的特性(例えば、高い透過率及び導電パターン要素の不可視性)、及び電気的特性の再現可能な達成に関し、開口の好ましい値は、90~99.5%、より好ましくは95~99.5%、最も好ましくは95~99.95%である。
【0047】
ディスプレイのピクセルパターンとの干渉を極小化し、ユーザー又は見る人の裸眼によるパターン要素(例えば、導電体の線)の可視性を回避するために、導電パターン要素の最小寸法(例えば、線又は導電配線の幅)は、およそ50マイクロメートル以下、又はおよそ25マイクロメートル以下、又はおよそ10マイクロメートル以下、又はおよそ5マイクロメートル以下、又はおよそ4マイクロメートル以下、又はおよそ3マイクロメートル以下、又はおよそ2マイクロメートル以下、又はおよそ1マイクロメートル以下、又はおよそ0.5マイクメートル以下であるべきである。
【0048】
いくつかの実施形態では、導電パターン素子の最小寸法は、0.5~50マイクロメートル、他の実施形態では、0.5~25マイクロメートル、他の実施形態では、1~10マイクロメートル、他の実施形態では、1~5マイクロメートル、他の実施形態では、1~4マイクロメートル、他の実施形態では、1~3マイクロメートル、他の実施形態では、0.5~3マイクロメートル、及び他の実施形態では、0.5~2マイクロメートルである。有用な光学的特性(例えば、裸眼による導電パターン要素の高い透過率及び不可視性)、及び電気的特性の再現可能な達成に関し、実際的な製造方法の使用による制約を考慮し、導電パターン素子の最小寸法の好ましい値は、0.5~5マイクロメートル、より好ましくは1~4マイクロメートルであり、最も好ましくは1~3マイクロメートルである。
【0049】
一般的に、堆積された導電性材料は、望ましくないことに、タッチセンサの光透過率を低減させる。基本的に、堆積された導電性材料が存在するいずれの場所でも、そのユーザーによる可視性に関して、ディスプレイは遮蔽される。導電体材料によって生じる減衰の程度は、導電体微小パターン内の導電体によって被覆されるセンサ又はセンサ区域の面積率に比例する。
【0050】
一般的に、透明タッチスクリーンセンサは、低いヘイズ値を呈することが望ましい。ヘイズとは、例えば、Haze-Gard機器(Haze-Gard plus、メリーランド州コロンビアのBYK Gardner)により測定される、光が媒体を通過する際のその分散に関する特性を指す。いくつかの実施形態では、タッチスクリーンセンサは、10%未満、いくつかの実施形態では5%未満、いくつかの実施形態では4%未満、いくつかの実施形態では3%未満、いくつかの実施形態では2%未満のヘイズを呈する。導電体微小パターンを含む区域の、高い透過率(可視光透過性とも称される)、低いヘイズ、低い導電体配線可視性の望ましい組み合わせを達成する実施形態が開示される。したがって、導電体微小パターンは、感知領域又はタッチスクリーンセンサディスプレイの区域の一部として使用された場合(例えば、微小パターンをディスプレイの可視区域に重ねた場合)に特に有用である。
【0051】
いくつかの実施形態では、例えば、導電性材料の一様ではないメッシュから生じる、シート抵抗の不均一な分布が存在したとしても、可視ディスプレイ領域にわたって均一な光透過性を有する可視光透明ディスプレイセンサを作るために、センサは、パターン全体の光透過性の均一性を維持するように機能する、導電性微小パターンに付加された絶縁された導電体堆積物を含む。このような絶縁された導電体堆積物は、センサの駆動装置(例えば、電気回路又はコンピューター)に接続されず、したがって電気的機能を提供しない。例えば、3マイクロメートルの線幅及び200マイクロメートルのピッチの正方形グリッド形状のメッシュを有する第1区域(金属により面積の3%が遮蔽されている、即ち、97%の開口)、並びに3マイクロメートルの線幅及び300マイクロメートルのピッチの正方形グリッド形状のメッシュを有する第2区域(金属により面積の2%が遮蔽されている、即ち、98%の開口)を含む金属導電体微小パターンは、300マイクロメートルピッチのグリッド区域の開放セルそれぞれの内部に、パターン内で等間隔で配置された100個の3マイクロメートル×3マイクロメートルの正方形の金属導電体を含めることにより、2つの区域にわたるその平均光透過率を光学的に均一にすることができる。100個の3マイクロメートル×3マイクロメートルの正方形(900平方マイクロメートル)は、各300マイクロメートル×300マイクロメートルのセル(90000平方マイクロメートル)において、面積を更に1パーセント遮蔽し、したがって、第2区域の平均光透過率を、第1区域のものと等しくする。透明導電性区域及びそれらの間の空間の区域を含む、センサにわたる光透過性の均一性を維持するために、隣接する透明導電性区域(例えば、二次元のメッシュ又はネットワークの形態の微小パターン化された導電体を含む隣接する透明導電性区域)の間の空間の区域に、同様の絶縁金属構造を加えることができる。絶縁された正方形の導電体に加えて、光学的均一性を調整するための、他の有用な絶縁された導電体堆積物としては、円及び線が挙げられる。電気的に絶縁された堆積物の最小寸法(例えば、正方形構造の縁部長さ、円形構造の直径、又は線状構造の幅)は、10マイクロメートル未満、5マイクロメートル未満、2マイクロメートル未満、又は更には1マイクロメートル未満である。
【0052】
実際的な製造方法を使用する、有用な光学的特性(例えば、導電パターン素子の高い透過率、及び不可視性)の再現可能な達成に関し、電気的に絶縁された堆積物の最小寸法は、好ましくは0.5~10マイクロメートル、より好ましくは0.5~5マイクロメートル、更により好ましくは0.5~4マイクロメートル、更により好ましくは1~4マイクロメートル、最も好ましくは1~3マイクロメートルである。いくつかの実施形態では、電気的に絶縁された導電体堆積物の配置は、周期性を有さないように設計される。周期性の不在は、下部のディスプレイの周期的ピクセルパターンとの、好ましくない可視的な相互作用を制限するために、好ましい。電気的に絶縁された導電体堆積物の集合が周期性を欠くためには、堆積物を有し、デコード、又は信号生成及び/若しくは処理電子機器に接続する微小パターン要素を欠く区域にわたり、堆積物の少なくとも一部の本来ならば周期性を有する配置に対して単一の障害が存在するだけでよい。このような電気的に絶縁された導電体堆積物は、非周期的な配置を有するとされるか、又は電気的に絶縁された導電体堆積物の非周期的な配置であるとされる。いくつかの実施形態では、電気的に絶縁された導電体堆積物は、例えば、5マイクロメートルの縁部長さを有する正方形堆積物の対向する面において存在するような、10マイクロメートル未満の間隔で離れた直線的で平行な縁部を欠くように設計される。より好ましくは、絶縁された導電体堆積物は、5マイクロメートル、より好ましくは4マイクロメートル、更により好ましくは3マイクロメートル、更により好ましくは2マイクロメートル未満の間隔で離れた直線的で平行な縁部を欠くように設計される。直線的で平行な縁部を欠く電気的に絶縁された導電体堆積物の例は、楕円形、円形、五角形、七角形、及び三角形である。電気的に絶縁された導電体堆積物の構造における、直線的で平行な縁部の不在は、センサと一体化するディスプレイの可視性を阻害し得る光回折アーチファクトを最小化するように機能する。
【0053】
導電体微小パターンの、光学的均一性に対する影響は、数量化することができる。ディスプレイの可視区域に重なるセンサ、したがって導電体微小パターンの合計面積が、1ミリメートル×1ミリメートル区域の配列へと区分化される場合、好ましいセンサは、いずれの区域も全区域の平均から75%超異なる遮蔽面積率を有さないような導電体微小パターンを含む。より好ましくは、いずれも50パーセント超異なる遮蔽面積率を有さない。より好ましくは、いずれも25パーセント超異なる遮蔽面積率を有さない。更により好ましくは、いずれも10パーセント超異なる遮蔽面積率を有さない。ディスプレイの可視区域に重なるセンサ、したがって導電体微小パターンの合計面積が、5ミリメートル×5ミリメートル区域の配列へと区分化される場合、好ましいセンサは、いずれの区域も全区域の平均から50%超異なる遮蔽面積率を有さないような導電体微小パターンを含む。好ましくは、いずれも50パーセント超異なる遮蔽面積率を有さない。より好ましくは、いずれも25パーセント超異なる遮蔽面積率を有さない。更により好ましくは、いずれも10パーセント超異なる遮蔽面積率を有さない。
【0054】
本開示は、有利なことに、透明導電性酸化物(TCO)、例えば、ITOとは対照的に、透明導電センサにおける導電性材料としての金属の使用を可能にする。ITOは、例えば、ある構成体における腐食に関係する分解、撓んだときに割れる傾向、100未満~1000Ω/スクエアのシート抵抗を有するコーティングとして堆積された際の透過光の大幅な減衰(反射及び吸収による)、及びインジウムの希少性による費用の増加などの、いくつかの欠点を有する。ITOはまた、均一かつ再現可能な電気的特性を有するように堆積することが困難であり、タッチスクリーンセンサを構成する導電パターンに連結する、より複雑かつ高価な電子機器の必要性へと繋がる。
【0055】
導電性微小パターンを形成するために有用な金属の例としては、金、銀、パラジウム、プラチナ、アルミニウム、銅、ニッケル、すず、合金、及びこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、導電体は、透明導電性酸化物である。いくつかの実施形態では、導電体はITOである。導電体は、5ナノメートル~5マイクロメートル、又は10ナノメートル~500ナノメートル、又は15ナノメートル~250ナノメートルの厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、導電体の厚さは1マイクメートル未満である。当該技術分野において既知であるように、導電体の望ましい厚さは、望ましい面抵抗から始まり、微小パターン形状(及び、ひいては平面の通電断面への影響)、及び導電体のバルク抵抗率を考慮することによって算出され得る。微小パターンの複雑な形状に関し、当該技術分野では計算法、例えば、シート抵抗を算出するのに使用することができる有限差分法又は有限要素法が存在し、本明細書においては、微小パターンの特性のモデル化と称される。当該技術分野において既知であるように、シート抵抗は、4点プローブ技術及び非接触渦電流法などの多数の技術を使用して測定することができる。
【0056】
本発明のセンサと一体化することができる有用なディスプレイの例としては、液晶ディスプレイ、ブラウン管ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル、及び有機発光ダイオードディスプレイが挙げられる。
【0057】
本発明による導電パターンは、任意の適切なパターン化方法、例えば、エッチングを伴うフォトリソグラフィー、又はめっきを伴うフォトリソグラフィー(例えば、米国特許第5,126,007号、同第5,492,611号、同第6,775,907号を参照)を含む方法によって生成することができる。加えて、導電パターンは、他のいくつかの代表的な方法(それぞれ、以下でより詳細に説明される)の1つを利用して作製することができる。
【0058】
1.レーザー硬化マスキング(金属フィルム上のマスク層の硬化、及び次にエッチング)
2.(マスキング材料又は続く金属めっきのための種材料の)インクジェット印刷
3.(続く金属めっきのための種材料の)グラビア印刷
4.微小複製(基材中に微小溝を形成し、次に導電性材料又は続く金属めっきのための種材料を充填する)、又は
5.マイクロコンタクト印刷(基材表面上の自己組織化単分子膜(SAM)パターンのスタンピング又は輪転印刷)。
【0059】
高容量、高解像度印刷方法の利用は、一般的に、導電性素子の正確な配置を可能にし、また、市販のディスプレイピクセルと適合する規模の微小導電体のバリエーションの微小半導体の(擬似ランダム)変動を可能にし、本来ならば生じ得る光学的異常(例えば、モアレパターン)を制限する。
【0060】
本明細書で説明されるいくつかの実施形態は、平坦な面の「ワイヤー様」導電体を利用してもよく、これは、透明導電体を利用する既存のセンサよりも高い光透過率を可能にする。これらの平坦な面の「ワイヤー様」導電体は、いくつかの実施形態では、既存の円形ワイヤー手段で可能であるよりも優れた導電体配置の拡張性及び制御を提供する。本明細書で記載される微小導電体は、10マイクロメートル以下の最大横断寸法を有する導電体を含む。多くのセンサ用途において、3マイクロメートル未満が好ましい。マスキング及びエッチングを利用する方法は、典型的には、低いアスペクト比(0.05~0.5μm厚さ×1μm~10μm幅)の微小導電体を生成する。微小複製された溝は、最大で1:1を超える、より高いアスペクト比の微小導電体を生成し得る。
【0061】
レーザー硬化マスキングを使用し、紫外線レーザーでパターンを選択的に硬化することによって、微小導電体を作製することができる。このようなプロセスは、典型的には、フィルム(例えば、PET)又はガラス系基材のいずれかで機能する。レーザー硬化された代表的なマスキングプロセスは、以下の工程を含み得る。
【0062】
1.基材が金属でめっきされる(例えば、銀又は銅が、ガラス又はPETフィルムにスパッタコーティングされる)。
【0063】
2.紫外線硬化性マスキングインクが、めっきされた基材に均一にコーティングされる(例えば、スピンコーティング、及びディップコーティング)。
【0064】
3.レーザーは印刷されたインクの一部を硬化して、タッチセンサの活性領域に微小導電体電極を形成し、また、電極をコネクタパッドに相互接続させる(より幅広い)線を硬化してもよい(レーザーのビーム幅は、フォトマスクによって減少させてもよい)。
【0065】
4.未硬化インクが除去される(洗い落とされる)。
【0066】
5.マスキングインクの下のパターンを除いて、基材にめっきされた金属がエッチングにより除去される。
【0067】
比較的に幅の広い線を使用して、種インク(触媒インク)の望ましいパターンを印刷し、続いて紫外線レーザーで選択的に硬化する(上記のレーザー硬化マスキングプロセスと同様)ことにより、インクジェット印刷及び種インクのメッキを使用して微小導電体を作製することができる。このプロセスのための基材は、フィルム(例えば、PET)又はガラスのいずれかであり得る。
【0068】
【0069】
1.種インク66が、基材67にインクジェット印刷される。
【0070】
2.レーザー65は印刷されたインクの一部を硬化してタッチセンサの活性領域に微小導電体電極68を形成し、また、電極をコネクタパッドに相互接続させる(より幅広い)線を硬化してもよい(レーザーのビーム幅は、フォトマスクによって減少させてもよい)。
【0071】
3.未硬化インクが除去される(洗い落とされる)。
【0072】
4.種インクの硬化パターンは、(導電性金属で)無電解めっきされる。
【0073】
インクジェット印刷プロセスは、使用されるインクの量を最小限にするため、インク(例えば、種インク)が高価な場合に検討されるべきである。インクが比較的安価である場合、インクジェット印刷は、基材全体を均一にコーティングする別のプロセス(例えば、スピンコーティング、又はディップコーティング)に代えることができる。上記のインクジェット印刷及び種インクプロセスのめっきのためのインク材料及び処理は、英国ケンブリッジの Conductive Inkjet Technology division of Carclo Technical Plastics から入手可能である。
【0074】
グラビア印刷は、印刷される画像が、ドラム上で回転する金属プレートに「エッチング」されることを必要とする。ドラムが回転すると、エッチングされた表面にインクが充填され、これは次に、インクを充填されたエッチングプレートとフィルムが互いに接触するとき印刷される、フィルムの表面上に堆積される。このプロセスは、
図4で略図化されており、これはフィルム基材76が、インク槽73からのインクライン74で印刷されているのを示す。圧銅70は印刷ドラム75と接して回転し、これはインク槽73からのインクで充填されるエッチング72を有する。このようなプロセスは、後の処理のためのストック材料を作るために使用することができ、又は高容量センサの特定のX又はY構成要素を作製するために使用され得る。
【0075】
種インク(又は触媒インク)は、上記の方法のいずれかによって印刷され得る。印刷及び硬化の後、インクを銅などの金属で無電解めっきして、高伝導度を得ることができる。種インク製造業者としては、Carclo の一部門であり英国ケンブリッジにある Conductive Inkjet Technology 及び英国ファーンボロ(Farnborough)の QinetiQ Company が挙げられる。ニューメキシコ州アルバカーキのCabot Printable Electronics and Displays はインクジェット印刷可能な銀導電性インクを製造する。
【0076】
微小複製は、微小導電体を形成するのに使用され得る更に別のプロセスである。
図5の図は、充填された又は部分的に充填された、微小複製されたチャネルの断面図を示す。チャネルは、種インク81で充填され、次にこれらを導電性にするために、めっきされてもよい(金属化層80参照)。あるいは、チャネルには、それ自体が導電性であるインクが充填されてもよく、めっきプロセスの必要性を排除する。第3の代替手段は、基材を金属でコーティングし、次に溝の(底部の)金属の部分をマスキングし、次にマスキングされていない材料をエッチングして取り去ることである(例えば、米国特許出願第61/076731号(「Method of Forming a Microstructure」)、及び同第61/076736号(「Method of Forming a Patterned Substrate」)を参照)。チャネルの実際の形状が変更されて、断面形状、及び最低水準の光学的干渉を提供する寸法を最適化し、一方で依然として高い伝導度及び高い生産収率を確実にすることができる。
【0077】
充填された微小複製されたチャネルは、(マスキングされた金属フィルムに対して)高いアスペクト比の断面を有する導電体を提供することができる。したがって、最大伝導度が、最低の光学的可視性と共に達成され得る(見る方向において小さい横断面)。微小複製されたチャネルを充填する方法、及び高いアスペクト比を有するチャネルの望ましい形状は、同一出願人による米国特許出願第US2007016081号(Gaidesら)に記載される。
【0078】
図6は、その幅よりも深い微小複製された電極を有する、高いアスペクト比の接触表面の断面形状を示す。一実施形態では、1:1を超える深さ対幅の比を有する微小複製された構造が、より良好な性能を生じる。一般的に、より狭い幅の微小複製された構造は、より多くの光がディスプレイを出て、タッチセンサを通過することを可能にする。更に、幅よりも深さのあるチャネルは、第1の表面からセンサに入る光の反射を制限する表面積を低減する。これらの利点が得られる一方で、静電容量信号は失われない。
図6は、指85による、上面だけではなくセンサの側部への、タッチセンサ86の印刷された銅電極87の容量結合を示す。
【0079】
マイクロコンタクト印刷は、微小導電体を形成するために使用され得る、更に別のプロセスである。マイクロコンタクト印刷は、基材表面上の自己組織化単分子膜(SAM)パターンのスタンピング、又は輪転印刷である。この手法は、非常に微細な規模(例えば、1/10マイクロメートルの構造寸法)のパターンで実行される能力を含め、いくつかの技術的に重要な特徴を呈し、パターン化された単分子膜は、金属、セラミックス、及びポリマーのパターン化に拡張される。
【0080】
代表的なマイクロコンタクト印刷プロセスは、以下の通りである。
【0081】
1.基材が金属でコーティングされる(例えば、銀又は銅が、ガラス又はPETフィルムにスパッタコーティング又はめっきされる)。
【0082】
2.自己組織化単分子膜のマスキングが、めっきされた基材にスタンピングされる。
【0083】
3.マスキングの下のパターンを除いて、基材にコーティングされた金属がエッチングにより除去される。
【0084】
マイクロコンタクト印刷プロセスは、例えば、米国特許第5,512,131号(Kumar)、及び同時係属の3M特許出願第61/032273号(「Methods of Patterning a Conductor on a Substrate」)に記載されている。マイクロコンタクト印刷は、一般的に基材に依存しない。例えば、基材はPET、ガラス、PEN、TAC、又は不透明なプラスチックであり得る。当該技術分野において既知であるように、マイクロコンタクト印刷は、金属堆積プロセスと組み合わされて、追加のパターン化プロセス(例えば、無電解めっきを含む)を生じる。
【0085】
図7aは、小さい静電容量タッチスクリーンのためのマトリックスセンサを示す。電極の2つのパターン(91及び92)が相互接続し、コネクタパッドが可撓性基材(例えば、PET)上に印刷される。2つのパターンが次に共に組み合わされて、平行な平面上に2層の電極を形成し、図示するように(
図7b参照)、上部平面上の電極が、下部平面上の導電体と直交する。場合により、下部電極平面の下にシールド(図示されない)が必要とされる。
【0086】
図7に表されるパターンは、本明細書において記載される方法の1つを使用して印刷されてもよく、単一印刷プロセス工程が使用されて、電極を形成する10μm未満の微小導電体、及び電極からコネクタパッドに信号を伝達する相互接続線(典型的には10μm超)を同時に印刷し、またコネクタパッド自体も同じ印刷プロセスで形成されてもよい。例えば、マイクロコンタクト印刷プロセスが使用されて、
図27に関して記載されるように、3μmの微小導電体及び500μmの導電配線706のパターンを同時に印刷した。この特定の実施形態は、いくつかの利点をもたらした。
【0087】
1.電極の相互接続子との位置合わせは自動的であり、かつ非常に正確である。
【0088】
2.相互接続子は、他の相互接続印刷プロセス(例えば、導電性インクのシルクスクリーン印刷)におけるよりも、遥かに細く印刷され狭い間隔であってよい。
【0089】
3.相互接続子の厚さ(基材の平面と垂直)は、従来の相互接続印刷プロセス(例えば、導電性インクのシルクスクリーン印刷)におけるよりも遥かに薄い。厚い相互接続子は、積層された層の間に可視の空隙を生じ、これは、積層された層の間の密封を弱める場合がある。
【0090】
図8は、基材96の表面上の平行な微小導体95を有する、微小複製され、充填された「ストック」構成材料を示す。ウェブの配向は、縦(verticle)である(97)。本明細書において、並びに/又は3Mの特許出願第61/076731号(「Method of Forming a Microstructure」)及び同第61/076736号(「Method of Forming a Patterned Substrate」)に開示されるように、基材は、PET、PEN、又はポリカーボネートであってもよく、微小導電体が、微小複製された溝に堆積されてもよい。微小導電体の間隔は、一実施形態では、好ましくは、50μm~500μmである。
【0091】
(例えば、インクジェット、又はシルクスクリーンによって)ポストプリントされた導電性インク(本明細書において記載される方法を使用して印刷された)が、いくつかの微小導電体に架かり、選択された微小導電体とのみ接触することができる、絶縁クロスオーバーを提供する、(例えば、インクジェット、又はシルクスクリーンによって)印刷された絶縁体を、選択された微小導電体と相互接続することによって、このストック材料は、タッチセンサ構成要素(例えば、電極又はシールド)へと加工され得る。したがって、
図9に示されるように、センサのための相互接続子及びコネクタパッドが作製され、これは、絶縁体を通る貫通孔1000を有するインクジェット印刷された絶縁体表面1002、及びやはりインクジェットによって印刷された導電配線1001を示す。
図8及び
図9は、基材ウェブの方向に印刷された微小導電体を示すが、場合によっては、基材ウェブと垂直な方向に微小導電体を印刷することが有利である。
【0092】
図10は、別々にされた、2層のストック微小複製微小導電体材料、及びポストプリントされた2層のインクジェット導電配線から構成されるマトリックスタッチセンサの実施例の断面図を示す。最上層1010は微小複製された微小導電体を含み、次の層1011は印刷された絶縁体であり、次の層1012は後処理された導電体を含み、次の層1013は、接着剤であり、次の層1014は、後処理された導電体であり、次の層1015は印刷された絶縁体であり、最後の層1016は、微小複製された微小導電体を含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、本来ならば連続的かつ一様なメッシュ内において、導電配線に選択的な断絶部を含めることにより、少なくとも一方向において、異なるシート抵抗を有する透明導電性区域が作られる。断絶部の選択的な配置のこの手法は、物品全体にわたる光学的透過性が一定である可視の透明導電体区域のパターンを含む物品を生成するのに特に有用である。開始メッシュは、等方性又は異方性であり得る。例えば、周期的な一連の断絶部を作ることによって、その長軸に沿って周期的なシート抵抗を呈するように、正方形の微小メッシュを有する細長い矩形の透明導電バーを作製することができ、断絶部は、長軸の方向のベクトル成分を有する配線内にあり、周期性は、長軸の方向にある。このシート抵抗における周期性は、矩形バー付近の物体(例えば、指)の位置をデコードするのに有用であり得る。断絶部の群と共に、配線の幅、厚さ、及び面密度を選択することにより、単位長さ当たりの抵抗において、少なくとも最小値の2倍、好ましくは少なくとも最小値の5倍、より好ましくは少なくとも最小値の10倍である単位長さ当たりの抵抗のピークによって特徴付けられる、透明導電性素子に沿った単位長さ当たりの抵抗の周期的変動を設計することができる。
【0094】
本来ならば連続的かつ一様なメッシュに選択的な断絶部を含む他の実施形態では、所定の方向において、ほぼ連続的に変化するシート抵抗を作るために、断絶部が配置され得る。連続的に変化するシート抵抗は、透明導電性素子に沿った電場の非線形性を増幅するのに有用であり得、それ以外では、これは、素子の全体的形状によってのみ作られる。例えば、当該技術分野において既知であるように、頂点と比較してその底辺に電位を印加された、細長い二等辺三角形の形状の、均一なシート抵抗を有する透明導電性素子は、(三角形の狭まる幅によって作られた)電界方向に沿った単位長さ当たりの抵抗の勾配のために、底辺から頂点まで非線形の電界を呈する。このような三角形の透明導電性素子の交互配置された配列に基づくタッチセンサでは、電界における非線形性が更により大きいことが有利であり、配列付近の物体(例えば指)の位置をデコードするのに使用される回路のより大きな信号対雑音比に繋がる。断絶部の群と共に、配線の幅、厚さ、及び面密度を選択することにより、透明導電性要素に沿った単位長さ当たりのシート抵抗を設計することができ、これは、1センチメートルの間隔にわたり、少なくとも1.1倍、又は少なくとも1.2倍、又は少なくとも1.5倍、又は少なくとも2倍で増加する。
【0095】
いくつかの実施形態では、少なくとも一方向において、異なるシート抵抗を有する2つの透明導電性区域は、その2つの区域のそれぞれに、その独自の構造を有する隣接するメッシュを含めることによって作られ、各メッシュは、選択的に配置される断絶部を必ずしも含まない。単一の方向、例えば、
図2のx方向を通る電流に関するシート抵抗が異なる値となる構造を有する2つのメッシュの例としては、同じ厚さ(
図2のz方向の寸法)の同じ導電性材料堆積物を有するが、y方向の単位幅当たりの異なる値の通電断面積(
図2のy-z平面)を有する、2つのメッシュが挙げられる。このようなメッシュ区域の対の一例は、それぞれが幅2マイクロメートルの導電配線を含むが、異なるピッチ、例えば100マイクロメートル及び200マイクロメートルのピッチを有する、2つの正方形グリッド区域である。メッシュ区域のこのような対の別の例は、それぞれが幅2マイクロメートルの導電配線を含むが、異なる配向である(例えば、第1区域の矩形セルの長軸が、第2区域の矩形セルに対して90°に配向されている)2つの矩形グリッド区域(一方向において100マイクロメートルピッチ、直交方向において200マイクロメートルピッチを有する非正方形)である。
【0096】
いくつかの実施形態では、センサは、導電体のパターンを支持する絶縁可視光透明基材層を含み、パターンは、可視光透明微小パターン区域、及び透明ではないより大きな構造を有する区域を含み、可視光透明微小パターン区域、及びより大きな構造区域は、ほぼ同じ厚さで同じ導電体(例えば、金属)のパターン化された堆積物を含む。より大きな構造は、可視光透明導電性微小パターン区域と接触するための幅の広い導電配線、又は電子的デコード、信号生成、若しくは信号処理装置と接触するためのパッドの形態をとり得る。同じ絶縁層上の、可視光透明導電性微小パターン区域との組み合わせにおいて有用な、より大きな構造の幅は、例えば、25マイクロメートル~3ミリメートル、25マイクロメートル~1ミリメートル、25マイクロメートル~500マイクロメートル、25マイクロメートル~250マイクロメートル、又は50マイクロメートル~100マイクロメートルである。
【0097】
1つの例示的なタッチスクリーンセンサは、可視光透明基材と、可視光透明基材の上又は中に配置される導電性微小パターンと、を含む。微小パターンは、接触感知領域内の第1区域微小パターン、及び第2区域微小パターンを含む。導電性微小パターンは、500ナノメートル未満の厚さ、及び0.5~5マイクロメートルの幅を有する、金属の線形導電性構造を含む。第1区域微小パターンは、第1の方向において5~500Ω/スクエアの第1シート抵抗値を有し、可視光透明であり、95%~99.5%の開口を有する。第2区域微小パターンは、第1の方向において、第2シート抵抗値を有し、これは、第1シート抵抗値とは異なる。
【0098】
別の例示的なタッチスクリーンセンサは、可視光透明基材と、可視光透明基材の上又は中に配置される導電性微小パターンと、を含む。微小パターンは、接触感知領域内に第1区域微小パターンを含む。導電性微小パターンは、500ナノメートル未満の厚さ、及び0.5~5マイクロメートルの幅を有する、金属の線形導電性構造を含む。第1区域微小パターンは、直交方向において、少なくとも1.5倍のシート抵抗値の差を有する異方性第1シート抵抗を有し、可視光透明であり、95%~99.5%の開口を有する。
【0099】
別の例示的なタッチスクリーンセンサは、可視光透明基材と、可視光透明基材の上又は中に配置される導電性微小パターンと、を含む。微小パターンは、接触感知領域内の第1区域微小パターン、及び第2区域微小パターンを含む。導電性微小パターンは、500ナノメートル未満の厚さ、及び1~4マイクロメートルの幅を有する、金属の線形導電性構造を含む。第1区域微小パターンは、第1の方向において5~100Ω/スクエアの第1シート抵抗値を有し、可視光透明であり、96%~99.5%の開口を有する。第2区域微小パターンは、第1の方向において、第2シート抵抗値を有し、これは、第1シート抵抗値とは異なる。
【0100】
別の例示的なタッチスクリーンセンサは、可視光透明基材と、可視光透明基材の上又は中に配置される導電性微小パターンと、を含む。微小パターンは、接触感知領域内の第1区域微小パターン、及び第2区域微小パターンを含む。導電性微小パターンは、500ナノメートル未満の厚さ、及び0.5~5マイクロメートルの幅を有する、金属の線形導電性構造を含む。第1区域微小パターンは、第1の方向において5~500Ω/スクエアの第1シート抵抗値を有し、可視光透明であり、95%~99.5%の開口を有する。第2区域微小パターンは、第1の方向において、第2シート抵抗値を有し、これは、第1シート抵抗値とは異なる。微小パターンはまた、電気的に絶縁した導電体堆積物を含む。可視光透明感知領域内に位置するセンサの1ミリメートル×1ミリメートルの正方形区域全体に関し、この区域のいずれも、区域全体の平均から75%超異なる遮蔽面積率を有さない。
【0101】
別の例示的なタッチスクリーンセンサは、可視光透明基材と、可視光透明基材の上又は中に配置される導電性微小パターンと、を含む。微小パターンは、接触感知領域内の第1区域微小パターン、及び第2区域微小パターンを含む。導電性微小パターンは、500ナノメートル未満の厚さ、及び0.5~5マイクロメートルの幅を有する、金属の線形導電性構造を含む。第1区域微小パターンは、第1の方向において5~500Ω/スクエアの第1シート抵抗値を有し、可視光透明であり、95%~99.5%の開口を有する。第2区域微小パターンは、第1の方向において、第2シート抵抗値を有し、これは、第1シート抵抗値とは異なる。微小パターンはまた、電気的に絶縁した導電体堆積物を含む。可視光透明感知領域内に位置するセンサの5ミリメートル×5ミリメートルの正方形区域全体に関し、この区域のいずれも、区域全体の平均から50%超異なる遮蔽面積率を有さない。
【0102】
別の例示的なタッチスクリーンセンサは、可視光透明基材と、可視光透明基材の上又は中に配置される導電性微小パターンと、を含む。微小パターンは、接触感知領域内に第1区域微小パターンを含む。導電性微小パターンは、500ナノメートル未満の厚さ、及び1~4マイクロメートルの幅を有する、金属の線形導電性構造を含む。第1区域微小パターンは、直交方向において、少なくとも1.5倍のシート抵抗値の差を有する異方性第1シート抵抗を有し、可視光透明であり、96%~99.5%の開口を有する。
【0103】
別の例示的なタッチスクリーンセンサは、可視光透明基材と、可視光透明基材の上又は中に配置される導電性微小パターンと、を含む。微小パターンは、接触感知領域内に第1区域微小パターンを含む。導電性微小パターンは、500ナノメートル未満の厚さ、及び0.5~5マイクロメートルの幅を有する、金属の線形導電性構造を含む。第1区域微小パターンは、直交方向において、少なくとも1.5倍のシート抵抗値の差を有する異方性第1シート抵抗を有し、可視光透明であり、95%~99.5%の開口を有する。微小パターンはまた、電気的に絶縁した導電体堆積物を含む。可視光透明感知領域内に位置するセンサの1ミリメートル×1ミリメートルの正方形区域全体に関し、この区域のいずれも、区域全体の平均から75%超異なる遮蔽面積率を有さない。
【0104】
別の例示的なタッチスクリーンセンサは、可視光透明基材と、可視光透明基材の上又は中に配置される導電性微小パターンと、を含む。微小パターンは、接触感知領域内に第1区域微小パターンを含む。導電性微小パターンは、500ナノメートル未満の厚さ、及び0.5~5マイクロメートルの幅を有する、金属の線形導電性構造を含む。第1区域微小パターンは、直交方向において、少なくとも1.5倍のシート抵抗値の差を有する異方性第1シート抵抗を有し、可視光透明であり、95%~99.5%の開口を有する。微小パターンはまた、電気的に絶縁した導電体堆積物を含む。可視光透明感知領域内に位置するセンサの5ミリメートル×5ミリメートルの正方形区域全体に関し、この区域のいずれも、区域全体の平均から50%超異なる遮蔽面積率を有さない。
【0105】
別の例示的なタッチスクリーンセンサは、可視光透明基材と、可視光透明基材の上又は中に配置される導電性微小パターンと、を含む。微小パターンは、接触感知領域内に第1区域微小パターンを含む。第1区域微小パターンは、0.5~5マイクロメートルの幅を有する、金属の線形導電性構造を含む。第1区域微小パターンは、可視光透明であり、95%~99.5%の開口を有する。第1区域微小パターンの1ミリメートル×1ミリメートルの正方形区域全体に関し、この正方形区域のいずれも、正方形区域全体の平均から75%超異なる遮蔽面積率を有さない。一実施形態では、第1区域微小パターンはまた、電気的に絶縁された導電体堆積物を含む。一実施形態では、金属の線形導電性構造は、500ナノメートル未満の厚さを有する。一実施形態では、第1区域微小パターンは、第1の方向において5~100Ω/メートルの第1シート抵抗値を有する。
【0106】
別の例示的なタッチスクリーンセンサは、可視光透明基材と、可視光透明基材の上又は中に配置される導電性微小パターンと、を含む。微小パターンは、接触感知領域内に第1区域微小パターンを含む。第1区域微小パターンは、0.5~5マイクロメートルの幅を有する、金属の線形導電性構造を含む。第1区域微小パターンは、可視光透明であり、95%~99.5%の開口を有する。第1区域微小パターンの5ミリメートル×5ミリメートルの正方形区域全体に関し、この正方形区域のいずれも、正方形区域全体の平均から50%超異なる遮蔽面積率を有さない。一実施形態では、金属の線形導電性構造は、500ナノメートル未満の厚さを有する。一実施形態では、第1区域微小パターンはまた、電気的に絶縁された導電体堆積物を含む。
【0107】
別の例示的なタッチスクリーンセンサは、可視光透明基材と、可視光透明基材の上又は中に配置される導電性微小パターンと、を含む。微小パターンは、接触感知領域内に第1区域微小パターンを含む。導電性微小パターンは、500ナノメートル未満の厚さ、及び0.5~5マイクロメートルの幅を有する、金属の線形導電性構造を含む。第1区域微小パターンは、第1の方向において5~100Ω/スクエアの第1シート抵抗値を有し、可視光透明であり、95%~99.5%の開口を有する。微小パターンはまた、電気的に絶縁した導電体堆積物を含む。可視光透明感知領域内に位置するセンサの1ミリメートル×1ミリメートルの正方形区域全体に関し、この区域のいずれも、区域全体の平均から75%超異なる遮蔽面積率を有さない。
【0108】
別の例示的なタッチスクリーンセンサは、可視光透明基材と、可視光透明基材の上又は中に配置される導電性微小パターンと、を含む。微小パターンは、接触感知領域内に第1区域微小パターンを含む。導電性微小パターンは、500ナノメートル未満の厚さ、及び0.5~5マイクロメートルの幅を有する、金属の線形導電性構造を含む。第1区域微小パターンは、第1の方向において5~100Ω/スクエアの第1シート抵抗値を有し、可視光透明であり、95%~99.5%の開口を有する。微小パターンはまた、電気的に絶縁した導電体堆積物を含む。可視光透明感知領域内に位置するセンサの5ミリメートル×5ミリメートルの正方形区域全体に関し、この区域のいずれも、区域全体の平均から50%超異なる遮蔽面積率を有さない。
【0109】
別の例示的なタッチスクリーンセンサは、可視光透明基材と、可視光透明基材の上又は中に配置される導電性微小パターンと、を含む。微小パターンは、接触感知領域内の第1区域微小パターン、及び第2区域微小パターンを含む。導電性微小パターンは、500ナノメートル未満の厚さ、及び0.5~5マイクロメートルの幅を有する、金属の線形導電性構造を含む。第1区域微小パターンは、第1の方向において5~500Ω/スクエアの第1シート抵抗値を有し、可視光透明であり、95%~99.5%の開口を有する。第2区域微小パターンは、第1の方向において、第2シート抵抗値を有し、これは、第1シート抵抗値とは異なる。センサはまた、可視光透明基材の上又は中に配置される、より大きな導電性構造を含み、より大きな構造は、微小パターン中に含まれるのと同じ材料及び厚さで、最小寸法において少なくとも25マイクロメートルである、連続的な導電性堆積物を含む。
【0110】
別の例示的なタッチスクリーンセンサは、可視光透明基材と、可視光透明基材の上又は中に配置される導電性微小パターンと、を含む。微小パターンは、接触感知領域内に第1区域微小パターンを含む。導電性微小パターンは、500ナノメートル未満の厚さ、及び0.5~5マイクロメートルの幅を有する、金属の線形導電性構造を含む。第1区域微小パターンは、直交方向において、少なくとも1.5倍のシート抵抗値の差を有する異方性第1シート抵抗を有し、可視光透明であり、95%~99.5%の開口を有する。センサはまた、可視光透明基材の上又は中に配置される、より大きな導電性構造構造を含み、より大きな構造は、微小パターン中に含まれるのと同じ材料及び厚さで、最小寸法において少なくとも25マイクロメートルである、連続的な導電性堆積物を含む。
【0111】
別の例示的なタッチスクリーンセンサは、可視光透明基材と、可視光透明基材の上又は中に配置される導電性微小パターンと、を含む。微小パターンは、接触感知領域内の第1区域微小パターン、及び第2区域微小パターンを含む。導電性微小パターンは、500ナノメートル未満の厚さ、及び0.5~5マイクロメートルの幅を有する、金属の線形導電性構造を含む。第1区域微小パターンは、第1の方向において5~500Ω/スクエアの第1シート抵抗値を有し、可視光透明であり、95%~99.5%の開口を有する。第2区域微小パターンは、第1の方向において、第2シート抵抗値を有し、これは、第1シート抵抗値とは異なる。センサはまた、可視光透明基材の上又は中に配置される、より大きな導電性構造を含み、より大きな構造は、微小パターン中に含まれるのと同じ材料及び厚さで、最小寸法において少なくとも500マイクロメートルである、連続的な導電性堆積物を含む。
【0112】
別の例示的なタッチスクリーンセンサは、可視光透明基材と、可視光透明基材の上又は中に配置される導電性微小パターンと、を含む。微小パターンは、接触感知領域内に第1区域微小パターンを含む。導電性微小パターンは、500ナノメートル未満の厚さ、及び0.5~5マイクロメートルの幅を有する、金属の線形導電性構造を含む。第1区域微小パターンは、直交方向において、少なくとも1.5倍のシート抵抗値の差を有する異方性第1シート抵抗を有し、可視光透明であり、95%~99.5%の開口を有する。センサはまた、可視光透明基材の上又は中に配置される、より大きな導電性構造を含み、より大きな構造は、微小パターン中に含まれるのと同じ材料及び厚さで、最小寸法において少なくとも500マイクロメートルである、連続的な導電性堆積物を含む。
【0113】
別の例示的なタッチスクリーンセンサは、可視光透明基材と、可視光透明基材の上又は中に配置される導電性微小パターンと、を含む。微小パターンは、接触感知領域内に第1区域微小パターンを含む。第1区域微小パターンは、0.5~10マイクロメートルの幅を有する導電配線を含む。第1区域微小パターンは、可視光透明であり、90%~99.95%の開口、好ましくは95~99.95%の開口、及びより好ましくは、97%~98%の開口を有する。第1区域微小パターンの5ミリメートル×5ミリメートルの正方形区域全体に関し、この正方形区域のいずれも、正方形区域全体の平均から75%超異なる、好ましくは50%超異なる、より好ましくは25%超異なる、及び最も好ましくは10%超異なる遮蔽面積率を有さない。一実施形態では、第1区域微小パターンは、0.5~5マイクロメートル、好ましくは1~3マイクロメートルの幅を有する導電配線を含む。
【0114】
別の例示的なタッチスクリーンセンサは、可視光透明基材と、可視光透明基材の上又は中に配置される導電性微小パターンと、を含む。微小パターンは、接触感知領域内に第1区域微小パターンを含む。第1区域微小パターンは、1~10マイクロメートルの幅を有する導電配線を含む。第1区域微小パターンは、可視光透明であり、90%~99.5%の開口を有する。第1区域微小パターンは、本来ならば連続的かつ一様なメッシュ内の導電配線において、選択的な断絶部を含む。
【0115】
別の例示的なタッチスクリーンセンサは、可視光透明基材と、可視光透明基材の上又は中に配置される導電性微小パターンと、を含む。微小パターンは、接触感知領域内に第1区域微小パターンを含む。第1区域微小パターンは、マイクロメートルの単位で約[X+0.5]の導電配線幅、及び[95-X]%~99.5%の開口率(0≦X≦4.5)を有する。一実施形態では、第1区域微小パターン内のタッチスクリーンセンサは、10%未満のヘイズ値、及び75%超の透過率を呈する。別の実施形態では、第1区域微小パターン内のタッチスクリーンセンサは、5%未満のヘイズ値、及び85%超の透過率を呈する。一実施形態では、第1区域微小パターンは、約[98.5-(2.5X÷3.5)]%、及び[99.5-(X÷3.5)]%(0≦X≦3.5)の幅を有する導電配線を含む。
【0116】
別の例示的なタッチスクリーンセンサは、可視光透明基材と、可視光透明基材の上又は中に配置される導電性微小パターンと、を含む。微小パターンは、接触感知領域内に第1区域微小パターンを含む。第1区域微小パターンは、4mmの間隔で離れ、約9.6μmの幅を有する平行な導電配線を含み、99.75%の開口率を生じる。微小複製された電極のこの実施形態は、中心間が0.5mm~約5mmの間隔で分離している、約4μm~10μmの幅を有する平行な導電体を含む。導電体は、長さ方向でPET基材のウェブに形成されてもよく、導電体の長さは1mを超えてもよい。隣接する導電体の群は、電気的に相互接続されて、例えば、
図8及び
図9に関して記載されるプロセスを使用して、1mm~12mmの合計幅を有する電極を形成してもよい。例えば、同時係属の米国特許出願公開第20070074914号に開示されるように、隣接する電極の導電体は、電極が交互配置されるように、相互接続されてもよい。
【実施例】
【0117】
以下に、代表的なタッチスクリーンセンサの構造について記載する。これらは、例えば、米国特許第5,126,007号、又は同第5,492,611号に記載されるように、既知のフォトリソグラフィー法を使用して作製され得る。導電体は、当該技術分野において既知である物理蒸着法、例えば、スパッタリング又は蒸着を使用して堆積され得る。特に指定されない限り、以下の実施例は、マイクロコンタクト印刷技術(上記の技術、及び同時係属の米国特許出願第61/032,273号参照)によってパターン化される導電体を含む。本明細書において例示される各導電パターンは、当該技術分野において既知であるように(例えば、米国特許第4,087,625号、同第5,386,219号、同第6,297,811号、国際特許公開第2005/121940 A2号)、デコード回路に接続された場合に、透明タッチスクリーンセンサとして有用である。
【0118】
(実施例1)
以下の記載による金薄膜の微小パターンが、無色のガラスの薄いシート(およそ1ミリメートルの厚さ)上に堆積される。微小パターン240が、
図11及び
図12に描かれている。金層の厚さ又は高さは、約100ナノメートルである。マイクロパターン240は、水平の細い配線242を含む一連の水平(x軸)メッシュバー241を伴い、配線242は、幅がおよそ2マイクロメートルである。これらの水平メッシュ配線242の4本が、より大きな構造の接触パッド260と電気通信している。メッシュバーは、およそ6ミリメートルの幅である。したがって、13本の等間隔な配線244が、6ミリメートルの幅(y軸)を横断し、13本の等間隔な配線242が6ミリメートルの長さ(x軸)を横断し、配線の正方形グリッドのピッチは500マイクロメートルである。
図12に描かれているように、いくつかの配線は、およそ25マイクロメートル(場所の特定の容易化のために、図では誇張されている)の断絶部250を有する。500マイクロメートルピッチにおける、2マイクロメートル幅の不透明配線を有する正方形グリッドでは、不透明配線の空間占有率は、0.80%であり、したがって、99.20%の開口をもたらす。同じ正方形グリッドであるが、500マイクロメートル毎に25マイクロメートルの断絶部を有するものでは、空間占有率は0.78%であり、したがって、99.22%の開口をもたらす。したがって、この構造は、99.22%の開口を有する1mm×6mm区域、及び99.20%の開口を有する6mm×6mm区域を含む。メッシュを有するガラス物品の平均可視透過率は、およそ0.92×0.992=91%である(0.92という係数は、パターンの導電体が堆積されていない領域における光透過率の界面反射損失に関連する)。水平バー方向に沿って、4本の金の配線によって互いに接続された、一連の完全なグリッド区域が存在する。スパッタ金薄膜に関し、5E-06Ωcmの実効バルク抵抗値を想定すると、2マイクロメートル幅、500マイクロメートル長の金薄膜の区分は、およそ125Ωの抵抗率を有する。完成したグリッドを有する区域は、バーの方向に電流が流れるために、およそ115Ω/スクエアの有効シート抵抗を有する。完成したグリッドを有する区域を接続する4本の配線は、区域間において、およそ62.5Ωの抵抗を生じる。導電配線要素の上記の配置は、
図13にプロットされるように、バー方向に沿って、空間的に異なる単位長さ当たりの抵抗を生じる。
図14は、水平メッシュバーの配列の、同等の回路を例示する。回路は、抵抗によって接続される、一連のプレートを有する。
【0119】
(実施例2)
以下の記載による金薄膜の微小パターンが、無色のガラスの薄いシート(およそ1ミリメートルの厚さ)上に堆積される。微小パターン340が、
図15に描かれている。金の厚さは、約100ナノメートルである。微小パターン340は、一連の交互配置された楔形又は三角形の形状の透明導電性区域を有する。各楔形は、細い金属の配線342、344で作製されるメッシュからなり、配線342、344(
図15a~15c参照)は、およそ2マイクロメートルの幅である。メッシュの楔形は、その底辺においておよそ1センチメートルの幅であり、長さはおよそ6センチメートルである。配線342、344の正方形グリッドのピッチは、500マイクロメートルである。楔形内のメッシュの選択される区域(
図15a~
図15b参照)内において、およそ25マイクロメートル長の断絶部350が、楔形内の局部的シート抵抗(その長軸に沿って通過する電流のため)に影響を与えるように、意図的に設置される。
図15a及び
図15bに描かれているように、区域15a、及び15b(
図15では、区域はおよそ1センチメートルで分離している)、断絶部350は、長軸方向において、シート抵抗を1.2倍超増加させるメッシュに含まれる。全体的な構造はまた、区域15c(
図15cに描かれている)を含み、これは、区域15a及び15bから、電気的に絶縁され、離間しており、また区域15a及び15bのものよりも低いシート抵抗値のメッシュを有する。メッシュ区域15cは、99.20%の開口を有し、一方でメッシュ区域15a及び15bは、それぞれ、99.20%及び99.21%の開口率を有する。全体的な構造はまた、区域15a、15b、及び15cよりも大きなピッチのメッシュを有するが、同じ幅の配線を有する、区域15d及び15e(
図15d及び15eに描かれている)を含み、より高いシート抵抗及び可視光透過率をもたらす。
【0120】
図16は、上記のメッシュ特性の設計の、楔形に沿った抵抗の勾配への影響を、同じ形状の区域での標準的なITOコーティングの使用と比較して例示している。全体的な構造はまた、パターンの左側及び右側に沿った導電性リードの形態の、より大きな導電構造を含み、リードはおよそ1ミリメートル幅であり、およそ100ナノメートルの厚さの薄膜金からパターン化されている。
【0121】
(実施例3)
タッチスクリーンセンサのための透明センサ素子400が、
図17に例示される。センサ素子400は、互いに積層され、明確にするために
図17では分離されて描かれている、パターン化された2つの導電層410、414(例えば、X軸層、及びY軸層)、光学的に透明な2つの接着剤層412、416、及び基部プレート418を含む。層410及び414は、透明導電メッシュバーを含み、ここで一方の層はx軸方向に配向され、他方の層はy軸方向に配向されている(
図2参照)。基部プレート418は、面積が6センチメートル×6センチメートル、厚さが1ミリメートルのガラスのシートである。好適な、光学的に透明な接着剤は、ミネソタ州セントポールの 3M Company 製の、Optically Clear Laminating Adhesive 8141 である。X層及びY層のそれぞれに関し、金属の微小パターンを有する透明なポリマーフィルムが使用される。以下の記載による金薄膜の微小パターンが、PETの薄いシート上に堆積される。好適なPET基材としては、厚さおよそ125マイクロメートルの、デラウェア州ウィルミントンの DuPont 製の ST504 PET が挙げられる。
【0122】
微小パターン440は、
図18及び
図19に描かれている。金の厚さは、約100ナノメートルである。微小パターンは、一連の平行メッシュバー442の形態の、透明導電性区域を有する。基部プレートへの指接触の容量検出のための、電子装置への接続のための、正方形パッド460(面積がおよそ2ミリメートル×2ミリメートルであり、およそ100ナノメートルの厚さの金薄膜の形態の連続的な導電体を含む)で終端するメッシュバーに加え、電子装置から電気的に絶縁されたメッシュバー441が存在する。絶縁されたメッシュバー441は、センサ全体にわたる光学的均一性を維持するように機能する。各バーは、細い金属の配線443で形成されるメッシュからなり、配線443は幅がおよそ5マイクロメートルである。メッシュバーはそれぞれ、幅がおよそ2ミリメートル、長さが66ミリメートルである。各メッシュバー内には、幅がおよそ0.667ミリメートル、長さが12ミリメートルの矩形セルがある。このメッシュ構造は、各メッシュバーの長軸配線の間の結合を提供し、長軸配線に何らかの開回路異常がある場合に、メッシュバーに沿った電気的導通を維持するように機能する。しかしながら、このような結合を有する0.667ミリメートルピッチの正方形メッシュの使用とは対照的に、
図18及び
図19の矩形メッシュは、メッシュバーに沿ったシート抵抗を光学的透過性と、より最適にトレードオフする。より具体的には、
図18及び
図19に描かれているメッシュバー、並びに0.667ミリメートルピッチを有する正方形メッシュを含む2ミリメートル幅のメッシュバーは、双方とも、メッシュバーの長軸に沿って本質的に同じシート抵抗(およそ50Ω/スクエア)を有するが、正方形グリッドは、透明導電性区域の面積の1.5%を塞ぎ、
図18及び
図19に描かれているメッシュは、透明導電性区域の面積の0.8%のみを塞ぐ。
【0123】
(実施例4)
タッチスクリーンセンサのための透明センサ素子が記載される。
図17に描かれているように、センサ素子は、パターン化された2つの導電層、光学的に透明な2つの接着剤層、及び基部プレートを含む。基部プレートは、
図17に描かれるように互いに積層される、面積が6センチメートル×6センチメートル、かつ厚さが1ミリメートルである、ガラスのシートである。好適な、光学的に透明な接着剤は、3M Company 製の、Optically Clear Laminating Adhesive 8141 である。X層及びY層のそれぞれに関し、金属の微小パターンを有する透明なポリマーフィルムが使用される。以下の記載による金薄膜の微小パターンが、PETの薄いシート上に堆積される。好適なPET基材としては、厚さおよそ125マイクロメートルの、DuPont 製の ST504 PET が挙げられる。
【0124】
微小パターン540が、
図20及び
図21に描かれている。金の厚さは、100ナノメートルである。微小パターン540は、一連の平行メッシュバー542の形態の、透明導電性区域を有する。基部プレートへの指接触の容量検出のための、電子装置への接続のための、正方形パッド560で終端するメッシュバー542に加え、電子装置から電気的に絶縁された直線区分541が存在する。直線区分541は、メッシュバー542の間の区域に存在し、
図13に描かれているように、およそ25マイクロメートルの断絶部550を除いてはメッシュバーと本質的に同じ形状を有する。絶縁された線区分541は、センサ全体にわたる光学的均一性を維持するように機能する。各バー542は、細い金属の配線で作製されるメッシュからなり、配線は幅がおよそ5マイクロメートルである。メッシュバー542はそれぞれ、幅がおよそ2ミリメートル、長さが66ミリメートルである。各メッシュバー542内には、幅がおよそ0.667ミリメートル、長さが12ミリメートルの矩形セルがある。
図12及び
図13に描かれているメッシュ542は、透明導電性区域内のその面積の0.8%を塞ぐ。
図12及び
図13に描かれている、絶縁した線区分541も、これらがメッシュバー542の間に占める区域内の面積の0.8%を塞ぐ。
【0125】
(実施例5)
タッチスクリーンセンサのための透明センサ素子が記載される。
図17に描かれているように、センサ素子は、パターン化された2つの導電層、光学的に透明な2つの接着剤層、及び基部プレートを含む。基部プレートは、
図17に描かれるように互いに積層される、面積が6センチメートル×6センチメートル、かつ厚さが1ミリメートルである、ガラスのシートである。好適な、光学的に透明な接着剤は、3M Company 製の、Optically Clear Laminating Adhesive 8141 である。X層及びY層のそれぞれに関し、金属の微小パターンを有する透明なポリマーフィルムが使用される。以下の記載による金薄膜の微小パターンが、PETの薄いシート上に堆積される。好適なPET基材としては、厚さおよそ125マイクロメートルの、DuPont 製の ST504 PET が挙げられる。
【0126】
微小パターン640が、
図22及び
図23に描かれている。金の厚さは、約100ナノメートルである。微小パターン640は、一連の平行メッシュバー642の形態の、透明導電性区域を有する。基部プレートへの指接触の容量検出のための、電子装置への接続のための、正方形パッド660で終端するメッシュバー642に加え、電子装置から電気的に絶縁された直線区分641が存在する。直線区分641は、メッシュバーの間の区域に位置し、メッシュバーの線区分と同様の形状を有する。電気的に絶縁された線区分641は、センサ全体にわたる光学的均一性を維持するように機能する。各バー641、642は、細い金属の配線からなり、配線は幅がおよそ3マイクロメートルである。メッシュバー642はそれぞれ、幅がおよそ2ミリメートル、長さが66ミリメートルである。各メッシュ内において、バー642はランダムな形状のセルを含む。
図22及び
図23に描かれているメッシュ642は、透明導電性区域内のその面積の5%未満を塞ぐ。
図22及び
図23に描かれている、絶縁した線区分641も、これらがメッシュバーの間に占める区域内の面積の5%未満を塞ぐ。
【0127】
金属化ポリマーフィルム基材の調製(実施例6~40)
ポリマーフィルム基材が提供された(ポリエチレンテレフタレート(PET)(ST504、デラウェア州ウィルミントンの E.I. DuPont de Nemours and Company))。ST504 PET フィルムの光学的特性が、Haze-Gard によって決定された。ヘイズ及び透過率は、それぞれ、およそ0.67%及び92.9%であった。
【0128】
いくつかの基材フィルムは金でコーティングされ、いくつかは銀でコーティングされた。金コーティングされた基材が、熱蒸着によって調製された(DV-502A、ニュージャージー州モーアズタウン(Moorestown)の Denton Vacuum)。金コーティングされた基材に関し、基材表面が最初に20オングストロームのクロムでコーティングされ、次に100ナノメートルの金でコーティングされた。銀コーティングされた基材の場合、2つの異なる方法が使用された。銀コーティングされたいくつかの基材は、共に熱蒸着で調製され(DV-502A、ニュージャージー州モーアズタウン(Moorestown)の Denton Vacuum)、いくつかは、スパッタリング(3M)によって調製された。基材表面は、全ての場合において、100ナノメートルの銀でコーティングされた。
【0129】
スタンプ製作
エラストマースタンプを成形するための、2つの異なるマスターツールが、フォトリソグラフィーを使用して、10センチメートル直径シリコンウエファー上にフォトレジスト(Shipley1818、ペンシルバニア州フィラデルフィアの Rohm and Haas Company)のパターンを調製することによって、製造された。異なるマスターツールは、本明細書において「六角形(Hex)」及び「正方形」と称される、2つの異なるメッシュ形状に基づいていた。六角形とは、規則的な六角形の形状を有する囲まれた領域を画定する線のネットワークを含むパターンを指す。正方形とは、正方形の形状を有する囲まれた領域を画定する線のネットワークを含むパターンを指す。エラストマースタンプは、未硬化ポリジメチルシロキサン(PDMS、Sylgard(商標)184、ミシガン州ミッドランドの Dow Corning)をツールにおよそ3.0ミリメートルの厚さまで注ぐことによって、マスターツールに対して成形された。マスターと接触している未硬化シリコーンは、真空に曝露することによって脱気され、その後70℃で2時間にわたって硬化された。マスターツールから剥いだ後、PDMSスタンプには、およそ1.8マイクロメートルの高さで隆起した形状を含むレリーフパターンが付与された。六角形メッシュ及び正方形メッシュスタンプの両方に関して、隆起した構造は、上記の対応するメッシュ形状を画定する線であった。
【0130】
インク付け
スタンプは、その裏側(レリーフパターンのない平坦な表面)を、エタノール中のオクタデシルチオール(「ODT」O0005、マサチューセッツ州ウェルズリーヒルズ(Wellesley Hills)の TCI AMERICA)の溶液に20時間接触させることによってインクを付された。10mMのODT溶液が正方形メッシュパターンのスタンプに使用され、5mMのODT溶液が、六角形メッシュパターンのスタンプに使用された。
【0131】
スタンピング
金属化ポリマーフィルム基材が、上記のインクを付されたスタンプでスタンピングされた。スタンピングでは、最初にフィルムサンプルの縁部をスタンプ表面に接触させ、次に直径およそ3.0センチメートルのフォームローラーを使用して、フィルムをローラーでスタンプ全体に接触させることにより、金属化されたフィルムを、上を向いたスタンプのレリーフパターン化された表面に接触させた。ローリング工程が、実行に要したのは1秒未満だった。ローリング工程の後に、基材をスタンプと10秒間接触させた。次に、基材がスタンプから剥がされ、工程に要したのは1秒未満だった。
【0132】
エッチング
スタンピングの後、印刷されたパターンを有する金属化フィルム基材が、選択的エッチング及び金属パターン化のために、エッチング溶液に浸漬された。金薄膜を有する印刷された金属化フィルム基材に関し、エッチング液は、1グラムのチオ尿素(T8656、ミズーリ州セントルイスの Sigma-Aldrich)、0.54ミリリットルの濃縮塩化水素酸(HX0603-75、ニュージャージー州ギブズタウンの EMD Chemicals)、0.5ミリリットルの過酸化水素(30%、5240-05、ニュージャージー州フィリップスバーグの Mallinckrodt Baker)、及び21グラムの脱イオン水を含んでいた。金薄膜をパターン化するために、印刷された金属化フィルム基材が、エッチング溶液に50秒間浸漬された。銀薄膜を有する印刷された金属化フィルム基材に関し、エッチング液は、0.45グラムのチオ尿素(T8656、ミズーリ州セントルイスの Sigma-Aldrich)、1.64グラムの硝酸第二鉄(216828、ミズーリ州セントルイスの Sigma-Aldrich)、及び200ミリリットルの脱イオン水を含んでいた。銀薄膜をパターン化するために、印刷された金属化フィルム基材が、エッチング溶液に3分間浸漬された。金をパターンエッチングした後、2.5グラムの過マンガン酸カリウム(PX1551-1、ニュージャージー州ギブズタウンの EMD Chemicals)、4グラムの水酸化カリウム(484016、ミズーリ州セントルイスの Sigma-Aldrich)及び100ミリリットルの脱イオン水の溶液を使用して、残留クロムがエッチングされた。
【0133】
特性評価
選択的エッチング及び金属パターン化の後、金属パターンは、光学顕微鏡(DS-Fi1デジタルカメラ及び NIS-Elements D ソフトウェアを装備した Model ECLIPSE LV100D、ニューヨーク州メルビルのNikon)、走査型電子顕微鏡(SEM、Model JSM-6400、日本、東京のJEOL Ltd)、及びHaze-Gard(Haze-Gard plus、メリーランド州コロンビアの BYK Gardner)を使用して特性評価された。金属パターンの線構造の幅を決定するために顕微鏡技術が使用された。メッシュグリッドコーティングフィルムの透過率及びヘイズを決定するために、Haze-Gard が使用された。Haze-Gard測定は、パターン化されたフィルムを光学的に透明な接着剤(3M製品)でガラス上に積層した後に行われた。金属パターンの線構造の可視性の度合いを表すために、高、中、低の可視率が与えられた(人の裸眼による観察)。
【0134】
(実施例6)
金薄膜の六角形メッシュグリッドパターンが、上記の手順に従って作製及び特性評価された。インク溶液は、5mMの濃度でエタノールに溶解したオクタデシルチオールを含んでいた。インク溶液を、スタンプの裏側に20時間接触させた。スタンピング時間は10秒間であった。
図1は、完成した金薄膜微小パターンから記録されたSEM顕微鏡写真を示す。実際の線幅はおよそ1.63マイクロメートルであった。開口の割合が、測定された線幅、及び設計された縁部間の幅400マイクロメートルに基づいて再計算され、これは99.2%であった。金六角形メッシュグリッドコーティングフィルムの光学的特性は、Haze-Gard によって決定された。ヘイズ及び透過率は、それぞれ、およそ1.14%及び91.6%であった。線幅1.63マイクロメートル、及び縁部間の幅400マイクロメートルを有する金六角形メッシュパターンは容易に見ることができるため、この実施例には、高い可視性が与えられた。
【0135】
(実施例7~15)
金薄膜の六角形メッシュグリッドパターンが、実施例1に記載される手順に従って、作製及び特性評価された。各実施例の実際の線幅は、SEMを使用して測定され、表1に記載された。次に、開口の割合が、実際の線幅、及び設計された縁部間の幅に基づいて再計算され、表1に記載された。表1はまた、Haze-Gard によって測定された、各実施例のヘイズ値及び透過率値、並びに各実施例に与えられた可視率を示す。
【0136】
(実施例16)
金薄膜の正方形メッシュグリッドパターンが、上記の手順に従って作製及び特性評価された。インク溶液は、10mMの濃度でエタノールに溶解したオクタデシルチオールを含んでいた。インク溶液を、スタンプの裏側に20時間接触させた。スタンピング時間は10秒間であった。光学顕微鏡を使用すると、実際の線幅はおよそ4.73マイクロメートルであった。開口の割合は、測定された線幅及び設計されたピッチ320マイクロメートルに基づいて再計算され、これは97.0%であった。金の正方形メッシュグリッドコーティングフィルムの光学的特性は、Haze-Gard によって決定された。ヘイズ及び透過率は、それぞれ、およそ1.58%及び88.6%であった。線幅4.73マイクロメートル、及びピッチ320マイクロメートルを有する金正方形メッシュパターンは容易に見ることができるため、この実施例には、高い可視性が与えられた。
【0137】
(実施例17~23)
金薄膜の正方形メッシュグリッドパターンが、実施例11に記載される手順に従って、作製及び特性評価された。各実施例の実際の線幅は、光学顕微鏡を使用して測定され、表1に記載された。次に、開口の割合が、実際の線幅、及び設計されたピッチに基づいて再計算され、表1に記載された。表1はまた、Haze-Gard によって測定された、各実施例のヘイズ値及び透過率値、並びに各実施例に与えられた可視率を示す。
【0138】
(実施例24)
銀薄膜の六角形メッシュグリッドパターンが、上記の手順に従って作製及び特性評価された。銀コーティングされた基材は、スパッタリングによって調製された。インク溶液は、5mMの濃度でエタノールに溶解したオクタデシルチオールを含んでいた。インク溶液を、スタンプの裏側に20時間接触させた。スタンピング時間は10秒間であった。
図2は、完成した銀薄膜微小パターンから記録されたSEM顕微鏡写真を示す。実際の線幅はおよそ2.43マイクロメートルであった。開口の割合が、測定された線幅、及び設計された縁部間の幅600マイクロメートルに基づいて再計算され、これは99.2%であった。金六角形メッシュグリッドコーティングフィルムの光学的特性は、Haze-Gard によって決定された。ヘイズ及び透過率は、それぞれ、およそ1.19%及び91.8%であった。線幅2.43マイクロメートル、及び縁部間の幅600マイクロメートルを有する銀六角形メッシュパターンは容易に見ることができるため、この実施例には、高い可視性が与えられた。
【0139】
(実施例25~32)
銀薄膜の六角形メッシュグリッドパターンが、実施例19に記載される手順に従って、作製及び特性評価された。各実施例の実際の線幅は、SEMを使用して測定され、表1に記載された。次に、開口の割合が、実際の線幅、及び設計された縁部間の幅に基づいて再計算され、表1に記載された。表1はまた、Haze-Gard によって測定された、各実施例のヘイズ値及び透過率値、並びに各実施例に与えられた可視率を示す。
【0140】
(実施例33)
銀薄膜の正方形メッシュグリッドパターンが、上記の手順に従って作製及び特性評価された。銀コーティングされた基材が、熱蒸着によって調製された。インク溶液は、10mMの濃度でエタノールに溶解したオクタデシルチオールを含んでいた。インク溶液を、スタンプの裏側に20時間接触させた。スタンピング時間は10秒間であった。光学顕微鏡を使用し、実際の線幅はおよそ5.9マイクロメートルであった。開口の割合が、測定された線幅、及び設計されたピッチ320マイクロメートルに基づいて再計算され、これは96.3%であった。銀正方形メッシュグリッドコーティングフィルムの光学的特性は、Haze-Gard によって決定された。ヘイズ及び透過率は、それぞれ、およそ1.77%及び88.9%であった。線幅5.9マイクロメートル、及びピッチ320マイクロメートルを有する銀正方形メッシュパターンは容易に見ることができるため、この実施例には、高い可視性が与えられた。
【0141】
(実施例34~40)
銀薄膜の正方形メッシュグリッドパターンが、実施例28に記載される手順に従って、作製及び特性評価された。各実施例の実際の線幅は、光学顕微鏡を使用して測定され、表1に記載された。次に、開口の割合が、実際の線幅、及び設計されたピッチに基づいて再計算され、表1に記載された。表1はまた、Haze-Gard によって測定された、各実施例のヘイズ値及び透過率値、並びに各実施例に与えられた可視率を示す。
【0142】
【0143】
(実施例41)
同一出願人による米国特許仮出願第61/032,273号に記載されるマイクロコンタクト印刷及びエッチングを使用して、透明センサ素子が製作され、
図27、
図28、及び
図29に概して示されるタッチセンサ駆動装置と組み合わされた装置は次に、ディスプレイと接続されたコンピューター処理ユニットと一体化されて、装置を試験した。装置は、複数の、単独の及び又は同時の指接触の位置を検出することができ、これは、ディスプレイに図形的に示された。この実施例は、マイクロコンタクト印刷及びエッチング技術(同時係属米国特許出願第61/032,273参照)を使用して、タッチセンサで使用される微小導電体パターンを形成した。
【0144】
透明センサ素子の形成
第1のパターン化された基材
厚さ125マイクロメートル(μm)を有するポリエチレンテレフタレート(PET)から作製される第1の可視光基材が、熱蒸着コーターを使用して、100nm銀薄膜で蒸気コーティングされて、第1の銀金属化フィルムを生成した。PETは、デラウェア州ウィルミントンのE.I. du Pont de Nemours から、製品番号 ST504 として市販されていた。銀は、ウィスコンシン州ミルウォーキーの Cerac Inc. から、99.99%純度の3mmショットとして市販されていた。
【0145】
PDMSと称され、3mmの厚さを有する、製品番号 Sylgard184(ミシガン州ミッドランドの Dow Chemical Co.)として市販されている、第1ポリ(ジメチルシロキサン)スタンプが、標準的なフォトリソグラフィー技術を使用して、予めパターン化された直径10cmのシリコンウエファー(場合によって、当該産業分野では「マスター」と称される)に対して成形された。PDMSは、65℃で2時間にわたって、シリコンウエファー上で硬化された。その後、PDMSがウエファーから剥離されて、隆起した構造のパターンを有する2つの異なる低密度区域、第1の連続的な六角形メッシュパターン、及び第2の非連続的な六角形メッシュパターンを有する第1スタンプを得た。即ち、隆起した構造は、縁部を共有する六角形の縁部を画定する。非連続的な六角形とは、線区分に選択的な断絶部を含むものである。この選択的な断絶部は、10μm未満の長さを有していた。断絶部が設計され、およそ5μmとされた。それらの可視性を低減するために、好ましくは、断絶部は、10μm未満、より好ましくは5μm以下、例えば、1~5μmであるべきであることがわかった。各隆起した六角形の外形パターンは、2μmの高さ、1%~3%の面積被覆(97%~99%の開口に対応する)、及び幅2~3μmの線区分を有していた。第1スタンプはまた、500μm幅の配線を画定する隆起した構造を含んだ。第1スタンプは、六角形メッシュパターン区域及び配線を有する第1の構造面、並びに反対の第2の実質的に平坦な面を有する。
【0146】
スタンプは、直径2mmのガラスビーズを含むガラスペトリ皿の中に、構造面を上にして配置された。したがって、第2の実質的に平坦な面は、ガラスビーズと直接接触した。ビーズは、皿の底部からスタンプを持ち上げるように機能し、以下のインク溶液が、スタンプの平坦な面の本質的に全体に接触することを可能にした。エタノール中の1-オクタデカンチオール(オレゴン州ポートランドの TCI America から市販されている、製品番号 C18H3CS、97%)の10ミリモルインク溶液が、ペトリ皿の中でスタンプの下にピペットで注入された。インク溶液は、スタンプの第2の実質的に平坦な面と直接接触した。インクがスタンプに広がる十分なインク付け時間(例えば、3時間)の後、第1スタンプは、ペトリ皿から取り除かれた。インクを付けたスタンプが、作業表面上に、構造面を上にして配置された。第1銀金属化フィルムが、手持ち式ローラーを使用して、銀フィルムが構造表面と直接接触するようにして、インクを付したばかりのスタンプの構造表面へと適用された。金属化フィルムは、インクを付したスタンプ上に15秒間維持された。次に第1の金属化フィルムは、インクを付したスタンプから取り除かれた。取り除かれたフィルムは、(i)0.030モルのチオ尿素(製品番号T8656、ミズーリ州セントルイスの Sigma-Aldrich)及び(ii)0.020モルの硝酸第2鉄(製品番号216828、Sigma-Aldrich)を脱イオン水の中に含有する、銀エッチング溶液内に3分間配置された。エッチング工程の後、生じた第1基材が脱イオン水ですすがれ、窒素ガスで乾燥されて、第1のパターン化された表面が生じた。インクを付したスタンプが、第1金属化基材の銀と接触した場所では、銀はエッチング後に残った。したがって、インクを付したスタンプと銀フィルムとの間で接触がなかった場所からは、銀が取り除かれた。
【0147】
図27、
図27a、
図27bは、基材の第1の面(これはエッチングされパターン化された銀の金属化フィルムを含む面である)上で、複数の第1の非連続的な区域704の間に交互に並ぶ複数の第1の連続的な区域702を有する、第1のパターン化された基材700を示す。基材は、実質的に裸のPETフィルムである、反対側の第2面を有する。第1区域702のそれぞれには、一方の端部に、対応する500μm幅の導電配線706が配置されている。
図27aは、六角形メッシュ構造を形成する複数の連続的な線を有する第1区域702の分解図を示す。
図27bは、非連続的な六角形メッシュ構造を形成する複数の非連続的な線(各六角形における選択的な断絶部として示される)を有する第1の非連続的な区域704の分解図を示す。区域702及び区域704の各メッシュ構造は、97%~99%の開口を有していた。各線区分は、2~3μmであった。
【0148】
第2のパターン化された基材
第2のパターン化された基材は、第2の可視光基材を使用する第1のパターン化された基材として作製されて、第2の銀金属化フィルムを製造した。第2の非連続的な六角形メッシュパターンの間に置かれた、第2の連続的な六角形メッシュパターンを有する第2スタンプが製造された。
【0149】
図28、
図28a、及び
図28bは、第2基材の第1面上で、複数の第2の非連続的な区域724の間に交互に並ぶ、複数の第2の連続的な区域722を有する第2のパターン化された基材720を示す。第2区域722のそれぞれには、一方の端部に、対応する500μm幅の第2導電配線726が配置されている。
図28aは、六角形メッシュ構造を形成する複数の連続的な線を有する1つの第2区域722の分解図を示す。
図28bは、非連続的な六角形メッシュ構造を形成する複数の非連続的な線(各六角形における選択的な断絶部として示される)を有する1つの第2の非連続的な区域724の分解図を示す。この選択的な断絶部は、10μm未満の長さを有していた。断絶部が設計され、およそ5μmとされた。それらの可視性を低減するために、好ましくは、断絶部は、10μm未満、より好ましくは5μm以下、例えば、1~5μmであるべきであることがわかった。区域722及び区域724の各メッシュ構造は、97%~99%の開口を有していた。各線区分は、2~3μmであった。
【0150】
投影型静電容量タッチスクリーンセンサ素子の形成
2層投影型静電容量タッチスクリーン透明センサ素子を製造するために、上記で作製された第1及び第2のパターン化された基材が、以下のように使用された。
【0151】
第1及び第2のパターン化された基材が、ミネソタ州セントポールの 3M Company 製の Optically Clear Laminating Adhesive 8141 を使用して互いに接着されて、多層構成体を生成した。手持ち式ローラーを使用して、接着剤を含まない第1導電配線区域706及び第2導電配線区域726の区域を有する、パターン化された2つの基材を積層した。多層構成体は、第1基材の第1面が、フロートガラスに隣接するように、Optically Clear Laminating Adhesive 8141 を使用して、厚さ0.7mmのフロートガラスに積層された。接着剤を含まない、第1導電配線区域706及び第2導電配線区域726は、第1のパターン化された基材700及び第2のパターン化された基材720との電気的接続が形成されることを可能にした。
【0152】
図29は、多層タッチスクリーンセンサ要素740の平面図を示し、第1及び第2のパターン化された基材が積層されている。区域730は、第1の連続的な区域と第2の連続的な区域との重複を表した。区域732は、第1の連続的な区域と第2の非連続的な区域との重複を表した。区域734は、第2の連続的な区域と第1の非連続的な区域との重複を表した。また、区域736は、第1の非連続的な区域と第2の非連続的な区域との重複を表した。複数のこれらの重複区域が存在したが、例示を容易にするために、それぞれ一区域のみが図中に描かれている。
【0153】
透明センサ素子の相互静電容量測定を行うために使用された集積回路は、PIC18F87J10(アリゾナ州チャンドラーの Microchip Technology)、AD7142(マサチューセッツ州ノーウッドの Analog Devices)、及びMM74HC154WM(メイン州サウスポートランドのFairchild Semiconductor)である。PIC18F87J10は、システムのためのマイクロコントローラであった。これは、MM74HC154WM が駆動するセンサバーの選択を制御した。これはまた、適切な測定を行うために、AD7142 を設定した。このシステムの使用は、当該技術分野において既知の多くの較正値の設定を含んだ。これらの較正値は、タッチスクリーンによって異なり得る。このシステムは、16の異なるバーを駆動することができ、AD7142は、12の異なるバーを測定することができた。AD7142 の設定は、変換するチャネルの数、どれだけ正確又は迅速に測定を行うか(静電容量のオフセットが適用されるべき場合)、及びアナログ-デジタル変換器のための接続子の選択を含んだ。AD7142 からの測定値は、透明センサ要素のマトリックスにおける導電バーの間の交差点の静電容量を表す16ビットの値であった。
【0154】
AD7142 が測定を終えた後、割り込みにより、マイクロコントローラに信号を送り、データを収集するべく命令した。マイクロコントローラは次に、SPIポートを通じてデータを収集した。データが受信された後、マイクロコントローラは、MM74HC154WM を、次の駆動ラインへと値を上げ、AD7142 の割り込みを解除して、それに次のデータセットを取得するように信号を送った。上記からのサンプリングが持続して行われている間、マイクロコントローラはまた、シリアルインターフェースを通じて、モニターを備えるコンピューターにデータを送っていた。このシリアルインターフェースにより、当業者に既知である単純なコンピュータープログラムは、AD7142 からの未加工データをレンダリングし、接触と非接触との間で値がどのように変化していたかを観察することが可能であった。コンピュータープログラムは、16ビット値の値によって、ディスプレイにわたり、異なる色をレンダリングした。較正に基づき、16ビット値が一定の値より下である場合、ディスプレイ区域は白色にレンダリングされた。較正に基づき、この閾値よりも上では、ディスプレイ区域は緑色にレンダリングされた。データは、4バイトのヘッダー(0×AAAAAAAA)、1バイトのチャネル(0×00~0×0F)、24バイトのデータ(静電容量測定値を表す)、及びキャリッジリターン(0×0D)の形式で、非同期的に送信された。
【0155】
システムの試験結果
透明センサ素子が、タッチセンサ駆動装置に接続された。ガラス表面に指接触が成された際、コンピューターモニターは、接触感知区域内で生じている接触の位置を、モニターの対応する位置における色の変化(白色から緑色)の形態でレンダリングした。ガラス表面に指2本の接触が同時に成された際、コンピューターモニターは、接触感知区域内で生じている接触の位置を、モニターの対応する位置における色の変化(白色から緑色)の形態でレンダリングした。ガラス表面に指3本の接触が同時に成された際、コンピューターモニターは、接触感知区域内で生じている接触の位置を、モニターの対応する位置における色の変化(白色から緑色)の形態でレンダリングした。
【0156】
(実施例42)
微小複製された電極の一実施形態は、約2mm~約5mmの中心間の間隔で分離された、幅約0.5~約5マイクロメートル(
図5のY寸法)の平行な導電体を含む。隣接する導電体の群は、例えば、
図8及び
図9に関して記載されるプロセスを使用して、1mm~10mmの合計幅を有する電極を形成するように、電気的に相互接続されてもよい。
【0157】
配線は、矩形の微小複製された溝(10μm幅(
図5のX寸法)、20μm深さ(
図5のZ寸法)、4mm間隔)を、本明細書に記載の及び参照される方法を使用して、PETの透明基材上に形成することによって作製された。溝の平行な配列は100mm幅であった。溝は、PETウェブ方向に印刷されたため、これらの長さはウェブの長さであった(20メートル超)。
【0158】
溝は、Conductive Inkjet Technologies(CIT)によって製造された種インクで充填された。インクの薄い層は、溝全体で平滑化され、次に過剰分がシルクスクリーニングと似たプロセスにおいてドクターブレードで除去された。次に、種インクが紫外線を使用して硬化された。溝がインクで充填された基材が、次に銅で無電解めっきされた。生じた微小導電体は、それぞれ、およそ9.6μm幅であった。インク充填、紫外線硬化、及び無電解めっきプロセスは、CITによって行われた。溝(10μm未満幅、20μm深さ、2mm間隔)を有する基材を有する微小導電体も、記載されたプロセスを使用して作製された。
【0159】
本発明は、開示されたもの以外の実施形態でも実施可能であることを当業者は理解するであろう。開示された実施形態は、例証の目的で提示されているのであって、制限するものではなく、本発明は、次に続く請求項によってのみ限定される。