(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】部品実装装置
(51)【国際特許分類】
H05K 13/08 20060101AFI20220809BHJP
【FI】
H05K13/08 Z
(21)【出願番号】P 2020556418
(86)(22)【出願日】2018-11-08
(86)【国際出願番号】 JP2018041427
(87)【国際公開番号】W WO2020095399
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2021-02-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 正樹
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-236197(JP,A)
【文献】特開2005-183572(JP,A)
【文献】特開2015-019249(JP,A)
【文献】国際公開第2017/072936(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/076755(WO,A1)
【文献】特開2014-099569(JP,A)
【文献】特開2004-214466(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に部品を実装する部品実装装置であって、
前記部品実装装置の状態に応じた情報を複数の箇所から取得する複数の取得部と、
前記部品実装装置の異常を検出する検出部と、
制御部と、
表示部と、を備え、
前記部品実装装置の状態に応じた情報は、前記部品実装装置の振動、音又は熱のうち、少なくともいずれかの情報、及び前記部品実装装置の撮影画像の情報を含み、
前記制御部は、前記取得部の取得した前記部品実装装置の状態に応じた情報に基づいて、前記検出部の異常の検出結果を含む、前記部品実装装置の全体分析画面を前記表示部に表示し、
前記全体分析画面は、
時間軸と、
前記時間軸上において異常が生じた時点の表示と、
各時点の異常の内容を示す異常データと、
異常が生じた時点における、部品実装装置各部及び基板の位置関係を示すコンピュータ画像と、
異常が生じた時点における、部品実装装置各部の撮影画像と、
前記部品実装装置の振動、音、熱のうち、少なくともいずれかの情報の時間的変化を示すグラフと、を含む、部品実装装置。
【請求項2】
請求項1に記載の部品実装装置であって、
前記全体分析画面は、前記部品実装装置の実装効率のグラフを含む、部品実装装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の部品実装装置であって、
前記全体分析画面は、実装ヘッドを駆動するモータの指令波形のグラフを含む、部品実装装置。
【請求項4】
請求項1から
請求項3のいずれか一項に記載の部品実装装置であって、
前記全体分析画面を時間分析画面に切り換え操作可能な操作部を備え、
前記時間分析画面は、前記全体分析画面の時間軸から任意時刻の前記部品実装装置の状態を表示する画面である、部品実装装置。
【請求項5】
請求項1から
請求項4のいずれか一項に記載の部品実装装置であって、
前記制御部は、前記部品実装装置の外部の管理装置に分析用データを出力する、
前記分析用データは、前記複数の取得部により取得された前記部品実装装置の状態に応じた情報のデータであり、前記部品実装装置の状態の分析に供されるデータである、部品実装装置。
【請求項6】
請求項1から
請求項5のいずれか一項に記載の部品実装装置であって、
前記部品実装装置の異常を検出する検出部は、
前記部品の実装
不良を検出する第1異常検出手段と
、前記部品実装装置の状態の異常を検出する第2異常検出手段と、を備える、部品実装装置。
【請求項7】
請求項1から
請求項6のいずれか一項に記載の部品実装装置であって、
前記複数の取得部による前記情報の取得は、前記部品実装装置の主電源の電源スイッチがオンされてから前記電源スイッチがオフされるまで行われる、部品実装装置。
【請求項8】
請求項1から
請求項7のいずれか一項に記載の部品実装装置であって、
前記複数の取得部による前記情報の取得は、前記基板の実装開始から前記基板の実装終了まで行われる、部品実装装置。
【請求項9】
請求項1から
請求項8のいずれか一項に記載の部品実装装置であって、
実装ヘッドと、第1方向に延び、前記実装ヘッドを第1方向に移動可能に支持する第1ビームと、前記第1方向とは異なる第2方向に延び、前記第1ビームを前記第2方向に移動可能に支持する第2ビームと、前記第2ビームを支持する基台と、を備え、
前記取得部は、前記基台、前記実装ヘッド、前記第1ビーム及び前記第2ビームの少なくとも一つに対して固定されている、部品実装装置。
【請求項10】
請求項9に記載の部品実装装置であって、
前記実装ヘッドに前記部品を供給する部品供給装置と、
前記第1ビーム及び前記第2ビームを移動させる移動機構と、を備え、
前記複数の取得部は、ビデオカメラを含み、
前記ビデオカメラは、前記部品供給装置、前記移動機構及び前記実装ヘッドの少なくとも一種類の
撮影画像を取得する、部品実装装置。
【請求項11】
請求項9又は請求項10に記載の部品実装装置であって、
前記複数の取得部は、振動センサを含み、
前記振動センサは、前記第1ビーム及び前記実装ヘッドの少なくとも一方に固定されている、部品実装装置。
【請求項12】
請求項9から請求項11に記載の部品実装装置であって、
前記複数の取得部は、温度センサを含み、
前記温度センサは、前記第1ビームに固定されている、部品実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、部品実装装置に関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品の基板への実装不良を検出する技術が知られている。特許文献1の管理システムは、部品実装動作時の画像を撮影するカメラユニットを備えており、このカメラユニットは、ヘッド本体のノズルによる電子部品の吸着前後や、基板への電子部品の搭載前後を撮影する。そして、複数の電子部品について生産履歴に対応付けて保存された履歴データを一枚の画像上に表示させることにより、実装時の不良の発生原因が発見しやすくする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1の構成は、電子部品の基板への実装不良は発見できるが、例えば作業者による部品実装装置上での工具の置き忘れ等のような部品の実装動作が行われる位置以外で生じた異常については発見することができず、異常の原因究明や復旧を容易に行うことができないという問題があった。
本明細書に記載された技術は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、部品実装装置の状態の異常の原因究明や復旧を容易に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に記載された部品実装装置は、基板に部品を実装する部品実装装置であって、前記部品実装装置の状態に応じた情報を複数の箇所から取得する複数の取得部と、前記複数の取得部で取得した前記情報に基づく分析用データを出力する出力部と、を備える。
本構成によれば、複数の取得部で取得した情報に基づく分析用データが出力部から出力されるため、出力された分析用データにより、部品実装装置に生じた異常の原因究明や復旧を容易に行うことが可能になる。
【0006】
本明細書に記載された技術の実施態様としては以下の態様が好ましい。
表示部と、前記部品実装装置の異常を検出する検出部と、を備え、前記出力部は、前記検出部により検出された前記異常の情報を含む前記分析用データを前記表示部に出力する。
【0007】
前記出力部から出力された前記分析用データを表示する表示部と、前記表示部に表示される前記分析用データについて、前記部品実装装置の状態の時期を指定可能な操作部と、を備える。
【0008】
前記出力部は、前記部品実装装置の外部の管理装置に前記分析用データを出力する。
【0009】
前記部品の実装動作の異常を検出する第1異常検出手段と、前記分析用データに基づいて前記部品実装装置の状態の異常を検出する第2異常検出手段と、を備える。
【0010】
前記複数の取得部による前記情報の取得は、前記部品実装装置の主電源の電源スイッチがオンされてから前記電源スイッチがオフされるまで行われる。
【0011】
前記複数の取得部による前記情報の取得は、前記基板の実装開始から前記基板の実装終了まで行われる。
【0012】
実装ヘッドと、第1方向に延び、前記実装ヘッドを第1方向に移動可能に支持する第1ビームと、前記第1方向とは異なる第2方向に延び、前記第1ビームを前記第2方向に移動可能に支持する第2ビームと、前記第2ビームを支持する基台と、を備え、前記情報は、画像、振動、音及び熱の少なくとも一つに関する情報であり、前記取得部は、前記基台、前記実装ヘッド、前記第1ビーム及び前記第2ビームの少なくとも一つに対して固定されている。
【0013】
前記実装ヘッドに前記部品を供給する部品供給装置と、前記第1ビーム及び前記第2ビームを移動させる移動機構と、を備え、前記複数の取得部は、ビデオカメラを含み、前記ビデオカメラは、前記部品供給装置、前記移動機構及び前記実装ヘッドの少なくとも一種類の画像を取得する。
【0014】
前記複数の取得部は、振動センサを含み、前記振動センサは、前記第1ビーム及び前記実装ヘッドの少なくとも一方に固定されている。
【0015】
前記複数の取得部は、温度センサを含み、前記温度センサは、前記第1ビームに固定されている。
【発明の効果】
【0016】
本明細書に記載された技術によれば、部品実装装置の状態の異常の原因究明や復旧を容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図5】時間指定分析画面が表示された表示部を示す図
【
図9】実施形態3の制御部の処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0018】
1、部品実装装置10の全体構成
実施形態1の部品実装装置10について
図1~
図6を参照しつつ説明する。以下では、基台11の短辺方向(
図1の左右方向)及び搬送コンベア28の搬送方向をX軸方向とし、基台11の長辺方向(
図1の上下方向)をY軸方向とし、基台11の高さ方向をZ軸方向として説明する。
【0019】
部品実装装置10は、
図1に示すように、平面視略長方形状の基台11と、電子部品B(「部品B」の一例)を吸着してプリント基板P(「基板」の一例)上に実装する2つ(複数)の実装ヘッド20と、実装ヘッド20をX軸方向(第1方向)に移動可能に支持する2つ(複数)のX軸ビーム25(「第1ビーム」の一例)と、基台11に支持され、X軸ビーム25をY軸方向(第2方向)に移動可能に支持する2つ(複数)のY軸ビーム26(「第2ビーム」の一例)と、プリント基板Pを搬送方向(X軸方向)に搬送するための搬送コンベア28と、を備える。
【0020】
実装ヘッド20は、電子部品Bを負圧によって吸着する複数の吸着ノズル21が下方に突出している。複数の吸着ノズル21は、実装ヘッド20の下面に列状に並んで配され、軸周りの回転及び上下方向の移動が可能とされている。
【0021】
X軸ビーム25及びY軸ビーム26は共にアルミダイキャスト等により成形される金属製とされている。2つのY軸ビーム26は、共にY方向に長尺の形状とされ、2つのX軸ビーム25は、共にX方向に長尺の形状とされている。2つのY軸ビーム26の間にX軸ビーム25がY軸方向に移動可能に配置され、X軸ビーム25のX軸方向への移動は規制されている。X軸ビーム25及びY軸ビーム26には、それぞれガイドレール、ボールねじ及びボールナット等とからなる移動機構25A,26Aが設けられており、X軸モータ55X(
図2参照)の駆動力により、移動機構25Aが実装ヘッド20を移動させ、Y軸モータ55Y(
図2参照)の駆動力により、移動機構26AがX軸ビーム25を移動させる。
【0022】
図1に示すように、搬送コンベア28は、基台11上に設けられ、搬送方向に循環駆動する一対のコンベアベルト29を備えており、プリント基板Pは、両コンベアベルト29に架設する形でセットされる。プリント基板Pは、搬送方向の一方側からコンベアベルト29に沿って基台11上の作業位置(
図1の位置)に搬入され、この作業位置で停止した状態で電子部品Bの実装作業がされた後、コンベアベルト29に沿って搬送方向の他方側に搬出される。
【0023】
搬送コンベア28の両側方には、一対の部品供給装置30が配されている。各部品供給装置30には、複数のフィーダ31が横並び状に整列して取り付けられている。各フィーダ31は、複数の電子部品Bが収容された部品供給テープ(不図示)が巻回されたリール(不図示)、及びリールから部品供給テープを引き出す電動式の送出装置(不図示)等を備えている。部品供給装置30から供給される電子部品Bは、実装ヘッド20により取り出されプリント基板P上に実装される。
【0024】
各部品供給装置30の近傍(
図1の部品供給装置30の前方又は後方)には、部品認識カメラ35(撮像部)が設置されている。部品認識カメラ35は、吸着ノズル21で吸着された電子部品Bの吸着姿勢を下方から撮像して、電子部品Bの下面側の撮像画像を得る。各実装ヘッド20の外面には、一対の基板認識カメラ36(撮像部)が取り付けられている。この基板認識カメラ36はプリント基板Pを撮像してプリント基板Pの位置を認識する。
【0025】
次に、部品実装装置10の状態を分析するための構成について説明する。
部品実装装置10は、
図1に示すように、当該部品実装装置10の状態に関する情報を取得する複数の取得部40を備えている。複数の取得部40は、複数のビデオカメラ41、複数のマイク42、複数の振動センサ43、複数の温度センサ44を有する。
【0026】
複数のビデオカメラ41は、例えば、ファイバースコープカメラのような小型の動画を撮影可能なカメラとされる。本実施形態では、3つのビデオカメラ41が一方のY軸ビーム26にY軸方向に間隔を空けて固定されている。各ビデオカメラ41の取り付けは、例えば部品実装装置10の各部(基台11等)に架台(不図示)を設置し、架台にビデオカメラ41を固定することができる。複数のビデオカメラ41は、部品供給装置30、実装ヘッド20の移動可能な範囲、実装位置、搬送中のプリント基板P等の広範囲の画像を取得可能とされる。なお、複数のビデオカメラ41は、部品実装装置10の全体を撮影してもよいが、これに限られず、異常が発生しやすい箇所を撮影するようにしてもよい。
【0027】
振動センサ43は、例えば、測定対象物に接触させて振動の加速度を検出する圧電式加速度ピックアップを用いることができる。なお、振動センサ43は、これに限られず、種々のセンサを用いることができ、例えば非接触型の振動センサとしてもよい。マイク42は、音を電気信号に変換可能な装置であり、生産動作中の衝突や摺動不良による異常音を監視し、異常検知により、グリスアップなどのメンテナンスが必要な時期を知ることができる。また、録音結果を立体的に解析して装置内のどこで大きな音が発生しているかを分析することができる。マイク42は、種々のマイクを用いることができるが、例えば装置に発生した異常音(の周波数)の検出に適したマイクを用いることが好ましい。温度センサ44は、温度に応じた電気信号を出力する種々のセンサを用いることができ、本実施形態では、2種類の金属を接触させ、接合点に発生する起電力により温度を測定する熱電対が用いられている。
【0028】
2.実装システムの電気的構成
実装システムの電気的構成について
図2を参照しつつ説明する。実装システムは、部品実装装置10と、外部の管理装置80とを備える。
部品実装装置10は、
図2に示すように、制御部50によってその全体が制御統括されている。制御部50はCPU(Central Processing Unit)等により構成される演算処理部51を備えている。演算処理部51は、制御部50内において記憶部52と、検出部53と、モータ制御部54と、表示制御部57と、画像処理部58と、入出力部63とに接続されている。
【0029】
また、演算処理部51は、制御部50の外部で、電源スイッチ70と、操作部71と、表示部72とに接続されている。電源スイッチ70は、部品実装装置10の主電源であり、外部の電源に接続された状態で電源スイッチ70がオンされると、電源から電力が供給され、操作部71の操作に応じて部品実装装置10が動作可能となる。表示部72は、表示画面を有する液晶表示装置等から構成され、部品実装装置10の動作に関する情報や、部品実装装置10の現在の状態等が表示画面上に表示される。
【0030】
操作部71は例えばタッチパネル、キーボード、マウスなどの入力装置を備えており、作業者は操作部71を操作して各種の設定や、プリント基板Pへの部品実装の開始や終了の操作を行うことができる。本実施形態では、操作部71の操作により、取得部40により取得する情報の種類(ビデオカメラ41、マイク42、振動センサ43、温度センサ44のうちの一又は複数の選択)や、選択された取得部40(例えばビデオカメラ41)のうちから、動作させて情報を取得する取得部40(例えば3つのビデオカメラ41のうちの一つ)を選択可能とすることができる。また、操作部71の設定に応じて、部品実装装置10の状態の履歴を表示部72に全体分析画面として表示させたり、選択した任意の時刻の部品実装装置10の状態を時間指定分析画面として表示部72に表示させることができる。
【0031】
全体分析画面は、
図4に示すように、電源スイッチ70がオンされてからオフされるまでの時間軸が表示されるとともに、その時間軸上において異常が生じた時点が矢印で示され、その時間で検出された異常の内容が異常データとして表示される。異常データは、例えば、圧力センサ46が検出した圧力に応じた吸着不良や部品なし、過負荷センサ47がX軸モータ55Xについて検出したX軸過負荷異常等とされる。また、全体分析画面には、部品実装装置10の各部及びプリント基板Pの位置関係を示すCG(computer graphics)画像(
図4では多数のフィーダ31のうち、部品実装に使用されるフィーダ31のみ表示)、ビデオカメラ41による各部動画サムネイル(実装部(実装位置)、吸着部1(部品供給装置)、吸着部2(部品供給装置))、モータ55X~55Rの指令波形、プリント基板Pへの電子部品Bの実装効率、振動センサ43による振動波形が表示される。実装効率及び振動波形には、異常検出の有無の基準となる閾値TH1~TH3が表示されている。時間指定分析画面は、
図5に示すように、時間軸が表示されるとともに、その時間軸上においてマウスのポインタで指定した時間について、部品実装装置10の各部及びプリント基板Pの位置関係を示すCG画像、各部動画サムネイル、指令波形、実装効率、振動波形が表示される。また、
図6に示すように、時間軸上でポインタをドラッグすることにより、指定時間が変更され、CG画像、各部動画サムネイル、指令波形、実装効率、振動波形の画像が装置の実際の動作時間(タイミング)に応じた画像に変更される。
【0032】
図2に示すように、記憶部52は、CPU(Central Processing Unit)を制御するプログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)、及び装置の動作中に種々のデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等から構成されている。記憶部52には、実装プログラムと、複数の取得部40(ビデオカメラ41、マイク42、振動センサ43、温度センサ44)から常時送信された情報と、部品実装装置10に生じた異常に関する情報を示す異常データと、分析画面等でCG画像を表示するための情報と、部品認識カメラ35及び基板認識カメラ36が撮影した画像、プリント基板P上の電子部品Bの実装位置に関する情報、各吸着ノズル21による電子部品Bの吸着位置に関する情報等が記憶されている。また、異常発生時には、搬送されるプリント基板Pの位置や部品実装装置10の各部の位置が記憶部52に記憶されており、分析画面におけるCG画像の表示の際に各部の位置関係の座標が利用される。なお、後述する異常発生時の分析用データDA1~DA3は、常時送信される取得部40の情報とは別途記憶部52に保存されているが、取得部40の情報と分析用データDA1~DA3とを別々の記憶手段に記憶するようにしてもよい。
【0033】
検出部53は、記憶部52に記憶されている取得部40が取得した情報や、閾値、圧力センサ46の検出値、プリント基板P上の実装位置、電子部品Bの吸着位置等に基づいて、部品実装不良の有無と、部品実装装置10の状態の異常の有無とを検出する。部品実装の際の異常(実装不良)としては、圧力センサ46が検出した実装ヘッド20の負圧が適正な範囲にない場合や、部品認識カメラ35や基板認識カメラ36により撮像した画像の位置に所定以上の位置ずれが生じている場合に、部品実装不良が生じていることを検出できる。
【0034】
また、装置状態の異常として、取得部40で振動センサ43により取得された振動、マイク42の音量又は周波数、温度センサ44により検出された温度のいずれか一つが閾値以上(又は閾値以下)である場合には、部品実装装置10の状態に異常が生じていることを検出する。また、プリント基板Pへの電子部品Bの実装効率(実装時間)が所定以上又は所定以下となっているときに異常を検出するようにしてもよい。制御部50は、部品実装の異常や部品実装装置10の状態の異常を検出した場合には、管理装置80に異常に関する情報を送信する。
【0035】
モータ制御部54は、X軸モータ55XとY軸モータ55YとZ軸モータ55ZとR軸モータ55Rとコンベアモータ56とを駆動させる。各実装ヘッド20は、R軸モータ55Rによって軸周りの回転動作が可能とされ、Z軸モータ55Zの駆動によって上下方向に昇降可能とされている。X軸モータ55Xの駆動により実装ヘッド20はX軸方向に移動し、Y軸モータ55Yの駆動によりX軸ビーム25がY軸方向に移動する。コンベアモータ56の駆動により、搬送コンベア28が動作する。
【0036】
表示制御部57は、検出部53の検出結果に応じた情報を表示部72に表示させる。
分析画面の表示の際には、
図4に示すように、ビデオカメラ41、マイク42、振動センサ43、温度センサ44で取得された情報のうち、表示部72に表示させる分析用データDA1~DA3を記憶部52から読み出し、表示部72に表示させる。具体的には、例えば、ビデオカメラ41が撮影した画像については、所定の解像度及び再生時間(例えば異常発生の前後の数秒)のサムネイルとして表示部72に表示させる(実装部、吸着部1,吸着部2)。また、例えば、マイク42により録音された音に応じて時間-音量特性のグラフ、振動センサ43により検出された振動に応じて時間-変位特性のグラフ、温度センサ44により検出された温度に応じて時間-温度特性のグラフを表示部72に表示させる。表示部72に表示された分析用データDA1~DA3を作業者が視認することにより、部品実装装置10の状態の異常の原因究明や復旧を行うことができる。分析用データDA1~DA3は、制御部50から管理装置80にも送信される。
【0037】
図2に示すように、画像処理部58には、部品認識カメラ35及び基板認識カメラ36で撮像された画像データが取り込まれる。部品認識カメラ35と基板認識カメラ36は、電子部品Bやプリント基板Pの静止画像のデータを画像処理部58に出力する。
【0038】
入出力部63は、いわゆるインターフェースであって、取得部40、異常検出センサとしての圧力センサ46及び過負荷センサ47に接続されるとともに、外部の管理装置80に接続されている。取得部40及び圧力センサ46からの情報は、入出力部63を介して記憶部52に記憶される。管理装置80は、オペレータが操作するPC(Personal computer)等とされ、部品実装装置10の状態の異常に関する情報が表示装置(不図示)に表示される。圧力センサ46は、実装ヘッド20に内蔵され、負圧発生機によって吸着ノズル21に発生させた負圧状態を検出する。制御部50は、圧力センサ46により検出された負圧状態の違いに基づいて、が電子部品Bの吸着の有無や電子部品Bの吸着位置のずれによるエアリークを検知できる。過負荷センサ47は、モータ55X,55Y,55Z,55R,56に取り付けられており、何らかの異常によりモータ55X,55Y,55Z,55R,56に過負荷が生じたことを検出する。
【0039】
3.制御部50の処理
制御部50の処理について
図3を参照しつつ説明する。
図3に示すように、部品実装装置10の主電源である電源スイッチ70が作業者によりオンされると(S1で「YES」)、部品実装装置10に電力が供給されるとともに、予め操作部71等により設定されている種類及び位置の複数の取得部40が起動し、部品実装装置10の各部の状態について情報の取得を開始する(S2)。取得部40が取得した部品実装装置10の状態の情報は、入出力部63を介して記憶部52に記憶される。
【0040】
検出部53は、記憶部52に記憶されている部品実装装置10の状態の情報及び閾値を読み出して当該情報と閾値とを比較し、比較結果の判定により、部品実装装置10の状態の異常の有無を検出する(S3)。部品実装装置10の状態の異常を検出した場合には(S3で「YES」)、入出力部63を介して管理装置80及び表示部72に異常を示す信号を出力する(S4)。一方、部品実装装置10の状態の異常を検出しなかった場合には(S3で「NO」)、電源スイッチ70がオフされるまで(S5で「NO」、S3)、部品実装装置10の状態の異常の有無の検出を継続する。一方、S5にて、作業者により電源スイッチ70がオフされると(S5で「YES」)、取得部40の動作が停止し、部品実装装置10の状態の情報の取得が停止される(S6)。
【0041】
4.本実施形態の作用、効果
プリント基板Pに部品Bを実装する部品実装装置10であって、部品実装装置10の状態に応じた情報(例えば、部品実装装置上における工具等の異物の有無に応じた情報)を複数の箇所から取得する複数の取得部40と、複数の取得部40で取得した情報に基づく分析用データDA1~DA3を出力する制御部50(出力部)と、を備える。
本実施形態によれば、複数の取得部40で取得した情報に基づく分析用データDA1~DA3が制御部50から出力されるため、制御部50から出力された分析用データDA1~DA3により、部品実装装置10に生じた異常の原因究明や復旧を容易に行うことが可能になる。
【0042】
また、表示部72と、部品実装装置10の異常を検出する検出部53と、を備え、制御部50は、検出部53により検出された異常の情報を含む分析用データDA1~DA3を表示部72に出力する。
このようにすれば、異常発生時の状況を容易に把握することができるため、迅速な原因究明や復旧が可能になる。
【0043】
また、制御部50から出力された分析用データDA1~DA3を表示する表示部72と、表示部72に表示される分析用データDA1~DA3について、部品実装装置10の状態の時期をポインタのドラッグ等により指定可能な操作部71と、を備える。
このようにすれば、部品実装装置10について、知りたい時期の状態を把握することができるため、より一層、異常の原因究明や復旧を容易に行うことが可能になる。
【0044】
また、制御部50は、部品実装装置10の外部の管理装置80に分析用データDA1~DA3を出力する。
このようにすれば、外部のオペレータが部品実装装置10を現場で調査しなくても、異常の原因究明や復旧の指示を外部のオペレータが行うことが可能になる。
【0045】
また、電子部品Bの実装動作の異常(実装不良)を検出する部品認識カメラ35、基板認識カメラ36、圧力センサ46及び検出部53(第1異常検出手段)と、分析用データDA1~DA3に基づいて部品実装装置10の状態の異常を検出するビデオカメラ41、マイク42、振動センサ43、温度センサ44及び検出部53(第2異常検出手段)と、を備える。
このようにすれば、第1異常検出手段による実装不良の検出だけでなく、第2異常検出手段により、異常発生時の原因究明を行うことができる。
【0046】
また、複数の取得部40による情報の取得は、部品実装装置10の主電源の電源スイッチ70がオンされてから電源スイッチ70がオフされるまで行われる。
このようにすれば、電子部品Bの実装時以外の時期の異常に対して原因究明や復旧を行うことが可能になる。
【0047】
また、実装ヘッド20と、X軸方向(第1方向)に延び、実装ヘッド20を第1方向に移動可能に支持するX軸ビーム25(第1ビーム)と、X軸方向とは異なるY軸方向(第2方向)に延び、X軸ビーム25をY軸方向に移動可能に支持するY軸ビーム26(第2ビーム)と、Y軸ビーム26を支持する基台11と、を備え、取得部40が取得する情報は、画像、振動、音及び熱の少なくとも一つに関する情報であり、取得部40は、基台11、実装ヘッド20、X軸ビーム25及びY軸ビーム26の少なくとも一つに対して固定されている。
【0048】
また、実装ヘッド20に電子部品Bを供給する部品供給装置30と、X軸ビーム25及びY軸ビーム26を移動させる移動機構25A,26Aと、を備え、複数の取得部40は、ビデオカメラ41を含み、ビデオカメラ41は、部品供給装置30、移動機構25A,26A及び実装ヘッド20の少なくとも一種類の画像を取得する。
このようにすれば、異常が発生しやすい箇所で撮影された画像を利用して異常の原因究明や復旧を容易に行うことが可能になる。
【0049】
また、複数の取得部40は、振動センサ43を含み、振動センサ43は、X軸ビーム25及び実装ヘッド20の少なくとも一方に固定されている。
このようにすれば、振動が伝達されやい箇所に設置された振動センサ43により、異常の原因究明や復旧を容易に行うことが可能になる。
【0050】
また、複数の取得部40は、温度センサ44を含み、温度センサ44は、X軸ビーム25に固定されている。
このようにすれば、X軸ビーム25の熱膨張による異常の原因究明や復旧を容易に行うことが可能になる。
【0051】
<実施形態2>
次に、実施形態2について、
図7,
図8を参照しつつ説明する。実施形態2は、実施形態1に対して、ビデオカメラ41の設置位置を増やし、マイク42、振動センサ43、温度センサ44をなくしたものである。以下では、実施形態1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0052】
複数のビデオカメラ41は、
図7に示すように、複数の移動機構撮像カメラ41Aと、複数の実装部撮像カメラ41Bと、複数のフィーダ部撮像カメラ41Cとを備えている。移動機構撮像カメラ41Aは、各X軸ビーム25の両端部に一対ずつ設けられている。一対のビデオカメラ41Aは、X軸ビーム25の両側の移動機構25A,26Aを撮影できるように設けられている。具体的には、ビデオカメラ41Aは、Y軸ビーム26の近傍にX軸ビーム25を移動させるために備えられたベアリング部品Bを含む範囲を撮影できるように設置されている。ベアリング部品Bの回転の状態の動画により、異常の有無を判断することができる。
【0053】
また、複数の実装部撮像カメラ41B及び複数のフィーダ部撮像カメラ41Cは、一対のY軸ビーム26の双方に固定(又は近傍に固定)されており、実装ヘッド20や部品供給装置30の両側から撮影した画像により、死角の少ない範囲の映像を撮影することができる。
【0054】
図8に示すように、全体分析画面には、複数のビデオカメラ41のうちから設定等により選択された複数(本実施形態では4つ)のビデオカメラ41が撮影した各部動画サムネイル(実装部撮像カメラ41Bによる実装部(実装位置)、フィーダ部撮像カメラ41Cによる吸着部(部品供給装置)、移動機構撮像カメラ41Aによる駆動部1(移動機構)、移動機構撮像カメラ41Aによる駆動部2(移動機構)が表示される。
【0055】
<実施形態3>
次に、実施形態3について、
図9を参照しつつ説明する。
実施形態3は、部品実装装置10の状態の情報の取得を電子部品Bの実装時に行うものである。以下では、上記実施形態と同一の構成については説明を省略する。
【0056】
部品実装装置10の主電源である電源スイッチ70が作業者によりオンされると(S11で「YES」)、部品実装装置10に電力が供給される。次に、操作部71により、部品実装開始の操作がされると(S12で「YES」)、予め操作部71で設定された種類及び位置の複数の取得部40が起動し、取得部40の種類に応じた情報の取得を開始する(S13)。そして、取得部40が取得した部品実装装置10の状態の情報は、取得部40から入出力部63を介して記憶部52に記憶されるとともに、電子部品Bの実装動作が開始される(S14)。
【0057】
検出部53は、取得部40が取得した情報を記憶部52から読み出し、予め記憶部52に記憶されている閾値と比較する。取得部40が取得した情報と閾値との比較結果の判定により、部品実装装置10の状態が異常であるか否かを検出する(S15)。部品実装装置10の状態の異常を検出した場合には(S15で「YES」)、入出力部63を介して管理装置80に異常を示す信号を出力する(S16)。一方、部品実装装置10の状態の異常を検出しなかった場合には(S15で「NO」)、電子部品Bの実装完了、又は、操作部71による部品実装の終了の指示があるまで異常検出処理を繰り返す(S17で「NO」,S15)。部品実装装置10の異常検出、又は、操作部71による部品実装の終了の指示等があった場合には、電子部品Bの実装動作を停止する(S18)。
【0058】
そして、取得部40による部品実装装置10の状態の情報の取得が停止され(S18)、電源スイッチ70がオフされるまで(S20で「NO」、S12で「NO」)、上記処理が繰り返され、作業者により電源スイッチ70がオフされると(S20で「YES」)、処理が終了する。
【0059】
実施形態3によれば、複数の取得部40による情報の取得は、プリント基板Pの実装開始からプリント基板Pの実装終了まで行われるため、電子部品Bの実装動作中の異常に対して原因究明や復旧を容易に行うことが可能になる。
【0060】
<他の実施形態>
本明細書に記載された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に記載された技術の技術的範囲に含まれる。
(1)振動センサ43が検出した音の音量により、部品実装装置10の異常を判定する構成としたが、これに限られず、例えば、振動センサ43が検出した音の周波数を閾値と比較して部品実装装置10の異常を判定してもよい。
【0061】
(2)分析用データDA1~DA3の情報は、画像、振動、音及び熱としたが、画像、振動、音及び熱の少なくとも一つに関する情報としてもよい。また、取得部40は、基台11、実装ヘッド20、第1ビーム及び第2ビームの全てに固定されていなくてもよく、基台11、実装ヘッド20、第1ビーム及び第2ビームの少なくとも一つに対して固定されていたり、これらの近傍の部材に固定されていてもよい。
【0062】
(3)取得部40が情報を取得する時期は、電源スイッチ70がオンされている状態の全時間や実装時の全時間に限られず、任意の時期に取得部40から情報を取得するようにしてもよい。
(4)表示部72と管理装置80の双方に分析用データDA1~DA3を送信する構成としたが、これに限られず、表示部72と管理装置80との一方に分析用データDA1~DA3を送信する構成としてもよい。
【0063】
(5)ビデオカメラ41により動画を撮影する構成としたが、静止画の画像を撮像する構成としてもよい。
(6)実装ヘッド20及びX軸ビーム25は2つしたが、実装ヘッド20、X軸ビーム25等の数については、上記実施形態の数に限られず、適宜変更することができる。
(7)取得部40(ビデオカメラ41、マイク42、振動センサ43、温度センサ44)の位置は、上記実施形態の位置に限られず、任意の位置に適宜配置することができる。
【符号の説明】
【0064】
10:部品実装装置,11:基台,20:実装ヘッド,21:吸着ノズル,25:X軸ビーム(第1ビーム),25A,26A:移動機構,26:Y軸ビーム(第2ビーム),30:部品供給装置,35:部品認識カメラ,36:基板認識カメラ,40:取得部,41:ビデオカメラ,41A:移動機構撮像カメラ,41B:実装部撮像カメラ,41C:フィーダ部撮像カメラ,42:マイク,43:振動センサ,44:温度センサ,46:圧力センサ,47:過負荷センサ,50:制御部,52:記憶部,53:検出部,57:表示制御部,58:画像処理部,70:電源スイッチ,71:操作部,72:表示部,80:管理装置,B:電子部品B(部品),DA1~DA3:分析用データ,P:プリント基板(基板)