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特許7121196リバースモードポリマー分散液晶表示装置
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  • 特許-リバースモードポリマー分散液晶表示装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】リバースモードポリマー分散液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   C09K 19/14 20060101AFI20220809BHJP
   C09K 19/18 20060101ALI20220809BHJP
   C09K 19/16 20060101ALI20220809BHJP
   C09K 19/20 20060101ALI20220809BHJP
   C09K 19/30 20060101ALI20220809BHJP
   C09K 19/34 20060101ALI20220809BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20220809BHJP
   G02F 1/139 20060101ALI20220809BHJP
   G02F 1/1334 20060101ALI20220809BHJP
   G02F 1/1337 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
C09K19/14
C09K19/18
C09K19/16
C09K19/20
C09K19/30
C09K19/34
G02F1/13 505
G02F1/13 500
G02F1/139
G02F1/1334
G02F1/1337 525
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021517857
(86)(22)【出願日】2021-03-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-22
(86)【国際出願番号】 CN2021080329
(87)【国際公開番号】W WO2021185156
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2021-03-30
(31)【優先権主張番号】202010189530.0
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514007391
【氏名又は名称】石家庄▲誠▼志永▲華顕▼示材料有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHIJIAZHUANG CHENGZHI YONGHUA DISPLAY MATERIAL CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.362, Zhujiang Road, Shijiazhuang, Hebei, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リ ルイ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン シージェ
(72)【発明者】
【氏名】レン シーハン
(72)【発明者】
【氏名】リ ジンレイ
(72)【発明者】
【氏名】リ ジェンチャン
(72)【発明者】
【氏名】リウ ル-ル-
(72)【発明者】
【氏名】ジャン クー
(72)【発明者】
【氏名】リウ シェンシアン
【審査官】福山 駿
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-514687(JP,A)
【文献】特開2016-113440(JP,A)
【文献】特開2016-222662(JP,A)
【文献】特表2017-526786(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110016352(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 19/00-19/60
G02F 1/13
G02F 1/139
G02F 1/1334
G02F 1/1337
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リバースモードポリマー分散液晶材料であって、負のネマチック液晶組成物と、重合性モノマーと、紫外線硬化性又は熱硬化性接着剤とを含み、前記負のネマチック液晶組成物は、1種又は複数種の式Iで表される化合物:
【化1】
[式中、
は、
【化2】
炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数2~7のアルケニル基、又は炭素数3~7のアルケニルオキシ基を表し、ここで、H原子のいずれか1つ又は複数は、F原子で置換されてもよく、
は、炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数2~7のアルケニル基、又は炭素数3~7のアルケニルオキシ基を表し、ここで、H原子のいずれか1つ又は複数は、F原子で置換されてもよく、
nは、0又は1を表し、nが0である場合、Rは下記基を表し、
【化3】
は、-C≡C-、-CH-、-CHCH-、-CHCF-、-COO-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-CHO-を表し、
、Lは、それぞれ独立して、H、Cl、又はFを表す。]、
1種又は複数種の式IIで表される化合物、及び
1種又は複数種の式IIIで表される化合物:
【化4】
[式中、
、R’は、それぞれ独立して、
【化5】
炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数2~7のアルケニル基、又は炭素数3~7のアルケニルオキシ基を表し、ここで、H原子のいずれか1つ又は複数は、F原子で置換されてもよく、
、R’は、それぞれ独立して、炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数2~7のアルケニル基、又は炭素数3~7のアルケニルオキシ基を表し、ここで、H原子のいずれか1つ又は複数は、F原子で置換されてもよく、
、Z、Z’、Z’は、それぞれ独立して、-C≡C-、-CH-、-CHCH-、-CHCF-、-COO-、-CH=CH-、-CF=CF-、-CHO-又は単結合を表し、且つZ、Zの少なくとも1つは、-C≡C-を表す。]
を含む、リバースモードポリマー分散液晶材料。
【請求項2】
前記負のネマチック液晶組成物は、さらに、1種又は複数種の式IVで表される化合物を含む、請求項1に記載のリバースモードポリマー分散液晶材料。
【化6】
[式中、
、Rは、それぞれ独立して、炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数2~7のアルケニル基又は炭素数3~7のアルケニルオキシ基を表し、ここで、H原子のいずれか1つ又は複数は、F原子で置換されてもよく、
mは、0又は1を表し、
は、単結合又は-C≡C-を表す。]
【請求項3】
前記負のネマチック液晶組成物は、1種又は複数種の式Vで表される化合物をさらに含む、請求項1又は2に記載のリバースモードポリマー分散液晶材料。
【化7】
[式中、
、Rは、それぞれ独立して、
【化8】
炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数2~7のアルケニル基、又は炭素数3~7のアルケニルオキシ基を表し、ここで、H原子のいずれか1つ又は複数は、F原子で置換されてもよく、
nは、0、1又は2を表し、
【化9】
は、以下の構造を表す。
【化10】
【請求項4】
前記重合性モノマーは、1種又は複数種の式VIで表される化合物を含む、請求項1に記載のリバースモードポリマー分散液晶材料。
【化11】
[式中、
、R10は、それぞれ独立して、H原子、炭素数1~5の直鎖アルキル基、炭素数3~6のシクロアルキル基又は-CFを表し、
Sp、Spは、それぞれ独立して、単結合、又は炭素数1~6の直鎖アルキル基を表し、ここで、-CH-のいずれか1つ又は複数は-O-、-COO-又は-C=C-で置換されてもよく、
は、F、Cl、炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数2~6アルケニル基、炭素数2~6アルケニルオキシ基又は炭素数3~6のシクロアルキル基を表し、
pは、1、2、3、4又は5を表し、qは、0、1、2、3又は4を表す。]
【請求項5】
前記式Iで表される化合物は、下記式I-1から式I-4:
【化12】
で表される化合物からなる群より選ばれ、
前記式IIで表される化合物は、下記式II-1から式II-5:
【化13】
で表される化合物からなる群より選ばれ、且つ
前記式IIIで表される化合物は、下記式III-1から式III-5:
【化14】
[式中、
11は、下記基:
【化15】
を表し、
12は、
【化16】
炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数2~7のアルケニル基、又は炭素数3~7のアルケニルオキシ基を表し、ここで、H原子のいずれか1つ又は複数は、F原子で置換されてもよく、
21は、炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数2~7のアルケニル基、又は炭素数3~7のアルケニルオキシ基を表し、ここで、H原子のいずれか1つ又は複数は、F原子で置換されてもよく、
31、R31’は、
【化17】
炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数2~7のアルケニル基、又は炭素数3~7のアルケニルオキシ基を表し、ここで、H原子のいずれか1つ又は複数は、F原子で置換されてもよく、
41、R41’は、炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数2~7のアルケニル基、又は炭素数3~7のアルケニルオキシ基を表し、ここで、H原子のいずれか1つ又は複数は、F原子で置換されてもよい。]
で表される化合物からなる群より選ばれる、請求項1に記載のリバースモードポリマー分散液晶材料。
【請求項6】
前記式IVで表される化合物は、以下の式IV-1から式IV-2で表される化合物からなる群より選ばれる、請求項2に記載のリバースモードポリマー分散液晶材料。
【化18】
[式中、
51、R61は、それぞれ独立して、炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数2~7のアルケニル基又は炭素数3~7のアルケニルオキシ基を表し、ここで、H原子のいずれか1つ又は複数は、F原子で置換されてもよい。]
【請求項7】
前記式VIで表される化合物は、下記式VI-1から式VI-4で表される化合物からなる群より選ばれる、請求項4に記載のリバースモードポリマー分散液晶材料。
【化19】
[式中、
91、R101は、それぞれ独立して、H原子、-CH又は-CFを表し、
Sp11、Sp21は、それぞれ独立して、炭素数1~6の直鎖アルキル基を表し、ここで、-CH-のいずれか1つ又は複数は-O-、-COO-又は-C=C-で置換されてもよく、
31、L32は、それぞれ独立して、F原子、Cl原子、炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数2~6アルケニル基、炭素数2~6アルケニルオキシ基又は炭素数3~6のシクロアルキル基を表し、
q’、q’’は、それぞれ独立して、0、1、2、3又は4を表す。]
【請求項8】
前記負のネマチック液晶組成物は、前記リバースモードポリマー分散液晶材料の合計重量の50~85%を占め、前記紫外線硬化性又は熱硬化性接着剤は、前記リバースモードポリマー分散液晶材料の合計重量の10~40%を占め、前記重合性モノマーは、前記リバースモードポリマー分散液晶材料の合計重量の3~10%を占める、請求項1に記載のリバースモードポリマー分散液晶材料。
【請求項9】
上から下への順に設けられた、第1の基板層、第1の導電層、第1の配向層、請求項1~8のいずれか1項に記載のリバースモードポリマー分散液晶材料、第2の配向層、第2の導電層及び第2の基板層を含む、リバースモードポリマー分散液晶表示装置。
【請求項10】
前記第1の基板層及び第2の基板層の少なくとも1つは、液晶を垂直に配向させる液晶配向膜を備え、前記液晶配向膜は、液晶配向処理剤からなり、前記液晶配向処理剤は、アクリル系ポリマーポリマー、メタアクリル系ポリマーポリマー、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ポリイミド前駆体、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、セルロース及びポリシロキサンのうちの1種又は複数種のポリマーを含む、請求項9に記載のリバースモードポリマー分散液晶表示装置。
【請求項11】
前記ポリイミド前駆体又はポリイミドは、1種又は複数種の下記式1a-1及び/又は式1a-2で表されるジアミン化合物と、1種又は複数種の下記式1bで表されるテトラカルボン酸二無水物化合物とを原料の一部に用いてなるポリマーである、請求項10に記載のリバースモードポリマー分散液晶表示装置。
【化20】
[式中、
は、単結合又は炭素数1~15のアルキレン基を表し、ここで、いずれか1つ又は複数の隣接しない-CH-は、-O-、-CO-、
【化21】
で置換されてもよく、
は、ベンゼン環、シクロヘキシル環及び複素環からなる群より選ばれる2価の環状基又はステロイド骨格を有する炭素数17~51の2価の有機基を表し、ここで、H原子のいずれか1つ又は複数は、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基、炭素数1~3のフッ素含有アルキル基、炭素数1~3のフッ素含有アルコキシ基又はF原子で置換されてもよく、
は、ベンゼン環、シクロヘキシル環及び複素環からなる群より選ばれる2価の環状基を表し、ここで、H原子のいずれか1つ又は複数は、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基、炭素数1~3のフッ素含有アルキル基、炭素数1~3のフッ素含有アルコキシ基又はF原子で置換されてもよく、
は、炭素数1~15のアルキル基、炭素数1~15のアルコキシ基、炭素数1~15のフッ素含有アルキル基又は炭素数1~15のフッ素含有アルコキシ基を表し、
rは、0、1、2、3又は4を表し、sは、1、2、3又は4を表し、
Yは、以下の式aから式dで表される化合物からなる群より選ばれる。
【化22】
[上記式a~dにおいて、
a1、a2は、それぞれ独立して、0、1、2、3又は4を表し、
、Yは、それぞれ独立して、炭素数1~12のアルキル基、炭素数2~12のアルケニル基又は炭素数2~12のアルキニル基を表し、
は、炭素数1~5のアルキル基を表し、
tは、1、2、3又は4を表す。]]
【化23】
[式中、
は、以下の4価の基からなる群より選ばれ、
【化24】
、T、T、Tは、それぞれ独立して、H原子、Cl原子、メチル基又はベンゼン環を表し、
、Tは、それぞれ独立して、H原子又はメチル基を表す。]
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶応用技術分野に関する。より具体的には、リバースモードポリマー分散液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマー分散液晶(polymer dispersed liquid crystal、PDLC)は、液晶分子とプレポリマーとを混合し、重合反応により相分離して微小液晶滴を形成し、ポリマー三次元網目構造において均一に分散させ、最終的に光電応答特性を持つ材料を形成してなる材料である。ノーマルモードPDLCは、電場を印加してない場合に、液晶分子の指向ベクターが不規則に分布され、その有効屈折率neffとポリマー屈折率npとがマッチングせず、薄膜が光散乱状態なる。この状態を不透明状態と呼ぶのに対して、電場を印加する場合は、液晶分子の長軸が電場配向と平行となり、その有効屈折率とポリマー屈折率とがマッチングして、薄膜が光透過状態になる。この状態を透明状態と呼ぶ。ノーマルモードPDLCは、建築ガラスや車窓等といった、透明状態の長期間維持が必要となる場面に適用すると、電力を供給し続けなければならず、大量のエネルギー損失が発生し、使用コストが高くなる。そのため、無通電時に透明状態を保つのに対して、通電時に不透明状態に変換するPDLCとして、リバースPDLCの開発が必要である。
【0003】
しかしながら、リバースモードPDLC装置には、一般的に、駆動電圧が高く、コントラストに劣るという問題があり、そのため、駆動電圧が低く、且つコントラストが高いリバースモードPDLC表示装置が強く求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来技術のリバースモードPDLC装置に存在する、低い電圧下でコントラストが低いという課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の一態様は、リバースモードポリマー分散液晶材料であって、負のネマチック液晶組成物と、重合性モノマーと、紫外線硬化性又は熱硬化性接着剤とを含み、前記負のネマチック液晶組成物が、1種又は複数種の式Iで表される化合物:
【化1】
[式中、
は、
【化2】
炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数2~7のアルケニル基、又は炭素数3~7のアルケニルオキシ基を表し、ここで、H原子のいずれか1つ又は複数は、F原子で置換されてもよく、
は、炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数2~7のアルケニル基、又は炭素数3~7のアルケニルオキシ基を表し、ここで、H原子のいずれか1つ又は複数は、F原子で置換されてもよく、
nは、0又は1を表し、nが0である場合、Rは下記基:
【化3】
を表し、
は、-C≡C-、-CH-、-CHCH-、-CHCF-、-COO-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-CHO-を表し、
、Lは、それぞれ独立して、H、Cl、Fを表す。]、 1種又は複数種の式IIで表される化合物、及び
1種又は複数種の式IIIで表される化合物:
【化4】
[式中、
、R’は、それぞれ独立して、
【化5】
炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数2~7のアルケニル基、又は炭素数3~7のアルケニルオキシ基を表し、ここで、H原子のいずれか1つ又は複数は、F原子で置換されてもよく、
、R’は、それぞれ独立して、炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数2~7のアルケニル基、又は炭素数3~7のアルケニルオキシ基を表し、ここで、H原子のいずれか1つ又は複数は、F原子で置換されてもよく、
、Z、Z’、Z’は、それぞれ独立して、表示-C≡C-、-CH-、-CHCH-、-CHCF-、-COO-、-CH=CH-、-CF=CF-、-CHO-又は単結合を表し、且つZ、Zの少なくとも1つは、-C≡C-を表す。]
を含む、リバースモードポリマー分散液晶材料を提供する。
【0006】
さらに、前記負のネマチック液晶組成物は、さらに、1種又は複数種の式IVで表される化合物を含む。
【化6】
[式中、
、Rは、それぞれ独立して、炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数2~7のアルケニル基又は炭素数3~7のアルケニルオキシ基を表し、ここで、H原子のいずれか1つ又は複数は、F原子で置換されてもよく、
mは、0又は1を表し、
は、単結合又は-C≡C-を表す。]
【0007】
さらに、前記負のネマチック液晶組成物は、さらに、1種又は複数種の式Vで表される化合物を含む。
【化7】
[式中、
、Rは、それぞれ独立して、
【化8】
炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数2~7のアルケニル基、又は炭素数3~7のアルケニルオキシ基を表し、ここで、H原子のいずれか1つ又は複数は、F原子で置換されてもよく、
nは、0、1又は2を表し、
【化9】
は、以下の構造を表す。
【化10】
【0008】
さらに、前記重合性モノマーは、1種又は複数種の式VIで表される化合物を含む。
【化11】
[式中、
、R10は、それぞれ独立して、H原子、炭素数1~5の直鎖アルキル基、炭素数3~6のシクロアルキル基又は-CFを表し、
Sp、Spは、それぞれ独立して、単結合、又は炭素数1~6の直鎖アルキル基を表し、ここで、-CH-のいずれか1つ又は複数は-O-、-COO-又は-C=C-で置換されてもよく、
は、F、Cl、炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数2~6アルケニル基、炭素数2~6アルケニルオキシ基又は炭素数3~6のシクロアルキル基を表し、
pは、1、2、3、4又は5を表し、qは、0、1、2、3又は4を表す。]
【0009】
さらに、前記式Iで表される化合物は、以下の式I-1から式I-4:
【化12】
で表される化合物からなる群より選ばれ、
前記式IIで表される化合物は、下記式II-1から式II-5:
【化13】
で表される化合物からなる群より選ばれ、且つ
前記式IIIで表される化合物は、下記式III-1から式III-5:
【化14】
[式中、
11は、
【化15】
を表し、
12は、
【化16】
炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数2~7のアルケニル基又は、炭素数3~7のアルケニルオキシ基を表し、ここで、H原子のいずれか1つ又は複数は、F原子で置換されてもよく、
21は、炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数2~7のアルケニル基、又は炭素数3~7のアルケニルオキシ基を表し、ここで、H原子のいずれか1つ又は複数は、F原子で置換されてもよく、
31、R31’は、
【化17】
炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数2~7のアルケニル基、又は炭素数3~7のアルケニルオキシ基を表し、ここで、H原子のいずれか1つ又は複数は、F原子で置換されてもよく、
41、R41’は、炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数2~7のアルケニル基、又は炭素数3~7のアルケニルオキシ基を表し、ここで、H原子のいずれか1つ又は複数は、F原子で置換されてもよい。]
【0010】
さらに、前記式IVで表される化合物は、以下の式IV-1から式IV-2で表される化合物からなる群より選ばれる。
【化18】
[式中、
51、R61は、それぞれ独立して、炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数2~7のアルケニル基又は炭素数3~7のアルケニルオキシ基を表し、ここで、H原子のいずれか1つ又は複数は、F原子で置換されてもよい。]
【0011】
さらに、前記式VIで表される化合物は、以下の式VI-1から式VI-4で表される化合物からなる群より選ばれる。
【化19】
[式中、
91、R101は、それぞれ独立して、H原子、-CH又は-CFを表し、
Sp11、Sp21は、それぞれ独立して、炭素数1~6の直鎖アルキル基を表し、ここで、-CH-のいずれか1つ又は複数は-O-、-COO-又は-C=C-で置換されてもよく、
31、L32は、それぞれ独立して、F原子、Cl原子、炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数2~6アルケニル基、炭素数2~6アルケニルオキシ基又は炭素数3~6のシクロアルキル基を表し、
q’、q’’は、それぞれ独立して、0、1、2、3又は4を表す。]
【0012】
さらに、前記負のネマチック液晶組成物は、前記リバースモードポリマー分散液晶材料の合計重量の50~85%を占め、前記紫外線硬化性又は熱硬化性接着剤は、前記リバースモードポリマー分散液晶材料の合計重量の10~40%を占め、前記重合性モノマーは、前記リバースモードポリマー分散液晶材料の合計重量の3~10%を占める。
【0013】
本発明の別の態様は、上から下への順に設けられた、第1の基板層、第1の導電層、第1の配向層、第1の態様で記載されるリバースモードポリマー分散液晶材料、第2の配向層、第2の導電層及び第2の基板層を含む、リバースモードポリマー分散液晶表示装置を提供する。
【0014】
さらに、前記第1の基板層及び第2の基板層の少なくとも1つは、液晶を垂直に配向させる液晶配向膜を備え、前記液晶配向膜は、液晶配向処理剤からなり、前記液晶配向処理剤は、アクリル系ポリマーポリマー、メタアクリル系ポリマーポリマー、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ポリイミド前駆体、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、セルロース及びポリシロキサンのうち1種又は複数種のポリマーを含む。
【0015】
さらに、前記ポリイミド前駆体又はポリイミドは、1種又は複数種の下記式1a-1及び/又は式1a-2で表されるジアミン化合物と、1種又は複数種の下記式1bで表されるテトラカルボン酸二無水物化合物とを原料の一部に用いてなるポリマーである。
【化20】
[式中、
は、単結合又は炭素数1~15のアルキレン基を表し、ここで、いずれか1つ又は複数の隣接しない-CH-は、-O-、-CO-、
【化21】
で置換されてもよく、
は、ベンゼン環、シクロヘキシル環及び複素環からなる群より選ばれる2価の環状基又はステロイド骨格を有する炭素数17~51の2価の有機基を表し、ここで、H原子のいずれか1つ又は複数は、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基、炭素数1~3のフッ素含有アルキル基、炭素数1~3のフッ素含有アルコキシ基又はF原子で置換されてもよく、
は、ベンゼン環、シクロヘキシル環及び複素環からなる群より選ばれる2価の環状基を表し、ここで、H原子のいずれか1つ又は複数は、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基、炭素数1~3のフッ素含有アルキル基、炭素数1~3のフッ素含有アルコキシ基又はF原子で置換されてもよく、
は、炭素数1~15のアルキル基、炭素数1~15のアルコキシ基、炭素数1~15のフッ素含有アルキル基又は炭素数1~15のフッ素含有アルコキシ基を表し、
rは、0、1、2、3又は4を表し、sは、1、2、3又は4を表し、
Yは、以下の式aから式dで表される化合物からなる群より選ばれる。
【化22】
[上記式a~dにおいて、
a1、a2は、それぞれ独立して、0、1、2、3又は4を表し、
、Yは、それぞれ独立して、炭素数1~12のアルキル基、炭素数2~12のアルケニル基又は炭素数2~12のアルキニル基を表し、
は、炭素数1~5のアルキル基を表し、
tは、1、2、3又は4を表す。]]
【化23】
[式中、
は、以下の4価の基からなる群より選ばれ、
【化24】
、T、T、Tは、それぞれ独立して、H原子、Cl原子、メチル又はベンゼン環を表し、
、Tは、それぞれ独立して、H原子又はメチルを表す。]
【発明の効果】
【0016】
本発明の有益な効果は、以下の通りである。
【0017】
本発明は、リバースモードポリマー分散液晶材料、それを含むリバースモードポリマー分散液晶表示装置を提供する。当該材料は従来技術と比べて、低い駆動電圧下でコントラストが高いという利点を有し、製品品質を著しく向上させる。
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の具体的な実施形態をさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】リバースモードPDLC装置の構造概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明をより明確に説明するために、以下、好ましい実施例と図面を参照しながら本発明をさらに説明する。図面中の類似する部材は同一の符号を付して示す。当業者は、以下に詳細に説明する内容は例示的なものであって、限定的なものではなく、本発明の技術的範囲を限定するものではないことを理解すべきであろう。
【0021】
本実施形態は、リバースモードポリマー分散液晶材料であって、負のネマチック液晶組成物と、重合性モノマーと、紫外線硬化性又は熱硬化性接着剤とを含み、前記負のネマチック液晶組成物が、1種又は複数種の式Iで表される化合物:
【化25】
[式中、
は、
【化26】
炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数2~7のアルケニル基、又は炭素数3~7のアルケニルオキシ基を表し、ここで、H原子のいずれか1つ又は複数は、F原子で置換されてもよく、
は、炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数2~7のアルケニル基、又は炭素数3~7のアルケニルオキシ基を表し、ここで、H原子のいずれか1つ又は複数は、F原子で置換されてもよく、
nは、0又は1を表し、nが0である場合、Rは下記式を表し、
【化27】
は、-C≡C-、-CH-、-CHCH-、-CHCF-、-COO-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-CHO-を表し、
、Lは、それぞれ独立して、H、Cl、又はFを表す。]、
1種又は複数種の式IIで表される化合物、及び
1種又は複数種の式IIIで示される化合物:
【化28】
[式中、
、R’は、それぞれ独立して、
【化29】
炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数2~7のアルケニル基、又は炭素数3~7のアルケニルオキシ基を表し、ここで、H原子のいずれか1つ又は複数は、F原子で置換されてもよく、
、R’は、それぞれ独立して、炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数2~7のアルケニル基、又は炭素数3~7のアルケニルオキシ基を表し、ここで、H原子のいずれか1つ又は複数は、F原子で置換されてもよく、
、Z、Z’、Z’は、それぞれ独立して、-C≡C-、-CH-、-CHCH-、-CHCF-、-COO-、-CH=CH-、-CF=CF-、-CHO-又は単結合を表し、且つZ、Zの少なくとも1つは、-C≡C-を表す。]
を含む、リバースモードポリマー分散液晶材料を開示する。
【0022】
本実施形態で開示される負のネマチック液晶組成物において、好ましくは、前記式Iで表される化合物は、以下の式I-1から式I-4で表される化合物からなる群より選ばれる。
【化30】
【0023】
本実施形態で開示される負のネマチック液晶組成物において、好ましくは、前記式IIで表される化合物は、以下の式II-1から式II-5で表される化合物からなる群より選ばれる。
【化31】
【0024】
本実施形態で開示される負のネマチック液晶組成物において、好ましくは、前記式IIIで表される化合物は、以下の式III-1から式III-5で表される化合物からなる群より選ばれる。
【化32】
[式中、
11は、
【化33】
を表し、
12は、
【化34】
炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数2~7のアルケニル基、又は炭素数3~7のアルケニルオキシ基を表し、ここで、H原子のいずれか1つ又は複数は、F原子で置換されてもよく、
21は、炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数2~7のアルケニル基、又は炭素数3~7のアルケニルオキシ基を表し、ここで、H原子のいずれか1つ又は複数は、F原子で置換されてもよく、
31、R31’は、
【化35】
炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数2~7のアルケニル基、又は炭素数3~7のアルケニルオキシ基を表し、ここで、H原子のいずれか1つ又は複数は、F原子で置換されてもよく、
41、R41’は、炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数2~7のアルケニル基、又は炭素数3~7のアルケニルオキシ基を表し、ここで、H原子のいずれか1つ又は複数は、F原子で置換されてもよい。]
【0025】
本実施形態で開示されるリバースモードポリマー分散液晶材料では、上記負のネマチック液晶組成物は、さらに、1種又は複数種の式IVで表される化合物を含んでもよい。
【化36】
[式中、
、Rは、それぞれ独立して、炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数2~7のアルケニル基又は炭素数3~7のアルケニルオキシ基を表し、ここで、H原子のいずれか1つ又は複数は、F原子で置換されてもよく、
mは、0又は1を表し、
は、単結合又は-C≡C-を表す。]
【0026】
本実施形態で開示される負のネマチック液晶組成物において、好ましくは、前記式IVで表される化合物は、以下の式IV-1から式IV-2で表される化合物からなる群より選ばれる。
【化37】
[式中、
51、R61は、それぞれ独立して、炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数2~7のアルケニル基又は炭素数3~7のアルケニルオキシ基を表し、ここで、H原子のいずれか1つ又は複数は、F原子で置換されてもよい。]
【0027】
本実施形態で開示されるリバースモードポリマー分散液晶材料では、前記負のネマチック液晶組成物は、さらに、1種又は複数種の式Vで表される化合物を含んでもよい。
【化38】
[式中、
、Rは、それぞれ独立して、
【化39】
炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数2~7のアルケニル基、又は炭素数3~7のアルケニルオキシ基を表し、ここで、H原子のいずれか1つ又は複数は、F原子で置換されてもよく、
nは、0、1又は2を表し、
下記構造:
【化40】
は、以下の構造を表す。
【化41】
【0028】
本発明で開示されるリバースモードポリマー分散液晶材料では、好ましくは、前記重合性モノマーは、1種又は複数種の式VIで表される化合物を含む。
【化42】
[式中、
、R10は、それぞれ独立して、H原子、炭素数1~5の直鎖アルキル基、炭素数3~6のシクロアルキル基又は-CFを表し、
Sp、Spは、それぞれ独立して、単結合、又は炭素数1~6の直鎖アルキル基を表し、ここで、-CH-のいずれか1つ又は複数は-O-、-COO-又は-C=C-で置換されてもよく、
は、F、Cl、炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数2~6アルケニル基、炭素数2~6アルケニルオキシ基又は炭素数3~6のシクロアルキル基を表し、
pは、1、2、3、4又は5を表し、qは、0、1、2、3又は4を表す。]
【0029】
本発明で開示される重合性モノマーにおいて、より好ましくは、前記式VIで表される化合物は、以下の式VI-1から式VI-4で表される化合物からなる群より選ばれる。
【化43】
[式中、
91、R101は、それぞれ独立して、H原子、-CH又は-CFを表し、
Sp11、Sp21は、それぞれ独立して、炭素数1~6の直鎖アルキル基を表し、ここで、-CH-のいずれか1つ又は複数は-O-、-COO-又は-C=C-で置換されてもよく、
31、L32は、それぞれ独立して、F原子、Cl原子、炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数2~6アルケニル基、炭素数2~6アルケニルオキシ基又は炭素数3~6のシクロアルキル基を表し、
q’、q’’は、それぞれ独立して、0、1、2、3又は4を表す。]
【0030】
本実施形態で開示される重合性モノマーにおいて、最も好ましくは、前記式VIで表される化合物は、以下の式VI-1-1から式VI-4-2で表される化合物からなる群より選ばれる。
【化44】
【化45】
【化46】
【化47】
【0031】
本実施形態で開示されるリバースモードポリマー分散液晶材料において、前記紫外線硬化性又は熱硬化性接着剤は、ポリウレタンアクリル樹脂系、エポキシアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系又は単純アクリレート系からなる群より選ばれてもよい。
【0032】
本実施形態で開示されるリバースモードポリマー分散液晶材料において、前記負のネマチック液晶は、前記リバースモードポリマー分散液晶層の合計重量の50~85%を占め、前記紫外線硬化性又は熱硬化性接着剤は、前記リバースモードポリマー分散液晶層の合計重量の10~40%を占め、前記液晶性重合性モノマーは、前記リバースモードポリマー分散液晶層の合計重量の3~10%を占めてもよい。
【0033】
本実施形態は、上から下への順に設けられた、第1の基板層1、第1の導電層2、第1の配向層3、リバースモードポリマー分散液晶材料4、第2の配向層5、第2の導電層6、第2の基板層7を含む、リバースモードポリマー分散液晶表示装置を開示する。当該装置は、図1で示され、ここで、前記リバースモードポリマー分散液晶材料は、上記の通りである。
【0034】
本実施形態で開示されるリバースモードポリマー分散液晶表示装置において、前記基板層は、ガラス及びポリマーであり、前記ポリマーは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)又は透明ポリイミド(CPI)であり、前記導電層材料は、ITO又は金属電極材料であってもよく、前記金属電極材料は、Ag、Cu又はAlであってもよい。
【0035】
本実施形態で開示されるリバースモードポリマー分散液晶表示装置において、前記第1の基板、第2の基板の少なくとも1つ液晶を垂直に配向させる液晶配向膜を備え、前記液晶配向膜は、液晶配向処理剤からなり、前記液晶配向処理剤は、アクリル系ポリマーポリマー、メタアクリル系ポリマーポリマー、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ポリイミド前駆体、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、セルロース及びポリシロキサンのうちの1種又は複数種のポリマーを含む。
【0036】
本実施形態で開示されるリバースモードポリマー分散液晶表示装置において、好ましくは、前記ポリイミド前駆体又はポリイミドは、以下の1種又は複数種の式1a-1及び/又は式1a-2で表されるジアミン化合物と1種又は複数種の式1bで表されるテトラカルボン酸二無水物化合物とを原料の一部に用いてなるポリマーである。
【化48】
[式中、
は、単結合又は炭素数1~15のアルキレン基を表し、ここで、いずれか1つ又は複数の隣接しない-CH-は、-O-、-CO-、
【化49】
で置換されてもよく、
は、ベンゼン環、シクロヘキシル環及び複素環からなる群より選ばれる2価の環状基又はステロイド骨格を有する炭素数17~51の2価の有機基を表し、ここで、H原子のいずれか1つ又は複数は、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基、炭素数1~3のフッ素含有アルキル基、炭素数1~3のフッ素含有アルコキシ基又はF原子で置換されてもよく、
は、ベンゼン環、シクロヘキシル環及び複素環からなる群より選ばれる2価の環状基を表し、ここで、H原子のいずれか1つ又は複数は、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基、炭素数1~3のフッ素含有アルキル基、炭素数1~3のフッ素含有アルコキシ基又はF原子で置換されてもよく、
は、炭素数1~15のアルキル基、炭素数1~15のアルコキシ基、炭素数1~15のフッ素含有アルキル基又は炭素数1~15のフッ素含有アルコキシ基を表し、
rは、0、1、2、3又は4を表し、sは、1、2、3又は4を表し、
Yは、以下の式aから式dで表される化合物からなる群より選ばれる。
【化50】
[上記式a~dにおいて、
a1、a2は、それぞれ独立して、0、1、2、3又は4を表し、
、Yは、それぞれ独立して、炭素数1~12のアルキル基、炭素数2~12のアルケニル基又は炭素数2~12のアルキニル基を表し、
は、炭素数1~5のアルキル基を表し、
tは、1、2、3又は4を表す。]]
【化51】
[式中、
は、以下の4価の基からなる群より選ばれ、
【化52】
、T、T、Tは、それぞれ独立して、H原子、Cl原子、メチル基又はベンゼン環を表し、
、Tは、それぞれ独立して、H原子又はメチル基を表す。]
【0037】
本発明で開示されるリバースモードポリマー分散液晶表示装置において、好ましくは、式1a-1で表されるジアミン化合物は、以下の式1a-1-1から1a-1-11で表される化合物からなる群より選ばれる。
【0038】
【化53】
【化54】
【0039】
本実施形態で開示されるリバースモードポリマー分散液晶表示装置において、好ましくは、テトラカルボン酸二無水物化合物は、以下の式1b-1から1b-9で表される化合物からなる群より選ばれる。
【0040】
【化55】
【0041】
ポリイミド系ポリマーを合成する方法は、特に限定されない。一般的に、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分とを反応させてポリイミド系ポリマー得る。一般的に、テトラカルボン酸及びその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種類のテトラカルボン酸二無水物成分と、1種類又は複数種のジアミン化合物を含むジアミン成分とを反応させて、ポリアミド酸を得る。具体的には、テトラカルボン酸二無水物化合物と、第一級ジアミン化合物又は第二級ジアミン化合物とを縮合重合させてポリイミドを得る方法を使用することができる。
【0042】
ジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物化合物を溶媒で反応させる際に、ジアミン成分を溶媒に分散又は溶解した溶液を撹拌し、そのままテトラカルボン酸二無水物成分を添加したり、溶媒に分散又は溶解して添加したりする方法や、逆に、テトラカルボン酸二無水物成分を溶媒に分散又は溶解した溶液にジアミン成分を添加する方法や、代替的にジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分を添加する方法等が挙げられるが、これらのいずれかの方法を使用することができる。また、それぞれ複数種類のジアミン成分又はテトラカルボン酸二無水物成分を使用して反応させる場合、予め混合した状態で反応させてもよく、それぞれ順次に反応させてもよく、単独で反応してなる低分子量体を混合して反応させることによりポリマーを製造してもよい。
【0043】
液晶配向処理剤に使用する溶媒は、特定のポリマーを溶解する溶媒であれば、特に限定されない。例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリジノン、N-エチル-2-ピロリジノン、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、1,3-ジメチル-イミダゾリノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン又は4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン等がある。そのうち、N-メチル-2-ピロリジノン、N-エチル-2-ピロリジノン又はγ-ブチロラクトンを使用することが好ましい。それらは、単独で使用してもよく、混合して使用してもよい。
【0044】
液晶配向処理剤の塗布方法によって目的膜厚を得る観点から、液晶配向処理剤における溶媒含有量は、適切に選択されてもよい。よって、塗布により均一な垂直液晶配向膜を形成する観点から、液晶配向処理剤における溶媒含有量は、好ましくは50~99.9質量%であり、好ましくは60~99質量%であり、特に好ましくは65~99質量%である。
【0045】
本発明で開示されるリバースモードポリマー分散液晶表示装置は、その作製方法として、液晶配向処理剤を基板に塗布して焼成してから、ブラシ研磨処理、光照射等により配向処理して得る方法が挙げられる。本発明の垂直液晶配向膜の場合、これらの配向処理を行わなくても、垂直液晶配向膜として使用することができる。
【0046】
液晶配向処理剤の塗布方法に特に限定はなく、産業的にスクリーン印刷、オフセット印刷、フレクシブル印刷、インキジェット法、ディップコート法、ロールコート法、スリットコート法、スピンコート法又はスプレーコート法等が挙げられるが、基板の種類、垂直液晶配向膜の目的膜厚によって適切に選択することができる。
【0047】
液晶配向処理剤を基板に塗布した後、ヒートプレート、熱循環型オーブン又はIR(赤外線)型オーブン等の加熱手段で、基板の種類、液晶配向処理剤に使用する溶媒によって、30~300℃、好ましくは30~250℃の温度で溶媒を蒸発させることにより、垂直液晶配向膜を作製することができる。特に、基板としてプラスチック基板を使用する場合、好ましくは30~150℃の温度で処理する。
【0048】
焼成後の垂直液晶配向膜の厚さが厚すぎると、液晶表示素子の消費電力の点で不利となり、これに対して、厚さが薄すぎると、素子の信頼性が低下する場合があり、そのため、好ましくは5~500nmであり、より好ましくは10~300nmであり、特に好ましくは10~250nmである。
【0049】
本発明で使用する液晶組成物において、液晶表示期間を制御するための電極隙間(隙間ともいう。)、即ち液晶層厚さのスペーサーを導入することができる。液晶組成物の注入方法は、特に限定されず、例えば、以下の方法が挙げられる。具体的には、基板としてガラス基板を用いる場合、以下の方法が挙げられる。垂直液晶配向膜を形成した一対の基板を用意し、片側の基板4ピースに一部を除いて全て封止剤を塗布し、その後、垂直液晶配向膜の表面から内側に向かうように相対側の基板に貼り合わせることにより、空セルを作製する。そして、封止剤を塗布しない部位から液晶組成物を減圧注入することにより、液晶組成物が注入されたセルを得る。さらに、基板としてプラスチック基板、薄膜を用いる場合、以下の方法が挙げられる。垂直液晶配向膜を形成した一対の基板を用意し、在片側の基板にODF(液晶滴下注入、One Drop Filling)法、インキジェット法等により液晶組成物を滴下し、その後相対側の基板に貼り合わせることにより、液晶組成物が注入されたセルを得る。
【0050】
液晶表示装置の隙間は、前述スペーサー等により制御することができる。当該方法は、上記のように液晶組成物に標的サイズのスペーサーを導入する方法、標的サイズのコラムスペーサーを有する基板を使用する方法等が挙げられる。また、基板としてプラスチック、薄膜基板を用い、且つラミネートにより基板の貼り合わせを行う場合、スペーサーを導入しなくても、隙間を制御することができる。
【0051】
本発明における液晶表示装置は、自動車、列車及び飛行機等の運輸機器及び運輸機械に使用する液晶表示装置に適切に使用することができ、具体的には、光の透過及び遮断を制御する調光窓、バックミラーに用いる光ゲート素子等に使用することができる。
【実施例
【0052】
本発明をより明確に説明するために、以下、好ましい実施例と図面を参照して本発明をさらに説明する。図面中の類似する部材は同一の符号を付して示す。当業者は、以下に詳細に説明する内容は例示的なものであって限定的なものではなく、本発明の技術的範囲を限定するものではないことを理解すべきであろう。
【0053】
本発明において、製造方法は、特に断りのない限り一般的な方法であり、使用する原料は、特に断りのない限り公知の商業的手段から得ることができ、パーセントとは質量%を示し、温度は摂氏(℃)を示し、液晶化合物は液晶モノマーとも呼ばれ、液晶組成物は液晶媒体とも呼ばれる。
【0054】
以下の「ヘイズ」は、WGT-S光線透過率/ヘイズ測定計で測定する。
【0055】
液晶組成物の製造方法は、以下のとおりである。各液晶モノマーを一定の配合比で秤量した後、ステンレスビーカーに入れ、各液晶モノマーを入れたステンレスビーカーをマグネチック撹拌機器に置き、加熱融解する。ステンレスビーカーにおける液晶モノマーの大半が融解した後、ステンレスビーカーにマグネチックローターを加えて、混合物を均一に撹拌し、室温まで冷却した後、液晶組成物を得る。
【0056】
本開示の実施例の液晶モノマー構造は、コードで示し、液晶環構造、末端基、リンカーのコードの表示方法を以下の表1、表2に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
以下、具体例を示す。
【化56】
のコードは、PWY--3-O2であり、
【化57】
のコードは、PPWY-3-O2であり、
【化58】
のコードは、PGWP-3-2であり、
【化59】
のコードは、PPXY-3-O2であり、
【化60】
のコードは、PWYWP-3-2であり、
【化61】
のコードは、PWGWP-3-2であり、
【化62】
のコードは、PWY-Cp-O2であり、
【化63】
のコードは、PYWP- Cpr1-O2である。
【0060】
実施例1
液晶組成物Mix1の配合を、以下の表3に示した。
【0061】
【表3】
【0062】
重合性モノマー:
【化64】
【0063】
接着剤:
ポリウレタンアクリレート。
【0064】
液晶配向処理剤:
式1a-1で表されるジアミン化合物は1a-1-1であり、式1a-2で表されるジアミン化合物は、
【化65】
テトラカルボン酸二無水物化合物は1b-2、1b-6である。仕込み割合は1:1:1:1、溶媒はNMP(N-メチル-2-ピロリジノン)であり、40℃で8h反応させ、一定の濃度のポリイミド溶液が得られた。
【0065】
Mix1、重合性モノマー、接着剤を質量比69:8:23で黄色光条件で均一に混合し、リバースPDLC材料が得られた。
【0066】
ITOメッキのガラスに液晶配向処理剤を塗布し、加熱乾燥した後、液晶配向膜が得られ、直径10μmのスペーサー(Spacer)を均一にスプレーしてセル厚さを制御し、フレームにフレームペーストを均一に塗布し、セルを合わせて、UVで照射してフレームペーストを硬化させ、空セルを製造した。
【0067】
PDLC材料を空セルに真空注入し、液晶セルをUVランプ下に置き、10min照射してポリマーを十分に重合させ、リバースモードPDLC装置を得た。
【0068】
WGT-S光線透過率/ヘイズ測定計を使用してヘイズ及び透過率を測定した結果、無通電時のヘイズは5であり、透過率は89であり、40Vの電圧を印加した時のヘイズは86であり、透過率は58であった。本発明の実施例で製造されたリバースモードPDLC装置のコントラストは10.4であった。
【0069】
実施例2
液晶組成物Mix2の配合は、以下の表4に示した。
【0070】
【表4】
【0071】
重合性モノマー:
【化66】
【0072】
接着剤:
ポリウレタンアクリレート。
【0073】
液晶配向処理剤:
式1a-1で表されるジアミン化合物は1a-1-3であり、式1a-2で表されるジアミン化合物は、
【化67】
であり、テトラカルボン酸二無水物化合物は1b-2である。仕込み割合は10:5:1:4であり、溶媒はNMP(N-メチル-2-ピロリジノン)であり、40℃で8h反応させ、一定の濃度のポリイミド溶液が得られた。
【0074】
将Mix2、重合性モノマー、接着剤を質量比65:9:26で黄色光条件で均一に混合し、リバースPDLC材料が得られた。
【0075】
セル製造過程は、実施例1と同じようにする。
【0076】
WGT-S光線透過率/ヘイズ測定計を使用してヘイズ及び透過率を測定した結果、無通電時のヘイズは6であり、透過率は91であり、40Vの電圧を印加した時のヘイズは88であり、透過率は67であった。本発明の実施例で製造されたリバースモードPDLC装置のコントラストは10.6であった。
【0077】
実施例3
液晶組成物Mix3の配合は、以下の表5に示した。
【0078】
【表5】
【0079】
重合性モノマー:
【化68】
【0080】
接着剤:
ポリウレタンアクリレート。
【0081】
液晶配向処理剤:
式1a-1で表されるジアミン化合物は1a-1-10であり、式1a-2で表されるジアミン化合物は
【化69】
であり、テトラカルボン酸二無水物化合物は1b-6である。仕込み割合は8:5:1:4であり、溶媒はNMP(N-メチル-2-ピロリジノン)であり、60℃で8h反応させ、一定の濃度のポリイミド溶液が得られた。
【0082】
将Mix3、重合性モノマー、接着剤を質量比70:8:22で黄色光条件で均一に混合し、リバースPDLC材料が得られた。
【0083】
セル製造過程は、実施例1と同じようにした。
【0084】
WGT-S光線透過率/ヘイズ測定計を使用してヘイズ及び透過率を測定した結果、無通電時のヘイズは7であり、透過率は92であり、40Vの電圧を印加した時のヘイズは88であり、透過率は66であった。本発明の実施例で製造されたリバースモードPDLC装置のコントラストは10.5であった。
【0085】
比較例1
液晶組成物Mix4の配合は、以下の表6に示した。
【0086】
【表6】
【0087】
重合性モノマー:
【化70】
【0088】
接着剤:
ポリウレタンアクリレート。
【0089】
液晶配向処理剤:
式1a-1で表されるジアミン化合物は1a-1-1であり、式1a-2で表されるジアミン化合物は
【化71】
であり、テトラカルボン酸二無水物化合物は1b-2、1b-6である。仕込み割合は1:1:1:1であり、溶媒はNMP(N-メチル-2-ピロリジノン)であり、40℃で8h反応させ、一定の濃度のポリイミド溶液が得られた。
【0090】
将Mix4、重合性モノマー、接着剤を質量比70:9:21で黄色光条件で均一に混合し、リバースPDLC材料が得られた。
【0091】
セル製造過程は、実施例1と同じようにした。
【0092】
WGT-S光線透過率/ヘイズ測定計を使用してヘイズ及び透過率を測定した結果、無通電時のヘイズは8、透明状態での光線透過率は72であり、40Vの電圧を印加した時の、不透明状態でのヘイズは76であり、透過率は52であった。本発明の実施例で製造されたリバースモードPDLC装置のコントラストは5.2であった。
【0093】
実施例と比較例から明らかなように、本発明の実施例で製造されたリバースモードPDLC装置は、コントラストを大幅に向上させることができた。
【0094】
もちろん、本発明の上記実施例は、本発明を明確に説明するための例示にすぎず、本発明の実施形態を限定するものではなく、上記説明に加えて他の異なる形態の変更または変更が当業者にとって可能であり、ここではすべての実施形態を網羅するものではなく、本発明の技術的範囲に属する明らかな変更または変更は依然として本発明の保護範囲にある。
【符号の説明】
【0095】
1:第1の基板層
2:第1の導電層
3:第1の配向層
4:PDLC層
5:第2の配向層
6:第2の導電層
7:第2の基板層
図1