(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】消去とプログラムとの間の時間のずれを制限することによって、アナログ不揮発性メモリにおける読み出し電流安定性を改善する方法
(51)【国際特許分類】
G11C 16/10 20060101AFI20220809BHJP
【FI】
G11C16/10 140
(21)【出願番号】P 2022513531
(86)(22)【出願日】2020-08-25
(86)【国際出願番号】 US2020047833
(87)【国際公開番号】W WO2021045933
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-04-21
(32)【優先日】2019-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500147506
【氏名又は名称】シリコン ストーリッジ テクノロージー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SILICON STORAGE TECHNOLOGY, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルコフ、ビクター
(72)【発明者】
【氏名】コトフ、アレキサンダー
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-536011(JP,A)
【文献】特開2012-89207(JP,A)
【文献】特開2007-4869(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 16/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリデバイスであって、
複数の不揮発性メモリセルと、
コントローラであって、
前記メモリセルの第1のグループを消去及びプログラミングするための第1のコマンドを受信することと、
前記メモリセルの前記第1のグループが前記メモリセルの前記第1のグループの消去から実質的に10秒以内にプログラムされ得ることを判定することと、
グループ消去動作において前記メモリセルの第1のグループを消去することと、
前記グループ消去動作から実質的に10秒以内に前記メモリセルの第1のグループをプログラムすることと、
前記メモリセルの第2のグループを消去及びプログラミングするための第2のコマンドを受信することと、
前記メモリセルの前記第2のグループが、前記メモリセルの前記第2のグループの消去から実質的に10秒以内にプログラムされ得ないことを判定することと、
前記メモリセルの前記第2のグループを前記メモリセルの複数のサブグループに分割することであって、前記サブグループの各1つが、前記メモリセルの前記それぞれの1つのサブグループの消去から実質的に10秒以内にプログラムされ得る、分割することと、
前記メモリセルの前記サブグループの各々について、
サブグループ消去動作において前記メモリセルのサブグループを消去することと、
前記サブグループ消去動作から実質的に10秒以内に前記メモリセルのサブグループをプログラムすることと、を行うように構成されている、コントローラと、を含む、メモリデバイス。
【請求項2】
前記コントローラは、前記グループ消去動作において前記メモリセルの前記第1のグループ内の前記メモリセルの少なくとも全てを同時に消去するように更に構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記メモリセルの前記サブグループの各々について、前記コントローラは、前記サブグループ消去動作において前記メモリセルの前記サブグループ内の前記メモリセルの少なくとも全てを同時に消去するように更に構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記コントローラは、前記メモリセルの前記第1のグループ内の前記メモリセルの数が所定の数を超えていないことに基づいて、前記メモリセルの前記第1のグループが前記メモリセルの前記第1のグループの消去から実質的に10秒以内にプログラムされ得ることを判定し、前記メモリセルの前記第2のグループ内の前記メモリセルの数が前記所定の数を超えていることに基づいて、前記メモリセルの前記第2のグループが前記メモリセルの前記第2のグループの消去から実質的に10秒以内にプログラムされ得ないことを判定するように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記メモリセルの各々は、
半導体基板内に形成された離間したソース領域及びドレイン領域であって、前記基板のチャネル領域が間に延在している、ソース領域及びドレイン領域と、
前記チャネル領域の第1の部分の垂直方向上方に配設されており、かつそれから絶縁されている、浮遊ゲートと、
前記チャネル領域の第2の部分の垂直方向上方に配設されており、かつそれから絶縁されている、選択ゲートと、
前記浮遊ゲートの垂直方向上方に配設されており、かつそれから絶縁されている、制御ゲートと、を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記メモリセルの各々は、
前記ソース領域上方に配設されており、かつそれから絶縁されている消去ゲートを更に含む、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
複数の不揮発性メモリセルを有するメモリデバイスを動作させる方法であって、
前記メモリセルの第1のグループを消去及びプログラミングするための第1のコマンドを受信するステップと、
前記メモリセルの前記第1のグループが前記メモリセルの前記第1のグループの消去から実質的に10秒以内にプログラムされ得ることを判定するステップと、
グループ消去動作において前記メモリセルの第1のグループを消去するステップと、
前記グループ消去動作から実質的に10秒以内に前記メモリセルの第1のグループをプログラミングするステップと、
前記メモリセルの第2のグループを消去及びプログラミングするための第2のコマンドを受信するステップと、
前記メモリセルの前記第2のグループが、前記メモリセルの前記第2のグループの消去から実質的に10秒以内にプログラムされ得ないことを判定するステップと、
前記メモリセルの前記第2のグループを前記メモリセルの複数のサブグループに分割するステップであって、前記サブグループそれぞれが、前記メモリセルの前記それぞれの1つのサブグループそれぞれの消去から実質的に10秒以内にプログラムされ得る、分割するステップと、
前記メモリセルの前記サブグループの各々について、
サブグループ消去動作において前記メモリセルのサブグループを消去するステップと、
前記サブグループ消去動作から実質的に10秒以内にメモリセルの前記サブグループをプログラミングするステップと、を含む、方法。
【請求項8】
前記メモリセルの第1のグループを消去する前記ステップは、前記メモリセルの前記第1のグループ内の前記メモリセルの少なくとも全てを同時に消去するステップを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記メモリセルの前記サブグループの各々について、前記メモリセルの前記サブグループを消去する前記ステップは、前記メモリセルの前記サブグループ内の前記メモリセルの少なくとも全てを同時に消去するステップを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記メモリセルの前記第1のグループが前記メモリセルの前記第1のグループの消去から実質的に10秒以内にプログラムされ得ることを判定する前記ステップは、前記メモリセルの前記第1のグループ内の前記メモリセルの数が所定の数を超えていないことに基づき、前記メモリセルの前記第2のグループが前記メモリセルの前記第2のグループの消去から実質的に10秒以内にプログラムされ得ないことを判定する前記ステップは、前記メモリセルの前記第2のグループ内の前記メモリセルの数が前記所定の数を超えていることに基づく、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記メモリセルの各々は、
半導体基板内に形成された離間したソース領域及びドレイン領域であって、前記基板のチャネル領域が間に延在している、ソース領域及びドレイン領域と、
前記チャネル領域の第1の部分の垂直方向上方に配設されており、かつそれから絶縁されている、浮遊ゲートと、
前記チャネル領域の第2の部分の垂直方向上方に配設されており、かつそれから絶縁されている、選択ゲートと、
前記浮遊ゲートの垂直方向上方に配設されており、かつそれから絶縁されている、制御ゲートと、を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記メモリセルの各々は、
前記ソース領域上方に配設されており、かつそれから絶縁されている消去ゲートを更に含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本出願は、2019年9月3日出願の米国仮特許出願第62/895,458号及び2020年2月27日出願の米国特許出願第16/803,418号の利益を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、不揮発性メモリデバイスに関し、より具体的には、読み出し動作中のメモリセル電流の安定性を改善することに関する。
【背景技術】
【0003】
不揮発性メモリデバイスは、当該技術分野において周知である。例えば、4ゲートのメモリセル構成を開示する米国特許第7,868,375号を参照されたい。具体的には、本出願の
図1は、シリコン半導体基板12内に形成された、離間されたソース領域及びドレイン領域14/16を有するスプリットゲートメモリセル10を例示する。ソース領域14は、ソースラインSLと称され得(なぜなら、同じ行又は列の他のメモリセルの他のソース領域に共通に接続されるからである)、ドレイン領域16は、ビットラインコンタクト28によってビットラインに共通に接続される。基板のチャネル領域18は、ソース領域14とドレイン領域16との間に画定される。浮遊ゲート20は、チャネル領域18の第1の部分上方に配設されており、かつそれから絶縁されている(また、部分的にソース領域14上にありかつ、それから絶縁されている)(並びに、チャネル領域18の第1の部分の導電性を制御する)。制御ゲート22は、浮遊ゲート20上方に配設されており、かつそれから絶縁されている。選択ゲート24は、チャネル領域18の第2の部分上方に配設されており、かつそれから絶縁されている(並びに、チャネル領域18の第2の部分の導電性を制御する)。消去ゲート26は、ソース領域14上方に配設されており、かつそれから絶縁されており、浮遊ゲート20に横方向に隣接している。複数のそのようなメモリセルを行及び列に配置して、メモリセルアレイを形成することができる。
【0004】
電圧の様々な組み合わせが、制御ゲート22、選択ゲート24、消去ゲート26、並びに/又はソース領域及びドレイン領域14/16に印加されて、メモリセルをプログラムし(すなわち、浮遊ゲートに電子を注入し)、メモリセルを消去し(すなわち、浮遊ゲートから電子を除去し)、メモリセルを読み出す(すなわち、チャネル領域18の導電性を測定又は検出して、浮遊ゲート20のプログラミング状態を判定する)。
【0005】
メモリセル10は、デジタル様式で動作することができ、メモリセルは、2つの可能な状態:プログラム状態及び消去状態のみのうちの1つに設定される。メモリセルは、消去ゲート26に高い正電圧、任意選択的に制御ゲート22上に負電圧をかけることによって消去され、浮遊ゲート20から消去ゲート26への電子のトンネリングを誘導する(浮遊ゲートをより正に帯電した状態-消去状態のままにする)。メモリセル10は、制御ゲート22、消去ゲート26、選択ゲート24及びソース領域14上に正電圧をかけ、ドレイン領域16上に電流を流すことによってプログラムされ得る。次に、電子はチャネル領域18に沿ってドレイン領域16からソース領域14に向かって流れ、電子は加速及び加熱され、それによって電子の一部はホットエレクトロン注入によって浮遊ゲート20上に注入される(浮遊ゲートを負に帯電した状態-プログラム状態のままにする)。メモリセル10は、選択ゲート24に正電圧をかけること(選択ゲート24の下のチャネル領域部分をオンにすること)及びドレイン領域16上(並びに任意選択的に消去ゲート26及び/又は制御ゲート22上)に正電圧をかけることによって、及びチャネル領域18を通る電流の流れを検知することによって読み出すことができる。浮遊ゲート20が正に帯電する(メモリセルが消去される)場合、メモリセルはオンになり、電流は、ソース領域14からドレイン領域16へ流れる(すなわち、メモリセル10は、検知された電流に基づいて、その消去された「1」状態であることが検知される)。浮遊ゲート20が、負に帯電する(メモリセルがプログラムされる)場合、浮遊ゲート下のチャネル領域はオフにされ、それによって、いかなる電流も防止する(すなわち、メモリセル10は、電流なしであることに基づいて、そのプログラムされた「0」状態を検知する)。
【0006】
表1は、Vccが電源電圧又は2.5Vなどの別の正の電圧である、消去、プログラム、及び読み出し電圧の非限定的な例を提供する。
表1
【表1】
【0007】
メモリセル10は、メモリセルのメモリ状態(すなわち、浮遊ゲート上の電子の数などの電荷の量)を、完全に消去された状態(浮遊ゲート上の電子が最小)から完全にプログラムされた状態(浮遊ゲート上の電子の数が最大)までのどこでも連続的に、又はこの範囲の一部のみを変えることができる、アナログ様式で交互に操作することができる。これは、セル記憶がアナログであることを意味し、これは、メモリセルアレイ内の各メモリセルの非常に正確かつ個々のチューニングを可能にする。代替的に、メモリは、MLC(マルチレベルセル)として動作し得、ここで、多くの個別の値(16又は64の異なる値など)のうちの1つにプログラムされるように構成されている。アナログ又はMLCプログラミングの場合において、プログラミング電圧は、所望のプログラミング状態が達成されるまで、限られた時間のみ、又は一連のパルスとして印加される。複数のプログラミングパルスの場合において、プログラミングパルス間の介在読み出し動作を使用して、所望のプログラミング状態が達成された(その場合、プログラミングは停止する)か又は達成されていない(その場合、プログラミングは継続する)かどうかを判定することができる。
【0008】
アナログ様式で又はMLCとして動作されるメモリセル10は、メモリデバイスの精度に悪影響を及ぼし得るノイズ及び読み出し電流不安定性に対してより敏感であり得る。アナログ不揮発性メモリデバイスの読み出し電流不安定性の原因の1つは、ゲート酸化物-チャネル界面の電子トラップによる電子の捕捉及び放出である。ゲート酸化物は、基板12の浮遊ゲート20とチャネル領域18とを分離する絶縁層である。電子が界面トラップ上に捕捉されると、読み出し動作中のチャネル伝導率を低減し、したがって、メモリセルの閾値電圧Vt(すなわち、メモリセルのチャネル領域をオンにして、例えば1μAである特定のレベルの電流を生成するために必要な制御ゲート上の最小電圧)を増加させる。制御ゲート電圧が閾値電圧以上であるとき、ソース領域とドレイン領域との間に伝導経路が生成される。制御ゲート電圧が閾値電圧未満であるとき、伝導経路は生成されず、任意のソース/ドレイン電流はサブ閾値又は漏れ電流と見なされる。界面トラップ上に捕捉された電子は、トラップから放出され得、これは、メモリセルのVtを低下させ、したがって読み出し動作中にチャネル伝導率を増大させる。トラップによる電子捕捉及び放出のこれらの単一電子事象は、1)ランダム電信ノイズ(RTN)及び2)一方向Vtシフト(読み出し電流の一方向変化も引き起こす)をもたらし、これは、緩和(リラクゼーション)又はCCI-セル電流不安定性と称される。
【0009】
そのような緩和は、メモリセルが室温で長時間保持された後、又は1つの状態において高温で焼成され、次いで異なる状態に変わった後に検出されている。緩和は、前の状態に向かうメモリセルの新しい状態の小さな制限ドリフトとして現れる。例えば、メモリセルがその消去状態(読み出し動作中に低いVt及び高いチャネル電流を特徴とする)において一定時間保持された場合、その後、そのプログラム状態(読み出し動作中に高いVt及び低いチャネル電流を特徴とする)にプログラムされ、Vtはわずかに低下することが見出されており、読み出し動作中の読み出し電流は、同じ読み出し条件下で経時的に、わずかに増加することが見出されている。Vt及び読み出し電流シフトは、デジタル様式で動作するメモリセルの「1」と「0」の状態間の典型的なセル電流動作窓と比較した場合、比較的小さい。しかしながら、これらのシフトは、MLC(マルチレベルセル)として、又はアナログ様式で動作するメモリセルについては無視できない場合がある。
【0010】
不揮発性メモリデバイスにおける読み出し電流不安定性を低減する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0011】
上記の問題及び必要性は、複数の不揮発性メモリセル及びコントローラを有するメモリデバイスによって対処される。コントローラは、メモリセルの第1のグループを消去及びプログラミングするための第1のコマンドを受信することと、メモリセルの第1のグループが、メモリセルの第1のグループの消去から実質的に10秒以内にプログラムされ得ることを判定することと、グループ消去動作においてメモリセルの第1のグループを消去することと、グループ消去動作から実質的に10秒以内にメモリセルの第1のグループをプログラムすることと、メモリセルの第2のグループを消去及びプログラミングするための第2のコマンドを受信することと、メモリセルの第2のグループが、メモリセルの第2のグループの消去から実質的に10秒以内にプログラムされ得ないことを判定することと、メモリセルの第2のグループをメモリセルの複数のサブグループをメモリセルの複数のサブグループに分割することであって、サブグループの各1つが、メモリセルのそれぞれの1つのサブグループの消去から実質的に10秒以内にプログラムされ得る、分割することと、メモリセルのサブグループの各々について、サブグループ消去動作中にメモリセルのサブグループを消去することと、サブグループ消去動作から実質的に10秒以内にメモリセルのサブグループをプログラムすることと、を行うように構成されている。
【0012】
複数の不揮発性メモリセルを有するメモリデバイスを動作させる方法は、メモリセルの第1のグループを消去及びプログラミングするための第1のコマンドを受信するステップと、メモリセルの第1のグループが、メモリセルの第1のグループの消去から実質的に10秒以内にプログラムされ得ることを判定するステップと、グループ消去動作中にメモリセルの第1のグループを消去するステップと、グループ消去動作から実質的に10秒以内にメモリセルの第1のグループをプログラミングするステップと、メモリセルの第2のグループを消去及びプログラミングするための第2のコマンドを受信するステップと、メモリセルの第2のグループが、メモリセルの第2のグループの消去から実質的に10秒以内にプログラムされ得ないことを判定するステップと、メモリセルの第2のグループをメモリセルの複数のサブグループに分割するステップであって、サブグループそれぞれが、メモリセルのサブグループそれぞれの消去から実質的に10秒以内にプログラムされ得る、分割するステップと、メモリセルのサブグループの各々について、サブグループ消去動作中にメモリセルのサブグループを消去するステップと、サブグループ消去動作から実質的に10秒以内にメモリセルのサブグループをプログラミングするステップと、を含む。
【0013】
本発明の他の目的及び特徴は、明細書、特許請求の範囲、添付図面を精読することによって明らかになるであろう。
【0014】
【0015】
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】メモリデバイスの構成要素を例示する図である。
【
図3】メモリセルを消去及びプログラミングするステップを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、
図1のタイプの不揮発性メモリセル、好ましくは、アナログ様式で動作する不揮発性メモリセルの読み出し電流を安定化するための技術であり、読み出し動作精度及びメモリ保持寿命を改善する。アナログ様式で動作するメモリセルは、プログラム状態のアナログ動作範囲のみを使用し得、これは、プログラム状態のアナログ動作範囲の外側として本明細書で定義される、完全に消去された状態(浮遊ゲート上の電子の最小数)と、上記のように、完全にプログラムされた状態(浮遊ゲート上の電子の最大数)との間のプログラム状態の完全な動作範囲の一部分だけである。すなわち、メモリデバイスの寿命にわたって、メモリデバイスは、メモリセルがこのアナログ動作範囲内にほとんど留まるように構成され得る。アナログプログラミングの前に、メモリセルのアレイは消去されるため、消去されたメモリセルのVtは、実質的にアナログ動作範囲を下回る。次いで、メモリセルは、プログラムされたメモリセルのVtがアナログ動作範囲内にあるように、各メモリセルの個々のチューニングによってプログラムされる。読み出し安定化技術は、通常の動作中、メモリセルが消去されてからアナログ動作範囲内のVt値にプログラムされるときはいつでも、メモリセルの消去とメモリセルのプログラミングの間の時間が実質的に10秒以下であるように制限されるように、メモリデバイスのコントローラを構成することを含む。メモリセルの消去とメモリセルのプログラミングとの間の遅延が実質的に10秒以下である場合、その後の読み出し動作中のチャネル電流の不要なシフト(緩和。リラクゼーション)が低減又は排除されることが、本発明者らによって明らかにされた。
【0018】
メモリアレイの消去及びプログラミングは、
図2に例示されるような例示的なメモリデバイスのアーキテクチャからより良好に理解され得る。メモリデバイスは、不揮発性メモリセル10のアレイ50を含み、それは、2つの分離した平面(平面A52a及び平面B52b)に隔離され得る。メモリセル10は、半導体基板12に複数の行及び列で配置され、単一のチップ上に形成された、
図1に示されたタイプとすることができる。不揮発性メモリセルのアレイに隣接して、アドレスをデコードし、選択されたメモリセルに対する読み出し、プログラム、及び消去動作中、様々なメモリセルゲート及び領域に様々な電圧を供給するために使用される、アドレスデコーダ(例えば、XDEC54)、ソースラインドライバ(例えば、SLDRV56)、列デコーダ(例えば、YMUX58)、高電圧行デコーダ(例えば、HVDEC60)、及びビットラインコントローラ(例えば、BLINHCTL62)がある。列デコーダ58は、読み出し動作中にビットライン上の電流を測定するための回路を含むセンス増幅器を含む。コントローラ66(制御回路を含む)は、様々なデバイス素子を制御し、各動作(プログラム、消去、読み出し)を、対象のメモリセル上で実現する。電荷ポンプCHRGPMP64は、コントローラ66の制御下において、メモリセルの読み出し、プログラム、及び消去に使用される様々な電圧を提供する。コントローラ66は、メモリデバイスを動作させてメモリセル10をプログラムし、消去し、読み出すように構成されている。これらの動作の一部として、コントローラ66は、メモリセルにプログラムされるデータである入力データ(これは、データが提供される前、その間、又は後に、同じ又は異なるライン上に提供される消去/プログラムコマンドを含むことができる)へのアクセスを提供されている。別個の読み出し及び消去コマンドも提供することができる。メモリアレイから読み出されたデータは、出力データとして提供される。
【0019】
効率のために、メモリデバイスは、好ましくは、単一の消去動作で同時に複数のメモリセルを消去するように構成される。例えば、メモリセルの行又は列全体が同時に消去され得る。又は、行及び列のブロック全体を同時に消去することができる。したがって、コントローラ66は、任意の所与の消去/プログラム動作について同時に消去されるメモリセルの数を選択するように構成されているため、それらの消去されたメモリセルの後続のプログラミングは、消去後に実質的に10秒以内に完了することができる。例えば、同時に消去されるメモリセルのグループについて、10秒は、メモリセルのグループの消去が完了したときから、グループ内の最後のメモリセルのプログラミングが完了したときまでとして測定される。特定の消去/プログラム動作が、実質的に10秒以内に消去及びプログラムされ得ない所与の数のメモリセルを含む場合、コントローラ66は、全てのメモリセルが消去されたときから実質的に10秒以内にプログラムされていることを確実にするために、一度に1つのグループをそれらのメモリセルのグループ上で動作(消去及びプログラム)させるように構成される。
【0020】
例えば、コントローラ66が、消去動作後にX個のメモリセルをプログラムするために実質的に10秒かかる場合、Y個(ここで、YはXよりも大きい)のメモリセルを含む任意の消去/プログラム動作は、コントローラに、Y個のメモリセルを、各々がX個のメモリセルを超えない2つ以上のグループに分割させ、それによって、各グループの全てのメモリセルのプログラミングが、そのグループのメモリセルが消去されたときから実質的に10秒以内に完了することができるように、各グループに1つずつ同時に、消去/プログラム動作を適用する。したがって、各消去/プログラミング動作について、コントローラは、それらの同じメモリセルの消去が完了したときから実質的に10秒以内に、任意の所与の数のメモリセルの全てのプログラミングが完了するように、その動作を実行する。
【0021】
図3は、本発明のステップを例示する。ステップ1では、コントローラ66は、グループ内のY個のメモリセルを有するメモリセルのグループを消去及びプログラムするための(第1の)コマンドを受信する。ステップ2では、コントローラ66は、YがXよりも大きいかどうかを判定し、ここで、Xは、消去が完了した後に実質的に10秒以内にプログラムされ得るメモリセルの最大数(すなわち、最大限界)である。このステップは、Y個のメモリセルが、Y個のメモリセルの消去から実質的に10秒以内にプログラムされ得るかどうかを判定する。YがXよりも大きくない場合、Y個のメモリセルは、Y個のメモリセルの消去から実質的に10秒以内にプログラムされ得、したがって、ステップ3では、コントローラ66は、グループ内のY個のメモリセル全体を(好ましくは、必ずしもそうとは限らないが、同時に)消去し、ステップ4では、コントローラ66は、消去から実質的に10秒以内にグループ内のY個のメモリセルをプログラムする。しかしながら、ステップ2において、YがXよりも大きいと判定された場合、Y個のメモリセルは、Y個のメモリセルの消去から実質的に10秒内にプログラムされ得ず、したがって、ステップ5で、コントローラは、Y個のメモリセルのグループを、各々がXを超えないメモリセルの複数のサブグループに分割する。次いで、コントローラ66は、ステップ6のメモリセルの第1のサブグループを(好ましくは、必ずしもそうとは限らないが、同時に)消去し、ステップ7では、メモリセルの第1のサブグループを実質的に10秒以内にプログラムする。次いで、ステップ8では、コントローラ66は、メモリセルの他のサブグループの各々についてステップ6及び7を繰り返す。プロセスは、消去/プログラムコマンド(すなわち、第2のコマンド、第3のコマンドなど)が受信されるたびに繰り返される。この技術では、全てのメモリセルは、消去及びプログラミングのためのコマンドによってどれだけの数のメモリセルが標的とされるかを問わず、それらの消去から実質的に10秒以内にプログラムされる。
【0022】
上述の技術を例示するために、非限定的な例は、10μsの持続時間を有する単一のパルスによって、各バイト(8ビット)がデジタル様式でプログラムされる8MビットのデジタルNORフラッシュメモリデバイスであり得る。この例では、このデバイスの総プログラミング時間は、最低10秒かかり得る。しかしながら、データの正確なアナログプログラミングは、プログラミングアルゴリズムにおける複数のプログラム及び読み出し検証ステップを含むように、実質的にさらに長い時間かかり得る。例えば、アナログプログラミングについて必要な精度を満たすには、100個のプログラミングパルス、0.9μsの各パルス、及び0.1μsの持続時間を有するプログラミングパルス間の読み出し検証を必要とし得る。この例では、100万バイトの総アナログプログラミング時間は、最低でも100秒かかる。したがって、この場合、アナログプログラミングの前に実行される消去動作は、フラッシュメモリデバイス全体に対して実行されず、むしろ、アレイの1/10未満の大きさのフラッシュメモリデバイス内のメモリセルのブロックに対してのみ実行されるので、消去されたばかりのブロックのプログラミング時間は、実質的に10秒を超えない。
【0023】
本発明の利点は、任意のメモリセルが、実質的に10秒を超えてその消去状態に留まることを防止することによって達成されることに留意されたい。したがって、本発明によれば、消去されるメモリセルの任意のグループについて、グループ内の各メモリセルは、一部のメモリセルがデータでプログラムされる予定がない場合でも、実質的に10秒以内に少なくともいくつかのプログラミングの対象となる。例えば、消去されるセルのグループ内のメモリセルが任意のデータでプログラムされる予定がない場合、メモリセルは、アナログ動作範囲の外側にあるように完全にプログラムされるか、又は深くオーバープログラムされ得、同じビットライン上の他のメモリセルが読み出されているときに、このメモリセルがビットライン電流に追加する可能性のある寄与を効果的に最小限に抑える。したがって、消去の対象となるメモリセルのグループにプログラムされているデータに関係なく、メモリセルが実質的に10秒を超えて消去状態のままでないように、グループ内の全てのメモリセルはプログラムされる(
図3のステップ4又はステップ7~8を参照されたい)。本明細書で使用される場合、メモリセルのグループ又は複数のメモリセルをプログラミングすることは、グループ又は複数の各メモリセルが少なくともいくつかのプログラミング(すなわち、浮遊ゲート上への電子の少なくともいくつかの注入)の対象となることを意味する。
【0024】
本発明は、上で説明され、かつ本明細書において例示される実施形態に限定されるものではなく、任意の特許請求の範囲の範疇に収まるあらゆる変形例を包含することが理解されよう。例えば、本明細書における本発明への言及は、特許請求の範囲又は特許請求項の用語の限定を意図するものではなく、代わりに特許請求の範囲の1つ以上によって網羅され得る1つ以上の特徴に関連するにすぎない。上記で説明した材料、プロセス、及び数値の実施例は、単に例示的なものであり、特許請求の範囲を限定するものと見なされるべきではない。更に、特許請求の範囲及び明細書から明らかであるように、全ての方法のステップは、特に指定のない限り、例示又は特許請求されている厳密な順序で行われる必要はない。
【要約】
不揮発メモリセル及びコントローラを有するメモリデバイス。メモリセルの第1のグループを消去及びプログラミングするための第1のコマンドに応答して、コントローラは、第1のグループがそれらの消去から実質的に10秒以内にプログラムされ得ると判定し、第1のグループを消去し、第1のグループをそれらの消去から実質的に10秒以内にプログラムする。メモリセルの第2のグループを消去及びプログラミングするための第2のコマンドに応答して、コントローラは、第2のグループがそれらの消去から実質的に10秒以内にプログラムされ得ないと判定し、メモリセルのサブグループであって、サブグループの各々は、それらの消去から実質的に10秒以内にプログラムされ得るサブグループに第2のグループを分割し、サブグループの各々について、サブグループを消去し、サブグループをそれらの消去から実質的に10秒以内にプログラムする。
【選択図】
図3