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特許7121357スパイラルドットを用いるデジタル階調表現
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-09
(45)【発行日】2022-08-18
(54)【発明の名称】スパイラルドットを用いるデジタル階調表現
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/405 20060101AFI20220810BHJP
   B41C 1/00 20060101ALI20220810BHJP
   B41J 2/21 20060101ALI20220810BHJP
   B41J 2/205 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
H04N1/405 512
B41C1/00
B41J2/21
B41J2/205
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020523745
(86)(22)【出願日】2018-10-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-07
(86)【国際出願番号】 EP2018079011
(87)【国際公開番号】W WO2019081493
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2020-04-27
(31)【優先権主張番号】17198925.4
(32)【優先日】2017-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】18188424.8
(32)【優先日】2018-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】522266162
【氏名又は名称】アグファ・オフセット・ビーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バルテルス,ルドルフ
【審査官】西谷 憲人
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-026987(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0002384(US,A1)
【文献】特開2006-270927(JP,A)
【文献】特開平10-145593(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/405
B41C 1/00
B41J 2/21
B41J 2/205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続階調画像を網点ラスター画像に変換する方法であって、
ここで前記網点ラスター画像は
(i)第一の円弧(200)として又は複数の円弧が一緒になって第一のスパイラル(100)を表す複数の円弧として配置される画像ピクセル及び
(ii)第二の円弧(201)として又は複数の円弧が一緒になって第二のスパイラル(101)を表す複数の円弧として配置される非画像ピクセル
を含む複数の網点を含み、
ここでスパイラルドットの第一の円弧、第一のスパイラル、第二の円弧及び第二のスパイラルがそれぞれ連続階調画像の局所的濃度により決定される長さ及び/又は厚さを有し、前記方法は少なくとも1個の閾値タイルにより前記連続階調画像を前記網点ラスター画像に変換する段階を含み、それにより
-網点ラスター画像の明部及び中間階調において、第一の円弧又は第一のスパイラルの長さ及び/又は厚さを増すことにより画像ピクセルの数を増し;そして
-網点ラスター画像の暗部において、第二の円弧又は第二のスパイラルの長さ及び/又は厚さを減じることにより画像ピクセルの数を増す
方法。
【請求項2】
第一のスパイラルにはみ出しを加えることにより、又は第一のスパイラルの1個以上の断片の厚さを増すことにより、又は完全な第一のスパイラルの厚さを増すことにより、又は第二のスパイラルの内側に画像ピクセルを挿入することにより、又はこれらの方法の組み合わせにより画像ピクセルの数を増す請求項に記載の方法。
【請求項3】
(i)請求項又はの方法により連続階調画像を網点ラスター画像に変換し、そして(ii)前記網点ラスター画像を印刷版前駆体上で露出する工程を含む印刷版の作製方法。
【請求項4】
(i)請求項の方法により印刷版を作製し、(ii)前記版にインキを供給し、そして(iii)インキを前記版から基材に転写する工程を含む印刷法。
【請求項5】
(i)請求項又はの方法により連続階調画像を網点ラスター画像に変換し、そして(ii)網点ラスター画像の第一の円弧及び第一のスパイラルにより区画される領域において基材上にインキを噴射する工程を含むインキジェット印刷法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術的分野
本発明は、特に平版又はフレキソグラフィー印刷機による及びインキジェット印刷のようなデジタル印刷法による画像の印刷のために用いられるデジタル階調表現(digital halftoning)法の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
背景の技術
印刷機及びデジタルプリンターは、ディザリング又はスクリーニングとも呼ばれるデジタル階調表現を介する以外に特定の画像領域に適用されるインキ又はトナーの量を変えることができない。デジタル階調表現は、網点(halftone dots)とも呼ばれる複数のドットを用いて連続階調画像の幻影を表現する(rendering)方法である。デジタル階調表現により作られるデジタル画像は網点(halftone)ラスター画像又はスクリーンと呼ばれる。多段階(multilevel)及び二成分(binary)階調表現法が既知である。二成分法により作られる網点は画像データを示すピクセル及び非画像データを示すピクセルからなる。
【0003】
二成分デジタル階調表現は周知の方法であり、それはRobert Ulichneyにより彼の本、非特許文献1において詳細に説明されており、その中で「塊状ドット規則化ディザ(clustered-dot ordered dither)」についての5章は、連続階調画像を表現するための閾値タイル(threshold tiles)の使用を含む本発明のための背景技術である。
【0004】
デジタル階調表現法の別の概要は非特許文献2に開示されており、そこで多段階デジタル階調表現も説明されている。
【0005】
AM(振幅変調)スクリーニングは広く用いられる塊状ドット規則化ディザリング法(clustered-dot-ordered dithering technique)であり、その方法では画像の種々の濃度を示すために網点の寸法が変調される。AM画像を印刷する場合、各網点はさらにブロブと呼ばれるある量のインキに対応し、それは印刷されるべき基材上に印刷されるか又は噴射され、(非常に)短時間内に乾燥及び硬化されねばならず、それはウェットオンウェットであっても又はウェットオン(半)ドライであっても、互いの上に複数のインキを用いて印刷する場合に特に問題を生ずる場合がある。基材又は前の塗布インキ層(lay down ink layers)上におけるインキの広がりはブロブの厚さならびに基材上におけるインキの局所的(脱)濡れ((de)wetting)及び/又は吸収により決定され、それは印刷されるブロブを局所的に制御不可能にし、それにより印刷される画像及び基材に依存性の印刷の質におけるノイズを生ずる。
【0006】
その様な問題はFM(周波数変調)スクリーニングのような他のスクリーニング法又は誤差拡散を含む方法により処理することができる。これらの方法の両方において、網点の画像濃度はドット寸法ではなくてドットの周波数により変調される。しかしながら、これらの方法もまた印刷(print)の安定性、平坦な階調の劣った滑らかさ(poor smoothness of flat tones)、より高いドットゲイン及び長い印刷運転における印刷版のより高い摩耗のような他の問題を特徴とする。
【0007】
AMとFMの両方の利点を得るために両方法を結び付けたハイブリッドスクリーニング
法が利用可能である。しかしながら前記スクリーニング法は連続階調画像を表現するための複数の閾値タイルの使用を含み、それはこれらの複数の閾値タイル、例えば明部におけるFM法を用いる閾値タイル、中間階調におけるAM法を用いる閾値タイル及び暗部におけるFM法を用いる別の閾値タイルを保存するためのより多くのメモリスペースを必要とする。さらに、1つの閾値タイルから他の閾値タイルへの遷移は印刷画像における濃度ジャンプ(density jump)を生む場合があり、それにより前記スクリーニング法のキャリブレーションはAM及びFMより長いサービス時間(service time)を要しもする。
【0008】
特許文献1は印刷版又はデジタル印刷機上の中間画像担体のAM網点領域中のインキブロブの厚さを制御する方法を開示している。この方法は規則的に敷かれた(tiled)網点を有するラスター画像を生み、網点は非受容性部分を囲む1つ以上のインキ受容性環を含む。言い換えると、インキ受容性環は閉した輪を形成し、それはインキを受容しない部分を完全に囲む;結果としてドット内でインキが広がり得る程度は限られた状態で保たれ、それは囲まれた部分が満たされるとすぐにドット内におけるインキのさらなる広がりが不可能になるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国第2007/0002384号明細書
【非特許文献】
【0010】
【文献】“Digital Halftoning”,MIT Press,1987,ISBN 0-262-21009-6
【文献】”Recent trends in digital halftoning”,Proc.SPIE 2949,Imaging Sciences and Display Technologies,(7 February 1997);doi:1117/12.266335
【発明の概要】
【0011】
発明の概略
従って、画質が基材の性質にあまり依存せず、特に明部及び中間階調において画像のノイズが低いように、印刷されたインキブロブの広がりのより良い制御を可能にする別の網点画像がまだ必要である。
【0012】
これらの問題は請求項1の網点ラスター画像により解決され、ここで網点は図36を参照して:
(i)第一の円弧(200)として又は一緒になって第一のスパイラル(100)を表す複数の円弧として配置される画像ピクセル及び
(ii)第二の円弧(201)として又は一緒になって第二のスパイラル(101)を表す複数の円弧として配置される非画像ピクセル
を含む。そのようなドットを本明細書で「スパイラルドット」と呼ぶ。画像ピクセルは図中の黒い領域により示される。非画像ピクセルは非印刷領域を区画し、図中の白い領域により示される通りドット中に残される空白に対応する。図36の左側の2個のドットは低いドット被覆率(画像ピクセルの低いパーセンテージ)を有し、画像の明部を示し、一方図36の右側の2個のドットは高いドット被覆率を有し、前記画像の暗部を示す。
【0013】
画像ピクセルは、典型的にはインキを用いて例えば印刷機又はインキジェットプリンターにより、あるいはトナーを用いて例えばレーザープリンターにおいて印刷されるべき画
像の領域を区画する。我々は本明細書で主にインキを用いる印刷に言及するが、当業者は同じ論法がトナー又は昇華性染料のような他の型の着色料を用いる印刷に等しく適用されるか、あるいはワニス(varnish)又は白インキ(white ink)を用いる印刷に適用されることを理解する。
【0014】
画像の明部において、ドット当たりの画像ピクセルの数は少なく、それらは第一のスパイラルの断片のみを除いてその完全な巻き(winding)を形成できず、それは「第一の円弧」と呼ばれる。第一の円弧により部分的に囲まれる空白も別の円弧と考えられる場合があり、それは本明細書で「第二の円弧」と呼ばれる。画像の中間階調及び暗部においてドット当たりの画像ピクセルの数はもっと多く、それらは「第一のスパイラル」の1個以上の巻きを形成することができ、それにより第一のスパイラルの巻きの間の空白により区画される非画像ピクセルの「第二のスパイラル」も区画する(例えば図10を参照されたい)。
【0015】
理論に縛られるものではないが、印刷画像を拡大すると、印刷されたインキブロブの形及び寸法はインキの制御されない広がりによりあまり影響を受けないことが観察され得、それは、インキブロブが例えば印刷機により基材上に押される時、第一の円弧又は第一のスパイラルにより印刷される過剰のインキは第二の円弧又は第二のスパイラルに対応する空白中に流れることができるからである。空白は、第一の円弧/スパイラルから印刷されるインキを受容することができるインキ経路(ink channel)を区画し、それによりインキの広がりを制御するための手段を与える。
【0016】
空の環が互いに連結していない特許文献1に開示されている網点と対称的に、我々の発明のスパイラルドットにおいて用いられる空の円弧は互いに連結することができ(それにより第二のスパイラルを形成し)、インキブロブはドット内で広がるより広い余地を有する。結果として、本発明のラスター画像は印刷された基材上に形の良い(well-shaped)インキドットを与え、再現画像の向上した質及びより少ないドットゲインを生じ、それは新聞紙のような吸収性のコーティングされていない紙料(uncoated paper stock)上に印刷する場合に特に有利である。
【0017】
前記のより良いインキの広がりの故に、我々の発明は通常の方法より少ないインキの消費で優れたプリントの質を得ることを可能にし、それは通常のラスター画像を用いて印刷される時には印刷されたブロブの上に乗っている(sitting on)過剰のインキが、第二の円弧又は第二のスパイラルにより形成される空白を満たすことにより印刷画像の濃度に寄与するからである。
【0018】
さらに、局所的インキ堆積の程度がより低いことは印刷される基材上により薄いインキ滴を与え、従って印刷されるコピーのより速い乾燥を可能にする。
【0019】
請求項2により定義される我々の発明の好ましい態様において、第二のスパイラルは端が開放されており、すなわち網点の外縁において画像ピクセルで終わっておらず、それは過剰のインキをドットの外へ導くことができる開放経路を形成する。この態様によって与えられる印刷されたドットの拡大画像は、図25において示される通り、典型的に経路の出口、すなわちドットの外側において少量のインキの放出を示す。開放経路はインキのさらなる広がりならびに結果としてより多くのインキの節約及びさらにより速い乾燥を可能にする。
【0020】
我々の発明のラスター画像の別の利点は、全範囲の濃度値に関してシアン、マゼンタ、イエロー又はブラックのような色当たりに1つの閾値タイルによりそれを与えることができ、現在の画像処理機、プリプレスワークフローシステム(prepress work
flow systems)及びラスター画像処理機(RIP’s)、デジタルプリンター及びプレートセッター(plate setters)において追加のメモリをインストールせずにそれを実施し得ることである。
【0021】
画像の明部及び中間階調におけるより高い画像濃度の表現は、単に第一のスパイラルにさらに多くの円弧を加えることによりその長さを増し、それによりドットの中心の周りにより多くの第一のスパイラルの巻きを(及び結果としてより多くの第二のスパイラルの巻きも)与えることにより実現され得る。第一のスパイラルの厚さを増すことによってもより高い画像濃度を得ることができる。同じ画像において両方の態様を組み合わせることができ、すなわち網点の画像濃度を第一のスパイラルの長さを増すことにより、及び厚さを増すことにより向上させることができる。網点が接しているか又は重なってさえいる画像の暗部において、第二のスパイラルの長さ及び/又は厚さを縮小することによって、より高い画像濃度を得ることができる。
【0022】
我々の発明の網点ラスター画像は、平版及びフレキソグラフィー印刷系において好適に用いられる。本発明はデジタルプリンター、特にインキジェット系と組み合わせて用いられる時にも利点を与える。我々の発明のこれらの及び他の用途及び利点を詳細な説明においてさらに記載する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】50%のドット被覆率を有し、正方格子中に規則的に敷かれたアルキメデススパイラルドットを含む本発明に従うラスター画像の拡大図である。
図2】50%のドット被覆率及び楕円形を有し、閾値タイルのスクリーン角度に沿って傾けられたスパイラルドットを含む本発明に従うラスター画像の拡大図である。
図3】50%のドット被覆率を有し、六角格子中に規則的に敷かれたアルキメデススパイラルドットを含む本発明に従うラスター画像の拡大図である。
図4】50%のドット被覆率及び縁が丸い正方形を有するスパイラルドットを含む本発明に従うラスター画像の拡大図である。
図5】50%のドット被覆率を有するアルキメデススパイラルドットを含み、ここでスパイラルの回転の開始角度が同じ画像内で変化する本発明に従うラスター画像の拡大図である。
図6】50%のドット被覆率を有し、ドットの中心から縁への放射状の線を含むアルキメデススパイラルドットを含む本発明に従うラスター画像の拡大図である。
図7】50%のドット被覆率及び丸い縁のない正方形を有するスパイラルドットを含む本発明に従うラスター画像の拡大図である。
図8】50%のドット被覆率を有し、図1におけるスパイラルと比較して異なるパラメーターを用いて作製されたアルキメデススパイラルドットを含む本発明に従うラスター画像の拡大図である。
図9】(i)50%のドット被覆率を有するアルキメデススパイラルドット及び(ii)スパイラルドットの間の塊状ドットを含む本発明に従うラスター画像の拡大図である。
図10】90%のドット被覆率を有するアルキメデススパイラルドットを含む本発明に従うラスター画像の拡大図である。
図11図1におけると同じ閾値タイルにより与えられる複数のドット被覆率を示す。
図12図2におけると同じ閾値タイルにより与えられる複数のドット被覆率を示す。
図13図3におけると同じ閾値タイルにより与えられる複数のドット被覆率を示す。
図14図4におけると同じ閾値タイルにより与えられる複数のドット被覆率を示す。
図15図5におけると同じ閾値タイルにより与えられる複数のドット被覆率を示す。
図16図6におけると同じ閾値タイルにより与えられる複数のドット被覆率を示す。
図17図7におけると同じ閾値タイルにより与えられる複数のドット被覆率を示す。
図18図8におけると同じ閾値タイルにより与えられる複数のドット被覆率を示す。
図19図9におけると同じ閾値タイルにより与えられる複数のドット被覆率を示す。
図20】本発明に従う画像の作製に用いることができる1から256までの閾値を含む閾値タイルの例を示す。
図21】8.6%(=22/256)のドット被覆率に対応する22の閾値を有する網点のための図20の閾値タイルにより作製されるスパイラルドットを示す。
図22】本発明の画像の作製に適した閾値タイル(300-302)の例を示す。
図23】本発明の画像の作製に適した閾値タイル(303-305)の例を示す。
図24】本発明の画像の作製に適した閾値タイル(306)の例を示す。
図25】本発明に従う網点ラスター画像を用いて作製された印刷コピーの顕微鏡拡大図を示す。
図26図22-24の閾値タイルにより作製されるスパイラルドットを示す。
図27図22-24の閾値タイルにより作製されるスパイラルドットを示す。
図28図22-24の閾値タイルにより作製されるスパイラルドットを示す。
図29図22-24の閾値タイルにより作製されるスパイラルドットを示す。
図30図22-24の閾値タイルにより作製されるスパイラルドットを示す。
図31図22-24の閾値タイルにより作製されるスパイラルドットを示す。
図32図22-24の閾値タイルにより作製されるスパイラルドットを示す。
図33図22-24の閾値タイルにより作製されるスパイラルドットを示す。
図34図22-24の閾値タイルにより作製されるスパイラルドットを示す。
図35図22-24の閾値タイルにより作製されるスパイラルドットを示す。
図36】(i)第一の円弧(200)として又は一緒になって時計回りに回転する第一のスパイラル(100)を表す複数の円弧として配置される画像ピクセル及び(ii)第二の円弧(201)として又は一緒になって時計回りに回転する第二のスパイラル(101)を表す複数の円弧として配置される非画像ピクセルを含む本発明に従う4個のスパイラルドットを示す。
図37】標準的なオフセット角度(0、15、45及び90°)及び240LPIのスクリーン周波数を用い、従来技術のスクリーニング法(AgfaのABSスクリーニング)により作製されるラスター画像の4-色(CMYK)印刷コピーの走査画像を示す。
図38図37で示されたと同じであるが、本発明に従うラスター画像により、図37におけると同じスクリーン角度、色及びスクリーン周波数を用いて作製されたプリントの走査画像を示す。
図39】本発明に従うラスター画像からのスパイラルドット(3077)を示す。
【0024】
図面の簡単な記述
図1及び図11図1は50%のドット被覆率を有し、正方格子中に規則的に敷かれたアルキメデススパイラルドットを含む本発明に従うラスター画像の拡大図である。図11図1におけると同じ閾値タイルにより与えられる複数のドット被覆率を示す。
【0025】
図2及び図12図2は50%のドット被覆率及び楕円形を有し、閾値タイルのスクリーン角度に沿って傾けられたスパイラルドットを含む本発明に従うラスター画像の拡大図
である。図12図2におけると同じ閾値タイルにより与えられる複数のドット被覆率を示す。
【0026】
図3及び図13図3は50%のドット被覆率を有し、六角格子中に規則的に敷かれたアルキメデススパイラルドットを含む本発明に従うラスター画像の拡大図である。図13図3におけると同じ閾値タイルにより与えられる複数のドット被覆率を示す。
【0027】
図4及び図14図4は50%のドット被覆率及び縁が丸い正方形を有するスパイラルドットを含む本発明に従うラスター画像の拡大図である。図14図4におけると同じ閾値タイルにより与えられる複数のドット被覆率を示す。
【0028】
図5及び図15図5は50%のドット被覆率を有するアルキメデススパイラルドットを含み、ここでスパイラルの回転の開始角度が同じ画像内で変化する本発明に従うラスター画像の拡大図である。図15図5におけると同じ閾値タイルにより与えられる複数のドット被覆率を示す。
【0029】
図6及び図16図6は50%のドット被覆率を有し、ドットの中心から縁への放射状の線を含むアルキメデススパイラルドットを含む本発明に従うラスター画像の拡大図である。図16図6におけると同じ閾値タイルにより与えられる複数のドット被覆率を示す。
【0030】
図7及び図17図7は50%のドット被覆率及び丸い縁のない正方形を有するスパイラルドットを含む本発明に従うラスター画像の拡大図である。図17図7におけると同じ閾値タイルにより与えられる複数のドット被覆率を示す。
【0031】
図8及び図18図8は50%のドット被覆率を有し、図1におけるスパイラルと比較して異なるパラメーターを用いて作製されたアルキメデススパイラルドットを含む本発明に従うラスター画像の拡大図である。図18図8におけると同じ閾値タイルにより与えられる複数のドット被覆率を示す。
【0032】
図9及び図19図9は(i)50%のドット被覆率を有するアルキメデススパイラルドット及び(ii)スパイラルドットの間の塊状ドットを含む本発明に従うラスター画像の拡大図である。図19図9におけると同じ閾値タイルにより与えられる複数のドット被覆率を示す。
【0033】
図10は90%のドット被覆率を有するアルキメデススパイラルドットを含む本発明に従うラスター画像の拡大図である。
【0034】
図20及び図21図20は本発明に従う画像の作製に用いることができる1から256までの閾値を含む閾値タイルの例を示す。図21は、8.6%(=22/256)のドット被覆率に対応する22の閾値を有する網点のための図20の閾値タイルにより作製されるスパイラルドットを示す。
【0035】
図22-24:これらの図は本発明の画像の作製に適した閾値タイル(300-306)の例を示す。
【0036】
図25は本発明に従う網点ラスター画像を用いて作製された印刷コピー(スクリーン周波数 240LPI;スクリーン角度 45°)の顕微鏡拡大図(microscopic enlargement)を示し、それはAgfa NVからの平版印刷版Elite ProによりCMYK Man Roland 300a印刷機を用いてコート紙(
130gr)上に印刷された。スパイラルドット間の小さい斑点は原画で作られた走査から生ずる人工産物である。
【0037】
図26-35:これらの図は、図22-24の閾値タイルにより作製されるスパイラルドットを示す。ドットは、閾値タイルと同じ番号を用い、それに閾値を付けて延ばして番号付けされる。例えばドット「3025」は閾値タイル302及び閾値5により作製されるスパイラルドットであり;同様にドット「3017」は閾値タイル301及び閾値7により作製されるスパイラルドットであるなど。
【0038】
図36は、
(i)第一の円弧(200)として又は一緒になって時計回りに回転する第一のスパイラル(100)を表す複数の円弧として配置される画像ピクセル及び
(ii)第二の円弧(201)として又は一緒になって時計回りに回転する第二のスパイラル(101)を表す複数の円弧として配置される非画像ピクセル
を含む本発明に従う4個のスパイラルドットを示す。
【0039】
図37は標準的なオフセット角度(0、15、45及び90°)及び240LPIのスクリーン周波数を用い、従来技術のスクリーニング法(AgfaのABSスクリーニング)により作製されるラスター画像の4-色(CMYK)印刷コピーの走査画像を示す。
図38図37で示されたと同じであるが、本発明に従うラスター画像により、図37におけると同じスクリーン角度、色及びスクリーン周波数を用いて作製されたプリントの走査画像を示す。ドット間の小さい斑点は走査及び色変換から生ずる人工産物である。
図39:この図は本発明に従うラスター画像からのスパイラルドット(3077)を示す。
【0040】
好ましい態様の説明
定義
網点はスクリーンの画素であり、例えば円形、楕円形、菱形又は正方形であることができる。画像の明部及び中間階調において、網点は互いから分離しているが、約50%より高い被覆率においてドットは互いと連結する。
【0041】
網点ラスター画像とも呼ばれるスクリーンは、印刷及び非印刷画素(網点又は線)に分類される(broken down)領域であり、ここで面積当たりのドットの寸法及び/又は数は連続階調画像のような原画の階調値(濃度とも呼ばれる)に従って変わる。
【0042】
階調表現とも呼ばれるスクリーニングは、連続階調画像を網点ラスター画像又は1組の網点ラスター画像に変換する方法である。変換は1つ以上の閾値タイルの使用を含む場合がある。閾値タイルの数は通常連続階調画像中に含まれる色成分(color channels)の数に依存する。
【0043】
連続階調(デジタル)画像は、ラスターグラフィックスフォーマットとも呼ばれる種々の画像フォーマットにより定義され、その制限ではない例はPortable Network Graphics(PNG)、Tagged Image File Format(TIFF)、Adobe Photoshop Document(PSD)、Joint Photographic Experts Group(JPEG)及びBiomap(BMP)である。連続階調画像は典型的に8-ビットグレースケール又は48-ビットカラーのような大きい色深度を有する。
【0044】
スクリーン定義又はスクリーン線数と呼ばれることもあるスクリーン周波数は、最大値を与える方向における単位長さ当たりの網点及びスクリーン線の数である。それはcm当
たりの線又はインチ当たりの線(LPI)で測定される。低周波数のスクリーンは粗い外観を与えるが、高周波数のスクリーンは微細且つ滑らかな外観を与える。
【0045】
RIPはラスター画像処理機の略語である。RIPは1頁の情報(画像、テキスト、図形要素及び位置コマンド(positional commands)を含む)を網点ラスター画像に変換し、それはイメージセッター(image setter)、プレートセッター又はデジタルプリンターのような出力装置に送られる場合がある。RIPは出力装置内に含まれる場合もある。
【0046】
アドレサビリティー(addressability)とも呼ばれる解像度は、モニター、印刷版のような出力装置により又は紙上に再現され得る単位長さ当たりの画素(ドット、ピクセル)の数である。通常cm又はインチ(dpi)当たりの単位(ドット)において表される。高い解像度は詳細の優れた表現を意味する。高い解像度を有する出力装置は高いスクリーン周波数の使用を許す。
【0047】
ラスター画像
本発明のラスター画像は連続階調画像を表現するのに適しており、すなわちそれは印刷コピー上に連続階調画像の幻影を作る。この要件は、スクリーン周波数がインチ当たり40本の線(LPI;cm当たり15.7本の線)より高い、より好ましくは60LPI(cm当たり23.6本の線)より高い、そして最も好ましくは100LPI(cm当たり39.4本の線)より高いことを意味する。スクリーン周波数が40LPIより低い場合、約20cmである読取り距離(reading distance)とも呼ばれる視距離においてドットが見えるようになる。そのような低いスクリーン周波数は典型的に芸術的スクリーニングにおいて用いられ、それは個々のドットが裸眼に可視であることが意図されているパターンイラストレーション(patterned illustrations)のような装飾目的のために用いられる。視距離でドットが明確に見えるラスター画像は、従って本発明の態様ではない。
【0048】
本発明のラスター画像は、規則的に敷かれた、例えば三角、四角又は六角格子(例えば図3及び図13)に沿って敷かれた、そして好ましくは正方格子に沿って敷かれた(例えば図1及び図11)スパイラルドットを含む。スパイラルドットはブルーノイズ(blue noise)又はホワイトノイズ(white noise)配置網点のような(半)ランダム配置網点において用いられる場合もある。しかしながら、印刷画像において不規則な構造を避けるために、規則的に敷かれたスパイラルドットが好ましい。隣接ドットの中心間の距離は50μmから400μmまでの範囲の場合がある。
【0049】
ラスター画像は、AMドット及び/又はFMドットのような通常の網点を本発明のスパイラルドットと組み合わせてさらに含む場合がある(例えば図9及び19を参照されたい)。より好ましい態様において、ラスター画像は完全に本発明に従うスパイラルドットからなる。
【0050】
本発明に従うラスター画像のスクリーン角度は、好ましくは0°+k×30°、7.5°+k×30°、15°+k×30°、22.5°+k×30°からなる群より選ばれ、ここでkは負又は正の整数である。最も好ましい態様は、0°、15°、75°、90°、45°、67.5°、22.5°、7.5°、82.5°及び37.5°からなる群より選ばれるスクリーン角度を有する。スクリーン角度は印刷産業において通常定義されている通りに、すなわち直交座標系と一致して水平軸から反時計回りに測定される。多色印刷において複数のラスター画像が組み合わされる場合、色の選択の間のスクリーン角度の差は、好ましくは15°の乗数(multiplier)又は30°の乗数である。
【0051】
スパイラルドット
本発明の画像におけるスパイラルドットは、好ましくは1個のみの「第一の円弧」又は1個のみの「第一のスパイラル」を含み、すなわちすべての画像ピクセルは一緒になって1個の円弧又は複数の巻きを有する場合がある1個のスパイラルを形成する。しかしながら画像ピクセルが1個より多い円弧又は1個より多いスパイラルに配置されている網点を有するラスター画像も本発明の態様である。そのような態様において、画像ピクセルを示す複数の円弧又はスパイラルは、図31-35(3046-3049及び30410)において示される通り、共通の中心において互いに連結している場合がある。従って本明細書で我々が「第一の円弧」又は「第一のスパイラル」(単数形)と言う場合、複数の第一の円弧又はスパイラルを有する網点も本発明により包含されることが明らかでなければならない(304)。第二の円弧及び第二のスパイラルに同じ注意が適用される。
【0052】
スパイラルは複数の円弧の組み合わせとしてみなされる場合がある。円弧は閉じた輪を形成しない曲線であり、典型的に例えば円又は楕円の断片に相当するが、あまり普通でない形(less conventional shapes)、例えば任意的に丸くされた四角形又は任意的に丸くされた三角形の断片も本発明の状況において前記用語に包含される。
【0053】
好ましい態様において、第一の円弧又はスパイラルの中心は点の場合がある(1個の画像又は非画像ピクセル)が、それは従来技術のAMドットに類似の塊状の網点であることもできる。中心ドットは円又は正方形のようないずれの形を有する場合もある(例えば図29-35:3014-3019;30110;3026-3029;30210;3032-3039;30310を参照されたい)。中心ドットは高い画像濃度を示す網点においてより大きく、低い画像濃度を示す網点においてより小さい場合がある。
【0054】
一緒になって第一のスパイラルを構成するすべての円弧は好ましくは互いに連結し、第一のスパイラルは連続線を示す。第一のスパイラルは分離された非画像ピクセルも含むか又は切断された円弧を含み、図39に示される通り、第一のスパイラルは1つ以上の位置において空白により中断されている場合がある。その態様において、第一のスパイラルの隣接円弧を隔てている空白は第二のスパイラルの第一のスパイラル中へのはみ出し(protrusion)とみなされる場合がある。そのような第二のスパイラルのはみ出しは第一のスパイラルを切断された円弧に完全に切断する場合があるか、又は不完全に切断してそれにより第一のスパイラルは中断されていないが局所的により薄い厚さに縮小する場合がある。
【0055】
第二のスパイラルは我々の発明のラスター画像の非画像ピクセル、すなわち第一のスパイラルの円弧間の空白を示す。本発明の1つの態様において、隣接する第一のスパイラルの巻きの間の空間は完全に空であり、すなわちいずれの画像ピクセルも含まない。そのような態様において、空白は連続的な第二のスパイラルを形成する。本発明の別の態様において、第一のスパイラルは画像ピクセルのはみ出しを含み、それは図28-35(3063-3069及び30610)に示される通り、巻きの間の空白中に延びている;そのようなはみ出しは2個の隣接する第一のスパイラルの巻きを連結させ、それにより第二のスパイラルを前記の第一のスパイラルのはみ出しにより互いから隔てられた2個以上の断片に分割する。第二の円弧又は第二のスパイラルの他の態様は分離された画像ピクセル、すなわち第一のスパイラルに接していない画像ピクセルを、隣接する第一のスパイラルの巻きの間の空白内に含む場合がある。
【0056】
第一の円弧又は第一のスパイラルのはみ出しは、スパイラルドット中に1つ以上の放射状の線を形成するように整列する場合がある(図6及び図16)。そのような放射状の線の厚さは、例えば1個のピクセルから5個のピクセルまでの場合がある。例えば150L
PI(cm当たり59本の線)より高い高スクリーン周波数のために、前記放射状の線の厚さは1個又は2個のピクセルの場合がある。放射状の線はスパイラルドットの中心をスパイラルドットの外縁に連結させる場合があるか、或いは中心又は外縁と接触せずに2個以上の第一のスパイラルの巻きのみを連結させる場合がある。放射状の線の角度はスクリーン角度及び/又はスパイラルの開始角度に依存する場合がある。
【0057】
我々の発明の非常に好ましい態様において、第二の円弧又は第二のスパイラルは端が開放されており、すなわち網点の外縁において画像ピクセルで終わっておらず、それは過剰のインキをドットの外へ制御されたやり方で導く開放経路を形成する。そのような開放経路のない態様において、より高いインキの堆積はドットの外縁の外側の制御されないインキのはねを生じ、それにより印刷コピー上に不規則な形のインキドットを与え、より低い画質を生ずる場合がある。
【0058】
好ましい態様において、第一及び第二の円弧ならびに第一及び第二のスパイラルの厚さは独立して1個から10個のピクセルまで、より好ましくは2個から5個のピクセルまでであり、それは好ましくは1μmから75μmまでの厚さに相当する。
【0059】
円弧及びスパイラルの最小の厚さの選択は、ラスター画像が意図する印刷法の解像度に基づく場合がある。上記の制御されたインキの広がりを可能にする最大の厚さは、網点ラスター画像が印刷されることになっている特定の基材の型により決定される場合があるか及び/又は所望のスクリーン周波数により決定される場合がある。これらの及び開始角度のような他の選択は、好ましくは網点ジェネレーター(generator)のユーザーインターフェイスの入力フィールドにおいて成される。
【0060】
同じ全体的な寸法の異なるスパイラルドットを用いて同じドット被覆率を与え得ることが当業者に明らかなはずである:ある厚さの1つのみの第一のスパイラルの巻きからなるドットは、もっと低い厚さのもっと多くの第一のスパイラルの巻きを有するドットと同じ被覆率を与える。
【0061】
第一の円弧又は第一のスパイラルの厚さは同じドット内で変わる場合もあり、例えばドットの縁におけるより中心において小さく、例えば図32(3027)及び33(3028)を参照されたい。そのようなスパイラルドットは、特に画像の中間階調においてより低い粒状性を与える場合がある。
【0062】
本発明において用いられる円弧及びスパイラルの巻きは時計回り又は反時計回りの場合があり、これらの態様の両方を同じラスター画像において組み合わせることができる。図1-10は時計回りの巻きを有するスパイラルドットを示す。反時計回りの巻きの例を例えば図29-35(3004-3010;3014-19;30110;3024-29;30210;3034-3039;30310)に示す。
【0063】
ドットの中心における第一の円弧又は第一のスパイラルの開始角度は、好ましくは画像中のすべてのスパイラルドットに関して同じである。本発明の別の態様において、各スパイラルドットの開始角度は乱数ジェネレーター(random number generator)によりランダムに選ばれる(図5及び図15)。これはあまり好ましくない態様であり、それはドットが互いに不規則なやり方で接する場合があり、それは高いノイズを生ずる(result in noisiness)場合があるからである。
【0064】
第一の円弧又は第一のスパイラルの形はいずれの型のものの場合もあり、種々の型の円弧及びスパイラルを同じラスター画像内で組み合わせることができる(例えば縁が丸い正方形を有する図4のスパイラルドットを参照されたく、一方、図4のスパイラルドットは
縁が丸くない正方形を有する)。
【0065】
好ましい態様において、第一のスパイラルは式
r=a+b×θ
により定義されるアルキメデススパイラルであり、式中、rは半径方向距離(radial distance)であり、θは極角であり、a及びbはスパイラルの中心におけるその開放部(opening)及び隣接する巻きの間の距離を定義するパラメーターである。式
r=a+b×θ(1/n)
により定義をさらに拡大することさえでき、式中、nはいかに密にスパイラルが巻かれるかを決定する定数である。図1、3及び8は異なるパラメーターa及びbを有するアルキメデススパイラルを示す。
【0066】
他の態様において、第一のスパイラルは円インボリュート(circle involute)、オイラースパイラル(Euler spiral)の一部、対数スパイラルの一部又はフェルマースパイラルの場合もある。他の型のスパイラルはギエリススーパーフォミュラ(Gielis super formula)を用いて作製される場合があり、以下はその適した例である:
【数1】
例1:
【数2】
例2:
【数3】
【0067】
第一のスパイラルは楕円スパイラルの場合もある(図2及び12)。そのような態様において、楕円の長軸は好ましくはラスター画像のスクリーン角度に沿って又はスクリーン角度に垂直に配向している。
【0068】
すでに発明の概略において示した通り、第二の円弧又は第二のスパイラルにより区画さ
れるインキ経路は、第一の円弧又は第一のスパイラルにより区画される領域で印刷されるインキの制御された広がりを可能にし、それにより最高水準より少ないインキを用いてもっと高い画質を得ることを可能にする。さらに、制御されたインキの広がりは印刷斑点の減少も可能にする。従来技術においては、例えばインキ吸収性コーティングを適用することにより、又は印刷前のコロナ処理若しくは火炎処理により基材の表面を改変することによって印刷斑点を減少させる。本発明はいくつかの基材に関してそのような改変を避けることを可能にする。さらにそれは紙のより優れた吸水性も与え、水干渉斑点(water
interference mottle)を減少させる。それは吸収性基材において、画像が基材の裏側で見えるようになるプリントスルー(print through)とも呼ばれるシャインスルー(shine through)さえ減少させる場合がある。
【0069】
本発明はIsaac Amidror;Kluwer Academic Publishers,(2000;ISBN 0-7923-5950-X)の“The Theory of the Moire Phenomenon”において開示されている通り、従来技術において種々の色、スクリーン周波数及びスクリーン角度を互いの上に印刷する時に起こると知られているモアレを減少させることも可能にし、前記文献において第3章“Moire minimization”を参照されたい。1つより多いカラーステーション(colour station)を有する多色印刷機を用いる場合、1つのカラーステーションにより印刷される網点中の第二のスパイラルが別のカラーステーションによりすでに印刷されたインキのためのインキ経路としても働き得るようである。結局第一のカラーステーションにより基材上に塗布された(laid down)インキの広がりをAM階調表現のような通常の方法を用いるより優れたやり方で制御することができ、より少ないモアレを生ずる。
【0070】
被写体モアレ(subject moire)のようなモアレ効果を減少させるために、より少ないがより厚い巻きで同じ被覆率を与えるドットではなく、薄い第一のスパイラルの複数の巻きを含むスパイラルドットを用いるのもさらにもっと好ましい。複数の巻きはモアレ効果をあまり見えなくし、それはそのようなドットがより高いスクリーン周波数の印象を与えるからである。通常のスクリーンにより与えられるモアレ効果は図37に示されるような典型的なロゼット構造を生じ、それは本発明に従うラスター画像を用いる場合にはあまり顕著でない(図38
【0071】
本発明は、通常のAMスクリーンにおいて起こる場合がある中間階調での階調ジャンプ(tone jump)もあまり受けない。本発明の成長している網点の縁が接する時、従来技術において既知の濃度ジャンプとも呼ばれる突然の階調ジャンプを減少させることができ、それは、接しているドットにより引き起こされるインキの堆積がドット中のインキ経路により排出されるからである。
【0072】
インキの広がりはさらに印刷コピーのより速い乾燥を可能にする。これは印刷機作業(press work)をプルーフ(proof)と協調させる(align)ことを可能にし、それはそれらが両方とも乾燥しており、ドライバック(dryback)を考慮する必要がないからである。より速い乾燥は、例えば印刷機のデリバリートレー(delivery tray)におけるインキ裏移り、すなわち1つの印刷コピーからその上にある別のコピーの裏側へのインキの転移の危険も減少させる。従って本発明は、1回の印刷機の通過で基材の両面上に同時に印刷することを可能にする両面刷り印刷機と一緒に用いるにも十分に適している。より速い乾燥は、コーティングされていない箔又はプラスチック上における印刷のために及び新聞印刷においても有益である。より速い印刷速度を達成することができ、印刷された製品(printed jobs)をより速く製本所に持っていくことができる。ヒートセットインキを用いるオフセット印刷において、乾燥オー
ブンの温度を下げ、それによりエネルギーコストを節約することができる。同様に硬化性インキを用いるオフセット印刷は、より少ない硬化装置(UVLEDs、UVバルブ又は電子ビーム)によるエネルギー消費で可能になる。本発明により可能になるより速い乾燥は、より優れたトラッピング(trapping)を与える場合もあり、インキトラップ斑点(ink trap mottle)が減少する。
【0073】
インキジェット印刷も本発明の利点から利益を受ける。特に基材の表面張力が脱濡れを引き起こす場合、本発明のラスター画像は均一なベタパッチ(solid patch)のような、通常のAMスクリーンと比較してより優れたプリントの質を与え、それはインキ経路が基材上における局所的なインキの堆積を妨げるからである。本発明は、コーティングされた(プラスチック)フィルム、半透明(プラスチック)フィルム及び新聞紙のような多様な基材上における例えば200LPI(cm当たり78.7本の線)を超える高いスクリーン周波数でのインキジェット印刷を可能にし、それは最高水準のAM階調表現法により達成可能ではなかった。
【0074】
本発明のラスター画像により与えられるパッチのより優れた均一性は、カラーマネジメントシステムのためのカラープロファイルの測定をより容易に及び印刷機運転の間に印刷コピーを測定することによりカラー画像を例えばオンラインカラーモニタリング(online colour monitoring)と一致させるのを容易にする。結果としてプリント製品はより速くカラーで現れ、廃棄される基材はより少ない。
【0075】
閾値タイル
本発明のラスター画像は、好ましくは閾値アレーとも呼ばれる1個以上の閾値タイルにより作製され、それは連続階調画像を網点ラスターに変換する。前記変換は閾値表現(threshold rendering)とも呼ばれる。閾値タイルの使用は当該技術分野において周知である。閾値タイルについてのさらなる情報は、例えばSPIE/IEEE Series on Imaging Science and Engineering(11 November 1999;ISBN0-8194-3318-7)において出版されたHenry R.Kangによる“Digital Color Halftoning”,第13章;及びRobert Ulichneyによる“Digital halftoning”,第5及び6章(出版社 MIT Press Cambridge,MA,USA;1987;ISBN 0-262-21009-6)に開示されている。AMスクリーンのための閾値タイルの通常の作製方法は以下の特許出願に開示されている:米国特許第5155599号、米国特許第5903713号及び欧州特許第0910206号。“Recent trends in digital halftoning”,Proc.SPIE 2949,Imaging Sciences
and Display Technologies,(1997);doi:10.1117/12.266335に開示されている通常のスクリーンに類似して、隣接するスパイラルドットは異なるやり方で成長する場合がある。スパイラルドットのドット中心は、米国特許第6,128,099号に開示されている通り、移動する(shifted)場合もある。
【0076】
二成分デジタル階調表現に用いられる場合、本発明のラスター画像の作製のために1個の閾値タイルが十分である。結果として閾値タイルの数は好ましくは連続階調画像中の色成分の数と同じである。これは、本発明に従うラスター画像の作製を現在の画像処理機、プリプレスワークフローシステム及びラスター画像処理機(RIP’s)に容易に組み込むことができる利点を与え、それは本発明の方法に必要であるメモリより大きいメモリを必要とするハイブリッド階調表現法で用いられるように、種々の閾値タイルの間で切り替える必要がないからである。
【0077】
多段階デジタル階調表現法のために、閾値タイルは複数の同じ寸法のアレー、各段階のために1つを含む。閾値を含むそのようなアレーの形は正方形又は長方形であることができるが、ユタ形アレー又は菱形アレーも適している。多段階階調表現についてのさらなる情報は、例えば米国特許第5903713号に見出され得る。
【0078】
1個以上の閾値タイルを用いる連続階調画像の本発明の網点画像への変換は従来技術に類似している:典型的にパーセンテージとして表され、ドット中の画像ピクセルの数により定義される網点被覆率は、元の連続階調画像の対応する濃度に比例して閾値タイルにより定義される通りに増加する。本発明のスパイラルドットのドット被覆率を種々のやり方で:閾値タイルの連続値により支配される通り第一の円弧又は第一のスパイラルの長さを増し、それによりドット寸法を増すことにより(図20及び21を参照されたい);例えば第一のスパイラルにはみ出しを加えることにより局所的に、第一のスパイラルの1個以上の断片の厚さを増すことにより及び/又は完全な第一のスパイラルの厚さを増すことにより、ドット寸法を増すことなく第一の円弧又は第一のスパイラルの厚さを増す(それにより第二のスパイラルの空白を縮小する)ことにより;第二のスパイラルの内側に画像ピクセルを挿入することにより;あるいはこれらの方法のいずれかの組み合わせにより増加させることができる。
【0079】
図22-24は15×15のディメンジョン(dimension)を有し且つ1から10までの数が付けられた10個の連続閾値を含む閾値タイルの7つの例を示す。これらの閾値タイルは図26ないし35に示される本発明に従うスパイラルドットの作製に適している。
-閾値タイル300は、第一のスパイラルの最大厚さが1個のピクセルであり、第二のスパイラルの最大厚さが2個のピクセルである反時計回りに回転するスパイラルドットを定義する。連続濃度値1ないし10に関してこの閾値タイル300により作製されるスパイラルドット3001-30010をそれぞれ図26ないし35の第一横列(first row)に示す。
-閾値タイル301は、第一のスパイラルの最大厚さが2個のピクセルであり、第二のスパイラルの最大厚さが2個のピクセルである反時計回りに回転するスパイラルドットを定義する。7より大きい閾値において、第二のスパイラルはより薄くなる。連続濃度値1ないし10に関してこの閾値タイル301により作製されるスパイラルドット3011-30110をそれぞれ図26ないし35の第二横列に示す。
-閾値タイル302は、閾値が増加すると第一のスパイラルはより薄くなり、第二のスパイラルはより厚くなる反時計回りに回転するスパイラルドットを定義する。連続濃度値1ないし10に関してこの閾値タイル302により作製されるスパイラルドット3021-30210をそれぞれ図26ないし35の第三横列に示す。
-閾値タイル303は、中心に正方形のドットを含み、より高い閾値においてそこから第一及び第二のスパイラルが長さを増す反時計回りに回転するスパイラルドットを定義する。連続濃度値1ないし10に関してこの閾値タイル303により作製されるスパイラルドット3031-30310をそれぞれ図26ないし35の第四横列に示す。
-閾値タイル304は、二重の第一のスパイラルを含み、それにより2つの第二のスパイラルも含む反時計回りに回転するスパイラルドットを定義する。連続濃度値1ないし10に関してこの閾値タイル304により作製されるスパイラルドット3041-30410をそれぞれ図26ないし35の第五横列に示す。
-閾値タイル305は閾値タイル300に類似であるが、それにより作製されるスパイラルドットは異なる開始角度を有する。連続濃度値1ないし10に関してこの閾値タイル305により作製されるスパイラルドット3051-30510をそれぞれ図26ないし35の第六横列に示す。
-閾値タイル306は、第一のスパイラルがはみ出しを含む時計回りに回転するスパイラルドットを定義する。連続濃度値1ないし10に関してこの閾値タイル306により作製
されるスパイラルドット3061-30610をそれぞれ図26ないし35の第七横列に示す。
【0080】
ラスター画像の明部において、ドット被覆率は画像ピクセルが第一のスパイラルの完全な巻きを示すには低すぎる場合がある。そうすると画像ピクセルは第一のスパイラルの断片、すなわち図26-28に示されるような第一の円弧を示す。明部から中間階調への遷移は、好ましくは前記第一の円弧の厚さを増すことにより、及び/又は第一のスパイラルの完全な巻きが形成されるまで前記第一の円弧の長さを増すことによりなされる。前記第一のスパイラルの厚さ及び/又は長さを増すことにより、さらにもっと高い被覆率を得ることができ、その場合前記第一のスパイラルは部分的な巻きを含む1個より多い巻きからなる場合がある。
【0081】
好ましくは40%より高い、より好ましくは50%より高いそして最も好ましくは55%より高いある閾被覆率から、第一のスパイラルは隣接するドットとの重なりなくしてもはや長さにおいて増すことができない。前記閾値より高い被覆率では、第二のスパイラルの長さ及び/又は厚さの縮小により、あるいは第二のスパイラルの内側への画像ピクセルの挿入により、より暗い画像が作製され得る。さらにもっと高いドット被覆率において、第二のスパイラルはさらに縮小し、円弧(第二の円弧)になる。
【0082】
隣接するドットの重なりの故に、高いドット被覆率を有するスパイラルドットはもはや端が開放された第二のスパイラルを有していない。それにもかかわらず、本発明の利点はまだそのようなスパイラルドットにより与えられ、それは閉鎖した第二のスパイラルがまだインキを受容できる経路を区画し、最高水準のAM閾値タイルと比較してもっと均一なパッチを有するより優れたプリントの質を与えるからである。FM閾値タイルに対する最高水準のAM閾値タイルの既知の利点、すなわち平坦な階調の滑らかさ及び中間階調の表現及びより優れた印刷の安定性も本発明により与えられる。同時に本発明はAM閾値タイルに対する最高水準のFM閾値タイルの利点、すなわち微細な詳細の表現及び暗部におけるクロージング(closing)も与える。二次(2nd order)FM閾値タイルにおけるような不規則な「ワーム(worms)」又はスパゲッティ様構造も本発明により発生せず、それは特にヴィネット(vignettes)及び中間階調において印刷画像をより粒状にする。
【0083】
好ましい態様において、1組の閾値タイルを用い、周波数が画像の明部及び暗部領域において変調されている小さいスパイラルドット及び振幅が中間階調において変調されているより大きいスパイラルドットを含む本発明に従う混変調(cross-modulated)(XM)ラスター画像を作製する。結果として200LPI(cm当たり78.7本の線)より高いスクリーン周波数が可能である。網点ラスター画像の解像度とスクリーン周波数の間の比は好ましくは12より小さく、より好ましくは10より小さい。例えば解像度が2400DPI(cm当たり945個のドット)である場合、スクリーン周波数は好ましくは240LPI(cm当たり94.5本の線)より高い。
【0084】
ユーザーインターフェイスの入力フィールドを介して使用者により選ばれる選択肢に従い、1個以上の閾値タイルを網点ジェネレーターとも呼ばれる閾値タイルジェネレーターにより作製する場合があり、閾値タイルジェネレーターはラスター画像処理機又はプリプレスワークフローシステム内に含まれる。通常の選択肢は画像の解像度、スクリーン周波数、スクリーン角度及びスクリーンの形を含む。本発明に従うと、選択肢の数は好ましくは第一及び第二の円弧又はスパイラルの最大の厚さを選択するために入力フィールドにより拡大される。スパイラルドットの形(例えば上記の通り円形、楕円形など)及びまた好ましくは楕円率のような選ばれた形をさらに定義するパラメーターを選択するために余分の入力フィールドを加える場合がある。スパイラルドットの中心を介する1本以上の放射
状の線の選択のための別の入力フィールド及び任意的に放射状の線の厚さの規格(specification)のための追加の入力フィールドも加える場合がある。
【0085】
ジェネレーターはこれらの上記の入力フィールドから、好ましくは上記のアルキメデススパイラルのようなスパイラルの形を定義するスクリーン関数(screen function)により閾値タイルを作製する。スパイラルの形又は放射状の線は、好ましくは直交座標が用いられる最高水準の網点ジェネレーターと反対に極座標における計算により作製される。
【0086】
適用
本発明の網点ラスター画像を種々の印刷法、最も好ましくは平版印刷、フレキソグラフィー印刷及びデジタル印刷において用いることができる。
【0087】
ラスター画像を平版又はフレキソグラフィー印刷版前駆体のような感光性又は感熱性材料上でレーザー、好ましくは紫外又は赤外レーザーにより露出することができる。いわゆる「印刷機上現像(development on-press)」法では使用者に隠されている場合がある露出された前駆体の処理の後、本発明のラスター画像を保有する印刷版が得られる。ついでその版を印刷機上に搭載することができ、そこでインキが版に供給され、次いでそれは印刷されるべき基材上に転移する。
【0088】
フレキソグラフィー印刷に用いられる場合、本発明のラスター画像は浮彫における(in relief)スパイラルドットによりフレキソグラフィー版上に示される。特に端が開放されたインキ経路により、通常のフレキソグラフィーと比較してこれらの網点を基材上により容易に刻印する(impressed)ことができ、フレキソグラフィー印刷版から基材へのより優れたインキの転移を達成することができる。
【0089】
小さい網点は、例えばFMスクリーンを用いる場合、画像記録層の限られた解像度の故に、平版印刷版を用いて正確に再現するのが困難であることが知られている。同様に、平版印刷画像(lithographic image)中の小さい印刷ドットは容易に摩耗し、版の連続運転時間(run length)を短縮する。これらの問題を、AMスクリーンの側面を微細な詳細の表現及び暗部におけるクロージングのようなFMスクリーンの利点と結び付けた本発明により軽減することができる。従って我々の発明のラスター画像は平版印刷版、特に画像記録層として新聞印刷のために多く用いられる感光性樹脂を含む平版(lithoplate)と組み合わせて有利に用いられる。熱的、すなわち赤外感受性平版印刷版も本発明と組み合わせて有利に用いられる。
【0090】
デジタル印刷法において、本発明のラスター画像は版なしで、例えばインキジェットプリンターを用いてインキを噴射することにより基材上に適用される。本発明の状況において用いられるべき好ましいインキジェットインキはUV硬化性インキ、(エコ)ソルベントインキ((eco-)solvent inks)及び水性インキである。これらの方法のすべては当該技術分野において周知である。
【0091】
好ましいインキジェット印刷法には、基材上に直接噴射することによるか又は搬送ベルト又はドラム上に噴射し、それらから基材上に転移させることによるウェットオンドライ印刷及びウェットオンウェット印刷が含まれる。第二のスパイラルにより形成されるあらかじめ区画されたインキ経路は、特にPET、ポリエチレン又は典型的にフレキソグラフィーにおいて用いられるラベル基材のような非吸収性の基材上に噴射する時に上記の利点を与える。我々の発明は、シングルパスインキジェット系においても高い周波数のスクリーニングを使用することを可能にする。
【0092】
本発明から利益を受ける場合がある別の印刷法はスクリーン印刷、セリグラフィー、グラビア印刷、エッチング、パッド印刷又は転写印刷;及びゼログラフィー、電子写真、イコノグラフィー(iconography)、マグネトグラフィー、レーザー印刷、色素昇華印刷(dye-sublimation printing)、ドットマトリクス印刷、感熱印刷(thermal printing)、ナノグラフィー(nanography)又は熱(ワックス)転写(thermal(wax) transfer)のようなデジタル印刷法である。
【0093】
ラスター画像を上に印刷する場合がある基材はいずれの種類のものであることもでき、例えばプラスチックフィルム又は箔、剥離ライナー、編織布、金属、ガラス、皮革、獣皮、綿及びもちろん多様な紙基材(軽量紙、重量紙、コーティングされた紙、コーティングされない紙、板紙、段ボールなど)であることができる。基材は硬質の工作物(rigid work piece)又は柔軟性のシート、ロール若しくはスリーブ(sleeve)の場合がある。好ましい柔軟性の材料には例えば紙、透明箔、接着性PVCシートなどが含まれ、それは100マイクロメートルより薄いそして好ましくは50マイクロメートルより薄い厚さを有する場合がある。好ましい硬質の基材には、例えばハードボード、PVC、カートン、木材又はインキレシーバー(ink-receivers)が含まれ、それらは2センチメートルまで、そしてより好ましくは5センチメートルまでの厚さを有する場合がある。基材は柔軟性のウェブ材料(例えば紙、接着性ビニル、生地、PVC、編織布)の場合もある。再現される画像の基材上における優れた接着のために受容層、例えばインキ受容層が基材上に適用される場合がある。
【0094】
別の態様において、ステレオリソグラフィー(stereolithography)、デジタルライトプロセシング(digital light processing)、熱溶解積層法(fused deposition modelling)、選択的レーザー焼結(selective laser sintering)、選択的レーザー溶融(selective laser melting)、電子ビーム溶融(electronic beam melting)及び積層オブジェクト製造(laminated object manufacturing)のような3D階調表現においても本発明を用いることができる。
【実施例
【0095】
以下の実施例(EX1、EX2、EX3、EX4、EX5、EX6)はすべてLithomanからのヒートセット印刷機(heatset press)により以下の材料及び装置を用いてCMYK(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)において印刷される:
インキ:シアン;マゼンタ;イエローのためにSunChemical(商標)からのヒートセットインキ系SunOne及びブラックのためにSunChemical(商標)からのSunMag。
基材:UPMからのEcoPrime 68H 52g/m2
プレートセッター:2400dpiのプリント解像度を有するKODAK(商標)からのmagnus FLVプレートセッター。
印刷版:KODAK(商標)からのELECTRA MAX Digital PlateならびにKODAK(商標)からの707 Plate Finisherとして標準的なヒートセット印刷消耗品;ブランケットウォッシャー(blanket washer)としてのVEGRA GMBHからのSchnellReiniger 220-300;KODAK(商標)からからのELECTRA MAX Plate Replenisher;Huber GroupからのSalinoFix(それは精製水をオフセット印刷法に理想的に適したものとするための目標とされる全硬度の調整のための添加剤である)及び湿し液(fount solution)としてのHuber Grou
pからのRedufix AF(それは連続供給湿し水装置(dampening units)を有するウェブオフセット印刷上におけるアルコールなしの印刷のために設計されている)をさらに用いる。
【0096】
前記実施例は、閾値タイル(インキ当たりに1個の閾値)を用いる以下の階調表現法の1つを用いており、ここでスクリーン周波数は140LPI(インチ当たりの線)であり;それはcm当たり55.12本の線であり(1インチ=2.54cm);そしてスクリーン角度は2400dpiの解像度においてシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックに関してそれぞれ15、75、0及び45度であり;その解像度はcm当たり944.88個のドットである:
*HT1=ABSとも省略されるAGFA(商標)からのAgfa Balanced Screening(商標)を
*HT2=ブラック分離に関して図11に示されるようなスパイラル形の網点を有する本発明に従う方法と
比較する。最大のスパイラルの厚さは2.5×25400/2400=26.4583μmであり、本発明でインキ経路とも呼ばれる開放インキ経路の最大の厚さは1.5×25400/2400μm=15.875μmである。
【0097】
ABSはプリントの質を向上させるPostScript(商標)に基づく通常の網点スクリーニング系である。両方の階調表現法(HT1、HT2)は色当たりに1個の閾値タイルを用いており、従ってPostscript(PS)-インタープリーター及びPortable document Format(PDF)-インタープリーターを含むワークフローシステムにおいて容易に実施可能である。これらの実施例で用いられるワークフローシステムはAGFA(商標)からのApogee(商標)である。
【0098】
実施例(EX1;EX2;EX3;EX4;EX5;EX6)からの6個のプリント製品は週刊誌であり;小売り及び食品店のために印刷され;A4の48又は80ページ上のカラーのベタ背景上に消費者製品及び一時的な販売促進商品(temporary promotions)の新しい価格を含み、基材の両面上にCMYKにおいて組付け及び右ページ/左ページ印刷を有する。それらをHT1を用いて数枚のコピーで1回及びHT2を用いて数枚のコピーで1回、色(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)毎に類似の印刷結果を与えるために、各インキに関して2つの階調表現法の間で同じ最大濃度及び各階調値に関する同じ濃度で印刷する。
【0099】
Apogeeにおいて網点デジタルラスター画像から計算されるインキ被覆率
トーンカーブ(tone curve)を用いる階調表現工程の後にApogee(商標)においてインキ被覆率を計算することができる。以下の表において、Apogee(商標)において前記計算法に従ってパーセンテージにおけるインキ被覆率(最大値=[インキの数]×100%)を計算する。実施例毎のインキ被覆率における差(例えばEX1対EX2)は、他の一時的な(毎週の)販売促進商品及び/又は異なるレイアウト(layouting)により引き起こされる。各実施例でのインキ被覆率における階調表現法HT1とHT2の間の差は、線形化曲線とも呼ばれる異なる階調値曲線の使用により引き起こされ、従って各インキに関する濃度はプリント上で2つの階調表現法(HT1、HT2)の間で等しい。
【0100】
【表1】
【0101】
計算されるインキ被覆率は予測であるが、それは前記実施例におけるインキ被覆率がいかに高いかという考えをすでに与えている。
【0102】
実施例1(EX1)
コピーにおいて以下の最大濃度が測定される:
ブラック 1.15;シアン 0.96
マゼンタ 0.97;イエロー 0.90
階調表現法当たりのコピーの数は250000枚である;
階調表現法当たりに用いられるインキのキログラム(kg)における量は:
HT1 610(ブラック=36%;シアン=17%;マゼンタ=18%;イエロー=29%)
HT2 532(ブラック=35%;シアン=17%;マゼンタ=18%;イエロー=30%)
【0103】
実施例2(EX2)
コピーにおいて以下の最大濃度が測定される:
ブラック 1.15;シアン 0.96
マゼンタ 0.97;イエロー 0.90
階調表現法当たりのコピーの数は275000枚である;
階調表現法当たりに用いられるインキのキログラム(kg)における量は:
HT1 641(ブラック=36%;シアン=21%;マゼンタ=19%;イエロー=27%)
HT2 581(ブラック=33%;シアン=21%;マゼンタ=20%;イエロー=26%)
【0104】
実施例3(EX3)
コピーにおいて以下の最大濃度が測定される:
ブラック 1.3;シアン 1.15
マゼンタ 1.15;イエロー 1.10
階調表現法当たりのコピーの数は325000枚である;
階調表現法当たりに用いられるインキのキログラム(kg)における量は:
HT1 792(ブラック=39%;シアン=21%;マゼンタ=18%;イエロー=22%)
HT2 604(ブラック=38%;シアン=21%;マゼンタ=19%;イエロー=22%)
注意:未知の理由で、HT1及びHT2を用いるプリントの間で最大濃度は等しくなく、EX3+HT2の印刷運転(print run)の間に適合させなければならなかった。
【0105】
実施例4(EX4)
コピーにおいて以下の最大濃度が測定される:
ブラック 1.15;シアン 0.96
マゼンタ 0.97;イエロー 0.90
階調表現法当たりのコピーの数は250000枚である;
階調表現法当たりに用いられるインキのキログラム(kg)における量は:
HT1 703(ブラック=22%;シアン=10%;マゼンタ=23%;イエロー=45%)
HT2 607(ブラック=23%;シアン=10%;マゼンタ=23%;イエロー=44%)
【0106】
実施例5(EX5)
コピーにおいて以下の最大濃度が測定される:
ブラック 1.30;シアン 1.15
マゼンタ 1.15;イエロー 1.10
階調表現法当たりのコピーの数は325000枚である;
階調表現法当たりに用いられるインキのキログラム(kg)における量は:
HT1 732(ブラック=45%;シアン=20%;マゼンタ=18%;イエロー=17%)
HT2 625(ブラック=44%;シアン=20%;マゼンタ=20%;イエロー=16%)
【0107】
実施例6(EX6)
コピーにおいて以下の最大濃度が測定される:
ブラック 1.15;シアン 0.96
マゼンタ 0.97;イエロー 0.90
階調表現法当たりのコピーの数は375000枚である;
階調表現法当たりに用いられるインキのキログラム(kg)における量は:
HT1 656(ブラック=36%;シアン=22%;マゼンタ=19%;イエロー=23%)
HT2 539(ブラック=35%;シアン=23%;マゼンタ=20%;イエロー=22%)
【0108】
結論
コピーの数に対する用いられたインキの合計重量をHT1印刷コピーとHT2印刷コピーの間で比較し、HT2を用いる場合のインキの節約を計算する。これらの実施例はHT2の使用がより少ないインキを用いることを示す。コピーにおけるより少ないインキはより優れた水/インキバランスを与え、より速い速度を生じ、ヒートセットオーブンにおける温度を下げる可能性がある。
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