(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-09
(45)【発行日】2022-08-18
(54)【発明の名称】電気化学セルおよび電池
(51)【国際特許分類】
C25B 5/00 20060101AFI20220810BHJP
H01M 8/02 20160101ALI20220810BHJP
H01M 8/0232 20160101ALI20220810BHJP
H01M 8/0234 20160101ALI20220810BHJP
H01M 8/0656 20160101ALI20220810BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20220810BHJP
H01M 8/18 20060101ALN20220810BHJP
【FI】
C25B5/00
H01M8/02
H01M8/0232
H01M8/0234
H01M8/0656
C25B9/00 H
H01M8/18
(21)【出願番号】P 2019547998
(86)(22)【出願日】2018-03-12
(86)【国際出願番号】 US2018021981
(87)【国際公開番号】W WO2018169855
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2021-03-12
(32)【優先日】2017-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519314445
【氏名又は名称】イフバッテリー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】IFBattery Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】クッシュマン,ジョン エイチ
【審査官】瀧口 博史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04355085(US,A)
【文献】中国特許出願公開第106469821(CN,A)
【文献】特開昭51-099228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25B 5/00
C25B 9/00
H01M 4/06
H01M 8/18
H01M 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学セルにおいて、
a.
アルミニウム、ガリウム、インジウムおよびタリウム、並びにこれらの内の少なくとも1つを含む合金から選択されるアノード、
b.電流コレクタ、および
c.前記電流コレクタと前記アノードとの間の多孔質非導電性スペーサ、
を含
み、
前記アノードと前記電流コレクタの両方に接触する単一の電解質溶液と、をさらに含み、
該単一の電解質溶液が、水および1種類以上の塩を含み、
前記塩の少なくとも1つが、ペルオキシ二硫酸塩である、
電気化学セル。
【請求項2】
前記多孔質非導電性スペーサが、有機高分子、サージカル・テープ、ガラス繊維膜、グラスウール、木、紙、布、カード紙、およびナイロンから選択される、請求項
1記載の電気化学セル。
【請求項3】
前記アノードと、第2の電気化学セルからの隣接する電流コレクタとの間に金属導体をさらに含み、請求項1記載の電気化学セルがフローセルとして作動するように作られている、請求項1記載の電気化学セル。
【請求項4】
前記電解質溶液が2つの塩を含む、請求項
1記載の電気化学セル。
【請求項5】
前記電解質溶液が、ペルオキシ二硫酸塩および硫酸塩を含み、塩基をさらに含む、請求項
4記載の電気化学セル。
【請求項6】
前記ペルオキシ二硫酸塩がペルオキシ二硫酸ナトリウムであり、前記硫酸塩が硫酸ナトリウムであり、前記塩基が水酸化ナトリウムである、請求項
5記載の電気化学セル。
【請求項7】
前記電流コレクタが、鋼鉄、炭素の黒鉛同素体、金属含浸炭素、および炭素発泡体から選択される、請求項1記載の電気化学セル。
【請求項8】
前記ペルオキシ二硫酸塩が、ペルオキシ二硫酸ナトリウムである、請求項1記載の電気化学セル。
【請求項9】
前記電気化学セルは、フローセルとして構成される、請求項1記載の電気化学セル。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2017年3月13日に出願された米国仮特許出願第62/470772号、2017年3月31日に出願された米国仮特許出願第62/479548号、2017年5月15日に出願された米国仮特許出願第62/506422号、2017年6月12日に出願された米国仮特許出願第62/518523号、2017年7月10日に出願された米国仮特許出願第62/530687号、2017年7月11日に出願された米国仮特許出願第62/531274号、および2017年12月6日に出願された米国仮特許出願第62/595171号に対する優先権、およびその恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、電気化学セルおよび電池に関する。
【背景技術】
【0003】
米国エネルギー情報局は、世界のエネルギー消費量が2041年までに48%増加すると予測しており、地球規模の産業が、これらの新たな機会に急速に適応している。それらの努力の核心に、より効率的であり、より環境にやさしく、より手頃な価格であり、より便利な新たな電池の需要がある。米国国防総省は、2025年までに、再生可能資源からエネルギーの25%を生成する目標を掲げている。それに加え、米軍は、密かに燃料電池自動車を出動させるときに、容易に入手できる水素供給源を持たなければならない。
【0004】
液体電池が、フロー型または非フロー型のいずれかで、当該技術分野において公知であり、電解質が液体であることを除いて、固体電池と同じ原理で作動する。そのような電池は、還元・酸化化学に基づく電気化学セルからなる。酸化がセルのアノード側で生じ、還元がカソード側で生じる。電気化学セルで使用される溶媒は様々である。多くの状況において、電気化学セルの両側で水溶液が使用され、各側(カソード側およびアノード側)が電極(すなわち、それぞれ、カソードおよびアノード)と接触している。2つの半電池の電極が電気接点に配置されると、電流が流れることができる。電荷平衡を維持するために、電気化学セルは、イオンの通過も可能にしなければならない。ある電池では、このことは、アノード溶液からカソード溶液を隔てる塩橋により行われる。この塩橋は、2つの溶液が混ざるのを防ぐ。従来技術には、それらの溶液がもし混ざれば、直接化学反応によって、半電池が破壊され得ることが教示されている。
【0005】
ある電気化学セルは、短絡を防ぎ、多数の電解質溶液を隔てるために膜または塩橋を配置している。そのような膜は、費用がかかり、時間の経過により容易に劣化する。特許文献1には、膜のない状態で使用でき、2つ以上の非混和性電解質を使用する電気化学セルが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、ある実施の形態において、単一の電解質溶液、アノード、電流コレクタ、およびその電流コレクタとアノードとの間の多孔質非導電性スペーサを含む、電気化学セルおよび電池(フローセルおよびフロー電池を含む)の改良設計を含む。典型的なフロー電池とは対照的に、そのような実施の形態におけるアノードおよび電流コレクタは、電解質中に浸漬される必要はない。追加の実施の形態は、多数の電解質を含む膜無し電気化学セルおよび電池の改良設計を含む。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の実施の形態は、単一の電解質溶液で作動できる電気化学セルおよび電池を含む。そのような実施の形態の1つにおいて、アノード、電流コレクタ、およびそのアノードと電流コレクタとの間の多孔質非導電性スペーサを含む電気化学セルが提供される。単一の電解質溶液で作動できる電気化学セルおよび電池の追加の設計も提供される。
【0009】
本開示のさらなる実施の形態において、これらの電気化学セルの1つ以上を含み、負荷機器をさらに含む電気化学電池が提供される。
【0010】
本開示のまたさらなる実施の形態において、本開示のこれらの電気化学セルまたは電気化学電池もしくはその両方により電気を用途に供給する方法が提供される。
【0011】
本開示の追加の実施の形態において、本開示のこれらの電気化学セルまたは電気化学電池もしくはその両方により水素を用途に供給する方法が提供される。
【0012】
さらなる実施の形態は、それぞれ、カソードとアノードにある別々の第1と第2の電解質溶液を含有するある膜無し電気化学セル;これらの電気化学セルを含む電池;そのセルと電池により水素、電気またはその両方を用途に供給する方法;コンデンサ;およびこれらの実施の形態に関連する様々な方法を含む。
【0013】
追加の実施の形態および特徴が、以下の詳細な説明に含まれ、その説明から当業者により容易に明白となるか、または図面および特許請求の範囲を含む説明に記載されたように実施の形態を実施することによって認識されるであろう。
【0014】
添付図面は、本開示の一部を構成する。図面は、ある例示の実施の形態のさらなる理解を与える働きをする。本開示および特許請求の範囲は、図面に示された実施の形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示の電気化学セルの1つの実施の形態の概略図
【
図2】本開示の電気化学電池の1つの実施の形態の概略図
【
図3】本開示による電気化学セルの実施の形態の概略ブロック図
【
図4A】本開示による電気化学セルの実施の形態の概略ブロック図
【
図4B】本開示による電気化学セルの実施の形態の概略ブロック図
【
図8】フローモードの本開示の電気化学セルの実施の形態の概略図
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで、様々な実施の形態をより詳しく説明する。先の一般的な説明および以下の詳細な説明は両方とも、例示であり、説明に過ぎず、本開示または特許請求の範囲を制限するものではないことを理解すべきである。図面に示されたものを含む、特定の実施の形態または特徴のどの議論も、本開示の特定の例示の態様を示す働きをする。本開示および特許請求の範囲は、ここに具体的に述べられたか、または図面に示された実施の形態に限定されない。
【0017】
本開示の実施の形態は、単一の電解質溶液で作動できる電気化学セルおよび電池を含む。そのようなセルおよび電池は、膜、塩橋、または他の技術によって隔てられる多数の電解質溶液を必要としない。そのような実施の形態の1つにおいて、アノード、電流コレクタ、およびそのアノードと電流コレクタとの間の多孔質非導電性スペーサを含む電気化学セルが提供される。
【0018】
ここに記載された電気化学セルのこの実施の形態および他の実施の形態を含む、本開示の電気化学セルは、電気、水素、またはその両方を用途に供給するための電池を形成するために使用することができる。電気的用途の例としては、携帯電話用電波塔の非常用電源もしくはウィンドファームまたはソーラーファーム用の非常用電源などのグリッド用途が挙げられる。電気は、車両、家庭用電化製品、消費財または玩具に電力を供給するためにも使用できる。水素を生成するために運転するように作られている場合、その水素は、電力生産のための燃料電池または車両などの用途に、もしくは、例えば、エンジンまたは燃焼炉に供給することができる。電気化学セルは、主に電気が供給される、主に水素が供給される、またはその両方が様々な比率で供給されるように作ることができる。いくつかの実施の形態において、本開示のセルおよび電池は、電解質がセルまたは電池に加えられ、次いで、使用後に取り出され、それによって、セルまたは電池への電解質を補充するという点で、フローモードで運転する。
【0019】
本開示の例示の電気化学セルにおいて、アノードは、非導電性スクリーンなどの多孔質非導電性スペーサと物理的に接触しており、このスペーサは、次に、炭素発泡体などの電流コレクタと物理的に接触している。他の実施の形態において、そのスペーサは、アノード、電流コレクタ、またはその両方と物理的に接触しておらず、それどころか、アノード、電流コレクタ、またはその両方からある距離に配置されている。
【0020】
その多孔質非導電性スペーサの目的は、電流コレクタのアノードとの物理的に接触を防ぐことにある。多孔質スペーサに関する「非導電性」という用語は、そのスペーサが電気伝導性ではないことを意味する。そのスペーサは、電解質に対して多孔性であり、電解質溶液中の陰イオンおよび陽イオンに対して非選択的様式で多孔質でもある。その多孔質スペーサは、電気伝導性ではないことにより、その中に電子を通過させない。スペーサのこれらの特徴は、多数の電解質溶液の分離を維持するためにしばしば使用される、従来の電池における塩橋および膜からスペーサを差別化する。有機高分子、サージカル・テープ、ガラス繊維膜、グラスウール、木、紙、布、カード紙、およびナイロンなどの、多くの異なるタイプの非導電性多孔質材料をスペーサに使用することができる。そのような有機高分子の1つに、ビニル被覆ポリエステルがある。スペーサの厚さは、大抵、約0.1mmと約0.8mmの間である。
【0021】
サージカル・テープなどの細孔性材料を使用して、物理的完全さを維持するのに役立つように、電気化学セルを巻いてもよい。その巻き付けは、電気化学セルを完全に包み込む必要はない。
【0022】
ここに記載された電気化学セルのこの実施の形態および他の実施の形態を含む、本開示の電気化学セル内の電流コレクタおよびアノードは、適切な材料から選択してよい。適切な電流コレクタ材料の例に、鋼鉄、炭素の黒鉛同素体、金属含浸炭素、および炭素発泡体におけるような炭素がある。例えば、導電性炭素布(炭素発泡体とも称される)は、多くの実施の形態に適した電流コレクタであり、導電性材料である。単一の電解質溶液を有する実施の形態に適したアノードは、周期表の第13族の金属およびその合金を含む。これらの金属と合金の例としては、アルミニウム、ガリウム、インジウムおよびタリウム、並びにこれらの内の少なくとも1つを含む合金が挙げられる。合金の一例は、ガリンスタンという名称を有し、これは、ガリウム、インジウムおよびスズの合金である。
【0023】
多くの実施の形態において、電気化学セルは、単一の電解質溶液をさらに含む。その電気化学セルは、その電解質に関して飽和されることがある。いくつかの実施の形態において、そのセルは、電解質浴中に浸漬されていない。例えば、電解質の点滴、吹き付けまたは噴霧による飽和によって、そのセルを活性化させて、電気または水素もしくはその両方を生じることができる。電流コレクタの一例に、炭素発泡体がある。その電解質は、炭素発泡体がそのような例において飽和されるまで、またはその前に、セル上に吹き付けられることがある。電気また水素もしくはその両方が生じるときに、そのセルに追加の電解質(または塩、酸化剤、または塩基などの他の材料)を吹き付けるか、または他のやり方で供給して、その飽和を維持し、塩および酸化物を取り替えてもよい。実際に、再循環器を使用して、電解質または他の材料を連続的に再循環させ、セルに供給することができる。それゆえ、存在する電解質の大きい供給源を維持する必要がなく、これにより、従来技術のフローセルと比べて、費用と質量の両方が節約される。
【0024】
これらと他の実施の形態において、電気化学セルのアノードは、例えば、アルミニウムから製造される。多くの実施の形態において、アルミニウムはシートの形態にある。多くの他の実施の形態において、アルミニウムは、スクリーンまたは他の薄い多孔質構造の形態にある。アルミニウムスクリーンの厚さは、例えば、約0.05mmと約0.5mmの間、または約0.1mmと約0.3mmの間にあることがある。いくつかの実施の形態において、電流コレクタは炭素発泡体であり得、多孔質非導電性スペーサは、有機高分子またはサージカル・テープなどの非導電性スクリーンであり得る。そのような高分子の1つに、ビニル被覆ポリエステルがある。
【0025】
追加の実施の形態に、1)アノード、電流コレクタ、そのアノードと電流コレクタとの間の多孔質非導電性スペーサ、および単一の電解質溶液を含む電気化学セル、2)アノード、電流コレクタ、そのアノードと電流コレクタとの間の多孔質非導電性スペーサ、および単一の電解質溶液から実質的になる電気化学セル、および3)アノード、電流コレクタ、そのアノードと電流コレクタとの間の多孔質非導電性スペーサ、および単一の電解質溶液からなる電気化学セルがある。
【0026】
電気化学セルは、大抵、電気化学電池を形成するために金属導体により互いに接続される。金属導体の一例に、銅線などの銅がある。それゆえ、例えば、1つの電気化学セル上のアルミニウムアノードは、そのセル上の多孔質非導電性スペーサと接触しており、そのスペーサは、次に、炭素発泡体電流コレクタと接触している。このアルミニウムアノードは、隣接する電気化学セル上の電流コレクタへの金属導体とも接触しており、この隣接する電気化学セルは、それ自体の多孔質非導電性スペーサおよび対応するアノードと接触している。このようにして、一連の電気化学セルを接続することができる。この一連の電気化学セルの末端では、末端の電気化学セルは、電気化学電池全体が電気化学セルの直列および並列配置の両方を有するように、追加の一連の電気化学セルに、または用途などの負荷機器に接続することができる。
【0027】
いくつかの実施の形態において、電気化学セルは、フローセルとして作動するようにも作られている。そのセルは、例えば、フロー電池を支援するようにフローセルとして作ることができる。そのような電池において、電解質は、充電が必要ないように、電池の作動中に連続的にセルに供給することができる。
【0028】
本開示の多くの実施の形態において、電解質は、水および1種類以上の塩を含む。水および他のものを含む、電解質に使用するための溶媒の例が、表1に見つけられるであろう。
【0029】
【0030】
多くの実施の形態において、電解質に加えられる塩が2つある。そのような塩の例に、ペルオキシ二硫酸塩(ペルオキシ二硫酸ナトリウムなど)、次亜塩素酸塩、および硫酸塩(硫酸ナトリウムなど)が挙げられる。その電解質は、さらに、水酸化ナトリウムなどの塩基を含んでもよい。それらの塩の内の1つに、酸化剤がある。それゆえ、多くの実施の形態において、電解質は、酸化剤を含有し、表3に見られる金属塩などの追加の塩も含有し、その金属塩および酸化剤の陰イオン部分は異なる。
【0031】
表2の化合物の非限定リスト、または場合によっては、それらの対応する塩と酸は、供給され、解離して、酸化剤を形成してもよい。ここに用いられているように、「酸化剤」という用語は、酸化を行うために加えられる化合物、並びにその化合物の解離から結果として生じる陰イオンを称する。それゆえ、ペルオキシ二硫酸(H2S2O8)、ペルオキシ二硫酸ナトリウム(Na2S2O8)、およびペルオキシ二硫酸陰イオン(S2O8
2-)は全て、ここに使用されるように酸化剤である。例えば、ペルオキシ二硫酸塩酸化剤の酸または塩形態が本開示の電解質に添加される場合、陰イオン形態への解離があるであろう。陰イオン形態は、別の種を酸化する働きをし、次に還元される形態である。
【0032】
【0033】
他の塩は、例えば、表3に見られる化合物のいずれか1つであることがある。
【0034】
【0035】
第2の塩は、金属イオンを生じるように解離する化合物であるべきである。そのような金属塩の例に、硫酸ナトリウムがある。
【0036】
多くの実施の形態において、電解質は、強塩基などの塩基をさらに含有する。強塩基の例としては、LiOH、RbOH、CsOH、Sr(OH)2、Ba(OH)2、NaOH、KOH、Ca(OH)2、またはその組合せが挙げられる。特別な例の1つが、NaOHである。
【0037】
さらなる実施の形態において、電解質は、水またはアルコールの一方を含む。その電解質は、例えば、カソード液であり得る。この電解質中に酸化剤および金属塩が存在する場合、これらの2つは異なる陰イオン成分を有し得る。酸化剤の例にペルオキシ二硫酸ナトリウムがあり、金属塩の例に硫酸ナトリウムがある。この電解質は、水酸化ナトリウムなどの塩基をさらに含むことがある。
【0038】
さらなる実施の形態は、
a.アノード、
b.電流コレクタ、および
c.その電流コレクタとアノードとの間の多孔質非導電性スペーサ、
を含む電気化学セルであって、電解質を含まない電気化学セルを含む。
【0039】
このアノード、電流コレクタ、およびスペーサは、それらの構成要素について先に記載した1つ以上の特徴または特性を有することがある。そのような実施の形態は、例えば、ある場所で構成され、次いで、別の場所に輸送されることがあり、そこで、使用するために電解質(単一の電解質溶液など)と接触させられる。
【0040】
本開示は、単一の電解質溶液で作動できる電気化学セルの追加の実施の形態を含む。例えば、非金属電流コレクタ、酸化剤、および金属固体と接触する単一の電解質水溶液を含む電気化学セルであって、電流が、金属固体から電流コレクタに負荷機器を介して移動する、電気化学セルが提供される。
【0041】
そのようなセルにおいて、例えば、電解質水溶液は塩基性であり得、酸化剤はS2O8
2-であり得る。電解質水溶液は、例えば、水酸化ナトリウムをさらに含むことがある。適切な金属固体としては、周期表の第13族のもの、およびその合金が挙げられる。これらの金属および合金の例としては、アルミニウム、ガリウム、インジウムおよびタリウム、並びにこれらの内の少なくとも1つを含む合金が挙げられる。金属固体の一例に、ホイルの形態にあるアルミニウムなどのアルミニウムがある。このセルは、多孔質安定剤をさらに含むことがある。一例において、そのセルは金属硫酸塩(Na2SO4など)を含むことがあり、その電流コレクタは炭素発泡体であり、多孔質安定剤は、グラスウールまたはホウケイ酸塩もしくはその両方である。セルのpHは、例えば、12より大きい、13より大きい、または14より大きいことがある。
【0042】
このようなセルは、単一の電解質溶液を使用することができ、例えば、約10ワット時/(電解質+アノード金属のkg)と約680ワット時/(電解質+アノード金属のkg)の間の電力を生じるであろう。そのセルは、電解質のkg当たりで測定した場合、例えば、約10ワット時/電解質のkgと約100ワット時/電解質のkgの間、約40ワット時/電解質のkgと約80ワット時/電解質のkgの間、または約10ワット時/電解質のkgと約60ワット時/電解質のkgの間の電力を生じるであろう。金属固体の平方センチメートル当たりに生じる電力は、例えば、約600mWと約1000mWの間であり得る。本開示の他の電気化学セルに関するように、このセルは、フローモードで作動するように作られることがある。そのセルは、例えば、ペルオキシ二硫酸ナトリウムまたはペルオキシ二硫酸陰イオンを含む溶液もしくはその両方などの酸化剤をさらに含むことがある電解質水溶液を含む流入流を含むことがある。酸化剤(固体のNa2S2O8または溶液中のNa2S2O8など)、例えば、塩基性水溶液中のNa2S2O8をセルに供給することができ、ここで、塩基は、例えば、水酸化ナトリウムであってよい。このセルは、流出流をさらに含むことがある。その流出流は、水溶液を含むことがあり、例えば、金属硫酸塩も含むことがある。
【0043】
さらなる実施の形態は、単一の電解質溶液を使用して作動できる本開示の電気化学セルの片側から負荷機器を外す工程を含む、コンデンサを作る方法を含む。この方法は、負荷機器を再接続する工程をさらに含む。さらなる実施の形態は、その電気化学セル内の電流コレクタまたはアノードの少なくとも一方からの負荷機器の取り外しおよび再接続を交互にするプロセスにより調製されたコンデンサを含む。
【0044】
単一の電解質溶液で作動できる追加の実施の形態は、非金属電流コレクタ、酸化剤、および金属固体と接触した単一の電解質水溶液を含む電気化学セルであって、電流が金属固体から電流コレクタに負荷機器を介して移動し、pHが12以上である電気化学セルである。一例として、非金属電流コレクタは炭素発泡体であり得、酸化剤はペルオキシ二硫酸塩であり得、金属固体はアルミニウムであり得る。
【0045】
単一の電解質溶液で作動できる追加の実施の形態は、非金属電流コレクタ、酸化剤、および1つ以上のアノードと接触した単一の電解質水溶液を含む電気化学セルであって、電流が1つ以上のアノードから電流コレクタに負荷機器を介して移動し、pHが10以上である電気化学セルである。
【0046】
適切なアノードは、周期表の第13族の金属、およびその合金を含む。これらの金属および合金の例としては、アルミニウム、ガリウム、インジウムおよびタリウム、並びにこれらの内の少なくとも1つを含む合金が挙げられる。金属の一例に、ホイルの形態にあるアルミニウムなどのアルミニウムがある。アノードは、絶縁体により隔てることもできる。いくつかの実施の形態において、pHは12以上である。
【0047】
単一の電解質溶液で作動できる電気化学セルの一例が、実施例7に与えられており、
図9に示されている。
【0048】
本開示の追加の実施の形態は、本開示の電気化学セルを製造する方法を含む。この方法は、1)アノード、電流コレクタ、およびそのアノードと電流コレクタとの間の多孔質非導電性スペーサを含む電気化学セルを提供する工程、および2)そのセルを単一の電解質溶液と接触させる工程を含む。このセルは、例えば、電解質溶液をセル上に吹き付けることによって、電解質溶液と接触させることができる。その電解質は、浸漬などによって、まとめて施しても差し支えない。電解質溶液は、点滴による液滴として、または噴霧された霧として、セルに施しても差し支えない。電解質は、バルク区画内で、またはここに与えられた技術の任意の組合せで、供給することもできる。
【0049】
さらなる実施の形態は、1)上述の実施の形態のいずれかによる電気化学セルであって、単一の電解質溶液を含む電気化学セルを提供する工程、2)そのセルを作動させて、電気、水素、または電気と水素の両方(セルが負荷機器に接続されているときなど)を生じる工程、および3)その作動中にセルに追加の電解質溶液(またはその1種類以上の成分)を提供する工程を含む、フローモードで電気化学セルを作動させる方法などの方法を含む。そのような実施の形態は、4)その作動中に、例えば、セルに追加の電解質溶液(またはその1種類以上の成分)を提供するのと同時に、使用済みの電解質溶液(またはその1種類以上の成分)をセルから抜き取る工程をさらに含み得る。これらの実施の形態における電解質溶液は、ここに記載されたようなセルに適したどの組成を有してもよい。その電解質溶液の成分の例としては、酸化剤、金属塩、および塩基が挙げられる。さらなる実施の形態は、このセルを含む電池に行われる方法を含む。
【0050】
本開示の他の態様において、本開示の電気化学セルを含む電気化学電池が提供される。電気化学電池は、1つ以上のセルを含有し、負荷機器に電気的に接続される。この負荷機器は、線における抵抗であっても、または用途へのものであっても、またはその両方であっても差し支えない。本開示の電気化学電池は、その負荷機器を通る電気、水素、またはその両方を生成するために使用してもよい。その電池は、例えば、電気または水素に有利に働くように作ることができる。水素製造は、pHおよびアノードの比表面積を調節することによって、制御することができる。アルカリ性溶液で始めると、pHが上昇し、使用されるアノードの比表面積が大きくなるにつれて、製造される水素が多くなる。例えば、アルミニウムの表面積は、アルミニウムスクリーンを何回も折り重ねることによって、増加させてもよい。酸化剤の濃度が上昇し、溶液が次第にアルカリ性になる場合、電気に有利に働くであろう。
【0051】
本開示の実施の形態は、ここに開示されたセルまたは電池によって生成される電気、水素、または電気と水素の両方を用途に供給する方法をさらに含む。そのような用途の例としては、携帯電話の電波塔、車両および燃料電池が挙げられる。
【0052】
理論により束縛されないが、以下の説明は、本開示の電気化学セルおよび電池のいくつかの実施の形態がどのように働くかを説明すると考えられる。例えば、多くの実施の形態において、アノードはアルミニウムであり、カソードは炭素発泡体の電流コレクタと接触するカソード液であり、そのカソード液は、水、硫酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、およびペルオキシ二硫酸ナトリウムを含む電解質であり、ここで、炭素発泡体の電流コレクタおよびアノードは、積み重ねられており、多孔質非導電性スペーサにより隔てられており、各積層体は、銅線などの導体によって電気的に接続されている。そのような構成が、概して、
図1および
図2に見られる。
【0053】
理論により束縛されないが、そのような実施の形態において、アルミニウムはアノードで式(A)にしたがって酸化され、式(B)にしたがって電流コレクタの表面で過硫酸塩の還元が起こる:
【0054】
しかしながら、アルミニウムの酸化から入手できる2つの余計な電子がある。多くの実施の形態において、プロトンは還元されて、アルミニウムアノードで水素ガスを形成することが観察される。それゆえ、水が解離して、H+およびOH-を形成し、次いで、2つの余計な電子が、H+を水素ガスに還元するのに利用でき、酸化剤が還元される場合、そのような水素ガスの発生が、電流コレクタではなく、アルミニウムアノードで観察されるとさらに考えられる。電解質がエタノールである場合、同じ水素発生が観察されるので、水酸化物イオン自体が解離して、H+を形成することも可能であろう。したがって、先に開示されたように、電解質もアルコールと水またはアルコールであり得、その一例がエタノールである。
【0055】
先に鑑みて、電流コレクタは、「カソード電流コレクタ」として特徴付けることができるであろう。何故ならば、電流コレクタは、電流コレクタの表面で電解質溶液内の酸化剤を還元する電子を分配するからであり(先の式Bにしたがって)、その電解質溶液はカソード液として特徴付けることができる。このカソード電流コレクタは、例えば、カソード液内に埋め込むか、またはカソード液と他のやり方で適切に接触させることができ、そのカソード液は、カソード電流コレクタでの還元のための酸化剤の供給源である。
【0056】
図1において、一連の3つの電気化学セルが示されている。各セルは、シートまたはスクリーンの形態にあるアルミニウムなどのアノード100を含有する。アノード100は、多孔質非導電性スペーサ110と物理的に接触している。このスペーサは、アノードと電流コレクタ120との間の物理的接触を防ぐスクリーンである。電流コレクタは、多くの場合、炭素発泡体であり、スペーサは、例えば、サージカル・テープ、またはビニル被覆ポリエステルであることがある。アノード100、電流コレクタ120およびスペーサ110の積層体160は、物理的完全さのためにサージカル・テープで必要に応じて包まれることがある。各セルは、隣接するセルと電気的に接触しており、隣接するセルのアノード100および電流コレクタ120は、銅線130などの導体を通じて電気的に接触している。
【0057】
電解質はセル上に堆積されるが、
図1のセルは電解質中に浸漬されていない。その電解質は、上に吹き付けられるか、もしくは噴霧によって供給されるか、または区画化されることがある。このことは大抵、炭素発泡体が電流コレクタである場合にそのように行われ、その炭素発泡体は飽和される。他の実施の形態において、セルは、電解質溶液中に浸漬される。電解質は、湿潤状態において、回路が作られたときに、溶液中に還元が起こるように、カソード液として働く。
【0058】
図2は、直列の
図1のセル構成要素が、銅140などの導体を通じて、負荷機器150にさらに接続されている電池を示している。この状態において、電解質が電池上に堆積されたときに、電流および/または水素が生成され、アノードで水素還元が起こる。pH、アノードの表面積および使用される酸化剤の量に応じて、電池が主に電気、水素、またはその2つの組合せを生じるか否かを決定できる。負荷機器150は、携帯電話の電波塔などの用途または他のグリッド用途であり得る。あるいは、水素が生成される場合、例えば、燃料電池、もくしは水素を燃焼させるための炉またはエンジンに供給するために、各アノードで、水素を収集することができる。
【0059】
下記に記載される追加の実施の形態は、それぞれ、カソードおよびアノードで別々の第1と第2の電解質溶液を含有する特定の膜無し電気化学セル;本開示の電気化学セルを含む電池;そのセルおよび電池により水素、電気、またはその両方を用途に供給する方法;本開示の電気化学セルにおける電流を高める方法;およびこれらの実施の形態に関連する様々な方法を含む。
【0060】
例えば、本開示の1つの実施の形態は、電気化学セルであって、
a.カソード、
b.ある距離でそのカソードに隣接したアノード、
c.そのカソードと接触し、その距離内に配置された、酸化剤を含む第1の極性電解質溶液、
d.そのアノードと接触し、その距離内に配置された、適切な金属イオンを含む第2の極性電解質溶液、および
e.分離剤、
を含み、
第1と第2の電解質溶液は、互いに接触しており、非混和性であり、その第1と第2の電解質溶液の間に膜がない、電気化学セルを含む。
【0061】
この実施の形態において、各極性電解質溶液は、ホウケイ酸塩などの多孔質安定剤を含むことがある。第1の極性電解質溶液は、水性であることがあり、KOH、NaOH、Ca(OH)2、LiOH、RbOH、CsOH、Sr(OH)2、またはBa(OH)2などの塩基も含むことがある。この第1の極性電解質溶液のpHは、例えば、約8と約14の間、または約11と約14の間にあることがある。酸化剤は、例えば、バナジウムイオン、S2O8
2-、またはClO-であることがある。この実施の形態における例示の分離剤に、塩化カルシウムまたは硫酸ナトリウムなどの塩がある。
【0062】
この電気化学セルは、フローモードで作動するように作られることがある。このセルは、例えば、塩基(水酸化ナトリウムなど)、酸化剤(S2O8
2-など)および分離剤(硫酸ナトリウムなど)を含む流入溶液を含むことがある。このセルからの流出流は、塩基(塩基の水溶液を含む)および硫酸ナトリウムを含むことがあり、この塩基は水酸化ナトリウムであることがある。
【0063】
電流コレクタは、第1の電解質溶液、第2の電解質溶液、またはその両方の中に配置されることがある。例示の電流コレクタは、金属並びに炭素発泡体などの非金属を含む。この電気化学セルは、第1と第2の極性電解質溶液の間に配置されたグラスウールも含むことがある。
【0064】
いくつかの実施の形態において、第2の極性電解質溶液はアルコールを含む。この溶液は、KOHまたはNaOHなどの塩基をさらに含むアルコール溶液であることがある。第2の極性電解質溶液のpHは、例えば、約8と約14の間、または約11と約14の間にあることがある。第2の極性電解質溶液中の適切な金属イオンとしては、Zn2+およびAl3+が挙げられる。
【0065】
いくつかの実施の形態において、分離剤は塩(CaCl2または硫酸ナトリウムなど)であり、第2の極性電解質溶液中のアルコールは、エタノール、メタノール、またはその両方である。いくつかの実施の形態において、第2の極性電解質溶液は、アルコールを含み、フローモードで働くように作られており、流入流は、アルコール(エタノール、メタノール、またはその両方など)、塩基(水酸化ナトリウムなど)、分離剤、および適切な金属イオン(Al3+など)に解離できる金属を含む極性溶液を含む。このセルの流出流は、アルコール(エタノールなど)、塩基(水酸化ナトリウムなど)および分離塩(硫酸ナトリウムなど)を含むことがある。
【0066】
ここに記載された電気化学セルは、例えば、第2の電解質溶液中で水素ガスを生成することができ、そのガスを水素圧縮機に向けることができる。したがって、本開示のさらなる実施の形態は、前記電気化学セルの1つ以上および水素圧縮機を含む電池システムを含む。そのようなシステムは、例えば、燃料電池などのプロセス用途に電力を供給するために使用することができる。
【0067】
本開示の別の実施の形態は、電気化学セルであって、
a.カソード、
b.ある距離でそのカソードに隣接したアノード、
c.そのカソードと接触し、その距離内に配置された、S2O8
2-を含む第1の極性電解質水溶液、
d.そのアノードと接触し、その距離内に配置された、Al3+を含む第2の極性電解質アルコール溶液、および
e.その第1と第2の電解質溶液の両方の中のホウケイ酸塩、
を含み、
第1と第2の電解質溶液は、互いに接触しており、非混和性であり、その第1と第2の電解質溶液の間に膜がない、電気化学セルを含む。
【0068】
その第1の極性電解質溶液および第2の極性電解質溶液は、異なる密度のものであることがあり、第1の電解質溶液はハロゲン化物塩(CaCl2など)を含むことがあり、第2の電解質溶液は金属硫酸塩(Na2SO4など)を含むことがある。第2の極性電解質アルコール溶液は、例えば、エタノールまたはメタノールを含むことがある。
【0069】
いくつかの実施の形態において、第1の電解質溶液と第2の電解質溶液のpHは、例えば、各々、約11から約13に調節することができる。各溶液は、ナトリウム、カルシウム、またはカリウムの水酸化物などの塩基を含むことがある。いくつかの実施の形態において、カソードは、銅(銅ブラシなど)、炭素、またはその両方であり、アノードはアルミニウムである。ホウケイ酸塩は、例えば、Pyrex(登録商標)ウールであってよい。いくつかの実施の形態において、ホウケイ酸塩は、約8マイクロメートルの細孔径を有する。
【0070】
この電気化学セルは、フローモードで運転するように作ることができる。追加の実施の形態は、前記セルの1つ以上を含む電気化学電池を含む。その電池が電気化学セルを複数含む場合、それらのセルは、例えば、並列配列に揃えられ、ボルタ電堆に配置されることがある。この電気化学セルまたは電池は、ソーラーファーム、ウィンドファーム、家庭用電化製品、消費財、および玩具を含む、プロセス用途に電気を供給できるであろう。
【0071】
本開示の別の実施の形態は、電気化学セルであって、
a.非金属カソード、
b.ある距離でそのカソードに隣接した非金属アノード、
c.そのカソードと接触し、その距離内に配置された、S2O8
2-を含む第1の極性電解質水溶液、および
d.そのアノードと接触し、その距離内に配置された、金属固体を含む第2の極性電解質アルコール溶液、
を含み、
第1と第2の電解質溶液は、互いに接触しており、非混和性であり、その第1と第2の電解質溶液の間に膜がない、電気化学セルを含む。
【0072】
いくつかの実施の形態において、その金属固体は、粉末形態で第2の電解質溶液中に分散されているのに対し、ホウケイ酸塩は、第1と第2の電解質溶液の両方の中に入れられている。例示の金属は、亜鉛およびアルミニウムを含む。粉末形態にある金属は、例えば、約5マイクロメートル未満の平均粒径、または約5マイクロメートルと約30マイクロメートルの間の平均粒径を有することがある。非金属カソードおよび非金属アノードは、例えば、炭素発泡体から製造することができる。さらなる実施の形態は、電気化学セルにおける電流を高める方法であって、この電気化学セルの第2の電解質溶液に酸化剤を添加する工程を含む方法を含む。
【0073】
本開示の別の実施の形態は、電気化学セルであって、
a.カソード、
b.ある距離でそのカソードに隣接したアノード、
c.そのカソードと接触し、その距離内に配置された、酸化剤を含む第1の電解質水溶液、
d.そのアノードと接触し、その距離内に配置された、金属と酸化剤を含む第2の極性電解質溶液、および
e.分離剤、
を含み、
第1と第2の電解質溶液は、互いに接触しており、非混和性であり、その第1と第2の溶液の間に膜がない、電気化学セルを含む。
【0074】
いくつかの実施の形態において、第2の極性電解質溶液は、エタノールまたはメタノールなどのアルコール溶液である。またいくつかの実施の形態において、酸化剤は、S2O8
2-またはペルオキシ二硫酸ナトリウム、もしくはその両方であり、金属はアルミニウムであり、分離剤は硫酸ナトリウムであり、カソードとアノードは炭素発泡体である。多孔質安定剤(グラスウール、ホウケイ酸塩、またはその両方など)が、必要に応じて、第1と第2の電解質溶液中に提供されることがある。
【0075】
この電気化学セルは、フローモードで作動するように作られることがある。そのセルは、電解質水溶液および必要に応じて、酸化剤(ペルオキシ二硫酸ナトリウムまたはペルオキシ二硫酸陰イオンを含む溶液またはその両方など)を含む流入流を含むことがある。それゆえ、本開示の実施の形態は、電気化学セルに追加の酸化剤を提供する工程を含む方法である。酸化剤(Na2S2O8など)は、例えば、塩基性水溶液中に設けられることがあり、その塩基はNaOHであることがある。酸化剤は、固体として提供されることもある。そのセルは、セルから流出し、例えば、硫酸ナトリウムを含むことがある水溶液をさらに含むことがある。
【0076】
いくつかの実施の形態において、そのセルは、約10ワット時/(電解質+アノード金属のkg)と約680ワット時/(電解質+アノード金属のkg)の間の電力を生じることがある。そのセルは、電解質のkg当たりで測定した場合、約40ワット時/電解質のkgと約80ワット時/電解質のkgの間など、約10ワット時/電解質のkgと約100ワット時/電解質のkgの間の電力を生じることがある。
【0077】
以下の開示は、先に詳述した実施の形態および本開示の他の実施の形態の説明をさらに与える。
【0078】
先に述べたものなどの、本開示の様々な実施の形態は、単一の電解質溶液を含有する電気化学セルを含む。いくつかの実施の形態において、単一の電解質溶液は、金属固体、水、塩基、酸化剤、および電流コレクタを含有する。この溶液は、いくつかの実施の形態において、塩基性である。電気接触が、炭素発泡体などの電流コレクタと、金属固体との間に外部の負荷機器を通じて行われる。一般的な金属の例に、アルミホイルなどのアルミニウムがあり、水酸化ナトリウムなどの塩基、および添加される酸化剤は、ペルオキシ二硫酸ナトリウムであることがあり、これは次に解離する。このペルオキシ二硫酸塩は、作動するときに、硫酸塩になる。硫酸ナトリウムなどの金属硫酸塩の添加などによって、追加の硫酸塩を加えてもよい。グラスウールまたはホウケイ酸塩などの多孔質安定剤が使用されることがある。そのような実施の形態において、電解質溶液は1つしかなく、セルは、酸化剤がセル中に補給されるフローモードで作動されることがある。添加される酸化剤は、水酸化ナトリウムのような塩基に関するように水溶液としてであっても、または粒状ペルオキシ二硫酸ナトリウムに関するように固体として添加されてもよい。硫酸ナトリウムがセル内で形成するときに、それは、必要に応じて、脱塩装置により、または他の機構により、除去することができる。
【0079】
2つの電解質溶液によって、スーパーチャージ(supercharging)も行われることがある。これらの実施の形態において、ペルオキシ二硫酸ナトリウムなどの酸化剤が、第2の電解質溶液に添加される。これらの実施の形態において、第2の電解質溶液中の金属はアルミニウムであり得、その溶液は、メタノール、エタノール、またはその両方などのアルコール溶液である。グラスウールまたはホウケイ酸塩などの多孔質安定剤も使用されることがある。水酸化ナトリウムなどの塩基が、硫酸ナトリウムなどの分離剤におけるように存在する。そのような実施の形態における第1の電解質溶液は、水性であり得、NaOHなどによって、塩基性に維持される。ペルオキシ二硫酸ナトリウムなどの酸化剤が使用され、硫酸ナトリウムなどの金属硫酸塩が、必要に応じて添加される。グラスウールまたはホウケイ酸塩などの多孔質安定剤も使用されることがある。そのような実施の形態において、ペルオキシ二硫酸塩、または別の適切な酸化剤が第2の電解質溶液に添加され、この添加により、電流の発生が高まる。そのような電流の高まりは、50%程度であろう。
【0080】
単一溶液の実施の形態により生じる電力は、例えば、約10ワット時/(電解質+アノード金属のkg)と約680ワット時/(電解質+アノード金属のkg)の間であろう。そのセルは、電解質のkg当たりで測定した場合、例えば、約40ワット時/電解質のkgと約80ワット時/電解質のkgの間を含み、さらに約10ワット時/電解質のkgと約60ワット時/電解質のkgの間を含む、10ワット時/電解質のkgと100ワット時/電解質のkgの間の電力を生じるであろう。アルミニウムに関するように、使用される金属固体の表面積に対して測定した場合、約600W/cm2と約1000mW/cm2の間の電力密度が観察される。
【0081】
典型的に、電気化学セルは、電気的短絡を生じる可能性のために、単一の電解質で作動することは予測されないであろう。しかしながら、提示されたシステムにおいて、短絡なく、持続期間に亘り、電流に対する相当な高まりを示すことが可能であった。電気化学セルの一端からリード線を外し、次に、それを再接続することなどによって、電気化学セルの回路が開かれ、その後閉じられたときに、約800mAまでの電流のスパイクが観察される。
【0082】
理論により束縛されないが、単一電解質系において回路を開いた際に、アノードが負に帯電し、イオン二重層により囲まれ、例えば、
図9の電気化学セルに基づくコンデンサを考えた場合、ナトリウムイオンと硫酸イオンが、イオン二重層を構成すると考えられる。ナトリウムは、負に帯電した表面(シュテルン層)の隣で凝縮し、ナトリウムイオンと硫酸イオンの両方が、その表面から拡散層を形成する。そのようなコンデンサは、実際に、自動充電式コンデンサである。例えば、
図9のセルに関して、電池の回路が開かれたときに、S
2O
8
2-陰イオンまたは2H
+陽イオンは、固体アルミニウム原子と相互作用し続けつつ、それらを不安定な+2の酸化状態にしようとする。この不安定さを補うために、酸化されたアルミニウム原子は、固体アルミニウムに第3の電子を与えるが、回路が開いているために、固体アルミニウムは、その電子を電流コレクタに移動させられない。この効果が固体アルミニウムを負に帯電させ、電荷中性を維持するために、伝統的なイオンの二重層分布が形成され、固体アルミニウムの表面近くで陽イオンが密集する。回路が閉じたときに、これらの蓄積された電子が電流コレクタに送られるが、再び、電荷中性を維持する必要性のために、それらは、1度に全ては送られず、最初にピークとなり、電気化学的拡散勾配で緩和する二重層中のイオンの段階的再分配のために、時間の経過により徐々に降下するように放出される。回路の開閉を交互にすることによって、多数のアノードを用いて、電流を最大にすることができる(1つのアノード回路が開いている間に、充電し、別のものを閉じて、放電することができる)。
【0083】
理論により束縛されないが、アルミニウムは、非負の酸化状態+3、+2、+1および0で存在し得るが、電池の標準作動条件下では、+3および0の状態のみがエネルギー的に安定であり、この0状態が固体アルミニウム相である。S2O8
2-または2H+などの強力な酸化剤が0状態のアルミニウム原子と反応したときに、アルミニウム原子をエネルギー的に不安定な+2の酸化状態にしようとしつつ、固体アルミニウム原子から2つの電子を取り去る(それ自体を2SO4
2-に還元する)。この状態はエネルギー的に好ましくないので、アルミニウム原子は、第3の電子を発生させて、それを安定な+3状態にする。この第3の電子は、固体アルミニウムを通じて負荷機器に、その後、電流コレクタに伝導され、カソード液が別のS2O8
2-陰イオンを還元する。
【0084】
比較すると、Znは非負の酸化状態+2、+1および0で存在し得るが、0および+2状態のみがエネルギー的に好ましい。それゆえ、S2O8
2-陰イオンが0酸化状態の亜鉛原子と反応したときに、亜鉛原子から2つの電子を取り去って、それを安定な+2状態にし、電流は生じない。しかしながら、亜鉛から1つの電子を取り去ることのできる-1状態の酸化剤がある場合、アルミニウムの場合におけるように、電流を生じることができる。
【0085】
そのような単一電解質系において、酸化剤が、1つ以上の追加の電子を放出して安定な酸化状態に自発的に移行するであろう還元剤の不安定な酸化状態を作り出すのに十分な電子を取り去るように、酸化剤と還元剤の対が選択されることがある。そのような対において、その不安定な酸化状態は、安定な酸化状態よりも低い酸化状態である。この安定な酸化状態は、不安定な酸化状態と比べて、+1または+2以上の酸化状態を有するであろう。例えば、アルミニウムにおいて、安定な酸化状態の+3は、不安定な酸化状態よりも1つ多い(+1)。
【0086】
そのような単一電解質の電気化学系の多くの実施の形態において、1つの電流コレクタに多数のアノードが使用されることがある。例えば、アノードがアルミニウムである場合、アルミホイルパケットが、絶縁体などにより互いから隔てられて、多数のアルミニウムアノードを作ることがある。粒子状アルミニウムが使用される場合、そのような個々の粒子は、多数のアノードの機能を果たすことがある。
【0087】
電流を制御するために、pHも使用することができる。pHが中性である場合、Al2O3フイルムが固体表面上に形成されるので、S2O8
2-は固体アルミニウムを酸化することができない。その系は、12のpHより大きいまたはそれより高いなど、アルカリ性が強いので、OH-陰イオンが酸化アルミニウムフイルムを破壊し、それによって、S2O8
2-陰イオンが電流を生じることができる。NaOHからのものなどのOH-イオンの添加、または硫酸の添加などによるH+イオンの添加のいずれかにより、pHを調節することによって、OH-の利用可能性およびそれゆえの電流の制御を調整することができる。表面が十分に活性化されているという条件で、10辺りなどのより低いpHも機能するであろう。
【0088】
他の実施の形態において、本開示の電気化学セルおよび電池は、第1の電解質溶液(カソードでの)を第2の電解質溶液(アノードでの)から分離するための膜または他の器具を必要とせずに作動する。「膜無し」または「膜を必要としない」または「膜がない」という用語もしくはその効果に対する単語が使用される場合、それが意味するのは、第1と第2の電解質溶液(およびそれらの実施の形態における第3の電解質溶液)の間に膜または他の種類の分離器がないことである。
【0089】
複数のセルを含む、1つ以上のセルの電気化学電池は、本開示の電気化学セルを並列または直列に組み合わせることによって、調製することができる。その例に、セルのボルタ電堆がある。そのようなセルおよび電池を使用して、ソーラーファーム、ウィンドファーム、水素圧縮機、電気自動車などの車両、配電網、家庭用電化製品、消費財、および玩具などのプロセス用途に電気を供給することができる。
【0090】
ここに記載された電気化学セルのこの実施の形態および他の実施の形態を含む、本開示の電気化学セル内のカソードおよびアノードは、適切な材料から選択することができる。適切なカソードの例に、鋼鉄、炭素の黒鉛同素体、金属含浸炭素、および炭素発泡体におけるような炭素がある。例えば、導電性炭素布(炭素発泡体とも称される)は、多くの実施の形態にとって適したカソードであり、導電性材料である。多数の電解質を有する膜無しセルの実施の形態に適したアノードとしては、白金、亜鉛、リチウム、ニッケル、カルシウム、マグネシウムまたはアルミニウム、並びに炭素発泡体を含む炭素などの非金属材料が挙げられる。
【0091】
本開示の実施の形態に含まれる第1と第2の電解質溶液は、極性であり、異なる密度のものであることがある。多くの場合、第1の極性電解質溶液の1つ以上は、水および分離剤を含有する。本開示のこれらと他の実施の形態において、2つの極性電解質溶液は非混和性である。第1の電解質溶液がH2Oを含み、第2の電解質溶液がエタノール、メタノール、またはその組合せを含む場合、それらの溶液は、通常、混和性であろう。しかしながら、そのような流体を非混和性にするために、分離剤を使用することができる。その分離剤は、アルコールと水の混合物に加えることができ、十分な濃度で、2つの溶液を分離し、その非混和性を維持する。その分離剤は多くの場合、塩である。いくつかの実施の形態において、その溶液は、その塩に関して飽和している。塩の例としては、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化リチウムおよび塩化アンモニウムなどの、金属のハロゲン化物またはアンモニウム塩が挙げられる。そのような塩の他のものに、特に、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸カリウム、および硫酸アンモニウムがある。第1または第2の電解質溶液中に同じまたは異なる塩が存在してもよい。例えば、両方に硫酸ナトリウムが存在してもよい。他の実施の形態において、第1の電解質溶液中に、硫酸ナトリウムまたは塩化ナトリウムなどの塩が存在し、第2の電解質溶液中に塩化アンモニウムが存在することがある。さらに他の実施の形態において、第1の電解質溶液中に塩化カルシウムが存在し、第2の電解質溶液中に硫酸ナトリウムが存在することがある。それらの塩は、多くの場合、それぞれの溶液中で、その溶解限度でまたはその近くで飽和している。
【0092】
本開示の多くのセルにおいて、第1の電解質溶液は水溶液であり、第2の電解質溶液はアルコール溶液である。各電極での溶液は、酸化・還元が起こり、それゆえ、電気を生じるように必要な成分を含有しなければならない。第2の電解質溶液に使用するのに適したアルコールに、メタノールおよびエタノールがある。
【0093】
第1または第2の電解質溶液に使用する極性溶媒の例が、先の表1に見つかるであろう。選択された特定の系の溶媒は、その溶媒中に入れられた対応する塩を解離するように十分な双極子モーメントのものであるべきである。いくつかの実施の形態において、硫酸(例えば、1M)などの強酸を使用して、第1の極性電解質溶液を酸性にしてよく、一方で、第2の極性電解質溶液は中性である。
【0094】
他の実施の形態において、第1と第2の極性電解質溶液の両方とも塩基性である。これらの溶液は、LiOH、RbOH、CsOH、Sr(OH)2、Ba(OH)2、NaOH、KOH、Ca(OH)2、またはその組合せなどの塩基の添加などによって、塩基性にすることができる。電気化学回路を完成するために、第1の極性電解質溶液に酸化剤が添加され、第2の極性電解質溶液に適切な金属イオンが添加される。第1の極性電解質溶液に使用される一般的な極性溶媒は水である。第2の電解質溶液に使用される一般的な溶媒としては、エタノール、メタノール、アセトニトリル、またはその組合せが挙げられる。
【0095】
酸化剤の例が、先の表2に見つけることができ、溶液中で適切な金属イオンに解離できる化合物の例が、先の表3に見つけることができる。酸化剤による金属酸化は、熱力学的に自発的であるという条件で、どの金属イオン酸化剤の対を選択してもよい。本開示に一般に使用される金属イオンとしては、Al、Zn、Sn、およびVが挙げられる。
【0096】
図3は、第1と第2の電解質を含む電気化学セルの実施の形態を示している。電気化学セル10は、第1の電解質溶液20がカソード12と接触し、第2の電解質溶液22がアノード14と接触するように、第1の電解質溶液20および第2の電解質溶液22により隔てられたカソード12およびアノード14を含む。第1の電解質溶液20および第2の電解質溶液22は、非混和性であり、互いと接触しており、それゆえ、アノード14とカソード12との間でイオンと電子の交換(例えば、H
+およびe
-)を可能にすることができる。各セル10は、回路18によって、負荷機器16に電気的に接続されて、その回路を通じての電流フローを可能にすることができる。その概略図において電解質溶液およびカソードとアノードの電極を接続する垂直線は、導体ではなく、単にその概略図を観察し易くするためであることに留意のこと。
【0097】
特定の実施の形態において、第1の電解質溶液20は、正の電解質すなわちカソード液であることがありり、第2の電解質溶液22は、負の電解質すなわち被分析物(および非混和性)であることがある。多くの実施の形態において、第1の電解質溶液および第2の電解質溶液の密度は異なり、セル10が、カソード12を底部にして垂直に向けられたときに、浮力効果によって、第2の電解質溶液22が第1の電解質溶液20の上に重なるように、第1の電解質溶液20は第2の電解質溶液22よりも緻密である。
【0098】
多くの実施の形態において、セル10は、必要に応じて、例えば、フロー電池を支援するように、フローモードで作動するように作られることがある。そのような電池において、電解質溶液は、電池の作動中にセルに連続的に供給される。例えば、第1の電解質溶液20および第2の電解質溶液22は、セル10中に、それぞれ、導管21および25を通じて、
図3に示されるように、それぞれ、タンク30または他の適切な貯蔵装置などの第1の供給源から、およびタンク32または他の適切な貯蔵装置などの第2の供給源から、カソード12とアノード14との間に流入することができる。第1の電解質溶液20および第2の電解質溶液22は、それぞれ、導管23および27を通じて、セル10からさらに流出することができる。それらは、廃液タンクまたは他のタンクに向けることができる。いくつかの実施の形態において、流れは、セル10を再充電するために、その他のタンクから逆にできるであろう。その流れは、ポンプ50、52によって、もしくは毛管現象、逆浸透、ラチェット、膨潤圧、または重力によって、生じることがある。第1の電解質溶液20および第2の電解質溶液22の流れは、層流様式内に維持されることがある。代わりの実施の形態において、第1の電解質溶液20および第2の電解質溶液22は、セル10を通って流れず、交換式であることがある。
【0099】
電解質が調製されたときに、典型的に、電解質、多くの場合、固体が溶媒内に入れられ、次いで、電解質溶液になる。例えば、電解質が、そこに溶けることができる溶媒内に入れられたときに、電解質固体の溶解により、イオンを生じ、それらが十分に溶けると、その溶媒が電解質溶液になる。それに加え、アノードで酸化が起こり、カソードで還元が起こるように、他の成分がその溶媒に加えられる。そのような成分の例に、亜鉛金属がある。亜鉛は、作動している電気化学セルのアノードに加えられると、Zn2+に酸化する。カソード側では、そのような成分の一例にNH4VO3があり、これは、溶け、解離して、V5+を生じ、これは、作動している電気化学セル内でV4+に還元される。本開示の多くのそのような実施の形態において、第1の電解質溶液は、ClO-、Fe3+、V5+、Br2、およびS2O8
2-から選択されるイオンに解離する成分を含み、そのイオンはカソードで還元される。これらと他の実施の形態において、第2の電解質溶液は、Li+、Ca2+、Al3+、Mg2+、V2+、Zn2+、SiO3
2+、[Zn(CN)4]2-、および[Zn(OH)4]2-から選択されるイオンに酸化する成分を含み、そのイオンは、アノードでの酸化により生じる。
【0100】
いくつかの実施の形態において、カソードでは、バナジウムがV5+からV4+への還元を経る。いくつかの実施の形態において、アノードでは、亜鉛がZn(固体)からZn2+に酸化される。正に帯電したイオンを流れさせるために、アノード側で亜鉛固体を有するメタノール溶液に、塩化アンモニウムがさらに加えられる。その塩化アンモニウムは溶解し、溶液中に正に帯電したイオンとしてNH4
+を、負に帯電したイオンとしてCl-を提供するのに十分に解離する。カソード側では、正に帯電したイオンは、V5+水溶液に硫酸(H2SO4)および硫酸ナトリウム(Na2SO4)の両方を添加することによって、与えられる。溶解とH+およびNa+への解離により、電気化学セルのカソード側で、正に帯電したイオンおよび負に帯電したイオンとしてのSO4
2-が与えられる。それに加え、硫酸ナトリウムは、第1と第2の電解質溶液の混合を防ぎ、それらの非混和性を維持する。さらに、水はメタノールよりも緻密なので、浮力によって、メタノール溶液がより緻密な水溶液の上に重なる。非混和性流体のこの層化(塩水は、メタノールまたはエタノールと非混和性である)により、分離のための膜の必要性が効果的かつ都合よくなくなる。そのような実施の形態は、ここにさらに記載するように、フローまたは非フロー操作のために作られることがある。さらに、そのような実施の形態において、亜鉛は、導電性炭素などの導電性材料と接触することがあり、カソード溶液も、そのような導電性材料と接触することがある。
【0101】
いくつかの実施の形態において、アノードはアルミニウムであり、カソードは炭素または鋼鉄であり、第1の電解質溶液は水とClO-を含有し、第2の電解質溶液はエタノールまたはメタノールを含有する。そのような実施の形態において、例えば、各電解質は、NaOHなどの塩基、および非混和性電解質溶液を生じる塩LiClを含有する。そのような電気化学セルにより供給される電圧は、1.5ボルトと2.1ボルトの間である。そのような電気化学セルは、約0.2および約0.3アンペアを含む、約0.1アンペアと約0.4アンペアの間のアンペア数を生じることができる。ClO-を提供する成分の例に、Na(ClO)およびCa(ClO)2がある。そのようなセルにおいて、ClO-は、式1にしたがって、カソードで還元される:
【0102】
【0103】
第2の電解質は、式2の通りAl3+に酸化するアルミニウムなどの、酸化する金属である成分を含有することができる:
【0104】
【0105】
別のアノードの選択肢は、式3の通りに酸化するマグネシウム:
【0106】
【0107】
または式4の通りに酸化するバナジウム:
【0108】
【0109】
であろう。
【0110】
いくつかの実施の形態において、アノードはリチウム固体であり、溶媒はプロピレンカーボネートおよびジメトキシエタンである。カソードは、銅などの適切な金属であってよく、硫酸ナトリウムも添加される。これらの実施の形態において、アノードとカソードの電解質溶液の両方が塩を含有する。例示の塩は、MgCl2などの金属ハロゲン化物塩である。電解質溶液中にMgCl2が使用される場合、1オームの抵抗で、3.15Vの電圧および0.1A/cm2の電流が得られるであろう。アンペア数がA/cm2として記録される場合、それにより意味されることは、比面積ではなく面面積当たりのアンペア数である。例えば、炭素発泡体の2平方センチメートル片は、その2平方センチメートルの面面積よりもずっと大きい比面積を有する。
【0111】
他の実施の形態において、第1の極性電解質水溶液は、S2O8
2-、NaOH、金属硫酸塩またはCaCl2などの金属ハロゲン化物などの塩、および銅ブラシ、炭素発泡体、またはその組合せなどの銅などの金属カソードを含有する。金属硫酸塩の例に、Na2SO4がある。このS2O8
2-イオンは、例えば、第1の電解質溶液中でそのイオンに解離する塩に由来する。その塩は、例えば、Na2S2O8であることがある。銅は、例えば、ブラシなどのワイヤ形態にあることがある。例えば、第1の電解質溶液と異なる密度の第2の極性電解質アルコール溶液は、メタノール、エタノール、またはその両方などのアルコール、NaOH、Na2SO4などの金属硫酸塩を含む硫酸塩などの塩を含有する。アノードの例に、アルミニウムなどの金属アノードがある。あるいは、アノードは、炭素発泡体などの非金属材料であることがあり、粉末形態などの金属固体が、アノード溶液中に分散されることがある。そのような金属粉末の例に、アルミニウムおよび亜鉛がある。前記溶液中の金属粉末は、アノード自体が金属であれば酸化するであろう同様の様式で、電気化学セルの作用によって酸化する。
【0112】
いくつかの実施の形態において、第1の極性溶液は、水性であり、CaCl2またはNa2SO4のような塩などの分離剤を含有する。そのような実施の形態において第1の電解質溶液と接触するカソードは、銅のような金属または炭素発泡体のような非金属であってよい。グラスウールなどの安定剤または「Pyrex」などのホウケイ酸塩を使用してもよい。そのような溶液中の酸化剤は、多くの場合、例えば、Na2S2O8から供給されることがあるS2O8
2-である。そのような実施の形態において、第2の極性溶液は、多くの場合、エタノールまたはメタノールなどのアルコールである。そのような実施の形態において第2の電解質溶液と接触するアノードは、多くの場合、アルミニウムまたは炭素発泡体である。Na2SO4などの分離剤は、多くの場合、第1の極性電解質溶液、第2の極性電解質溶液、またはその両方の中に飽和濃度またはそれに近い濃度で分散されている。適切な金属イオンは、多くの場合、例えば、アルミホイルまたはアルミニウム粉末から供給されることがあるAl3+などのアルミニウムである。そのような実施の形態において、例えば、Zn2+も使用されることがある。第1と第2の極性電解質溶液の両方とも、pHがより高く、多くの場合、11と14の間にあるNaOHなどの塩基によって、塩基性にすることができる。多くのそのような実施の形態において、第2の極性電解質溶液中で水素ガスが生成される。そのようなガスは、排気され、燃料電池などのプロセス用途に供給されることがある。水素は、例えば、供給前に、水素圧縮機に送ることができる。1つ以上のセルから生じる電気を使用して、水素圧縮機に電力を供給してもよい。電気化学セルは、電解質溶液が補充され、使用済み溶液が除去されるそのような作動において、フローモードで運転することができる。
【0113】
補充されているときに、流入溶液は、第1の極性電解質溶液の塩基、酸化剤、および分離剤を含み、かつアルコール、適切な金属イオンに解離できる金属、塩基、および分離剤を含む水溶液であることがある。流出溶液は、第1の電解質溶液の塩基と分離剤、並びに第2の極性電解質溶液のアルコール、塩基、および分離剤を含む。適切な金属イオンがAlである場合、流出溶液は、Al2O3も含有することがある。
【0114】
これらの実施の形態の特定の態様において、各溶液のpHは、NaOH、KOH、Ca(OH)2、または別の塩基を使用して、塩基性にされている。そのような塩基によって、pHは、約8と約14の間、約9と約14の間、約10と約14の間、約11と約14の間、約12と約14の間、約11と約13の間、並びに約8、9、10、11、12、13、および14を含む約8と約14の間の全ての値に調節することができる。
【0115】
その電気化学セルは、多孔質安定剤をさらに含有することがある。その多孔質安定剤は、流体を通過させることができ、また、第1と第2の電解質溶液に亘り配置することができ、乱流運動中を含め、溶液間の分離を維持するのに役立つ。多孔質安定剤は、どの多孔質媒体であってもよい。多孔質安定剤の例に、グラスウールおよび「Pyrex」を含むホウケイ酸塩がある。この多孔質安定化は、第1と第2の電解質溶液の各々に使用してよく、2つの電解質溶液を含有する電気化学セルを、わずかな流体置換により急激に回転、跳ね返り、または循環させることができる。ホウケイ酸塩の例に、約8μmの細孔径を有するホウケイ酸塩がある。「Pyrex」ウールがそのようなホウケイ酸塩の一例である。そのような電気化学セルは、フローモードまたは非フローモードで運転できる。そのような電気化学セルは、従来技術のセルよりも優れた電流密度および電圧を有することができる。例えば、これらの実施の形態の電気化学セルは、約1オームの抵抗で18時間に亘り測定して、約2.07Vおよび約0.16A/cm2の電圧とアンペア数で始まり、約1.55Vおよび約0.088A/cm2で終わった。
【0116】
多孔質安定剤の使用は、本開示の電池および電気化学セルの以下の特徴の内のいくつかまたは全てに影響する:湿潤性境界条件;スリップ無しとスリップ有りの境界条件;抵抗率および摩擦を含む伝導性;隣接する流体間の分散度または混合;気孔率(例えば、流れの相対体積);ねじれ(例えば、軌道の長さおよび複雑さ);接続性(例えば、種および電気);粒径分布(例えば、充填);相対的伝導性(例えば、多相抵抗性);多重スケール(例えば、離散スケール分離);表面吸収性(例えば、二重層容量);表面反応性(例えば、擬似容量);属成作用(例えば、溶解または堆積);および膨潤(例えば、界面張力)。多孔質媒体は、ナノ構造およびナノ粒子を含むことがある。そのような多孔質媒体は、例えば、カソードまたはアノードで使用されることがある。そのような多孔質媒体のさらに別の例に、細孔またはナノ多孔質黒鉛がある。
【0117】
隣接するセルを分離して、そのような電池の短絡を防ぎ、それでも、電気通信を提供するために、分離器または相互接続体が使用されることがある。電気化学セルの第1と第2の電解質溶液の間に安定剤も使用されることがある。
【0118】
アノードが、炭素発泡体などの非金属であり、アルミニウムまたは亜鉛などの金属がアノード溶液に固体として添加される場合、それは多くの場合、粉末の形態にあり、一般的な粒径は、平均サイズが5マイクロメートル未満であるものである。他の実施の形態において、平均サイズは約5マイクロメートルと約30マイクロメートルの間である。多くの実施の形態において、粉末は、溶液が濁って見えるように、溶液中に分散している。そのような分散体は、セルの性能にとって有用である。一般に、粒子が小さいほど、ストークスの法則にしたがって、粒子が分散体から沈降するのに長く時間がかかる。それゆえ、懸濁液の安定性の観点から、より小さい粒子が好ましい。
【0119】
カソードでは、いくつかのそのような実施の形態の半電池反応は:
【0120】
【0121】
であるのに対し、いくつかの実施の形態のアノードでの半電池反応は:
【0122】
【0123】
であり、但し、アルミニウムが、アノードであるか、または固体としてアノード溶液中に懸濁されており、
【0124】
【0125】
が、アノード自体が亜鉛であるアノードでの半電池反応であるか、または固体としてアノード溶液中に懸濁されている場合である。
【0126】
これらと他の実施の形態において、塩基性条件下で電気化学セル内の化学反応によって、水素ガスが放出されることがある。都合よいことに、石油製品からの水素製造とは異なり、水素は、CO2またはCOを放出せずに生成されるであろう。結果として得られた水素は、貯蔵または再分配のために収集するか、追加のエネルギー生成のために白金膜を有する第2の電気化学セルに送ることができる。例えば、適切な金属イオンがAl3+であり、第2の極性電解質溶液が、メタノール、エタノール、またはその両方などの極性溶媒を含有する場合、そのような電気化学セル内のその後の反応の結果として、水素ガスが放出されることがある。ここでの適切な酸化剤はS2O8
2-である。
【0127】
このように、生じている別個の反応が3つある。1つの反応において、プロトンが、アノードで水素ガスを形成するために還元されている。別の反応では、アルミニウムが酸化されており、NaCl(OH)4を形成する。最後に、カソードでは、酸化剤(S2O8
2-など)がSO4
2-に還元される。
【0128】
所定の濃度の反応体について、水素ガスが生成される速度は、例えば、第2の極性電解質溶液中のアルミニウムなどの金属と、銅/炭素との間の距離の関数である。距離が大きいほど、水素ガスが放出される速度が遅くなり、電流が小さくなる。その上、表面積が大きいほど、一般に、水素が生成される速度が大きくなるという点で、表面積がその速度に影響する。水素は、フローモードまたは非フローモードで生成されてよい。
【0129】
電気化学セルが電気を自発的に生じるために、金属アノードは酸化剤によって酸化可能であり、酸化剤はカソードで還元される。本開示の電気化学セルが、水素ガスを生成するためにさらに使用される場合、ひいては、例えば、メタノールまたはエタノールを含む極性溶液中にNaOHなどの塩基と共に、アノード側に適切な金属イオンが存在する。適切な金属は、第2の極性電解質溶液中で塩基と接触するように配置されたときに、水素を生成するものである。そのような金属は、負である金属・金属イオン酸化還元電位を有する。そのような流体の例としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、またはイソプロピルアルコールなどのアルコールが挙げられる。水は、アルコールとの混合物中などにおける別のそのような流体であるが、分離塩の存在下では、水は、本開示の電気化学セルのカソード側に集まる傾向にある。電池から生じる水素の量は、約10kgと約100kgの間、およびそれらの間の全ての値を含む、一日当たり約100kgまでの水素であることがある。水素ガスは、そのような電気化学セルに使用するために収集することができる。3cm
2のAl金属が第2の極性電解質溶液中に入れられた単一の電気化学セルは、概して
図8にしたがって構成された電気化学セルにおいて測定されて、毎時約0.5kgのH
2を生成した。第2の極性電解質溶液中に入れられる金属の表面積が大きいほど、より多くの水素が生成される。適切な金属イオンを生成するために第2の極性電解質溶液中に入れられる金属は、アルミニウムシートなどのシートとして設けられることがあり、折り重ねられた、または蛇行した形状のシートも提供されることがある。アルミニウム固体の他の形態に、スラリー中などの粉末、またはナノ構造がある。将来使用するために、圧縮条件下などで、水素が貯蔵されることがある。水素の用途の例に燃料電池がある。そのような燃料電池は、例えば、車両に動力を与えるために使用されることがある。
【0130】
本開示のいくつかの実施の形態において、第2の極性電解質溶液に酸化剤を添加することによって、電流が高められる、または「スーパーチャージされる」ことがある。例えば、アルミニウムがアルコール溶液または水溶液と共に入れられる電気化学セルにおいて、アルコール溶液にペルオキシ二硫酸ナトリウムを加えて、電気化学セルから観察される電流を高めることがある。さらに他の実施の形態において、そのように電流を高めるために、第2の極性電解質溶液は必要ない。本開示の電気化学電池において、複数の電気化学セルを積み重ねることが有用であろう。セルの積み重ねは、例えば、3つ以上の異なる密度を有する3つの以上の非混和性流体を使用することによって、可能になるであろう。そのような実施の形態において、アノードから第2の距離にある第1のカソードと反対の第2のカソードが提供され、第2のカソードおよび第2の電解質溶液と接触する第3の電解質溶液がさらに提供され、ここで、第3と第2の電解質溶液は、互いに接触しており、非混和性であり、その第3と第2の電解質溶液の間に膜はない。この第3の電解質溶液は、極性であることがあり、最初の2つの電解質溶液より密度が大きい。水より緻密な第3の電解質溶液の例に、溶媒としてプロピレンカーボネートを含有するものがある。この第3の電解質溶液は、塩を含有することがあり、その塩に関して飽和していることがある。そのようなセルを有する電池は、フローモードまたは非フローモードで作られることがある。
【0131】
図4Aに示されるような、本開示による少なくとも1つの実施の形態において、電池は、第1の電解質溶液20、第2の電解質溶液22、および第3の電解質溶液24を含むセル11を含むことがある。そのような実施の形態において、セル11は、2つのアノード14で作動して、回路18を通じて負荷機器16に供給される電気を生じる1つのカソード12を含む。そのような実施の形態において、第3の電解質溶液24は、第1の電解質溶液20および第2の電解質溶液22よりも緻密である。第3の電解質溶液24は、第1の電解質溶液20および/または第2の電解質溶液22に対して非混和性である。したがって、第2の電解質溶液22が第1の電解質溶液20の上の層内に配置され、第1の電解質溶液20が第3の電解質溶液24の上の別の層内に配置される。例えば、それぞれ、導管21および25を通じて、フローモードで電解質溶液をセルに供給するために、電解質溶液の供給源として働く、随意的なタンク30および32、並びにポンプ50および52(もしくは、毛管作用、逆浸透、ラチェット、膨潤圧、または重力によって)を使用してもよい。第1の電解質溶液20および第2の電解質溶液22は、それぞれ、導管23および27を通じて、セル11からさらに流出することができる。それらは、廃棄タンクまたは他のタンクに向けられてもよい。いくつかの実施の形態において、流れは、セル11を再充電するために、その他のタンクから逆にすることができる。他の実施の形態において、そのセルは、上部と底部にカソードを、中間にアノードを配置しても差し支えない。
【0132】
図4Aに示されるように、第3の電解質溶液24は、フローモードで使用されることがあるポンプ54(もしくは、毛管作用、逆浸透、ラチェット、膨潤圧、または重力)によって、導管31を通じて第3の供給源34からセル11に供給することができる。第3の電解質溶液24は、導管33を通じて、セル11からさらに流出することができる。これは、廃棄タンクまたは別のタンクに向けられてもよい。いくつかの実施の形態において、流れは、セル11を再充電するために、その別のタンクから逆にすることができる。第3の電解質溶液24がセル11を通って流れる実施の形態において、第3の電解質溶液24は廃棄タンクまたは他のタンクに向けられることがある。いくつかの実施の形態において、流れは、セルを再充電するために、他のタンクから逆にすることができる。あるいは、第3の電解質溶液24は、セル11を通って流れないが、置換可能であることがある。この概略図において、電解質溶液およびカソードとアノードの電極を接続する垂直線は、導体ではなく、単にその概略図を観察し易くするためであることに留意のこと。
【0133】
図4Bにおいて、電気化学セル11aは、2つのカソードおよび1つのアノード14が設けられた三層系である。第1の電解質溶液20はカソード12および第2の電解質溶液22と接触しており、第2の電解質溶液22は、次に、アノード14および第3の電解質溶液24と接触している。カソード12は、第3の電解質溶液24および回路18を通じて負荷機器16と接触している。随意的な還元剤(H
2ガスなど)26が導管31aを通じてH
2をアノード14に供給することがある。流動タンク、導管、およびポンプ(もしくは、毛管作用、逆浸透、ラチェット、膨潤圧、または重力による)を使用して、フローモードで電気化学セル11aを運転し、それゆえ、再充電を可能にすることがある。その概略図において電解質溶液およびカソードとアノードの電極を接続する垂直線は、導体ではなく、単にその概略図を観察し易くするためであることに留意のこと。
【0134】
いくつかの実施の形態において、第1と第2の電解質溶液は、第1の電解質溶液中に塩が存在するために、異なる密度のものであり、非混和性であり、膜がなく接触している。さらに、前記セルは、非フローモードで運転するように作られている。並列または直列構成および/またはボルタ電堆などのように、そのようなセルから電池を作ることができる。そのような電池からの電気は、ソーラーファーム、ウィンドファーム、家庭用電化製品、消費財、および玩具などのプロセス用途に供給することができる。
【実施例】
【0135】
実施例1-電気化学セルの作製
Alアノード:200mm×25mmの一片のアルミニウムスクリーンを切断し、このスクリーンを縦方向で半分に三回折り畳み、25mm×25mmの正方形の8層厚とする。
【0136】
炭素発泡体電流コレクタ:100m×25mmの一片の炭素フェルトを切断する。この炭素フェルトを縦方向で半分に二回折り畳み、25mm×25mmの正方形の4層厚とする。
【0137】
銅線:約100mmの長さの裸の銅線を切断する。
【0138】
銅線とAlアノードの組立て:一本の銅線をアルミニウムスクリーンの真ん中に通し、よって、銅の上に4層があり、銅の下に4層があるようにする。銅線の端部の10mmのところを、部分的に包むように曲げて、銅線、4層のアルミニウム、銅線、および4層のアルミニウムとなるようにする。銅線を一旦曲げたら、そのアセンブリを一緒にホチキスで留めて、銅線が落ちるのを防ぎ、良好な接触を確実にする。
【0139】
銅線と炭素発泡体電流コレクタの組立て:一本の銅線を炭素発泡体の真ん中に通し、銅線の上に2層があり、銅線の下に2層があるようにする。銅線の端部の10mmのところを、部分的に包むように曲げて、銅線、2層の炭素発泡体、銅線、および2層の炭素発泡体となるようにする。銅線を一旦曲げたら、そのアセンブリを一緒にホチキスで留めて、銅線が落ちるのを防ぎ、良好な接触を確実にする。
【0140】
アルミニウム、銅線、および炭素発泡体の全体のアセンブリは、ここでは「ユニット」と称される。
【0141】
実施例2-ユニットの互いの組立て
多孔質非導電性スペーサの切断:ビニル被覆ポリエステルスクリーンの35mm×35mm片を切断する。このスクリーンは、1つのユニットのアルミニウムアノードが、別のユニットの炭素発泡体電流コレクタに触れず、電池の短絡を防ぐことを確実にするためのスペーサとして働く。
【0142】
2つのユニットの互いの組立て:第1のユニットからのアルミニウム、スペーサ、および第2のユニットからの炭素発泡体のサンドイッチを作製する。次に、このサンドイッチを一層の3M製サージカル・テープで巻き、これにより、アルミニウムと炭素との間の間隙がスペーサの厚さであるように、サンドイッチ構造体が軽く圧縮されることが確実になる。このサージカル・テープは、電池が適度に飽和したことを確実にするために露出されたときに、電解質を吸収するためのスポンジとしての機能も果たす。このサンドイッチは積層体と称されることもある。
【0143】
直列の電気化学セルを作製するために所望なだけ多くのユニットについて、この組立てを繰り返すことができる。セルの端部を一般的な負荷機器を通じて接続して、電気化学電池を作製することができる。本開示の電解質に暴露された際に、電気または水素もしくはその両方が生成され、用途に供給することができる。
【0144】
実施例3-膜のない非混和性電解質溶液を有するAl/ペルオキシ二硫酸塩電気化学セル/電池
図5の概略図にしたがって構成された非フロー式電気化学セル/電池(図面のフロー部分以外)を調製した。この図は、電気化学セルおよび電池の両方を示し、電池は、1つ以上の電気化学セルを含有すると定義される。このセル/電池は、ガラスビーカー内に製造した。アルミニウム固体を、アノード62として使用し、回路18および負荷機器16を通じてカソード63に電気的に接続し、特定の実験に応じて、炭素布または銅に繋いだ。このアノードは、エタノールまたはメタノールを含有する(多数回試験した)を含有する電解質溶液22c内に置き、これに、硫酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウムを添加した。カソードは、電解質溶液20cと接触するように置き、水酸化ナトリウム、塩化カルシウム、およびNa
2S
2O
8を添加した。各溶液は極性であるが、その異なる電解質溶液は非混和性である。さらに、それらは異なる密度を有し、ペルオキシ二硫酸塩溶液がより緻密であり、それゆえ、底部にあり、それほど緻密ではない中性アルコール(エタノールまたはメタノール)溶液が上にある。アノード電極はアルミニウムである。「Pyrex」ウールが、カソードとアノードの間でビーカーに入れられている。「Pyrex」ウールは、中に流体が入り込む多孔質媒体を形成する。他のホウケイ酸塩などの他の多孔質媒体材料を使用してもよい。
【0145】
ナトリウムとカルシウムの塩の濃度は、それらが、その系のそれぞれの溶解限界にあるまたはそれに近いようなものであった。
図5のセル/電池は、それぞれ、導管21および25を通じて、随意的なタンク30と32およびポンプ50と52(もしくは毛管現象、逆浸透、ラチェット、膨潤圧、または重力によって)を取り付けることによって、フローモードで運転することもできる。セル/電池からの流出流23および27は、反転極性により再充電目的のために廃棄タンクまたは外部タンクに送ることができる。フロー動作において、層の厚さを増減させるために流体の添加速度を使用して、層内の圧力を変化させることができる。Al(固体)→Al
3+などのアノードでの酸化反応速度は、電解質溶液内の2つの圧力を調節することにより(2つの溶液の厚さを制御する速度を調節することにより)、制御することができ、その圧力は、転じて、例えば、S
2O
8
2-イオンなどのカソード溶液中のイオンに対するアルミニウムの近接性を変える。
【0146】
実施例4-膜のない非混和性電解質溶液を有するZn/ペルオキシ二硫酸塩電気化学セル/電池
図6の概略図にしたがって構成された非フロー式電気化学セル/電池(図面のフロー部分以外)を調製した。この図は、電気化学セルおよび電池の両方を示し、電池は、1つ以上の電気化学セルを含有すると定義される。このセル/電池は、ガラスビーカー内に製造した。炭素発泡体を、アノード電極62aとして使用し、回路18および負荷機器16を通じてカソード63aに電気的に接続した。このカソードも炭素発泡体であった。このアノードは、実験に応じてエタノールまたはメタノールを含有する(多数回運転を行った)を含有する電解質溶液22d内に置き、これに、亜鉛粉末、硫酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウムを添加した。カソードは、電解質水溶液20cと接触するように置き、水酸化ナトリウム、塩化カルシウム、およびNa
2S
2O
8を添加した。各溶液は極性であるが、その異なる電解質溶液は非混和性である。さらに、それらは異なる密度を有し、ペルオキシ二硫酸塩溶液がより緻密であり、それゆえ、底部にあり、それほど緻密ではない中性アルコール(エタノールまたはメタノール)溶液が上にある。「Pyrex」ウールが、カソードとアノードの間でビーカーに入れられていた。「Pyrex」ウールは、中に流体が入り込む多孔質媒体を形成する。他のホウケイ酸塩などの他の多孔質媒体材料を使用してもよい。
【0147】
ナトリウムとカルシウムの塩の濃度は、それらが、その系のそれぞれの溶解限界にあるまたはそれに近いようなものであった。
図6のセル/電池は、それぞれ、導管21および25を通じて、随意的なタンク30と32およびポンプ50と52(もしくは毛管現象、逆浸透、ラチェット、膨潤圧、または重力によって)を取り付けることによって、フローモードで運転することもできる。セル/電池からの流出流23および27は、反転極性により再充電目的のために廃棄タンクまたは外部タンクに送ることができる。3時間に亘り運転した後、1オームで、エタノール中において1.75Vと1.89Vの間の電圧、および0.12A/cm
2の電流が記録され、メタノール中で約1.52Vおよび0.12A/cm
2が記録された。
【0148】
フロー操作において、層の厚さを増減させるために流体の添加速度を使用して、層内の圧力を変化させることができる。Zn(固体)→Zn2+などのアノードでの酸化反応速度は、電解質溶液内の2つの圧力を調節することにより(2つの溶液の厚さを制御する速度を調節することにより)、制御することができ、その圧力は、転じて、例えば、S2O8
2-イオンなどのカソード溶液中のイオンに対する亜鉛の近接性を変える。この反応は、セルまたは多数のセルを有する電池を再充電できるように可逆的であってもよい。
【0149】
実施例5-膜のない非混和性電解質溶液を有するAl/ペルオキシ二硫酸塩電気化学セル/電池の追加の実施の形態
図7の概略図にしたがって構成された非フロー式電気化学セル/電池(図面のフロー部分以外)を調製した。この図は、電気化学セルおよび電池の両方を示し、電池は、1つ以上の電気化学セルを含有すると定義される。このセル/電池は、ガラスビーカー内に製造した。炭素発泡体を、アノード電極62aとして使用し、回路18および負荷機器16を通じてカソード63aに電気的に接続した。このカソードも炭素発泡体であった。このアノードは、実験に応じてエタノールまたはメタノールを含有する(多数回運転を行った)を含有する電解質溶液22e内に置き、これに、アルミニウム粉末、硫酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウムを添加した。カソードは、電解質水溶液20cと接触するように置き、水酸化ナトリウム、塩化カルシウム、およびNa
2S
2O
8を添加した。各溶液は極性であるが、その異なる電解質溶液は非混和性である。さらに、それらは異なる密度を有し、ペルオキシ二硫酸塩溶液がより緻密であり、それゆえ、底部にあり、それほど緻密ではない中性アルコール(エタノールまたはメタノール)溶液が上にある。「Pyrex」ウールが、カソードとアノードの間でビーカーに入れられている。「Pyrex」ウールは、中に流体が入り込む多孔質媒体を形成する。他のホウケイ酸塩などの他の多孔質媒体材料を使用してもよい。
【0150】
ナトリウムとカルシウムの塩の濃度は、それらが、そのシステムのそれぞれの溶解限界にあるまたはそれに近いようなものであった。
図7のセル/電池は、それぞれ、導管21および25を通じて、随意的なタンク30と32およびポンプ50と52(もしくは毛管現象、逆浸透、ラチェット、膨潤圧、または重力によって)を取り付けることによって、フローモードで運転することもできる。セル/電池からの流出流23および27は、反転極性により再充電目的のために廃棄タンクまたは外部タンクに送ることができる。3時間に亘り運転した後、約1.9Vの電圧および0.14A/cm
2の電流が記録された。
【0151】
フロー操作において、層の厚さを増減させるために流体の添加速度を使用して、層内の圧力を変化させることができる。Al(固体)→Al3+などのアノードでの酸化反応速度は、電解質溶液内の2つの圧力を調節することにより(2つの溶液の厚さを制御する速度を調節することにより)、制御することができ、その圧力は、転じて、例えば、S2O8
2-イオンなどのカソード溶液中のイオンに対するアルミニウムの近接性を変える。
【0152】
実施例6-Al/ペルオキシ二硫酸塩フロー電池および水素製造
図8は、フローモードの電気化学セルの概略図である。フロー電池には、電解質の連続的補充により瞬時に再充電できるという利点がある。多くの様式で、フロー電池は燃料電池のようであるが、フロー電池は、水素と酸素を使用せずに、液体電解質を利用する。レドックスフロー電池のアノード側に大抵ある金属は微細粉末の形態にあり、これは、分析物と予混されて、コロイド懸濁液を形成し、酸化が起こる多孔質炭素電流コレクタにポンプで通される。カソード側では、還元工程のために、カソード液中に強力な酸化剤が溶けている。例示の単一セルのアンペア数は、0.25A/cm
2から0.1A/cm
2に及び、電圧は1.5Vから3.25Vに及ぶ。第1の電解質溶液は、水にNaOH、Na
2SO
4およびNa
2S
2O
8を添加することによって製造される。電解質溶液を補充し、流動目的にために除去できるように、流入ポートおよび流出ポートが設けられている。この第1の電解質溶液は、炭素発泡体電流コレクタを使用し、グラスウールで安定化されている。流入溶液は、水、NaOH、Na
2SO
4およびNa
2S
2O
8を含有するのに対し、流出流は、水、NaOH、およびNa
2SO
4である。多くの場合、プラスチックから製造される、孔を有する材料を使用して、第1の電解質溶液を第2の電解質溶液から分離してよく、その材料はグラスウールを含有することがある。
【0153】
第2の電解質溶液は、NaOH、Al粉末およびNa
2SO
4をエタノールに加えることによって、製造される。Na
2SO
4は、第1の電解質水溶液を第2の電解質エタノール溶液から分離し続けるのに十分に高い濃度で加えられる。第2の電解質溶液のために流入流および流出流が与えられ、流入流は、粉末形態のAlが添加されたNaOHおよびNa
2SO
4のエタノール溶液である。流出流は、エタノール、水酸化ナトリウム、Al
2O
3、Na
2SO
4、およびNaAl(OH)
4を含有する。電流コレクタは、負荷機器を通じて、第1の電解質溶液の電流コレクタと電気的に接触している炭素発泡体である。グラスウールが第2の電解質溶液を安定化させる。電気化学過程中、水素ガスが第2の電解質溶液中で形成され、
図8に示されるように、例えば、燃料電池などのプロセス用途に水素を供給するために、水素圧縮機へと除去されてもよい。この電気化学セルにより生じた電気を使用して、この水素圧縮機に電力を供給してもよい。例えば、第2の電解質溶液中に入れられた900cm
2のアルミニウムシートは、少なくとも0.1A/cm
2の電流を供給し、1オームおよび2ボルトで90Aの電流を生じるはずであり、これにより、180ワットの電力が供給される。それゆえ、直列の6個の電気化学セルは、典型的な水素圧縮機を運転するのに十分すぎるほどであろう。
【0154】
このように、アノード側(エタノール)では、固体のアルミニウムが電子を生じ、カソード側では、強力な酸化剤(S2O8
2-またはClO-のような)が電子を受け取る。Al(固体)→Al3++3e-およびS2O8
2-+2e-→2SO4
2-の半反応が、実質的な電流(1.4A/cm2-アノード)を生じ、これを使用して圧縮機を駆動できる。理論で束縛されないが、これらの反応が塩基性環境中で行われる場合、ひいては、アノード側で起こる非常に重要な反応が他に3つあり、これによっても、アルミニウムが酸化され、水素ガスが結果として製造される。
【0155】
実施例7-コンデンサとして使用できる、単一溶液を有する電気化学セル
非フローモードの電気化学セルを
図9にしたがって調製した。しかしながら、このセルはフローモードで運転することができ、
図9は、それがどのように行えるかを示している。
【0156】
10グラムのペルオキシ二硫酸ナトリウム、10グラムの水酸化ナトリウム、10グラムの硫酸ナトリウム、および200mlの水から電解質溶液を調製した。電気化学セル内において、1.5グラムのAlホイルを1×2×1cmのブロック内に押し込み、銅線を通じてセル内の計器に接続し、このセルに20mlの電解質溶液を加えた。炭素発泡体電流コレクタもセル内の計器に接続した。したがって、電気化学セル20dは、硫酸ナトリウムを添加したことを除いて、20cと似ている。約45分の過程に亘り、Alホイルの近くのセルに、濃縮(2M)ペルオキシ二硫酸ナトリウムおよびNaOH(pH15)を滴下した。このセルにより提供される電力が約400ミリワットと約600ミリワットの間に及ぶように、合計で約20mlが加えられるまで、滴下した。続いて、アノードの近くに少量の固体のペルオキシ二硫酸ナトリウムを加え、電力が750ミリワットに急上昇し、次いで、約10分間で600ミリワットの定常状態に達することが観察された。固体のペルオキシ二硫酸塩の添加により、熱および相当な水素ガスも放出された。
【0157】
電力の急上昇は、ペルオキシ二硫酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウムの添加などにより酸化剤を添加し、その後、銅線の切断などによる電気化学回路の開放によって、得られるであろう。切断は、コンデンサを構築するために使用してもよい。次に、コンデンサの電荷は、銅線を再び接続し、回路を閉じることによって、放電されるであろう。還元・酸化静電容量は、回路が開いている間にアルミニウムの連続的な酸化により化学的に充電されて、アルミニウム上に正味の負電荷が作られ、これは転じて、二重イオン層(ナトリウムおよび硫酸塩)をアルミニウム表面の隣に形成させ、陽イオンが表面に向きやすいと考えられる。その後回路を閉じると、アノードが負荷機器を通じて急激に放電し、その二重層が同時に壊れ、コンデンサとして一般に知られているものを作り出す。開いて閉じた回路を迅速に循環させると、持続可能な大電流を生じることができる。このコンデンサは、自己充電性であり、配置する酸化剤の量およびpHによって制御することができる。
【0158】
回路の開閉のこのサイクルは、バルク電解質および固体アルミニウムがその系を通過させられるのと同時に繰り返してもよい。あるいは、結果として生じた硫酸ナトリウム、酸化アルミニウムおよびアルミン酸ナトリウムを除去してもよい。
【0159】
先の様々な記載において、電気化学セルは垂直に積み重ねられている。代わりの実施の形態において、例えば、隣接する電気化学セルは、電池を製造するために、他の向きに配置されてもよい。
【0160】
本開示による様々な実施の形態が考えられる。そのような実施の形態は、電気化学セルおよび電池を提供する手段として、様々な方法、過程、手順、工程、および操作で用いることができる。本開示は、図面と先の説明に詳しく示し、記載してきたが、それは、特徴の制限ではなく、説明として考えるべきでり、特定の例示の実施の形態のみが示され、記載されていると理解すべきである。当業者には、本開示から実質的に逸脱せずに、例示の実施の形態に多くの改変が可能であることが認識されよう。したがって、そのような改変の全てが、以下の特許請求の範囲に定義されたような本開示の範囲内に含まれることが意図されている。実際に、本開示は、包括的であること、または本開示の範囲を限定することは意図されていない。
【0161】
本開示の非限定的な実施の形態の追加のリストが、条項の形態で下記に与えられている。
【0162】
条項1.電気化学セルにおいて、
a.アノード、
b.電流コレクタ、および
c.前記電流コレクタと前記アノードとの間の多孔質非導電性スペーサ、
を含む電気化学セル。
【0163】
条項2.単一の電解質溶液をさらに含む、条項1の電気化学セル。
【0164】
条項3.前記セルが電解質で飽和している、条項2の電気化学セル。
【0165】
条項4.前記セルが電解質浴中に浸漬されていない、条項3の電気化学セル。
【0166】
条項5.前記セルが細孔性材料内に包まれている、条項1の電気化学セル。
【0167】
条項6.前記アノードが、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、およびこれらの内の少なくとも1つを含む合金から選択される、条項1の電気化学セル。
【0168】
条項7.前記アノードがアルミニウムである、条項6の電気化学セル。
【0169】
条項8.前記電流コレクタが、鋼鉄、炭素の黒鉛同素体、金属含浸炭素、および炭素発泡体から選択される、条項1の電気化学セル。
【0170】
条項9.前記電流コレクタが炭素発泡体である、条項8の電気化学セル。
【0171】
条項10.前記多孔質非導電性スペーサが、有機高分子、サージカル・テープ、ガラス繊維膜、グラスウール、木、紙、布、カード紙、およびナイロンから選択される、条項1の電気化学セル。
【0172】
条項11.前記スペーサがビニル被覆ポリエステルである、条項10の電気化学セル。
【0173】
条項12.前記電解質が、水および1種類以上の塩を含む、条項2の電気化学セル。
【0174】
条項13.少なくとも1つの塩が酸化剤である、条項12の電気化学セル。
【0175】
条項14.前記電解質が2つの塩を含む、条項12の電気化学セル。
【0176】
条項15.前記電解質が、ペルオキシ二硫酸塩および硫酸塩を含み、塩基をさらに含む、条項14の電気化学セル。
【0177】
条項16.前記ペルオキシ二硫酸塩がペルオキシ二硫酸ナトリウムであり、前記硫酸塩が硫酸ナトリウムであり、前記塩基が水酸化ナトリウムである、条項15の電気化学セル。
【0178】
条項17.前記電解質が水またはアルコールの一方を含む、条項2の電気化学セル。
【0179】
条項18.前記電解質がカソード液である、条項17の電気化学セル。
【0180】
条項19.酸化剤をさらに含む、条項17の電気化学セル。
【0181】
条項20.金属塩をさらに含む、条項19の電気化学セル。
【0182】
条項21.前記酸化剤および前記金属塩が異なる陰イオン成分を有する、条項20の電気化学セル。
【0183】
条項22.前記酸化剤がペルオキシ二硫酸ナトリウムであり、前記金属塩が硫酸ナトリウムである、条項21の電気化学セル。
【0184】
条項23.塩基をさらに含む、条項17の電気化学セル。
【0185】
条項24.前記塩基がNaOHである、条項23の電気化学セル。
【0186】
条項25.前記セルが負荷機器に電気的に接続されている、条項1から24のいずれか1つの電気化学セル。
【0187】
条項26.条項1から24いずれか1つの電気化学セルを1つ以上含む電気化学電池であって、負荷機器に電気的に接続されている電気化学電池。
【0188】
条項27.条項25の電気化学セルにより電気または水素を生成する工程、および該電気または水素を用途に供給する工程を有してなる方法。
【0189】
条項28.条項26の電気化学電池により電気または水素を生成する工程、および該電気または水素を用途に供給する工程を有してなる方法。
【0190】
条項29.電気化学セルを製造する方法であって、
1)条項1および5から11のいずれか1つの電気化学セルであって、電解質を含まない電気化学セルを提供する工程、および
2)前記セルを単一の電解質溶液と接触させる工程、
を有してなる方法。
【0191】
条項30.前記セル上に前記単一の電解質溶液を吹き付けることによって、該セルを該電解質溶液と接触させる工程を含む、条項29の方法。
【0192】
条項31.点滴によって、前記セルを前記単一の電解質溶液の液滴と接触させる工程を含む、条項29の方法。
【0193】
条項32.前記セルを前記単一の電解質溶液の噴霧された霧と接触させる工程を含む、条項29の方法。
【0194】
条項33.電気化学セルを作動させる方法において、
1)条項1の電気化学セルであって、単一の電解質溶液をさらに含む電気化学セルを提供する工程、
2)前記電気化学セルが作動して、電気、水素、または電気と水素の両方を生成するように、該電気化学セルを負荷機器に電気的に接続する工程、および
3)作動中に前記セルに追加の電解質溶液、またはその1つ以上の成分を供給する工程、
を有してなる方法。
【0195】
条項34.
4)作動中に前記電気化学セルから、使用済みの電解質溶液、またはその1つ以上の成分を抜き取る工程、
をさらに含む、条項33の方法。
【0196】
条項35.3)追加の電解質溶液、またはその1つ以上の成分を供給すると同時に、4)使用済みの電解質溶液、またはその1つ以上の成分を抜き取る工程を含む、条項34の方法。
【0197】
条項36.前記単一の電解質溶液が、以下の成分:溶媒、酸化剤、金属塩、および塩の1つ以上を含む、条項33から35いずれか1つの方法。
【0198】
条項37.コンデンサを製造する方法であって、条項1から25いずれか1つの電気化学セルの前記電流コレクタまたはアノード側から負荷機器を外す工程を有してなる方法。
【0199】
条項38.前記負荷機器を再接続する工程をさらに含む、条項37の方法。
【0200】
条項39.条項1から25いずれか1つの電気化学セルにおいて前記電流コレクタまたはアノードの少なくとも一方からの負荷機器の取り外し、および再接続を交互に行う過程によって調製されたコンデンサ。
【0201】
条項40.前記セルが細孔性材料内に包まれている、条項1から4いずれか1つの電気化学セル。
【0202】
条項41.前記アノードが、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、およびこれらの内の少なくとも1つを含む合金から選択される、条項1から4および40のいずれか1つの電気化学セル。
【0203】
条項42.前記アノードがアルミニウムである、条項41の電気化学セル。
【0204】
条項43.前記アルミニウムがスクリーンの形態にある、条項42の電気化学セル。
【0205】
条項44.前記スクリーンにおけるアルミニウムの厚さが約0.1mmと約0.3mmの間にある、条項43の電気化学セル。
【0206】
条項45.前記電流コレクタが炭素発泡体である、条項1から4および40から44のいずれか1つの電気化学セル。
【0207】
条項46.前記多孔質非導電性スペーサが、有機高分子、サージカル・テープ、ガラス繊維膜、グラスウール、木、紙、布、カード紙、およびナイロンから選択される、条項1から4および40から45のいずれか1つの電気化学セル。
【0208】
条項47.前記スペーサがビニル被覆ポリエステルである、条項46の電気化学セル。
【0209】
条項48.前記スペーサがスクリーンである、条項46の電気化学セル。
【0210】
条項49.前記スクリーンにおける前記スペーサの厚さが約0.1mmと約0.8mmの間にあり、該スペーサがビニル被覆ポリエステルである、条項48の電気化学セル。
【0211】
条項50.前記アノードと、第2の電気化学セルからの隣接する電流コレクタとの間に金属導体をさらに含み、条項1の電気化学セルがフローセルとして作動するように作られている、条項1の電気化学セル。
【0212】
条項51.前記金属導体が銅線である、条項50の電気化学セル。
【0213】
条項52.前記細孔性材料がサージカル・テープである、条項40から51いずれか1つの電気化学セル。
【0214】
条項53.前記電解質が、水および1つ以上の塩を含み、前記塩の内の少なくとも1つが酸化剤である、条項2から4および40から52のいずれか1つの電気化学セル。
【0215】
条項54.前記電解質が2つの塩を含む、条項53の電気化学セル。
【0216】
条項55.前記電解質が、ペルオキシ二硫酸塩および硫酸塩を含み、塩基をさらに含む、条項54の電気化学セル。
【0217】
条項56.前記ペルオキシ二硫酸塩がペルオキシ二硫酸ナトリウムであり、前記硫酸塩が硫酸ナトリウムであり、前記塩基が水酸化ナトリウムである、条項55の電気化学セル。
【0218】
条項57.条項1から4および40から56いずれか1つの電気化学セルを1つ以上含む電気化学電池であって、負荷機器に電気的に接続されている電気化学電池。
【0219】
条項58.直列に配置された2つ以上の電気化学セルを含む、条項57の電気化学電池。
【0220】
条項59.並列に配置された2つ以上の電気化学セルを含む、条項57の電気化学電池。
【0221】
条項60.直列および並列に配置された電気化学セルを含む、条項57の電気化学電池。
【0222】
条項61.水および1つ以上の塩を含む電解質をさらに含み、前記塩の内の少なくとも1つが酸化剤である、条項57から60いずれか1つの電気化学電池。
【0223】
条項62.前記電解質が2つの塩を含む、条項61の電気化学電池。
【0224】
条項63.前記電解質が、ペルオキシ二硫酸塩および硫酸塩を含み、塩基をさらに含み、前記電気化学電池がフロー電池として作られている、条項62の電気化学電池。
【0225】
条項64.前記ペルオキシ二硫酸塩がペルオキシ二硫酸ナトリウムであり、前記硫酸塩が硫酸ナトリウムであり、前記塩基が水酸化ナトリウムである、条項63の電気化学電池。
【0226】
条項65.電気を生じる、条項57から64いずれか1つの電気化学電池。
【0227】
条項66.水素を生じる、条項57から64いずれか1つの電気化学電池。
【0228】
条項67.電気と水素を生じる、条項57から64いずれか1つの電気化学電池。
【0229】
条項68.条項65の電気化学電池により生じた電気を用途に供給する工程を有してなる方法。
【0230】
条項69.条項66の電気化学電池により生じた水素を用途に供給する工程を有してなる方法。
【0231】
条項70.前記用途が携帯電話用電波塔または車両である、条項68の方法。
【0232】
条項71.前記用途が燃料電池または車両である、条項69の方法。
【0233】
条項72.前記電解質が水またはアルコールの一方を含む、条項2から4および40から56のいずれか1つの電気化学セル。
【0234】
条項73.前記電解質がカソード液である、条項72の電気化学セル。
【0235】
条項74.酸化剤をさらに含む、条項72または73の電気化学セル。
【0236】
条項75.金属塩をさらに含む、条項74の電気化学セル。
【0237】
条項76.前記酸化剤および前記金属塩が異なる陰イオン成分を有する、条項75の電気化学セル。
【0238】
条項77.前記酸化剤がペルオキシ二硫酸ナトリウムであり、前記金属塩が硫酸ナトリウムである、条項76の電気化学セル。
【0239】
条項78.塩基をさらに含む、条項72から77いずれか1つの電気化学セル。
【0240】
条項79.前記塩基がNaOHである、条項78の電気化学セル。
【0241】
条項80.水またはアルコールの一方を含む電解質をさらに含む、条項57から60のいずれか1つの電気化学電池。
【0242】
条項81.前記電解質がカソード液である、条項80の電気化学電池。
【0243】
条項82.酸化剤をさらに含む、条項80または81の電気化学電池。
【0244】
条項83.金属塩をさらに含む、条項82の電気化学電池。
【0245】
条項84.前記酸化剤および前記金属塩が異なる陰イオン成分を有する、条項83の電気化学電池。
【0246】
条項85.前記酸化剤がペルオキシ二硫酸ナトリウムであり、前記金属塩が硫酸ナトリウムである、条項84の電気化学電池。
【0247】
条項86.塩基をさらに含む、条項80から85いずれか1つの電気化学電池。
【0248】
条項87.前記塩基がNaOHである、条項86の電気化学電池。
【0249】
条項88.電気化学セルにおいて、
a)アノード、
b)電流コレクタ、および
c)前記電流コレクタと前記アノードとの間の多孔質非導電性スペーサ、
を含み、
前記電気化学セルが電解質を含まない、電気化学セル。
【0250】
条項89.前記セルが細孔性材料内に包まれている、条項88の電気化学セル。
【0251】
条項90.前記アノードが、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、およびこれらの内の少なくとも1つを含む合金から選択される、条項88または条項89の電気化学セル。
【0252】
条項91.前記アノードがアルミニウムである、条項90の電気化学セル。
【0253】
条項92.前記アノードがスクリーンの形態にある、条項90または条項91の電気化学セル。
【0254】
条項93.前記スクリーンにおける前記アノードの厚さが約0.1mmと約0.3mmの間にある、条項92の電気化学セル。
【0255】
条項94.前記電流コレクタが、鋼鉄、炭素の黒鉛同素体、金属含浸炭素、および炭素発泡体から選択される、条項88から93いずれか1つの電気化学セル。
【0256】
条項95.前記電流コレクタが炭素発泡体である、条項94の電気化学セル。
【0257】
条項96.前記多孔質非導電性スペーサが、有機高分子、サージカル・テープ、ガラス繊維膜、グラスウール、木、紙、布、カード紙、およびナイロンから選択される、条項88から95のいずれか1つの電気化学セル。
【0258】
条項97.前記スペーサがビニル被覆ポリエステルである、条項96の電気化学セル。
【0259】
条項98.前記スペーサがスクリーンである、条項88から97のいずれか1つの電気化学セル。
【0260】
条項99.前記スクリーンにおける前記スペーサの厚さが約0.1mmと約0.8mmの間にあり、該スペーサがビニル被覆ポリエステルである、条項98の電気化学セル。
【0261】
条項100.前記電気化学セルが、単一の電解質溶液を含み、負荷機器に電気的に接続されており、該セルが、約10ワット時/(電解質+アノード金属のkg)と約680ワット時/(電解質+アノード金属のkg)の間の電力を生じる、条項1の電気化学セル。
【0262】
条項101.前記電気化学セルが、単一の電解質溶液を含み、負荷機器に電気的に接続されており、該セルが、約10ワット時/電解質のkgと約100ワット時/電解質のkgの間の電力を生じる、条項1の電気化学セル。
【0263】
条項102.非金属電流コレクタ、酸化剤、および金属固体と接触した単一の電解質水溶液を含む電気化学セルであって、電流が前記金属固体から前記電流コレクタに負荷機器を通じて移動する、電気化学セル。
【0264】
条項103.前記電解質水溶液が塩基性であり、前記酸化剤がS2O8
2-である、条項102の電気化学セル。
【0265】
条項104.前記電解質水溶液が水酸化ナトリウムをさらに含む、条項102の電気化学セル。
【0266】
条項105.前記金属固体が、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、およびこれらの内の少なくとも1つを含む合金から選択される、条項102から104のいずれか1つの電気化学セル。
【0267】
条項106.前記金属固体がホイル形態のアルミニウムである、条項105の電気化学セル。
【0268】
条項107.多孔質安定剤をさらに含む、条項102から106のいずれか1つの電気化学セル。
【0269】
条項108.金属硫酸塩をさらに含み、前記電流コレクタが炭素発泡体であり、前記多孔質安定剤がグラスウールまたはホウケイ酸塩もしくはその両方である、条項102から107のいずれか1つの電気化学セル。
【0270】
条項109.前記金属硫酸塩がNa2SO4である、条項108の電気化学セル。
【0271】
条項110.pHが12より大きい、条項102から109のいずれか1つの電気化学セル。
【0272】
条項111.前記pHが13より大きい、条項110の電気化学セル。
【0273】
条項112.前記pHが14より大きい、条項111の電気化学セル。
【0274】
条項113.約10ワット時/電解質のkgと約100ワット時/電解質のkgの間の電力が生じる、条項102から112のいずれか1つの電気化学セル。
【0275】
条項114.金属固体の平方センチメートル当たりに生じる電力が約600mWと約1000mWの間である、条項113の電気化学セル。
【0276】
条項115.フローモードで作動するように作られている、条項102から114のいずれか1つの電気化学セル。
【0277】
条項116.条項102から115のいずれか1つの電気化学セルに追加の酸化剤を供給する工程を含む方法。
【0278】
条項117.電解質水溶液を含む流入流をさらに含む、条項115の電気化学セル。
【0279】
条項118.前記流入流が酸化剤をさらに含む、条項117の電気化学セル。
【0280】
条項119.前記酸化剤が、ペルオキシ二硫酸ナトリウムまたはペルオキシ二硫酸陰イオンを含む溶液もしくはその両方である、条項118の電気化学セル。
【0281】
条項120.前記セルから水溶液が流出する、条項115から119のいずれか1つの電気化学セル。
【0282】
条項121.前記セルから流出する前記水溶液が、金属硫酸塩を含む、条項120の電気化学セル。
【0283】
条項122.前記酸化剤が塩基性水溶液中にある、条項118または119の電気化学セル。
【0284】
条項123.前記塩基がNaOHである、条項122の電気化学セル。
【0285】
条項124.前記酸化剤が固体のNa2S2O8である、条項118または119の電気化学セル。
【0286】
条項125.約10ワット時/電解質のkgと約100ワット時/電解質のkgの間の電力が生じる、条項115から124のいずれか1つの電気化学セル。
【0287】
条項126.約40ワット時/電解質のkgと80ワット時/電解質のkgの間の電力が生じる、条項125の電気化学セル。
【0288】
条項127.条項115から126のいずれか1つの電気化学セルの片側から前記負荷機器を取り外す工程を有してなる、コンデンサを製造する方法。
【0289】
条項128.前記負荷機器を再接続する工程をさらに含む、条項127の方法。
【0290】
条項129.条項102から126のいずれか1つの電気化学セルにおいて、前記電流コレクタまたはアノードの少なくとも一方から前記負荷機器を交互に取り外し、再接続する過程によって調製されたコンデンサ。
【0291】
条項130.約10ワット時/電解質のkgと約60ワット時/電解質のkgの間の電力が生じる、条項125の電気化学セル。
【0292】
条項131.非金属電流コレクタ、酸化剤、および金属固体と接触した単一の電解質水溶液を含む電気化学セルであって、電流が前記金属固体から前記電流コレクタに負荷機器を通じて移動し、pHが12以上である、電気化学セル。
【0293】
条項132.前記非金属電流コレクタが炭素発泡体であり、前記酸化剤がペルオキシ二硫酸塩であり、前記金属固体がアルミニウムである、条項131の電気化学セル。
【0294】
条項133.非金属電流コレクタ、酸化剤、および1つ以上のアノードと接触した単一の電解質水溶液を含む電気化学セルであって、電流が前記1つ以上のアノードから前記電流コレクタに負荷機器を通じて移動し、pHが10以上である、電気化学セル。
【0295】
条項134.前記1つ以上のアノードが金属である、条項133の電気化学セル。
【0296】
条項135.前記金属が、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、またはこれらの内の少なくとも1つを含む合金である、条項134の電気化学セル。
【0297】
条項136.前記アノードが絶縁体により隔てられている、条項133から135のいずれか1つの電気化学セル。
【0298】
条項137.前記アノードが、アルミニウムであり、ホイル形態にある、条項135の電気化学セル。
【0299】
条項138.前記pHが12以上である、条項133から137のいずれか1つの電気化学セル。
【0300】
条項139.電気化学セルにおいて、
a.カソード、
b.ある距離で前記カソードに隣接したアノード、
c.前記カソードと接触し、前記距離内に配置された、酸化剤を含む第1の極性電解質溶液、
d.前記アノードと接触し、前記距離内に配置された、適切な金属イオンを含む第2の極性電解質溶液、および
e.分離剤、
を含み、
前記第1と第2の極性電解質溶液が、互いに接触しており、非混和性であり、該第1と第2の極性電解質溶液の間に膜がない、電気化学セル。
【0301】
条項140.各極性電解質溶液が多孔質安定剤をさらに含む、条項139の電気化学セル。
【0302】
条項141.フローモードのために作られている、条項139または140の電気化学セル。
【0303】
条項142.前記第1の極性電解質溶液が水性である、条項139から141のいずれか1つの電気化学セル。
【0304】
条項143.前記酸化剤がバナジウムイオンである、条項139から142のいずれか1つの電気化学セル。
【0305】
条項144.前記酸化剤がS2O8
2-である、条項139から142のいずれか1つの電気化学セル。
【0306】
条項145.前記酸化剤がClO-である、条項139から142のいずれか1つの電気化学セル。
【0307】
条項146.前記第1の極性電解質溶液が塩基をさらに含む、条項139から145のいずれか1つの電気化学セル。
【0308】
条項147.前記塩基が、KOH、NaOH、Ca(OH)2、LiOH、RbOH、CsOH、Sr(OH)2、およびBa(OH)2から選択される、条項146の電気化学セル。
【0309】
条項148.前記塩基がNaOHである、条項147の電気化学セル。
【0310】
条項149.前記第1の極性電解質溶液のpHが約8と約14の間である、条項146から148のいずれか1つの電気化学セル。
【0311】
条項150.前記第1の極性電解質溶液のpHが約11と約14の間である、条項149の電気化学セル。
【0312】
条項151.前記多孔質安定剤がホウケイ酸塩である、条項140から150のいずれか1つの電気化学セル。
【0313】
条項152.前記分離剤が塩である、条項139から151のいずれか1つの電気化学セル。
【0314】
条項153.前記塩が塩化カルシウムである、条項152の電気化学セル。
【0315】
条項154.前記塩が硫酸ナトリウムである、条項152の電気化学セル。
【0316】
条項155.前記セルがフローモードで作動するように作られている、条項139から154のいずれか1つの電気化学セル。
【0317】
条項156.塩基、酸化剤、および分離剤を含む水溶液を含む流入溶液をさらに含む、条項155の電気化学セル。
【0318】
条項157.前記塩基が水酸化ナトリウムであり、前記分離剤が硫酸ナトリウムであり、前記酸化剤がS2O8
2-である、条項156の電気化学セル。
【0319】
条項158.前記セルから、塩基および硫酸ナトリウムを含む水溶液が流出する、条項155から157のいずれか1つの電気化学セル。
【0320】
条項159.塩基の水溶液を含む流出溶液をさらに含む、条項155から157のいずれか1つの電気化学セル。
【0321】
条項160.前記塩基が水酸化ナトリウムである、条項159の電気化学セル。
【0322】
条項161.前記第1の極性電解質溶液内に電流コレクタが配置されている、条項139から160のいずれか1つの電気化学セル。
【0323】
条項162.前記電流コレクタが金属である、条項161の電気化学セル。
【0324】
条項163.前記電流コレクタが非金属である、条項161の電気化学セル。
【0325】
条項164.前記電流コレクタが炭素発泡体である、条項163の電気化学セル。
【0326】
条項165.前記第1と第2の極性電解質溶液の間に配置されたグラスウールをさらに含む、条項139から164のいずれか1つの電気化学セル。
【0327】
条項166.前記第2の極性電解質溶液がアルコールを含む、条項139から165のいずれか1つの電気化学セル。
【0328】
条項167.前記適切な金属イオンがZn2+である、条項139から166のいずれか1つの電気化学セル。
【0329】
条項168.前記適切な金属イオンがAl3+である、条項139から166のいずれか1つの電気化学セル。
【0330】
条項169.前記第2の極性電解質溶液が、アルコール溶液であり、塩基をさらに含む、条項139から168のいずれか1つの電気化学セル。
【0331】
条項170.前記塩基がKOHである、条項169の電気化学セル。
【0332】
条項171.前記塩基がNaOHである、条項169の電気化学セル。
【0333】
条項172.前記第2の極性電解質溶液のpHが約8と約14の間である、条項169から171のいずれか1つの電気化学セル。
【0334】
条項173.前記第2の極性電解質溶液のpHが約11と約14の間である、条項172の電気化学セル。
【0335】
条項174.前記分離剤が塩であり、前記アルコールが、エタノール、メタノール、またはその両方である、条項166から173のいずれか1つの電気化学セル。
【0336】
条項175.前記塩がCaCl2である、条項174の電気化学セル。
【0337】
条項176.前記塩が硫酸ナトリウムである、条項174の電気化学セル。
【0338】
条項177.前記アルコールがエタノールである、条項166から176のいずれか1つの電気化学セル。
【0339】
条項178.前記第2の極性電解質溶液内に電流コレクタが配置されている、条項139から177のいずれか1つの電気化学セル。
【0340】
条項179.前記電流コレクタが金属である、条項178の電気化学セル。
【0341】
条項180.前記電流コレクタが非金属である、条項178の電気化学セル。
【0342】
条項181.前記電流コレクタが炭素発泡体である、条項180の電気化学セル。
【0343】
条項182.前記セルがフローモードで作動するように作られている、条項166から181のいずれか1つの電気化学セル。
【0344】
条項183.アルコール、塩基、分離剤、および適切な金属イオンに解離できる金属を含む極性溶液を含む流入流をさらに含む、条項182の電気化学セル。
【0345】
条項184.前記アルコールが、エタノールまたはメタノールもしくはその両方であり、前記塩基が水酸化ナトリウムであり、前記適切な金属イオンがAl3+である、条項183の電気化学セル。
【0346】
条項185.アルコール、塩基、および分離塩を含む流出流をさらに含む、条項166から184のいずれか1つの電気化学セル。
【0347】
条項186.前記分離塩が硫酸ナトリウムであり、前記塩基が水酸化ナトリウムである、条項185の電気化学セル。
【0348】
条項187.前記アルコールがエタノールである、条項185または186の電気化学セル。
【0349】
条項188.前記第2の極性電解質溶液中で水素ガスが生成される、条項139から187のいずれか1つの電気化学セル。
【0350】
条項189.前記水素ガスが水素圧縮機に向けられる、条項188の電気化学セル。
【0351】
条項190.条項139から189のいずれか1つの電気化学セルを1つ以上と、水素圧縮機とを備えた電池システム。
【0352】
条項191.水素が、プロセス用途に電力を供給するために使用される、条項190の電池システム。
【0353】
条項192.前記プロセス用途が燃料電池である、条項191の電池システム。
【0354】
条項193.電気化学セルにおいて、
a.カソード、
b.ある距離で前記カソードに隣接したアノード、
c.前記カソードと接触し、前記距離内に配置された、S2O8
2-を含む第1の極性電解質水溶液、
d.前記アノードと接触し、前記距離内に配置された、Al3+を含む第2の極性電解質アルコール溶液、および
e.前記第1と第2の極性電解質溶液の両方の中のホウケイ酸塩、
を含み、
前記第1と第2の極性電解質溶液が、互いに接触しており、非混和性であり、該第1と第2の極性電解質溶液の間に膜がない、電気化学セル。
【0355】
条項194.前記第1の極性電解質溶液と第2の極性電解質溶液が異なる密度のものであり、該第1の極性電解質溶液がハロゲン化物塩をさらに含み、該第2の極性電解質溶液が金属硫酸塩をさらに含む、条項193の電気化学セル。
【0356】
条項195.前記アルコールがメタノールまたはエタノールであり、前記ハロゲン化物塩がCaCl2であり、前記金属硫酸塩がNa2SO4である、条項194の電気化学セル。
【0357】
条項196.前記第1と第2の極性電解質溶液のpHが、各々約11から約13となるように調節されている、条項195の電気化学セル。
【0358】
条項197.前記第1と第2の極性電解質溶液が塩基をさらに含む、条項193の電気化学セル。
【0359】
条項198.前記塩基が、ナトリウム、カルシウムまたはカリウムの水酸化物である、条項197の電気化学セル。
【0360】
条項199.前記カソードが、銅、炭素、またはその両方であり、前記アノードがアルミニウムである、条項193から198のいずれか1つの電気化学セル。
【0361】
条項200.前記カソードが銅ブラシである、条項199の電気化学セル。
【0362】
条項201.前記ホウケイ酸塩が「Pyrex」ウールである、条項193から200のいずれか1つの電気化学セル。
【0363】
条項202.前記セルがフローモードで作動するように作られている、条項193から201のいずれか1つの電気化学セル。
【0364】
条項203.条項193から202のいずれか1つの電気化学セルを1つ以上含む電気化学電池。
【0365】
条項204.前記電気化学セルの数が1より多く、該電気化学セルが並列配置で配列されている、条項203の電気化学電池。
【0366】
条項205.前記セルがボルト電堆で配列されている、条項204の電気化学電池。
【0367】
条項206.前記電池が電気をプロセス用途に供給する、条項203から205のいずれか1つの電気化学電池。
【0368】
条項207.前記プロセス用途が、ソーラーファーム、ウィンドファーム、家庭用電化製品、消費財、および玩具から選択される、条項206の電気化学電池。
【0369】
条項208.条項193から202のいずれか1つの電気化学セルからの電気をプロセス用途に供給する方法。
【0370】
条項209.前記プロセス用途が、ソーラーファーム、ウィンドファーム、家庭用電化製品、消費財、および玩具から選択される、条項208の方法。
【0371】
条項210.前記ホウケイ酸塩が、約8マイクロメートルの細孔径を有する、条項201の電気化学セル。
【0372】
条項211.電気化学セルにおいて、
a.非金属カソード、
b.ある距離で前記カソードに隣接した非金属アノード、
c.前記カソードと接触し、前記距離内に配置された、S2O8
2-を含む第1の極性電解質水溶液、および
d.前記アノードと接触し、前記距離内に配置された、金属固体を含む第2の極性電解質アルコール溶液、
を含み、
前記第1と第2の極性電解質溶液が、互いに接触しており、非混和性であり、該第1と第2の極性電解質溶液の間に膜がない、電気化学セル。
【0373】
条項212.前記金属固体が、粉末形態で前記溶液中に分散しており、前記第1と第2の極性電解質溶液の両方の中にホウケイ酸塩が入れられている、条項211の電気化学セル。
【0374】
条項213.前記金属が亜鉛である、条項212の電気化学セル。
【0375】
条項214.前記金属がアルミニウムである、条項212の電気化学セル。
【0376】
条項215.前記非金属カソードが炭素発泡体である、条項211から214のいずれか1つの電気化学セル。
【0377】
条項216.前記非金属アノードが炭素発泡体である、条項211から215のいずれか1つの電気化学セル。
【0378】
条項217.前記粉末の平均粒径が約5マイクロメートル未満である、条項212から216のいずれか1つの電気化学セル。
【0379】
条項218.前記粉末の平均粒径が約5マイクロメートルと約30マイクロメートルの間である、条項212から216のいずれか1つの電気化学セル。
【0380】
条項219.条項211から218のいずれか1つの第2の極性電解質溶液に酸化剤を添加する工程を有してなる、電気化学セルにおいて電流を高める方法。
【0381】
条項220.電気化学セルにおいて、
a.カソード、
b.ある距離で前記カソードに隣接したアノード、
c.前記カソードと接触し、前記距離内に配置された、酸化剤を含む第1の電解質水溶液、
d.前記アノードと接触し、前記距離内に配置された、金属と酸化剤を含む第2の極性電解質溶液、および
e.分離剤、
を含み、
前記第1と第2の電解質溶液が、互いに接触しており、非混和性であり、該第1と第2の電解質溶液の間に膜がない、電気化学セル。
【0382】
条項221.前記第2の極性電解質溶液がアルコール溶液である、条項220の電気化学セル。
【0383】
条項222.前記アルコールがエタノールまたはメタノールである、条項221の電気化学セル。
【0384】
条項223.前記酸化剤が、S2O8
2-またはペルオキシ二硫酸ナトリウム、もしくはその両方であり、前記金属がアルミニウムであり、前記分離剤が硫酸ナトリウムであり、前記カソードとアノードが炭素発泡体である、条項220から222のいずれか1つの電気化学セル。
【0385】
条項224.前記第1と第2の電解質溶液中に多孔質安定剤がある、条項223の電気化学セル。
【0386】
条項225.前記多孔質安定剤が、グラスウール、ホウケイ酸塩、またはその両方である、条項224の電気化学セル。
【0387】
条項226.フローモードで作動するように作られている、条項220から225のいずれか1つの電気化学セル。
【0388】
条項227.条項220から226のいずれか1つの電気化学セルに追加の酸化剤を供給する工程を有してなる方法。
【0389】
条項228.電解質水溶液を含む流入流をさらに含む、条項226または227の電気化学セル。
【0390】
条項229.前記流入流が酸化剤をさらに含む、条項228の電気化学セル。
【0391】
条項230.前記酸化剤が、ペルオキシ二硫酸ナトリウム、またはペルオキシ二硫酸陰イオンを含む溶液、もしくはその両方である、条項229の電気化学セル。
【0392】
条項231.前記セルから水溶液が流出する、条項226および228から230のいずれか1つの電気化学セル。
【0393】
条項232.条項226および228から230のいずれか1つの電気化学セルから金属硫酸塩を除去する工程を有してなる方法。
【0394】
条項233.前記酸化剤が塩基性水溶液中にある、条項229の電気化学セル。
【0395】
条項234.前記塩基がNaOHである、条項233の電気化学セル。
【0396】
条項235.前記酸化剤が固体のNa2S2O8である、条項229または230の電気化学セル。
【0397】
条項236.約10ワット時/電解質のkgと約100ワット時/電解質のkgの間の電力を生じる、条項220から235のいずれか1つの電気化学セル。
【0398】
条項237.約40ワット時/電解質のkgと約80ワット時/電解質のkgの間の電力が生じる、条項208の電気化学セル。
【符号の説明】
【0399】
10、11 セル
12、63、63a カソード
14、62、62a、100 アノード
16、150 負荷機器
18 回路
20 第1の電解質溶液
20c、22c、22d、22e 電解質溶液
20d 電気化学セル
21、23、25、27、31、33 導管
22 第2の電解質溶液
24 第3の電解質溶液
26 還元剤
30、32 タンク
50、52 ポンプ
110 多孔質非導電性スペーサ
120 電流コレクタ
130 銅線
140 銅
160 積層体