(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-09
(45)【発行日】2022-08-18
(54)【発明の名称】2つの周波数帯域を使用した無人航空機との通信のためのシステム
(51)【国際特許分類】
H04W 72/04 20090101AFI20220810BHJP
H04W 84/06 20090101ALI20220810BHJP
H04W 16/24 20090101ALI20220810BHJP
【FI】
H04W72/04 132
H04W72/04 136
H04W84/06
H04W16/24
(21)【出願番号】P 2019505349
(86)(22)【出願日】2017-06-14
(86)【国際出願番号】 US2017037522
(87)【国際公開番号】W WO2017185106
(87)【国際公開日】2017-10-26
【審査請求日】2020-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】518069014
【氏名又は名称】ロンバス システムズ グループ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】RHOMBUS SYSTEMS GROUP, INC.
【住所又は居所原語表記】1600 Market Street, Suite 1320, Philadelphia, PA 19103 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【氏名又は名称】井上 満
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【氏名又は名称】名塚 聡
(72)【発明者】
【氏名】オルソン, アーランド
【審査官】伊東 和重
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106027996(CN,A)
【文献】国際公開第2017/040974(WO,A1)
【文献】特表2016-540453(JP,A)
【文献】特表2011-521593(JP,A)
【文献】米国特許第06178327(US,B1)
【文献】陸上無線通信委員会,諮問第2036号「ロボットにおける電波利用の高度化に関する技術的条件」及び諮問第2034号「災害対策ロボット・機器向け通信システムの技術的条件」,情報通信審議会 情報通信技術分科会 陸上無線通信委員会報告(案) 概要,日本,陸上無線通信委員会,2016年01月26日,第3頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
UAVペイロードとコンピュータ又はコントローラ間のデータグラムをサポートするための任意的使用のための
1つ又は複数の構成周波数を有する第1の周波数帯域と、UAVとホストコントローラ又は制御ネットワーク間の指令及び制御及びナビゲーションデータグラムの送受信専用の第2のRF通信帯域の2つの異なる周波数帯域を含む、UAVとのRF通信のためのシステムであって、
前記UAVとのRF通信は
、連続通信層である領域層で実施され、
前記領域層は、前記指令及び制御及びナビゲーションデータグラムの送受信専用の第2のRF通信帯域を有し、前記領域層は、上昇した高度を有する上昇層であって、地上レベル又は平均海面レベル上の上昇した高度を有し、前記指令及び制御及びナビゲーションデータグラムの送受信専用の第2のRF通信帯域を有する前記領域層は、地上レベル又は平均海面レベル上での高
度調整が可能であり、
前記領域層の前記高度調整は、分単位で行うことができ、
前記指令及び制御及びナビゲーションデータグラムの送受信専用の第2のRF通信帯域を有する前記領域層の前記高度調整は、前記UAVペイロードとコンピュータ又はコントローラ間のデータグラムをサポートするための任意的使用のための前記第1の周波数帯域のための前記連続通信層の前記1つ又は複数の構成周波数の調整と同期して行われる、システム。
【請求項2】
前記第2のRF通信帯域は、4200MHz~4400MHzの周波数範囲内にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第2のRF通信帯域は、複数の副帯域に分割される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2のRF通信帯域は3つの副帯域群に分割され、各副帯域群は4200~4400MHzの範囲内の周波数範囲を有する帯域幅セグメントからなり、副帯域群の各副帯域範囲は、別の群の副帯域範囲とは異なる、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記副帯域群は再使用構成で配置される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第2のRF通信帯域は、5000~5250MHzの周波数範囲にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第2のRF通信帯域は、複数の副帯域に分割される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第2のRF通信帯域は3つの副帯域群に分割され、各副帯域群は5000~5250MHzの範囲内の周波数範囲を有する帯域幅セグメントからなり、副帯域群の各副帯域範囲は、別の群の副帯域範囲とは異なる、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記副帯域群は、再使用構成で配置される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第2のRF通信帯域は、地上セルシステムと同様の空間周波数再使用方式で構成され、前記RF通信帯域は、地面沿いに投射されるのではなく空中に投射される放射を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項11】
前記第2のRF通信帯域は、地上セルシステムと同様の空間周波数再使用方式で構成され、前記RF通信帯域は、地面沿いに投射されるのではなく空中に投射される放射を含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項12】
前記UAVとホストコントローラ又は制御ネットワーク間の指令及び制御及びナビゲーションデータグラムの送受信は、データグラム構造における順方向エラー訂正を用いて行われる、請求項2に記載のシステム。
【請求項13】
前記UAVとホストコントローラ又は制御ネットワーク間の指令及び制御及びナビゲーションデータグラムの送受信は、データグラム構造における順方向エラー訂正を使用して実行される、請求項6に記載のシステム。
【請求項14】
前記順方向エラー訂正は、データグラム構造における畳み込みエラー訂正符号を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記順方向エラー訂正は、データグラム構造における畳み込みエラー訂正符号を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記UAVとホストコントローラ又は制御ネットワーク間の指令及び制御及びナビゲーションデータグラムの送受信は、データグラム構造におけるターボ符号を使用して実行される、請求項2に記載のシステム。
【請求項17】
前記UAVとホストコントローラ又は制御ネットワーク間の指令及び制御及びナビゲーションデータグラムの送受信は、データグラム構造におけるターボ符号を使用して実行される、請求項6に記載のシステム。
【請求項18】
空間周波数再利用方式の一部として、右円偏向及び左円偏向が利用される、請求項2に記載のシステム。
【請求項19】
空間周波数再利用方式の一部として、右円偏向及び左円偏向が使用される、請求項6に記載のシステム。
【請求項20】
前記システムは、ある領域の航空交通制御データグラムを処理するための少なくとも1つの中央コンピュータと複数の無線トランシーバを含み、前記システムは、無線装置データグラムトランシーバポイントと前記領域のための前記航空交通制御データグラムを処理する前記中央コンピュータ間の別個の冗長バックホールを備えて構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項21】
前記システムは、ある領域の航空交通制御データグラムを処理するための少なくとも1つの中央コンピュータと複数の無線トランシーバを含み、前記システムは、無線装置データグラムトランシーバポイントと前記領域の前記航空交通制御データグラムを処理する前記中央コンピュータ間の別個の冗長バックホールを備えて構成される、請求項6に記載のシステム。
【請求項22】
前記システムは、トランシーバに関連するアンテナを備え、第2のRF通信帯域は、放射円錐を形成するように前記アンテナを経て伝搬される放射を含み、前記アンテナによって投射される前記放射円錐の角度が電子的に調整可能である、請求項2に記載のシステム。
【請求項23】
前記システムは、トランシーバに関連するアンテナを備え、第2のRF通信帯域は、放射円錐を形成するように前記アンテナを経て伝搬される放射を含み、前記アンテナによって投射される前記放射円錐の角度を電子的に調整可能である、請求項6に記載のシステム。
【請求項24】
前記システムは、トランシーバに関連するアンテナを備え、第2のRF通信帯域は、放射円錐を形成するように前記アンテナを経て伝搬される放射を含み、前記アンテナによって投射される前記放射円錐の角度を機械的に調整可能である、請求項2に記載のシステム。
【請求項25】
前記システムは、トランシーバに関連するアンテナを備え、第2のRF通信帯域は、放射円錐を形成するように前記アンテナを経て伝搬される放射を含み、前記アンテナによって投射される前記放射円錐の角度を機械的に調整可能である、請求項6に記載のシステム。
【請求項26】
前記UAVとホストコントローラ又は制御ネットワーク間の指令及び制御及びナビゲーションデータグラムの送受信専用の前記第2のRF通信帯域は、既存の携帯電話タワーに実装された機器を経て伝搬される、請求項1に記載のシステム。
【請求項27】
前記UAVとホストコントローラ又は制御ネットワーク間の指令及び制御及びナビゲーションデータグラムの送受信専用の前記第2のRF通信帯域は、前記第2のRF通信帯域を経た通信の提供に専用の携帯電話タワーに実装された装置を経て伝播され、
空間周波数再利用方式の一部として、右円偏向及び左円偏向が利用され、
前記システムは、第1の空方向円錐の伝播信号の右円偏波または左円偏波のうちの少なくとも1つを有するより低い層を備える伝搬信号の少なくとも1つの前記第1の空方向円錐を備え、
前記システムは、前記より低い層よりも高い水準の層における伝搬信号の少なくとも1つの第2の空方向円錐を備え、
前記第2の空方向円錐は前記第1の空方向円錐の伝播信号の前記右円偏波または左円偏波のうちの他方を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項28】
前記UAVとホストコントローラ又は制御ネットワーク間の指令及び制御及びナビゲーションデータグラムの送受信専用の前記第2のRF通信帯域は、RFサブシステムを経た通信の提供に専用の携帯電話タワーに実装された装置を介して伝搬される、請求項1に記載のシステム。
【請求項29】
UAVペイロードとコンピュータ又はコントローラ間のデータグラムをサポートするための任意的使用のための
1つ又は複数の構成周波数を有する第1の周波数帯域と、UAVとホストコントローラ又は制御ネットワーク間の指令及び制御及びナビゲーションデータグラムの送受信専用の第2のRF通信帯域の2つの異なる周波数帯域を含む、UAVとのRF通信のためのシステムであって、
前記UAVとのRF通信は
、連続通信層である領域層で実施され、
前記領域層は、前記指令及び制御及びナビゲーションデータグラムの送受信専用の第2のRF通信帯域を有し、前記領域層は、上昇した高度を有する上昇層であって、地上レベル又は平均海面レベル上の上昇した高度を有し、前記指令及び制御及びナビゲーションデータグラムの送受信専用の第2のRF通信帯域を有する前記領域層は、地上レベル又は平均海面レベル上での高
度調整が可能であり、
前記領域層の前記高度調整は、分単位で行うことができ、
前記指令及び制御及びナビゲーションデータグラムの送受信専用の第2のRF通信帯域を有する前記領域層の前記高度調整は、前記UAVペイロードとコンピュータ又はコントローラ間のデータグラムをサポートするための任意的使用のための前記第1の周波数帯域のための前記連続通信層の前記1つ又は複数の構成周波数の調整とは別に行われる、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信の分野に関し、より詳細には、無人で遠隔操縦航空機に関連するセルラ通信ネットワークの動作のためのシステム、方法及びコンポーネントに関する。
【背景技術】
【0002】
今日使用されている一般公衆通信用の無線システムは、
図1に示されるように、「セル」ベースであることが多い。そのようなシステムでは、より大きな地理的領域(101)内のモバイル電話又はモバイル機器(100)は、より大きな領域(102)のサブ領域の機器に双方向無線通信を提供する固定位置ローカル無線トランシーバの配分によってサービスが提供される。モバイル電話又はモバイルがある場所から新しい場所(103)に移動する際、これはセルラ無線システム(104)内の異なるローカル固定無線トランシーバによって、又は同一のローカル固定無線トランシーバの範囲内にある別のセクタ(104a、104b、104c)によってサービスされてもよい。無人航空機(UAV)及び遠隔操縦機(RPV)はまた、固定無線トランシーバの範囲内及び範囲外に移動できる。
【0003】
無線システム内の固定無線トランシーバのアンテナ放射パターンは、一般に無指向性又は空向き方向ではなく、地面に沿って指向性を有するように方向付けられる。放射パターンがそのように限定される幾つかの理由には、第1に、そのようなシステムにおける無線機器のユーザは、通常、無線携帯電話及びスマートフォンの通信のように、ほぼ常に物理的に地球の表面沿いに限られ、さらに民間航空機では一般に法律によって禁止されていること、また第2に、セルラベースの通信システムは、隣接セル又は近隣のセルに入る可能性のある放射電力を制限することによって、周波数の使用を繰り返すセル間の干渉を回避することが含まれ、これは固定無線トランシーバに関連するアンテナから発される放射パターンを制御することによって少なくとも部分的に達成される。セルラベースの無線通信システムにおける通常の固定無線トランシーバの放射パターンの簡略図が
図2に示されている。水平又は「地面に平行」パターンは(200)に示され、一方、垂直パターンは(210)に示されている。
【0004】
さらに
図3の絵図を参照すると、垂直パターンをさらに可視化することができる。固定セルラ無線トランシーバのアンテナシステム(300)は、通常は地面(303)からある程度の距離を置いてマストに取り付けられており、固定アンテナ(300)を介したモバイル機器(図示せず)とセルラベースの通信システム間でのデータグラム又は音声トラヒックを送受信するために使用される特定の周波数のいわゆるビーム(300)でそのエリアをカバーすることによって、アンテナ(303)から放射状のある範囲内でモバイル機器との通信を可能にするように設計されている。ビームは、通常は有用な角度5~10°(302)を成すように設計され、さらに追加の5~10度(305)だけ地面に対して傾斜してもよい。地面方向を指すいわゆる垂直のサイドローブは実際に、アンテナ(306a)に近いモバイル機器にカバレッジ(受信可能範囲/coverage)を供給するのを助け、一方、空方向(306b)を指す垂直サイドローブは通常は役に立たないか、重要ではなく、アンテナシステムの副産物として無視される。
【0005】
図4(400a)を参照すると、
図3に示された固定無線送受信機アンテナの簡略図が示され、各アンテナ(401、402)は地面(410)の上方に取り付けられ、実質的に地面(401a、401b、402a、402b)に沿った垂直放射パターンを有し、固定無線トランシーバは、カバレッジの連続性を保証するために、通常のセルラ型通信ネットワークにあるような幾つかの計画に従って離間されている。当業者にはよく知られているように、固定無線トランシーバの実際の離間は、カバーされる領域の表面にわたって2次元で行われ、一方の固定無線トランシーバ(401b)から他方の固定無線トランシーバ(402a)に放射される周波数が異なり、隣接位置間の干渉を回避するように周波数再利用パターンが確立される。すなわち、ビーム(401b)に関連する通信のための周波数は、周波数群f
Aからのものであってもよいのに対して、ビーム(402a)に関連する通信のための周波数は周波数群f
Bなどからのものであってもよい。セルラベースの通信システムの周波数再使用パターンはよく研究されており、
図1(104a、104b、104c)に示され、
図2(201、202、203)にも示されているように、
図4(401a、401b、402a、402b)に示されているような単純な周波数ダイバーシティ(多様化)に加えて、アンテナ(401、402)の水平方向の方向性を含むことが多い。
【0006】
図4に示された簡略化された状況は、ほとんどの野外条件下でモバイル機器とセルラシステム間で、次いでセルラシステムに接続された(公衆交換電話網、他の移動装置、又はセルラネットワーク上のモバイル機器とデータグラムを交換するコンピュータシステムなど)の後続のエンドポイント間で信頼できる通信を行うことができる、地面付近に基本的に連続的なカバレッジ又は層(421)がある広大な領域、さらには全ての国があるような、現在の世界の人口密集地域が二次元で再現されている。
図5は、米国のいわゆるカバレッジマップであり、青のエリアは、地上付近に位置するモバイル機器間で音声又はデータグラムトラヒィックのいずれかを搬送することができるセルラ型ネットワークの連続カバレッジがある領域であり、白のエリアはカバレッジのない領域である。簡単な点検で明らかなように、米国の過半数がカバーされている。
【0007】
現在、商業活動のための無人航空機(以下、UAV)及び遠隔操縦機(以下、RPV)の展開に大きな関心が寄せられている。関心には、地元の流通倉庫から近隣までの荷物の配送や、漏洩や通行権の侵入をチェックするための1000マイル(約1609km)の石油パイプラインのリモートセンシングなど、さまざまな機能が含まれる。
【0008】
本明細書での議論の目的では、カテゴリー間に実質的なクロスオーバーが存在することの可能性があることの理解及び一般性を失うものではないが、UAVは地上からの高度(AGL)2000フィート(約610m)で飛行する重量50ポンド(約22.7kg)未満の短距離及び低高度、及び/又は法的に管制された空域の航空機であると見なされ、飛行コースの残りの部分が自律的に誘導され得る飛行コースの一部又は全部にわたってUAVを能動的に誘導する遠隔オペレータがいてもよく、いなくてもよく;RPVは、代表的な通常の飛行高度が2000フィートAGLを超え、かつ/又は法的に管制された空域内で、重量が50ポンドを超える長距離及び高高度の長距離航空機とみなされ、有人航空機で通例であるような自動操縦の使用など、通常コースの飛行の自動化を可能にする航空機の人間による遠隔操縦及び/又は監視がなされる。
【0009】
代表的なUAVと代表的なRPVが
図6と
図7にそれぞれ示されている。UAVとRPVは当初は主として軍事的な理由から開発されたものであり、したがって、これらとの通信は、UAVのための軍事的な有視界での通信方法やRPVの軍事衛星ネットワークを主に利用していた。現在の多くの軍事RPVの通信ネットワーク構成の例が
図8に示されており、これは、UAV/RPVが、先ずその上空の指定された軍用用途の専用衛星(801)と専ら通信し、次いで指令センター(810)に通信を中継することを示している。実際には、
図9に示されるように、
図7に示すRPVの機首は主として、650~22、500マイル(約1046km~約36、210km)上空でRPVの上を周回する衛星と通信する高利得トラッキングアンテナの機能に専念している。このような距離でトランシーバ又はトランスポンダと通信することに伴う経路損失/喪失は、
図9(901)に示されるように高利得アンテナを必要とする。
【0010】
RPV及びある程度までUAVが商業活動に役立つためには、ほとんどの管轄区域で管制空域(controlled airspace)の使用を統制する法律及び規制を遵守しなければならない。一般に、このような遵守のためには、UAV/RPVが航空管制官と通信することができ、また他の航空活動(航空交通/air traffic)を視認し、感知して、これを避ける必要がある。したがって、UAV/RPVとそのオペレーションセンター間で送信される商業活動に必要な任意のリアルタイムのデータグラムに加えて、RPVは、そのオペレーションセンターとの恒常的な通信を維持して、RPVが有人航空機であるかのように行動し、指示されることができるように、RPVからの画像及びRPVと航空活動制御センター間の通信を送信しなければならない。
【0011】
恒常的な通信の必要性は、軌道周回する衛星への通信リンクに対する顕著な要求を課す。このような距離(650~22500マイル)での通信の困難さに加えて、各々が限定された周波数を有する利用可能な衛星は限られており、RPVやUAVによる商業活動に対応するには、衛星の数と利用可能な使用帯域幅は不十分である。さらに、小型のRPV及びUAVは、RPV又はUAVが衛星と通信するために必要なアンテナシステムのためのスペース又はペイロード能力を有していない。加えて、衛星の冗長性がほとんど又は全くなく、衛星トランスポンダが故障し、かつ/又はその衛星を介した通信が駄目になった場合、RPV/UAVとの全ての通信が失われ、その後RPV/UAVが制御不能になることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
UAVが管制空域にあるとき、又はコントローラ又はオペレータからの見通し外にあるとき、RFリンクを介してUAVと通信することは困難な場合が多い。米国では、空域は400フィート(約122m)上空の空間である。
無人航空機が管制空域(すなわち、米国内で400フィート超)及び/又はコントローラ又はオペレータからの見通し外にある場合、RFリンクを介して無人航空機と継続的に通信するには課題が存在する。UAVとの通信を容易にするために地上ベースのRFセルラ型システムを大気中に投影するシステムが必要であるが、このシステムには、UAVの重要な指令及び制御のために十分な信頼性を提供し、しかも同時にリモートセンシング用途のための高帯域幅のサポートを提供することがさらに必要である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
無人航空機(UAV)と通信するシステムが提供される。このシステムは、例えば、ペイロード操作、撮像、カメラ、サウンド、及び配送活動などのリモートセンシング(遠隔検知)用途を処理する(取り扱う)ための高帯域幅のサポートを提供する一方で、UAVの指令及び制御及びナビゲーション機能などの重要な操作に対する高い信頼性を提供する。このシステムは、好ましくは、複数の周波数帯域を含むように構成され、好ましい実施形態によれば、第1のタイプの通信のための第1の周波数帯域と、第2のタイプの通信のための第2の周波数帯域とを提供する。通信は、好ましくはUAVと別のコンポーネント間のRF通信であり、これは好ましくは、RF通信をサポートするネットワークを介して行われる。好ましい実施形態によれば、他のコンポーネントは、動作又は機能を制御するためにUAVにデータグラムを提供する、コンピュータなどの指令及び制御機器である。命令及び制御装置はまた、UAVからの通信を受信し得る。このシステムの実施形態は、1つはUAVペイロード(例えば、リモートセンシング動作)とコンピュータ又はコントローラ間のデータグラムをサポートするための任意的使用のための周波数帯域と、UAVとホストコントローラ又は制御ネットワーク間の指令及び制御及びナビゲーションデータグラムの送受に専用の第2のRF通信帯域の、2つの別個の周波数帯域を含むUAVとのRF通信を提供する。
【0014】
好ましい実施によれば、システムはUAVとのRF通信を送信し、かつ交換するように構成される。システムのある実施形態では、システムは、好ましくはRF通信帯域である2つの異なる周波数帯域を有するように構成される。通信帯域の1つは、例えば、UAVペイロードとコンピュータ又はコントローラとの間などのデータグラムをサポートするための必要に応じた(任意的な)使用に利用され、一方、第2のRF通信帯域が提供され、これはUAVとホストコントローラ又は制御ネットワーク間の指令及び制御及びナビゲーションデータグラムの送受信専用である。実施形態は好ましくは、UAVと指令及び制御コンピュータ間の指令及び制御及びナビゲーションデータグラムを提供するように実施され、これは、好ましくは、指令及び制御及びナビゲーション操作に専用で別個の指定されたRF周波数帯域内で行われる。
【0015】
このシステムは、地上のセルシステムのような空間周波数再使用スキームを使用するように構成されてもよいが、地面に沿って投影されるのではなく空中に投影される。加えて、好ましい実施形態は、例えばUAV(又はRPV)と指令及び制御コンピュータ間の指令及び制御及びナビゲーションデータグラムを処理するように指定された特定のサブバンド(副帯域)領域(例えば、専用の又は第2のRF通信帯域の副帯域領域)のための左又は右円偏波などの偏波(偏向/polarization)を実施するように構成されてもよい。信頼性は、例えば、畳み込みエラー訂正コードを含み得るデータグラム構成における前方エラー訂正、及び/又は、データグラム構造におけるターボ符号(ターボコード)などの機能を実装することによってさらに強化され得る。加えて、システムの幾つかの実施形態は、信頼性を高めるために、無線装置データグラムトランシーバポイントとある領域の航空交通制御データグラムを処理する中央コンピュータ間の別個の冗長バックホールを利用して実施され得る。例えば、(ネットワークプロトコルに応じて)固定位置トランシーバ、基地トランシーバ、基地局、ノード又はそれらの等価物などのネットワークの通信コンポーネント間で、又は通信コンポーネントどうしで別個の冗長バックホール動作が実施され得る。
【0016】
指令及び制御送信がそれを通って処理される放射帯域の副帯域群は、再使用構成で配置されてもよく、アンテナによって投影される放射円錐の角度は、例えば電子的又は機械的に調整されてもよい。
【0017】
このシステムは、既存のセルタワーと組み合わせて実施されてもよく、又は、UAV/RPV指令及び制御通信専用の別個に設けられたタワーを用いて実施されてもよい。
【0018】
システム、方法及びコンポーネントは、多様なRPV及びUAVとの信頼性の高い通信を管理し、かつ運用するために実施され得る。システムの実施形態は、RPV/UAVの運航及びこれとの通信が安全上の理由から特に重要である人口密集エリア上で特に、冗長な通信可能範囲(カバレッジ/coverage)を提供するように構成される。本発明は、現在は地面付近での運用に限定されている、現在限定されている現時点のセルラデータ及び音声ネットワークの改良である。
【0019】
幾つかの好ましい実施形態によれば、セルラ型通信システムが提供される。このシステムは、地面付近の機器と通信するための第1の地面付近の領域を提供するように構成される。例えば、1つ又は複数の第2の層などの追加の層が、第1の地面付近の領域とほぼ同一の面積範囲をカバーして設けられているが、これらは互いに分離されており、これらの層は、地面からも実質的に高くなっている。システムは、航空機がセルベースの通信ネットワークを使用した通信に依存できる領域としての役割を果たすこの第2の又は追加の上昇領域又は層を提供するように構成される。したがって、セルラベースのネットワークは、第1の地面付近の領域を通る地上通信と、第2の又は上昇した領域を通る空方向(空向き/skyward)通信とを処理する(取り扱う)。高度は、互いに分離されていることが好ましく、これは例えば受動リフレクタなどの障壁を使用して物理的な分離であり得る。追加として、又は代替として、地面付近の機器を使用して第2の領域内での通信が試行された場合、それらは第2の高度の空中領域通信の動作に影響を及ぼさないように、地面付近の機器、及びRPV及びUAVなどの航空機の機器である通信トランシーバは、異なるプロトコルを使用して動作するように構成されてもよい。例えば、UAV及びRPVのトランシーバを地面に沿った携帯電話やスマートフォンなどから一意的に識別するために、空方向通信プロトコルを地上通信プロトコルと区別することができる。
【0020】
本発明の好ましい実施形態を実行するために、本システムは、既存のセルラネットワーク基地局の固定トランシーバアンテナマウントに実装されたアンテナシステムを配置することによって構成することができる。アンテナシステムは、好ましくは空方向のアンテナシステムであり、無線周波数エネルギを空方向に放射するように構成される。好ましい実施形態によれば、放射周波数は、円錐又は他の形状である中心角(対する角/subtended angle)で伝搬される。幾つかの実施形態によれば、アンテナシステムは、既存のセルラネットワーク装置と同様又は同一の第2のトランシーバ装置セットに接続され、地面に沿ってではなく、空中の航空機(例えば、UAV及びRPV)との通信を達成する。
【0021】
好ましい実施形態によれば、空方向指向アンテナによって伝播される空方向信号は偏波され、好ましくは、水平又は円偏波される。幾つかの好ましい実施形態によれば、放射パターンにより中心角が異なっている場合には、アンテナ上方の異なる高度の帯域に対して連続的な通信カバレッジを達成するために、異なる2セットの周波数信号が空方向に放射される。例えば、放射パターンの第1の角度は空方向に延び、第1のタイプの航空機がそれを使用して通信するように構成された周波数領域を表す。これは、通常、RPVと比較して低い高度で運航するUAV用であってよい。この例では、第2の周波数領域は、RPV通信のための領域を提供し得る異なる中心角を有する第2の放射パターンによって提供されてもよい。異なる高度の帯域は、上空領域の第2の層を表すことができる。
【0022】
幾つかの実施形態によれば、空方向指向アンテナによって伝搬される空方向信号は、好ましい偏波(極性/polarization)に従って偏波される。例えば、空方向アンテナからの上側放射伝搬は、例えば円錐のような形状などのパターンで放射を向かわせるように構成されてもよい。信号の分離は、通信の品質を向上させ、それによって異なる周波数又は周波数帯域の信号間の意図しない相互作用の可能性を排除又は低減するように、システム及び通信機器の実施形態と関連して実施される。実施形態は、多様な周波数(例えば、UAVの特定の周波数に対し、RPVのための他の周波数)を使用して信号を分離することができる。周波数ダイバーシティに加えて、信号はまた、偏波パターンによって分離されてもよい。好ましい実施形態によれば、偏波は、右円偏波及び左円偏波を含む。例えば、1つの空方向円錐(例えば、下位層)は、伝搬信号の右円偏波を有し、別の空方向円錐(例えば、高度がより高い層)は、伝播信号の左円偏波を有し得る。幾つかの実施形態によれば、システム、方法及び機器は、UAV及びRPVの送信及び受信ならびに基地局向けの偏波パターンをさらに提供することができる。例えば、対応する偏波パターンは、トランシーバなどの通信コンポーネント間の送信及び受信のために実施されてもよい。
【0023】
空方向の放射エネルギは、好ましくはパターンとして放出され、空方向指向の放射パターンは、幾つかの好ましい実施形態によれば、電子的に作成され、制御される。幾つかの好ましい実施形態によれば、空方向指向放射パターンは、特定のUAV又はRPVを追尾するように電子的に誘導されてもよい。
【0024】
所与の空方向パターンのために放射されるエネルギは、航空機の連続通信領域の帯域間の分離の提供を補助するために制限されてもよい。
【0025】
幾つかの追加の実施形態によれば、UAV及びRPVタイプの航空機(及びそれらの通信)を地上ベースのセルラ装置と区別するために、さらに別の方法及び構成が実施されてもよい。UAV及びRPVトランシーバは、RPV及びUAVの通信と地面に沿った通信間のセルラ通信ネットワークによる迅速な差別化を可能にする、一意的な、又は区別されたIMEI(国際移動体装置識別番号)の等級又は識別番号を有するように構成され得る。システムは、その上で、データグラム又は音声トラヒックの特別なルーティングなど、何らかの動作を行うように構成され得る。
【0026】
システムは、例えば、プロセッサ、マイクロプロセッサ、及び回路、及び通信装置及びそれに搭載され、又は関連するトランシーバからの通信を処理する命令を有するソフトウェアなどの処理コンポーネントを組み込み、かつ含むことができる。ソフトウェアは、フラッシュメモリ、ハードディスク記憶装置、又は他の適宜な媒体などの適宜な記憶コンポーネントに保存されてもよく、第1の、又はほぼ地面付近のゾーンの高度及び航空機との空中通信が行われる第2の高度にわたって通信を実施するステップを実行するための命令を含む。
【0027】
一実施形態に関連して本明細書で説明される特徴は、他の実施形態と組み合わせて実施されてもよく、特徴を組み合わせて、実施形態が1つ、2つ、又は幾つかの特徴の組み合わせを有してもよい。
【0028】
本発明のこれらの利点及び他の利点は、本明細書に記載され、例示された実施形態に関連して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】今日使用されている一般公衆通信用の「セル」ベースの無線システムを表す概略図である。
【0030】
【
図2】セルラベースの無線通信システムにおける代表的な固定無線トランシーバの放射パターンの図である。
【0031】
【
図3】垂直放射パターンの可視化された表現を示す、固定トランシーバアンテナシステムにおける基地局及びアンテナを示す絵画である。
【0032】
【
図4】互いに離間して示され、それぞれの放射パターンを例示する、
図3の複数の固定無線送受信アンテナを示す図である。
【0033】
【
図5】地上付近に位置するモバイル機器間で音声又はデータグラムのトラフィックを搬送することができるセルラ型ネットワークのカバレッジの領域を示す米国のカバレッジマップの図である。
【0034】
【
図6】無人航空機(UAV)の一例を示す図である。
【0035】
【
図7】遠隔操縦機(RPV)の一例を示す図である。
【0036】
【
図8】代表的なUAV/RPVの軍事用通信ネットワーク示す概略図である。
【0037】
【
図9】遠隔操縦機(RPV)衛星通信アンテナの一例を示す図である。
【0038】
【
図10】UAV及びRPVと通信するためのシステムを示す好ましい実施形態の図である。
【0039】
【
図11】UAVとの通信のために別個の周波数帯を使用するためのシステムを実施する例示的な実施形態を示し、
図12のA―A’線に沿った領域を含む空方向放射の円錐の配列を示す図である。
【0040】
【
図12】第2のサブシステムの副帯域放射の代表的な配置であり、副帯域の物理的分布及び指令及び制御帯域の使用を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1~12を参照すると、無人航空機(UAV)(又はRPV)間で通信を交換するように設計された空方向通信を提供するシステム、及びUAV(又はRPV)から遠隔位置にある指令及び制御コンピュータを含む通信システムが示されている。
【0042】
本発明の幾つかの実施形態は、現在世界の人口の大部分にサービスを提供する既設のセルラネットワークの基礎の一部を、新たに出現する空中での商用のUAV及びRPVの活動の通信及びデータグラム交換のニーズにサービスするためのシステムのバックボーンとして使用することができる。他の実施形態は、別個の通信コンポーネントを提供することができる。
【0043】
図10を参照すると、新しいアンテナが1つ又は複数の既存のセルラーネットワークタワー(1001e、1002c)に取り付けられているが、地面沿いにではなく空方向を向いており、水平又は右又は左円偏波された放射パターンいずれかを有し、概して(名目上/nominally)ある中心角(対する角/subtending angle)(1050)を形成する円錐状に上方に放射するが、他の形状も可能である。上向き放射パターンの形状は、電子的に誘導又は制御されてもよい。また、放射パターンは受動シールド又はスクリーン(1060)によって地上放射パターンからさらに分離されることで、空中トランシーバ上の地面指向放射パターンからのサイドローブの影響をさらに最小限に抑えることができ、その逆も同様である。
【0044】
固定位置トランシーバとUAV又はRPV(1001c、1002c)間の通信を成功させるのに十分なリンクマージン(link margin)が利用できる放射領域は、各トランシーバ(UAV/RPV上のトランシーバならびに固定位置トランシーバに関連するトランシーバの両方)の電力と併せて放射パターンの形状の両方を、商業的に入手可能なソフトウェアを含めて、当業者に周知の任意の数の方法で設計することによって設計される。他の固定位置トランシーバとの距離をさらに考慮する場合、航空機にブラックアウト領域(1080)がなく、信頼できる通信を保証するのに十分なリンクマージンを有していることの両方が保証され得る上昇層(1021)を作成する重複領域を容易に設計することができる。
【0045】
加えて、一実施形態では、幾つかのより大きな領域にわたって連続したカバレッジの別の層(1031)が異なる高度で生成されるように、各々のトランシーバ対ごとの異なる電力、偏波、及び/又は、中心角(1051)で第2(又は第3又は第4など)の空方向放射パターンの円錐セットが構築され得る。航空機は、例えばポイント(1070)で、連続した通信層の下ではあるが、それでも特定の固定アンテナから信号を取得できる空中領域に入ることができるが、同じ高度で航行を継続しポイント(1071)に到達した場合、それは実際にはより高い高度の信号円錐(1001d、1002d)の外側となるが、より低高度の信号円錐(1001c、1002c)を経て信頼できる通信リンクを得るための十分なリンクマージンを越えており、したがって通信が失われるであろう。幾つかの好ましい実施形態によれば、空方向円錐のセットは、空方向円錐の他のセットの偏波と異なる偏波を有することができる。偏波はまた、通信するコンポーネント(例えば、UAV及びRPV)の受信及び送信トランシーバの偏波に対応するように構成されてもよい。例えば、1セットの円錐が右円偏向で構成され、もう1セットの空方向円錐が左円偏向で構成されてもよい。これらの構成は、(例えば、円錐セット間の)周波数ダイバーシティによって提供される任意の分離に加えて、増大した信号分離を提供し得る。例えば、幾つかの好ましい実施形態によれば、第1の空方向信号セットは第1の偏向パターンで偏向され、第2の空方向信号セットは第2の偏向パターンで偏向されてもよい。いくつかの好ましい実施形態では、偏波パターンは、円偏波パターンであり得る。例示的実施形態によれば、1セットの空方向信号は右円偏波パターンで偏波され、空方向信号の第2のセットなどの別のセットは、左円偏波パターンで偏波されてもよい。空方向信号の各セットは、例えば円錐などの形状を形成するように構成されてもよい。例示的な実施形態によれば、システムは、第1の空方向信号セットが第1の空方向円錐を形成し、及び第2の空方向信号セットが第2の空方向円錐を形成する場合に通信するように構成されてもよい。第1及び第2の信号セットは、第1の信号セットを他の信号セットからさらに分離するために、好ましくは異なる偏向を有する。例えば、第1の空方向円錐は、右円偏向パターンで偏向されてもよく、第2の空方向円錐は、左円偏向パターンで偏向されてもよい。空方向指向アンテナは、各信号セットが異なる周波数を有する場合に、異なる周波数の信号セットを放射するために使用され得る。空方向放射パターンは、好ましくは電子的に生成される。好ましい実施形態によれば、無人航空機(UAV)又は遠隔操縦機(RPV)は、ネットワークからの通信の偏波信号パターンと同様の、その通信周波数を有する空方向指向アンテナから放射される偏波信号パターンを通して通信するトランシーバを有して構成されてもよい。例えば、空を指向する放射パターンは、特定の無人航空機(UAV)又は遠隔操縦機(RPV)を追尾するように電子的に誘導されてもよい。加えて、例示的な実施形態によれば、1つの空方向信号円錐が上位層で、別の空方向円錐が下位層であってもよい。各層は、好ましくは異なる偏向パターンを有する。例えば、第1の又は上方の空方向層は、左円偏向放射パターンを有してもよく、第2の又はより低い空方向層は、右円偏向放射パターンを有してもよい。各層の放射エネルギは、各層又は円錐ごとに異なる周波数を有するように構成される。
図10にUAVについて記載されているように、この例示的な実施形態では、RPV通信は、第1の層又は上部層(例えば、第1の空方向円錐)内で行われ、UAV通信は、第2の層又は下部層(例えば、第2の空方向円錐)内で行われる。例えば、3001、3002、3003、3004(
図11)などの固定位置トランシーバは、アンテナ5001、5002、5003、5004などの1つ又は複数の関連するアンテナを介してRF放射(例えば、放射パターン)を送出する。この例におけるUAVは、送信及び受信用に構成されたトランシーバを有し、より詳細には、UAVトランシーバは、右円偏波パターンで信号を送信及び受信するように構成される。RPVは、この例によれば、送信及び受信用に構成されたトランシーバを有し、より詳細には、RPVトランシーバは、左円偏波パターンで信号を送信及び受信するように構成される。セルラネットワーク基地局は、いくつかの好ましい実施形態では右円偏向パターン又は左円偏向パターンであり得る(UAV又はRPVのトランシーバなどの)通信トランシーバのパターンに一致する偏波パターン(及び周波数)で信号を送信及び受信するように構成されたトランシーバを有することが好ましい。
【0046】
固定位置トランシーバ(1001、1002)が空方向指向アンテナシステムに供給する電力及びビーム角度(1050、1051)を電子的に制御することによって、当業者に周知の多数の方法のいずれかで、連続通信層の高度及び厚さを調整することができる。この調節能力により、連続通信層は地上レベル以上の一定の高度又は平均海面上の一定の高度のいずれかに従うことができる。航空機の高度は、気圧による高度の測定によって制御されることが多く、UAV及びRPVは、ローカル航空管制官、又は規則によって同様の方法で指示される。この層は、必要なパラメータに従って、必要に応じた頻度で、分単位でさえも、地上レベル又は平均海面上の高度を調整可能である。
【0047】
一例として、低高度連続通信層(1021)は、地上レベルから500フィートから地上レベルの2000フィートまでの範囲に制御することができよう。高高度連続通信層(1031)は、平均海面レベル上の20、000フィートから平均海面レベル上の25、000フィートまでの範囲に制御することができよう。
【0048】
(1051)で示されたより低い連続通信層で航行しているUAVが、より高い通信層に向けられたカバレッジの円錐を通って進行する場合、UAV(1051)内の受信機は、高高度のRPV(1050)よりも送信機(1002)に近いことが多い。しかし、ほとんどの商業的な利用状況では、より小型のUAV(1051)は、より大型のRPV(1050)と比較して低利得の受信アンテナを有し、したがって高高度指向性円錐(1002d)内の放射電力からUAV(1051)で受信される信号電力は、低高度指向性円錐(1002c)内の放射電力からUAV(1051)によって受信される信号電力より小さいことがある。言い換えれば、RPV(1050)に展開され得る地面指向アンテナの利用可能な利得は、その余分の距離からの任意の信号損失を補って余りある場合があり、したがって、多くの構成では、地上アンテナ(1002f)から放出される高高度指向性ビーム(1002d)のUAV(1051)における電界強度は、低高度指向性ビーム(1002c)からのUAV(1051)における電界強度よりもかなり低い場合がある。
【0049】
図10に示す周波数ダイバーシティは4つの周波数群(fA、fB、fC、fD)のみを使用するが、本発明の範囲から逸脱することなくさらに多くの構成が可能であることがセルラシステム設計の当業者によって容易に認識される。
【0050】
固定地上トランシーバ(1001、1002)と通信層(1021)及び(1031)でそれぞれ動作するUAV(1051)及びRPVS(1050)間のリンクマージンが、地面沿いのリンク(1001a、1001b、1002a、1002b)を介して送受信する固定地上トランシーバと典型的なパーソナルモバイル機器及びスマートフォン間のリンクマージンよりもきつく制約され得ることも当業者によって認識可能である。その理由は、対応しなければならないマルチパス、フェーディング、及び信号減衰の困難を伴う、引き出し、人のポケット又は大都市のビルの奥深くにある携帯電話とは異なり、UAVから固定地上トランシーバリンク、又はからRPVから固定地上トランシーバリンクの減衰は、ほとんどの場合、単に伝搬損失によって左右されるためである。
【0051】
空方向ビームにおける周波数ダイバーシティの考慮の付随的な付加を伴う1つ以上の連続的な通信層の作成に加え、GSM(登録商標)、3G、4G、又はLTEシグナリング及びリンク管理プロトコルで採用されているような通常のセルラシステムプロトコルは、UAV又はRPVに向けられ、又はそこから来る信号の空間的識別を含むことができる。このようなプロトコルの調整は、特定のIMEI番号等級と同程度に単純であり得る。UAV又はRPVとしてのモバイルネットワークの加入者と、(パーソナル携帯電話やスマートフォンなど)主として地上沿いの使用を目的としたモバイルデバイスの加入者の等級を迅速に識別できることで、システムは、(例えば)民間飛行便に個人の携帯電話を誤って忘れた人への接続を排除し得る。
【0052】
好ましい実施形態によれば、システムに好ましくはRF通信帯域である2つの異なる周波数帯域が提供されている場合、システムは、UAVとのRF通信を送信及び交換するように構成され得る。通信帯域の1つは、例えば、UAVペイロードとコンピュータ又はコントローラ間などのデータグラムをサポートするための任意的な使用に利用され、一方で、第2のRF通信帯域が提供されて、UAVとホストコントローラ又は制御ネットワーク間の指令及び制御及びナビゲーションデータグラムの送受に専用される。
【0053】
好ましい実施形態によれば、第2の空中領域(例えば、一例として、UAV通信を提供する
図10の第2の層1021)を含むように構成された層などの層は、好ましくは、UAV通信システムの第1のサブシステム及び第2のサブシステムを備えるように構成される。第1のサブシステムは、好ましくは、それに限定されないが、例えばUAVに搭載され得るディジタルビデオカメラなどのUAVのペイロードとの(を有する)アプリケーションデータグラムをRF送受するUAVのニーズにサービスする専用サブシステムである。第1のサブシステムに加えて、第1のサブシステムから分離された第2のサブシステムが備えられる。第2のサブシステムは、UAVに関するより重要な指令及び制御及びナビゲーション機能を処理するように構成される。好ましい実施形態によれば、システムは、第2のサブシステムが、UAVの航空交通制御システムをホストするコントローラ又は制御コンピュータネットワーク間のデータグラム用のRF送受信チャネルとして機能するように構成される。第1のサブシステム及び第2のサブシステムは、好ましくは、異なる周波数又はチャネルを使用して動作するが、UAV通信の上昇領域(例えば、
図10の低高度連続通信層1021など)での通信を提供する。
【0054】
第2のサブシステムは、好ましくは、カバレッジを提供する上向きに投影する複数のセルラ型放射ゾーンを有するRF通信システムとして構成されている。セルラゾーンは、好ましくは、サブチャネルに分割され、第2のサブシステムの一部として複数のサブチャネルを提供する。第2のRF通信サブシステムに関しては、例えば、従来のセルラベースのシステムが機能する方法と同様に、より広い地理的領域に渡って周波数を再利用するために、その周波数範囲をサブチャネルに分割し、空方向に投射されるセルシステムを作成することによって、多くのUAVとの通信を可能にするのに適した広い領域をカバーすることができる。例えば、5000~5091MHzの範囲は、5000~5030MHz、5030~5060MHz、5060~5090MHzであってよい3つの副帯域に分割することができる。好ましくは、システムの好ましい実施形態によれば、例えば、システムの例示的な実装形態に示された3つの副帯域などの様々な副帯域は、再使用スキームで再使用され得る。
【0055】
本発明によるシステムの例示的な描写は、
図11及び12に示されている。
図11によれば、例として限定するものではないが、複数の空方向放射の円錐を示す配置が示されている。放射の第1の円錐4001が示され、好ましくは第2の副帯域システムの範囲内にある副帯域を有する副帯域群1を表す。放射の第2の円錐4002が示され、好ましくは第2の副帯域システムの範囲内にある副帯域を有する副帯域群2を表す。放射の第3の円錐4003が示され、好ましくは第2の副帯域システムの範囲内にある副帯域を有する副帯域群3を表す。第4の放射円錐4004が示され、放射円錐4003と関連して描かれている副帯域である副帯域群3を表すことが示されている。
図11に放射円錐4001、4002、4003、4004により例示されるサブ領域群は、好ましくは、ネットワークタワー上のそれぞれの複数のトランシーバ3001、3002、3003、3004に関連するそれぞれの空方向指向アンテナ(5001、5002、5003、5004)によって伝搬される。アンテナによって投影される放射円錐の角度を調整することができ、これは例えば電子的又は機械的に行うことができる。例えば、
図11の描写によれば、空方向指向アンテナ5001、5002、5003、5004のそれぞれに関連して投影された放射円錐4001、4002、4003、4004は、アンテナを電子的又は機械的に操作することによって調整することができる。例えば、(
図10の実施形態に関連して描かれたトランシーバ1001、1002と同様の)固定位置トランシーバ3001、3002、3003、3004は、RF信号を空方向指向アンテナに送るように給電される。
図11に示されている放射円錐4001、4002、4003、4004などの放射円錐のビーム角は、電子的に制御することができる。ビーム角の制御は、当業者には周知の幾つかの方法のいずれかで達成でき、
図12の指令及び制御及びナビゲーション通信層4100などの連続通信層の高度及び厚さが調整され得る。したがって、
図10に関連して図示し説明した層1021、1031と関連して議論したように、調整能力により、連続通信層4100は、地上からのある高度、又は平均海面以上のある高度のいずれかに従うことを可能にする。例えば、
図11に示す層4100は、好ましくは、UAV通信システムの第2のサブシステムにサービスすることができ、層1021(
図10)と同じレベルで提供され得る。層4100は、UAV通信システムの第2のサブシステムとして層1021を含むことができ、好ましくは、(他のUAV通信を処理するための)第1のサブシステム層を有する層1021を含む。例えば、システムの好ましい実施形態によれば、層1021は、指令及び制御及びナビゲーション通信が実行される(
図11及び
図12の領域層4100によって表される)第1の周波数範囲を含むことができ、また、例えば、UAVペイロード(例えば、遠隔検知動作)とコンピュータ又はコントローラ間のデータグラムなど、他の通信が交換される第2の周波数範囲(又は周波数)を含むことができる。あるいは、
図12に示された地域層4100などの層は、任意のパラメータに従って、所望に応じた頻度で、毎分ごとでさえ、地上からの又は平均海面上の高度
が調整され得る。これは、UAVペイロードデータグラム層又はその1つ又は複数の構成周波数と一緒に、又はそれとは別に行われてもよい。
【0056】
システムの実施形態は、例えばこの目的専用のタワーなどの別個のタワー上に設けられたトランシーバコンポーネント及び/又はアンテナを用いて別個に実施されてもよい。あるいは、幾つかの他の実施形態によれば、システムは、既存の携帯電話タワー上にハードウェアコンポーネントを取り付けることによって実施されてもよい。他の実施形態によれば、システムは、ある部分が専用のタワーに設けられ、他の部分が既存のタワーに設けられるよう構成されてもよい。例えば、既存の携帯電話のタワー配列を使用して、(例えば
図11及び12に示される副帯域群1、2及び3などの)副帯域群の帯域範囲にわたって通信信号を生成するように信号伝播を提供してもよい。
【0057】
好ましい実施形態によれば、システムは、信頼性を向上させるように構成される。幾つかの好ましい実施形態は、無線機器データグラムトランシーバのポイントと、例えば、ある領域の航空交通制御データグラムを処理する中央コンピュータなどの管理コンポーネント間に、別個の冗長バックホールを利用してもよい。冗長バックホールは、好ましくは、ネットワークに渡って冗長アクセスポイントを設けるように構成することができる。例えば、ネットワーク上にある指令及び制御及びコンピュータとUAV間の通信を処理するためにタワーに設けられ、例えばベーストランシーバを介して通信するように接続され得るトランシーバは、好ましくは無線トランシーバと指令コンピュータ間に冗長性を付与するように構成される。
【0058】
図示されているように、システムは、好ましくは、空方向に生成され好ましくは物理的に分散した通信領域4100を形成するように配置された複数の放射信号円錐を提供する。領域4100は、副帯域群から構成される配置された放射ビームゾーンによって表される領域を示すための例示的な描写表現を示す描写である。第2のサブシステムは好ましくは副帯域群を形成する。
図12に示されるように、上面図は隣接して配置された放射円錐4001、4003、4002、4004を示し、さらに追加の放射円錐を示している。
図12の放射円錐は、
図11に示された各放射円錐4001、4002、4003、4004の上昇領域又はゾーン4001a、4002a、4003a、4004aをそれぞれ表す。
図11の放射円錐4001、4002、4003、4004は、
図12の上昇領域4001a、4002a、4003a、4004aを形成する円錐であり、各円錐セグメントの中心を通過することが示されている
図12の線A-A’に沿った領域を含む。放射円錐は、好ましくは、
図12に描かれているように、円錐のそれぞれの上昇領域を形成するように隣接して配置される。
図11に示す放射円錐4001、4002、4003、4004に加えて、副帯域群1の第1の複数の円錐、副帯域群2の第2の複数の円錐、及び副帯域群3の第3の複数の円錐を含む更なる放射ゾーン又は領域が提供される。好ましい実施形態によれば、各放射円錐は、好ましくはそれぞれのRF発生源(例えば、トランシーバ)から生成され、1つ又は複数の関連するアンテナによって伝搬され、各放射円錐は、領域又はゾーンの連続的なカバレッジをもたらすために隣接した配置で設けられる。
【0059】
図12の描写に示すように、第2のサブシステムの副帯域の代表的な配置が示されている。(例示的な図では群1、2及び3である)各群の副帯域は、好ましくは第2のサブシステムの範囲内にある。
図12に示されているように、帯域ゾーン4005a、4006a、4007a、4008a、4009a、4010a、4011a、4012a、4013a、4015a、4016a、4017a、4018aを含めて、
図11に示された副帯域群と同様の3つの副帯域群が示されている。
図12の帯域ゾーンは、(
図11の円錐4001、4002、4003、4004と同様の)それぞれの放射円錐の対する部分(subtended portions)であることが好ましい。
図12の描写では、副帯域群1は、第1群の代表的な領域、すなわち代表的な円錐4001a、4005a、4007a、4009a、4011a、及び4012aから成ることが示されている。副帯域群2は、別の代表的な領域の群、すなわち代表的な円錐4003a、4008a、4010a、4013a、4015a、及び4017aから成ることが示されている。副帯域群3は、別の代表的な円錐4002a、4004a、4006a、4014a、4016a、4018aの群から成ることが示されている。物理的に分散された通信領域4100は、地面上方の連続したカバレッジの領域を形成する上昇領域として示されている。
図12の上昇領域4100は、描かれた放射円錐の矢印BとCの間の
図11の領域4100によって表されるように示されている。(
図11は4つの円錐4001、4002、4003、4004を示すが)追加の放射帯域が送信されて、
図12に描かれている追加の副帯域群の構成要素(例えば、4005a~4018a)を提供する。
【0060】
上昇領域4100は、好ましくは、UAV通信のための指令及び制御帯域を表す。好ましくは、システムは、ナビゲーション機能を含むUAVの指令及び制御動作を処理するように構成されている。
図11及び
図12に描かれている図では、上昇領域4100は第2のサブシステムを含む。システムの好ましい実施形態によれば、UAV制御送信は、上昇領域4100を介して処理される。遠隔位置にあるコンピュータ又は制御コンポーネントは、好ましくはRFサブシステムを介して行われる送信を介してUAVに指令を発することができる。例えば、UAV航空交通制御システムをホストするコントローラ又は制御コンピュータネットワーク間のデータグラムは、好ましくはRF送受信チャネルを含む領域4100によって表される第2のサブシステムを介して処理されてもよい。
【0061】
好ましい実施形態によれば、副帯域群は、好ましくは帯域幅の連続帯域範囲内で分割されることが好ましい。例えば、
図11及び
図12の領域4100で表される第2のRF通信サブシステムは、カバーされ得る大きい領域を提供し、これは、多くのUAVとの通信を可能にするのに適する。例示的な描写では、空方向に投影されたセルシステムは、その周波数範囲を複数のサブチャネル(副帯域群1、2及び3によって表される)に分割することが示されている。例えば、上昇領域4100は、複数の副帯域によって形成されてもよい。副帯域は、好ましくは、上昇領域4100内の帯域幅領域である。図示のように、3つの副帯域群が示されている。一実施例によれば、5000~5091MHzの範囲は、5000~5030MHz、5030~5060MHz、及び5060~5090MHzの3つの副帯域に分割されてもよく、様々な副帯域が再使用スキームで再使用される。
図11及び
図12は、空方向放射の円錐が3つの別個の放射副帯域を表し、これらの副帯域が、好ましくは副帯域の数で分割された連続帯域範囲の連続部分である帯域範囲の一部を含む例示的実施形態を示す。好ましい実施形態によれば、副帯域は帯域幅範囲の隣接部分を含む。
【0062】
第2の空中ゾーンを含むように構成された第2の層については、代替の帯域幅配置が実施されてもよい。例えば、第2のRF通信帯域は、約4200MHzから4400MHzの周波数範囲を有するように構成されてもよい。この範囲は、例えば各々200/3、又は約66、67MHzのゾーンに細分されてもよく、その場合、第1の副帯域群が約4200~4267MHzであり、第2の副帯域群が、約4268~4333MHzであり、第3の副帯域群が約4334~4400MHzである3つの副帯域群である。別の例示的な実施形態によれば、第2のRF通信帯域は約5000~5250MHzの周波数範囲を有するように構成されてもよく、複数の副帯域群に分割されてもよい。
【0063】
好ましい実施形態によれば、再使用スキーム(方式)は、地上のセルシステムのそれに類似した空間周波数再使用スキームとして構成されてもよいが、地上に投影されるのとは反対に、空に投影される。再使用スキームは、好ましくは、処理され得る通信のカバレッジ及び容量を増加させるように構成されている。このセル構成(セル配列)では、隣接セルは異なる周波数を使用するように構成される。互いに適切に離間されているセルは、(セルラトランシーバ又はユーザ装置が過電力範囲で送信しない場合)同じ動作周波数で動作してもよい。セルは、チャネルが共チャネル(co-channel)干渉を最小限にし、又は除去するように分離される。加えて、好ましい実施形態によれば、UAVは、好ましくは、UAVがそれを通って通信しているセルと同じ周波数を使用/再利用する他の隣接セルへの超過の干渉量を生じることなく、セル範囲内で通信するように適切に電力供給されるトランシーバを有して構成される。
【0064】
周波数再使用は、次の式(1)で表すことができる再使用係数と再使用距離とを考慮して決定することができ、:
D=R√3N (1)
但し、Dは再使用距離、Rはセル半径、Nはクラスタ当たりのセル数である。例えば、セルの半径は約1~30キロメートル(約0.62から18.64マイル)で変動し得る。周波数再使用は係数によって指定され、1/kで表され、但し、Kは送信に同じ周波数を使用できないセル数である。
図12に示す図解では、第2の空中ゾーンの第2のサブシステムのための再使用係数は、1/3である。幾つかの代替実施形態によれば、周波数再使用係数は、1/4、1/7、1/9及び/又は1/12であってもよい。
【0065】
符号分割多重接続(CDMA)ベースのシステムが使用される幾つかの実装形態によれば、より広い周波数帯域を使用してFDMAと同じ伝送速度を達成することができる。例えば、再使用パターン1/1を使用する1の再使用係数は、隣接する基地局サイトが同じ周波数を使用し得る場合に採用され得る。しかし、基地局及びユーザは周波数ではなくコード(符号)によって分離され、また、セルの帯域幅全体はまた、各々のセクタごとに個別に利用可能である。
【0066】
好ましい実施形態によれば、
図11及び
図12の放射円錐によって示されるサブ領域群は、好ましくは、空方向指向アンテナ(5001、5002、5003、5004、
図11)によって伝搬される。好ましい実施形態によれば、空方向指向アンテナによって伝播されるこれらの空方向信号は、偏波されてもよく、好ましくは、水平偏波又は円偏波されてもよい。
図10に示される第1及び第2の空中カバレッジに関連して前述したように、アンテナ上方の異なる上昇帯域について連続的な通信カバレッジを達成するために、放射パターンによって形成される(対する)角度が異なる場合には、異なる周波数セットの2つの信号セットを空方向に放射することができる。例えば、UAVが図示されたより低いレベルで航行している例(
図10参照)を考慮すると、好ましい実施形態によれば、UAVの指令及び制御及び制御機能は、
図11及び
図12に示される副帯域群の構成を使用して送信され得る。副帯域群は、好ましくは、特定の又は指定された周波数範囲における伝搬RF信号を表し、その幾つかの例が提供される(例えば、5000~5091MHz、及び4200~4400MHz)。幾つかの実施形態によれば、例えば、
図11及び
図12に示される群1、2及び3の副帯域群信号を伝播するアンテナなどの空方向指向アンテナによって伝搬された空方向信号は、好ましい極性(偏波/polarization)に従って偏波され得る。例えば、空方向アンテナからの放射伝搬は、例えば円錐のような形状などのパターンで放射を向けるように構成され得る。例示的な描写に従って示されているように、信号分離は、特に指令及び制御データグラムに関して通信の品質を高め、有害な相互作用の可能性を低減又は除去するために副帯域群に関連して実施され得る。
図11及び
図12の円錐及び副帯域群によって表される信号の周波数ダイバーシティは、偏波パターンを実施することによってさらに分離され得る。好ましい実施形態によれば、偏波は、右円偏波及び左円偏波を含むことができる。例えば、1つの空方向円錐(例えば、第1の副帯域群)は、伝搬信号の右円偏波を有し得るのに対して、別の空方向円錐(例えば、隣接する副帯域であってよい別の副帯域群)は、伝搬信号の左円偏波を有し得る。幾つかの実施形態によれば、システム、方法及び装置は、基地局と同様に、UAV及びRPVの送受信のための偏波パターンをさらに提供することができる。例えば、対応する偏波パターンは、トランシーバなどの通信コンポーネント間の送信及び受信のために実施されてもよい。例えば、右円と左円偏向が使用される場合などの偏波の実施は、空間周波数再使用スキームの一部として構成されてもよい。1つ以上のサブグループ帯域が偏波され得る。例えば、
図12に示されるように、また例示的な実施形態を示すために描写を使用すると、幾つかの実施形態によれば、副帯域群は、1つ又は複数の群が右円偏波され、1つ又は複数の他の群が左円偏波されるように伝搬されてもよい。
【0067】
システムの実施形態は、データグラム構造において順方向エラー訂正(FEC)を実施するように構成され得る。例えば、UAVと指令制御コンポーネント又はコンピュータ間の通信及び送信は、1つ又は複数のエラー訂正フォーマットで送信メッセージの符号化することによって生成され得る。幾つかの実施形態によれば、順方向エラー訂正は、好ましくはエラー訂正符号(EEC)を使用して実行される冗長な方法で送信を符号化することによって実施される。この実施形態によれば、送信コードの冗長性により、UAV又は制御コンピュータなどの受信機は、メッセージ送信のどこでも発生し得る限られた数のエラーを検出することができる。UAVと、指令及び/又は制御コンピュータなどの別のコンポーネント間の通信におけるFEC実施の利点は、検出されたエラーが、好ましくは、メッセージが再送信される必要なく訂正され得ることである。例えば、FECの実施は、符号化されたメッセージの受信機が、再送信を要求するために追加の帯域幅(逆方向チャネルなど)を必要とせずにエラーを訂正する能力を有することを可能にし、それによって時間及び帯域幅の使用を節約する。
【0068】
幾つかの実施形態によれば、UAVと指令又は制御コンピュータは、代替又は追加のエラー訂正機能を備えることができる。幾つかの実施形態によれば、UAVと指令又は制御コンピュータ間の送信は、データグラム構造に畳み込みエラー訂正コードを有する通信メッセージを生成するように構成されてもよい。例えば、幾つかかの実施形態によれば、畳み込みエラー訂正コードは、パリティ記号を生成するデータストリームのブーリアン多項式関数(boolean polynominal function)のスライドアプリケーションを実施し、データに対するエンコーダのいわゆる「畳み込み」を表す。畳み込み符号の復号化を可能にするために、時間不変トレリス復号化方式を使用することができる。畳み込み符号のスライドする性質は、時間不変トレリスを使用するトレリス復号化を容易にする。
【0069】
このシステムの実施形態は、ターボ符号として実施されるデータグラム構造において順方向エラー訂正(FEC)を実施するように構成され得る。例えば、UAVと指令制御コンポーネント又はコンピュータ間の通信及び送信は、データグラム構造におけるターボ符号を用いた順方向エラー訂正に従う送信メッセージの符号化によって生成され得る。UAV及び指令制御コンピュータは、ターボ符号の生成及び処理を実施する指令を含む適切なハードウェアコンポーネントを有して構成され得る。例えば、UAV(及び好ましくは指令及び制御コンピュータ)には、2つの同一のRSCコーダであるコーダ1及びコーダ2のエンコーダ配列を備えてもよく、これは好ましくは、インターリーバがペイロードデータの置換を実行する並列連接構成を使用して接続される。RSCエンコーダの構成は、メッセージ及び好ましくはペイロードデータを符号化して、UAV及び/又は指令及び制御コンピュータから送信される通信のためのターボ符号エラー訂正を提供する。同様に、UAV及び指令又は制御コンピュータは、好ましくは、エンコーダに類似して構築されるが、直列配置のデコーダを備えたデコーダを備えている。UAVと指令及び制御コンピュータとがそれぞれエンコーダ及びデコーダを有する場合は、それらの間で送受信される送信に対してエラー訂正が実行されてもよい。ターボ符号は、異なるコンポーネントのエンコーダ、入力/出力比、インターリーバ、及びパンクチャパターンを使用して、異なる実施形態で構成され得る。例示的な実施形態によれば、FECは、ターボ符号を使用して実装することができ、その場合、符号器はビットの3つのサブブロックを送信する。例示的な実施形態によれば、第1のサブブロックは、(メタデータ又はヘッダなしで、UAV/指令又は制御コンピュータからのメッセージ又は送信の重要性を含む)ペイロードデータのmビットのブロックであってよい。第2のサブブロックは、ペイロードデータのためのn/2個のパリティビットであってよく、再帰系統的畳み込み符号(RSC符号)を使用して生成されることができ、一方、これもRSC符号を使用して生成され得る第3のサブブロックは、ペイロードデータの既知の置換のためのn/2のパリティビットである。したがって、符号化されたメッセージペイロードデータは、UAVからコマンド制御コンピュータに(又はその逆に)通信され、これは、ペイロードデータとともにパリティビットの2つの(ただし異なる)冗長サブブロックを含むことができる。例示的な実施形態によれば、ブロックは、好ましくは符号化率がm/(m+n)であるm+nビットのデータを有する。送信された符号化メッセージ(又はメッセージコンポーネント)は、受信側のUAV及び/又は指令及び制御コンピュータに構成されたデコーダで復号される。例えば、復号器は、(データストリーム内の各ビットに対して1つの尤度測度(likelihood measure)を有して)尤度尺度のブロックを生成することによって、m+nビットのデータブロックを復号することができる。デコーダは、各々がペイロードサブブロック内のmビットのパターンについて導出された尤度を有する仮説を生成する2つの畳み込みデコーダで構成されてもよい。システムは、仮説ビットパターンを比較してそれらが異なるかどうかを判定し、それらが異なる場合は、デコーダは仮説の各ビットについてそれぞれの導出された尤度を交換する。各デコーダは、他のデコーダから導出された尤度推定値を組み込むことによって、新たな仮説(DlHn及びD2Hn)を生成する。新たに生成された仮説(DlHnとD2Hn)が比較され、プロセスが繰り返され、両方のデコーダがペイロードデータのm-ビットパターンについて同じ仮説(DlHx=D2Hx)に達するまでさらなる仮説(D1Hn+1及びD2Hn+1)が生成される。
【0070】
これらの及び他の利点は、本発明によって実現され得る。本発明は、特定の実施形態を参照して説明されたが、説明は例示的なものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。セルは、六角形のゾーンとして示されているが、例えば、正方形、円形、又は他の長方形などの他の形状を有するように構成されてもよい。
また、幾つかかの好ましい実施形態による放射形状又はパターンは、円錐として記載されているが、他の形状を有するように構成されてもよい。例えば、
図12では、セルは六角形のゾーンとして示されているが、セルは例えば正方形、円形、又は他の長方形などの他の幾何周辺を有するように構成されてもよい。加えて、副帯域群は、例示的な実施形態では3つの群に分割されて示されているが、周波数範囲は他の数の副帯域群に分割されもよい。第2のサブシステムと呼ばれるが、実施形態は、本明細書に図示され説明されている通信指令及び制御センター及びナビゲーションデータグラムを処理する専用のサブシステムで実施されてもよい。さらに、
図10は、ネットワークタワー1001、1002を示し、
図11は、ネットワークタワー1001e、1002eを示すが、複数のネットワークタワーを、本明細書に示され説明されたシステム、方法、及びコンポーネントと共に利用することができる。例えば、空方向指向アンテナは、既存のネットワーク機器に接続されてもよく、かつ/又は既存のネットワークタワーによってサポートされてもよい。幾つかの実装形態によれば、ネットワーク機器は、1つ又は複数の空方向指向アンテナを追加のセルゾーンとして扱うように構成されてもよい。幾つかの実施形態によれば、空方向アンテナは、追加のネットワーク装置セット又はそのコンポーネントで動作するように構成されてもよい。本明細書に記載され、添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって様々な修正及び変更が行われ得る。
下記は、本願の出願当初に記載の発明である。
<請求項1>
UAVペイロードとコンピュータ又はコントローラ間のデータグラムをサポートするための任意的使用のための1つの周波数帯域と、UAVとホストコントローラ又は制御ネットワーク間の指令及び制御及びナビゲーションデータグラムの送受信専用の第2のRF通信帯域の2つの異なる周波数帯域を含む、UAVとのRF通信のためのシステム。
<請求項2>
前記第2のRF通信帯域は、4200MHz~4400MHzの周波数範囲内にある、請求項1に記載のシステム。
<請求項3>
前記第2のRF通信帯域は、複数の副帯域に分割される、請求項2に記載のシステム。
<請求項4>
前記第2のRF通信帯域は3つの副帯域群に分割され、各副帯域群は4200~4400MHzの範囲内の周波数範囲を有する帯域幅セグメントからなり、副帯域群の各副帯域範囲は、別の群の副帯域範囲とは異なる、請求項3に記載のシステム。
<請求項5>
前記副帯域群は再使用構成で配置される、請求項3に記載のシステム。
<請求項6>
前記第2のRF通信帯域は、5000~5250MHzの周波数範囲にある、請求項1に記載のシステム。
<請求項7>
前記第2のRF通信帯域は、複数の副帯域に分割される、請求項6に記載のシステム。
<請求項8>
前記第2のRF通信帯域は3つの副帯域群に分割され、各副帯域群は5000~5250MHzの範囲内の周波数範囲を有する帯域幅セグメントからなり、副帯域群の各副帯域範囲は、別の群の副帯域範囲とは異なる、請求項7に記載のシステム。
<請求項9>
前記副帯域群は、再使用構成で配置される、請求項6に記載のシステム。
<請求項10>
前記第2のRF通信帯域は、地上セルシステムと同様の空間周波数再使用方式で構成され、前記RF通信帯域は、地面沿いに投射されるのではなく空中に投射される放射を含む、請求項2に記載のシステム。
<請求項11>
前記第2のRF通信帯域は、地上セルシステムと同様の空間周波数再使用方式で構成され、前記RF通信帯域は、地面沿いに投射されるのではなく空中に投射される放射を含む、請求項6に記載のシステム。
<請求項12>
前記UAVとホストコントローラ又は制御ネットワーク間の指令及び制御及びナビゲーションデータグラムの送受信は、データグラム構造における順方向エラー訂正を用いて行われる、請求項2に記載のシステム。
<請求項13>
前記UAVとホストコントローラ又は制御ネットワーク間の指令及び制御及びナビゲーションデータグラムの送受信は、データグラム構造における順方向エラー訂正を使用して実行される、請求項6に記載のシステム。
<請求項14>
前記順方向エラー訂正は、データグラム構造における畳み込みエラー訂正符号を含む、請求項12に記載のシステム。
<請求項15>
前記順方向エラー訂正は、データグラム構造における畳み込みエラー訂正符号を含む、請求項13に記載のシステム。
<請求項16>
前記UAVとホストコントローラ又は制御ネットワーク間の指令及び制御及びナビゲーションデータグラムの送受信は、データグラム構造におけるターボ符号を使用して実行される、請求項2に記載のシステム。
<請求項17>
前記UAVとホストコントローラ又は制御ネットワーク間の指令及び制御及びナビゲーションデータグラムの送受信は、データグラム構造におけるターボ符号を使用して実行される、請求項6に記載のシステム。
<請求項18>
空間周波数再利用方式の一部として、右円偏向及び左円偏向が利用される、請求項2に記載のシステム。
<請求項19>
空間周波数再利用方式の一部として、右円偏向及び左円偏向が使用される、請求項6に記載のシステム。
<請求項20>
前記システムは、ある領域の航空交通制御データグラムを処理するための少なくとも1つの中央コンピュータと複数の無線トランシーバを含み、前記システムは、無線装置データグラムトランシーバポイントと前記領域のための前記航空交通制御データグラムを処理する前記中央コンピュータ間の別個の冗長バックホールを備えて構成される、請求項2に記載のシステム。
<請求項21>
前記システムは、ある領域の航空交通制御データグラムを処理するための少なくとも1つの中央コンピュータと複数の無線トランシーバを含み、前記システムは、無線装置データグラムトランシーバポイントと前記領域の前記航空交通制御データグラムを処理する前記中央コンピュータ間の別個の冗長バックホールを備えて構成される、請求項6に記載のシステム。
<請求項22>
前記システムは、トランシーバに関連するアンテナを備え、第2のRF通信帯域は、放射円錐を形成するように前記アンテナを経て伝搬される放射を含み、前記アンテナによって投射される前記放射円錐の角度が電子的に調整可能である、請求項2に記載のシステム。
<請求項23>
前記システムは、トランシーバに関連するアンテナを備え、第2のRF通信帯域は、放射円錐を形成するように前記アンテナを経て伝搬される放射を含み、前記アンテナによって投射される前記放射円錐の角度を電子的に調整可能である、請求項6に記載のシステム。
<請求項24>
前記システムは、トランシーバに関連するアンテナを備え、第2のRF通信帯域は、放射円錐を形成するように前記アンテナを経て伝搬される放射を含み、前記アンテナによって投射される前記放射円錐の角度を機械的に調整可能である、請求項2に記載のシステム。
<請求項25>
前記システムは、トランシーバに関連するアンテナを備え、第2のRF通信帯域は、放射円錐を形成するように前記アンテナを経て伝搬される放射を含み、前記アンテナによって投射される前記放射円錐の角度を機械的に調整可能である、請求項6に記載のシステム。
<請求項26>
前記UAVとホストコントローラ又は制御ネットワーク間の指令及び制御及びナビゲーションデータグラムの送受信専用の前記第2のRF通信帯域は、既存の携帯電話タワーに実装された機器を経て伝搬される、請求項1に記載のシステム。
<請求項27>
前記UAVとホストコントローラ又は制御ネットワーク間の指令及び制御及びナビゲーションデータグラムの送受信専用の前記第2のRF通信帯域は、前記第2のRF通信帯域を経た通信の提供に専用の携帯電話タワーに実装された装置を経て伝播される、請求項1に記載のシステム。
<請求項28>
前記UAVとホストコントローラ又は制御ネットワーク間の指令及び制御及びナビゲーションデータグラムの送受信専用の前記第2のRF通信帯域は、RFサブシステムを経た通信の提供に専用の携帯電話タワーに実装された装置を介して伝搬される、請求項1に記載のシステム。