(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-09
(45)【発行日】2022-08-18
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 30/13 20200101AFI20220810BHJP
G06F 30/10 20200101ALI20220810BHJP
G06F 30/20 20200101ALI20220810BHJP
【FI】
G06F30/13
G06F30/10 100
G06F30/20
(21)【出願番号】P 2021005572
(22)【出願日】2021-01-18
【審査請求日】2021-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】517362853
【氏名又は名称】株式会社アークデータ研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【氏名又は名称】鈴木 均
(74)【代理人】
【識別番号】100149892
【氏名又は名称】小川 弥生
(74)【代理人】
【識別番号】100185672
【氏名又は名称】池田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】吉沢 逸朗
【審査官】松浦 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-324090(JP,A)
【文献】特開平08-137940(JP,A)
【文献】特開平09-259302(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00 -30/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築モデルを生成する情報処理装置であって、
特定位置を指定する指定部と、
前記特定位置に基づいて自由曲面を生成する曲面生成部と、
前記自由曲面に位置する曲面部材を含む前記建築モデルについて構造計算を実行可能な計算部と
、
前記建築モデルを構成する部材の水平方向における位置を規定する通り線を作成する通り線作成部と
を具備し、
前記通り線は、第1通り線および前記第1通り線と直交せずに交差する第2通り線を含み、
前記曲面生成部は、前記第1通り線における前記特定位置および前記第2通り線における前記特定位置の双方に基づく一の自由曲面を生成できる
情報処理装置。
【請求項2】
建築モデルを生成する情報処理装置であって、
特定位置を指定する指定部と、
前記特定位置に基づいて自由曲面を生成する曲面生成部と、
前記自由曲面に位置する曲面部材を含む前記建築モデルについて構造計算を実行可能な計算部と、
前記建築モデルを構成する部材の水平方向における位置を規定する通り線を作成する通り線作成部と
を具備し、
前記通り線は、直線状の通常通り線および折線状の
折れ軸通り線とを含み、
前記曲面生成部は、前記通常通り線における前記特定位置および前記
折れ軸通り線における前記特定位置の双方に基づく一の自由曲面を生成できる
情報処理装置。
【請求項3】
建築モデルを生成する情報処理装置であって、
特定位置を指定する指定部と、
前記特定位置に基づいて自由曲面を生成する曲面生成部と、
前記自由曲面に位置する曲面部材を含む前記建築モデルについて構造計算を実行可能な計算部と、
前記建築モデルを構成する部材の鉛直方向における位置を規定する層を作成する層作成部と
を具備し、
前記層は、複数の第1層および各前記第1層の間に位置する第2層を含み、
前記曲面生成部は、前記第1層における前記特定位置および前記第2層における前記特定位置の双方に基づく一の自由曲面を生成できる
情報処理装置。
【請求項4】
コンピュータが、建築モデルを生成する情報処理方法であって、
前記コンピュータが、
前記建築モデルを構成する部材の水平方向における位置を規定する第1通り線を作成するステップと、
前記建築モデルを構成する部材の水平方向における位置を規定するとともに、前記第1通り線と直交せずに交差する第2通り線を作成するステップと、
前記建築モデルにおける特定位置を指定するステップと、
前記第1通り線における前記特定位置および前記第2通り線における前記特定位置の双方に基づく一の自由曲面を生成するステップと、
前記自由曲面に位置する曲面部材を含む建築モデルについて構造計算を実行するステップと
を
実行する情報処理方法。
【請求項5】
請求項
4に記載の各ステップをコンピュータ
に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物の一貫構造プログラムが提案される。例えば特許文献1には、建築物を構成する各部材の形状を含むデータを入力(生成)し、建築モデルを生成する技術が開示される。特許文献1の技術では、建築モデルについて荷重計算、応力計算および断面計算を含む構造計算が自動で実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、自由曲面の部材(自由曲面に近似する部材を含む。以下「曲面部材」という)を含む建築モデルは、曲面部材を含まない建築モデルと比較して生成するのに高度な(複雑な)入力操作を要するという事情がある。したがって、曲面部材を含む建築モデルについて、構造計算が可能になるまでの作業量が過大になり易いという問題があった。以上の事情を考慮して、本発明は、構造計算が可能になるまでの作業量を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本発明の情報処理装置は、建築モデルを生成する情報処理装置であって、特定位置を指定する指定部と、特定位置に基づいて自由曲面を生成する曲面生成部と、自由曲面に位置する曲面部材を含む建築モデルについて構造計算を実行可能な計算部とを具備する。以上の曲面生成部によれば、特定位置を指定することにより自由曲面が生成できるため、曲面生成部を具備しない構成と比較して、曲面部材を含む建築モデルの構造計算が可能になるまでの作業量を抑制し易くなる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、曲面部材を含む建築モデルの構造計算が可能になるまでの作業量を抑制し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明のハードウェア構成図の一例を示す図である。
【
図3】建築モデルの一例を説明するための図である。
【
図5】構成部材の入力方法の具体例を説明するための図である。
【
図6】形状定義の具体例を説明するための図である。
【
図7】特定点の入力方法の具体例を説明するための図である。
【
図8】自由曲面の生成方法の具体例を説明するための図である。
【
図9】通り線および層の入力方法の具体例を説明するための図である。
【
図10】通り線の入力方法の他の具体例を説明するための図である。
【
図11】曲面定義処理を説明するためのフローチャートである。
【
図12】第2実施形態の情報処理装置の機能ブロック図である。
【
図13】第2実施形態の曲面生成処理を説明するための図である。
【
図14】第2実施形態の解析節点の具体例を説明するための図である。
【
図15】第2実施形態の判定処理を説明するための図である。
【
図16】第2実施形態の判定処理の詳細を説明するための図である。
【
図17】第2実施形態の情報処理装置が実行する処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<第1実施形態>
図1は、情報処理装置の一例であるコンピュータ100のハードウェア構成図である。
図1に示す通り、コンピュータ100は、ディスプレイ200および入力装置300を含む各装置と通信可能に接続される。
【0009】
コンピュータ100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random access memory)103およびHDD(Hard Disk Drive)104を含んで構成される。コンピュータ100としては、ディスクトップ型のコンピュータを採用してもよいし、コンピュータ100とディスプレイ200とが一体であるノート型のコンピュータを採用してもよい。
【0010】
コンピュータ100のHDD104は、プログラムPGを含む各種のデータを記憶する。CPU101は、プログラムPGを実行することで、後述の各種の機能(曲面生成部17など)を実現する。RAM103は、例えばCPU101がプログラムPGを実行する際に参照する各種の情報を一時的に記憶する。また、ROM102は、各種の情報を不揮発的に記憶する。なお、プログラムPGがHDD104以外に記憶される構成としてもよい。
【0011】
ディスプレイ200は、コンピュータ100に制御され、各種の画面を表示する。例えば、ディスプレイ200は、入力画面I(後述の
図9(f)参照)を含む各画面を表示する。入力装置300は、キーボードおよびポインティングディバイス(例えばマウス)を含んで構成される。ただし、入力装置300は適宜に変更できる。例えば、タッチ操作可能なディスプレイ200を採用し、ディスプレイ200が入力装置300の機能を兼備する構成としてもよい。
【0012】
ディスプレイ200に表示された画面に応じて、入力装置300が適宜に操作されると、建築モデルが生成される。本実施形態では、生成された建築モデルについて、荷重計算、応力計算、断面計算および保有耐力計算を含む構造計算が実行可能である。なお、実行可能な構造計算の種類は適宜に設定され、他の計算を実行可能としてもよい。
【0013】
図2(a)は、情報処理装置10の機能ブロック図である。
図2(a)に示す通り、情報処理装置10は、指定部11、形状定義部12、部材生成部13および計算部14を含んで構成される。指定部11は、例えば入力装置300(
図1参照)の操作に応じて、建築モデルにおける領域(後述の特定点Pを含む)を指定する。
【0014】
図2(b)は、情報処理装置10により構造計算処理が実行されるまでの手順を説明するための図である。
図2(b)に示す通り、構造計算処理(
図2(b)のSa3)が実行される前に、形状定義処理(Sa1)および部材配置処理(Sa2)を含む処理が実行される。
【0015】
詳細には後述するが、形状定義処理では、各通り線(後述の
図6(a)のX1~X4、Y1~Y4、a1~a3、b1~b3)および各層(
図6(c)~(e)のZ1~Z3)が定義される。以上の形状定義処理により、建築モデルの構成部材(後述の
図3の柱部材Gc等)が配置可能な領域が定義される。部材配置処理では、形状定義処理で定義された領域に構成部材が配置される。また、部材配置処理では、構造計算に必要な部材情報が構成部材毎に入力される。構成部材の部材情報には、例えば、当該構成部材の材質(コンクリートなど)および厚さが含まれる。
【0016】
図2(a)に説明を戻す。形状定義部12は、形状定義処理(
図2(b)のSa1)を実行する。本実施形態の形状定義部12は、通り線作成部15、層作成部16および曲面生成部17を含む。通り線作成部15は、建築モデルを構成する構成部材の水平方向における位置を規定する通り線(X、Y、a、b)を作成する。
【0017】
具体的には、通り線作成部15は、代表線作成部18および間通り線作成部19を含んで構成される。通り線(X、Y、a、b)は、代表線(X、Y)および間通り線(a、b)を含んで構成される。代表線作成部18は代表線(X、Y)を作成する。また、間通り線作成部19は間通り線(a、b)を作成する。代表線(X、Y)および間通り線(a、b)は、相違する態様(破線、一点鎖線)でディスプレイ200に表示される。
【0018】
層作成部16は、建築モデルを構成する構成部材の鉛直方向における位置を規定する層(Z、Za)を作成する。
図2(a)に示す通り、本実施形態の層作成部16は、代表層作成部20および中間層作成部21を含む。代表層作成部20は代表層(Z)を作成する。中間層作成部21は中間層(Za)を作成する。代表層(Z)は、建築モデルにおける各階の高さを規定する。中間層(Za)は、一の代表層(Z)から予め定められた高さに位置する層であり、各代表層(Z)の中間に位置する。
【0019】
曲面生成部17は、指定部11により指定された特定点P(特定位置の一例)に基づいて自由曲面CS(後述の
図6(b)参照)を生成する。詳細には後述するが、第1実施形態では、予め定められた曲面式(
図8参照)および特定点Pに基づいて自由曲面CSが生成(算出)される。本実施形態の曲面生成部17は、4個以上の特定点Pが指定されると、当該特定点Pが外縁に位置する自由曲面CSを自動で生成する。以上の構成については、
図7(a)、
図7(b)および
図8を用いて詳細に後述する。なお、3個の特定点Pが指定された場合に、自由曲面CSが自動で生成できる構成としてもよい。
【0020】
部材生成部13は、部材生成処理(
図2(b)のSa2)を実行する。本実施形態の部材生成部13は、壁部材を生成する壁部材生成部22、柱部材を生成する柱部材生成部23、梁部材を生成する梁部材生成部24、床部材を生成する床部材生成部25および曲面部材生成部26を少なくとも含む。部材生成部13は、各構成部材について、構造計算に要する部材情報(厚さ、材料、鉄筋の種類など)を定義する。
【0021】
曲面部材生成部26は、曲面生成部17が生成した自由曲面CSに基づいて曲面部材を生成する。具体的には、第1実施形態では、各層(Z、Za)および自由曲面CSのうち、各通り線(X、Y、a、b)が交差する位置に解析節点が生成される(
図6(a)から
図6(e)参照)。曲面部材は、自由曲面CS上の解析節点を頂点とする複数の平面部材で構成される。すなわち、曲面部材の表面は、実際には曲面ではない。ただし、表面が曲面(例えば自由曲面CS)の曲面部材が生成される構成としてもよい。
【0022】
計算部14は、形状定義部12および部材生成部13により生成された建築モデルについて構造計算処理(
図2(b)のSa3)を実行する。構造計算処理では、建築基準法施行規則で規定された書類(以下「構造計算書」という)に記載すべき事項が算出される。仮に、構造計算処理の算出結果が不適切(基準を満たさない)場合、その旨が警告される。なお、構造計算処理の結果を、構造計算書として表示(印刷)可能な構成としてもよい。
【0023】
図3は、情報処理装置10により生成された建築モデルMの具体例の模擬図である。
図3には、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸で規定されるXYZ空間に建築モデルを配置した場合を想定する。XY平面は水平面に対応し、Z軸方向は鉛直方向に対応する。
図3の建築モデルMは、地上2階建ての建築物を表す。
【0024】
情報処理装置10は、建築モデルMを3次元画像として表示可能である。
図3には、3次元画像として表示された建築モデルMを示す。また、
図3の具体例では、建築物の柱に対応する柱部材Gc、梁に対応する梁部材Gb、壁に対応する壁部材Gwを含む建築モデルMが示される。なお、
図3には示されないが、建築モデルMは床に対応する床部材を含む。また、以上の構成部材以外の構成部材が建築モデルMに含まれ得る。
【0025】
建築モデルMは、
図3に示す通り曲面部材Gaを含む。
図3の具体例では、建築物の屋根として生成された曲面部材Gaを想定する。ただし、建築モデルMを構成する各構成部材のうち屋根以外を曲面部材としてもよい。例えば、建築モデルMの壁を曲面部材としてもよい。
【0026】
図3の具体例における曲面部材Gaは、双曲放物面(HPシェル)のシェル構造の屋根を表す。具体的には、曲面部材Gaは、予め定められた曲面式(後述の
図8参照)から求められる自由曲面CSに位置する構成部材である。なお、本発明の「自由曲面に位置する曲面部材」とは、自由曲面の全ての部分と重なる曲面部材の他、自由曲面の一部分と重なる曲面部材を含む。
図3の具体例の曲面部材Gaは、Z軸方向から見た場合に略矩形(正方形)であり、4個の頂点の各々が点P1から点P4に略位置する。
【0027】
図3には、原点P0の座標(X,Y,Z)を(0,0,0)とした場合の点P1から点P4の各座標が示される。具体的には、点P1の座標は(0,0,6000)であり、点P2の座標は(4000,0,7000)、点P3の座標は(4000,4000,6000)、点P4の座標は(0,4000,7000)である。点P1から点P4が特定点Pとして指定されると(後述の
図7参照)、
図3に示す曲面部材Gaが生成可能になる。ただし、利用者は、入力装置300を適宜に操作することにより、任意の点を特定点Pとして指定でき、4個以上(例えば5個)の特定点Pを指定できる。
【0028】
図4(a)および
図4(b)は、各層(Z1、Z2、Z3、Za)の具体例を説明するための図である。
図4(a)は、
図3に示した建築モデルMの側面をY軸方向へ見た場合を想定する。また、
図4(b)は、当該建築モデルMの側面をX軸方向へ見た場合を想定する。
【0029】
上述した通り、各層(Z)は、建築モデルMを構成する構成部材の鉛直方向における位置を規定し、利用者の操作に応じて作成される。
図4(a)および
図4(b)の具体例では、1階の高さに位置する代表層Z1、および、2階の高さに位置する代表層Z2が示される。また、屋根の高さに位置する代表層Z3が示される。
【0030】
ただし、建築モデルMの屋根は曲面部材Gaである。
図4(a)および
図4(b)の具体例では、
図3の具体例と同様に、
図3に示した点P1から点P4が特定点Pとして指定された場合を想定する。また、点P1および点P3が代表層Z3に位置し、点P2および点P4が中間層Zaに位置する場合を想定する。以上の場合、曲面部材Ga(屋根)の下端(P1およびP3)が代表層Z3に位置し、曲面部材Gaの上端(P2およびP4)が中間層Zaに位置する。
【0031】
図4(a)および
図4(b)には、建築モデルMを構成する構成部材の水平方向における位置を規定する通り線の一部が示される。具体的には、
図4(a)には、原点P0、点P1および点P4が位置する通り線X1、および、点P2および点P3(
図4(a)では図示略)が位置する通り線X4が示される。また、
図4(b)には、原点P0、点P1および点P2が位置する通り線Y1、および、点P4および点P3(
図4(b)では図示略)が位置する通り線Y4が示される。
【0032】
図5(a)から
図5(c)は、各通り線(X1~X4、Y1~Y4)を説明するための図である。
図5(a)から
図5(c)には、利用者の操作に応じて作成された各通り線の具体例を示す。各通り線は、例えば入力画面I(
図9(f)参照)の伏図領域Ra(
図5(a)および
図5(b)参照)および軸図領域Rb(
図5(c)参照)に線画像L(x、y)として表示される。なお、
図5(a)から
図5(c)に示す各通り線は代表線である。間通り線の具体例については、
図6(a)から
図6(c)を用いて説明する。
【0033】
図5(a)は、伏図領域Raの具体例の概念図である。
図5(a)の具体例では、4個の通り線X(1~4)および4個の通り線Y(1~4)が作成された場合を想定する。各通り線X(1~4)は、
図3に示したX軸方向に等間隔に配列され、Y軸方向に平行である。各通り線Y(1~4)は、
図3に示したY軸方向に等間隔に配列され、X軸方向に平行である。
図5(a)に示す通り、伏図領域Raには、各通り線X(1~4)に対応する各線画像Lx(1~4)が表示される。同様に、伏図領域Raには、各通り線Y(1~4)に対応する各線画像Ly(1~4)が表示される。ただし、本実施形態の情報処理装置10は、他の通り線に対して直交しないで交差する通り線(後述の
図10(a-2)参照)、および、折線状の通り線(後述の
図10(b-2)参照)が作成できる。
【0034】
利用者は、伏図領域Raが表示される期間において、入力装置300を適宜に操作することにより、柱部材、梁部材および床部材を含む構成部材を生成(配置)可能である。具体的には、伏図領域Raには層(Z、Za)を切替えて表示可能である。伏図領域Raが表示される期間において、当該伏図領域Raに表示される層に構成部材を配置可能である。
図5(a)は、構成部材が配置されない伏図領域Raの具体例を示す。
【0035】
図5(a)は、各層(Z、Za)のうち代表層Z1を表示する伏図領域Raの具体例を示す。具体的には、
図5(a)は、代表層Z2(2階)から見下ろした代表層Z1(1階)を表示する伏図領域Raが示される。伏図領域Ra(入力画面I)には、指示子Sが表示される。指示子Sは、入力装置300の操作に応じて移動表示される。例えば、入力装置300としてマウスが採用された場合を想定する。以上の場合、マウスに対する移動操作(マウスドラッグ)に応じて指示子Sが移動表示される。また、マウスに対する選択操作(マウスクリック)に応じて指示子Sが位置する領域に応じた処理が実行される。
【0036】
例えば、線画像Lと他の線画像Lとの交点(通り線の交点)を選択操作することにより、当該交点に柱部材が配置可能になる。また、線画像Lを選択操作することにより、当該線画像Lに梁部材を配置可能になる。さらに、伏図領域Raには、層のうち複数の線画像L(通り線)で囲まれた領域毎に床配置画像rcが表示される。床配置画像rcを選択操作することにより、当該床配置画像rcが表示される領域に床部材が配置可能になる。
【0037】
図5(b)は、構成部材が配置された伏図領域Raの具体例の模擬図である。
図5(b)は、
図5(a)の伏図領域Raに構成部材が配置された場合を想定する。
図5(b)の具体例では、通り線X1と通り線Y1との交点、通り線X1と通り線Y4との交点、通り線X4と通り線Y1との交点、通り線X4と通り線Y4との交点に、柱部材が配置された場合を想定する。また、
図5(b)の具体例では、通り線Y1から通り線Y4までの通り線X1上、通り線Y1から通り線Y4までの通り線X4上、通り線X1から通り線X4までの通り線Y1上、通り線X1から通り線X4までの通り線Y4上に、梁部材が配置された場合を想定する。さらに、各梁部材で囲まれた領域に、床部材が配置された場合を想定する。
【0038】
図5(c)は、軸図領域Rbの具体例の模擬図がである。軸図領域Rbは、水平方向(建築物の側面側)から見た建築モデル(配置された構成部材)を表示する。具体的には、軸図領域Rbは、通り線Xと平行な方向(Y軸方向)から見た場合の、通り線Y(1~4)の何れかに配置された構成部材を表示する。また、軸図領域Rbは、通り線Yと平行な方向(X軸方向)から見た場合の、通り線X(1~4)の何れかに配置された構成部材を表示する。
【0039】
図5(c)の具体例では、Y軸方向へ見た通り線Y1に配置された構成部材を表示する軸図領域Rbを想定する。なお、Y軸方向へ見た通り線Y2に配置された構成部材、Y軸方向へ見た通り線Y3に配置された構成部材、Y軸方向へ見た通り線Y4に配置された構成部材を切換えて表示可能である。同様に、X軸方向へ見た通り線X1に配置された構成部材、X軸方向へ見た通り線X2に配置された構成部材、X軸方向へ見た通り線X3に配置された構成部材、X軸方向へ見た通り線X4に配置された構成部材を軸図領域Rbに切替えて表示可能である。さらに、Y軸方向反対側から見た通り線Y、X軸方向反対側から見た通り線Xを軸図領域Rbに切替えて表示することもできる。軸図領域Rbが表示される期間において、入力装置300が適宜に操作されると、壁部材が配置される。例えば、梁部材および柱部材で形成される開口に壁部材が配置される。
【0040】
図6(a)から
図6(e)は、各層に作成された通り線(X、Y、a、b)の具体例を説明するための図である。上述した通り、利用者の操作に応じて通り線が作成される。
図6(a)から
図6(e)には、上述の
図3に示した建築モデルを生成する際に作成される通り線の具体例を示す。以上の具体例では、1階に対応する代表層Z1、2階に対応する代表層Z2および屋根に対応する代表層Z3が作成される。また、代表層Z3に対応する中間層Zaが作成され、自由曲面CSが生成される。
図6(a)から
図6(e)の具体例では、上述の
図5(a)の具体例と同様に、4個の通り線X(1~4)および4個の通り線Y(1~4)が作成された場合を想定する。
【0041】
通り線のうち代表線(X、Y)は、最も下側に位置する代表層(
図6の例ではZ1)に下端が位置し、最も上側に位置する代表層(
図6の例ではZ3)に上端が位置する。ただし、最も上側に位置する代表層について中間層(
図6の例ではZa)が作成されている場合、当該中間層に通り線の上端が位置する。なお、代表層の上端および下端を任意の代表層に設定(変更)可能な構成としてもよい。
【0042】
通り線のうち間通り線(a、b)の作成時において、当該間通り線の上端が位置する代表層および下端が位置する代表層が選択される。本実施形態では、間通り線(a、b)の上端および下端を共通の代表層に設定できる。以上の場合、当該間通り線は、1個の代表層のみに位置する。ただし、間通り線が1個の代表層のみに位置する設定とした際に、当該代表層について中間層が作成されている場合、間通り線の下端が当該代表層に、間通り線の上端が当該中間層に自動的に設定される。
図6の具体例では、代表層Z(1~3)のうち代表層Z3にのみ間通り線が作成された場合を想定する。以上の場合、当該間通り線の下端は代表層Z3になり、上端は中間層Zaになる。
【0043】
図6(b)には、自由曲面CSの具体例が示される。
図6(a)から6(e)の具体例では、代表層Z3における代表線X1と代表線Y1との交点P1、代表層Z3における代表線X4と代表線Y4との交点P3(
図6(c))、中間層Zaにおける代表線X1と代表線Y4との交点P2、および、中間層Zaにおける代表線X4と代表線Y1との交点P4(
図6(a))が特定点Pとして指定された場合を想定する。以上の場合、自由曲面CSは、各特定点P(1~4)を頂点とする双曲放物面(HPシェル)となる。
【0044】
図6(b)には、自由曲面CSにおける各通り線(X,Y,a、b)が示される。
図6の具体例では、間通り線a(1~3)および間通り線b(1~3)の下端が代表層Z3に位置し上端が中間層Zaに位置する。また、自由曲面CSは、代表層Z3と中間層Zaとの間に生成される。したがって、間通り線a(1~3)および間通り線b(1~3)が自由曲面CSに位置する。
【0045】
本実施形態では、各層(Z、Za)における各通り線の交点が解析節点Paとして設定される。また、自由曲面CSにおける各通り線の交点が解析節点Paとして設定される。解析節点Paの各々には、当該解析節点Paにおける荷重、変位、境界条件(ピン接合、剛接合など)および座標などの解析情報が設定される。情報処理装置10は、各解析節点の解析情報を用いて構造計算を実行する。例えば、マトリクス変位法を用いて構造計算が実行される。
【0046】
図7(a)および
図7(b)は、形状定義領域Rxの具体例の概念図である。形状定義領域Rxは、例えば、入力画面I(
図9(f)参照)に表示される。形状定義領域Rxは、通り線(X、Y、a、b)を層(Z、Za)毎に切替えて表示する。例えば、
図7(a)は、
図6(c)に示した代表層Z3における各通り線を表示する。
図7(b)は、
図6(a)に示した中間層Zaにおける各通り線を表示する。
【0047】
形状定義領域Rxが表示される期間において、入力装置300が適宜に操作されると、当該形状定義領域Rxが表示する層(Z、Za)の通り線の交点の何れかが特定点Pに指定される。例えば、
図6に示した特定点P2および特定点P4を代表層Z3において指定する場合を想定する。以上の場合、形状定義領域Rxに代表層Z3の通り線を表示した後に、通り線X1と通り線Y4との交点に指示子Sが位置する状態で選択操作をすることにより、特定点P2が指定される。同様に、通り線X4と通り線Y1との交点に指示子Sが位置する状態で選択操作をすることにより、特定点P4が指定される。
【0048】
また、
図6に示した特定点P1および特定点P3を中間層Zaにおいて指定する場合を想定する。以上の場合、形状定義領域Rxに中間層Zaの通り線を表示した後に、通り線X1と通り線Y1との交点に指示子Sが位置する状態で選択操作をすることにより、特定点P1が指定される。同様に、通り線X4と通り線Y4との交点に指示子Sが位置する状態で選択操作をすることにより、特定点P3が指定される。ただし、自由曲面CSを生成するための特定点Pを指定する操作手順は以上の例に限定されない。
【0049】
全ての特定点Pを指定した後に、予め定められた操作がされると、当該特定点Pを通る自由曲面が自動的に生成される。なお、指定された特定点Pによっては、自由曲面を生成できない場合が想定される。以上の場合、自由曲面が生成できない旨を利用者に警告する画像が表示される。
【0050】
なお、詳細には後述するが、形状定義領域Rxが表示される期間において、入力装置300が適宜に操作されると、間通り線が作成される(後述の
図10(a-1)等参照)。具体的には、形状定義領域Rxにはグリッド線Lgが上下方向(Y軸方向)および左右方向(X軸方向)に等間隔に表示される。利用者は、グリッド線Lgの交点を2個(始点、終点)選択することにより、各交点を端とする間通り線を作成できる。なお、詳細には後述するが、グリッド線Lgの交点を3個以上選択することにより、折線状の間通り線を作成することもできる(
図10(b-1)など参照)。
【0051】
図8は、自由曲面CSを表す曲面式f(X,Y)を説明するための図である。曲面式f(X,Y)は、以下の数1に示す関数F(X,Y)を用いて決定される。
【0052】
【0053】
本実施形態では、説明のため、関数F(X,Y)の展開式における各項の係数を係数「Am」(m=0、1、2…)と記載する場合がある。すなわち、関数F(X,Y)の展開式の各項を次数が小さい順に「A0」「A1」「A2」…と記載する。例えば、係数「A0」は「a0」と「b0」の積である(A0=a0×b0)。関数F(X,Y)の展開式は、係数「Am」を用いると以下の数2で表される。
【0054】
【0055】
本実施形態の曲面式f(X,Y)は、利用者がm個の特定点を指定した場合、以下の数3である。上述した通り、利用者は、4個以上の任意の個数の特定点Pを指定できる。曲面式f(X,Y)は、項の個数が特定点Pの個数と同じになる様に、特定点Pの個数に応じて可変に決定される。
【0056】
【0057】
具体的には、曲面式f(X,Y)は上述の関数F(X,Y)から決定される。曲面式f(X,Y)の各項「T」は、関数F(X,Y)の各項の一部である。本実施形態における曲面式f(X,Y)の各項「T」の具体例を
図8に示す。例えば、4個の特定点Pが指定された場合を想定する(m=4)。以上の場合、曲面式f(X,Y)は「f(X,Y)=T
0+T
1+T
2+T
3」、すなわち「f(X,Y)=A
0+A
1X+A
2Y+A
3XY」になる。
【0058】
曲面式f(X,Y)の各項の係数(m=4の場合、A0、A1、A2、A3)は未知数である。すなわち、曲面式f(X,Y)には「m」個(特定点Pと同じ個数)の未知数が含まれる。また、特定点Pの個数が「m」の場合、当該特定点Pの座標(X,Y,f(X,Y))を数3に代入することにより、係数「A0」から係数「Am-1」を含むm個の連立方程式が決定される。以上のm個の連立方程式から全ての係数(未知数)が求められ、曲面式f(X,Y)が決定される(自由曲面CSが作成される)。なお、曲面式f(X,Y)として他の高次式を用いてもよい。
【0059】
図9(a)から
図9(f)は、情報処理装置10により表示される各画像を説明するための図である。利用者は、各画像が表示される期間において、入力装置300を適宜に操作することにより、各層(Z、Za)および各通り線(X、Y、a、b)を作成させることができる。
【0060】
図9(a)は、ウィンドウ画像W1の概念図である。ウィンドウ画像W1は、代表線を作成するための画像であり、例えば、建築モデルの作成を開始する際に自動で表示される。ウィンドウ画像W1が表示される期間において、X軸方向に配列される代表線およびY軸方向に配列される代表線について、「名称」および「スパン長」が入力可能になる。代表線の「名称」は、伏図領域Ra(
図5(a)参照)、軸図領域Rb(
図5(c)参照)および形状定義領域Rx(
図7(a)参照)において、当該代表線を示す線画像Lに対応する位置に表示される。代表線の「スパン長」は、当該代表線と隣合う代表線までの距離である。利用者は、各通り線間の距離を任意な長さに設定できる。
【0061】
図9(b)は、ウィンドウ画像W2の概念図である。ウィンドウ画像W2は、層(Z、Za)を作成するための画像である。例えば、
図9(a)に示したウィンドウ画像W1による通り線の作成が終了した後に、自動でウィンドウ画像W2が表示される。
図9(b)の具体例は、代表層Z1および代表層Z2が既に作成された場合の具体例を示す。
【0062】
図9(b)に示す通り、ウィンドウ画像W2にはボタン画像Baが表示される。ボタン画像Baを指示子Sにより選択操作すると、
図9(b)に示す選択画像W2aが表示される。選択画像W2aは、「層の追加」というメッセージが表示される上段領域および「中間層の追加」というメッセージが表示される下段領域を含む。選択画像W2aの上段領域が選択操作されると代表層が作成(追加)される。一方、選択画像W2aの下段領域が選択操作されると中間層が作成される。
【0063】
図9(c)は、ウィンドウ画像W2の他の具体例を説明するための図である。
図9(c)の具体例は、
図9(b)の具体例において、選択画像W2aの上段領域が選択操作された直後を想定する。
図9(c)に示す通り、選択画像W2aの上段領域が選択操作されると、ウィンドウ画像W2に新たな代表層Z3が追加して表示される。なお、本実施形態では、新たな代表層Zが追加される際に、当該代表層Zの位置(高さ)が自動で設定される。具体的には、各代表層Zが等間隔となる位置に新たな代表層が追加される。ただし、代表層の高さを手動で(任意に)設定可能な構成としてもよい。
【0064】
図9(d)は、ウィンドウ画像W3の概念図である。ウィンドウ画像W3は、
図9(b)に示した選択画像W2aの下側領域(中間層の追加)が選択操作されると表示される。ウィンドウ画像W3が表示される期間において、中間層の「名称」および「位置」が入力可能になる。上述した通り、中間層は代表層の何れかに対応する。中間層の「位置」は、当該中間層に対応する代表層から当該中間層までの距離(高さ)である。
【0065】
また、ウィンドウ画像W3には、「共通」という文字列が付されたラジオボタンと「専用」という文字列が付されたラジオボタンとが表示される。「共通」という文字列が付されたラジオボタンを選択操作すると、全ての代表層に対して中間層が作成される。一方、「専用」という文字列が付されたラジオボタンを選択操作すると、選択操作されたボタン画像Ba(
図9(b)参照)に対応する代表層にのみに対して中間層が作成される。
【0066】
図9(e)は、ウィンドウ画像W2の他の具体例を説明するための図である。
図9(e)の具体例は、
図9(d)の具体例において、「共通」という文字列が付されたラジオボタンが選択操作され、中間層が作成された場合を想定する。
図9(e)に示す通り、中間層が作成された代表層に対応する位置に、当該中間層の名称、および、当該代表層から当該中間層までの高さが表示される。
【0067】
図9(f)は、入力画面Iの模擬図である。入力画面Iには、上述の伏図領域Ra、軸図領域Rbおよび形状定義領域Rxが切替えて表示される。具体的には、入力画面Iにはボタン画像Bd1からボタン画像Bd3が表示される。ボタン画像Bd1が選択操作されると、形状定義領域Rxが表示される。また、ボタン画像Bd2が選択操作されると、伏図領域Raが表示され、ボタン画像Bd3が選択操作されると、軸図領域Rbが表示される。
【0068】
図9(f)に示す通り、入力画面Iには、各層の名称、当該層のタイプ(代表層、中間層)および最下層(上述の
図9(b)の例では代表層Z1)からの高さ(GL)の一覧が表示される。入力画面Iでは、何れかの層を選択可能である。例えば、
図9(f)の具体例では、代表層Z3が選択された場合を想定する。以上の場合、代表層Z3(通り線、構成部材)が表示される。
【0069】
入力画面Iにはボタン画像Bb1およびボタン画像Bb2が表示される。例えば、領域R(Ra、Rb、Rc)に層の見下げ図が表示される期間において、ボタン画像Bb1が選択操作されると、当該層の見上げ図が領域Rに切替えて表示される。同様に、領域Rに層の見上げ図が表示される期間において、ボタン画像Bb1が選択操作されると、当該層の見下げ図が領域Rに切替えて表示される。
【0070】
図9(f)の具体例では、代表層に加え、中間層についての情報(名称、タイプおよび高さ)が入力画面Iに表示される場合を想定する。以上の場合において、ボタン画像Bb2が選択操作されると、入力画面Iから中間層についての情報が非表示になる。また、中間層についての情報が非表示の状態で、ボタン画像Bb2が選択操作されると、入力画面Iに中間層についての情報が表示される。
【0071】
図9(f)に示す通り、入力画面Iには、各通り線の名称および当該通り線のタイプ(代表線、間通り線)が表示される。入力画面Iでは、何れかの通り線を選択可能である。例えば、
図9(f)の具体例では、通り線X1が選択された場合を想定する。以上の場合、軸図領域Rbが表示される際に、通り線X1の構成部材が表示される。
【0072】
入力画面Iにはボタン画像Bc1およびボタン画像Bc2が表示される。例えば、軸図画像Rbに通り線XをX軸方向へ見た図が表示される期間において、ボタン画像Bc1が選択操作されると、X軸方向逆向きへ当該通り線Xを見た図が領域Rに切替えて表示される。同様に、軸図画像Rbに通り線XをX軸方向逆向きへ見た図が表示される期間において、ボタン画像Bc1が選択操作されると、X軸方向へ当該通り線Xを見た図が領域Rに切替えて表示される。
【0073】
図9(f)の具体例では、代表線に加え、間通り線についての情報(名称、タイプ)が入力画面Iに表示される場合を想定する。以上の場合において、ボタン画像Bc2が選択操作されると、入力画面Iから間通り線についての情報が非表示になる。また、間通り線についての情報が非表示の状態で、ボタン画像Bc2が選択操作されると、入力画面Iに間通り線についての情報が表示される。
【0074】
図10(a-1)および
図10(a-2)は、通り線(間通り線)を作成する方法の具体例を説明するための図である。
図10(a-1)および
図10(a-2)には、形状定義領域Rxに表示される線画像Lx(通り線X)の概念図が示される。
【0075】
なお、形状定義領域Rxには、グリッド線Lg(
図7(a)および
図7(b)参照)が表示されるが、
図10(a-1)および
図10(a-2)においてはグリッド線Lgを省略して示す。本実施形態では、グリッド線Lgの交点を選択操作できる。
図10(a-1)および
図10(a-2)に示す点Pa1および点Pa2は、グリッド線Lgの交点に位置する。
【0076】
図10(a-1)および
図10(a-2)の具体例は、点Pa1および点Pa2を端点とする間通り線が作成される場合を想定する。以上の場合、例えば
図10(a-1)に示す通り、指示子Sを点Pa1に移動した状態で選択操作(マウスクリック)する。その後、指示子Sを点Pa1から点Pa2に移動し(マウスドラッグ)、点Pa2を選択操作する。以上の操作により、点Pa1および点Pa2を端点とする通り線(代表線、間通り線)が作成できる。なお、
図10(a-1)および
図10(a-2)において、両端が代表線上に位置する通り線を作成する具体例を示したが、一端または両端が通り線上に位置しない通り線も作成できる。
【0077】
本実施形態では、形状定義領域Rxにおいて通り線が作成される場合、当該通り線を代表線とするか間通り線とするかを選択できる。具体的には、点Pa2(通り線の終端)が選択操作された際に、代表線を作成するか間通り線を作成するかを選択可能な画像が表示される。代表線を作成することが選択されると、点Pa1および点Pa2を端点とする代表線が作成され、間通り線を作成することが選択されると、点Pa1および点Pa2を端点とする間通り線が作成される。
【0078】
図10(a-2)は、点Pa1および点Pa2を端点とする間通り線が作成された具体例を示す。間通り線が作成されると、当該間通り線を示す線画像Lcが表示される。本実施形態では、一の通り線と直交する通り線に加え、一の通り線と直交せずに交差する通り線を作成できる。
図10(a-2)の具体例では、他の通り線(線画像Lx)と直交せずに交差する通り線(線画像Lc)が作成された場合を想定する。
図10(a-2)に示す通り、間通り線を示す線画像Lcは破線で表示される。一方、代表線を示す線画像L(例えば、Lx)は一点鎖線で表示される。
【0079】
本実施形態では、代表線と他の代表線との交点に加え、代表線と間通り線との交点、および、間通り線と他の間通り線との交点を特定点P(自由曲面CS上の点)として指定できる。したがって、代表線と他の代表線との交点のみが特定点Pとして指定できる構成と比較して、作成可能な自由曲面CSの選択肢が多くなるという利点がある。例えば、
図10(a-2)に示す具体例では、新たに作成された間通り線(Lc)は、代表線(線画像Lx)と点Pa1から点Pa3で交差する。したがって、点Pa1から点Pa3を特定点Pとして指定できる。また、本実施形態では、一の通り線と直交せずに交差する通り線を作成できる。したがって、例えば一の通り線と直交せずに交差する通り線を作成できない構成と比較して、多様な形状の自由曲面CSを作成し易くなるという利点がある。
【0080】
図10(b-1)および
図10(b-2)は、通り線(代表線、間通り線)を作成する方法の他の具体例を説明するための図である。
図10(b-1)および
図10(b-2)には、
図10(a-1)および
図10(a-2)と同様に、形状定義領域Rxに表示される線画像Lx(通り線X)の概念図が示される。
図10(b-1)および
図10(b-2)に示す点Pb1から点Pb3は、グリッド線Lgの交点に位置する。なお、点Pb2は、点Pb1および点Pb2とY軸上の位置が相違する場合を想定する。
【0081】
本実施形態では、形状定義領域Rxにおいて折線状の通り線(代表線、間通り線)を作成できる。具体的には、通り線の始点とする選択操作をした後に、グリッド線Lcの交点を当該通り線上の点(以下「中継点」という)として選択操作し、その後、当該通り線の終点を選択操作できる。
【0082】
図10(b-1)および
図10(b-2)の具体例では、点Pb1を通り線の始点として選択操作し、点Pb2を通り線の中継点として選択操作し、点Pb3を通り線の終点として選択操作された場合を想定する。また、通り線のうち間通り線を作成することが選択された場合を想定する。以上の場合、
図10(b-2)に示す通り、点Pb1から点Pb3を通る折線状の間通り線が作成され、当該間通り線を示す線画像Lcが表示される。
【0083】
以上の通り本実施形態では、直線状の通り線に加え、折線状の通り線を作成できる。また、折線状の通り線と他の通り線との交点を特定点Pとして指定できる。
したがって、例えば折線状の通り線を作成できない構成と比較して、多様な形状の自由曲面CSを作成し易くなるという利点がある。
【0084】
図11は、曲面定義処理のフローチャートである。情報処理装置10は、入力装置300が適宜に操作されると、曲面定義処理を開始する。例えば、形状定義領域Rxが表示される期間において、予め定められたボタン画像が選択操作されると、自由曲面定義モードへ移行し、曲面定義処理が開始される。ただし、曲面定義処理の開始契機は適宜に変更できる。
【0085】
図11に示す通り、曲面定義処理を開始すると、情報処理装置10は、指定処理(S11)を実行する。指定処理では、特定点Pを指定する選択操作が実行されたか否かを判定し、選択操作が実行されたと判断すると、特定点Pを指定する。具体的には、指定処理では、選択操作時における指示子Sの位置に応じた領域が特定点Pとして指定される。
【0086】
指定処理を実行した後に、情報処理装置10は、指定された特定点Pの個数mが4個以上であるか否かを判定する(S12)。指定された特定点Pの個数mが4個未満であると判断すると(S12:No)、情報処理装置10は、指示処理へ処理を戻す。一方、指定された特定点Pの個数mが4個以上であると判断すると(S12:Yes)、情報処理装置10は、完了操作が実行されたか否かを判定する(S13)。例えば、入力装置300が適宜に操作されると、情報処理装置10は、完了操作が実行されたと判断する。
【0087】
情報処理装置10は、完了操作が実行されていないと判断すると(S13:No)、指定処理へ処理を戻す。以上の構成では、特定点Pが4個以上指定され、その後、完了操作が実行されるまで、指定処理が繰返し実行されることになる。情報処理装置10は、完了操作が実行された判断すると(S13:Yes)、曲面生成処理(S14)へ処理を進める。
【0088】
曲面生成処理では、指定処理(S11)において指定された各特定点Pの座標から、上述の係数Am-1(未知数)を求め、曲面式f(X,Y)を決定する。曲面生成処理で算出された曲面式f(X,Y)により自由曲面CSの形状が定義可能になる。ただし、特定点Pの位置(個数)によっては、曲面式f(X,Y)が決定できず、自由曲面CSが生成できない場合がある。
【0089】
曲面生成処理を実行した後に、情報処理装置10は、曲面生成処理において自由曲面CSが生成できたか否かを判定する(S15)。自由曲面CSが生成できた場合(S15:Yes)、情報処理装置10は、形状定義領域Rxに自由曲面CSを表示して、曲面定義処理を終了する。一方、自由曲面CSが生成できなかった場合(S15:No)、情報処理装置10は警告処理(S17)を実行して曲面定義処理を終了する。警告処理では、利用者が指定した特定点Pからは自由曲面CSが生成不可能である旨が警告される。例えば、自由曲面CSが生成不可能である旨のメッセージがディスプレイ200に表示される。なお、警告処理を実行した後に、指定処理へ処理を戻し、他の特定点Pを指定させる構成としてもよい。
【0090】
<第2実施形態>
本発明の他の実施形態を以下に説明する。なお、以下に例示する各形態において作用や機能が第1実施形態と同等である要素については、第1実施形態の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0091】
図12は、第2実施形態における情報処理装置10の機能ブロック図である。第2実施形態の情報処理装置10は、第1実施形態の情報処理装置10と同様に、指定部11、形状定義部12、部材生成部13および計算部14を含む。ただし、第2実施形態の形状定義部12は、第1実施形態の曲面生成部17に替えて、曲面生成部27を具備する。また、第2実施形態の情報処理装置10は、節点特定部28を具備する。
【0092】
詳細には後述するが、第2実施形態の曲面生成部27は、自由曲面を表すメッシュ画像から自由曲面CSを生成可能である(後述の
図13(a)および
図13(b)参照)。具体的には、第2実施形態では、外部装置により作成されたメッシュ画像が情報処理装置10に入力される。情報処理装置10は、外部装置から入力されたメッシュ画像から自由曲面CSを生成する。ただし、メッシュ画像を作成する機能を情報処理装置10が具備する構成としてもよい。節点特定部28は、メッシュ画像から生成した自由曲面CSにおける解析節点(後述の
図14のPI)の位置(座標)を特定する。
【0093】
図13(a)および
図13(b)は、第2実施形態における曲面生成処理を説明するための図である。上述の第1実施形態では、曲面式f(高次式)から自由曲面CSを生成した。第2実施形態では、メッシュ画像から自由曲面CSが生成される。
【0094】
図13(a)は、情報処理装置10に入力されたメッシュ画像の一例であるメッシュ画像GAを説明するための図である。メッシュ画像GAは、ポリゴンメッシュであり、複数の面Mで構成される。
図13(a)の具体例におけるメッシュ画像GAは、三角形の各面Mで構成されたHPシェルである。以下、説明のため、メッシュ画像GAの各辺を辺E12、辺E23、辺E34、辺E14と記載する場合がある。各辺Eは略直線である。
【0095】
第2実施形態では、第1実施形態と同様に、特定点Pが指定され、当該特定点Pに基づいて自由曲面CSが生成される。ただし、第1実施形態では任意の位置を特定点Pとして指定したが、第2実施形態ではメッシュ画像GAの形状に応じた位置を特定点Pとして指定する。例えば、
図13(a)の具体例では、特定点P1および特定点P2を結ぶ直線がメッシュ画像GAの辺E12と略一致し、特定点P2および特定点P3を結ぶ直線がメッシュ画像GAの辺E23と略一致し、特定点P3および特定点P4を結ぶ直線がメッシュ画像GAの辺E34と略一致し、特定点P1および特定点P4を結ぶ直線がメッシュ画像GAの辺E14と略一致する様に各特定点Pが指定される。
【0096】
なお、第2実施形態の情報処理装置10は、第1実施形態と同様に、他の通り線と直交しないで交差する通り線、折線状の通り線、または、中間層で規定される位置を、特定点Pとして指定できる。また、メッシュ画像GAによっては、3個の特定点P、または、5個以上の特定点Pが指定された場合に、自由曲面CSが生成できる構成としてもよい。
【0097】
図13(b)は、
図13(a)のメッシュ画像GAから生成される自由曲面CSを説明するための図である。すなわち、
図13(b)には、上述の
図13(a)に示した特定点P1から特定点P4が指定され、メッシュ画像GAが外部装置から取得された場合に、曲面生成処理で生成される自由曲面CSの具体例が示される。なお、第2実施形態(
図13(b)等)の特定点P1から特定点P4は、第1実施形態の建築モデルM(
図3参照)の特定点P1から特定点P4を意味する。すなわち、メッシュ画像GAにより、建築モデルMの屋根部材が配置される領域に自由曲面CSが生成される。具体的には、第2実施形態の情報処理装置10は、屋根部材としてメッシュ画像GAを建築モデルMに配置可能である。ただし、当該屋根部材について部材情報(厚さ、材料、鉄筋の種類など)が別途定義(入力)される。
【0098】
図13(b)の具体例では、特定点P1から特定点P4を頂点とするHPシェルの自由曲面CSが生成される。
図13(b)に示す様に、自由曲面CSは複数の構成面mで構成される。自由曲面CSの各構成面mは、メッシュ画像GAの各面M(上述の
図13(a)参照)に対応する。構成面mは、当該構成面mに対応する面Mと略相似である。例えば、構成面mに対応する面Mが三角形の場合、当該構成面mは三角形である。また、構成面mの自由曲面CSにおける位置(向きを含む)は、当該構成面mに対応する面Mのメッシュ画像GAにおける位置と略共通である。ただし、自由曲面CSがメッシュ画像GAと略相似になれば足り、メッシュ画像GAの各面Mとは無関係に自由曲面CSにおける構成面mが生成される構成としてもよい。
【0099】
以上の構成では、特定点Pと各構成面mとの位置関係は予め定められる。したがって、各構成面mの各頂点の座標は、各特定点Pの座標から算出可能である。情報処理装置10は、構成面mの各頂点の座標(X,Y,Z)を算出して記憶する。また、構成面mの各頂点の座標が決定されると、当該構成面mを通る平面式f(X,Y)(=Z)を求めることができる。例えば、平面式f(X,Y)は、3個の未知数「a」「b」「c」を用いて「f(X,Y)=aX+bY+c」で表される。以上の未知数「a」「b」「c」は、構成面mの3個の頂点の座標を、平面式f(X,Y)に各々代入して得られた3個の連立方程式を解くことにより求められる。
【0100】
ところで、自由曲面CSに配置された屋根部材を含む建築モデルについて、構造計算を実行するためには、当該自由曲面CSにおける解析節点の位置を特定する必要がある。具体的には、自由曲面CSにおける通り線の交点(解析節点)の座標を特定する必要がある。以下、自由曲面CSにおける解析節点の位置を特定するための構成について詳細に説明する。
【0101】
図14は、自由曲面CSにおける解析節点を説明するための図である。
図14の具体例では、第1実施形態と同様に、通り線として代表線X(1~4)、代表線Y(1~4)、間通り線b(1~3)および間通り線b(1~3)が規定される場合を想定する。また、自由曲面CSの直下に層Zxが規定される場合を想定する。以上の場合、層Zxにおける各通り線の交点が解析節点Paになる。なお、第2実施形態では、層Zxに位置する解析節点Paと区別するため、自由曲面CSに位置する解析節点を「解析節点PI」と記載する。自由曲面CSにおける解析節点PIの個数は、層Zxにおける解析節点Paの個数と同数になる。
【0102】
図14に示す通り、層Zxにおける解析節点Paを通り、Z軸と平行(XY平面に垂直)な直線と自由曲面CSとの交点が解析節点PIになる。すなわち、当該解析節点Paと当該解析節点PIとは、XY平面における位置が共通する(X座標およびY座標が共通する)。以下、解析節点PaとXY平面における位置が共通する解析節点PIを「当該解析節点Paに対応する解析節点PI」と記載する場合がある。
【0103】
図14には、各解析節点PIの一部(PI1、PI2、PI3)が抜粋して示される。具体的には、解析節点Pa1に対応する解析節点PI1、解析節点Pa2に対応する解析節点PI2、解析節点Pa3に対応する解析節点PI3が示される。上述した通り、解析節点Paに対応する解析節点PIのX座標およびY座標は、当該解析節点Paと共通である。例えば、解析節点Pa1が(Xa1,Ya1,Za1)に位置する場合、解析節点PI1は(Xa1,Ya1,h1)に位置する。ただし、解析節点PI1は何れの層にも位置しないため、Z座標「h1」を求める必要がある。同様に、解析節点Pa2が(Xa2,Ya2,Za2)に位置する場合、解析節点PI2は(Xa2,Ya2,h2)に位置し、解析節点Pa3が(Xa3,Ya3,Za3)に位置する場合、解析節点PI3は(Xa3,Ya3,h3)に位置する。ただし、解析節点PI2のZ座標「h2」および解析節点PI3のZ座標「h3」を求める必要がある。
【0104】
以上の説明から理解される通り、自由曲面CSにおける各解析節点PIのZ座標を求める必要がある。第2実施形態では、自由曲面CSを構成する各構成面mの中から解析節点PIが位置する構成面mを特定することにより、当該解析節点PIの座標(Z座標)を算出可能な構成を具備する。以上の構成について、以下で詳細に説明する。
【0105】
図15(a)および
図15(b)は、第2実施形態の判定処理を説明するための図である。
図15(a)および
図15(b)には、自由曲面CSの一部分および層Zxにおける解析節点Paの一部(Pa1、Pa2)が抜粋して示される。
【0106】
情報処理装置10は、判定処理により、層Zxの解析節点Paの真上に位置する構成面m(解析節点PIが位置する構成面m)を特定する。具体的には、情報処理装置10は、層Zxにおける各解析節点Pa(上述の
図14参照)の何れか1個を対象節点に設定する。また、情報処理装置10は、自由曲面CSの各構成面mの何れか1個を対象面に設定する。情報処理装置10は、対象面が対象節点の真上に位置するか否かを判定処理により判定する。なお、判定処理の具体例の詳細については、後述の
図16(b)等を用いて説明する。
【0107】
図15(a)は、対象節点として解析節点Pa1が設定された場合を想定する。以上の場合、解析節点Pa1の真上に位置する構成面mが特定される。具体的には、対象節点を解析節点Pa1に設定した状態で、対象面を切替ながら上述の判定処理が繰返し実行される。第2実施形態では、全ての構成面mが対象面として設定される。以上の具体例では、解析節点Pa1の真上に位置する構成面m(
図15(a)の具体例ではm1)が特定される。すなわち、自由曲面CSにおける解析節点PIの1個(
図15(a)の具体例ではPI1)が位置する構成面mが特定される。
【0108】
図15(b)は、対象節点として解析節点Pa2が設定された場合を想定する。以上の場合、解析節点Pa2の真上に位置する構成面mが特定される。具体的には、対象節点を解析節点Pa2に設定した状態で、対象面を切替ながら上述の判定処理が繰返し実行される。以上の具体例では、解析節点Pa2の真上に位置する構成面m(
図15(b)の具体例ではm2)が特定される。すなわち、自由曲面CSにおける解析節点PIの1個(
図15(b)の具体例ではPI2)が位置する構成面mが特定される。
【0109】
第2実施形態では、対象節点として全ての解析節点Paが設定されるまで、対象節点を切替ながら
図15(a)および
図15(b)で説明した処理が繰り返される。以上の構成によれば、自由曲面CSにおける解析節点PIが位置する構成面mが全て特定される。
【0110】
図16(a)、
図16(b)、
図16(c-1)から
図16(c-3)および
図16(d)は、第2実施形態の判定処理の詳細を説明するための図である。以下で詳細に説明するが、判定処理では、判定用ベクトルVを用いて、自由曲面CSにおける解析節点PIが位置する構成面mが特定される。
【0111】
図16(a)は、構成面mの各頂点の座標の具体例を説明するための図である。上述した通り、構成面mの各頂点の座標は、特定点Pおよびメッシュ画像GAの形状から予め定められる。
図16(a)の具体例では、各頂点PT(1、2,3)の座標が(X1,Y1,Z1)(X2,Y2,Z2)(X3,Y3,Z3)の構成面mを想定する。また、
図16(a)の具体例には、解析節点PIの具体例が示される。以上の解析節点PIの座標は、Z座標を未知数「h」とした場合、(Xa,Ya,h)である。
【0112】
図16(b)は、判定用ベクトルV(m、i)の具体例を説明するための図である。判定処理では、対象面(構成面m)の判定用ベクトルVが用いられる。
図16(b)は、上述の
図16(a)に示す構成面mの判定用ベクトルVを示す。判定用ベクトルVは、二次ベクトルであり、構成面mの各頂点PTの座標、および、解析節点PIの座標から生成される。例えば、構成面mの頂点PT1の座標から、判定用ベクトルVの端点となる点Pt1の座標が求められる。点Pt1のX座標は頂点PT1のX座標であり、点Pt1のY座標は頂点PT1のY座標である。すなわち、点Pt1は(X1,Y1)に位置する。また、点Pt2のX座標は頂点PT2のX座標であり、点Pt2のY座標は頂点PT2のY座標である。すなわち、点Pt2は(X2,Y2)に位置する。同様に、点Pt3のX座標は頂点PT3のX座標であり、点Pt3のY座標は頂点PT3のY座標である。すなわち、点Pt3は(X3,Y3)に位置する。
【0113】
以上の説明から理解される通り、点Pt1、点Pt2および点Pt3は、Z軸方向から構成面mをXY平面へ投影した三角形(以下「投影面」と記載する場合がある)の頂点である。また、解析節点PIの座標から、判定用ベクトルVの端点となる点Piの座標が求められる。点PiのX座標は解析節点PIのX座標であり、点PiのY座標は解析節点PIのY座標である。すなわち、点Piは(Xa,Ya)に位置する。なお、
図16(b)の具体例では、点Piが投影面の内側に位置する場合を示す。ただし、対象面(構成面m)および対象節点(解析節点Pa)との組合せによっては、当該対象面の投影面内に点Piが位置しない場合もある。
【0114】
図16(b)に示す通り、判定用ベクトルVは、ベクトルVm1、ベクトルVm2およびベクトルVm3を含む。ベクトルVm1は、投影面の点Pt1を始点とし点Pt2を終点とするベクトルである。また、ベクトルVm2は、点Pt2を始点とし点Pt3を終点とするベクトルであり、ベクトルVm3は、点Pt3を始点とし点Pt1を終点とするベクトルである。
【0115】
また、判定用ベクトルVは、
図16(b)に示す通り、ベクトルVi1、ベクトルVi2およびベクトルVi3を含む。ベクトルVi1は、点Pt1を始点とし点Piを終点とするベクトルである。また、ベクトルVi2は、点Pt2を始点とし点Piを終点とするベクトルであり、ベクトルVi3は、点Pt3を始点とし点Piを終点とするベクトルである。
【0116】
判定処理では、対象面および対象節点の組合せ毎に、ベクトルVi1とベクトルVm1との外積(Vi1×Vm1)、ベクトルVi2とベクトルVm2との外積(Vi2×Vm2)およびベクトルVi3とベクトルVm3との外積(Vi3×Vm3)が算出される。以上の算出結果の全てが正数の場合、点Piは投影面の内側に位置する。すなわち、当該対象節点に対応する解析節点PIが当該対象面に位置する旨が特定される。一方、各算出結果のうち1個以上が負数の場合、点Piは投影面の外側に位置する。すなわち、当該対象節点に対応する解析節点PIが当該対象面に位置しない旨が特定される。
【0117】
図16(c-1)から
図16(c-3)は、対象節点に対応する解析節点PIが対象面(構成面m)に位置する場合を想定する。すなわち、対象面の投影面の内側に点Piが位置する場合を想定する。ベクトルViからベクトルVmまでの反時計回りの角度を「θ」とした場合、ベクトルViとベクトルVmとの外積(Vi×Vm)は、「|Vi||Vm|sinθ」で表される。また、sinθは「0°<θ<180°」の場合に正数である。すなわち、ベクトルViとベクトルVmとの外積は「0°<θ<180°」の場合に正数である。
【0118】
図16(c-1)から
図16(c-3)の各図から理解される通り、投影面の内側に点Piが位置する場合、ベクトルVi1からベクトルVm1までの角度θ、ベクトルVi2からベクトルVm2までの角度θ、および、ベクトルVi3からベクトルVm3までの角度θは、何れも0°より大きく180°未満になる(0°<θ<180°)。したがって、投影面の内側に点Piが位置する場合、ベクトルVi1とベクトルVm1との外積、ベクトルVi2とベクトルVm2との外積、および、ベクトルVi3とクトルVm3との外積は、何れも正数になる。
【0119】
図16(d)は、投影面の外側に点Piが位置する場合の具体例である。投影面の外側に点Piが位置する場合、ベクトルVi1からベクトルVm1までの角度θ、ベクトルVi2からベクトルVm2までの角度θ、および、ベクトルVi3からベクトルVm3までの角度θの何れかが180°より大きくなる(180°<θ<360°)。したがって、投影面の外側に点Piが位置する場合、ベクトルVi1とベクトルVm1との外積、ベクトルVi2とベクトルVm2との外積、および、ベクトルVi3とクトルVm3との外積の何れかが負数になる。
図16(d)の具体例では、ベクトルVi2とベクトルVm2との外積が負数の場合を想定する。以上の説明から理解される通り、ベクトルVi1とベクトルVm1との外積、ベクトルVi2とベクトルVm2との外積、および、ベクトルVi3とクトルVm3との外積が何れも正数になる構成面mは、解析節点PIが位置すると判断できる。
【0120】
自由曲面CSにおける解析節点PIのX座標およびY座標は、当該解析節点PIに対応する層Zxにおける解析節点Paと共通である。したがって、解析節点PIのX座標およびY座標は判定処理を実行するまでもなく特定できる。また、構成面mを通る平面式f(X,Y)は、当該構成面mの各頂点の座標から求められる。解析節点Paの真上に位置すると判定された構成面mの平面式f(X,Y)に当該解析節点PaのX座標およびY座標を代入することにより、当該解析節点Paに対応する解析節点PIのZ座標が求められる。
【0121】
以上の通り、第2実施形態によれば、解析節点PIの座標(X,Y,Z)が求められる。なお、第2実施形態では、構成面mが三角形の具体例を示したが、構成面mが三角形以外の多角形(例えば四角形)であっても、判定用ベクトルV(i、m)から解析節点PIの座標を求めることができる。
【0122】
図17は、第2実施形態の情報処理装置10が実行する処理のフローチャートである。情報処理装置10は、
図17に示す処理を、例えば特定点Pが指定された契機で実行する。ただし、当該処理が実行される契機は適宜に変更できる。
【0123】
情報処理装置10は、特定点Pが指定されると、メッシュ画像を取得する(S21)。上述した通り、メッシュ画像は、外部装置により作成され、情報処理装置10により取得される。メッシュ画像を取得すると、情報処理装置10は、曲面生成処理(S22)を実行する。第2実施形態の曲面生成処理では、ステップS21で取得したメッシュ画像の形状に応じた自由曲面CSが生成される。
【0124】
曲面生成処理を実行した後に、情報処理装置10は、各解析節点Paの何れか1個を最初の対象節点に設定する(S23)。また、情報処理装置10は、ステップS22で生成した自由曲面CSの各構成面mのうちの何れか1個を最初の対象面に設定する(S24)。対象節点および対象面を設定した後に、情報処理装置10は、上述の判定処理(S25)を実行する。最初の判定処理では、ステップS23で設定された対象節点を通るZ軸方向上に(対象節点の真上に)、ステップS24で設定された対象面が位置するか否かが判定される。
【0125】
判定処理を実行した後に、情報処理装置10は、全ての構成面mを対象面としたか否かを判定する(S26)。対象面としていない構成面mが残っている場合(S26:No)、情報処理装置10は、現在設定されている対象面を、未だ対象面に設定されていない構成面mに変更する(S27)。情報処理装置10は、全ての構成面mが対象面に設定されるまで(S26:Yes)、上述のステップS25からステップ27を繰返し実行する。
【0126】
全ての構成面mが対象面に設定されると、情報処理装置10は、座標算出処理(S28)を実行する。座標算出処理では、現在の対象節点に対応する、自由曲面CSにおける解析節点PIの座標が算出される。具体的には、上述した通り解析節点PIのX座標およびY座標は、対象節点と共通である。また、対象節点を通るZ軸方向上に位置すると判定処理で判定された構成面mの各頂点の座標から当該構成面mを通る平面式f(X,Y)が求められる。また、対象節点のX座標およびY座標(解析節点PIと共通)を平面式f(X,Y)に代入することにより、解析節点PIのZ座標が算出される。
【0127】
座標算出処理を実行した後に、情報処理装置10は、全ての解析節点Paを対象節点に設定済であるか否かを判定する(S29)。対象節点としていない解析節点Paが残っている場合(S29:No)、情報処理装置10は、現在設定されている対象節点を、未だ対象節点に設定されていない解析節点Paに変更する(S30)。また、情報処理装置10は、全ての解析節点Paが対象節点に設定されるまで、上述のステップS25からステップS30を繰返し実行する。
【0128】
全ての解析節点Paが対象節点に設定されると(S29:Yes)、情報処理装置10は
図17に示す処理を終了する。以上の構成では、特定点Pが指定されると、自由曲面CSが自動で生成され、解析節点PIの座標が自動で算出される。ただし、特定点Pを指定した後に、所定の操作がされたことを条件に、自由曲面CSが生成される構成としてもよい。また、自由曲面CSが生成された後に、所定の操作がされたことを条件に、解析節点PIの座標が算出される構成としてもよい。
【0129】
<変形例>
以上の各形態は多様に変形される。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は適宜に併合され得る。
【0130】
(1)上述の各形態では、本発明の「特定位置」として、特定点Pを例示した。しかし、特定位置は以上の例に限定されない。例えば、梁部材が配置される領域を特定位置として採用してもよい。以上の変形例では、4個以上の梁部材(梁部材が配置された通り線)が特定位置として指定される。梁部材が指定されると、各辺が当該梁部材に位置する自由曲面CSが生成される。
【0131】
(2)第1実施形態では、自由曲面CSの頂点を指定する構成としたが、自由曲面CSの外縁より内側に位置する点を指定できる構成としてもよい。例えば、3個の特定点Pを自由曲面CSの頂点として指定し、1個の特定点Pを自由曲面CSの内側の点として指定できる構成としてもよい。また、3個以上の梁部材を自由曲面CSの外縁として指定し、1個の特定点Pを自由曲面CSの内側の点として指定できる構成としてもよい。
【0132】
<本実施形態の態様例の作用、効果のまとめ>
<第1態様>
本態様の情報処理装置(10)は、建築モデル(M)を生成する情報処理装置であって、特定位置(特定点P)を指定する指定部(11)と、特定位置に基づいて自由曲面(CS)を生成する曲面生成部(17、27)と、自由曲面に位置する曲面部材を含む建築モデルについて構造計算を実行可能な計算部(14)とを具備する。本態様によれば、自由曲面に位置する曲面部材を含む建築モデルの構造計算が実行可能になるまでの作業量を抑制し易くなる。
【0133】
<第2態様>
本態様の情報処理装置(10)は、建築モデルを構成する部材の水平方向における位置を規定する通り線(代表線、間通り線)を作成する通り線作成部(15)を具備し、通り線は、第1通り線および第1通り線と直交せずに交差する第2通り線を含み(
図10(a-2)参照)、曲面生成部は、第1通り線における特定位置および第2通り線における特定位置の双方に基づく一の自由曲面を生成できる。本態様によれば、例えば、第2通り線が設けられない構成と比較して、多様な自由曲面を生成し易くなる。
【0134】
<第3態様>
本態様の情報処理装置(10)は、建築モデルを構成する部材の水平方向における位置を規定する通り線(代表線、間通り線)を作成する通り線作成部(15)を具備し、通り線は、直線状の通常通り線および折線状の特殊通り線とを含み(
図10(b-2)参照)、曲面生成部は、通常通り線における特定位置および特殊通り線における特定位置の双方に基づく一の自由曲面を生成できる。本態様によれば、例えば、特殊通り線が設けられない構成と比較して、多様な自由曲面を生成し易くなる。
【0135】
<第4態様>
本態様の情報処理装置(10)は、特定位置は、3個以上の特定点の位置であり、指定部は、第1操作に応じて第1の特定点を指定し、第2操作に応じて第2の特定点を指定し、第3操作に応じて第3の特定点を指定し、曲面生成部は、各特定点が略含まれる自由曲面を生成できる(
図7(a)および
図7(b)参照)。本態様によれば、第1態様と同様な効果が奏せられる。
【0136】
<第5態様>
本態様の情報処理装置(10)は、建築モデルを構成する部材の鉛直方向における位置を規定する層を作成する層作成部(16)を具備し、層は、複数の第1層(代表層)および各第1層の間に位置する第2層(中間層)を含み、曲面生成部は、第1層における特定位置および第2層における特定位置の双方に基づく一の自由曲面を生成できる。本態様によれば、例えば、第2層が設けられない構成と比較して、多様な自由曲面を生成し易くなる。
【0137】
<第6態様>
本態様の情報処理方法は、建築モデルを生成する情報処理方法であって、建築モデルにおける特定位置を指定するステップ(
図11のS11)と、特定位置に基づいて自由曲面を生成するステップ(S14、
図17のS22)と、自由曲面に位置する曲面部材を含む建築モデルについて構造計算を実行するステップとを具備する。本態様によれば、第1態様と同様な効果が奏せられる。
【0138】
<第7態様>
本態様のプログラムは、第6態様の各ステップをコンピュータを実行させるプログラムである。本態様によれば、第1態様と同様な効果が奏せられる。
【符号の説明】
【0139】
10…情報処理装置、11…指定部、12…形状定義部、13…部材生成部、14…計算部、15…線作成部、16…層作成部、17…曲面生成部、18…代表線作成部、19…線作成部、20…代表層作成部、21…中間層作成部、22…壁部材生成部、23…柱部材生成部、24…梁部材生成部、25…曲面部材生成部、26…床部材生成部、27…曲面生成部、28…節点特定部。