(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-09
(45)【発行日】2022-08-18
(54)【発明の名称】超音波カッター装置
(51)【国際特許分類】
B26D 7/08 20060101AFI20220810BHJP
B26D 3/00 20060101ALI20220810BHJP
B26D 1/06 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
B26D7/08 A
B26D3/00 601F
B26D1/06 Z
(21)【出願番号】P 2018099649
(22)【出願日】2018-05-24
【審査請求日】2021-04-26
(31)【優先権主張番号】P 2017115377
(32)【優先日】2017-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000195649
【氏名又は名称】精電舎電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【氏名又は名称】前川 直輝
(72)【発明者】
【氏名】山本 泰裕
(72)【発明者】
【氏名】長澤 直和
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-030251(JP,A)
【文献】特許第6074583(JP,B1)
【文献】実開昭55-021832(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 7/08
B26D 3/00
B26D 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波振動子と、
前記超音波振動子と接続する接続部を一端に備え、前記接続部のない他の端に被切断物を切断する刃先を備えたカッターと、
前記超音波振動子に取り付けるハウジングと、を有し、
前記ハウジングの外側には、前記カッターの
一定の長さがある刃先が振動する平面上にハンドル部を突出させ、当該ハンドル部の表面には、前記カッターの刃先の長さ方向の中央から所定距離だけ離れた位置に、前記カッターの刃先の長さ方向と交差する方向の外力を受ける受圧部を設け、
前記超音波振動子に取り付けた前記ハウジングをハンドル部で支持した状態で、前記カッターの刃先を被切断物に向けて移動して当接させ、前記ハンドル部の受圧部に外力を加えたとき、前記カッターの刃先が、被切断物の表面から受ける反力と前記外力による偶力で、前記カッターの
一定の長さがある刃先が振動する平面上で傾いて当該刃先が被切断物の表面に当たる位置と当接角度を変えながら被切断物を切断する動作を行うように構成した超音波カッター装置。
【請求項2】
前記ハンドル部が所定の範囲内で傾斜するように支持する支持手段を設け、
前記ハンドル部を前記支持手段で支持した状態で、前記カッターの刃先が、被切断物の表面から受ける反力と前記外力による偶力により、所定の範囲内で傾くように構成した請求項1に記載の超音波カッター装置。
【請求項3】
前記ハンドル部が所定の範囲内で傾斜するように弾性的に支持する支持手段を設け、
前記ハンドル部を前記支持手段で弾性的に支持した状態で、前記カッターの刃先が、被切断物の表面から受ける反力と前記外力による偶力により、所定の範囲内で傾くように構成した請求項1に記載の超音波カッター装置。
【請求項4】
前記支持手段を上下動させる上下動手段と、
前記上下動手段の上下動を制御する上下動制御手段と、
前記ハンドル部の姿勢を変更する姿勢変更手段と、
当該姿勢変更手段を制御する姿勢制御手段と、
少なくとも前記上下動手段を取り付けるフレーム部分を有するアンビルと、を設け、
前記上下動制御手段で前記上下動手段の上下動を制御するとともに、
当該姿勢変更手段と姿勢制御手段とで、前記ハンドル部の姿勢を変更する制御を行うように構成した請求項2又は3のいずれかに記載の超音波カッター装置。
【請求項5】
前記カッターが被切断物から受ける抵抗力を検出する抵抗力検出手段、を設け、
前記抵抗力検出手段が所定の抵抗力を検出したときに、前記姿勢変更手段と前記姿勢制御手段とで前記ハンドル部の姿勢を変更する制御を行うように構成した請求項4に記載の超音波カッター装置。
【請求項6】
前記上下動手段の上下動した位置を検出する位置検出手段、を設け、
前記位置検出手段が、前記上下動手段が所定位置に到達したことを検出したときに、前記姿勢変更手段と前記姿勢制御手段とで前記ハンドル部の姿勢を変更する制御を行うように構成した請求項4又は5に記載の超音波カッター装置。
【請求項7】
前記超音波振動子の振動方向と、前記カッターの刃先の長さ方向を、一つの一平面内で交差させた、請求項1から6のいずれかに記載の超音波カッター装置。
【請求項8】
前記超音波振動子の振動方向と、前記カッターの刃先の長さ方向を、一つの一平面内で平行にした、請求項1から6のいずれかに記載の超音波カッター装置。
【請求項9】
前記姿勢変更手段については、前記支持手段の材料をゴ
ムとして、内部に複数の圧力付与空間を形成し、前記圧力付与空間の圧力を可変することにより前記圧力付与空間を伸縮させて前記ハンドル部の姿勢を変更するようにした請求項4から6のいずれかに記載の超音波カッター装置。
【請求項10】
前記姿勢変更手段については、前記支持手段をカムの回転運動で動きを可変して、前記ハンドル部の姿勢を変更するようにした請求項4から6のいずれかに記載の超音波カッター装置。
【請求項11】
前記アンビルについて、前記上下動手段を取り付けるフレーム部分と台座部分を別部品として、互いの相対角度を可変できる組立構造として、
前記台座部分の表面のある平面に対して任意の角度で、前記支持手段を上下動させるようにした請求項4から9のいずれかに記載の超音波カッター装置。
【請求項12】
前記台座部分の上に、被切断物をのせる回転テーブルを取り付けた請求項11に記載の超音波カッター装置。
【請求項13】
前記台座部分の上に、被切断物をのせるスライドテーブルを取り付けた請求項11に記載の超音波カッター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚や肉、ケーキ、パン類などの食品や、古タイヤのようなゴムを切断するための超音波カッター装置に関し、特に骨の付いている魚や肉、苺入りケーキ、補強部材が入っている古タイヤなど、柔らかい全体部分の中に硬い部分が含まれている被切断物を切断するのに適した超音波カッター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、魚や肉、ケーキ、パン類などの食品を切断するのに、カッター(刃物)に超音波振動を付与して食品と刃物の切断抵抗を減少して切れやすくした超音波カッター装置が用いられている。
【0003】
そして切れ味を高めるため、あるいは所定の長さを切断するために、カッター(刃物)に超音波振動を付与すると同時にカッターを所定の方向に往復運動あるいは移動させることが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。参考までに、
図31に、カッターに超音波振動を付与すると同時にカッターを切刃の長さ方向に沿って移動させる超音波カッター装置の外観斜視図を示した。
図31で、68はナイフ刃であり、65は超音波スピンドルであり、69は、被切断物である。ナイフ刃68は、矢印の方向に移動することが説明されている。
【0004】
被切断物69の硬さが全体的に均一な場合は、ナイフ刃68(カッター)に超音波振動を付与すると同時にカッターを所定の方向に移動させる切り方を採用しても、スムーズに切断することができる。
【0005】
しかし、例えば苺入りケーキのように、柔らかい被切断物の中に硬い部分が混在しているときは、硬い苺の部分がすぐに切れない。いわゆるギロチン型カッターでは、カッターの刃先を苺と苺を支えている周囲部分に押し付けていくので、カッターの圧力で苺と苺を支えている周囲部分が押されて変形してしまう。カッターに超音波振動を付与すると同時にカッターを所定の方向に移動させると、苺がカッターの移動する方向に傾いてしまう、という問題があった。
【0006】
そこで、
図31のナイフ刃68と超音波スピンドル65からなる超音波スピンドル付きナイフ刃を一つの超音波カッター装置として、
図32のように取り出して、作業者が手に持って手加減しながら被切断物69を切ることも行われているが、手作業で動かしても綺麗に切ることは難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】実用新案登録第3118099号公報
【文献】特開2014-111288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、例えば苺入りケーキのように、柔らかい被切断物の中に硬い部分が含まれているときに、硬い部分の表面にカッターが当たると、超音波振動の刃先が硬い部分の表面を撫で切りしていくように動いて被切断物を切断する超音波カッター装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の超音波カッター装置は、超音波振動子と、超音波振動子と接続する接続部を一端に備え、接続部のない他の端に被切断物を切断する刃先を備えたカッターと、超音波振動子に取り付けるハウジングと、を有し、ハウジングの外側には、カッターの一定の長さがある刃先が振動する平面上にハンドル部を突出させ、当該ハンドル部の表面には、前記カッターの刃先の長さ方向の中央から所定距離だけ離れた位置に、カッターの刃先の長さ方向と交差する方向の外力を受ける受圧部を設け、超音波振動子に取り付けたハウジングをハンドル部で支持した状態で、カッターの刃先を被切断物に向けて移動して当接させ、ハンドル部の受圧部に外力を加えたとき、カッターの刃先が、被切断物の表面から受ける反力と外力による偶力で、カッターの一定の長さがある刃先が振動する平面上で傾いて当該刃先が被切断物の表面に当たる位置と当接角度を変えながら被切断物を切断する動作を行うようにしている。
【0010】
また、本発明の超音波カッター装置は、ハンドル部が所定の範囲内で傾斜するように支持する支持手段、あるいは弾性的に支持する支持手段を設け、ハンドル部をこれらの支持手段で支持した状態で、カッターの刃先が被切断物の表面から受ける反力と外力による偶力により、ハンドル部が所定の範囲内で傾くようにしている。
【0011】
また、本発明の超音波カッター装置は、支持手段を上下動させる上下動手段と、上下動手段の上下動を制御する上下動制御手段と、ハンドル部の姿勢を変更する姿勢変更手段と、当該姿勢変更手段を制御する姿勢制御手段と、更に設け、上下動制御手段で上下動手段の上下動を制御するとともに、当該姿勢変更手段と姿勢制御手段とで、ハンドル部の姿勢を変更する制御を行うようにしている。
【0012】
また、本発明の超音波カッター装置は、カッターが被切断物から受ける抵抗力を検出する抵抗力検出手段、を更に設け、抵抗力検出手段が所定の抵抗力を検出したときに、姿勢変更手段と姿勢制御手段とでハンドル部の姿勢を変更する制御を行うようにしている。
【0013】
また、本発明の超音波カッター装置は、上下動手段の上下動した位置を検出する位置検出手段、を更に設け、位置検出手段が、上下動手段が所定位置に到達したことを検出したときに、姿勢変更手段と姿勢制御手段とでハンドル部の姿勢を変更する制御を行うようにしている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の超音波カッター装置は、特に、ハウジングの外側に、カッターの刃先が振動する平面上にハンドル部を突出させ、当該ハンドル部の表面には、カッターの刃先の長さ方向の中央から所定距離だけ離れた位置に、カッターの刃先の長さ方向と交差する方向の外力を受ける受圧部を設けて、超音波振動子に取り付けたハウジングをハンドル部で支持した状態で、カッターの刃先を被切断物に向けて移動して当接させ、ハンドル部の受圧部に外力を加えるようにしている。このことにより、カッターの刃先が、被切断物の表面から受ける反力と外力による偶力で、カッターの刃先が振動する平面上で傾いて当該刃先が被切断物の表面に当たる位置と当接角度を変えながら被切断物を切断していくことを実現している。
【0015】
このことにより、例えば苺入りケーキのように、柔らかい被切断物の中に硬い部分が含まれていたり、混在したりしているときに、硬い部分の表面にカッターが当たると、超音波振動の刃先が硬い部分の表面を超音波振動方向に外力と同じ大きさの力で押すとともに、前記の偶力の作用により硬い部分の表面に当たる角度を変えていく。被切断物の表面にカッターが当たると、超音波振動している刃先は硬い部分の表面に当たる位置を少しずつ変えて、被切断物を撫で切りしていく動作をする。そして、柔らかい被切断物の中に硬い部分が含まれていたり、混在したりしていても、硬い部分と硬い部分を支えている周囲部分を変形させず、硬い部分を傾かせずに綺麗に切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】(a)本発明の実施形態1に係る超音波カッター装置の正面図、(b)本発明の実施形態1に係る超音波カッター装置の右側面図。
【
図2】本発明の実施形態1に係る超音波カッター装置の刃先を被切断物に当てて切断作業を始めたときの状態を示した図。
【
図3】本発明の実施形態1に係る超音波カッター装置の刃先を被切断物に当てて切断作業をしているときの状態を示した図。
【
図4】本発明の実施形態1に係る超音波カッター装置の刃先を被切断物に当てて切断作業をしているときの状態を示した図。
【
図5】本発明の実施形態1に係る超音波カッター装置の刃先と被切断物の当接角度が変化する様子を示した図。
【
図6】本発明の実施形態2に係る超音波カッター装置の一部を断面とした正面図。
【
図7】本発明の実施形態2に係る超音波カッター装置の主要部について一部を断面とした正面図。
【
図8】本発明の実施形態2に係る超音波カッター装置の刃先を被切断物に当てて切断作業を始めたときの状態を示した図。
【
図9】本発明の実施形態2に係る超音波カッター装置の
図8のA方向から見た要部側面図。
【
図10】本発明の実施形態2に係る超音波カッター装置の刃先を被切断物に当てて切断作業をしているときの状態を示した図。
【
図11】本発明の実施形態2に係る超音波カッター装置の
図10のA方向から見た要部側面図。
【
図12】本発明の実施形態2に係る超音波カッター装置の刃先を被切断物に当てて切断作業をしているときの状態を示した図。
【
図13】本発明の実施形態2に係る超音波カッター装置の
図12のA方向から見た要部側面図。
【
図14】本発明の実施形態2に係る超音波カッター装置の刃先を被切断物に当てて切断作業をしているときの状態を示した図。
【
図15】本発明の実施形態2に係る超音波カッター装置の刃先を被切断物に当てて切断作業をしているときの状態を示した図。
【
図16】本発明の実施形態2の変形例に係る超音波カッター装置の一部を断面とした正面図。
【
図17】本発明の実施形態3に係る超音波カッター装置の一部を断面にした正面図。
【
図18】(a)本発明の実施形態3に係る超音波カッター装置の支持部の姿勢制御手段を動作させてハンドル部を一の方向に傾けた状態を示した図、(b)本発明の実施形態3に係る超音波カッター装置の支持部の姿勢制御手段を動作させてハンドル部を他の方向に傾けた状態を示した図。
【
図19】(a)本発明の実施形態3に係る超音波カッター装置の支持部の姿勢制御手段を動作させてハンドル部を下の方向に寄せた状態を示した図、(b)本発明の実施形態3に係る超音波カッター装置の支持部の姿勢制御手段を動作させてハンドル部を上の方向に寄せた状態を示した図。
【
図20】本発明の実施形態3に係る超音波カッター装置の制御手順をフローチャートで示した図。
【
図21】(a)本発明の実施形態3に係る超音波カッター装置で被切断物を切断していく過程を示した図、(b)本発明の実施形態3に係る超音波カッター装置で被切断物を切断していく過程を示した図、(c)本発明の実施形態3に係る超音波カッター装置で被切断物を切断していく過程を示した図。
【
図22】本発明の実施形態3の第一の変形例に係る超音波カッター装置の一部を断面にした正面図。
【
図23】本発明の実施形態3の第二の変形例に係る超音波カッター装置の一部を断面にした正面図。
【
図24】本発明の実施形態4に係る超音波カッター装置の一部を断面にした正面図。
【
図25】本発明の実施形態4に係る超音波カッター装置の制御手順をフローチャートで示した図。
【
図26】(a)本発明の実施形態5に係る超音波カッター装置の一部を断面にした平面図、(b)本発明の実施形態5に係る超音波カッター装置の一部を断面にした正面図、(c)(b)のAより見た、一部を断面にした右側面図。
【
図27】本発明の実施形態6に係る超音波カッター装置の一部を断面とした正面図。
【
図28】本発明の実施形態6に係る超音波カッター装置の外観斜視図。
【
図29】(a)本発明の実施形態6に係る超音波カッター装置のハンドル部を一の方向に傾けた状態を示した図、(b)本発明の実施形態6に係る超音波カッター装置のハンドル部を他の方向に傾けた状態を示した図。
【
図30】本発明の実施形態6の変形例に係る超音波カッター装置の外観斜視図。
【
図32】従来の超音波カッター装置の超音波スピンドル付きナイフ刃を用いて被切断物を切断する様子を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の超音波カッター装置は、カッターに超音波振動を付与すると同時に、カッターの刃先が被切断物に当たったときに刃先が振動する同一平面上で、刃先が一方向あるいは他方向に傾く揺動回転運動を可能にした構造を実現している。
【0018】
実施形態1では、本発明の超音波カッター装置を用いることにより被切断物の表面にカッターが当たると超音波振動する刃先が振動する同一平面上で、刃先が被切断物の表面に当たる位置を少しずつ変えて、撫で切りしていく動作をして、カッターの切れ味を高めていることを説明する。
【0019】
そして実施形態2では、実施形態1で説明した超音波カッター装置のハンドル部を支持手段あるいは、弾性体からなる支持手段で支持して、超音波カッター装置を構成したことを説明する。
【0020】
更に実施形態3では、実施形態2で説明した超音波カッター装置のハンドル部の支持手段に、ハンドル部の姿勢を変更する姿勢変更手段を設け、更に当該姿勢変更手段を制御する姿勢制御手段を用いて、カッターの姿勢を制御する超音波カッター装置を構成したことを説明する。また、実施形態3では、カッターが被切断物から受ける抵抗力を検出する抵抗力検出手段を用いて、所定の抵抗力を検知したときに、当該刃先が表面に当たる位置と当接角度を変えながら被切断物を切断していることも説明する。
【0021】
実施形態4では、カッターの付いている超音波振動子に取り付けたハウジングのハンドル部を上下動させる上下動手段の上下動した位置を検出する位置検出手段を用いて、上下動手段が所定の位置に到達すると、当該刃先が表面に当たる位置と当接角度を変えながら被切断物を切断していることを説明する。
【0022】
そして、実施形態5では、超音波振動子に接続されるカッターとして振動方向に長く、刃先の長い方向に振動するカッターに本発明を適用したときの超音波カッター装置を説明する。
【0023】
実施形態6は、実施形態3のハンドル部の姿勢を変更する姿勢変更手段としてバネとカムと小型モータを用いて、カッターの姿勢を制御して被切断物を切断していくことを説明する。
【0024】
(実施形態1)
本発明の実施形態1にかかる超音波カッター装置を説明する。
図1(a)は、本発明の実施形態1に係る超音波カッター装置の正面図であり、
図1(b)は、本発明の実施形態1に係る超音波カッター装置の右側面図である。
【0025】
図1(a)では、超音波振動子1の下面に、カッター5の一端にある接続部5bを当てた状態で、両者を埋め込みボルト50を用いて接続している。接続部5bで接続した超音波振動子1とカッター5の超音波振動子1にはハウジング4が取り付けられている。
【0026】
なお、カッター5の接続部5bの無い他の端、
図1では接続部5bに対向する他端に刃先5aが設けてある。カッター5は、厚さを接続部5bのある一端から刃先5aのある他端に向けて薄くするとともに、途中に複数の長孔5cをあけて、超音波振動子1の振動が接続部5bから刃先5aに均一な振動数と振幅で伝わるようにしている。
【0027】
円筒状をしたハウジング本体部4aには超音波振動子1を入れて締めつけ固定して取り付けている。カッター5はハウジング本体部4aの下方に露出している。カッター5は超音波振動子1の軸方向の超音波振動により刃先5aを超音波振動させる。
【0028】
ハウジング4の外側には、ハンドル部4bを突出させている。ハンドル部4bは、カッターの刃先5aが振動する平面上に突出していて、ハンドル部4bの表面には、カッターの刃先の長さ方向の中央から所定距離(e)だけ離れた位置に、カッターの刃先の長さ方向と交差する方向の外力を受ける受圧部4dを形成している。
【0029】
図1で、ハンドル部4bは、円筒状をしたハウジング本体部4aの軸方向と交わるハンドル中心軸4cの上に外周面が波上の形をしたハンドル円筒部4b-0を重ねて一体にした構造にしている。ハウジング本体部4aの軸方向と交わるハンドル中心軸4cの材料として金属を用い、ハンドル円筒部4b-0は硬質プラスチックや木材などを用いている。
図2、3、4は、本発明の実施形態1に係る超音波カッター装置の刃先5aを被切断物7に当てて切断作業を始めたとき、切断作業をしているときの状態を示した図である。
図2、3、4では、苺入りケーキのように、全体として柔らかい被切断物7aの中に硬い被切断物7bが入っている場合を示している。
【0030】
本発明の超音波カッター装置を用いて、
図2のように、超音波カッター装置の刃先5aを被切断物7に当てて切断作業を始めると、刃先5aは、柔らかい被切断物7aを切断して、硬い被切断物7bに当たる。硬い被切断物7bがすぐに切断されないと、超音波カッター装置は、被切断物7bから刃先に伝わる反力とハンドル部4bの受圧部4dに加わる外力(F)による偶力によって、
図2から
図3、
図4のように、時計回り方向に傾く。刃先5aは硬い被切断物7bの表面に当たる位置を少しずつ変えて当接角度を変えていく。
【0031】
この動きは、
図5に示したように、カッターの刃先が硬い被切断物7bの表面に当たる位置を少しずつ変え、当該硬い被切断物7bに与える超音波振動の方向も変えて、切断していく。硬い被切断物7bの表面をいわゆる撫で切りしていくことになる。
【0032】
本発明の超音波カッター装置を用いると、刃先5aが被切断物7に当接する位置を、切断した表面からまだ切断されていない表面に刃先5aを少しずつずらして超音波振動を与えて切断していく。そのため、柔らかい被切断物7aの中に硬い被切断物7bが入っていても、柔らかい被切断物7aも硬い被切断物7bも迅速に切断される。硬い被切断物7bについては、一方向から強引に押圧して押し切るより、硬い部分の表面に刃先5aが当たる位置を少しずつ変えて当接角度を変えて切断するほうが、早く切断できる。
【0033】
なお、ハンドル部4bの受圧部4dに与えている外力(F)を増大すれば、被切断物7(7a、7b)を押圧する力が増大するとともに、外力(F)が生み出す偶力が大きくなるので、多少切りにくい被切断物7でも、スムーズに切断することができる。
【0034】
繰り返しになるが、本発明の超音波カッター装置は、一体に接続した超音波振動子1とカッター5の超音波振動子1に取り付けたハウジング4の外側に、カッターの刃先5aが振動する平面上にハンドル部4bを突出させ、当該ハンドル部4bの表面には、カッターの刃先5aの長さ方向の中央から所定距離(e)だけ離れた位置に、カッターの刃先5aの長さ方向と交差する方向の外力を受ける受圧部4dを設け、ハウジング4をハンドル部4bで支持した状態で、カッターの刃先5aを被切断物に向けて移動して当接させ、ハンドル部4bの受圧部4dに外力(F)を加え、カッターの刃先5aが、被切断物7の表面から受ける反力と外力による偶力で、カッターの刃先5aが振動する平面上で傾いて、当該刃先5aが被切断物7の表面に当たる位置と当接角度を変えながら被切断物7を切断していくように構成した。
【0035】
カッター5の材質は、超音波振動の工具ホーンとしてジュラルミン、チタンなどの軽量合金が用いられる。そこで、例えば
図1で説明した、ハウジング4のハンドル部4bのハンドル円筒部4b-0の材料として硬質プラスチックや木材などの代わりにより比重の大きい鉄や銅などの金属材料を用いれば、外力(F)にハンドル部4bの重力が加わるため、作業者としては少しの外力(F)で容易に硬い被切断物7bを切断することができる。
【0036】
特に、例えば苺入りケーキのように、柔らかい被切断物7aの中に硬い部分、つまり硬い被切断物7bが含まれていたり、混在したりしていても、硬い被切断物7bである苺と苺を支えている周囲部分を変形させず、苺を傾かせずに、綺麗に切断することができる。
【0037】
特に、被切断物7の切断を開始するときに、
図2のように予めカッター5を傾けた状態でカッターの刃先5aを被切断物7に当てると、当該刃先5aが被切断物7の表面に当たった位置から当接角度を変えながら被切断物7を切断していく距離が長くなるので、被切断物7が切断しやすくなる。
【0038】
なお、被切断物7として柔らかい被切断物7aの中に硬い部分、つまり硬い被切断物7bが含まれていたり、混在したりしている場合を説明したが、柔らかい被切断物7aの中に硬い部分が含まれていなかったり、混在したりしていなくても、被切断物7が全体的に硬い場合、あるいは切りにくい場合に、本発明の超音波カッター装置を用いれば、カッターの切れ味を高めてスムーズに切断することができる。
【0039】
(実施形態2)
実施形態2では、実施形態1で説明した超音波カッター装置のハンドル部4bの表面を、支持手段あるいは、弾性体からなる支持手段8で支持し、カッターの刃先5aが被切断物7の表面を押圧する方向に当該支持手段8を移動させて、被切断物7の表面にカッター5が当接した後に、当該刃先5aが表面に当たる位置と当接角度を変えながら被切断物7(7a、7b)を切断していくように構成している。
【0040】
図6は、本発明の実施形態2に係る超音波カッター装置の一部を断面とした正面図である。被切断物7は、アンビル6の上に載置されていて、アンビル6には、フレーム部分6cを略コの字型に形成している。フレーム部分6cの上面には、上下動手段9を構成するエアーシリンダー9aを下向きに取付けている。エアーシリンダー9aの動作軸の先端に形成したホルダー9bの中には、円筒状をした弾性体からなる支持手段8を収納している。支持手段8は、エアーシリンダー9aが動作すると、ホルダー9bに支持された形で上下動する。
【0041】
なお、上下動手段9を構成するエアーシリンダー9aは、図示していない上下動制御手段により、動作軸の先端に形成したホルダー9bが所定の位置まで下がってカッター5の刃先5aがアンビル6に接近して当たる直前に反転上昇して切断作業を終了するようにしてある。図示していない上下動制御手段は、上下動手段9を構成するエアーシリンダー9aの上下動の動作を制御する。
【0042】
図6では、上記支持手段8の中空円筒部分に、本発明の超音波カッター装置のハンドル部4bを圧入して支持している。フレーム部分6cには、超音波振動子1を超音波振動させる超音波駆動手段2と、超音波制御手段3を取り付けていて、本発明の超音波カッター装置の超音波振動子1を所定の周波数と振幅で超音波振動させ、超音波振動子1に一体に接続したカッター5の刃先5aを超音波振動させる。
【0043】
本発明の超音波カッター装置では、上下動手段9を動作させることにより、超音波振動しているカッター5の刃先5aをアンビル6の上に載置した被切断物7に押しつけて切断する。以下の説明では、
図7に示した、本発明の超音波カッター装置の主要部の動きを
図8から
図15を用いて説明する。
【0044】
図8のように、被切断物7に向けて、カッター5の刃先5aを押し当てると、柔らかい被切断物7aは切断されて、硬い被切断物7bに当たる。カッター5が傾いていないときは、
図9のように、弾性体からなる支持手段8の厚さは、ハンドル部4bの全長にわたって、上下方向にほぼ均一あるいは同じ厚さを保っている。
【0045】
図9は、本発明の実施形態2に係る超音波カッター装置の
図8のA方向から見た要部側面図である。
図9で示したように、弾性体からなる支持手段8とそれを入れている上下動手段9のホルダー9bの断面を、上下に長い楕円形にしている。弾性体からなる支持手段8と上下動手段9のホルダー9bの断面が上下に長い楕円形、又は、たまご形であると、支持手段8の弾性体の上下の厚みが厚く、側面の厚みがうすくなる。このことにより、支持手段8の弾性体の変形が主として上下方向に起きるようにしている。
図9では、弾性体からなる支持手段8の厚みが、ハンドル部4bより上方の厚み(T0)と下方の厚み(T0)が等しい状態を示している。
【0046】
図10のように、刃先5aが硬い被切断物7bに当たって、スムーズに切断されないまま所定の抵抗力を受けると、カッター5は傾き、刃先5aが硬い被切断物7bと当接する位置がずれる。このとき刃先5aと硬い被切断物7bの当接角度も変化して超音波振動の加わる向きも変化する。そして、新たな当接位置を切断していく。
【0047】
カッター5が傾くと、弾性体からなる支持手段8の圧縮量がハンドル部4bの長さ方向に変化し、
図11のようにハンドル部4bのAから見た支持手段8の端部の上方の厚み(T1)が厚く、下方の厚み(T2)が薄くなる。弾性体からなる支持手段8は圧縮されると、元の形に復元しようとして、カッター5の傾きを元に戻そうとする。
【0048】
硬い被切断物7bが切断されると、
図12のようにカッター5の傾きは変わり、弾性体からなる支持手段8は逆の傾向に、例えば
図13のようにハンドル部4bのAから見た支持手段8の端部の上方の厚み(T3)が薄く、下方の厚み(T4)が厚くなる。そして、カッター5は、例えば
図14、15に示したように傾きを変えながら被切断物7(7a、7b)を切断する。
【0049】
カッター5の刃先5aの動きは、実施形態1で説明したのと同様に、カッターの刃先5aが被切断物7の表面に当たる位置を少しずつ変え、被切断物7に与える超音波振動の方向も変えて、切断していく。このことは、硬い被切断物7bの表面をいわゆる撫で切りしていくことになる。
【0050】
(実施形態2の変形例)
図16に、実施形態2の変形例にかかる超音波カッター装置を示した。実施形態2の変形例は、ハンドル部4b-1の受圧部4d-2のあるハンドル円筒部4b-0の材料をウレタンゴム等の弾性体とし、当該弾性体からなるハンドル円筒部4b-0をハンドル部4b-1のハンドル中心軸4cに嵌めている。そしてハンドル円筒部4b-0を支持手段8-1に圧入して支持し、更に上下動手段9のホルダー9bの中に入れている。実施形態2の変形例では、ハンドル円筒部4b-0が弾性変形するので、支持手段8-1の材料を弾性体でない硬いアルミニュウムや鉄等の金属材料にしている。
【0051】
実施形態2の変形例では、カッター5の刃先5aで被切断物7を押圧すると、ハンドル部4b-1のハンドル円筒部4b-0が弾性変形してカッター5が傾く。動きとしては、
図6で説明した、実施形態2と基本的に同じである。
【0052】
カッターの刃先5aは硬い被切断物7bの表面に当たる位置を少しずつ変え、与える超音波振動の方向も変えて、被切断物7(7a、7b)を切断していく。このことは、被切断物7、特に硬い被切断物7bの表面をいわゆる撫で切りしていくことになる。
【0053】
図16の実施形態2の変形例では、カッター5-1の刃先5a-1を直線刃でなく、下に凸の曲線刃にした場合を示している。カッター5-1の刃先5a-1が下に凸の曲線刃であると、刃先5a-1の中央部付近を被切断物7に当てることが容易に出来て、被切断物7の厚さが薄い板材に近いようなものであっても切断しやすいという利点がある。特に古タイヤのように、ゴム材の中に硬い補強材が入った被切断物7を切断するのに、
図16の実施形態2の変形例は、適していると言える。
【0054】
なお、実施形態2でも、被切断物7として柔らかい被切断物7aの中に硬い部分が含まれていたり、混在したりしている場合を説明したが、柔らかい被切断物7aの中に硬い部分が含まれていなかったり、混在したりしていなくても、被切断物7が全体的に硬い場合、あるいは切りにくい場合に、本発明の超音波カッター装置を用いれば、カッターの切れ味を高めてスムーズに切断することができるのは、実施形態1と同じである。
【0055】
(実施形態3)
実施形態3では、実施形態2で説明した支持手段8に、超音波カッター装置のハンドル部4bの姿勢を制御する手段として、ハンドル部4bの姿勢を変更する姿勢変更手段と、姿勢変更手段を制御する姿勢制御手段とを設けている。すなわち、ハンドル部4bの姿勢を変更する姿勢変更手段として、支持手段8の中に4つの圧力付与空間8-P1、8-P2、8-P3、8-P4と、図示しないポンプ手段を用い、図示しない圧力可変制御手段を、姿勢変更手段を制御する姿勢制御手段として用いて、4つの圧力付与空間8-P1、8-P2、8-P3、8-P4の圧力を可変して、超音波カッター装置のハンドル部4bの姿勢を制御している。
【0056】
そして、超音波カッター装置のハンドル部4bの姿勢を制御しながら、上下動手段9のホルダー9bを上下動させて、カッター5の刃先5aを被切断物7の表面に押圧して、被切断物7の表面にカッター5の刃先5aが当たった後に、当該刃先5aが被切断物7、特に硬い被切断物7bの表面に当たる位置と当接角度を変えながら切断していくように構成している。
【0057】
図17には、実施形態3の超音波カッター装置の主要部の一部を断面した正面図を示した。上下動手段9のホルダー9bに入れられた支持手段8には、超音波カッター装置のハンドル部4bの姿勢を制御する姿勢変更手段として、4つの圧力付与空間8-P1、8-P2、8-P3、8-P4が形成されているのが確認できる。4つの圧力付与空間8-P1、8-P2、8-P3、8-P4はそれぞれ独立した空間であり、図示しないポンプ手段を加えた姿勢変更手段を制御する姿勢制御手段である圧力可変制御手段により、例えば空気(エアー)が供給される。圧力は、単純にハイ(高)とロー(低)を切り替えるだけであるが、4つの圧力付与空間8-P1、8-P2、8-P3、8-P4のそれぞれに加える圧力の高低を必要により所定の組み合わせることで、多様な姿勢制御をするようにしている。
【0058】
図18と
図19では、4つの圧力付与空間8-P1、8-P2、8-P3、8-P4の圧力を変えて、刃先5aを一の方向に傾けたとき、他の方向に傾けたとき、下方向に寄せたとき、上方向に寄せたときのそれぞれの状態を図示した。
【0059】
例えば、
図18(a)では、圧力付与空間8-P1と8-P4の圧力が高く、圧力付与空間8-P2と8-P3の圧力が低い。ハンドル部4bは、反時計回り方向に傾いている。
図18(b)では、圧力付与空間8-P1と8-P4の圧力が低く、圧力付与空間8-P2と8-P3の圧力が高い。そのため、ハンドル部4bは、時計回り方向に傾いている。
図19(a)では、圧力付与空間8-P1と8-P2の圧力が高く、圧力付与空間8-P3と8-P4の圧力が低い。そのため、ハンドル部4bは、水平で下方に片寄せられている。
図19(b)では、圧力付与空間8-P1と8-P2の圧力が低く、圧力付与空間8-P3と8-P4の圧力が高い。そのため、ハンドル部4bは、水平で上方に片寄せられている。このように、超音波カッター装置のハンドル部4bは、4つの圧力付与空間8-P1、8-P2、8-P3、8-P4と図示しないポンプ手段と圧力可変制御手段の作用により、姿勢制御される。
【0060】
また
図17では、カッター5の接続部5bの近くに、カッター5が被切断物7から受ける抵抗力を検出する抵抗力検出手段10を取り付けていることを示した。抵抗力検出手段10は、カッター5が被切断物7から受ける抵抗力を検出し、当該抵抗力が所定の抵抗力を検知したときに、ハンドル部4bの姿勢制御手段を動作させるようにしている。
【0061】
抵抗力検出手段10には、歪みゲージなどが用いられる。抵抗力検出手段10の取り付け位置としては、上記の位置に取り付けていることを
図17で示したが、他の位置に設けても良い。
【0062】
図20は、実施形態3の超音波カッター装置の切断動作手順のフローチャートである。
図20では、まず、切断動作を開始すると、超音波制御手段3が、超音波駆動手段2を動作させ、超音波振動子1により、カッター5を超音波振動させる。そして、図示していない上下動制御手段により、カッターの刃先5aを被切断物7に押し当てる。カッター5の刃先5aは、被切断物7の表面の切断を開始するとともに抵抗力を受け始める(ステップST1)。
【0063】
抵抗力検出手段10が、所定の抵抗力を検知したときは(ステップST2のYES)、ハンドル部4bの姿勢制御をして、刃先5aを一方向に傾斜させて、上下動手段9でカッター5を押下させる(ステップST4)。そして、刃先5aを他方向に傾斜させて、上下動手段9でカッター5を押下させる(ステップST5)。更に、刃先5aの傾きを元の水平にして、上下動させつつ、上下動手段9でカッター5を押下させる(ステップST6)。
【0064】
一方、ステップST2で、所定の抵抗力を検知しないときは(ステップST2のNO)、上下動手段9でカッター5を刃先5aが水平のまま押下させる(ステップST3)。
【0065】
そして、抵抗力検出手段10が所定の抵抗力を検出しなければ(ステップST7のNO)、刃先5aを水平にして、上下動手段9でカッター5を押下する(ステップST8)。カッター5が所定の位置まで下がると、切断完了と判断して(ステップST9のYES)、切断動作を終了する(ステップST10)。カッター5が所定の位置まで下がっておらず、切断が完了していないと判断したときは(ステップST9のNO)、ステップST2に戻り、所定のフローによる作業を行う。また、抵抗力検出手段10が所定の抵抗力を検出したときは(ステップST7のYES)ステップST2に戻り、所定のフローによる作業を行う。
【0066】
なお、ステップST4、ステップST5、ステップST6で示した刃先5aの姿勢制御の順序と内容は例示であり、被切断物7に応じて任意に順序を変更したり、内容を変更したりしても良い。
【0067】
上記の
図20のフローチャートのように動作させると、
図21に示したように、刃先5aで被切断物7(7a、7b)に対して、(a)刃先5aを一の方向に傾けたとき、(b)他の方向に傾けたとき、(c)下方向に寄せ、その後、上方向に寄せたときというように、刃先5aと被切断物7の当接位置と当接角度を少しずつ変えながら、切断していくことができる。
【0068】
図22に、実施形態3の第一の変形例を示した。
図22では、ハンドル部4b-3の延びる方向をカッターの刃先5aの長さ方向に対して傾斜させている。ハンドル部4b-3の延びる方向とカッターの刃先5aの長さ方向がなす角度は、実施形態1と2で示したように平行のままでも良いし、
図22の実施形態3の第一の変形例のように、傾斜させてもよい。また、事前に予め実験を行うことにより特定の被切断物7に対する好ましい角度範囲を求めておき、求めた所定の角度範囲で動作するように設定しておくこともできる。更に、各種の被切断物7に対応できるように、ハンドル部4b-3の延びる方向とカッターの刃先5aがなす角度を可変設定できる構造にしておいてもよい。
【0069】
実施形態3の超音波カッター装置では、超音波振動子1と、カッター5と、一体に接続した超音波振動子1とカッター5の超音波振動子1に取り付けるハウジング4と、を有する実施形態1の
図1で説明した超音波カッター装置の基本部分と、支持手段8と、上下動手段9と、抵抗力検出手段10と、を用いて、超音波カッター装置のハンドル部4bを支持手段8で支持し、カッターの刃先5aが被切断物7の表面を押圧する方向に当該支持手段8を上下動手段9で上下動させて、カッター5の刃先5aを被切断物7に向けて移動して当接させ、その後、抵抗力検出手段10が所定の抵抗力を検出したときに、当該刃先5aが被切断物7の表面に当たる位置と当接角度を変えながら被切断物7を切断していくように構成し、抵抗力検出手段10が所定の抵抗力を検出しなくなったときに、当該刃先5aが被切断物7の表面に当たる位置と当接角度を元の状態に戻して被切断物7を切断していくように構成していることを説明した。
【0070】
図23に、実施形態3の第二の変形例を示した。
図23では、ハンドル部4b-4の延びる方向をカッターの刃先5aの長さ方向と直交させている。ハンドル部4b-4の果たす機能は同じである。
図23の第二の変形例では、超音波カッター装置の水平方向の幅が小さく、床面積が少なくて済むという利点があるので、超音波カッター装置を狭い場所に配置するときに好都合である。
【0071】
なお、上記では、超音波カッター装置のハンドル部4b-4の姿勢を変更する姿勢変更手段として、支持手段8の中に4つの圧力付与空間8-P1、8-P2、8-P3、8-P4と、図示しないポンプ手段を設け、図示しない圧力可変制御手段を、姿勢変更手段を制御する姿勢制御手段として用いて、4つの圧力付与空間8-P1、8-P2、8-P3、8-P4の圧力を可変して、超音波カッター装置のハンドル部4b-4の姿勢を制御することを説明したが、これは、例示である。上記と同等の姿勢制御を行う他の機械的あるいは電気的手段、例えば、バネ、カム、送りネジ、ソレノイド、小型モータ等を用いて、ハンドル部4b-4の姿勢を制御する他の手段を用いた制御をしても良い。他の手段としてバネ、カム、小型モータを用いた場合を実施形態6として後述する。
【0072】
(実施形態4)
実施形態4にかかる超音波カッター装置では、超音波振動子1と、カッター5と、一体に結合した超音波振動子1とカッター5の超音波振動子1に取り付けたハウジング4と、を有する超音波カッター装置で、更に、位置検出手段41と、上記で説明した超音波カッター装置の支持手段8とを用いて、超音波カッター装置のハンドル部4bを支持手段8で支持し、カッターの刃先5aが被切断物7の表面を押圧する方向に当該支持手段8を上下動手段9で上下動させて、上下動手段が所定の位置に到達したことを位置検出手段41が検出したときに当該刃先5aが表面に当たる位置と当接角度を変えながら被切断物7を切断している。より具体的には、上下動手段9が到達した位置として、位置検出手段41が第一位置を検出したときに、当該刃先5aが被切断物7の表面に当たる位置と当接角度を変えながら被切断物7を切断していく。そして、位置検出手段41が第二位置を検出したときに、刃先5aが被切断物7の表面に当たる位置と当接角度を元の状態に戻して被切断物7を切断していくように構成している。
【0073】
苺入りショートケーキのように、全体の柔らかいスポンジケーキの中に硬い苺があるときは、カッター5にかかる抵抗力の変化を検出しやすいのであるが、例えば、巻き寿司のように、外の柔らかいご飯と、中の具(例えば、かんぴょうやキュウリ等)の硬さにそれほど差がないものを切断するときは、
図24に示したように、上下動手段9の突起9cの位置を、磁気スケールセンサー40を利用した位置検出手段41で読み取り、第一位置に到達したことを検出すると、当該刃先5aが被切断物7の表面に当たる位置と当接角度を変えながら被切断物7を切断していくようにし、位置検出手段41が第二位置を検出したときに、当該刃先5aが表面に当たる位置と当接角度を元の状態に戻して被切断物7を切断していくようにしておくと、柔らかい被切断物7aと硬い被切断物7bの硬さの差が小さく、例えば抵抗力検出手段10で検出しにくい程度の差であるときでも、刃先5aが被切断物7の表面に当たる位置と当接角度を変えながら被切断物7を切断することができる。
【0074】
図25に、実施形態4にかかる超音波カッター装置の切断動作手順をフローチャートとして示した。
図25では、切断動作を開始すると、超音波制御手段3が、超音波駆動手段2を動作させ、超音波振動子1により、カッター5を超音波振動させる。そして、位置検出手段41が、上下動手段の突起9cの位置検出を開始するとともに。図示していない上下動制御手段により、カッターの刃先5aを被切断物7に押し当てる。カッター5の刃先5aは、被切断物7の表面の切断を開始する(ステップST21)。
【0075】
上下動手段の突起9cの位置が第一位置に到達したときは(ステップST22のYES)、ハンドル部4bの姿勢制御をして、刃先5aを一方向に傾斜させて押下させる(ステップST24)。そして、刃先5aを他方向に傾斜させて押下させる(ステップST25)。更に、刃先5aの傾きを元の水平にして、上下動させつつ押下させる(ステップST26)。一方、ステップST22で、検出位置が第一位置に到達しないときは(ステップST22のNO)、上下動手段9でカッター5を刃先5aが水平のまま押下させる(ステップST23)。
【0076】
そして、上下動手段9の突起9cの位置が第二位置に到達していれば(ステップST27のYES)、刃先5aを水平にして押下する(ステップST28)。カッター5が所定の位置まで下がると、切断完了と判断して(ステップST29のYES)、切断動作を終了する(ステップST30)。
【0077】
カッター5が所定の位置まで下がっておらず、切断が完了していないと判断したときは(ステップST29のNO)、ステップST28に戻り、刃先を水平にして押下する(ステップST28)。
【0078】
ステップST27で、上下動手段9の突起9cの位置が第二位置に到達していなければ(ステップST27のNO)、ステップ22に戻って、フローの動作を行う。なお、ステップST24、ステップST25、ステップST26で示した刃先5aの姿勢制御の順序と内容は例示であり、被切断物7に応じて任意に順序を変更したり内容を変更したりしても良いのは、
図20のフローチャートと同じである。
【0079】
上記の
図25のフローチャートのように動作させると、既に、
図21で説明したのと同じように、刃先5aで被切断物7(7a、7b)に対して、(a)刃先5aを一の方向に傾けたとき、(b)他の方向に傾けたとき、(c)下方向に寄せ、後に、上方向に寄せたときというように、刃先5aと被切断物7の当接位置と当接角度を少しずつ変えながら、切断していくことができる。
【0080】
なお、実施形態3の超音波カッター装置と、実施形態4の超音波カッター装置の両方を組み合わせて、抵抗力検出手段10が所定の抵抗力を検出したときの出力と、位置検出手段41が所定の位置を検出した出力の両方を利用して、切断動作を行うようにしても良い。
【0081】
(実施形態5)
実施形態5にかかる超音波カッター装置では、超音波振動子1に接続されるカッター5として振動方向に長いカッター5-2を用いた場合を説明する。
図26(a)は、本発明の実施形態5に係る超音波カッター装置の一部を断面にした平面図、
図26(b)は本発明の実施形態5に係る超音波カッター装置の一部を断面にした正面図、
図26(c)は、
図26(b)のAより見た一部を断面にした右側面図である。
【0082】
実施形態5にかかる超音波カッター装置の上下動手段9のホルダー9b-3は、中空の四角柱の形をしていて、中に支持部材8-2を収納している。支持部材8-2は四角柱の形をしていて、内部に計8つの圧力付与空間を設けている。8つの圧力付与空間は、十字型断面をしたハンドル部4b-5の上下左右の四つの周囲で、上下動手段9のホルダー9b-3の長手方向に各2つを配置している。
図26(a)の平面図では、圧力付与空間8-P1、8-P2、8-P5、8-P6の四つが、ハンドル部4b-5を挟んで配置されているのが見える。また、
図26(b)の正面図では、圧力付与空間8-P1、8-P2、8-P3、8-P4の四つが、ハンドル部4b-5を挟んで配置されているのが見える。
図26(c)の右側面図では、圧力付与空間8-P2、8-P4、8-P6、8-P8の四つが、ハンドル部4b-5を挟んで配置されているのが見える。
【0083】
実施形態5にかかる超音波カッター装置では、上記の8つの圧力付与空間、8-P1、8-P2、8-P3、8-P4、8-P5、8-P6、8-P7、8-P8について、図示しないポンプ手段と圧力可変制御手段とにより、それぞれの圧力の高・低を所望の組み合わせにする制御をして、カッター5-2の刃先5-2aの傾きを姿勢制御している。姿勢制御方法の基本的内容は、既に
図17から
図19を用いて説明した内容とほぼ同じであるが、実施形態5にかかる超音波カッター装置では、
図26(c)の右側面図で示したように、カッター5-2の振動面をAの方向から見て左右に揺動回転させて傾ける動きができることが新しい。
【0084】
即ち、
図26(c)に示した圧力付与空間8-P2とその対角線斜め下の圧力付与空間8-P8の圧力を高にし、圧力付与空間8-P4とその対角線斜め上の圧力付与空間8-P6の圧力を低にすると、十字型断面をしたハンドル部4b-5の姿勢は
図26(c)で見たときに時計回り方向に傾き、カッター5-2の刃先5-2aも同様に傾く。圧力の高低を入れ替えれば、カッター5-2の刃先5-2aが上述した姿勢と逆向きに傾くようにしている。
【0085】
実施形態5にかかる超音波カッター装置のように、超音波振動子1に接続されるカッターとして振動方向に長いカッター5-2を用いたときは、刃先を設ける接続部のない他の端が実施形態1から4と違っていて、カッター5-2の振動方向が、実施形態1から4と違うが、全体の構成は同じである。
【0086】
すなわち、超音波振動子1と、超音波振動子1と接続する接続部を一端に備え、接続部のない他の端に被切断物7を切断する刃先5-2aを備えたカッター5-2と、接続部で接続した超音波振動子1とカッター5-2の超音波振動子1に取り付けるハウジング4と、を有し、ハウジング4の外側には、カッター5-2の刃先5-2aが振動する平面上にハンドル部4b-5を突出させ、当該ハンドル部4b-5の表面には、カッター5-2の刃先5-2aの長さ方向の中央から所定距離だけ離れた位置に、カッター5-2の刃先5-2aの長さ方向と交差する方向の外力を受ける受圧部4d-5を設け、超音波振動子1に取り付けたハウジング4をハンドル部4b-5で支持した状態で、カッター5-2の刃先5-2aを被切断物7に向けて移動して当接させ、ハンドル部4b-5の受圧部4d-5に外力(F)を加えたとき、カッター5-2の刃先5-2aが、被切断物7の表面から受ける反力と外力(F)による偶力で、カッター5-2の刃先5-2aが振動する平面上で傾いて当該刃先5-2aが被切断物7の表面に当たる位置と当接角度を変えながら被切断物7を切断する動作を行うように構成した。実施形態5にかかる超音波カッター装置の基本構成は、実施形態1から4の超音波カッター装置の基本構成と同じである。
【0087】
実施形態5にかかる超音波カッター装置では、実施形態1から4の超音波カッター装置と同様に、被切断物7の表面にカッター5-2の刃先5-2aが当たると被切断物7の表面に応じてカッター5-2の刃先5-2aの当接角度が変わり、被切断物7の表面を新たな角度から超音波振動しているカッター5-2が押し切る動き、いわゆるなで切りの動作をする。
【0088】
以上説明したとおり、本発明の超音波カッター装置によれば、特に、柔らかい被切断物7の中に硬い部分が含まれ、あるいは混在しているときに、硬い部分の表面にカッター5-2が当たると、超音波振動の刃先5-2aが硬い部分の表面を撫で切りしていくように動いて被切断物7を切断する超音波カッター装置ができている。なお、柔らかい被切断物7の中に硬い部分が含まれていなかったり、混在したりしていなくても、被切断物7が全体的に硬い場合、あるいは切りにくい場合に、本発明の超音波カッター装置を用いれば、カッター5-2の切れ味を高めてスムーズに切断することができる超音波カッター装置が実現できている。
【0089】
(実施形態6)
既に実施形態3で説明した超音波カッター装置では、支持手段8を弾性体としたり、弾性体の中に圧力付与空間を設けた構造にしたりして、ハンドル部が所定の範囲内で傾斜するように支持していた。実施形態6では、支持手段8の外側に、ハンドル部の姿勢を変更する姿勢変更手段を設けている。
図27に、本発明の実施形態6に係る超音波カッター装置の一部を断面にした正面図を示し、
図28に、本発明の実施形態6に係る超音波カッター装置の外観斜視図を示した。
【0090】
実施形態6に係る超音波カッター装置では、支持手段8の孔にハウジング4のハンドル部4bを入れ、支持手段8の外周を上下動手段のホルダー9b-4で支えている。そして、上下動手段のホルダー9b-4をエアーシリンダー9aのスピンドルの先端に軸90の回りに揺動自在に取り付けている。エアーシリンダー9aのスピンドルの先端部には、水平方向にブラケット部分9a-4を張り出し、ブラケット部分9a-4の一端側にはカム92とカム92を回転させる小型モータ91を取り付け、ブラケット部分9a-4の他端側にバネ93を取り付けている。バネ93の反発力により、カム92の外周面は、上下動手段のホルダー9b-4の表面に当接している。そのため、カム92を小型モータ91で回転させると、カム92の外周面は、上下動手段のホルダー9b-4の一端側の表面を上下動させ、上下動手段のホルダー9b-4をエアーシリンダー9aのスピンドルの先端に軸90の回りに揺動させる。上下動手段のホルダー9b-4が揺動するということは、上下動手段のホルダー9b-4で支えている支持手段8と、支持手段8の孔に入れているハウジング4のハンドル部4bを揺動させる。そして、カッター5の刃先5aを揺動させる。
【0091】
図29(a)(b)は、支持手段8の外側に設けたハンドル部の姿勢を変更する姿勢変更手段の動作により、カッター5の刃先5aが一の向きに、あるいは他の向きに傾いた状態を示した図である。
図29(a)(b)は、カム92を小型モータ91で回転させると、カム92の外周面は、上下動手段のホルダー9b-4の一端側の表面を上下動させ、上下動手段のホルダー9b-4をエアーシリンダー9aのスピンドルの先端に軸90の回りに揺動させる。上下動手段のホルダー9b-4が揺動するということは、上下動手段のホルダー9b-4で支えている支持手段8と、支持手段8の孔に入れているハウジング4のハンドル部4bを揺動させる。この動きは、既に説明した
図18(a)(b)の動きと同じである。
【0092】
実施形態6に係る超音波カッター装置では、他の実施形態でアンビル6と説明してきた部分を、台座部分6-1と、上下動手段を取り付けるフレーム部分6c-1とを別部品にして一体に組み立てる組立構造として、台座部分6-1に対するフレーム部分6c-1の相対角度を可変できるようにしている。
【0093】
そして、台座部分6-1の上面に、スライドシート6-2と回転テーブル6-3が載せてあり、回転テーブル6-3は、下方に突出している回転軸6-3bの回りに水平回転自在に支持している。回転テーブル6-3の上面には、被切断物7が載置される。そして、
図28の外観斜視図で示したように、回転テーブル6-3を所定角度だけ回転させて位置決めし、カッター5の刃先5aを超音波振動させながら押し下げることを繰り返すことで、切断面を所定角度で交差させて被切断物7を細かく切断することができる。
【0094】
実施形態6に係る超音波カッター装置では、フレーム部分6c-1を台座部分6-1の上面に対して、所定の角度で傾けられようにしている。すなわち、台座部分6-1とフレーム部分6c-1は、切り離された別部品であり、フレーム部分6c-1は、台座部分6-1から半円形に上方に盛り上がった一対の台座直立部分6-1b、6-1cを貫く支持軸6c-2で傾斜自在に支持されている。位置決めピン6c-5は、
図27の右方向に抜き差し自在であり、台座直立部分6-1cに複数形成された位置決め孔の一つとフレーム部分6c-1の位置決め孔とが重なった状態で位置決めピン6c-5の先端部分6c-4を挿入することで、フレーム部分6c-1を所定角度で傾いた位置に位置決め固定できるようにしている。
【0095】
(実施形態6の変形例)
図30は、台座部分6-5の上面に、スライドシート6-2と回転テーブル6-3の代わりに、水平方向にスライドするスライドテーブル6-5aが載せてある。
【0096】
実施形態6の変形例では、台座部分6-5上で、スライドテーブル6-5aが刃先5aの連なる方向と交差する方向に水平移動して位置決め自在に支持している。実施形態6の変形例では、刃先5aを所定の角度だけ傾けた状態で、被切断物7を水平方向に所定間隔をあけて細かく切断することができる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
実施形態1から6で示したように、本発明による超音波カッター装置は、魚や肉、ケーキ、パン類などの食品や、古タイヤのようなゴムを切断するための超音波カッター装置に適用することができる。特に骨の付いている魚や肉、苺入りケーキ、補強部材が入っている古タイヤなど、柔らかい全体部分の中に硬い部分が含まれている被切断物を切断するのに適した超音波カッター装置に適用することができる。
【0098】
なお、柔らかい被切断物の中に硬い部分が含まれていなかったり、混在したりしていないときで、被切断物が全体的に硬い場合、あるいは切りにくい場合の超音波カッター装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0099】
1 超音波振動子
2 超音波駆動手段
3 超音波制御手段
4 ハウジング
4a ハウジング本体部
4b ハンドル部
4c ハンドル中心軸
5 カッター
5a カッターの刃先
6 アンビル
7 被切断物
7a 柔らかい被切断物
7b 硬い被切断物
8 支持手段
8-P1、8-P2、8-P3、8-P4 圧力付与空間
9 上下動手段
9a エアーシリンダー
9b 上下動手段のホルダー
10 抵抗力検出手段
41 位置検出手段