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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-09
(45)【発行日】2022-08-18
(54)【発明の名称】ワーク搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 7/00 20060101AFI20220810BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20220810BHJP
   B24B 5/35 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
B23Q7/00 C
B24B41/06 A
B24B5/35
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020137561
(22)【出願日】2020-08-17
(65)【公開番号】P2022033587
(43)【公開日】2022-03-02
【審査請求日】2021-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】596066024
【氏名又は名称】西部自動機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】特許業務法人安田岡本特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】越智 研二
(72)【発明者】
【氏名】栃尾 善幸
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-211949(JP,A)
【文献】特開2010-143651(JP,A)
【文献】特開2006-110658(JP,A)
【文献】特開平08-239199(JP,A)
【文献】実開昭58-040341(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 7/00 - 7/18
B24B 41/06
B24B 5/35
B25J 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面が円形のワークの搬送装置であって、
前記ワークを保持するためのワーク保持装置と、
前記ワーク保持装置を水平方向に移動させるための水平移動装置と、
前記ワーク保持装置を上下方向に移動させるための上下移動装置と、を有し、
前記水平移動装置は、水平方向に移動する水平移動部を備え、
前記上下移動装置は、上下方向に移動する上下移動部を備え、
前記ワーク保持装置は、アームおよび回動制止装置を備え、
前記アームは、略水平方向に伸びてその一方の端近傍が水平な回動軸回りに自由に回動可能に前記水平移動部または前記上下移動部に一体化されてその伸びた他方の端近傍には水平な揺動軸回りに前記アームに対して自由に揺動可能な単一の吸盤を有しており、
前記回動制止装置は、前記吸盤が下がる方向および上がる方向のいずれについても前記アームの過度な回動を制止するように構成されて前記吸盤が下がる方向に付勢する付勢部材を有し、
前記吸盤は、前記ワーク表面とで形成される空間を真空にすることで前記ワークを保持す
ことを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項2】
前記吸盤は、水平な軸回りに前記アームに対して揺動可能な保持部に取り付けられている
請求項1に記載のワーク搬送装置。
【請求項3】
前記アームは、その長さが変更可能に形成された
請求項1または請求項2に記載のワーク搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばセンタレス研磨装置にワークを供給しまたは研磨したワークを取り出す搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
円柱状のワークの研削を行うセンタレス研削装置にワークを供給する装置として、以下に示すものが提案されている。
特許文献1に提案されたワーク供給装置は、水平方向に略平行で上下方向に互いに逆方向に傾斜させた2つの円柱状の回転体からなる。高さの小さな円柱状のワークは、各底面を密着させて、その軸心が回転体の軸心と同方向となるようにして複数が回転体に載せられる。このワーク供給装置は、2つの回転体を同方向かつ異なる周速で回転させてセンタレス研削盤(研削砥石および調整車)にワークを供給する。
【0003】
特許文献2に提案されたワーク搬出装置では、ローラが略鉛直方向に並ぶ心なし方式の(センタレス)研削盤の近傍にワーク収納筒が配され、これにワークをその軸を水平にして上下に重ねて収容される。ワーク搬出装置は、油圧シリンダがワーク収納筒の最下部のワークを押し出しシュー取付部材の上を前進させて、既に加工位置に存在する加工済みのワークを押し出してこの位置に未加工ワークを供給する。
【0004】
引用文献3に提案されたセンタレス研削装置へのワーク供給装置では、ワークを載せたワーク載置部が2つの平行に並ぶローラ上に移動し、ワーク載置部が2つのローラ間を下降しワークはローラ上に残され、研削される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-190646号公報
【文献】特開平11-077494号公報
【文献】特開2019-107757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に提案されたワーク供給装置は、センタレス研削盤へのワークの供給が、このワークの後方に並び2つの円柱状の回転体により移動する複数のワークに順次押し出されることにより行われる。特許文献1に提案された装置は、連続的に送り出されるワークをそれぞれ移動させながら研削砥石および調整車により一定時間研削する研削方法(装置)との組合せに適する。しかし、特許文献1に提案された装置は、ワークを、軸心方向に連ねた状態のまま研削盤に供給し、研削し、かつ取り出す方式であり、例えば超仕上においてワークを一つずつ特定の手順に従って研磨する場合にそのまま採用することはできない。
【0007】
これに対して、特許文献2に提案されたワーク搬出装置は、ワークの供給について一つずつ油圧シリンダで押し出すことができるので、特定の手順に従うワークの研削、研磨に採用することができる。しかし、特許文献2に提案された装置は、ワークが縦積みされ、油圧シリンダで押し出されたワークがシュー取付部材の上を前進するという構造のため、ローラが略水平方向に並ぶセンタレス研磨装置等にそのまま採用することはできない。
【0008】
特許文献3に記載されたワーク供給装置は、一対のローラが略水平方向に並ぶセンタレス研削装置等へのワークの供給だけではなく、研削後のワークの搬出にも適する。また、この装置は、円柱状ワークの他に円錐台状のワーク供給、搬出も行うことができる。しかし、ワーク供給装置における載置部は、ローラ間を通過することでローラ上にワークを供給し、ローラ上からワークを搬出するため、ワークが小さくローラ間が狭い研削装置には適用が容易ではない。
【0009】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、例えば一対のローラ上にワークを載せて研磨するセンタレス研磨装置に対して、ローラ間隔に制約されずにローラ上にワークを供給、搬出可能なワーク搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るワーク搬送装置は、断面が円形のワークの搬送装置である。ワーク搬送装置は、ワーク保持装置、ワーク保持装置を水平方向に移動させるための水平移動装置、およびワーク保持装置を上下方向に移動させるための上下移動装置を有する。水平移動装置は、水平方向に移動する水平移動部を備える。上下移動装置は、上下方向に移動する上下移動部を備える。
【0011】
ワーク保持装置は、アームおよび回動制止装置を備える。アームは、略水平方向に伸びてその一方の端近傍が水平な回動軸回りに自由に回動可能に水平移動部または上下移動部に一体化されている。「略水平方向」としたのは、例えばアームが完全な水平(180度)でなく水平から若干傾く場合でもワーク保持装置の機能を果たすからである。
アームは、その伸びた他方の端近傍には水平な揺動軸回りにアームに対して自由に揺動可能な単一の吸盤を有している。
回動制止装置は、吸盤が下がる方向および上がる方向のいずれについてもアームの過度な回動を制止するように構成されて吸盤が下がる方向に付勢する付勢部材を有する。
吸盤は、ワーク表面とで形成される空間を真空にすることでワークを保持する。
【0012】
盤は、水平な軸回りにアームに対して揺動可能な保持部に取り付けられるのが好ましい。
また、アームは、その長さが変更可能に形成されるのが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、例えば一対のローラ上にワークを載せて研磨するセンタレス研磨装置に対して、ローラ間隔に制約されずにローラ上にワークを供給、搬出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1はワーク搬送装置の正面図である。
図2図2はワーク搬送装置の平面図である。
図3図3はワーク搬送装置の左側面図である。
図4図4はワーク搬送装置の主要部分の拡大図である。
図5図5はワーク搬送装置がワーク置き場からワークを持ち上げる様子を示す図である。
図6図6はワーク搬送装置がワークを搬送する様子を示す図である。
図7図7は他のワーク搬送装置の正面図である。
図8図8は他のワーク搬送装置の平面図である。
図9図9は他のワーク搬送装置の左側面図である。
図10図10は他のワーク搬送装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1はワーク搬送装置1の正面図、図2はワーク搬送装置1の平面図、図3はワーク搬送装置1の左側面図、図4はワーク搬送装置1の主要部分の拡大図である。
ワーク搬送装置1は、スタンド9、水平移動装置2、上下移動装置3、ワーク保持装置4および真空装置5からなる。
スタンド9は、ワーク搬送装置1における実際にワーク搬送に関わる水平移動装置2等を支えるものである。スタンド9は、ワーク搬送装置1を設置するテーブル面と搬送先および搬送元の高さとを考慮してその高さが決定され、設置場所の回りの機器との干渉を避けてその形状が決定される。図1等に示されるワーク搬送装置1では、スタンドは2つの部分9a,9bからなる。
【0016】
水平移動装置2は、ボールねじ11、軸受12,13、リニアガイドおよびサーボモータ14を備える。
ボールねじ11は、ねじ軸15の両端がいずれもスタンド9に固定された軸受12,13に支持されている。ねじ軸15の一方の端はサーボモータ14に連結されている。
ボールねじ11のスライダは、上下移動装置3のフレームに一体化されている。ボール
ねじ11、軸受12,13およびリニアガイドは、角形じゃばら16、17で覆われている。
【0017】
水平移動装置2は、ねじ軸15の回転によりフレームを水平移動させる。フレームは、後述するように上下移動装置3の骨格部分であり、水平移動装置2は、上下移動装置3を水平移動させるための装置である(図4)。
上下移動装置3は、フレーム、ボールねじ21、軸受22,23、リニアガイド、上下移動部24およびサーボモータ25を備える。
【0018】
ボールねじ21は、ねじ軸26の両端がいずれもフレームに固定された軸受22,23に支持されている。「フレーム」とは、上下移動装置3におけるボールねじ21、軸受22,23、リニアガイド、上下移動部24およびサーボモータ25等の上下移動装置3の構成部品を支える骨格部分を言う。
ねじ軸26の一方の端はサーボモータ25に連結されている。
【0019】
ボールねじ26のスライダ27は、上下移動部24に一体化されている。ボールねじ21、軸受22,23およびリニアガイドは、角形じゃばら28、29で覆われている。
上下移動部24は、ねじ軸26の回転によりフレームに対して上下動する。上下移動装置3は、この上下移動部24を上下動させるための装置である。
水平移動装置2におけるボールねじ11、軸受12,13およびリニアガイド、ならびに上下移動装置3におけるボールねじ21、軸受22,23およびリニアガイドは、これらが一体に組み合わされて提供(市販)される装置が使用されている。
【0020】
ワーク保持装置4は、アーム31、保持部32、連結部33および回動制止部34を備える。
アーム31は基部41および伸縮部42からなる。基部41は断面が矩形の棒状である。伸縮部42は、長手方向の一方の端側が断面矩形の筒状であり、筒状部分には、基部41の一部が摺動可能に嵌り込んでいる。伸縮部42は、全体として細長く、基部41に連続する。伸縮部42は、基部41に対してその長手方向に移動(摺動)することができ、2つの六角孔付きボルトで基部41に固定される。
【0021】
アーム31について、基部41の一部を筒状に形成し、伸縮部42の一部をこの筒状部分内を摺動させてアーム31の長さを調節するようにしてもよい。
保持部32は、基部41とは反対側の伸縮部42の端に一体化されている。保持部32は、アーム31の長手方向に直交する水平な軸35の回りに揺動可能である。保持部32は吸盤43を有する。吸盤43は、可撓性を有する油分に強い樹脂、例えばニトリルゴムで形成される。吸盤43の内部は保持部32に取り付けられた継手44に連通し、継手44は、樹脂チューブ56により真空装置5の真空口55に連通する。樹脂チューブにおける樹脂はポリウレタンである。
【0022】
連結部33は、正面視(図1)において上下に拡がり略「J」字状に板材で形成されている。連結部33は、その上端で上下移動部24に固定されており、上下移動部24の上下移動とともに上下移動する。連結部33は、その下端近傍で、アーム31を揺動可能に保持する。アームの揺動軸45は、水平であって保持部32が揺動する軸35と平行である。
【0023】
回動制止部34は、断面が矩形で棒状の固定部47、スプリングプランジャ48およびストッパー49からなる。固定部47は、揺動軸45の上方でこの両側に水平に伸び、連結部33に固定されている。固定部47は、その棒状の両端近傍にそれぞれ鉛直に貫通する雌ねじ孔を有する。
アーム31の保持部32側に位置する雌ねじには、そのピンを下にしてスプリングプランジャ48が螺合されている。スプリングプランジャ48は、本体にスプリングが内蔵され、一部露出するピンがさらに露出する方向にこのスプリングにより付勢されたものである。
【0024】
保持部32側の反対側に位置する雌ねじには、六角穴付き全ねじ50が螺合され、緩み止めナットによりこの螺合状態が維持される。これらがストッパー49である。スプリングプランジャ48および六角穴付き全ねじ50は、いずれも固定部47から下方に突出す
る。
六角穴付き全ねじ50の下端はアーム31における基部41の上面に当接し、これによりアーム31が揺動して吸盤43側が低下することが防止される。
【0025】
真空装置5は、吸盤43にワークを保持させるための減圧を実現する装置である。真空装置5は、圧縮空気を用いてエジェクタ方式により真空(減圧)を得るものであり、エジェクタ、真空回路開閉弁およびリーク回路開閉弁等がコンパクトに一体化された装置である。真空装置5は、上下移動装置3のフレームに一体化されており、上下移動装置3の水平移動とともに水平移動する。
【0026】
真空装置5は、その真空口55が樹脂チューブ56によりワーク保持装置4の継手44に連通し、圧縮空気の供給口57は離れた場所に設置された圧縮機に連通する。
次に、ワーク搬送装置1がワークWを搬送する動作を説明する。
図5はワーク搬送装置1がワーク置き場からワークWを持ち上げる様子を示す図、図6はワーク搬送装置1がワークWを搬送する様子を示す図である。図5(c)と図6(a)とは同じ状態を示す。
【0027】
ワーク搬送装置1は、水平移動装置2および上下移動装置3を動作させて、ワーク搬送元に置かれたワークWの上にワーク保持装置4の吸盤43を移動させる(図5(a))。図5を参照して、上下移動装置3は、ワーク保持装置4をその吸盤43の端縁の全周がワークWの周面に接するまで下降させる。
ところで、ワーク保持装置4は吸盤43を有する保持部32が水平な軸35回りに揺動可能であり、かつ保持部32を一体化するアーム31は連結部33に対して揺動可能である。そのため、ワーク搬送装置1では、上下移動装置3によるワーク保持装置4の下降位置は、アーム31が揺動する範囲内、保持部32が揺動する範囲内であればよく、ワーク保持装置4の下降位置制御の厳密さが回避できる。例えば、厳密な下降位置よりもさらにワーク保持装置4が下降した場合、つまり吸盤43がワークW周面に当接した後もさらにワーク保持装置4が下降しても、以後の下降はアーム31および保持部32の揺動により吸収される。そして、吸盤43は、その端縁の全周がワークWの周面に接したまま、その位置に留まる(図5(a))。
【0028】
アーム31の過度な揺動はスプリングプランジャ48により阻止される。
図5では搬送するワークWとして円すいころを例示したが、ワーク搬送装置1では、円筒ころを搬送する場合にも、保持部32およびアーム31の揺動による上下移動装置3の下降位置厳密さについての同様の回避効果が得られる。
また、上下移動装置3の下降位置についての柔軟性は、搬送先にワークWを移動させたときも同様である。
【0029】
吸盤43の端全周がワークWの周面に当たると上下移動装置3の下降が停止し、真空装置5は減圧経路を開いて吸盤43の内部を真空にして吸盤43とワークWとを一体化させる。続いて、上下移動装置3によりワークWが持ち上げられるが、このときのアーム31の揺動によるワークWの下降は、ストッパー49がアーム31の端部を係止することにより防止される(図5(b))。
【0030】
アーム31は、伸縮部42が基部41に対して上下移動装置3の移動方向、すなわち水平移動装置2が上下移動装置3を移動させる方向に伸縮する。これにより、ワークWを保持するとき(図5(a))の吸盤43の位置が設定制御位置から若干ずれている場合でも、(水平移動装置2の)サーボモータ25制御プログラムを修正せず、容易に吸盤43の位置を適正化できる。
【0031】
ワーク搬送装置1は、ワークWを保持した後、上下移動装置3によりワークWを上昇させ(図5(c))、図6(a))、続いて水平移動装置2によりワークWを搬送先まで搬送する(図6(b))。上下移動装置3によりワークWを上昇させながら水平移動装置2によりワークWを搬送先まで水平移動させるのが効率的である。
上述したように、ワーク搬送装置1は、揺動するアーム31および揺動する保持部32により、上下移動装置3を駆動するサーボモータ25の制御に対する過度の精密さを不要とする。また、ワーク搬送装置1は、アーム31の長さを調節できることにより、水平移
動装置2を駆動するサーボモータ14の制御に対する過度の精密さを不要とする。
【0032】
図7は他のワーク搬送装置1Bの正面図、図8はワーク搬送装置1Bの平面図、図9はワーク搬送装置1Bの左側面図、図10はワーク搬送装置1Bの正面図である。
ワーク搬送装置1Bは、スタンド9B、上下移動装置3B、水平移動装置2B、ワーク保持装置4Bおよび真空装置5Bからなる。
スタンド9Bは、上下移動装置3Bを直接支える。
【0033】
上下移動装置3Bは、フレーム、ボールねじ21B、軸受22B,23B、リニアガイド、上下移動部24Bおよびサーボモータ25Bを備える。
フレームはスタンド9Bに固定され、スタンド9Bとともに上下移動装置3Bを支える。
ボールねじ21Bは、ねじ軸26Bの両端がいずれもフレームに一体化された軸受22B,23Bに支持されている。「フレーム」には、上下移動装置3Bにおける軸受22B,23B、リニアガイドおよびサーボモータ25B等の上下動しない構成部分が固定される。
【0034】
ねじ軸26Bの一方の端は、プーリ、タイミングベルトを介してサーボモータ25Bに連結されている。
ボールねじ26Bのスライダ27Bは、上下移動部24Bに一体化されている。ボールねじ21B、軸受22B,23Bおよびリニアガイドは、角形じゃばら28B、29Bで覆われている。
【0035】
上下移動部24Bは、ねじ軸26Bの回転によりフレームに対して上下動する。上下移動部24Bは水平移動装置2Bに固定されており、これにより上下移動部24Bは、水平移動装置2Bおよびワーク保持装置4Bを一体として水平移動させる。
サーボモータ25Bは、正面視(図1)においてボールねじ11B等の背後に配されている。
【0036】
水平移動装置2Bは、正面視(図10)においてボールねじ11B等の手前に配されている。
水平移動装置2Bは、ボールねじ11B、軸受12B,13B、リニアガイドおよびサーボモータ14Bを備える。
ボールねじ11Bは、ねじ軸15Bの両端が上下移動装置3Bのフレームに固定された軸受12B,13Bに支持されている。ねじ軸15Bの一方の端はサーボモータ14Bに連結されている。
【0037】
ボールねじ11Bのスライダ18Bは、ワーク保持装置4Bに一体化されている。ボールねじ11B、軸受12B,13Bおよびリニアガイドは、角形じゃばら16B、17Bで覆われている。
水平移動装置2Bは、ねじ軸15Bの回転によりワーク保持装置4Bを水平移動させる。
【0038】
上下移動装置3Bにおけるボールねじ21B、軸受22B,23Bおよびリニアガイド、ならびに水平移動装置2Bにおけるボールねじ11B、軸受12B,13Bおよびリニアガイドは、これらが一体に組み合わされて提供(市販)される装置が使用される。
ワーク保持装置4Bは、支柱30B、連結部33B、アーム31B、保持部32Bおよび回動制止部34Bを備える。
【0039】
支柱30Bは、水平移動装置2Bから正面視において手前のやや斜め上方に伸びる。支柱30Bは、その下端近傍がスライダ18Bと一体化され、その上端には連結部33Bが固定されている。
スライダ18Bは、本発明における「水平移動部」に該当する。
連結部33Bは、支柱30Bの上端から水平移動装置2Bの動作方向(ねじ軸15Bが伸びた方向)と同方向に略水平に伸びている。連結部33Bが伸びた先には、アーム31Bおよび回動制止部34Bが取り付けられている。
【0040】
アーム31Bは基部41Bおよび伸縮部42Bからなる。アーム31Bにおける基部41Bおよび伸縮部42Bの形状、構造等は、前述したワーク搬送装置1におけるアーム31および伸縮部42と同じであり、これらの説明を省略する。
アーム31Bは、その基部41B側の端からやや内方が、連結部33Bの下端近傍に、揺動軸45Bによって揺動可能に一体化されている。
【0041】
保持部32Bは、基部41Bとは反対側の伸縮部42Bの端に一体化されている。保持部32Bは、アーム31Bの長手方向に直交する水平な軸35B回りに揺動可能である。保持部32Bが有する吸盤43B、継手44Bは、ワーク搬送装置1におけるこれらと同じである。
アームの揺動軸45Bは、保持部32Bが揺動する軸35Bと平行である。
【0042】
回動制止部34Bは、固定部47B、スプリングプランジャ48Bおよびストッパー49Bからなる。これらおよび固定部47Bにおける六角穴付き全ねじ50Bの形状、構造および機能は、ワーク搬送装置1におけるものと同じである。
真空装置5Bは、吸盤43Bにワークを保持させるための減圧を実現する装置である。真空装置5Bは、連結部33Bの支柱30B側における上端に固定されている。
【0043】
真空装置5Bは、その真空口55Bが樹脂チューブ56Bによりワーク保持装置4Bの継手44Bに連通し、圧縮空気の供給口57Bは離れた場所に設置された圧縮機に連通する。
真空装置5Bは、水平移動装置2Bとともに上下移動する。この点で、ワーク搬送装置1Bは、真空装置5が上下移動装置3とともに水平移動するワーク搬送装置1と異なる。
【0044】
図10は上下移動装置3Bが動作して水平移動装置2Bごとワーク保持装置4Bを下降させたワーク搬送装置1Bの図である。このように、ワーク搬送装置1Bは、ワーク保持装置4Bと一体となって水平移動装置2Bが上下動する(下降前の図7と比較)。
一方、先に説明したワーク搬送装置1では、水平移動装置2はスタンド9に固定されてその位置は変化せず、ワーク保持装置4は、上下移動装置3ごと水平移動して上下移動装置3により上下に移動する。
【0045】
この点を除けば、ワーク搬送装置1Bがワークを搬送する様子は、ワーク搬送装置1がワークWを搬送する様子(図5,6)と同じである。ワーク搬送装置1Bにおけるワーク保持装置4Bのアーム31B、保持部32Bおよび回動制止部34Bの機能等も、ワーク搬送装置1におけるこれらと同じである。
ワーク搬送装置1,1Bは、ワークWを一つずつ保持して上下方向および左右方向にこれを搬送先に移動させ、および/または搬送先から取り出すことができる。ワーク搬送装置1,1Bは、上方から搬送先にワークを移動させることができるので、搬送先の横周囲が入り組んで横方向からのワークの移動が困難な場合にも適用が可能である。また、ワーク搬送装置1,1Bは、ワークの大きさに制約されずワークを搬送でき、例えば研磨装置における間隔が極めて狭いローラ上にもワークを搬送することができる。
【0046】
上述の実施形態において、ワーク搬送装置1,1B、およびワーク搬送装置1,1Bの各構成または全体の構造、形状、寸法、個数、材質などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、例えば一対のローラ上にワークを載せて研磨するセンタレス研磨装置に対して、ワークを供給し研磨後のワークを取り出す場合に利用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1,1B ワーク搬送装置
2,2B 水平移動装置
3,3B 上下移動装置
4,4B ワーク保持装置
18B スライダ(水平移動部)
24,24B 上下移動部
31,31B アーム
32,32B 保持部
33,33B 連結部
34,34B 回動制止部(回動制止装置)
35,35B (保持部の揺動)軸
43,43B 吸盤
45,45B (アームの)揺動軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10