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特許7121414半田ボールを基板上に配置するためのアセンブリおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-09
(45)【発行日】2022-08-18
(54)【発明の名称】半田ボールを基板上に配置するためのアセンブリおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20220810BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
H01L21/92 604H
H05K3/34 505A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020514328
(86)(22)【出願日】2018-05-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-09
(86)【国際出願番号】 EP2018062571
(87)【国際公開番号】W WO2018210844
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2021-04-05
(31)【優先権主張番号】102017110830.0
(32)【優先日】2017-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】519408294
【氏名又は名称】アズダシト,ガッセム
【氏名又は名称原語表記】AZDASHT, GHASSEM
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】アズダシト,ガッセム
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-100830(JP,A)
【文献】特開2011-115819(JP,A)
【文献】特開2010-162574(JP,A)
【文献】特開2005-081406(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H05K 3/34
B23K 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半田ボール(12)からの半田を基板(104)上に配置するためのアセンブリ(100)であって、
(a)複数の半田ボール(12)を含むリザーバ(14)と、
(b)各々の半田ボール(12)を排出するための出口開口(26)と、
(c)前記リザーバ(14)と前記出口開口(26)との間に設けられ、前記リザーバ(14)から前記出口開口(26)に半田ボール(12)を供給するための供給チャネル(48)とを備え、
(d)前記供給チャネル(48)は、使用された前記半田ボール(12)の1つのボールの直径よりも大きく、使用された前記半田ボール(12)の2つのボールの直径よりも小さいを有する開口断面を有し、
(e)前記供給チャネル(48)に終了する吸引チャネル(68、70、72)を備え、前記吸引チャネル(68、70、72)は、前記供給チャネル(48)との間の遷移区域(62、64、66)において、使用された前記半田ボール(12)の1つのボールの断面よりも小さい断面を有し、
(f)前記吸引チャネル(68、70、72)の圧力が前記供給チャネル(48)の圧力よりも小さくなり、前記供給チャネル(48)にある半田ボール(12)を前記吸引チャネル(68、70、72)の前記遷移区域(62、64、66)に吸い込むことができるように、前記供給チャネル(48)と前記吸引チャネル(68、70、72)との間に圧力差を生成するための手段と、
(g)第1の圧力差で前記吸引チャネル(68、70、72)と前記供給チャネル(48)との間の前記遷移区域に少なくとも1つの半田ボール(12)を保持し且つ更なる半田ボール(12)の供給をブロックし、第2の圧力差で少なくとも1つの半田ボール(12)を排出するように、前記圧力差を制御するための制御手段とを備え、
(h)前記供給チャネル(48)は水平またはほぼ水平に延在し、前記半田ボール(12)の移動は圧力低下によって引き起こされる、ことを特徴とする、アセンブリ。
【請求項2】
3つまたはそれ以上の吸引チャネル(68、70、72)は、前記半田ボール(12)の移動方向に沿って前記供給チャネル(48)に連続的に接続され、
前記制御手段は、前記出口開口に近い側の前記半田ボールを排出すると共に、少なくとも1つの半田ボールを他の1つの吸引チャネルに保持するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記供給チャネル(48)は、大気圧よりも高いガス圧にさらされることを特徴とする、請求項1または2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記供給チャネル(48)は、この目的のために、高圧の窒素または別の不活性ガスのガス源に接続されることを特徴とする、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記吸引チャネル(68、70、72)は、大気に接続され、
前記制御手段は、前記吸引チャネル(68、70、72)と大気との間の接続を確立および中断するためのシャッターまたはバルブを含むことを特徴とする、請求項3または4に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記供給チャネル(48)は、排出チャネル(30)に終了し、
前記排出チャネル(30)は、前記半田を前記基板(104)上に配置するめに使用される出口開口(26)と、前記排出チャネル(30)を通って前記出口開口(26)に到達する放射線(24)を出射するためのレーザとを含み、
前記放射線(24)は、前記半田ボール(12)の半田が放射線のエネルギーによって融解されて、前記基板(104)に移されるように構成されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項7】
シートアセンブリが、互いに重ねるように構成され、その位置で固定されたいくつかの平面シート(32、34、36、82)を含み、
前記供給チャネル(48)および前記吸引チャネルは、前記シートアセンブリの前記シートに設けられたスリット(84、86、88)によって形成されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記シートアセンブリは、前記供給チャネル(48)を有する供給チャネルシート(34)と、前記供給チャネル(48)の区域に設けられ、前記供給チャネル(48)内の前記半田ボールの移動を案内するための案内スリット(50)を有する隣接の案内シート(36)とを含み、
前記案内スリットは、前記供給チャネル(48)の幅よりも小さい幅を有することを特徴とする、請求項7に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記シートアセンブリは、
前記供給チャネルシート(34)に隣接する第1の吸引チャネルシート(32)を含み、前記吸引チャネルシートは、前記リザーバ(14)から離れた端部区域において、前記半田ボールの移動方向に沿って互いに隣接するように一列に配置されたボアホール(62、64、66)を有し、前記ボアホールは、前記吸引チャネル(68、70、72)と前記供給チャネル(48)との間の前記遷移区域を形成し、
前記供給チャネルシート(34)から離れた前記第1の吸引チャネルシート(32)の側に位置する第2の吸引チャネルシート(82)を含み、前記第2の吸引チャネルシートは、前記ボアホール(62、64、66)を大気に接続するまたは大気に接続されたチャネル(68、70、72)に接続するためのスリット(84、86、88)を有することを特徴とする、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記リザーバ(14)、前記出口開口(26)、前記供給チャネル(48)および前記吸引チャネル(68、70、72)は、1つのモジュール(100)に一体化され、
前記モジュール(100)と共に少なくとも1つの更なる同等のモジュール(114、116)を設けることによって、モジュール式アセンブリ(102)を形成し、
前記モジュール(100、114、116)の前記出口開口(26)は、前記基板(104)の上方に互いに隣接するように配置されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記モジュール(100)は、互いに離れるように配置され、
少なくとも1つの前記モジュールの位置は、前記基板平面に垂直な軸に対して調整可能であることを特徴とする、請求項10に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記モジュール式アセンブリ(102)の位置は、前記基板平面に垂直および/または平行な軸(118、128)に対して調整されるように構成されることを特徴とする、請求項10または11に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、半田ボールを基板上に配置するためのアセンブリに関する。このアセンブリは、(a)複数の半田ボールを含むリザーバと、(b)各々の半田ボールを排出するための出口開口と、(c)リザーバと出口開口との間に設けられ、リザーバから出口開口に半田ボールを供給するための供給チャネルとを備える。
【0002】
このようなアセンブリは、具体的に半導体回路接着の分野に使用される。小さなスペースにできるだけ多くの接続ポイントを配置するによって、小さな直径を有する半導体回路を製造するためには、小さな直径を有する半田ボールが有利である。例えば、100μm未満の直径、例えば40μmの直径を有する半田ボールが使用される。しかしながら、小さなボールの取り扱いは困難である。単にリザーバからボールを取り出して、基板上に置くではなく、ボールを選択し、制御された方法で移動する必要がある。
【背景技術】
【0003】
先行技術
リザーバからの半田ボールを円盤上に円形パターンで配置することが知られている。ボールは、円盤を回転させることによって接続ポイントに移動され、基板上に配置される。この目的のためにシャッター装置が提供されている。ボールを配置した後、円盤をさらに回転させる。必要に応じて、この手順を繰り返す。
【0004】
ボールを配置する間に、円盤の回転および精確な位置決めが必要である。これは、時間がかかる。可動部品を含むため、アセンブリは、ある程度に磨耗され、傷つけられる。さらに、硬い素材を使用する必要がある。このような材料は、高価である。円盤を備えるアセンブリを用いて基板上に配置できるボールは、1つのみである。
【0005】
特開2010-162574Aは、半田ボールを配置するためのアセンブリを開示している。半田ボールは、L字形のチャネルを通過する。圧力差を生成できるチャネルの屈折点にコネクタを設ける。これによって、最初にボールを吸い込むことができる。その後、過圧を個別に加えることによって、重力に逆らって、ボールを屈折点の後方のチャネルの垂直脚に押し上げる。このようなアセンブリの場合、最初に吸い込まれたボールが供給チャネルに戻ってくる可能性がある。また、このようなアセンブリの製造は、複雑である。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、上述した種類のアセンブリに比べて、より経済的であり、基板上にボールをより迅速に配置することができるアセンブリを提供することである。本発明によれば、この目的は、
(d)供給チャネルは、使用された半田ボールの1つのボールの直径よりも大きく、使用された半田ボールの2つのボールの直径よりも小さい直径を有する開口断面を有し、
(e)供給チャネルに終了する吸引チャネルを備え、吸引チャネルは、供給チャネルとの間の遷移区域において、使用された半田ボールの1つのボールの断面よりも小さい断面を有し、
(f)吸引チャネルの圧力が供給チャネルの圧力よりも小さくなり、供給チャネルにある半田ボールを吸引チャネルの遷移区域に吸い込むことができるように、供給チャネルと吸引チャネルとの間に圧力差を生成する手段と、
(g)第1の圧力差で吸引チャネルと供給チャネルとの間の遷移区域に少なくとも1つの半田ボールを保持し且つ更なる半田ボールの供給をブロックし、第2の圧力差で少なくとも1つの半田ボールを排出するように、圧力差を制御するための制御手段とを備えるアセンブリによって達成される。
【0007】
アセンブリを用いて、吸引チャネルと供給チャネルの間に圧力差を生成することによって、供給チャネルに保持されているボールが、吸引チャネルによって吸い上げされる。このことは、吸引チャネル内の圧力を下げるまたは供給チャネル内の圧力を上げるまたはその両方を行うことによって実現することができる。供給チャネルと吸引チャネルとの間の遷移区域では、吸引チャネルは、ボールよりも小さい直径を有する。したがって、ボールは、吸引チャネルに入ることができない。ボールは、遷移区域に固定される。供給チャネルは、ボールが自由に移動することができるように十分に大きな直径を有する。供給チャネルは、ボールの直径の2倍より小さい直径を有する。したがって、次のボールは、遷移区域に固定されているボールを通過することができない。圧力条件を小さな圧力差またはゼロの圧力差に一時的に変更することによって、固定されているボールを解放することができる。そのボールは、出口開口に向かって移動する。その後、圧力差を上げることによって、次のボールを固定する。
【0008】
既知のアセンブリとは異なり、このアセンブリは、可動部品を必要とせず、圧力条件のみを制御することによって制御することができる。このような制御は、円盤などの部品の移動よりも遥かに高速に実現することができる。
【0009】
ボールの移動を個別に制御することは、2つ、3つまたはそれ以上の吸引チャネルが、移動方向に沿って連続的に供給チャネルに接続され、制御手段が、出口開口に近い側の半田ボールを排出すると共に、少なくとも1つの半田ボールを他の1つの吸引チャネルに保持するように構成されている場合に、特に有利である。これによって、固定されているボールを排出するときに、1つ以上のボールが遷移区域を通過してしまうというリスクを回避することができる。排出プロセス中に、供給チャネルの上流に固定されたボールは、他のボールを抑え、供給チャネルをブロックする。3つ以上の遷移区域を有する3つ以上の吸引チャネルを使用すると、ボールを対応する次の吸引チャネルに連続的に固定することができる。この目的のために、吸引チャネルの圧力差を順次に下げることができる。
【0010】
好ましくは、供給チャネルは、大気圧よりも高いガス圧にさらされる。この目的のために、供給チャネルは、高圧の窒素または別の不活性ガスのガス源に接続されてもよい。特に、不活性ガスは、半田ボールが酸化することによってまたは環境と化学的に反応することによって、コールド半田接合(cold solder joint)を引き起こすことを防止する。代替的には、吸引チャネルに負圧を与えてもよい。
【0011】
本発明の特に有利な変形例において、吸引チャネルは、大気に接続され、制御手段は、吸引チャネルと大気との間の接続を確立および中断するためのシャッターまたはバルブを含む。シャッターが開くたびに、吸引チャネルの圧力と供給チャネルの圧力との間に圧力差が生成される。このようなシャッターまたはバルブを非常に快速に開閉することができる。したがって、半田ボールを非常に迅速に配置することができる。また、大気に向かって終了する代わりに、吸引チャネルは、例えば負圧を有する別の圧力チャンバに終了してもよい。
【0012】
好ましくは、供給チャネルは、排出チャネルに終了し、排出チャネルは、半田を基板上に配置するために使用される出口開口と、排出チャネルを通って出口開口に到達する放射線を出射するためのレーザとを含み、放射線は、半田ボールの半田が放射線の衝撃によって基板上に移されるように構成されている。したがって、ボールは、供給チャネルから排出チャネルに移動される。レーザビームは、排出チャネルを通って出口開口に到達する。半田ボールは、レーザビームによって溶融され、基板上に配置される。
【0013】
好ましくは、供給チャネルと排出チャネルとは、角度を形成する。供給チャネルは、例えば、水平またはほぼ水平に延在することができる。排出チャネルの方向に対して供給チャネルをわずかに下向きに傾けることによって、ボールは、重力の作用を受け、更なる力を加えることなく排出チャネルに向かって転がる。排出チャネルの前の区域の傾斜を残りの区域の傾斜よりも大きくしてもよい。排出チャネルは、垂直またはほぼ垂直あってもよい。これによって、ボールは、重力によって出口開口に向かって落下する。角度付きアセンブリの上端には、レーザおよび/または偏向光学装置および/または集束光学装置を簡単に設けることができる。必要に応じて、排出チャネルの他の位置にレンズなどの集束光学装置を設けてもよい。
【0014】
非常に小さなボールを取り扱うアセンブリのために、非常に小さなチャネルを製造する必要がある。本発明の特に有利な変形例において、シートアセンブリは、互いに重ねるように構成され、その位置で固定されたいくつかの平面シートを含み、供給チャネルおよび吸引チャネルは、シートアセンブリのシートに設けられたスリットによって形成される。これらのシートは、隣接するシートのスリットを塞ぐように、他のシート上に置くことができる。スリットは、レーザを用いて、シートの所望の位置で所望のサイズに高精度に作製されてもよい。代替的には、チャネルおよびボアホールは、例えば、3D印刷を用いて一体に作製されてもよい。
【0015】
本発明のさらなる変形例において、シートアセンブリは、供給チャネルを有する供給チャネルシートと、供給チャネルの区域に設けられ、供給チャネル内の半田ボールの移動を案内するための案内スリットを有する隣接の案内シートとを備えてもよい。案内スリットは、供給チャネルの幅よりも小さい幅を有する。好ましくは、案内シートは、供給チャネルを有するシートの下に配置される。ボールは、軌道に乗っているように案内スリット上で移動することができる。これによって、ボールが供給チャネルの中央で移動され、蓄積またはブロックできないことは、保証される。
【0016】
好ましくは、シートアセンブリは、供給チャネルシートに隣接する第1の吸引チャネルシートを含み、吸引チャネルシートは、リザーバから離れた端部区域において、半田ボールの移動方向に沿って互いに隣接するように一列に配置されたボアホールを有し、ボアホールは、吸引チャネルと供給チャネルとの間の遷移区域を形成し、供給チャネルシートから離れた第1の吸引チャネルシートの側に位置する第2の吸引チャネルシートを含み、第2の吸引チャネルシートは、ボアホールを大気に接続するまたは大気に接続されたチャネルに接続するためのスリットを有する。これらのシートが組み立てられたときに、第1吸引チャネルシートのボアホールは、供給チャネルのスリットの上方且つ供給チャネルの端部の直前にある。これらのボアホールは、上方に配置された第2の吸引チャネルシートに設けられた異なるスリットに終了する。必要に応じて、第2の吸引チャネルシートのスリットが接続されてもよい。これらのスリットは、大気への開口に終了する。しかしながら、これらのスリットを表面まで延長し、これらのスリットを真空チャンバに接続することもできる。
【0017】
本発明のさらなる実施形態において、リザーバ、出口開口、供給チャネルおよび吸引チャネルは、1つのモジュールに一体化され、当該モジュールと共に少なくとも1つの更なる同等のモジュールを設けることによって、モジュール式アセンブリを形成し、モジュールの出口開口は、基板上で互いに隣接するように配置される。シートを備えたアセンブリとは対照的に、当該アセンブリは、コンパクトなブロックを形成し、このブロックは、平坦な側面から他のブロックにさらに接続するように構成されている。このようにして、いくつかのボールを基板上に同時に配置することができる。
【0018】
複数の個別に調整可能なモジュールは、全体として調整可能なモジュール式アセンブリに一体化することができる。
【0019】
本発明のさらなる修正は、従属請求項の主題である。以下、添付図面を参照して、実施形態をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】半田ボールを基板上に配置するためのアセンブリの垂直断面を示す概略図である。
図2a図1のアセンブリに使用されるシートアセンブリのシートの実施形態を示す図である。
図2b図1のアセンブリに使用されるシートアセンブリのシートの実施形態を示す図である。
図2c図1のアセンブリに使用されるシートアセンブリのシートの実施形態を示す図である。
図2d図1のアセンブリに使用されるシートアセンブリのシートの実施形態を示す図である。
図3図2のシートアセンブリのうち、図2dのシートに設けられた案内スリットの効果を示す図である。
図4】半田ボールを配置するための図1のアセンブリに設けられた排出チャネルを示す概略図である。
図5】吸い上げたボールと共に、図1の切断面A-Aに沿った垂直断面を示す図である。
図6】排出されたボールと共に、図1の切断面A-Aに沿った垂直断面を示す図である。
図7】いくつかの半田ボールを同時に配置するための複数のモジュールを備えたアセンブリを示す図である。
図8】複数のモジュールを備えたモジュール式アセンブリを用いて、基板上に配置した半田ボールを示す概略図である。
図9】水平軸に対して傾斜した図8のモジュール式アセンブリを用いて、基板上に配置した半田ボールを示す概略図である。
図10】垂直軸に対して傾斜した図8のモジュール式アセンブリを用いて、基板上に配置した半田ボールを示す概略図である。
図11】垂直軸に対してモジュール式アセンブリを傾斜した場合に、半田ボール間の距離の変化を示す図である。
図12】モジュール式アセンブリのモジュールを互いに対して傾斜した場合に、半田ボール間の距離の変化を示す図である。
図13】所望の位置を調整するためにモジュールを傾斜する程度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
実施形態の説明
図1は、一般に数字10で表されたボンドヘッドを示す概略図である。明瞭性のために、ボンドヘッド10は、必要な制御ユニットおよび取り付けを有しないように示されている。1つのこのようなボンドヘッドは、基板(図示せず)の上方に配置される。半田ボール12は、以下に説明するようにリザーバ14から選択され、基板上に配置される。一例として、基板は、ウエハである。
【0022】
ボンドヘッド10は、ブロック16を有する。本実施形態において、ブロック16は、アルミニウムから作られる。しかしながら、任意の他の材料が適していることを理解すべきである。高価で硬い材料を使用する必要がない。ブロック16は、実質的に直方体形状を有するが、必要に応じて、任意の他の外形をとることもできる。
【0023】
ブロック16には、リザーバ14として機能する大きな空洞が設けられている。リザーバ14は、蓋18によって密閉される。さらにブロック16には、大孔径の貫通ボアホール20が設けられている。貫通ボアホール20は、排出チャネルの一部として機能する。貫通ボアホール20には、集束レンズ22が配置されている。集束レンズ22またはレンズ組立体は、レーザビーム24を出口開口26の区域に集束させるように機能する。レーザビーム24は、出口開口に存在する半田ボールを溶融するように機能する。
【0024】
ブロック16は、複数の積層シート32、34および36を含むシートアセンブリに接続されている。シート32、34および36は、図2b、2cおよび2dに各々示されている。シート32、34および36を含むシートアセンブリは、ブロック16とベース38との間に位置する。全ての部材は、アルミニウムまたは任意の他の適切な材料で作ることができる。図2からよく認識できるように、固定の目的のために、ブロック16およびシートアセンブリのシートの縁に沿ってボアホール40が設けられる。本実施形態において、10個のボアホール40が設けられる。ネジをボアホールに挿入して、ベースに設けられたネジ穴にしっかりとねじ込むことができる。ネジの頭は、ブロック16に設けられた凹部に隠すことができる。
【0025】
シート32、34および36の各々には、ボアホール42が設けられている。各シートのボアホール42は、他のシートの対応するボアホール42および貫通ボアホール20と整列されている。これらのボアホールは、ベース38に設けられた対応のボアホール44と共に、排出チャネル30の一部を形成する。
【0026】
また、シート32には、大孔径のボアホール46が設けられている。ボアホール46は、リザーバ14を形成する空洞と整列され、ほぼ同様の直径を有している。これは、図1からよく認識することができる。シート34には、スリット48が設けられている。スリット48は、ボール12をリザーバ14から出口開口26に案内するための供給チャネルの一部を形成する。スリット48は、ボアホール46の下方からボアホール42の手前の区域まで延在する。スリット46の幅は、リザーバ14からのボール12の直径よりも大きい。したがって、ボールは、スリット48を通って円滑に移動することができる。しかしながら、スリット48の幅は、第2のボール12が別のボールを通過することを防ぐのに十分に小さい。このようにして、一箇所では、1つのボール12のみがスリット48を通って移動することができる。その結果、ボール12は、連続してスリット48を個別に通過する。
【0027】
本実施形態において、ボール12は、スリット48の中心で案内される。この目的のために、下方に配置されているシート36には、ほぼ同じ長さのスリット50が設けられる。スリット50は、ボール12の直径よりも小さい幅を有する。これは、図3からよく認識することができる。したがって、ボール12は、スリット50に進入することができず、スリット50上で軌道に乗っているように案内される。これによって、ボール12は、図1に概略的に示すように、スリット48により形成された供給チャネル内のスリット50上で連続的に移動する。スリット50は、リザーバ14から離れた端部52で円形に拡径される。この拡径部は、ボール12の直径よりも大きい。したがって、ボール12は、拡径部52を通って下方に移動することができる。同様に、スリット48の端部には、拡径部60を設けることもできる。これによって、下方の移動が容易になる。
【0028】
ベース38には、接続チャネル54が設けられており、接続チャネル54は、傾斜したボアホールの形状を有する。これは、特に図1からよく認識することができる。接続チャネル54は、拡径部52と拡径部上方のスリット48および拡径部60とを貫通ボアホール44に接続する。接続チャネル54は、ボール12の直径よりも広いため、ボール12は、供給チャネル48から、拡径部60および52および接続チャネル54を通って排出チャネル30に進入することができる。
【0029】
図4は、図1の切断面に対して90度の角度で回転した垂直切断面に沿って切断した排出チャネル30の断面を示している。ボール12を含む排出チャネル30前方の接続チャネル54の端部56を視認することができる。図5および図6は、横方向にシフトされたスリット48および50の長手方向の断面を示す。接続チャネル54の入口部58を視認することができる。図5および図6から分かるように、拡径部52の位置は、入口部58の位置と整列されている。
【0030】
シート32は、供給チャネル48を備えたシート34上に配置されている。シート32には、使用されるボール12の直径よりも小さい直径を有する3つのボアホール62、64および66が設けられている。これは、図1から認識することができる。ボアホールは、縮尺通りに示された場合に図2bによく視認できないため、縮尺を大きくして示される。ボアホール62、64および66は、長手方向に沿ってシフトされ、スリット48の上方に一列に配置される。ボアホール62は、リザーバ14から離れたスリット48の側に設けられ、スリット48および50の拡径部60および52の上方に位置する。ボアホール64および66は、リザーバ14により近くなるように、スリット48および50の上方の区域において長手方向に沿ってシフトされる。
【0031】
図1は、概略図である。図1において、ボアホール62、64および66は、ブロック16に設けられた垂直な貫通ボアホール68、70および72に終了する。貫通ボアホール68、70および72は、ボアホール62、64および66を各々大気に連通する。矢印74、76および78で示すように、制御可能なバルブまたはシャッター(図示せず)は、大気への連通を制御する。
【0032】
ブロック16には、横方向のボアホール80が設けられている。ボアホール80は、スリット48および50の区域およびボアホール46の区域に終了する。窒素などの不活性ガスを含むガス源が、ボアホール80に接続される。ガスは、圧力を高める。このようにして、蓋18によって密閉されたリザーバ14、スリット48および50、ボアホール62、64、66、68、70および72、並びにボアホール54を含むアセンブリ内部の全体は、高圧にさらされる。ボアホール68、70または72のいずれかのバルブが大気に向かって開放されると、圧力差が生成される。スリット48および50内の圧力は、ボアホール内の圧力よりも高い。したがって、吸引効果が生じる。供給チャネル内のボールは、バルブが開いたボアホールを通過するときに吸い上げられる。
【0033】
スリット48によって形成された供給チャネルの直径は、ボール12が他のボールを通過できないように選択される。したがって、ボール12が吸引効果によってボアホール62、64または66に固定されている場合、他のボールが供給チャネルを通過できない。供給チャネルの通路は、完全にブロックされる。図1は、ボールがボアホール62、64および66の各々に固定されている状況を概略に示している。
【0034】
図1の概略図に示されたチャネル68、70および72を製造することは、困難である。ボアホール62、64および66は、非常に小さい直径を有し、互いに近接している。シート32上に別のシート82を敷設することによって、製造を容易にすることができる。他のシートに関して既に説明したように、シート82も、ボアホール40、42および46を有する。さらに、シート82は、3つのスリット84、86および88を有する。スリット84は、ボアホール62の上方の区域に位置する出口側端部90に終了する。スリット86は、ボアホール64の上方の区域に位置する出口側端部90に終了する。スリット88は、ボアホール66の上方の区域に位置する出口側端部90に終了する。スリット84、86、および88の出口側端部90は、比較的小さいため、隣接するボアホールの上方の区域まで延在しない。一方、スリット84、86および88は、広がっている。ボアホール68、70および72と同様に、ベース16は、わずかに幅が広く、側面からまたは上方から大気側のスリット84、86、88の他端92まで延在するボアホールを有する。このようなスリットは、レーザを用いて、シートに簡単に作ることができる。超音波バイブレータ94は、高周波でアセンブリを動かすように機能する。バイブレータ94は、ボール12の運動性を改善する。これによって、ボールは、チャネルを塞ぐまたはブロックすることがない。
【0035】
アセンブリは、次のように動作する。
蓋が開いているときに、半田ボール12をリザーバ14に充填することができる。次に、蓋を用いてリザーバ14を密閉する。ボール12は、ボアホール46を通って下方のスリット48に落下する。そこで、ボールは右へ移動する。図1は、供給チャネル48が実質的に水平であるアセンブリを示している。ボールの移動は、圧力低下によって引き起こされる。出口開口の方向へのボールの移動を改善するために、供給チャネル48を出口開口の方向にわずかに下向きに傾斜させることもできる。これは、楔形のシートを設けることによってまたはアセンブリの全体を傾けることによって実現することができる。図3および図6からよく認識できるように、ボール12は、スリット50によって、供給チャネル48の中心で案内される。
【0036】
最初に、全てのバルブを大気に向かって開く。圧力差によって、ボール12は、供給チャネル48とボアホール62、64、66との間の遷移区域に吸い上げられる。これによって、図1からよく認識できるように、後続のボールの通過をブロックする。
【0037】
チャネル68のバルブを閉めると、ボールは、ボアホール62から放出される。ボールは、重力によって接続チャネル54に落下する。その後、ボール12は、接続チャネル54から排出チャネル30に落下する。まず、ボールは、出口開口26に留まる。したがって、出口開口26は、閉塞される。排出チャネル30および接続チャネル54内の圧力が上昇する。圧力センサ(図示せず)が、接続チャネル54内の圧力を測定する。接続チャネル54内の圧力の増加は、ボールが出口開口26に存在することを示す。
【0038】
ボール12が出口開口26に到達すると、ボアホール68内のバルブを開き、ボアホール70内のバルブを閉める。これによって、固定されたボールのうち、中央のボールが排出される。このボールは、次のボアホール68に吸い上げられ、固定される。その後、ボアホール70内のバルブを再び開き、ボアホール72のバルブを閉める。リザーバ側のボアホール66によって固定されていたボールは、放出され、中央のボアホール64に吸い上げられ、固定される。ボアホール72内のバルブを再び開くと、供給チャネル48からの新しいボールがボアホール66に固定される。これによって、後続のボールの移動がブロックされる。このようにして、一度に1つのボールのみが出口開口26に移動される。
【0039】
レーザビーム24は、レンズ22またはレンズ組立体を用いて排出チャネル30に集束される。出口開口26内のボールは、レーザビーム24の焦点に位置する。レーザビームのエネルギーは、ボール12を融解させ、半田を下方の基板上に配置するように選択される。理解すべきことは、出口開口は、半田を塗布する位置に精確に配置されることである。アセンブリは、可動部品を使用しない。したがって、半田ボールを配置する速度は、バルブを閉める時間のみによって制限される。この時間は、円盤などを移動するのに必要な時間よりも遥かに短い。
【0040】
IRセンサは、半田の温度を測定する。このようにして、レーザの放射量を制御することができる。この目的のために、半透明ミラーを設けることによって、レーザ放射線を側面から排出チャネル30に導く。半透明ミラーは、IR放射を上方に伝導する。このレーザは、IRレーザまたはVISレーザであってもよい。
【0041】
本実施形態において、全体として実質的に直方体のモジュラーブロック100を形成するアセンブリは、選択された。出口開口26のみは、下方に延在する先端として設けられている。これによって、図7に模式的に示すように、いくつかのモジュール100を並列に配置することができる。このように形成されたモジュールアセンブリ102を基板104に沿って移動することができ、またはモジュールアセンブリ102の下方で基板104を移動することができる。
【0042】
図8は、各モジュール100が基板上に半田ボールを同時に配置するときに生成されたパターンを示している。理解すべきことは、各モジュールを適切に時間制御することによって、接点106の位置を所望の方法でy方向、すなわち、基板14またはモジュール式アセンブリ102の移動方向にシフトすることができることである。
【0043】
モジュール式アセンブリを用いて、x方向の接点間の距離を調整することもできる。例えば、2つの接点106と108の間の距離112は、対応するモジュール114および116の出口開口の距離によって決定される。出口開口は、モジュール114および116の前方にある。垂直軸を中心にして小さな角度でモジュール114および116を回転させると、モジュール114および116は、角度を形成する。したがって、モジュール間の距離108は、対応する出口開口の範囲に変化する。
【0044】
コンパクトなモジュール式アセンブリにおいて、垂直軸を中心にして各々のモジュールの角運動を可能にする角度範囲は、制限されている。したがって、場合によって、モジュール100間の距離が小さいと、全ての範囲をカバーすることができない。したがって、提供された本発明のアセンブリにおいて、モジュール式アセンブリの全体は、共通軸118を中心に回転するように構成される。これは、矢印120で示される。軸118を中心に回転すると、出口開口26は、移動方向に垂直な列124に整列されない。その代わりに、図9に示すに、出口開口の列124は、基板104またはモジュール式アセンブリの移動方向122と90°でない角度αを形成する。これによって、接点間の距離126は、例示として図8に示された最大距離112に比べて小さくなる。
【0045】
このような回転の効果は、図11により詳細に示される。いくつかの出口開口26は、線130によって示された一列に整列されている。この列に位置する半田ボール134は、dで示された間隔112を有する。図7から認識できるように、モジュール式アセンブリを一定の角度で回転させると、半田ボールは、列132に整列される。dとして示されたd方向の距離126は、dよりも小さい。
【0046】
モジュール式アセンブリ全体の回転によって、全ての間隔は、同様に変化する。しかしながら、モジュールを個別に傾斜させることもできる。一例として、図12は、モジュール114に対して、紙面に垂直な水平軸を中心にしてモジュール100を垂直面から傾けることによって、間隔136を減少することを示している。
【0047】
したがって、空間内でモジュール式アセンブリ全体を適切な方向に向けて、個々のモジュールを互いに向けることによって、接点の位置を調整することができる。既知のアセンブリとは異なり、基板の広い領域に半田を実際に同時に供給することができる。
【0048】
図13の側面図に示すように、水平軸128を中心にしてモジュール式アセンブリ全体を回転することによって、同じ時間分解能で接点間の距離を小さくすることができる。このことは、図10に示される。
【0049】
理解すべきことは、1列のみのモジュールを備えたモジュール式アセンブリだけではなく、同様に複数のモジュールを移動方向に直列に配置することができることである。これによって、基板の全領域に半田を同時に供給することができる。
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13