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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-09
(45)【発行日】2022-08-18
(54)【発明の名称】吊り天井とその施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/24 20060101AFI20220810BHJP
   E04B 9/06 20060101ALI20220810BHJP
   E04B 9/26 20060101ALI20220810BHJP
   E04B 9/18 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
E04B9/24 D
E04B9/06 A
E04B9/26 A
E04B9/18 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021091067
(22)【出願日】2021-05-31
【審査請求日】2021-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000127639
【氏名又は名称】株式会社エービーシー商会
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】弁理士法人市澤・川田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 達也
(72)【発明者】
【氏名】竹内 詩帆
(72)【発明者】
【氏名】加藤 富士夫
(72)【発明者】
【氏名】富田 智恵
【審査官】沖原 有里奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-133130(JP,A)
【文献】実開昭55-027717(JP,U)
【文献】特開昭61-196037(JP,A)
【文献】特開2002-070232(JP,A)
【文献】特開2003-138689(JP,A)
【文献】実公昭48-026836(JP,Y1)
【文献】「かるてん」製品情報,2021年04月15日,https://web.archive.org/web/20210415182908/https://www.kal-ten.jp/products.php
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/00-9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフレームを格子状に組み合わせて形成される支持部材と、この支持部材の各格子区画部に設置される、軽量天井材であって設置の向きに方向がある素材からなる複数の天井材を備え、構造躯体などから垂下した吊り材に前記支持部材に取り付けられたハンガーが接続されて構造躯体の天井面を構成する吊り天井において、
前記支持部材は、U字に形似した断面形状に折り曲げられた複数のフレームを縦横に配置し、且つ十字状に交差するように縦横のフレーム同士を接続して前記フレームを格子状に組み合わせて形成され、
前記ハンガーは、前記フレーム内面に取り付けられる主面部と、この主面部の上部で前記吊り材に連結する首部とを有し、前記主面部を前記フレーム同士の交差部のフレーム内面に固定して前記支持部材に取り付けられ、
前記天井材は、前記縦横のフレームで区画された一つの格子区画部の開口面よりも縦横の長さが若干大きな寸法で平面視方形状に形成されているとともに、当該天井材の設置の向きの方向と対応づけて、その四隅角部のうちの隣接した二つの角部のみ切り欠き部が設けられており、
前記支持部材の各格子区画部に設置される天井材は、その切り欠き部が前記フレーム同士の交差部の内側で前記ハンガーの首部の外面に係合し、且つその周辺縁部をフレームの開口面内に配置させて、格子区画部を囲うフレームの上面に載って当該格子区画部を閉鎖する位置に支持されて取り付けられる構成を有することを特徴とする吊り天井。
【請求項2】
ハンガーと支持部材との間に天井材を下方へ弾圧付勢する固定手段が設けられた構成を有することを特徴とする請求項1に記載の吊り天井。
【請求項3】
固定手段は、天井材の表面に接するパッドと、このパッドの両端部間にアーチ状に架け渡した線状バネからなることを特徴とする請求項2に記載の吊り天井。
【請求項4】
固定手段は、下端部に大径の天井材支持部を設けたコイルバネであることを特徴とする請求項2に記載の吊り天井。
【請求項5】
固定手段と天井材の間に、フレーム同士の交差部と交差部の間に沿って配置されていて、天井材の縁部をフレームに沿って上方から押さえる押さえ材が取り付けられた構成を有する請求項2から4の何れかに記載の吊り天井。
【請求項6】
構造躯体の壁部に沿って受け材が取り付けられ、この受け材に吊り天井の支持部材の端部を接続して前記壁部との取り合いを収めたことを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の吊り天井。
【請求項7】
単位面積質量が2.0kg以下の天井材が用いられてなる請求項1から6の何れかに記載の吊り天井。
【請求項8】
天井材が、主体繊維とバインダー繊維を含む繊維構造体の少なくとも一表面又は内部に不燃シートを積層してなる複合繊維構造体からなる請求項1から7の何れかに記載の吊り天井。
【請求項9】
複数のフレームを格子状に組み合わせて形成される支持部材と、この支持部材の各格子区画部に設置される、軽量天井材であって設置の向きに方向がある素材からなる複数の天井材を備え、構造躯体などから垂下した吊り材に前記支持部材に取り付けられたハンガーが接続されて構造躯体の天井面を構成する吊り天井の施工方法おいて、
前記支持部材の複数のフレームはそれぞれU字に形似した断面形状に折り曲げて形成され、
前記天井材は前記支持部材の一つの格子区画部の開口面よりも縦横の長さが若干大きな寸法で平面視方形状に形成されているとともに、当該天井材の設置の向きの方向と対応づけて、その四隅角部のうちの隣接した二つの角部のみ切り欠き部を設けて形成され、
前記ハンガーは前記フレーム内面に取り付けられる主面部と、この主面部の上部で前記吊り材に連結する首部とを有して形成されており、
構造躯体から垂下した複数の吊り材に、前記ハンガーをその首部を連結してそれぞれ取り付ける工程と、
前記ハンガーの主面部をフレームの内面に取り付ける工程と、
前記ハンガーが取り付けられたフレームと他のフレームとを縦横に架け渡し、且つ十字状に交差するフレーム同士の交差部のフレーム内面にハンガーが位置するように縦横のフレーム同士を接続して前記フレームを格子状に組み付けて支持部材を形成する工程と、
前記支持部材の各格子区画部に前記天井材を、その切り欠き部を前記フレーム同士の交差部の内側で前記ハンガーの首部の外面に係合させ、且つその周辺縁部をフレームの開口面内に配置させて、格子区画部を囲うフレームの上面に載せて当該格子区画部を閉鎖する位置に支持させる工程と、
前記支持部材のフレーム同士が十字状に交差した部分に固定手段を取り付けて、天井材の隅角部を固定手段で固定する工程と、
を有して構造躯体の下方に吊り天井を取り付けることを特徴とする吊り天井の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造躯体の下方に支持部材を吊り下げ、この支持部材で天井面構成部材である天井材を支持して屋内の天井面を構成する吊り天井に関する。
【背景技術】
【0002】
地震が起きたときなどの天井材の脱落による危害の発生を防ぐため、有機繊維や無機繊維を用いて軽量に形成された天井材の利用が広まっている。
図27は、かかる天井材を用いた吊り天井の設置態様の一例を示している。この天井材100は、その周側辺部100aを、構造躯体(図示せず)の下方にハンガー101を介して吊り下げられた天井レール102の水平張り出し面102a上に載せるとともに、その縁部100bを天井レール102の垂直面102bに折り重ね、ビス103で一体に留め付けて天井レール102,102間に固定して設置するものである(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、前記天井レールに代えて、例えばスチール材を曲げ加工により略U字断面に折り曲げた複数のフレームを格子状に組み付けた支持部材を用いるとともに、天井材の四側辺部に下方へ折り曲げられる折れ面部を形成しておき、前記支持部材の各格子区画部上に前記天井材を載せ、天井材の四側辺部に形成した折れ面部を周辺のフレームの略U字の開口部内に差し込んで、支持部材上に天井材を設置する構成のものが知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-196762号公報
【文献】特開2020-133130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来の設置態様のうち、前者にあっては、天井材100はその側辺部を天井レール102の下端部の両側に突出した水平張り出し面102a上に載せて支持されるようになっているが、天井面を見上げたときに、天井レール102の水平張り出し面102aの幅の広さが目に付き、また、水平張り出し面102aと天井材100との段差が小さいため、輪郭がはっきりとしない起伏がなくのっぺりとした天井に見えるものであった。また、天井材100の縁部100bを天井レール102にビス103で留め付ける作業がしにくく、施工に手間を要するという問題もあった。
【0006】
後者にあっては、天井材の四側辺部に設けた折れ面部をフレームの開口部内に差し込むことで天井材がフレーム上に支持されるように設けられているので、細幅のフレームを用いて構成することが可能であり、天井面はフレームの幅の狭さが際立った見栄えのものとなる。
しかしながら、天井材が軽量なため、天井材がフレームから浮き上がりやすく、前記折れ面部がフレームの開口部内に差し入れられた位置に保持させるための処置が必要になることがある。また、天井材の四側辺部に折れ面部を形成し、これを下方へ折り曲げる加工が面倒であるという問題もある。
【0007】
また、繊維素材からなる軽量天井材では表面に繊維の編目が表出する。この編目は、天井材を明るい場所で注視なければ判らない程度の微細なものであるが、天井材の縦横何れかの方向に沿って並んで表れるため、前記支持部材の各格子区画部に天井材を設置して天井面を構成したときに、各天井材表面の編目の方向が不揃いであると、室内照明光に照らされて編目の方向が揃ってないことが却って目に付いて天井面の見た目を悪くする。
そのため、暗く、前記編目の方向を見分けることが困難な天井の施工現場で編目の方向を揃えて天井材を設置することできるように、施工現場に搬入する天井材に前もって設置の向きを特定する目印を付ける手配をしておく必要があり、その作業や確認が面倒であった。
【0008】
本発明は従来技術の有するこのような問題点に鑑み、格子状に形成された支持部材に軽量な天井材を載せて構成される吊り天井において、支持部材の組み立てや天井材の設置を簡単な作業により行うことができ、天井材室内から天井を見上げたときの見栄えも良好なものとすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため本発明は、複数のフレームを格子状に組み合わせて形成された支持部材と、この支持部材の各格子区画部に設置される複数の天井材を備え、構造躯体などから垂下した吊り材に前記支持部材に取り付けられたハンガーを接続して構造躯体の天井面を構成する吊り天井であって、
前記支持部材のフレーム同士が十字状に交差する交差部に前記ハンガーが取り付けられ、
前記天井材はその四隅角部のうち、少なくとも一つの角部に切り欠き部が設けられており、
前記各格子区画部に設置された天井材はその格子区画部を囲うフレームの上面に載って支持され、且つ前記切り欠き部内に前記ハンガーを位置させて取り付けられた構成を有することを特徴とする。
【0010】
これによれば、フレームを格子状に組み付け、フレーム同士が交差する部分にハンガーを取り付けて構成した支持部材を吊り材で支持し、四隅角部の何れかに切り欠き部を有する天井材を、前記支持部材の各格子区画部の開口面に載せ、且つ前記切り欠き部内に吊り材に接続したハンガーが位置するように設置するという簡易な作業で天井材を取り付けることができる。
天井材は、その周辺に下方へ折れ曲がる部分を設ける加工は不要であり、支持部材の各格子区画部の開口面に天井材を載せることで、天井材の周辺を格子区画部を囲うフレーム上面の中央に位置させることができ、天井材は設置位置をずらさずに格子区画部の開口面を閉鎖する当初の設置位置に保持される。
【0011】
前記吊り天井は、支持部材のフレーム同士が交差する各交差部にハンガーを各々取り付けた構成とすることができる。
これによれば、フレーム同士が十字状に交差する部分にハンガーが取り付けられ、各交差部のハンガーを吊り材に接続して支持部材が支持されるので、支持部材全体の面剛性を大きく確保することができる。また、ハンガーが一体化された各格子区画部単位(グリッド単位)で支持部材の組み立てと天井材の取り付けが可能であり、各格子区画部の強度を大きく保つことができる。
【0012】
前記構成の吊り天井において、支持部材を構成するフレームは、鉄や鋼、ステンレス、アルミニウムなどの金属材を用い、適宜な幅及び長さに形成することができる。支持部材の軽量化を図るため、スチール材やアルミ材などを用いることが好ましい。フレームは、前記金属材を、U字に形似した断面形状に折り曲げた鋼板や押出材を用いて形成することができる。ハンガーや、後述する押さえ材、受け材、接続片、縁部押さえ材も、フレームと同様に、スチール材などの鋼板やアルミ材などを用いて形成することができる。
この場合、前記U字に形似した断面形状に折り曲げられた複数の長尺、短尺のフレームを縦横に配置し、十字状の交差するように縦横のフレーム同士を接続して、フレームを格子状に組み合わせた支持部材が形成される一方、ハンガーをその首部が前記フレームの幅よりも小さい寸法に設定して形成し、これを前記フレーム同士の交差部のフレーム内面に取り付けて構成することができる。
【0013】
ハンガーの首部がフレームの幅よりも小さい寸法に設定してあるので、支持部材の各格子区画部に天井材を設置したときに、フレーム内にハンガーを挟んで隣接配置された天井材の切り欠き部を当該フレームの幅よりも内側に収めることができる。フレーム内で前記ハンガーの首部に天井材の切り欠き部を係合させることも可能である。ハンガーの首部と天井材の切り欠き部がフレームの内側に収められるので、フレーム上で天井材がずれても、天井材の周辺がフレームのU字開口部上に位置するため、支持部材と天井材との間で光漏れとなるような隙間ができるようなことはない。
支持部材のフレームが十字状に交差した部分は、少なくとも長尺なフレームとこれに交差して接続する二つの短尺のフレームとが複数のフレームが寄せ集まった部分であり、このような部分は接続する部材同士のレベルが合わせにくく、部材の継ぎ目に隙間や凹凸ができたりしやすいが、フレーム同士の交差部の内側にハンガーを一体に取り付けることで、前記接続部に通りをだすことができて、交差部で部材同士をぴったりと直交させて接続することが可能である。また、フレーム同士の交差部内面にハンガーが一体に取り付けてあることで、交差部の強度が高くなって、フレームの接続部の変形が生じにくいものとなる。
また、一枚の天井材が設置される支持部材の各格子区画部の四隅部、つまりフレームの十字状の各交差部にハンガーが配置され、前記各格子区画部に設置される天井材は各々切り欠き部内に位置するハンガーに当該切り欠き部が係合するように設けることができる。切り欠き部内にハンガーが位置し、係合する向きに天井材を揃えることで天井材の取り付け位置を画定し、格子区画部の中央に配置して支持部材上に取り付けることが可能である。
【0014】
前記「U字に形似した断面形状」にフレームを折り曲げるとは、フレームがその底面部の両側に両側面部が上方へ立ち上がり、底面部の上方であり且つ両側面の先端部間が開口した形状に折り曲げられていることをいう。例えばフレームの断面がU字乃至略U字形に、或いは上向きC字乃至コ字形などの形状が含まれ、後述する図26に示されるように、フレームの上部開口がその底面部よりも狭い断面形状のものも含まれる。以下では、「U字形に形似した断面形状」を「断面略U字」、「U字断面」ともいう。
なお、上部開口がその底面部よりも狭くなる略U字断面形状のフレームを組み合わせて支持部材が形成される場合、ハンガーは前記フレームの幅よりも小さい寸法の幅に形成され、フレームが十字状に交差する部分の当該フレームの上面にハンガーが取り付けられる(図26参照)。
【0015】
前記構成の吊り天井において、天井材に設ける切り欠き部が、軽量な天井材の表面の編目の並びの方向を判別する指標として機能させることができるように、天井材の切り欠き部と表面の編目とが所定の関係となるように、切り欠き部が配置されていることが好ましい。
例えば、平面視方形の天井材について、表面の編目の並びが天井材の一側辺から対向他側辺に向かう方向と平行な場合、天井材の四隅角部のうち、前記編目の並び方向と平行な方向に沿って隣接する二つの角部に切り欠き部を設けることで、切り欠き部と編目とを対応させることができる。或いは天井材の前記編目の並び方向と直交する方向に沿って隣接する二つの角部に切り欠き部を設けても対応させることができる。
これによれば、支持部材上に天井材を並べて設置する際、各天井材に形成された切り欠き部の向きを同一方向に揃えて設置することで、各天井材表面の編目の向きを揃えることが可能である。設置する天井材の編目の向きを目視で確認する作業は不要であり、暗い施工場所でも天井材の設置方向を誤る虞はない。
【0016】
前記天井材は、単位面積質量が2.0kg以下の構成のものを用いることができる。
かかる構成のものとしては、例えば、主体繊維とバインダー繊維を含む繊維構造体の少なくとも一表面又は内部に不燃シートを積層してなる複合繊維構造体からなるものがあり、商品名「かるてん」(登録商標:帝人フロンティア株式会社)として販売されている繊維系不燃天井材の利用が好ましい。ガラス繊維などの他の不燃性材料により形成された天井材を用いてもよい。
【0017】
また、前記構成の吊り天井において、吊り天井に連結したハンガーと支持部材との間に天井材を下方へ弾圧付勢する固定手段が設けられていることが好ましい。
前記固定手段としては、天井材の表面に接するパッドと、このパッドの両端部間にアーチ状に架け渡した線状バネからなる構成のものや、下端部に大径の天井材支持部を設けたコイルバネを用いることができる。
【0018】
また、前記固定手段と天井材の間に、フレーム同士の交差部と交差部の間に沿って配置されていて、天井材の縁部をフレームに沿って上方から押さえる押さえ材が取り付けられた構成としてもよい。
【0019】
また、前記構成の吊り天井において、構造躯体の壁部に沿って受け材が取り付けられ、この受け材に吊り天井の支持部材の端部を接続して前記壁部との取り合いを収めた構成とすることができる。
受け材は、前記支持部材を構成するフレームと同様に適宜な金属材を用い、断面略U字状や断面略L字状などの、U字に形似した断面形状に折り曲げた鋼板や押出材を用いて適宜な幅及び長さに形成することができる。
前記断面形状の受け材を、前記構造躯体の壁部に沿って取り付け、この受け材の側部に前記支持部材のフレームの端部をあてがうとともに、受け材の内面に略U字乃至L字形に屈曲した接続片を差し入れて受け材の表面と支持部材のフレームの内面に重ね合わせ、且つ重なり合った部分をビスなどの固着具で一体に固着することで、天井材の縁部を構造躯体の壁部に一体に接続することができる。
【0020】
また、本発明の吊り天井の施工方法は、
構造躯体から垂下した複数の吊り材に、前記ハンガーをその首部を連結してそれぞれ取り付ける工程と、
前記ハンガーの主面部をフレームの内面に取り付ける工程と、
前記ハンガーが取り付けられたフレームと他のフレームとを縦横に架け渡し、且つ十字状に交差するフレーム同士の交差部のフレーム内面にハンガーが位置するように縦横のフレーム同士を接続して前記フレームを格子状に組み付けて支持部材を形成する工程と、
前記支持部材の各格子区画部に前記天井材を、その切り欠き部を前記フレーム同士の交差部の内側で前記ハンガーの首部の外面に係合させ、且つその周辺縁部をフレームの開口面内に配置させて、格子区画部を囲うフレームの上面に載せて当該格子区画部を閉鎖する位置に支持させる工程と、
前記支持部材のフレーム同士が十字状に交差した部分に固定手段を取り付けて、天井材の隅角部を固定手段で固定する工程と、
の各処理工程を経て構造躯体の下方に吊り天井を取り付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の吊り天井によれば、フレームを格子状に組み付け、フレーム同士が交差する部分にハンガーを取り付けて構成した支持部材を吊り材で支持し、何れかの四隅角部に切り欠き部を有する天井材を前記支持部材の各格子区画部の開口面に載せ、且つ前記吊り材に接続したハンガーを切り欠き部内に位置させる設置するという簡易な作業で天井材を取り付けることが可能である。
支持部材の各格子区画部の開口面に天井材を載せ、各々切り欠き部内にハンガーが位置し、係合する向きに天井材を揃えることで天井材の取り付け位置を画定し、天井材の周辺が格子区画部を囲うフレーム上面の中央に位置するように設置することができる。
前記開口面上で天井材は設置位置をずらさずに当該開口面を閉鎖する当初の設置位置に保持され、室内の床側から見上げて見える天井面を、格子状に組んだフレームの凸部とその中の天井材の凹部が表出した奥行感のある見栄えのよい外観のものに仕上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明による吊り天井の一実施形態の概略構成を示した図である。
図2図1の支持部材を構成する長尺のフレームの一部を破断した外観図である。
図3図1の支持部材を構成する短尺のフレームの一部を破断した外観図である。
図4図1のハンガーの外観図である。
図5】フレームを格子状に組み付けて支持部材を構成する工程を説明するための図である。
図6図1の天井材の外観図である。
図7図6の天井材を支持部材の格子区画部に設置する操作を説明するための図である。
図8】天井材の切り欠き部をフレームに係合させた状態を示した図である。
図9】天井材を支持部材に設置したときの天井材の縁部とフレームの配置を示した図である。
図10】支持部材の十字形にフレームが交差した部分に設置される固定手段の外観図である。
図11】支持部材の縁部に設置される固定手段の外観図である。
図12図10の固定手段を設置した状態の外観図である。
図13】天井材が取り付けられた支持部材の縁部に図11の固定手段を設置した状態の要部破断概略構成図である。
図14】天井材が取り付けられた支持部材の角部に図11の固定手段を設置した状態の要部破断概略構成図である。
図15】(A)、(B)及び(C)は押さえ材の一例の要部外観図である。
図16】本発明の吊り天井の他の実施形態における、天井材が取り付けられた支持部材の十字形にフレームが交差した部分に固定手段を設置した状態の要部破断概略構成図である。
図17図16の概略構成断面図である。
図18】他の実施形態における、天井材が取り付けられた支持部材の縁部に固定手段を設置した状態の要部破断概略構成図である。
図19】(A)から(D)は天井材の周辺部が接続する受け材を、壁部に取り付けた状態を示した図である。
図20】(A)、(B)は吊り天井の縁部と構造躯体の壁部との接続部を収める構造を示した図である。
図21】構造躯体の傾斜した壁部と吊り天井の縁部との接続部を収める構造を示した図である。
図22】吊り天井の縁部と構造躯体の壁部との接続部を収める他の構成を示した図である。
図23図2に示された長尺フレームに代わる他の形態のフレームの一部を破断した外観図である。
図24図23に示された他の形態のフレームと図3に示さ差されたフレームを組み合わせて構成される支持部材の概略上面図である。
図25図23に示されたフレームと図3に示されたフレームを格子状に組み付けて支持部材を構成する工程を説明するための図である。
図26】他の形態のフレームとハンガーの接続態様を示した図である。
図27】従来の吊り天井の一例の概略構成を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明の技術的思想は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0024】
図1から図14は本発明の一実施形態の吊り天井の構成を示している。
本形態の吊り天井1は、図1に示される、構造躯体から垂下した複数の吊り材7にハンガー3を介して吊り下げられた支持部材2と、この支持部材2上に取り付けられる複数枚の天井材4と、図10及び図11に示される、前記支持部材2とハンガー3の間に設置される固定手段5,6とを主要な部材として構成されている。
【0025】
詳しくは、支持部材2は、鋼板を断面略U字形に曲げ加工してなる複数のフレーム21を縦横に並べて格子状に組み合わせ、十字状に交差した部分に、同じく鋼材を略U字形に折り曲げてなるハンガー3を一体に取り付けて形成してある。
【0026】
図示した形態では、複数のフレーム21が前記吊り材7の配置間隔と略同じ長さの短尺なフレームとそれよりも長尺なフレームの二種類のフレームからなる態様を説明する。
【0027】
長尺のフレーム21は、図2に示されるように、フレーム同士が十字状に交差する部分の対向両側面に当該フレームの長手方向に沿って間隔を開けて、上縁から下方へ切れ込んだ一対のスリット21a,21aをそれぞれ設け、両スリット21a,21aの間の部分に、後述するリベットなどの留め具が挿通する四つの孔部21bを設けて形成してある。図示されないが、前記スリット21a,21aと各孔部21bは、長尺のフレーム21の長さ方向に沿って、短尺のフレーム21が連結する位置に対応して、つまり前記吊り材7の配置間隔だけ開けて、複数設けてある。
【0028】
短尺のフレーム21は、図3に示されるように、その両端部の底面を適宜な幅で切除して対向両側面を突出させるとともに、突出した両側面の根元部に上方へ切れ込んだスリット21a,21aをそれぞれ設けて形成してある。
短尺のフレーム21は、その端部に形成されたスリット21a,21aを、長尺のフレーム21の側面に形成された一対のスリット21a,21aに上方から差し込んで係合させることで、長尺のフレーム21の側面に直交して連結するように設けてある。
【0029】
ハンガー3は、図4に示されるように、底面部33の一側に吊り材7に連結する主面部31、他側に折り返し面部34がそれぞれ垂直に立ち上がって側面視略U字形に屈曲しており、その外周面を前記長尺のフレーム21の内周面に重ねてフレーム21内に差し込めるように形成してある。
【0030】
詳しくは、ハンガー3の主面部31は、その上部に細幅な首部を有し、この首部の上端に、吊り材7の下端部が挿入される孔部32aを有する折れ片部32を備えてなり、この主面部31の下部には前記留め具が挿通する四つの孔部31bが形成され、その両側には、空隙を開けて上方へ延びた補助面部31a,31aが設けてある。
また、折り返し面部34は、前記主面部31と同様に、その内部に前記留め具が挿通する四つの孔部34bが形成され、その両側には、空隙を開けて上方へ延びた補助面部34a,34aが設けてある。
【0031】
ハンガー3は、前記長尺のフレーム21の内側に差し込んだときに、フレーム21の内面に主面部31、底面部33及び折り返し面部34の外面が重なり、また、フレーム21の両側面に形成された各孔部21bと主面部31に形成された各孔部31b及び折り返し面部34に形成された各孔部34bとが同心上に重なるとともに、前記各孔部21bに各孔部31b及び孔部34bが重なった位置で、前記主面部31とその両側の補助面部31a,31aとの間の空隙内及び折り返し面部34とその両側の補助面部34a,34aとの間の空隙内に、フレーム21の両側面に形成された各スリット21aが位置するように設けてある(図5参照)。
【0032】
支持部材2は、図5に示されるように、ハンガー3を長尺なフレーム21内に差し込み、重なり合った前記孔部21b,31b及び孔部21b,34bに留め具(図示せず)を挿通して長尺なフレーム21内にハンガー3を一体に固定し、次いで長尺なフレーム21の一方の側面のスリット21a,21aに短尺なフレーム21の端部に形成されたスリット21a,21aを係合させて長尺なフレーム21の側面に短尺なフレーム21を連結し、同様にして前記長尺なフレーム21の対向側面のスリット21a,21aに別の短尺なフレーム21のスリット21a,21aを係合させて、ハンガー3が取り付けられた部分で長短のフレーム21,21同士を十字状に交差接続し、引き続き前記ハンガー3が取り付けられた長尺なフレーム21に短尺なフレーム21を前記と同様にして接続することで、複数の長短のフレームが格子状に接続した形態に構成される。
【0033】
天井材4は、本形態では有機繊維や無機繊維を主要材料として単位面積質量が2.0kg以下の軽量に形成された化粧材が用いられ、前記支持部材2の縦横のフレーム21,21で区画された一つの格子区画部の開口面よりも、縦横の長さが若干大きな寸法で平面視正方形状に形成してある。
【0034】
詳しくは、天井材4は、図6に示されるように、その四隅角部のうち、隣接する二つの角部に切り欠き部4a,4aを設けて形成してある。
この切り欠き部4a,4aは、天井材4の表面の編目の並びの方向を判別する指標として機能させるため、前記編目の並びの方向と対応付けた位置に形成してある。具体的には、支持部材2に設置される全ての天井材4について、天井材表面の編目の並び方向と平行な方向に沿って隣接する二つの角部に切り欠き部4a,4aを形成してある。なお、全ての天井材4について、編目の並び方向と直交する方向に沿って隣接する二つの角部に切り欠き部4a,4aに形成するようにしてもよい。
【0035】
図7に示されるように、天井材4は、吊り材7で構造躯体の下方に吊るされた支持部材2の各格子区画部の開口面に載せ、ハンガー3の首部を切り欠き部4a内に位置させて設置され、格子区画部の開口面を閉鎖して天井面を形成する。
この際、前記切り欠き部4aをハンガー3の首部の外面に係合させることができるように設けられており、また、支持部材2に取り付けられたハンガー3の首部をフレーム21の幅よりも小さい寸法に形成してあるので、図8に示されるように、支持部材2の格子区画部に天井材4を設置したときに、天井材4の切り欠き部4aをフレーム21の幅よりも内側に収めてハンガー3の首部の外面に係合させることができる。また、天井材4は格子区画部を囲うフレーム21上に載せることで天井材4の設置位置が画定され、図9に示されるように、その周辺縁部をフレーム21の上面中央に配置させて、格子区画部を閉鎖する位置に支持させることができる。
天井材4の切り欠き部4a,4aがハンガー3に係合することで、設置位置がずれたりせず、当初の設置位置に保持され、仮にフレーム21上で天井材4がずれても、天井材4の周辺がフレーム21のU字開口部上に位置するため、支持部材2と天井材4との間で光漏れとなるような隙間ができるようなことはない。
【0036】
固定手段5は、図10に示されるように、合成樹脂製のパッド51の対向端部間に線状バネ52を架け渡して形成されており、支持部材2のフレーム21同士が十字状に交差した部分に設置してある。
【0037】
詳しくは、パッド51は、平面視円形乃至楕円形状を呈する板材であり、その側端部に縁部から当該パッドの中心を通って内方へ伸びたスリット51aが設けてあり、その上面全体には多数の凹部51bを縦横に列設して軽量に形成してある。
線状バネ52は、適宜な太さの線状鋼材をアーチ状に湾曲させて形成されたバネであり、その両端部52a,52aをパッド51の対向側端部に形成された穴部(図示せず)に挿入し係合させて、パッド51の両側端部間に架設してある。線状バネ52のアーチ状に湾曲した中央部分は、当該アーチ状に湾曲する軌跡とは逆方向に、弓形に緩やか湾曲させてある。また、線状バネ52は、前記パッド51の穴部に挿通した両端部52a,52aを軸として回転自在となっており、不使用時にはパッド51の側方に倒して嵩張らずに保管することができ、使用時には、パッド51の表面の上方に起立させることができるようになっている。また、線状バネ52をパッド51の裏面の上方に起立させて利用することで、パッド51の表裏何れの面も後述する押圧部位として使用できるようになっている。
【0038】
固定手段5は、図12に示されるように、支持部材2のフレーム21同士が十字状に交差した部分で、パッド51のスリット51aにハンガー3の主面部31を係入させて、支持部材2上に取り付けられた前記交差した部分の廻りの四枚の天井材4の各角部の表面にパッド51を重ねて置いた状態で、パッド51の上方に起立させた線状バネ52を弾性変形させつつハンガー3の折れ片部32の下面に係合させることで設置される。かかる設置状態で、線状バネ52の弾性力によりパッド51が下方へ押圧されてパッド51が重なった前記各天井材4の角部にパッド51から押圧力が加わり、パッド51と支持部材2に挟まった前記各天井材4の角部を下方へ弾圧付勢して、各天井材4を取り付け位置に固定することができるようになっている。
【0039】
固定手段6は、図11に示されるようなコイルバネであり、支持部材2の縁部、つまりフレーム21同士がT字状に交差した、又はL字状に交差した部分に設置してある。
【0040】
詳しくは、固定手段6のコイルバネは、そのコイル内径を前記吊り材7の外径よりも若干大きな寸法に設定して吊り材7の外周に装着することができるように形成されているとともに、その下端部に前記コイル内径よりも大きな径で湾曲した天井材支持部61を設け、この天井材支持部61の端部に下方折れ部62を設けて形成してある。
【0041】
固定手段6は、図13及び図14に示されるように、支持部材2の縁部において、ハンガー3の折れ片部32の下方に突出した吊り材7の外周に装着して、その上端部を前記折れ片部32の下部に係合させるとともに、全体を軸方向に圧縮させながら、その下端部の天井材支持部61を支持部材2に取り付けられた天井材4の角部の表面に重ねることで設置される。天井材支持部61の端部の下方折れ部62は、ハンガー3の主面部31と折り返し面部34との間の部分に挿入される。かかる設置状態で、固定手段6であるコイルバネに軸方向に伸長する方向への弾性力が作用して、前記天井材支持部61が重なった天井材4の角部を下方に押圧せしめることで、天井材4を取り付け位置に固定することができるようになっている。
【0042】
これらの部材からなる本形態の吊り天井1は、例えば以下の手順の施工により形成することができる。
【0043】
先ず、構造躯体などから垂下した各吊り材7にハンガー3を各々固定し、固定されたハンガー3を前記図5に示したように長尺なフレーム21に一体に取り付け、さらに短尺なフレーム21を長尺なフレーム21間に架け渡し、フレーム21同士を格子状に組み付けて支持部材2を形成する。
【0044】
次いで、前記図7及び図8に示したように、天井材4を支持部材2の各格子区画部の開口面に載せ、ハンガー3の首部に切り欠き部4aを係合させて支持部材2上に設置する。
【0045】
支持部材2上に天井材4を取り付けたならば、図12に示したように、支持部材2のフレーム21同士が十字状に交差した部分に固定手段5を取り付けて天井材4を押圧固定する。
固定手段5の取り付けは、同図に示されるように、パッド51の上方に線状バネ52を立ち上げた状態で、パッド51に形成されたスリット51aの先端にハンガー3の主面部31を係入させ、そのままパッド51をスライドさせて、線状バネ52をハンガー3の折れ片部32の下側に弾性変形させつつ圧入することにより行うことができる。
【0046】
そして、固定手段5を取り付けた後、或いは固定手段5の取り付けと並行して、図13に示した、支持部材2のフレーム21同士がT字状に交差した部分と、図14に示した、支持部材2のフレーム21同士がL字状に交差した部分に、固定手段6であるコイルバネを取り付けて天井材4を押圧固定することにより吊り天井1の施工が完了する。
【0047】
図15は、前記のように支持部材2に設置された天井材4の浮き上がり防止及び位置ずれを防ぐために用いられる押さえ材を示している。
図示した押さえ材8,9は、アルミニウムなどの軽量な鋼材又は合成樹脂材を用いて、前記支持部材2の縦横のフレーム21で区画された一つの格子区画部の一辺の長さと略同じ長さに形成されたアングル材である。
【0048】
押さえ材8は、同図(A)に示されるように、断面T字型のアングル材であり、その上面部81を、フレーム21を挟んで隣接する前記格子区画部に取り付けられた天井材4,4の周辺部上に架け渡し、その垂下面部82をフレーム21の凹部内に差し入れて取り付けられるようになっている(図16及び図17参照)。
【0049】
また、押さえ材9は、同図(B)に示されるように、断面L字型のアングル材であり、その上面部91を支持部材2の縁部のフレーム21に取り付けられた天井材4の周辺部に重ね合わせ、その折れ面部92を当該フレーム21の凹部内に差し入れて取り付けられるようになっている(図18参照)。
さらに、変形例として、同図(C)に示されるように、断面略コ字型のアングル材であり、その上面部91を支持部材2の縁部のフレーム21に取り付けられた天井材4の周辺部に重ね合わせ、その折れ面部92をフレーム21又は後述する受け材10の凹部内に差し入れ、且つ下面部93をフレーム21又は受け材10の底部内面に重ねて取り付けられるようになっている(図22参照)。
【0050】
押さえ材8,9は、その上面部81,91を前記フレーム21の凹部上に重なった天井材4の周辺部に重ね、且つフレーム21の凹部内に垂下面部82,折れ面部92を差し入れて支持部材2上に設置した状態で、その長手両端部が固定手段5又は固定手段6により下方へ弾圧付勢されることにより支持部材2上に取り付けられる。
押さえ材8,9を取り付けることで、天井材4の周辺部が押さえ材8,9により下方に押さえつけられ、これにより天井材4とフレーム21との間にできやすい隙間が完全に閉鎖することが可能である。
【0051】
前記構成の吊り天井1の周辺部分は、図1に示されるように、構造躯体の壁部BWに沿って、フレーム21と同様に鋼板を断面略U字状に曲げ加工して形成された受け材10を取り付け、この受け材10に前記吊り天井1の支持部材2の端部を接続して収めることができる。
【0052】
図19から図21は、構造躯体の壁部BWに受け材10を取り付けて、吊り天井1の周辺部の取り合いを収める構造を示している。
図19(A)に示されるように、壁部BWに取り付ける受け材10は、支持部材21を構成するフレーム21と同様に断面略U字形に曲げ加工された鋼板を用い、これをビスやネジなどの留め具11で留め付け、壁部BWに固定する。
受け材10は、同図(B)に示されるように、前記ハンガー3を介して壁部BWに固定してもよく、同図(C)、(D)に示されるように、略々L字型の断面形状に形成し、これを留め具11で壁部BWに直に留め付けてもよい。
【0053】
前記壁部BWに取り付けられた受け材10に吊り天井1の支持部材2を接続するには、図20に示されるように、壁部BWに取り付けられた受け材10の側部に支持部材2のフレーム21の端部をあてがい、このフレーム21内に略U字形に屈曲した接続片12を差し入れて受け材10とフレーム21に重ね合わせ、重なり合った部分をビスなどの留め具(図示せず)で一体に固着して行うことができる。
【0054】
壁部BWと吊り天井1の周辺部の取り合いが斜めの場合には、図21に示されるように、支持部材2を構成するフレーム21の端部を斜めに切断し、この傾斜した端部を壁部BWに取り付けられた受け材10の側面に当接させ、前記端部が傾斜したフレーム21内に屈曲した接続片12を差し入れ、フレーム21と受け材10の重なり合った部分を留め具で一体に固着して収めることが可能である。
前記略U字形に屈曲した接続片12に代えて、略L字形に屈曲した形状のものを用いて受け材10とフレーム21同士の重なり部を接続してもよい。
また、図22に示されるように、壁部BWに受け材10を取り付け、この受け材10上に天井材4の縁部を載せて支持するとともに、天井材4の周辺部を前記受け材10内に挿入設置した押さえ材9で押さえて天井材4の浮き上がりを防止し、されに、その上から縁部押さえ材13を重ね、これを受け材10とともに留め具11で壁部BWに取り付けることにより吊り天井1の縁部が壁部BWに接続するようにしてもよい。
【0055】
図23から図25は、図2に示された長尺のフレーム21とは異なる形態のフレームを用いて支持部材2を構成する態様を示している。
詳しくは、図23に示されるように、この態様のフレーム211は、前述のフレーム21と同様に断面略U字形に曲げ加工された鋼板を用いて、前記図3に示された短尺のフレーム21と同じ長さに設けられ、その両端部の対向側面に、端部から対向側面間の幅の1/2の寸法だけ間隔を開けた位置に、上縁から下方へ切れ込んだ一対のスリット21a,21aをそれぞれ設けるとともに、両スリット21a,21aと端部間には孔部21b,21bをそれぞれ設けて形成してある。
【0056】
そして、図24に示されるように、フレーム211,211を互いの端部同士を突き合せて直線状に並べた状態で、当該突き合せた両フレーム211,211に交差させて前記短尺のフレーム21を架け渡し、両フレーム211,211のスリット21a,21aに短尺のフレーム21のスリット21a,21aを上方から差し込んで係合させることで、フレーム211,211が一続きに接続し、且つ接続部の側面に直交して短尺のフレーム21を連結させることができるようになっている。
【0057】
また、支持部材2を吊り材7に吊るす位置で、図25に示されるように、端部同士を突き合せたフレーム211,211の内側にハンガー3を設置し、両部材の重なり合った孔部21b,31b及び孔部21b,34bに留め具を挿通し、さらに前記のように短尺のフレーム21を交差連結する。これにより、同図に示されるように、短尺なフレーム21とフレーム211とが格子状に組み合わされた支持部材2を構成することができるようになっている。
【0058】
なお、図示した吊り天井1のフレーム21を含む全体又は各部材の構成や、固定手段5,6の形態、押さえ材8,9の形態は、本発明の実施形態の一例を示すものであり、本発明はこれに限定されず、他の適宜な形態で構成することが可能である。
例えば図26に示されるように、上部開口がその底面部よりも狭くなる断面形状のフレーム21同士を組み合わせて支持部材2を構成してもよい。この場合、ハンガー3は、フレーム21同士が十字状に交差する部分のフレーム21の上面に取り付けられる。
実施形態では、天井材として有機繊維や無機繊維を主要材料として形成されたものを用いたが、適宜な不燃材料、例えばガラス繊維などを用いて軽量に形成されたシート材や布材などからなる天井材を用いてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 吊り天井、2 支持部材、21 フレーム、3 ハンガー、4 天井材、5,6 固定手段、7 吊り材、8,9 押さえ材、10 受け材、11 留め具、12 接続片、13 縁部押さえ材
【要約】
【課題】室内から吊り天井を見上げたときの見栄えを向上するとともに、簡易な作業により容易に施工することができるようにする。
【解決手段】構造躯体の下方に吊り下げられた、断面略U字形のフレームが格子状に組み付けられてなる支持部材と、四隅角部の何れかに切り欠き部が形成されてなる天井材とを備える。天井材は、支持部材の格子区画部に載せて支持させ、支持部材のフレーム内側に取り付けられたハンガーに切り欠き部を係合させて、格子区画部周辺のフレーム上に設置する。
【選択図】図8
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
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図22
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図27