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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-09
(45)【発行日】2022-08-18
(54)【発明の名称】認知症予測装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20220810BHJP
【FI】
A61B5/055 380
A61B5/055 382
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021562448
(86)(22)【出願日】2020-06-01
(86)【国際出願番号】 JP2020021610
(87)【国際公開番号】W WO2021111658
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-01-19
(31)【優先権主張番号】P 2019220070
(32)【優先日】2019-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】516259468
【氏名又は名称】一般社団法人ブレインインパクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山川 義徳
【審査官】下村 一石
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-134211(JP,A)
【文献】特開2013-165765(JP,A)
【文献】NEMOTO,Kiyotaka et al.,"MRI-based Brain Healthcare Quotients: A bridge between neural and behavioral analyses for keeping t,PLOS ONE,2017年10月27日,pp.1-13
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の脳の灰白質量の平均値に相当する値であるGM-BHQ値を演算するGM-BHQ値演算処理部と、
前記GM-BHQ値演算処理部が演算出力した前記被験者の前記GM-BHQ値と、前記GM-BHQ値演算処理部が前記被験者の前記GM-BHQ値を演算した日における前記被験者の年齢に基づいて、前記被験者の前記GM-BHQ値が、人が認知症に罹患する可能性が高いGM-BHQ値である認知症ラインに到達する年齢である認知症罹患可能性年齢を演算する認知機能予測演算部と
を具備する、認知症予測装置。
【請求項2】
更に、
前記GM-BHQ値演算処理部が被験者のGM-BHQ値を演算出力した日であるGM-BHQ値登録日と、被験者を一意に識別する被験者IDと、前記GM-BHQ値とを紐付けて登録するBHQテーブルと
を具備し、
前記認知機能予測演算部は、前記GM-BHQ値演算処理部が前記被験者の前記GM-BHQ値を演算出力した第一の演算日における第一のGM-BHQ値と、前記第一の演算日から所定の期間を経過した第二の演算日における第二のGM-BHQ値と、前記第二の演算日における前記被験者の年齢に基づいて、前記被験者の前記認知症罹患可能性年齢を演算する、請求項1に記載の認知症予測装置。
【請求項3】
前記GM-BHQ値演算処理部は、被験者の健康状態に関するアンケートの回答である生活環境アンケート結果が入力されると、前記被験者の脳の灰白質量の平均値を算出した値の推定値である推定GM-BHQ値を出力する推定演算処理部であり、
前記BHQテーブルは、前記被験者が前記生活環境アンケート結果を回答した日であるアンケート受付日と、被験者を一意に識別する被験者IDと、前記推定GM-BHQ値とを紐付けて登録する推定BHQテーブルであり、
前記認知機能予測演算部は、前記推定演算処理部が前記被験者の前記推定GM-BHQ値を推定演算出力した第一のアンケート受付日における第一の推定GM-BHQ値と、前記第一のアンケート受付日から所定の期間を経過した第二のアンケート受付日における第二の推定GM-BHQ値と、前記第二のアンケート受付日における前記被験者の年齢に基づいて、前記被験者の前記認知症罹患可能性年齢を演算する、請求項2に記載の認知症予測装置。
【請求項4】
前記GM-BHQ値演算処理部は、
前記被験者の脳画像データから複数の灰白質量データを得る灰白質量算出部と、
複数の前記灰白質量データの平均値を算出した値である計測GM-BHQ値を出力する平均値演算部と
を具備し、
前記BHQテーブルは、前記被験者の前記脳画像データの撮影日と、被験者を一意に識別する被験者IDと、前記計測GM-BHQ値とを紐付けて登録する計測BHQテーブルであり、
前記認知機能予測演算部は、前記平均値演算部が前記被験者の前記計測GM-BHQ値を演算出力した第一の撮影日における第一の計測GM-BHQ値と、前記第一の撮影日から所定の期間を経過した第二の撮影日における第二の計測GM-BHQ値と、前記第二の撮影日における前記被験者の年齢に基づいて、前記被験者の前記認知症罹患可能性年齢を演算する、請求項2に記載の認知症予測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認知症予測装置に関する。
より詳細には、MRI(magnetic resonance imaging:核磁気共鳴画像法)等の、人間の脳を非侵襲にて三次元撮像を行う装置が出力する脳画像データを用いて、生体情報を収集し、解析を行う脳情報解析装置の機能として、被験者が認知症に罹患する可能性を予測する、認知症予測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
元々、MRIは非侵襲にて脳を含めた内臓疾患を発見し、診断するためのツールであった。しかし、近年、MRIにて人の脳を撮影し、三次元の脳画像データを取得することが永続的に行われてきたことにより、様々な人々の脳画像データが徐々に蓄積されるようになってきた。そこで、近年の脳科学者は、脳疾患に留まらず、脳画像データから得られる情報と、人の健康との相関性を模索するようになった。
これ以降、本明細書において脳画像データから得られる情報を、脳情報と総称する。脳情報とは例えば、脳画像データを画像解析した結果得られる、脳の特定部位における灰白質の量や、脳の特定部位における神経線維の異方性等である。
【0003】
特許文献1には、撮影したMRI画像から脳断面の灰白質画像を作成し、その灰白質画像を健常者の灰白質画像と比較して、脳の特定部位の萎縮を判定することで、認知症等の兆候を診断する技術が開示されている。
また、特許文献2には、脳解析情報を扱い易い値に変換し、健康の指標として使用することができる、発明者らによる脳情報解析装置と脳健康指標演算装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-230456号公報
【文献】特開2018-33516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
脳画像データから脳の部位毎に情報を取得する方法には様々なものが存在する。どの脳情報取得方法も、得られる情報は非常に詳細である。しかし、この詳細な情報、すなわち変数の数が多いことが、データの全体の傾向を統計的に類推する、いわゆるビッグデータの解析手法には馴染まない。
【0006】
MRI装置は高価であり、国際比較においてわが国では相対的に導入台数は多いものの、他の医療機器に比べると、さほど導入台数は多くない。また、その運用コストも安くはない。このため、MRIによる脳画像データを蓄積することは容易なことではない。したがって、現状では統計的解析の基となるデータの母数があまり多くない。一方で、脳画像データから得られる情報を変数に置き換えると、その変数の数は極めて多くなる。これは、統計的解析手法では、既知の値については正しい推定結果を出す一方で、未知の値については正しい推定結果が得られない、オーバーフィッティングという現象を引き起こす。
また、変数の数が多いことは、判断の指標が複雑になることを示す。このため、現状の詳細な脳解析情報のままでは、脳科学の専門家しかわからず、一般の人が脳の健康の指標等に利用するのには適していない。
【0007】
発明者らはこのような課題を解決し、脳解析情報を扱い易い値に変換し、健康の指標として使用できる、脳情報解析装置と脳健康指標演算装置を発明した。この発明が特許文献2に開示された発明である。
【0008】
一方、特許文献1に開示されている脳疾患の診断を支援する方法及び装置は、以下に記す情報処理を実行する。
まず、入力したMRI脳画像に対して空間的なズレを補正する位置合わせを行う(ステップ1)。次に、その画像から灰白質組織を抽出する(ステップ2)。そして、第1の画像平滑化を行う(ステップ3)。更に、その画像に対して解剖学的標準化を行う(ステップ4)。次に、第2の画像平滑化を行い(ステップ5)、濃度値の補正を行い(ステップ6)、補正後の脳画像と健常者のMRI脳画像との統計的比較を行って(ステップ7)、診断結果を提供する。
【0009】
特許文献1に記載の技術は、以上のような処理を通じて、健常者との違いから、脳疾患の鑑別診断を実装しているが、この方法は罹患しているか、罹患していないかの区別には適しているものの、将来罹患する可能性を予測する目的には適していない。
【0010】
本発明はかかる課題を解決し、極めて簡易な演算処理で、被験者の認知症罹患の可能性を具体的数値指標にて提示できる、認知症予測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の認知症予測装置は、被験者の脳の灰白質量の平均値に相当する値であるGM-BHQ値を演算するGM-BHQ値演算処理部と、GM-BHQ値演算処理部が演算出力した被験者のGM-BHQ値と、GM-BHQ値演算処理部が被験者のGM-BHQ値を演算した日における被験者の年齢に基づいて、被験者のGM-BHQ値が、人が認知症に罹患する可能性が高いGM-BHQ値である認知症ラインに到達する年齢である認知症罹患可能性年齢を演算する認知機能予測演算部と、を具備する。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、極めて簡易な演算処理で、被験者の認知症罹患の可能性を具体的数値指標にて提示することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第一の実施形態に係る、認知症予測装置を用いて被験者に第一回目及び第二回目のMRI撮像を実施する状況を示す概略図である。
図2】認知症予測装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】認知症予測装置のソフトウェア機能を示すブロック図である。
図4】認知症予測装置のソフトウェア機能によるデータの処理手順を示すブロック図である。
図5】一人のサンプル被験者の脳画像データから算出したGM-BHQと年齢と認知症ラインとの関係を示すグラフである。
図6】本発明の第二の実施形態に係る認知症予測装置における、学習フェーズと推定フェーズを示す概略図である。
図7】認知症予測装置のソフトウェア機能の全体構成を示すブロック図である。
図8】各種テーブルのフィールド構成を示す表である。
図9】認知症予測装置が計測BHQテーブルに計測GM-BHQ値及び計測FA-BHQ値を登録する処理手順を示すブロック図である。
図10】アンケートの一例を示す図である。
図11】認知症予測装置の学習フェーズにおける全体の動作の流れを示すフローチャートである。
図12】学習演算処理部のデータ処理の詳細を示すブロック図である。
図13】推定演算処理部のデータ処理の詳細を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明者は、数年に渡る多数の被験者のMRI画像データと、当該被験者の健康状態に関する情報を長期間に渡って分析した結果、認知症と、特許文献2に開示したGM-BHQ(Grey-Matter Brain Healthcare Quotient:灰白質量データ群の平均値)が、極めて高い相関を有することを見出した。
すなわち、発明者は、所定の期間以上空けて、被験者からGM-BHQを2回取得することで、GM-BHQの値とその低下の傾きを取得した。そして、発明者は、この低下の傾きから、被験者が、いつ頃、どの程度の確率で認知症に罹患する可能性があるのかを数値で示すことができることを見出した。
【0015】
[第一の実施形態:被験者102の脳をMRI装置103で撮影して、認知症罹患可能性を算出する認知症予測装置101]
図1Aは、本発明の第一の実施形態に係る、認知症予測装置101を用いて被験者に第一回目のMRI撮像を実施する状況を示す概略図である。
図1Bは、本発明の第一の実施形態に係る、認知症予測装置101を用いて被験者に第二回目のMRI撮像を実施する状況を示す概略図である。
認知症予測装置101は、大容量の不揮発性ストレージ206(図2にて後述)と、所定の演算能力を備えるパソコンあるいはサーバである。
【0016】
認知症予測装置101には、被験者102の脳をMRI装置103で撮影して得た、MRI画像ファイル群104が入力され、データベースとして蓄積される。MRI画像ファイル群104は、全て被験者102を一意に識別する被験者ID105によって紐付けされる。特に、MRI画像ファイル群104を保存するために、認知症予測装置101には大容量の不揮発性ストレージ206が必要になる。
【0017】
MRI画像ファイル群104は、MRI装置103が被験者102の脳を撮影した複数の画像ファイルである。これら画像ファイルは、被験者102の脳を仮想的に輪切り状態にて撮影した画像ファイルであり、被験者102の頭頂部から首に至る迄、複数枚得られる。認知症予測装置101は、この複数枚の画像ファイルを用いて、被験者102の脳を三次元空間的に解析する。
【0018】
認知症予測装置101は、以下の手順で使用される。
まず、図1Aに示すように、MRI装置103は、第一MRI撮影日106aに被験者102の脳を撮影する。そして、MRI装置103は、被験者102の脳を撮像した第一MRI画像ファイル群104aを出力する。
認知症予測装置101は、出力された第一MRI画像ファイル群104aを読み込み、所定の画像解析処理を用いて、被験者102の脳情報を取得する。次に、認知症予測装置101は、この被験者102の脳情報の平均値を算出して、被験者102の被験者ID105及び第一MRI画像ファイル群104aの撮影日と紐付けて、不揮発性ストレージ206に記憶する。
なお、脳情報の平均値は、人の健康の指標となる値であり、図3以降で詳述する。
【0019】
次に、図1Bに示すように、MRI装置103は、第一MRI撮影日106aから所定の期間を経過した第二MRI撮影日106bに、再び、被験者102の脳を撮影する。そして、MRI装置103は、被験者102の脳を撮像した第二MRI画像ファイル群104bを出力する。
認知症予測装置101は、出力された第二MRI画像ファイル群104bを読み込み、所定の画像解析処理を用いて、被験者102の脳情報を取得する。次に、認知症予測装置101は、この被験者102の脳情報の平均値を算出して、被験者102の被験者ID105及び第二MRI画像ファイル群104bの撮影日と紐付けて、不揮発性ストレージ206に記憶する。
なお、これ以降、第一MRI画像ファイル群104a及び第二MRI画像ファイル群104bを区別しないときは、MRI画像ファイル群104と称する。同様に、第一MRI撮影日106a及び第二MRI撮影日106bを区別しないときは、MRI撮影日106と称する。
【0020】
ここで、所定の期間は、最低で1ヶ月、好ましくは3ヶ月から半年程度の期間が適当である。一例として、図1Aに示される第一MRI撮影日106aは、2019年1月16日水曜日であり、図1Bに示される第二MRI撮影日106bは、2019年4月26日金曜日である。つまり、第一MRI撮影日106aから第二MRI撮影日106bに至るまで3ヶ月が、経過した所定の期間となっている。
【0021】
次に、認知症予測装置101は、第一MRI撮影日106aに記憶した被験者102の脳情報の平均値と、第二MRI撮影日106bに記憶した被験者102の脳情報の平均値を用いて、脳情報の平均値の傾きを算出する。そして認知症予測装置101は、脳情報の平均値の変化から、被験者102が何年後に、認知症に罹患する可能性があるかを示す認知機能予測データ107を算出する。最終的に、認知症予測装置101は、算出した認知機能予測データ107を不揮発性ストレージ206に記憶する他、表示部204(図2参照)に表示する。
【0022】
図2は、認知症予測装置101のハードウェア構成を示すブロック図である。
一般的なパソコンやサーバ等の電子計算機である認知症予測装置101は、バス208に接続されている、CPU201、ROM202、RAM203、液晶ディスプレイ等の表示部204、キーボードやマウス等の操作部205、ハードディスク装置等の不揮発性ストレージ206、及び現在日時情報を出力するリアルタイムクロック(以下「RTC」)207を備える。
【0023】
バス208にはこの他に、MRI画像ファイル群104を受け付けて、不揮発性ストレージ206内に形成するデータベースに登録するための、シリアルポート209やNIC(Network Interface Card)210が接続されている。不揮発性ストレージ206には、OSと、パソコンやサーバを認知症予測装置101として稼働させるためのプログラムと、図3にて後述する種々のデータベースが格納されている。
なお、認知症予測装置101がサーバである場合、認知症予測装置101は、周知のクライアントサーバシステムである認知症予測システムを構成することとなる。認知症予測装置101をサーバで構成すると、NIC210は認知症予測装置101に必須だが、表示部204と操作部205は必ずしも必要ではなく、シリアルポート209は不要である。そして、認知症予測システムを実現するためには、ネットワークを通じてサーバである認知症予測装置101を操作する端末が別途必要になる。
【0024】
図3は、認知症予測装置101の、ソフトウェア機能を示すブロック図である。
図4は、認知症予測装置101のソフトウェア機能によるデータの処理手順を示すブロック図である。
図3に示すように、認知症予測装置101は、入出力制御部301、灰白質量算出部302、神経線維異方性算出部303、平均値演算部305及び認知機能予測演算部307を備える。また、認知症予測装置101は、脳情報テーブル304、計測BHQテーブル306及び被験者マスタ308を有している。
【0025】
入出力制御部301は、図1にて説明したように、MRI装置103からネットワークあるいはUSBメモリ等を経由してMRI画像ファイル群104を受信する。また、入出力制御部301は、操作部205または図示しないバーコードリーダ等の所定の入力手段から被験者ID105の入力を受け付ける。
更に、入出力制御部301は、RTC207から現在日時情報を受け取る。なお、後述する脳情報テーブル304及び計測BHQテーブル306において必要な項目は、MRI撮影日106だけなので、日付さえ合っていれば、図示しない操作者が手入力にて操作部205から入出力制御部301へMRI撮影日106を入力してもよい。
【0026】
灰白質量算出部302は、入出力制御部301を通じてMRI画像ファイル群104を読み込み、脳の特定部位における灰白質の量を示す灰白質量データ群401(図4参照)を算出する。灰白質量データ群401は、脳の116箇所の部位における灰白質量データの集合体である。
神経線維異方性算出部303は、入出力制御部301を通じてMRI画像ファイル群104を読み込み、脳の特定部位における白質を構成する神経線維の異方性の指標値を示す神経線維異方性データ群402(図4参照)を算出する。神経線維異方性データ群402は、脳の48箇所の部位における白質を構成する神経線維の異方性の指標値の集合体である。
【0027】
但し、本発明の第一の実施形態に係る認知症予測装置101は、神経線維異方性データ群402を必ずしも必要としない。MRI装置103は、神経線維異方性データを算出できるため、これによってより精度が良く認知症を推定できる可能性がある。このため、本発明の第一の実施形態に係る認知症予測装置101では、神経線維異方性算出部303を特に必要としない。したがって、神経線維異方性算出部303は、図4では点線で図示されている。
【0028】
なお、MRI装置103の種類によっては神経線維異方性データ群402を取得できない安価な装置も存在する。本発明の第一の実施形態に係る認知症予測装置101は、そのような安価なMRI装置103でも実施可能である。
【0029】
図4に示すように、入出力制御部301は、灰白質量算出部302が算出した灰白質量データ群401と、神経線維異方性算出部303が算出した神経線維異方性データ群402と、被験者102の被験者ID105と、RTC207または操作部205等から取得したMRI撮影日106を、全て脳情報テーブル304に登録する。
脳情報テーブル304は、被験者IDフィールドと、MRI撮影日フィールドと、116個の灰白質量データフィールドと、48個の神経線維異方性データフィールドよりなる。
すなわち、入出力制御部301は、MRI撮影日106、灰白質量データ群401及び神経線維異方性データ群402を、被験者102の被験者ID105に紐付けて、脳情報テーブル304に登録する。
【0030】
なお、MRI画像ファイル群104は貴重な画像データの集合体であるので、これもMRI撮影日106と共に被験者ID105に紐付けられて、大容量の不揮発性ストレージ206に記憶される。本発明の実施形態では、MRI画像ファイル群104は、これ以降の説明では使用しないので、MRI画像ファイル群104の図示及びその説明は省略する。
【0031】
脳情報テーブル304に格納された116個の灰白質量データ群401と、48個の神経線維異方性データ群402は、入出力制御部301を通じてそれぞれ平均値演算部305に入力される。
平均値演算部305は、116個の灰白質量データ群401の平均値を算出する。これ以降、灰白質量データ群401の平均値をGM-BHQ(Grey-Matter Brain Healthcare Quotient)と呼ぶ。GM-BHQは単一のスカラ値である。
同様に、平均値演算部305は、入出力制御部301を通じて48個の神経線維異方性データ群402の平均値を算出する。これ以降、神経線維異方性データ群402の平均値をFA-BHQ(fractional anisotropy Brain Healthcare Quotient)と呼ぶ。FA-BHQもGM-BHQと同様、単一のスカラ値である。
但し、本発明の第一の実施形態に係る認知症予測装置101は、前述のように神経線維異方性データ群402を使用しないので、FA-BHQも使用しない。
【0032】
入出力制御部301は、平均値演算部305が算出した計測GM-BHQ値及び計測FA-BHQ値を、被験者102の被験者ID105と、MRI撮影日106と共に、計測BHQテーブル306に登録する。
計測BHQテーブル306は、被験者IDフィールド、MRI撮影日フィールド、計測GM-BHQフィールド、及び計測FA-BHQフィールドよりなる。すなわち、MRI撮影日106、計測GM-BHQ値、及び計測FA-BHQ値は、被験者102の被験者ID105に紐付けられて、計測BHQテーブル306に登録される。
【0033】
すなわち、入出力制御部301は、MRI撮影日106と計測GM-BHQ値及び計測FA-BHQ値を、被験者の被験者IDに紐付けて、計測BHQテーブル306に登録する。
なお、これ以降、平均値演算部305が算出するGM-BHQを、計測GM-BHQ値と呼ぶ。この計測GM-BHQ値は、MRI装置103が出力するMRI画像ファイル群104(脳画像データ)に対する計測に基づくGM-BHQの値である。
【0034】
計測BHQテーブル306に、ある被験者102について第一MRI撮影日106aのレコードと第二MRI撮影日106bのレコードが揃うと、認知機能予測演算部307は、以下に記す演算処理を実行することができる。
まず、認知機能予測演算部307は、被験者102の計測GM-BHQ値の変動を1次関数とみなして、被験者102の計測GM-BHQ値の傾きを演算する。具体的には、認知機能予測演算部307は、第一MRI撮影日106aと第二MRI撮影日106bの経過期間と、第一MRI撮影日106aにおける計測GM-BHQ値から、計測GM-BHQ値の傾きを算出する。
【0035】
計測GM-BHQ値の傾きをC、第一MRI撮影日106aをD1、第二MRI撮影日106bをD2、第一MRI撮影日106aの計測GM-BHQ値をG1、第二MRI撮影日106bの計測GM-BHQ値をG2とすると、以下の式が成立する。認知機能予測演算部307は、以下の式を演算して、計測GM-BHQ値の傾きCを算出する。
C=(G2-G1)÷(D2-D1) (式1)
【0036】
人の計測GM-BHQ値が低下して認知症に罹患する可能性が高い計測GM-BHQ値を認知症ラインとする。認知機能予測演算部307は、第二MRI撮影日106bにおける計測GM-BHQ値及び被験者102の年齢を基準にして、被験者102の計測GM-BHQ値が認知症ラインに至るまで低下する年齢、すなわち認知症に罹患する可能性が高いと思われる年齢を算出する。この時、認知機能予測演算部307は、被験者102の第二MRI撮影日106bの時点における年齢を取得するため、被験者マスタ308から、被験者102の生年月日を読み込み、被験者102の第二MRI撮影日106bの時点における年齢を算出する。
【0037】
被験者マスタ308は、被験者IDフィールドと、被験者氏名フィールドと、被験者生年月日フィールドと、その他フィールドを有する。認知機能予測演算部307は、被験者102の被験者IDで被験者マスタ308を検索し、ヒットしたレコードの被験者生年月日フィールドから被験者102の生年月日を読み取り、被験者102の第二MRI撮影日106bの時点における年齢を計算する。
【0038】
被験者が認知症に罹患する可能性が高いと思われる年齢(以下「認知症罹患可能性年齢」)をYD2、認知症ラインの計測GM-BHQ値をGB、第二MRI撮影日106bの被験者年齢をYP2とすると、以下の式が成立する。認知機能予測演算部307は、以下の式を演算して、認知症罹患可能性年齢YD2を算出する。
YD2={(GB-G2)÷C}+YP2 (式2)
【0039】
入出力制御部301は、認知機能予測演算部307が算出した、第一MRI撮影日106aの計測GM-BHQ値であるG1、第二MRI撮影日106bの計測GM-BHQ値であるG2、第二MRI撮影日106bの被験者年齢YP2及び認知症罹患可能性年齢YD2を認知機能予測データ107とし、これらの値を基にグラフを作成して、表示部204に表示する。また入出力制御部301は、作成した認知機能予測データ107を不揮発性ストレージ206にファイルとして記憶する。
【0040】
図5は、一人のサンプル被験者の脳画像データ(MRI画像ファイル群104)から算出した計測GM-BHQ値と年齢と認知症ラインとの関係を示すグラフである。このグラフは、認知機能予測演算部307が算出したG1、G2、YP2及びYD2よりなる認知機能予測データ107を基に、入出力制御部301がグラフを作成して、表示部204に表示するものでもある。
グラフ中、横軸が年齢で、縦軸が計測GM-BHQ値である。このグラフは、発明者が本発明の第一の実施形態に係る認知症予測装置101を完成するに至った、多数の被験者102の脳画像データを解析した結果である。
【0041】
本発明に関わる調査は、国の公的研究機関及び国立大学法人(理化学研究所、京都大学、東京大学、島根大学)の倫理委員会によって承認されたものであり、これらの研究機関の規則及びガイドラインに従って実施された。全ての参加者から、参加前に文書による同意を得て行った。
全てのMRI画像データは、国の公的研究機関及び国立大学法人(理化学研究所、京都大学、東京大学、島根大学)で32チャンネルのヘッド・アレイ・コイルを用いて、3Tシーメンス・スキャナを使用して収集された。
【0042】
発明者は、計測GM-BHQ値の基となる灰白質質量データを取得するために、構造MRI(sMRI)を用いて、三次元磁化準備高速グラディエント・エコー(MPRAGE)画像を取得した。また、発明者は、画像データから灰白質のみをピクセルの濃度範囲を指定することで抽出し、DARTEL(diffeomorphic anatomical registration through exponentiated Lie algebra)による標準化を施した。そして、発明者は、得られた画像に積分による平滑化処理を施した後、被験者102の頭蓋内容積で除算をすることで、脳の容積の個人差を打ち消して、最終的な灰白質量データを取得した。
【0043】
図5のグラフを見ると、年齢と計測GM-BHQ値は比較的急峻な負の比例関係にあることが判る。計測GM-BHQ値の相関係数Rは0.61であった。
図5中、線L501は、計測GM-BHQ値の年齢別平均値である。線L502は、計測GM-BHQ値の年齢別上限値である。線L503は、計測GM-BHQ値の年齢別下限値である。計測GM-BHQ値は、40歳では106±7であり、50歳では100±7であり、60歳では94±8である。
【0044】
図5のグラフから明らかなように、計測GM-BHQ値は、被験者102の年齢と有意な相関関係が認められる。また、グラフにはあまり現れていないが、加齢と共に計測GM-BHQ値のばらつきが大きくなる傾向がある。
言い換えると、人は加齢と共に脳の灰白質量が減少することが、このグラフから判る。
そして、GM-BHQが78±10迄減少すると、認知症に罹患する確率が極めて増大することが、発明者の調査により判明した。具体的には、認知症に罹患した被験者102のGM-BHQは78±10であり、健常者のGM-BHQは96±8であった。しかし、認知症に罹患した被験者102の年齢は概ね76±6歳であり、健常者の年齢は概ね75±6歳であって、年齢的にはあまり差が出ていないことが分かった。
【0045】
このGM-BHQが78という値が、認知症ラインL504といえる。
更に、GM-BHQの年齢別下限値である線L503と認知症ラインL504の交わる年齢が、認知症罹患の可能性が生じる平均年齢V506であると考えられる。但し、平均年齢V506はあくまでも平均値であり、当然に個人差は存在する。その個人差を推測する有力な手段の一つが、発明者が見出したGM-BHQである。
【0046】
図5のグラフは、一人のサンプル被験者の計測GM-BHQ値をプロットしている。このサンプル被験者の計測GM-BHQ値の計測結果である線L505を見ると、この線L505の傾きを延長すると、概ね60歳後半で認知症ラインL504に到達し、認知症に罹患する可能性が高まると推測される。
【0047】
なお、前述のとおり、計測GM-BHQ値を計測する期間は、最低3ヶ月、好ましくは半年から1年と記した。そして、計測GM-BHQ値を計測する期間は、5年を超えて開き過ぎても、被験者102の認知症罹患可能性を正しく推測することが難しくなる。何故ならば、計測GM-BHQ値は数ヶ月単位で変動が検出できることから、5年を超えるとその間に生じる計測GM-BHQ値の変動状態が平準化されてしまい、被験者102の生活環境に起因する計測GM-BHQ値の変動要因を推測し辛くなるからである。
【0048】
また、認知症罹患可能性を推測するには、被験者102の現在の生活環境から起因する計測GM-BHQ値を見るために、最新の計測GM-BHQ値から最低3ヶ月、好ましくは半年から1年程度の値を用いて、計測GM-BHQ値の傾きを決定することが好ましい。
【0049】
[第一の実施形態:変形例:認知症予測装置101]
以上説明した第一の実施形態に係る認知症予測装置101は、被験者の計測GM-BHQ値の減少傾向を1次関数と見做して、被験者の認知症罹患可能性年齢を推測演算する。このため、この演算方法では、被験者に対するMRI撮影を2回実施しなければ、被験者の認知症罹患可能性年齢を推測することができない。このことは、第一回目のMRI撮影の時点では、医師等が被験者に対して、被験者が認知症に罹患する可能性が高い年齢を推測し、認知症罹患可能性年齢を引き伸ばすための生活改善アドバイス等の診療行為を実施することができないことを意味する。
【0050】
脳神経外科等の医療現場において、医師が患者または被験者に対し、認知症に罹患する可能性が高い年齢を推測して、認知症罹患可能性年齢を引き伸ばすための生活改善アドバイス等の診療行為を実施する為には、第一回目のMRI撮影の時点で、患者または被験者の大雑把な認知症罹患可能性年齢を推測できることが望ましい。そこで、第一回目のMRI撮影の時点では、被験者の計測GM-BHQ値の減少傾向を1次関数と見做して、傾きを計測GM-BHQ値の減少傾向の平均値に設定する。
【0051】
図5において人の平均的な計測GM-BHQ値の減少傾向が示されている。発明者が多くの被験者のデータから算出したところ、-0.5という傾きの平均値が得られた。そこで、この傾きの平均値を、第一回目のMRI撮影の時点における患者または被験者の大雑把な認知症罹患可能性年齢の算出に利用する。
【0052】
認知症罹患可能性年齢をYD1、認知症ラインの計測GM-BHQ値をGB、第一MRI撮影日106aの被験者年齢をYP1とすると、以下の式が成立する。認知機能予測演算部307は、以下の式において傾きCに適切な傾きの平均値を代入した上で演算して、第一回目のMRI撮影における認知症罹患可能性年齢YD1を算出する。
YD1={(GB-G2)÷C}+YP1 (式3)
【0053】
以上を踏まえて、実際の現場において、医師が被験者102の脳をMRI装置103で撮影して、被験者102の認知症罹患可能性年齢を報告することを考えると、医師は認知症予測装置101を用いて、以下のような手順を踏むこととなる。
(1)医師は、被験者102に第一回目のMRI撮影を実施する。認知症予測装置101は、第一回目のMRI撮影の時点で得られた計測GM-BHQ値に基づき、上記の式3を用いて、被験者102の認知症罹患可能性年齢を算出する。そして医師は被験者102に認知症罹患可能性年齢を報告すると共に、生活習慣の改善を指導する。
(2)被験者102は、医師に指導された内容に従い、日々の生活の中で生活習慣の改善を実施する。
(3)半年~1年後、医師は再び、被験者102に第二回目のMRI撮影を実施する。認知症予測装置101は、第一回目のMRI撮影の時点の計測GM-BHQ値と、第二回目のMRI撮影の時点の計測GM-BHQ値に基づき、上記の式1及び式2を用いて、被験者102の認知症罹患可能性年齢を改めて算出する。そして医師は被験者102に認知症罹患可能性年齢を報告すると共に、前回と比べて改善されたか否かも報告する。
【0054】
以上説明したように、本発明の第一の実施形態に係る認知症予測装置101は、被験者に対する第一回目のMRI撮影の時点で認知機能予測演算部307が式3を実行することで、平均的な認知症罹患可能性年齢を算出し、被験者に対する第二回目のMRI撮影の時点で認知機能予測演算部307が式1と式2を実行することでより精緻な認知症罹患可能性年齢を算出することができる。
【0055】
以上説明した認知症予測装置101は、被験者の計測GM-BHQ値の変化を1次関数と見做して、認知症罹患可能性年齢を算出した。周知のように、任意の事象における値が3個以上得られると、関数フィッティング(曲線近似)が可能になる。計測GM-BHQ値も同様であり、被験者から計測する計測GM-BHQ値が3個以上得られると、曲線近似を用いて、1次関数より高度な認知症罹患可能性年齢の推測演算をしてもよい。関数フィッティングの例としては、加重平均、シグモイド関数、重回帰分析等、様々な手法が考えられる。
【0056】
[第二の実施形態:被験者102の生活環境アンケート結果に基づいてGM-BHQを推定することで、認知症罹患可能性を算出する認知症予測装置601]
本発明の第一の実施形態に係る認知症予測装置101は、被験者の脳をMRI装置103で撮影し、得られたMRI画像ファイル群104を用いて計測GM-BHQ値を算出する。そして認知症予測装置101は、計測GM-BHQ値とその傾きから、被験者の認知症予測演算を行う。
【0057】
しかし、MRI装置103の運用費用は高額であり、気軽に実施できるものではない。
一方、発明者によるこれまでの研究により、被験者の計測GM-BHQ値及びFA-BHQ値と、被験者の心身の健康状態は高い相関関係を有することが判明している。そこで、発明者は、被験者の心身の健康状態を分析するために、「生活環境アンケート」を作成し、被験者に回答して貰うことにした。このアンケート回答から、被験者のGM-BHQ値及びFA-BHQ値を推定することが可能であることが分かった。アンケート回答からGM-BHQ値を推定できるということは、MRI装置103を使わなくても、被験者の認知症罹患可能性を推定することが可能であることを意味する。
【0058】
これより説明する本発明の第二の実施形態に係る認知症予測装置601は、学習フェーズにおいて、第一被験者602の脳をMRI装置103で撮影して取得する計測GM-BHQ値及び計測FA-BHQ値と、生活環境アンケート結果を教師あり学習アルゴリズムにて学習する。その後、認知症予測装置601は推定フェーズにおいて、第二被験者に生活環境アンケート結果を所定期間空けて回答して貰う。そして認知症予測装置601は、それら回答から教師あり学習アルゴリズムにて推定して、推定GM-BHQ値を取得する。そして、推定GM-BHQ値に基づいて認知症罹患可能性を計算する。
【0059】
図6Aは、本発明の第二の実施形態に係る認知症予測装置601における、学習フェーズを示す概略図である。
図6Bは、本発明の第二の実施形態に係る認知症予測装置601における、推定フェーズを示す概略図である。
【0060】
まず、MRI装置103は、MRI撮影日106に第一被験者602の脳を撮影して、MRI画像ファイル群104を出力する。
認知症予測装置601は、第一被験者602のMRI画像ファイル群104と、生活環境アンケート結果603を取り込み、学習処理を行う。その結果、近似関数パラメータ604が生成され、または更新される。
認知症予測装置601は、大容量の不揮発性ストレージ206と、所定の演算能力を備えるパソコンあるいはサーバである。
【0061】
認知症予測装置601には、第一被験者602の脳をMRI装置103で撮影して得たMRI画像ファイル群104が入力され、データベースとして蓄積される。MRI画像ファイル群104は、全ての第一被験者602を一意に識別する被験者IDによって紐付けされる。特に、MRI画像ファイル群104を保存するために、認知症予測装置601には大容量の不揮発性ストレージ206が必要になる。
【0062】
MRI画像ファイル群104は、MRI装置103が第一被験者602の脳を撮影した複数の画像ファイルである。これら画像ファイルは、第一被験者602の脳を仮想的に輪切り状態にて撮影した画像ファイルであり、第一被験者602の頭頂部から首に至る迄、複数枚得られる。認知症予測装置601は、この、複数枚の画像ファイルを用いて、第一被験者602の脳を三次元空間的に解析する。
【0063】
本発明の第二の実施形態に係る認知症予測装置601は、本発明の第一の実施形態に係る認知症予測装置101と同様に、第一被験者602の脳をMRI装置103で撮像したMRI画像ファイル群104に基づいて、特許文献2に開示される、二種類の脳情報の平均値である計測GM-BHQ値及び計測FA-BHQ値を算出する。
【0064】
そしてMRI撮影日106と同日(殆どの場合、MRI撮影の待ち時間)に、図示しない認知症予測装置601の操作者あるいは補助者は、第一被験者602に対し、生活環境アンケート(図10参照)を実施する。そして、図示しない操作者は、認知症予測装置601に、第一被験者602におけるアンケートの回答内容である生活環境アンケート結果603を、全ての項目毎にデータとして入力する。
【0065】
図示しない操作者は、複数の第一被験者602に対し、上述のMRI撮影と生活環境アンケートを実施し、得られたそれらデータ群を認知症予測装置601に入力して蓄積する。そして、図示しない操作者は、認知症予測装置601に対して学習処理を実行すると、認知症予測装置601は、近似関数パラメータ604を生成または更新する。すると、認知症予測装置601は、近似関数パラメータ604を用いて、生活環境アンケートの回答内容を読み込むと、当該生活環境アンケートの回答者のGM-BHQ及びFA-BHQを推定する。この機能が、次の図6Bで説明する、認知症予測装置601の推定フェーズである。
【0066】
図6Bは、本発明の第二の実施形態に係る認知症予測装置601の、推定フェーズを示す概略図である。
図6Aの時点とは異なる第二被験者605は、第一アンケート受付日606において、図示しない操作者あるいは補助者の指示に従い、第一回目の生活環境アンケートに回答し、第一日程生活環境アンケート結果607を作成する。
次に、第一アンケート受付日606から所定の期間が経過したら、第二被験者605は第二アンケート受付日608において、図示しない操作者あるいは補助者の指示に従い、第二回目の生活環境アンケートに回答し、第二日程生活環境アンケート結果609を作成する。
【0067】
図示しない操作者は、認知症予測装置601に、第二被験者605の、第一アンケート受付日606における第一日程生活環境アンケート結果607と、第二アンケート受付日608における第二日程生活環境アンケート結果609を入力する。そして図示しない操作者は、認知症予測装置601を操作して、近似関数パラメータ604を用いて推定処理を行わせる。その結果、認知症予測装置601は、第二被験者605の第一日程生活環境アンケート結果607に対応する第一の推定BHQと、第二日程生活環境アンケート結果609に対応する第二の推定BHQを出力する。
【0068】
第一の推定BHQは、第二被験者605の第一日程生活環境アンケート結果607に基づく第一推定GM-BHQ値と、第一推定FA-BHQ値の組である。
第二の推定BHQは、第二被験者605の第二日程生活環境アンケート結果609に基づく第二推定GM-BHQ値と、第二推定FA-BHQ値の組である。
【0069】
認知症予測装置601は、この推定演算処理で得られた第一推定GM-BHQ値と第二推定GM-BHQ値に基づいて、認知症予測演算処理を実行する。
認知症予測装置601は、被験者102の、第一アンケート受付日606における第一推定GM-BHQ値と、第二アンケート受付日608における第二推定GM-BHQ値を用いて、推定GM-BHQ値の傾きを算出する。そして認知症予測装置601は、推定GM-BHQ値の変化から、被験者102が何年後に、認知症に罹患するのかを示す可能性を示す、認知機能予測データ610を算出する。最終的に、認知症予測装置601は、算出した認知機能予測データ610を不揮発性ストレージ206に記憶する他、表示部204に表示する。
【0070】
第一被験者602は、認知症予測装置601の学習フェーズにおいて、学習用データを提供するための被験者である。このため、第一被験者602は、MRI装置103にてMRI撮影が行われると共に、アンケートに回答して生活環境アンケート結果603を作成する。そして、認知症予測装置601は公知の学習アルゴリズムの中から最適な教師有り学習を選択し、実行する。このため、認知症予測装置601は、推定精度を高めるために多人数の第一被験者602が必要である。認知症予測装置601は、多数の第一被験者602の学習データに基づいて推定演算処理を実現する。
これに対し、第二被験者605は、認知症予測装置601の推定フェーズにおいて、アンケートの内容からBHQ値を推定し、更に認知症に罹患する可能性を演算するための対象被験者である。
【0071】
認知症予測装置601は、予め学習フェーズにて、認知症予測装置601自身に多数の第一被験者602の計測GM-BHQ値と生活環境アンケート結果603を学習させることで、近似関数パラメータ604を生成・更新する。
そして、認知症予測装置601は、MRI装置103を用いて被験者の脳を撮影しないで、推定フェーズにて、被験者に生活環境アンケートを回答して貰い、その回答を用いてGM-BHQ値を推定する。これにより、認知症予測装置601は、第一の実施形態に係る認知症予測装置101と同様の、認知機能予測データ610を演算して出力することができる。
因みに、図6Bは、第一の実施形態における図1に対応している。
【0072】
[第二の実施形態:認知症予測装置601:ソフトウェア機能]
本発明の第二の実施形態に係る認知症予測装置601のハードウェア構成は、本発明の第一の実施形態に係る認知症予測装置101のハードウェア構成と同一である。すなわち、認知症予測装置601のハードウェア構成は、図2と同一であるので、図示及び説明を省略する。
図7は、認知症予測装置601のソフトウェア機能の全体構成を示すブロック図である。なお、図7に示すブロック図の、図3と同一の機能ブロックについては、同一の符号を付して説明を省略する。
【0073】
入出力制御部701には、MRI画像ファイル群702とアンケート回答群703が入力される。アンケート回答群703は、生活環境アンケート結果603、第一日程生活環境アンケート結果607及び第二日程生活環境アンケート結果609を含む。入力の手段としては、操作部205やシリアルポート209等、様々な入力装置が利用可能である。
入出力制御部701は、データ処理及び演算機能として、灰白質量算出部302、神経線維異方性算出部303、学習演算処理部704、推定演算処理部705、平均値演算部305、及び認知機能予測演算部307とのデータの授受が可能になっている。
入出力制御部701は、被験者マスタ706、脳情報テーブル304、計測BHQテーブル707、近似関数パラメータ604、アンケートテーブル708、及び推定BHQテーブル709への読み書きを可能としている。
【0074】
図8は、各種テーブルのフィールド構成を示す表である。
被験者マスタ706は、被験者IDフィールド、被験者氏名フィールド、性別フィールド、及び生年月日フィールドを有する。
被験者IDフィールドには、被験者を一意に識別する被験者IDが格納される。
性別フィールドには、被験者の性別を示す性別フラグが格納される。
生年月日フィールドには、被験者の生年月日が格納される。
被験者の年齢は、生年月日フィールドの値から算出される。
なお、被験者マスタ706は、第一被験者602及び第二被験者605を区別することなくレコードに登録し、管理する。
【0075】
被験者マスタ706は、本発明の第一の実施形態に係る認知症予測装置101における被験者マスタ308とは異なり、性別フィールドが存在する点で異なっている。なお、被験者の性別は、後述する学習演算処理部704における学習処理において、学習演算処理部704に入力される特徴ベクトルとして重要な要素(次元)である。
【0076】
特許文献2に開示したGM-BHQ及びFA-BHQは、被験者の国籍、居住地等と性別によって大きく相違する傾向が見受けられる。
一般的に、脳の灰白質量や神経線維異方性は、加齢と共に減少する傾向がある。そして、GM-BHQ及びFA-BHQの偏りは、性別でも大きく異なる。
【0077】
脳情報テーブル304は、被験者IDフィールド、灰白質量データ群フィールド、神経線維異方性データ群フィールド、及びMRI撮影日フィールドを有する。
被験者IDフィールドは、被験者マスタ706の同名フィールドと同じである。
灰白質量データ群フィールドには、灰白質量算出部302がMRI画像ファイル群104から算出した、被験者の灰白質量データ群が格納される。
神経線維異方性データ群フィールドには、神経線維異方性算出部303がMRI画像ファイル群104から算出した、被験者の神経線維異方性データ群が格納される。
MRI撮影日フィールドには、被験者がMRIにて撮影された日(MRI撮影日)が格納される。
【0078】
計測BHQテーブル707は、被験者IDフィールド、MRI撮影日フィールド、計測GM-BHQフィールド、及び計測FA-BHQフィールドを有する。
被験者IDフィールドは、被験者マスタ706の同名フィールドと同じである。
MRI撮影日フィールドは、脳情報テーブル304の同名フィールドと同じである。
計測GM-BHQフィールドには、灰白質量算出部302によって算出された、MRI撮影日フィールドに格納されているMRI撮影日における、被験者の計測GM-BHQ値が格納される。
計測FA-BHQフィールドには、神経線維異方性算出部303によって算出された、MRI撮影日フィールドに格納されているMRI撮影日における、被験者の計測FA-BHQ値が格納される。
【0079】
近似関数パラメータ604は、学習演算処理部704によって生成、更新され、推定演算処理部705によって参照される、教師あり学習アルゴリズムに基づく近似関数を形成するためのパラメータである。殆どの場合、近似関数パラメータ604は、教師あり学習アルゴリズムを実現する演算式の係数をなす行列データである。
【0080】
アンケートテーブル708は、被験者IDフィールド、アンケート受付日フィールド、アンケート項目フィールド、及びアンケート値フィールドを有する。
被験者IDフィールドは、被験者マスタ706の同名フィールドと同じである。
アンケート受付日フィールドには、被験者が生活環境アンケートを回答した日であるアンケート受付日が格納される。
アンケート項目フィールドには、アンケートの項目を一意に識別する項目IDが格納される。
アンケート値フィールドには、項目IDに該当するアンケートの項目における、被験者の回答内容を示す値が格納される。
アンケートの項目は、例えば2択~9択で構成される。
【0081】
推定BHQテーブル709は、被験者IDフィールド、アンケート受付日フィールド、推定GM-BHQフィールド、及び推定FA-BHQフィールドを有する。
被験者IDフィールドは、被験者マスタ706の同名フィールドと同じである。
アンケート受付日フィールドは、アンケートテーブル708の同名フィールドと同じである。
推定GM-BHQフィールドには、推定演算処理部705によって推定された、アンケート受付日フィールドに格納されているアンケート受付日における、被験者の推定GM-BHQ値が格納される。
推定FA-BHQフィールドには、推定演算処理部705によって算出された、アンケート受付日フィールドに格納されているアンケート受付日における、被験者の推定FA-BHQ値が格納される。
【0082】
すなわち、推定BHQテーブル709は、被験者が生活環境アンケート結果を回答した日であるアンケート受付日と、被験者を一意に識別する被験者IDと、推定GM-BHQ値とを紐付けて登録する機能を有する。
【0083】
学習フェーズにおける被験者と推定フェーズにおける被験者は、異なる被験者として扱われる。
学習フェーズにおける被験者は、計測BHQテーブル707のレコードを有する。そして、計測BHQテーブル707のMRI撮影日フィールドの値であるMRI撮影日は、アンケートテーブル708のアンケート受付日フィールドの値であるアンケート受付日と等しい。
これに対し、推定フェーズにおける被験者は、計測BHQテーブル707のレコードを有しない。
【0084】
図9は、認知症予測装置601が計測BHQテーブル707に計測GM-BHQ値及び計測FA-BHQ値を登録する処理手順を示すブロック図である。このブロック図は認知症予測装置601が実行する学習フェーズの前処理を示す図である。
【0085】
入出力制御部701は、MRI装置103からネットワークあるいはUSBメモリ等を経由してMRI画像ファイル群104を受信する。また、入出力制御部701は、操作部205または図示しないバーコードリーダ等の所定の入力手段から被験者ID105の入力を受け付ける。更に、入出力制御部701は、RTC207から現在日時情報を受け取る。
なお、後述する脳情報テーブル304及び計測BHQテーブル707において必要な項目はMRI撮影日106であるので、日付さえ合っていれば、図示しない操作者が手入力にて操作部205から入出力制御部701へMRI撮影日106を入力してもよい。
【0086】
灰白質量算出部302は、入出力制御部701を通じてMRI画像ファイル群104を読み込み、脳の特定部位における灰白質の量を示す灰白質量データ群401を算出する。灰白質量データ群401は、脳の116箇所の部位における灰白質量データの集合体である。
神経線維異方性算出部303は、入出力制御部701を通じてMRI画像ファイル群104を読み込み、脳の特定部位における白質を構成する神経線維の異方性の指標値を示す神経線維異方性データ群402を算出する。神経線維異方性データ群402は、脳の48箇所の部位における白質を構成する神経線維の異方性の指標値の集合体である。
【0087】
入出力制御部701は、灰白質量算出部302が算出した灰白質量データ群401と、神経線維異方性算出部303が算出した神経線維異方性データ群402を、第一被験者602の被験者ID105と、RTC207または操作部205等から取得したMRI撮影日106に紐付けて、脳情報テーブル304に登録する。
【0088】
脳情報テーブル304に格納された116個の灰白質量データ群401と、48個の神経線維異方性データ群402は、入出力制御部701を通じてそれぞれ平均値演算部305に入力される。
平均値演算部305は、116個の灰白質量データ群401の平均値である計測GM-BHQ値を算出する。
同様に平均値演算部305は、入出力制御部701を通じて48個の神経線維異方性データ群402の平均値である計測FA-BHQ値を算出する。
【0089】
入出力制御部701は、平均値演算部305が算出した計測GM-BHQ値及び計測FA-BHQ値を、第一被験者602の被験者ID105と、MRI撮影日106に紐付けて、計測BHQテーブル707に登録する。
【0090】
以上に説明した図9のデータ処理の流れは、本発明の第一の実施形態に係る認知症予測装置101の、図4に示したデータ処理のうち、計測BHQテーブル306を作成するまでの処理と同じである。
【0091】
図10は、アンケートの一例を示す図である。
アンケートには、被験者の基礎情報、被験者の心理テストに関する質問群、被験者の認知テストに関する質問群等が、それぞれ設けられている。
被験者の基礎情報には、生年月日、性別、身長、体重、体脂肪率等の項目が設けられている。
これ以外の、被験者の心理テストや認知テスト等に関するアンケートの項目は、それぞれ例えば2個~9個程度の範囲で任意に選定される。
アンケートそのものはデータに汎用性を持たせるために、上記の心理テストや認知テスト以外に、被験者の健康、運動、対話、食事、学習等の項目についても質問が設けられているが、認知症予測装置601では心理テストや認知テスト等の項目を特徴ベクトルとして採用する。
【0092】
なお、被験者の基礎情報として、年に1回以上実施される定期健診の診断結果をアンケートに含めることもできる。特に、
・WBC(白血球)、RBC(赤血球)、Hb(ヘモグロビン)、Ht%(ヘマトクリット)、PLT(血小板)、Fibrinogen(フィブリノゲン)、PF4(Platelet factor 4:血小板第4因子)等の血液情報一般、
・TP(総蛋白)、アルブミン、A/G比、T-Bil(total billirubins:総ビリルビン)、GOT(グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)、GPT(グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ)、γ-GTP(γグルタミルトランスペプチダーゼ)、ALP(アルカリホスファターゼ)、HBV(B型肝炎ウイルス)、HCV(C型肝炎ウイルス)等の肝機能情報、
・TC(total cholesterol:総コレステロール)、TG(Triglyceride:トリアシルグリセロール、トリグリセリド、中性脂肪)、HDL(High Density Lipoprotein cholesterol:高比重リポ蛋白質コレステロール、善玉コレステロール)、LDL(Low Density Lipoprotein cholesterol:低比重リポ蛋白質コレステロール、悪玉コレステロール)、LDL計算値、Lpa(Lysophosphatidic acid:リゾホスファチジン酸)、糖、GLU(glucose:グルコース)、A1c(Hemoglobin A1c:ヘモグロビンA1c)等の脂質・糖尿病関連情報、
・蛋白、潜血、BUN(尿素窒素)、Cr(creatinine:クレアチニン)、Na(ナトリウムイオン)等の尿検査による腎臓膵臓機能情報
などは、被験者の健康状態を客観的かつ詳細に示す情報となるので、生活環境アンケート結果603に含める情報として極めて有用である。
【0093】
図11は、認知症予測装置601の学習フェーズにおける全体の動作の流れを示すフローチャートである。
処理を開始すると(S1101)、まず、図示しない操作者は、MRI装置103を用いて第一被験者602をMRI撮影する。そして、図示しない操作者は、MRI装置103から第一被験者602のMRI画像ファイル群104を取得する(S1102)。MRI画像ファイル群104は、認知症予測装置601に入力される。
【0094】
次に、認知症予測装置601は、灰白質量算出部302、神経線維異方性算出部303及び平均値演算部305を用いて、第一被験者602のMRI画像ファイル群104から、計測GM-BHQ値と計測FA-BHQ値を演算し、計測BHQテーブル707に記憶する。
具体的にはまず、入出力制御部701は、入力されたMRI画像ファイル群104を灰白質量算出部302及び神経線維異方性算出部303に読み込ませる。そして入出力制御部701は、灰白質量算出部302が出力した灰白質量データ群401と、神経線維異方性算出部303が出力した神経線維異方性データ群402を、被験者ID105及びMRI撮影日106に紐付けて脳情報テーブル304に登録する。
【0095】
そして入出力制御部701は、脳情報テーブル304に登録された灰白質量データ群401と神経線維異方性データ群402を平均値演算部305に入力する。平均値演算部305は、被験者の計測GM-BHQ値と計測FA-BHQ値を算出する。入出力制御部701は、計測GM-BHQ値と計測FA-BHQ値を、被験者ID105及びMRI撮影日106に紐付けて計測BHQテーブル707に記憶する。(S1103)。このステップS1102及びS1103は、先に図9にて説明した動作に該当する。
【0096】
次に、図示しない操作者は、入出力制御部701を通じて第一被験者602の生活環境アンケート結果603をデータ化し、アンケートテーブル708に記憶する(S1104)。
入出力制御部701は、第一被験者602の生活環境アンケート結果603に記載されたアンケート内容等を特徴ベクトルとして、第一被験者602の計測GM-BHQ値及び計測FA-BHQ値を教師データとして、学習演算処理部704に与える。学習演算処理部704は、入出力制御部701から与えられた特徴ベクトル及び教師データに基づいて学習処理を実行する。学習演算処理部704は学習処理を実行した結果、近似関数パラメータ604を生成、または更新する(S1105)。
こうして、認知症予測装置601は一連の処理を終了する(S1106)。
【0097】
図12は、学習演算処理部704のデータ処理の詳細を示すブロック図である。すなわち、図12は、図11のステップS1105に相当する処理を示している。なお、図12及び図13において、各々の機能ブロック同士におけるデータのやり取り、及び各種テーブルにおける検索には、入出力制御部701が介在している。
アンケートテーブル708には、単一の被験者ID105に対して複数のアンケート受付日のレコードが存在し得る。
そこで、入出力制御部701は、図示しない操作者によって指定された第一被験者602の被験者ID105でアンケートテーブル708を検索して、アンケートテーブル708のレコードのうち、最新のアンケート受付日を有するレコードを特定する。
【0098】
同様に、計測BHQテーブル707には、単一の被験者ID105に対して複数のMRI撮影日106のレコードが存在し得る。そこで、入出力制御部701は、図示しない操作者によって指定された第一被験者602の被験者ID105で計測BHQテーブル707を検索して、計測BHQテーブル707のレコードのうち、最新のMRI撮影日106を有するレコードを特定する。
そして、第一被験者602のアンケート受付日は、計測BHQテーブル707のMRI撮影日106と等しいので、アンケートテーブル708と計測BHQテーブル707は、被験者マスタ706から特定された第一被験者602の被験者ID105とアンケート受付日=MRI撮影日106で紐付けられている。
【0099】
入出力制御部701は、被験者マスタ706を第一被験者602の被験者ID105で検索して取得した第一被験者602の年齢、性別他と、アンケートテーブル708から取得した、最新のアンケート受付日における第一被験者602の各回答項目を、学習演算処理部704に特徴ベクトルとして入力する。
また、入出力制御部701は、計測BHQテーブル707から取得した、最新のMRI撮影日106における第一被験者602の計測GM-BHQ値と計測FA-BHQ値を、学習演算処理部704に教師データとして入力する。
学習演算処理部704は、例えばSVM(Support Vector Machine)等を用いる教師あり学習アルゴリズムを利用して、学習演算処理を実行し、近似関数パラメータ604を生成または更新する。
【0100】
図13は、推定演算処理部705のデータ処理の詳細を示すブロック図である。
まず、入出力制御部701は、図示しない操作者の入力操作を受けて、評価対象とする第二被験者605の被験者ID105を特定する。
アンケートテーブル708には、単一の被験者ID105に対して複数のアンケート受付日のレコードが存在し得る。そこで、入出力制御部701は、図示しない操作者によって指定された第二被験者605の被験者ID105でアンケートテーブル708を検索する。そして、入出力制御部701は、アンケートテーブル708のレコードのうち、最新のアンケート受付日を有するレコードと、最新のアンケート受付日の直前のアンケート受付日を有するレコードを特定する。
入出力制御部701は、第一アンケート受付日606を第二被験者605の最新のアンケート受付日の直前のアンケート受付日とする。
入出力制御部701は、第二アンケート受付日608を第二被験者605の最新のアンケート受付日とする。
【0101】
入出力制御部701は、被験者マスタ706を第二被験者605の被験者ID105で検索して取得した第二被験者605の年齢、性別他と、アンケートテーブル708から取得した、第一アンケート受付日606における第二被験者605の各回答項目を、推定演算処理部705に特徴ベクトルとして入力する。
推定演算処理部705は、近似関数パラメータ604を参照する教師あり学習アルゴリズムを利用して、推定演算処理を実行し、入力された特徴ベクトルに対応する第一推定BHQとして、第一の推定GM-BHQ値及び第一の推定FA-BHQ値を出力する。
【0102】
同様に、入出力制御部701は、被験者マスタ706を第二被験者605の被験者ID105で検索して取得した第二被験者605の年齢、性別他と、アンケートテーブル708から取得した、第二アンケート受付日608における第二被験者605の各回答項目を、推定演算処理部705に特徴ベクトルとして入力する。
推定演算処理部705は、近似関数パラメータ604を参照する教師あり学習アルゴリズムを利用して、推定演算処理を実行し、入力された特徴ベクトルに対応する第二推定BHQとして、第二の推定GM-BHQ値及び第二の推定FA-BHQ値を出力する。
【0103】
すなわち、推定演算処理部705は、第二被験者605の健康状態に関するアンケートの回答である生活環境アンケート結果(第一日程生活環境アンケート結果607及び/または第二日程生活環境アンケート結果609)が入力されると、第二被験者605の脳の灰白質量の平均値を算出した値の推定値である推定GM-BHQ値(第一推定GM-BHQ値及び/または第二推定GM-BHQ値)を出力する。
【0104】
入出力制御部701は、以上の、第二被験者605の被験者ID105、第一アンケート受付日606及び第一推定BHQ、第二アンケート受付日608及び第二推定BHQを、推定BHQテーブル709に記憶する。
【0105】
入出力制御部701は、推定BHQテーブル709に記憶された第一の推定GM-BHQ値、第二の推定GM-BHQ値、第一アンケート受付日606及び第二アンケート受付日608と、被験者マスタ706に記憶された第二被験者605の生年月日を、認知機能予測演算部307に入力する。
【0106】
認知機能予測演算部307は、第一の実施形態と全く同じ処理を行う。具体的には、認知機能予測演算部307は、第二被験者605の推定GM-BHQ値の変動を1次関数とみなして、第二被験者605の推定GM-BHQ値の傾きを演算する。
まず、第一アンケート受付日606及び第二アンケート受付日608の経過期間と、第一アンケート受付日606における第一の推定GM-BHQ値から、推定GM-BHQ値の傾きを算出する。
【0107】
GM-BHQの傾きをC、第一アンケート受付日606をD1、第二アンケート受付日608をD2、第一アンケート受付日606における第一の推定GM-BHQ値をG1、第二アンケート受付日608における第二の推定GM-BHQ値をG2とすると、以下の式が成立する。
C=(G2-G1)÷(D2-D1) (式4)
【0108】
次に、認知機能予測演算部307は、第二アンケート受付日608における第二の推定GM-BHQ値及び第二被験者605の年齢を基準にして、GM-BHQが低下して認知症に罹患する値を認知症ラインとして、第二被験者605が認知症に罹患する可能性が高いと思われる年齢を算出する。この時、認知機能予測演算部307は、第二被験者605の第二アンケート受付日608の時点における年齢を取得するため、被験者マスタ706から、第二被験者605の生年月日を読み込み、第二被験者605の第二アンケート受付日608の時点における年齢を算出する。
すなわち、認知機能予測演算部307は、第二被験者605の被験者ID105で被験者マスタ706を検索し、ヒットしたレコードの生年月日フィールドから第二被験者605の生年月日を読み取り、第二被験者605の第二アンケート受付日608の時点における年齢を計算する。
【0109】
認知症罹患可能性年齢をYD2、認知症ラインのGM-BHQをGB、第二アンケート受付日608における第二被験者605の被験者年齢をYP2とすると、以下の式が成立する。
YD2={(GB-G2)÷C}+YP2 (式5)
入出力制御部701は、認知機能予測演算部307が算出した上記式の演算値を認知機能予測データ610とし、これを基にグラフを作成して、表示部204に表示する。また入出力制御部701は、作成した認知機能予測データ610を不揮発性ストレージ206にファイルとして記憶する。
【0110】
すなわち、認知機能予測演算部307は、同一の被験者について第一アンケート受付日と、第一アンケート受付日から所定の期間を経過した第二アンケート受付日に係るレコードが存在することを前提に、被験者の推定GM-BHQ値が認知症ラインに到達する年齢を演算する機能を有する。
【0111】
なお、学習演算処理部704と推定演算処理部705で用いる教師あり学習アルゴリズムは、SVMに限らない。
推定演算処理部705に推定GM-BHQ値及び推定FA-BHQ値を連続値として出力させたい場合には、回帰アルゴリズムに属するサポートベクタ回帰(support vector regression, SVR)の他、リッジ回帰(Ridge Regression, RR)、ランダムフォレスト回帰(random forest regression)、ニューラルネットワーク等を適用可能である。
【0112】
一方で、認知症予測装置601から得られる認知症罹患可能性の数値を、やや荒い精度の値として取得することを考えるならば、推定演算処理部705は、推定GM-BHQ値及び推定FA-BHQ値を連続値として出力せずに、複数個のクラスタとして推定することが考えられる。例えば、推定演算処理部705は、推定GM-BHQ値を95未満、95~100、100~105、105より大きい等の、4つのクラスタに分類する機能を有するものとする。
【0113】
このような場合、推定GM-BHQ値及び推定FA-BHQ値をクラスタとして捉え、分類アルゴリズムに属するサポートベクタ分類(support vector classification, SVC)の他、リッジ分類(Ridge classification)、ランダムフォレスト分類(random forest classification)、ナイーブベイズ分類(naive bayes classification)、ニューラルネットワーク等を適用可能である。
【0114】
本発明の第二の実施形態に係る認知症予測装置601においても、本発明の第一の実施形態に係る認知症予測装置101と同様に、第一回目の生活環境アンケートの時点で人の平均的な計測GM-BHQ値の減少傾向を用いて、被験者の認知症罹患可能性年齢の推定演算が可能である。
【0115】
認知症罹患可能性年齢をYD1、認知症ラインのGM-BHQをGB、第一アンケート受付日606における第二被験者605の被験者年齢をYP1とすると、以下の式が成立する。認知機能予測演算部307は、以下の式において傾きCに適切な傾きの平均値を代入した上で演算して、第一回目の生活環境アンケートにおける認知症罹患可能性年齢YD1を算出する。
YD1={(GB-G2)÷C}+YP1 (式6)
【0116】
以上を踏まえて、実際の現場において、医師が第二被験者605に生活環境アンケートを実施して、第二被験者605の認知症罹患可能性年齢を報告することを考えると、医師は認知症予測装置601を用いて、以下のような手順を踏むこととなる。
(1)医師は、第二被験者605に第一回目の生活環境アンケートを実施する。認知症予測装置601は、第一回目の生活環境アンケート結果から得られた推定GM-BHQ値に基づき、上記の式6を用いて、第二被験者605の認知症罹患可能性年齢を算出する。そして医師は第二被験者605に認知症罹患可能性年齢を報告すると共に、生活習慣の改善を指導する。
(2)第二被験者605は、医師に指導された内容に従い、日々の生活の中で生活習慣の改善を実施する。
(3)半年~1年後、医師は再び、第二被験者605に第二回目の生活環境アンケートを実施する。認知症予測装置601は、第一回目の生活環境アンケートの時点の推定GM-BHQ値と、第二回目の生活環境アンケートの時点の推定GM-BHQ値に基づき、上記の式4及び式5を用いて、第二被験者605の認知症罹患可能性年齢を改めて算出する。そして医師は第二被験者605に認知症罹患可能性年齢を報告すると共に、前回と比べて改善されたか否かも報告する。
【0117】
以上説明したように、本発明の第二の実施形態に係る認知症予測装置601は、被験者に対する第一回目の生活環境アンケート実施の時点で認知機能予測演算部307が式6を実行することで、平均的な認知症罹患可能性年齢を算出し、被験者に対する第二回目の生活環境アンケート実施の時点で認知機能予測演算部307が式4と式5を実行することでより精緻な認知症罹患可能性年齢を算出することができる。
【0118】
以上説明した認知症予測装置601は、被験者の推定GM-BHQ値の変化を1次関数と見做して、認知症罹患可能性年齢を算出した。周知のように、任意の事象における値が3個以上得られると、関数フィッティング(曲線近似)が可能になる。推定GM-BHQ値も同様であり、被験者の生活環境アンケート結果から推定する推定GM-BHQ値が3個以上得られると、曲線近似を用いて、1次関数より高度な認知症罹患可能性年齢の推測演算をしてもよい。関数フィッティングの例としては、加重平均、シグモイド関数、重回帰分析等、様々な手法が考えられる。
【0119】
第一の実施形態に係る認知症予測装置101は、MRI装置103が出力する被験者102のMRI画像ファイル群104に基づく計測GM-BHQ値と、被験者102の年齢に基づいて、被験者102の認知症罹患可能性年齢を演算した。
第二の実施形態に係る認知症予測装置601は、第二被験者605の生活環境アンケート結果に基づく推定GM-BHQ値と、第二被験者605の年齢に基づいて、第二被験者605の認知症罹患可能性年齢を演算した。
【0120】
認知症予測装置101が演算し出力する計測GM-BHQ値と、認知症予測装置601が演算し出力する推定GM-BHQ値とは、演算の手法が異なるものの、被験者の脳の灰白質量の平均値に相当する値であるGM-BHQ値である点は共通する。計測GM-BHQ値は被験者のMRI画像ファイル群104から演算する計測値であり、推定GM-BHQ値は被験者の生活環境アンケート結果から推定する推定値である、という違いはあるものの、得られる値の意味は同じである。
【0121】
そして、認知症予測装置101と認知症予測装置601は、被験者のGM-BHQ値と被験者の年齢に基づいて、被験者の認知症罹患可能性年齢を演算する手順も共通する。式1と式4、式2と式5、式3と式6は全く同じである。よって、認知症予測装置101と認知症予測装置601では、認知機能予測演算部307の演算機能は全く同じである。
【0122】
第一の実施形態に係る認知症予測装置101において、計測GM-BHQ値は灰白質量算出部302及び平均値演算部305によって演算される。被験者102の脳画像データから複数の灰白質量データを得る灰白質量算出部302と、複数の灰白質量データの平均値を算出した値である計測GM-BHQ値を出力する平均値演算部305は、計測GM-BHQ値を演算する。
第二の実施形態に係る認知症予測装置601において、推定GM-BHQ値は推定演算処理部705によって演算される。推定演算処理部705は、第二被験者605の健康状態に関するアンケートの回答である生活環境アンケート結果が入力されると、第二被験者605の脳の灰白質量の平均値を算出した値の推定値である推定GM-BHQ値を演算する。
認知症予測装置101の灰白質量算出部302及び平均値演算部305と、認知症予測装置601の推定演算処理部705は、被験者の脳の灰白質量の平均値に相当する値であるGM-BHQ値を演算するGM-BHQ値演算処理部という上位概念に含めることができる。
【0123】
第一の実施形態に係る認知症予測装置101において、計測BHQテーブル306は、被験者102の脳画像データの撮影日を格納するMRI撮影日フィールドと、被験者102を一意に識別する被験者IDを格納する被験者IDフィールドと、計測GM-BHQ値を格納する計測GM-BHQフィールドを有する。すなわち、計測BHQテーブル306は、被験者102の脳画像データの撮影日と、被験者102を一意に識別する被験者IDと、計測GM-BHQ値とを紐付けて登録する。
第二の実施形態に係る認知症予測装置601において、推定BHQテーブル709は、第二被験者605が生活環境アンケートを回答した日であるアンケート受付日を格納するアンケート受付日フィールドと、第二被験者605を一意に識別する被験者IDを格納する被験者IDフィールドと、推定演算処理部705によって推定された、アンケート受付日フィールドに格納されているアンケート受付日における、第二被験者605の推定GM-BHQ値を格納する推定GM-BHQフィールドを有する。すなわち、推定BHQテーブルは、第二被験者605のアンケート受付日と、第二被験者605を一意に識別する被験者IDと、推定GM-BHQ値とを紐付けて登録する。
計測BHQテーブル306のMRI撮影日フィールドに格納されるMRI撮影日と、推定BHQテーブル709のアンケート受付日フィールドに格納されるアンケート受付日は、GM-BHQ値演算処理部が被験者のGM-BHQ値を演算出力した日であるGM-BHQ値登録日という上位概念に含めることができる。
計測BHQテーブル306の計測GM-BHQフィールドに格納される計測GM-BHQ値と、推定BHQテーブル709の推定GM-BHQフィールドに格納される推定GM-BHQ値は、上述のように、被験者の脳の灰白質量の平均値に相当する値であるGM-BHQ値という上位概念に含まれる。
したがって、計測BHQテーブル306と推定BHQテーブル709は、GM-BHQ値演算処理部が被験者のGM-BHQ値を演算出力した日であるGM-BHQ値登録日と、被験者を一意に識別する被験者IDと、GM-BHQ値とを紐付けて登録するBHQテーブルという上位概念に含めることができる。
【0124】
本発明の実施形態では、認知症予測装置を説明した。
第一の実施形態に係る認知症予測装置101は、第一MRI撮影日106aにMRI装置103で被験者102の脳を撮影し、被験者102の脳を撮像した第一MRI画像ファイル群104aから116個の灰白質量データを取得する。そして、認知症予測装置101は、灰白質量データの平均値を算出した第一の計測GM-BHQ値を算出する。この時点で認知症予測装置101は、平均的な計測GM-BHQ値の減少傾向に基づき、被験者102の計測GM-BHQ値が認知症ラインに到達する年齢、すなわち認知症罹患可能性年齢を算出することができる。
【0125】
その後、認知症予測装置101は、第一MRI撮影日106aから最低1ヶ月、好ましくは3ヶ月から半年を経過した第二MRI撮影日106bにMRI装置103で被験者102の脳を撮影する。そして、認知症予測装置101は、被験者102の脳を撮像した第二MRI画像ファイル群104bから、116個の灰白質量データを取得する。また、認知症予測装置101は、灰白質量データの平均値を算出した第二の計測GM-BHQ値を算出する。
更に、認知症予測装置101は、第一の計測GM-BHQ値と第二の計測GM-BHQ値から傾きを算出し、被験者102の認知症罹患可能性年齢を算出することができる。
【0126】
第二の実施形態に係る認知症予測装置601は、教師あり学習アルゴリズムを利用する。
認知症予測装置601は、第一アンケート受付日606において第二被験者605の第一日程生活環境アンケート結果607から第二被験者605のGM-BHQを推定し、第一の推定GM-BHQ値を得る。この時点で認知症予測装置601は、平均的なGM-BHQの減少傾向に基づく認知症罹患可能性年齢を算出することができる。
また、認知症予測装置601は、第二アンケート受付日608において第二被験者605の第二日程生活環境アンケート結果609から第二被験者605のGM-BHQを推定し、第二の推定GM-BHQ値を得る。
そして、認知症予測装置601は、第一の推定GM-BHQ値と第二の推定GM-BHQ値から傾きを算出し、第二被験者605の認知症罹患可能性年齢を算出することができる。
【0127】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、他の変形例、応用例を含む。
【符号の説明】
【0128】
101…認知症予測装置、102…被験者、103…MRI装置、104…MRI画像ファイル群、104a…第一MRI画像ファイル群、104b…第二MRI画像ファイル群、105…被験者ID、106…MRI撮影日、106a…第一MRI撮影日、106b…第二MRI撮影日、107…認知機能予測データ、201…CPU、202…ROM、203…RAM、204…表示部、205…操作部、206…不揮発性ストレージ、207…RTC、208…バス、209…シリアルポート、210…NIC、301…入出力制御部、302…灰白質量算出部、303…神経線維異方性算出部、304…脳情報テーブル、305…平均値演算部、306…BHQテーブル、307…認知機能予測演算部、308…被験者マスタ、401…灰白質量データ群、402…神経線維異方性データ群、601…認知症予測装置、602…第一被験者、603…生活環境アンケート結果、604…近似関数パラメータ、605…第二被験者、606…第一アンケート受付日、607…第一日程生活環境アンケート結果、608…第二アンケート受付日、609…第二日程生活環境アンケート結果、610…認知機能予測データ、701…入出力制御部、703…アンケート回答群、704…学習演算処理部、705…推定演算処理部、706…被験者マスタ、707…計測BHQテーブル、708…アンケートテーブル、709…推定BHQテーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13