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特許7121454統計に基づく障害物位置シミュレーション方法、装置及び端末
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-09
(45)【発行日】2022-08-18
(54)【発明の名称】統計に基づく障害物位置シミュレーション方法、装置及び端末
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20220810BHJP
   G08G 1/01 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
G08G1/00 C
G08G1/01 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019133667
(22)【出願日】2019-07-19
(65)【公開番号】P2020042792
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2019-07-19
(31)【優先権主張番号】201811044639.4
(32)【優先日】2018-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512015127
【氏名又は名称】バイドゥ オンライン ネットワーク テクノロジー(ペキン) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】ファン チン
(72)【発明者】
【氏名】イエン フェイロン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ルイカン
(72)【発明者】
【氏名】ワン リーアン
(72)【発明者】
【氏名】マー ユイ
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-060511(JP,A)
【文献】特開2014-025925(JP,A)
【文献】特開2005-202922(JP,A)
【文献】特開2013-206406(JP,A)
【文献】特開2000-132783(JP,A)
【文献】特開2017-116618(JP,A)
【文献】特開2011-197246(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
障害物分布シミュレーション方法であって、
プローブカーは、複数のフレームの点群を取得し、各フレームの点群には、複数の障害物が含まれるステップと、
前記プローブカーの世界座標系における絶対座標を取得し、前記プローブカーの絶対座標に基づき前記プローブカーを標記し、前記プローブカーの実標記データを得て、前記プローブカーの実標記データと前記プローブカーの走行ルールに基づき前記プローブカーのシミュレーション位置データを得るステップと、
得られた前記プローブカーの実標記データのセットから前記プローブカーのシミュレーション位置データと同じ実標記データを検索して選択し、前記プローブカーのシミュレーション位置データと同じ実標記データが見つからない場合には、得られた前記プローブカーの実標記データのセットから前記プローブカーのシミュレーション位置データと最も近接する実標記データを選択するステップと、
選択された前記プローブカーの実標記データが属する前記各フレームの点群を検索し、検索された前記各フレームの点群における前記障害物の個数をシミュレーション障害物の個数とするステップと、
前記プローブカーのシミュレーション位置データを中心とする近傍範囲内に、確定された個数のシミュレーション障害物を選択し、前記近傍範囲は、前記プローブカーの最大走査範囲より小さいまたは等しい、ステップと、
選択されたシミュレーション障害物の実標記データを取得し、前記選択されたシミュレーション障害物の実標記データに基づき前記選択されたシミュレーション障害物の位置分布を得るステップと、を含むことを特徴とする障害物分布シミュレーション方法。
【請求項2】
選択されたシミュレーション障害物の実標記データを取得する前に、
前記選択されたシミュレーション障害物の点群座標系における相対座標を算出するステップと、
前記プローブカーの絶対座標と前記選択されたシミュレーション障害物の相対座標に基づき、前記選択されたシミュレーション障害物の絶対座標を算出するステップと、
前記選択されたシミュレーション障害物の絶対座標に基づき、前記選択されたシミュレーション障害物の実標記データを得るステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プローブカーのシミュレーション位置データを中心とする近傍範囲内に、確定された個数のシミュレーション障害物を選択する前に、
前記近傍範囲内に含まれるシミュレーション障害物の実標記データを確定するステップと、
記シミュレーション障害物の実標記データに基づき障害物モデルライブラリから障害物モデルを選択するステップと、
前記障害物モデルに基づき隣接する位置の前記シミュレーション障害物同士が重なるか否かを判断し、YESであると、重なった前記シミュレーション障害物のうちの一方を削除するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
障害物分布シミュレーション装置であって、
複数のフレームの点群を取得し、各フレームの点群には、複数の障害物が含まれる点群取得モジュールと、
プローブカーの世界座標系における絶対座標を取得し、前記プローブカーの絶対座標に基づき前記プローブカーを標記し、前記プローブカーの実標記データを得るプローブカー標記モジュールと、
前記プローブカーの実標記データを取得し、前記プローブカーの実標記データと前記プローブカーの走行ルールに基づき前記プローブカーのシミュレーション位置データを得るプローブカーのシミュレーションモジュールと、
得られた前記プローブカーの実標記データのセットから前記プローブカーのシミュレーション位置データと同じ実標記データを検索して選択し、前記プローブカーのシミュレーション位置データと同じ実標記データが見つからない場合には、得られた前記プローブカーの実標記データのセットから前記プローブカーのシミュレーション位置データと最も近接する実標記データを選択し、選択された前記プローブカーの実標記データが属する前記各フレームの点群を検索し、検索された前記各フレームの点群における前記障害物の個数をシミュレーション障害物の個数とするシミュレーション個数取得モジュールと、
前記プローブカーのシミュレーション位置データを中心とする近傍範囲内に、確定された個数のシミュレーション障害物を選択し、前記近傍範囲は、前記プローブカーの最大走査範囲より小さいまたは等しい、シミュレーション障害物選択モジュールと、
選択されたシミュレーション障害物の実標記データを取得し、前記選択されたシミュレーション障害物の実標記データに基づき前記選択されたシミュレーション障害物の位置分布を得るシミュレーション障害物位置分布モジュールと、を備えることを特徴とする障害物分布シミュレーション装置。
【請求項5】
選択されたシミュレーション障害物の点群座標系における相対座標を算出し、前記プローブカーの絶対座標と前記選択されたシミュレーション障害物の相対座標に基づき、前記選択されたシミュレーション障害物の絶対座標を算出し、前記選択されたシミュレーション障害物の絶対座標に基づき、前記選択されたシミュレーション障害物の実標記データを得る障害物標記モジュールをさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記近傍範囲内に含まれるシミュレーション障害物の実標記データを確定し、前記シミュレーション障害物の実標記データに基づき障害物モデルライブラリから障害物モデルを選択し、前記障害物モデルに基づき隣接する位置の前記シミュレーション障害物同士が重なるか否かを判断し、YESであると、重なった前記シミュレーション障害物のうちの一方を削除する障害物衝突検出モジュールをさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項7】
障害物分布シミュレーション端末であって、
1つ又は複数のプロセッサと、
1つ又は複数のプログラムを記憶するメモリと、を備え、
前記1つ又は複数のプログラムが前記1つ又は複数のプロセッサにより実行されると、前記1つ又は複数のプロセッサが請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法を実現することを特徴とする障害物分布シミュレーション端末。
【請求項8】
コンピュータプログラムが記憶されるコンピュータ可読記憶媒体であって、該プログラムがプロセッサにより実行されると、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法を実現することを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項9】
コンピュータにおいて、プロセッサにより実行される場合、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法を実現することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータの技術分野に関し、具体的には、統計に基づく障害物位置シミュレーション方法、装置及び端末に関する。
【背景技術】
【0002】
オフライン状態では、高精度地図に対して、地図における障害物の標記データを収集でき、標記データは、障害物の現在の位置、向き、ID及びタイプ等を含む。そのうち、障害物のタイプとして、車両、通行人、ライダー及びコーン等の移動障害物或いは静止障害物が挙げられる。できるだけ実際の状況に近づくように、障害物の数及び位置分布を如何にシミュレーションするかは、ますます当業者によって重要視されつつある。
【0003】
従来の技術案では、高精度地図を用いて、ルールに基づく障害物配置によってシミュレーションを行い、ルールに基づく障害物配置は、車両が車線方向に沿って配置されること、通行人がランダムに配置されること等の例を含む。しかしながら、ルールに基づく障害物配置により表現されるシーンは非常に限られ、高精度地図に幹線道路のみがあり、支線道路や分岐道路がないため、同一種類の障害物の位置分布及び異なる種類の障害物の個数分布のシミュレーション結果は、実際の状況と大きく異なる。また、ルールに基づく配置は、実際のシーンに出現する可能性のあるすべての状況を網羅できないため、カバー率が不十分である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施例は、少なくとも従来技術の上記技術的問題を解決するために、統計に基づく障害物分布シミュレーション方法、装置及び端末を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第一態様によれば、本発明の実施例は統計に基づく障害物分布シミュレーション方法を提供し、該方法は、
複数のフレームの点群を取得し、各フレームの点群には、複数の障害物が含まれるステップと、
プローブカーの実標記データを取得し、前記プローブカーの実標記データと前記プローブカーの走行ルールに基づき前記プローブカーのシミュレーション位置データを得るステップと、
前記プローブカーのシミュレーション位置データに基づきシミュレーション位置に対応する前記シミュレーション障害物の個数を確定するステップと、
前記プローブカーのシミュレーション位置を中心とする近傍範囲内に、確定された個数のシミュレーション障害物を選択し、前記近傍範囲は、前記プローブカーの最大走査範囲以下であるステップと、
選択されたシミュレーション障害物の実標記データを取得し、前記選択されたシミュレーション障害物の実標記データに基づき前記選択されたシミュレーション障害物の位置分布を得るステップと、を含む。
【0006】
第一態様に合わせて、本発明の第一態様の第一実施形態では、
前記プローブカーの実標記データを取得する前に、
前記プローブカーの世界座標系における絶対座標を取得するステップと、
前記プローブカーの絶対座標に基づき前記プローブカーを標記し、前記プローブカーの実標記データを得るステップと、をさらに含む。
【0007】
第一態様の第一実施形態に合わせて、本発明の第一態様の第二実施形態では、
選択されたシミュレーション障害物の実標記データを取得する前に、
前記選択されたシミュレーション障害物の点群座標系における相対座標を算出するステップと、
前記プローブカーの絶対座標と前記選択されたシミュレーション障害物の相対座標に基づき、前記選択されたシミュレーション障害物の絶対座標を算出するステップと、
前記選択されたシミュレーション障害物の絶対座標に基づき前、前記選択されたシミュレーション障害物の実標記データを得るステップと、をさらに含む。
【0008】
第一態様に合わせて、本発明の第一態様の第三実施形態では、
前記プローブカーのシミュレーション位置データに基づきシミュレーション位置におけるシミュレーション障害物の個数を得ることは、
前記プローブカーのシミュレーション位置と同じ又は隣接する前記プローブカーの標記位置に対する前記プローブカーの実標記データを選択するステップと、
選択された前記プローブカーの実標記データが属する前記点群を検索し、検索された前記点群における前記障害物の個数を前記シミュレーション障害物の個数とするステップと、を含む。
【0009】
第一態様に合わせて、本発明の第一態様の第四実施形態では、前記プローブカーのシミュレーション位置データを中心とする近傍範囲内に、確定された個数のシミュレーション障害物を選択する前に、
前記近傍範囲内に含まれる候補障害物の実標記データを確定するステップと、
前記候補障害物の実標記データに基づき障害物モデルライブラリから障害物モデルを選択するステップと、
前記障害物モデルに基づき隣接する位置の前記候補障害物同士が重なるか否かを判断し、YESであると、重なった前記候補障害物のうちの一方を削除するステップと、を含む。
【0010】
第二態様によれば、本発明の実施例は統計に基づく障害物分布シミュレーション装置を提供し、該装置は、
複数のフレームの点群を取得し、各フレームの点群には、複数の障害物が含まれる点群取得モジュールと、
プローブカーの実標記データを取得し、前記プローブカーの実標記データと前記プローブカーの走行ルールに基づき前記プローブカーのシミュレーション位置データを得るプローブカーのシミュレーションモジュールと、
前記プローブカーのシミュレーション位置データに基づきシミュレーション位置に対するシミュレーション障害物の個数を得るシミュレーション個数取得モジュールと、
前記プローブカーのシミュレーション位置データを中心とする近傍範囲内に、確定された個数のシミュレーション障害物を選択し、前記近傍範囲は、前記プローブカーの最大走査範囲以下であるシミュレーション障害物選択モジュールと、
選択されたシミュレーション障害物の実標記データを取得し、前記選択されたシミュレーション障害物の実標記データに基づき前記選択されたシミュレーション障害物の位置分布を得るシミュレーション障害物位置分布モジュールと、を備える。
【0011】
第二態様に合わせて、本発明の第二態様の第一実施形態では、
前記装置は、前記プローブカーの世界座標系における絶対座標を取得し、前記プローブカーの絶対座標に基づき前記プローブカーを標記し、前記プローブカーの実標記データを得るプローブカー標記モジュールをさらに備える。
【0012】
第二態様の第一実施形態に合わせて、本発明の第二態様の第二実施形態では、
前記装置は、選択されたシミュレーション障害物の点群座標系における相対座標を算出し、前記プローブカーの絶対座標と前記選択されたシミュレーション障害物の相対座標に基づき、前記選択されたシミュレーション障害物の絶対座標を算出し、前記選択されたシミュレーション障害物の絶対座標に基づき、前記選択されたシミュレーション障害物の実標記データを得る障害物標記モジュールをさらに備える。
【0013】
第二態様に合わせて、本発明の第二態様の第三実施形態では、
前記シミュレーション個数取得モジュールは、
前記プローブカーのシミュレーション位置と同じ又は隣接する前記プローブカーの標記位置に対する前記プローブカーの実標記データを選択する標記データ選択ユニットと、
選択された前記プローブカーの実標記データが属する前記点群を検索し、検索された前記点群における前記障害物の個数を前記シミュレーション障害物の個数とするシミュレーション個数算出ユニットと、を備える。
【0014】
第二態様に合わせて、本発明の第二態様の第四実施形態では、
前記装置は、前記近傍範囲内に含まれる候補障害物の実標記データを確定し、前記候補障害物の実標記データに基づき障害物モデルライブラリから障害物モデルを選択し、前記障害物モデルに基づき隣接する位置の前記候補障害物同士が重なるか否かを判断し、YESであると、重なった前記候補障害物のうちの一方を削除する障害物衝突検出モジュールをさらに備える。
【0015】
第三態様によれば、本発明の実施例は、統計に基づく障害物分布シミュレーション端末を提供し、該端末は、プロセッサ及びメモリを備え、前記メモリは、統計に基づく障害物分布シミュレーション装置が上記第一態様に係る統計に基づく障害物分布シミュレーション方法を実行することをサポートするプログラムを記憶し、前記プロセッサは、前記メモリに記憶されたプログラムを実行する。前記端末は、前記端末がほかの装置又は通信ネットワークと通信する通信インターフェースをさらに備える。
【0016】
前記機能はハードウェアによって実現されてもよく、ハードウェアが対応するソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。前記ハードウェア又はソフトウェアは上記機能に対応する1つ又は複数のモジュールを含む。
【0017】
第四態様によれば、本発明の実施例は、統計に基づく障害物分布シミュレーション装置用のコンピュータソフトウェア指令が記憶されるコンピュータ可読記憶媒体を提供し、該指令は、上記第一態様に係る統計に基づく障害物分布シミュレーション方法を実行するプログラムを含む。
【0018】
上記技術案のいずれかは、プローブカーの実標記データに基づきプローブカーのシミュレーション位置データを取得し、次に、プローブカーのシミュレーション位置に対応するシミュレーション障害物の個数を確定する。最終的に、シミュレーション位置データを有するプローブカーのシミュレーション位置データを中心として決定し、近傍範囲を決定する。近傍範囲内に含まれる候補障害物の実標記データを確定し、更にシミュレーション障害物の位置分布を得る。障害物の位置シミュレーションの多様性を向上させる。障害物の個数シミュレーション結果及び位置分布のシミュレーション結果が実際状況により近くなるという利点又は有益な効果を有する。
【0019】
以上、明細書の目的のために発明の概要を説明したが、何らかの形態に限定されるものではない。上記説明された例示的な態様、実施形態及び特徴に加えて、本発明のさらなる態様、実施形態及び特徴は図面及び以下の詳細説明によって容易に明らかになる。
【0020】
図面において、特に断らない限り、同一符号は同一又は類似の部材又は要素を示す。これらの図面は必ずしも縮尺に応じて作成されるものではない。なお、これらの図面は本発明に開示されているいくつかの実施形態を示しているが、本発明の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施例に係る統計に基づく障害物分布シミュレーション方法のフローチャートである。
図2】本発明の実施例に係る統計に基づく障害物分布シミュレーション装置の構成ブロック図である。
図3】本発明の実施例に係る別の統計に基づく障害物分布シミュレーション装置の構成ブロック図である。
図4】本発明の実施例に係る統計に基づく障害物分布シミュレーション端末の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、いくつかの例示的な実施例を説明する。当業者が理解できるように、本発明の趣旨又は範囲を逸脱せずに、説明された実施例を様々な形態で変更することができる。従って、図面及び説明は本質的に限定的ではなく例示的なものである。
【0023】
実施例1
一具体的な実施形態では、統計に基づく障害物分布シミュレーション方法を提供し、該方法は、ステップ100~500を含む。
【0024】
ステップ100では、複数のフレームの点群を取得し、各フレームの点群には、複数の障害物が含まれる。
【0025】
プローブカーは走行経路に沿って走行する時、レーダーによって周囲の障害物を走査し、複数フレームの点群を取得することができる。プローブカーの走行ルールとして、幹線道路上を走行してもよいし、指定した支線道路上を走行してもよい、それらは、すべて本実施形態の保護範囲に属する。
【0026】
ステップ200では、プローブカーの実標記データを取得し、前記プローブカーの実標記データと前記プローブカーの走行ルールに基づき前記プローブカーのシミュレーション位置データを得る。
【0027】
プローブカーの走行経路に沿った複数の絶対座標をシミュレーション位置データとしてもよいし、プローブカーの隣接する2つの絶対座標の間に対して、補間演算を行い、すなわち、プローブカーの隣接する2つの絶対座標を結ぶ線上の座標をシミュレーション位置データとしてもよい。プローブカーの絶対座標の数、すなわち、プローブカーが到達可能な位置を増やし、それにより、プローブカーのシミュレーション位置がプローブカーの実際位置により近くなる。
【0028】
ステップ300では、プローブカーのシミュレーション位置データに基づきシミュレーション位置に対応する前記シミュレーション障害物の個数を確定。
【0029】
ステップ400では、プローブカーのシミュレーション位置データを中心とする近傍範囲内に、確定された個数のシミュレーション障害物を選択し、前記近傍範囲は、前記プローブカーの最大走査範囲以下である。
【0030】
ステップ500では、選択されたシミュレーション障害物の実標記データを取得し、前記選択されたシミュレーション障害物の実標記データに基づき前記選択されたシミュレーション障害物の位置分布を得る。
【0031】
障害物の位置シミュレーションの多様性を向上させる。障害物の個数シミュレーション結果及び位置分布のシミュレーション結果が実際状況により近くなる。
【0032】
一実施形態では、プローブカーの実標記データを取得する前に、
前記プローブカーの世界座標系における絶対座標を取得するステップと、
前記プローブカーの絶対座標に基づき前記プローブカーを標記し、前記プローブカーの実標記データを得るステップと、をさらに含む。
【0033】
プローブカーは、1フレームの点群を収集するごとに、1つの絶対座標を対応付ける。従って、プローブカーの走行経路に沿った複数の絶対座標を取得し、且つ各絶対座標が1フレームの点群に対応付けられている。
【0034】
一実施形態では、シミュレーション障害物の実標記データを取得する前に、
前記選択されたシミュレーション障害物の点群座標系における相対座標を算出するステップと、
前記プローブカーの絶対座標と前記選択されたシミュレーション障害物の相対座標に基づき、前記選択されたシミュレーション障害物の絶対座標を算出するステップと、
前記選択されたシミュレーション障害物の絶対座標に基づき前、前記選択されたシミュレーション障害物の実標記データを得るステップと、をさらに含む。
【0035】
各フレームの点群において、プローブカーを原点に、点群座標系を作成し、障害物がプローブカーに対して相対座標を有する。プローブカーの絶対座標と障害物の相対座標に基づき障害物の絶対座標を得る。
【0036】
一実施形態では、前記プローブカーのシミュレーション位置データに基づきシミュレーション位置におけるシミュレーション障害物の個数を得ることは、
前記プローブカーのシミュレーション位置と同じ又は隣接する前記プローブカーの標記位置に対する前記プローブカーの実標記データを選択するステップと、
選択された前記プローブカーの実標記データが属する前記点群を検索し、検索された前記点群における前記障害物の個数を前記シミュレーション障害物の個数とするステップと、を含む。
【0037】
まず、プローブカーの実標記データのセットからプローブカーのシミュレーション位置データと同じ実標記データを検索する。同じデータが見つからないと、プローブカーのシミュレーション位置データと最も近接する実標記データを選択する。選択されたプローブカーの実標記データが属する点群を検索し、点群における障害物の個数をシミュレーション障害物の個数とする。
【0038】
一実施形態では、前記プローブカーのシミュレーション位置データを中心とする近傍範囲内に、確定された個数のシミュレーション障害物を選択する前に、
前記近傍範囲内に含まれる候補障害物の実標記データを確定するステップと、
前記候補障害物の実標記データに基づき障害物モデルライブラリから障害物モデルを選択するステップと、
前記障害物モデルに基づき隣接する位置の前記候補障害物同士が重なるか否かを判断し、YESであると、重なった前記候補障害物のうちの一方を削除するステップと、を含む。
【0039】
具体的には、近傍範囲内における候補障害物を確定し、各障害物の実際座標データに基づき衝突検出を行い、衝突する可能性がある2つの障害物のうち一方を削除する。残りの障害物からシミュレーション個数と同数の障害物を選択してシミュレーション障害物とする。
【0040】
実施例2
別の具体的な実施形態では、図2に示すように、統計に基づく障害物分布シミュレーション装置を提供し、該装置は、
複数のフレームの点群を取得し、各フレームの点群には、複数の障害物が含まれる点群取得モジュール10と、
プローブカーの実標記データを取得し、前記プローブカーの実標記データと前記プローブカーの走行ルールに基づき前記プローブカーのシミュレーション位置データを得るプローブカーのシミュレーションモジュール20と、
前記プローブカーのシミュレーション位置データに基づきシミュレーション位置に対するシミュレーション障害物の個数を得るシミュレーション個数取得モジュール30と、
前記プローブカーのシミュレーション位置データを中心とする近傍範囲内に、確定された個数のシミュレーション障害物を選択し、前記近傍範囲は、前記プローブカーの最大走査範囲以下であるシミュレーション障害物選択モジュール40と、
選択されたシミュレーション障害物の実標記データを取得し、前記選択されたシミュレーション障害物の実標記データに基づき前記選択されたシミュレーション障害物の位置分布を得るシミュレーション障害物位置分布モジュール50と、を備える。
【0041】
一実施形態では、図3に示すように、前記装置は、
前記プローブカーの世界座標系における絶対座標を取得し、前記プローブカーの絶対座標に基づき前記プローブカーを標記し、前記プローブカーの実標記データを得るプローブカー標記モジュール60をさらに備える。
【0042】
一実施形態では、図3に示すように、前記装置は、
選択されたシミュレーション障害物の点群座標系における相対座標を算出し、前記プローブカーの絶対座標と前記選択されたシミュレーション障害物の相対座標に基づき、前記選択されたシミュレーション障害物の絶対座標を算出し、前記選択されたシミュレーション障害物の絶対座標に基づき、前記選択されたシミュレーション障害物の実標記データを得る障害物標記モジュール70をさらに備える。
【0043】
一実施形態では、シミュレーション個数取得モジュール30は、
前記プローブカーのシミュレーション位置と同じ又は隣接する前記プローブカーの標記位置に対する前記プローブカーの実標記データを選択する標記データ選択ユニットと、
選択された前記プローブカーの実標記データが属する前記点群を検索し、検索された前記点群における前記障害物の個数を前記シミュレーション障害物の個数とするシミュレーション個数算出ユニットと、を備える。
【0044】
一実施形態では、図3に示すように、前記装置は、
前記近傍範囲内に含まれる候補障害物の実標記データを確定し、前記候補障害物の実標記データに基づき障害物モデルライブラリから障害物モデルを選択し、前記障害物モデルに基づき隣接する位置の前記候補障害物同士が重なるか否かを判断し、YESであると、重なった前記候補障害物のうちの一方を削除する障害物衝突検出モジュール80をさらに備える。
【0045】
実施例3
本発明の実施例は、統計に基づく障害物分布シミュレーション端末を提供し、図4に示すように、該端末は、メモリ400、プロセッサ500、及び通信インターフェース600を備え、
メモリ400には、プロセッサ500上で実行可能なコンピュータプログラムが記憶され、プロセッサ500は、前記コンピュータプログラムを実行すると、上記実施例に係る統計に基づく障害物分布シミュレーション方法を実現し、メモリ400とプロセッサ500との数は、1つ又は複数であってもよい、通信インターフェース600は、メモリ400とプロセッサ500とが外部と通信するために用いられる。
【0046】
メモリ400は、高速RAMメモリを含む可能性もあるし、不揮発性メモリ(non-volatile memory)、例えば、少なくとも1つの磁気ディスクメモリをさらに含む可能性もある。
【0047】
メモリ400、プロセッサ500及び通信インターフェース600が独立して実現する場合、メモリ400、プロセッサ500及び通信インターフェース600はバスで互いに接続され、且つ相互間の通信を実現することができる。前記バスは業界標準アーキテクチャ(ISA、Industry Standard Architecture)バス、ペリフェラルコンポーネント(PCI、Peripheral Component Interconnect)バス又は拡張業界標準アーキテクチャ(EISA、Extended Industry Standard Architecture)バス等であってもよい。前記バスはアドレスバス、データバス、制御バス等に分けられてもよい。示しやすくするために、図4では、1本のみの太線で示すが、1本のみのバス又は1つのタイプのみのバスを有すると示さない。
【0048】
選択的に、具体的に実現する時、メモリ400、プロセッサ500及び通信インターフェース600が1枚のチップに統合される場合、メモリ400、プロセッサ500及び通信インターフェース600は、内部インターフェースによって、相互間の通信を実現することができる。
【0049】
実施例4
コンピュータプログラムが記憶されるコンピュータ可読記憶媒体を提供し、該プログラムがプロセッサにより実行されると、上記実施例1のいずれかに記載の統計に基づく障害物分布シミュレーション方法を実現する。
【0050】
本明細書の説明において、用語「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体例」、又は「いくつかの例」等の説明とは、該実施例又は例を参照すると説明した具体的な特徴、構造、材料又は特性が本発明の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。且つ、説明される具体的な特徴、構造、材料又は特性はいずれか1つ又は複数の実施例又は例で適切な方式で結合してもよい。また、矛盾しない限り、当業者は本明細書に説明される様々な実施例又は例、及び様々な実施例又は例の特徴を結合及び組み合わせすることができる。
【0051】
また、用語の「第一」、「第二」は説明のためのものに過ぎず、相対重要性を指示又は示唆し、又は指示された技術的特徴の数を暗示すると理解すべきではない。従って、「第一」、「第二」で制限された特徴は少なくとも1つの該特徴を明示的又は暗示的に含んでもよい。本発明の説明において、特に明確且つ具体的に制限しない限り、「複数」の意味は2つ又は2つ以上である。
【0052】
当業者であれば、フローチャートにおける、又はここでほかの方式で説明されるいかなる過程又は方法についての説明は、確定の論理機能又は過程を実現するための1つ又は複数のステップの実行可能命令のコードを含むモジュール、セグメント又は部分を示すと理解されてもよく、且つ本発明の好適な実施形態の範囲はほかの実現を含み、指示又は検討される順序通りでなくてもよく、関わる機能に基づいて、ほぼ同時に、又は逆順序で機能を実行してもよいと理解すべきである。
【0053】
フローチャートに示す、又はここでほかの方式で説明される論理及び/又はステップは、例えば、論理機能を実現するための実行可能命令の順序付けリストであると見なされてもよく、具体的にいかなるコンピュータ可読媒体に実現されてもよく、命令実行システム、装置又はデバイス(例えばコンピュータに基づくシステム、プロセッサを含むシステム又は命令実行システム、装置又はデバイスから命令を受信し且つ命令を実行するシステム)の使用に備え、又はこれらの命令実行システム、装置又はデバイスと組み合わせて使用される。本明細書については、「コンピュータ可読媒体」はプログラムを包含、記憶、通信、伝播又は伝送することにより、命令実行システム、装置又はデバイス、又はこれらの命令実行システム、装置又はデバイスと組み合わせて使用されるいかなる装置であってもよい。コンピュータ可読媒体のさらなる具体例(非網羅的リスト)は、1つ又は複数の配線を有する電気接続部(電子装置)、ポータブルコンピュータケース(磁気装置)、ランダムアクセスメモリー(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気的消去再書込み可能な読出し専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリー)、光ファイバー装置、及び携帯型読み出し専用メモリー(CDROM)を含む。また、コンピュータ可読媒体は更にその上に前記プログラムを印刷できる用紙又はほかの適切な媒体であってもよい理由は、例えば用紙又はほかの媒体を光学的に走査し、次に編集、解釈し、又は必要な時にほかの適切な方式で処理して、電子方式で前記プログラムを取得し、次にそれをコンピュータメモリに記憶することができるためである。
【0054】
本発明の各部分はハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はそれらの組み合わせで実現されてもよいと理解すべきである。上記実施形態において、複数のステップ又は方法は、メモリに記憶される、且つ適切な命令実行システムで実行するソフトウェア又はファームウェアで実現されてもよい。例えば、ハードウェアで実現する場合は、別の実施形態と同様に、データ信号に対して論理機能を実現する論理ゲート回路を有する離散論理回路、適切な組み合わせ論理ゲート回路を有する確定用途向け集積回路、プログラマブルゲートアレイ(PGA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等の本分野での公知技術のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせで実現してもよい。
【0055】
当業者であれば、上記実施例方法におけるステップの全部又は一部の実現がプログラムによって関連するハードウェアを命令して完了させてもよく、前記プログラムがコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよく、実行時に、該プログラムは方法実施例のステップの1つ又はそれらの組み合わせを含むと理解される。
【0056】
また、本発明の各実施例における各機能ユニットが1つの処理モジュールに統合されてもよく、各ユニットが独立して物理的に存在してもよく、2つ又は2つ以上のユニットが1つのモジュールに統合されてもよい。上記統合モジュールはハードウェアのタイプで実現されてもよいし、ソフトウェア機能モジュールのタイプで実現されてもよい。前記統合モジュールはソフトウェア機能モジュールのタイプで実現され、且つ独立した製品として販売又は使用される時、1つのコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。前記記憶媒体は読み出し専用メモリ、磁気ディスク又は光ディスク等であってもよい。
【0057】
以上の説明は、本発明の具体的な実施形態に過ぎず、本発明の保護範囲を制限するためのものではなく、当業者が本発明に開示される技術的範囲内に容易に想到し得る種々の変更又は置換は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。従って、本発明の保護範囲は特許請求の範囲に準じるべきである。
図1
図2
図3
図4