(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-09
(45)【発行日】2022-08-18
(54)【発明の名称】様々なグレーチングを有する回折光学素子を形成するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G02B 5/18 20060101AFI20220810BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
G02B5/18
G02B27/02 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021097002
(22)【出願日】2021-06-10
(62)【分割の表示】P 2020537137の分割
【原出願日】2019-01-03
【審査請求日】2021-07-08
(32)【優先日】2018-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500324750
【氏名又は名称】バリアン・セミコンダクター・エクイップメント・アソシエイツ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンズ, モーガン
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー ティマーマン タイセン, ラトガー
(72)【発明者】
【氏名】オルソン, ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】クルンチ, ピーター エフ.
(72)【発明者】
【氏名】マシー, ロバート
【審査官】植野 孝郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0035539(US,A1)
【文献】国際公開第2016/020643(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0018858(US,A1)
【文献】特開平6-201909(JP,A)
【文献】特開平10-115701(JP,A)
【文献】米国特許第5116461(US,A)
【文献】特開2000-39508(JP,A)
【文献】特開2004-145255(JP,A)
【文献】特開2001-59905(JP,A)
【文献】特開2003-240989(JP,A)
【文献】特開2005-157118(JP,A)
【文献】国際公開第2004/027464(WO,A1)
【文献】特開平4-128394(JP,A)
【文献】特開2000-299312(JP,A)
【文献】特開2001-237167(JP,A)
【文献】特開2006-179912(JP,A)
【文献】特開平10-96807(JP,A)
【文献】特開2005-4068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/18
G02B 5/32
G02B 6/124
G02B27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
各々が第1のターゲット領域および第2のターゲット領域を含む複数の基板を提供することと、
プラズマ源と前記複数の基板との間に複数の近接マスクを設けることと
を含み、前記複数の近接マスクの第1の近接マスクが第1の組の開口部を含み、イオンビームが当該第1の組の開口部を通過して前記複数の基板の各々の前記第1のターゲット領域に至ることができるようにし、前記複数の近接マスクの第2の近接マスクが第2の組の開口部を含み、前記イオンビームが当該第2の組の開口部を通過して前記複数の基板の各々の前記第2のターゲット領域に至ることができるようにする、方法。
【請求項2】
前記プラズマ源から、前記イオンビームを前記複数の基板に向かって供給することと、
前記第1の近接マスク又は前記第2の近接マスクで前記イオンビームを受けることと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の近接マスクの第3の近接マスクを提供することを更に含み、当該第3の近接マスクが、第3の組の開口部を含み、前記イオンビームが、前記第3の組の開口部を通過して、前記複数の基板の各々の第3のターゲット領域に至ることができるようにする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記イオンビームを使用して、前記複数の基板をエッチングして、前記第1のターゲット領域内の第1の角度付きグレーチング、および前記第2のターゲット領域内の第2の角度付きグレーチングを形成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の近接マスクと前記複数の基板とを互いに対して回転させることをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の角度付きグレーチングを形成することが、前記複数の基板の各々のベース面に対して第1の角度で配向された第1の複数のフィンを形成することを含み、
前記第2の角度付きグレーチングを形成することが、前記複数の基板の各々の前記ベース面に対して第2の角度で配向された第2の複数のフィンを形成することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記イオンビームが、前記第2の近接マスクよりも前に前記第1の近接マスクで受け取られる角度付きイオンビームである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
システムであって、
ビームを被加工物に供給す
る源と、
前記被加工物に結合された複数の基板であって、
各々が第1の
ターゲット領域および第2の
ターゲット領域を含
む複数の基板と、
前
記源と前記被加工物との間に位置決め可能な複数の近接マスクと
を含み、
前記複数の近接マスクの第1の近接マスクが、第1の組の開口部を含み、前
記ビームが、前記第1の組の開口部を通過して、前記複数の基板の各々の前記第1の
ターゲット領域に衝突できるようにし、
前記複数の近接マスクの第2の近接マスクが、第2の組の開口部を含み、前
記ビームが、前記第2の組の開口部を通過して、前記複数の基板の各々の前記第2の
ターゲット領域に衝突できるようにする、システム。
【請求項9】
前記複数の基板の各々が、第3の
ターゲット領域をさらに含み、
前記複数の近接マスクの第3の近接マスクが、第3の組の開口部を含み、前
記ビームが、前記第3の組の開口部を通過して、前記複数の基板の各々の前記第3の
ターゲット領域に衝突できるようにする、請求項
8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1の組の開口部の各開口部が第1のサイズであり、
前記第2の組の開口部の各開口部が第2のサイズであり、
前記第1のサイズは前記第2のサイズと異なる、請求項
8に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1のターゲット領域が第1の角度付きグレーチングを含み、前記第2のターゲット領域が第2の角度付きグレーチングを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の角度付きグレーチングが、前記複数の基板の各々のベース面に対して第1の角度
で配向された第1の複数のフィンを含み、
前記第2の角度付きグレーチングが、前記複数の基板の各々の前記ベース面に対して第2の角度
で配向された第2の複数のフィンを含
む、請求項
11に記載のシステム。
【請求項13】
前記源がプラズマ源であり、前記ビームが角度付きイオンビームである、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
基板を処理するための装置であって、
源と、
前記源からイオンビームを受け取るように動作可能な第1の基板と、
前記源と前記第1の基板との間に位置決め可能な複数の近接マスクと
を含み、
前記複数の近接マスクの第1の近接マスクが、第1の組の開口部を含み、前記イオンビームが、前記第1の組の開口部を通過して、前記第1の基板の第1の角度付きグレーチングを形成できるようにし、
前記複数の近接マスクの第2の近接マスクが、第2の組の開口部を含み、前記イオンビームが、前記第2の組の開口部を通過して、前記第1の基板の第2の角度付きグレーチングを形成できるようにする、装置。
【請求項15】
第2の基板をさらに含み、前記第1の基板および前記第2の基板が各々、第3の角度付きグレーチングを含み、前記複数の近接マスクの第3の近接マスクが、第3の組の開口部を含み、前記イオンビームが、前記第3の組の開口部を通過して、前記第1の基板および前記第2の基板の前記第3の角度付きグレーチングを形成することができるようにする、請求項14に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、光学素子に関し、より詳細には、様々なグレーチングを有する回折光学素子を形成するための手法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]光学レンズは、様々な利点を目的として光を操作するために長い間使用されてきた。フレネルレンズは、例えば、灯台で、点光源の全ての角度からの光を1つまたは複数のビームに屈曲させるために使用される。フレネルレンズは、ある特定のタイプのブレーズドグレーチングである。最近では、ホログラフィックおよび拡張/バーチャルリアリティ(AR&VR)デバイスに、マイクロ回折グレーチングが利用されている。
【0003】
[0003]ある特定のAR&VRデバイスは、人間の目から短距離内に画像を表示するように動作可能なヘッドセットまたはヘッドマウントディスプレイなどの装着可能なディスプレイシステムである。画像は、マイクロディスプレイなどのディスプレイ上のコンピュータ生成画像とすることができる。光学部品は、ディスプレイ上で生成された所望の画像の光をユーザの目に伝達して、ユーザが画像を見られるようにアレンジされる。生成された画像は、光エンジンの一部を形成することができ、ここで、画像自体は、ユーザが見られる画像を提供するために、光学部品によって案内される平行光ビームを生成する。
【0004】
[0004]ディスプレイから人間の目に画像を伝達するために、様々な種類の光学部品が使用されてきた。これらの光学部品は、レンズ、ミラー、光導波管、ホログラムおよび回折グレーチング、または傾斜したグレーチングを含む。傾斜したグレーチングは、ある特定のタイプのブレーズドグレーチングであり、AR&VRシステム、例えば装着可能なディスプレイシステム、モバイルデバイス上のディスプレイなどに使用されてもよく、機能設計は、グレーチングからビューアの(viewer’s)視野への効率的な光入力および/または出力結合に依存する。
【0005】
[0005]垂直壁を有するバイナリグレーチングの製造が知られているが、傾斜したグレーチングを製作するための既存の技術は、適切なグレーチングの均一性、フィン成形、および角度制御を実現できていない。したがって、これらおよび他の欠点に関して、本開示が提示される。
【発明の概要】
【0006】
[0006]本開示の実施形態による角度付きグレーチングを生成するためのシステムは、角度付きグレーチングを生成するためのシステムを含みうる。このシステムは、角度付きイオンビームを被加工物に供給するプラズマ源と、被加工物に結合された複数の基板であって、第1の角度付きグレーチングおよび第2の角度付きグレーチングを各々が含む、複数の基板とを含む。このシステムは、プラズマ源と被加工物との間に位置決め可能な複数の近接マスクをさらに含んでもよく、複数の近接マスクの第1の近接マスクは、第1の組の開口部を含み、角度付きイオンビームが、第1の組の開口部を通過して、複数の基板の各々の第1の角度付きグレーチングを形成できるようにする。複数の近接マスクの第2の近接マスクは、第2の組の開口部を含むことができ、角度付きイオンビームが、第2の組の開口部を通過して、複数の基板の各々の第2の角度付きグレーチングを形成できるようにする。
【0007】
[0007]本開示の実施形態による光学素子を形成するための方法は、プラズマ源と、固定された複数の基板を含む被加工物との間に、複数の近接マスクを設けることを含んでもよく、複数の基板の各々が、第1のターゲット領域と第2のターゲット領域とを含む。この方法は、プラズマ源から、角度付きイオンビームを被加工物に向かって供給することと、角度付きイオンビームを複数のマスクのうちの1つで受け取ることとをさらに含みうる。複数の近接マスクの第1の近接マスクは、第1の組の開口部を含むことができ、角度付きイオンビームが、第1の組の開口部を通過して、複数の基板の各々の第1のターゲット領域に至ることができるようにする。複数の近接マスクの第2の近接マスクは、第2の組の開口部を含むことができ、角度付きイオンビームが、第2の組の開口部を通過して、複数の基板の各々の第2のターゲット領域に至ることができるようにする。
【0008】
[0008]本開示の実施形態による様々なグレーチングを有する回折光学素子を形成するための方法は、プラズマ源と被加工物との間に位置決め可能な複数の近接マスクを設けることを含みうる。被加工物は、被加工物に固定された複数の基板を含んでもよく、複数の基板の各々が、第1のターゲット領域と第2のターゲット領域とを含む。この方法は、プラズマ源から、角度付きイオンビームを被加工物に向かって供給することを含みうる。この方法は、角度付きイオンビームを複数のマスクのうちの1つで受け取ることを含んでもよく、複数の近接マスクの第1の近接マスクは、第1の組の開口部を含み、角度付きイオンビームが、第1の組の開口部を通過して、複数の基板の各々の第1のターゲット領域にまで至ることができるようにする。複数の近接マスクの第2の近接マスクは、第2の組の開口部を含むことができ、角度付きイオンビームが、第2の組の開口部を通過して、複数の基板の各々の第2のターゲット領域にまで至ることができるようにする。複数の近接マスクの第3の近接マスクは、第3の組の開口部を含むことができ、角度付きイオンビームが、第3の組の開口部を通過して、複数の基板の各々の第3のターゲット領域にまで至ることができるようにする。
【0009】
[0009]添付の図面は、以下のように、本開示の原理の実際的な用途を含む、本開示の例示的な手法を示す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】[0010]本開示の実施形態による、光学部品上に角度付きグレーチングを生成するためのシステムを示す。
【
図2】[0011]本開示の実施形態による、
図1のシステムの被加工物に結合された複数の基板を示す。
【
図3】[0012]本開示の実施形態による、
図1のシステムの基板の例を示す。
【
図4】[0013]本開示の実施形態による、
図1のシステムの基板の例を示す。
【
図5】[0014]本開示の実施形態による、
図1のシステムのウエハ上に配置された第1の近接マスクを示す。
【
図6】[0015]本開示の実施形態による、
図1のシステムのウエハ上に配置された第2の近接マスクを示す。
【
図7】[0016]本開示の実施形態による、
図1のウエハ上に配置された第3の近接マスクを示す。
【
図8】[0017]A-Cは、本開示の実施形態による様々な傾斜したグレーチング構造を示す。
【
図9】[0018]本開示の実施形態による傾斜したグレーチングの一組のフィンを示す。
【
図10】[0019]本開示の実施形態による、様々なグレーチングを有する回折光学素子を形成するための方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0020]図面は、必ずしも縮尺通りではない。図面は、単なる表現であり、本開示の特定のパラメータを描写することを意図していない。図面は、本開示の例示的な実施形態を示すことを意図しており、したがって、範囲を限定するものと見なされるべきではない。図面において、類似の番号は類似の要素を表す。
【0012】
[0021]以下、いくつかの実施形態が示されている添付の図面を参照して、本実施形態をより網羅的に説明することになる。本開示の主題は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載された実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。これらの実施形態は、本開示が網羅的かつ完全であり、主題の範囲を当業者に網羅的に伝えるように提供される。図面において、類似の番号は、全体を通して類似の要素を指す。
【0013】
[0022]本明細書で使用されるように、単数形で列挙され、「a」または「an」という単語に続く要素または動作は、別段の指示がない限り、複数の要素または動作を含む可能性があると理解される。さらに、本開示の「一実施形態」または「いくつかの実施形態」への言及は、列挙された特徴も組み込む追加の実施形態の存在を含むものとして解釈されうる。
【0014】
[0023]本明細書の実施形態は、様々なグレーチングを有する光学部品を形成するためのシステムおよび方法を提供する。方法は、プラズマ源と、固定された複数の基板を含む被加工物との間に、複数の近接マスクを設けることを含みうる。複数の基板の各々は、第1および第2のターゲット領域を含みうる。この方法は、プラズマ源から、角度付きイオンビームを被加工物に向かって供給することをさらに含んでもよく、角度付きイオンビームは、次に、複数のマスクのうちの1つで受け取られる。第1の近接マスクは、第1の組の開口部を含むことができ、角度付きイオンビームが、第1の組の開口部を通過して、複数の基板の各々の第1のターゲット領域にまで至ることができるようにし、第2の近接マスクは、第2の組の開口部を含むことができ、角度付きイオンビームが、第2の組の開口部を通過して、複数の基板の各々の第2のターゲット領域にまで至ることができるようにする。
【0015】
[0024]
図1は、バックライト付き基板のような光学部品上に角度付きグレーチングを生成するためのシステム100の一部を示す。図示されたように、システム100は、反応性ラジカルを含む角度付きイオンビーム(以下、「ビーム」)104を、ウエハ走査方向109にわたって被加工物108に供給するためのプラズマ源102を含みうる。図示されていないが、被加工物108は、被加工物を搬入/搬出位置間で移動させることが可能なツールに連結され、被加工物108を回転させることが可能である。いくつかの実施形態では、プラズマ源102は、処理チャンバの外部に配置された1つまたは複数の誘導コイル(図示せず)を介して、処理チャンバ内に配置された処理ガス内に電流を誘導することによってプラズマを形成するように動作可能な誘導結合プラズマ(ICP)リアクタでありうる。誘導コイルは、通常、チャンバの上方に配置され、高周波(RF)電源に接続される。プラズマ源102は、バイアス電位にあってもよく、一方、出口開孔板110は、ウエハ電位(接地)にあってもよい。出口開孔板110の開孔スロット(図示せず)は、被加工物108の第1の表面114に対して45度で配向されうる。代替的な実施形態では、被加工物は、直線状に突出するイオンビーム104に対して角度付けされてもよい。
【0016】
[0025]図示されるように、システム100は、被加工物108に結合された複数の基板115をさらに含んでもよい。複数の基板115の各々は、以下により詳細に説明するように、複数の様々なグレーチングを含みうる。複数の様々なグレーチングの各々を形成するために、システム100は、プラズマ源102と被加工物108との間に位置決め可能な複数の近接マスク116A-Cを含みうる。図示されていないが、複数のマスク116A-Cの各々は、イオン源102と複数の基板115との間で各マスクを所定の位置内外に個別に移動させるように動作可能な任意のタイプのデバイスに結合されてもよい。例示的な実施形態では、複数のマスク116A-Cのうちの1つだけが、所与の時間にビーム104によって衝突されることになる。
【0017】
[0026]
図2は、被加工物108、および第1の表面114に沿って固定された複数の基板115A-Dをさらに示す。説明を容易にするために4つの基板が示されているが、本開示の範囲内で、より多数の基板が可能である。図示されるように、複数の基板の各々は、第1のターゲット領域120、第2のターゲット領域122、および第3のターゲット領域124などの複数のターゲット領域を含む。本明細書で使用されるように、「ターゲット領域」は、ビーム104による処理後に様々なグレーチングパラメータが所望される、各基板115A-Dの部分または領域を指す。いくつかの実施形態では、ビーム104は、リボンビームであってもよい。図示されるように、Z軸に沿ったビーム104のビーム幅は、示されるように、Z軸に沿った被加工物108の直径よりも大きくてもよい。例えば、ビーム104の幅は、被加工物108よりも数cm広くてもよく、その結果、被加工物108は、1回の通過で処理される。
【0018】
[0027]
図3は、本開示の実施形態による例示的な基板115をより詳細に示す。基板115は、
図2に示される複数の基板115A-Dの各々と同一であっても、または類似していてもよい。図示されたように、基板115は、第1のターゲット領域120、第2のターゲット領域122、および第3のターゲット領域124を含みうる。一連の角度付きエッチングプロセスの後、さらに詳細に後述するように、第1の角度付きグレーチング130が、第1のターゲット領域120内に形成されうる。さらに、第2の角度付きグレーチング131が、第2のターゲット領域122内に形成され、第3の角度付きグレーチング132が、第3のターゲット領域124内に形成されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の角度付きグレーチング130が、第1の複数のフィン134を含み、第2の角度付きグレーチング131が、第2の複数のフィン135を含み、第3の角度付きグレーチング132が、第3の複数のフィン136を含んでもよい。限定的ではないが、第1の複数のフィン134が、Y軸に平行に配向され、第2の複数のフィン135が、Z軸に対して、例えば45度の角度で配向され、第3の複数のフィン136が、Z軸に平行に配向されてもよい。図示されたように、第1の角度付きグレーチング130、第2の角度付きグレーチング131、および第3の角度付きグレーチング132は、基板115の1つまたは複数の均一のまたは未処理の部分138によって分離されてもよい。さらに、他の実施形態では、角度付きグレーチングの3つ以上のセクションが可能でありうると理解されたい。
【0019】
[0028]
図4は、光ビーム140がどのように相互作用しうるかを示す拡大バージョンを含み、基板115をより明確に示す。この実施形態では、ソースディスプレイ141は、平行光のビームを提供することができ、平行光のビームの1つは、光ビーム140として示されている。光ビーム140は、第1の表面142と第2の表面143との間で、基板115内に反射される。第1の角度付きグレーチング130は、光ビーム140を第2の角度付きグレーチング131の方へ向け、第2の角度付きグレーチング131は、光ビーム140を第3の角度付きグレーチング132の方へ向ける。図示するように、第1の角度付きグレーチング130の第1の複数のフィン134は、第1の角度αで光ビーム140を受け取り、次いで、そこから第2の角度βで光ビーム140を供給するように構成される。いくつかの実施形態では、第3の角度付きグレーチング132は、出口グレーチングであってもよく、光ビーム140に対応する画像の回折をユーザの目144の上にもたらす。
【0020】
[0029]
図5は、複数の基板115A-Dの各々のための第1の角度付きグレーチング130を形成するために、被加工物108の上に設けられた第1の近接マスク116Aを示す。第1の近接マスク116Aは、第1の組の開口部148を含むことができ、ビーム104が、第1の組の開口部148を通過して、各第1のターゲット領域120にまで至ることができるようにする。例示的な実施形態では、第1の組の開口部148の各々は、同じ形状/サイズである。第1の近接マスク116Aは、ビーム104が、基板115A-Dの他の全ての領域に到達して衝突するのを防止する。いくつかの実施形態では、ビーム104は、第1のプロセスの一部として、複数の基板115A-Dに提供され、第1のターゲット領域120内に複数の基板115A-Dの各々の第1の角度付きグレーチング130を形成する。いくつかの実施形態では、第1のプロセスは、第1の近接マスク116Aおよび被加工物108を互いに対して回転させることを含む、注入またはエッチングプロセスでありうる。例えば、第1のターゲット領域120は、第1の近接マスク116Aまたは被加工物108の一連の90度の回転に続いて、ビーム104によってエッチングされてもよい。本開示の範囲内で、より少ないまたはより多い回転数が可能である。
【0021】
[0030]一例のプラズマエッチングプロセスでは、ビーム104のプラズマが、基板115A-Dに隣接して形成されてもよい。プラズマからの反応性イオンおよびラジカルは、基板115A-Dの表面と反応し、そこから材料を除去する。基板115A-D上の位置における材料除去またはエッチングの速度は、概して、その位置に隣接する反応種の密度に比例する。このプロセスは、第一の近接マスク116Aまたは被加工物108が回転され、全ての側面からのフィン形成が可能になる際に、複数回繰り返すことができる。
【0022】
[0031]
図6は、複数の基板115A-Dの各々に対して第2の角度付きグレーチング131を形成するために、被加工物108上に設けられた第2の近接マスク116Bを示す。第2の近接マスク116Bは、第2の組の開口部150を含むことができ、ビーム104が、第2の組の開口部150を通過して、各第2のターゲット領域122にまで至ることができるようにする。例示的な実施形態では、第2の組の開口部150の各々は、同じ形状/サイズである。第2の近接マスク116Bは、ビーム104が基板115A-Dの他の全ての領域に到達して衝突するのを防止する。ビーム104は、第2のプロセスの一部として、複数の基板115A-Dに提供されてもよく、第2のターゲット領域122内の複数の基板115A-Dの各々の第2の角度付きグレーチング131を形成する。いくつかの実施形態では、第2のプロセスは、第2の近接マスク116Bおよび被加工物108を互いに対して回転させることを含む、イオン注入またはエッチングでありうる。例えば、第2のターゲット領域122は、第2の近接マスク116Bまたは被加工物108の一連の90度の回転に続いて、ビーム104によってエッチングされてもよい。本開示の範囲内で、より少ないまたはより多い回転数が可能である。
【0023】
[0032]
図7は、複数の基板115A-Dの各々に対して第3の角度付きグレーチング132を形成するために、被加工物108の上に設けられた第3の近接マスク116Cを示す。第3の近接マスク116Cは、第3の組の開口部152を含むことができ、ビーム104が、第3の組の開口部152を通過して、各第3のターゲット領域124にまで至ることができるようにする。例示的な実施形態では、第3の組の開口部152の各々は、同じ形状/サイズである。第3の近接マスク116Cは、ビーム104が基板115A-Dの他の全ての領域に到達して衝突するのを防止する。ビーム104は、第3のプロセスの一部として、複数の基板115A-Dに供給することができ、第3のターゲット領域124内の複数の基板115A-Dの各々の第3の角度付きグレーチング132を形成する。いくつかの実施形態では、第3のプロセスは、第3の近接マスク116Cおよび被加工物108を互いに対して回転させることを含む、イオン注入またはエッチングでありうる。例えば、第3のターゲット領域124は、第3の近接マスク116Cまたは被加工物108の一連の90度の回転に続いて、ビーム104によってエッチングされてもよい。本開示の範囲内で、より少ないまたはより多い回転数が可能である。
【0024】
[0033]
図8A-8Cは、本明細書の実施形態に従って形成することができる、様々な角度付きグレーチングの例を示す。
図8Aは、第1の複数のフィン134を含む、第1の角度付きグレーチング130を表すことができる。図示されるように、第1の複数のフィン134は、第1のエッチングプロセスを使用して、基板115から形成されてもよく、第1の近接マスク116Aの第1の組の開口部148を通る複数の角度付きプラズマエッチングサイクル155として示されている。図示されたように、第1のエッチングプロセスは、第1の複数のフィン134の各々の上に形成された第1のハードマスク184によって実行されうる。角度付きプラズマエッチングサイクル155の各々は、基板115の回転後に実行されてもよい。第1のエッチングプロセスは、基板115をエッチング停止層158に陥凹させてもよい。いくつかの実施形態では、エッチング停止層158は、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、または酸フッ化ケイ素などのケイ素ベースの化合物であってもよい。他の実施形態では、エッチング停止層158は、窒化チタンであってもよい。本明細書の実施形態は、いかなる特定の材料にも限定されない。図示されたように、第1のエッチングプロセスは、エッチング停止層158のベース面160に対して第1の角度θを有する第1の複数のフィン134を形成する。いくつかの実施形態では、第1の角度θは鋭角である。
【0025】
[0034]
図8Bは、第2の複数のフィン135を含む第2の角度付きグレーチング131を表すことができる。図示されるように、第2の複数のフィン135は、第2のエッチングプロセスを使用して、基板115から形成されてもよく、第2の近接マスク116Bの第2の組の開口部150を通る複数の角度付きプラズマエッチングサイクル161として示されている。図示されたように、第2のエッチングプロセスは、第2の複数のフィン135の各々の上に形成された第2のハードマスク185によって実行されうる。角度付きプラズマエッチングサイクル161の各々は、基板115の回転後に実行されてもよい。第2のエッチングプロセスは、基板115をエッチング停止層158に陥凹させてもよい。図示されたように、第2のエッチングプロセスは、エッチング停止層158のベース面160に対して第2の角度ρを有する第2の複数のフィン135を形成する。いくつかの実施形態では、第2の角度ρは鋭角である。
【0026】
[0035]
図8Cは、第3の複数のフィン136を含む第3の角度付きグレーチング132を表すことができる。図示されるように、第3の複数のフィン136は、第3のエッチングプロセスを使用して、基板115から形成されてもよく、第3の近接マスク116Cの第3の組の開口部152を通る複数の角度付きプラズマエッチングサイクル164として示されている。図示されたように、第3のエッチングプロセスは、第3の複数のフィン136の各々の上に形成された第3のハードマスク186によって実行されうる。角度付きプラズマエッチングサイクル164の各々は、基板115の回転後に実行されてもよい。第3のエッチングプロセスは、基板115をエッチング停止層158に陥凹させてもよい。図示されたように、第3のエッチングプロセスは、エッチング停止層158のベース面160に対して第3の角度σを有する第3の複数のフィン165を形成する。いくつかの実施形態では、第3の角度σは鋭角である。
図8A-8Cに示されるように、第1の角度θ、第2の角度ρ、および第3の角度σは、互いに異なる。他の実施形態では、第1の角度θ、第2の角度ρ、および第3の角度σは、同一またはほぼ同一である。
【0027】
[0036]ここで
図9を参照すると、本明細書の実施形態のエッチングプロセスによって形成されたフィン170の例示的な組が、より詳細に説明されることになる。図示されたように、フィン170は、第1の角度付きグレーチング130の第1の複数のフィン134、第2の角度付きグレーチング131の第2の複数のフィン135、および/または第3の角度付きグレーチング132の第3の複数のフィン136の各々を表すことができる。さらに、フィン170は、固有の位置、形状、3次元配向などを有するフィン170を製造するために、上述したエッチングプロセスのいずれかによって形成されうる。いくつかの例では、エッチングプロセスは、一組のフィン170の以下のグレーチングパラメータ、すなわち、ピッチ、ハードマスクの厚さ、フィンの高さ、フィンの厚さ(CD)、コーナー半径βおよびα、エッチング停止層158へのオーバーエッチ、ヒーリング、およびフーチングのいずれかを制御または修正することができる。
【0028】
[0037]次に、
図10を参照すると、本開示の実施形態による、様々なグレーチングを有する回折光学素子を形成するための方法200について、より詳細に説明されることになる。具体的には、ブロック201において、方法200は、プラズマ源と被加工物との間に複数の近接マスクを設けることを含んでもよく、被加工物は、そこに固定された複数の基板を含み、複数の基板の各々は、第1のターゲット領域および第2のターゲット領域を含む。いくつかの実施形態では、複数の基板の各々は、第3のターゲット領域をさらに含む。
【0029】
[0038]ブロック203において、方法200は、プラズマ源から、角度付きイオンビームを被加工物に向かって供給することをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、角度付きイオンビームは、角度付きイオンエッチングプロセスを実行するためのリボンビームおよび反応性ラジカルである。いくつかの実施形態では、ビームのビーム幅は、被加工物の直径より大きくてもよい。例えば、ビームの幅は、被加工物よりも数cm広くてもよいので、被加工物は1回の通過で処理される。
【0030】
[0039]ブロック205において、方法200は、複数のマスクのうちの1つで角度付きイオンビームを受け取ることを含んでもよく、複数の近接マスクのうちの第1の近接マスクは、第1の組の開口部を含み、角度付きイオンビームが、第1の組の開口部を通過して、複数の基板の各々の第1のターゲット領域に至ることができるようにする。複数の近接マスクの第2の近接マスクは、第2の組の開口部を含むことができ、角度付きイオンビームが、第2の組の開口部を通過して、複数の基板の各々の第2のターゲット領域に至ることができるようにする。いくつかの実施形態では、角度付きイオンビームは、一度に複数の近接マスクのうちの1つだけの近接マスクで受け取られる。
【0031】
[0040]ブロック207において、方法200は、第1のターゲット領域内の第1の角度付きグレーチング、第2のターゲット領域内の第2の角度付きグレーチング、および第3のターゲット領域内の第3の角度付きグレーチングの各々を形成するために、複数の基板の各々を処理すること(例えば、エッチングすること)をさらに含みうる。いくつかの実施形態では、ブロック207において、方法200は、第1の角度付きグレーチングを形成するために第1の近接マスクを使用して第1のエッチングプロセスを実行することと、第2の角度付きグレーチングを形成するために第2の近接マスクを使用して第2のエッチングプロセスを実行することと、第3の角度付きグレーチングを形成するために第3の近接マスクを使用して第3のエッチングプロセスを実行することとをさらに含みうる。いくつかの実施形態では、第1のエッチングプロセスは、第1の近接マスクおよび被加工物を互いに対して回転させることを含む。第2のエッチングプロセスは、第2の近接マスクおよび被加工物を互いに対して回転させることを含んでもよく、第3のエッチングプロセスは、第3の近接マスクおよび被加工物を互いに対して回転させることを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1のエッチングプロセス、第2のエッチングプロセス、および第3のエッチングプロセスは、被加工物が被加工物ホルダに固定されたままで、連続して実行される。いくつかの実施形態では、第1、第2、および第3のエッチングプロセスは、第1、第2、および/または第3の角度付きグレーチングの以下のグレーチングパラメータ、すなわち、ピッチ、ハードマスクの厚さ、フィンの高さ、フィンの厚さ(CD)、コーナー半径、エッチング停止層へのオーバーエッチ、ヒーリング、およびフーチングのいずれかを制御または修正することができる。
【0032】
[0041]いくつかの実施形態では、第1の角度付きグレーチングは、複数の基板の各々のベース面に対して第1の角度で形成された第1の複数のフィンを含み、第2の角度付きグレーチングは、複数の基板の各々のベース面に対して第2の角度で形成された第2の複数のフィンを含む。第3の角度付きグレーチングは、複数の基板の各々のベース面に対して第3の角度で形成された第3の複数のフィンを含みうる。いくつかの実施形態では、第1の角度、第2の角度、および第3の角度は、互いに異なる。いくつかの実施形態では、第1の角度、第2の角度、および第3の角度は、各々鋭角である。
【0033】
[0042]要約すれば、本明細書に記載される種々の実施形態は、バックライト付き基板からの光結合(例えば、抽出または入力)のための傾斜したグレーチングのような、種々の光学的に効率的なグレーチング形状を形成するための手法を提供する。製造は、角度付きイオンを、基板上に、またはパターンを目的の基板に転写するために使用されるマスク上に、直接適用することによって、実現されうる。本実施形態の第1の技術的利点は、基板の様々な領域のリソグラフィマスキングの必要性を排除するために複数の近接マスクを使用することを含み、したがって、より効率的な製造がもたらされる。本開示の第2の技術的利点は、工具から被加工物を除去することなく、様々な角度、深さ、および位置で角度付きエッチングを提供することを含み、したがって、より効率的な製造がもたらされる。
【0034】
[0043]本開示は、本明細書に記載される特定の実施形態によって範囲が限定されるべきではない。実際、本明細書に記載されているものに加えて、本開示の他の様々な実施形態および本開示に対する修正例は、前述の説明および添付の図面から当業者には明らかであろう。したがって、そのような他の実施形態および修正例は、本開示の範囲内にあることが意図されている。さらに、本開示は、本明細書において、特定の目的のための特定の環境における特定の実施態様の文脈で、説明されてきた。当業者は、有用性がそれに限定されず、本開示が、任意の数の目的のために任意の数の環境において有益に実施されうることを認識するだろう。したがって、以下に記載される特許請求の範囲は、本明細書に記載される本開示の全範囲および主旨を考慮して解釈されるべきである。