IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エヌ・ティ・ティ・データ・ジェトロニクス株式会社の特許一覧

特許7121469異動担保選定装置、異動担保選定方法、および異動担保選定プログラム
<>
  • 特許-異動担保選定装置、異動担保選定方法、および異動担保選定プログラム 図1
  • 特許-異動担保選定装置、異動担保選定方法、および異動担保選定プログラム 図2
  • 特許-異動担保選定装置、異動担保選定方法、および異動担保選定プログラム 図3
  • 特許-異動担保選定装置、異動担保選定方法、および異動担保選定プログラム 図4
  • 特許-異動担保選定装置、異動担保選定方法、および異動担保選定プログラム 図5
  • 特許-異動担保選定装置、異動担保選定方法、および異動担保選定プログラム 図6
  • 特許-異動担保選定装置、異動担保選定方法、および異動担保選定プログラム 図7
  • 特許-異動担保選定装置、異動担保選定方法、および異動担保選定プログラム 図8
  • 特許-異動担保選定装置、異動担保選定方法、および異動担保選定プログラム 図9
  • 特許-異動担保選定装置、異動担保選定方法、および異動担保選定プログラム 図10
  • 特許-異動担保選定装置、異動担保選定方法、および異動担保選定プログラム 図11
  • 特許-異動担保選定装置、異動担保選定方法、および異動担保選定プログラム 図12
  • 特許-異動担保選定装置、異動担保選定方法、および異動担保選定プログラム 図13
  • 特許-異動担保選定装置、異動担保選定方法、および異動担保選定プログラム 図14
  • 特許-異動担保選定装置、異動担保選定方法、および異動担保選定プログラム 図15
  • 特許-異動担保選定装置、異動担保選定方法、および異動担保選定プログラム 図16
  • 特許-異動担保選定装置、異動担保選定方法、および異動担保選定プログラム 図17
  • 特許-異動担保選定装置、異動担保選定方法、および異動担保選定プログラム 図18
  • 特許-異動担保選定装置、異動担保選定方法、および異動担保選定プログラム 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-09
(45)【発行日】2022-08-18
(54)【発明の名称】異動担保選定装置、異動担保選定方法、および異動担保選定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/04 20120101AFI20220810BHJP
【FI】
G06Q40/04
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2017090803
(22)【出願日】2017-04-28
(65)【公開番号】P2018190112
(43)【公開日】2018-11-29
【審査請求日】2020-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000228305
【氏名又は名称】NTTデータルウィーブ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 剛
【審査官】原 忠
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-167000(JP,A)
【文献】特開2003-242346(JP,A)
【文献】特開2002-083131(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
借手から貸手へ差し入れる1または複数の担保の担保設定額を示す担保設定額情報を取得する担保設定額情報取得部と、
前記担保設定額情報に基づく前記担保設定額に応じて、前記借手から前記貸手へ差し入れる1または複数の前記担保の銘柄と数量との組み合わせを示す第1の組み合わせ、および、前記貸手から前記借手へ差し戻す1または複数の前記担保の前記銘柄と前記数量との組み合わせを示す第2の組み合わせを選定する異動担保選定部と、
を備え、
前記担保は、株式であり、
前記異動担保選定部は、株式である前記担保の時価および単元に応じて、前記担保設定額の不足分を追加差し入れ可能な前記第1の組み合わせ、および、保差入額の余剰を差し戻し可能な前記第2の組み合わせを再選定する
ことを特徴とする異動担保選定装置。
【請求項2】
前記異動担保選定部は、前記貸手から前記借手へ貸し出し中である担保対象の時価から前記借手から前記貸手へ差し入れ中である前記担保の時価を差し引いた金額である過不足額が所定の金額以上になるように、前記第1の組み合わせおよび前記第2の組み合わせのうち少なくとも一方を選定する
ことを特徴とする請求項1に記載の異動担保選定装置。
【請求項3】
前記第1の組み合わせを示す情報を出力する出力部を備え、
前記異動担保選定部は、複数の前記第1の組み合わせの候補を選定し、前記過不足額がより小さくなる前記第1の組み合わせから順に表示する
ことを特徴とする請求項2に記載の異動担保選定装置。
【請求項4】
前記異動担保選定部によって選定された前記第1の組み合わせおよび前記第2の組み合わせのうち少なくとも一方を示す情報と、前記異動担保選定部によって選定された前記第1の組み合わせおよび前記第2の組み合わせのうち少なくとも一方を示す情報に基づいて異動された1または複数の前記担保の前記銘柄と前記数量との組み合わせを示す情報と、の突き合わせを行う異動担保突合部、
を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の異動担保選定装置。
【請求項5】
前記異動担保選定部は、前記第1の組み合わせを選定する場合において、所定の期間に所定の変動幅を超える価格変動をした前記銘柄を含む前記第1の組み合わせを前記所定の期間に前記所定の変動幅を超える前記価格変動をした前記銘柄を含まない前記第1の組み合わせよりも選定における優先順位を低くして選定する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の異動担保選定装置。
【請求項6】
前記異動担保選定部は、前記第2の組み合わせを選定する場合において、所定の期間に所定の変動幅を超える価格変動をした前記銘柄を含む前記第2の組み合わせを前記所定の期間に前記所定の変動幅を超える前記価格変動をした前記銘柄を含まない前記第2の組み合わせよりも選定における優先順位を高くして選定する
ことを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の異動担保選定装置。
【請求項7】
前記異動担保選定部は、前記第1の組み合わせを選定する場合において、貸株超過銘柄を含む前記第1の組み合わせを前記貸株超過銘柄を含まない前記第1の組み合わせよりも選定における優先順位を低くして選定する
ことを特徴とする請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載の異動担保選定装置。
【請求項8】
前記異動担保選定部は、前記第2の組み合わせを選定する場合において、貸株超過銘柄を含む前記第2の組み合わせを前記貸株超過銘柄を含まない前記第2の組み合わせよりも選定における優先順位を高くして選定する
ことを特徴とする請求項1から請求項7のうちいずれか一項に記載の異動担保選定装置。
【請求項9】
前記異動担保選定部は、振替停止期日までの日数が所定の日数未満である株式の前記銘柄を含む前記第1の組み合わせを選定しない
ことを特徴とする請求項1から請求項8のうちいずれか一項に記載の異動担保選定装置。
【請求項10】
前記異動担保選定部は、上場廃止予定のある前記銘柄を含む前記第1の組み合わせを選定しない
ことを特徴とする請求項1から請求項9のうちいずれか一項に記載の異動担保選定装置。
【請求項11】
ユーザからの操作入力を示す情報を取得する取得部、
を備え、
前記異動担保選定部は、前記操作入力によって指定された前記銘柄を含む前記第1の組み合わせおよび前記第2の組み合わせを選定しない
ことを特徴とする請求項1から請求項10のうちいずれか一項に記載の異動担保選定装置。
【請求項12】
コンピュータによる異動担保選定方法であって、
担保設定額情報取得部が、借手から貸手へ差し入れる1または複数の担保の担保設定額を示す担保設定額情報を取得する担保設定額情報取得ステップと、
異動担保選定部が、前記担保設定額情報に基づく前記担保設定額に応じて、前記借手から前記貸手へ差し入れる1または複数の前記担保の銘柄と数量との組み合わせを示す第1の組み合わせ、および、前記貸手から前記借手へ差し戻す1または複数の前記担保の前記銘柄と前記数量との組み合わせを示す第2の組み合わせを選定する異動担保選定ステップと、
を有し、
前記担保は、株式であり、
前記異動担保選定ステップにおいて、前記異動担保選定部が、株式である前記担保の時価および単元に応じて、前記担保設定額の不足分を追加差し入れ可能な前記第1の組み合わせ、および、保差入額の余剰を差し戻し可能な前記第2の組み合わせを再選定する
ことを特徴とする異動担保選定方法。
【請求項13】
コンピュータに、
借手から貸手へ差し入れる1または複数の担保の担保設定額を示す担保設定額情報を取得する担保設定額情報取得ステップと、
前記担保設定額情報に基づく前記担保設定額に応じて、前記借手から前記貸手へ差し入れる1または複数の前記担保の銘柄と数量との組み合わせを示す第1の組み合わせ、および、前記貸手から前記借手へ差し戻す1または複数の前記担保の前記銘柄と前記数量との組み合わせを示す第2の組み合わせを選定する異動担保選定ステップと、
を実行させ、
前記担保は、株式であり、
前記異動担保選定ステップにおいて、株式である前記担保の時価および単元に応じて、前記担保設定額の不足分を追加差し入れ可能な前記第1の組み合わせ、および、保差入額の余剰を差し戻し可能な前記第2の組み合わせを再選定する処理を実行させるための異動担保選定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異動担保選定装置、異動担保選定方法、および異動担保選定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
2019年に本国で予定されている、株式売買取引の決済期間短縮(T+2決済化)が施行された場合、クロスボーダ取引におけるフェイルカバーを目的とした借株の必要性が高まることが予測される。
貸借取引において、借手(例えば、株式などの借手)は、貸手に対して代用有価証券(株式、または国債など)を担保として差し入れる場合、借手自身が保有している有価証券の中から、差し入れる1つの有価証券の銘柄および数量、あるいは差し入れる複数の有価証券の銘柄および数量の組み合わせなどを選定する必要がある。例えば、特許文献1に記載の有価証券決済サーバーは、顧客が保有する有価証券の各銘柄名、銘柄コード、数量、時価、担保評価額が記載されている担保銘柄選択画面を表示し、当該担保銘柄選択画面に表示された銘柄のうち何れかの銘柄が顧客によって選択される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-30562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、通常、貸借取引においては、借手は、複数の貸手に対して担保を差し入れていることが多い。また、借手は、担保として、代用有価証券や現金を担保として差し入れることができるが、とくに複数の株式銘柄および株数を組み合わせて、担保に差し入れることが多い。そのため、借手は、それぞれの貸手に対し、借手自身が保有する複数の株式銘柄それぞれの時価、単元、および、その他様々な要因を勘案しつつ、差し入れる1つの有価証券の銘柄および数量、あるいは差し入れる複数の有価証券の銘柄および数量の組み合わせをそれぞれ適切に選定する必要があり、このような異動担保の選定作業が煩雑になっているという課題がある。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、異動担保の選定作業を軽減させることができる異動担保選定装置、異動担保選定方法、および異動担保選定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様としては、借手から貸手へ差し入れる1または複数の担保の担保設定額を示す担保設定額情報を取得する担保設定額情報取得部と、前記担保設定額情報に基づく前記担保設定額に応じて、前記借手から前記貸手へ差し入れる1または複数の前記担保の銘柄と数量との組み合わせを示す第1の組み合わせ、および、前記貸手から前記借手へ差し戻す1または複数の前記担保の前記銘柄と前記数量との組み合わせを示す第2の組み合わせを選定する異動担保選定部と、を備え、前記担保は、株式であり、前記異動担保選定部は、株式である前記担保の時価および単元に応じて、前記担保設定額の不足分を追加差し入れ可能な前記第1の組み合わせ、および、保差入額の余剰を差し戻し可能な前記第2の組み合わせを再選定することを特徴とする異動担保選定装置である。
【0007】
また、本発明の一態様としては、上記の異動担保選定装置であって、前記異動担保選定部は、前記担保の時価および単元に応じて、前記第1の組み合わせおよび前記第2の組み合わせのうち少なくとも一方を選定することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様としては、上記の異動担保選定装置であって、前記異動担保選定部は、前記貸手から前記借手へ貸し出し中である担保対象の時価から前記借手から前記貸手へ差し入れ中である前記担保の時価を差し引いた金額である過不足額が所定の金額以上になるように、前記第1の組み合わせおよび前記第2の組み合わせのうち少なくとも一方を選定することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様としては、上記の異動担保選定装置であって、前記第1の組み合わせを示す情報を出力する出力部を備え、前記異動担保選定部は、複数の前記第1の組み合わせの候補を選定し、前記過不足額がより小さくなる前記第1の組み合わせから順に表示することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様としては、上記の異動担保選定装置であって、前記異動担保選定部によって選定された前記第1の組み合わせおよび前記第2の組み合わせのうち少なくとも一方を示す情報と、前記異動担保選定部によって選定された前記第1の組み合わせおよび前記第2の組み合わせのうち少なくとも一方を示す情報に基づいて異動された1または複数の前記担保の前記銘柄と前記数量との組み合わせを示す情報と、の突き合わせを行う異動担保突合部、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様としては、上記の異動担保選定装置であって、前記異動担保選定部は、前記第1の組み合わせを選定する場合において、所定の期間に所定の変動幅を超える価格変動をした前記銘柄を含む前記第1の組み合わせを前記所定の期間に前記所定の変動幅を超える前記価格変動をした前記銘柄を含まない前記第1の組み合わせよりも選定における優先順位を低くして選定することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様としては、上記の異動担保選定装置であって、前記異動担保選定部は、前記第2の組み合わせを選定する場合において、所定の期間に所定の変動幅を超える価格変動をした前記銘柄を含む前記第2の組み合わせを前記所定の期間に前記所定の変動幅を超える前記価格変動をした前記銘柄を含まない前記第2の組み合わせよりも選定における優先順位を高くして選定することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一態様としては、上記の異動担保選定装置であって、前記異動担保選定部は、前記第1の組み合わせを選定する場合において、貸株超過銘柄を含む前記第1の組み合わせを前記貸株超過銘柄を含まない前記第1の組み合わせよりも選定における優先順位を低くして選定することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の一態様としては、上記の異動担保選定装置であって、前記異動担保選定部は、前記第2の組み合わせを選定する場合において、貸株超過銘柄を含む前記第2の組み合わせを前記貸株超過銘柄を含まない前記第2の組み合わせよりも選定における優先順位を高くして選定することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の一態様としては、上記の異動担保選定装置であって、前記異動担保選定部は、振替停止期日までの日数が所定の日数未満である株式の前記銘柄を含む前記第1の組み合わせを選定しないことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の一態様としては、上記の異動担保選定装置であって、前記異動担保選定部は、上場廃止予定のある前記銘柄を含む前記第1の組み合わせを選定しないことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の一態様としては、上記の異動担保選定装置であって、前記異動担保選定部は、利払い日または償還日までの日数が所定の日数未満である債権の前記銘柄を含む前記第1の組み合わせを選定しないことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の一態様としては、上記の異動担保選定装置であって、ユーザからの操作入力を示す情報を取得する取得部、を備え、前記異動担保選定部は、前記操作入力によって指定された前記銘柄を含む前記第1の組み合わせおよび前記第2の組み合わせを選定しないことを特徴とする。
【0019】
また、本発明の一態様としては、コンピュータによる異動担保選定方法であって、担保設定額情報取得部が、借手から貸手へ差し入れる1または複数の担保の担保設定額を示す担保設定額情報を取得する担保設定額情報取得ステップと、異動担保選定部が、前記担保設定額情報に基づく前記担保設定額に応じて、前記借手から前記貸手へ差し入れる1または複数の前記担保の銘柄と数量との組み合わせを示す第1の組み合わせ、および、前記貸手から前記借手へ差し戻す1または複数の前記担保の前記銘柄と前記数量との組み合わせを示す第2の組み合わせ選定する異動担保選定ステップと、を有し、前記担保は、株式であり、前記異動担保選定ステップにおいて、前記異動担保選定部が、株式である前記担保の時価および単元に応じて、前記担保設定額の不足分を追加差し入れ可能な前記第1の組み合わせ、および、保差入額の余剰を差し戻し可能な前記第2の組み合わせをことを特徴とする異動担保選定方法である。
【0020】
また、本発明の一態様としては、コンピュータに、借手から貸手へ差し入れる1または複数の担保の担保設定額を示す担保設定額情報を取得する担保設定額情報取得ステップと、前記担保設定額情報に基づく前記担保設定額に応じて、前記借手から前記貸手へ差し入れる1または複数の前記担保の銘柄と数量との組み合わせを示す第1の組み合わせ、および、前記貸手から前記借手へ差し戻す1または複数の前記担保の前記銘柄と前記数量との組み合わせを示す第2の組み合わせを選定する異動担保選定ステップと、を実行させ、前記担保は、株式であり、前記異動担保選定ステップにおいて、株式である前記担保の時価および単元に応じて、前記担保設定額の不足分を追加差し入れ可能な前記第1の組み合わせ、および、保差入額の余剰を差し戻し可能な前記第2の組み合わせを再選定する処理を実行させるための異動担保選定プログラムである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、異動担保の選定作業を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係る異動担保選定システムの構成の概要を示す概略図である。
図2】本発明の一実施形態に係る異動担保選定装置の機能構成を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係る異動担保選定装置が出力する担保一覧画面の一例を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る異動担保選定装置が出力する担保一覧画面の一例を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る異動担保選定装置が出力する差入担保の候補一覧画面の一例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る異動担保選定装置が出力する差入担保の候補一覧画面の一例を示す図である。
図7】本発明の一実施形態に係る異動担保選定装置が出力する差戻担保の候補一覧画面の一例を示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係る異動担保選定装置が出力する差入中担保の一覧画面の一例を示す図である。
図9】本発明の一実施形態に係る異動担保選定装置が出力する担保利用可能銘柄の一覧画面の一例を示す図である。
図10】本発明の一実施形態に係る異動担保選定装置が出力する担保所要額と担保差入額の推移確認画面の一例を示す図である。
図11】本発明の一実施形態に係る異動担保選定装置が出力する担保所要額と担保差入額の推移確認画面の一例を示す図である。
図12】本発明の一実施形態に係る異動担保選定装置による異動担保の突合処理の流れの概要を示す概略図である。
図13】本発明の一実施形態に係る異動担保選定装置が出力する貸手側閲覧画面の一例を示す図である。
図14】本発明の一実施形態に係る異動担保選定装置が出力する貸手側閲覧画面の一例を示す図である。
図15】本発明の一実施形態に係る異動担保選定装置が出力する貸手側閲覧画面の一例を示す図である。
図16】本発明の一実施形態に係る異動担保選定装置の動作を示すフローチャートである。
図17】本発明の一実施形態に係る異動担保選定装置の動作を示すフローチャートである。
図18】本発明の一実施形態に係る異動担保選定装置の動作を示すフローチャートである。
図19】本発明の一実施形態に係る異動担保選定装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<実施形態>
以下、本発明の一実施形態について説明する。
以下に説明する異動担保選定システム1は、1つの有価証券の銘柄および数量、あるいは複数の有価証券の銘柄および数量の組み合わせの選定(以下、「異動担保の選定」と記載することがある)を行う機能を有する情報処理システムである。当該異動担保選定システム1が有する異動担保選定装置10は、顧客(借手)などによって指定された担保価値(担保設定額)となるように、株式の単元や国債の額面、および時価や掛目などを考慮して、異動担保の選定を行う。
【0024】
また、異動担保選定装置10は、貸株超過銘柄であるか否かや、銘柄の価格変動幅などに応じて、異動担保の選定における優先順位づけを行う。また、異動担保選定装置10は、上場廃止予定銘柄や、振替停止期日、利払い日、または償還日を迎える銘柄などについては、異動担保の選定において対象外にする機能を有する。これにより、異動担保選定装置10は、異動担保の選定にかかる事務作業の負担を軽減させることができる。
【0025】
また、異動担保選定装置10は、異動申告と実際の担保異動とを突合する機能を有する。また、異動担保選定装置10は、異動申告と実際の担保異動とを突合した結果、齟齬が生じている場合には、当該結果を、上述した異動担保の選定を行う機能へ反映させる。これにより、異動担保選定装置10は、担保の振替実行の完了確認にかかる事務作業の負担を軽減させることができる。
【0026】
以下、本実施形態に係る異動担保選定システム1および異動担保選定装置10について詳しく説明する。
【0027】
[異動担保選定システムの構成]
以下、異動担保選定システム1の構成について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する異動担保選定システム1の構成はあくまで一例であり、この構成に限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施形態に係る異動担保選定システム1の構成の概要を示す概略図である。図示するように、異動担保選定システム1は、異動担保選定装置10と、証券振替サーバ20と、借手側端末30と、貸手側端末40と、通信ネットワーク80と、伝送路90と、を含んで構成される。
【0028】
異動担保選定装置10は、(例えば、借手によって)指定された担保設定額となるように、株式の単元や国債の額面などを考慮して、異動担保の選定を行うサーバ装置である。異動担保選定装置10は、コンピュータ装置、例えば、汎用コンピュータ、またはパーソナルコンピュータ等を含んで構成される。
証券振替サーバ20は、株券等の有価証券を集中保管し、これら有価証券の受渡しを、券面そのものの授受に代えて、口座間の振替によって行うサーバ装置である。証券振替サーバ20は、例えば、株式会社証券保管振替機構によって管理されるサーバ装置である。証券振替サーバ20は、コンピュータ装置、例えば、汎用コンピュータを含んで構成される。
【0029】
借手側端末30は、貸借取引における借手が利用する端末装置である。借手は、借手側端末30を用いて、担保設定額の指定や、異動担保の確定指示などを行う。借手側端末30は、コンピュータ装置、例えば、パーソナルコンピュータ、またはタブレット型の携帯型端末などを含んで構成される。
貸手側端末40は、貸借取引における貸手が利用する端末装置である。貸手側端末40は、コンピュータ装置、例えば、パーソナルコンピュータ、またはタブレット型の携帯型端末などを含んで構成される。
【0030】
通信ネットワーク80は、異動担保選定装置10、借手側端末30、および貸手側端末40を互いに通信接続する通信網である。通信ネットワーク80は、例えば、インターネット、各種の閉域網(例えば、専用線、またはVPN(Virtual Private Network;仮想専用ネットワーク)など)、またはそれらの通信ネットワークの組合せによって構成される。なお、通信ネットワーク80は、有線の通信ネットワークであってもよいし、一部または全部が無線の通信ネットワークであってもよい。
【0031】
伝送路90は、証券振替サーバ20と借手側端末30との間において伝送される情報を伝送する伝送路である。なお、伝送路90には、証券振替サーバ20から情報を取得して当該情報を記憶媒体(例えば、メディアなど)に記録する装置(例えば、株式会社証券保管振替機構の統合Web端末)や、当該装置によって記録された情報を借手側端末30へ伝送する上記の記憶媒体など、証券振替サーバ20から借手側端末30への情報伝送を仲介する他の装置や記憶媒体などが含まれていてもよい。
また、証券振替サーバ20から出力される情報は、借手側端末30を介して、異動担保選定装置10へ伝送される。
【0032】
[異動担保選定装置の機能構成]
以下、異動担保選定装置10の機能構成について、図面を参照しながら説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る異動担保選定装置10の機能構成を示すブロック図である。図示するように、異動担保選定装置10は、記憶部100と、入出力部101と、担保一覧生成部102と、銘柄情報取得部103と、担保設定額情報取得部104と、異動担保選定部105と、振替済情報取得部106と、異動担保突合部107と、を含んで構成される。
【0033】
記憶部100は、異動担保選定装置10によって行われる各種の処理において用いられるプログラムやデータ等を記憶する。また、記憶部100は、異動担保選定装置10によって行われる各種の処理において一時的に使用される一時記憶領域としても用いられる。
記憶部100は、記憶媒体、例えば、HDD(Hard Disk Drive;ハードディスクドライブ)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory;イーイーピーロム)、RAM(Random Access read/write Memory;読み書き可能なメモリ)、ROM(Read Only Memory;読み出し専用メモリ)、またはこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。
【0034】
入出力部101は、図2に図示するように、操作入力情報取得部1011と、表示画面出力部1012と、を含んで構成される。
操作入力情報取得部1011は、ユーザからの操作入力に基づく情報を取得する。
表示画面出力部1012は、前記借手から前記貸手へ差し入れる1または複数の前記担保の銘柄と数量との組み合わせ(第1の組み合わせ)を示す情報を出力する。
【0035】
担保一覧生成部102は、図2に図示するように、担保所要額算出部1021と、担保差入額算出部1022と、担保過不足額算出部1023と、を含んで構成される。
担保所要額算出部1021は、有価証券の時価などを考慮して、借手から貸手へ差し入れる必要がある担保の総額(担保所要額)を算出する。
担保差入額算出部1022は、有価証券の時価や掛目などを考慮して、借手から貸手へ差し入れる担保の金額(担保差入額)を算出する。
担保過不足額算出部1023は、担保所要額から担保差入額を減算することにより、借手から貸手へ差し入れる担保の過不足額を算出する。
【0036】
なお、時価、単元、および貸株超過などの情報は、当該情報を提供することを専門とする事業者である情報ベンダ(図示せず)から、異動担保選定装置10の銘柄情報取得部103へ、および入出力部101を介して異動担保選定部105へ、適宜送信される情報である。
【0037】
銘柄情報取得部103は、担保の銘柄に関する各種情報(例えば、時価や貸株超過など)を、情報ベンダのサーバから取得する。
担保設定額情報取得部104は、(例えば、借手などによって)指定される担保設定額を示す担保設定額情報を、借手側端末30などから取得する。
【0038】
なお、担保設定額は、借手が手動で設定するのではなく、担保所要額に応じて自動的に設定されるような構成であってもよい。
【0039】
異動担保選定部105は、担保設定額情報に基づく担保設定額に応じて、借手から貸手へ差し入れる1または複数の担保の銘柄と数量との組み合わせ(第1の組み合わせ)、および、貸手から借手へ差し戻す1または複数の担保の銘柄と数量との組み合わせ(第2の組み合わせ)を選定する。
また、異動担保選定部105は、担保の時価および単元に応じて、借手から貸手へ差し入れる1または複数の担保の銘柄と数量との組み合わせ(第1の組み合わせ)、および貸手から借手へ差し戻す1または複数の担保の銘柄と数量との組み合わせ(第2の組み合わせ)を選定する。
【0040】
また、異動担保選定部105は、貸手から借手へ貸し出し中である担保対象の時価から、借手から貸手へ既に担保に差し入れ中である銘柄の時価を差し引いた金額である過不足額が所定の金額以上になるように、借手から貸手へ差し入れる1または複数の担保の銘柄と数量との組み合わせ(第1の組み合わせ)、および貸手から借手へ差し戻す1または複数の担保の銘柄と数量との組み合わせ(第2の組み合わせ)を選定する。
また、異動担保選定部105は、借手から貸手へ差し入れる1または複数の担保の銘柄と数量との複数の組み合わせ(複数の第1の組み合わせ)の候補を選定し、過不足額がより小さくなる組み合わせから順に表示する。
【0041】
また、異動担保選定部105は、借手から貸手へ差し入れる1または複数の担保の銘柄と数量との組み合わせ(第1の組み合わせ)を選定する場合において、所定の期間に所定の変動幅を超える価格変動をした銘柄を含む、借手から貸手へ差し入れる1または複数の担保の銘柄と数量との組み合わせ(第1の組み合わせ)を、所定の期間に所定の変動幅を超える価格変動をした銘柄を含まない、借手から貸手へ差し入れる1または複数の担保の銘柄と数量との組み合わせ(第1の組み合わせ)よりも、選定における優先順位を低くして選定する。
また、異動担保選定部105は、貸手から借手へ差し戻す1または複数の担保の銘柄と数量との組み合わせ(第2の組み合わせ)を選定する場合において、所定の期間に所定の変動幅を超える価格変動をした銘柄を含む、貸手から借手へ差し戻す1または複数の担保の銘柄と数量との組み合わせ(第2の組み合わせ)を、所定の期間に所定の変動幅を超える価格変動をした銘柄を含まない、貸手から借手へ差し戻す1または複数の担保の銘柄と数量との組み合わせ(第2の組み合わせ)よりも、選定における優先順位を高くして選定する。
【0042】
また、異動担保選定部105は、借手から貸手へ差し入れる1または複数の担保の銘柄と数量との組み合わせ(第1の組み合わせ)を選定する場合において、貸株超過銘柄を含む、借手から貸手へ差し入れる1または複数の担保の銘柄と数量との組み合わせ(第1の組み合わせ)を、貸株超過銘柄を含まない、借手から貸手へ差し入れる1または複数の担保の銘柄と数量との組み合わせ(第1の組み合わせ)よりも、選定における優先順位を低くして選定する。
また、異動担保選定部105は、貸手から借手へ差し戻す1または複数の担保の銘柄と数量との組み合わせ(第2の組み合わせ)を選定する場合において、貸株超過銘柄を含む、貸手から借手へ差し戻す1または複数の担保の銘柄と数量との組み合わせ(第2の組み合わせ)を、貸株超過銘柄を含まない、貸手から借手へ差し戻す1または複数の担保の銘柄と数量との組み合わせ(第2の組み合わせ)よりも、選定における優先順位を高くして選定する。
【0043】
なお、貸手から借手へ差し戻す1または複数の担保の銘柄と数量との組み合わせ(第2の組み合わせ)を選定する場合における優先順位付けのルールの一例として、例えば、優先順位の高い方から順に、(1)「上場廃止銘柄」、(2)「振替停止期日までの日数が所定の日数未満である株式の銘柄、および、利払い日または償還日までの日数が所定の日数未満である債権の銘柄」、(3)「現金」、(4)「貸株超過銘柄」、(5)「所定の期間において価格変動率がより高い銘柄」、(6)「(1)~(5)に該当しない銘柄」、の順番で優先順位付けをするようなルールが適用される。
【0044】
また、異動担保選定部105は、振替停止期日までの日数が所定の日数未満である株式の銘柄を含むような、借手から貸手へ差し入れる1または複数の担保の銘柄と数量との組み合わせ(第1の組み合わせ)を選定しない。
また、異動担保選定部105は、上場廃止予定のある銘柄を含むような、借手から貸手へ差し入れる1または複数の担保の銘柄と数量との組み合わせ(第1の組み合わせ)を選定しない。
また、異動担保選定部105は、利払い日または償還日までの日数が所定の日数未満である債権の銘柄を含むような、借手から貸手へ差し入れる1または複数の担保の銘柄と数量との組み合わせ(第1の組み合わせ)を選定しない。
【0045】
また、異動担保選定部105は、借手による操作入力によって選定対象外にするように指定された銘柄を含むような、借手から貸手へ差し入れる1または複数の担保の銘柄と数量との組み合わせ(第1の組み合わせ)、および貸手から借手へ差し戻す1または複数の担保の銘柄と数量との組み合わせ(第2の組み合わせ)を選定しない。
【0046】
また、異動担保選定部105は、図2に図示するように、差入担保候補一覧生成部1051と、差戻担保候補一覧生成部1052と、を含んで構成される。
差入担保候補一覧生成部1051は、異動担保選定部105による異動担保の選定に基づく、差入担保の候補となる銘柄の一覧を生成する。
差戻担保候補一覧生成部1052は、異動担保選定部105による異動担保の選定に基づく、差戻担保の候補となる銘柄の一覧を生成する。
【0047】
振替済情報取得部106は、証券振替サーバ20によって行われた振替処理を示すデータ(振替済データファイル)を、借手側端末30を介して、当該証券振替サーバ20から取得する。
【0048】
異動担保突合部107は、振替済情報取得部106が取得した振替済データファイルに基づく、借手から貸手へ差し入れる1または複数の担保の銘柄と数量との組み合わせ(第1の組み合わせ)、および貸手から借手へ差し戻す1または複数の担保の銘柄と数量との組み合わせ(第2の組み合わせ)を示す情報と、異動担保選定部105によって選定され記憶部100に記憶されている、借手から貸手へ差し入れる1または複数の担保の銘柄と数量との組み合わせ(第1の組み合わせ)、および貸手から借手へ差し戻す1または複数の担保の銘柄と数量との組み合わせ(第2の組み合わせ)を示す情報と、の突き合わせを行う。すなわち、異動担保突合部107は、異動申告と実際の担保異動とを突合する機能を有する。
【0049】
[担保一覧画面の画面例]
以下、担保一覧生成部102によって生成される担保一覧画面の画面例について、図面を参照しながら説明する。
図3乃至図4は、本発明の一実施形態に係る異動担保選定装置10が出力する担保一覧画面の一例を示す図である。
【0050】
図3に図示するように、担保一覧生成部102によって生成される情報よって(例えば、借手側端末30に表示される)担保一覧画面には、「取引相手(担保差入先)」、「担保所要額」、「担保差入額」、「過不足額」、および「担保設定額」の5つの項目の列からなる2次元の表形式のデータである担保一覧が表示される。
【0051】
「取引相手(担保差入先)」の項目の列には、取引相手(担保差入先)の名称、すなわち貸手の名称(例えば、企業名など)が表示される。
【0052】
「担保所要額」の項目の列には、「取引相手(担保差入先)」の項目の列に表示された貸手に対する担保所要額、すなわち、当該貸手に対して差し入れる必要がある担保の総額が表示される。
「担保差入額」の項目の値には、「取引相手(担保差入先)」の項目の列に表示された貸手に対する担保差入額、すなわち、「担保設定額」の項目の値に基づいて選定された代用有価証券の銘柄と数量との組み合わせによって算出される金額が表示される。
【0053】
「過不足額」の項目の値には、上記の「担保所要額」から上記の「担保差入額」を差し引いた金額、すなわち、貸手に対して差し入れる必要がある担保の総額に対する、差し入れる金額の過不足を示す金額が表示される。
「担保設定額」の項目の値には、借手などによって指定される金額であり、当該金額に基づいて異動担保の選定が行われる。
【0054】
図示するように、例えば、担保一覧のレコードの1行目の各項目の値は、「B社」、「¥30,000,000」、「¥28,000,000」、「-¥2,000,000」、および「¥27,000,000」である。これは、この担保一覧画面を参照している借手の、貸手(取引相手)であるB社に対する担保の担保所要額(すなわち、B社に対して差し入れるべき担保の総額)が30,000,000円であり、これに対し、借手が現在差し入れている担保の総額が28,000,000円であることを示す。これにより、「過不足額」の値がマイナス2,000,000円となっている。すなわち、「過不足額」の値は、差し入れるべき担保の総額に対し、差入中の担保が2,000,000円不足していることを示す。
【0055】
なお、本実施形態においては、貸手から借手へ貸し出されている担保対象は有価証券であるものとし、そのため、担保所要額は当該有価証券の時価に基づいて変化する。また同様に、本実施形態においては、借手から貸手へ差し入れられる担保は代用有価証券あるいは現金であるものとし、そのため、代用有価証券の場合には、担保差入額は当該代用有価証券の時価に基づいて変化する。なお、貸手から借手へ貸し出されている担保対象は、有価証券に限られるものではなく、例えば、現金や物品などであってもよい。
【0056】
「担保設定額」の項目には、借手などによって設定される金額が表示されており、当該金額に基づいて異動担保の選定が行われる。借手は、「過不足額」の値を参考にして、適宜「担保設定額」の値を変更する(あるいは、担保所要額の変動に応じて、自動的に変更される)。
なお、図3に示す担保一覧画面は、借手が担保設定額の変更を行う前の時点での担保一覧画面を示しており、表示されている「担保設定額」の値は、借手が、担保設定額を前回設定した際の値が表示されている。
【0057】
図3に示すように、B社、およびE社に対しては過不足額がマイナスの値になっており、C社、D社、およびF社に対しては過不足額がプラスの値になっている。このため、借手は、例えば、B社、およびE社に対する担保設定額を、担保所要額以上の金額になるように増額するように調整(変更)する。また、借手は、例えば、C社、D社、およびF社に対する担保設定額を、担保所要額未満にならない範囲で、担保所要額により近い金額になるように減額するように調整(変更)する。なお、借手が、担保設定額を、担保所要額未満にならない範囲で、担保所要額により近い金額になるように減額するのは、限られた資金を有効活用するためであり、必要以上に担保を設定しないようにするためである。
【0058】
次に、図4に示す担保一覧画面は、借手が担保設定額の変更を行った後の時点における担保一覧画面を示している。
【0059】
図3および図4に図示するように、借手は、例えば、B社に対する担保設定額を、27,000,000円から(図3の画面領域ar01参照)、B社に対する担保所要額と同額である30,000,000円(図4の画面領域ar11参照)に増額するように変更を行っている。同様に、借手は、例えば、C社に対する担保設定額を、15,000,000円から(図3の画面領域ar01参照)、C社に対する担保所要額と同額である12,200,000円(図4の画面領域ar02参照)に減額するように変更を行っている。
【0060】
借手により、担保設定額の変更がなされ、担保一覧画面内の更新ボタン(図4の画面領域ar12参照)がクリックされると、変更された担保設定額を満たすような銘柄(例えば、株式銘柄)と数量(例えば、株数)の組み合わせが異動担保選定装置10によって選定される(異動担保の選定がなされる)。そして、担保一覧画面の「担保差入額」の値が、選定された銘柄と数量との組合せによって算出される金額に更新される。また、「担保差入額」の値が更新されることに伴って、担保一覧画面の「過不足額」の値も更新される。
【0061】
図4に図示するように、例えば、借手が、B社に対する担保設定額を27,000,000円から(図3の画面領域ar01参照)30,000,000円(図4の画面領域ar11参照)に増額することにより、変更された担保設定額を満たすような銘柄と数量の組み合わせが異動担保選定装置10によって選定される。そして、選定された異動担保の組み合わせに応じて、担保差入額が28,000,000円(図3の画面領域ar02参照)から30,101,000円(図4の画面領域ar13参照)に更新され、これに伴い、過不足額がマイナス2,000,000円(図3の画面領域ar02参照)から101,000円(図4の画面領域ar13参照)に更新される。
【0062】
また、図4に図示するように、例えば、借手が、C社に対する担保設定額を15,000,000円から(図3の画面領域ar01参照)12,200,000円(図4の画面領域ar11参照)に減額することにより、変更された担保設定額を満たすような銘柄と数量の組み合わせが異動担保選定装置10によって選定される。そして、選定された異動担保の組み合わせに応じて、担保差入額が15,800,000円(図3の画面領域ar02参照)から12,318,460円(図4の画面領域ar13参照)に更新され、これに伴い、過不足額が3,600,000円(図3の画面領域ar02参照)から118,460円(図4の画面領域ar13参照)に更新される。
【0063】
なお、担保差入額が、借手によって設定された担保設定額と同額とならないことがあるのは、有価証券には異動可能な最小の単位(例えば、株式における単元)があるためであり、担保設定額と同額の担保差入額になるような銘柄と数量の組み合わせが、必ずしも存在しないためである。
借手によって担保設定額が設定(変更)されることにより、例えば、過不足額がマイナスの値にはならない範囲でできるだけ少ない超過額となるように、銘柄と数量の組み合わせが選定される。
【0064】
[差入担保の候補一覧画面例]
以下、差入担保の候補一覧画面例について、図面を参照しながら説明する。
図5乃至図6は、本発明の一実施形態に係る異動担保選定装置10が出力する差入担保の候補一覧画面の一例を示す図である。
図5に図示するように、異動担保選定部105によって生成される差入担保の候補一覧画面には、「振替フロー」、「銘柄コード」、「銘柄名称」、「株数/額面/金額」、「担保価値」、「除外」、および「差入後過不足額」の7つの項目の列からなる2次元の表形式のデータである差入担保の候補一覧が表示される。
【0065】
「振替フロー」の項目の列には、借手からどの貸手に対して担保の差し入れが行われるのかを示す情報(貸手の名称を含む情報)が表示される。
【0066】
「銘柄コード」の項目の列には、借手が貸手に対して差し入れる担保の銘柄を識別する識別子である銘柄コードが表示される。
「銘柄名称」の項目の列には、借手が貸手に対して差し入れる担保の銘柄の名称が表示される。
「株数/額面/金額」の項目の列には、借手が貸手に対して差し入れる担保の数量を示す情報、すなわち、差し入れられる担保が株式である場合には株数、債権である場合には額面、および現金(キャッシュ)である場合には金額が表示される。
【0067】
「担保価値」の項目の列には、「銘柄コード」によって識別される銘柄の「株数/額面/金額」に示される数量に相当する、現在の価値を示す金額が表示される。すなわち、「担保価値」の項目の列に表示される値は、差し入れられる担保が株式や債券である場合には、時価と掛目に基づいて算出される値である。
「除外」の項目の列には、チェックボックス(図5の表示領域ar21を参照)が表示される。借手は、このチェックボックスをチェックすることによって、担保として差し入れたくない銘柄を、異動担保の選定において選定の対象外するように指定することができる。
【0068】
「差入後過不足額」の項目の列には、貸手ごとに、当該貸手に対して差し入れる必要がある担保の総額に対する、差し入れる担保の金額の過不足を示す金額が表示される。すなわち、図4に示した担保一覧における「過不足額」の項目の値(図4の表示領域ar13を参照)と同一の金額が表示される。
【0069】
図5に図示するように、例えば、差入担保の候補一覧のレコードの1行目の各項目の値は、「自社⇒B社」、「72720」、「PP社」、「300」、「¥1,019,500」、「□」(チェックボックス)、および「¥101,000」である。これは、借手(自社)から貸手であるB社に対して差し入れられる担保の、銘柄コードが「72720」であって名称が「PP社」である銘柄の数量(株数)が「300」であり、これに相当する担保価値が1,019,500円であることを示す。また、チェックボックスにチェックがなされていないことから、当該銘柄を異動担保の選定における選定の対象外にする指定はこの時点ではなされていないことを示す。また、差入担保の候補一覧のレコードの1行目から3行目までの銘柄の全てが担保に差し入れられた場合における担保差入額の過不足額(すなわち、B社に対する担保差入額の過不足額)は、101,000円であることを示す。
【0070】
借手は、何らかの理由により、特定の銘柄を担保として差し入れたくない場合には、差入担保の候補一覧において、「除外」の項目の列の該当するチェックボックス(図5の表示領域ar21を参照)にチェックをして、「再選択」ボタン(図5の表示領域ar22を参照)をクリックする。これにより、チェックがなされた銘柄は差入担保の候補からは除外され、異動担保選定部105は再び異動担保の選定を行い、差入担保の候補一覧を生成(更新)する。
【0071】
また、借手は、「差入申告」ボタン(図5の表示領域ar23を参照)をクリックすることにより、特定の銘柄を指定して、当該銘柄を差入担保の候補一覧に手動で追加することもできる。
【0072】
また、現金による担保の差し入れについては、例えば、「差入申告」ボタンをクリックすることにより、差入担保の候補一覧に追加することができる。図6に図示するように、借手が、貸手であるF社に対して現金により53,000,000円を差し入れることを指定した場合には、「銘柄名称」の項目の列には「Cash」と表示され、「株数/額面/金額」の項目の列には「¥53,000,000」と表示される(図6の表示領域ar31を参照)。
【0073】
[差戻担保の候補一覧画面例]
以下、差戻担保の候補一覧画面例について、図面を参照しながら説明する。
図7は、本発明の一実施形態に係る異動担保選定装置10が出力する差戻担保の候補一覧画面の一例を示す図である。
図示するように、異動担保選定部105によって生成される差戻担保の候補一覧画面には、「受入フロー」、「銘柄コード」、「銘柄名称」、「株数/額面/金額」、「担保価値」、「特記事項」、「除外」、および「差戻後過不足額」の8つの項目の列からなる2次元の表形式のデータである差入担保の候補一覧が表示される。
【0074】
「受入フロー」の項目の列には、どの貸手から借手に対して担保の差し戻しが行われるのかを示す情報(貸手の名称を含む情報)が表示される。
「銘柄コード」の項目の列には、貸手から借手に対して差し戻される担保の銘柄を識別する識別子である銘柄コードが表示される。
「銘柄名称」の項目の列には、貸手から借手に対して差し戻される担保の銘柄の名称が表示される。
【0075】
「株数/額面/金額」の項目の列には、貸手から借手に対して差し戻される担保の数量を示す情報、すなわち、差し戻される担保が株式である場合には株数、債権である場合には額面、および現金(キャッシュ)である場合には金額が表示される。
「特記事項」の項目の列には、差し戻される何らかの特別な理由などがある場合(例えば、株式において上場廃止銘柄である場合、債権において利払い日または償還日が迫っている場合など)に、当該理由を示す情報などが表示される。
【0076】
「担保価値」の項目の列には、「銘柄コード」によって識別される銘柄の「株数/額面/金額」に示される数量に相当する、現在の価値を示す金額が表示される。すなわち、「担保価値」の項目の列に表示される値は、差し戻される担保が株式や債券である場合には、当該株式や当該債券の時価と掛目に基づいて算出される。
「除外」の項目の列には、チェックボックスが表示される。借手は、このチェックボックスをチェックすることによって、差し戻したくない銘柄を除外するように指定することができる。
【0077】
「差戻後過不足額」の項目の列には、貸手ごとに、当該貸手に対して差し入れる必要がある担保の総額に対する、差し入れる金額の過不足を示す金額が表示される。すなわち、図4に示した担保一覧における「過不足額」の項目の値(図4の表示領域ar13を参照)と同一の金額が表示される。
【0078】
図7に図示するように、例えば、差戻担保の候補一覧のレコードの1行目の各項目の値は、「C社⇒自社」、「65650」、「UU社」、「1,000」、「¥795,300」、値なし、「□」(チェックボックス)、および「¥118,460」である。これは、貸手であるC社から借手(自社)に対して差し戻される担保の、銘柄コードが「65650」であって名称が「UU社」である銘柄の数量(株数)が「1,000」であり、これに相当する担保価値が795,300円であることを示す。また、チェックボックスにチェックがなされていないことから、当該銘柄を除外する指定はこの時点ではなされていないことを示す。また、差戻担保の候補一覧のレコードの1行目から3行目までの銘柄に基づいて担保が差し戻された場合における担保差入額の過不足額(すなわち、C社に対する担保差入額の過不足額)は、118,460円であることを示す。
【0079】
借手は、何らかの理由により、特定の銘柄を差し戻したくない場合には、差戻担保の候補一覧において、「除外」の項目の列の該当するチェックボックスにチェックをして、「再選択」ボタン(図7の表示領域ar41を参照)をクリックする。これにより、チェックがなされた銘柄は差戻し担保の候補からは除外され、異動担保選定部105は、チェックがなされた銘柄を除外した上で再び銘柄と数量との組み合わせを選定して、差戻担保の候補一覧を生成(更新)する。
【0080】
また、借手は、「返戻申込」ボタン(図7の表示領域ar41を参照)をクリックすることにより、特定の銘柄を指定して、当該銘柄を差戻担保の候補一覧に追加することができる。
【0081】
[差入中担保の一覧画面例]
以下、差入中担保の一覧画面例について、図面を参照しながら説明する。
図8は、本発明の一実施形態に係る異動担保選定装置10が出力する差入中担保の一覧画面の一例を示す図である。
図示するように、異動担保選定部105によって生成される差入中担保の一覧画面には、「担保差入先」、「銘柄コード」、「銘柄名称」、「株数/額面/金額」、「担保価値」、「特記事項」、「差戻依頼」、「担保差入額」、「担保所要額」、および「過不足額」の10個の項目の列からなる2次元の表形式のデータである差入中担保の一覧が表示される。
【0082】
「担保差入先」の項目の列には、取引相手(担保差入先)の名称、すなわち貸手の名称(企業名など)が表示される。
「銘柄コード」の項目の列には、借手が貸手に対して差し入れ中の担保の銘柄を識別する識別子である銘柄コードが表示される。
【0083】
「銘柄名称」の項目の列には、借手が貸手に対して差し入れ中の担保の銘柄の名称が表示される。
「株数/額面/金額」の項目の列には、借手が貸手に対して差し入れ中の担保の数量を示す情報、すなわち、差し入れ中の担保が株式である場合には株数、債権である場合には額面、および現金(キャッシュ)である場合には金額が表示される。
【0084】
「担保価値」の項目の列には、「銘柄コード」によって識別される銘柄の「株数/額面/金額」に示される数量に相当する、現在の価値を示す金額が表示される。すなわち、「担保価値」の項目の列に表示される値は、差し入れ中の担保が株式や債券である場合には、時価と掛目に基づいて算出される。
「特記事項」の項目の列には、差し戻すべき何らかの特別な理由などがある場合(例えば、株式において上場廃止銘柄である場合、債権において利払い日または償還日が迫っている場合など)に、当該理由を示す情報などが表示される。
「差戻依頼」の項目の列には、チェックボックス(図8の表示領域ar51を参照)が表示される。借手は、このチェックボックスをチェックすることによって、差し戻したい銘柄を指定することができる。
【0085】
「担保差入額」の項目の列には、「担保差入先」の項目の列に表示された貸手に対する担保差入額、すなわち、貸手ごとの「担保価値」の項目の値の合計によって算出される金額が表示される。
「担保所要額」の項目の列には、「担保差入先」の項目の列に表示された貸手に対する担保所要額、すなわち、借手が当該貸手に対して差し入れる必要がある担保の総額が表示される。
「過不足額」の項目の列には、貸手ごとに、借手が当該貸手に対して差し入れる必要がある担保の総額に対する、差し入れ中の金額の過不足を示す金額が表示される。
【0086】
借手は、図8に図示するような差入中担保の一覧画面において、差入中担保の一覧に表示された差し入れ中の担保の銘柄の中から、差し戻したい銘柄を個別に指定して、「確定」ボタン(図8の表示領域ar52を参照)をクリックすると、図7に示したような差戻担保の候補一覧画面に反映される(すなわち、差戻担保の候補一覧に、上記で指定した銘柄が追加される)。
【0087】
[担保利用可能銘柄の一覧画面例]
以下、担保利用可能銘柄の一覧画面例について、図面を参照しながら説明する。
図9は、本発明の一実施形態に係る異動担保選定装置10が出力する担保利用可能銘柄の一覧画面の一例を示す図である。
【0088】
図示するように、異動担保選定部105によって生成される担保利用可能銘柄の一覧画面には、「銘柄コード」、「銘柄名称」、「株数/額面」、「時価」、「担保価値」、「選定追加」、および「特記事項」の7個の項目の列からなる2次元の表形式のデータである担保利用可能銘柄の一覧が表示される。
【0089】
「銘柄コード」の項目の列には、借手が保有している銘柄であって、借手が貸手に対して担保として差し入れ可能な銘柄を識別する識別子である銘柄コードが表示される。
「銘柄名称」の項目の列には、借手が貸手に対して担保として差し入れ可能な銘柄の名称が表示される。
「株数/額面」の項目の列には、借手が保有する(すなわち、借手が貸手に対して担保として差し入れ可能な)銘柄の数量を示す情報が表示される。例えば、「株数/額面」の項目の列には、借手が保有する担保が株式である場合には株数、債権である場合には額面などが表示される。
【0090】
「時価」の項目の列には、「銘柄コード」によって識別される銘柄の時価(例えば、株式の場合には株価、債権である場合には額面など)が表示される。
「担保価値」の項目の列には、「銘柄コード」によって識別される銘柄の「株数/額面」に示される数量に相当する、現在の価値を示す金額が表示される。すなわち、「担保価値」の項目の列に表示される値は、差し入れ可能な担保が株式である場合には、当該株式の時価(株価)に対して「株数/額面」に示される数量(株数)と掛目が乗算された金額が表示される。
【0091】
「選定追加」の項目の列には、チェックボックスが表示される。借手は、このチェックボックスをチェックすることによって、担保の差し入れに利用したい銘柄を指定することができる。
【0092】
「特記事項」の項目の列には、差し入れを行うべきでない何らかの特別な理由などがある場合(例えば、株式において、上場廃止予定のある場合、振替停止期日が迫っている場合、また、債権において、利払い日または償還日が迫っている場合など)に、当該理由を示す情報などが表示される。
【0093】
借手は、図9に図示するような担保利用可能銘柄の一覧画面において、自身が保有する銘柄であって、担保として利用可能な銘柄を参照し、担保として差し入れる銘柄を個別に指定することができる。
【0094】
また、借手は、「対象期間」の入力欄(図9の表示領域ar61を参照)において、期間を指定することによって、担保利用可能銘柄の一覧に表示される銘柄の絞り込みを行うことができる。「対象期間」の入力欄において期間が指定されることにより、担保として利用可能な銘柄として借手が担保利用可能銘柄の一覧に登録した時期が上記において指定された期間内である銘柄、および貸手から差し戻されたことにより担保として利用可能な銘柄として担保利用可能銘柄の一覧に再登録された時期が上記において指定された期間内である銘柄のみが、担保利用可能銘柄の一覧画面に表示される。
なお、上場廃止銘柄は担保として利用できないため、担保利用可能銘柄の一覧画面には表示されない。
【0095】
[担保所要額と担保差入額の推移確認画面例]
以下、担保所要額と担保差入額の推移確認画面例について、図面を参照しながら説明する。
図10乃至図11は、本発明の一実施形態に係る異動担保選定装置10が出力する担保所要額と担保差入額の推移確認画面の一例を示す図である。
借手は、貸手ごとの担保所要額および担保差入額の推移を、担保一覧生成部102によって生成される、担保所要額と担保差入額の推移確認画面において確認することができる。借手は、表示された、貸手ごとの担保所要額と担保差入額の推移を参考にすることによって、担保差入額が不足している、あるいは担保差入額が不足しそうであることや、担保差入額が必要以上に余剰していることなどを認識することができるため、より適切な担保差入額の設定を行うことができる。
【0096】
例えば、図10に図示する担保所要額と担保差入額の推移確認画面には、貸手であるB社に対する借手の担保所要額と、貸手であるB社に対する借手の担保差入額と、を時系列にプロットした折れ線グラフ形式のデータが含まれる。図示するように、縦軸は金額(なお、単位は百万円である)を表し、横軸は日付を表す。
【0097】
図10に図示する例においては、まず、貸手から借手に対し、2500万円の有価証券の貸し出しがなされたことが、担保所要額と担保差入額の推移確認画面に表示されている(図10の(1)を参照)。そして、これに対し、借手から貸手へ3500万の担保の差し入れがなされたことが、担保所要額と担保差入額の推移確認画面に表示されている(図10の(2)を参照)。そして、例えば、貸手から借手から貸し出された有価証券の時価が下落することなどに伴って、担保所要額が減少することにより、担保所要額に対して担保差入額が余剰している(図10の(3)を参照)状態になっていることが、担保所要額と担保差入額の推移確認画面に表示されている。借手は、上記のような推移を認識することができる。
【0098】
図11に図示する例においては、予め借手から貸手であるC社に対し2000万円の有価証券が担保として差し入れられており、まず、貸手から借手に対し、1500万円の有価証券の貸し出しがなされたことが、担保所要額と担保差入額の推移確認画面に表示されている(図11の(1)を参照)。その後、例えば、突発的に取引が増加することなどによって、借手から貸手へ貸し出された有価証券の金額が増加(担保価値が高騰)し、これに伴い、借手から貸手に対し、追加で3500万円の有価証券が担保として差し入れられたことが、担保所要額と担保差入額の推移確認画面に表示されている(図11の(2)を参照)。その後、例えば、取引量が落ち込んだことなどによって、借手から貸手へ貸し出された有価証券の金額が減少(担保価値が下落)し、これに伴い、貸手から貸手に対し、1500万円の有価証券の担保の差し戻しが行われる(図11の(3)を参照)。
【0099】
[異動担保の突合処理]
以下、異動担保の突合処理の流れについて、図面を参照しながら説明する。
図12は、本発明の一実施形態に係る異動担保選定装置10による異動担保の突合処理の流れの概要を示す概略図である。
【0100】
本実施形態に係る異動担保選定装置10は、異動申告と実際の担保異動とを突合する機能を有する異動担保突合部107を備える。これにより、借手は、差し入れの申告、および差し戻しの申告どおりに、正しい担保銘柄と数量とが実際に異動しているか否かを確認することができる。異動担保突合部107による突合の結果、異動申告と実際の担保異動との間に齟齬が生じている場合には、オペレータによる確認のもと、上述した異動担保の候補一覧および差戻担保の候補一覧などに反映される。
【0101】
図12に図示するように、まず、借手である証券会社Aは、上述した差入担保の候補一覧および差戻担保の候補一覧などに基づいて、代用有価証券の振替(差し入れ、差し戻し)を行う。例えば、証券会社Aは、株式会社証券保管振替機構の統合Web端末を用いて同社の証券振替サーバ20に通信接続し、振替指図データを当該証券振替サーバ20へ送信する(図12のS1を参照)。
【0102】
なお、代用有価証券の差し入れ、または差し戻しに係る振替指図データには、それぞれ、例えば、借手、または貸手によって「T」というメッセージが付与されるようなルールを設けておく。これにより、借手および貸手による、当該振替指図データが代用有価証券の振替に係る振替指図データであることの識別が可能になる。
【0103】
なお、貸手ごとに、それぞれ異なるメッセージが付与されるような(例えば、貸手がB社である場合には「B」、貸手がC社である場合には「C」というメッセージが付与されるようなルール)を設けておくようにしてもよい。
【0104】
証券振替サーバ20は、振替処理を完了させると、振替済みであることを示す振替済データを、貸手であるB社が有するサーバ、および借手である証券会社Aが有するサーバおよび統合Web端末に対して送信する(図12のS2およびS3を参照)。
次に、証券会社Aが有するサーバおよび統合Web端末は、証券振替サーバ20から、全ての振替済データの情報が含まれる振替済データファイルを取得する(図12のS4を参照)。証券会社Aは、取得した振替済データファイルを、例えば、オペレータによる操作により統合Web端末を用いて、一時的にメディア等に記憶させる。
【0105】
次に、証券会社Aは、Web端末(例えば、借手側端末30)により異動担保選定装置10に通信接続し、上述した差入担保の候補一覧および差戻担保の候補一覧などに基づいて差し入れおよび差し戻しを行った担保に関する情報を異動担保選定装置10へ送信する(図12のS5を参照)。
また、証券会社Aは、Web端末により異動担保選定装置10に通信接続し、上記においてメディア等に記憶させた振替済データファイルを、異動担保選定装置10へ送信する(図12のS6を参照)。
【0106】
異動担保選定装置10は、差し入れおよび差し戻しを行った担保に関する情報(すなわち、異動申告に基づく情報)、および振替済データファイル(実際の担保異動に基づく情報)を取得する。異動担保選定装置10の異動担保突合部107は、取得した振替済データファイルに含まれる全ての振替済データの中から、「T」というメッセージが付与された振替済データを抽出する。
そして、異動担保突合部107は、抽出した振替済データと、上記において取得した、差し入れおよび差し戻しを行った担保に関する情報とを用いて、異動申告と実際の担保異動との突合処理を実行する。
これにより、借手は、異動担保選定装置10は、差し入れの申告、および差し戻しの申告どおりに、担保銘柄、数量が異動しているか否かを確認することができる。
【0107】
[貸手側閲覧画面例]
以下、貸手側閲覧画面例について、図面を参照しながら説明する。
図13乃至図15は、本発明の一実施形態に係る異動担保選定装置10が出力する貸手側閲覧画面の一例を示す図である。
【0108】
図13に例示する貸手側閲覧画面は、貸手であるB社が閲覧する、担保の振替予定表を含む画面の一例である。貸手側閲覧画面は、例えば、貸手側端末40に表示される。図13に例示する貸手側閲覧画面には、借手である証券会社Aから貸手であるB社へ担保として差し入れられる銘柄の受入予定が示された振替予定表が含まれている。
【0109】
図示するように、当該振替予定表の中の「受入予定」の欄に表示されている、「銘柄コード」、「銘柄名称」、「株数/額面/金額」、「担保価値」、および「担保異動後余剰額」の項目の値(例えば、「72720」、「PP社」、「300」、および「¥1,019,500」)は、図6に示した、差入担保の候補一覧において、「振替フロー」の項目の値が「自社⇒B社」であるレコードの、「銘柄コード」、「銘柄名称」、「株数/額面/金額」、「担保価値」、および「差入後過不足額」の項目の値に一致している。このように、借手において選定された銘柄に関する情報が、貸手側閲覧画面に表示されることにより、貸手は借手から担保として差し入れが予定されている銘柄に関する情報を確認することができる。
【0110】
図14に例示する貸手側閲覧画面も、図13と同様、貸手であるB社が閲覧する、担保の振替予定表を含む画面の一例である。貸手側閲覧画面は、例えば、貸手側端末40に表示される。図14に例示する貸手側閲覧画面には、貸手であるC社から借手である証券会社Aへ差し戻される担保の銘柄の払出予定が示された振替予定表が含まれている。
【0111】
図示するように、当該振替予定表の中の「払出予定」の欄に表示されている、「銘柄コード」、「銘柄名称」、「株数/額面/金額」、「担保価値」、および「担保異動後余剰額」の項目の値(例えば、「65650」、「UU社」、「1,000」、および「¥795,300」)は、図7に示した、差戻担保の候補一覧において、「受入フロー」の項目の値が「C社⇒自社」であるレコードの、「銘柄コード」、「銘柄名称」、「株数/額面/金額」、「担保価値」、および「差戻後過不足額」の項目の値に一致している。このように、借手において選定された銘柄に関する情報が、貸手側閲覧画面に表示されることにより、貸手は借手へ差し戻しが予定されている担保の銘柄に関する情報を確認することができる。
【0112】
図15に例示する貸手側閲覧画面も、図13および図14と同様、貸手であるB社が閲覧する、担保の振替予定表を含む画面の一例である。貸手側閲覧画面は、例えば、貸手側端末40に表示される。図15に例示する貸手側閲覧画面には、借手である証券会社Aから貸手であるF社へ担保として差し入れられる銘柄の受入予定、および貸手であるF社から借手である証券会社Aへ差し戻される担保の銘柄の払出予定を示が示された振替予定表が含まれている。
【0113】
図示するように、当該振替予定表の中の「受入予定」の欄に表示されている、「銘柄名称」、「株数/額面/金額」、「担保価値」、および「担保異動後余剰額」の項目の値(すなわち、「Cash」、「¥53,000,000」、「¥53,000,000」、および「¥3,000,000」)は、図6に示した、差入担保の候補一覧において、「振替フロー」の項目の値が「自社⇒F社」であるレコードの、「銘柄名称」、「株数/額面/金額」、「担保価値」、および「差入後過不足額」の項目の値に一致している。このように、借手において選定された銘柄に関する情報が、貸手側閲覧画面に表示されることにより、貸手は借手から担保として差し入れが予定されている銘柄に関する情報を確認することができる。
【0114】
また、図15に図示するように、当該振替予定表の中の「払出予定」の欄に表示されている、「銘柄コード」、「銘柄名称」、「株数/額面/金額」、「担保価値」、および「担保異動後余剰額」の項目の値(例えば、「123456789」、「変動利付国債(15年)」、「1,000,000」、「¥90,000,000」、および「¥3,000,000」)は、図7に示した、差戻担保の候補一覧において、「受入フロー」の項目の値が「F社⇒自社」であるレコードの、「銘柄コード」、「銘柄名称」、「株数/額面/金額」、「担保価値」、および「差戻後過不足額」の項目の値に一致している。このように、借手において選定された銘柄に関する情報が、貸手側閲覧画面に表示されることにより、貸手は借手へ差し戻しが予定されている担保の銘柄に関する情報を確認することができる。
【0115】
[異動担保選定装置の担保一覧生成時における動作]
以下、異動担保選定装置10の担保一覧生成時における動作について、図面を参照しながら説明する。
図16は、本発明の一実施形態に係る異動担保選定装置10の動作を示すフローチャートである。本フローチャートは、(例えば、借手側端末30から)異動担保選定装置10へ、担保一覧生成指示が送信された際に開始する。
【0116】
(ステップS001)異動担保選定装置10の担保一覧生成部102が、入出力部101から担保一覧生成指示を取得した場合、ステップS002へ進む。そうでない場合は、ステップS001に留まる。
【0117】
(ステップS002)異動担保選定装置10の担保一覧生成部102は、銘柄情報取得部103を介して、情報ベンダのサーバ(図示せず)と通信接続し、当該情報ベンダのサーバから、貸手から借手へ貸し出されている有価証券の銘柄に関する銘柄情報(例えば、時価や貸株超過などの情報)、および、借手から貸手へ担保として差し入れ中の銘柄に関する銘柄情報(例えば、時価や貸株超過などの情報)を取得する。その後、ステップS003へ進む。
【0118】
(ステップS003)異動担保選定装置10の担保一覧生成部102の担保所要額算出部1021は、ステップS002において取得した銘柄情報に基づいて、貸手から借手へ貸し出されている有価証券の価値を算出することにより、借手から貸手へ差し入れる必要がある担保の担保所要額を算出する。その後、ステップS004へ進む。
【0119】
(ステップS004)異動担保選定装置10の担保一覧生成部102の担保差入額算出部1022は、ステップS002において取得した銘柄情報に基づいて、借手から貸手へ差し入れ中の担保の担保価値を算出することにより、借手から貸手へ差し入れ中の担保の担保差入額を算出する。その後、ステップS005へ進む。
【0120】
(ステップS005)異動担保選定装置10の担保一覧生成部102の担保過不足額算出部1023は、ステップS003において算出した担保所要額から、ステップS004において算出した担保差入額を減算することにより、担保過不足額を算出する。その後ステップS006へ進む。
(ステップS006)異動担保選定装置10の担保一覧生成部102は、ステップS003において算出した担保所要額、ステップS004において算出した担保差入額、およびステップS005において算出した担保過不足額に基づいて、担保一覧を示す情報を生成する。その後、ステップS007へ進む。
【0121】
(ステップS007)異動担保選定装置10の担保一覧生成部102は、ステップS006において生成した担保一覧を示す情報を、記憶部100に記憶させる。
以上で、本フローチャートの処理が終了する。
【0122】
[異動担保選定装置の差入担保候補一覧生成時における動作]
以下、異動担保選定装置10の差入担保候補一覧生成時における動作について、図面を参照しながら説明する。
図17は、本発明の一実施形態に係る異動担保選定装置10の動作を示すフローチャートである。本フローチャートは、(例えば、借手側端末30から)異動担保選定装置10へ、担保設定額を示す担保設定額情報が送信された際に開始する。
【0123】
(ステップS101)異動担保選定装置10の担保設定額情報取得部104が、入出力部101から担保設定額情報を取得した場合、ステップS102へ進む。そうでない場合は、ステップS101に留まる。
(ステップS102)異動担保選定装置10の担保設定額情報取得部104は、ステップS101において取得した担保設定額情報を、異動担保選定部105へ出力する。そして、異動担保選定部105は、担保設定額情報取得部104から担保設定額情報を取得すると、取得した担保設定額情報に基づいて、借手から貸手へ担保として差し入れる銘柄の候補を選定する。その後、ステップS103へ進む。
【0124】
(ステップS103)異動担保選定装置10の異動担保選定部105の差入担保候補一覧生成部1051は、ステップS102において選定した、借手から貸手へ担保として差し入れる銘柄の候補を示す情報に基づいて、差入担保の候補一覧を示す情報を生成する。その後、ステップS104へ進む。
(ステップS104)異動担保選定装置10の異動担保選定部105が、入出力部101を介して、ステップS102において選定した貸手から借手へ担保として差し入れる銘柄の候補を示す情報の内容を変更させる指示である変更指示を取得した場合には、ステップS102へ戻る。そうでない場合は、ステップS105へ進む。
【0125】
(ステップS105)異動担保選定装置10の異動担保選定部105が、入出力部101を介して、ステップS102において選定した貸手から借手へ担保として差し入れる銘柄の候補に確定させる指示である確定指示を取得した場合には、ステップS106へ進む。そうでない場合は、ステップS104へ戻る。
(ステップS106)異動担保選定装置10の異動担保選定部105は、ステップS102において選定しステップS105において確定指示を取得した、貸手から借手へ担保として差し入れる銘柄の候補を示す情報を、記憶部100に記憶させる。
以上で、本フローチャートの処理が終了する。
【0126】
[異動担保選定装置の差戻担保候補一覧生成時における動作]
以下、異動担保選定装置10の差戻担保候補一覧生成時における動作について、図面を参照しながら説明する。
図18は、本発明の一実施形態に係る異動担保選定装置10の動作を示すフローチャートである。本フローチャートは、(例えば、借手側端末30から)異動担保選定装置10へ、担保設定額を示す担保設定額情報が送信された際に開始する。
【0127】
(ステップS111)異動担保選定装置10の担保設定額情報取得部104が、入出力部101から担保設定額情報を取得した場合、ステップS112へ進む。そうでない場合は、ステップS111に留まる。
(ステップS112)異動担保選定装置10の担保設定額情報取得部104は、ステップS111において取得した担保設定額情報を、異動担保選定部105へ出力する。そして、異動担保選定部105は、担保設定額情報取得部104から担保設定額情報を取得すると、取得した担保設定額情報に基づいて、貸手から借手へ差し戻す担保の銘柄の候補を選定する。その後、ステップS113へ進む。
【0128】
(ステップS113)異動担保選定装置10の異動担保選定部105の差戻担保候補一覧生成部1052は、ステップS112において選定した、貸手から借手へ差し戻す担保の銘柄の候補を示す情報に基づいて、差戻担保の候補一覧を示す情報を生成する。その後、ステップS114へ進む。
(ステップS114)異動担保選定装置10の異動担保選定部105が、入出力部101を介して、ステップS112において選定した貸手から借手へ差し戻す担保の銘柄の候補を示す情報の内容を変更させる指示である変更指示を取得した場合には、ステップS112へ戻る。そうでない場合は、ステップS115へ進む。
【0129】
(ステップS115)異動担保選定装置10の異動担保選定部105が、入出力部101を介して、ステップS112において選定した貸手から借手へ差し戻す担保の銘柄の候補に確定させる指示である確定指示を取得した場合には、ステップS116へ進む。そうでない場合は、ステップS114へ戻る。
(ステップS116)異動担保選定装置10の異動担保選定部105は、ステップS112において選定しステップS115において確定指示を取得した、貸手から借手へ差し戻す担保の銘柄の候補を示す情報を、記憶部100に記憶させる。
以上で、本フローチャートの処理が終了する。
【0130】
[異動担保選定装置の異動担保突合時における動作]
以下、異動担保選定装置10の異動担保突合時における動作について、図面を参照しながら説明する。
図19は、本発明の一実施形態に係る異動担保選定装置10の動作を示すフローチャートである。本フローチャートは、(例えば、借手側端末30から)異動担保選定装置10へ、証券振替サーバ20によって行われた振替処理を示すデータ(振替済データファイル)が送信された際に開始する。
【0131】
(ステップS201)異動担保選定装置10の振替済情報取得部106が、入出力部101から振替済データファイルを取得した場合、ステップS202へ進む。そうでない場合は、ステップS201に留まる。
【0132】
(ステップS202)異動担保選定装置10の振替済情報取得部106は、ステップS201において取得した振替済データファイルを、異動担保突合部107へ出力する。異動担保突合部107は、振替済情報取得部106から振替済データファイルを取得すると、記憶部100から、差し入れおよび差し戻しの申告を行った担保に関する情報(すなわち、異動申告に基づく情報)である異動担保選定情報を取得する。その後、ステップS203へ進む。
【0133】
(ステップS203)異動担保選定装置10の異動担保突合部107は、ステップS202において取得した振替済データファイルと異動担保選定情報とを突合する突合処理を実行する。その後、ステップS204へ進む。
(ステップS204)異動担保選定装置10の異動担保突合部107は、ステップS203において行った突合処理の結果を示す突合結果情報を生成する。その後、ステップS205へ進む。
【0134】
(ステップS205)異動担保選定装置10の異動担保突合部107は、ステップS204において生成した突合結果情報を、入出力部101を介し、外部の装置(例えば、借手側端末30)へ出力する。
以上で、本フローチャートの処理が終了する。
【0135】
以上、説明したように、本発明の実施形態に係る異動担保選定システム1は、貸手ごとの担保所要額、および担保差入額(担保価値)を算出する。そして、異動担保選定システム1は、担保所要額に対して担保差入額が余剰している差入先(貸手)から差し戻し可能な銘柄と株数およびその組み合わせと、担保所要額に対して担保差入額が不足している差入先(貸手)追加差し入れ可能な銘柄と株数およびその組み合わせと、を自動選定する機能を有する情報処理システムである。
【0136】
また、以上、説明したように、異動担保選定システム1が有する異動担保選定装置10は、借手などによって指定された担保価値(担保設定額)となるように、複数の代用有価証券の時価、数量、および掛目と、それらの組み合わせを、株式の単元や国債の額面を考慮して選定する。また、異動担保選定装置10は、貸株超過銘柄や、銘柄の価格変動幅に基づいて、選定における優先順位づけを行う。また、異動担保選定装置10は、上場廃止予定銘柄や、振替停止期日、利払い日、および償還日を迎える銘柄については、選定の対象外とする機能を有する。これにより、本発明の実施形態に係る異動担保選定装置10は、異動担保の選定作業を軽減させることができる。
【0137】
また、異動担保選定装置10は、異動申告と実際の担保異動(すなわち、証券振替サーバ20から出力される振替済データファイル)とを突合する機能を有する。また、異動担保選定装置10は、異動申告と実際の担保異動とを突合した結果、齟齬が生じている場合には、当該突合結果を、上述した代用有価証券の銘柄、数量、およびその組み合わせを選定する機能へ反映させる。これにより、本発明の実施形態に係る異動担保選定装置10は、担保の異動の完了確認にかかる事務作業の負担を軽減させることができる。
【0138】
また、近年、CCP(CentralCounterparty;中央清算機関)の利用義務やOTC(Over The Counter;店頭)取引の担保差入義務が増加し、代用有価証券の有効活用が金融取引参加者の課題となっているが、本実施形態に係る異動担保選定装置10によれば、限られた代用有価証券の有効活用を図ることができるとともに、担保の差し戻し処理における処理漏れの防止を図ることができる。
【0139】
以上、この発明の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【0140】
なお、上述した実施形態における異動担保選定装置10の一部又は全部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。
なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、異動担保選定装置10に内蔵されたコンピュータシステムであって、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0141】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信回線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0142】
また、上述した実施形態における異動担保選定装置10を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。異動担保選定装置10の各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【符号の説明】
【0143】
1・・・異動担保選定システム、10・・・異動担保選定装置、20・・・証券振替サーバ、30・・・借手側端末、40・・・貸手側端末、80・・・通信ネットワーク、90・・・伝送路、100・・・記憶部、101・・・入出力部、102・・・担保一覧生成部、103・・・銘柄情報取得部、104・・・担保設定額情報取得部、105・・・異動担保選定部、106・・・振替済情報取得部、107・・・異動担保突合部、1011・・・操作入力情報取得部、1012・・・表示画面出力部、1021・・・担保所要額算出部、1022・・・担保差入額算出部、1023・・・担保過不足額算出部、1051・・・差入担保候補一覧生成部、1052・・・差戻担保候補一覧生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19