(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-09
(45)【発行日】2022-08-18
(54)【発明の名称】薬液容器
(51)【国際特許分類】
E03D 9/02 20060101AFI20220810BHJP
【FI】
E03D9/02
(21)【出願番号】P 2018074948
(22)【出願日】2018-04-09
【審査請求日】2021-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】390020019
【氏名又は名称】レック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075948
【氏名又は名称】日比谷 征彦
(74)【代理人】
【識別番号】100181928
【氏名又は名称】日比谷 洋平
(72)【発明者】
【氏名】小澤 一壽
(72)【発明者】
【氏名】大柴 賢太郎
【審査官】広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-016284(JP,A)
【文献】意匠登録第1510859(JP,S)
【文献】特開2015-165084(JP,A)
【文献】特開2004-132109(JP,A)
【文献】特開2016-223169(JP,A)
【文献】特開2017-122338(JP,A)
【文献】特開2016-070010(JP,A)
【文献】特開2004-300861(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0138526(US,A1)
【文献】中国実用新案第204728431(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/00-9/16
日本意匠分類 C4-3100
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
皿形状をした支持部と、薬液を収容する貯液部を有し、前記支持部に取り付ける薬液収容部と、該薬液収容部を覆うように取り付けるカバー部とから成る薬液容器であって、
前記貯液部は着色した透明又は半透明の樹脂から成り、前記カバー部は前記貯液部の色と異なる色で着色した透明又は半透明の樹脂から成
り、
前記貯液部の頂面には凹状の受穴部を設け、前記カバー部の重心位置であって、前記カバー部の内側から中央に向けて棒状の支柱部を設け、前記受穴部により前記支柱部を支持するようにして、前記カバー部を前記薬液収容部に取り付けることを特徴とする薬液容器。
【請求項2】
前記貯液部の色と前記カバー部の色とは同系色であることを特徴とする請求項1に記載の薬液容器。
【請求項3】
前記貯液部の色は濃い色とし、前記カバー部の色は同系色の薄い色としたことを特徴とする請求項2に記載の薬液容器。
【請求項4】
前記カバー部の形状は、生物の形状をしていることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の薬液容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレの貯水タンク上方の手洗部に載置される薬液容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トイレの貯水タンク上方の手洗部に載置する薬液容器として、特許文献1には芳香洗浄剤等の薬液を収容する薬液容器と、この薬液容器を支持するカップ状の支持体と、この支持体内に取り付けられ薬液容器と接続される調整部材とを備えた薬液供給具が開示されている。
【0003】
手洗カランから供給される流水がカップ状の支持体に案内され、調整部材に留まっている薬液と共に、貯水タンクへと流れ込むことになる。そして、操作レバーを回動させることで、貯水タンクに溜まった薬液混合水が便器に流れて、便器の汚れの付着の防止、洗浄を行ったり、臭いを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示すような薬液容器には、薬液残量を目視できるように通常では着色した透明又は半透明の樹脂容器、又は無色の透明又は半透明の樹脂容器が用いられている。しかし、薬液容器の色が単色であるため単調なものとなってしまう。また、多色成形も可能であるが手間を要することになる。更に、手洗カランから供給される流水に対して、薬液容器の動きがないため面白味に欠けるという問題もある。
【0006】
本発明の目的は、上述の問題点を解消し、容器の複雑な色合いを表現し、容器形状がより立体的に見える薬液容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る薬液容器は、皿形状をした支持部と、薬液を収容する貯液部を有し、前記支持部に取り付ける薬液収容部と、該薬液収容部を覆うように取り付けるカバー部とから成る薬液容器であって、前記貯液部は着色した透明又は半透明の樹脂から成り、前記カバー部は前記貯液部の色と異なる色で着色した透明又は半透明の樹脂から成り、前記貯液部の頂面には凹状の受穴部を設け、前記カバー部の重心位置であって、前記カバー部の内側から中央に向けて棒状の支柱部を設け、前記受穴部により前記支柱部を支持するようにして、前記カバー部を前記薬液収容部に取り付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る薬液容器によれば、カバー部と、薬液収容部の貯液部とに、異なる色の透明又は半透明の樹脂を配置することで、単調な色でなく複雑な色合いを楽しむことが可能である。また、同系色の異なる色を採用することで中央から外側に向かっての色の変化が強調されて見えるので、カバー部の形状がより立体的に見えるという視覚効果を得ることもできる。
【0009】
また、貯液部の受穴部でカバー部の支柱部を支持することで、カバー部に流水が衝突するとカバー部が適度に揺れ動くことになり、視覚的に楽しませるという効果も得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は薬液容器の分解斜視図、
図2は組み立てた状態の斜視図、
図3は横断面図、
図4は縦断面図である。
【0012】
薬液容器の大きさは、横12cm、幅4cm、高さ6cm程度であり、用途に応じて複数の大きさものを用意し、適宜に使用することができる。薬液容器はプラスチック等の樹脂製から成り、トイレの貯水タンク上方の手洗部に載置して使用する。
【0013】
薬液容器は皿形状をした支持部10と、この支持部10上に取り付けられ、芳香液や、洗浄液等の薬液を収容する薬液収容部20と、この薬液収容部20を覆うように薬液収容部20に取り付けるカバー部30とから構成されている。
【0014】
楕円皿形状の支持部10の内側中央には、円筒状の挿通筒部11が立設されており、挿通筒部11の底面には流出孔部12が設けられている。
【0015】
また、挿通筒部11の上端は鋭利形状とされ、挿通筒部11を取り囲むように、円筒状の固定筒部13が立設されている。この固定筒部13の高さは、挿通筒部11の高さよりも低く、固定筒部13と挿通筒部11との間には、円環状の溝部14が形成されている。
【0016】
支持部10の側面には、上下方向に沿って複数本のスリット部15が平行に設けられており、支持部10の裏面中央には、下方向に垂下する複数本の脚部156が配置されている。
【0017】
そして、これらの脚部16を囲むように、支持部10の裏面の略4隅に台座部17配置されている。これらの台座部17の垂下する長さは、脚部16の突起状の長さよりも短くされている。
【0018】
薬液収容部20は、中空状の貯液部21と、この貯液部21の底中央の開口部22に取り付けるキャップ部23とから構成されている。貯液部21は着色した透明又は半透明の樹脂から成る容器であり、
図1においては他面体の略半球形状をしているが、滑らかな半球形状等の適宜の形状を採用することができる。また、貯液部21の頂面には、凹状の受穴部24が設けられている。
【0019】
円筒状である開口部22の上方外側面には、水平方向に沿って円環状にリブ25が設けられており、このリブ25の下側であって開口部22の下端には、先端が先細る鉤状をした被係止部26が設けられている。
【0020】
キャップ部23は有蓋の円筒部27と、この円筒部27の下端部と連続し、開口部22の被係止部26を引っ掛けるリブ構造をした係止部28とを有している。
【0021】
薬液収容部20は開口部22を上にした状態で、貯液部21内に薬液を充填し、上方から開口部22にキャップ部23を押し込む。キャップ部23の係止部28をリブ25に当接するまで押し込むことで、係止部28と被係止部26によりキャップ部23が薬液収容部20に係止されることになる。係止部28と被係止部26との係止は、嵌め殺し構造となっており、このようにして薬液が薬液収容部20内に密封されることになる。
【0022】
カバー部30は金魚の形状をしているが、金魚の形状に限定されるものではなく、様々な動物、魚等の生物の形状や幾何学的な立体形状を適宜に採用することができる。
【0023】
カバー部30は着色した透明又は半透明の樹脂から成り、薬液収容部20の貯液部21の色と異なる色が採用されている。例えば、貯液部21に赤色を採用し、カバー部30にオレンジ色を採用することで、
図2に示すように組み立てた際に金魚の胴体部はオレンジ色で縁取られ、中央が濃いオレンジ色となる。
【0024】
また、胴体部が濃いオレンジ色、尻尾部はオレンジ色となるため、実際の金魚に近い色合いとなる。更にカバー部30の金魚の眼に相当する個所には黒色で着色することが好ましい。
【0025】
貯液部21及びカバー部30には、同系色の異なる色を配置することが好ましく、特に貯液部21に濃い色、カバー部30に同系色の薄い色、例えば貯液部21に青色、カバー部30に水色、貯液部21に緑色、カバー部30に黄緑色のように各色を採用することがより好ましい。
【0026】
貯液部21及びカバー部30にこのような配色を行うことで、薬液容器の中央から外側に向かっての色の変化が強調されて見えるので、カバー部30の形状がより立体的に見えることになる。
【0027】
なお、支持部10については、カバー部30と同じ色の樹脂であってもよいし、非透明の白色、無色透明等の樹脂を採用しても構わない。
【0028】
カバー部30は薬液収容部20全体を上方から覆うことが可能な形状をしており、カバー部30の重心位置であって、カバー部30の内側から中央に向けて棒状の支柱部31が垂下している。支柱部31の高さは貯液部21の受穴部24の深さより長くなっている。
【0029】
薬液容器を組み立てる際は、先ず支持部10に薬液収容部20を取り付ける。取付け方は、挿通筒部11の鋭利な先端をキャップ部23の円筒部27の膜状である蓋部に押しあてて蓋部を突き破ることで、キャップ部23内に挿通筒部11を押し込む。そして、溝部14の底にキャップ部の下端が当接するまで押し込むことで、支持部10及び薬液収容部20は一体化し、貯液部21内の薬液が挿通筒部11内に進入することになる。挿通筒部11内に進入した薬液は、挿通筒部11の底に設けた流出孔部12から少しずつ滴下することになる。滴下する薬液の量は、1ヵ月程度で貯液部21内の薬液が空になる程度の量である。
【0030】
次に、薬液収容部20にカバー部30を取り付ける。取り付け方は、カバー部30の支柱部31の下端を貯液部21の受穴部24内に挿入して、受穴部24で支柱部31を支持するようにする。支柱部31のみでカバー部30を支えることになり、カバー部30は前後左右にぐらつく状態となっている。
【0031】
このようにして、
図2に示すように組み立てた薬液容器を、貯水タンク上方の手洗部の流水孔に脚部16を挿入すると共に、貯水タンク上方の手洗部の底面に台座部17を接触するようにして、薬液容器を貯水タンク上方の手洗部に載置する。脚部16及び台座部17により、薬液容器が手洗部から移動したり倒れたりすることはない。
【0032】
薬液容器を載置した後に、トイレのレバーを回動することで手洗カランから流水が供給されると、流水がカバー部30に衝突して、カバー部が前後左右に揺れ動くことになる。揺れ動くことで金魚が泳いでいるように見えることになる。
【0033】
なお、支柱部31の径の大きさ及び長さと、薬液収容部の受穴部24の径の大きさ及び深さとは、カバー部30に衝突する最大流量でカバー部30が適度に揺れる程度に調節されることになる。
【0034】
カバー部30に衝突した後の流水は、スリット部15を通ってタンク内に流れ込む。そして、流出孔部12から少しずつ滴下する薬液と混ざり、薬液混合水となりタンク内に溜まることになる。
【0035】
また、支持部10の上縁部に対称になるように一対の引掛孔部を設け、カバー部30の胴体部の下縁部に対象になるように一対の引掛片部を設けるようにして、引掛片部を引掛孔部に挿入して固定するようにしてもよい。このようにして、支持部10とカバー部30とを一体化することで、カバー部30が流水の衝突に応じて揺れ動くことはなくなる。従って、支柱部31及び受穴部24は不要となる。
【0036】
このように、カバー部30と、薬液収容部20の貯液部21とに、異なる色の透明又は半透明の樹脂を配置することで、薬液容器は単調な色でなく複雑な色合いを楽しむことが可能である。また、同系色の異なる色を採用することで中央から外側に向かっての色の変化が強調されて見えるので、カバー部30の形状がより立体的に見えるという視覚効果を得ることもできる。
【0037】
また、貯液部21の受穴部24でカバー部30の支柱部31を支持することで、カバー部30に流水が衝突するとカバー部30が適度に揺れ動くことになり、視覚的に楽しませるという効果も得ることができる。
【符号の説明】
【0038】
10 支持部
20 薬液収容部
21 貯液部
24 受穴部
27 円筒部
28 係止部
30 カバー部
31 支柱部