(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-09
(45)【発行日】2022-08-18
(54)【発明の名称】清掃具用柄及び清掃具
(51)【国際特許分類】
A47L 13/24 20060101AFI20220810BHJP
A47K 11/10 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
A47L13/24 A
A47K11/10
(21)【出願番号】P 2018121251
(22)【出願日】2018-06-26
【審査請求日】2021-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】和泉 慎也
(72)【発明者】
【氏名】奥岡 拓也
(72)【発明者】
【氏名】新谷 尚己
【審査官】沖田 孝裕
(56)【参考文献】
【文献】特許第4482559(JP,B2)
【文献】実開昭47-024321(JP,U)
【文献】実開平03-007509(JP,U)
【文献】国際公開第95/007046(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0186365(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 13/24
A47K 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
清掃対象にヘッド部を押し付けて清掃する清掃具に用いられる清掃具用柄において、
長尺に形成された本体部と、前記本体部の一端部に備えられ、前記ヘッド部を着脱自在に保持する取付部と、を備え、
前記取付部は、
前記一端部から
同一方向へと突出する
複数の突出部と、
前記突出部の間隙に形成され、前記ヘッド部の一部を収容する収容空間部と、
を有し、
前記収容空間部の前記突出部の突出方向と直交する方向の幅を、三段階以上に変更でき
、
前記突出部の少なくとも一つについて前記突出部の突出方向と直交する方向の位置を変更可能であると共に、前記突出部の全てについて前記突出部の突出方向から同一方向へと傾斜させることが可能であることを特徴とする清掃具用柄。
【請求項2】
清掃対象にヘッド部を押し付けて清掃する清掃具に用いられる清掃具用柄において、
長尺に形成された本体部と、前記本体部の一端部に備えられ、前記ヘッド部を着脱自在に保持する取付部と、を備え、
前記取付部は、
板状に形成され前記一端部から同一方向へと突出する第一突出部及び第二突出部と、
前記第一突出部と前記第二突出部との間隙に形成され、前記ヘッド部の一部を収容する収容空間部と、
を有し、
前記収容空間部の前記第一突出部及び前記第二突出部の突出方向と直交する方向の幅を、三段階以上に変更でき、
前記第一突出部及び前記第二突出部の少なくとも一つについて前記第一突出部及び前記第二突出部の突出方向と直交する方向の位置を変更可能であると共に、前記第一突出部及び前記第二突出部の両者について突出方向と直交する方向の両端部同士が近づくように湾曲させることができることを特徴とする清掃具用柄。
【請求項3】
清掃対象にヘッド部を押し付けて清掃する清掃具に用いられる清掃具用柄において、
長尺に形成された本体部と、前記本体部の一端部に備えられ、前記ヘッド部を着脱自在に保持する取付部と、を備え、
前記取付部は、
板状に形成され前記一端部から同一方向へと突出する第一突出部及び第二突出部と、
前記第一突出部と前記第二突出部との間隙に形成され、前記ヘッド部の一部を収容する収容空間部と、
を有し、
前記収容空間部の前記第一突出部及び前記第二突出部の突出方向と直交する方向の幅を、三段階以上に変更でき、
前記第一突出部及び前記第二突出部の少なくとも一つについて前記第一突出部及び前記第二突出部の突出方向と直交する方向の位置を変更可能であると共に、前記第一突出部及び前記第二突出部の少なくとも一つは、他方の突出部と対向する面側に突出させることができる摺動部を有することを特徴とする清掃具用柄。
【請求項4】
清掃対象にヘッド部を押し付けて清掃する清掃具に用いられる清掃具用柄において、
長尺に形成された本体部と、前記本体部の一端部に備えられ、前記ヘッド部を着脱自在に保持する取付部と、を備え、
前記取付部は、
前記一端部から同一方向へと突出する複数の突出部と、
前記突出部の間隙に形成され、前記ヘッド部の一部を収容する収容空間部と、
を有し、
前記収容空間部の前記突出部の突出方向と直交する方向の幅を、三段階以上に変更でき、
前記突出部は、第一突出部、第二突出部、第三突出部及び第四突出部を含み、
前記第一突出部と第二突出部との間隔及び前記第三突出部と前記第四突出部との間隔を変更可能であり、
前記第三突出部と前記第四突出部とが最も近接した際の前記第三突出部と前記第四突出部との間隔は、前記第一突出部と前記第二突出部とが最も近接した際の前記第一突出部と前記第二突出部との間隔よりも狭いことを特徴とする清掃具用柄。
【請求項5】
前記取付部は、棒状に形成された3つ以上の前記突出部からなることを特徴とする請求項
1に記載の清掃具用柄。
【請求項6】
前記第一突出部は、前記第二突出部と対向する面に凸部を有し、
前記第二突出部は、前記第一突出部と対向する面の前記凸部と対向する位置に凹部を有することを特徴とする請求項
2に記載の清掃具用柄。
【請求項7】
請求項1から
6のいずれか一項に記載の清掃具用柄と、当該清掃具用柄の前記取付部に着脱自在に取り付けられたヘッド部と、を備えることを特徴とする清掃具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃具用柄及び清掃具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレに設置された便器の清掃に用いられるクリーニングブラシ等の清掃具が普及している。この清掃具は、使用者が柄を持ち、そのヘッド部により便器の内面を擦って汚れを落とすように使用されるため、繰り返し使用する場合、ヘッド部の清潔性が損なわれ、臭いやカビ等が発生する原因となる。
そこで、清掃具のヘッド部を複数の水解性シートを積層させて形成し、このヘッド部を柄部に着脱自在に保持させ、使用後、ヘッド部を柄部から外して便器に流すことを可能とする技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような清掃具においては、清掃時に必然的にヘッド部が水分を含むことになるが、水解性シートを積層させたヘッド部は、水分を含むと柔らかくなり、柄部から外れやすくなる。特許文献1に記載の清掃具においては、このような水分を含んだ水解性シートが、清掃中に柄部から外れてしまうことを防止することが困難であった。
【0005】
本発明の課題は、ヘッド部が水分を含んでも外れ難いようにヘッド部を取り付けることができる清掃具用柄及び清掃具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
清掃対象にヘッド部を押し付けて清掃する清掃具に用いられる清掃具用柄において、
長尺に形成された本体部と、前記本体部の一端部に備えられ、前記ヘッド部を着脱自在に保持する取付部と、を備え、
前記取付部は、
前記一端部から同一方向へと突出する複数の突出部と、
前記突出部の間隙に形成され、前記ヘッド部の一部を収容する収容空間部と、
を有し、
前記収容空間部の前記突出部の突出方向と直交する方向の幅を、三段階以上に変更でき、
前記突出部の少なくとも一つについて前記突出部の突出方向と直交する方向の位置を変更可能であると共に、前記突出部の全てについて前記突出部の突出方向から同一方向へと傾斜させることが可能であることを特徴とする。
本発明によれば、ヘッド部が水分を含んでも外れ難いようにヘッド部を取り付けることができる清掃具用柄を提供することができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、
清掃対象にヘッド部を押し付けて清掃する清掃具に用いられる清掃具用柄において、
長尺に形成された本体部と、前記本体部の一端部に備えられ、前記ヘッド部を着脱自在に保持する取付部と、を備え、
前記取付部は、
板状に形成され前記一端部から同一方向へと突出する第一突出部及び第二突出部と、
前記第一突出部と前記第二突出部との間隙に形成され、前記ヘッド部の一部を収容する収容空間部と、
を有し、
前記収容空間部の前記第一突出部及び前記第二突出部の突出方向と直交する方向の幅を、三段階以上に変更でき、
前記第一突出部及び前記第二突出部の少なくとも一つについて前記第一突出部及び前記第二突出部の突出方向と直交する方向の位置を変更可能であると共に、前記第一突出部及び前記第二突出部の両者について突出方向と直交する方向の両端部同士が近づくように湾曲させることができることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、
清掃対象にヘッド部を押し付けて清掃する清掃具に用いられる清掃具用柄において、
長尺に形成された本体部と、前記本体部の一端部に備えられ、前記ヘッド部を着脱自在に保持する取付部と、を備え、
前記取付部は、
板状に形成され前記一端部から同一方向へと突出する第一突出部及び第二突出部と、
前記第一突出部と前記第二突出部との間隙に形成され、前記ヘッド部の一部を収容する収容空間部と、
を有し、
前記収容空間部の前記第一突出部及び前記第二突出部の突出方向と直交する方向の幅を、三段階以上に変更でき、
前記第一突出部及び前記第二突出部の少なくとも一つについて前記第一突出部及び前記第二突出部の突出方向と直交する方向の位置を変更可能であると共に、前記第一突出部及び前記第二突出部の少なくとも一つは、他方の突出部と対向する面側に突出させることができる摺動部を有することを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、
清掃対象にヘッド部を押し付けて清掃する清掃具に用いられる清掃具用柄において、
長尺に形成された本体部と、前記本体部の一端部に備えられ、前記ヘッド部を着脱自在に保持する取付部と、を備え、
前記取付部は、
前記一端部から同一方向へと突出する複数の突出部と、
前記突出部の間隙に形成され、前記ヘッド部の一部を収容する収容空間部と、
を有し、
前記収容空間部の前記突出部の突出方向と直交する方向の幅を、三段階以上に変更でき、
前記突出部は、第一突出部、第二突出部、第三突出部及び第四突出部を含み、
前記第一突出部と第二突出部との間隔及び前記第三突出部と前記第四突出部との間隔を変更可能であり、
前記第三突出部と前記第四突出部とが最も近接した際の前記第三突出部と前記第四突出部との間隔は、前記第一突出部と前記第二突出部とが最も近接した際の前記第一突出部と前記第二突出部との間隔よりも狭いことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の清掃具用柄において、
前記取付部は、棒状に形成された3つ以上の前記突出部からなることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項2に記載の清掃具用柄において、
前記第一突出部は、前記第二突出部と対向する面に凸部を有し、
前記第二突出部は、前記第一突出部と対向する面の前記凸部と対向する位置に凹部を有することを特徴とする。
本発明によれば、ヘッド部をより強固に取り付けることが可能となる。
【0015】
請求項7に記載の発明は、清掃具において、
請求項1から6のいずれか一項に記載の清掃具用柄と、当該清掃具用柄の前記取付部に着脱自在に取り付けられたヘッド部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、ヘッド部が水分を含んでも外れ難いようにヘッド部を取り付けることができる清掃具を提供することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ヘッド部が水分を含んでも外れ難いようにヘッド部を取り付けることができる清掃具用柄及び清掃具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】第1実施形態に係る清掃具の取付部付近の正面図であり、(a)は収容空間部が最も広い状態、(b)は収容空間部が一段階狭まった状態、(c)は収容空間部が二段階狭まった状態を示す。
【
図3】第1実施形態の変形例に係る清掃具の取付部付近の正面図であり、(a)は収容空間部が最も広い状態、(b)は収容空間部が一段階狭まった状態、(c)は収容空間部が二段階狭まった状態を示す。
【
図5】第2実施形態に係る清掃具の取付部付近の正面図であり、(a)は収容空間部が最も広い状態、(b)は収容空間部が一段階狭まった状態、(c)は収容空間部が二段階狭まった状態を示す。
【
図6】第2実施形態の変形例に係る清掃具の取付部付近の正面図である。なお、収容空間部が最も広い状態を示す。
【
図7】第2実施形態の変形例に係る清掃具の取付部付近の正面図である。なお、収容空間部が最も広い状態を示す。
【
図8】第2実施形態の変形例に係る清掃具の取付部付近の正面図であり、(a)は収容空間部が最も広い状態、(b)は収容空間部が一段階狭まった状態、(c)は収容空間部が二段階狭まった状態を示す。
【
図9】第2実施形態の変形例に係る清掃具の取付部付近の正面図であり、(a)は収容空間部が最も広い状態、(b)は収容空間部が一段階狭まった状態、(c)は収容空間部が二段階狭まった状態を示す。
【
図10】第3実施形態に係る清掃具の斜視図である。なお、柄部の上部の記載を省略している。
【
図11】第3実施形態に係る清掃具の取付部付近の正面図であり、(a)は収容空間部が最も広い状態、(b)は収容空間部が一段階狭まった状態、(c)は収容空間部が二段階狭まった状態を示す。
【
図12】第4実施形態に係る清掃具の斜視図である。
【
図13】第4実施形態に係る清掃具の取付部付近の正面図であり、(a)は収容空間部が最も広い状態、(b)は収容空間部が一段階狭まった状態、(c)は収容空間部が二段階狭まった状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態である清掃具の具体的な態様について、
図1から
図13に基づいて説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、図示例に限定されない。
なお、以下においては、
図1に示すように、前後方向、左右方向及び上下方向並びにX軸、Y軸及びZ軸を定めて説明する。すなわち、柄部の取付部が形成されていない側の端部が向く方向を「上」、その反対側を「下」、柄部が屈曲する方向を「前」、その反対側を「後」、後側を向いた際の右手側を「右」、後側を向いた際の左手側を「左」とし、前後方向に沿った軸をX軸、左右方向に沿った軸をY軸、上下方向に沿った軸をZ軸とする。
【0019】
[第1実施形態]
第一実施形態に係る清掃具100について、
図1及び
図2に基づいて説明する。
【0020】
{実施形態の構成}
清掃具100は、トイレに設置された便器の清掃などに用いられるものであり、
図1に示すように、清掃具100の使用者が把持する柄部1と、柄部1に着脱自在に取り付けられるヘッド部2と、から構成される。
【0021】
(柄部)
柄部1は、その本体をなす本体部12と、ヘッド部2を着脱自在に取り付ける取付部11と、からなる。
柄部1を形成する材料は、取付部11にヘッド部2を取り付けて清掃を行うことができる強度を有するものであれば任意であるが、例えば、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、POM(ポリアセタール)、CNF(セルロースナノファイバー)、木材、金属等を用いることができる。
【0022】
(本体部)
本体部12は、
図1に示すように長尺な棒状に形成され、一端部が屈曲し、当該端部の先端に取付部11が備えられている。
図1においては、本体部12のZ軸方向に沿う部分が、断面(XY面に沿う切断面)が円形となるように形成され、X軸に沿う屈曲部分が、断面(YZ面に沿う切断面)が矩形状となるように形成される場合につき図示したが、本体部12の具体的な形状は、使用者が把持して清掃を行うことが可能であればよく、その他の形状とすることも可能である。
例えば、本体部12は、X軸に沿う屈曲部分も断面が円形となるように形成されていてもよい。また、屈曲部分を有せず、全体が使用者が把持可能な程度の長さを有する直線状に形成されていてもよいし、所定の曲率で湾曲するアーチ状に形成されていてもよい。また、清掃具100の未使用時にこれを吊り下げるための孔などが形成されていてもよい。
【0023】
(取付部)
取付部11は、棒状の本体部12の一端部に備えられた、柄部1にヘッド部2を着脱自在に取り付けるための部分であり、
図1及び
図2に示すように、3つの突出部、すなわち第一突出部111と、第二突出部112と、第三突出部113と、を備える。
【0024】
(第1突出部)
第一突出部111は、
図2に示すように、本体部12の一端部(
図1においては下部前方に位置する端部)の下側のY方向中央部から、本体部12の取付部11が備えられた端部近傍における軸方向(
図1及び
図2においてはX方向)へと棒状に突出するように形成されている。
第一突出部111は、X方向に15mmから40mmの長さを有することが好ましい。
なお、
図2においては、第一突出部111を、X方向から見て断面形状が円形となる円柱状に形成した場合につき図示したが、第一突出部111の形状は、後述のように第二突出部112及び第三突出部113との間にヘッド部2を挟み込むことができるものであればよく、これには限られない。例えば、四角柱状、三角柱状等であってもよい。
【0025】
(第二突出部)
第二突出部112は、
図1及び
図2に示すように、本体部12の一端部(
図1においては下部前方に位置する端部)の上側の、Y方向に第一突出部111からずれた位置(
図1及び
図2においては左上)から、本体部12の取付部11が備えられた端部近傍における軸方向(
図1及び
図2においてはX方向)へと棒状に突出するように形成されている。
第二突出部112は、X方向に15mmから40mmの長さを有することが好ましい。
なお、
図1及び
図2おいては、第二突出部112を、X方向から見て断面形状が円形となる円柱状に形成した場合につき図示したが、第二突出部112の形状は、後述のように第一突出部111との間にヘッド部2を挟み込むことができるものであればよく、これには限られない。例えば、四角柱状、三角柱状等であってもよい。
【0026】
(第三突出部)
第三突出部113は、
図1及び
図2に示すように、本体部12の一端部(
図1においては下部前方に位置する端部)の上側の、Y方向に第一突出部111から、第二突出部112と反対にずれた位置(
図1及び
図2においては右上)から、本体部12の取付部11が備えられた端部近傍における軸方向(
図1及び
図2においてはX方向)へと棒状に突出するように形成されている。
第三突出部113は、X方向に15mmから40mmの長さを有することが好ましい。
なお、
図1及び
図2おいては、第三突出部113を、X方向から見て断面形状が円形となる円柱状に形成した場合につき図示したが、第三突出部113の形状は、後述のように第一突出部111との間にヘッド部2を挟み込むことができるものであればよく、これには限られない。例えば、四角柱状、三角柱状等であってもよい。
【0027】
(各突出部の間隔)
第一突出部111、第二突出部112及び第三突出部113は、
図2に示すように、これらのX方向から見た位置(X方向に直交する方向の位置)を動かすことができる。具体的には、第一突出部111は上下方向に、第二突出部112は右下がりの斜め方向に、第三突出部113は左下がりの斜め方向に動かすことができる。
そして、第一突出部111、第二突出部112及び第三突出部113は、
図2(a)から(c)に示すように、X方向から見た位置が最も離れた(a)の状態、これらが最も近接した(c)の状態、及び中間である(b)の状態で、これらの位置を固定できるように構成されている。
【0028】
また、第一突出部111、第二突出部112及び第三突出部113は、これらが最も離れた
図2(a)に示す状態において、上部に形成された第二突出部112と第三突出部113との間隔(
図2(a)におけるP1)が30mmから40mmとなり、第一突出部111と第二突出部112との間隔(
図2(a)におけるQ1)、及び第一突出部111と第三突出部113との間隔(
図2(a)におけるR1)が15mmから30mmとなることが望ましい。
【0029】
また、第一突出部111、第二突出部112及び第三突出部113を一段階接近させた
図2(b)に示す状態において、上部に形成された第二突出部112と第三突出部113との間隔(
図2(b)におけるP2)が25mmから35mmとなり、第一突出部111と第二突出部112との間隔(
図2(b)におけるQ2)、及び第一突出部111と第三突出部113との間隔(
図2(b)におけるR2)が10mmから25mmとなることが望ましい。
【0030】
また、第一突出部111、第二突出部112及び第三突出部113を最も接近させた
図2(c)に示す状態において、上部に形成された第二突出部112と第三突出部113との間隔(
図2(c)におけるP3)が20mmから30mmとなり、第一突出部111と第二突出部112との間隔(
図2(c)におけるQ3)、及び第一突出部111と第三突出部113との間隔(
図2(c)におけるR3)が5mmから10mmとなることが望ましい。
【0031】
(ヘッド部)
ヘッド部2は、
図1に示すように、取付部11によって柄部1に着脱自在に取り付けられた状態で、便器の内面などの被清掃面に押し付けられてその清掃を行うための部材であり、水解性を有する材料により形成され、清掃後、柄部1の取付部11から外して便器に流すことができるように形成されている。
【0032】
具体的には、例えばヘッド部2は、水解性を有する一枚のシート体を折り畳むことで2層以上重ね合わされた積層体により形成されることが好ましい。一枚のシート体を折り畳んでヘッド部2を形成することで、その製造を容易にすることができる。
なお、製造の容易性は低下するものの、複数枚のシート体を重ね合わせることで2層以上重ね合わされた積層体が形成されていてもよい。また、複数枚のシート体を重ね合わせた上で、これをさらに折り畳むことによって、2層以上重ね合わされた積層体が形成されていてもよい。
このようにヘッド部2を積層体とすることで、便器に流す際に水に対してほぐれやすくすることができる。
【0033】
また、ヘッド部2に用いられる水解性を有するシート体としては、例えば、湿式抄紙法により作製される水解紙や、エアレイド不織布などを用いることができる。このようなシート体の原料には、バージンパルプが用いられることが好ましい。古紙再生パルプには樹脂や石灰等の異物が混入することがあり、これによって、清掃時に被清掃面に傷がつき易くなる、流した際に所望の水解性が得られず詰まり易くなるといったリスクが生じるためである。
【0034】
ヘッド部2は、長辺40mmから60mm、短辺35mmから55mmの長方形状に形成され、厚みが10mmから20mmとなるように形成されることが好ましい。
また、ヘッド部2は、柄部1に対し、長辺方向が第一突出部111、第二突出部112及び第三突出部113の突出方向と一致するようにして、取付部11の先端から、20mmから40mm突出するように取り付けられることが好ましく、30mm突出するように取り付けられることが最も好ましい。
【0035】
また、ヘッド部2は、長辺方向の一端部近傍において、圧縮されてシート体同士が固定されており、長辺方向の他端部近傍においては、圧縮されず、シート体同士が固定されないように構成されていてもよい。なお、シート体同士が固定されていない前記他端部側には、さらに複数の切れ目が形成されていてもよい。また、シート体同士が固定されている前記一端部側においては、さらに、水溶性の接着剤等によって、シート体同士が強固に固定されていてもよい。
これによって、シート体同士が固定された前記一端部側を取付部11に取り付けることで、ヘッド部2の柄部1への取り付けが容易となり、かつ、シート体同士が固定されていない前記他端部側を清掃に用いることで、汚れの除去力も高めることができる。
【0036】
{実施形態の効果}
本実施形態によれば、
図2(a)に示すように、取付部11の第一突出部111、第二突出部112及び第三突出部113の間隔が開いた状態で、乾燥状態のヘッド部2を、これらの間の空間に、
図1に示すように第一突出部111と第二突出部112との間及び第一突出部111と第三突出部113との間を通るように挿入した上で、
図2(b)に示すように、これを一段階近づけることで、ヘッド部2を柄部1に対して取り付けることができる。
さらに、ヘッド部2が水分を含み柔らかくなった場合には、
図2(c)に示すように、第一突出部111、第二突出部112及び第三突出部113の間隔をさらに近づけることで、ヘッド部2の取付部11への固定を強固なものとすることができる。
すなわち、第一突出部111、第二突出部112及び第三突出部113によって囲まれた、X方向から見てこれら突出部を頂点とする略三角形状となる空間が、これら突出部の突出方向であるX方向と直交する方向の幅を三段階以上に変更できる、本発明における収容空間部として機能する。なお、X方向に直交する方向とは、図視したY方向及びZ方向に限られず、YZ面と平行となるあらゆる方向を含むものである。
これによって、ヘッド部2が水分を含んだ状態においても、これが取付部11から外れ難くすることができる。
【0037】
また、本実施形態によれば、
図1に示すように、ヘッド部2を、本体部12の取付部11が備えられた端部近傍における軸方向(
図1においてはX方向)と直交する方向(
図1においてはY方向)側の両端部(
図1においては左右両端部)同士が近づき、Y方向中央部が上方へと凸となるように曲げられた状態で、柄部1に対して固定することが可能となる。
これによって、清掃中にヘッド部2の先端が、
図1における上方又は下方へと折れ難くなることから、ヘッド部2の先端を便器等に対して強く押し付けることが可能となり、便器等の被清掃面の汚れを落とし易くなる。
【0038】
{変形例}
上記においては、第一突出部111、第二突出部112及び第三突出部113の間隔を3段階で調整する場合につき説明したが、さらに多数の段階(4段階以上)に、これらの間隔を調整できるように構成されていてもよい。
また、第一突出部111、第二突出部112及び第三突出部113は、必ずしもこれら全てにつき、X方向から見た位置(X方向に直交する方向の位置)を動かすことができる必要はなく、どれか一つ又は二つのみを動かすことによって、これらの間隔を調整できるように構成されていてもよい。
また、取付部11は、さらに多数(4本以上)の突出部を備え、これらの間隔を3段階以上に調整可能とされていてもよい。
【0039】
また、
図3に示す取付部11Aのように、第一突出部111A、第二突出部112A及び第三突出部113Aの間隔を、
図3(a)に示す最も離れた状態から、
図3(b)に示すように一段階近づけた後に、これらを
図3(c)に示すように、同一方向(
図3(c)においては上方)へと傾斜させ、当該状態で固定することによって、これらの間隔をさらに近づけることができるように構成されていてもよい。この際の傾斜角度は、本体部12の取付部11が備えられた端部近傍における軸方向(
図3においてはX方向)からの角度が、45°以下であることが好ましい。
さらに、
図2に示すように第一突出部111、第二突出部112及び第三突出部113のX方向から見た位置を3段階以上で調整可能とした上で、さらにこれらを同一方向へと傾斜させることができるように構成されていてもよい。
【0040】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る清掃具100Bについて、
図4及び
図5に基づいて説明する。なお、第1実施形態に係る清掃具100と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0041】
{実施形態の構成}
清掃具100Bは、
図4及び
図5に示すように、取付部の構成を、本体部12の一端部(
図4においては下部前方に位置する端部)の上縁部付近に備えられた第一突出部111Bと、本体部12の一端部(
図4においては下部前方に位置する端部)の下縁部付近に備えられた、第二突出部112Bと、とからなる取付部11Bとしたものである。
【0042】
(第一突出部)
第一突出部111Bは、
図4及び
図5に示すように、本体部12の一端部(
図4においては下部前方に位置する端部)の、上縁部付近に備えられた、本体部12の当該端部近傍における軸方向(
図4及び
図5においてはX方向)へと板状に突出する部分である。
第一突出部111Bは、X方向に15mmから40mmの長さを有することが好ましい。
【0043】
(第二突出部)
第二突出部112Bは、
図5に示すように、本体部12の一端部(
図4においては下部前方に位置する端部)の、下縁部付近に備えられた、本体部12の当該端部近傍における軸方向(
図4及び5においてはX方向)へと板状に突出する部分である。
第二突出部112Bは、X方向に15mmから40mmの長さを有することが好ましい。
【0044】
(各突出部の間隔)
第一突出部111Bと、第二突出部112Bとは、
図5に示すように、これらのX方向から見た位置(X方向に直交する方向の位置)を動かすことによって、これらが対向する面の間の距離を変更することができる。具体的には、第一突出部111B及び第二突出部112Bは共にZ方向に動かすことができる。
そして、第一突出部111Bと、第二突出部112Bとは、
図5(a)から(c)に示すように、X方向から見た位置がZ方向に最も離れた(a)の状態、これらが最も近接した(c)の状態、及び中間である(b)の状態で、これらの位置を固定できるように構成されている。
【0045】
また、第一突出部111Bと、第二突出部112Bとは、これらが最も離れた
図5(a)に示す状態において、上部に形成された第一突出部111Bと、下部に形成された第二突出部112Bとの間隔(
図5(a)におけるS1)が、Z方向に20mmから40mmとなることが望ましい。
また、第一突出部111Bと、第二突出部112Bとを一段階接近させた
図5(b)に示す状態において、上部に形成された第一突出部111Bと、下部に形成された第二突出部112Bとの間隔(
図5(b)におけるS2)が、Z方向に10mmから15mmとなることが望ましい。
また、第一突出部111Bと、第二突出部112Bとを最も接近させた
図5(c)に示す状態において、上部に形成された第一突出部111Bと、下部に形成された第二突出部112Bとの間隔(
図5(c)におけるS3)が、Z方向に5mmから10mmとなることが望ましい。
【0046】
{実施形態の効果}
本実施形態によっても、
図5(a)に示すように、取付部11Bの第一突出部111Bと、第二突出部112Bとの間隔が開いた状態で、乾燥状態のヘッド部2をこれらが対向する面の間に挿入した上で、
図5(b)に示すように、これを一段階近づけることで、ヘッド部2を柄部1Bに対して取り付けることができる。
さらに、ヘッド部2が水分を含み柔らかくなった場合には、
図5(c)に示すように、第一突出部111Bと、第二突出部112Bとの間隔をさらに近づけることで、ヘッド部2の取付部11Bへの固定を強固なものとすることができる。
すなわち、第一突出部111Bと、第二突出部112Bとの間の空間が、これら突出部の突出方向であるX方向と直交する方向の幅を三段階以上に変更できる、本発明における収容空間部として機能する。
これによって、ヘッド部2が水分を含んだ状態においても、これが取付部11Bから外れ難くすることができる。
なお、
図5においては、第一突出部111B及び第二突出部112Bの両者が上下に動く場合につき図示したが、これら一方が固定され、いずれか一方のみが動くことで、これらの間の間隔を調整するように構成されていてもよい。
また、第一突出部111Bと、第二突出部112Bとは、さらに多数の段階(4段階以上)に、これらの間隔を調整できるように構成されていてもよい。
【0047】
{変形例}
以下、第二実施形態の変形例について説明する。
【0048】
(変形例1)
図6に示す取付部11Cのように、第一突出部111Cの下面に下方へと凸となる凸部111aを設け、第二突出部112Cの上面の、凸部111aと対向する位置に、下方へと凹となる凹部112aを設けてもよい。
【0049】
(凸部)
凸部111aは、
図6に示すように、第一突出部111CのY方向中央部に形成された下方へと凸となる突出部である。凸部111aは、Y方向の幅が5mmから10mm、Z方向の高さが2mmから5mmとなり、X方向に第一突出部111C全体に亘る長さを有することが好ましい。
【0050】
(凹部)
凹部112aは、
図6に示すように、第二突出部112CのY方向中央部に形成された下方へと凹となる陥没部である。凹部112aは、Y方向の幅が7mmから12mm、Z方向の高さが5mmから8mmとなり、X方向に第二突出部112C全体に亘る長さを有することが好ましい。
【0051】
(効果)
本変形例によれば、上記本実施形態の効果に加えて、凸部111a及び凹部112aが形成されていることによって、平面によってヘッド部2を固定する場合よりも、さらにヘッド部2の固定強度を向上することができる。
また、本変形例によれば、ヘッド部2を、本体部12の取付部11Cが備えられた端部近傍における軸方向(
図6においてはX方向)と直交する方向(
図6においてはY方向)側の両端部(
図6においては左右両端部)同士が近づき、Y方向中央部が下方へと凸となるように曲げられた状態で、柄部1Cに対して固定することが可能となる。
これによって、清掃中にヘッド部2の先端が、
図6における上方又は下方へと折れ難くなることから、ヘッド部2の先端を便器等に対して強く押し付けることが可能となり、便器等の被清掃面の汚れを落とし易くなる。
【0052】
なお、
図7に示す取付部11Dのように、X方向から見て、第一突出部111Dの下面及び第二突出部112Dの上面の両者に、Z方向に凸部と凹部とが対向する位置となるように複数の凹凸を設けるようにしてもよい。
この場合、ヘッド部2の固定強度をさらに向上することができる。
【0053】
(変形例2)
図8に示す取付部11Eのように、第一突出部111E及び第二突出部112Eを一定の可塑性を有する材料によって形成し、これを湾曲させることで、第一突出部111Eと第二突出部112Eとの間隔を狭め、ヘッド部2の固定を強固なものとすることができるようにしてもよい。第一突出部111E及び第二突出部112Eの材料としては、硬度が50から80(JIS K 6253-3:2012(タイプAデュロメータ)によって測定された値)であることが望ましく、具体的には熱可塑性エラストマー(スチレン系、オレフィン系)、ウレタン、EVA樹脂、シリコン樹脂等を用いることができる。
【0054】
具体的には、第一突出部111Eと、第二突出部112Eとは、
図8(a)及び(b)に示すように、Z方向に動かすことができ、第一突出部111Eと、第二突出部112EとのX方向から見た位置が、Z方向に離れた
図8(a)の状態と、これが近づいた
図8(b)の状態とで、これらの位置を固定できるように構成されている。この点は、取付部11Bに係る
図5(a)及び(b)と同様である。
取付部11Eは、
図8(b)に示す状態から、第一突出部111Eと、第二突出部112Eとを、
図8(c)に示すようにY方向の中央部が上方へ突出するように湾曲させ、当該状態でこれらを固定できるように構成されている。これによって、第一突出部111Eと第二突出部112Eとの間隔は、
図8(b)に示す状態からさらに近づくこととなる。
【0055】
(効果)
本変形例によっても、
図8(a)に示すように、取付部11Eの第一突出部111Eと、第二突出部112Eとの間隔が開いた状態で、乾燥状態のヘッド部2をこれらの間に挿入した上で、
図8(b)に示すように、これを一段階近づけることで、ヘッド部2を柄部1に対して取り付けることができる。
さらに、ヘッド部2が水分を含み柔らかくなった場合には、
図8(c)に示すように、第一突出部111Eと、第二突出部112Eとを湾曲させることで、ヘッド部2の取付部11Eへの固定を強固なものとすることができる。
【0056】
また、本変形例によっても、ヘッド部2を、本体部12の取付部11Eが備えられた端部近傍における軸方向(
図8においてはX方向)と直交する方向(
図8においてはY方向)側の両端部(
図8においては左右両端部)同士が近づき、Y方向中央部が上方へと凸となるように曲げられた状態で、柄部1Eに対して固定することが可能となる。
これによって、清掃中にヘッド部2の先端が、
図8における上方又は下方へと折れ難くなることから、ヘッド部2の先端を便器等に対して強く押し付けることが可能となり、便器等の被清掃面の汚れを落とし易くなる。
なお、
図8(c)とは反対に、第一突出部111Eと、第二突出部112Eとを、Y方向中央部が下方に凸となるように湾曲させるようにしてもよい。
また、変形例1と同様に、第一突出部111E及び第二突出部112Eに、さらに凹部及び/又は凸部が備えられるようにしてもよい。
【0057】
(変形例3)
図9に示す取付部11Fのように、第一突出部111Fに、上下方向へと摺動可能な摺動部111bを備えてもよい。
【0058】
(摺動部)
摺動部111bは、
図9(a)及び(b)に示すように、第一突出部111Fの下面側が平坦となる状態から、
図9(c)に示すように下方へと突出した状態へと摺動させることができ、両状態においてこれを固定することができるように構成されている。
摺動部111bが突出する高さは、最も突出して固定された
図9(c)に示す状態で、第一突出部111Fの摺動部111b以外の部分の下面から、2mmから5mm突出することが好ましい。
また、Y方向の幅が5mmから10mmであり、X方向に第一突出部111F全体に亘る長さを有することが好ましい。
【0059】
具体的には、第一突出部111Fと、第二突出部112Fとは、
図9に示すように、Z方向に動かすことができ、第一突出部111Fと、第二突出部112FとのX方向から見た位置が、Z方向に離れた
図9(a)の状態と、これが近づいた
図9(b)の状態とで、これらの位置を固定できるように構成されている。この点は、取付部11Bに係る
図5(a)及び(b)と同様である。
取付部11Fは、
図9(b)に示す状態から、第一突出部111Fに備えられた摺動部111bを下方へと摺動させ、
図9(c)に示すようにこれを下方に突出させ、当該状態で固定できるように構成されている。
【0060】
(効果)
本変形例によっても、
図9(a)に示すように、取付部11Fの第一突出部111Fと、第二突出部112Fとの間隔が開き、かつ摺動部111bが第一突出部111Fから突出していない状態で、乾燥状態のヘッド部2をこれらの間に挿入した上で、
図9(b)に示すように、これを一段階近づけることで、ヘッド部2を柄部1Fに対して取り付けることができる。
さらに、ヘッド部2が水分を含み柔らかくなった場合には、
図9(c)に示すように、摺動部111bを下方へと摺動させ、これを下方に突出した状態で固定することで、第一突出部111Fと第二突出部112FとのZ方向の間隔を、摺動部111bが形成された部分において狭め、ヘッド部2の取付部11Fへの固定を強固なものとすることができる。
【0061】
なお、摺動部111bが形成される位置は、第一突出部111FのX方向の中央部には限られない。
また、
図9とは反対に、第二突出部112Fに、上方へと摺動する摺動部を設けてもよいし、第一突出部111Fと、第二突出部112Fとの両者に摺動部を設けてもよい。
【0062】
[第3実施形態]
第3実施形態に係る清掃具100Gについて、
図10及び
図11に基づいて説明する。なお、第1実施形態に係る清掃具100と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0063】
{実施形態の構成}
清掃具100Gは、取付部の構成を、
図10及び
図11に示すように、本体部12Gの一端部(
図10においては下部前方に位置する端部)から円筒状に突出する突出部を備えた取付部11Gとしたものである。
なお、清掃具100Gにおいては、
図10及び
図11に示すように、本体部を、取付部11Gが備えられた端部近傍におけるYZ面に沿う断面形状が円形となり、取付部11Gと段差なく接続される本体部12Gとした場合につき図示したが、本体部の形状はこれに限られない。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0064】
(取付部)
取付部11Gは、
図11に示すように、取付部11Gの突出方向側の端部(
図10及び
図11においては前端部)に円形の開口部が形成され、当該開口部から後方へと円柱状に続く凹部である内部空間115が形成されている。
【0065】
取付部11Gは、
図11に示すように、内部空間115のX方向から見た直径を変更できるように構成されている。
そして、取付部11Gは、
図11(a)から(c)に示すように、X方向から見て、内部空間115の直径が最大となった(a)の状態、内部空間115の直径が最少となった(c)の状態、及び中間である(b)の状態で、内部空間115を固定できるように構成されている。
【0066】
内部空間115は、X方向から見た直径が最大となった
図11(a)の状態において、その直径(
図11(a)におけるT1)が30mmから45mmであることが好ましく、X方向から見た直径を一段小さくした
図11(b)の状態において、その直径(
図11(b)におけるT2)が20mmから30mmであることが好ましく、X方向から見た直径が最小となった
図11(c)の状態において、その直径(
図11(c)におけるT3)が12mmから20mmであることが好ましい。
また、内部空間115のX方向の深さは、10mmから25mmであることが好ましい。
【0067】
{実施形態の効果}
本実施形態によっても、
図11(a)に示すように、取付部11Gの内部空間115の直径が最大となった状態で、乾燥状態のヘッド部2を、
図10に示すように丸めながら押し込んだ上で、
図11(b)に示すように、内部空間115の直径を一段小さくすることで、ヘッド部2を柄部1Gに対して取り付けることができる。
さらに、ヘッド部2が水分を含み柔らかくなった場合には、
図11(c)に示すように、内部空間115の直径をさらに小さくすることで、ヘッド部2の取付部11Gへの固定を強固なものとすることができる。
すなわち、内部空間115が、取付部11Gの突出方向であるX方向と直交する方向の幅を三段階以上に変更できる、本発明における収容空間部として機能する。
これによって、ヘッド部2が水分を含んだ状態においても、これが取付部11Gから外れ難くすることができる。
【0068】
また、本実施形態によっても、内部空間115に丸めながら押し込まれたヘッド部2は、
図10に示すように、本体部12Gの取付部11Gが備えられた端部近傍における軸方向(
図10においてはX方向)と直交する方向の両端部(
図10においてはY方向両端部が近づく場合につき図示したが、具体的な方向はヘッド部2の押し込み方によって変化する。)同士が近づくように曲げられた状態で、柄部1Gに固定される。
したがって、本実施形態によっても、ヘッド部2の先端が、
図10及び
図11における上方又は下方へと折れ難くなる。
【0069】
[第4実施形態]
第4実施形態に係る清掃具100Hについて、
図12及び
図13に基づいて説明する。なお、第1実施形態に係る清掃具100と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0070】
{実施形態の構成}
清掃具100Hは、
図12及び
図13に示すように、取付部の構成を、柄部1の一端部(
図12においては下部前方に位置する端部)に形成された4本の突出部、すなわち、第一突出部111Hと、第二突出部112Hと、第三突出部113Hと、第四突出部114Hと、からなる取付部11Hとしたものである。
その他の構成は、第一実施形態に係る清掃具100と同様である。
【0071】
(第一突出部)
第一突出部111Hは、
図12及び
図13に示すように、柄部1の一端部(
図12においては下部前方に位置する端部)の左上から、本体部12の取付部11Hが備えられた端部近傍における軸方向(
図12及び
図13においてはX方向)へと棒状に突出するように形成されている。
第一突出部111Hは、X方向に15mmから40mmの長さを有することが好ましい。
なお、
図12及び
図13においては、第一突出部111Hを、X方向から見て断面形状が円形となる円柱状に形成した場合につき図示したが、第一突出部111Hの形状は、後述のように第二突出部112Hとの間にヘッド部2を挟み込むことができるものであればよく、これには限られない。例えば、四角柱状、三角柱状等であってもよい。
【0072】
(第二突出部)
第二突出部112Hは、
図13に示すように、柄部1の一端部(
図12においては下部前方に位置する端部)の左下から、本体部12の取付部11Hが備えられた端部近傍における軸方向(
図12及び
図13においてはX方向)へと棒状に突出するように形成されている。
第二突出部112Hは、X方向に15mmから40mmの長さを有することが好ましい。
なお、
図13においては、第二突出部112Hを、X方向から見て断面形状が円形となる円柱状に形成した場合につき図示したが、第二突出部112Hの形状は、後述のように第一突出部111Hとの間にヘッド部2を挟み込むことができるものであればよく、これには限られない。例えば、四角柱状、三角柱状等であってもよい。
【0073】
(第三突出部)
第三突出部113Hは、
図12及び
図13に示すように、柄部1の一端部(
図12においては下部前方に位置する端部)の右上から、本体部12の取付部11Hが備えられた端部近傍における軸方向(
図12及び
図13においてはX方向)へと突出するように形成されている。
第三突出部113Hは、X方向に15mmから40mmの長さを有することが好ましい。
なお、
図12及び
図13においては、第三突出部113Hを、X方向から見て断面形状が円形となる円柱状に形成した場合につき図示したが、第三突出部113Hの形状は、後述のように第四突出部114Hとの間にヘッド部2を挟み込むことができるものであればよく、これには限られない。例えば、四角柱状、三角柱状等であってもよい。
【0074】
(第四突出部)
第四突出部114Hは、
図13に示すように、柄部1の一端部(
図12においては下部前方に位置する端部)の右下から、本体部12の取付部11Hが備えられた端部近傍における軸方向(
図12及び
図13においてはX方向)へと突出するように形成されている。
第四突出部114Hは、X方向に15mmから40mmの長さを有することが好ましい。
なお、
図13においては、第四突出部114Hを、X方向から見て断面形状が円形となる円柱状に形成した場合につき図示したが、第四突出部114Hの形状は、後述のように第三突出部113Hとの間にヘッド部2を挟み込むことができるものであればよく、これには限られない。例えば、四角柱状、三角柱状等であってもよい。
【0075】
(各突出部の間隔)
第一突出部111H、第二突出部112H、第三突出部113H及び第四突出部114Hは、
図13に示すように、これらのX方向から見た位置(X方向に直交する方向の位置)を動かすことができる。具体的には、いずれもZ方向に動かすことができる。
そして、第一突出部111Hを下方へと動かし、第二突出部112Hを上方へと動かすことによって、これらが近接する。また、第三突出部113Hを下方へと動かし、第四突出部114Hを上方へと動かすことによって、これらが近接する。
【0076】
そして、第一突出部111H及び第二突出部112Hと、第三突出部113H及び第四突出部114Hとは、別個に動かすことができ、これらが全て離れた
図13(a)に示す状態、第一突出部111Hと第二突出部112Hとが近接した
図13(b)に示す状態、第一突出部111Hと第二突出部112Hとが近接し、かつ第三突出部113Hと第四突出部114Hとが近接した
図13(c)に示す状態で、これらの位置を固定できるように構成されている。
【0077】
また、第一突出部111Hと第二突出部112Hとの間隔及び第三突出部113Hと第四突出部114Hとの間隔は、これらが最も離れた状態(
図13(a)及び(b)におけるU1)において、Z方向に20mmから40mmとなり、これらが最も近づいた状態(
図13(b)及び(c)におけるU2)において、Z方向に5mmから10mmとなることが好ましい。
また、第一突出部111Hと第三突出部113HとのY方向の間隔及び第二突出部112Hと第四突出部114HとのY方向の間隔(
図13(a)、(b)及び(c)におけるV)は、20mmから40mmとなることが望ましい。
【0078】
{実施形態の効果}
本実施形態によっても、
図13(a)に示すように、取付部11Hの第一突出部111Hと第二突出部112Hとの間隔及び第三突出部113Hと第四突出部114Hとの間隔が離れた状態で、乾燥状態のヘッド部2をこれらの間に挿入した上で、
図13(b)に示すように、第一突出部111Hと第二突出部112Hとの間隔を狭めることで、ヘッド部2を柄部1に対して取り付けることができる。
さらに、ヘッド部2が水分を含み柔らかくなった場合には、
図13(c)に示すように、さらに第三突出部113Hと第四突出部114Hとの間隔を狭めることで、ヘッド部2の取付部11Hへの固定を強固なものとすることができる。
すなわち、第一突出部111H、第二突出部112H、第三突出部113H及び第四突出部114Hによって囲まれた、X方向から見てこれら突出部を頂点とする略四角形状となる空間が、これら突出部の突出方向であるX方向と直交する方向の幅を三段階以上に変更できる、本発明における収容空間部として機能する。
これによって、ヘッド部2が水分を含んだ状態においても、これが取付部11Hから外れ難くすることができる。
【0079】
{変形例}
上記においては、第一突出部111Hと第二突出部112Hとの間隔を先に狭める場合につき説明したが、第三突出部113Hと第四突出部114Hとの間隔を先に狭めるようにしてもよい。
【0080】
また、第一突出部111Hと第二突出部112Hとが最も近接した際の第一突出部111Hと第二突出部112Hとの間隔よりも、第三突出部113Hと第四突出部114Hとが最も近接した際の第三突出部113Hと第四突出部114Hと間隔の方が狭くなるように構成されていてもよい。この場合、第三突出部113Hと第四突出部114Hとの間隔を狭めた状態におけるヘッド部2の固定を、より強固なものとすることができる。
なお、第三突出部113Hと第四突出部114Hとの間隔を先に狭めるようにした上で、第三突出部113Hと第四突出部114Hとが最も近接した際の第三突出部113Hと第四突出部114Hとの間隔よりも、第一突出部111Hと第二突出部112Hとが最も近接した際の第一突出部111Hと第二突出部112Hと間隔の方が狭くなるように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0081】
100、100B、100G、100H 清掃具
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H 柄部(清掃具用柄)
11、11A、11B、11C、11D、11E、11F、11G、11H 取付部
111、111A、111B、111C、111D、111E、111F、111H 第一突出部
111a 凸部
111b 摺動部
112、112A、112B、112C、112D、112E、112F、112H 第二突出部
112a 凹部
113、113A、113H 第三突出部
114H 第四突出部
115 内部空間(収容空間部)
12、12G 本体部
2 ヘッド部