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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-09
(45)【発行日】2022-08-18
(54)【発明の名称】ブラインド制御方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/264 20060101AFI20220810BHJP
【FI】
E06B9/264 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018122100
(22)【出願日】2018-06-27
(65)【公開番号】P2020002596
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119220
【氏名又は名称】片寄 武彦
(72)【発明者】
【氏名】大塚 俊裕
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-31136(JP,A)
【文献】特開平11-193677(JP,A)
【文献】特表2011-503400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/24-9/388
H05B 47/00-47/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽の位置を取得し、
太陽の位置に応じて第1ブラインド角度を算出し、
室内の窓面輝度と壁面輝度を取得し、
前記窓面輝度と前記壁面輝度から第2ブラインド角度を算出し、
前記第1ブラインド角度と前記第2ブラインド角度のうち、大きい角度にブラインド角度を制御する
ことを特徴とするブラインド制御方法。
【請求項2】
前記第1ブラインド角度及び前記第2ブラインド角度は、
以下の式(1)及び(2)を満足する場合に算出する
ことを特徴とする請求項1に記載のブラインド制御方法。
α1 < αs < α2 (1)
h1 < hs < h2 (2)
ここで、αsは方位角、(1)は窓面に太陽光が当たる太陽の方位角の範囲を示し、α1は窓面に太陽光が当たる太陽の最小方位角、α2は窓面に太陽光が当たる太陽の最大方位角を示す。hsは太陽高度、h1は地平線又は周囲の構造物から太陽が出てくる角度、h2はスラット3の角度βが0°でも直射日光が侵入しない太陽の角度である。
なお、方位角は、南を0°とし、西側が正、東側が負とする。また、高度は、水平線を0°とし、天頂側が正とする。
【請求項3】
前記式(1)及び(2)を満足しない場合、前記第2ブラインド角度にブラインド角度を制御する
ことを特徴とする請求項2に記載のブラインド制御方法。
【請求項4】
前記第1ブラインド角度は、以下の式(3)及び(4)から算出された採光スラット角度β1及び遮光スラット角度β2のうち、大きい角度とする
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載のブラインド制御方法。
【数7】
ここで、Hは最上スラットの天井からの距離、Dはグラデーションブラインドによる導光距離、bは外側スラット間隔、sはスラット幅である。
また、Pはプロファイル角度であって、以下の式(5)で表す。
【数8】
ここで、hsは太陽高度、αsは太陽方位角、αwは窓面方位角である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内を快適な光環境に制御するブラインド制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、室内全体をバランスのとれた適正な光環境に制御する光環境制御システムが開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-31136号公報
【非特許文献】
【0004】
【文献】「昼光利用における窓面と壁面の好ましい輝度対比に関する研究 その4 ブラインド利用時における窓面輝度の扱いについて」,加藤未佳,外4名,日本建築学会大会学術講演梗概集,pp.563-564,2014年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された技術は、輝度カメラによって窓周りの輝度分布を計測し、眩しくならないようにブラインドを制御するものである。この方法は、太陽高度が十分高い場合には有効に制御できる。しかしながら、冬季、太陽高度が低くなった際に、直射日光がブラインドの羽根と羽根の間をすり抜けて室内に侵入してしまい、輝度カメラではそのような状況を捉えられない場合がある。
【0006】
本発明は上記課題を解決し、太陽高度が低い場合でも室内を快適な光環境に制御することが可能となるブラインド制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかるブラインド制御方法は、
太陽の位置を取得し、
太陽の位置に応じて第1ブラインド角度を算出し、
室内の窓面輝度と壁面輝度を取得し、
前記窓面輝度と前記壁面輝度から第2ブラインド角度を算出し、
前記第1ブラインド角度と前記第2ブラインド角度のうち、大きい角度にブラインド角度を制御する
ことを特徴とする。
【0008】
本発明にかかるブラインド制御方法は、
前記第1ブラインド角度及び前記第2ブラインド角度は、
以下の式(1)及び(2)を満足する場合に算出する
ことを特徴とする。
α1 < αs < α2 (1)
h1 < hs < h2 (2)
ここで、αsは太陽の方位角、(1)は窓面に太陽光が当たる太陽の方位角の範囲を示し、α1は窓面に太陽光が当たる太陽の最小方位角、α2は窓面に太陽光が当たる太陽の最大方位角を示す。また、hsは太陽高度、h1は地平線又は周囲の構造物から太陽が出てくる高度、h2はスラット3の角度βが0°でも直射日光が侵入しない太陽の高度である。
なお、方位角は、南を0°とし、西側が正、東側が負とする。また、高度は、水平線を0°とし、天頂側が正とする。
【0009】
本発明にかかるブラインド制御方法は、
前記式(1)及び(2)を満足しない場合、前記第2ブラインド角度にブラインド角度を制御する
ことを特徴とする。
【0010】
本発明にかかるブラインド制御方法は、
前記第1ブラインド角度は、以下の式(3)及び(4)から算出された採光スラット角度β1及び遮光スラット角度β2のうち、大きい角度とする
ことを特徴とする。
【数1】
ここで、Hは最上スラットの天井からの距離、Dはグラデーションブラインドによる導光距離、bは外側スラット間隔、sはスラット幅である。
また、Pはプロファイル角度であって、以下の式(5)で表す。
【数2】
ここで、hsは太陽高度、αsは太陽方位角、αwは窓面方位角である。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかる一実施形態のブラインド制御方法によれば、太陽高度が低い場合でも室内を快適な光環境に制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態のブラインド制御システムを示す。
図2】本実施形態のブラインド制御のフローチャートを示す。
図3】本実施形態のブラインド制御で用いられる太陽位置によるブラインド制御のフローチャートを示す。
図4】本実施形態のブラインド制御システムの輝度センサの映像を示す。
図5】ブラインド角度と光の透過率の関係の一例を示す。
図6】本実施形態のブラインドの特性式のグラフを示す。
図7】本実施形態のブラインド制御で用いられる適正輝度バランスを示す。
図8】本実施形態のブラインド制御で用いられる適正輝度バランス領域を示す。
図9】本実施形態のブラインド制御で用いられる窓面輝度によるブラインド制御のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明にかかるブラインド制御システムの一実施形態を説明する。
【0014】
図1は、本実施形態のブラインド制御システム1を示す。
【0015】
本実施形態のブラインド制御システム1では、変更部としてのブラインド2は、窓面51の内側に隣接して、天井面52から床面53に向かって吊り下げられている。
【0016】
ブラインド2は、同じく変更部を構成する複数のスラット3を有する。複数のスラット3は、それぞれ角度が変更可能に形成されている。本実施形態では、ブラインド2の角度、すなわち、スラット3の角度を変更することで、窓面の輝度を調整する。
【0017】
本実施形態では、ブラインド角度という場合、最上位置のスラット3の角度βとするが、全てのスラット3の平均角度をブラインド角度としてもよい。また、本実施形態のブラインド制御システム1は、室内に取り付けるブラインド2に適用しているが、外付けブラインド又は2枚のガラスの間に設置するダブルスキン内ブラインドにも適用可能である。
【0018】
図2は、本実施形態のブラインド制御のフローチャートを示す。
【0019】
本実施形態のブラインド制御システム1は、太陽位置によるブラインド制御と窓面輝度によるブラインド制御によりブラインド角度を算出し、ブラインドの角度を決定する。どちらの制御を実行するかは、太陽の位置によって決定する。ここでは、全体のブラインド制御を説明し、その後、太陽位置によるブラインド制御と窓面輝度によるブラインド制御をそれぞれ説明する。
【0020】
本実施形態のブラインド制御システム1は、ステップ1で、太陽位置によるブラインド制御と窓面輝度によるブラインド制御によってブラインド角度をそれぞれ算出する(ST1)。太陽位置によるブラインド制御によってブラインド角度を算出する方法及び窓面輝度によるブラインド制御によってブラインド角度を算出する方法は、後述する。
【0021】
続いて、ステップ2で、以下の式(1)及び(2)を満足するか否かを判定する(ST2)。なお、方位角は、南を0°とし、西側が正、東側が負とする。また、高度は、水平線を0°とし、天頂側が正とする。
α1 < αs < α2 (1)
h1 < hs < h2 (2)
ここで、αsは方位角、(1)は窓面に太陽光が当たる太陽の方位角の範囲を示し、α1は窓面に太陽光が当たる太陽の最小方位角、α2は窓面に太陽光が当たる太陽の最大方位角を示す。また、hsは太陽高度、h1は地平線又は周囲の構造物から太陽が出てくる高度、h2はスラット3の角度βが0°でも直射日光が侵入しない太陽の高度である。
【0022】
本実施形態では、以下の式(1’)及び(2’)のように設定した。
270° <αs < 360° (1’)
0° < hs < 30° (2’)
なお、本実施形態で想定している建物は東側にあるため、αsは(1’)の設定となっている。
【0023】
次に、ステップ3で、太陽位置によるブラインド制御によって算出したブラインド角度が窓面輝度によるブラインド制御によって算出したブラインド角度よりも大きいか否かを判定する(ST3)。ステップ3において太陽位置によるブラインド制御によって算出したブラインド角度が窓面輝度によるブラインド制御によって算出したブラインド角度よりも大きい場合、ステップ4で、太陽位置によるブラインド制御によって算出したブラインド角度にブラインドを制御し(ST4)、終了する。
【0024】
ステップ1において式(1)及び(2)を満足しない場合、及び、ステップ3において太陽位置によるブラインド制御によって算出したブラインド角度が窓面輝度によるブラインド制御によって算出したブラインド角度よりも小さい場合、ステップ5で、窓面輝度によるブラインド制御によって算出したブラインド角度にブラインドを制御し(ST5)、終了する。
【0025】
次に、太陽位置によるブラインド制御によるブラインド角度の算出について説明する。
【0026】
図3は、本実施形態のブラインド制御で用いられる太陽位置によるブラインド制御のフローチャートを示す。
【0027】
本実施形態の太陽位置によるブラインド制御は、ステップ11で、方位αs及び高度hsで規定する太陽位置を取得する(ST11)。なお、方位角は、南を0°とし、西側が正、東側が負とする。また、高度は、水平線を0°とし、天頂側が正とする。
【0028】
次にステップ12で、以下の式(3)及び(4)から採光スラット角度β1及び遮光スラット角度β2を算出する(ST12)。
【数3】
ここで、Hは最上スラットの天井からの距離、Dはグラデーションブラインドによる導光距離、bは外側スラット間隔、sはスラット幅である。
【0029】
また、Pはプロファイル角度であって、以下の式(5)で表す。
【数4】
ここで、hsは太陽高度、αsは太陽方位角、αwは窓面方位角である。
【0030】
次に、ステップ13で、採光スラット角度β1が遮光スラット角度β2より大きいか否かを判定する(ST13)。
【0031】
ステップ13で、採光スラット角度β1が遮光スラット角度β2より大きい場合、ステップ14で、第1ブラインド角度を採光スラット角度β1に設定する(ST14)。
【0032】
ステップ13で、採光スラット角度β1が遮光スラット角度β2より小さい場合、ステップ15で、第1ブラインド角度を遮光スラット角度β2に設定する(ST15)。
【0033】
このように求められた採光スラット角度β1又は遮光スラット角度β2は、図2に示したフローチャートにおける太陽位置によるブラインド制御でのブラインド角度として用いられる。
【0034】
次に、窓面輝度によるブラインド制御によるスラット角度の算出について説明する。
【0035】
図4は、本実施形態のブラインド制御システム1の輝度センサ12の映像を示す。
【0036】
輝度センサ12は、図1に示すように、窓面51及び窓面51の周囲の壁面54が測定範囲となるように設定される。本実施形態の輝度センサ12は、輝度カメラであって、室内の輝度、特に窓面51及び窓面51の周囲の壁面54の輝度を測定する。
【0037】
図1に示した制御部30は、ブラインド2の角度を制御する装置である。なお、本実施形態のブラインド制御装置30は、一般のブラインド2に適用することが可能である。
【0038】
本実施形態の制御部30は、直射日光検知部11から取得した窓面への直射日光の状態と、輝度センサ12から取得した窓面輝度平均値及び壁面輝度平均値と、を用いて、ブラインド2の角度を制御する。
【0039】
図1に示した記憶部40は、窓面輝度平均値と壁面輝度平均値が予め定めた所望の関係となる後述する適正輝度バランス領域を記憶する。
【0040】
ここで、窓面輝度とブラインド角度の関係について説明する。
【0041】
図5は、ブラインド角度と光の透過率の関係の一例を示す。
【0042】
図1に示したブラインド制御システム1は、ブラインド2の角度を制御することで光の透過率を変化させることができる。したがって、ブラインド2の角度を制御することで室内の明るさを制御することが可能となる。
【0043】
現在の窓面輝度平均値をL1、目標とする窓面輝度平均値をL2とする。ブラインド角度αと光の透過率Tの関係は、T=f (α)であって、その逆関数は、α=g (T)である。現在の光の透過率T1は、現在のブラインド角度α1及びブラインド角度αと光の透過率Tの関係式T=f (α)から算出される。目標とする窓面輝度L2とするための光の透過率T2は、現在の光の透過率T1に対して、L2/L1を掛けることにより求められる。そして、求められたT2をブラインド角度αと光の透過率Tの逆関数α=g (T)に代入すると、目標とするブラインド角度α2が求められる。
【0044】
ブラインド角度αと光の透過率Tの関係式T=f (α)は、ブラインド2のスラット3の幅及び反射率等によって変化するブラインド特性式から求められる。すなわち、ブラインド特性式は、ブラインド2毎に異なるものであって、1つ1つのスラット3の寸法又は材料等から求められる。
【0045】
図6は、本実施形態のブラインド2の特性式のグラフを示す。
【0046】
ブラインド特性式は、図6に示した太陽のプロファイル角度毎のブラインド角度αと光の透過率Tの関係を求めたものである。
【0047】
例えば、本実施形態のブラインド2では、図6に示すように、直射日光が無い場合、菱形を近似した実線の関係から特性式を求める。また、太陽のプロファイル角度が30°の場合、正方形を近似した破線の関係から特性式を求める。さらに、太陽のプロファイル角度が40°の場合、三角形を近似した一点鎖線の関係から特性式を求め、太陽のプロファイル角度が50°の場合、×印を近似した二点鎖線の関係から特性式を求める。
【0048】
本実施形態のブラインド制御システムは、ブラインド2を制御し、窓面輝度平均値を変化させることで、窓面輝度平均値と壁面輝度平均値のバランスを変化させる。窓面輝度平均値と壁面輝度平均値のバランスは、予め設定した適正輝度バランスに近づくように制御する。
【0049】
ここで、適正輝度バランスについて説明する。
【0050】
図7は、本実施形態のブラインド制御で用いられる適正輝度バランスを示す。
【0051】
適正輝度バランスは、窓面輝度平均値と壁面輝度平均値のバランスを考慮して設定した式であって、室内に在室する人が快適に感じるバランスであることが好ましい。適正輝度バランスC1は、例えば、非特許文献1に記載された以下の式(6)のような75%許容壁面輝度等の指標を用いればよい。
log10(Lwall) = 0.77log10(Lwindow)+1.05log10ρ+0.09 (6)
ただし、
Lwall:75%許容壁面輝度、
Lwindow:窓面輝度平均値、
ρ:ブラインドの反射率、
である。
【0052】
例えば、窓面輝度平均値と壁面輝度平均値のバランスが、所定の壁面輝度平均値に対して窓面輝度平均値が75%許容壁面輝度よりも低い領域Bにある場合、図7に示す矢印BC1のように窓面輝度平均値を上げて、75%許容壁面輝度となるようにブラインド2を開ける。また、窓面輝度平均値と壁面輝度平均値のバランスが、所定の壁面輝度平均値に対して窓面輝度平均値が75%許容壁面輝度よりも高い領域Aにある場合、図7に示す矢印AC1のように窓面輝度平均値を下げて、75%許容壁面輝度となるようにブラインド2を閉める。
【0053】
このように、窓面輝度平均値と壁面輝度平均値が適正輝度バランスに近づくようにブラインド2を制御するので、室内全体をバランスのとれた適正な光環境に制御することが可能となる。したがって、室内に在室する人は、室内の光環境を快適に感じることができる。
【0054】
図8は、本実施形態のブラインド制御で用いられる適正輝度バランス領域を示す。
【0055】
例えば、図8に示すように、75%許容壁面輝度に対して、所定の許容範囲を設け、適正輝度バランス領域Cを設定してもよい。この場合、窓面輝度平均値と壁面輝度平均値のバランスが、所定の壁面輝度平均値に対して窓面輝度平均値が適正輝度バランス領域Cよりも低い領域Bにある場合、図8に示す矢印BCのように窓面輝度平均値を上げて、予め定めた適正輝度バランス領域C内となるようにブラインド2を開ける。また、窓面輝度平均値と壁面輝度平均値のバランスが、所定の壁面輝度平均値に対して窓面輝度平均値が適正輝度バランス領域Cよりも低い領域Bにある場合、図8に示す矢印ACのように窓面輝度平均値を下げて、予め定めた適正輝度バランス領域内となるようにブラインド2を閉める。
【0056】
このように、窓面輝度平均値と壁面輝度平均値が適正輝度バランス領域に存在するようにブラインド2を制御するので、室内全体をバランスのとれた適正な光環境に制御することが可能となる。したがって、室内に在室する人は、室内の光環境を快適に感じることができる。
【0057】
なお、本実施形態のブラインド制御では、75%許容壁面輝度C1を指標として用いたが、これに限らず、他の指標を用いても良い。
【0058】
図9は、本実施形態のブラインド制御で用いられる窓面輝度によるブラインド制御のフローチャートを示す。
【0059】
本実施形態のブラインド制御は、ブラインド2の角度を制御する。まず、ステップ21で、窓面に直射日光が入射しているか否かを判定する(ST21)。
【0060】
ステップ21において、窓面に直射日光が入射している場合、ステップ22で、予め記憶している太陽のプロファイル角に対応したブラインド特性式を選択する(ST22)。その後、ステップ24へ進む。
【0061】
ステップ21において、窓面に直射日光が入射していない場合、ステップ23で、予め記憶している直射日光が入射していない場合のブラインド特性式を選択する(ST23)。その後、ステップ24へ進む。
【0062】
続いて、ステップ24で、輝度ファイルを読み込む(ST24)。輝度ファイルの読み込みは、図4に示した輝度センサ12の映像から、窓面輝度及び壁面輝度の分布を一時的に記憶することである。
【0063】
次に、ステップ25で、窓面輝度及び壁面輝度の平均値、並びに、窓面輝度の最大値を算出する(ST25)。窓面輝度及び壁面輝度の平均値は、ステップ24において読み込んだ窓面輝度及び壁面輝度を、窓面及び壁面のそれぞれの画素数で割ることによって算出する。
【0064】
続いて、ステップ26で、窓面輝度の最大値が予め定めた第1の値よりも高いか否かを判定する(ST26)。ここでは、窓面が眩しすぎるか否かを判定する。第1の値は、例えば5000カンデラ程度に設定すればよい。
【0065】
ステップ26において、窓面輝度の最大値が予め定めた第1の値よりも高い場合、ステップ27で、ブラインド特性式を用いて、窓面輝度が予め定めた第1の値となる角度を窓面輝度によるブラインド制御でのブラインド角度とする(ST27)。
【0066】
ステップ26において、窓面輝度の最大値が予め定めた第1の値よりも低い場合、ステップ28で、窓面輝度平均値に対する壁面輝度平均値が予め定めた適正輝度バランスよりも低いか否かを判定する(ST28)。
【0067】
ステップ28において、窓面輝度平均値に対する壁面輝度平均値が予め定めた適正輝度バランスよりも低い場合、ステップ29で、ブラインド特性式を用いて、窓面輝度平均値を上げて、予め定めた適正輝度バランスに近づける角度を窓面輝度によるブラインド制御でのブラインド角度とする(ST29)。
【0068】
ステップ28において、窓面輝度平均値に対する壁面輝度平均値が予め定めた適正輝度バランスよりも低くない場合、ステップ30で、窓面輝度平均値に対する壁面輝度平均値が予め定めた適正輝度バランスよりも高いか否かを判定する(ST30)。
【0069】
ステップ30において、窓面輝度平均値に対する壁面輝度平均値が予め定めた適正輝度バランスよりも高い場合、ステップ31で、ブラインド特性式を用いて、窓面輝度平均値を下げて、予め定めた適正輝度バランスに近づける角度を窓面輝度によるブラインド制御でのブラインド角度とする(ST31)。
【0070】
ステップ30において、窓面輝度平均値に対する壁面輝度平均値が予め定めた適正輝度バランスよりも高くない場合、ブラインド2を開閉せず、そのままの角度を窓面輝度によるブラインド制御でのブラインド角度とする。
【0071】
このように、窓面輝度によるブラインド制御によれば、窓面輝度平均値と壁面輝度平均値が適正輝度バランス領域に存在するようにブラインド2を制御するので、室内全体をバランスのとれた適正な光環境に制御することが可能となる。したがって、室内に在室する人は、室内の光環境を快適に感じることができる。
【0072】
以上、本実施形態のブラインド制御方法は、太陽の位置を取得し、太陽の位置に応じて第1ブラインド角度を算出し、室内の窓面輝度と壁面輝度を取得し、窓面輝度と壁面輝度が予め定めた所望の関係となる適正輝度バランス領域に存在するように第2ブラインド角度を算出し、第1ブラインド角度と第2ブラインド角度のうち、大きい角度にブラインド角度を制御する。したがって、本実施形態のブラインド制御方法によれば、太陽高度が低い場合でも室内を快適な光環境に制御することが可能となる。
【0073】
また、本実施形態のブラインド制御方法は、第1ブラインド角度及び第2ブラインド角度は、以下の式(1)及び(2)を満足する場合に算出する。
α1 < αs < α2 (1)
h1 < hs < h2 (2)
ここで、αsは方位角、(1)は窓面に太陽光が当たる太陽の方位角の範囲を示し、α1は窓面に太陽光が当たる太陽の最小方位角、α2は窓面に太陽光が当たる太陽の最大方位角を示す。hsは太陽高度、h1は地平線又は周囲の構造物から太陽が出てくる高度、h2はスラット3の角度βが0°でも直射日光が侵入しない太陽の高度である。
なお、方位角は、南を0°とし、西側が正、東側が負とする。また、高度は、水平線を0°とし、天頂側が正とする。
したがって、本実施形態のブラインド制御方法によれば、太陽高度が低い際に室内を快適な光環境に制御することが可能となる。
【0074】
また、本実施形態のブラインド制御方法は、式(1)及び(2)を満足しない場合、第2ブラインド角度にブラインド角度を制御する。したがって、太陽高度が低い際に的確に室内を快適な光環境に制御することが可能となる。
【0075】
また、本実施形態のブラインド制御方法は、第1ブラインド角度は、以下の式(3)及び(4)から算出された採光スラット角度β1及び遮光スラット角度β2のうち、大きい角度とする。
【数5】
ここで、Hは最上スラットの天井からの距離、Dはグラデーションブラインドによる導光距離、bは外側スラット間隔、sはスラット幅である。
【0076】
また、Pはプロファイル角度であって、以下の式(5)で表す。
【数6】
ここで、hsは太陽高度、αsは太陽方位角、αwは窓面方位角である。
したがって、太陽高度が低い際により的確に室内を快適な光環境に制御することが可能となる。
【0077】
なお、この実施形態によって本発明は限定されるものではない。すなわち、実施形態の説明に当たって、例示のために特定の詳細な内容が多く含まれるが、当業者であれば、これらの詳細な内容に色々なバリエーションや変更を加えてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1…ブラインド制御システム、2…ブラインド、3…スラット、11…直射日光検知部、12…輝度センサ、30…制御部、40…記憶部、51…窓面、52…天井面、53…床面、54…壁面
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9