(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-09
(45)【発行日】2022-08-18
(54)【発明の名称】建物の窓構造
(51)【国際特許分類】
E06B 3/32 20060101AFI20220810BHJP
E06B 1/18 20060101ALI20220810BHJP
E06B 9/42 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
E06B3/32 B
E06B1/18 F
E06B9/42 Z
(21)【出願番号】P 2018155621
(22)【出願日】2018-08-22
【審査請求日】2021-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】君付 政春
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-209876(JP,A)
【文献】特開昭56-100987(JP,A)
【文献】実開昭57-199687(JP,U)
【文献】実開昭62-059286(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/32
E06B 1/18
E06B 9/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口部において既設の第1窓サッシ枠よりも屋内側に新設の第2窓サッシ枠が配置された建物の窓構造であって、
前記第1窓サッシ枠と前記第2窓サッシ枠との間には所定の窓間空間が設けられ、
前記窓間空間の上部には、遮光部材を出し入れ可能に収納した遮光装置が設けられ、
前記遮光部材は、前記窓間空間の上から下へと垂れ下がり、前記窓間空間を前記第1窓サッシ枠側の第1空間と前記第2窓サッシ枠側の第2空間とに仕切ることにより前記第2空間から屋内側を遮光する構成とされており、
前記窓間空間の幅方向両側面において、対向する側面に向かって突出する第1枠部材が上下方向全体にわたって形成され、
前記第1枠部材は、前記窓間空間の上から下へと垂れ下がった前記遮光部材の両側端部と前記窓間空間の屋内外方向に重なるように構成され
、
前記窓間空間の下面において、対向する上面に向かって突出する第2枠部材が前記窓間空間の幅方向全体にわたって形成され、
前記第2枠部材は、前記窓間空間の上から下へと垂れ下がった前記遮光部材の下端部と前記窓間空間の屋内外方向に重なるように構成され、
前記窓間空間の上面において、対向する下面に向かって突出する第3枠部材が前記窓間空間の幅方向全体にわたって形成され、
前記第3枠部材は、前記遮光装置と前記窓間空間の上面との間の空間を隠すように配置され、
前記遮光装置が、軸部を備えており、前記軸部に前記遮光部材を巻回することにより前記遮光部材を収納する構成とされており、
前記第1枠部材、前記第2枠部材及び前記第3枠部材は、前記軸部からの前記遮光部材の繰り出し側に設けられることを特徴とする建物の窓構造。
【請求項2】
前記窓間空間の屋内外方向における前記遮光装置と前記第3枠部材との間、かつ前記窓間空間の高さ方向における前記遮光装置の前記軸部と前記窓間空間の上面との間に位置決め部材が設けられ、
前記遮光部材は、前記位置決め部材の上部を経由して前記窓間空間の上から下へと垂れ下がる、請求項
1に記載の建物の窓構造。
【請求項3】
屋内外方向における前記第1空間の厚みと前記第2空間の厚みとが、前記第1空間:前記第2空間=4~6:6~4の比である、請求項1
又は2に記載の建物の窓構造。
【請求項4】
前記第1空間及び前記第2空間の屋内外方向における厚みは、30mm以下である、請求項1~
3のいずれか1項に記載の建物の窓構造。
【請求項5】
前記第1空間の屋内外方向における厚みは、20mm以上である、請求項1~
4のいずれか1項に記載の建物の窓構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設の窓サッシ枠と新設の窓サッシ枠との間に遮光装置を備える建物の窓構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建築物の開口部において二重窓が多く用いられている。このような二重窓は、二重構造の窓(外窓、内窓)により遮音性、断熱性等を確保するものである(例えば、特許文献1)。
【0003】
この種の二重窓において、既設の外窓の内側に新設の内窓を設けて二重窓とする場合がある。内窓の新設により二重窓とする場合、新たに二重窓そのもの(外窓及び内窓)を新設するよりも容易であり、大規模な改修をすることなく遮音性、断熱性等の高い効果を得ることができるため、近年では需要が高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
二重窓において、遮光目的としたカーテン等を設ける場合、内窓の内側に設けるケースと、内窓と外窓との間に設けるケースとが考えられる。二重窓が取り付けられるとして設計された建築物の場合は、内窓の内側に予めカーテン等が垂れ下がるためのスペースが確保されている。そのため、カーテン等の存在により建築物内の空間が圧迫される感覚が生じにくい。また、内窓の内側にカーテン等が設けられる場合、内窓全体を覆って、窓よりも広い面積でカーテンが取り付けられるため、窓からの光漏れが抑制できる。
【0006】
一方、既存の窓に内窓を新設することにより二重窓とした場合、内窓を取り付けたことにより建築物内の空間が狭まる。この場合に、内窓の内側にカーテン等を設けると、カーテン等の存在により建築物内の空間がさらに狭まり、居住者が圧迫感を感じることがある。そのため、このような場合は、内窓と外窓との間(以下、窓間)にカーテン等を取り付けることが多い。
【0007】
窓間にカーテン等を取り付ける場合、その窓間の空間内にカーテンが配置されるため、窓間空間の断面全体を覆うことはできない。そのため、例えば、窓間空間とカーテンとの間に隙間が生じ、太陽光や屋外照明などの屋外側からの光がその隙間を通じて屋内側へと入射する。光等による明るさ感覚は相対的なものであり、暗い屋内側にいる人にとって、このような隙間からの光の入射、すなわち光漏れは不快感が生じやすい。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、既設の窓サッシ枠と新設の窓サッシ枠との間に遮光装置を設けるにあたって、遮光性の高い建物の窓構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく、第1の発明の建物の窓構造は、
建物の開口部において既設の第1窓サッシ枠よりも屋内側に新設の第2窓サッシ枠が配置された建物の窓構造であって、
前記第1窓サッシ枠と前記第2窓サッシ枠との間には所定の窓間空間が設けられ、
前記窓間空間の上部には、遮光部材を出し入れ可能に収納した遮光装置が設けられ、
前記遮光部材は、前記窓間空間の上から下へと垂れ下がり、前記窓間空間を前記第1窓サッシ枠側の第1空間と前記第2窓サッシ枠側の第2空間とに仕切ることにより前記第2空間から屋内側を遮光する構成とされており、
前記窓間空間の幅方向両側面において、対向する側面に向かって突出する第1枠部材が上下方向全体にわたって形成され、
前記第1枠部材は、前記窓間空間の上から下へと垂れ下がった前記遮光部材の両側端部と前記窓間空間の屋内外方向に重なるように構成されることを特徴とする。
【0010】
第1窓サッシ枠(以下、外窓)と第2窓サッシ枠(以下、内窓)との窓間空間に遮光部材が設けられた場合、窓間空間と遮光部材との隙間から光漏れが生じる。特に、窓間空間の幅方向側部における遮光部材との隙間からの光漏れ(以下、窓間空間の側部からの光漏れ)は、高さ方向に幅のある光であるため、屋内側の空間によってはその光を避けて移動することが手間である又は不可能の場合がある。そのため、窓間空間の側部からの光漏れは屋内側の人の目に直接入射する可能性が高く、不快感を生じやすい。
【0011】
第1の発明によれば、窓間空間の幅方向両側面において、対向する面に向かって突出する第1枠部材が備えられている。第1枠部材は、窓間空間の両側面の上下方向全体にわたって形成されており、遮光部材が窓間空間の上から下へと垂れ下がった遮光部材の両側端部と窓間空間の屋内外方向に重なるように構成される。これにより、第1枠部材は、窓間空間の側部からの光漏れを遮り、不快感を生じやすい窓間空間の側部からの光漏れを抑制する。すなわち、第1枠部材を設けることにより第1空間から第2空間への光漏れを減少させることができ、窓構造の遮光性を高めることができる。
【0012】
第2の発明の建物の窓構造は、第1の発明において、
前記窓間空間の下面において、対向する上面に向かって突出する第2枠部材が前記窓間空間の幅方向全体にわたって形成され、
前記第2枠部材は、前記窓間空間の上から下へと垂れ下がった前記遮光部材の下端部と前記窓間空間の屋内外方向に重なるように構成され、
前記窓間空間の上面において、対向する下面に向かって突出する第3枠部材が前記窓間空間の幅方向全体にわたって形成され、
前記第3枠部材は、前記遮光装置と前記窓間空間の上面との間の空間を隠すように配置されることを特徴とする。
【0013】
第2の発明によれば、窓間空間の下面及び上面において、対向する面に向かって突出する第2枠部材及び第3枠部材が備えられている。第2枠部材及び第3枠部材は、それぞれ窓間空間の幅方向全体にわたって形成されている。第2枠部材は、遮光部材が窓間空間の上から下へと垂れ下がった遮光部材の下端部と窓間空間の屋内外方向に重なるように構成される。第3枠部材は、遮光装置と窓間空間の上面との間の空間を隠すように配置される。これにより、第2枠部材は、例えば、窓間空間の下部における遮光部材との隙間からの光漏れ(以下、窓間空間の下部からの光漏れ)を遮り、第3枠部材は、窓間空間の上部における遮光部材との隙間からの光漏れ(以下、窓間空間の上部からの光漏れ)を遮り、よって、第2枠部材及び第3枠部材により窓間空間の上下部からの光漏れを抑制することができる。すなわち、第2の発明によれば、窓間空間の幅方向両側部、下部及び上部において、第1枠部材、第2枠部材及び第3枠部材(以下、まとめて「枠部材」と称する)が形成されているため、第1空間から第2空間への光漏れをさらに減少させることができ、窓構造の遮光性をさらに高めることができる。
【0014】
また、第2の発明によれば、窓間空間の幅方向両側部、下部及び上部に枠部材が形成されているため、遮光部材と枠部材とにより、第2空間への光の入射が遮られている。すなわち、内窓及び屋内側の空間には太陽光が照射されない。
【0015】
太陽光は物に照射されると、吸収されて熱エネルギ(輻射熱)へと変換される。この輻射熱により赤外線波長の電磁波として物から熱が放射される。赤外線波長の電磁波はガラスを透過しない。そのため、例えば、内窓の屋内側に遮光部材を設けた場合、太陽光を吸収した遮光部材から熱放射がされると、放射された熱は屋内側に留まり、屋内側の空間の温度上昇につながってしまう。
【0016】
一方、第2の発明によれば、内窓の屋外側に遮光部材を設けているため、外窓を透過して入射する太陽光が枠部材と遮光部材とに照射され、枠部材と遮光部材とから赤外線波長の電磁波が放射される。この赤外線波長の電磁波は内窓により遮られるため、屋内側の空間は枠部材と遮光部材とからの熱放射による影響(温度上昇)が抑制される。また、内窓及び屋内側の空間には太陽光が照射されないため、内窓付近の屋内側の空間において輻射熱が生じることがない。そのため、輻射熱によって放射された熱により屋内側の空間が温度上昇することがない。よって、第2の発明によれば、屋内側の空間が遮熱され、夏場等においてより快適な空間が提供できる。
【0017】
第3の発明の建物の窓構造は、第2の発明において、
前記遮光装置が、軸部を備えており、前記軸部に前記遮光部材を巻回することにより前記遮光部材を収納する構成とされており、
前記第1枠部材、前記第2枠部材及び前記第3枠部材は、前記軸部からの前記遮光部材の繰り出し側に設けられることを特徴とする。
【0018】
第3の発明によれば、遮光装置は、遮光部材を軸部に巻回することにより収納する構成とされる。すなわち、遮光装置は、軸部と軸部に巻回されている遮光部材とで構成される部分(以下、軸巻部)を有している。このような遮光装置は、軸巻部の上部から遮光部材が引き出される(繰り出される)。枠部材を遮光部材の繰り出し側に設けることにより、上から下へと垂れ下がった遮光部材の四辺が枠部材と屋内外方向においてより接近して配置できる。これにより、枠部材による光漏れ抑制効果がより効果的に発揮できる。
【0019】
第4の発明の建物の窓構造は、第3の発明において、
前記窓間空間の屋内外方向における前記遮光装置と前記第3枠部材との間、かつ前記窓間空間の高さ方向における前記遮光装置の前記軸部と前記窓間空間の上面との間に位置決め部材が設けられ、
前記遮光部材は、前記位置決め部材の上部を経由して前記窓間空間の上から下へと垂れ下がることを特徴とする。
【0020】
遮光装置は、その遮光部材を全て軸部に巻回した(すなわち、収納した)状態で窓間空間内の上部に設置される。この設置状態で、遮光部材を軸巻部から引き出していくと、遮光部材の巻回されている量が減り、軸巻部の半径方向における厚み(以下、軸巻部の厚み)が減少する。したがって、第2空間を遮光部材により遮光した状態においては、初期の設置状態(すなわち、遮光部材を全て軸部に巻回した状態)のときと比べて、軸巻部の厚みが減少した状態となる。
【0021】
軸巻部の厚みが減少すると、遮光部材が繰り出される繰り出し位置は、高さ方向及び屋内外方向において軸部側に寄る。遮光部材は繰り出し位置から垂れ下がるため、軸巻部の厚みの減少により、高さ方向における遮光部材の上部位置、及び屋内外方向における遮光部材の位置(詳しくは、遮光部材により形成される面の位置)も軸部側に寄ることになる。すなわち、第2空間を遮光部材により遮光した状態においては、高さ方向における窓間空間の上面と遮光部材との間の距離、及び屋内外方向における第3枠部材と遮光部材との間の距離が、初期の設置状態のときと比べて広くなる。
【0022】
初期の設置状態と遮光した状態とで上記の距離が広がる場合、第3枠部材の光漏れ抑制効果が低減するおそれがある。すなわち、屋内外方向における第3枠部材と遮光部材との間の距離が広がると、窓間空間の上面と遮光部材との隙間から入射した光が広がり、この光漏れを第3枠部材により遮ることができないおそれがある。また、高さ方向における窓間空間の上面と遮光部材との間の距離(隙間)が広がると、光の入射面積が増えてしまい、第3枠部材によりその隙間が遮られたとしても、その隙間の周辺から光が漏れるおそれがある。
【0023】
第4の発明によれば、窓間空間の屋内外方向における遮光装置と第3枠部材との間、かつ窓間空間の高さ方向における遮光装置の軸部と窓間空間の上面との間には位置決め部材が設けられ、遮光部材は、位置決め部材の上部を経由して窓間空間の上から下へと垂れ下がる。これにより、位置決め部材によって遮光部材の垂れ下がりの開始位置を定めることができ、高さ方向における遮光部材の上部位置、及び屋内外方向における遮光部材の位置が定まる。すなわち、高さ方向における窓間空間の上面と遮光部材との間の距離、及び屋内外方向における第3枠部材と遮光部材との間の距離を一定のものとすることができる。よって、初期の設置状態と遮光した状態との間で生じる上記の距離の変動を回避することができ、第3枠部材により窓間空間の上部からの光漏れが効果的に抑制できる。
【0024】
第5の発明の建物の窓構造は、第1~4の発明のいずれかにおいて、屋内外方向における前記第1空間の厚みと前記第2空間の厚みとが、前記第1空間:前記第2空間=4~6:6~4の比であることを特徴とする。
【0025】
第1空間と第2空間との屋内外方向における厚みの比が上記範囲であることにより、第1空間及び第2空間のそれぞれの空間で空気の対流発生を抑制することができる。すなわち、遮光部材により第1空間と第2空間とを上記範囲の厚みの比となるように仕切ることによって断熱効果が得られ、屋内側の空間の断熱性を高めることができる。
【0026】
第6の発明の建物の窓構造は、第1~5の発明のいずれかにおいて、前記第1空間及び前記第2空間の屋内外方向における厚みは、30mm以下であることを特徴とする。
【0027】
第1空間及び第2空間の屋内外方向における厚みが30mm以下であることにより、第1空間及び第2空間においてそれぞれ空気の対流発生をさらに効果的に抑制することができる。すなわち、第6の発明によれば、遮光部材を設けることにより得られる断熱効果を高め、屋内側の空間の断熱性をさらに高めることができる。
【0028】
第7の発明の建物の窓構造は、第1~6の発明のいずれかにおいて、前記第1空間の屋内外方向における厚みは、20mm以上であることを特徴とする。
【0029】
外窓と遮光部材とが近い距離で配置されると、外窓に取り付けられる錠(例えば、クレセント錠)が遮光部材と干渉するおそれがある。特に、遮光部材を垂れ下げた状態で錠の開閉を行う場合、錠が遮光部材と干渉し、作業性が悪い。第1空間の屋内外方向の厚みを20mm以上とすることにより、錠と遮光部材との干渉が回避でき、錠の開閉がしやすくなり、作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図2】
図1のA-A線に沿って示す建物の窓構造の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1、
図2は、本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうち
図1は、二重窓10を示す横断面図である。
図2は、
図1のA-A断面図(すなわち、
図1の二重窓10の縦断面図)である。
【0032】
図1及び
図2に示すように、隣り合う屋外11と屋内12との間において、屋外11及び屋内12に向けて開口した開口部13が設けられている。開口部13の内周面には額縁Fが取り付けられ、額縁Fには二重窓10が設置されている。二重窓10は、外窓20と、内窓30とを備えている。
【0033】
以下では、外窓20と内窓30との間の空間を窓間空間と称する。本実施形態においては、窓間空間は、上面、下面及び両側面が額縁Fの内周面で仕切られている。具体的には、窓間空間の内周面における上面(以下、窓間空間の上面)は額縁Fの上枠の内周面(下面)であり、窓間空間の内周面における下面(以下、窓間空間の下面)は額縁Fの下枠の内周面(上面)であり、窓間空間の内周面における側面(以下、窓間空間の側面)は額縁Fの縦枠の内周面である。また、以下では、屋外11及び屋内12に向けた方向を開口方向d1と称し、開口方向d1に直交する方向を間口方向d2と称し、開口部13の上下方向を高さ方向d3と称する。開口方向d1が窓間空間の屋内外方向に相当し、間口方向d2が窓間空間の幅方向に相当する。
【0034】
額縁F及び外窓20は、建物の建築時に取り付けられた窓枠及び窓である。外窓20は、外窓枠21と、障子22とを備えており、障子22は上框23a、下框23b、左右の縦框23c及びガラスパネル24を框組みして構成されている。外窓20は開口部13内に設けられており、内付け窓とされている。外窓枠21は、その屋内側の端面が額縁Fの屋外側の端面に取り付けられている。外窓枠21の屋外側の端面は、建物の外壁14の面と平坦となるように配置されている。外窓20は、一枚のガラスパネル24で構成された単層ガラスの窓であり、外窓枠21において、障子22が2つ配置された引き違い窓で構成されている。
【0035】
外窓枠21は、間口方向d2に延びるレール25を備える。外窓20において、障子22は、その外周縁(すなわち、各框23a~23c)を外窓枠21に保持された状態で、レール25に沿って移動可能である。換言すれば、障子22は、各框23a~23cを摺動可能な状態で外窓枠21により保持されている。
【0036】
内窓30は、外窓20よりも屋内12側に配置され、開口部13の断熱性及び遮音性を確保するために新たに取り付けられた窓である。内窓30は、内窓枠31と、障子32とを備えており、障子32は上框33a、下框33b、左右の縦框33c及びガラスパネル34を框組みして構成されている。内窓30は内付け窓とされており、開口部13内に設けられている。内窓枠31は、額縁Fの内周面に取り付けられており、内窓枠31の屋内12側の端面が建物の内壁15に沿うように取り付けられている。内窓30は、二枚のガラスパネル34で構成された複層ガラスの窓であり、内窓枠31において、障子32が2つ配置された引き違い窓で構成されている。
【0037】
内窓枠31は、間口方向d2に延びるレール35を備える。内窓30において、障子32は、その外周縁(すなわち、各框33a~33c)を内窓枠31に保持された状態で、レール35に沿って移動可能である。換言すれば、障子32は、各框33a~33cを摺動可能な状態で内窓枠31により保持されている。
【0038】
図1及び
図2に示すように、開口部13において、開口方向d1における外窓20と内窓30との間には、追加枠50が設けられている。追加枠50は、後述のロールスクリーン40からの光漏れを遮るために設けられるものであり、額縁Fの内周面に取り付けられている。追加枠50は、内窓枠31の側面と同程度の立ち上がりとされ、内窓枠31に沿って額縁Fの全内周において設けられている。
【0039】
追加枠50は、その内周面がその側部と同一平面となるように平坦とされている。追加枠50は、内窓枠31に隣接して設けられており、より詳しくは内窓枠31と隙間なく隣接して配置されている。隙間なく隣接されることにより、ほこり等が入り込む隙間がないため、掃除の煩わしさが低減できる。
【0040】
窓間空間の上部には、開口方向d1における外窓20と追加枠50との間にロールスクリーン40が設けられている。
図2に示すように、ロールスクリーン40は、軸部41と、スクリーン42とを備えている。ロールスクリーン40は、スクリーン42を軸部41に巻回することにより収納する。軸部41の軸方向への長さは、間口方向d2における窓間空間の長さとほぼ同じ長さとなっている。例えば、窓間空間の両側面上部において軸部41を固定する取付具が取り付けられており、この取付具に軸部41の軸方向端部を取り付けて固定することにより、ロールスクリーン40は窓間空間の上部に取り付けられている(図示略)。
【0041】
スクリーン42は、布等により形成されており、軸部41に巻回可能となっている。スクリーン42を構成する布は遮光性又は遮熱性の少なくとも一方を備える布とするのが好ましく、これにより、本実施形態の遮光性又は遮熱性をより高めることができる。
【0042】
ロールスクリーン40は、スクリーン42を軸部41に巻き上げたり軸部41から引き出したりすることにより、スクリーン42を上下に開閉することができる。ロールスクリーン40は、軸部41と軸部41に巻回されているスクリーン42とで構成される部分(以下、軸巻部44)を有しており、軸巻部44の上部からスクリーン42が引き出される(繰り出される)。ロールスクリーン40は、スクリーン42の繰り出し側が追加枠50となるように設けられている。スクリーン42の繰り出し側に追加枠50を設けることにより、垂れ下がったスクリーン42の四辺において追加枠50と開口方向d1においてより接近して配置できる。これにより、追加枠50による光漏れ抑制効果がより効果的に発揮できる。
【0043】
スクリーン42の間口方向d2の長さ(すなわち、軸部41の軸方向の長さ)は、軸部41の長さより少し短く(例えば、1~4cm短く)なっている。軸部41は、窓間空間の両側面上部に設けられた取付具との取付のためのスペースが必要である。そのため、軸部41の軸方向両端部において、例えば、端部から0.5~2cmはその取付のためのスペースとされ、軸部41の中央にスクリーン42が巻回される。すなわち、スクリーン42は、軸部41から引き出されて下方に閉じられた場合、窓間空間の間口方向d2の断面全体を覆うことができず、スクリーン42の両側部と窓間空間の両側面との間には隙間が生じる。
【0044】
ここで、本実施形態では、追加枠50の縦枠が、垂れ下がるスクリーン42の両側端部に隣接して、そのスクリーン42の両側端部と窓間空間の開口方向d1において重複するように設けられている。すなわち、追加枠50の縦枠のスクリーン42側の端面が、スクリーン42の両側端部と重なり合う。追加枠50の縦枠は、スクリーン42の両側端部と開口方向d1に重なり合うことにより、窓間空間の両側面とスクリーン42の両側部との隙間を隠すことができる。これにより、追加枠50の縦枠は、窓間空間の両側面とスクリーン42の両側部との隙間から漏れる光を遮ることができる。すなわち、人の目に直接入射する可能性が高く、屋内12側にいる人にとって不快感を生じやすい窓間空間の側部からの光漏れを、追加枠50の縦枠を設けることにより抑制することができる。追加枠50の縦枠が、第1枠部材に相当する。
【0045】
スクリーン42の長さは、スクリーン42が軸部41から引き出されて下方に閉じられた場合、高さ方向d3における窓間空間の長さとほぼ同じとなるように構成されている。具体的には、スクリーン42は、スクリーン42の下端部が窓間空間の下面に接触しない程度の長さで引き出されて閉じられるのが好ましい。スクリーン42は、窓間空間の開口面(断面全体)を覆っていないため、スクリーン42の下部と窓間空間の下面との間にはわずかな隙間が生じる。
【0046】
本実施形態では、スクリーン42の下端部(スクリーン42が引き出されて垂れ下がった際の下端部)に沿ってマグネット43が装着されている。マグネット43は、付着面となる平坦な面を有する形状が好ましい。追加枠50の下枠において、スクリーン42側の端面には、例えばマグネット塗料等が塗布され、マグネット43が付着するようにされている。追加枠50の下枠を、鉄等を含む素材とし、追加枠50の下枠にマグネット43が付着するようにしてもよい。
【0047】
本実施形態では、スクリーン42が軸部41から引き出されて下方に閉じられた場合、追加枠50の下枠が、垂れ下がるスクリーン42の下端部に隣接して、そのスクリーン42の下端部と開口方向d1に重複するように設けられている。すなわち、追加枠50の下枠のスクリーン42側の端面が、スクリーン42の下端部と重なり合う。追加枠50の下枠は、スクリーン42の下端部と開口方向d1に重なり合うことにより、窓間空間の下面とスクリーン42の下部との隙間を隠すことができる。これにより、追加枠50の下枠は、開口部13の下面とスクリーン42の下部との隙間から漏れる光を遮ることができる。さらに、スクリーン42側の下端部にマグネット43が装着されていることにより、スクリーン42の下端部は追加枠50の下枠(より詳しくは、追加枠50の下枠のスクリーン42側の端面)とくっつくことができる。これにより、窓間空間の下面とスクリーン42の下部との隙間からの光漏れが、追加枠50の下枠により確実に遮ることができる。追加枠50の下枠が、第2枠部材に相当する。
【0048】
ロールスクリーン40は、スクリーン42を全て軸部41に巻回した(すなわち、収納した)状態で窓間空間の上部に設置される。本実施形態では、ロールスクリーン40は追加枠50の上枠付近に設置される。この設置状態で、軸巻部44からスクリーン42を引き出していくと、スクリーン42の巻回されている量が減り、軸巻部44の半径方向における厚み(以下、軸巻部44の厚み)が減少する。
【0049】
したがって、内窓空間17をスクリーン42により遮光した状態においては、初期の設置状態(すなわち、スクリーン42を全て軸部41に巻回した状態)のときと比べて、軸巻部44の厚みが減少した状態となる。軸巻部44の厚みが減少すると、スクリーン42が繰り出される繰り出し位置は、高さ方向d3及び開口方向d1において軸部41側に寄る。スクリーン42は繰り出し位置から垂れ下がるため、軸巻部44の厚みの減少により、高さ方向d3におけるスクリーン42の上部位置、及び開口方向d1におけるスクリーン42の位置(詳しくは、スクリーン42により形成される面の位置)も軸部41側に寄ることになる。これにより、内窓空間17をスクリーン42により遮光した状態においては、(a)高さ方向d3における窓間空間の上面とスクリーン42との間の距離(隙間)、及び(b)開口方向d1における追加枠50の上枠とスクリーン42との間の距離(隙間)が、初期の設置状態のときと比べて広くなる。
【0050】
ここで、窓間空間の上部において、追加枠50とロールスクリーン40との間には、位置決め部45が設けられている。具体的には、位置決め部45は、開口方向d1におけるロールスクリーン40と追加枠50との間、かつ高さ方向d3におけるロールスクリーン40の軸部41と窓間空間の上面との間に設けられている。位置決め部45は、間口方向d2に延びた長尺形状であり、その長手方向の長さは間口方向d2における窓間空間の長さとほぼ同じ長さとなっている。位置決め部45は、例えば、追加枠50の上枠と平行に取り付けた突っ張り棒である。
図2に示すように、軸部41から引き出されたスクリーン42は、下方に垂れ下がる際に位置決め部45の上部を経由するように構成されている。
【0051】
本実施形態では、スクリーン42が位置決め部45の上部を経由して下方に垂れ下がることにより、スクリーン42の垂れ下がりの開始位置を定めている。これにより、高さ方向d3におけるスクリーン42の上部位置、及び開口方向d1におけるスクリーン42の位置が定まる。すなわち、窓間空間の上部における隙間からの光漏れは、窓間空間の上面と位置決め部45との間の隙間からの光漏れに基づく。また、開口方向d1における追加枠50の上枠とスクリーン42との間の距離(隙間)は、開口方向d1における追加枠50の上枠と位置決め部45との間の距離(隙間)に基づく。よって、位置決め部45により、初期の設置状態と遮光した状態との間で生じる(a)及び(b)の各間距離の増加を回避することができ、追加枠50の上枠により窓間空間の上部からの光漏れが効果的に抑制できる。
【0052】
ここで、位置決め部45は、窓間空間の上面にできるだけ近づけて配置する。これにより、スクリーン42(位置決め部45)と窓間空間の上面との隙間を小さくすることができ、窓間空間の上部における隙間からの光漏れをさらに低減することができる。また、位置決め部45は、追加枠50の上枠に開口方向d1においてできるだけ近づけて配置する。具体的には、位置決め部45は、開口方向d1に追加枠50の上枠と隣接して、位置決め部45(スクリーン42の上端部)と開口方向d1において重複するように設けられている。すなわち、追加枠50の上枠のスクリーン42側の端面が、スクリーン42の上端部と重なり合う。追加枠50の上枠は、スクリーン42の上端部と開口方向d1に重なり合うことにより、窓間空間の上面とスクリーン42との間の隙間を隠すことができる。これにより、追加枠50の上枠は、窓間空間の上面とスクリーン42との隙間から漏れる光を遮ることができる。追加枠50の上枠が、第3枠部材に相当する。
【0053】
なお、本実施形態では、追加枠50の上枠は、ロールスクリーン40の初期の設置状態において窓間空間の上面とロールスクリーン40との間の空間を隠すように配置されている。そのため、追加枠50の上枠は、スクリーン42と窓間空間の上面との間の隙間からの光漏れを遮り、その隙間からの光漏れを抑制することができる。よって、位置決め部45は、追加枠50の上枠における光漏れ抑制効果をさらに確実とするために設けられている。すなわち、開口方向d1における追加枠50とスクリーン42との間の距離(隙間)が広がると、窓間空間の上面とスクリーン42との隙間から入射した光が広がり、この光漏れを追加枠50の上枠により遮ることができないおそれがある。また、高さ方向d3における窓間空間の上面とスクリーン42との間の距離(隙間)が広がると、光の入射面積が増えてしまい、追加枠50の上枠によりその隙間が遮られたとしても、その隙間の周辺から光が漏れるおそれがある。すなわち、このような光漏れの抑制効果が低減する状況が位置決め部45により確実に回避できる。
【0054】
本実施形態によれば、スクリーン42と追加枠50とにより、外窓空間16から内窓空間17への光漏れが抑制でき、高い遮光性が実現できる。さらに、内窓空間17への光の入射が遮られているため、内窓30及び屋内12側の空間には太陽光が照射されない。これにより、内窓30付近の屋内12側の空間において輻射熱が生じることがないため、輻射熱によって放射された熱により屋内12側の空間が温度上昇することがない。よって、本実施形態によれば、屋内12側の空間における遮熱効果が高い。
【0055】
ここで、スクリーン42が下方に垂れ下がったことにより、窓間空間において、スクリーン42と外窓20とにより仕切られた空間(以下、外窓空間16)と、スクリーン42と内窓30とにより仕切られた空間(以下、内窓空間17)との二つの空間が形成される。ここで、外窓空間16において形成される空気層の厚み(すなわち、開口方向d1における外窓空間16の長さ)L1としては、スクリーン42と屋外側の障子22との間とする。内窓空間17において形成される空気層の厚み(すなわち、開口方向d1における内窓空間17の長さ)L2としては、スクリーン42と屋内側の障子32との間とする。
【0056】
本実施形態では、外窓20と内窓30との間の長さ(すなわち、L1とL2とを合算した距離)が60mm以下である。この場合、空気層の厚みL1,L2は、防音性と断熱性との観点から、L1:L2=4~6:6~4の比であるのが好ましい。空気層の厚みL1,L2の比を上記範囲とすることにより、各空間16,17のそれぞれの空間で空気の対流発生を抑制することができ、断熱性能が確保できる。
【0057】
さらに、本実施形態では、空気層の厚みL1,L2は、それぞれ30mm以下とするのが好ましい。これにより、各空間16,17においてそれぞれの空間で空気の対流発生をより効果的に抑制することができ、さらに高い断熱性能が確保できる。
【0058】
また、本実施形態では、外窓空間16においては、空気層の厚みL1が20mm以上とする。
図1及び
図2では図示を省略しているが、外窓20及び内窓30には、外窓20及び内窓30を施錠するクレセント錠が取り付けられている。外窓20とスクリーン42とが近い距離で配置された場合、外窓20に取り付けられたクレセント錠がスクリーン42と干渉するおそれがある。特に、スクリーン42を垂れ下げた状態でクレセント錠の開閉を行う場合、クレセント錠がスクリーン42と干渉し、作業性が悪い。外窓空間16の空気層の厚みL1を20mm以上とすることにより、クレセント錠とスクリーン42との干渉が回避でき、クレセント錠の開閉がしやすくなり、作業性が向上する。
【0059】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0060】
(1)本実施形態では、外窓20と内窓30との間に、軸部41とスクリーン42とを備えるロールスクリーン40が設けられ、スクリーン42が上から下へと垂れ下がることにより、外窓空間16と内窓空間17とが仕切られ、内窓空間17が遮光される。このようなロールスクリーン40は、スクリーン42が外窓20と内窓30とを備える窓間空間の開口面(断面)全体を覆うことができないため、スクリーン42の四辺から光漏れが生じる。すなわち、内窓空間17には、窓間空間の上面、下面及び側面(以下、窓間空間の各面)とスクリーン42の四辺との隙間から光が漏れて光が入射してくる。
【0061】
本実施形態によれば、内窓空間17においては、窓間空間の全内周において、内窓枠31に沿って追加枠50が形成されている。追加枠50は、スクリーン42が軸部41から引き出されて下方に閉じられた場合、スクリーン42の四辺に隣接して、そのスクリーン42の端部と開口方向d1に重複するように設けられている。すなわち、追加枠50は、スクリーン42の端部と重なり合うことにより、窓間空間の各面とスクリーン42の四辺との隙間を隠すことができる。これにより、追加枠50は、窓間空間の各面とスクリーン42の四辺との隙間から漏れる光を遮ることができ、内窓空間17への光の入射を抑制することができ、遮光性を高めることができる。
【0062】
(2)本実施形態によれば、外窓20を透過して入射する太陽光は追加枠50とスクリーン42とにより内窓空間17への入射が遮られ、よって、内窓30及び屋内12側の空間には太陽光が照射されない。そして、太陽光が照射された追加枠50とスクリーン42とから輻射熱により赤外線波長の電磁波が放射される。この赤外線波長の電磁波は内窓30により遮られるため、屋内12側の空間は追加枠50とスクリーン42との熱放射による影響(温度上昇)が抑制される。また、内窓30及び屋内12側の空間には太陽光が照射されないため、内窓30付近の屋内12側の空間において輻射熱が生じることがない。そのため、輻射熱によって放射された熱により屋内12側の空間が温度上昇することがない。よって、本実施形態によれば、屋内12側の空間が遮熱され、夏場等においてより快適な空間が提供できる。
【0063】
(3)ロールスクリーン40は、スクリーン42を全て軸部41に巻回した(すなわち、収納した)状態で窓間空間の上部に設置される。したがって、内窓空間17をスクリーン42により遮光した状態においては、初期の設置状態(すなわち、スクリーン42を全て軸部41に巻回した状態)のときと比べて、軸巻部44の厚みが減少した状態となる。軸巻部44の厚みが減少することに基づいて、内窓空間17をスクリーン42により遮光した状態においては、(a)高さ方向d3における窓間空間の上面とスクリーン42との間の距離、及び(b)開口方向d1における追加枠50の上枠とスクリーン42との間の距離が、初期の設置状態のときと比べて広くなる。初期の設置状態と遮光した状態とで(a)及び(b)の各間距離が広がる場合、追加枠50の上枠の光漏れ抑制効果が低減するおそれがある。
【0064】
本実施形態では、スクリーン42が位置決め部45の上部を経由して下方に垂れ下がることにより、スクリーン42の垂れ下がりの開始位置を定めている。これにより、高さ方向d3におけるスクリーン42の上部位置、及び開口方向d1におけるスクリーン42の位置が定まる。よって、位置決め部45により、初期の設置状態と遮光した状態との間で生じる(a)及び(b)の各間距離の増加を回避することができ、追加枠50の上枠により窓間空間の上部からの光漏れが効果的に抑制できる。
【0065】
(4)本実施形態によれば、スクリーン42の下端部(スクリーン42が垂れ下がった際の下端部)に沿ってマグネット43が装着されている。追加枠50の下枠のスクリーン42側の端面には、例えばマグネット塗料等を塗布して、マグネット43が付着するようにされている。これにより、スクリーン42が軸部41から引き出されて下方に閉じられた場合、スクリーン42側の下端部が追加枠50の下枠とくっつくことができる。よって、開口部13の下面とスクリーン42の下部との隙間からの光漏れが、追加枠50の下枠により確実に遮ることができる。
【0066】
(5)本実施形態によれば、外窓20と内窓30との間の長さ(すなわち、L1とL2とを合算した距離)が60mm以下であり、外窓空間16及び内窓空間17の空気層の厚みL1,L2の比が、L1:L2=4~6:6~4である。これにより、外窓空間16及び内窓空間17においてそれぞれ空気の対流発生を抑制することができる。すなわち、スクリーン42により外窓空間16及び内窓空間17の空気層の厚みL1,L2を上記範囲の比となるように仕切ることによって断熱効果が得られ、屋内12側の空間の断熱性を高めることができる。
【0067】
(6)本実施形態によれば、外窓空間16及び内窓空間17の空気層の厚みL1,L2は、30mm以下である。これにより、外窓空間16及び内窓空間17においてそれぞれ空気の対流発生をさらに効果的に抑制することができる。
【0068】
(7)本実施形態によれば、外窓空間16の開口方向d1における厚みL1は、20mm以上である。外窓20に取り付けられたクレセント錠の開閉時にスクリーン42とクレセント錠とが干渉すると、作業性が悪い。外窓空間16の開口方向d1における厚みL1を上記範囲とすることにより、開閉時におけるクレセント錠とスクリーン42との干渉を回避でき、錠の開閉がしやすくなり、作業性が向上する。
【0069】
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
【0070】
・上記実施形態では外窓20及び内窓30を内付け窓としたが、これに制限されず、外付け窓、半外付け窓であってもよい。
【0071】
・上記実施形態では内窓30をレール35により開口部13の間口方向d2に沿って摺動可能としたが、内窓30は、例えば、外窓20に対して、例えば、回転可能(例えば、内開き)、傾斜可能(例えば、内倒し)であってもよい。
【0072】
・上記実施形態では、追加枠50は額縁Fの内周面全体において形成されているが、例えば、窓(開口部13)の設置された場所に応じて、追加枠50を額縁Fの内周面側部のみの枠、又は額縁Fの内周面側部及び上部の枠等としてもよい。すなわち、窓の設置された場所により、屋内12側にいる人の目へ入射しやすい隙間の位置が変動する。人の目に入射しやすい隙間において、追加枠50が存在するようにすれば、防眩性が確保できる。
【0073】
・上記実施形態では、遮光部材をロールスクリーン40としたが、例えばシェードカーテン、ドレープカーテン等であってもよい。限られた空間を有効に利用するという観点ではロールスクリーン40が好ましいが、例えば、シェードカーテン、ドレープカーテンであれば、位置決め部45を設けなくてもよいという利点がある。すなわち、シェードカーテンであれば、追加枠50により窓間空間の各面とシェードカーテンの四辺との隙間からの光漏れを十分に抑制できる。ドレープカーテンの場合は、片開きのカーテンとすることが必要であり、これにより追加枠50により窓間空間の各面とドレープカーテンの四辺との隙間からの光漏れを抑制できる。
【0074】
・上記実施形態では位置決め部45が設けられているが、位置決め部45は必須の構成ではない。位置決め部45を設けない場合は、例えば、ロールスクリーン40は、スクリーン42を収納するための筐体を備えていてもよい。この場合、筐体の下部等からスクリーン42が引き出せる構成とすればよい。例えば、筐体を開口部13の上面に取り付けた場合、位置決め部45を設けなくともロールスクリーン40(筐体)と窓間空間の上面との隙間を一定の間隔とすることができる。
【0075】
・上記実施形態では位置決め部45がロールスクリーン40とは別の構造体として設けられていたが、例えば、ロールスクリーン40と位置決め部45とが一体化されていてもよい。この場合、例えば、軸部41の軸方向両端部に支持部材を設け、この支持部材により位置決め部45が保持される構成となる。
【0076】
・上記実施形態ではスクリーン42の下端部にマグネット43が装着されていたが、マグネット43の代わりに、スクリーン42の下端部に沿って重りが装着されていてもよい。重りによりスクリーン42の下端部の位置が定まりやすくなるため、スクリーン42の下端部の位置のずれが抑制できる。よって、上記実施形態と同様に、スクリーン42の下端部を追加枠50の下枠に開口方向d1に重ねて配置することができ、光漏れの抑制効果が得られる。
【0077】
・上記実施形態では、外窓20と内窓30との間の長さ(すなわち、L1とL2とを合算した距離)が60mm以下であるが、外窓20と内窓30との間の長さが60mmを超えていてもよい。この場合、ロールスクリーン40を複数設け、スクリーン42により仕切られて形成される空気層の厚みがそれぞれ30mm以下(好ましくは30mm)となるようにロールスクリーン40を配置するとよい。この際、外窓20に最も近いスクリーン42と外窓20との距離は、クレセント錠との関係から20mm以上とするのが好ましい。また、内窓30に最も近いロールスクリーン40(スクリーン42)に対して、上記実施形態と同様の構成の追加枠50及び位置決め部45を設ける。これにより上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0078】
または、外窓20と内窓30との間の長さが60mmを超えているが、その間にロールスクリーン40を一つだけ設ける場合は、ロールスクリーン40を設置する際に内窓空間17の空気層の厚みL2を30mm以下(好ましくは30mm)とするのが好ましい。このとき、外窓空間16の空気層の厚みL1は30mmを超えることになる。内窓30は、外窓20に比べて断熱性能の高い窓である。その内窓空間17の空気層の厚みL2を空気の対流発生を抑制できる厚みとすることにより、外窓空間16の空気層の厚みL1が30mmを超えていたとしても二重窓10として高い断熱性能が発揮できる。
【符号の説明】
【0079】
10…二重窓、11…屋外、12…屋内、13…開口部、16…第1空間としての外窓空間、17…第2空間としての内窓空間、20…第1窓サッシ枠としての外窓、30…第2窓サッシ枠としての内窓、40…遮光装置としてのロールスクリーン、42…遮光部材としてのスクリーン、45…位置決め部材としての位置決め部、50…第1枠部材、第2枠部材及び第3枠部材を構成する追加枠、L1…外窓空間の厚み、L2…内窓空間の厚み、d1…開口部の開口方向、d2…開口部の間口方向、d3…開口部の高さ方向。