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特許7121594インクジェットプリンタおよびインクジェットプリンタの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-09
(45)【発行日】2022-08-18
(54)【発明の名称】インクジェットプリンタおよびインクジェットプリンタの制御方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20220810BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20220810BHJP
   B41J 2/18 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
B41J2/175 121
B41J2/01 401
B41J2/01 451
B41J2/175 307
B41J2/175 501
B41J2/18
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018159958
(22)【出願日】2018-08-29
(65)【公開番号】P2020032585
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】塚原 将太
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-160807(JP,A)
【文献】特開2011-240628(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0174735(US,A1)
【文献】特開2011-110863(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0128313(US,A1)
【文献】特開2014-233937(JP,A)
【文献】特開2003-118217(JP,A)
【文献】米国特許第06428156(US,B1)
【文献】中国実用新案第206327014(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 - 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクが供給されるインク供給口とインクが排出されるインク排出口とインクを吐出するノズル部とを有するインク循環型のインクジェットヘッドを備えるインクジェットプリンタであって、
配管を介して前記インク供給口に繋がるとともに前記インクジェットヘッドに供給されるインクが収容される供給側サブタンクと、配管を介して前記インク排出口に繋がるとともに前記インクジェットヘッドから排出されるインクが収容される排出側サブタンクと、前記供給側サブタンクの中のインクの量を検知するための第1検知機構と、前記排出側サブタンクの中のインクの量を検知するための第2検知機構と、前記第1検知機構および前記第2検知機構の検知結果に基づいて前記排出側サブタンクから前記供給側サブタンクにインクを送るインクポンプとを備え、
前記排出側サブタンクの内部の負圧が前記供給側サブタンクの内部の負圧よりも大きな負圧になっていて、前記供給側サブタンクから前記インクジェットヘッドを介して前記排出側サブタンクにインクが移動することにより、前記インクジェットヘッドの内部のインクが循環し、
前記供給側サブタンクの中のインクの量が適量であることが前記第1検知機構で検知されるとともに、前記排出側サブタンクの中のインクの量が適量であることが前記第2検知機構で検知されているときの前記インクジェットプリンタの状態をインク適量状態とし、印刷開始前または印刷終了後の、前記ノズル部からインクが吐出されていないときの前記インクジェットプリンタの状態を待機状態とし、前記供給側サブタンクの中のインクの量が所定の基準量を超えていることが前記第1検知機構で検知されるとともに、前記排出側サブタンクの中のインクの量が所定の基準量を超えていることが前記第2検知機構で検知されているときの前記インクジェットプリンタの状態をインク超過状態とすると、
前記インクジェットプリンタが前記インク適量状態になっているときには、前記インクポンプによって前記排出側サブタンクから前記供給側サブタンクに一定の流量でインクが供給されており、
前記インクジェットプリンタの制御部は、前記インクジェットプリンタが前記インク適量状態となっているときの前記インクポンプの駆動速度である第1ポンプ駆動速度を所定の時間間隔で取得して、所定の基準速度と比較するとともに、前記第1ポンプ駆動速度が前記基準速度を超えているときに所定のエラー処理を実行し、かつ、前記待機状態で所定の第1時間が経過したときに、前記第1ポンプ駆動速度を所定の時間間隔で取得して前記基準速度と比較することが可能になるとともに、前記待機状態で前記第1時間が経過してからさらに所定の第2時間が経過するまでの間に、前記インクジェットプリンタが前記インク超過状態になっておらず、かつ、前記インクジェットプリンタが前記インク適量状態であるときに、前記第1ポンプ駆動速度を所定の時間間隔で取得して前記基準速度と比較することを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項2】
インクが供給されるインク供給口とインクが排出されるインク排出口とインクを吐出するノズル部とを有するインク循環型のインクジェットヘッドを備えるインクジェットプリンタであって、
配管を介して前記インク供給口に繋がるとともに前記インクジェットヘッドに供給されるインクが収容される供給側サブタンクと、配管を介して前記インク排出口に繋がるとともに前記インクジェットヘッドから排出されるインクが収容される排出側サブタンクと、前記供給側サブタンクの中のインクの量を検知するための第1検知機構と、前記排出側サブタンクの中のインクの量を検知するための第2検知機構と、前記第1検知機構および前記第2検知機構の検知結果に基づいて前記排出側サブタンクから前記供給側サブタンクにインクを送るインクポンプとを備え、
前記排出側サブタンクの内部の負圧が前記供給側サブタンクの内部の負圧よりも大きな負圧になっていて、前記供給側サブタンクから前記インクジェットヘッドを介して前記排出側サブタンクにインクが移動することにより、前記インクジェットヘッドの内部のインクが循環し、
前記供給側サブタンクの中のインクの量が適量であることが前記第1検知機構で検知されるとともに、前記排出側サブタンクの中のインクの量が適量であることが前記第2検知機構で検知されているときの前記インクジェットプリンタの状態をインク適量状態とすると、
前記インクジェットプリンタが前記インク適量状態になっているときには、前記インクポンプによって前記排出側サブタンクから前記供給側サブタンクに一定の流量でインクが供給されており、
前記インクジェットプリンタの制御部は、前記インクジェットプリンタが前記インク適量状態となっているときの前記インクポンプの駆動速度である第1ポンプ駆動速度を所定の時間間隔で取得して、所定の基準速度と比較するとともに、前記第1ポンプ駆動速度が前記基準速度を超えているときに所定のエラー処理を実行し、かつ、前記エラー処理では、前記制御部にエラー状態を登録するとともに、前記エラー処理の後、前記第1ポンプ駆動速度を所定の時間間隔で取得して前記基準速度と比較するときに、前記第1ポンプ駆動速度が前記基準速度以下であると、前記制御部に登録されたエラー状態を解除することを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項3】
インクが供給されるインク供給口とインクが排出されるインク排出口とインクを吐出するノズル部とを有するインク循環型のインクジェットヘッドと、配管を介して前記インク供給口に繋がるとともに前記インクジェットヘッドに供給されるインクが収容される供給側サブタンクと、配管を介して前記インク排出口に繋がるとともに前記インクジェットヘッドから排出されるインクが収容される排出側サブタンクと、前記供給側サブタンクの中のインクの量を検知するための第1検知機構と、前記排出側サブタンクの中のインクの量を検知するための第2検知機構と、前記第1検知機構および前記第2検知機構の検知結果に基づいて前記排出側サブタンクから前記供給側サブタンクにインクを送るインクポンプとを備え、前記排出側サブタンクの内部の負圧が前記供給側サブタンクの内部の負圧よりも大きな負圧になっていて、前記供給側サブタンクから前記インクジェットヘッドを介して前記排出側サブタンクにインクが移動することにより、前記インクジェットヘッドの内部のインクが循環し、前記供給側サブタンクの中のインクの量が適量であることが前記第1検知機構で検知されるとともに、前記排出側サブタンクの中のインクの量が適量であることが前記第2検知機構で検知されているときの状態をインク適量状態とすると、前記インク適量状態になっているときに、前記インクポンプによって前記排出側サブタンクから前記供給側サブタンクに一定の流量でインクが供給されているインクジェットプリンタの制御方法であって、
前記インク適量状態となっているときの前記インクポンプの駆動速度である第1ポンプ駆動速度を所定の時間間隔で取得して、所定の基準速度と比較するポンプ速度チェックステップと、
前記第1ポンプ駆動速度が前記基準速度を超えているときに所定のエラー処理を実行するエラー処理実行ステップとを備え
印刷開始前または印刷終了後の、前記ノズル部からインクが吐出されていないときの前記インクジェットプリンタの状態を待機状態とし、前記供給側サブタンクの中のインクの量が所定の基準量を超えていることが前記第1検知機構で検知されるとともに、前記排出側サブタンクの中のインクの量が所定の基準量を超えていることが前記第2検知機構で検知されているときの前記インクジェットプリンタの状態をインク超過状態とすると、
前記待機状態で所定の第1時間が経過したときに、前記ポンプ速度チェックステップを実行可能な状態になり、
前記待機状態で前記第1時間が経過してからさらに所定の第2時間が経過するまでの間に、前記インクジェットプリンタが前記インク超過状態になっておらず、かつ、前記インクジェットプリンタが前記インク適量状態であるときに、前記ポンプ速度チェックステップを実行することを特徴とするインクジェットプリンタの制御方法。
【請求項4】
インクが供給されるインク供給口とインクが排出されるインク排出口とインクを吐出するノズル部とを有するインク循環型のインクジェットヘッドと、配管を介して前記インク供給口に繋がるとともに前記インクジェットヘッドに供給されるインクが収容される供給側サブタンクと、配管を介して前記インク排出口に繋がるとともに前記インクジェットヘッドから排出されるインクが収容される排出側サブタンクと、前記供給側サブタンクの中のインクの量を検知するための第1検知機構と、前記排出側サブタンクの中のインクの量を検知するための第2検知機構と、前記第1検知機構および前記第2検知機構の検知結果に基づいて前記排出側サブタンクから前記供給側サブタンクにインクを送るインクポンプとを備え、前記排出側サブタンクの内部の負圧が前記供給側サブタンクの内部の負圧よりも大きな負圧になっていて、前記供給側サブタンクから前記インクジェットヘッドを介して前記排出側サブタンクにインクが移動することにより、前記インクジェットヘッドの内部のインクが循環し、前記供給側サブタンクの中のインクの量が適量であることが前記第1検知機構で検知されるとともに、前記排出側サブタンクの中のインクの量が適量であることが前記第2検知機構で検知されているときの状態をインク適量状態とすると、前記インク適量状態になっているときに、前記インクポンプによって前記排出側サブタンクから前記供給側サブタンクに一定の流量でインクが供給されているインクジェットプリンタの制御方法であって、
前記インク適量状態となっているときの前記インクポンプの駆動速度である第1ポンプ駆動速度を所定の時間間隔で取得して、所定の基準速度と比較するポンプ速度チェックステップと、
前記第1ポンプ駆動速度が前記基準速度を超えているときに所定のエラー処理を実行するエラー処理実行ステップとを備え、
前記エラー処理実行ステップでは、前記インクジェットプリンタの制御部にエラー状態を登録し、
前記エラー処理実行ステップの後に実行された前記ポンプ速度チェックステップにおいて、前記第1ポンプ駆動速度が前記基準速度以下であると、前記制御部に登録されたエラー状態を解除することを特徴とするインクジェットプリンタの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク循環型のインクジェットヘッドを備えるインクジェットプリンタに関する。また、本発明は、かかるインクジェットプリンタの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インク循環型の記録ヘッド(ヘッド)を備えるインクジェット記録装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のインクジェット記録装置では、記録ヘッドにインクを供給するインク供給系は、メインタンクと、バッファタンクと、供給サブタンクと、回収サブタンクとを備えている。供給サブタンクは、配管を介して記録ヘッドの供給口に接続され、回収サブタンクは、配管を介して記録ヘッドの排出口に接続されている。
【0003】
また、特許文献1に記載のインクジェット記録装置では、供給サブタンクは、バッファタンクを介してメインタンクに接続されている。バッファタンクと供給サブタンクとの間の流路には、供給サブタンクにインクを供給するためのポンプが設置されている。回収サブタンクは、バッファタンクを介してメインタンクに接続されるとともに、供給サブタンクに接続されている。回収サブタンクと供給サブタンクとの間の流路には、回収サブタンクから供給サブタンクにインクを送るためのポンプが設置されている。
【0004】
特許文献1に記載のインクジェット記録装置では、供給サブタンクの内部の圧力と回収サブタンクの内部の圧力との差によって、供給サブタンクから記録ヘッドにインクが供給されるとともに記録ヘッドから回収サブタンクにインクが排出されて、記録ヘッドの内部でインクが循環する。また、このインクジェット記録装置では、記録ヘッドから回収サブタンクに排出されたインクは、ポンプによって、回収サブタンクから供給サブタンクに送られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-83021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のインクジェット記録装置では、回収サブタンクから供給サブタンクにインクを送るポンプの吐出性能が経年劣化等の影響で低下して、回収サブタンクから供給サブタンクに送られるインクの送り量が低下すると、回収サブタンク内のインクが所定量を超えるオーバーフローエラーや、供給サブタンク内のインクが所定量未満となる供給エラーが発生して、インクジェット記録装置が印刷中に停止するおそれがある。
【0007】
特許文献1に記載のインクジェット記録装置において上述のエラーが発生してインクジェット記録装置が印刷中に停止すると、それ以後の印刷が行えなくなって、印刷途中の媒体が無駄になるおそれがある。また、特許文献1に記載のインクジェット記録装置で三次元造形物を造形する場合、上述のエラーが発生してインクジェット記録装置が印刷中に停止すると、停止前まで造形された造形途中の造形物が無駄になるおそれがある。また、インクジェット記録装置が業務用のものである場合には、インクジェット記録装置が停止してから、保守員によってポンプの交換等の所定の作業が完了するまで、インクジェット記録装置を使用できなくおそれもある。
【0008】
そこで、本発明の課題は、インク循環型のインクジェットヘッドと、インクジェットヘッドに供給されるインクが収容される供給側サブタンクと、インクジェットヘッドから排出されるインクが収容される排出側サブタンクと、排出側サブタンクから供給側サブタンクにインクを送るインクポンプとを備えるインクジェットプリンタにおいて、インクポンプのインクの送り量の低下によってインクジェットプリンタが停止するのを防止することが可能なインクジェットプリンタおよびインクジェットプリンタの制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明のインクジェットプリンタは、インクが供給されるインク供給口とインクが排出されるインク排出口とインクを吐出するノズル部とを有するインク循環型のインクジェットヘッドを備えるインクジェットプリンタであって、配管を介してインク供給口に繋がるとともにインクジェットヘッドに供給されるインクが収容される供給側サブタンクと、配管を介してインク排出口に繋がるとともにインクジェットヘッドから排出されるインクが収容される排出側サブタンクと、供給側サブタンクの中のインクの量を検知するための第1検知機構と、排出側サブタンクの中のインクの量を検知するための第2検知機構と、第1検知機構および第2検知機構の検知結果に基づいて排出側サブタンクから供給側サブタンクにインクを送るインクポンプとを備え、排出側サブタンクの内部の負圧が供給側サブタンクの内部の負圧よりも大きな負圧になっていて、供給側サブタンクからインクジェットヘッドを介して排出側サブタンクにインクが移動することにより、インクジェットヘッドの内部のインクが循環し、供給側サブタンクの中のインクの量が適量であることが第1検知機構で検知されるとともに、排出側サブタンクの中のインクの量が適量であることが第2検知機構で検知されているときのインクジェットプリンタの状態をインク適量状態とし、印刷開始前または印刷終了後の、ノズル部からインクが吐出されていないときのインクジェットプリンタの状態を待機状態とし、供給側サブタンクの中のインクの量が所定の基準量を超えていることが第1検知機構で検知されるとともに、排出側サブタンクの中のインクの量が所定の基準量を超えていることが第2検知機構で検知されているときのインクジェットプリンタの状態をインク超過状態とすると、インクジェットプリンタがインク適量状態になっているときには、インクポンプによって排出側サブタンクから供給側サブタンクに一定の流量でインクが供給されており、インクジェットプリンタの制御部は、インクジェットプリンタがインク適量状態となっているときのインクポンプの駆動速度である第1ポンプ駆動速度を所定の時間間隔で取得して、所定の基準速度と比較するとともに、第1ポンプ駆動速度が基準速度を超えているときに所定のエラー処理を実行し、かつ、待機状態で所定の第1時間が経過したときに、第1ポンプ駆動速度を所定の時間間隔で取得して基準速度と比較することが可能になるとともに、待機状態で第1時間が経過してからさらに所定の第2時間が経過するまでの間に、インクジェットプリンタがインク超過状態になっておらず、かつ、インクジェットプリンタがインク適量状態であるときに、第1ポンプ駆動速度を所定の時間間隔で取得して基準速度と比較することを特徴とする。
【0010】
また、上記の課題を解決するため、本発明のインクジェットプリンタの制御方法は、インクが供給されるインク供給口とインクが排出されるインク排出口とインクを吐出するノズル部とを有するインク循環型のインクジェットヘッドと、配管を介してインク供給口に繋がるとともにインクジェットヘッドに供給されるインクが収容される供給側サブタンクと、配管を介してインク排出口に繋がるとともにインクジェットヘッドから排出されるインクが収容される排出側サブタンクと、供給側サブタンクの中のインクの量を検知するための第1検知機構と、排出側サブタンクの中のインクの量を検知するための第2検知機構と、第1検知機構および第2検知機構の検知結果に基づいて排出側サブタンクから供給側サブタンクにインクを送るインクポンプとを備え、排出側サブタンクの内部の負圧が供給側サブタンクの内部の負圧よりも大きな負圧になっていて、供給側サブタンクからインクジェットヘッドを介して排出側サブタンクにインクが移動することにより、インクジェットヘッドの内部のインクが循環し、供給側サブタンクの中のインクの量が適量であることが第1検知機構で検知されるとともに、排出側サブタンクの中のインクの量が適量であることが第2検知機構で検知されているときの状態をインク適量状態とすると、インク適量状態になっているときに、インクポンプによって排出側サブタンクから供給側サブタンクに一定の流量でインクが供給されているインクジェットプリンタの制御方法であって、インク適量状態となっているときのインクポンプの駆動速度である第1ポンプ駆動速度を所定の時間間隔で取得して、所定の基準速度と比較するポンプ速度チェックステップと、第1ポンプ駆動速度が基準速度を超えているときに所定のエラー処理を実行するエラー処理実行ステップとを備え、印刷開始前または印刷終了後の、ノズル部からインクが吐出されていないときのインクジェットプリンタの状態を待機状態とし、供給側サブタンクの中のインクの量が所定の基準量を超えていることが第1検知機構で検知されるとともに、排出側サブタンクの中のインクの量が所定の基準量を超えていることが第2検知機構で検知されているときのインクジェットプリンタの状態をインク超過状態とすると、待機状態で所定の第1時間が経過したときに、ポンプ速度チェックステップを実行可能な状態になり、待機状態で第1時間が経過してからさらに所定の第2時間が経過するまでの間に、インクジェットプリンタがインク超過状態になっておらず、かつ、インクジェットプリンタがインク適量状態であるときに、ポンプ速度チェックステップを実行することを特徴とする。
【0011】
本発明では、供給側サブタンクの中のインクの量が適量であることが第1検知機構で検知されるとともに、排出側サブタンクの中のインクの量が適量であることが第2検知機構で検知されているときの状態をインク適量状態とすると、インク適量状態になっているときに、インクポンプによって排出側サブタンクから供給側サブタンクに一定の流量でインクが供給されている。また、本発明では、インク適量状態となっているときのインクポンプの駆動速度である第1ポンプ駆動速度を所定の時間間隔で取得して、所定の基準速度と比較するとともに、第1ポンプ駆動速度が基準速度を超えているときに所定のエラー処理を実行している。そのため、本発明では、インクジェットプリンタの使用者は、インクジェットプリンタが停止するほどインクポンプの吐出性能が低下する前に、インクポンプの吐出性能が低下し始めていることを察知することが可能になる。
【0012】
すなわち、インク適量状態になっているときには、インクポンプによって排出側サブタンクから供給側サブタンクに一定の流量でインクが供給されているため、インク適量状態となっているときのインクポンプの駆動速度である第1ポンプ駆動速度は、インクポンプの吐出性能が低下すると速くなる。したがって、本発明のように、第1ポンプ駆動速度を所定の時間間隔で取得して、所定の基準速度と比較するとともに、第1ポンプ駆動速度が基準速度を超えているときに所定のエラー処理を実行することで、インクジェットプリンタの使用者は、インクジェットプリンタが停止するほどインクポンプの吐出性能が低下する前に、インクポンプの吐出性能が低下し始めていることを察知することが可能になる。そのため、本発明では、インクポンプの吐出性能が低下し始めていることを察知したときに、インクポンプの保守や交換等の所定の作業を行うことで、インクポンプのインクの送り量の低下によってインクジェットプリンタが停止するのを防止することが可能になる。
【0013】
また、本発明では、印刷開始前または印刷終了後の、ノズル部からインクが吐出されていないときのインクジェットプリンタの状態を待機状態とすると、待機状態で所定の第1時間が経過したときに、インクジェットプリンタの制御部が第1ポンプ駆動速度を所定の時間間隔で取得して基準速度と比較することが可能になるか、または、ポンプ速度チェックステップを実行可能な状態になるインクジェットプリンタの起動後一定時間が経過する前や印刷終了後一定時間が経過する前は、第1検知機構および第2検知機構の検知結果に基づいて排出側サブタンクから供給側サブタンクにインクを送るインクポンプの駆動速度が安定しにくいが、待機状態で所定の第1時間が経過すれば、インクポンプの駆動速度が安定しやすくなる。したがって、本発明では、第1ポンプ駆動速度を適切に取得することが可能になる。
【0014】
また、本発明では、供給側サブタンクの中のインクの量が所定の基準量を超えていることが第1検知機構で検知されるとともに、排出側サブタンクの中のインクの量が所定の基準量を超えていることが第2検知機構で検知されているときのインクジェットプリンタの状態をインク超過状態とすると、待機状態で第1時間が経過してからさらに所定の第2時間が経過するまでの間に、インクジェットプリンタがインク超過状態になっておらず、かつ、インクジェットプリンタがインク適量状態であるときに、インクジェットプリンタの制御部が第1ポンプ駆動速度を所定の時間間隔で取得して基準速度と比較するか、または、ポンプ速度チェックステップを実行する。
インクジェットプリンタがインク超過状態になると、排出側サブタンクの中のインクの量を減らさなければならないにもかかわらず、供給側サブタンクの中のインクの量も減らさなければならないため、待機状態で第1時間が経過した後であっても、インクジェットプリンタがインク超過状態になると、インクポンプの駆動速度が不安定になるが、待機状態で第1時間が経過してからさらに第2時間が経過するまでの間に、インクジェットプリンタがインク超過状態にならなければ、インクポンプの駆動速度が安定しやすくなる。そのため、本発明では、第1ポンプ駆動速度を適切に取得することが可能になる。
【0015】
さらに、上記の課題を解決するため、本発明のインクジェットプリンタは、インクが供給されるインク供給口とインクが排出されるインク排出口とインクを吐出するノズル部とを有するインク循環型のインクジェットヘッドを備えるインクジェットプリンタであって、配管を介してインク供給口に繋がるとともにインクジェットヘッドに供給されるインクが収容される供給側サブタンクと、配管を介してインク排出口に繋がるとともにインクジェットヘッドから排出されるインクが収容される排出側サブタンクと、供給側サブタンクの中のインクの量を検知するための第1検知機構と、排出側サブタンクの中のインクの量を検知するための第2検知機構と、第1検知機構および第2検知機構の検知結果に基づいて排出側サブタンクから供給側サブタンクにインクを送るインクポンプとを備え、排出側サブタンクの内部の負圧が供給側サブタンクの内部の負圧よりも大きな負圧になっていて、供給側サブタンクからインクジェットヘッドを介して排出側サブタンクにインクが移動することにより、インクジェットヘッドの内部のインクが循環し、供給側サブタンクの中のインクの量が適量であることが第1検知機構で検知されるとともに、排出側サブタンクの中のインクの量が適量であることが第2検知機構で検知されているときのインクジェットプリンタの状態をインク適量状態とすると、インクジェットプリンタがインク適量状態になっているときには、インクポンプによって排出側サブタンクから供給側サブタンクに一定の流量でインクが供給されており、インクジェットプリンタの制御部は、インクジェットプリンタがインク適量状態となっているときのインクポンプの駆動速度である第1ポンプ駆動速度を所定の時間間隔で取得して、所定の基準速度と比較するとともに、第1ポンプ駆動速度が基準速度を超えているときに所定のエラー処理を実行し、かつ、エラー処理では、制御部にエラー状態を登録するとともに、エラー処理の後、第1ポンプ駆動速度を所定の時間間隔で取得して基準速度と比較するときに、第1ポンプ駆動速度が基準速度以下であると、制御部に登録されたエラー状態を解除することを特徴とする。
また、上記の課題を解決するため、本発明のインクジェットプリンタの制御方法は、インクが供給されるインク供給口とインクが排出されるインク排出口とインクを吐出するノズル部とを有するインク循環型のインクジェットヘッドと、配管を介してインク供給口に繋がるとともにインクジェットヘッドに供給されるインクが収容される供給側サブタンクと、配管を介してインク排出口に繋がるとともにインクジェットヘッドから排出されるインクが収容される排出側サブタンクと、供給側サブタンクの中のインクの量を検知するための第1検知機構と、排出側サブタンクの中のインクの量を検知するための第2検知機構と、第1検知機構および第2検知機構の検知結果に基づいて排出側サブタンクから供給側サブタンクにインクを送るインクポンプとを備え、排出側サブタンクの内部の負圧が供給側サブタンクの内部の負圧よりも大きな負圧になっていて、供給側サブタンクからインクジェットヘッドを介して排出側サブタンクにインクが移動することにより、インクジェットヘッドの内部のインクが循環し、供給側サブタンクの中のインクの量が適量であることが第1検知機構で検知されるとともに、排出側サブタンクの中のインクの量が適量であることが第2検知機構で検知されているときの状態をインク適量状態とすると、インク適量状態になっているときに、インクポンプによって排出側サブタンクから供給側サブタンクに一定の流量でインクが供給されているインクジェットプリンタの制御方法であって、インク適量状態となっているときのインクポンプの駆動速度である第1ポンプ駆動速度を所定の時間間隔で取得して、所定の基準速度と比較するポンプ速度チェックステップと、第1ポンプ駆動速度が基準速度を超えているときに所定のエラー処理を実行するエラー処理実行ステップとを備え、エラー処理実行ステップでは、インクジェットプリンタの制御部にエラー状態を登録し、エラー処理実行ステップの後に実行されたポンプ速度チェックステップにおいて、第1ポンプ駆動速度が基準速度以下であると、制御部に登録されたエラー状態を解除することを特徴とする。
【0016】
本発明では、供給側サブタンクの中のインクの量が適量であることが第1検知機構で検知されるとともに、排出側サブタンクの中のインクの量が適量であることが第2検知機構で検知されているときの状態をインク適量状態とすると、インク適量状態になっているときに、インクポンプによって排出側サブタンクから供給側サブタンクに一定の流量でインクが供給されている。また、本発明では、インク適量状態となっているときのインクポンプの駆動速度である第1ポンプ駆動速度を所定の時間間隔で取得して、所定の基準速度と比較するとともに、第1ポンプ駆動速度が基準速度を超えているときに所定のエラー処理を実行している。そのため、本発明では、インクジェットプリンタの使用者は、インクジェットプリンタが停止するほどインクポンプの吐出性能が低下する前に、インクポンプの吐出性能が低下し始めていることを察知することが可能になる。
すなわち、インク適量状態になっているときには、インクポンプによって排出側サブタンクから供給側サブタンクに一定の流量でインクが供給されているため、インク適量状態となっているときのインクポンプの駆動速度である第1ポンプ駆動速度は、インクポンプの吐出性能が低下すると速くなる。したがって、本発明のように、第1ポンプ駆動速度を所定の時間間隔で取得して、所定の基準速度と比較するとともに、第1ポンプ駆動速度が基準速度を超えているときに所定のエラー処理を実行することで、インクジェットプリンタの使用者は、インクジェットプリンタが停止するほどインクポンプの吐出性能が低下する前に、インクポンプの吐出性能が低下し始めていることを察知することが可能になる。そのため、本発明では、インクポンプの吐出性能が低下し始めていることを察知したときに、インクポンプの保守や交換等の所定の作業を行うことで、インクポンプのインクの送り量の低下によってインクジェットプリンタが停止するのを防止することが可能になる。
また、本発明では、インクジェットプリンタの制御部が、エラー処理で、制御部にエラー状態を登録するとともに、エラー処理の後、第1ポンプ駆動速度を所定の時間間隔で取得して基準速度と比較するときに、第1ポンプ駆動速度が基準速度以下であると、制御部に登録されたエラー状態を解除するか、または、エラー処理実行ステップでは、インクジェットプリンタの制御部にエラー状態を登録し、エラー処理実行ステップの後に実行されたポンプ速度チェックステップにおいて、第1ポンプ駆動速度が基準速度以下であると、制御部に登録されたエラー状態を解除する。そのため、前回のポンプ速度チェックステップで取得された第1ポンプ駆動速度が不適切であったり、前回のポンプ速度チェックステップでの第1ポンプ駆動速度と基準速度との比較結果が不適切である等の誤りが生じた場合に、その誤りを訂正することが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明では、インク循環型のインクジェットヘッドと、インクジェットヘッドに供給されるインクが収容される供給側サブタンクと、インクジェットヘッドから排出されるインクが収容される排出側サブタンクと、排出側サブタンクから供給側サブタンクにインクを送るインクポンプとを備えるインクジェットプリンタにおいて、インクポンプのインクの送り量の低下によってインクジェットプリンタが停止するのを防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態にかかるインクジェットプリンタの構成を説明するための概略図である。
図2図1に示すインクジェットプリンタの構成を説明するためのブロック図である。
図3図1に示すインクポンプの駆動速度のチェック動作に関連するインクジェットプリンタの制御の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
(インクジェットプリンタの構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるインクジェットプリンタ1の構成を説明するための概略図である。図2は、図1に示すインクジェットプリンタ1の構成を説明するためのブロック図である。
【0021】
本形態のインクジェットプリンタ1(以下、「プリンタ1」とする。)は、業務用のインクジェットプリンタである。また、プリンタ1は、三次元造形物を造形するための3Dプリンタである。プリンタ1は、インクを吐出するインクジェットヘッド2(以下、「ヘッド2」とする。)を備えている。本形態のヘッド2は、ヘッド2の内部のインクを循環させるインク循環型のヘッドであり、インクが供給されるインク供給口3と、インクが排出されるインク排出口4と、インクを吐出するノズル部5とを備えている。そのため、ヘッド2では、インクの顔料の沈殿を防止することが可能になっているとともに、ノズル抜けの要因となる気泡を除去することが可能になっている。
【0022】
また、プリンタ1は、ヘッド2が搭載されるキャリッジと、キャリッジを主走査方向へ移動させるキャリッジ駆動機構と、三次元造形物が載置される載置台とを備えている。載置台は、ヘッド2の下側に配置されている。プリンタ1で三次元造形物が造形されるときには、主走査方向へキャリッジが往復移動しながら、ヘッド2が載置台に向かってインクを吐出する。
【0023】
また、プリンタ1は、配管を介してインク供給口3に繋がるとともにヘッド2に供給されるインクが収容される供給側サブタンク7と、配管を介してインク排出口4に繋がるとともにヘッド2から排出されるインクが収容される排出側サブタンク8と、供給側サブタンク7に供給されるインクが収容されるメインタンク9とを備えている。また、プリンタ1は、供給側サブタンク7の中のインクの量を検知するための検知機構11と、排出側サブタンク8の中のインクの量を検知するための検知機構12と、検知機構11、12の検知結果に基づいて排出側サブタンク8から供給側サブタンク7にインクを送るインクポンプ13とを備えている。本形態の検知機構11は第1検知機構であり、検知機構12は第2検知機構である。
【0024】
なお、プリンタ1は、複数のヘッド2を備えており、複数のヘッド2がキャリッジに搭載されている。また、プリンタ1は、ヘッド2の数に応じた複数の供給側サブタンク7および排出側サブタンク8と、供給側サブタンク7の数に応じた複数のメインタンク9と、供給側サブタンク7および排出側サブタンク8の数に応じた複数の検知機構11、12および複数のインクポンプ13とを備えている。
【0025】
供給側サブタンク7および排出側サブタンク8は、キャリッジに搭載されている。また、供給側サブタンク7および排出側サブタンク8は、ヘッド2の上側に配置されている。供給側サブタンク7と排出側サブタンク8とは、一体で形成されている。具体的には、1個のサブタンクの内部が供給側サブタンク7と排出側サブタンク8とに分かれている。なお、供給側サブタンク7と排出側サブタンク8とは、別体で形成されていても良い。
【0026】
供給側サブタンク7および排出側サブタンク8には、供給側サブタンク7の内部圧力と排出側サブタンク8の内部圧力とを制御するための圧力制御部15が接続されている。圧力制御部15は、逆流防止フィルタ22および開閉弁23を介して供給側サブタンク7および排出側サブタンク8に接続されている。圧力制御部15は、供給側サブタンク7の内部圧力を負圧にするための負圧ポンプと、排出側サブタンク8の内部圧力を負圧にするための負圧ポンプとを備えている。
【0027】
供給側サブタンク7の内部圧力は、排出側サブタンク8の内部圧力よりも高くなっている。すなわち、排出側サブタンク8の内部の負圧は、供給側サブタンク7の内部の負圧よりも大きな負圧になっている。本形態では、供給側サブタンク7の内部圧力と排出側サブタンク8の内部圧力との差によって、常時、供給側サブタンク7からヘッド2にインクが供給されるとともに、ヘッド2から排出側サブタンク8にインクが排出されている。すなわち、供給側サブタンク7の内部圧力と排出側サブタンク8の内部圧力との差によって、供給側サブタンク7からヘッド2を介して排出側サブタンク8にインクが移動することで、常時、ヘッド2の内部のインクが循環する。
【0028】
検知機構11は、供給側サブタンク7の中のインクの液面を検知することで、供給側サブタンク7の中のインクの量を検知する液面検知機構である。検知機構11は、供給側サブタンク7の中に配置されるフロート16と、フロート16に内蔵される磁石(永久磁石)17と、磁石17を検知するホールIC等の磁気センサ18~20とを備えている。本形態の検知機構11は、3個の磁気センサ18~20を備えている。磁気センサ18~20は、プリンタ1の制御部21に電気的に接続されている。
【0029】
フロート16は、供給側サブタンク7の中のインクに浮かんでいる。磁気センサ18~20は、供給側サブタンク7の外側面に固定されている。磁気センサ18~20は、上下方向に配列されるとともに、上側に向かってこの順番で配置されている。また、磁気センサ18は、供給側サブタンク7の外側面の下端側に固定され、磁気センサ19、20は、供給側サブタンク7の外側面の上端側に固定されている。
【0030】
本形態では、供給側サブタンク7の中のインクの量が少なくなると、磁石17が磁気センサ18に検知され、供給側サブタンク7の中のインクの量がやや多くなると、磁石17が磁気センサ19に検知され、供給側サブタンク7の中のインクの量が多くなると、磁石17が磁気センサ19および磁気センサ20に検知され、供給側サブタンク7の中のインクの量が過多になると、磁石17が磁気センサ20に検知される。また、供給側サブタンク7の中のインクの量が適量であるときには、磁石17は、磁気センサ18~20のいずれにも検知されない。
【0031】
検知機構12は、排出側サブタンク8の中のインクの液面を検知することで、排出側サブタンク8の中のインクの量を検知する液面検知機構である。検知機構12は、検知機構11と同様に構成されており、排出側サブタンク8の中に配置されるフロート24と、フロート24に内蔵される磁石(永久磁石)25と、磁石25を検知するホールIC等の3個の磁気センサ26~28とを備えている。磁気センサ26~28は、制御部21に電気的に接続されている。
【0032】
フロート24は、排出側サブタンク8の中のインクに浮かんでいる。磁気センサ26~28は、排出側サブタンク8の外側面に固定されている。磁気センサ26~28は、上下方向に配列されるとともに、上側に向かってこの順番で配置されている。また、磁気センサ26は、排出側サブタンク8の外側面の下端側に固定され、磁気センサ27、28は、排出側サブタンク8の外側面の上端側に固定されている。
【0033】
本形態では、排出側サブタンク8の中のインクの量が少なくなると、磁石25が磁気センサ26に検知され、排出側サブタンク8の中のインクの量がやや多くなると、磁石25が磁気センサ27に検知され、排出側サブタンク8の中のインクの量が多くなると、磁石25が磁気センサ27および磁気センサ28に検知され、排出側サブタンク8の中のインクの量が過多になると、磁石25が磁気センサ28に検知される。また、排出側サブタンク8の中のインクの量が適量であるときには、磁石25は、磁気センサ26~28のいずれにも検知されない。
【0034】
インクポンプ13は、たとえば、ダイヤフラムポンプであり、駆動源としてモータを備えている。このモータは、たとえば、ステッピングモータである。インクポンプ13は、排出側サブタンク8と供給側サブタンク7との間の配管経路に配置されている。インクポンプ13と供給側サブタンク7との間の配管経路には、フィルタ31と脱気モジュール32とが配置されている。脱気モジュール32は、インクの中に含まれる気泡(気体)を取り除く。
【0035】
排出側サブタンク8とインクポンプ13との間の配管経路には、三方弁33が配置されている。三方弁33には、配管を介してメインタンク9が接続されている。本形態では、通常、インクポンプ13が排出側サブタンク8から供給側サブタンク7にインクを送るインクの流路が形成されているが、供給側サブタンク7および排出側サブタンク8の中のインクの量が少なくなると、三方弁33が切り替わって、インクポンプ13がメインタンク9から供給側サブタンク7にインクを送るインクの流路が形成される。
【0036】
たとえば、供給側サブタンク7の中のインクの量が少なくなって、磁石17が磁気センサ18に検知されるとともに、排出側サブタンク8の中のインクの量が少なくなって、磁石25が磁気センサ26に検知されると、三方弁33が切り替わって、インクポンプ13がメインタンク9から供給側サブタンク7にインクを送るインクの流路が形成される。また、たとえば、供給側サブタンク7の中のインクの量が少なくなって、磁石17が磁気センサ18に検知されるとともに、排出側サブタンク8の中のインクの量が適量であって磁石25が磁気センサ26~28のいずれにも検知されないと、三方弁33が切り替わって、インクポンプ13がメインタンク9から供給側サブタンク7にインクを送るインクの流路が形成される。
【0037】
インクポンプ13は、制御部21の一部を構成するポンプ制御部34に電気的に接続されている。具体的には、インクポンプ13の駆動源であるモータがポンプ制御部34に電気的に接続されている。ポンプ制御部34は、検知機構11、12の検知結果に基づいてインクポンプ13を駆動制御する。具体的には、ポンプ制御部34は、インクポンプ13の駆動源であるモータを駆動制御する。
【0038】
供給側サブタンク7の中のインクの量が適量であることが検知機構11によって検知されるとともに、排出側サブタンク8の中のインクの量が適量であることが検知機構12によって検知されているとき(すなわち、磁石17が磁気センサ18~20のいずれにも検知されず、かつ、磁石25が磁気センサ26~28のいずれにも検知されていないとき)のプリンタ1の状態を「インク適量状態」とすると、プリンタ1がインク適量状態となっているときには、インクポンプ13によって排出側サブタンク8から供給側サブタンク7に一定の流量でインクが供給されている。
【0039】
すなわち、ポンプ制御部34は、プリンタ1がインク適量状態となっているときに、排出側サブタンク8から供給側サブタンク7に一定の流量でインクが供給されるように、インクポンプ13を駆動する。また、プリンタ1がインク適量状態となっているときのインクポンプ13の駆動速度は、所定の第1ポンプ駆動速度となっている。すなわち、ポンプ制御部34は、プリンタ1がインク適量状態となっているときに、第1ポンプ駆動速度でインクポンプ13を駆動する。
【0040】
また、ポンプ制御部34は、供給側サブタンク7のインクの量、および、排出側サブタンク8のインクの量が適量となるように、インクポンプ13を駆動する。たとえば、供給側サブタンク7の中のインクが適量であるかまたは少なくなっており、かつ、排出側サブタンク8の中のインクがやや多くなっている場合には、ポンプ制御部34は、第1ポンプ駆動速度よりも速い駆動速度でインクポンプ13を駆動する。また、供給側サブタンク7の中のインクがやや多くなっており、かつ、排出側サブタンク8の中のインクの量が適量であるかまたは少なくなっている場合には、ポンプ制御部34は、第1ポンプ駆動速度よりも遅い駆動速度でインクポンプ13を駆動したり、インクポンプ13を停止させたりする。
【0041】
なお、インク適量状態が一定時間継続しているときには、供給側サブタンク7からヘッド2に供給されるインクの流量(以下、この流量を「第1インク流量」とする。)と、ヘッド2から排出側サブタンク8に排出されるインクの流量(以下、この流量を「第2インク流量」とする。)と、インクポンプ13によって排出側サブタンク8から供給側サブタンク7に供給されるインクの流量(以下、この流量を「第3インク流量」とする。)とが略等しい一定の流量となっている。すなわち、インク適量状態が一定時間継続しているときには、インクポンプ13によって排出側サブタンク8から供給側サブタンク7に供給されるインクの流量と、供給側サブタンク7からヘッド2を介して排出側サブタンク8に移動するインクの流量とが平衡状態になっている。また、第1インク流量と第2インク流量と第3インク流量とが略等しい一定の流量となっているときのインクポンプ13の駆動速度は、第1ポンプ駆動速度となっている。
【0042】
また、プリンタ1が造形を開始してから造形を終了するまでのプリンタ1の状態(すなわち、プリンタ1が三次元造形物を造形している状態)を「印刷状態」とし、印刷開始前(すなわち、造形開始前)または印刷終了後(すなわち、造形終了後)の、ノズル部5からインクが吐出されていないときのプリンタ1の状態を「待機状態」とすると、印刷状態のときの第1ポンプ駆動速度は、待機状態のときの第1ポンプ駆動速度よりも速くなっている。
【0043】
また、以下の説明では、供給側サブタンク7の中のインクの量が所定の基準量を超えていることが検知機構11で検知されるとともに、排出側サブタンク8の中のインクの量が所定の基準量を超えていることが検知機構12で検知されているときのプリンタ1の状態を「インク超過状態」とする。具体的には、供給側サブタンク7の中のインクの量がやや多くなっていて、磁石17が磁気センサ19に検知されているとともに、排出側サブタンク8の中のインクの量がやや多くなっていて、磁石25が磁気センサ27に検知されているときのプリンタ1の状態をインク超過状態とする。
【0044】
(インクポンプの駆動速度のチェック動作)
図3は、図1に示すインクポンプ13の駆動速度のチェック動作に関連するインクジェットプリンタ1の制御の一例を示すフローチャートである。
【0045】
本形態では、制御部21は、プリンタ1がインク適量状態となっているときのインクポンプ13の第1ポンプ駆動速度を所定の時間間隔で取得して、所定の基準速度と比較するとともに、第1ポンプ駆動速度が基準速度を超えているときに所定のエラー処理を実行する。すなわち、制御部21は、インクポンプ13の第1ポンプ駆動速度を略定期的にチェックするとともに、第1ポンプ駆動速度が基準速度を超えているときに所定のエラー処理を実行する。
【0046】
具体的には、まず、プリンタ1が起動すると、制御部21は、経過時間Tを“0”にリセットする(ステップS1)。その後、一定時間Δt1が経過するのを待ってから(ステップS2)、制御部21は、プリンタ1が待機状態であるのか否かを判断する(ステップS3)。すなわち、制御部21は、ステップS3において、プリンタ1が、印刷開始前または印刷終了後の、ノズル部5からインクが吐出されていない状態になっているのか否かを判断する。一定時間Δt1は、たとえば、1秒未満の短い時間である。
【0047】
ステップS3においてプリンタ1が待機状態である場合、制御部21は、経過時間Tを更新する(ステップS4)。具体的には、ステップS4において、制御部21は、ステップS1でリセットされた経過時間Tに一定時間Δt1を加えた時間を新たな経過時間Tとする。その後、制御部21は、ステップS4で更新された経過時間Tが所定時間T1を経過しているのか否かを判断する(ステップS5)。所定時間T1は、たとえば、30分である。
【0048】
ステップS5において経過時間Tが所定時間T1を経過していない場合には、ステップS2に戻る。一方、ステップS5において経過時間Tが所定時間T1を経過している場合には、制御部21は、検知機構11、12の検知状態(具体的には、磁気センサ18~20、26~28の検知状態)のチェックを開始する(ステップS6)。その後、制御部21は、経過時間T(すなわち、ステップS4で更新された経過時間T)が所定時間T2を経過しているのか否かを判断する(ステップS7)。所定時間T2は、所定時間T1に一定時間Δt2を加えた時間であり、一定時間Δt2は、たとえば、1分である。すなわち、所定時間T2は、たとえば、31分である。
【0049】
ステップS7において経過時間Tが所定時間T2を経過していない場合には、ステップS2に戻る。一方、ステップS7において経過時間Tが所定時間T2を経過している場合には、制御部21は、プリンタ1が現在、インク適量状態であるのか否かを判断するとともに、ステップS6で検知機構11、12の検知状態のチェックを開始した後、プリンタ1がインク超過状態になったことがあったのか否かを判断する(ステップS8)。すなわち、ステップS8において、制御部21は、プリンタ1が現在、インク適量状態であるのか否かを判断するとともに、プリンタ1が待機状態で所定時間T1が経過してからさらに一定時間Δt2が経過するまでの間に、プリンタ1がインク超過状態になったことがあったのか否か(具体的には、磁石17が磁気センサ19に検知されるとともに磁石25が磁気センサ27に検知されていることがあったのか否か)を判断する。
【0050】
ステップS8において、プリンタ1がインク適量状態であり、かつ、ステップS6で検知機構11、12の検知状態のチェックを開始した後、プリンタ1がインク超過状態になったことがなかった場合、制御部21は、インクポンプ13の駆動速度を取得する(ステップS9)。すなわち、ステップS9において、制御部21は、インクポンプ13の第1ポンプ駆動速度を取得する。具体的には、ステップS9において、制御部21は、プリンタ1が待機状態となっているときの、インクポンプ13の第1ポンプ駆動速度を取得する。
【0051】
なお、ステップS9でインクポンプ13の駆動速度が取得される場合には、プリンタ1が待機状態となってから少なくとも所定時間T2が経過しており、かつ、ステップS6でチェックを開始した後、プリンタ1がインク超過状態になったことがなかったため、インク適量状態が少なくとも一定時間Δt2継続している。そのため、ステップS9において取得されるインクポンプ13の駆動速度は、第1インク流量と第2インク流量と第3インク流量とが略等しい一定の流量となっているときの第1ポンプ駆動速度であると想定される。
【0052】
また、ステップS9で取得される第1ポンプ駆動速度は、インクポンプ13によって排出側サブタンク8から供給側サブタンク7に供給されるインクの流量が一定になるようにポンプ制御部34で設定されるインクポンプ13の駆動速度の設定値であり、インクポンプ13の駆動速度の実測値ではない。ただし、ステップS9で取得される第1ポンプ駆動速度は、インクポンプ13の駆動速度の実測値であっても良い。この場合には、インクポンプ13は、たとえば、駆動源であるモータの回転速度を検知するためのエンコーダを備えている。
【0053】
その後、制御部21は、ステップS9で取得した第1ポンプ駆動速度が所定の基準速度を超えているのか否かを判断する(ステップS10)。ステップS10において第1ポンプ駆動速度が基準速度を超えている場合、制御部21は、所定のエラー処理を実行する(ステップS11)。本形態では、ステップS11において、制御部21は、制御部21の記憶部にエラー状態を登録する。また、ステップS11において、制御部21は、プリンタ1の所定の表示部にエラー表示を行う。その後、制御部21が経過時間Tを“0”にリセットしてから(ステップS12)、ステップS2に戻る。
【0054】
一方、ステップS10において第1ポンプ駆動速度が基準速度以下である場合、制御部21は、制御部21の記憶部にエラー状態が登録されているのか否かを判断する(ステップS13)。ステップS13においてエラー状態が登録されている場合には、制御部21の記憶部に登録されたエラー状態を解除してから(ステップS14)、ステップS12に進み、ステップS13においてエラー状態が登録されていない場合には、そのまま、ステップS12に進む。なお、ステップS14において、制御部21は、プリンタ1の表示部に表示されたエラー表示も消す。
【0055】
また、ステップS8においてプリンタ1がインク適量状態でなかった場合やプリンタ1がインク超過状態になったことがあった場合には、ステップS12に進む。また、ステップS3においてプリンタ1が待機状態でない場合にもステップS12に進む。図3に示すフローは、プリンタ1の電源がオフになるまで実行される。なお、ステップS12を経た後のステップS4では、制御部21は、ステップS12でリセットされた経過時間Tに一定時間Δt1を加えた時間を新たな経過時間Tとする。また、ステップS5、S7からそのままステップS2に戻った直後のステップS4では、制御部21は、前回のステップS4で更新された経過時間Tに一定時間Δt1を加えた時間を新たな経過時間Tとする。
【0056】
本形態のステップS9、S10は、第1ポンプ駆動速度を所定の時間間隔で取得して所定の基準速度と比較するポンプ速度チェックステップであり、ステップS11は、第1ポンプ駆動速度が基準速度を超えているときに所定のエラー処理を実行するエラー処理ステップである。また、本形態の所定時間T1は所定の第1時間であり、プリンタ1が待機状態で第1時間が経過したとき(ステップS5で“Yes”となったとき)に、ポンプ速度チェックステップを実行可能な状態になる。
【0057】
また、本形態の一定時間Δt2は所定の第2時間であり、プリンタ1が待機状態で第1時間が経過してからさらに第2時間が経過するまでの間に、プリンタ1がインク超過状態になっておらず、かつ、プリンタ1がインク適量状態であるとき(ステップS8で“Yes”となったとき)に、ポンプ速度チェックステップを実行する。また、本形態では、エラー処理実行ステップの後に実行されたポンプ速度チェックステップにおいて、第1ポンプ駆動速度が基準速度以下であると、制御部21に登録されたエラー状態が解除される(ステップS9、S10、S13、S14)。
【0058】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、プリンタ1がインク適量状態になっているときに、インクポンプ13によって排出側サブタンク8から供給側サブタンク7に一定の流量でインクが供給されている。また、本形態では、プリンタ1がインク適量状態となっているときのインクポンプ13の駆動速度である第1ポンプ駆動速度を所定の時間間隔で取得して、所定の基準速度と比較するとともに、第1ポンプ駆動速度が基準速度を超えているときに所定のエラー処理を実行している。そのため、本形態では、プリンタ1の使用者は、プリンタ1が停止するほどインクポンプ13の吐出性能が低下する前に、インクポンプ13の吐出性能が低下し始めていることを察知することが可能になる。
【0059】
すなわち、プリンタ1がインク適量状態になっているときには、インクポンプ13によって排出側サブタンク8から供給側サブタンク7に一定の流量でインクが供給されているため、プリンタ1がインク適量状態となっているときのインクポンプ13の駆動速度である第1ポンプ駆動速度は、インクポンプ13の吐出性能が低下すると速くなる。したがって、本形態のように、第1ポンプ駆動速度を所定の時間間隔で取得して、所定の基準速度と比較するとともに、第1ポンプ駆動速度が基準速度を超えているときに所定のエラー処理を実行することで、プリンタ1の使用者は、プリンタ1が停止するほどインクポンプ13の吐出性能が低下する前に、インクポンプ13の吐出性能が低下し始めていることを察知することが可能になる。そのため、本形態では、インクポンプ13の吐出性能が低下し始めていることを察知したときに、インクポンプ13の保守や交換等の所定の作業を行うことで、インクポンプ13のインクの送り量の低下によってプリンタ1が停止するのを防止することが可能になる。
【0060】
本形態では、プリンタ1が待機状態で所定時間T1が経過したときに、ステップS9を実行可能な状態になっている。プリンタ1の起動後一定時間が経過する前や印刷終了後一定時間が経過する前は、検知機構11、12の検知結果に基づいて排出側サブタンク8から供給側サブタンク7にインクを送るインクポンプ13の駆動速度が安定しにくいが、待機状態で所定時間T1が経過すれば、インクポンプ13の駆動速度が安定しやすくなる。したがって、本形態では、ステップS9において第1ポンプ駆動速度を適切に取得することが可能になる。
【0061】
本形態では、プリンタ1が待機状態で所定時間T1が経過してからさらに一定時間Δt2が経過するまでの間に、プリンタ1がインク超過状態にならなかったときに、ポンプ速度チェックステップを実行している。プリンタ1がインク超過状態になると、排出側サブタンク8の中のインクの量を減らさなければならないにもかかわらず、供給側サブタンク7の中のインクの量も減らさなければならないため、プリンタ1が待機状態で所定時間T1が経過した後であっても、プリンタ1がインク超過状態になると、インクポンプ13の駆動速度が不安定になるが、プリンタ1が待機状態で所定時間T1が経過してからさらに一定時間Δt2が経過するまでの間に、プリンタ1がインク超過状態にならなければ、インクポンプ13の駆動速度が安定しやすくなる。したがって、本形態では、ステップS9において第1ポンプ駆動速度を適切に取得することが可能になる。
【0062】
本形態では、エラー処理実行ステップの後に実行されたポンプ速度チェックステップにおいて、第1ポンプ駆動速度が基準速度以下であると、制御部21に登録されたエラー状態が解除されている。そのため、本形態では、前回のステップS9で取得された第1ポンプ駆動速度が不適切であったり、前回のステップS10での第1ポンプ駆動速度と基準速度との比較結果が不適切である等の誤りが生じた場合に、その誤りを訂正することが可能になる。
【0063】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0064】
上述した形態では、制御部21は、ステップS11において、制御部21の記憶部にエラー状態を登録するとともにプリンタ1の表示部にエラー表示を行っているが、制御部21は、ステップS11において、プリンタ1の表示部にエラー表示を行うことに代えて、または、プリンタ1の表示部にエラー表示を行うことに加えて、インクポンプ13の吐出性能が低下し始めていることを電子メール等によってプリンタ1の保守員に知らせても良い。この場合には、インクポンプ13の保守や交換等の所定の作業が必要なことを保守員に早めに知らせることが可能になる。したがって、インクポンプ13の保守や交換等の所定の作業を保守員が早めに行うことが可能になり、その結果、インクポンプ13のインクの送り量の低下によってプリンタ1が停止するのを確実に防止することが可能になる。
【0065】
上述した形態において、制御部21は、第1ポンプ駆動速度が基準速度を超えたときの回数を記憶するとともに、第1ポンプ駆動速度が基準速度を超えたときの回数が所定の回数に達したときに、エラー処理を実行しても良い。この場合には、ステップS9で取得された第1ポンプ駆動速度が不適切であったり、ステップS10での第1ポンプ駆動速度と基準速度との比較結果が不適切である等の誤りが生じたときに、エラー処理が実行されるのを防止することが可能になる。
【0066】
上述した形態において、ステップS9でインクポンプ13の第1ポンプ駆動速度を適切に取得することができるのであれば、ステップS5において経過時間Tが所定時間T1を経過している場合にそのままステップS9に進んでも良いし、ステップS3においてプリンタ1が待機状態である場合にそのままステップS9に進んでも良い。また、インクポンプ13の第1ポンプ駆動速度を適切に取得することができるのであれば、制御部21は、プリンタ1が印刷状態にあるときの、インクポンプ13の第1ポンプ駆動速度を取得しても良い。
【0067】
上述した形態において、ステップS10で第1ポンプ駆動速度が基準速度以下である場合に、そのまま、ステップS12に進んでも良い。また、上述した形態において、プリンタ1は、印刷用紙等の印刷媒体に2次元の印刷を行っても良い。また、上述した形態において、プリンタ1は、一般消費者向けのインクジェットプリンタであっても良い。
【符号の説明】
【0068】
1 プリンタ(インクジェットプリンタ)
2 ヘッド(インクジェットヘッド)
3 インク供給口
4 インク排出口
5 ノズル部
7 供給側サブタンク
8 排出側サブタンク
11 検知機構(第1検知機構)
12 検知機構(第2検知機構)
13 インクポンプ
21 制御部
S9、S10 ポンプ速度チェックステップ
S11 エラー処理実行ステップ
図1
図2
図3