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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-09
(45)【発行日】2022-08-18
(54)【発明の名称】シートサスペンション
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/54 20060101AFI20220810BHJP
   B60N 2/38 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
B60N2/54
B60N2/38
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018170927
(22)【出願日】2018-09-12
(65)【公開番号】P2020040588
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2020-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100142871
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 哲昌
(74)【代理人】
【識別番号】100094743
【弁理士】
【氏名又は名称】森 昌康
(74)【代理人】
【識別番号】100175628
【弁理士】
【氏名又は名称】仁野 裕一
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 徹志
(72)【発明者】
【氏名】安延 大輔
(72)【発明者】
【氏名】中川 貴央
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-036258(JP,U)
【文献】独国特許出願公開第102016112118(DE,A1)
【文献】実開昭61-076730(JP,U)
【文献】実開昭58-075125(JP,U)
【文献】米国特許第03897036(US,A)
【文献】中国特許出願公開第103661038(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/54
B60N 2/38
B60N 2/00
A47C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1回動軸と、前記第1回動軸に実質的に平行であり、前記第1回動軸から離間方向に第1距離だけ離間した第2回動軸とを含み、前記第1回動軸と前記第2回動軸の両方に実質的に垂直なシート前後方向において前記第2回動軸よりも前記第1回動軸により近くに設けられた台座フックを有する台座と、
前記第1回動軸に実質的に平行な第3回動軸と、前記第3回動軸に実質的に平行であり、前記第3回動軸から前記離間方向に前記第1距離だけ離間した第4回動軸とを含み、前記シート前後方向において前記第3回動軸よりも前記第4回動軸により近くにシートの背もたれが位置するように前記シートが設置されるシート台と、
前記第1回動軸と前記第3回動軸との間の距離が第2距離であるように前記第1回動軸と前記第3回動軸とを連結し、前記第1回動軸と前記第3回動軸とに対して回動可能である第1リンクと、
前記第2回動軸と前記第4回動軸との間の距離が前記第2距離であるように前記第2回動軸と前記第4回動軸とを連結し、前記第2回動軸と前記第4回動軸とに対して回動可能である第2リンクと、
前記第2リンクに設けられたリンクフックと、
前記台座フックと前記リンクフックとに掛止され、前記台座フックに向けて前記リンクフックを引き寄せる弾性部材とを備え、
前記弾性部材が伸びるほど、前記弾性部材の縮む方向と前記リンクフックの回動方向とが成す第1角度が大きくなるように、前記リンクフックが配置され
前記リンクフックが、前記シートが空いている状態で前記リンクフックが静止する第1位置にあるときに、前記第1角度は、前記第4回動軸から前記台座フックに向かう方向と、前記弾性部材が伸びることにより前記第4回動軸が回動する回動方向とが成す角度より大きい、シートサスペンション。
【請求項2】
前記リンクフックは、前記シート前後方向と前記第2回動軸とに実質的に垂直な高さ方向において前記第2回動軸よりも上方で、且つ、前記シート前後方向において前記第2回動軸よりも前方となる範囲内で移動可能である、請求項1に記載のシートサスペンション。
【請求項3】
前記第4回動軸は、前記高さ方向において前記第2回動軸よりも上方で、且つ、前記シート前後方向において前記第2回動軸よりも後方となる範囲内で移動可能である、請求項2に記載のシートサスペンション。
【請求項4】
前記第2リンクは、
前記第2回動軸から前記第4回動軸まで延びる主アームと、
前記主アームから前記リンクフックまで延びる副アームと、
を含む、請求項3に記載のシートサスペンション。
【請求項5】
前記副アームは、前記第2回動軸から前記リンクフックに向かう方向に延びる、請求項4記載のシートサスペンション。
【請求項6】
前記第2回動軸に実質的に平行な幅方向から見て、前記第2回動軸から前記第4回動軸に向かう方向と、前記第2回動軸から前記リンクフックに向かう方向は、略90度である、請求項5に記載のシートサスペンション。
【請求項7】
前記台座は、前記台座フックに接続し、前記シート前後方向に前記台座フックの位置を調整するように構成されたアジャスタをさらに含む、請求項1からのいずれかに記載のシートサスペンション。
【請求項8】
前記第2回動軸に実質的に平行な幅方向において前記弾性部材に対して前記第1リンクの反対側に配置され、前記第1回動軸と前記第3回動軸とを連結し、前記第1回動軸と前記第3回動軸とに対して回動可能である第1付加リンクと、
前記幅方向において前記弾性部材に対して前記第2リンクの反対側に配置され、前記第2回動軸と前記第4回動軸とを連結し、前記第2回動軸と前記第4回動軸とに対して回動可能である第2付加リンクと、
をさらに備える、請求項1からのいずれかに記載のシートサスペンション。
【請求項9】
前記幅方向における、前記第1リンクと前記第1付加リンクとの間、及び、前記第2リンクと前記第2付加リンクとの間に、前記台座フックと前記リンクフックとに掛止され、前記台座フックに向けて前記リンクフックを引き寄せる、少なくとも1つの付加弾性部材をさらに備える、請求項に記載のシートサスペンション。
【請求項10】
前記シート台上に設けられ、前記シート前後方向に延びるレールと、
前記レール上に載置され、前記レール上を前記シート前後方向に摺動可能で、前記シート前後方向と前記第2回動軸とに実質的に垂直な高さ方向においてその上側にシートが載置されるスライダーと、
をさらに備える、請求項1から9のいずれかに記載のシートサスペンション。
【請求項11】
前記弾性部材は、引っ張りバネである、請求項1から10のいずれかに記載のシートサスペンション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願に開示される技術は、シートサスペンションに関する。
【背景技術】
【0002】
作業車等におけるシートサスペンションとして、特許文献1に開示されたシートサスペンションが知られている。当該シートサスペンションでは、1対の平行リンクの対角線に引っ張りバネを架設して、引っ張りバネの弾性力により機体の振動を吸収するものである。特許文献1では、運転シートが沈み込むときのサスペンション機能の低下を抑止するために、シートサスペンションにクッションが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-123817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願に開示される技術の課題は、例えば、簡易な構造のシートサスペンションを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1側面によれば、シートサスペンションは、台座と、シート台と、第1リンクと、第2リンクと、リンクフックと、弾性部材とを備える。台座は、第1回動軸と、第1回動軸に実質的に平行であり、第1回動軸から離間方向に第1距離だけ離間した第2回動軸とを含む。台座は、第1回動軸と第2回動軸の両方に実質的に垂直なシート前後方向において第2回動軸よりも第1回動軸により近くに設けられた台座フックを有する。シート台は、第1回動軸に実質的に平行な第3回動軸と、第3回動軸に実質的に平行であり、第3回動軸から離間方向に第1距離だけ離間した第4回動軸とを含む。シート台は、シート前後方向において第3回動軸よりも第4回動軸により近くにシートの背もたれが位置するように前記シートが設置される。第1リンクは、第1回動軸と第3回動軸との間の距離が第2距離であるように第1回動軸と前記第3回動軸とを連結し、第1回動軸と第3回動軸とに対して回動可能である。第2リンクは、第2回動軸と第4回動軸との間の距離が第2距離であるように第2回動軸と第4回動軸とを連結し、第2回動軸と第4回動軸とに対して回動可能である。リンクフックは、第2リンクに設けられる。弾性部材は、台座フックとリンクフックとに掛止され、台座フックに向けてリンクフックを引き寄せる。弾性部材が伸びるほど、弾性部材の縮む方向とリンクフックの回動方向とが成す第1角度が大きくなるように、リンクフックが配置される。
【発明の効果】
【0006】
本願に開示される技術であれば、例えば、簡易な構造のシートサスペンションを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る作業車両の側面図である。
図2図2は、作業車両の運転室の平面図である。
図3図3は、シート及び第1実施形態に係るシートサスペンションの側面図である。
図4図4は、シートブラケットと、シート台とを取り除いた図3のシートサスペンションの上面図である。
図5図5は、図2のラインV-Vにおけるシート及び図3のシートサスペンションの断面図である。
図6図6は、シート及び図3のシートサスペンションの背面図である。
図7図7は、シートブラケットを取り除いた図3のシートサスペンションの上面図である。
図8図8は、図3のシートサスペンションの上面図である。
図9図9は、第1実施形態に係るシートサスペンションの可動範囲を示した概略説明図である。
図10図10は、シートの沈み込み量とシート荷重との関係を表した図である。
図11図11は、比較例におけるシートの沈み込み量とシート荷重との関係を表した図である。
図12図12は、第2実施形態に係るシートサスペンションの概略断面図である。
図13図13は、第3実施形態に係るシートサスペンションの概略断面図である。
図14図14は、シート及び第4実施形態に係るシートサスペンションの側面図である。
図15図15は、シート及び図14のシートサスペンションの背面図である。
図16図16は、図14のシートサスペンションの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。図中において同じ符号は、対応するまたは同一の構成を示している。
〔第1実施形態〕
<全体構成>
図1は、実施形態に係る作業車両1の側面図である。作業車両1は、例えば、農業用トラクタである。作業車両1は、車体フレーム2と走行輪3、4と運転室5とを備える。作業車両1は、好ましくは4輪駆動車両であり、4つの走行輪3、4が回転駆動されることにより走行する。
【0009】
なお、本願に係る実施形態において、前後方向とは、運転室5のシート58に着座したオペレータから見て前後方向を意味する。左右方向、横方向とは、当該オペレータから見てそれぞれ、左右方向、横方向を意味する。上下方向とは、当該オペレータから見て上下方向を意味する。言い換えれば、これらの向きは、シート58の背もたれ59にオペレータの背中を当てた状態での当該オペレータから見た向きに該当する。作業車両1及びシート58の前後/左右(横)/高さ方向とは、それぞれ、当該オペレータから見た前後/左右(横)/上下方向と一致するものとする。
【0010】
車体フレーム2は、前フレーム2aと後フレーム2bとを有する。前フレーム2aには、エンジン6が搭載される。後フレーム2bには、運転室5と、ミッションケース8とが搭載される。ミッションケース8には、エンジン6からの駆動力を走行輪3、4に伝達するための走行用の変速装置等が内装されている。ミッションケース8には、さらに、エンジン6からの動力を、走行輪3、4とは別に図示しない作業装置に分配する作業装置用の変速装置やクラッチなどが内装される。これら作業装置用の変速装置やクラッチ等から構成される動力伝達系を作業伝動系と呼ぶ。
【0011】
作業車両1は、さらに、1対のリフトアーム10と、PTO軸11と、牽引装置12とを備える。リフトアーム10は、作業車両1の左側、右側に1つずつ設けられている。リフトアーム10は、作業伝動系の一部を構成する油圧式の昇降シリンダの作動で上下方向に揺動可能である。PTO軸11は、作業伝動系の動力の出力軸である。1対のリフトアーム10には、リンク機構(図示せず)が連結され、PTO軸11には、そのリンク機構に連結されるロータリ耕転装置などの作業装置(図示せず)に対して動力を伝えるための伝動軸等が接続される。牽引装置12は、運搬用の荷台(図示せず)を、作業車両1の後方に連結し、運搬するための装置である。
<運転室の内部構成>
運転室5は、キャビンフレーム51と、ウィンドシールド52と、ドアパネル53と、サイドウィンドウ54と、リアウィンドウ55と、ルーフ部56とによって囲まれた空間である。キャビンフレーム51は、ウィンドシールド52と、ドアパネル53と、サイドウィンドウ54と、リアウィンドウ55と、ルーフ部56とを支持する。ルーフ部56は、内部に空調装置や無線通信装置などを収納できる収納空間を有している。図2は、ルーフ部56を除いた運転室5の内部の平面図である。作業車両1は、運転室5内に、フロアパネル57と、シート58を備える。フロアパネル57は、運転室5の床面を構成している。フロアパネル57の後方には、シート58が配置される。シート58は、詳細を後述するシートサスペンション20(図3参照)上に載置されている。ウィンドシールド52は、透明で運転室5の前面を構成している。ドアパネル53は、透明で、運転室5の左右両側に設けられている。ドアパネル53は、外側に開閉自在である。ここで、外側に開閉自在とは、フロアパネル57及びシート58から離間するように開閉自在という意味である。サイドウィンドウ54は、透明で、運転室5の左右両側且つドアパネル53の後方に設けられている。サイドウィンドウ54も、外側に開閉自在である。リアウィンドウ55は、透明で運転室5の後面を構成している。リアウィンドウ55も、外側に開閉自在である。さらに、図2に示すように、作業車両1は、ウィンドシールド52後方且つシート58前方に、ディスプレイ60、ステアリングホイール61、クラッチペダル62、ブレーキペダル63、スピードコントロールペダル64などを備えている。
【0012】
作業車両1は、運転室5内のシート58左側に、第1操作レバー65と、第2操作レバー66と、第3操作レバー67とを含む。第1操作レバー65は、好ましくは、シャトルシフトレバーである。第1操作レバー65は、前後方向に揺動可能である。第1操作レバー65が前に傾けられると、作業車両1は前進する。第1操作レバー65が後ろに傾けられると、作業車両1は後進する。第2操作レバー66は、好ましくは前輪(走行輪3)を駆動させるか否かを設定するレバーである。第2操作レバー66は、第1操作レバー65よりも前方に配置される。第2操作レバー66は、前後方向に揺動可能である。第2操作レバー66が前に傾けられると、例えば、前輪3が駆動され、作業車両1は4輪駆動で走行する("4WD ON")。第2操作レバー66が後に傾けられると、例えば、後輪4のみが駆動され、作業車両1は2輪駆動で走行する("4WD OFF")。なお、第2操作レバー66が前に傾けられると、4輪駆動がOFFとなり、第2操作レバー66が後ろに傾けられると、4輪駆動がONとなってもよい。第3操作レバー67は、速度段切り替えレバーである。速度段は、好ましくは、LOW・MIDDLE・HIGHの3種類あり、それぞれ、低速走行・中速走行・高速走行する際に用いられる。第3操作レバー67は、前後方向にスライド可能である。第3操作レバー67が前にスライドすると、速度段は、例えば、LOWに切り替えられる。第3操作レバー67が中央部にスライドすると、速度段は、例えば、MIDDLEに切り替えられる。第3操作レバー67が後ろにスライドすると、速度段は、例えば、HIGHに切り替えられる。なお、第3操作レバー67が前にスライドすると、速度段は、HIGHに切り替えられ、第3操作レバー67が後ろにスライドすると、速度段は、例えば、LOWに切り替えられてもよい。第2、第3操作レバー66、67は、ミッションケース8内部の走行用の変速装置等に機械的に接続されている。なお、第2、第3操作レバー66、67は、スイッチ等を介して、ミッションケース8内部の走行用の変速装置等に電気的に接続されてもよい。
【0013】
作業車両1は、運転室5内のシート58右側に、第4操作レバー68と、第5操作レバー69と、第6操作レバー70と、第7操作レバー群71とを備える。第4操作レバー68は、作業伝動系(PTO軸11の出力)の操作レバーである。第5操作レバー69は、作業装置(図示せず)を上下方向に動作させるための操作レバーである。第5操作レバー69は、前後方向に揺動可能である。第5操作レバー69が後ろに傾けられると、例えば、リフトアーム10は、作業装置を上方向に移動させる。第5操作レバー69が前に傾けられると、リフトアーム10は、例えば、作業装置を下方向に移動させる。なお、第5操作レバー69が後ろに傾けられると、リフトアーム10は、作業装置を下方向に移動させ、第5操作レバー69が前に傾けられると、リフトアーム10は、作業装置を上方向に移動させてもよい。第6操作レバー70は、土壌の凹凸や硬さに合わせて作業装置を上下させる(土壌の変化に作業装置を追従させる)ことによって作業装置の牽引力をできるだけ一定にするようにリフトアーム10を制御するか、そのような土壌の変化に作業装置を追従させないようにリフトアーム10を制御するかを設定するためのレバーである。第6操作レバー70は、前後方向に揺動可能である。第6操作レバー70が後ろに傾けられると、例えば、作業車両1は、土壌の変化に作業装置を追従させるようにリフトアーム10を制御する。第6操作レバー70が前に傾けられると、例えば、作業車両1は、土壌の変化に作業装置を追従させないようにリフトアーム10を制御する。なお、作業車両1は、作業装置を土壌から浮かせるようにリフトアーム10を制御することも可能であり、第6操作レバーを土壌の変化に作業装置を追従させない場合に比べてさらに前に傾けられた場合、作業車両1は、作業装置を土壌から浮かせるようにリフトアーム10を制御してもよい。第7操作レバー群71の各レバーは、リフトアーム10の各昇降シリンダを直接制御するためのレバーである。
<シートサスペンションの詳細>
図3を参照すると、シートサスペンション20は、台座21と、シート台31と、第1リンク41と、第2リンク43とを備える。台座21は、フロアパネル57上に載置される。第1リンク41と第2リンク43とは、平行リンクをなし、それぞれ、台座21及びシート台31に回動自在に接続される。シート台31は、第1リンク41と第2リンク43とがそのウェブ(web)に接続されるZ形材(z bar)32とを含む。シートサスペンション20は、レール34と、スライダー35と、ブラケットアタッチメント36と、ピン37と、シートブラケット38と、クッション取付金具(mounting fitting)39と、シートクッションゴム40とをさらに備える。
【0014】
レール34は、Z形材(z bar)32の下フランジ上に設けられ、スライド方向Dsに延びる。本実施形態では、スライド方向Dsは、シート58の前後方向(シート前後方向DL)に一致する。ただし、スライド方向Dsは、シート58の前後方向(シート前後方向DL)に一致しなくてもよい。スライダー35は、レール34上に載置され、レール34上をスライド方向Dsに摺動可能である。本実施形態では、スライダー35は、シートサスペンション20の高さ方向DH(高さ方向DH)においてレール34上に載置されている。しかし、スライダー35は、スライド方向Dsに対して垂直な他方向においてレール34上に載置されていてもよい。
【0015】
ブラケットアタッチメント36は、スライダー35のシート前後方向DLの前端(スライダー35のスライド方向Dsの一端)上に装着される。シートブラケット38は、ピン37を介してブラケットアタッチメント36に接続される。シートブラケット38は、ブラケットアタッチメント36に対してピン37の中心軸AXS周りに回動可能である。ピン37の中心軸AXSは、スライド方向Dsに対し実質的に垂直である。シートブラケット38上には、シート58が載置される。つまり、高さ方向DHにおいてスライダー35の上側にシート58が載置される。高さ方向DHは、シート58の高さ方向に概ね一致する。高さ方向DHは、シート前後方向DLと実質的に垂直である。クッション取付金具39は、スライダー35のシート前後方向DLの後端(スライダー35のスライド方向Dsの他端)上に装着される。シートブラケット38は、ブラケットアタッチメント36に対して中心軸AXS周りに回動するため、シートブラケット38の下面は、シートクッションゴム40の上面に当接する。クッション取付金具39は、シート58にオペレータが着座したときでもシートクッションゴム40の上面が適切な位置に保たれるようにシートクッションゴム40を保持している。クッション取付金具39は、スライダー35のシート前後方向DLの後端(スライダー35のスライド方向Dsの他端)上に装着される。
【0016】
図4は、シートブラケット38と、シート台31とを取り除いたシートサスペンション20の上面図である。図4を参照すると、台座21は、左台座プレート22、右台座プレート23、前台座プレート24、前台座取付プレート25、及び、後台座プレート26から成る。左台座プレート22と右台座プレート23とは、シートサスペンション20の横方向DW(幅方向DW)に並んで配置される。幅方向DWは、シート58の横方向と概ね一致し、スライド方向Dsに対して垂直である。左台座プレート22と右台座プレート23とは、シート58の前後方向DL(シート前後方向DL)に延びる。前台座プレート24は、左台座プレート22の前端と右台座プレート23の前端とを接続し、幅方向DWに延びる。図5に示すように、前台座プレート24は、左台座プレート22の前端の外周と右台座プレート23の前端の外周に沿って折り曲げられた板状のプレートであり、幅方向DWから見てU字型の形状を有している。前台座取付プレート25は、前台座プレート24の下端に接続され、当該下端から下方DDに延び、その後前方に折れ曲がっている。前台座取付プレート25は、シート前後方向DLに延びる取付部25aと、取付部25aと前台座プレート24とに接続し、高さ方向DHに延びる支持部25bとを有する。取付部25aと支持部25bとは、1枚のプレートを折り曲げることによって形成されている。取付部25aは、フロアパネル57と接し、ボルトB1とナットN1とによってフロアパネル57に取り付けられている。支持部25bは、前台座プレート24を支持している。後台座プレート26は、左台座プレート22の後端と右台座プレート23の後端とを接続する。図6に示すように幅方向DWにおける後台座プレート26の中央部分は、幅方向DWにおける後台座プレート26の端部分に比べて高さ方向DHの上方向にずれているため、後台座プレート26の当該中央部分は、フロアパネル57から浮いた状態でフロアパネル57に取り付けられる。一方、後台座プレート26の当該端部分は、複数のボルトB2と複数のナットN2とによってフロアパネル57に取り付けられている。
【0017】
図4に示すように、1対の第1リンク41と第2リンク43がシート58の左右方向DWの一方側に設けられている。シートサスペンション20は、上記一方側の反対側に設けられる、1対の第1付加リンク42と第2付加リンク44とをさらに備える。第1リンク41と第1付加リンク42とは実質的に同じ構成を有し、第2リンク43と第2付加リンク44とは実質的に同じ構成を有する。但し、第1リンク41と第2リンク43は、シート58の左右方向DWの中央に設けられ、第1付加リンク42と第2付加リンク44とが省略されてもよい。
【0018】
図4に示される実施形態では、左台座プレート22は、第1リンク41と第2リンク43との間に挟まれているように設けられている。右台座プレート23は、第1付加リンク42と第2付加リンク44との間に挟まれているように設けられている。但し、左台座プレート22が第1付加リンク42と第2付加リンク44との間に挟まれているように設けられ、右台座プレート23が第1リンク41と第2リンク43との間に挟まれているように設けられてもよい。また、本実施形態では、第2リンク43と第2付加リンク44は、幅方向DWにおいて第1リンク41と第1付加リンク42との間に位置するように設けられている。しかし、第1リンク41と第1付加リンク42が、幅方向DWにおいて第2リンク43と第2付加リンク44との間に位置するように設けられてもよい。
【0019】
図4及び図5に示すように、台座21は、第1回動軸Ax1と、第1回動軸Ax1に実質的に平行であり、第1回動軸Ax1から離間方向DSPに第1距離L1だけ離間した第2回動軸Ax2とを含む。第1回動軸Ax1と第2回動軸Ax2は、シート前後方向DL及び高さ方向DHに対して実質的に垂直である。第1回動軸Ax1と第2回動軸Ax2は、幅方向DWに対して実質的に平行に延びる。離間方向DSPは、必ずしもシート前後方向DLに一致しなくてもよく、シート前後方向DLから傾いていてもよい。
【0020】
具体的には、左台座プレート22と右台座プレート23とは、それぞれ、第1回動軸Ax1を中心軸とするピン221、231を貫通させる貫通孔222、232を有している。ピン221は、第1リンク41に圧入される。第1リンク41は、ピン221が貫通孔222の外周壁と摺接しながら回転することによって、台座21に対して第1回動軸Ax1周りに回動する。ピン231は、第1付加リンク42に圧入される。第1付加リンク42は、ピン231が貫通孔232の外周壁と摺接しながら回転することによって、台座21に対して第1回動軸Ax1周りに回動する。左台座プレート22と右台座プレート23とは、それぞれ、第2回動軸Ax2を中心軸とするピン223、233を貫通させる貫通孔224、234を有している。ピン223は、第2リンク43に圧入される。第2リンク43は、ピン223が貫通孔224の外周壁と摺接しながら回転することによって、台座21に対して第2回動軸Ax2周りに回動する。なお、ピン223は、左台座プレート22に対し、幅方向DWにおいてピン221が延びる方向と反対の方向に延びるように配置される。ピン233は、第2付加リンク44に圧入される。第2付加リンク44は、ピン233が貫通孔234の外周壁と摺接しながら回転することによって、台座21に対して第2回動軸Ax2周りに回動する。なお、ピン233は、右台座プレート23に対し、幅方向DWにおいてピン231が延びる方向と反対の方向に延びるように配置される。
【0021】
シート台31は、第1リンク41と第2リンク43とを介して台座21に支持される。より詳細には、シート台31は、第1リンク41と第1付加リンク42と第2リンク43と第2付加リンク44とを介して台座21に支持される。図6及び図7に示すように、シート台31は、左Z形材32L及び右Z形材32Rと、左Z形材32L及び右Z形材32Rとを接続する連結材(brace)33とを含む。左Z形材32Lと右Z形材32Rとを総称してZ形材32と呼称してもよい。Z形材32は、上フランジ32aとウェブ32bと下フランジ32cとを有する。Z形材32の上フランジ32aは、ウェブ32bから台座21の幅方向DWの中心Cに向かって延びる。具体的には、左Z形材32Lの上フランジ32aは、右方向に延び、右Z形材32Rの上フランジ32aは、左方向に延びる。連結材33は、左Z形材32Lの上フランジ32aと、右Z形材32Rの上フランジ32aとを連結する。
【0022】
Z形材32のウェブ32bには、第1リンク41と第2リンク43とが接続される。本実施形態では、第1リンク41と第2リンク43とが左Z形材32Lのウェブ32bに接続される。第1付加リンク42と第2付加リンク44とが右Z形材32Rのウェブ32bに接続される。ただし、第1リンク41と第2リンク43とが右Z形材32Rのウェブ32bに接続され、第1付加リンク42と第2付加リンク44とが左Z形材32Lのウェブ32bに接続されてもよい。
【0023】
Z形材32の下フランジ32cには、前述のように、レール34、スライダー35、ブラケットアタッチメント36、ピン37、シートブラケット38、クッション取付金具39、シートクッションゴム40が搭載される。図6では、左Z形材32Lの下フランジ32cに搭載される、レール34、スライダー35、ブラケットアタッチメント36、ピン37、シートブラケット38、クッション取付金具39、シートクッションゴム40を、それぞれ、レール34L、スライダー35L、ブラケットアタッチメント36L、ピン37L、シートブラケット38L、クッション取付金具39L、シートクッションゴム40Lと表している。右Z形材32Rの下フランジ32cに搭載される、レール34、スライダー35、ブラケットアタッチメント36、ピン37、シートブラケット38、クッション取付金具39、シートクッションゴム40を、それぞれ、レール34R、スライダー35R、ブラケットアタッチメント36R、ピン37R、シートブラケット38R、クッション取付金具39R、シートクッションゴム40Rと表している。レール34Rは、幅方向DWにおいてレール34Lから離間して、レール34Lに対して平行に延びる。スライダー35L、スライダー35Rは、それぞれ、高さ方向DHにおいてレール34L、レール34R上に載置され、レール34L、レール34R上をスライド方向DSに摺動可能である。
【0024】
シート台31は、第1回動軸Ax1に実質的に平行な第3回動軸Ax3と、第3回動軸Ax3に実質的に平行であり、第3回動軸Ax3から離間方向DSPに第1距離L1だけ離間した第4回動軸Ax4とを含む。第3回動軸Ax3と第4回動軸Ax4は、シート前後方向DL及び高さ方向DHに対して実質的に垂直に延びる。具体的には、左Z形材32Lのウェブ32bは、第3回動軸Ax3を中心軸とするピン321を貫通させる貫通孔322を有している。ピン321は、第1リンク41に圧入される。第1リンク41は、ピン321が貫通孔322の外周壁と摺接しながら回転することによって、台座21に対して第3回動軸Ax3周りに回動する。右Z形材32Rのウェブ32bは、第3回動軸Ax3を中心軸とするピン323を貫通させる貫通孔324を有している。ピン323は、第1付加リンク42に圧入される。第1付加リンク42は、ピン323が貫通孔324の外周壁と摺接しながら回転することによって、台座21に対して第3回動軸Ax3周りに回動する。左Z形材32Lのウェブ32bは、第4回動軸Ax4を中心軸とするピン325を貫通させる貫通孔326を有している。ピン325は、第2リンク43に圧入される。第2リンク43は、ピン325が貫通孔326の外周壁と摺接しながら回転することによって、台座21に対して第4回動軸Ax4周りに回動する。なお、ピン325は、左Z形材32Lのウェブ32bに対し、幅方向DWにおいてピン321が延びる方向と反対の方向にも延びるように配置される。右Z形材32Rのウェブ32bは、第4回動軸Ax4を中心軸とするピン325を貫通させる貫通孔328を有している。ピン325は、第2付加リンク44に圧入される。第2付加リンク44は、ピン325が貫通孔328の外周壁と摺接しながら回転することによって、台座21に対して第4回動軸Ax4周りに回動する。なお、ピン325は、右Z形材32Rのウェブ32bに対し、幅方向DWにおいてピン323が延びる方向と反対の方向にも延びるように配置される。上述の実施形態では、ピン325は、第2リンク43及び第2付加リンク44の両方を貫通するロッド(rod)として構成されているが、第2リンク43に圧入されるピンと、第2付加リンク44に圧入されるピンが別部材であってもよい。
【0025】
図3及び図5に示すように、シート台31には、シート前後方向DLにおいて第3回動軸Ax3よりも第4回動軸Ax4により近くにシート58の背もたれ59が位置するようにシート58が設置される。より具体的には、シート前後方向DLにおいて第3回動軸Ax3よりも第4回動軸Ax4により近くにシート58の背もたれ59が位置するようにシート58がシートブラケット38L、38Rに設置される。なお、図8に示すように、シートブラケット38L、38Rは、シート58のそれぞれ左右側を支持するように構成されており、シートブラケット38L、38Rは、ブラケットアタッチメント36に対して中心軸AXS周りに回動することにより、シートブラケット38L、38Rがそれぞれシートクッションゴム40L、40Rに当接するように構成されている。
【0026】
図3に示すように、第1リンク41は、上述の構成を有するピン221とピン321が圧入されるため、第1回動軸Ax1と第3回動軸Ax3との間の距離が第2距離L2であるように第1回動軸Ax1と第3回動軸Ax3とを連結し、第1回動軸Ax1と第3回動軸Ax3とに対して回動可能である。第1リンク41は、直線状のアームから構成されている。
【0027】
第2リンク43は、上述の構成を有するピン223とピン325が圧入されるため、第2回動軸Ax2と第4回動軸Ax4との間の距離が第2距離L2であるように第2回動軸Ax2と第4回動軸Ax4とを連結し、第2回動軸Ax2と第4回動軸Ax4とに対して回動可能である。本実施形態では、第2リンク43は、第2回動軸Ax2を支点とするベルクランク構造を有しており、第2回動軸Ax2から第4回動軸Ax4まで延びる主アーム431と、第2回動軸Ax2から主アーム431と別方向に延びる副アーム432とを含む。副アーム432の先端には、リンクフック45が設けられる。つまり、シートサスペンション20は、第2リンク43に設けられたリンクフック45を備えている。副アーム432は、第2回動軸Ax2からリンクフック45まで延びる。本実施形態では、幅方向DWから見て、第2回動軸Ax2から第4回動軸Ax4に向かう方向と、第2回動軸Ax2からリンクフック45に向かう方向とのなす角は、略90度である。ただし、第2リンク43は、ベルクランク構造ではなく、T字形のリンク構造を有してもよく、副アーム432は、主アーム431からリンクフック45まで延びる形状であればどのような形状でもよい。また、幅方向DWから見て、第2回動軸Ax2から第4回動軸Ax4に向かう方向と、第2回動軸Ax2からリンクフック45に向かう方向とのなす角は、必ずしも90度付近でなくてもよい。
【0028】
図5に示すように、第1付加リンク42は、上述の構成を有するピン231とピン323が圧入されるため、第1回動軸Ax1と第3回動軸Ax3との間の距離が第2距離L2であるように第1回動軸Ax1と第3回動軸Ax3とを連結し、第1回動軸Ax1と第3回動軸Ax3とに対して回動可能である。第1付加リンク42は、直線状のアームから構成されている。
【0029】
第2付加リンク44は、上述の構成を有するピン233とピン325が圧入されるため、第2回動軸Ax2と第4回動軸Ax4との間の距離が第2距離L2であるように第2回動軸Ax2と第4回動軸Ax4とを連結し、第2回動軸Ax2と第4回動軸Ax4とに対して回動可能である。本実施形態では、第2付加リンク44は、第2回動軸Ax2を支点とするベルクランク構造を有しており、第2回動軸Ax2から第4回動軸Ax4まで延びる主アーム436と、第2回動軸Ax2から主アーム436と別方向に延びる副アーム437とを含む。副アーム437の先端には、リンクフック45が取り付けられる。つまり、副アーム437は、第2回動軸Ax2からリンクフック45まで延びる。本実施形態では、幅方向DWから見て、第2回動軸Ax2から第4回動軸Ax4に向かう方向と、第2回動軸Ax2からリンクフック45に向かう方向とのなす角は、略90度である。ただし、第2付加リンク44は、ベルクランク構造ではなく、T字形のリンク構造を有してもよく、副アーム437は、主アーム436からリンクフック45まで延びる形状であればどのような形状でもよい。また、幅方向DWから見て、第2回動軸Ax2から第4回動軸Ax4に向かう方向と、第2回動軸Ax2からリンクフック45に向かう方向とのなす角は、必ずしも90度付近でなくてもよい。
【0030】
図4及び図5に示すように、台座21は、シート前後方向DLにおいて第2回動軸Ax2よりも第1回動軸Ax1により近くに設けられた台座フック27を有する。シートサスペンション20は、台座フック27とリンクフック45とに掛止され、台座フック27に向けてリンクフック45を引き寄せる弾性部材46を備える。本実施形態では、台座フック27とリンクフック45は、ロッド(rod)から成る。さらに、台座フック27は、弾性部材46が掛止される部分に溝を有している。リンクフック45も同様の溝を有していてもよい。本実施形態では、弾性部材46は引っ張りバネである。しかし、弾性部材46は、ゴムから成ってもよい。図4に示すように、弾性部材46は、幅方向DWにおいて、第1リンク41及び第1付加リンク42との間に配置される。弾性部材46は、幅方向DWにおいて、第2リンク43及び第2付加リンク44との間に配置される。ゆえに、第1付加リンク42は、幅方向DWにおいて弾性部材46に対して第1リンク41の反対側に配置される。第2付加リンク44は、幅方向DWにおいて弾性部材46に対して第2リンク43の反対側に配置される。シートサスペンション20は、幅方向DWにおいて第1リンク41及び第1付加リンク42との間に、複数の弾性部材46、47を備えてもよい。つまり、シートサスペンション20は、幅方向DWにおける、第1リンク41と第1付加リンク42との間、及び、第2リンク43と第2付加リンク44との間に、台座フック27とリンクフック45とに掛止され、台座フック27に向けてリンクフック45を引き寄せる、少なくとも1つの付加弾性部材47をさらに備えてもよい。本実施形態では、シートサスペンション20は、4つの弾性部材46、47を備える例が開示されているが、弾性部材46、47の数は1つ以上であればよい。
【0031】
台座21は、台座フック27に接続し、シート前後方向DLに台座フック27の位置を調整するように構成されたアジャスタ28をさらに含む。図5に示すように、アジャスタ28は、前台座プレート24に回転自在に取り付けられた操作ノブ28aと、台座フック27に装着され、操作ノブ28b内部の雌ねじに螺合する雄ねじ28bとを含む。操作ノブ28aの回転操作に伴い、雄ねじ28b及び台座フック27がシート前後方向DLに移動することにより、弾性部材46、47の張力が調整される。なお、図3及び図5に示すように、左台座プレート22、右台座プレート23は、それぞれ、台座フック27が高さ方向DHに移動することを規制する貫通孔22a、23aを有している。台座フック27を構成するロッドは、貫通孔22a、23aの両方を貫通する。
【0032】
図4及び図5に示すように、第1リンク41及び第1付加リンク42は、第3回動軸Ax3から第1回動軸Ax1に向かう方向と反対方向に延びるリンク延出部41a、42aを有する。このため、第1リンク41及び第1付加リンク42は、幅方向DWから見て台形の形状を有している。リンク延出部41a、42aは、それぞれ、左Z形材32Lの上フランジ32aの下面、右Z形材32Rの上フランジ32aの下面に当接可能である。具体的には、図5に示すように、オペレータがシート58に着座していない状態において弾性部材46、47が台座フック27に向けてリンクフック45を引き寄せた際にリンク延出部41a、42aが上フランジ32aの下面と当接する。これにより、リンク延出部41a、42aが上フランジ32aの下面と当接したシート58の位置から、シート58が上方且つ前方に移動することが規制される。
【0033】
図4図6に示されるように、シートサスペンション20は、シート58の下方且つ後方への移動を規制するストッパー48をさらに備える。本実施形態では、ストッパー48は、第2リンク43から第2付加リンク44まで延びるプレートから成る。しかし、ストッパー48の形状は、これに限らず、第2リンク43及び第2付加リンク44のいずれか一方のみにとりつけられていてもよく、第1リンク41及び第1付加リンクの少なくとも一方に取り付けられたものであってもよい。台座21は、後台座プレート26に取り付けられたストッパークッションゴム29をさらに含む。ストッパークッションゴム29は、シート58が許容最大範囲まで後方且つ下方に移動したときに、ストッパー48と当接する。
【0034】
図9は、シートサスペンション20の特に第2リンク43及び第2付加リンク44の可動範囲を示した概略説明図である。図9では、図5に示される、リンク延出部42aが右Z形材32Rの上フランジ32aの下面に当接している(シート58が空いている状態でリンクフック45が静止する)状態での第2付加リンク44、リンクフック45、ストッパー48、ピン325を実線で表している。そして、ストッパー48がストッパークッションゴム29に当接している状態での第2付加リンク44、リンクフック45、ストッパー48、ピン325を二点鎖線で表している。図9によれば、明らかに、リンクフック45は、高さ方向DHにおいて第2回動軸Ax2よりも上方で、且つ、シート前後方向DLにおいて第2回動軸Ax2よりも前方となる範囲内で移動可能である。したがって、弾性部材46、47が伸びるほど、弾性部材46、47の縮む方向F1とリンクフック45の回動方向とがなす第1角度θ1が大きくなるように、リンクフック45が配置されていることが分かる。具体的には、リンクフック45が、シート58が空いている状態でリンクフック45が静止する第1位置P1にあるときの第1角度θ1をθ11とし、リンク延出部42aが右Z形材32Rの上フランジ32aの下面に当接している状態でリンクフック45が位置する第2位置P2にあるときの第1角度θ1をθ12とする。このとき、θ12は、θ11よりも大きい。そして、θ12は、θ11よりもより180度に近い。また、第1角度θ1は、リンクフック45が第1位置P1から第2位置P2に移動するにつれて、θ11からθ12へと徐々に大きくなる。
【0035】
図10は、シート58の沈み込み量とシート荷重との関係を表した図である。図10では、シート最大沈み込み量0は、リンクフック45が第1位置P1にあるときのシート58の沈み込み量に対応し、シート最大沈み込み量Smaxは、リンクフック45が第2位置P2にあるときのシート58の沈み込み量に対応する。前述のように、シート58が沈み込むほど、シートの沈み込み量の増加分に対して必要となるバネの伸び量が大きくなるので、図10に示すように、シート58への荷重が小さいときにはシート58は沈みやすい。つまり、シート58からの反発力が小さい。逆に、シート58への荷重が大きいときにはシート58は沈みにくい。つまり、シート58からの反発力が大きい。このため、シートサスペンション20は快適な乗り心地をオペレータに提供することができる。
【0036】
一方で、図9に示すように、第4回動軸Ax4は、高さ方向DHにおいて第2回動軸Ax2よりも上方で、且つ、シート前後方向DLにおいて第2回動軸Ax2よりも後方となる範囲内で移動可能である。したがって、仮に、特開平9-167817号公報に示されるように、弾性部材46、47がピン325に取り付けられたとすれば、弾性部材46、47が伸びるほど、弾性部材の縮む方向F2とリンクフック45の回動方向とがなす第2角度θ2が小さくなる。具体的には、リンクフック45が第1位置P1にあるときの第2角度θ2をθ21とし、リンクフック45が第2位置P2にあるときの第2角度θ2をθ22とする。このとき、θ22は、θ21よりも小さい。そして、θ22は、θ21よりもより90度に近い。また、第2角度θ2は、リンクフック45が第1位置P1から第2位置P2に移動するにつれて、θ21からθ22へと徐々に小さくなる。
【0037】
図11は、この場合におけるシート58の沈み込み量とシート荷重との関係を表した図である。図11でも、シート最大沈み込み量0は、リンクフック45が第1位置P1にあるときのシート58の沈み込み量に対応し、シート最大沈み込み量Smaxは、リンクフック45が第2位置P2にあるときのシート58の沈み込み量に対応する。上記実施形態とは逆に、シート58が沈み込むほど、シート58の沈み込み量の増加分に対して必要となるバネの伸び量が小さくなるので、図11に示すように、シート58への荷重が大きくなればなるほどシート58は沈みやすくなる。このため、特開平9-167817号公報の技術では、シート58への荷重が大きいときにはシート58は沈みにくくなるように別のクッションを設ける必要があった。シートサスペンション20ではそのようなクッションは不要となるので、シートサスペンション20は、簡素な構造で快適な乗り心地をオペレータに提供することができる。
【0038】
また、図9において、リンクフック45が第1位置P1にあるときの第1角度θ11は、そのときの第2角度θ21よりも大きい。このため、シート58への荷重が小さい状態でも、特開平9-167817号公報に示されたシートサスペンション(従来のシートサスペンション)に比べて、弾性部材46、47の張力を有効に活用してサスペンション機能を実現することができる。
〔第2実施形態〕
本願に係るシートサスペンションは、弾性部材46、47が第1実施形態で開示されたものに限られず、圧縮バネであってもよい。以下、本実施形態に係るシートサスペンション120の構成を説明するが、第1実施形態に係るシートサスペンション20と重複する構成は、同じ符号を付して説明を省略する。また、本実施形態で説明しなかったシートサスペンション120の構成は、シートサスペンション20の構成と同様であるものとする。
【0039】
図12は、シートサスペンション120を、図5のような断面図として概略的に示したものである。シートサスペンション120は、台座121と、シート台31と、第1リンク41(第1付加リンク42)と、第2リンク143(第2付加リンク144)と、リンクフック145と、圧縮バネである弾性部材146とを備える。弾性部材146は、好ましくは圧縮コイルバネである。台座121は、台座フック127以外は、第1実施形態の台座21と類似した構造を有している。台座フック127は、シート前後方向DLにおいて第2回動軸Ax2よりも第1回動軸Ax1により近くに設けられるという点では第1実施形態と同じである。しかし、台座フック127は、アジャスタ28に固定されたガイド127aを有している点では第1実施形態の台座フック27と異なる。ガイド127aが弾性部材146の開口部に挿入されることにより、弾性部材146が台座フック127に掛止される。
【0040】
第2リンク143は、第2回動軸Ax2から第4回動軸Ax4まで延びる主アーム431と、主アーム431からリンクフック145まで延びる副アーム1432とを含む。副アーム1432は、第2回動軸Ax2からリンクフック145まで延びるが、第1実施形態の副アーム437(432)と延びる方向が異なる。副アーム1432は、リンクフック145を、高さ方向DHにおいて第2回動軸Ax2よりも下方で、且つ、シート前後方向DLにおいて第2回動軸Ax2よりも後方となる範囲内で移動可能とする方向に延びる。シートサスペンション120が第2付加リンク144を含む場合、第2付加リンク144は第2リンク143と同様の構造を有する。リンクフック145は、副アーム437に固定されたガイド145aを有している点では第1実施形態のリンクフック45と異なる。ガイド145aが弾性部材146の開口部に挿入されることにより、弾性部材146がリンクフック145に掛止される。
【0041】
ここで、シート58が空いている状態でリンクフック145が静止するリンクフック145の位置を第1位置P1とし、シート58が最も沈み込んだときのリンクフック145の位置を第2位置P2とする。リンクフック145の位置が第1位置P1と第2位置P2との間にあるときに、ガイド127aとガイド145aとは互いに概ね向かい合って配置されるように、ガイド127aとガイド145aとが設置されることが望ましい。リンクフック145がこのように取り付けられる結果、弾性部材146は、台座フック127からリンクフック145を遠ざけるように、リンクフック145を押し出す。さらに、弾性部材146が縮むほど、弾性部材146が押す方向F1とリンクフック145の回動方向R1とが成す第1角度θ1が大きくなるように、ガイド127aとガイド145aとは配置されることが望ましい。一方で、第4回動軸Ax4は、高さ方向DHにおいて第2回動軸Ax2よりも上方で、且つ、シート前後方向DLにおいて第2回動軸Ax2よりも後方となる範囲内で移動可能である。したがって、シートサスペンション120は、第1実施形態のシートサスペンション20と同様の効果を生じる。
〔第3実施形態〕
本願に係るシートサスペンションは、弾性部材46、47が第1実施形態及び第2実施形態で開示されたものに限られず、台座フック27と第4回動軸Ax4を中心軸とするピン325とに掛止されたものであってもよい。以下、本実施形態に係るシートサスペンション220の構成を説明するが、第1実施形態に係るシートサスペンション20と重複する構成は、同じ符号を付して説明を省略する。また、本実施形態で説明しなかったシートサスペンション220の構成は、シートサスペンション20の構成と同様であるものとする。
【0042】
図13は、シートサスペンション220を、図5のような断面図として概略的に示したものである。シートサスペンション220は、台座21と、シート台31と、第1リンク41(第1付加リンク42)と、第2リンク243(第2付加リンク244)と、弾性部材46(付加弾性部材47)とを備える。第2リンク243(第2付加リンク244)は、主アーム431(441)のみを有している。弾性部材46(47)は、図13に示されるように、台座フック27と第4回動軸Ax4を中心軸とするピン325とに掛止され、第4回動軸Ax4が第1回動方向Rm1に回動するように台座フック27に向けて第4回動軸Ax4を引き寄せる。シート台31は、シート前後方向DLにおいて第3回動軸Ax3よりも第4回動軸Ax4により近い端部であるシート台第1端部331を有する。
【0043】
シートサスペンション220は、さらに、シート台第1端部331に設けられ、第1回動方向Rm1と反対の第2回動方向Rm2に延びるバネ設置部330と、前記バネ設置部に設置され、シート台31から台座21に向かう下方向Ddに向かう圧縮バネ49と、圧縮バネ49に対して下方向Ddに設けられ、前記圧縮バネ49を受けることができるバネ台50とを備える。バネ台50は、フロアパネル57上に設置される。
【0044】
本実施形態に係るシートサスペンション220は、シート58への荷重が大きくなりシート58が沈んだときに、圧縮バネ49がバネ台50に当接して上方向の反力を生じさせることによってシート58への荷重が大きくなりシート58が沈んだときに、シート58のさらなる沈み込みを抑制するものである。
〔第4実施形態〕
本願に係るシートサスペンションは、第1~第3実施形態に係るシートサスペンション20、120、220においてさらに着座センサを備えたものであってもよい。以下、本実施形態に係るシートサスペンション320の構成を説明するが、第1~第3実施形態に係るシートサスペンション20、120、220と重複する構成は、同じ符号を付して説明を省略する。また、本実施形態で説明しなかったシートサスペンション320の構成は、シートサスペンション20の構成と同様であるものとする。
【0045】
図14を参照すると、シートサスペンション320は、第1実施形態のシートサスペンション20のクッション取付金具39、シートクッションゴム40に代えて、シートクッションゴム440、着座スイッチ441、シート支持圧縮バネ442を備える。また、スライダー35は、延出部439を含む。着座スイッチ441は、スライダー35上に搭載され、シートクッションゴム440は、着座スイッチ441上に載置される。シート支持圧縮バネ442は、延出部439上に載置される。
【0046】
本実施形態では、シート台31(より詳細には、Z形材(z bar)32)上にある、レール34、スライダー35(延出部439を含む)、ブラケットアタッチメント36、ピン37、シートブラケット38、シートクッションゴム440、着座スイッチ441、シート支持圧縮バネ442を総称して着座検出装置100とする。
【0047】
図15を参照すると、スライダー35Lに含まれる延出部439を延出部439L、スライダー35Rに含まれる延出部439を延出部439Rとする。スライダー35L上に搭載されるシートクッションゴム440、着座スイッチ441、シート支持圧縮バネ442をそれぞれ、シートクッションゴム440L、着座スイッチ441L、シート支持圧縮バネ442Lとする。スライダー35R上に搭載されるシートクッションゴム440、着座スイッチ441、シート支持圧縮バネ442をそれぞれ、シートクッションゴム440R、着座スイッチ441R、シート支持圧縮バネ442Rとする。つまり、着座検出装置100は、レール34L、34R、スライダー35L、35R(延出部439L、439Rを含む)、シートクッションゴム440L、440R、着座スイッチ441L、441R、及び、シート支持圧縮バネ442L、442Rを備える。ただし、着座検出装置100は、1本のレール34、1つのスライダー35、1つのシートクッションゴム440、1つの着座スイッチ441、及び、1つのシート支持圧縮バネ442のみを含むものであってもよい。その場合、1本のレール34、1つのスライダー35、1つのシートクッションゴム440、1つの着座スイッチ441、及び、1つのシート支持圧縮バネ442は、シート58の幅方向DWの中央に配置されることが好ましい。
【0048】
図15を参照すると、着座スイッチ441Lは、高さ方向DHにおいてスライダー35L上に載置され、実質的に高さ方向DHに沿って動くことによりオンとオフを切り替えるためのスイッチボタン443Lを有する。着座スイッチ441Rは、高さ方向DHにおいてスライダー35R上に載置され、実質的に高さ方向DHに沿って動くことによりオンとオフを切り替えるためのスイッチボタン443Rを有する。スイッチボタン443L、443Rは、それぞれ、スライダー35L、35R上に、接着剤、または、図示しない取付部材(ネジなど)などで取り付けられてもよい。シート58の荷重は全てスライダー35L、35Rで受けることとなるので、スライダー35L、35R上に、着座スイッチ441L、441Rを配置するのは、着座検出の精度上好ましい。
【0049】
シートクッションゴム440Lは、凹部444Lを有し、凹部444Lにスイッチボタン443Lが挿入されるように、高さ方向DHにおいて着座スイッチ441Lおよびスライダー35L上に載置される。高さ方向DHにおいてシートクッションゴム440Lの上側にシート58が載置される。シートクッションゴム440Rは、凹部444Rを有し、凹部444Rにスイッチボタン443Rが挿入されるように、高さ方向DHにおいて着座スイッチ441Rおよびスライダー35R上に載置される。高さ方向DHにおいてシートクッションゴム440Rの上側にシート58が載置される。シートクッションゴム440L、440Rは、それぞれ、シートブラケット38L、38R上に、接着剤、または、図示しない取付部材(ネジなど)などで取り付けられてもよい。あるいは、シートクッションゴム440L、440Rは、それぞれ、スライダー35L、35R上に、図示しない取付部材(クッション取付金具39L、39Rのようなもの)などで取り付けられてもよい。シートクッションゴム440L、440Rは、例えば、オペレータが右側、左側に偏って着座してもシートクッションゴム440L、440Rが弾性変形して、スイッチボタン443L、443Rを高さ方向DHに押すことができる。したがって、着座検出装置100の着座検出の精度を向上させることができる。
【0050】
延出部439Lは、幅方向DWに延びる。より詳細には、延出部439Lは、幅方向DW且つレール34Rから遠ざかる方向(左方向)に延びる。延出部439Rは、幅方向DWに延びる。より詳細には、延出部439Rは、幅方向DW且つレール34Lから遠ざかる方向(右方向)に延びる。
【0051】
シート支持圧縮バネ442Lは、延出部439L上に載置され、延出部439Lとシートブラケット38Lとに当接する。シート支持圧縮バネ442Lは、延出部439Lに対して高さ方向DHにシート58を押し上げる。シート支持圧縮バネ442Lは、着座スイッチ441Lに近接し、且つ、幅方向DWにおいて着座スイッチ441Lに対してスライダー35Rが位置する側(右側)の反対側(左側)に配置される。シート支持圧縮バネ442Rは、延出部439R上に載置され、延出部439Rとシートブラケット38Rとに当接する。シート支持圧縮バネ442Rは、延出部439Rに対して高さ方向DHにシート58を押し上げる。シート支持圧縮バネ442Rは、着座スイッチ441Rに近接し、且つ、幅方向DWにおいて着座スイッチ441Rに対してスライダー35Lが位置する側(左側)の反対側(右側)に配置される。なお、シート支持圧縮バネ442Lは、シート58にオペレータが着座していないときには確実に着座スイッチ441Lをオフにし、シート58に所定以上の荷重がかかったときには確実に着座スイッチ441Lをオンとするようなバネ定数や自由長さを有する。シート支持圧縮バネ442Rは、シート58にオペレータが着座していないときには確実に着座スイッチ441Rをオフにし、シート58に所定以上の荷重がかかったときには確実に着座スイッチ441Rをオンとするようなバネ定数や自由長さを有する。シート支持圧縮バネ442Lは、ザグリ穴やワッシャなど周知の方法により、延出部439Lとシートブラケット38Lとに固定される。同様に、シート支持圧縮バネ442Rは、ザグリ穴やワッシャなど周知の方法により、延出部439Rとシートブラケット38Rとに固定される。
【0052】
図16を参照すると、ブラケットアタッチメント36Lは、スライド方向DSにおけるスライダー35Lの端部である前端部335LFに設けられ、シートブラケット38Lを支持する。着座スイッチ441Lは、スライド方向DSにおいて前端部335LFとは反対のスライダー35Lの端部である後端部335LR上に載置される。つまり、図14に示されるように、着座スイッチ441Lは、スライド方向DSにおいて第3回動軸Ax3よりも第4回動軸Ax4により近くなるように、着座スイッチ441Lがシート台31に載置される。さらに、第1実施形態でも説明したように、ブラケットアタッチメント36Lは、スライド方向DSに実質的に垂直な向きに延びるピン37Lを介してシートブラケット38Lを支持する。ブラケットアタッチメント36Lは、スライダー35Lの前端部335LFから前方に延びる延長プレート336Lを有し、延長プレート336Lの前端でピン37Lを支持している。このため、図14に示すように、ピン37Lは、高さ方向DHにおいてシート58の前端の下方Ddに位置する。
【0053】
同様に、図16を参照すると、ブラケットアタッチメント36Rは、スライド方向DSにおけるスライダー35Rの端部である前端部335RFに設けられ、シートブラケット38Rを支持する。着座スイッチ441Rは、スライド方向DSにおいて前端部335RFとは反対のスライダー35Rの端部である後端部335RR上に載置される。つまり、着座スイッチ441Lと同様に、着座スイッチ441Rは、スライド方向DSにおいて第3回動軸Ax3よりも第4回動軸Ax4により近くなるように、着座スイッチ441Rがシート台31に載置される。さらに、第1実施形態でも説明したように、ブラケットアタッチメント36Lは、スライド方向DSに実質的に垂直な向きに延びるピン37Rを介してシートブラケット38Rを支持する。ブラケットアタッチメント36Rは、スライダー35Rの前端部335RFから前方に延びる延長プレート336Rを有し、延長プレート336Rの前端でピン37Rを支持している。このため、ピン37Rは、ピン37Lと同様に、高さ方向DHにおいてシート58の前端の下方Ddに位置する。
【0054】
ピン37Lとピン37Rは、共通の中心軸AXSを有する。そして、ブラケットアタッチメント36Lは、ピン37Lの中心軸AXSの周りに回動可能にシートブラケット38Lを支持する。ブラケットアタッチメント36Rは、ピン37Rの中心軸AXSの周りに回動可能にシートブラケット38Rを支持する。上述のように、シートクッションゴム440L及び着座スイッチ441Lは、支点(ピン37Lの中心軸AXS)から離れた位置に配置されるため、てこの原理により、シート58にかかる荷重による力を大きく受けることとなる。同様に、シートクッションゴム440R及び着座スイッチ441Rは、支点(ピン37Rの中心軸AXS)から離れた位置に配置されるため、てこの原理により、シート58にかかる荷重による力を大きく受けることとなる。よって、着座スイッチ441L及び着座スイッチ441Rは、シート58への着座を精度よく検出することができる。
【0055】
さらに、シート支持圧縮バネ442Lは、着座スイッチ441Lに近接して配置されるため、シート58への着座がなくなった時点で速やかに着座スイッチ441Lをオフに切り替えることができる。また、図14図15に示すように、シート支持圧縮バネ442Lが、幅方向DWにおいて着座スイッチ441Lに対してスライダー35Rが位置する側(右側)の反対側(左側)に配置されるため、オペレータがシート58の左側に偏って着座した場合においてもシート58が幅方向DWに大きく傾くことを抑止することができる。
【0056】
同様に、シート支持圧縮バネ442Rは、着座スイッチ441Rに近接して配置されるため、シート58への着座がなくなった時点で速やかに着座スイッチ441Rをオフに切り替えることができる。また、図14図15に示すように、シート支持圧縮バネ442Rが、幅方向DWにおいて着座スイッチ441Rに対してスライダー35Lが位置する側(左側)の反対側(右側)に配置されるため、オペレータがシート58の右側に偏って着座した場合においてもシート58が幅方向DWに大きく傾くことを抑止することができる。
【0057】
さらに、図14図16に示すように、シート58の背もたれ59がスライド方向DSにおいてスライダー35Lの前端部335LFよりも後端部335LRに近くなり、且つ、スライダー35Rの前端部335RFよりも後端部335RRに近くなるように、シート58はシートブラケット38に設置される。これにより、オペレータが背もたれ59に寄り掛かるときに着座スイッチ441L、441Rに荷重を受けやすくなる。よって、着座スイッチ441L及び着座スイッチ441Rは、シート58への着座を精度よく検出することができる。
【0058】
なお、本実施形態においては、レール34L、34Rのいずれか一方を第1レールと呼称し、他方を第2レールと呼称してもよい。スライダー35L、35Rのうち、第1レール上に載置されるスライダーを第1スライダーと呼称し、第2レール上に載置されるスライダーを第2スライダーと呼称してもよい。前端部335LF、335RFのうち、上述する第1スライダーが有する前端部を第1端部、上述する第2スライダーが有する前端部を第3端部と呼称してもよい。後端部335LR、335RRのうち、上述する第1スライダーが有する後端部を第2端部、上述する第2スライダーが有する後端部を第4端部と呼称してもよい。延出部439L、439Rのうち、第1スライダーに含まれる延出部を第1延出部と呼称し、第2スライダーに含まれる延出部を第2延出部と呼称してもよい。着座スイッチ441L、441Rのうち、第1スライダー上に載置される着座スイッチを第1着座スイッチと呼称し、第2スライダー上に載置される着座スイッチを第2着座スイッチと呼称してもよい。スイッチボタン443L、443Rのうち、上述する第1着座スイッチが有するスイッチボタンを第1スイッチボタン、上述する第2着座スイッチが有するスイッチボタンを第2スイッチボタンと呼称してもよい。シートクッションゴム440L、440Rのうち、第1着座スイッチ上に載置されるものを第1弾性部材と呼称し、第2着座スイッチ上に載置されるものを第2弾性部材と呼称してもよい。凹部444L、444Rのうち、第1弾性部材が有する凹部を第1凹部、第2弾性部材が有する凹部を第2凹部と呼称してもよい。シート支持圧縮バネ442L、442Rのうち、第1延出部上に載置されるものを第3弾性部材と呼称し、第2延出部上に載置されるものを第4弾性部材と呼称してもよい。ブラケットアタッチメント36L、36Rのうち、第1スライダー上に装着されるものを第1ブラケットアタッチメント、第2スライダー上に装着されるものを第2ブラケットアタッチメントと呼称してもよい。ピン37L、37Rのうち、第1ブラケットアタッチメントに取り付けられるものを第1ピン、第2ブラケットアタッチメントに取り付けられるものを第2ピンと呼称してもよい。
〔変形例〕
上述の実施形態において台座21のフロアパネル57へ固定する構造、リンク延出部41a、42aと、ストッパー48とによってシート58の移動を規制する構造、シートブラケット38の構造及び形状については上述のものに限らず、同様の機能を果たす代替的な構造が採用されてもよい。例えば、シートブラケット38は、2つのシートブラケット38L、38Rから構成されなくてもよく、1つのブラケットまたは3つ以上のブラケットから構成されていてもよい。また、第1~第3実施形態においては、レール34、スライダー35、ブラケットアタッチメント36、ピン37、クッション取付金具39、シートクッションゴム40の少なくとも1つは省略されてもよく、シート台31にシートブラケット38が直接搭載されてもよい。
【0059】
なお、本願においては、「備えている」およびその派生語は、構成要素の存在を説明する非制限用語であり、記載されていない他の構成要素の存在を排除しない。これは、「有している」、「含んでいる」およびそれらの派生語にも適用される。
【0060】
「~部材」、「~部」、「~要素」、「~体」、および「~構造」という文言は、単一の部分や複数の部分といった複数の意味を有し得る。
【0061】
「第1」や「第2」などの序数は、単に構成を識別するための用語であって、他の意味(例えば特定の順序など)は有していない。例えば、「第1要素」があるからといって「第2要素」が存在していることを暗に意味しているわけではなく、また「第2要素」があるからといって「第1要素」が存在していることを暗に意味しているわけではない。
【0062】
程度を表す「実質的に」、「約」、および「およそ」などの文言は、最終結果が大きく変わらないような合理的なずれ量を意味し得る。本願に記載される全ての数値は、「実質的に」、「約」、および「およそ」などの文言を含むように解釈され得る。
【0063】
上記の開示内容から考えて、本発明の種々の変更や修正が可能であることは明らかである。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、本願の具体的な開示内容とは別の方法で本発明が実施されてもよい。
【符号の説明】
【0064】
20 :シートサスペンション
21 :台座
27 :台座フック
28 :アジャスタ
31 :シート台
34(34L、34R) :レール
35(35L、35R) :スライダー
41 :第1リンク
42 :第1付加リンク
43 :第2リンク
431 :主アーム
432 :副アーム
44 :第2付加リンク
45 :リンクフック
46 :弾性部材
47 :付加弾性部材
58 :シート
59 :背もたれ
Ax1 :第1回動軸
Ax2 :第2回動軸
Ax3 :第3回動軸
Ax4 :第4回動軸
θ1 :第1角度
P1 :第1位置
図1
図2
図3
図4
図5
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