(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-09
(45)【発行日】2022-08-18
(54)【発明の名称】フォーム状皮膚洗浄料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/36 20060101AFI20220810BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20220810BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20220810BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20220810BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20220810BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20220810BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20220810BHJP
C11D 1/66 20060101ALI20220810BHJP
C11D 1/74 20060101ALI20220810BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20220810BHJP
C11D 9/50 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
A61K8/36
A61K8/02
A61K8/34
A61K8/37
A61K8/73
A61K8/86
A61Q19/10
C11D1/66
C11D1/74
C11D3/20
C11D9/50
(21)【出願番号】P 2018178362
(22)【出願日】2018-09-25
【審査請求日】2021-03-15
(31)【優先権主張番号】P 2017183579
(32)【優先日】2017-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390011442
【氏名又は名称】株式会社マンダム
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【氏名又は名称】細田 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】山科 拓也
(72)【発明者】
【氏名】藤本 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】稲田 康輝
【審査官】片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-095393(JP,A)
【文献】特開2017-095392(JP,A)
【文献】特開2017-095394(JP,A)
【文献】特開2010-265241(JP,A)
【文献】特開2001-181609(JP,A)
【文献】特開2014-189530(JP,A)
【文献】特開2013-159608(JP,A)
【文献】特開2005-097143(JP,A)
【文献】特開2002-138045(JP,A)
【文献】国際公開第2017/047238(WO,A1)
【文献】特開2017-039660(JP,A)
【文献】特開2017-119743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
C11D 1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原液と噴射剤とがエアゾール容器に充填されたフォーム状皮膚洗浄料であって、前記原液が、下記成分A
を0.1~10.0質量%、成分B
を0.01~4.0質量%、
成分B’を0.1~5.0質量%、成分C
を60.0~98.0質量%、成分D
を0.05~5.0質量%、成分D’を0.01~5.0質量%、成分Eを0.5~20.0質量%、成分F、及び成分Gを含有することを特徴とするフォーム状皮膚洗浄料。
成分A:高級脂肪酸及び/又はその塩
成分B:室温で固形状の脂肪酸エステル油
成分B’:室温で液状の脂肪酸エステル油
成分C:水
成分D:ソルビタン脂肪酸エステル型非イオン性界面活性剤
成分D’:成分D以外の非イオン性界面活性剤
成分E:多価アルコール
成分F:増粘性化合物
成分G:殺菌剤
【請求項2】
前記成分Bが、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、及びヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルから選ばれる成分を含むことを特徴とする、請求項1に記載のフォーム状皮膚洗浄料。
【請求項3】
前記成分Dが、ヤシ油脂肪酸ソルビタン、パルミチン酸ソルビタン、及びモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタンから選ばれる成分を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のフォーム状皮膚洗浄料。
【請求項4】
前記成分Eが、糖アルコールを含む、請求項
1~3のいずれか一項に記載のフォーム状皮膚洗浄料。
【請求項5】
前記成分Fが、下記成分F1及び/又は下記成分F2を含むことを特徴とする、請求項
1~4のいずれか一項に記載のフォーム状皮膚洗浄料。
成分F1:キサンタンガム、及びグアーガムから選ばれる増粘性化合物
成分F2:ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びヒドロキシプロピルセルロースから選ばれる増粘性化合物
【請求項6】
前記殺菌剤が、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム、ヒノキチオール、トリクロサン、グリチルリチン酸ジカリウム、及びサリチル酸から選ばれる成分を含むことを特徴とする、請求項
1~5のいずれか一項に記載のフォーム状皮膚洗浄料。
【請求項7】
前記原液が、さらに、HLB9.0~13.0のポリエチレングリコール型非イオン性界面活性剤を含有する、請求項1~
6のいずれか一項に記載のフォーム状皮膚洗浄料。
【請求項8】
前記HLB9.0~13.0のポリエチレングリコール型非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリオキシエチレンヒマシ油から選ばれる成分を含むことを特徴とする、請求項
7に記載のフォーム状皮膚洗浄料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォーム状皮膚洗浄料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗顔料やハンドソープ等の皮膚洗浄料の中でも、使用時に簡便に泡立てることができるものとして、ポンプタイプやエアゾールタイプのフォーマー容器より吐出して泡を形成するフォーム状皮膚洗浄料が知られている(例えば、特許文献1~3)。これらのフォーム状皮膚洗浄料では、泡立ち易さ(起泡力)、泡質や、泡の持続性(泡もち)などの特性が重視されている。上記泡質としては、例えば、細かな泡が高密度に形成された、濃密でクリーミーな泡質が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-102194号公報
【文献】特開2007-131585号公報
【文献】特開2012-240985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような、高級脂肪酸塩を主たる界面活性剤成分として含む洗浄料は、起泡力が高く、泡質にも優れる。しかし、例えば、洗顔料などとして使用する場合には、洗顔後に肌のつっぱり感が生じたりする場合がある。一方、特許文献2、3のような、高級脂肪酸塩を含まない洗浄料は、起泡力や泡の細かさの点で劣る場合がある。
【0005】
本発明の課題は、高級脂肪酸及び/又はその塩を含有しつつも、洗浄後の肌のつっぱり感を抑制し、キメの細かいしっかりとした濃密な泡を形成するフォーム状皮膚洗浄料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、原液と噴射剤とがエアゾール容器に充填されたフォーム状皮膚洗浄料であって、前記原液が、下記成分A、成分B、成分C、及び成分Dを含有することを特徴とするフォーム状皮膚洗浄料に関する。
成分A:高級脂肪酸及び/又はその塩
成分B:室温で固形状の脂肪酸エステル油
成分C:水
成分D:ソルビタン脂肪酸エステル型非イオン性界面活性剤
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高級脂肪酸及び/又はその塩を含有しつつも、洗浄後の肌のつっぱり感を抑制し、キメの細かいしっかりとした濃密な泡を形成するフォーム状皮膚洗浄料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のフォーム状皮膚洗浄料は、原液と噴射剤とがエアゾール容器に充填されているものである。本発明のフォーム状皮膚洗浄料は、使用時、すなわちエアゾール容器から吐出される際に、及び/又は、対象に付着した後に、泡を形成するものであり、キメの細かいしっかりとした濃密な泡を吐出することができる。以下、本発明のフォーム状皮膚洗浄料の各構成成分について説明する。
【0009】
上記原液は、成分A:高級脂肪酸及び/又はその塩、成分B:室温で固形状の脂肪酸エステル油、成分C:水、及び成分D:ソルビタン脂肪酸エステル型非イオン性界面活性剤を必須成分として含有する。
【0010】
上記原液は、上記必須成分に加えて、成分E:多価アルコール、成分F:増粘性化合物などをさらに含有することが好ましい。また、成分A~F以外の成分(その他の成分)をさらに含有してもよい。成分A~Fやその他の成分は、それぞれ、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0011】
成分Aは、高級脂肪酸及び/又はその塩、即ち、高級脂肪酸及び高級脂肪酸塩のうちのいずれか一方又は両方である。成分Aは、洗浄成分として作用しフォーム状皮膚洗浄料の洗浄力を高めるとともに、フォーム状皮膚洗浄料の起泡性及び泡もちの向上に効果的である。さらに、泡密度の高い濃密な泡を形成することに効果的である。上記成分Aは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0012】
上記高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸等の炭素数12~22の高級脂肪酸;オリーブ油、ヤシ油、パーム油、綿実油等の植物性油脂;魚油、牛脂等の動物性油脂等が挙げられる。中でも、フォーム状皮膚洗浄料の洗浄力、起泡性、泡もちの観点から、炭素数12~22の高級脂肪酸が好ましく、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、及びステアリン酸がより好ましい。
【0013】
上記高級脂肪酸塩における塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。
【0014】
上記高級脂肪酸塩は、予め塩に調製された高級脂肪酸塩が配合されていてもよいし、高級脂肪酸と塩基とが原液中で塩を形成していてもよい。
【0015】
原液100質量%中の、成分Aの含有量は、好ましくは0.1~10.0質量%であり、より好ましくは0.5~8.0質量%であり、さらに好ましくは1.0~5.0質量%である。上記含有量が0.1質量%以上であることにより、泡もちがより一層向上するため好ましい。また、上記含有量が10.0質量%以下であることにより、成分Aの析出によるエアゾールの詰まりがより一層抑制されるため好ましい。上記含有量は、原液中に含まれる全ての成分Aの含有量(高級脂肪酸として換算した場合の含有量)の合計量である。
【0016】
成分Bは室温で固形状の脂肪酸エステル油である。本明細書において、室温で固形状の脂肪酸エステル油とは、25℃の条件下において、70mL容のマヨネーズ瓶に、50gの脂肪酸エステル油を入れ、この容器を斜め45度に30秒間傾けた際に流れ落ちない、ペーストから固形の性状のものを指す。成分Bには、洗浄後の肌のつっぱり感を抑制すると共に、さらにキメの細かいしっかりとした濃密な泡を形成する効果があることを新たに見出した。上記成分Bは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0017】
成分Bとしては、例えば、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルなどが挙げられる。
【0018】
原液100質量%中の、成分Bの含有量は、好ましくは0.01~4.0質量%であり、より好ましくは0.05~3.5質量%であり、さらに好ましくは0.1~3.0質量%である。上記含有量が0.01質量%以上であることにより、洗浄後の肌のつっぱり感を抑制し、さらにキメの細かいしっかりとした濃密な泡を形成するため好ましい。また、上記含有量が4.0質量%以下であることにより、洗浄後のべたつき感を抑えることができるため好ましい。上記含有量は、原液中に含まれる全ての成分Bの含有量の合計量である。
【0019】
上記成分Bの他、原液中には、任意に、室温で液状の脂肪酸エステル油がさらに含まれていてもよい。本明細書において、室温で液状の脂肪酸エステル油とは、25℃の条件下において、粘度(B型粘度計:VISCOMETER TV-25(東機産業社製))が100mPa・s以下の性状のものを指す。室温で液状の脂肪酸エステル油は、洗浄後の肌のつっぱり感を抑制すると共に、さらに成分Aの析出抑制効果がある。室温で液状の脂肪酸エステル油は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0020】
室温で液状の脂肪酸エステル油としては、例えば、直鎖脂肪酸と分岐低級アルコールとのエステル油、直鎖脂肪酸と直鎖高級アルコールとのエステル油、直鎖脂肪酸と分岐高級アルコールとのエステル油、分岐脂肪酸と直鎖高級アルコールとのエステル油、分岐脂肪酸と分岐高級アルコールとのエステル油、脂肪酸と多価アルコールとのエステル油、及び二塩基酸のエステル油から選ばれる成分が挙げられる。
【0021】
上記直鎖脂肪酸と分岐低級アルコールとのエステル油としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、及びリノール酸イソプロピル等が挙げられる。
【0022】
上記直鎖脂肪酸と直鎖高級アルコールとのエステル油としては、例えば、カプリル酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、オレイン酸デシル、及びオレイン酸オレイル等が挙げられる。
【0023】
上記直鎖脂肪酸と分岐高級アルコールとのエステル油としては、例えば、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸オクチルドデシル、及びリノール酸オクチルドデシル等が挙げられる。
【0024】
上記分岐脂肪酸と直鎖高級アルコールとのエステル油としては、例えば、2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキサン酸セトステアリル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、及びイソステアリン酸ヘキシル等が挙げられる。
【0025】
上記分岐脂肪酸と分岐高級アルコールとのエステル油としては、例えば、2-エチルヘキサン酸2-ヘキシルデシル、2-エチルヘキサン酸イソステアリル、ジメチルオクタン酸オクチルドデシル、イソパルミチン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸オクチルドデシル、及びイソノナン酸イソノニル等が挙げられる。
【0026】
上記脂肪酸と多価アルコールとのエステル油としては、例えば、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、及びテトライソステアリン酸ペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0027】
上記二塩基酸のエステル油としては、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジイソプロピル、及びセバシン酸ジオクチル等が挙げられる。
【0028】
本発明においては、室温で液状の脂肪酸エステル油の中でも、洗浄後の肌のつっぱり感を抑制し、さらに上記成分Aの析出を抑制させる観点から、直鎖脂肪酸と分岐低級アルコールとのエステル油、直鎖脂肪酸と分岐高級アルコールとのエステル油、分岐脂肪酸と直鎖高級アルコールとのエステル油、分岐脂肪酸と分岐高級アルコールとのエステル油、及び二塩基酸のエステル油から選ばれる成分を用いることが好ましく、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、2-エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、アジピン酸ジイソブチル、及びアジピン酸ジイソプロピルから選ばれる成分を用いることがより好ましい。
【0029】
原液100質量%中の、室温で液状の脂肪酸エステル油の含有量は、好ましくは0.1~5.0質量%であり、より好ましくは0.3~4.0質量%であり、さらに好ましくは0.5~3.0質量%である。上記含有量が0.1質量%以上であることにより、洗浄後の肌のつっぱり感を抑制し、さらに成分Aの析出を抑制するため好ましい。また、上記含有量が5.0質量%以下であることにより、泡もちを持続させるため好ましい。上記含有量は、原液中に含まれる全ての室温で液状の脂肪酸エステル油の含有量の合計量である。
【0030】
成分Cの水は、化粧品原料として使用できるものであれば特に限定されないが、通常、精製水が好ましく用いられる。
【0031】
原液100質量%中の、成分Cの含有量は、吐出物の固化を防止する観点から、60.0質量%以上が好ましく、70.0質量%以上がより好ましく、また、吐出物の液化を防止する観点から、98.0質量%以下が好ましく、90.0質量%以下がより好ましい。
【0032】
成分Dは、ソルビタン脂肪酸エステル型非イオン性界面活性剤である。成分Dは、しっかりとした濃密な泡の形成に効果的である。上記成分Dは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0033】
上記成分Dとしては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、並びにソルビタン脂肪酸エステルの酸化エチレン縮合物から選ばれる成分が挙げられる。
【0034】
上記ソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、ヤシ油脂肪酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、ジステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、及びトリオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。
【0035】
上記ソルビタン脂肪酸エステルの酸化エチレン縮合物としては、例えば、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、及びトリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン等が挙げられる。
【0036】
上記成分Dにおける脂肪酸は、しっかりとした濃密な泡形成をより効果的に発揮させる観点から、炭素数が8~24の脂肪酸が好ましく、より好ましくは炭素数が10~20の脂肪酸、さらに好ましくは炭素数が12~18の脂肪酸である。
【0037】
上記成分Dが酸化エチレン縮合物である場合の酸化エチレンの平均付加モル数は、しっかりとした濃密な泡形成をより効果的に発揮させる観点から、好ましくは5~200、より好ましくは6~150である。
【0038】
本発明においては、上記成分Dの中でも、しっかりとした濃密な泡形成をより効果的に発揮させる観点から、モノパルミチン酸ソルビタン、ヤシ油脂肪酸ソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、及びトリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンから選ばれる成分を用いることが好ましく、ヤシ油脂肪酸ソルビタン、及びモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタンから選ばれる成分を用いることがより好ましい。
【0039】
原液100質量%中の、成分Dの含有量は、しっかりとした濃密な泡を形成する観点から、好ましくは0.05~5.0質量%であり、より好ましくは0.1~4.0質量%であり、さらに好ましくは0.1~3.0質量%である。上記含有量は、原液中に含まれる全ての成分Dの含有量の合計量である。
【0040】
上記成分Dの他、原液中には、任意に、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル型非イオン性界面活性剤などの非イオン性界面活性剤がさらに含まれていてもよい。例えば、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル型非イオン性界面活性剤は、成分Aの析出抑制をより効果的に高めることができる。また、泡密度の高い濃密な泡を形成し、その泡の泡もちを向上させる効果も発揮する。成分D以外の非イオン性界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0041】
上記ポリエチレングリコール脂肪酸エステル型非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール脂肪酸モノエステル、及びポリエチレングリコール脂肪酸ジエステルから選ばれる成分が挙げられる。
【0042】
上記ポリエチレングリコール脂肪酸モノエステルとしては、例えば、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノイソステアリン酸ポリエチレングリコール、及びモノオレイン酸ポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0043】
上記ポリエチレングリコール脂肪酸ジエステルとしては、例えば、ジラウリン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、ジイソステアリン酸ポリエチレングリコール、及びジオレイン酸ポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0044】
上記ポリエチレングリコール脂肪酸エステル型非イオン性界面活性剤における脂肪酸は、上記成分Aの析出抑制をより効果的に高める観点から、炭素数が8~24の脂肪酸が好ましく、より好ましくは炭素数が10~20の脂肪酸、さらに好ましくは炭素数が12~18の脂肪酸である。
【0045】
上記ポリエチレングリコール脂肪酸エステル型非イオン性界面活性剤における酸化エチレンの平均付加モル数は、上記成分Aの析出抑制をより効果的に高める観点から、好ましくは10~300、より好ましくは12~250である。
【0046】
本発明においては、上記ポリエチレングリコール脂肪酸エステル型非イオン性界面活性剤の中でも、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノイソステアリン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、及びジイソステアリン酸ポリエチレングリコールから選ばれる成分を用いることが好ましい。
【0047】
成分D以外の非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコール脂肪酸エステル型非イオン性界面活性剤を使用する場合において、原液100質量%中の、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル型非イオン性界面活性剤の含有量は、成分Aの析出抑制をより効果的に高める観点から、好ましくは0.01~5.0質量%であり、より好ましくは0.05~4.0質量%であり、さらに好ましくは0.1~2.0質量%である。上記含有量は、原液中に含まれる全てのポリエチレングリコール脂肪酸エステル型非イオン性界面活性剤の含有量の合計量である。
【0048】
上記原液は、さらに、成分Eの多価アルコールを含有していることが好ましい。成分Eは、成分Aの析出抑制をより効果的に高めることができる。上記成分Eは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0049】
上記成分Eとしては、例えば、ソルビトール、マルチトール、グルコシルトレハロースなどの糖アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール(1,3-ブタンジオール)、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、グリセリン(1,2,3-プロパントリオール)、ジグリセリン、ポリグリセリン、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリオキシプロピレンメチルグルコシドなどが挙げられ、洗浄後の肌の突っ張り感を緩和できる観点や、泡もちを良好とする観点から、糖アルコールを含むことが好ましい。
【0050】
原液100質量%中の、成分Eの含有量は、成分Aの析出抑制をより効果的に高める観点から、好ましくは0.5~20.0質量%であり、より好ましくは1.0~15.0質量%であり、さらに好ましくは1.0~10.0質量%である。上記含有量は、原液中に含まれる全ての成分Eの含有量の合計量である。
【0051】
上記原液は、さらに、成分F1:キサンタンガム、及びグアーガムから選ばれる増粘性化合物や成分F2:ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びヒドロキシプロピルセルロースから選ばれる増粘性化合物などの成分F:増粘性化合物を含有していることが好ましい。
【0052】
成分Fの増粘性化合物は、泡もちを良好とする効果がある。上記成分Fは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよいが、成分F1と成分F2を併用することが好ましい。
【0053】
原液100質量%中の、成分F1の含有量は、泡もちを良好とする観点から、好ましくは0.01~0.5質量%であり、より好ましくは0.03~0.4質量%であり、さらに好ましくは0.05~0.3質量%である。上記含有量は、原液中に含まれる全ての成分F1の含有量の合計量である。
【0054】
原液100質量%中の、成分F2の含有量は、泡もちを良好とする観点から、好ましくは0.01~0.5質量%であり、より好ましくは0.02~0.4質量%であり、さらに好ましくは0.03~0.2質量%である。上記含有量は、原液中に含まれる全ての成分F2の含有量の合計量である。
【0055】
原液は、特に限定されないが、上記成分A~F以外の成分(その他の成分)を含んでもよい。例えば、香料;シクロペンタシロキサン、ハイドロゲンジメチコン、カプリリルメチコン、メチルフェニルポリシロキサン、ジメチコン等のシリコーン油;フェノキシエタノール、オクトキシグリセリン、メチルパラベン等の防腐剤;メントール、メンチルグリセリルエーテル、カンファー、ペパーミント油等の冷感剤;グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸ステアリル等の抗炎症剤;シャクヤク、ボタンピ、ビワ、アロエ等の植物抽出エキス;殺菌剤;トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤;メトキシケイヒ酸オクチル、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸オクチル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、オクチルトリアゾン、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシルなどの紫外線吸収剤;エデト酸塩等のキレート剤;アルブチン、アスコルビン酸等の美白剤;シリカ、タルク、ナイロンパウダー等の粉体などを含んでもよい。
【0056】
殺菌剤としては、例えば、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム、ヒノキチオール、トリクロサン、グリチルリチン酸ジカリウム、及びサリチル酸等が挙げられる。なかでも、イソプロピルメチルフェノール、サリチル酸がより好ましく、サリチル酸がさらに好ましい。上記殺菌剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0057】
原液100質量%中の、殺菌剤の含有量は、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上であり、好ましくは2.0質量%以下であり、より好ましくは1.0質量%以下であり、更に好ましくは0.5質量%以下である。殺菌剤の含有量が上記下限以上であると、殺菌効果が効果的に得られる。また、安全性の観点から、殺菌剤の含有量は上記上限以下であることが好ましい。上記含有量は、原液中に含まれる全ての殺菌剤の含有量の合計量である。
【0058】
本発明においては、原液中に殺菌剤を含有する場合、フォーム状皮膚洗浄料における濃密な泡の形成能が低下する場合があること、及び、この問題に対して、HLB9.0~13.0のポリエチレングリコール型非イオン性界面活性剤を併せて含有することで泡質を改善できることを新たに見出した。かかるメカニズムは不明であるが、ポリエチレングリコール型非イオン性界面活性剤はPEG鎖を有しており、エマルションの表面を被覆することで水和層を大きくする効果を有するため、乳化粒子をより安定化することができ、この結果、殺菌剤を加えた系においても、泡質を損なうことなく、より質感の良い泡を形成することが可能になったと考えられる。
【0059】
従って、原液中に殺菌剤を含有する場合においては、濃密な泡を形成する観点から、HLB9.0~13.0、好ましくはHLB9.5~12.0のポリエチレングリコール型非イオン性界面活性剤を併せて含有することが好ましい。HLB9.0~13.0のポリエチレングリコール型非イオン性界面活性剤は、上記ポリエチレングリコール脂肪酸エステル型非イオン性界面活性剤のうちHLB9.0~13.0のものを含有してもよいし、これ以外のHLB9.0~13.0のポリエチレングリコール型非イオン性界面活性剤をさらに含有してもよい。ポリエチレングリコール脂肪酸エステル型非イオン性界面活性剤以外のHLB9.0~13.0のポリエチレングリコール型非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油などが挙げられる。上記HLB9.0~13.0のポリエチレングリコール型非イオン性界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0060】
原液中に殺菌剤を含有する場合において、原液100質量%中の、HLB9.0~13.0のポリエチレングリコール型非イオン性界面活性剤の含有量は、しっかりとした濃密な泡を形成する観点から、好ましくは0.3~1.5質量%であり、より好ましくは0.5~1.0質量%であり、さらに好ましくは0.5~0.8質量%である。上記含有量は、原液中に含まれる全てのHLB9.0~13.0のポリエチレングリコール型非イオン性界面活性剤の含有量の合計量である。
【0061】
噴射剤としては、公知の噴射剤が挙げられ、例えば、空気、窒素、亜酸化窒素等のガス(特に、圧縮ガス);液化石油ガス(LPG:Liquefied Petroleum Gas)、ジメチルエーテル(DME:Dimethyl ether)、イソペンタン、フロロカーボン等の液化ガスなどが挙げられる。噴射剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0062】
エアゾール容器としては、公知慣用の容器が挙げられ、特に限定されない。
【0063】
エアゾール容器内において、原液と噴射剤の合計量100質量%中の、噴射剤の含有量は、吐出物の液化を防止する観点から、好ましくは2.0~20.0質量%であり、より好ましくは、3.0~15.0質量%である。2種類以上の噴射剤を使用する場合、前記「噴射剤の含有量」は、噴射剤を構成する個々の成分の合計量を意味する。
【0064】
本発明のフォーム状皮膚洗浄料は既知の方法により製造することができる。例えば、原液をエアゾール容器に充填し、エアゾール用バルブにより容器をクリンチした後、規定量の噴射剤をステムから容器内へ充填し、噴射ボタンを装着する、という製造方法を例示することができる。
【0065】
本発明のフォーム状皮膚洗浄料は、顔等の皮膚を洗浄するために用いられる皮膚洗浄料である。本発明のフォーム状皮膚洗浄料としては、洗顔料、ハンドソープ、ボディソープや頭皮の洗浄料等が挙げられる。本発明のフォーム状皮膚洗浄料は、洗浄後の肌のつっぱり感を抑制し、キメの細かいしっかりとした濃密な泡を形成するものであるので、特に洗顔料等、デリケートな部位の洗浄料に適している。
【実施例】
【0066】
以下に、本発明を実施例等に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0067】
実施例1~24及び比較例1~2
表1~4に記した組成からなる原液95質量部をエアゾール容器(φ35mm×105mm、アルミ缶、容器満注量:91ml)に充填し、エアゾールバルブを該容器にクリンチした後、噴射剤として液化石油ガス(LPG)5質量部をステムより充填し、適したスパウトを装着し、フォーム状皮膚洗浄料を得た。なお、エアゾール容器に充填した原液と噴射剤の合計量は50gである。
【0068】
実施例、比較例、処方例における各原料の詳細は次の通りである。なお、表1~4に記載の量は特記しない限り「質量%」を表し、商品の量ではなく、各成分の量(有効成分の量)である。
【0069】
ミリスチン酸:EDENOR C14-99(Emery Oleochemicals社製)
パルミチン酸:EDENOR C14-99(Emery Oleochemicals社製)
ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル:コスモール168ARV(日清オイリオグループ社製)
テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル:コスモール168EV(日清オイリオグループ社製)
ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル:コスモール168M(日清オイリオ社製)
ヤシ油脂肪酸ソルビタン:レオドールスーパーSP-L10(花王社製)
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン:レオドールTW-S120V(花王社製:酸化エチレンの平均付加モル数20)
ジプロピレングリコール:ジプロピレングリコールDPG-FC(旭硝子社製)
ポリエチレングリコール:PEG-1500(三洋化成工業社製:数平均分子量1500)
ソルビトール:ソルビットL-70(三菱商事フードテック社製)
マルチトール:LYCASIN75/77(ROQUETTE社製)
グルコシルトレハロース:Tornare(林原社製)
キサンタンガム:エコーガムT(DSP五協フード&ケミカル社製)
グアーガム:スーパーゲルCSA200/50(三晶社製)
ヒドロキシプロピルセルロース:HPC-H(日本曹達社製)
ヒドロキシプロピルメチルセルロース:メトローズ60SH-4000(信越化学工業社製)
ヒドロキシエチルセルロール:HEC CF-W(住友精化社製)
トリエタノールアミン:TEA-99(ジャパンケムテック社製)
モノステアリン酸ポリエチレングリコール:エマノーン3199VB(花王社製:酸化エチレンの平均付加モル数150)
ミリスチン酸イソプロピル:エキセパールIPM(花王社製)
モノステアリン酸ポリエチレングリコール1:エマノーン3199VB(花王社製:酸化エチレンの平均付加モル数150、HLB:19.4)
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油:ブラウノンRCW-20(青木油脂社製、酸化エチレンの平均付加モル数20、HLB:9.7)
モノステアリン酸ポリエチレングリコール2:NIKKOL YMS-10V(日光ケミカルズ社製:酸化エチレンの平均付加モル数10、HLB:11.0)
【0070】
[洗浄力]
ウレタン製の白色の凹凸表面上に、市販のリキッドファンデーションを直径3cm程度塗り広げ、その上に各実施例及び各比較例のフォーム状皮膚洗浄料の泡を0.5秒間吐出させ、20秒間手の平で泡を円状に広げるようにこすり、40℃の温水で洗い流した後の汚れ落ち具合を目視評価した。なお、目視評価は、温水で洗い流しただけのメイク汚れ状態のものと対比した。結果を表1~3に示す。なお、実施例19~24については、表に記載することを省略したが、いずれの評価も◎(非常に良好)であった。
◎(非常に良好):汚れが完全に落ちている状態
○(良好):汚れがほぼ落ちているが、僅かに汚れ落ちが不十分な状態
△(不十分):僅かに汚れ落ちが確認されるものの、汚れがほぼ残っている状態
×(不良):汚れが完全に残っている状態(温水で流しただけの状態と同程度)
【0071】
キムタオル(4つ折りタイプ:日本製紙クレシア社製)の上に、各実施例及び各比較例のフォーム状皮膚洗浄料の泡を1秒間、ドーム状になるように吐出した。次いで、該ドーム状に吐出した泡の上端から20cm離れた距離から、ポンプ容器(噴霧吐出量:0.5mL/1プッシュ)に充填した精製水を2プッシュ、泡全体に噴霧し、30秒後、指先で泡表面を軽く押し、下記1点から4点の評価点に従って「泡弾力」、並びに「泡質(泡の濃密さ)」について官能評価を行った。なお、評価は、評価パネル10名で行い、最も人数の多く得られた評価点(スコア)の結果を各試料の成績とした。結果を表1~4に示す。
【0072】
[泡弾力]
◎(評価点4:非常に良好):指先で容易に泡が崩壊せず、指先を押し返すような強い弾力性を感じる
○(評価点3:良好):指先で容易に泡が崩壊せず、指先を押し返すような弾力性を感じる
△(評価点2:不十分):指先を押し返すような弾力性を若干感じるが、指先で泡が崩壊する
×(評価点1:不良):指先で容易に泡が崩壊し、指先を押し返すような弾力性を全く感じない
【0073】
[泡質(泡の濃密さ)]
◎(評価点4:非常に良好):均一且つきめ細かな気泡を有しており、非常に濃密な泡が形成されている
○(評価点3:良好):不均一ではあるがきめ細かな気泡を有しており、濃密な泡が形成されている
△(評価点2:不十分):大きな気泡が混在しており、濃密な泡の形成に劣る
×(評価点1:不良):濃密な泡が全く形成されていない(ガスが分離した状態で吐出されている)
【0074】
[泡持ち]
キムタオル(4つ折りタイプ:日本製紙クレシア社製)の上に、各実施例及び各比較例のフォーム状皮膚洗浄料の泡を1秒間、ドーム状になるように吐出した。次いで、該ドーム状に吐出した泡の上端から20cm離れた距離から、ポンプ容器(噴霧吐出量:0.5mL/1プッシュ)に充填した精製水を2プッシュ、泡全体に噴霧し、30秒後の「泡形状」、「泡のきめ細やかさ」について目視確認を行い、下記1点から4点の評価点に従って「泡もち」の評価を行った。なお、評価は、評価パネル10名で行い、最も人数の多く得られた評価点(スコア)の結果を各試料の成績とした。結果を表1~4に示す。
◎(評価点4:非常に良好):吐出直後の泡形状が維持され、泡表面のきめも細やかである
○(評価点3:良好):泡表面のきめがやや粗くなっているが、吐出直後の泡形状は維持されている
△(評価点2:不十分):泡表面に大きな気泡が認められ、吐出直後の泡形状が若干崩れ始めている
×(評価点1:不良):吐出直後の泡形状が明らかに崩壊している
【0075】
[洗浄後の肌状態(つっぱり感のなさ)]
40℃の温水で顔を洗い流してもらった後、各実施例及び各比較例のフォーム状皮膚洗浄料を用いて実際に洗顔操作を行ってもらい、頬部に泡をあて、円を描くように延び広げ、再び40℃の温水で洗い流し、タオルドライ後の感触(肌残り感)について官能評価を行い、下記1点から4点の評価点に従ってスコア付けをした。なお、評価は、評価パネル10名で行い、最も人数の多く得られた評価点(スコア)の結果を各試料の成績とした。結果を表1~4に示す。
◎(評価点4:非常に良好):しっとりとした残り感が非常に高い
○(評価点3:良好):しっとりとした残り感が高い
△(評価点2:不十分):しっとりとした残り感が少なく、つっぱり感が高い
×(評価点1:不良):しっとりとした残り感が全くなく、つっぱり感が非常に高い
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
表1~4より、成分A、成分B、成分C、及び成分Dを含有する実施例1~24のフォーム状皮膚洗浄料は、洗浄力、泡弾力、泡質(泡の濃密さ)、泡持ち、洗浄後の肌状態(つっぱり感のなさ)のいずれについても優れるものであった。一方で、成分Bを含有しない比較例1や、成分Dを含有しない比較例2のフォーム状皮膚洗浄料では、濃密な泡を形成することができなかった。また、実施例3、19~24に示すように、殺菌剤を含有する系においては、HLB9.0~13.0のポリエチレングリコール型非イオン性界面活性剤を含有する実施例22、23の泡質が好ましいことが分かる。
【0081】
以下、本発明に係るフォーム状皮膚洗浄料の処方例を示す。なお、配合量は「質量%」である。
【0082】
処方例1:
(原液)
ミリスチン酸 2.00
パルミチン酸 1.00
ステアリン酸 1.00
トリエタノールアミン 2.90
1,3ブチレングリコール 2.00
ポリエチレングリコール 2.00
キサンタンガム 0.15
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.05
アジピン酸ジイソプロピル※1 1.00
ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル
1.00
ヤシ油脂肪酸ソルビタン 1.00
モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン 1.50
モノステアリン酸ポリエチレングリコール 1.00
ソルビトール 2.00
精製水 残 部
合計 100.00
(噴射剤)
液化石油ガス(LPG) 100.00
合計 100.00
原液 95.00
噴射剤 5.00
合計 100.00
※1)アジピン酸ジイソプロピル:マットルーブDIA(成和化成社製)
【0083】
処方例2:
(原液)
ミリスチン酸 3.00
トリエタノールアミン 2.35
ジプロピレングリコール 4.00
濃グリセリン 1.00
キサンタンガム 0.15
ヒドロキシプロピルセルロース 0.10
アジピン酸ジイソブチル※2 1.00
テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル
1.00
ヤシ油脂肪酸ソルビタン 1.00
モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン 0.75
ジステアリン酸ポリエチレングリコール 0.50
ソルビトール 2.00
精製水 残 部
合計 100.00
(噴射剤)
液化石油ガス(LPG) 100.00
合計 100.00
原液 96.00
噴射剤 4.00
合計 100.00
※2)アジピン酸ジイソブチル:マットルーブDIBA(成和化成社製)
【0084】
処方例3:
(原液)
ミリスチン酸 3.00
パルミチン酸 1.00
トリエタノールアミン 3.05
ジプロピレングリコール 4.00
キサンタンガム 0.15
ヒドロキシエチルセルロース 0.10
ミリスチン酸イソプロピル 1.00
ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル 1.00
ヤシ油脂肪酸ソルビタン 0.50
モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン 0.50
ジイソステアリン酸ポリエチレングリコール 0.50
マルチトール 2.00
精製水 残 部
合計 100.00
(噴射剤)
液化石油ガス(LPG) 100.00
合計 100.00
原液 94.00
噴射剤 6.00
合計 100.00
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明のフォーム状皮膚洗浄料は、顔、手、身体、頭皮や毛髪用の洗浄料等に使用することができる。