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特許7121624グルコース測定モジュール及びグルコース測定システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-09
(45)【発行日】2022-08-18
(54)【発明の名称】グルコース測定モジュール及びグルコース測定システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/66 20060101AFI20220810BHJP
   G16H 50/30 20180101ALI20220810BHJP
   A61B 5/145 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
G01N33/66 D
G16H50/30
A61B5/145
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018188237
(22)【出願日】2018-10-03
(65)【公開番号】P2020056716
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000141897
【氏名又は名称】アークレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】日下 靖英
(72)【発明者】
【氏名】清水 威志
【審査官】倉持 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-020367(JP,A)
【文献】特表2008-506468(JP,A)
【文献】特開2016-114480(JP,A)
【文献】特表2014-524791(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0278124(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0211220(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/49,33/66,
G01N 27/416,
A61B 5/145
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己血糖測定ユニット及び持続グルコース測定ユニットに択一的に着脱可能であるとともに接続されたユニットを制御するグルコース測定モジュールであって、
いずれのユニットと接続しているかを判断する接続判断部と、
前記接続判断部によって接続された状態と判断されたユニットを制御する制御部と、を備える、グルコース測定モジュール。
【請求項2】
前記自己血糖測定ユニット又は前記持続グルコース測定ユニットが測定した測定データを外部の表示装置に送信する通信部を備える、請求項1に記載のグルコース測定モジュール。
【請求項3】
前記自己血糖測定ユニットと接続可能な第1接続部と、
前記持続グルコース測定ユニットと接続可能な第2接続部と、を備える、請求項1又は2に記載のグルコース測定モジュール。
【請求項4】
前記第1接続部及び前記第2接続部を包摂する共通接続部を備える、請求項3に記載のグルコース測定モジュール。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のグルコース測定モジュールと、
前記グルコース測定モジュールが備える前記第1接続部と接続可能な第1被接続部を備え、前記第1接続部が前記第1被接続部へ接続した状態で、自己血糖測定を行う自己血糖測定ユニットと、
前記グルコース測定モジュールが備える前記第2接続部と接続可能な第2被接続部を備え、前記第2接続部が前記第2被接続部へ接続した状態で、持続グルコース測定を行う持続グルコース測定ユニットと、を備え、
前記グルコース測定モジュールは、前記自己血糖測定ユニットと接続された状態で前記自己血糖測定ユニットの測定を制御し、また、前記持続グルコース測定ユニットと接続された状態で前記持続グルコース測定ユニットの測定を制御する、グルコース測定システム。
【請求項6】
前記自己血糖測定ユニットにおける自己血糖測定の制御及び前記持続グルコース測定ユニットにおける持続グルコース測定の制御は、前記制御部のみが実行する、請求項5記載のグルコース測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、自己血糖測定及び持続グルコース測定の両方に使用可能なグルコース測定モジュール及びれを備えたグルコース測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、糖尿病の患者等の使用者の血糖値を測定する測定器として様々な形態のものが知られている。たとえば、血糖値の測定器として、自己の指先を穿刺して得られた血液をセンサに付着させて血糖値を測定する測定器が知られている(たとえば、特許文献1参照)。この場合の測定器の一例として、いわゆるSMBG(Self Monitoring of Blood Glucose、自己血糖測定)に用いられる測定器が知られている。以下、この種の測定器を「自己血糖測定器」という。この自己血糖測定器では、測定のたびに測定器本体(以下、「SMBG本体」という。)に新しいセンサ(以下、「SMBGセンサ」という。)を装着する必要がある。
【0003】
また、たとえば、血糖値の測定器として、使用者の皮膚に装着したセンサ等により、所定の時間間隔で自動的に、かつ持続的に使用者のグルコース値を測定する測定器が知られている(たとえば、特許文献2参照)。この場合の測定器の例として、いわゆる、CGM(Continuous Glucose Monitoring、持続グルコース測定)やFGM(Flash Glucose Monitoring)に用いられる測定器が知られている。以下、この種の測定器を「持続グルコース測定器」という。この持続グルコース測定器は、通常、使用者の皮膚に装着されるセンサ(以下、「CGMセンサ」という。)が装着される本体(以下、「CGM本体」という。)として構成される。このCGMセンサは、血糖そのものではなく間質液中のグルコースを検出するものである。このCGM本体には、グルコース値の測定を制御し、また、外部の受信装置との無線通信の制御を行うプロセッサが内蔵されている。CGMセンサは通常、数日ごとの交換が必要である。
【0004】
さらに、SMBGを実施するSMBG本体と、CGMセンサを備えるとともにSMBG本体との通信機能を有するCGM器具とがセットになった、自己血糖測定器及び持続グルコース測定器の共用測定器も提供されている。この共用測定器では、使用者の皮膚に装着したCGM器具とSMBG本体との通信による持続グルコース測定が可能である。また、任意の時点で、SMBG本体にSMBGセンサを装着してこれによる自己血糖測定も可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-133890号公報
【文献】特表2017-515520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記した共用測定器では、CGMを実施するCGM器具には、前記した通信機能や測定を制御するプロセッサが内蔵されているが、CGMセンサが劣化するため、所定の期間ごとにCGM器具を新しいものに交換する必要がある。このため、元々消耗品であるSMBGセンサに加え、プロセッサを含むCGM器具も消耗品となるため、共用測定器を使用する上でのランニングコストが嵩んでいた。
【0007】
そこで本発明の実施態様は、自己血糖測定器及び持続グルコース測定器の両機能を備える血糖測定システムにおいて、制御部分を共通化するとともに消耗品となる部分を最小限にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の実施態様のグルコース測定モジュールは、自己血糖測定ユニット及び持続グルコース測定ユニットに択一的に着脱可能であるとともに接続されたユニットを制御するグルコース測定モジュールであって、いずれのユニットと接続しているかを判断する接続判断部と、前記接続判断部によって接続された状態と判断されたユニットを制御する制御部と、を備える。なお、本実施態様における「ユニット」とは、自己血糖測定ユニット及び持続グルコース測定ユニットのうちのいずれかを指す。
【0009】
本開示の第2の実施態様は、第1の実施態様の特徴に加え、前記自己血糖測定ユニット又は前記持続グルコース測定ユニットが測定した測定データを外部の表示装置に送信する通信部を備える。
【0010】
本開示の第3の実施態様は、第1又は第2の実施態様の特徴に加え、前記自己血糖測定ユニットと接続可能な第1接続部と、前記持続グルコース測定ユニットと接続可能な第2接続部と、を備える。
【0011】
本開示の第4の実施態様は、第3の実施態様の特徴に加え、前記第1接続部及び前記第2接続部を包摂する共通接続部を備える。
【0012】
本開示の第5の実施態様の自己血糖測定ユニットは、第3又は第4の実施態様のグルコース測定モジュールが備える前記第1接続部と接続可能な第1被接続部を備え、前記第1接続部が前記第1被接続部へ接続した状態で、自己血糖測定を行う。
【0013】
本開示の第6の実施態様の持続グルコース測定ユニットは、第3又は第4の実施態様のグルコース測定モジュールが備える前記第2接続部と接続可能な第2被接続部を備え、前記第2接続部が前記第2被接続部へ接続した状態で、持続グルコース測定を行う。
【0014】
本開示の第7の実施態様のグルコース測定システムは、第3又は第4の実施態様のグルコース測定モジュールと、第5の実施態様の自己血糖測定ユニットと、第6の実施態様の持続グルコース測定ユニットと、を備え、前前記グルコース測定モジュールは、前記自己血糖測定ユニットと接続された状態で前記自己血糖測定ユニットの測定を制御し、また、前記持続グルコース測定ユニットと接続された状態で前記持続グルコース測定ユニットの測定をする。
【0015】
本開示の第8の実施態様のグルコース測定システムは、第7の態様の特徴に加え、前記自己血糖測定ユニットにおける自己血糖測定の制御及び前記持続グルコース測定ユニットにおける持続グルコース測定の制御は、前記制御部のみが実行する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の実施態様では、自己血糖測定器及び持続グルコース測定器の両機能を備えるグルコース測定システムにおいて、制御部分を共通化するとともに消耗品となる部分を最小限にすることができる。これによって、自己血糖測定器及び持続グルコース測定器のどちらも使用するユーザにとって部材の保管や持ち運びがしやすくなるとともに、初期費用及びランニングコストが抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態のグルコース測定システムの外観を模式的に示す斜視図である。
図2図1において自己血糖測定ユニット及び持続グルコース測定ユニットを反対側から示した斜視図である。
図3】本発明の実施形態のグルコース測定システムの別の例を模式的に示す斜視図である。
図4】本発明の実施形態のグルコース測定システムの機能ブロック図である。
図5】制御部の機能ブロック図である。
図6】本発明の実施形態の使用状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0019】
<外観構成>
図1及び図2は、本実施形態のグルコース測定システム1の外観を模式的に示す斜視図である。なお、これら図1及び図2はあくまで模式図であり、図中に示す各部の寸法や配列、また、各部分の数や位置などは図中に描かれているとおりとは限らない。
【0020】
本実施形態のグルコース測定システム1は、グルコース測定モジュール50と、自己血糖測定用のセンサである第1センサ30が接続される自己血糖測定ユニット11と、持続グルコース測定用のセンサである第2センサ40を備える持続グルコース測定ユニット21と、を備えている。
【0021】
図1では、グルコース測定モジュール50と、自己血糖測定ユニット11と、持続グルコース測定ユニット21とが、接続方向(図中の一点鎖線矢印参照)に沿って配置されている。グルコース測定モジュール50には、共通接続部60を介して自己血糖測定ユニット11及び持続グルコース測定ユニット21のいずれかのユニットが択一的に接続可能である。なお、図2は、自己血糖測定ユニット11及び持続グルコース測定ユニット21を反対向きにして示しているが、本図に示すように、自己血糖測定ユニット11の第1被接続部19と、持続グルコース測定ユニット21の第2被接続部29とに、それぞれ共通接続部60が接続される。第1被接続部19には、グルコース測定モジュール50との電気的な接続に関与する第1端子16が設けられている。第2被接続部29には、グルコース測定モジュール50との電気的な接続に関与する第2端子26が設けられている。第1接続部61は第1被接続部19と接続可能であり、第2接続部62は第2被接続部29と接続可能である。
【0022】
なお、グルコース測定モジュール50と、自己血糖測定ユニット11と、持続グルコース測定ユニット21との接続は、必ずしも1つの共通接続部60によって行われる必要はなく、グルコース測定モジュール50は第1接続部61と第2接続部62とをそれぞれ別個の2つの接続部として有する形態としてもよく、それぞれの接続部を介して電気的な接続を行うこともできる。
【0023】
共通接続部60には、第1端子16及び第2端子26が挿入されるための共通の接続口63が形成されている。この接続口63の中には、第1端子16及び第2端子26との電気的な接続に関与する接続端子64が設けられている。この共通接続部60は、自己血糖測定ユニット11と接続可能な第1接続部61と、持続グルコース測定ユニット21と接続可能な第2接続部62とを包摂する(図4参照)。換言すると、共通接続部60は、自己血糖測定用のセンサである第1センサ30が接続される自己血糖測定ユニット11が接続可能な第1接続部61として機能するとともに、持続グルコース測定用のセンサである第2センサ40を備える持続グルコース測定ユニット21が接続可能な第2接続部62として機能する部分である。
【0024】
共通接続部60には、接続端子64を取り囲む遮蔽部65が形成されている。この遮蔽部65は、自己血糖測定ユニット11及び持続グルコース測定ユニット21が択一的に接続されている状態で、接続端子64を外部からの物理的なアクセスから遮断し電気的に保護している。さらに、この遮蔽部65の外周を、遮蔽部65よりも可撓性の高い材質(たとえば、シリコンゴム)で形成された薄層としての防水部66が設けられている。この防水部66は、自己血糖測定ユニット11及び持続グルコース測定ユニット21が択一的に接続されている状態で、接続端子64への外部からの水分の浸入を遮断する。なお、この防水部66は、自己血糖測定ユニット11の第1被接続部19及び持続グルコース測定ユニット21の第2被接続部29の側に設けることとしてもよい。
【0025】
自己血糖測定ユニット11には、グルコース測定モジュール50との接続の際に、グルコース測定モジュール50の全体が収容される陥凹空間であるモジュール収容部11Aが形成されている。また、操作案内や測定結果などを表示する表示部12と、各種操作に用いられる操作部13とが設けられている。また、第1被接続部19とは反対側の面に、センサ挿入スロット11Bが形成されている。このセンサ挿入スロット11Bにはセンサ挿入端子17が設けられている。第1センサ30の一端には、このセンサ挿入端子17との電気的な接続に関与するセンサ端子37が設けられ、他端には、自己血糖測定の際に、ユーザUの指Fの先を穿刺して採取した血液B(図6参照)が点着される点着端31が設けられている。第1センサ30は、センサ挿入スロット11Bを介して脱着自在であり、一回の測定ごとに交換可能となっている。すなわち、第1センサ30は、自己血糖測定器10における消耗品として位置づけられる。また、自己血糖測定ユニット11は、第1被接続部19と共通接続部60とを介して、グルコース測定モジュール50との間で着脱自在に接続される。
【0026】
なお、図3に示すグルコース測定システム1の別の例では、底面斜視図で示すグルコース測定モジュール50の下面に露出した接続端子64が、共通接続部60として形成されている。そして、自己血糖測定ユニット11のモジュール収容部11Aを、四方が壁面で取り囲まれる陥凹空間として形成し、その上面に露出した第1端子16を、第1被接続部19として形成する。また、持続グルコース測定ユニット21にも、自己血糖測定ユニット11と同様に四方が壁面で取り囲まれる陥凹空間としてモジュール収容部21Aを形成し、その上面に露出した第2端子26を、第2被接続部29として形成する。なお、持続グルコース測定ユニット21には、図面上は隠れているが、図1に示すのと同様の位置、具体的には、図面中奥側の下面に、第2センサ40が設けられている。各端子の形状をこのように構成することで、自己血糖測定ユニット11のモジュール収容部11Aにグルコース測定モジュール50を嵌め込むだけで、接続端子64と第1端子16とが接触し、共通接続部60と第1被接続部19とが接続される。このとき、自己血糖測定ユニット11の上面とグルコース測定モジュール50の上面とは互いに面一となる。一方、グルコース測定モジュール50のモジュール収容部21Aにグルコース測定モジュール50を嵌め込むだけで、接続端子64と第2端子26とが接触し、共通接続部60と第2被接続部29とが接続される。このとき、持続グルコース測定ユニット21の上面とグルコース測定モジュール50の上面とは互いに面一となる。この際、適宜の防水手段を各端子の周囲又はグルコース測定モジュール50の外周面若しくは各モジュール収容部11A、21Aの内周面に設けておくことが望ましい。なお、各々の端子同士が正しく接触するように、各モジュール収容部11A、21Aは、グルコース測定モジュール50が正しい方向にのみ嵌め込み可能となる形状に構成することが望ましい。
【0027】
持続グルコース測定ユニット21は、ユーザUの腹部A(図6参照)に穿刺される穿刺端41が先端に形成された第2センサ40を備えている。持続グルコース測定ユニット21は、第2被接続部29と共通接続部60とを介して、グルコース測定モジュール50との間で着脱自在に接続される。持続グルコース測定ユニット21は、前記したようにユーザUの腹部Aに持続的に装着しておくことが可能であるが、第2センサ40の劣化のため数日(たとえば6日)おきに交換されるものであり、持続グルコース測定器20における消耗品として位置づけられる。
【0028】
<機能ブロック>
図4は、本実施形態のグルコース測定システム1の機能ブロック図である。前記したように、グルコース測定システム1は、グルコース測定モジュール50と、自己血糖測定ユニット11と、第1センサ30と、持続グルコース測定ユニット21とを備えた構成となっている。そして、本実施形態のグルコース測定システム1においては、グルコース測定モジュール50は、第1センサ30が接続された自己血糖測定ユニット11と接続された状態でこの自己血糖測定ユニット11の測定を制御して自己血糖測定器10として機能させ、これを用いて自己血糖測定が行われる。また、グルコース測定モジュール50は、持続グルコース測定ユニット21と接続された状態でこの持続グルコース測定ユニット21の測定を制御して持続グルコース測定器20として機能させ、これを用いて持続グルコース測定が行われる。換言すると、グルコース測定モジュール50は、自己血糖測定ユニット11及び持続グルコース測定ユニット21のいずれかのユニットに着脱可能に接続されるとともに、接続された前記自己血糖測定ユニット11及び前記持続グルコース測定ユニット21のいずれかのユニットを制御する。
【0029】
[グルコース測定モジュール]
グルコース測定モジュール50は、制御部70、インターフェイス55、通信部51及びバッテリ52を備える。また、インターフェイス55を介して、第1接続部61及び第2接続部62としての接続端子64が接続されている。制御部70、インターフェイス55、通信部51及びバッテリ52は、バス58を介して互いに接続されている。
【0030】
制御部70は、いわゆるマイクロプロセッサであり、CPU(Central Processing Unit)71、ROM(Read Only Memory)72、RAM(Random Access Memory)73及びストレージ74といったハードウェア構成を備える。
【0031】
CPU71は、自己血糖測定器10又は持続グルコース測定器20の全体的な動作を司る。ROM72は、各種プログラム及び各種パラメータ等をあらかじめ非可逆的に記憶する。RAM73は、CPU71による各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる。ストレージ74は、フラッシュメモリ等のメモリであり、自己血糖測定ユニット11又は持続グルコース測定ユニット21が、それぞれ自己血糖測定器10又は持続グルコース測定器20として測定して得られた血糖値又はグルコース値の測定データを、これを測定した年月日及び時刻とともに可逆的に記憶する。
【0032】
通信部51は、たとえば無線トランスミッタにより構成された、無線通信を行う手段であり、外部の表示装置80(図6参照)との間で、上記した自己血糖測定ユニット11又は持続グルコース測定ユニット21が測定した測定データを含む各種情報の送信及び受信を行う。
【0033】
バッテリ52は、自己血糖測定器10又は持続グルコース測定器20の動作に必要な電源を供給する手段であり、充電可能な二次電池により構成されている。このバッテリ52は、後述するように自己血糖測定ユニット11と接続された際に、自己血糖測定ユニット11が備える充電部14により充電される。
【0034】
[自己血糖測定ユニット]
自己血糖測定ユニット11は、表示部12、操作部13、充電部14及びインターフェイス15を備える。また、インターフェイス15を介して、グルコース測定モジュール50との接続に関与する第1端子16、及び、第1センサ30との接続に関与するセンサ挿入端子17が接続されている。表示部12、操作部13、充電部14及びインターフェイス15は、バス18を介して互いに接続されている。
【0035】
表示部12は、測定結果である血糖値又はグルコース値等の各種情報や、操作案内などを表示する。操作部13は、血糖値又はグルコース値の測定の指示や測定した血糖値又はグルコース値の表示等に関する指示をユーザUが操作するために用いられる。本実施形態では、一例として表示部12は液晶モニタであり、操作部13は各種ボタン等であるが、表示部12及び操作部13の形態は特に限定されない。たとえば、表示部12と操作部13とが一体化されたタッチパネルディスプレイの形態であってもよい。
【0036】
充電部14は、前記したように、自己血糖測定ユニット11とグルコース測定モジュール50とが接続されているときに、互いのインターフェイス15、55を介してグルコース測定モジュール50のバッテリ52を充電する手段である。この充電部14は、一次電池又は二次電池により構成される。
【0037】
なお,前記したようにグルコース測定モジュール50にバッテリ52が設けられていて、これが自己血糖測定ユニット11の作動電源となるため、自己血糖測定ユニット11そのものには作動電源としてのバッテリは内蔵されていない。
【0038】
第1センサ30には、前記したようにセンサ端子37が設けられており、これによってセンサ挿入端子17を介して自己血糖測定ユニット11に接続される。
【0039】
そして、グルコース測定モジュール50と自己血糖測定ユニット11とが、第1接続部61と第1被接続部19の第1端子16とを介して接続され、かつ、自己血糖測定ユニット11と第1センサ30とがセンサ挿入端子17とセンサ端子37とを介して接続された状態で、自己血糖測定器10が構成される。すなわち、自己血糖測定ユニット11は、グルコース測定モジュール50が備える第1接続部61が第1被接続部19へ接続した状態で、自己血糖測定器10として自己血糖測定を行う。
【0040】
[持続グルコース測定ユニット]
持続グルコース測定ユニット21は、第2センサ40と、グルコース測定モジュール50との接続に関与する第2端子26とが、インターフェイス25を介して接続された構成を有する。
【0041】
そして、グルコース測定モジュール50と持続グルコース測定ユニット21とが第2接続部61と第2被接続部29の第2端子26とを介して接続されることで、持続グルコース測定器20が構成される。すなわち、持続グルコース測定ユニット21は、グルコース測定モジュール50が備える第2接続部62が第2被接続部29へ接続した状態で、持続グルコース測定器20として持続グルコース測定を行う。
【0042】
なお,前記したようにグルコース測定モジュール50にバッテリ52が設けられていて、これが持続グルコース測定ユニット21の作動電源となるため、持続グルコース測定ユニット21そのものには作動電源としてのバッテリは内蔵されていない。
【0043】
[制御部]
制御部70は、自己血糖測定ユニット11及び持続グルコース測定ユニット21を択一的に制御するものであり、前記したハードウェア構成により、CPU71が、ROM72に記憶されているプログラムを実行することにより、図5に示すような接続判断部75、第1測定制御部76及び第2測定制御部77として機能する。
【0044】
なお、グルコース測定モジュール50が第1接続部61と第2接続部62とをそれぞれ別個の2つの接続部として有する形態では、グルコース測定モジュール50が自己血糖測定ユニット11と持続グルコース測定ユニット21の両方に接続されている場合にエラー状態であると判定し、いずれのユニットも制御しない。
【0045】
接続判断部75は、グルコース測定モジュール50が、自己血糖測定ユニット11及び持続グルコース測定ユニット21のいずれのユニットと接続しているかを判断する。この判断は、様々な方法により行うことが可能である。たとえば、接続端子64のうち、第1接続部61に電気的接続が検知された場合には、接続判断部75は、自己血糖測定ユニット11が接続されていると判断する。一方、接続端子64のうち、第2接続部62に電気的接続が検知された場合には、接続判断部75は、持続グルコース測定ユニット21が接続されていると判断する。なお、接続判断部75は、接続端子64を介した抵抗値の違いにより、自己血糖測定ユニット11及び持続グルコース測定ユニット21のいずれのユニットが接続端子64に接続されているかを判断することとしてもよい。
【0046】
なお、電気的な接続とは別に、自己血糖測定ユニット11及び持続グルコース測定ユニット21のいずれのユニットが接続されたかを認識する手段を設けることとしてもよい。たとえば、グルコース測定モジュール50に手動の切替スイッチを設けて、自己血糖測定ユニット11及び持続グルコース測定ユニット21のいずれのユニットが接続されたかをこの切替スイッチで選択して初めて、これらのいずれかのユニットの接続を接続判断部75が認識することとしてもよい。また、この切替スイッチと同等の機能を、前記した通信部51を介した外部機器に担わせることとしてもよい。このように構成することで、グルコース測定モジュール50の接続端子64が水分の付着等で短絡した際に誤って起動することを防止することができる。
【0047】
制御部70は、接続判断部75によって自己血糖測定ユニット11と接続された状態と判断した場合、第1測定制御部76として、自己血糖測定ユニット11を制御する。また、制御部70は、接続判断部75によって持続グルコース測定ユニットと接続された状態と判断した場合、第2測定制御部77として、持続グルコース測定ユニット21を制御する。ここで、自己血糖測定ユニット11における自己血糖測定の制御及び持続グルコース測定ユニット21における持続グルコース測定の制御は、グルコース測定モジュール50が備える制御部70のみが実行し、自己血糖測定ユニット11及び持続グルコース測定ユニット21には測定を制御する手段は備わっていない。
<使用状態>
図6は、本実施形態のグルコース測定システム1の使用状態を模式的に示したものである。
【0048】
グルコース測定モジュール50が自己血糖測定ユニット11に接続された状態で、グルコース測定システム1は、自己血糖測定器10として機能する。本実施形態の自己血糖測定器10は、ユーザUが自己血糖測定(SMBG)に用いる。自己血糖測定器10により測定を行う場合、ユーザUは、自己の指Fの先を穿刺して得られた血液Bを第1センサ30に付着させる。自己血糖測定器10は、第1センサ30に付着された血液Bにおける血糖値を測定し、その測定結果は制御部70のストレージ74に記憶される。自己血糖測定器10による血糖値の測定は、ユーザUにより、任意のタイミングで行われる。測定を行うタイミングとしては、たとえば、食前、食後、運動前後、及び就寝前後等のうちの任意のタイミングや、ユーザUが自己の血糖値を知りたいと思ったタイミング等が挙げられる。なお、自己血糖測定器10による自己血糖測定には、病院やクリニック等で回診の際に行われるベッドサイドでの医師や看護師による血糖測定も含まれる。
【0049】
一方、グルコース測定モジュール50が持続グルコース測定ユニット21に接続された状態で、グルコース測定システム1は、持続グルコース測定器20として機能する。本実施形態の持続グルコース測定器20は、ユーザUが、持続グルコース測定(CGM)に用いる。持続グルコース測定器20により測定を行う場合、ユーザUの腹部Aの皮膚に第2センサ40の穿刺端41を穿刺して留置した状態で、所定の時間間隔で自動的に、かつ持続的に間質液中のグルコース値が測定され、その測定結果は制御部70のストレージ74に記憶される。
【0050】
グルコース測定システム1が、自己血糖測定器10及び持続グルコース測定器20のいずれとして使用される場合も、測定により得られた血糖値又はグルコース値の測定データは、グルコース測定モジュール50に内蔵される通信部51により、たとえばスマートフォンのような表示装置80に送信され、そのディスプレイ上に可視化される。また、この表示装置80のメモリに、受信した血糖値又はグルコース値のデータを記憶させることとしてもよい。
【0051】
以上のとおり、制御部70は、自己血糖測定器10と持続グルコース測定器20とで共用されるグルコース測定モジュール50に設けられているため、制御用の基板を自己血糖測定器10と持続グルコース測定器20との各々に設ける必要がない。また、持続グルコース測定ユニット21は消耗品として位置づけられるものの、その構成は、第2センサ40と第2端子26とがインターフェイス55を介して接続された極めて単純なものであり、上記したように制御用の基板などは備えていないため、消耗品としてのランニングコストを低く抑えることができる。
【0052】
<その他>
なお、表示部12及び操作部13は、自己血糖測定ユニット11に設けられる代わりに、グルコース測定モジュール50に設けられることとしてもよい。
【0053】
また、グルコース測定モジュール50はバッテリ52を備えず、その代わりに自己血糖測定ユニット11及び持続グルコース測定ユニット21がそれぞれ一次電池又は二次電池による電源を備えることとしてもよい。
【0054】
さらに、グルコース測定モジュール50の操作は、通信部51を介して外部の表示装置80によって行われることとしてもよい。
【0055】
また、バッテリ52を内蔵したグルコース測定モジュール50の第1接続部61に、第1センサ30を直接接続可能とする構成を採用することとしてもよい。その場合、自己血糖測定ユニット11は不要となり、グルコース測定モジュール50は、第1センサ30と、持続グルコース測定ユニット21とを択一的に装着可能となるため、構成をより単純化することができる。このとき、グルコース測定モジュール50に表示部12及び操作部13を設けることが望ましいが、表示部12及び操作部13の機能を、通信部51を介して表示装置80に担わせることとしてもよい。
【0056】
さらに、グルコース測定モジュール50に自己血糖測定ユニット11としての機能を組み込むこととしてもよい。その際、第1接続部61は、第1センサ30との接続部として機能するように構成される。その際、単体の自己血糖測定ユニット11は不要となる。
【0057】
また、前記実施形態では自己血糖測定ユニット11が表示部12を備えていたが、これに限られず、グルコース測定モジュール50にディスプレイ等の表示部を設けてもよいし、また、持続グルコース測定ユニット21にディスプレイ等の表示部を設けてもよい。
【0058】
さらに、第1センサ30に、たとえば、センサ端子37の形状を異にするような、いくつかの種類があり、その種類ごとに自己血糖測定ユニット11の種類も異なる場合、グルコース測定モジュール50に、接続された自己血糖測定ユニット11の種類を判別し認識する機能を備えることとしてもよい。
【0059】
また、グルコース測定モジュール50を、前記した通信部51を介して、インターネット経由で制御プログラム等の更新を可能な構成とすることとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本願発明は、自己血糖測定及び持続グルコース測定の両方に使用可能なグルコース測定システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 グルコース測定システム
10 自己血糖測定器
11 自己血糖測定ユニット
11A モジュール収容部
11B センサ挿入スロット
12 表示部
13 操作部
14 充電部
15 インターフェイス
16 第1端子
17 センサ挿入端子
18 バス
19 第1被接続部
20 持続グルコース測定器
21 持続グルコース測定ユニット
21A モジュール収容部
25 インターフェイス
26 第2端子
29 第2被接続部
30 第1センサ
31 点着端
37 センサ端子
40 第2センサ
41 穿刺端
50 グルコース測定モジュール
51 通信部
52 バッテリ
55 インターフェイス
58 バス
60 共通接続部
61 第1接続部
62 第2接続部
63 接続口
64 接続端子
65 遮蔽部
66 防水部
70 制御部
71 CPU
72 ROM
73 RAM
74 ストレージ
75 接続判断部
76 第1測定制御部
77 第2測定制御部
80 表示装置
A 腹部
B 血液
F 指
U ユーザ
図1
図2
図3
図4
図5
図6