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特許7121632繊維強化材パネルを製造するためのモジュラー金型および繊維強化材パネルの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-09
(45)【発行日】2022-08-18
(54)【発明の名称】繊維強化材パネルを製造するためのモジュラー金型および繊維強化材パネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 43/36 20060101AFI20220810BHJP
   B64C 1/00 20060101ALI20220810BHJP
   B64C 1/12 20060101ALI20220810BHJP
   B64F 5/10 20170101ALI20220810BHJP
   B29C 33/38 20060101ALI20220810BHJP
   B29C 70/16 20060101ALI20220810BHJP
   B29C 70/42 20060101ALI20220810BHJP
   B29C 43/12 20060101ALI20220810BHJP
   B32B 3/28 20060101ALI20220810BHJP
   B29K 105/08 20060101ALN20220810BHJP
   B29L 31/30 20060101ALN20220810BHJP
【FI】
B29C43/36
B64C1/00 B
B64C1/12
B64F5/10
B29C33/38
B29C70/16
B29C70/42
B29C43/12
B32B3/28 C
B29K105:08
B29L31:30
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018203392
(22)【出願日】2018-10-30
(65)【公開番号】P2019081361
(43)【公開日】2019-05-30
【審査請求日】2021-07-28
(31)【優先権主張番号】17382732.0
(32)【優先日】2017-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511000201
【氏名又は名称】エアバス オペレーションズ、ソシエダ リミタダ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イケル ヴァレス デ メンディザバル アロンソ
(72)【発明者】
【氏名】エステバン マルティーノ - ゴンザレス
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィッド アペジャーニス デ ラ フエンテ
【審査官】北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-217678(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101665001(CN,A)
【文献】特表2012-525279(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0097323(US,A1)
【文献】特開昭51-081858(JP,A)
【文献】特開2014-037101(JP,A)
【文献】特開2001-150457(JP,A)
【文献】特開平04-062143(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 43/00-43/58
B29C 33/00-33/76
B29C 70/00-70/88
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維強化材料の層(10)を有するパネルを製造するためのモジュラー金型であって、前記繊維強化材料の層(10)が、波状の台形断面を有する中空セル(3)を形成するように構成された前記モジュラー金型において、
前記モジュラー金型は、各中空セル(3)を形成するための少なくとも3つの成型バーを備え、1つの成型バー(4)が台形の断面形状を有し、2つの成型バー(5)が三角形の断面形状を有し、前記台形の成型バー(4)が、前記2つの三角形の成型バー(5)の間に位置するように構成され、
前記3つの成型バーは、共に設置されたときに、断面が中空セル(3)の台形断面の形状を形成するように構成されていることを特徴とするモジュラー金型。
【請求項2】
六角形の中空セル(3)を形成するように、各中空セル(3)用に追加の3つの成型バー(6、7)を備え、1つの成型バー(7)が台形の断面形状を有し、2つの成型バー(6)三角形の断面形状を有し、前記台形の成型バー(7)が前記2つの三角形の成型バー(6)の間に位置するように構成され、前記6つの成型バー(4、5、6、7)は、共に設置されたときに、前記六角形の中空セル(3)を形成するように構成されている、請求項1に記載のモジュラー金型。
【請求項3】
前記六角形の中空セル(3)は、リエントラントのオーセチックの六角形の中空セル(3)である、請求項2に記載のモジュラー金型。
【請求項4】
前記台形断面形状の成型バー(4、7)は、前記台形の成型バー(4、7)の底辺に垂直で、台形の成型バー(4、7)の長手方向と角度を有する傾斜面(12)によって2つの部分に分割されるようになっている、請求項2または請求項3に記載のモジュラー金型。
【請求項5】
前記台形の断面形状の成型バー(4、7)および前記三角形の成型バー(5、6)は、前記成型バー(4、5、6、7)の長手方向と角度を有する傾斜面(13)によって2つの部分に分割されるようになっている、請求項2または請求項3に記載のモジュラー金型。
【請求項6】
繊維強化材料の層(10)を含むパネルを製造する方法であって、前記繊維強化材料の層(10)は、波状の台形断面を含む中空セル(3)を形成するように構成される、前記方法において、
断面に垂直なパネルの第1の面に向かって開いた中空セル(3)用に、前記パネルの第1の面に平行な長手方向軸線を有する3つの成型バー(4、5)を提供するステップであって、1つの成型バー(4)が台形の断面形状を有し、2つの成型バー(5)が三角形の断面形状を有し、前記台形の成型バー(4)が前記2つの三角形の成型バー(5)の間に位置するように構成され、前記3つの成型バー(4、5)が、共に設置されたときに、断面が中空セル(3)の台形断面の形状を形成するように構成された前記3つの成型バー(4、5)を提供するステップと、
前記パネルの第1の面に向かって開いたそれぞれの中空セル(3)に対して、三角形および台形の成型バー(4、5)の後続のグループを追加するステップと、
前記3つの成型バー(4、5)上に、および3つの成型バー(4、5)の隣接する2つのグループの間に位置する領域の上に補強層(10)を提供して波状の断面を形成するステップと、
前記3つの成型バー(4、5)の隣接する2つのグループの間の領域に位置する前記補強層(10)の上に、別の3つの成型バーを提供するステップであって、1つの成型バー(4)が台形の断面形状を有し、2つの成型バー(5)が三角形の断面形状を有し、前記台形の成型バー(4)は前記2つの三角形の成型バー(5)の間に位置するように構成され、前記3つの成型バー(4、5)は、共に設置されたときに前記第1の面に平行な前記パネルの第2の面に向かって開いた前記中空セル(3)の台形の断面形状を有するように構成される、別の3つの成型バーを提供するステップと
前記補強層(10)を硬化させるステップと、
前記成型バー(4、5)を離型するステップと
を含む方法。
【請求項7】
前記パネルの前記第1の面に向けて開いた前記3つの成型バー(4、5)を提供するとき、前記2つの三角形のバー(5)が最初に位置決めされ、その後、前記台形のバー(4)が、短底辺を前記パネルの前記第1の面に隣接するように前記2つの三角形のバー(5)の間に提供される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記3つの成型バー(4、5)を前記パネルの前記第1の面上に提供するとき、最初に前記台形のバー(4)が長底辺を前記パネルの前記第1の面に隣接させて提供され、その後、前記2つの三角形のバー(5)が前記パネルの前記第2の面に底辺を隣接させて提供される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記波状のセル(3)の上部の前記補強層(10)の上に材料シート(14)を提供するステップを含む、請求項6から請求項8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
隣接するセル(3)の2つの繊維強化層(10)の間に材料シート(14)を提供するステップを含む、請求項6から請求項9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記成型バー(4、5)と前記補強層(10)との間に材料シート(14)を提供するステップを含む、請求項6から請求項10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記パネルの前記第1の面の上に第1の外層(1)を提供するステップを含む、請求項6から請求項11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記パネルの前記第2の面の上に第2の外層(11)を提供して、2つの外層(1、11)とコアの強化層(10)とを有するサンドイッチパネルを形成するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続繊維(炭素、アラミド、ガラス、UHMWPE、PBO、ポリプロピレン、・・・)を用いて、潜在的な衝撃エネルギー吸収のための代替材料(セラミックス、エラストマー、金属、・・・)。を埋め込む可能性を有するパネル用のオーセチック挙動または波状の形状を生成するモジュラー金型に関するものである。
【0002】
このようなコア構成の主な用途は、プロペラブレードリリース(PBR)または非保持エンジンロータ障害(UERF)などの潜在的な危険事象から航空機システムおよび機体を保護するための軽量防弾シールドとしてであり、これは、高度に統合されたオープンロータまたは境界層摂取後端エンジン駆動型航空機構成において特に有利となる。
【背景技術】
【0003】
自然界に見られる従来の材料は、正のポアソン比を有し、ポアソン比の式に従って、延伸されたとき、そして圧縮された後に、より薄くなる。
【数1】
【0004】
したがって、ポアソン比は、横方向の歪みを縦方向の歪みで割った負の値として定義される。
【0005】
負のポアソン比を有するオーセチックと呼ばれる反対の挙動を示す材料または構造の形状構成が存在し、延伸されたとき、それらは加えられた力に対して垂直に厚くなり、圧縮されると薄くなる。したがって、オーセチック材料に一方向の引っ張り力を加えると、横方向の寸法が大きくなる。圧縮と同等である衝突時の前記構成の挙動は、これらの構成の負のポアソン特性のために衝撃領域の周囲に物質を集中させることである。
【0006】
多くの場合、これは、材料の内部マクロ構造の特定の幾何学的形状によって達成可能である。例えば、従来のハニカム形状上の垂直要素の位置を変えることによって、オーセチック材料構成を得ることができる。
【0007】
ハニカム形状は、通常、サンドイッチ構造のコアとして使用される。このようなサンドイッチ構造の目的は、剛性があり、かつ同時に軽い部品を達成することである。サンドイッチ構造は、比較的厚い軽量コアによって分離された2つの比較的薄い剛性のある強い面からなる。
【0008】
最も関連性のある利点のいくつかは、以下のものである。
・同じパネル剛性で、サンドイッチ構造は、そのモノリシック構造の対応物よりも軽量である。
・製造時間とコストの大幅な削減。
・圧縮/引張負荷時の大きな機械的特性。
・大きな比剛性および強度。
・大きなねじり剛性。
・音響減衰特性および断熱性。
【0009】
ハニカムコアサンドイッチ構造では、上記の利点の全てが費用対効果の高い方法で得られる。この概念は、耐衝撃性コアを構造要素内に埋め込み、かなりの重量の利益を得るために利用することができる。それらの耐衝撃性コアは、パネル内の構造的完全性を達成するために、ハニカムパターンで成型することができる。ハニカムサンドイッチコアは、バリスティック材料から金属およびそれらの同類に至るまで、幅広い種類の材料で製造することができる。
【0010】
通常、波状形状及びそれらの派生物、ハニカム形状は、成型によって製造されない。金属波状コアは、通常、薄い金属シートを曲げることによって製造される。波状パネルを製造するための金型の使用は、オーセチックコア形状として、連続繊維炭素ラミネートおよび/またはバリスティックファイバーから代替の幾何学的形状のコアを作製するために、実現可能である。連続繊維炭素ラミネートまたはバリスティックラミネートコアの場合、その皮を一体化する前にサンドイッチコアを安定させるために型が必要である。
【0011】
複合外装材は、典型的には、金属、布、及びセラミックスなどの異なる材料の層から構成される。それらは同等の完全金属製の外装材よりも軽いものの、統合された構造には依然として重大な重量的問題がある。この重量は、範囲、速度、揚力のパフォーマンスにペナルティを課す可能性のある航空機にとって特に重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、航空機の機体およびシステムにおける高エネルギー衝突に対する軽量保護としての後の使用のために、連続繊維炭素またはバリスティックラミネートのオーセチック挙動パネルを製造するための金型および方法を提供することである。
【0013】
本発明の対象である金型は、衝撃吸収材料を軽量バリスティック布の積層材内に埋め込むことができるように製造することができる。したがって、セラミックス材料または他の高圧縮強度材料を積層材に加えて複合外装材を形成することができる。
【0014】
パネルは、波状の台形断面を含む中空セルを形成する繊維強化層タイプのパネルである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
金型は、各中空セルを形成するための少なくとも3つの成型バーを含み、1つの成型バーは台形の断面を有し、2つの成型バーは三角形の断面を有し、台形の成型バーは、2つの三角形の成型バーの間に位置するように構成され、3つの成型バーは、共に設置されたときに、その断面が中空セルの台形断面の形状を形成するように構成される。
【0016】
クレームされた金型の主な利点の1つは、そのモジュール性であり、それは、波状または六角形のパターンの両方を生成するために使用することができ、余分な部品を必要とせずにリエントラントまたはオーセチック形状を生成することもできることである。これは金型間の共通性を提供する。この金型はまた、開いたセルを生成することができ、必要に応じて補強材または衝撃吸収材の両方を埋め込むことができる閉じたセルを生成することができる。金型は、金型から作られた幾何学的形状が問題なく容易に除去されるように設計されている。
【0017】
分かり易くするために、凸ではない、すなわち凹である多角形を、「リエントラント」とも呼ぶ。凹面多角形は、常に少なくとも1つの反射内角、つまり180度と360度の間の大きさの角度を有する。
【0018】
金型は、ALMの3D印刷技術または任意の他の従来技術を使用して製造することができる。これらの技術を使用して、本発明のモジュール性は、異なる構成の高速なプロトタイプ作製のために利用することができる。初期の開発段階でのコスト削減または生産率の低い部品におけるコスト削減にもつながる可能性がある。
【0019】
説明したように、金型は、波状およびリエントラント(オーセチック)構成を達成することができるモジュールの組み合わせから構成されなければならない。モジュール性を利用して、開いたセルまたは閉じたセルを製造することができる。金型自体はいくつかの部品で製造される。これらの部品間の互換性により、金型は、同じ工具を使用して異なる構成を製造するための特徴的な柔軟性およびモジュール性を提供する。
【0020】
金型は、そのモジュラー形状を適切に統合し、実行可能で容易な離型プロセスを可能にするために、いくつかの成型部品を必要とする。基本単位は、台形形状の成型バーと2つの三角形形状の成型バーである。台形成型バーは、2つの異なる基部長さを有する。台形成型バーの向きに応じて、設定された幾何学的形状が生成され、大きな基部がパネルの第1の面の上にある場合は波状になり、大きな基部がパネルの第1の面と反対の場合はリエントラントになる。三角形部品は台形部品に組み立てられる。波状セル形状の場合には、台形及び三角形部品を金型内に既に組み込んだ状態で配置することができるが、リエントラントセルの場合、この組立は、最初にセル毎に金型内に三角形部品を取り付けた後、台形部品を組み立てる成型プロセス時に実行しなければならない。
【0021】
したがって、モジュールの上記の組み合わせは、波状およびリエントラント(オーセチック)構成を達成することができ、また、部品間の互換性も可能にする。
【0022】
上記のような繊維強化材料のパネルを製造するための方法もまた、本発明の目的であり、以下のステップを含む。
・断面に垂直なパネルの第1の面に向かって開いた中空セル用に、パネルの第1の面に平行な長手方向軸線を有する3つの成型バーを提供するステップであって、1つの成型バーは台形の断面形状を有し、2つの成型バーは三角形の断面形状を有し、台形の成型バーは、2つの三角形の成型バーの間に位置するように構成され、3つの成型バーは、共に設置されたときに、その断面が中空セルの台形断面の形状を形成するように構成されるステップ。
・パネルの第1の面に向かって開いたそれぞれの中空セルに対して、三角形および台形の成型バーの後続のグループを追加するステップ。
・3つの成型バー状に、および3つの成型バーの隣接する2つのグループの間に位置する領域の上に補強層して波状の断面を形成するステップ。
・3つの成型バーの隣接する2つのグループの間の領域に位置する補強層の上に、別の3つの成型バーを提供するステップであって、1つの成型バーは台形の断面形状を有し、2つの成型バーは三角形の断面形状を有し、台形の成型バーは2つの三角形の成型バーの間に位置するように構成され、3つの成型バーは、共に設置されたときに、第1の面に平行なパネルの第2の面に向かって開いた中空セルの台形の断面形状を有するように構成されるステップ。
・補強層を硬化させるステップ。
・成型バーを離型するステップ。
【0023】
金型の目的は、樹脂トランスファー成型(RTM)または真空バッグプロセスによって、既存の構造に追加することができるか、または航空機の構造部品の一部とすることができる遮蔽構成を得ることである。このような保護の適用は、オープンロータまたは境界層摂取アーキテクチャなどの高度に統合された後端エンジン駆動型航空機構成において特に有利であり、プロペラブレードリリース(PBR)およびエンジン破片(収容されていないエンジンロータ故障の小片およびサードディスク)の胴体への高エネルギー衝突に対する安全性の懸念から保護規定(シールド)が必要とされ、こうして構造体の大きさを決定することになる。これは、従来の最先端の保護解決方法策が適用された場合には、大きい重量的負担をもたらす結果となる。
【0024】
説明を完成し、本発明のより良い理解を提供するために、一組の図面が提供される。この図面は、説明の不可欠な部分を形成し、本発明の好ましい実施形態を示す。図面は以下の図を含む。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】金型および波状サンドイッチパネルの第1の実施形態の断面図を示す。
図2】金型およびリエントラントサンドイッチパネルの第2の実施形態の断面図を示す。
図3】六角形の中空セルを有する金型および波状サンドイッチパネルの第3の実施形態の断面図を示す。
図4】リエントラント六角形中空セルを有する金型およびオーセチックサンドイッチパネルの第4の実施形態の断面図を示す。
図5図1に係るサンドイッチパネルの製造方法を示す。
図6図2に係るサンドイッチパネルの製造方法を示す。
図7図1に係る金型の離型方法を示す。
図8図2に係る金型の離型方法を示す。
図9】閉じたセルの離型構成の第1の実施形態を示す。
図10】閉じたセルの離型構成の第2の実施形態を示す。
図11図9の実施形態の離型ステップを示す。
図12図10の実施形態の離型ステップを示す。
図13】潜在的な高エネルギー衝撃吸収のための代替材料が埋め込まれたサンドイッチパネルを示す。
【発明の詳細な説明】
【0026】
図1は、より具体的にサンドイッチパネルに対応するモジュラー金型および関連するパネルの一実施形態を開示する。サンドイッチパネルは、2つの外層(1、11)と、外層(1、11)の間に位置し、波状の台形の断面を含む中空セル(3)を形成する繊維強化層(10)からなるコア(2)とを含む。金型は、各中空セル(3)を形成するための少なくとも3つの成型バー(4、5)を含み、1つの成型バー(4)は台形の断面形状を有し、2つの成型バー(5)は三角形の断面形状を有し、台形の成型バー(4)は、2つの三角形の成型バー(5)の間に位置し、3つの成型バーは、共に設置されたときに中空セル(3)の台形断面の形状を有する。外層(1、11)は、均質な材料、例えば、金属材料で作ることができる。
【0027】
図2は、中空セル(3)がリエントラントの形状を含み、したがってオーセチックサンドイッチパネルを画定する別の一実施形態を開示する。
【0028】
図1において、中空セル(3)の形状は、2つの三角形のバー(5)をその基部がパネルの第1の面の上に、より具体的には第1の外層(1)の上に置いた状態で配置し、台形のバー(4)をその短い基部が三角形のバー(5)の基部および第1の外層(1)に隣接して配置することによって得られる。図5は、開いたセル(3)の成型プロセスを示す。
【0029】
図2において、リエントラントの形状は、台形のバー(4)をパネルの第1の面、より具体的には、第1の外層(1)の上に、その幅広の基部が第1の外層(1)に隣接して配置し、その後、2つの三角形のバー(5)をその基部が第2の外層(11)に隣接するように配置することによって形成される。図6は、開いたセル(3)の成型プロセスを示す。
【0030】
図3および図4は、前述の構成を有する三角形(5、6)および台形(4、7)の成型バーの積み重ねられた列によって形成された閉じた中空セル(3)を示す。前の設計を拡張して、開いたセル(3)構成から閉じたセル(3)構成を得ることができる。成型プロセスは、開いたセル(3)構成に対して行われたものと同様である。このプロセスは、必要に応じて積層されるセル(3)の数だけ複製可能である。
【0031】
具体的には、金型は、各中空セル(3)に対して追加の3つの成型バー(6、7)を含み、これによって六角形の中空セル(3)が実施され、1つの成型バー(7)は台形の断面形状を有し、2つの成型バー(6)は三角形の断面形状を有し、台形の成型バー(7)は、2つの三角形の成型バー(6)の間に位置し、3つの成型バー(4、6)および追加の3つの成型バー(6、7)は、6つの成型バー(4、5、6、7)が一緒になって六角形の中空セル(3)が形成されるように、パネルの面に平行な、より具体的には2つの外層(1、11)に平行な対称面と共に配置されるように構成される。
【0032】
既に説明したように、成型バーは、台形の成型バー(4、7)がどのように配置されるかに応じて、六角形の中空セル(3)またはリエントラントの中空セル(3)の2つの異なる実施形態を形成できる。
【0033】
図5および図6によれば、本実施形態のサンドイッチパネルの製造方法は、以下のステップを含む。
・第1の外層(1)を提供するステップ。
・第1の外層(1)に向かって開いた各中空セル(3)に対して、第1の外層(1)の上に、多数の3つの成型バー(4、5)を提供するステップであって、1つの成型バー(4)は、台形の断面形状を有し、2つの成型バー(5)は、三角形の断面形状を有し、台形の成型バー(4)は、2つの三角形の成型バー(5)の間に位置するように構成され、3つの成型バー(4、5)は、共に設置されたときにその断面が中空セル(3)の台形断面の形状を形成するように構成されるステップ。
・成型バー(4、5)と、隣接する成型バー(4、5)の間に位置する第1の外層(1)の一部の上に繊維積層強化コア層を提供するステップ。
・隣接する成型バー(4、5)の間に位置する強化コア層(10)の上に3つの成型バーを提供するステップであって、1つの成型バー(4)は台形の断面形状を有し、2つの成型バー(5)は三角形の断面形状を有し、台形の成型バー(4)は2つの三角形の成型バー(5)の間に位置するように構成され、3つの成型バー(4、5)は、共に設置されたときに第2の外層(11)に開いた中空セル(3)の台形断面の形状を有するように構成されるステップ。
・硬化させるステップ。
・成型バー(4、5)を離型するステップ。
【0034】
開いた中空セル(3)の離型プロセスのために、図8に示されているようなリエントラント形状の場合には、成型品の反対側で離型を行わなければならない。台形の成型バー(4)は、両方の三角形の成型バー(5)を適所に保持する成型バーであるため、最初に引き出す必要がある。台形形状(4)が除去された直後に、三角形形状(5)を引き出すことができる。波状形状の場合、台形(4)および三角形(6)のバーを同時に外すことができる。
【0035】
閉じた中空セル(3)構成の場合、離型は、セル(3)の長手方向においてのみ行われ得る。そうするために、2つの異なる方法がある。
【0036】
図9は、三角形の成型バー(5、6)が変更されずに維持され、台形の断面形状の成型バー(4、7)が、台形バー(4、7)の基部に直交して成型バー(4、7)の長手方向とある角度を形成する傾斜面(12)によって2つの部分に分割され、セル(3)方向の離型を容易にする第1の離型実施形態を示す。
【0037】
離型シーケンスは、オープンセル(3)構成で行われるものとは異なる。面外方向の抽出はオプションではない。その結果、成型バー(4、5、6、7)は、図11に見られるように、開いた側面から引き出されなければならない。
【0038】
より具体的には、各三角形部品(5、6)は、台形部品(4、7)の分割部に結合され、これらの部分はユニットを形成する。これらのユニットは、台形成型バー(4、7)の基部に直交して台形成型バー(4、7)の長手方向とある角度を形成する垂直傾斜分割面(12)によって予め定められた離型方向に引き出される。一部は、セル(3)の長手方向の一方向に第1ステップで引き出され、残りは、セル(3)の反対の長手方向に第2ステップで引き出される。これは図11に概略的に示されている。
【0039】
図10は、台形の断面形状の成型バー(4、7)および三角形の成型バー(5、6)の両方が、長手方向に台形および三角形バー(4、5、6、7)の基部に対して直交する平面に直交し、成型バー(4、5、6、7)の長手方向とある角度を形成する傾斜面(13)によって2つの部分に分割される離型プロセスの第2の実施形態を示す。傾斜面(13)は垂直ではなく水平に配置され、離型を容易にするために、セル毎に隣接するすべての部品、台形および三角形の部品(4、5、6、7)を切断しなければならないため、第1の実施形態よりも達成される共通性が低い。この場合、成型バー(4、5、6、7)は、より多くの部品を同時に取り外すことができるように、ジョイントによって3つのグループに結合することができる。
【0040】
離型プロセスは、第1の実施形態と同様である。部品はまた、水平傾斜した分割平面(13)の離型方向によって予め規定された状態で離型されなければならない。このプロセスは、図12に詳述されている。第1のステップでは、セル(3)の別の長手方向に内側セル(3)部分が引き出され、第2のステップで残りの部分がセル(3)の反対の別の長手方向に引き出される。
【0041】
金型およびプロセスはまた、図13に見られるように、異なる種類の材料を埋め込む機会を与え、材料シート(14)は、中空セル(3)の頭部で外層(1、11)とコア層(10)との間に位置し、材料シート(14)はまた、隣接するセル(3)の2つの繊維強化層(10)の間に、または成形バー(4、5)と強化層(10)との間にさえ設けられる。これは、高エネルギーで発生しやすい衝撃セル面にとって特に興味深い。これらの材料は、高圧縮強度材料から衝撃吸収ポリマーまで様々である。これらの埋め込み可能な材料のいくつかの例は、セラミックス、エラストマー、金属とすることができる。
図1
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図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13