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特許7121639トンネル間連結シールド機、及びトンネル間連結方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-09
(45)【発行日】2022-08-18
(54)【発明の名称】トンネル間連結シールド機、及びトンネル間連結方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/06 20060101AFI20220810BHJP
   E21D 9/00 20060101ALI20220810BHJP
   E21D 11/10 20060101ALI20220810BHJP
   E21D 9/04 20060101ALI20220810BHJP
   E21D 13/00 20060101ALN20220810BHJP
【FI】
E21D9/06 301D
E21D9/00 Z
E21D11/10 Z
E21D9/04 F
E21D13/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018212166
(22)【出願日】2018-11-12
(65)【公開番号】P2020079485
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】浜口 幸一
(72)【発明者】
【氏名】増田 湖一
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特公昭47-018470(JP,B1)
【文献】特開2010-018969(JP,A)
【文献】特開平03-176591(JP,A)
【文献】特開平09-242473(JP,A)
【文献】特開平10-292772(JP,A)
【文献】特開2004-052229(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 9/06
E21D 9/00
E21D 11/10
E21D 9/04
E21D 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔をあけて設けられた既設トンネル同士の間を掘進し、該既設トンネル間を接続する拡幅トンネルを構築するためのトンネル間連結シールド機であって、
四方をスキンプレートで覆って前進可能に設けられ、シールド機内を掘削室と覆工部材を組み立てる覆工組立室とを前後方向に区画する隔壁を有するシールド本体と、
前記掘削室に設けられ、前記掘削室から切羽側の地山を掘削可能に設けられた掘削装置と、
を備え、
前記スキンプレートは、天板プレート、底板プレート、及び左右両側のサイドプレートからなり、
左右一対の前記サイドプレートは、それぞれの上端部及び下端部が一方の前記既設トンネルの外壁に対して液密な状態で前後方向にスライド可能に当接し、
前記スキンプレートは、左右方向に分割され、分割された前記スキンプレートが左右方向に相対的にスライド可能に設けられていることを特徴とするトンネル間連結シールド機。
【請求項2】
前記シールド本体には、前記サイドプレートから前方に向けて突出可能なサイドプロテクターが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のトンネル間連結シールド機。
【請求項3】
前記シールド本体は、全体が外部の地山及び前記既設トンネルに対して液密に接する止水構造をなしていることを特徴とする請求項1又は2に記載のトンネル間連結シールド機。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のトンネル間連結シールド機を使用して前記既設トンネル間を接続する拡幅トンネルを施工するトンネル間連結方法であって、
前記既設トンネルの側壁のうち前記シールド本体の前方に位置する掘削領域に開口を設ける工程と、
前記掘削装置によって前記シールド本体の前方の前記掘削領域の地山を掘削するとともに、掘削土砂を前記掘削室に取り込み、前記隔壁を介して前記覆工組立室側に排出する工程と、
掘削した前記掘削領域に位置するように前記シールド本体を前進させる工程と、
前記シールド本体の前進とともに、前記既設トンネルの外壁と前記サイドプレートとが離間しないように、左右に分割されている前記スキンプレートをスライドする工程と、
前記覆工組立室で覆工部材を組み立てる工程と、
を有していることを特徴とするトンネル間連結方法。
【請求項5】
前記トンネル間連結シールド機による掘進方向は、前記既設トンネル間の離隔が最小となる位置から発進し、前記離隔が最大となる位置へ向けて掘進するようにしたことを特徴とする請求項4に記載のトンネル間連結方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル間連結シールド機、及びトンネル間連結方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大規模な道路トンネルにおける大断面の地中空洞をなす分岐合流部の施工方法として、例えば特許文献1に示されるように、構築される分岐合流部の外殻部に覆工躯体構造を先行して施工し、その後で覆工躯体構造の内側を掘削することにより施工している。
【0003】
このような覆工躯体構造としては、分岐合流部の外殻部においてシールド工法により複数の外殻トンネルを周方向に間隔をあけて施工し、さらに凍結工法等により地盤防護工を施工してから周方向に隣り合う外殻トンネル同士の間を切り開いて、鉄筋や型枠を組み立てた後、コンクリートを打設することにより構築されるものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-184899号公報
【文献】特開2017-145571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の覆工躯体構造のように外殻トンネル同士の間を切り開く際には、凍結工法等により地盤防護工を施工してから掘削作業を行っているが、改良地山を露出した状態で掘削することになる。凍結工法は、安全確実に地山防護を施す工法であるが、大規模掘削等においてさらに安全性を高めるためには、掘削中も支保工やコンクリート吹付け等の支保作業を補助的に行うことが考えられるが、手間と時間がかかるという問題があった。さらに、このような方法では、改良地山が露出していることから、作業の安全性の観点でも改善の余地があった。
【0006】
さらに、改良地山の露出部分に対して例えば鋼板等で掘削領域を囲う防護プロテクターを設け、防護プロテクターないで掘削し、さらに順次、防護プロテクターを前方に移動させる施工方法もある。ところが、防護プロテクターは所定の大きさに設定されていることから、トンネル間の離隔の変化に対応することが困難となっていた。
【0007】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、地山の露出を抑えて安全に、かつ効率よく掘削することができ、しかもトンネル間の離隔の変化に対応できるトンネル間連結シールド機、及びトンネル間連結方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係るトンネル間連結シールド機は、間隔をあけて設けられた既設トンネル同士の間を掘進し、該既設トンネル間を接続する拡幅トンネルを構築するためのトンネル間連結シールド機であって、四方をスキンプレートで覆って前進可能に設けられ、シールド機内を掘削室と覆工部材を組み立てる覆工組立室とを前後方向に区画する隔壁を有するシールド本体と、前記掘削室に設けられ、前記掘削室から切羽側の地山を掘削可能に設けられた掘削装置と、を備え、前記スキンプレートは、天板プレート、底板プレート、及び左右両側のサイドプレートからなり、左右一対の前記サイドプレートは、それぞれの上端部及び下端部が一方の前記既設トンネルの外壁に対して液密な状態で前後方向にスライド可能に当接し、前記スキンプレートは、左右方向に分割され、分割された前記スキンプレートが左右方向に相対的にスライド可能に設けられていることを特徴としている。
【0009】
また、本発明に係るトンネル間連結方法は、上述したトンネル間連結シールド機を使用して前記既設トンネル間を接続する拡幅トンネルを施工するトンネル間連結方法であって、前記既設トンネルの側壁のうち前記シールド本体の前方に位置する掘削領域に開口を設ける工程と、前記掘削装置によって前記シールド本体の前方の前記掘削領域の地山を掘削するとともに、掘削土砂を前記掘削室に取り込み、前記隔壁を介して前記覆工組立室側に排出する工程と、掘削した前記掘削領域に位置するように前記シールド本体を前進させる工程と、前記シールド本体の前進とともに、前記既設トンネルの外壁と前記サイドプレートとが離間しないように、左右に分割されている前記スキンプレートをスライドする工程と、前記覆工組立室で覆工部材を組み立てる工程と、を有していることを特徴としている。
【0010】
本発明では、既設トンネル同士の間を四方をスキンプレートで覆われたシールド本体内の掘削装置で掘削しつつ前進させることができる。そして、左右に分割されたスキンプレートを互いに近接離反する方向にスライドさせることで、シールド本体の左右方向の幅寸法を変更することができる。そのため、既設トンネル同士の間の離隔が変化する場合であっても、その離隔に合わせてシールド本体の幅寸法を調整することができ、スキンプレートと既設トンネルとの間の隙間を常に塞いだ状態で地山の防護をして掘進することができる。
このように本発明では、既設トンネル間の地山の露出を最低限にして掘進することができるため、地山の崩落を防止することができ、安全で確実な工法となる利点がある。
【0011】
また、本発明では、スキンプレートの上端部及び下端部が一方の既設トンネルの外壁に対して液密な状態で前後方向にスライド可能に当接しているため、前後方向にスライドさせて移動させる際にも既設トンネルの外壁に対して液密な状態を維持することができる。
【0012】
また、本発明に係るトンネル間連結シールド機は、前記シールド本体には、前記サイドプレートから前方に向けて突出可能なサイドプロテクターが設けられていることを特徴としてもよい。
【0013】
この場合には、掘削前にサイドプロテクターを前方に向けて突出することにより、既設トンネルと掘削領域の地山とをサイドプロテクターによって遮断でき、既設トンネルが掘削領域の地山に対して開放されることを最低限とすることができる。そのため、既設トンネルにおいて掘削中の地山が露出する状態が最低限となるので、安全で確実な掘削作業により拡幅トンネルを施工することができる。
【0014】
また、本発明に係るトンネル間連結シールド機は、前記シールド本体は、全体が外部の地山及び前記既設トンネルに対して液密に接する止水構造をなしていることが好ましい。
【0015】
この場合には、掘削時において、相対的に左右方向にスライド可能なスキンプレートの部分を含み、シールド本体全体が外部の地山及び既設トンネルに対して液密に接して止水された状態を維持することができる。
【0016】
また、本発明に係るトンネル間連結方法は、前記トンネル間連結シールド機による掘進方向は、前記既設トンネル間の離隔が最小となる位置から発進し、前記離隔が最大となる位置へ向けて掘進するようにしたこととしてもよい。
【0017】
この場合には、既設トンネル同士の間の離隔が最小となる位置から発進して、その離隔が最大となる位置へ向けて掘進することで、施工効率を向上させることができる。この場合、既設トンネル同士の間の間隔が最も小さい箇所でトンネル間連結シールド機を組み立てることができるので、組み立て領域の周囲の地山条件の良い箇所で安全に組立作業を行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のトンネル間連結シールド機、及びトンネル間連結方法によれば、地山の露出を抑えて安全に、かつ効率よく掘削することができ、しかもトンネル間の離隔の変化に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態による分岐合流部の外殻部における外殻トンネル同士の間を連結シールド機によって拡幅掘削する施工状態を示す斜視図である。
図2】分岐合流部の概略施工状態を示す斜視図である。
図3】(a)は外殻トンネルを施工中の状態をトンネル方向から見た断面図、(b)は(a)の覆工躯体構造の内側を掘削して構築された分岐合流部の断面図である。
図4】連結シールド機の構成を斜め前方から見た斜視図である。
図5図4に示す連結シールド機の側面図である。
図6】連結シールド機を前方から見た正面図である。
図7】連結シールド機を後方から見た正面図である。
図8】連結シールド機を斜め前方から見た斜視図であって、止水構造を示す図である。
図9】(a)、(b)は、拡幅トンネルの施工工程を説明するための図であって、上方から見た平面図である。
図10】(a)、(b)は、図9(b)に続く拡幅トンネルの施工工程を説明するための図であって、上方から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態によるトンネル間連結シールド機、及びトンネル間連結方法について、図面に基づいて説明する。
【0021】
図1に示すように、本実施形態によるトンネル間連結シールド機(以下、連結シールド機1という)は、図2に示すような例えば大規模な道路トンネルにおいて、予め地中にシールド工法により施工されている本線トンネル11に対してランプトンネル12が合流・分岐する箇所に大断面の分岐合流部10の外殻部10Aの施工に適用されている。
【0022】
連結シールド機1は、外殻部10Aにおいて間隔をあけて設けられた外殻トンネル13、13(既設トンネル)同士の間を掘進して拡幅するためのものである。
【0023】
分岐合流部10は、図3(a)に示すように、本線トンネル11とランプトンネル12の外側を取り囲むように、分岐合流部10に平行に延在するように施工された複数の外殻トンネル13、13、…を外殻部10Aの一部としたものである。分岐合流部10は、略円形断面をなし、断面視で周方向Zに隣り合う外殻トンネル13、13同士の間を掘削し、外殻トンネル13内及び掘削した外殻トンネル13、13同士の間の掘削領域M(図9(a)、(b)参照)にわたって周方向Zに連続するように複数の鋼製パネル70(図1参照)を連結して組み立てて覆工躯体構造7を形成し、さらにその覆工躯体構造7の内側を掘削することにより構築される。
【0024】
ここで、本実施形態では、分岐合流部10の外殻部10Aにおいて、分岐合流部10の縦断面に直交する延在方向をトンネル方向Xといい、分岐合流部10の縦断面の中央を通る中心軸線回りに周回する方向を周方向Zという。
【0025】
複数の外殻トンネル13は、分岐合流部10の一部で外殻部10Aの基端に位置するように予め施工され、周方向Zに沿ってリング状に延在するメガネ形状の断面をなす円周トンネル15を発進基地(外殻シールド発進基地150)として外殻シールド掘削機14を掘進させることにより施工される。
【0026】
外殻トンネル13は、図1に示すように、掘進中の外殻シールド掘削機14(図2参照)の後方に外殻セグメント13Aが順次組み立てられる。
なお、本実施形態による外殻トンネル13は、覆工躯体構造7を施工する際における覆工躯体構造7の構成部材(鋼製パネル70等)の搬入や、外殻トンネル13、13同士の間を連結シールド機1で掘削したときの掘削土砂の搬出や、外殻部10Aの内外周に配置された鋼製パネル70、70同士の間に打設される充填コンクリート71の搬送に使用するアクセストンネルとして利用される。
【0027】
覆工躯体構造7は、外殻部10Aの内周側と外周側のそれぞれにおいて周方向Zに複数に分割された鋼製パネル70と、内周側と外周側の鋼製パネル70と外周側の鋼製パネル70の間に充填された充填コンクリート71と、内周側と外周側の鋼製パネル70を連結するせん断補強部材73と、を備えている。
【0028】
周方向Z及びトンネル方向Xに隣接する鋼製パネル70、70同士は、ボルトや鉄筋等の継手74によって連結されている。鋼製パネル70は、予め工場において、一体的に製造され、外殻部10Aにおける所定の組み立て位置に運ばれて組み立てられる。鋼製パネル70は、矩形状のスキンプレートと、スキンプレートの外周四辺部の各周縁部から立設された端板と、端板によって囲まれた内側で縦横に配置された補強リブと、を有している。
充填コンクリート71は、内外周に配置される鋼製パネル70、70同士の間の空間全体に充填される。充填コンクリート71の充填作業は、内周側の鋼製パネル70と外周側の鋼製パネル70を型枠にして、外殻トンネル13より行われる。
【0029】
次に、外殻トンネル13、13同士の間を拡幅掘削するための連結シールド機1について、具体的に説明する。
図4図7に示すように、連結シールド機1は、四方をスキンプレート21で覆って前進可能に設けられ、シールド機内を掘削室2Aと外殻間セグメント(覆工部材)を組み立てる覆工組立室2Bとを前後方向Df(トンネル方向X)に区画する隔壁22を有するシールド本体2と、掘削室2Aに設けられ、掘削室2Aから切羽側の地山を掘削可能に設けられた掘削装置31と、を備えている。本実施形態では、外殻間セグメントとして覆工躯体構造7の鋼製パネル70が使用されている。
ここで、本実施形態では、連結シールド機1の1回当たりの掘削領域Mが外殻トンネル13における外殻セグメント13Aの1リング分に相当するように設定されている。
【0030】
シールド本体2は、外殻を形成するスキンプレート21と、スキンプレート21内を前後方向Dfに区画する隔壁22と、シールド本体2内の覆工組立室2Bで組み立てられた鋼製パネル70に反力をとる推進ジャッキ23と、を備えている。
掘削室2Aには、掘削装置31が設けられ、覆工組立室2Bには、前記推進ジャッキ23と、エレクタ32(覆工組立装置)が設けられている。
スキンプレート21の前部の左右両側には、掘削室2Aよりも前方に向けて突出可能なサイドプロテクター4(4A、4B)が設けられている。
【0031】
スキンプレート21は、外殻部10Aの外周側に位置する天板プレート24と、内周側に位置する底板プレート25と、天板プレート24と底板プレート25とを連結する左右一対のサイドプレート26と、を備えている。天板プレート24と底板プレート25とは、前後方向Dfに同じ長さ寸法で設けられている。
ここで、連結シールド機1において、天板プレート24と底板プレート25とはそれぞれの面方向を平行に向けて対向して配置され、各プレート24、25に直交する方向を上下方向Dhとし、上下方向Dhで天板プレート24側を上側、上方といい、底板プレート25側を下側、下方という。
【0032】
一対のサイドプレート26(26A、26B)は、前端部26aが天板プレート24と底板プレート25の前端部と同じ位置であり、後端部26bが天板プレート24と底板プレート25の後端部24b、25bよりも前側に位置して側部開口部261を形成している。すなわち、側部開口部261を介して覆工組立室2Bと外殻トンネル13の内部とが連通している。この側部開口部261を使用して、外殻トンネル13内を使用して所定位置に搬入された覆工部材(後述する鋼製パネル70等)をエレクタ32を使用して覆工組立室2B内に持ち込み、天板プレート24の内側と底板プレート25の内側に鋼製パネル70を組み立てることができる。これにより、連結シールド機1によって掘削された外殻拡幅部において外殻部10Aの外周部と内周部に鋼製パネル70が組み立てられた拡幅トンネル19(図1図3及び図4参照)が構築される。
【0033】
サイドプレート26には、図4図6及び図7に示すように、上端部および下端部において左右方向Dvの内側に向かうテーパ面262と、テーパ面262の上端に設けられた接合面263と、が設けられている。テーパ面262及び接合面263は、サイドプレート26の後端部26bよりもさらに後方に延ばされ天板プレート24及び底板プレート25の各後端部24b、25bと同じ位置となっている。
【0034】
テーパ面262は、上方(サイドプレート26の下端部の場合には下方)に向かうに従い漸次、左右方向Dvの内側に向かう傾斜面であり、外殻セグメント13Aの切開き端面13aに対して液密な状態で当接可能、かつ前後方向Dfに摺動可能に設けられている。接合面263は、その面を上方に向けて配置され、天板プレート24の側縁部24aが載置された状態で固定されている。
なお、テーパ面262には、例えばテフロン(登録商標)等の摩擦低減材を取り付けることで、シールド本体2の前方への移動時の摩擦を低減することができ、例えば移動に必要な推進ジャッキ23の装備能力を小さくすることができる。
【0035】
天板プレート24は、左右方向Dvに二分割されている。分割されている各天板プレート24A、24Bにおける左右方向Dvの外側の外縁部24cは、サイドプレート26の接合面263上に載置された状態で固定されている。また、分割されている両天板プレート24A、24Bの左右方向Dvの内側の内縁部24d、24d同士は、一対のサイドプレート26、26同士の間の左右方向Dvの中央で上下に重なった状態で配置されている。
【0036】
そのうち下側に重なる固定天板プレート24Aの下面には、複数(ここでは4つ、掘削室2A側に2つ、覆工組立室2B側に2つ)の横スライドジャッキ241がシリンダの伸縮方向を左右方向Dvに向けた状態で基端部が固定されている。横スライドジャッキ241のジャッキ先端241aは、固定天板プレート24Aの上側に位置する移動天板プレート24Bの下面に固定されている。横スライドジャッキ241を伸縮させることで、移動天板プレート24Bを固定天板プレート24Aに対して左右方向Dvにスライドさせることができる。このとき、両天板プレート24A、24Bは、横スライドジャッキ241の伸長量が最長の場合でも、双方の内縁部24d、24d同士の間が開くことによる隙間が生じないような重なり量で設けられている。
【0037】
底板プレート25は、左右方向Dvに二分割されている。分割されている各底板プレート25A、25Bにおける左右方向Dvの外側の外縁部25cは、サイドプレート26の接合面263の下面に固定されている。また、分割されている両底板プレート25A、25Bの左右方向Dvの内側の内縁部25d、25d同士は、一対のサイドプレート26、26同士の間の左右方向Dvの中央で上下に重なった状態で配置されている。
【0038】
そのうち上側に重なる固定底板プレート25Aの上面には、複数(ここでは4つ、掘削室2A側に2つ、覆工組立室2B側に2つ)の横スライドジャッキ251がシリンダの伸縮方向を左右方向Dvに向けた状態で基端部が固定されている。横スライドジャッキ251のジャッキ先端251aは、固定底板プレート25Aの下側に位置する底板プレート25Bの下面に固定されている。横スライドジャッキ251を伸縮させることで、底板プレート25Bを固定底板プレート25Aに対して左右方向Dvにスライドさせることができる。このとき、両底板プレート25A、25Bは、横スライドジャッキ251の伸長量が最長の場合でも、双方の内縁部25d、25d同士の間が開くことによる隙間が生じないような重なり量で設けられている。
【0039】
このようにスキンプレート21は、前後方向Dfからみた断面視でコの字状に形成された鋼殻21A、21Bが開口側を左右方向Dvの内側にして両サイドから互いに重なる構造となっている。そして、複数の横スライドジャッキ241、251を同時に伸縮させることで、左右に分割されたスキンプレート21の鋼殻21A、21Bが左右方向Dvの幅寸法を拡大・縮小させることができる。
なお、このときの鋼殻21A、21Bの拡縮による調整幅は、固定側のコの字構造の鋼殻21Aに装備する横スライドジャッキ241、251を使用し、移動側のコの字構造の鋼殻21Bを拡張する。拡張に伴う重なり代が小さくなった場合には、その都度、不図示の鋼製のパネル材等からなるコマ材を継ぎ足し所定の耐力を確保すればよい。
また、外殻セグメント13Aとスキンプレート21との接続部の止水は、シール材や緊急止水注入装置等により対応することができる。
【0040】
左右一対で設けられるサイドプロテクター4A、4Bは、図5及び図6に示すように、それぞれサイドプレート26の外面を覆うように配置され、サイドプレート26の前端部26aから切羽側に突出しない収納位置P1から前方に所定の突出位置P2まで突出するようにスライド可能に設けられている。
【0041】
各サイドプロテクター4A、4Bは、サイドプレート26の内面に固定された前後スライドジャッキ41の伸縮によって前後方向Dfにスライドする。前後スライドジャッキ41は、伸縮方向を前後方向Dfに向けて配置され、ジャッキ基端部41bがサイドプレート26の内面に固定され、ジャッキ先端部41aがサイドプロテクター4A、4Bの前端部4aの当接板42に固定されている。サイドプロテクター4A、4Bの上縁部4b、及び下縁部4cは、サイドプレート26のテーパ面262に案内されて前後方向Dfにスライドされるようになっている。サイドプロテクター4A、4Bは、突出先端部(後述する当接板42)が外殻セグメント13Aの切り開き開口部13cを形成する後端面13bに当接する位置となるように設定されている。
【0042】
上述したように連結シールド機1の1回当たりの掘削領域M(図9(a)、(b)参照)が外殻トンネル13における外殻セグメント13Aの1リング分に相当するように設定されているので、サイドプロテクター4A、4Bの突出長は、詳しくは後述するが、掘削する際に掘削領域Mに面する外殻セグメント13Aを取り外すため、1リング分の外殻セグメント13Aの幅寸法と同等な長さに設定されている。
【0043】
当接板42は、図4に示すように、サイドプロテクター4の前端部4aから左右方向Dvの内側に向けて突出して設けられ、外殻セグメント13Aにおける切り開いた開口(切り開き開口部13c(図5図9(a)参照))を形成する後端面13bを向く当接面42aを有している。当接板42の内周面は、外殻セグメント13Aの外周面とほぼ同曲率の湾曲面が形成されている。
掘削装置31による掘削時には、サイドプロテクター4を前方に突出させて当接板42を外殻セグメント13Aの後端面13bに当接させることで、切り開き開口部13cを外殻トンネル13の外側から塞いだ状態として、連通状態となる掘削領域Mの地山と外殻トンネル13内とをサイドプロテクター4A、4Bによって隔離することができる。
【0044】
隔壁22は、図5に示すように、前後方向Dfからみて全周がスキンプレート21に固定されている。隔壁22もスキンプレート21と同様に左右方向Dvに二分割され、左右に分割されている隔壁22A、22B同士が左右中央において前後方向Dfに重なっている。分割された隔壁22A、22Bも、分割されている鋼殻21A、21Bの拡張、縮小動作と同調してスライドするように構成されている。
【0045】
隔壁22の覆工組立室2B側の後面22bには、覆工組立室2Bの上部側と下部側において推進ジャッキ23が左右方向Dvに配列された状態でその基端部が固定されている。推進ジャッキ23のストロークは、掘進ストロークに相当し、外殻セグメント13Aの1リングの幅寸法と一致している。
また、隔壁22には、図示しない支持柱を設けて、シールド本体2全体の構造上の耐力を保持することが好ましい。
そして、本実施形態では、外殻トンネル13内に設置する開口補強用のせん断補強部材73(図1参照)に推進ジャッキ23の反力をとることも可能である。
【0046】
天板プレート24と底板プレート25における掘削室2A側には、前端が尖ったソリ部33が設けられている。ソリ部33の先端には、カッタビット33aが組み付けられている。推進ジャッキ23を伸長させることによりシールド本体2を前進させる際に、予め突出させておいたサイドプロテクター4A、4B間の掘削領域Mの地山に対してソリ部33が貫入し易くなり、シールド本体2が推進し易くなる。
【0047】
掘削装置31は、アーム部35と、ロードヘッダに用いられるようなドラム式の切削部34と、を有している。掘削装置31は、自由断面で切削することが可能な構成になっている。
アーム部35の取付部35aは、前後方向Dfおよび左右方向Dvに移動可能な移動架台(図示省略)に設けられている。
なお、切削部34は、掘削断面の形状、大きさに応じて変更することが可能である。
掘削装置31で掘削した土砂は、例えばスクリューコンベアや真空搬送装置等の周知の土砂搬出設備(図示省略)を用いることができる。
【0048】
エレクタ32は、図5及び図7に示すように、覆工組立室2B内でスキンプレート21に固定され、先端に鋼製パネル70が把持可能な把持部32aを備えている。エレクタ32は、把持部32aで把持した鋼製パネル70を覆工組立室2B内における所定の組み立て位置と、外殻トンネル13内に搬入された鋼製パネル70を把持可能な位置と、の間で移動可能なアーム機構を備えている。
【0049】
ここで、連結シールド機1の止水構造について、図8に基づいて説明する。
本実施形態の連結シールド機1は、シールド本体2の全体が外部の地山及び既設トンネル13に対して液密に接する止水構造をなし、例えばゴム製等の部材からなる第1止水部材S1~第6止水部材S6を有している。
【0050】
第1止水部材S1は、各サイドプロテクター4A、4Bの当接板42の前面に位置する当接面42aに貼着された状態で設けられている。第2止水部材S2は、各サイドプロテクター4A、4Bの上端面及び下端面に貼着された状態で設けられている。第3止水部材S3は、各サイドプレート26のテーパ面262上の上面に貼着された状態で設けられている。第4止水部材S4は、サイドプレート26の内面とサイドプロテクター4A、4Bの基端側外面のいずれか一方に貼着されて、双方の間に設けられている。
【0051】
第5止水部材S5は、スキンプレート21の左右方向Dvのスライド部に設けられている。具体的には、左右一対の天板プレート24A、24Bの間に配置される天板止水部材S51と、左右の隔壁22間に配置される隔壁止水部材S52と、左右一対の底板プレート25(図8ではソリ部33)間に配置される底板止水部材S53と、を有している。
第6止水部材S6は、スキンプレート21のテールエンド部に沿って貼着された状態で設けられている(図1図4、及び図5参照)。
【0052】
次に、上述した連結シールド機1を使用したトンネル間連結方法について、図面に基づいて具体的に説明する。
先ず、図2及び図3(a)に示すように、ランプトンネル12の側壁の一部に円周トンネル15を掘削するための図示しない複円形円周シールド掘削機の発進基地(円周シールド発進基地17)を施工する。例えば、ランプトンネル12から図2に示す推進機18を掘進させて、その周囲に地盤改良部100を形成した後、推進機18で掘削したトンネルの周囲を拡幅することにより円周シールド発進基地17を構築することができる。
【0053】
そして、図3(a)に示すように、複円形円周シールド掘削機を周方向Zに掘進させるとともに、そのシールド機本体内でメガネ形状の円周セグメント(図示省略)を組み立てる。次に、施工した円周トンネル15を外殻シールド発進基地150とし、図2に示す円形断面の外殻シールド掘削機14を配置し掘進する。
【0054】
複数の外殻トンネル13は、施工予定の分岐合流部10の外殻部10Aにおいて、周方向Zに間隔をあけて配列した状態で施工される。外殻トンネル13は、外殻シールド掘削機14によって掘削され、外殻シールド掘削機14の後方に組み立てられた外殻セグメント13A(図1参照)によって形成される。これら複数の外殻トンネル13によって本線トンネル11及びランプトンネル12の周囲に外殻部10Aの一部が構築される。
【0055】
そして、外殻トンネル13を施工した後、あるいは外殻トンネル13の掘進と同時に、外殻トンネル13の内側から周囲に向けて凍結工法により凍結管を地山に挿入して地盤改良を行う。この地盤改良領域は、覆工躯体構造7の配置領域とその周囲の所定範囲とされる。つまり、周方向Zに隣り合う外殻トンネル13、13同士の間の地山を凍結工法(あるいは薬液注入工法等)により地盤改良を行って覆工躯体構造7の施工予定領域を取り囲む改良ゾーンを形成する。
【0056】
その後、図1に示すように、外殻セグメント13Aの周方向Zの両側部分を連結シールド機1の掘進により切り開き、隣り合う外殻トンネル13、13同士の間を接続する拡幅トンネル19を設ける。
【0057】
具体的には、先ず、図9(a)に示すように、隣り合う外殻トンネル13、13の側壁のうちシールド本体2の前方に位置する掘削領域Mに面する1リング分の外殻セグメント13Aを解体して切り開き開口部13cを形成する。
【0058】
続いて、図9(b)に示すように、連結シールド機1における左右のサイドプロテクター4A、4Bを前方に張り出す。このとき、図5に示すように、サイドプロテクター4A、4Bの当接板42を外殻セグメント13Aの切り開き開口部13cに面する後端面13bに当接させた状態とする。これにより、掘削領域Mが外殻トンネル13に露出することを防止でき、連結シールド機1による掘削において掘削領域Mの地山が切り開き開口部13cから外殻トンネル13内に進入することを防止して安全な施工できる。
【0059】
次に、図10(a)に示すように、掘削装置31によってシールド本体2の前方の掘削領域Mの地山を掘削するとともに、掘削土砂を掘削室2Aに取り込み、隔壁22を介して覆工組立室2B側に排出する。そして、掘削とともに、推進ジャッキ23を伸長させて掘削した掘削領域Mに位置するようにシールド本体2を前進させる(図10(b)参照)。なお、シールド本体2の前進に合わせてサイドプロテクター4A、4Bの前後スライドジャッキ41も縮減させるようにする。
なお、図6に示すように、シールド本体2の前進とともに、外殻トンネル13の外壁とサイドプレート26とが離間しないように、左右に分割されているスキンプレート21の鋼殻21A、21Bをスライドさせてシールド本体2の左右幅寸法が大きくなるように拡張する。
【0060】
そして、1リング分の掘進が完了したときに、覆工組立室2Bにおいて、推進ジャッキ23を引き戻して空いた空間にエレクタ32を使用して外殻部10Aの内周側と外周側に位置する鋼製パネル70を組み立てる。
【0061】
次に、図1に示すように、外殻トンネル13間の拡幅トンネル19の施工が完了したら、内周側と外周側に位置する鋼製パネル70同士の間に充填コンクリート71を充填することで覆工躯体構造7を構築する。つまり、外殻トンネル13と拡幅トンネル19を使用して鋼製パネル70を周方向Zに接続し、外殻部10Aの内周側と外周側とのそれぞれの全周にわたって組み立てる。
次いで、図3(a)、(b)に示すように、外殻部10Aの内側を掘削し、外殻部10Aによって覆われる箇所の本線トンネル11及びランプトンネル12のセグメントを解体、撤去することにより大空間をなす分岐合流部10を構築することができる。
【0062】
次に、上述したパネル構造体の継手構造の作用について、図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態では、外殻トンネル13、13同士の間を四方をスキンプレート21で覆われたシールド本体2内の掘削装置31で掘削しつつ前進させることができる。そして、左右に分割されたスキンプレート21を互いに近接離反する方向にスライドさせることで、シールド本体2の左右方向Dvの幅寸法を変更することができる。そのため、外殻トンネル13、13同士の間の離隔が変化する場合であっても、その離隔に合わせてシールド本体2の幅寸法を調整することができ、スキンプレート21と外殻トンネル13との間の隙間を常に塞いだ状態で地山の防護をして掘進することができる。
このように本実施形態では、外殻トンネル13、13間の地山の露出を最低限にして掘進することができるため、地山の崩落を防止することができ、安全で確実な工法となる利点がある。
【0063】
また、本実施形態では、掘削前にサイドプロテクター4A、4Bを前方に向けて突出することにより、外殻トンネル13と掘削領域Mの地山とをサイドプロテクター4A、4Bによって遮断でき、外殻トンネル13が掘削領域Mの地山に対して開放されることを最低限とすることができる。そのため、外殻トンネル13において掘削中の地山が露出する状態が最低限となるので、安全で確実な掘削作業により拡幅トンネル19を施工することができる。
【0064】
また、本実施形態では、外殻トンネル13、13同士の間の離隔が最小となる位置から発進して、その離隔が最大となる位置へ向けて掘進することで、施工効率を向上させることができる。この場合、外殻トンネル13,13同士の間の間隔が最も小さい箇所で連結シールド機1を組み立てることができるので、組み立て領域の周囲の地山条件の良い箇所で安全に組立作業を行うことができる。
【0065】
また、本実施形態では、シールド本体2の全体が外部の地山及び既設トンネル13に対して液密に接する止水構造をなしているので、掘削時において、相対的に左右方向Dvにスライド可能なスキンプレート21の部分だけでなく、シールド本体2全体が外部の地山及び既設トンネル13に対して液密に接して止水された状態を維持することができる。
【0066】
上述のように本実施形態によるトンネル間連結シールド機、及びトンネル間連結方法では、地山の露出を抑えて安全に、かつ効率よく掘削することができ、しかもトンネル間の離隔の変化に対応できる。
【0067】
以上、本発明によるトンネル間連結シールド機、及びトンネル間連結方法の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0068】
例えば、本実施形態では、連結シールド機1としてサイドプロテクター4A、4Bを設けて、掘削前に掘削領域Mの両側にサイドプロテクター4A、4Bを配置して掘削領域Mにおける地山の安定を図ることを可能とした構成としているが、サイドプロテクター4A、4Bを設けることに限定されることはなく、省略することも可能である。
【0069】
また、連結シールド機1の掘削装置31において、本実施形態では、ロードヘッダのドラム式の切削部34を採用しているが、これに限定されることはなく、例えばバックホウ等の他の切削機構を採用するようにしてもよい。
【0070】
さらにまた、本実施形態では、大断面の道路トンネルを施工する場合の適用例であるが、上述したような大断面の地中空洞部を有する様々な規模、用途、形態のトンネルを施工する場合全般に広く適用することができ、施工対象のトンネルにおける地中空洞部の規模や形態に応じて、また周辺環境等の諸条件を考慮して様々な設計的変更が可能である。さらに、分岐合流部10を構成する外殻部10Aの大きさ、躯体構造、施工方法に関しては上述した実施形態に限定されることはなく、設定される道路トンネル、地盤条件等の仕様に応じて適宜、設定することができる。
【0071】
また、本実施形態のような道路トンネルにおける分岐合流部10の外殻部10Aに構築されるパネル構造体であることに制限されることはなく、他の用途に採用されるパネル構造体であってもかまわない。さらに、パネル構造体は、円周方向に延在する形状であることもない。例えば、道路などの床版に適用することができる。
【0072】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 連結シールド機(トンネル間連結シールド機)
2 シールド本体
2A 掘削室
2B 覆工組立室
4、4A、4B サイドプロテクター
7 覆工躯体構造
10 分岐合流部
10A 外殻部
11 本線トンネル
12 ランプトンネル
13 外殻トンネル(既設トンネル)
13A 外殻セグメント
19 拡幅トンネル
21 スキンプレート
21A、21B 鋼殻
22 隔壁
23 推進ジャッキ
24 天板プレート
25 底板プレート
26 サイドプレート
31 掘削装置
32 エレクタ
70 鋼製パネル(覆工部材)
Df 前後方向
Dh 上下方向
Dv 左右方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10