IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 鹿島建設株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-床スラブ 図1
  • 特許-床スラブ 図2
  • 特許-床スラブ 図3
  • 特許-床スラブ 図4
  • 特許-床スラブ 図5
  • 特許-床スラブ 図6
  • 特許-床スラブ 図7
  • 特許-床スラブ 図8
  • 特許-床スラブ 図9
  • 特許-床スラブ 図10
  • 特許-床スラブ 図11
  • 特許-床スラブ 図12
  • 特許-床スラブ 図13
  • 特許-床スラブ 図14
  • 特許-床スラブ 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-09
(45)【発行日】2022-08-18
(54)【発明の名称】床スラブ
(51)【国際特許分類】
   E04B 5/43 20060101AFI20220810BHJP
   E04B 1/94 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
E04B5/43 A
E04B1/94 D
E04B1/94 R
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018214484
(22)【出願日】2018-11-15
(65)【公開番号】P2020084409
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122781
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100133064
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 新
(72)【発明者】
【氏名】緒方 誠二郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕之
(72)【発明者】
【氏名】金子 貴司
(72)【発明者】
【氏名】抱 憲誓
(72)【発明者】
【氏名】竹林 健一
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-325610(JP,A)
【文献】実開昭53-062014(JP,U)
【文献】米国特許第04141946(US,A)
【文献】特開平11-131630(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 5/43
E04B 1/94
E04C 2/00-2/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主に荷重を支持する合成樹脂成型体と、
前記合成樹脂成型体の下方を被覆する第1耐火部材と、
を備えた床スラブであって、
前記合成樹脂成型体は、複数の内部空間部と、複数の前記内部空間部のそれぞれを区画する複数の鉛直な隔壁と、を有し、
前記床スラブの外周部に近い部位ほど前記隔壁同士の間隔が狭い、床スラブ。
【請求項2】
前記第1耐火部材は、耐火面材から形成されている、請求項に記載の床スラブ。
【請求項3】
前記第1耐火部材は、前記合成樹脂成型体に取り付けられた合成樹脂パネルと、前記合成樹脂パネルに積層された耐火面材とから形成されている、請求項に記載の床スラブ。
【請求項4】
前記第1耐火部材は、プレキャストコンクリートから形成されている、請求項に記載の床スラブ。
【請求項5】
前記合成樹脂成型体と前記第1耐火部材とが互いに接触する少なくとも一部の部位では凸面部と凹面部とが互いに嵌合することにより、前記合成樹脂成型体と前記第1耐火部材とが互いに組み合わされている、請求項に記載の床スラブ。
【請求項6】
前記合成樹脂成型体の少なくとも一部は、前記第1耐火部材の内部に埋設されている、請求項に記載の床スラブ。
【請求項7】
前記合成樹脂成型体の上方を被覆する第2耐火部材をさらに備えた、請求項1~のいずれか1項に記載の床スラブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床スラブに関する。
【背景技術】
【0002】
高層化された建物の建設において、施工の容易化及び工期の短縮を図るため床スラブにプレキャストコンクリート板を適用する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、プレキャストコンクリート板とプレキャストコンクリート板の上方に敷設される床板との間に排水管の設置スペースを形成するとともに、プレキャストコンクリート板とプレキャストコンクリート板の下方に設けられる天井板との間に換気ダクトの設置スペースを形成し、排水管を収容する第1の溝がプレキャストコンクリート板の上面に設けられ、換気ダクトを収容する第2の溝がプレキャストコンクリート板の下面に設けられている多層建物の床スラブが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-127214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、高層化された建物では、上部構造の重量増大により地下躯体や基礎に掛かる負担が非常に大きくなる。そのため、軟弱な地盤に建設する場合などでは、地盤の支持力の確保が課題となることが多くある。したがって、高層化された建物の軽量化は大きな課題であり、軽量化が実現できれば施工性の向上も見込まれる。
【0005】
そこで本発明は、軽量化された床スラブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、主に荷重を支持する合成樹脂成型体と、合成樹脂成型体の下方を被覆する耐火部材とを備えた床スラブである。
【0007】
この構成によれば、コンクリートよりも軽量である合成樹脂成型体により主に荷重が支持されるため、床スラブの軽量化を図ることができる。また、耐火部材により、合成樹脂成型体の下方が被覆されるため、床スラブは下方からの火炎に対して必要な耐火性能を有する。
【0008】
この場合、合成樹脂成型体は、複数の内部空間部と複数の内部空間部のそれぞれを区画する隔壁とを有することが好適である。
【0009】
この構成によれば、合成樹脂成型体は、複数の内部空間部と複数の内部空間部のそれぞれを区画する隔壁とを有するため、床スラブの剛性を維持しつつ軽量化を図ることができる。
【0010】
また、耐火部材は、耐火面材から形成されていてもよい。
【0011】
この構成によれば、耐火部材は、耐火面材から形成されているため、単純な構成により耐火部材の軽量化を図ることができる。
【0012】
また、耐火部材は、合成樹脂成型体に取り付けられた合成樹脂パネルと、合成樹脂パネルに積層された耐火面材とから形成されていてもよい。
【0013】
この構成によれば、耐火部材は、合成樹脂成型体に取り付けられた合成樹脂パネルと、合成樹脂パネルに積層された耐火面材とから形成されているため、単純な構成により耐火部材の高強度化と軽量化とを図ることができる。
【0014】
一方、耐火部材は、プレキャストコンクリートから形成されていてもよい。
【0015】
この構成によれば、耐火部材はプレキャストコンクリートから形成されているため、耐火部材が構造部材を兼ねることができ、合成樹脂成型体により殆どの荷重を負担する場合よりもコスト削減を図ることができる。
【0016】
耐火部材がプレキャストコンクリートから形成されている場合、合成樹脂成型体と耐火部材とが互いに接触する少なくとも一部の部位では凸面部と凹面部とが互いに嵌合することにより、合成樹脂成型体と前記耐火部材とが互いに組み合わされていてもよい。
【0017】
この構成によれば、合成樹脂成型体とプレキャストコンクリートから形成された耐火部材とが互いに接触する少なくとも一部の部位では凸面部と凹面部とが互いに嵌合することにより、合成樹脂成型体と耐火部材とが互いに組み合わされているため、合成樹脂成型体と耐火部材とが互いに接触する部位へのせん断応力が互いに伝達されることによって、せん断応力に対する耐久性を向上させることができる。
【0018】
また、耐火部材がプレキャストコンクリートから形成されている場合、合成樹脂成型体の少なくとも一部は、耐火部材の内部に埋設されていてもよい。
【0019】
この構成によれば、合成樹脂成型体の少なくとも一部は、プレキャストコンクリートから形成された耐火部材の内部に埋設されているため、合成樹脂成型体が引張材として機能し、耐火部材の耐久性及び強度を向上させることができる。
【0020】
また、合成樹脂成型体の上方を被覆する耐火部材をさらに備えることが好適である。
【0021】
この構成によれば、合成樹脂成型体の上方を被覆する耐火部材をさらに備えるため、床スラブの上方からの火炎に対する耐火性能を向上させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の床スラブによれば、床スラブの軽量化を図ることができる。また、床スラブは必要な耐火性能を有する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態に係る床スラブを示す縦断面図である。
図2】(A)、(B)、(C)及び(D)は合成樹脂成型体の例を示す斜視図である。
図3】第2実施形態に係る床スラブを示す縦断面図である。
図4】第3実施形態に係る床スラブを示す縦断面図である。
図5】第4実施形態に係る床スラブを示す縦断面図である。
図6図5のα線による縦断面図である。
図7】第5実施形態に係る床スラブを示す縦断面図である。
図8】第6実施形態に係る床スラブを示す縦断面図である。
図9図8のβ線による縦断面図である。
図10】第7実施形態に係る床スラブを示す縦断面図である。
図11図10のγ線による縦断面図である。
図12】第8実施形態に係る床スラブを示す縦断面図である。
図13図12のδ線による縦断面図である。
図14】第9実施形態に係る床スラブを示す縦断面図である。
図15図13のε線による縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1に示す本発明の第1実施形態の床スラブ1Aは超高層建物に適用され、例えば、従来の超高層建物を超える超超高層建物に適用される。床スラブ1Aは、主に荷重を支持する合成樹脂成型体2Aと、合成樹脂成型体2Aの下方を被覆する耐火部材3Aとを備える。また、床スラブ1Aは、合成樹脂成型体2Aの上方を被覆する耐火部材3Aをさらに備える。
【0025】
図1及び図2(A)に示すように、主に荷重を支持する合成樹脂成型体2Aは、複数の内部空間部2sと複数の内部空間部2sのそれぞれを区画する隔壁2wとを有する。主に荷重を支持するとは、例えば、床スラブ1Aへの荷重の50%以上を支持することを意味する。本実施形態では、合成樹脂成型体2Aが床スラブ1Aへの荷重の全部を支持し、耐火部材3Aの剛性及び強度により床スラブ1Aへの荷重を支持することは期待されていない。耐火部材3Aは、耐火性能の付与のためだけに備えられている。
【0026】
図2(A)の例では、内部空間部2sのそれぞれは、同一の形状及び大きさの略四角柱状の形状を有する。略四角形状の内部空間部2sのそれぞれの底面の法線は同じ水平方向に向いている。略四角形状の内部空間部2sのそれぞれの4つの側面の内で互いに対向する一対の側面は水平方向に平行であり、もう一対の側面は垂直方向に平行である。隔壁2wは、略四角柱状の内部空間部2sの四つの側面を区画し、両方の底面は区画していなくてもよい。隔壁2wは、略四角形状の内部空間部2sのそれぞれの水平方向に平行な上側の側面を区画する上フランジ2aと、略四角形状の内部空間部2sのそれぞれの水平方向に平行な下側の側面を区画する下フランジ2bと、略四角形状の内部空間部2sのそれぞれの垂直方向に平行な側面を区画するウェブ2cとを含む。
【0027】
合成樹脂成型体2Aは、例えば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)により形成することができる。合成樹脂成型体2Aは、複数の内部空間部2sと複数の内部空間部2sのそれぞれを区画する隔壁2wとを有するように工場や工事現場で炭素繊維強化プラスチックが成型されることにより製造される。なお、合成樹脂成型体2Aは、一つの内部空間部2sと一つの内部空間部2sを区画する隔壁2wとを有する部材同士が組み合わされて形成されていてもよい。また、圧縮応力がより大きくなる床スラブ1Aの中央部に近い部位ほど合成樹脂成型体2Aの隔壁2wの上フランジ2a及び下フランジ2bの厚さを厚くしてもよい。また、圧縮応力がより大きくなる床スラブ1Aの端部ほど合成樹脂成型体2Aの隔壁2wのウェブ2cの間隔を狭めることにより、内部空間部2sの大きさを小さくしてもよい。
【0028】
耐火部材3Aは、耐火面材3fから形成されている。耐火面材3fは、例えば、耐火シート、発泡性シート、金属シート、耐火塗料、セラミックファイバー、グラスウール、ロックウール、ケイカル板、ALC(Autoclaved Light-weight Concrete)板及びロックウール成型体等により形成することができる。耐火部材3Aは、例えば、工場で合成樹脂成型体2Aの上方及び下方に配置された上で、工事現場に搬送されてもよい。
【0029】
本実施形態では、コンクリートよりも軽量で剛性の高い合成樹脂成型体2Aにより主に荷重が支持されるため、床スラブ1Aの軽量化を図ることができる。また、耐火部材3Aにより、合成樹脂成型体2Aの下方が被覆されるため、床スラブ1Aは下方からの火炎に対して必要な耐火性能を有する。つまり、コンクリートに比べて耐火性能に劣る合成樹脂成型体2Aは耐火部材3Aの上方で耐火部材3Aと組み合わされているため、火災時に主に対応が必要な床スラブ1Aの下方からの火炎に対して床スラブ1Aとして必要な耐火性能を有する。
【0030】
今後、建設される可能性がある従来の超高層建物よりも高い超超高層建物は上部構造の重量増大が課題となっており、施工期間の短縮を目的として採用される逆打ち工法が採用できない可能性もある。超超高層建物の軽量化は今後の大きな課題であり、軽量化が実現できれば施工性の向上も見込まれる。また、建設業界においては職人の確保も問題となってきており、施工の自動化や海外人材の登用が進んでいる。しかしながら、それらの対策も限られているため、躯体のフルプレキャスト化に進もうとしている。躯体の中で床スラブは以前からハーフプレキャストスラブ工法及びフルプレキャストスラブ工法と積極的にプレキャスト化が進められた分野であるが、従来のフルプレキャストスラブ工法は、全て工場で製作されたコンクリート板を用いたものであるため、施工期間の短縮が主な目的である。
【0031】
一方、本実施形態では、床スラブ1Aの構築時に、下側は耐火部材3Aを用い、耐火性能を耐火面材3fで稼いだ上で、上側に合成樹脂成型体2Aを用いることで躯体の軽量化を図るものである。コンクリート充填鋼管構造(CFT:Concrete Filled Steel Tube)の超高層建物の大まかな地震時重量を検討すると、半分弱は床スラブの重量が占めており、床スラブを軽量化することができれば、その効果は非常に大きいと考えられる。また、本実施形態では、合成樹脂成型体2Aにより構造耐力を確保でき、小梁を省略することが可能である。これにより、一層の軽量化を図ることができる。本実施形態の床スラブ1Aにより、超高層建物や超超高層建物の上部構造躯体を軽量化することで地下躯体の肥大化を防ぎ、軟弱地盤においても逆打ち工法を可能にし、全体的な施工コストの低減と施工期間の短縮が可能である。
【0032】
また、合成樹脂成型体2Aは軽量であるため、輸送の面でもメリットがある。また、床スラブ1Aに耐火面材3fから形成された耐火部材3Aを適用することにより、施工の自動化及び省力化を図ることができる。
【0033】
また、本実施形態では、合成樹脂成型体2Aは、複数の内部空間部2sと複数の内部空間部2sのそれぞれを区画する隔壁2wとを有するため、床スラブ1Aの剛性を維持しつつ軽量化を図ることができる。また、合成樹脂成型体2Aは、複数の内部空間部2sを有することにより、耐火性能を向上させることができる。また、内部空間部2sにより、合成樹脂成型体2Aの高価な合成樹脂の量を抑えることが可能になる。また、内部空間部2sには、建物の配管及び配線等の設備を通すこともできる。
【0034】
また、本実施形態では、耐火部材3Aは、耐火面材3fから形成されているため、単純な構成により耐火部材3Aの軽量化を図ることができる。
【0035】
また、本実施形態では、合成樹脂成型体2Aの上方を被覆する耐火部材3Aをさらに備えるため、床スラブ1Aの上方からの火炎に対する耐火性能を向上させることができる。つまり、合成樹脂成型体2Aの上方が露出したままの状態に比べて、耐火性能を向上させることができる。このため、本実施形態の床スラブ1Aは、耐火試験に要求される性能を満たす。
【0036】
以下、本発明の第2実施形態について説明する。図3に示すように、本実施形態の床スラブ1Bでは、耐火部材3Bは、合成樹脂成型体2Aに取り付けられた合成樹脂パネル3pと、合成樹脂パネル3pに積層された耐火面材3fとから形成されている。合成樹脂パネル3pは、例えば、合成樹脂成型体2Aの上面及び下面に接着されている。また、例えば、耐火面材3fは、合成樹脂パネル3pの合成樹脂成型体2Aに接着された面とは反対側の面に積層されつつ接着されていてもよい。
【0037】
なお、合成樹脂成型体2Aの上方及び下方のいずれもが耐火部材3Bにより被覆される必要はない。例えば、合成樹脂成型体2Aの上方及び下方の一方が上記第1実施形態の耐火部材3Aにより被覆され、合成樹脂成型体2Aの上方及び下方の他方が本実施形態の耐火部材3Bにより被覆されていてもよい。
【0038】
本実施形態によれば、耐火部材3Bは、合成樹脂成型体2Aに取り付けられた合成樹脂パネル3pと、合成樹脂パネル3pに積層された耐火面材3fとから形成されているため、単純な構成により耐火部材3Aの高強度化と軽量化とを図ることができる。
【0039】
以下、本発明の第3実施形態について説明する。図4に示すように、本実施形態の床スラブ1Cでは、耐火部材3Cは、プレキャストコンクリートから形成されている。耐火部材3Cは、具体的には、プレキャストコンクリート版である。耐火部材3Cの内部には、ひび割れ防止のためのメッシュ筋5が配筋されている。なお、図4の例では、耐火部材3Cの内部にはメッシュ筋5が配筋されているが、状況に応じて、耐火部材3Cでは、メッシュ筋5に替えて鉄筋が配筋されていてもよい。
【0040】
本実施形態では、耐火部材3Cはプレキャストコンクリートから形成されているため、耐火部材3Cが構造部材を兼ねることができ、合成樹脂成型体2Aにより殆どの荷重を負担する場合よりもコスト削減を図ることができる。
【0041】
以下、本発明の第4実施形態について説明する。図5に示すように、本実施形態の床スラブ1Dでは、床スラブ1Dは、主に荷重を支持する合成樹脂成型体2Bと、合成樹脂成型体2Bの下方を被覆する耐火部材3Dとを備える。また、床スラブ1Dは、合成樹脂成型体2Bの上方を被覆する耐火部材3Eをさらに備える。本実施形態では、合成樹脂成型体2Bと耐火部材3Dとが床スラブ1Dへの荷重を支持する。
【0042】
図2(B)、図5及び図6に示すように、合成樹脂成型体2Bでは、内部空間部2sのそれぞれは、同じ大きさの略立方体状の形状を有する。隔壁2wは、略立方体状の内部空間部2sの四つの側面を区画し、上面及び下面は区画していない。そのため、内部空間部2sのそれぞれの上方及び下方は開放されている。
【0043】
床スラブ1Dは、図2(B)に示す合成樹脂成型体2Bに替えて、図2(C)に示す合成樹脂成型体2C、図2(D)に示す合成樹脂成型体2D及び上記の図2(A)に示す合成樹脂成型体2Aを備えていてもよい。合成樹脂成型体2Aと同様に、合成樹脂成型体2B,2C,2Dは、例えば、炭素繊維強化プラスチックにより形成することができる。図2(C)に示す合成樹脂成型体2Cのように、内部空間部2sのそれぞれは、同じ大きさで底面を上下方向に向けた略六角柱状の形状を有し、隔壁2wは、略六角柱状の内部空間部2sの六つの側面を区画し、底面である上面及び下面は区画していなくてもよい。つまり、合成樹脂成型体2Cはハニカム構造を有していてもよい。
【0044】
また、図2(D)に示す合成樹脂成型体2Dのように、内部空間部2sのそれぞれは、同じ大きさで底面を上下方向に向けた略三角柱状の形状を有し、隔壁2wは、略三角柱状の内部空間部2sの三つの側面を区画し、底面である上面及び下面は区画していなくてもよい。
【0045】
合成樹脂成型体2A,2B,2C,2Dにおいて、隔壁2wは、内部空間部2sの外面の全てを覆っていなくともよく、内部空間部2sの外面の全てを覆っていてもよい。また、合成樹脂成型体2A,2B,2C,2Dのそれぞれは、一つの内部空間部2sと一つの内部空間部2sを区画する隔壁2wとを有する部材同士が組み合わされて形成されていてもよい。
【0046】
耐火部材3Dは、プレキャストコンクリートから形成されたプレキャストコンクリート版である。耐火部材3Dの内部には、ひび割れ防止のためのメッシュ筋5が配筋されている。なお、図5及び図6の例では、耐火部材3Dの内部にはメッシュ筋5が配筋されているが、状況に応じて、耐火部材3Dでは、メッシュ筋5に替えて鉄筋が配筋されていてもよい。耐火部材3Dは、プレストレスが導入されていてもよい。本実施形態では、耐火部材3Dの内部にシース管6が配置され、シース管6の内部に挿入されたPC鋼材7により、耐火部材3Dにプレストレスが導入されている。なお、床スラブ1Dが支持されるスパンが短ければ、プレストレスの導入は省略されてもよい。また、プレストレスの導入は、プレテンションでもポストテンションでもよい。本実施形態では、必要な剛性及び強度を有する合成樹脂成型体2Bと耐火部材3Dとが床スラブ1Dへの荷重を支持する。
【0047】
合成樹脂成型体2Bと耐火部材3Dとが互いに接触する部位では凸面部8と凹面部9とが互いに嵌合することにより、合成樹脂成型体2Bと耐火部材3Dとが互いに組み合わされている。本実施形態では、合成樹脂成型体2Bの隔壁2wの下端部により凸面部8が形成され、耐火部材3Dの上面に設けられた溝により凹面部9が形成されている。
【0048】
なお、合成樹脂成型体2Bと耐火部材3Dとが互いに接触する部位へのせん断応力がより強くなる床スラブ1Dの外周部に近い部位ほど、合成樹脂成型体2Bの互いに対向する隔壁2wの間隔を狭めることにより、床スラブ1Dの単位面積当たりにおける凸面部8及び凹面部9の個数を多くして、凸面部8及び凹面部9の密度を高めてもよい。また、耐火部材3Dの凹面部9は、耐火部材3Dの上面が粗面化されることにより形成されていてもよい。また、凸面部8と凹面部9とが接着剤により接着されていてもよい。合成樹脂成型体2Bと耐火部材3Dとは、例えば、工事現場に別個に搬送され、工事現場で互いに組み合わされてもよく、工場で一体に組み合わされた後に工事現場に搬送されてもよい。
【0049】
耐火部材3Eは、例えば、プレキャストコンクリートや発泡性シートにより形成されている。耐火部材3Eの内部には、ひび割れ防止のためのメッシュ筋5が配筋されていてもよい。耐火部材3Eは、例えば、工事現場に合成樹脂成型体2Bと耐火部材3Eとは別個に搬送され、工事現場で合成樹脂成型体2Bの上方に配置される。なお、図5及び図6の例では、耐火部材3Eの内部にはメッシュ筋5が配筋されているが、状況に応じて、耐火部材3Eでは、メッシュ筋5に替えて鉄筋が配筋されていてもよい。また、耐火部材3Eは、コンクリートを工事現場で打設することにより、形成されていてもよい。
【0050】
耐火部材3Dと同様に、合成樹脂成型体2Bと耐火部材3Eとが互いに接触する部位では凸面部8と凹面部9とが互いに嵌合することにより、合成樹脂成型体2Bと耐火部材3Eとが互いに組み合わされている。本実施形態では、合成樹脂成型体2Bの隔壁2wの上端部により凸面部8が形成され、耐火部材3Eの下面に設けられた溝により凹面部9が形成されている。
【0051】
本実施形態では、耐火部材3Dはプレストレスが付与されているため、床スラブ1Dへの荷重を支持するために必要な剛性及び強度を有する。また、床スラブ1Dにプレキャストコンクリートから形成された耐火部材3Dを適用することにより、施工の自動化及び省力化を図ることができる。
【0052】
また、本実施形態では、合成樹脂成型体2Bと耐火部材3D,3Eとが互いに接触する部位では凸面部8と凹面部9とが互いに嵌合することにより、合成樹脂成型体2Bと耐火部材3D,3Eとが互いに組み合わされているため、合成樹脂成型体2Bと耐火部材3D,3Eとが互いに接触する部位へのせん断応力が互いに伝達されることによって、せん断応力に対する耐久性を向上させることができる。したがって、必要な強度、耐火性能及び耐久力を有し、且つ軽量化された床スラブ1Dを提供することができる。
【0053】
また、本実施形態では、合成樹脂成型体2Bと耐火部材3D,3Eとが互いに接触する部位へのせん断応力がより大きくなる床スラブ1Dの外周部に近い部位ほど、合成樹脂成型体2Bの互いに対向する隔壁2wの間隔を狭めることにより、床スラブ1Dの単位面積当たりにおける凸面部8及び凹面部9の密度を多くして、凸面部8及び凹面部9の密度を高めることにより、床スラブ1Dのせん断応力に対する耐久性をより向上させることができる。また、本実施形態では、圧縮応力がより大きくなる床スラブ1Dの端部ほど合成樹脂成型体2Bの互いに対向する隔壁2wの間隔を狭めることにより、内部空間部2sの大きさを小さくすることにより、床スラブ1Dの圧縮応力に対する耐久性をより向上させることができる。
【0054】
また、本実施形態では、耐火部材3Dは、プレストレスが導入されているため、同じ重量の床スラブ1Dの引張応力に対する強度及び耐久力を向上させることができ、同じ引張応力に対する強度及び耐久力を有する床スラブ1Dを軽量化することができる。
【0055】
以下、本発明の第5実施形態について説明する。図7に示すように、本実施形態の床スラブ1Eでは、主に荷重を支持する合成樹脂成型体2Aの少なくとも一部は、耐火部材3Fの内部に埋設されている。図7の例では、合成樹脂成型体2Aの底面を同じ横方向に向けた略四角柱状の内部空間部2sのそれぞれの四つの側面の中で上側及び下側の側面を区画する隔壁2wが、耐火部材3Fの内部に埋設されている。
【0056】
耐火部材3Fには、メッシュ筋5や鉄筋は配筋されておらず、耐火部材3Fの内部に埋設された合成樹脂成型体2Aが引張材として機能する。図7の例では、耐火部材3Fには、プレストレスは導入されていないが、合成樹脂成型体2Aを緊張することによりプレストレスが導入されていてもよい。本実施形態の床スラブ1Eは、工場において、合成樹脂成型体2Aが内部に埋設されるように耐火部材3Fが打設されることにより製造される。つまり、本実施形態では、工場で製造され、予め一体化された床スラブ1Eが工事現場に搬送され、そのまま設置される。
【0057】
本実施形態では、合成樹脂成型体2Aの少なくとも一部は、耐火部材3Fの内部に埋設されているため、合成樹脂成型体2Aが引張材として機能し、耐火部材3Fの耐久性及び強度を向上させることができる。また、耐火部材3Fの内部に埋設された合成樹脂成型体2Aが引張材として機能し、鉄筋は不要となるため、床スラブ1Eの軽量化をさらに図ることができる。また、耐火部材3Fへの配筋を省略することができるため、製造がより容易になる。また、工場で製造され、予め一体化された床スラブ1Eが工事現場に搬送され、そのまま設置されるため、施工が容易となる。
【0058】
以下、本発明の第6実施形態について説明する。図8及び図9に示すように、本実施形態の床スラブ1Fは、主に荷重を支持する合成樹脂成型体2Eと、合成樹脂成型体2Eの下方を被覆し、鉄筋10が配筋された耐火部材3Gとを備える。耐火部材3Gは、プレキャストコンクリートから形成されたプレキャストコンクリート版である。また、床スラブ1Fは、合成樹脂成型体2Eの上方を被覆する耐火部材3Hをさらに備える。
【0059】
合成樹脂成型体2Eと耐火部材3Gとが互いに接触する部位では凸面部8と凹面部9とが互いに嵌合することにより、合成樹脂成型体2Eと耐火部材3Gとが互いに組み合わされている。本実施形態では、合成樹脂成型体2Eの上フランジ2aの下面に複数の凸面部8であるウェブ2cが形成され、耐火部材3Gの上面に複数の凹面部9が形成されている。図8及び図9の例では、複数の凸面部8であるウェブ2cのそれぞれは凹面部9に対応して合成樹脂成型体2Eの下面において格子状に延在する線状の突起の形状を有し、複数の凹面部9のそれぞれは凸面部8であるウェブ2cに対応して耐火部材3Gの上面において格子状に延在する溝状の形状を有している。合成樹脂成型体2Eの上フランジ2a及び凸面部8は、複数の内部空間部2sのそれぞれを区画する隔壁2wとして機能する。ただし、内部空間部2sはなくてもよい。
【0060】
なお、例えば、複数の凸面部8のそれぞれは凹面部9に対応して板状部材である合成樹脂成型体2Eの下面における一方向に延在する線状の突起の形状を有し、複数の凹面部9のそれぞれは凸面部8に対応して耐火部材3Gの上面における一方向に延在する溝状の形状を有していてもよい。また、合成樹脂成型体2Eと耐火部材3Gとが互いに接触する部位へのせん断応力がより強くなる床スラブ1Fの外周部に近い部位ほど、合成樹脂成型体2Eの下面及び耐火部材3Gの上面の単位面積当たりにおける凸面部8であるウェブ2c及び凹面部9の個数を多くして、凸面部8であるウェブ2c及び凹面部9の密度を高めてもよい。また、凸面部8であるウェブ2cと凹面部9とが接着剤により接着されていてもよい。
【0061】
合成樹脂成型体2Eは、例えば、炭素繊維強化プラスチックにより形成されていてもよい。合成樹脂成型体2Eは、上フランジ2aの下面に凸面部8であるウェブ2cを有するように工場や工事現場で炭素繊維強化プラスチックが成型されることにより製造される。なお、圧縮応力がより大きくなる床スラブ1Fの中央部に近い部位ほど合成樹脂成型体2Eの上フランジ2aの厚さを厚くしてもよい。
【0062】
本実施形態の床スラブ1Fは、合成樹脂成型体2Eの上フランジ2aの上方を被覆する耐火部材3Hをさらに備える。耐火部材3Hは、例えば、コンクリートや発泡性シートにより形成されている。耐火部材3Hは、例えば、工事現場に合成樹脂成型体2Eと耐火部材3Gとは別個に搬送され、工事現場で合成樹脂成型体2Eの上フランジ2aの上方に配置される。なお、図8の例では、耐火部材3Hは、メッシュ筋5や鉄筋10が配筋されていないが、状況に応じて、メッシュ筋5や鉄筋10が配筋されていてもよい。また、耐火部材3Hは、コンクリートを工事現場で打設することにより、形成されていてもよい。
【0063】
耐火部材3Gは下面に突出した複数のリブ11を有する。リブ11は耐火部材3Gの下面における一方向に延在する線状の突起の形状を有する。本実施形態では、合成樹脂成型体2Eの凸面部8である格子状のウェブ2cの一辺が延在する方向と、耐火部材3Gの格子状の凹面部9の一辺が延在する方向と、耐火部材3Gのリブ11が延在する方向とは互いに平行である。例えば、平面視で、合成樹脂成型体2Eの凸面部8である格子状のウェブ2cの互いに対向する二辺の中間及び耐火部材3Gの格子状の凹面部9の互いに対向する二辺の中間にリブ11は位置していてもよい。なお、リブ11は省略されてもよい。
【0064】
耐火部材3Gは、プレストレスが導入されている。本実施形態では、耐火部材3Gの下面に突出したリブ11の内部にシース管6が配置され、シース管6の内部に挿入されたPC鋼材7により、耐火部材3Gの下部にプレストレスが導入されている。なお、床スラブ1Fが支持されるスパンが短ければ、プレストレスの導入は省略されてもよい。また、プレストレスの導入は、プレテンションでもポストテンションでもよい。
【0065】
耐火部材3Gは、鉄筋10が配筋され、上面に凹面部9を有し、下面にシース管6が配置されたリブ11を有するように工場でコンクリートを打設される。合成樹脂成型体2Eと耐火部材3Gとは、例えば、工事現場に別個に搬送され、工事現場で互いに組み合わされる。なお、耐火部材3Gの上に合成樹脂を埋め込んでコンクリートを工事現場で打設することにより、床スラブ1Fを構築してもよい。この場合、合成樹脂は床スラブ1Fの外側だけに配置すればよい。
【0066】
本実施形態では、耐火部材3Gは下面に突出したリブ11を有するため、同じ重量の床スラブ1Fの強度及び耐久力を向上させることができ、同じ強度及び耐久力の床スラブ1Fを軽量化することができる。また、本実施形態では、耐火部材3Gの下面に突出したリブ11の内部にシース管6が配置され、シース管6の内部に挿入されたPC鋼材7により、耐火部材3Gの下部にプレストレスが導入されているため、引張応力がより大きくなる耐火部材3Gの下部をプレストレスにより強化することができる。また、本実施形態では、圧縮応力がより大きくなる床スラブ1Fの中央部に近い部位ほど合成樹脂成型体2Eの上フランジ2aの厚さを厚くすることにより、床スラブ1Fの圧縮応力に対する耐久性をより向上させることができる。また、本実施形態では、スパン方向となるリブ11及びPC鋼材7が延在する方向に直交する方向にも、合成樹脂成型体2Eの凸面部8であるウェブ2cが延在するため、床スラブ1Fの撓みに対する強度を向上させることができる。
【0067】
以下、本発明の第7実施形態について説明する。図10及び図11に示すように、本実施形態の床スラブ1Gでは、上記第6実施形態の合成樹脂成型体2Eに替えて合成樹脂成型体2Fを備える。また、本実施形態の床スラブ1Gでは、上記第6実施形態の耐火部材3Gに替えて耐火部材Iを備える。複数の凸面部8であるウェブ2cのそれぞれは凹面部9に対応して合成樹脂成型体2Eの下面において十字状に突出した突起の形状を有し、複数の凹面部9のそれぞれは凸面部8であるウェブ2cに対応して耐火部材3Gの上面において十字状に窪んだ溝状の形状を有している。例えば、平面視で、合成樹脂成型体2Fの凸面部8である互いに隣接する二つの十字状のウェブ2cの互いに対向する二辺の中間及び耐火部材3Iの互いに隣接する十字状の凹面部9の互いに対向する二辺の中間にリブ11は位置していてもよい。それ以外は、上記第6実施形態と同様である。
【0068】
本実施形態では、上記第7実施形態に比べてウェブ2cが合成樹脂成型体2Fの下面に部分的に設けられているため、合成樹脂成型体2Fの高価な合成樹脂の量を抑えることが可能になる。従って、コスト削減を図ることができる。
【0069】
以下、本発明の第8実施形態について説明する。図12及び図13に示すように、本実施形態の床スラブ1Hでは、耐火部材3Jは、プレキャストコンクリートから形成されたプレキャストコンクリート版である。また、本実施形態では、耐火部材3Jは上面において一方向に延在しつつ突出した複数のリブ11を有する。リブ11は、中央部が窪んでいる。つまり、本実施形態では、リブ11は中央部に窪んだ凹面部9とその両側の凸面部8とを有する。また、図13に示すように、リブ11の凹面部9の両側の凸面部8のそれぞれは、リブ11が延在する方向の等間隔ごとの互いに対向する位置に凹面部9を有する。
【0070】
一方、図12及び図13に示すように、本実施形態では、合成樹脂成型体2Gの下面において、格子状に突出した凸面部8を有する。合成樹脂成型体2Gの凸面部8は、耐火部材3Jのリブ11の凹面部9に対応している。合成樹脂成型体2Gと耐火部材3Jとが互いに接触する部位では凸面部8と凹面部9とが互いに嵌合することにより、合成樹脂成型体2Gと耐火部材3Jとが互いに組み合わされている。図12に示すように、本実施形態の床スラブ1Hは、複数の内部空間部3sと複数の内部空間部3sのそれぞれを区画する隔壁である合成樹脂成型体2Gの凸面部8と耐火部材3Jのリブ11とを有する。なお、内部空間部3sはなくてもよい。
【0071】
本実施形態では、合成樹脂成型体2Gの下面に格子状に配置された凸面部8を有し、合成樹脂成型体2Fの凸面部8が耐火部材3Jのリブ11等の凹面部9及び凸面部8と嵌合することで、合成樹脂成型体2Gと耐火部材3Jとが一体化される。本実施形態では、スパン方向となるリブ11及びPC鋼材7が延在する方向に直交する方向にも、合成樹脂成型体2Gの凸面部8が延在するため、床スラブ1Hの撓みに対する強度を向上させることができる。また、本実施形態では、耐火部材3Jは、複数の内部空間部3sを有することにより、耐火性能を向上させることができる。また、内部空間部3sにより、合成樹脂成型体2Gの高価な合成樹脂の量を抑えることが可能になる。また、内部空間部3sには、建物の配管及び配線等の設備を通すこともできる。
【0072】
以下、本発明の第9実施形態について説明する。図14及び図15に示すように、本実施形態の床スラブ1Iでは、上記第8実施形態の合成樹脂成型体2Gに替えて合成樹脂成型体2Hを備える。本実施形態では、合成樹脂成型体2Hの下面において、十字状に突出した複数の凸面部8を有する。合成樹脂成型体2Hの凸面部8は、耐火部材3Jのリブ11の凹面部9に対応している。それ以外は、上記第6実施形態と同様である。
【0073】
本実施形態では、上記第8実施形態に比べて凸面部8が合成樹脂成型体2Hの下面に部分的に設けられているため、合成樹脂成型体2Hの高価な合成樹脂の量を抑えることが可能になる。従って、コスト削減を図ることができる。
【0074】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく様々な形態で実施される。例えば、合成樹脂成型体2A,2B,2C,2D,2E,2F,2G,2H及び耐火部材3A,3B,3C,3D,3E,3F,3G,3H,3I,3Jの組成は任意に変更することができる。また、内部空間部2s、隔壁2w、凸面部8、凹面部9及びリブ11の形状、大きさ、位置及び数量は任意に変更することができる。また、耐火部材3A,3B,3C,3D,3E,3F,3G,3H,3I,3Jは、例えば、コンクリート部材と耐火シートとが重ね合わされて形成されるなど、耐火性能を有する複数種類の部材が重ね合わされて形成されてもよい。
【0075】
上記第1~9実施形態においては、内部空間部2s,3sへの吸音材の敷設、合成樹脂成型体2A,2B,2C,2D,2E,2F,2G,2H及び耐火面材3fに加えて遮音材の積層、または天井を遮音天井とすることにより上階から下階、もしくは下階から上階への遮音性能を向上させることが可能である。
【0076】
本発明を用いて床スラブ1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1Iの軽量化を実現することにより、柱・梁などの構造部材の断面を小さくすることが可能である。特に梁せいを縮めることができるため、階高を小さくすることが可能である。つまり、高層以上の建物においては各階の階高を小さくできるため、同じ高さの建物であっても場合によっては層を増やせる可能性がある。
【符号の説明】
【0077】
1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1I…床スラブ、2A,2B,2C,2D,2E,2F,2G,2H…合成樹脂成型体、2s…内部空間部、2w…隔壁、2a…上フランジ、2b…下フランジ、2c…ウェブ、3A,3B,3C,3D,3E,3F,3G,3H,3I,3J…耐火部材、3f…耐火面材、3p…合成樹脂パネル、3s…内部空間部、5…メッシュ筋、6…シース管、7…PC鋼材、8…凸面部、9…凹面部、10…鉄筋、11…リブ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15