(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-09
(45)【発行日】2022-08-18
(54)【発明の名称】除脂肪体重を増加させるためのビフィズス菌(Bifidobacterium)
(51)【国際特許分類】
A61K 35/745 20150101AFI20220810BHJP
A23K 10/18 20160101ALI20220810BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20220810BHJP
A23L 33/135 20160101ALI20220810BHJP
A61K 31/715 20060101ALI20220810BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20220810BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
A61K35/745
A23K10/18
A23L33/10
A23L33/135
A61K31/715
A61K47/36
A61P21/00
(21)【出願番号】P 2018554014
(86)(22)【出願日】2017-04-06
(86)【国際出願番号】 EP2017058203
(87)【国際公開番号】W WO2017178315
(87)【国際公開日】2017-10-19
【審査請求日】2020-03-26
(32)【優先日】2016-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【微生物の受託番号】DSMZ DSM32073
(73)【特許権者】
【識別番号】397060588
【氏名又は名称】デュポン ニュートリション バイオサイエンシーズ エーピーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ロッタ・ステンマン
(72)【発明者】
【氏名】サンポ・ラハティネン
【審査官】菊池 美香
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/146568(WO,A1)
【文献】Obesity Facts, 2015, Vol. 8, suppl 1, p.103, Abstract No. T3:PO.101
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 35/745
A23K 10/18
A23L 33/10
A23L 33/135
A61K 31/715
A61K 47/36
A61P 21/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物の除脂肪体重を増加させるのに使用するため
の組成物であって、
前記組成物は、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含み、前記ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌は、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)420(株)(B420)のビフィズス菌(Bifidobacterium)であり、前記プレバイオティクスおよび/または食物繊維は、ポリデキストロースである、前記組成物。
【請求項2】
ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌は、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)420(株)(B420)のプロバイオティクスのビフィズス菌(Bifidobacterium)またはその混合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
食品、栄養補助食品または薬学的に許容される組成物の形態である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
除脂肪体重を増加させるための食品、栄養補助食品または薬学的に許容される組成物の製造における、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物の使用であって、前記ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌は、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)420(株)(B420)のビフィズス菌(Bifidobacterium)であり、前記プレバイオティクスおよび/または食物繊維は、ポリデキストロースである、前記組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌、特に限定されないが、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)420(株)(B420)の細菌と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物の使用に関する。本発明は、前記細菌を含有する食品、栄養補助食品および薬学的に許容される製剤にも関する。
【背景技術】
【0002】
除脂肪体重は、全体重から体脂肪重量を差し引くことによって計算される体組成の成分である。脂肪を除いた全体重のパーセンテージは、通常、60~90%である。除脂肪体重は、ほとんど筋肉である。
【0003】
筋肉は、消化管からのアミノ酸吸収がない状態で生体組織および器官におけるタンパク質合成を維持するためのアミノ酸の主要な貯蔵所として機能し、かつ肝臓に糖新生前駆体を提供することにより、全身のタンパク質代謝において中心的な役割を果たす。
【0004】
さらに、変化した筋肉代謝は、多くの一般的な病的状態および慢性疾患の発生、したがって予防において重要な役割を果たす。それにもかかわらず、十分な筋肉量、筋力および代謝機能の維持が食事摂取に対する推奨事項の関連する評価項目の対象とされることは、皆無でないにしても稀である(非特許文献1)。
【0005】
ヒトの加齢に関係する重大な変化は、筋肉量の進行性の減少であり、これは、強さおよび機能の低下をもたらし得る下向きのスパイラルである。
【0006】
1989年に、この加齢に関連する筋肉量の減少を表現するために「サルコペニア」という用語が提案された。サルコペニアは、骨格筋の量および機能の喪失を特徴とする状態である。それは、主として高齢者の疾患であるが、その進行は、高齢者以外にも見られる病態と関係している可能性がある。サルコペニアは、骨格筋の筋量および筋力の進行性かつ全身性の喪失を特徴とする症候群であり、身体障害、生活の質の低下および死亡と厳密な相関がある(非特許文献2)。
【0007】
老人症候群は、高齢者ではよくみられる複雑で費用がかかる健康障害である。老人症候群は、複数のシステムにおける病気と年齢との依然として十分に理解されていない相互作用から生じ、一連の徴候および症状を生じる。せん妄、転倒および失禁は、老人症候群の例である。
【0008】
サルコペニアは、高齢集団に広くみられる。サルコペニアには多くの要因がある:生涯にわたる老化過程、若年期の発達上の影響、最適と言えない食事、ベッドでの療養または座りがちな生活様式、慢性疾患およびある種の薬物治療。サルコペニアは、移動障害、転倒および骨折のリスクの増加、日常生活の活動能力の低下、障害、自立性の喪失ならびに死亡リスクの増加を伴う大きい個人的障害を科され、健康が損なわれた状態を表す(非特許文献3)。
【0009】
サルコペニアは、主に高齢者で観察されるが、認知症および骨粗鬆症の場合と同様に若年成人でも発症することがある。いくつかの個体では、サルコペニアの明確で単一の原因を同定することができる。他の場合、明らかな原因を選別することはできない。したがって、原発性サルコペニアおよび二次性サルコペニアという区分は、臨床診療において有用であり得る。サルコペニアは、加齢以外の他の原因が明らかでない場合、「原発性」(または年齢が関与した)とみなすことができ、1つ以上の他の原因が明らかである場合、サルコペニアは、「二次性」とみなすことができる。多くの高齢者では、サルコペニアの原因は多因子性であるため、各個人を原発性または二次性症状を有するものとして特徴付けることは不可能である。この状況は、サルコペニアを多面的な老人症候群として認識することと一致している。
【0010】
非特許文献4は、除脂肪体重の重要性と、その死亡率および罹病率との関連性を論じている。
【0011】
非特許文献5は、筋力と死亡率との関係を述べている。
【0012】
サルコペニアの主な治療法は、運動である。特に、ウエイトトレーニングまたは筋力トレーニング(ウエイト、またはエキスパンダーで筋力および持久力を増加させる運動)は、サルコペニアの予防および治療の両方に有用であることが示されている。しかし、高齢者または身体的に障害のある人々にとって、除脂肪体重を増加させるためまたは除脂肪体重の損失の影響を最小限にするために必要な運動を行うことは、困難であるかまたはさらに不可能であり得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【文献】Am.J.Clin.Nutr.,September 2006,vol.,84,n.3,475-482
【文献】Santilli et al.,Clinical Cases in Mineral and Bone Metabolism 2014;11(3):177-180
【文献】Age Ageing,2010 Jul;39(4);412-423
【文献】Prado et al.,J.Parental and Enteral Nutr.,2014
【文献】Ruiz et al.,BMJ,2008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、従来技術の問題に対する解決策を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
一態様では、本発明は、哺乳動物の除脂肪体重を増加させるのに使用するための、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物に関する。
【0016】
特に、本発明は、哺乳動物の除脂肪体重を増加させるのに使用するための、プロバイオティクスのビフィズス菌(Bifidobacterium)またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物に関する。
【0017】
特に、本発明は、哺乳動物の除脂肪体重を増加させるのに使用するための、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)420(株)(B420)のビフィズス菌(Bifidobacterium)と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物に関する。
【0018】
別の態様では、本発明は、哺乳動物の除脂肪体重を増加させる治療で使用するための、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物に関する。
【0019】
特に、本発明は、哺乳動物の除脂肪体重を増加させる治療で使用するための、プロバイオティクスのビフィズス菌(Bifidobacterium)またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物に関する。
【0020】
特に、本発明は、哺乳動物の除脂肪体重を増加させる治療で使用するための、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)420(株)(B420)のビフィズス菌(Bifidobacterium)と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物に関する。
【0021】
なおさらなる態様では、本発明は、哺乳動物の除脂肪体重を増加させるのに使用するための、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物の使用を含む。
【0022】
特に、本発明は、哺乳動物の除脂肪体重を増加させるのに使用するための、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物の使用であって、ビフィズス菌(Bifidobacterium)は、プロバイオティクスのビフィズス菌(Bifidobacterium)またはその混合物である、使用に関する。
【0023】
なおさらなる態様では、本発明は、哺乳動物の除脂肪体重を増加させるのに使用するための、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物の使用であって、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌は、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)420(株)(B420)のビフィズス菌(Bifidobacterium)である、使用に関する。
【0024】
なおさらなる態様では、本発明は、哺乳動物の除脂肪体重を増加させるのに使用するための、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物の非治療的使用を含む。
【0025】
特に、本発明は、哺乳動物の除脂肪体重を増加させるのに使用するための、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物の非治療的使用であって、ビフィズス菌(Bifidobacterium)は、プロバイオティクスのビフィズス菌(Bifidobacterium)またはその混合物である、非治療的使用に関する。
【0026】
なおさらなる態様では、本発明は、哺乳動物の除脂肪体重を増加させるのに使用するための、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物の非治療的使用であって、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌は、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)420(株)(B420)のビフィズス菌(Bifidobacterium)である、非治療的使用に関する。
【0027】
なおさらなる態様では、本発明は、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物を哺乳動物に投与することを含む、除脂肪体重を増加させるための方法であって、その組成物の投与は、哺乳動物の除脂肪体重を増加させる、方法に関する。
【0028】
特定の態様では、本発明は、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物を哺乳動物に投与することを含む、除脂肪体重を増加させるための方法であって、その組成物の投与は、哺乳動物の除脂肪体重を増加させ、かつビフィズス菌(Bifidobacterium)は、プロバイオティクスのビフィズス菌(Bifidobacterium)またはその混合物である、方法に関する。
【0029】
さらなる態様では、本発明は、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物を哺乳動物に投与することを含む、除脂肪体重を増加させるための方法であって、その組成物の投与は、哺乳動物の除脂肪体重を増加させ、かつビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌は、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)420(株)(B420)のビフィズス菌(Bifidobacterium)である、方法に関する。
【0030】
なおさらなる態様では、本発明は、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物を哺乳動物に投与することを含む、除脂肪体重を増加させるための非治療的方法であって、その組成物の投与は、哺乳動物の除脂肪体重を増加させる、非治療的方法に関する。
【0031】
特定の態様では、本発明は、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物を哺乳動物に投与することを含む、除脂肪体重を増加させるための非治療的方法であって、その組成物の投与は、哺乳動物の除脂肪体重を増加させ、かつビフィズス菌(Bifidobacterium)は、プロバイオティクスのビフィズス菌(Bifidobacterium)またはその混合物である、非治療的方法に関する。
【0032】
さらなる態様では、本発明は、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物を哺乳動物に投与することを含む、除脂肪体重を増加させるための非治療的方法であって、その組成物の投与は、哺乳動物の除脂肪体重を増加させ、かつビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌は、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)420(株)(B420)のビフィズス菌(Bifidobacterium)である、非治療的方法に関する。
【0033】
さらなる態様では、本発明は、除脂肪体重を増加させるための食品、栄養補助食品または薬学的に許容される組成物の製造における、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物の使用に関する。
【0034】
なおさらなる態様では、本発明は、除脂肪体重を増加させるための食品、栄養補助食品または薬学的に許容される組成物の製造における、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物の使用であって、ビフィズス菌(Bifidobacterium)は、プロバイオティクスのビフィズス菌(Bifidobacterium)またはその混合物である、使用に関する。
【0035】
さらなる特定の態様では、本発明は、除脂肪体重を増加させるための食品、栄養補助食品または薬学的に許容される組成物の製造における、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物の使用であって、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌は、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)420(株)(B420)のビフィズス菌(Bifidobacterium)である、使用に関する。
【0036】
利点
驚くべきことに、本発明者らは、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌またはその混合物、特にビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)420(株)(B420)のビフィズス菌(Bifidobacterium)と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物で治療すると、哺乳類の除脂肪体重が増加することを見出した。これは、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維と組み合わせたビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌またはその混合物、特にビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)420(株)(B420)のビフィズス菌(Bifidobacterium)が、除脂肪体重の減少に関連する多くの疾患の治療および/または予防に有用であるとの可能性を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】試験の盲検を解除する前に、試験プロトコルの順守に応じて、参加者がインテンション・トゥ・トリート(ITT)母集団とパー・プロトコル(PP)母集団とに分けられたことを示す。
【
図2】インテンション・トゥ・トリート(A)母集団およびパー・プロトコル(B)母集団の全除脂肪体重の相対的変化、ならびにインテンション・トゥ・トリート(C)母集団およびパー・プロトコル(D)母集団の試験中における除脂肪体重の増加を示す。
【
図3-1】インテンション・トゥ・トリート母集団およびパー・プロトコル母集団における、ベースラインから6か月の治療までの胴体(A)、腕部(B)、脚部(C)、およびアンドロイド(D)、およびジノイド(E)領域の相対変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
細菌
本発明で使用する細菌は、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌またはその混合物から選択される。好ましくは、本発明において使用するビフィズス菌(Bifidobacterium)は、一般に安全であると認識され、好ましくはGRAS認証を得たビフィズス菌(Bifidobacterium)である。「一般に安全と認められる(GRAS)」というのは、食品に添加される化学薬品または物質が専門家によって安全であると認められ、したがって通常の連邦食品・医薬品・化粧品法(Federal Food,Drug,and Cosmetic Act)(FFDCA)の食品添加物許容要件から除外されるという米国食品医薬品局(FDA)の指定である。
【0039】
一実施形態では、本発明は、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物に関する。
【0040】
別の実施形態では、本発明は、哺乳動物の除脂肪体重を増加させるのに使用するための、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物に関する。
【0041】
別の実施形態では、本発明は、哺乳動物の除脂肪体重を増加させるのに使用するための、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物の使用に関する。
【0042】
さらなる実施形態では、本発明は、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物を哺乳動物に投与することを含む、除脂肪体重を増加させるための方法であって、その組成物の投与は、哺乳動物の除脂肪体重を増加させる、方法に関する。
【0043】
なおさらなる実施形態では、本発明は、除脂肪体重を増加させるための食品、栄養補助食品または薬学的に許容される組成物の製造における、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物の使用に関する。
【0044】
細菌は、本明細書に記載の効果を発揮することができる任意の形態で使用することができる。例えば、細菌は、生菌、休眠菌、不活化菌または死菌であり得る。細菌は、生菌であることが好ましい。
【0045】
細菌は、細菌の全体を含んでもよく、細菌の構成要素を含んでもよい。そのような構成要素の例としては、ペプチドグリカンなどの細菌の細胞壁成分、DNAおよびRNAなどの細菌の核酸、細菌の膜成分、ならびにタンパク質、炭水化物、脂質およびこれらの組み合わせ(リポタンパク質、糖脂質および糖タンパク質など)などの細菌の構造成分が挙げられる。
【0046】
細菌は、同様にまたは代替として、細菌の代謝産物を含んでもよい。本明細書では、「細菌の代謝産物」という用語は、プロバイオティクス製品の製造および貯蔵中の細菌の増殖、生存、持続、移動または存在中ならびに哺乳動物の胃腸内通過中の細菌代謝の結果として、(プロバイオティクス)細菌によって産生または修飾された全ての分子を含む。例としては、全ての有機酸、無機酸、塩基、タンパク質およびペプチド、酵素および補酵素、アミノ酸および核酸、炭水化物、脂質、糖タンパク質、リポタンパク質、糖脂質、ビタミン、全ての生理活性化合物、無機成分を含む代謝物、ならびに全ての小分子、例えば亜硝酸分子または亜硫酸を含む分子が挙げられる。
【0047】
細菌は、細菌の全体を含むことが好ましく、生菌の全体を含むことがより好ましい。
【0048】
本発明に従って使用されるビフィズス菌(Bifidobacterium)は、ヒトおよび/または動物の摂取に適したものであることが好ましい。当業者であれば、食品産業および/または農産業において使用され、かつヒトおよび/または動物の摂取に適していると一般に考えられている、本明細書に記載の属内からのビフィズス菌(Bifidobacterium)の特定の菌種およびまたは菌株が容易にわかるであろう。
【0049】
本発明では、使用するビフィズス菌(Bifidobacterium)は、同じタイプ(種および株)であってもよく、または種および/もしくは株の混合物を含んでもよい。
【0050】
好適な細菌は、ビヒドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、ビヒドバクテリウム・ビフィドゥム(Bifidobacterium bifidum)、ビヒドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビヒドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)、ビヒドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビヒドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビヒドバクテリウム・カテヌラツム(Bifidobacterium catenulatum)、ビヒドバクテリウム・シュードカテヌラツム(Bifidobacterium pseudocatenulatum)、ビヒドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)およびビヒドバクテリウム・アングラタム(Bifidobacterium angulatum)の種ならびにこれらの任意の組み合わせから選択される。
【0051】
本発明で使用するビフィズス菌(Bifidobacterium)は、ビヒドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)種であることが好ましい。本発明で使用するビフィズス菌(Bifidobacterium)は、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)であることがより好ましい。
【0052】
特に好ましい実施形態では、本発明で使用する細菌は、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)420(株)(B420)である。
【0053】
この株は、DuPont Nutrition Biosciences ApSから市販されている。ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)のこの株はまた、2015年6月30日のブダペスト条約(Budapest Treaty)に従って、Langebrogade 1、DK-1411 Copenhagen K、DenmarkのDuPont Nutrition Biosciences ApSにより、Leibniz-Institut Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ)、Inhoffenstrasse 7B、38124 Braunschweig、Germanyに参照番号DGCC420で寄託されており、これは、登録番号DSM 32073として記録されている。生物材料は、請求人が指名した専門家に試料を交付することによってのみ入手できるようにすることが求められる。
【0054】
一実施形態では、本発明で使用する細菌は、プロバイオティクス細菌である。本明細書では、「プロバイオティクス細菌」という用語は、生きたまま適切量が投与された場合、宿主に健康上の利益を与える任意の非病原性細菌を包含するものと定義される。これらのプロバイオティクス株は、一般に消化管の上部を通り抜けて生き残る能力を有する。それらは、非病原性、非毒性であり、かつ一方で消化管中の常在菌叢との生態学的相互作用を介して、また他方で「GALT」(腸管関連リンパ系組織)を通して積極的に免疫系に影響を与えるそれらの能力を介して、それらの有益な影響を健康に与える。プロバイオティクスの定義にもよるが、これらの細菌は、十分な数が与えられた場合、生きたまま腸を通って進む能力を有するが、これらは、腸管バリアを横断せず、したがって、これらの最初の影響は、胃腸管の内腔および/または壁で生じる。次いで、それらは、投与期間中に常在菌叢の一部を形成する。このコロニー形成(または一時的コロニー形成)は、プロバイオティクス細菌が、フローラ中に存在する潜在的病原性微生物を抑制するなどの有益な影響を及ぼすことを可能にする。
【0055】
好ましい実施形態では、本発明で使用する細菌は、プロバイオティクスのビフィズス菌(Bifidobacterium)またはその混合物である。
【0056】
用量
本発明に従って使用するビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)株、例えばビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)420(株)(B420)などのビフィズス菌(Bifidobacterium)は、支持体1g当たり106~1012CFUの細菌、より特に支持体1g当たり108~1012CFUの細菌、凍結乾燥形態について1g当たり好ましくは109~1012CFUを含み得る。
【0057】
好適には、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)株、例えばビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)420(株)(B420)などのビフィズス菌(Bifidobacterium)は、1回分当たり約106~約1012CFUの微生物、好ましくは1回分当たり約108~約1012CFUの微生物の用量で投与し得る。用語「1回分当たり」とは、この量の微生物が、1日当たりまたは1回の摂取量当たり、好ましくは1日当たりで対象に与えられることを意味する。例えば、微生物が食品中(例えば、ヨーグルト中)に入れて投与される場合、そのヨーグルトは、好ましくは、約108~約1012CFUの微生物を含有することになる。しかしながら、代替として、微生物のこの量は、任意の特定の時間、例えば各24時間の期間中に対象が受ける微生物の全体の量が約106~約1012CFUの微生物、好ましくは約108~約1012CFUの微生物である限り、それぞれがより少量の微生物負荷からなる多回投与に分けることもできる。
【0058】
本発明によれば、微生物の少なくとも1菌株の有効量は、1回分当たり少なくとも106CFUの微生物、好ましくは1回分当たり約106~約1012CFUの微生物、好ましくは1回分当たり約108~約1012CFUの微生物であり得る。
【0059】
一実施形態では、好ましくは、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)株、例えばビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)420(株)(B420)などのビフィズス菌(Bifidobacterium)は、1日当たり約106~約1012CFUの微生物、好ましくは1日当たり約108~約1012CFUの微生物の用量で投与され得る。したがって、この実施形態における有効量は、1日当たり約106~約1012CFUの微生物、好ましくは1日当たり約108~約1012CFUであり得る。
【0060】
CFUは、「コロニー形成単位」を表す。「支持体」とは、食品、栄養補助食品または薬学的に許容される製剤を意味する。
【0061】
一実施形態では、本発明は、食品、栄養補助食品または薬学的に許容される組成物の形態の、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物に関する。ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)株、例えばビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)420(株)(B420)などのビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌またはその混合物を含む組成物は、食品、栄養補助食品または薬学的に許容される組成物の形態である。
【0062】
さらなる実施形態では、除脂肪体重は、胴体、脚部、アンドロイドおよびジノイド領域で増加する。
【0063】
除脂肪体重は、全体重から体脂肪重量を差し引くことによって計算される体組成の成分である。全体重は、除脂肪+脂肪である。数式では、次の通りである:除脂肪体重(LBM)=体重(BW)-体脂肪(BF)。
【0064】
なおさらに別の実施形態では、除脂肪体重は、筋肉量である。
【0065】
「筋肉」は、器官または器官の一部に運動を生じさせる、収縮および弛緩が可能な細胞からなる組織を意味する。
【0066】
効果/対象/医療適用
本発明が関係する組成物は、例えば、家畜(ウシ、ウマ、ブタおよびヒツジを含む)およびヒトを含む哺乳動物に投与される。本発明のいくつかの態様では、哺乳動物は、例えば、イヌまたはネコなどの伴侶動物(ペットを含む)である。本発明のいくつかの態様では、対象は、好適にはヒトであり得る。
【0067】
本発明が関係する組成物は、哺乳類の除脂肪体重を増加させるための使用に好適であり得る。
【0068】
ニワトリなどの鳥類および家禽は、厳密には哺乳類でないが、本発明は、ニワトリなどの鳥類および任意の種類の家禽にも好適であり得る。
【0069】
本明細書では、「除脂肪体重を増加させる」という用語は、本発明による組成物の任意の投与を指し、哺乳動物、鳥類、または家禽の除脂肪体重を増加させることを含む。
【0070】
特に、本発明による組成物は、除脂肪体重が減少しているかまたは除脂肪体重を増加させる必要がある哺乳類、鳥類および家禽に適している。この態様を以下でより詳細に論じる。
【0071】
除脂肪体重
上記のように、本発明の組成物で処置された対象の哺乳類、鳥類または家禽は、その除脂肪体重を増加させ、除脂肪体重の損失の影響を軽減し得る。
【0072】
成人の除脂肪体重は、サルコペニアとして知られる過程で年齢と共に減少する。サルコペニアは、栄養不足および身体の不活動により加速される、年齢が関与する除脂肪体重の喪失である。この筋肉の喪失に対抗するために、患者は、適正な量のタンパク質を適切な時期に消費すべきである。
【0073】
成人の除脂肪体重はまた、腎臓疾患などの特定の疾患により減少する。
【0074】
組成物
本発明による組成物を単独で(すなわち支持体、希釈剤または賦形剤なしで)投与することが可能であるが、組成物は、通常かつ好ましくは、製品の一部として、特に食品、栄養補助食品または医薬組成物もしくは製剤の一成分として支持体上または支持体内に含有させて投与される。これらの製品は、通常、当業者によく知られた追加の成分を含有する。
【0075】
「組成物」は、2種以上の物質の組合わせであると理解される。物質は、所望の効果を有する物質を含む化学物質または細菌などの生物学的物質であり得る。
【0076】
「製剤」は、所望の効果を有する物質を含む、異なる化学物質および/または生物学的物質を組み合わせて最終製品を製造するプロセスまたは組成物と理解される。組成物および製剤は、同義的に使用することができる。
【0077】
この組成物から恩恵を受けることができる任意の製品を本発明において使用することができる。これらには、食品、特に果物の砂糖漬ならびに乳製品および乳製品派生製品、ならびに医薬製品が含まれるが、これらに限定されない。
【0078】
食品
一実施形態では、本発明よる組成物は、乳をベースとする食品サプリメント、飲料または粉末などの食品において用いられる。本明細書では、「食品」という用語は、広い意味に使用され、ヒト用の食品および動物用の食品(すなわち飼料)を包含する。好ましい態様では、食品は、ヒトが摂取するためのものである。
【0079】
食品は、用途、および/または利用方法、および/または投与方法に応じて溶液の形態とすることも固体とすることもできる。
【0080】
機能性食品などの食品としてまたはその調製において使用される場合、本発明の組成物は、栄養学的に許容される担体、栄養学的に許容される希釈剤、栄養学的に許容される賦形剤、栄養学的に許容されるアジュバント、栄養学的に有効な成分の1種以上と併用することができる。
【0081】
一例として、本発明の組成物は、ソフトドリンク、乳清タンパク質を含む果汁または飲料、健康茶、ココア飲料、ミルク飲料および乳酸菌飲料、ヨーグルトおよびドリンクヨーグルト、チーズ、アイスクリーム、氷菓子およびデザート、菓子、ビスケットケーキおよびケーキミックス、スナック食品、栄養調整食品および飲料、フルーツフィリング、保護グレーズ、チョコレートベーカリーフィリング、チーズケーキ香味付けフィリング、フルーツ香味付けケーキフィリング、ケーキおよびドーナツの糖衣、即席ベーカリーフィリングクリーム、クッキー用のフィリング、直ちに食べられるベーカリーフィリング、低カロリーフィリング、成人用栄養飲料、酸性化大豆/ジュース飲料、無菌/レトルトチョコレート飲料、バーミックス、飲料粉末、カルシウム強化大豆/プレーンおよびチョコレートミルク、カルシウム強化コーヒー飲料の成分として使用することができる。
【0082】
組成物は、アメリカンチーズソース、粉および細切りチーズ用の固化防止剤、チップディップ、クリームチーズ、ドライブレンドホイップトッピング無脂肪サワークリーム、凍結/解凍した乳製品ホイップクリーム、凍結/解凍に安定なホイップトッピング、低脂肪および低カロリーナチュラルチェダーチーズ、低脂肪スイス型ヨーグルト、気泡入り冷凍デザート、ハードパックアイスクリーム、ラベルフレンドリーで、経済性および依存性が改善されたハードパックアイスクリーム、低脂肪アイスクリーム:ソフトクリーム、バーベキューソース、チーズディップソース、コテッジ・チーズドレッシング、ドライミックスアルフレドソース、ミックスチーズソース、ドライミックストマトソースなどの食品中の成分としてさらに使用することができる。
【0083】
本明細書で使用される「乳製品」という用語は、動物および/または植物由来の乳を含む媒体を含むことを意味する。動物由来の乳としては、ウシ、ヒツジ、ヤギまたはバッファローの乳を挙げることができる。植物由来の乳として、本発明により使用することができる植物由来の、特に大豆、米または穀類由来の任意の発酵性物質を挙げることができる。
【0084】
さらにより好ましくは、本発明により使用される食品は、発酵乳またはヒト化乳である。
【0085】
特定の態様では、好ましくは、本発明は、ヨーグルトの生産、例えば発酵ヨーグルト飲料、ヨーグルト、ドリンクヨーグルト、チーズ、発酵クリーム、ミルク系デザートなどに関連して使用することができる。
【0086】
好適には、組成物は、チーズ用途、食肉用途または保護用培養物を含む用途の1つ以上における成分としてさらに使用することができる。
【0087】
本発明はまた、食品または食品成分の調製方法を提供し、この方法は、本発明による組成物を別の食品成分と混合することを含む。
【0088】
有利には、本発明は、本発明の組成物および任意選択で他の構成成分/成分と接触させた製品に関し、この組成物は、製品の栄養上および/または健康上の利益を向上させることが可能な量で使用される。
【0089】
本明細書中で使用される「接触させた」という用語は、製品に本発明の組成物を間接的にまたは直接的に利用することを指す。使用し得る利用法の例としては、限定されないが、組成物を含む材料中で製品を処理すること、組成物を製品と混合することによる直接的利用、製品表面へ組成物を噴霧すること、または製品を組成物の調合液中に浸漬することが挙げられる。
【0090】
本発明の製品が食材である場合、本発明の組成物は、好ましくは、製品と混合される。代替として、組成物を食材のエマルションまたは未加工成分中に含めることもできる。さらなる代替形態では、組成物を調味料、グレーズ、着色剤混合物などとして利用することもできる。
【0091】
一部の用途では、本組成物が、影響を受ける/処理される製品の表面上でまたは表面に対して利用可能にされることが重要である。これは、組成物が有利な特徴、すなわち栄養上および/または健康上の利益の1つ以上を与えることを可能にする。
【0092】
制御された量の微生物を製品に散在、被覆および/または含浸させるために、本発明の組成物を利用し得る。
【0093】
好ましくは、組成物は、発酵乳、またスクロース強化乳、またはスクロースおよび/もしくはマルトースを含む媒体に使用される。この場合、組成物の全ての構成成分を含有する得られた媒体、すなわち本発明による前記微生物は、例えば、106~1010CFUの1日量を与える最終製品中の濃度などの好適濃度でヨーグルトミルクに成分として加えることができる。本発明による微生物は、ヨーグルトの発酵前に使用することもその後に使用することもできる。
【0094】
いくつかの態様では、本発明による組成物は、家畜飼料などの動物飼料、具体的には家禽(ニワトリなど)の飼料またはペットフードとしてまたはその調製時に使用される。
【0095】
製品が食品である場合、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌またはそれらの混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物は、食品が小売業者によって販売に供される通常の「販売期限」または「有効期限」を通して有効性が維持されることが有利である。有効期間は、食品の損傷が明らかになる、通常の鮮度期間が終わる日付を過ぎて設定されていることが好ましい。望ましい期間および通常の貯蔵期間は、食材ごとに異なり、当業者は、貯蔵期間が食材の種類、食材のサイズ、貯蔵温度、加工条件、包装材料および包装設備によって異なることを認識するであろう。
【0096】
食品成分
本発明の組成物は、食品成分および/または飼料成分として使用することができる。
【0097】
本明細書中で使用される用語「食品成分」または「飼料成分」は、栄養補給剤として機能性の食品または食材に添加されるかまたは添加することができる配合物を含む。
【0098】
この食品成分は、用途、および/または利用方法、および/または投与方法に応じて溶液の形態とすることも固体とすることもできる。
【0099】
食品サプリメント
本発明の組成物は、本明細書では食品サプリメントとも呼ばれる栄養補助食品であってよく、またはそれに添加されてもよい。
【0100】
本明細書では「栄養補助食品」という用語は、食事にさらなる栄養価を加える(栄養補給する)ことを意図した「食物成分」を含有する、摂取を意図した製品である。「食物成分」は、以下の物質の1つまたは任意の組合わせであり得る:ビタミン、ミネラル、ハーブまたは他の植物、アミノ酸、食事総摂取量を増加させることにより食事を補うために人々が使用する食物物質、濃縮物、代謝物、構成要素または抽出物。
【0101】
栄養補助食品は、錠剤、カプセル、軟質ゲル、ゲルキャップ、液体または粉末などの多くの形態で見出し得る。栄養補助食品の中には、必須栄養素の食事からの十分な摂取を確実にするのに役立つものもあれば、病気のリスクを低減させるのに役立つものもある。
【0102】
機能性食品
本発明の組成物は、機能性食品であってよく、またはそれに加えてもよい。
【0103】
本明細書中で使用される「機能性食品」という用語は、栄養学的効果をもたらすことができるだけでなく、消費者にさらなる有益な効果を与えることができる食品を意味する。
【0104】
したがって、機能性食品は、その食品に純粋な栄養学的効果以外の特定の機能的効果、例えば医学的または生理学的利益を与える構成成分または成分(本明細書中で述べたものなど)がその中に取り込まれている一般的な食品である。
【0105】
機能性食品の法的な定義は存在しないが、この分野に利害関係のある団体の大部分は、それらが基本的な栄養学的効果以上の特定の健康効果を有するものとして市販されている食品であることに同意している。
【0106】
いくつかの機能性食品は、ニュートラシューティカルズである。本明細書では、「ニュートラシューティカルズ」という用語は、栄養学的効果および/または味覚の満足感をもたらすことができるだけでなく、消費者に治療上の(または他の有益な)効果を与えることができる食品を意味する。ニュートラシューティカルズは、食品と薬剤との間の従来の境界線を横断している。
【0107】
医療食品
一実施形態では、本発明の組成物は、医療食品の形態をとる。ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.Lactis)株、例えばビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.Lactis)420(株)(B420)を含む本発明の組成物は、医療食品の形態をとることが好ましい。
【0108】
「医療食品」とは、医師の監督下または無監督下で摂取または投与されるように処方され、認識された科学的原理に基づく特有の栄養要求が医学的評価によって確立された、特定の食事の管理または状態を意図した食品を意味する。
【0109】
医薬品
本発明の組成物は、医薬製剤もしくは組成物としてまたはその調製で使用することができる。本明細書では、「医薬品」という用語は、広い意味に使用され、ヒト用だけでなく動物用の医薬品(すなわち獣医用途)を包含する。好ましい態様では、医薬品は、ヒト用および/または畜産用である。
【0110】
この医薬品は、治療目的のものであり得、それらは、現実には治療、または苦痛緩和、または予防であり得る。その医薬品は、さらに診断目的のものであり得る。
【0111】
薬学的に許容される製剤、または支持体、または組成物は、例えば、圧縮錠剤、錠剤、カプセル剤、軟膏、坐薬または飲用溶液の形態であり得る。他の好適な形態を以下に記載する。
【0112】
医薬品としてまたはその調製において使用される場合、本発明の組成物は、薬学的に許容される担体、薬学的に許容される希釈剤、薬学的に許容される賦形剤、薬学的に許容されるアジュバント、薬学的に有効な成分の1種以上と併用することができる。
【0113】
この医薬品は、用途、および/または利用方法、および/または投与方法に応じて溶液の形態とすることも固体とすることもできる。
【0114】
本発明の組成物は、医薬品成分として使用することができる。ここで、組成物は、単独の活性構成成分であり得、またそれは、複数(すなわち2つ以上)の活性構成成分の少なくとも1つであり得る。
【0115】
医薬品成分は、用途、および/または利用方法、および/または投与方法に応じて溶液の形態とすることも固体とすることもできる。
【0116】
本発明による組成物は、単独であろうと、他の構成成分または成分との組み合わせで存在しようと、任意の好適な形態で使用し得る。本発明の組成物と、他の構成成分および/または成分(すなわち食品成分、機能性食品成分または医薬品成分などの成分)とを含む合剤も任意の好適な剤形で使用し得る。
【0117】
本発明による組成物は、固体もしくは液体製剤の形態またはその代替形態で使用し得る。固体製剤の例としては、限定されないが、錠剤、カプセル剤、粉剤、粒剤および散剤が挙げられ、それらは、水和性でも、噴霧乾燥されていても、または凍結乾燥されていてもよい。液体製剤の例としては、限定されないが、水溶液、有機もしくは水性有機溶液、懸濁剤およびエマルションが挙げられる。
【0118】
形態の好適な例としては、即時放出、遅延放出、調節放出、持続放出、パルス放出または制御放出用途のための錠剤、丸剤、カプセル剤、オビュール剤、液剤または懸濁剤の1種以上が挙げられ、これらは、香味料または着色剤を含有してもよい。
【0119】
一例として、本発明の組成物が錠剤の形態で使用される場合(機能性成分として使用する場合など)、その錠剤はまた、微結晶セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウムおよびグリシンなどの賦形剤、デンプン(好ましくはトウモロコシ、ジャガイモまたはタピオカのデンプン)、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウムおよびある種の複雑なケイ酸塩などの崩壊剤、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、スクロース、ゼラチンおよびアラビアゴムなどの造粒用結合剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリルおよびタルクなどの滑沢剤の1種以上を含有することができる。
【0120】
これらの剤形の調製に際して使用される栄養学的に許容される担体の例としては、例えば、水、食塩水、アルコール、シリコーン、ワックス、ワセリン、植物油、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、リポソーム、糖、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、界面活性剤、ケイ酸、粘性パラフィン、香油、脂肪酸モノグリセリドおよびジグリセリド、ペトロエスラル脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0121】
剤形用の好ましい賦形剤としては、ラクトース、デンプン、セルロース、乳糖または高分子量ポリエチレングリコールが挙げられる。
【0122】
水性懸濁剤および/またはエリキシル剤の場合、本発明の組成物は、様々な甘味剤または着香料、色素または染料と、乳化剤および/または懸濁化剤と、また水、プロピレングリコールおよびグリセリンなどの希釈剤と、ならびにこれらの組合わせと組み合わせることができる。
【0123】
これら剤形にはまた、ゼラチンカプセル剤、食物繊維カプセル剤、食物繊維錠剤など、またはさらに食物繊維飲料を挙げることができる。
【0124】
剤形のさらなる例として、クリームも挙げられる。いくつかの態様では、本発明で使用する微生物は、医薬用および/または化粧用クリーム、例えば日焼け止めクリームおよび/またはアフターサンクリームなどに含まれ得る。
【0125】
一態様では、本発明による組成物は、エアロゾルの状態において、例えば気道に投与するために例えば鼻腔用スプレーによって投与することができる。
【0126】
薬剤
一実施形態では、本発明の組成物は、薬剤の形態をとる。
【0127】
本明細書で使用される「薬剤」という用語は、ヒトおよび獣医学的薬物療法においてヒトおよび動物の両方に利用される薬剤を包含する。さらに、本明細書中で使用される「薬剤」という用語は、治療上のかつ/または有益な効果をもたらす任意の物質を意味する。本明細書中で使用される「薬剤」という用語は、販売承認を必要とする物質に必ずしも限定されず、化粧品、ニュートラシューティカルズ、食品(例えば、飼料および飲料を含む)、プロバイオティク培養物および生薬に使用することができる物質を含めることができる。さらに、本明細書で使用される「薬剤」という用語は、動物飼料、例えば家畜飼料および/またはペットフードに取り入れられるように設計された製品を包含する。
【0128】
プレバイオティクス
一実施形態では、本発明の組成物は、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む。
【0129】
プレバイオティクスは、機能性食品のカテゴリーであり、結腸内における1種または限られた種類の細菌(特に限定されないが、プロバイオティクス、ビフィズス菌(Bifidobacterium)および/または乳酸菌)の増殖および/または活性を選択的に刺激することによって宿主に有益な影響を及ぼし、それによって宿主の健康を改善する、非消化性食品成分と定義される。典型的には、プレバイオティクスは、炭水化物(オリゴ糖など)であるが、その定義は、非炭水化物を排除するものではない。プレバイオティクスの最も一般的な形態は、栄養学的に可溶性繊維として分類される。食物繊維の多くの形態は、ある程度、あるレベルのプレバイオティック効果を示す。
【0130】
一実施形態では、プレバイオティクスは、宿主の健康および健康に利益を与える胃腸内微生物叢の組成および/または活性の両方における特定の変化をもたらすことができる選択的発酵成分である。
【0131】
好適には、プレバイオティクスは、本発明に従って0.01~100g/日、好ましくは0.1~50g/日、より好ましくは0.5~20g/日の量で使用することができる。一実施形態では、プレバイオティクスは、本発明に従って1~10g/日、好ましくは2~9g/日、より好ましくは3~8g/日の量で使用することができる。別の実施形態では、プレバイオティクスは、本発明に従って5~50g/日、好ましくは10~25g/日の量で使用することができる。
【0132】
プレバイオティクスの食物源の例としては、ダイズ、イヌリン源(エルサレム・アーティチョーク、ジカマおよびチコリー根など)、生オート麦、未精製小麦、未精製大麦およびヤーコンが挙げられる。
【0133】
好適なプレバイオティクスの例としては、アルギン酸塩、キサンタン、ペクチン、ローカストビーンガム(LBG)、イヌリン、グァーガム、ガラクトオリゴ糖(GOS)、フルクトオリゴ糖(FOS)、ポリデキストロース(すなわちLitesse(登録商標))、ラクチトール、ラクトスクロース、ダイズオリゴ糖、イソマルツロース(Palatinose(商標))、イソマルトオリゴ糖、グルコオリゴ糖、キシロオリゴ糖、マンノオリゴ糖、ベータグルカン、セロビオース、ラフィノース、ゲンチオビオース、メリビオース、キシロビオース、シクロデキストリン、イソマルトース、トレハロース、スタキオース、パノース、プルラン、バーバスコース、ガラクトマンナンおよび全ての形態の難消化性デンプンが挙げられる。
【0134】
プレバイオティクスの特に好ましい例は、ポリデキストロースである。
【0135】
本発明による組成物中に存在するビフィズス菌(Bifidobacterium)と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維との組み合わせは、相乗効果(すなわち別々に使用した場合の細菌の相加効果よりも大きい効果)を示す。理論に束縛されることを望むものではないが、このような組み合わせは、結腸におけるビフィズス菌(Bifidobacterium)の増殖および/または活性を選択的に刺激することができ、したがってビフィズス菌(Bifidobacterium)の効果および宿主の健康を高めることができると考えられる。
【0136】
一実施形態では、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維と組み合わせて使用されるビフィズス菌(Bifidobacterium)またはその混合物は、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)種のものである。より好ましくは、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維と組み合わせて使用されるビフィズス菌(Bifidobacterium)またはその混合物は、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)のものである。
【0137】
特に好ましい実施形態では、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維と組み合わせて使用されるビフィズス菌(Bifidobacterium)またはその混合物は、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)420(株)(B420)のものである。
【0138】
好適には、組み合わせで使用される食物繊維および/またはプレバイオティクスは、ポリデキストロースである。
【0139】
別の実施形態では、組み合わせで使用される食物繊維および/またはプレバイオティクスは、Litesse(登録商標)である。
【0140】
さらなる態様では、本発明は、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物を含有する食品を含む。
【0141】
なおさらなる態様では、本発明は、ビフィズス菌(Bifidobacterium)またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物を含有する食品であって、ビフィズス菌(Bifidobacterium)またはその混合物は、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)種のものである、食品を含む。
【0142】
なおさらなる態様では、本発明は、ビフィズス菌(Bifidobacterium)またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維を含む組成物とを含有する食品であって、ビフィズス菌(Bifidobacterium)またはその混合物は、ビフィドバクテリウム・アニマリスラクティス(Bifidobacterium animalis lactis)種のものである、食品を含む。
【0143】
なおさらなる態様では、本発明は、ビフィズス菌(Bifidobacterium)またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維を含む組成物とを含有する食品であって、ビフィズス菌(Bifidobacterium)またはその混合物は、ビフィドバクテリウム・アニマリスラクティス(Bifidobacterium animalis lactis)種420(株)(B420)のものである、食品を含む。
【0144】
さらなる態様では、本発明は、ビフィズス菌(Bifidobacterium)またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物を含有する栄養補助食品を含む。
【0145】
なおさらなる態様では、ビフィズス菌(Bifidobacterium)またはその混合物は、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)種のものである。
【0146】
なおさらなる態様では、ビフィズス菌(Bifidobacterium)またはその混合物は、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)のものである。
【0147】
なおさらなる態様では、ビフィズス菌(Bifidobacterium)またはその混合物は、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)420(株)(B420)のものである。
【0148】
さらなる態様では、本発明は、ビフィズス菌(Bifidobacterium)またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物を含有する薬学的に許容される組成物を含む。
【0149】
なおさらなる態様では、ビフィズス菌(Bifidobacterium)またはその混合物は、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)種のものである。
【0150】
なおさらなる態様では、ビフィズス菌(Bifidobacterium)またはその混合物は、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)のものである。
【0151】
なおさらなる態様では、ビフィズス菌(Bifidobacterium)またはその混合物は、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)420(株)(B420)のものである。
【0152】
特定の番号が付された本発明の実施形態:
実施形態1.哺乳動物の除脂肪体重を増加させるのに使用するための、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物。
実施形態2.ビフィズス菌(Bifidobacterium)は、プロバイオティクスのビフィズス菌(Bifidobacterium)またはその混合物である、実施形態1による組成物。
実施形態3.ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌は、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)種のビフィズス菌(Bifidobacterium)である、実施形態1~2のいずれか1つによる組成物。
実施形態4.ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌は、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)のビフィズス菌(Bifidobacterium)である、実施形態1~3のいずれか1つによる組成物。
実施形態5.ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌は、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)420(株)(B420)のビフィズス菌(Bifidobacterium)である、実施形態1~4のいずれか1つによる組成物。実施形態6.プレバイオティクスおよび/または食物繊維は、ポリデキストロースである、実施形態1~5のいずれか1つによる組成物。
実施形態7.組成物は、食品、栄養補助食品または薬学的に許容される組成物の形態である、先行する実施形態のいずれか1つによる組成物。
実施形態8.薬学的に許容される組成物は、薬剤である、実施形態7による組成物。
実施形態9.食品は、医療食品である、実施形態7による組成物。
実施形態10.除脂肪体重は、胴体、脚部、アンドロイドおよびジノイド領域で増加する、先行する実施形態のいずれか1つによる組成物。
実施形態11.除脂肪体重は、筋肉量である、実施形態1~10のいずれか1つによる組成物。
実施形態12.哺乳動物の除脂肪体重を増加させる治療で使用するための、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物。
実施形態13.ビフィズス菌(Bifidobacterium)は、プロバイオティクスのビフィズス菌(Bifidobacterium)またはその混合物である、実施形態12の組成物。
実施形態14.ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌は、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)種のビフィズス菌(Bifidobacterium)である、実施形態12~13のいずれか1つによる組成物。
実施形態15.ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌は、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)のビフィズス菌(Bifidobacterium)である、実施形態12~14のいずれか1つによる組成物。
実施形態16.ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌は、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)420(株)(B420)のビフィズス菌(Bifidobacterium)である、実施形態12~15のいずれか1つによる組成物。
実施形態17.プレバイオティクスおよび/または食物繊維は、ポリデキストロースである、実施形態12~16のいずれか1つによる組成物。
実施形態18.組成物は、食品、栄養補助食品または薬学的に許容される組成物の形態である、実施形態12~17のいずれか1つによる組成物。
実施形態19.薬学的に許容される組成物は、薬剤である、実施形態18による組成物。実施形態20.食品は、医療食品である、実施形態18による組成物。
実施形態21.除脂肪体重は、胴体、脚部、アンドロイドおよびジノイド領域で増加する、実施形態12~20のいずれか1つによる組成物。
実施形態22.除脂肪体重は、筋肉量である、実施形態12~21のいずれか1つによる組成物。
実施形態23.哺乳動物の除脂肪体重を増加させるのに使用するための、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物の使用。
実施形態24.ビフィズス菌(Bifidobacterium)は、プロバイオティクスのビフィズス菌(Bifidobacterium)またはその混合物である、実施形態23による使用。
実施形態25.ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌は、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)種のビフィズス菌(Bifidobacterium)である、実施形態23~24のいずれか1つによる使用。
実施形態26.ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌は、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp lactis)のビフィズス菌(Bifidobacterium)である、実施形態23~25のいずれか1つによる使用。
実施形態27.ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌は、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)420(株)(B420)のビフィズス菌(Bifidobacterium)である、実施形態23~26のいずれか1つによる使用。
実施形態28.食物繊維および/またはプレバイオティクスは、ポリデキストロースである、実施形態23による使用。
実施形態29.組成物は、食品、栄養補助食品または薬学的に許容される組成物の形態である、実施形態23~28のいずれか1つによる使用。
実施形態30.薬学的に許容される組成物は、薬剤である、実施形態29による使用。
実施形態31.食品は、医療食品である、実施形態29による使用。
実施形態32.除脂肪体重は、胴体、脚部、アンドロイドおよびジノイド領域で増加する、実施形態23~31のいずれか1つによる使用。
実施形態33.除脂肪体重は、筋肉量である、実施形態23~32のいずれか1つによる使用。
実施形態34.哺乳動物の除脂肪体重を増加させるのに使用するための、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物の非治療的使用。
実施形態35.ビフィズス菌(Bifidobacterium)は、プロバイオティクスのビフィズス菌(Bifidobacterium)またはその混合物である、実施形態34による非治療的使用。
実施形態36.ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌は、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)種のビフィズス菌(Bifidobacterium)である、実施形態34~35のいずれか1つによる非治療的使用。
実施形態37.ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌は、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp lactis)のビフィズス菌(Bifidobacterium)である、実施形態34~36のいずれか1つによる非治療的使用。
実施形態38.ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌は、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)420(株)(B420)のビフィズス菌(Bifidobacterium)である、実施形態34~37のいずれか1つによる非治療的使用。
実施形態39.食物繊維および/またはプレバイオティクスは、ポリデキストロースである、実施形態34による非治療的使用。
実施形態40.組成物は、食品、栄養補助食品または薬学的に許容される組成物の形態である、実施形態34~39のいずれか1つによる非治療的使用。
実施形態41.薬学的に許容される組成物は、薬剤である、実施形態40による非治療的使用。
実施形態42.食品は、医療食品である、実施形態40による非治療的使用。
実施形態43.除脂肪体重は、胴体、脚部、アンドロイドおよびジノイド領域で増加する、実施形態34~31のいずれか1つによる非治療的使用。
実施形態44.除脂肪体重は、筋肉量である、実施形態34~43のいずれか1つによる非治療的使用。
実施形態45.ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物を哺乳動物に投与することを含む、除脂肪体重を増加させるための方法であって、その組成物の投与は、哺乳動物の除脂肪体重を増加させる、方法。
実施形態46.ビフィズス菌(Bifidobacterium)は、プロバイオティクスのビフィズス菌(Bifidobacterium)またはその混合物である、実施形態45の方法。
実施形態47.ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌は、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)種のビフィズス菌(Bifidobacterium)である、実施形態45~46のいずれか1つによる方法。
実施形態48.ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌は、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)のビフィズス菌(Bifidobacterium)である、実施形態45~47のいずれか1つによる方法。
実施形態49.ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌は、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)420株(B420)のビフィズス菌(Bifidobacterium)である、実施形態45~48のいずれか1つによる方法。実施形態50.食物繊維および/またはプレバイオティクスは、ポリデキストロースである、実施形態45による方法。
実施形態51.組成物は、食品、栄養補助食品または薬学的に許容される組成物の形態である、実施形態45~50のいずれか1つによる方法。
実施形態52.薬学的に許容される組成物は、薬剤である、実施形態51による方法。
実施形態53.食品は、医療食品である、実施形態51による方法。
実施形態54.除脂肪体重は、胴体、脚部、アンドロイドおよびジノイド領域で増加する、実施形態45~53のいずれか1つによる方法。
実施形態55.除脂肪体重は、筋肉量である、実施形態45~54のいずれか1つによる方法。
実施形態56.ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物を哺乳動物に投与することを含む、除脂肪体重を増加させるための非治療的方法であって、その組成物の投与は、哺乳動物の除脂肪体重を増加させる、非治療的方法。
実施形態57.ビフィズス菌(Bifidobacterium)は、プロバイオティクスのビフィズス菌(Bifidobacterium)またはその混合物である、実施形態56による非治療的方法。
実施形態58.ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌は、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)種のビフィズス菌(Bifidobacterium)である、実施形態56~57のいずれか1つによる非治療的方法。
実施形態59.ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌は、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)のビフィズス菌(Bifidobacterium)である、実施形態56~58のいずれか1つによる非治療的方法。
実施形態60.ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌は、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)420株(B420)のビフィズス菌(Bifidobacterium)である、実施形態56~59のいずれか1つによる非治療的方法。
実施形態61.食物繊維および/またはプレバイオティクスは、ポリデキストロースである、実施形態56による非治療的方法。
実施形態62.組成物は、食品、栄養補助食品または薬学的に許容される組成物の形態である、実施形態56~61のいずれか1つによる非治療的方法。
実施形態63.薬学的に許容される組成物は、薬剤である、実施形態62による非治療的方法。
実施形態64.食品は、医療食品である、実施形態62による非治療的方法。
実施形態65.除脂肪体重は、胴体、脚部、アンドロイドおよびジノイド領域で増加する、実施形態56~64のいずれか1つによる非治療的方法。
実施形態66.除脂肪体重は、筋肉量である、実施形態56~65のいずれか1つによる非治療的方法。
実施形態67.除脂肪体重を増加させるための食品、栄養補助食品または薬学的に許容される組成物の製造における、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌またはその混合物と、1種以上のプレバイオティクスおよび/または食物繊維とを含む組成物の使用。
実施形態68.ビフィズス菌(Bifidobacterium)は、プロバイオティクスのビフィズス菌(Bifidobacterium)またはその混合物である、実施形態67による使用。
実施形態69.ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌は、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)種のビフィズス菌(Bifidobacterium)である、実施形態67~68のいずれか1つによる使用。
実施形態70.ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌は、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)のビフィズス菌(Bifidobacterium)である、実施形態67~69のいずれか1つによる使用。
実施形態71.ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の細菌は、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)420(株)(B420)のビフィズス菌(Bifidobacterium)である、実施形態67~70のいずれか1つによる使用。
実施形態72.食物繊維および/またはプレバイオティクスは、ポリデキストロースである、実施形態67による使用。
実施形態73.薬学的に許容される組成物は、薬剤である、実施形態67による使用。
実施形態74.食品は、医療食品である、実施形態67による使用。
実施形態75.除脂肪体重は、胴体、脚部、アンドロイドおよびジノイド領域で増加する、実施形態67~74のいずれか1つによる使用。
実施形態76.除脂肪体重は、筋肉量である、実施形態67~75のいずれか1つによる使用。
【実施例】
【0153】
材料および方法
臨床試験のデザインとスクリーニング基準
介入は、Good Clinical Practiceおよびヘルシンキ宣言(the Declaration of Helsinki)に従って実施された二重盲検無作為化プラセボ対照多施設並行試験であった。
【0154】
Finland南部の4つの研究センターで過体重および肥満成人263人から成人225人のコホートを選択し、4つのグループの1つに1:1:1:1の割り付けに従って無作為化した:
1)プラセボ(微結晶性セルロース)、12g/日;
2)ポリデキストロース(Pdx)、12g/日;
3)プロバイオティクスB420(ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)420(株))、1010CFU/日;または
4)B420およびPdx、1010CFU/日+12g/日。
【0155】
研究のための製品は小袋に入れて提供され、これを参加者は6か月間、1日1回好みの時間に250mlの果物スムージーと混合した。
【0156】
無作為化された参加者の全員が18~65歳であり、肥満度指数(BMI、体重[kg]を身長[m]の2乗で割った値として計算される)は、28.0~34.9、ウエストヒップ比は、男性で≧0.88、女性で≧0.83であった。最も重要な除外基準には、代謝性疾患の診断または関連薬物の使用;過去6週間の緩下剤、食物繊維サプリメントまたはプロバイオティクスの使用;肥満症治療の手術歴;過去3か月の抗肥満薬の使用、最近(過去2か月)または現在継続中の抗菌薬の使用;現在継続中または最近の減量プログラムへの参加;過去3か月間の体重変化3kg;および妊娠が含まれた。
【0157】
募集および調査対象母集団
試験の盲検解除前に、225人の参加者を、インテンション・トゥ・トリート(Intention-to-Treat)(ITT)とパー・プロトコル(Per Protocol)(PP)母集団とに分割した。ITT母集団は、ベースライン来院後にいずれかのパラメータについて評価された209人の参加者全員を含んだ。PP集団は、少なくとも80%の試験製品コンプライアンスで介入期間を完了し、介入中に全身性抗菌薬も高用量ビタミンサプリメントも使用しなかった参加者を含んだ。さらに、3人の参加者を二重エネルギーX線吸収測定(DXA)分析から除外した。これは、スケジュールに従って、すなわち治療終了後10日以内にDXA測定を完了しなかったためであり、結局、PP母集団は、131人の参加者となった。PP集団は、プロトコルの順守を認められた全ての参加者を含んでおり、したがって試験製品の実際の有効性をよりよく表している(
図1)。
【0158】
図1は、試験の盲検を解除する前に、試験プロトコルの順守に応じて、参加者がインテンション・トゥ・トリート(ITT)母集団とパー・プロトコル(PP)母集団とに分けられたことを示す(nは、試験過程の各ステップに関与した人数を表す)。
【0159】
除脂肪体重の測定
試験参加者は、ベースライン時、2か月、4か月、6か月(介入終了時)および介入終了後1か月(追跡+1か月)に二重エネルギーX線吸収測定(DXA)スキャンを受けた。DXAスキャンは、訓練を受けたスタッフにより民間の医療センターで実施した。この装置は、X線測定から体脂肪量、骨量および除脂肪体重を自動的に算出する。したがって、除脂肪体重は、主に筋肉量、内臓質量および水からなる。結果は、全体の除脂肪体重と、身体の個々の領域(腕部、脚部、胴体、アンドロイド[ウエスト]およびジノイド[ヒップ]領域)の除脂肪体重とを別々に収集した。
【0160】
統計的分析
3つの実薬グループ:
- B420単独服用グループ;
- B420とポリデキストロース(Pdx)の併用グループ;および
- ポリデキストロース(Pdx)単独
の全てのベースラインからの平均相対変化量を総合効果としてプラセボと比較した(ベースライン値を共変量として用いた一元配置共分散分析)。
【0161】
次いで、複数の比較を補正するダネット検定を用いて、3つの実薬グループを個別にプラセボと比較した。全ての分析は、SAS解析ソフトウェアバージョン9.3により、ベースラインから治療終了時(6か月)までの相対的変化を用いて行った。ITT母集団では、欠測値をLOCF(Last Observation Carried Forward)法で処理した。統計学において、ダネット検定は、カナダ統計学者のCharles Dunnettが開発した複数の比較手順であり、多数の処置の各々を単一の対照と比較する。対照に対する多重比較は、多対1比較とも呼ばれる。LOCF(Last Observation Carried Forward)法は、欠損値について過去の時点における最新の測定値を分析に使用したことを意味する。0.05未満のP値は、統計的に有意であるとみなされ、これは、比較された観察が異なるという仮説が95%の確率で真であることを意味する。0.05を超えるP値は、差がないことを証明するものではなく、むしろ確信をもって結論を引き出すのに十分な統計的検出力がないということである。
【0162】
結果
PP集団では、プラセボと比較して、B420とPdxを併用したグループで除脂肪体重が統計的に有意に増加し(P=0.012)、ITT集団ではボーダーラインで有意差が認められなかった(P=0.05)(
図2A~B)。実薬とプラセボとの全体的な差は有意でなかったが(ITT:P=0.28;PP:P=0.30)、これは、B420単独服用グループおよびPdx単独服用グループで効果が十分でなかったことによる可能性が高い(
図2A~B)。B420およびPdxを併用したグループの除脂肪質量の変化は、試験の過程で徐々に生じた(
図2C~D)。
【0163】
身体の全領域では、B420とPdxを併用したグループが唯一、ベースラインと比較して除脂肪体重の有意な増加を示したが、身体の個々の領域では実薬とプラセボとの間に統計的有意差はなかった(
図3)。B420とPdxとの併用とプラセボの差は、プロトコルを順守したPP母集団の胴体(
図3A)および脚部(
図3C)領域で最も顕著であった。アンドロイド(ウエスト)の除脂肪質量は、B420とPdxとの併用とプラセボとの間で同様の差を示さず、これは、除脂肪質量の増加が、腹部浮腫によるものではなく、筋肉量の実際の増加によるものであることを示唆しているが、これは、除脂肪組織質量の大部分が筋肉量からなる脚部領域で除脂肪質量が増加したことによっても支持される。
【0164】
図2は、インテンション・トゥ・トリート(A)母集団およびパー・プロトコル(B)母集団の全除脂肪体重の相対的変化、ならびにインテンション・トゥ・トリート(C)母集団およびパー・プロトコル(D)母集団の試験中における除脂肪体重の増加を示す。パネルAおよびBにおける0.05未満のP値は、プラセボとの統計的有意差を示す。結果を平均±95%信頼区間(CI)として示す。95%CIがベースライン(実線)と重ならない場合、そのグループのベースラインからの有意な変化であることを示す。
【0165】
図3は、インテンション・トゥ・トリート母集団およびパー・プロトコル母集団における、ベースラインから6か月の治療までの胴体(A)、腕部(B)、脚部(C)、およびアンドロイド(D)、およびジノイド(E)領域の相対変化を示す。0.05未満のP値は、プラセボとの有意差を示す。結果を平均±95%信頼区間(CI)として示す。95%CIがベースライン(実線)と重ならない場合、そのグループのベースラインからの有意な変化であることを示す。
【0166】
介入期間の開始時および終了時における、身体の異なる領域の除脂肪質量の絶対値を表1に示す。
【0167】
【0168】
上記の本明細書に言及した全ての刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。本発明の記載した方法およびシステムの、本発明の範囲および趣旨から逸脱しない様々な修飾形態および変更形態は、当業者に明白であろう。本発明を特定の好ましい実施形態に関連して記載してきたが、請求項に記載の本発明は、そのような特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことを理解すべきである。実際、生化学およびバイオテクノロジーまたは関連分野の当業者に明らかである、本発明を実施するために記載された方式の種々の改変形態は、以下の特許請求の範囲内にあるものとする。