(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-09
(45)【発行日】2022-08-18
(54)【発明の名称】燃料電池システムおよびその冷却方法
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20220810BHJP
H01M 8/04007 20160101ALI20220810BHJP
H01M 8/0432 20160101ALI20220810BHJP
H01M 8/04746 20160101ALI20220810BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
H01M8/04007
H01M8/04 N
H01M8/0432
H01M8/04746
(21)【出願番号】P 2019039639
(22)【出願日】2019-03-05
【審査請求日】2021-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(74)【代理人】
【識別番号】100217940
【氏名又は名称】三並 大悟
(72)【発明者】
【氏名】山下 恭平
【審査官】西井 香織
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2016-0026212(KR,A)
【文献】特開2000-030724(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0059515(KR,A)
【文献】特開2002-343396(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0148155(US,A1)
【文献】特開平07-238831(JP,A)
【文献】実開平04-121426(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04 - 8/0668
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素を含む燃料ガスおよび酸化剤ガスが供給されると発電する燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックの発電に伴って発生した熱を冷却する放熱装置と、
前記燃料電池スタックの発電に伴って排出された水蒸気から生成された生成水を回収するタンクと、
前記タンクから供給された前記生成水を前記放熱装置へ散水する散水装置と、
前記タンクから前記散水装置へ前記生成水を供給する生成水供給装置と、
前記放熱装置
に設けられたファンの回転数、および前記放熱装置の温度を検出する温度センサの検出結果に基づいて、前記生成水供給装置の動作を制御する制御装置と、
を備える燃料電池システム。
【請求項2】
前記水蒸気を冷却することにより凝縮して前記生成水を生成する凝縮熱交換器をさらに備える、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記タンクは、前記燃料電池スタックを冷却する冷却水の循環路に設置され、前記冷却水の貯蔵と共に、前記生成水の貯蔵も可能とする、請求項1または2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記放熱装置が
、前記ファンを含むラジエータであり、
前記散水装置が、前記生成水を前記ラジエータに噴霧するスプレーであり、
前記スプレーが、第1スプレーと、前記第1スプレーよりも前記生成水の流量が多い第2スプレーと、を有し、
前記生成水の噴霧が、前記第1スプレーと前記第2スプレーとの間で切り替え可能となっている、請求項1から3のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記スプレーが、加圧された前記生成水を噴霧する一流体スプレー、または前記生成水と同時に供給された圧縮空気で前記生成水を噴霧する二流体スプレーである、請求項4に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
水素を含む燃料ガスおよび酸化剤ガスの供給により燃料電池スタックが発電し、
前記燃料電池スタックの発電により排出された水蒸気から生成された生成水を回収し、
前記燃料電池スタックの発電に伴って発生した熱を冷却する放熱装置に対して、前記放熱装置
に設けられたファンの回転数、および前記放熱装置の温度を検出する温度センサの検出結果に基づいて前記生成水の散水量を制御する、
燃料電池システムの冷却方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、燃料電池システムおよびその冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水素を含む燃料ガスおよび酸化剤ガスを燃料電池スタックに供給して発電する燃料電池システムには、発電に伴って発生する熱を冷却するラジエータ等の放熱装置が一般的に設置されている。この放熱装置に対して水道水を散水すると、空気の顕熱だけでなく、水の蒸発潜熱も利用できるので、より大きな冷却効果を得られる。これにより、冷却装置を小型化できる。
【0003】
しかし、水道水を放熱装置に散水すると、水道水中に含まれる硬度成分の析出によって放熱装置の伝熱性能の低下が懸念される。そのため、別途フィルターや水処理樹脂などの浄水設備が必要になり、システム全体が大型化する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、システム全体の大型化を抑制しつつ放熱装置を小型化することが可能な燃料電池システムおよびその冷却方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態によれば、燃料電池システムは、水素を含む燃料ガスおよび酸化剤ガスが供給されると発電する燃料電池スタックと、燃料電池スタックの発電に伴って発生した熱を冷却する放熱装置と、燃料電池スタックの発電に伴って排出された水蒸気から生成された生成水を回収するタンクと、タンクから供給された生成水を放熱装置へ散水する散水装置と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本実施形態によれば、システム全体の大型化を抑制しつつ放熱装置を小型化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】第2実施形態に係る燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】第3実施形態に係る燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【
図4】第4実施形態に係る燃料電池システムの要部の構成を示すブロック図である。
【
図5】第5実施形態に係る燃料電池システムの要部の構成を示すブロック図である。
【
図6】第6実施形態に係る燃料電池システムの要部の構成を示すブロック図である。
【
図7】第7実施形態に係る燃料電池システムの要部の構成を示すブロック図である。
【
図8】第8実施形態に係る燃料電池システムの要部の構成を示すブロック図である。
【
図9】第9実施形態に係る燃料電池システムの要部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る燃料電池システムの構成を示すブロック図である。本実施形態に係る燃料電池システム1は、
図1に示すように、燃料電池スタック10と、凝縮熱交換器20と、冷却水タンク30と、ラジエータ40と、ポンプ50と、スプレー60と、を備える。
【0011】
燃料電池スタック10には、水素を含む燃料ガス101および空気を含む酸化剤ガス102が供給される。これらのガスが供給されると、燃料電池スタック10は発電する。燃料電池スタック10の発電に伴って、熱が発生し、また酸化剤オフガス103が排出される。
【0012】
凝縮熱交換器20は、燃料電池スタック10から排出された酸化剤オフガス103を凝縮する。その結果、酸化剤オフガス103に含まれた水蒸気が凝縮され、凝縮生成水104が生成される。
【0013】
冷却水タンク30は、凝縮生成水104および冷却水105を貯蔵する。冷却水タンク30の上端部は、凝縮熱交換器20で生成された凝縮生成水104を回収するために開口している。また、冷却水105は、燃料電池スタック10の発電に伴って発生した熱を冷却し、燃料電池スタック10と冷却水タンク30との間を循環する。
【0014】
ラジエータ40は、燃料電池スタック10の発電に伴って発生した熱を冷却する放熱装置の一例である。ラジエータ40は、冷却水105の循環路において冷却水タンク30の上流側に設置されている。そのため、燃料電池スタック10の発熱で加温された冷却水105は、ラジエータ40によって冷却される。冷却された冷却水105は、冷却水タンク30に戻る。その後、冷却水105は、不図示のポンプによって、再び燃料電池スタック10へ供給される。本実施形態では、冷却水タンク30、ラジエータ40、および冷却水105が冷却系を構成する。
【0015】
ポンプ50は、冷却水タンク30とスプレー60との間に設置されている。ポンプ50は、冷却水タンク30に貯蔵された凝縮生成水104、より厳密には凝縮生成水104および冷却水105の混合水を加圧してスプレー60へ供給する。
【0016】
スプレー60は、冷却水タンク30から供給された凝縮生成水104をラジエータ40へ散水する散水装置の一例である。本実施形態では、スプレー60は、ポンプ50によって加圧された凝縮生成水104をラジエータ40へ噴霧する。
【0017】
上記の燃料電池システム1では、燃料ガス101および酸化剤ガス102の供給により燃料電池スタック10が発電すると、酸化剤オフガス103が排出される。酸化剤オフガス103は、凝縮熱交換器20によって凝縮される。その結果、酸化剤オフガス103に含まれた水蒸気が凝縮されて凝縮生成水104が生成される。凝縮生成水104は、冷却水タンク30に回収される。その後、凝縮生成水104は、ポンプ50によって、冷却水タンク30からスプレー60に加圧状態で供給され、ラジエータ40に噴霧される。
【0018】
以上説明した本実施形態によれば、凝縮生成水104が、ラジエータ40の水冷または潜熱冷却に用いられている。凝縮生成水104は水道水に比べて不純物が少ない。そのため、フィルターや水処理樹脂などの浄水設備が不要である。よって、システム全体の大型化を抑制しつつラジエータ40を小型化することができる。
【0019】
(第2実施形態)
図2は、第2実施形態に係る燃料電池システムの構成を示すブロック図である。上述した第1実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0020】
本実施形態に係る燃料電池システム2では、
図2に示すように、冷却系が密閉系である。すなわち、冷却水105は、燃料電池スタック10とラジエータ40との間を循環する。また、燃料電池システム2では、生成水タンク31は、冷却水105の循環路から独立して設置されている。そのため、生成水タンク31には、凝縮生成水104のみが貯蔵される。
【0021】
上記の燃料電池システム2では、燃料電池スタック10の発電に伴って排出された酸化剤オフガス103は、第1実施形態と同様に、凝縮熱交換器20によって凝縮され、凝縮生成水104が生成される。凝縮生成水104は、生成水タンク31に回収される。その後、第1実施形態と同様に、凝縮生成水104は、ポンプ50によって、生成水タンク31からスプレー60に加圧状態で供給され、ラジエータ40に噴霧される。
【0022】
以上説明した本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、凝縮生成水104がラジエータ40の冷却に用いられているので、浄水設備が不要になり、その結果、システム全体の大型化を抑制しつつラジエータ40を小型化することができる。特に、本実施形態では、冷却水105と混合していない純粋な凝縮生成水104がラジエータ40に噴霧されるので、より不純物の少ない水でラジエータ40を冷却することができる。
【0023】
(第3実施形態)
図3は、第2実施形態に係る燃料電池システムの構成を示すブロック図である。上述した第1実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0024】
本実施形態に係る燃料電池システム3には、熱交換器70が、冷却水105の循環路における冷却水タンク30の上流側に設置されている。また、ラジエータ40は、冷却水105の循環路から独立して設置されている。熱交換器70およびラジエータ40は、二次循環冷媒106を介して熱交換を行う。二次循環冷媒106は、例えば水等の液体である。本実施形態では、熱交換器70、冷却水タンク30、および冷却水105が一次冷却系を構成し、ラジエータ40が二次冷却系を構成する。
【0025】
上記の燃料電池システム3では、冷却水105は、燃料電池スタック10の発電に伴って発生した熱で加温される。加温された冷却水105は、熱交換器70を通過するときに、二次循環冷媒106を介したラジエータ40との熱交換によって、冷却される。冷却された冷却水105は、冷却水タンク30に貯蔵される。その後、冷却水105は、再び燃料電池スタック10に供給される。
【0026】
また、燃料電池スタック10から排出された酸化剤オフガス103は、凝縮熱交換器20で凝縮され、凝縮生成水104が生成される。凝縮生成水104は、冷却水タンク30に回収される。その後、第1実施形態と同様に、凝縮生成水104(厳密には冷却水105との混合水)は、ポンプ50によって、生成水タンク31からスプレー60に加圧状態で供給され、ラジエータ40に噴霧される。
【0027】
以上説明した本実施形態によれば、一次冷却系および二次冷却系を備える燃料電池システムであっても、第1実施形態と同様に、凝縮生成水104をラジエータ40の冷却に用いることができる。そのため、浄水設備が不要になるので、システム全体の大型化を抑制しつつラジエータ40を小型化することができる。
【0028】
(第4実施形態)
図4は、第4実施形態に係る燃料電池システムの要部の構成を示すブロック図である。上述した第1実施形態~第3実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0029】
本実施形態に係る燃料電池システム4では、
図4に示すように、ラジエータ40は、クーリングコイル41およびファン42を有する。クーリングコイル41は、第1実施形態および第2実施形態で説明したように冷却水105の循環路に設置されてもよいし、第3実施形態で説明したように循環路から独立して設置されてもよい。クーリングコイル41が冷却水105の循環路に設置される場合、冷却水105がクーリングコイル41を通過する。一方、クーリングコイル41が冷却水105の循環路から独立して設置される場合、二次循環冷媒106がクーリングコイル41内を通過する。
【0030】
ファン42は、スプレー60とクーリングコイル41との間に設置される。ファン42が回転すると、風がクーリングコイル41に向けて流れる。この風によってクーリングコイル41が空冷される。このとき、スプレー60が凝縮生成水104を噴霧すると、凝縮生成水104が、ファン42を通じて吹き付けられるので、クーリングコイル41を水冷または潜熱冷却することもできる。
【0031】
図4に示す燃料電池システム4では、凝縮生成水104が、冷却水タンク30からスプレー60に供給されている。しかし、凝縮生成水104は、第2実施形態のように生成水タンク31から供給されてもよい。
【0032】
さらに、燃料電池システム4は、
図4に示すように、温度センサ81と、温度センサ82と、水位センサ83と、制御装置90と、を備える。温度センサ81は、クーリングコイル41から流出されるときの冷却水105または二次循環冷媒106の温度を検出する。温度センサ82は、ラジエータ40の設置場所の外気温度を検出する。水位センサ83は、冷却水タンク30の水位を検出する。水位センサ83には、例えば、発光素子および受光素子を有する光学センサを用いることができる。各センサは、検出結果を制御装置90へ出力する。
【0033】
制御装置90は、燃料電池スタック10の発電出力および燃料ガス101および酸化剤ガス102の供給を制御する。加えて、制御装置90は、温度センサ81で検出される冷却水105または二次循環冷媒106の温度、温度センサ82で検出される外気温度、水位センサ83で検出される冷却水タンク30の水位、およびファン42の回転数を監視することによって、ラジエータ40の稼働状況および冷却水タンク30の貯蔵量を監視する。制御装置90は、監視結果に基づいて、ポンプ50の動作を制御する。
【0034】
例えば、温度センサ82の検出温度が所定温度以上になり、ファン42の回転数がしきい値以上である場合、制御装置90は、凝縮生成水104によるラジエータ40の冷却が必要であると判断する。そこで、制御装置90は、冷却水タンク30の水位が、凝縮生成水104の供給に必要な許容値以上であれば、ポンプ50を駆動する。これにより、凝縮生成水104がスプレー60かラジエータ40に噴霧される。
【0035】
また、温度センサ81の検出温度が基準温度以上になり、ファン42の回転数がしきい値以上である場合にも、制御装置90は、凝縮生成水104によるラジエータ40の冷却が必要であると判断する。この場合も、制御装置90は、冷却水タンク30の水位が、凝縮生成水104の供給に必要な許容値以上であれば、ポンプ50を駆動する。
【0036】
以上説明した本実施形態によれば、制御装置90が、ファン42の回転数や冷却水の出口温度といったラジエータ40の稼働状態や、外気温度に基づいて凝縮生成水104によるラジエータ40の冷却を制御している。これにより、効率的にラジエータ40を冷却することが可能となる。
【0037】
(第5実施形態)
図5は、第5実施形態に係る燃料電池システムの要部の構成を示すブロック図である。上述した各実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0038】
本実施形態に係る燃料電池システム5では、冷却水タンク30が、余剰水を排出するオーバーフロー機能を有する。また、燃料電池システム5は、
図5に示すように、冷却水タンク30の下方に設置された余剰生成水タンク32を備える。
【0039】
冷却水タンク30の貯蔵量が上限値以上になると、上記オーバーフロー機能により、余剰水の一部が、余剰生成水タンク32に貯蔵される。この余剰水には、凝縮生成水104も含まれている。ポンプ50は、余剰生成水タンク32から凝縮生成水104をスプレー60へ供給する。すなわち、凝縮生成水104は、冷却水タンク30から間接的にスプレー60に供給される。
【0040】
以上説明した本実施形態によれば、スプレー60への凝縮生成水104の供給は、余剰生成水タンク32から行われるので、冷却水タンク30内の水不足を回避できる。そのため、冷却水105による燃料電池スタック10の冷却を妨げることなく、凝縮生成水104によるラジエータ40の冷却を行うことができる。
【0041】
なお、本実施形態でも、上述した第4実施形態と同様に、制御装置90がラジエータ40の稼働状態や、外気温度に基づいてポンプ50の動作を制御してもよい。この場合、効率的にラジエータ40を冷却することが可能となる。
【0042】
(第6実施形態)
図6は、第6実施形態に係る燃料電池システムの要部の構成を示すブロック図である。上述した各実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0043】
本実施形態に係る燃料電池システム6は、第4実施形態の変形例である。第4実施形態では、
図4に示すように、ファン42が、クーリングコイル41とスプレー60との間に設置されている。
【0044】
一方、本実施形態では、
図6に示すように、スプレー60が、クーリングコイル41とファン42との間に設置されている。そのため、スプレー60が凝縮生成水104を噴霧したとき、凝縮生成水104は、ファン42を介さずクーリングコイル41に直接散水される。
【0045】
したがって、本実施形態によれば、凝縮生成水104によるファン42の故障を回避することができる。さらに、クーリングコイル41へ均一に凝縮生成水104を散水することが可能となる。
【0046】
(第7実施形態)
図7は、第7実施形態に係る燃料電池システムの要部の構成を示すブロック図である。上述した各実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0047】
本実施形態に係る燃料電池システム7は、第4実施形態の変形例である。第4実施形態では、
図4に示すように、ファン42およびスプレー60が、クーリングコイル41の吸気側に設置されている。
【0048】
一方、本実施形態では、
図7に示すように、スプレー60はクーリングコイル41の吸気側に設置され、ファン42は、クーリングコイル41の排気側に設置されている。換言すると、クーリングコイル41がスプレー60とファン42との間に設置されている。
【0049】
本実施形態では、ファン42によってクーリングコイル41の熱を排出することができ、さらに、スプレー60から噴霧される凝縮生成水104によってクーリングコイル41を冷却することができる。
【0050】
(第8実施形態)
図8は、第8実施形態に係る燃料電池システムの要部の構成を示すブロック図である。上述した各実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0051】
本実施形態に係る燃料電池システム8は、スプレー60の変形例である。本実施形態のスプレー60は、第1スプレー61および第2スプレー62を有する。また、弁63がポンプ50と第1スプレー61とを接続する配管に設置され、弁64がポンプ50と第2スプレー62とを接続する配管に設置されている。
【0052】
第1スプレー61は、ラジエータ40を冷却する潜熱冷却用スプレーである。一方、第2スプレー62は、ラジエータ40を洗浄する洗浄用スプレーである。第2スプレー62は、第1スプレー61よりも流量の多い凝縮生成水104を噴霧する。
【0053】
弁63および弁64は、制御装置90によって開閉動作を制御される電磁弁または電動弁である。これにより、凝縮生成水104の噴霧が、第1スプレー61および第2スプレー62との間で切り替え可能となっている。制御装置90は、定期的またはラジエータ40の性能低下に応じて、弁63を開放して弁64を閉鎖する冷却モードから弁63を閉鎖して弁64を開放する洗浄モードに切り替える。なお、弁63および弁64は、手動で切り替え可能な手動弁であってもよい。
【0054】
以上説明した本実施形態によれば、凝縮生成水104の噴霧量が異なる2つのスプレーを使い分けることによって、ラジエータ40を冷却するだけでなく洗浄することも可能となる。
【0055】
(第9実施形態)
図9は、第9実施形態に係る燃料電池システムの要部の構成を示すブロック図である。上述した各実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0056】
本実施形態に係る燃料電池システム9は、スプレー60の代わりに二流体スプレー65を備える。
【0057】
上述した第1実施形態~第8実施形態では、スプレー60は、ポンプ50で加圧された凝縮生成水104を噴霧する一流体スプレーである。一方、二流体スプレー65には、凝縮生成水104が冷却水タンク30から供給されると同時に、圧縮空気107がコンプレッサ51から供給される。これにより、二流体スプレー65は、凝縮生成水104をラジエータ40へ噴霧する。
【0058】
以上説明した本実施形態においても、不純物が少ない凝縮生成水104でラジエータ40を冷却できるので、浄水設備が不要になり、その結果、システム全体を大型化することなくラジエータ40を小型化することができる。
【0059】
以上、いくつかの実施形態および変形例を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規なシステムは、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明したシステムの形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要ことに含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0060】
1~9:燃料電池システム、10:燃料電池スタック、20:凝縮熱交換器、30:冷却水タンク、31:生成水タンク、32:余剰生成水タンク、40:ラジエータ、50:ポンプ、60:スプレー、61 第1スプレー、62:第2スプレー、65:二流体スプレー、82:温度センサ、90:制御装置