(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-09
(45)【発行日】2022-08-18
(54)【発明の名称】原子炉計装システムと、原子力発電システムを監視する方法
(51)【国際特許分類】
G21C 17/00 20060101AFI20220810BHJP
【FI】
G21C17/00 100
G21C17/00 200
G21C17/00 700
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019133875
(22)【出願日】2019-07-19
(62)【分割の表示】P 2017534783の分割
【原出願日】2015-12-17
【審査請求日】2019-07-25
【審判番号】
【審判請求日】2021-08-17
(32)【優先日】2014-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511117093
【氏名又は名称】ニュースケール パワー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ポットーフ、 ジェーソン
(72)【発明者】
【氏名】ハフ、 テッド
【合議体】
【審判長】山村 浩
【審判官】松川 直樹
【審判官】野村 伸雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-233705(JP,A)
【文献】特開2013-217922(JP,A)
【文献】特開2006-349575(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C17/00-17/003
G21C17/013
G21C17/02
G21C17/025
G21C17/032-17/10
G21C17/108
G21C17/12-17/14
G21D1/00-9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉を監視する原子炉計装システムであって、
通常電源と、
バックアップ電源と、
無線送信機と、
前記通常電源、前記バックアップ電源及び前記無線送信機に電気的に接続されたプロセッサと、
前記プロセッサに結合されたメモリであって、記憶されたプログラム命令を含むメモリと
を含み、
前記プログラム命令は、前記プロセッサにより実行されると、前記プロセッサに、
複数の原子炉計装センサから前記原子炉の複数のパラメータについてのデータを受信させ、
前記通常電源から前記原子炉計装システムへの通常電力の喪失を識別させ、
前記通常電源からの前記通常電力の喪失の識別に応答して、
防護区域において前記バックアップ電源から前記無線送信機への電力供給を引き起こさせ、
前記
複数の原子炉計装センサから受信したデータを暗号化し、
前記無線送信機に前記暗号化されたデータを、前記
防護区域の外側に配置された受信機へと送信させ、
前記
防護区域は、原子炉システム及びその安全機器を包囲するエリアであり、
前記バックアップ電源は、前記
防護区域にのみ電力を供給する原子炉計装システム。
【請求項2】
前記通常電力の喪失の識別は、事故後監視システムへの電力の喪失を含む請求項1の原子炉計装システム。
【請求項3】
前記
複数の原子炉計装センサは、炉建屋に収容された原子炉に結合され、
さらに前記無線送信機は前記炉建屋に配置される請求項1の原子炉計装システム。
【請求項4】
前記無線送信機から送信された前記暗号化されたデータを受信するように構成された一以上の遠隔監視コンピュータをさらに含み、
前記一以上の遠隔監視コンピュータは前記受信機を含む請求項3の原子炉計装システム。
【請求項5】
前記
複数の
原子炉計装センサは、弁位置表示器、温度ゲージ及び圧力ゲージの一以上を含む請求項1の原子炉計装システム。
【請求項6】
炉容器内に炉心を含む原子炉をさらに含み、
前記複数のパラメータは前記炉心の複数のパラメータであって、前記
複数の原子炉計装センサは、前記炉心の
複数のパラメータを監視するように構成されかつ位置決めされる請求項1の原子炉計装システム。
【請求項7】
炉容器内に炉心を有する原子力発電システムを監視する原子炉計装システムであって、
前記炉容器は、前記原子力発電システムの複数の異なるパラメータを監視する
複数のセンサを有し、
前記原子炉計装システムは、
プロセッサを有するコンピュータであって、通常電源及びバックアップ電源による電力供給を受けるように構成されたコンピュータと、
前記プロセッサの制御のもとで動作可能な無線送信機と、
前記プロセッサに結合されたメモリであって、記憶されたプログラム命令を含むメモリと
を含み、
前記プログラム命令は、前記プロセッサにより実行されると、前記プロセッサに、
前記センサからデータを受信させ、
前記通常電源からの電力の喪失を識別させ、
前記電力の喪失の識別に応答して、前記センサから受信したデータを暗号化し、
防護区域において前記無線送信機に前記暗号化されたデータを、前記
防護区域の外側に配置された受信機へと送信させ、
前記
防護区域は、原子炉システム及びその安全機器を包囲するエリアであり、
前記バックアップ電源は、前記
防護区域にのみ電力を供給する原子炉計装システム。
【請求項8】
前記記憶されたプログラム命令はさらに、前記プロセッサに、前記コンピュータの動作を前記通常電源から前記バックアップ電源へとスイッチさせる請求項7の原子炉計装システム。
【請求項9】
前記識別された前記電力の喪失は、事故後監視システムへの電力の喪失を含む請求項8の原子炉計装システム。
【請求項10】
前記識別された前記電力の喪失は、原子力発電システム制御室への電力の喪失を含む請求項8の原子炉計装システム。
【請求項11】
前記識別された前記電力の喪失は、一以上の原子力発電システム監視パネルへの電力の喪失を含む請求項8の原子炉計装システム。
【請求項12】
前記原子力発電システムは炉建屋に収容され、
さらに前記無線送信機は前記炉建屋に配置される請求項7の原子炉計装システム。
【請求項13】
前記無線送信機から送信されたデータを受信するように構成された遠隔監視コンピュータをさらに含み、
前記遠隔監視コンピュータは前記受信機を含む請求項12の原子炉計装システム。
【請求項14】
前記
複数のセンサは、弁位置表示器、温度ゲージ及び圧力ゲージの一以上を含む請求項7の原子炉計装システム。
【請求項15】
原子炉を有する原子力発電システムを監視する方法であって、
前記原子炉の複数のパラメータを監視するべく構成された
複数の原子炉計装センサからデータを受信することと、
前記原子力発電システムへの通常電力の喪失を識別することと、
前記通常電力の喪失の識別に応答して、
防護区域においてバックアップ電源から無線送信機への電力供給を引き起こすことと、
前記
複数の原子炉計装センサから受信したデータを暗号化することと、
前記無線送信機に前記暗号化されたデータを、前記
防護区域の外側に配置された遠隔監視器へと送信させることと
を含み、
前記
防護区域は、原子炉システム及びその安全機器を包囲するエリアであり、
前記バックアップ電源は、前記
防護区域にのみ電力を供給する方法。
【請求項16】
前記通常電力の喪失は、事故後監視システムへの電力の喪失を含む請求項15の方法。
【請求項17】
前記原子炉及び前記無線送信機は炉建屋に配置される請求項15の方法。
【請求項18】
前記遠隔監視器は、前記無線送信機から送信されたデータを受信するように構成された遠隔監視コンピュータを含
む請求項17の方法。
【請求項19】
前記
複数の原子炉計装センサは、弁位置表示器、温度ゲージ及び圧力ゲージの一以上を含む請求項15の方法。
【請求項20】
前記通常電力の喪失は、原子力発電システム制御室への電力の喪失を含む請求項15の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、原子炉計装システムに関する。
【0002】
優先権の主張
本願は、2014年12月31日出願の米国仮出願第62/098、514号の利益を主張し、その内容は、ここに参照として組み入れられる。
【0003】
政府の利益に関する声明
本発明は、米国エネルギー省(DOE)により授与された協力協定第DE-NE0000633号に従う政府支援によりなされた。政府は本発明に所定の権利を有する。
【背景技術】
【0004】
原子炉計装システムは、様々な原子炉システムパラメータ、例えば圧力、温度、液体レベル及び中性子フラックスを監視する多数のセンサを含む。炉計装システムにおけるセンサにより測定されたデータは一般に、制御室に送信され、メータ、ゲージ又は表示画面上で原子炉操作員に対して表示される。操作員は、原子炉システムを安全に操作して潜在的な緊急事態を識別し及びこれに対応するように、炉計装システムが与えるデータを信頼する。
【0005】
原子炉システムに関し、原子力発電プラントの設計を超える問題が生じ得る。これには、地震事象、航空機衝突、電源の完全喪失、又は炉にではなく制御室に直接影響する事故(例えば制御室内火災)のような外部事象又は事故が含まれる。これらのタイプの事故は、設計基準の保護システムのトリガーを与えるように原子炉に直接影響することはないが、操作員が炉を監視する能力に影響を与え得る。例えば、制御室内火災、電力の完全喪失、又は航空機衝突は、炉から隔離することができるが、それにもかかわらず、炉監視システム又は制御室に障害を与え得る。代替的に、かかる事象はまた、当該事象が発生する炉若しくは建屋又は場所に直接的な影響を与えることにより、安全な人間居住可能性にとって有害となり、かつ、監視能力を局所的に妨害し得る条件を作り出す。
【0006】
以下に記載の本発明は、いくつかのバージョンにおいて、炉操作員又は救急隊員が、かかる事故又は事象の発生時に、炉安全システム(例えば崩壊熱除去システム及び格納システム)の適切な運転を確証するのに必要とされる重要な炉パラメータを決定するべく災害環境に入らなければならなくなることを防止する遠隔監視システムに関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2013-217923号公報
【文献】特表2015-503088号公報
【発明の概要】
【0008】
本開示は遠隔原子炉計装監視システムを記載する。本開示に記載の様々な実装は、以下の特徴のいくつか又はすべてを含み得る。
【0009】
いくつかのバージョンにおいて、遠隔原子炉計装監視システムは、無線送信機、バックアップ電源(例えば電池、放射性同位体熱電気転換器(RTG)又は他のバックアップ電源)、及び一以上のプロセッサ(例えばマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ又は有限状態機械)を含み得る。プロセッサは、原子炉計装システムへの通常電力の喪失を識別し、当該通常電力の喪失の識別に応答して、バックアップ電源から無線送信機及び一以上の炉計装センサへの電力供給を引き起こすようにプログラムすることができる。プロセッサはさらに、炉計装センサからのデータを受信し、無線送信機に、当該データを一以上のコンピューティングデバイス(例えばデスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、一以上のサーバ、タブレットコンピュータ、スマートフォン等)に送信させることができる。
【0010】
いくつかの例において、炉計装センサは、様々な原子炉プラントパラメータ(例えば圧力、温度、液体レベル、中性子フラックス又はフルエンス)を測定することができる。このましいバージョンにおいて、遠隔原子炉計装システムは、原子炉操作員に対し、上述したものの一以上のような、設計基準を超える原子力プラント事象又は事故の間に様々な炉プラントパラメータを監視するための安全かつ確実な手段を与えることができる。
【0011】
本発明のいくつかのバージョンにおいて、バックアップ電源は、放射性同位体熱電気転換器である。
【0012】
本発明のいくつかのバージョンにおいて、原子炉システムへの通常電力の喪失は、原子炉システムへの電力完全喪失の識別を含む。
【0013】
さらに他の例において、電力喪失は、事故後監視システムへの電力の喪失を含む。
【0014】
いくつかのバージョンにおいて、本発明は無線送信機を含み、いくつかの実装において、無線送信機は炉建屋内に配置される。好ましい実装によれば、無線送信機により、炉建屋から遠隔の場所へのデータの送信が引き起こされる。
【0015】
無線送信機は、本発明のいくつかの例において、一方向送信機である。
【0016】
いくつかのバージョンにおいて、オペレーションは、一以上のセンサからのデータをロギングすることを含む。さらに、一以上のセンサ及び無線送信機に電気的に接続された信号処理回路が与えられる。いくつかの例において、一以上のセンサ及び無線送信機には信号多重化回路が電気的に接続される。
【0017】
本発明の様々なバージョンにおいて、一以上のセンサは、弁位置表示、炉冷却材システム温度、炉冷却材システム圧力、炉冷却材システムレベル、格納温度、格納圧力、格納レベル、崩壊熱除去レベル、崩壊熱除去圧力、炉プール及び使用済み燃料プールレベル、炉プール及び使用済み燃料プール温度、中性子フラックス、及び制御棒位置を監視する一以上のセンサを含み得る。いくつかのバージョンにおいて、事故後監視システムは、上述のセンサの一以上を監視する。
【0018】
いくつかの例において、通常電力は、通常炉運転中にバックアップ電源を充電するべく、バックアップ電源に電気的に接続される。
【0019】
このましいバージョンにおいて、システムは、無線送信機が送信するデータを受信するように構成された無線受信機を有する一以上のコンピューティングデバイスを含む。
【0020】
本発明の一つのバージョンにおいて、無線送信機は、防護区域に配置される。最も好ましくは、オペレーションは、無線送信機に対し、防護区域から遠隔エリアへデータを送信させることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の好ましい及び代替の例を、以下の図面を参照して以下に詳述する。
【0022】
【
図1】複数の原子力発電炉、及び一の配電システムを含む原子力発電システムの実装例のブロック図である。
【
図2】バックアップ電源を使用する原子力発電システムの遠隔監視システムのブロック図である。
【
図3】原子力発電システムの遠隔監視システムを動作させる方法の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書に記載される主題の一以上の実装の詳細が、添付図面及び以下の説明に記載される。本主題の他の特徴、側面及び利点が、当該説明、図面及び特許請求の範囲から明らかとなる。
【0024】
図1は、複数の原子炉システム150及び遠隔監視システム155を含む原子力発電システム100の実装例を示す。いくつかの実装において、システム100は、バックアップ又は予備の電源から電力供給を受ける遠隔原子炉計装監視システムを与えることができる。いくつかの側面において、遠隔監視システム155は、例えば、適格電池システム(例えばVLAタイプの電池)、非適格電池システム(例えばVRLAタイプの電池)、RTG又は他のバックアップ電源のようなバックアップ又は予備の電源から電力供給を受ける。
【0025】
遠隔監視システム155の例は、一以上の炉計装センサ(例えば能動事故後監視(PAM)変数)に電気的に結合された無線送信機を含む。一次炉計装システムが(例えば上述した事故又は事象ゆえに)喪失すると、遠隔監視システム155は、アクティブにされて原子炉計装センサを監視し、受信したデータを、当該事故から安全な距離に離れた一以上のコンピューティングデバイスへと無線送信する。
【0026】
いくつかの実装において、遠隔監視システム155は、一次炉計装システムが通常動作をしていないことの一以上の兆候を検出するセンサ(例えば電気機械デバイス、又は一以上のプロセッサを有するコンピューティングデバイス)を含み得る。遠隔監視システム155はその後トリガーを受け、監視原子炉システムパラメータの監視を開始し、監視データを無線送信する。いくつかの実装において、遠隔監視システム155が監視する炉計装センサは、弁位置表示、炉冷却材システム温度、炉冷却材システム圧力、炉冷却材システムレベル、格納温度、格納圧力、格納レベル、崩壊熱除去レベル、崩壊熱除去圧力、炉プール及び使用済み燃料プールレベル、炉プール及び使用済み燃料プール温度、中性子フラックス(又はフルエンス)及び制御棒位置の一以上を含み得る。
【0027】
図1において、システム100は、電力システム135に電気的に結合された複数の原子炉システム150を含む。本例には3つのみの原子炉システム150が示されるが、原子力発電システム100内に含まれ又はこれに結合されたこれよりも少ない又は多い(例えば6、9、12等の)システム150が存在してよい。一つの好ましい実装において、システム100内には12の原子炉システム150が含まれ、原子炉システム150の一以上が、以下にさらに記載されるモジュラー型軽水炉を含む。
【0028】
各原子炉システム150に関し、本発明の好ましいバージョンにおいて炉心20は、円筒形状又はカプセル形状の炉容器70の底部に位置決めされる。炉心20は、恐らくは数年又はそれ以上の一定期間生じ得る制御された反応をもたらす一定量の核分裂物質を含む。
図1には明示的に示されないが、制御棒は、炉心20内の核分裂速度を制御するべく用いられる。制御棒は、銀、インジウム、カドミウム、ホウ素、コバルト、ハフニウム、ジスプロシウム、ガドリニウム、サマリウム、エルビウム及びユーロピウム、又はこれらの合金及び化合物を含み得る。しかしながら、これらは、多くの可能な制御棒材料のいくつかにすぎない。受動的動作システムによって設計された原子炉においては、通常運転中に、又は緊急状態においても、操作員の介入又は監督なしに、少なくともある程度の所定時間の間、原子炉の安全な動作が維持されることを保証するべく、様々な物理的、化学的又は他の特性が用いられる。
【0029】
複数の実装では、円筒形状又はカプセル形状の格納容器10が炉容器70を取り囲み、炉プールの中に、炉ベイ5内の水線90の下のように、部分的又は完全に浸漬される。炉容器70及び格納容器10間の容積は、炉容器70から炉プールへの熱伝達を低減するべく部分的に又は完全に真空とされる。しかしながら、他の実装において、炉容器70及び格納容器10間の容積には、炉容器及び格納容器間の熱伝達を増加させる気体及び/又は液体が少なくとも部分的に充填される。格納容器10は、炉ベイ5の基部においてスカート(図示せず)の上に載置され得る。
【0030】
特定の実装では、炉心20は、ホウ素又は他の添加物を含み得る水のような液体の中に浸漬される。当該液体は、当該炉心の表面に接触した後にチャンネル30の中へと上昇する。
図1において、加熱された冷却材の上方向への動きが、チャンネル30内の矢印40によって表される。冷却材は、熱交換器50及び60の頂部を超えるように進行し、炉容器70の内壁に沿って対流により下方向に引っ張られ、これにより、当該冷却材は熱交換器50及び60に熱を付与することができる。炉容器の底部に到達した後、炉心20との接触により、冷却材の加熱がもたらされ、チャンネル30を通って再び上昇する。
【0031】
図1では熱交換器50及び60が2つの別個の要素として示されるが、熱交換器50及び60は、チャンネル30の少なくとも一部のまわりに巻き付けられた任意数のらせんコイルを表し得る。他の実装では、異なる数のらせんコイルが、チャンネル30のまわりに反対方向に巻き付けられてよい。ここで、例えば、第1のらせんコイルが反時計回り方向に巻き付けられる一方、第2のらせんコイルが時計回り方向に巻き付けられる。しかしながら、異なる構成及び/又は異なる配向の熱交換器の使用を妨げるものは何もなく、この点において実装は制限されない。さらに、水線80が、熱交換器50及び60の上側部分の直上に位置決めされるように示されるが、他の実装では、炉容器70はこれよりも少ない又は多い水量を含み得る。
【0032】
図1において、原子炉モジュールの通常運転は、加熱された冷却材がチャンネル30を通って上昇し、熱交換器50及び60と接触するように進行する。冷却材は、熱交換器50及び60に接触した後、熱サイホンプロセスを誘起するように炉容器70の底に向かって沈下する。
図1の例において、炉容器70内の冷却材は大気圧を上回る圧力に保持され、これにより、当該冷却材は、気化(例えば沸騰)することなく高温を維持することができる。いくつかの実装において、原子炉システム150は、飽和圧力で動作することができる。かかる実装において、炉容器70内の冷却材は、炉心20を冷却して熱交換器50及び60内の冷却材に熱を伝達する(例えば自然)循環の間、飽和圧力に維持される。
【0033】
熱交換器50及び60内の冷却材の温度が上昇すると、冷却材は沸騰を開始する。熱交換器50及び60内の冷却材が沸騰を開始すると、蒸気のような気化した冷却材を、熱ポテンシャルエネルギーを電気エネルギーに変換する一以上のタービンを駆動するべく使用することができる。冷却材は、凝縮後、熱交換器50及び60の基部近くの場所に戻る。
【0034】
図1の炉モジュールの通常運転中、当該モジュール内の様々な場所に位置決めされたセンサを介して炉の様々な性能パラメータを監視することができる。炉モジュール内のセンサは、炉システム温度、炉システム圧力、格納容器圧力、炉の一次及び/若しくは二次冷却材レベル、炉心中性子フラックス(又はフルエンス)、並びに/又は炉心中性子フルエンスを測定することができる。これらの測定値を表す信号が、例えば制御室における炉ベイインタフェイスパネル(図示せず)へのコンジットを経由して、炉モジュールの外部に伝えられる。
【0035】
原子炉システム150それぞれの構成部品及びセンサの一以上は、例えば、格納容器隔離弁、崩壊熱除去(DHR)弁、他の作動可能弁及び機器、並びにセンサのような能動的な工学的安全施設(ESF)負荷のような重要な負荷としてよい。いくつかの側面において、かかるESFの構成部品は、制御電力又は動力の喪失時に、故障すると安全位置となるように設計される。
【0036】
加えて、原子炉システム150それぞれの構成要素及びセンサの一以上は、例えば能動PAM変数のような非重要負荷としてよい。PAM変数は、例えば、ESF作動システム弁位置表示、炉冷却材システム温度、炉冷却材システム圧力、炉冷却材システムレベル、格納温度、格納圧力、格納レベル、崩壊熱除去レベル、崩壊熱除去圧力、炉プール及び使用済み燃料プールレベル、炉プール及び使用済み燃料プール温度、中性子フラックス(又はフルエンス)並びに制御棒位置を含み得る。
【0037】
例示の原子力発電システム100において、電力システム135(ブロック図の形態で示す)が、システム100における原子炉システム150の電気負荷のすべてにAC及びDC電流を供給することができる。例えば、AC電力(例えば120VAC、単相、60Hz)を、一以上のACバス145(一つのバスとして例示されるが一つを超えるパラレルバスも意図される)を介して原子炉システム150に供給することができる。AC電力バス145は、いくつかの側面において、重要負荷(例えばESF負荷)にAC電力を供給することができる。AC電力はまた、一以上のACバス145(一つのバスとして例示されるが一つを超えるパラレルバスも意図される)を介して原子炉システム150の非重要負荷に供給することができる。
【0038】
遠隔監視システム155は、通常炉計装システムの喪失をもたらし得る電力喪失又は他の事象を監視するべく、電力システム135(例えばACバス140、145若しくは双方、及び/又はDC電流を供給するバス)に少なくとも通信可能に結合される。いくつかの実装において、遠隔監視システム155は、通常の原子炉システム運転中に遠隔監視システムバックアップ電源を充電するべく、電力システム135から電力を受ける。いくつかの実装において、遠隔監視システム155は、原子炉システムパラメータを監視する通常手段を操作員にとって困難又は有害とし得る他の事象を監視するべく、他の原子炉システム(図示しないが、例えば制御室警報システム)に通信可能に結合される。
【0039】
図1は、別個の遠隔監視システム155が原子炉システム150それぞれに関連付けられるように例示するが、いくつかの実装において、複数の原子炉システム150に関連付けられた原子炉センサを監視するべく、単数の遠隔監視システム155を使用してよい。いくつかの実装において、単数の遠隔監視システムは、原子力発電システム100における原子炉システム150のすべてに関連付けられた炉計装センサを監視するべく使用することができる。
【0040】
図2は、バックアップ電源を使用する遠隔監視システム155を含む原子力発電計装システム200のブロック図を例示する。例えば、いくつかの側面において、システム200は、一以上の原子炉システム150、遠隔監視システム155、通常電源215(例えば電力システム135)、炉計装センサ250(例えば能動事故後監視(PAM)変数)及び制御室260を含む。原子炉システム150、並びに随意的に通常電源215、遠隔監視システム155及びバックアップ電源220が炉建屋210に収容される。
【0041】
いくつかの実装において、防護区域212は、原子力発電プラントサイトにおける一以上の炉建屋210のまわりに指定することができる。防護区域212は、例えば、原子力発電プラント及びその安全機器を包囲するエリアとしてよい。
【0042】
制御室260は、原子炉計装システム200が測定した炉プラントパラメータを操作員に表示する一以上の炉インタフェイスパネル265を含み得る。
【0043】
バックアップ電源220は、例えば、適格電池システム(例えばVLAタイプの電池)、非適格電池システム(例えばVRLAタイプの電池)、放射性同位体熱電気転換器(RTG)又は他のバックアップ電源としてよい。いくつかの実装において、バックアップ電源は、外部電源(例えばディーゼル発電機、ガソリン発電機、燃焼/タービン発電機)のための接続部(例えば
図2の「外部電源へ」ブロック)を含み得る。外部電力は、バックアップ電源220の補足又は代用としてよい。
【0044】
炉計装センサ250は、炉システム150内の様々な場所に位置決めされるデジタル、アナログ、又はデジタルとアナログとの組み合わせのセンサとしてよい。炉計装センサ250は、炉システム温度、炉システム圧力、格納容器圧力、炉一次及び/若しくは二次冷却材レベル、炉心中性子フラックス、並びに/又は炉心中性子フルエンスを測定することができる。炉計装センサ250は、PAM変数を監視することができる。当該変数は、例えば、ESF作動システム弁位置表示、炉冷却材システム温度、炉冷却材システム圧力、炉冷却材システムレベル、格納温度、格納圧力、格納レベル、崩壊熱除去レベル、崩壊熱除去圧力、炉プール及び使用済み燃料プールレベル、炉プール及び使用済み燃料プール温度、中性子フラックス(又はフルエンス)並びに制御棒位置を含む。
【0045】
遠隔監視システム155の例は、センサ250が生成するデータ信号を受信するべく炉計装センサ250に電気的に結合されるとともに、炉計装センサ250からのデータ信号を受信して当該炉計装データを、炉建屋210の外側に配置された一以上のコンピューティングデバイス270a及び270b(例えばデスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、サーバ又はサーバ群、タブレットコンピュータ、スマートフォン、携帯電話等)に送信するべく構成された無線送信機225を含む。遠隔監視システム155は、センサ230、信号処理回路235、信号多重化回路240及びデータロギング回路245を含み得る。
【0046】
遠隔監視システムセンサ230は、通常炉計装システムの喪失を引き起こす事象を検出し、それに応答して遠隔監視システム155をアクティブにすることができる。例えば、センサ230は、通常炉計装システム及び/若しくは炉システム150への通常電力の喪失、PAMシステムへの電力の喪失、炉計装システム、炉システム及び/若しくはPAMシステムへの電力の完全喪失(例えば一次及び二次電力手段)、又は炉インタフェイスパネル265若しくは制御室260への損傷若しくはこれらの喪失を引き起こす事象(例えば制御室内火災)を検出するように構成することができる。かかる事象を検出するべく、センサ230は、例えば、炉計装システム、炉システム150及び/又はPAMシステムへの停電を監視することができる。
【0047】
いくつかの実装において、センサ230は、例えば、制御室260における緊急状態を、例えば、火災警報又は放射線警報のような、制御室の排気を要求する監視制御室警報によって監視するべく構成することができる。いくつかの実装において、センサ230は電気機械デバイスである。上述したような事象を検出すると、センサ230は、バックアップ電源220及び遠隔監視システム155間の電気的接続を確立することができる。センサ230の電気機械的な実装は、電気的接続を確立することにより、無線送信機225及び遠隔監視システム155へと電力を供給することができる。いくつかの実装において、センサ230は、パワートランジスタ、半導体制御整流器(SCR)、ソリッドステートリレー(SSR)又は他の適切なデバイスとしてよい。いくつかの実装において、センサ230は、炉計装システム喪失を引き起こす事象を監視及び検出し、遠隔監視システム155をアクティブにし、並びに遠隔監視システム155のさらなる動作を制御するようにプログラムされたコンピューティングデバイス(例えばマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ又は有限状態機械)としてよい。
【0048】
信号処理回路235は、例えば当該データを適切なデータパケットにカプセル化することにより、無線送信機225による送信を目的として、炉計装センサ250信号によって搬送されたデータをパッケージにすることができる。信号処理回路235はまた、アナログからデジタルへの信号変換回路を含み得る。追加的に、信号がアナログセンサから受信される場合、信号処理回路235は、当該信号を増幅し、フィルタリングし、及びレンジ整合をすることができる。
【0049】
通常運転中、通常電源215から炉計装センサ250へと電力が供給される。炉計装センサ250は、様々な炉システム150パラメータを監視し、それらの測定値を表す信号を、制御室260における炉インタフェイスパネル265の操作員に送信する。通常運転中、計装センサ250からの信号又はデータは、有線通信又は随意的に無線通信を使用して、制御室260及び炉インタフェイスパネル265へと通信することができる。いくつかの実装において、バックアップ電源220はまた、通常運転中に通常電源215による充電を受ける。
【0050】
遠隔監視システム155(例えばセンサ230)が、炉計装システムの喪失を引き起こす事象を検出すると、遠隔監視システム155はアクティブにされて炉計装センサ250からのデータを、炉建屋210の外側に配置されたコンピューティングデバイス270a及び270bに送信する。遠隔監視システム155をアクティブにすることは、例えば電気機械デバイス又はソリッドステートスイッチの作動を引き起こすことにより、遠隔監視システム155をバックアップ電源220に接続することを含み得る。遠隔監視システム155はその後、核計装センサ250からのデータ信号を受信し、当該データを、送信されたデータを受信するように構成された受信機を有するコンピューティングデバイス270a及び270bに送信する。例えば、無線送信機からデータを受信する前にコンピューティングデバイス270a及び270bは、認証証明書を与えるように要求される。すなわち、遠隔監視システム155は、炉計装システムを監視する通常手段へのアクセス又は電力が喪失された場合、原子炉操作員に、遠隔場所から炉パラメータを監視する安全かつ確実な手段を与えることができる。いくつかの実装において、遠隔監視システム155はまた、核計装センサ250の一以上に(例えばバックアップ電源220から)電力を与えることもできる。
【0051】
いくつかの実装において、無線送信機225は、防護区域212の外側に配置されたコンピューティングデバイス270a及び270bが受信するのに十分な強度の信号を送信することができる。いくつかの実装において、無線送信機225は一方向送信機であり、例えば、無線送信機225は、無線信号受信機を含まなくてよく、これにより、遠隔監視システム155の、及び当該遠隔監視システムにより送信されたデータの認証されない改変を防止することができる。いくつかの実装において、核計装センサデータは、無線送信機が送信する前に暗号化され得る。加えて、無線送信機からデータを受信するべく、コンピューティングデバイス270a及び270bは、無線送信機225からの暗号化されたデータを解読することができるように事前構成されてよい。
【0052】
図3は、原子力発電システムのための遠隔監視システムを動作させる方法300の例を示すフローチャートである。いくつかの実装において、方法300は、遠隔監視システム155によって又はこれを使用して実行することができる。詳しくは、いくつかの実装において、方法300は、例えば、センサがコンピューティングデバイスである実装において、遠隔監視システム155のセンサ230によって又はこれを使用して実行することができる。
【0053】
方法300は、上の
図2の遠隔監視システム155を参照して記載される。方法300は、原子炉計装システムへの通常電力の喪失を検出することを含むステップ310から開始する。検出される電力喪失は、炉システム(例えば炉システム150)への電力の完全喪失、又はPAMシステムへの電力の喪失としてよい。いくつかの実装において、通常電力の喪失を検出することは、制御室260への、又は制御室260における炉インタフェイスパネル265への電力の喪失を検出することを含み得る。
【0054】
方法300はまた、ステップ320を含む。これは、電力喪失の検出に応答してバックアップ電源220から無線送信機225及び炉計装センサ250への電力供給を自動的に引き起こすことを含む。例えば、遠隔監視システムは、電気機械デバイス又はソリッドステートスイッチが作動し、これにより、無線送信機225及び炉計装センサ250をバックアップ電源220に接続することを引き起こすことができる。いくつかの例において、無線送信機225は通常、低電力モード(例えばスリープモード)に保持され、ステップ320の間に遠隔監視システム155(例えばセンサ230)は、無線送信機225をアクティブモードに遷移させる(例えば無線送信機をウェークアップさせる)。いくつかの実装において、ステップ320は、遠隔監視システム155のセンサ230が通常電力喪失事象を検出することに応答して遠隔監視システム155をアクティブにすることに言及する。かかる実装において、遠隔監視システム155は通常、低電力(例えばスリープモード)状態に保持され、ステップ320の間にアクティブモードに遷移する(例えば遠隔監視システムをウェークアップさせる)。
【0055】
方法300はまた、一以上の原子炉計装センサ250からデータを受信することを含むステップ330を含み得る。例えば、
図2を参照して上述したように、遠隔監視システム155は、炉計装センサ250からデータ信号を受信する。いくつかの例において、上で
図2を参照して記載したように、遠隔監視システム155は、炉計装信号から受信したデータ信号を、信号処理回路235を使用して処理することができる。追加的に、遠隔監視システム155は、例えば信号多重化回路240を使用して、炉計装センサ250の中の一つから送信するべきデータを代わるがわるに選択することができる。加えて、遠隔監視システムは、データロギング回路245を使用してデータを記憶することができる。
【0056】
方法300はまた、無線送信機225にデータを一以上のコンピューティングデバイス270a又は270bに送信させることを含むステップ340を含み得る。いくつかの実装において、無線送信機225は、炉建屋210及び防護区域212の外側に配置されたコンピューティングデバイス270a及び270bが受信するのに十分な強度の信号を送信することができる。いくつかの実装において、無線送信機225は、データを送信するだけであってデータの受信はしない。いくつかの実装において、炉計装センサのデータは、無線送信機が送信する前に暗号化することができる。加えて、無線送信機からデータを受信するべく、コンピューティングデバイス270a及び270bは、無線送信機225からの暗号化されたデータを解読することができるように事前構成されてよい。
【0057】
本明細書に記載の主題及び動作の実装は、本明細書に開示の構造及びその構造的均等物又はこれらの一以上の組み合わせを含むデジタル電子回路、又はコンピュータソフトウェア、ファームウェア若しくはハードウェアで実現することができる。本明細書に記載の主題の実装は、一以上のコンピュータプログラム、すなわち、データ処理装置による実行又はその動作の制御を目的としてコンピュータ記憶媒体上でエンコードされたコンピュータプログラム命令の一以上のモジュール、を使用して実現することができる。代替的に又は追加的に、プログラム命令は、人工的に生成された伝播信号、例えば、データ処理装置による実行のための適切な受信装置への送信を目的として情報をエンコードするべく生成された機械生成電気信号、光学信号又は電磁信号上でエンコードすることができる。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読記憶デバイス、コンピュータ可読記憶基板、ランダム若しくはシリアルアクセスメモリのアレイ若しくはデバイス、又はこれらの一以上の組み合わせであり、若しくはそれに含まれてよい。さらに、コンピュータ記憶媒体は伝播信号というわけではなく、コンピュータ記憶媒体は、人工的に生成された伝播信号においてエンコードされるコンピュータプログラム命令のソース又は宛先となり得る。コンピュータ記憶媒体はまた、一以上の別個の物理的構成部品又は媒体(例えば複数のCD、ディスク又は他の記憶デバイス)であり、又はそれに含まれてよい。
【0058】
本明細書に記載の動作は、一以上のコンピュータ可読記憶デバイスに記憶され又は他のソースから受信されるデータについてデータ処理装置が行う動作として実装することができる。
【0059】
用語「データ処理装置」は、例えば、プログラム可能プロセッサ、コンピュータ、システムオンチップ、又はこれらの複数のもの若しくは組み合わせを含む、データを処理するためのすべての種類の装置、デバイス及び機械を包含する。装置は、専用ロジック回路、例えば、FPGA(フィールドプログラム可能ゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)を含み得る。装置はまた、ハードウェアに加え、問題となっているコンピュータプログラムのための実行環境を作り出すコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、クロスプラットフォームランタイム環境、仮想機械、又はこれらの一以上の組み合わせを構成するコードを含み得る。装置及び実行環境は、ウェブサービス、分散コンピューティング及びグリッドコンピューティングインフラストラクチャのような様々な異なるコンピューティングモデルインフラストラクチャを実現することができる。
【0060】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト又はコード)は、任意の形態のプログラミング言語で書くことができる。これは、コンパイル若しくはインタープリタ型言語、宣言型若しくは手続型言語を含み、コンピューティング環境での使用に適したスタンドアロンプログラムとして、若しくはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、オブジェクト又は他のユニットとして、任意の形態で展開することができる。コンピュータプログラムは、ファイル又はファイルシステムに対応してよいが、その必要があるわけではない。プログラムは、他のプログラム又はデータ(例えばマークアップ言語ドキュメントに格納された一以上のスクリプト)を保持するファイルの一部に、問題となっているプログラムに専用の単数のファイルに、又は複数のコーディネートされたファイル(例えば一以上のモジュール、サブプログラム、又はコードの複数部分を格納するファイル)に格納することができる。コンピュータプログラムは、一つのコンピュータ上で、又は一つのサイトに配置され、若しくは複数のサイトにわたって分散されて通信ネットワークにより相互接続された複数のコンピュータ上で実行するべく展開することができる。
【0061】
本明細書に記載のプロセス及びロジックのフローは、一以上のコンピュータプログラムを実行して入力データを操作して出力を生成することによりアクションを行う一以上のプログラム可能プロセッサによって実行することができる。また、専用ロジック回路、例えばFPGA(フィールドプログラム可能ゲートアレイ)若しくはASIC(特定用途向け集積回路)が、プロセス及びロジックのフローを行うことができ、又は装置として実装され得る。コンピュータプログラムを実行するのに適切なプロセッサは、例えば、汎用及び専用双方のマイクロプロセッサ、任意種類のデジタルコンピュータのいずれか一つ又は複数のプロセッサを含む。一般に、プロセッサは、リードオンリーメモリ若しくはランダムアクセスメモリ又はその双方から命令及びデータを受信する。コンピュータの要素は、命令に従ってアクションを行うプロセッサと、命令及びデータを記憶するための一以上のメモリデバイスとを含み得る。一般に、コンピュータはまた、データを記憶するための一以上の大容量記憶デバイス、例えば磁気、光磁気ディスク又は光ディスクを含み、又はこれらからデータを受信し、これらにデータを送信し、若しくはその双方を行うべく動作可能に結合される。しかしながら、コンピュータは、かかるデバイスを有する必要はない。コンピュータプログラム命令及びデータを記憶するのに適切なデバイスは、すべての形態の不揮発性メモリ、媒体及びメモリデバイスであり、例えばEPROM、EEPROM及びフラッシュメモリデバイスのような半導体メモリデバイス、例えば内部ハードディスク又はリムーバブルディスクのような磁気ディスク、光磁気ディスク、並びにCD-ROM及びDVD-ROMディスクを含む。プロセッサ及びメモリは、専用ロジック回路による補足を受け、又はこれに組み入れることができる。
【0062】
本主題の特定の実装が記載されてきた。記載された実装の他の実装、改変及び置換は、当業者にわかるように以下の特許請求の範囲内にある。例えば、特許請求の範囲に記載のアクションは、異なる順序で行っても依然として所望の結果を得ることができる。したがって、実装例の上記記載は、本開示を画定又は制限するわけではない。他の変更、置換及び改変も、本開示の要旨及び範囲から逸脱することなく可能である。したがって、本発明は、以下の特許請求の範囲を全体的に参照して定めるべきである。