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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-09
(45)【発行日】2022-08-18
(54)【発明の名称】冷却塔
(51)【国際特許分類】
   F28C 1/02 20060101AFI20220810BHJP
   F28F 9/00 20060101ALI20220810BHJP
   F28F 25/04 20060101ALI20220810BHJP
   F28F 25/12 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
F28C1/02
F28F9/00 321
F28F25/04
F28F25/12
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2019542405
(86)(22)【出願日】2018-02-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-26
(86)【国際出願番号】 US2018016637
(87)【国際公開番号】W WO2018144857
(87)【国際公開日】2018-08-09
【審査請求日】2020-02-10
(31)【優先権主張番号】62/454,432
(32)【優先日】2017-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519279856
【氏名又は名称】アグレコ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】チルダース,ジュニア,ビリー ウェイン
(72)【発明者】
【氏名】スワミー,アトゥール アマール クマール
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】豪国特許出願公開第2008261181(AU,A1)
【文献】米国特許第05317857(US,A)
【文献】米国特許第05227095(US,A)
【文献】特許第4638531(JP,B2)
【文献】特開平06-011296(JP,A)
【文献】特開2005-009750(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0049733(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28C 1/00-3/18
F28D 5/00-5/02
F28F 9/00,25/00-25/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水の冷却のための蒸発冷却であって、
単一のフレームであって、ISO(国際標準化機構)準拠の輸送コンテナを形成し、長さ、幅、高さ並びに4つの上隅部及び4つの下隅部を有し、前記上隅部及び前記下隅部のそれぞれは、ISO準拠の輸送コンテナ隅金具を有し、前記ISO準拠の輸送コンテナ隅金具、前記ISO準拠の輸送コンテナ固定に使用されるものである、単一のフレームと、
長さ、幅、及び高さを有し、長さ方向が前記単一のフレームの長さ方向と一致するように、前記単一のフレーム内に設けられた単一の冷却塔本体と、
を備え、
前記単一の冷却塔本体は、
充填媒であって、当該充填媒を通して水を下向きに通過させるための充填媒
と、
前記充填媒体を通して垂直上向きに空気を移動させるための手段と、
前記充填媒体の上面全体に水を分配するための手段と、
前記充填媒体より下に位置付けられた水収集システムであって、前記水収集システム
は、適切な空気の流れを可能にしながら、複数の蒸発冷却が互いに隣接して配置でき
るように、空気を前記蒸発冷却塔の底面から前記蒸発冷却塔させて、前記水収
集システムを上向きに通過させるように構成された、前記水収集システムを通る空気流
路を有し、前記充填媒体から下向きに流れ出た水が、前記水収集システムによって収集
される、水収集システムと、
を備え、
前記水収集システムは、単層に配置されている、複数のトラフを有し、
前記複数のトラフは、それぞれの長さ方向の寸法が実質的に前記充填媒体の長さにわたり、それぞれの幅方向が前記単一の冷却塔本体の幅方向に一致し、かつ、前記単一の冷却塔本体の幅方向において互いに離間するように設けられており、
前記複数のトラフの各々は、第1の上縁と、第2の上縁とを有し、
前記第1の上縁には、前記充填媒体から下向きに流れ出た水を前記複数のトラフ内に流入させるように、前記第1の上縁から前記充填媒体に向かって伸びかつ前記充填媒体の底面に対して角度付きのバッフルが設けられており、
前記第2の上縁の上方には、前記空気流路の一部を構成する気流空間が形成されており、
前記複数のトラフのうち、前記単一の冷却塔本体の幅方向の一端側に位置する一部のトラフのバッフルと、前記単一の冷却塔本体の幅方向の他端側に位置する他の一部トラフのバッフルとは、角度を成すように、前記単一の冷却塔本体の上下方向に対して、前記一部のトラフのバッフルが前記他端側に向かって傾斜し、前記他の一部トラフのバッフルが前記一端側に向かって傾斜するように設けられている、
蒸発冷却
【請求項2】
前記水収集システムは、トラフユニットを有し、
前記トラフユニットは、前記単一の冷却塔本体の幅方向において互いに離間してかつ単層に配置された、前記複数のトラフと、1つの中央トラフとを有し、
前記単一の冷却塔本体の幅方向において、前記1つの中央トラフは、前記単一の冷却塔本体の幅方向の中央に位置し、前記複数のトラフのうちの前記一部のトラフは、前記1つの中央トラフと前記一端側との間に位置し、前記複数のトラフのうちの前記他の一部のトラフは、前記1つの中央トラフと前記他端側との間に位置し、
前記1つの中央トラフは、長さ方向の寸法が実質的に前記充填媒体の長さにわたり、幅方向が前記単一の冷却塔本体の幅方向に一致するように設けられており、
前記1つの中央トラフは、2つの上縁を有し、前記2つの上縁の上方のいずれにも、前記空気流路の一部を構成する気流空間が形成されており、
前記トラフユニットは、前記充填媒体から下向きに流れ出して前記複数のトラフ及び前記1つの中央トラフに流入した水が、前記複数のトラフ及び前記中央トラフのそれぞれの長さ方向に沿って流れ続け、かつ、前記蒸発冷却塔の底面から前記蒸発冷却塔内に流入した空気が、前記トラフユニット間の空間を垂直上向きに通って、前記複数のトラフ及び前記中央トラフのうちの少なくとも1つのトラフの方にある前記気流空間を通るように構成されている、請求項1に記載の蒸発冷却
【請求項3】
前記気流空間に配設されたルーバをさらに備える、請求項1又は2に記載の蒸発冷却
【請求項4】
前記充填媒体を通して垂直上向きに空気を移動させるための前記手段が、前記充填媒体の上方に位置付けられた1つ又は複数のファンを備える、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の蒸発冷却
【請求項5】
前記充填媒体の上方に位置付けられたドリフトエリミネータをさらに備え、前記充填媒体の上面全体に水を分配するための前記手段が、前記充填媒体の上面と前記ドリフトエリミネータの下面との間に位置付けられた、可動部分を有していない水分配用の複数のノズルを備え、前記複数のノズルが、前記充填媒体の前記上面の上方の約0.25インチ~1.0インチの範囲内に位置付けられており、前記充填媒体の前記上面と前記ドリフトエリミネータの前記下面との間の距離が10インチより小さい、請求項1乃至のいずれか一項に記載の蒸発冷却
【請求項6】
前記複数のトラフに流れ込む水が、複数のトラフの前記長さ方向に沿って流れて、前記ISO準拠の輸送コンテナ内に配置された前記複数のトラフのそれぞれの一端に配設された桝に流れ込み、前記桝に流れ込む水の流れ方向は、変更せず、前記複数のトラフ及び前記桝は、一体のユニットを形成する、
請求項1乃至のいずれか一項に記載の蒸発冷却
【請求項7】
前記桝から水を受け取り、冷却されるシステムに前記水を圧送する、前記ISO準拠の輸送コンテナ内に配設されたパイプ及びポンプシステムをさらに備える、請求項6に記載の蒸発冷却
【請求項8】
前記単一のフレームの各隅部に位置付けられた、垂直に配設された伸縮脚をさらに備え、前記伸縮脚のそれぞれの下端が、ISO準拠の輸送コンテナ隅金具を備え、前記伸縮脚のそれぞれが、伸縮して、前記ISO準拠の輸送コンテナから伸ばされた望ましい長さで固定されている、請求項1乃至のいずれか一項に記載の蒸発冷却
【請求項9】
前記単一のフレームの各隅部に位置付けられた垂直に配設された伸縮脚をさらに備え、前記伸縮脚のそれぞれの下端が、ISO準拠の輸送コンテナ隅金具を備え、前記伸縮脚のそれぞれが、伸縮して、前記ISO準拠の輸送コンテナから伸ばされた望ましい長さで固定されている、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の蒸発冷却
【請求項10】
前記単一のフレームの各隅部に位置付けられた垂直に配設された伸縮脚をさらに備え、前記伸縮脚のそれぞれの下端が、ISO準拠の輸送コンテナ隅金具を備え、前記伸縮脚のそれぞれが、伸縮して、前記ISO準拠の輸送コンテナから伸ばされた望ましい長さで固定されてもよい、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の蒸発冷却
【請求項11】
前記水の適切な排水のための望ましい高さに前記蒸発冷却を配置するように、前記単一のフレームの各隅部に位置付けられた垂直に配設された伸縮脚をさらに備え、前記伸縮脚のそれぞれの下端が、ISO準拠の輸送コンテナ隅金具を備え、前記伸縮脚のそれぞれが、伸縮して、前記ISO準拠の輸送コンテナから伸ばされた望ましい長さで固定されてもよい、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の蒸発冷却
【請求項12】
前記充填媒体が、実質的に前記充填媒体の長さ及び幅にわたる格子によって支持されている、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の蒸発冷却
【請求項13】
前記複数のトラフの長さを流れる水の速度が、前記複数のトラフ内の沈殿物堆積を最小化するのに十分である、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の蒸発冷却
【請求項14】
長さ、幅、及び高さを有する冷却塔本体であって、
充填媒であって、当該充填媒を通して水を下向きに通過させるための充填媒と、
前記充填媒体を通して垂直上向きに空気を移動させるための手段と、
前記充填媒体の上面全体に水を分配するための手段と、
前記充填媒体より下に位置付けられた水収集システムであって、前記水収集システムは、空を前記冷却塔本体の底面から前記冷却塔本体内させて、前記水収集システムを上向きに通過させるように構成された、前記水収集システムを通る空気流路を有し、前記充填媒体から下向きに流れ出た水が前記水収集システムによって収集される、水収集システムと、
を備え、
前記水収集システムは、単層に配置されている、複数のトラフを有し、
前記複数のトラフは、それぞれの長さ方向の寸法が実質的に前記充填媒体の長さにわたり、それぞれの幅方向が前記冷却塔本体の幅方向に一致し、かつ、前記冷却塔本体の幅方向において互いに離間するように設けられており、
前記複数のトラフの各々は、第1の上縁と、第2の上縁とを有し、
前記第1の上縁には、前記充填媒体から下向きに流れ出た水を前記複数のトラフ内に流入させるように、前記第1の上縁から前記充填媒体に向かって伸びかつ前記充填媒体の底面に対して角度付きのバッフルが設けられており、
前記第2の上縁の上方には、前記空気流路の一部を構成する気流空間が形成されており、
前記複数のトラフのうち、前記冷却塔本体の幅方向の一端側に位置する一部のトラフのバッフルと、前記冷却塔本体の幅方向の他端側に位置する他の一部トラフのバッフルとは、角度を成すように、前記冷却塔本体の上下方向に対して、前記一部のトラフのバッフルが前記他端側に向かって傾斜し、前記他の一部トラフのバッフルが前記一端側に向かって傾斜するように設けられている、
冷却塔本体
【請求項15】
前記気流空間に配設されたルーバをさらに備える、請求項14に記載の冷却塔本体
【請求項16】
前記複数のトラフのそれぞれの長さ方向の一端側の端部に配設された桝をさらに備え、
前記桝は、水が前記複数のトラフの長さ方向に沿って流れて、前記複数のトラフのそれぞれの前記端部から縦に流出してから前記桝に流れ込み、かつ、前記桝に流れ込む水の流れ方向変更しないように、構成されており、
前記複数のトラフ及び前記桝は、一体のユニットである、
請求項14又は15に記載の冷却塔本体
【請求項17】
前記充填媒体を通して垂直上向きに空気を移動させるための前記手段が、前記充填媒体の上方に位置付けられた1つ又は複数のファンを備える、請求項14乃至16のいずれか一項に記載の冷却塔本体
【請求項18】
記充填媒体、前記充填媒体を通して垂直上向きに空気を移動させるための前記手段、前記充填媒体の上面全体に水を分配するための前記手段、及び前記水収集システムが、単一のISO準拠の輸送コンテナを形成する単一のフレーム内に収容できるように構成されている、請求項14乃至17のいずれか一項に記載の冷却塔本体
【請求項19】
長さ、幅、及び高さを有する冷却塔本体であって、
充填媒であって、当該充填媒を通して水を下向きに通過させるための充填媒と、
前記充填媒体を通して垂直上向きに空気を移動させるための手段と、
前記充填媒体の上面全体に水を分配するための手段であって、前記充填媒体の上方に位置付けられたドリフトエリミネータと、前記充填媒体の上面と前記ドリフトエリミネータの下面との間に位置付けられた、可動部分を有していない配水用の複数のノズルとを有し、前記複数のノズルが、前記充填媒体の前記上面の上方の約0.25インチ~1.0インチの範囲内に位置付けられており、前記充填媒体の前記上面と前記ドリフトエリミネータの前記下面との間の距離が10インチより小さい、前記充填媒体の上面全体に水を分配するための手段と、
前記充填媒体より下に位置付けられた水収集システムであって、前記水収集システムは、空を前記冷却塔本体の底面から前記冷却塔本体内させて、前記水収集システムを上向きに通過させるように構成された、前記水収集システムを通る空気流路を有し、前記充填媒体から下向きに流れ出た水が前記水収集システムによって収集される、水収集システムと、
を備え、
前記水収集システムは、単層に配置されている、複数のトラフを有し、
前記複数のトラフは、それぞれの長さ方向の寸法が実質的に前記充填媒体の長さにわたり、それぞれの幅方向が前記冷却塔本体の幅方向に一致し、かつ、前記冷却塔本体の幅方向において互いに離間するように設けられており、
前記複数のトラフの各々は、第1の上縁と、第2の上縁とを有し、
前記第1の上縁には、前記充填媒体から下向きに流れ出た水を前記複数のトラフ内に流入させるように、前記第1の上縁から前記充填媒体に向かって伸びかつ前記充填媒体の底面に対して角度付きのバッフルが設けられており、
前記第2の上縁の上方には、前記空気流路の一部を構成する気流空間が形成されており、
前記複数のトラフのうち、前記冷却塔本体の幅方向の一端側に位置する一部のトラフのバッフルと、前記冷却塔本体の幅方向の他端側に位置する他の一部トラフのバッフルとは、角度を成すように、前記冷却塔本体の上下方向に対して、前記一部のトラフのバッフルが前記他端側に向かって傾斜し、前記他の一部トラフのバッフルが前記一端側に向かって傾斜するように設けられている、
冷却塔本体
【請求項20】
長さ、幅、及び高さを有する冷却塔本体であって、
充填媒体であって、当該充填媒体を通して水を下向きに通過させるための充填媒体と、
前記充填媒体を通して垂直上向きに空気を移動させるための手段と、
前記充填媒体の上面全体に水を分配するための手段であって、前記充填媒体の上方に位置付けられたドリフトエリミネータと、前記充填媒体の上面と前記ドリフトエリミネータの下面との間に位置付けられた、可動部分を有していない配水用の複数のノズルとを有し、前記複数のノズルが、前記充填媒体の前記上面の上方の約0.25インチ~1.0インチの範囲内に位置付けられており、前記充填媒体の前記上面と前記ドリフトエリミネータの前記下面との間の距離が10インチより小さい、前記充填媒体の上面全体に水を分配するための手段と、
前記充填媒体より下に位置付けられた水収集システムであって、前記水収集システムは、空気を前記冷却塔本体の底面から前記冷却塔本体内に流入させて、前記水収集システムを上向きに通過させるように構成された、前記水収集システムを通る空気流路を有し、前記充填媒体から下向きに流れ出た水が前記水収集システムによって収集される、水収集システムと、
を備え、
前記充填媒体の上面全体に水を分配するための前記手段
実質的に前記充填媒体の長さ方向にわたるヘッダパイプと、
長さ方向が前記ヘッダパイプの長さ方向と交差するように設けられた、1つ又は複数
横管と、
を備え、
前記複数のノズルが前記1つ又は複数の横管に取り付けられており、
前記1つ又は複数の横管が、前記ヘッダパイプに回転可能に配設された管状部によって前記ヘッダパイプに流体連結されており、
前記管状部は、管壁と、前記管壁に囲まれた前記管状部の内部にある流路と、前記管壁を貫通するように設けられた有し
前記穴は、水を前記ヘッダパイプの内部にある流路から前記穴を通して前記管状部の前記流路に流入させるように、前記ヘッダパイプの前記流路内に位置付けられている、
冷却塔本体
【請求項21】
前記管状部の回転が、前記管状部の前記流路及び前記管状部に接続された前記1つ又は複数の横管を通る水流量を変える、請求項20に記載の冷却塔本体
【請求項22】
前記充填媒体内に位置付けられた流体蛇管をさらに備え、前記流体蛇管を通って、冷却される流体が流れる、請求項20又は21に記載の冷却塔本体
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本非仮特許出願は、すべての目的のために、2017年2月3日に出願された米国仮特許出願第62/454432号の優先権を主張する。その仮特許出願の開示は、本開示と矛盾しない程度に、本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、工業環境及びHVAC設定において、液体、一般に水の冷却のために通常は使用される冷却塔に関する。
【背景技術】
【0003】
冷却塔は、広義には、時には本明細書において「温水」と呼ばれる、(通常は)水源から熱を伝達する熱交換器である。関連する技術分野で知られているように、先行技術の冷却塔は一般に、さまざまな要素を共有し、冷却塔の本体内に「充填媒体」の容積を含み、いくつかの形態の水分配システムが充填媒体の上に位置付けられている。次いで、水は、充填媒体上へ下向きに吹き付けることができ、水は、重力によって媒体中を移動し、底部からしみ出し、溜桝に落下する。冷却された水は、時には本明細書において「冷水」と呼ばれる。空気は、下に移動する水に対する「逆流」として、充填媒体を通して上に向けられ、充填媒体の頂部を出る。充填媒体より上に位置付けられたファン(「吸出通風」)又は充填媒体より下に位置付けられたファン(「押込通風」)は、充填媒体を通して上向きに空気を移動させる。当該技術分野において知られているように、上向きに移動する空気は、下向きに移動する温水に対する逆流として、水から熱を除去する。
【0004】
知られている冷却塔の設計は、(特に)充填媒体より上での水分配システムの十分な孤立のための垂直間隔を提供し、適切な水分配を可能にし、水が、充填媒体の底部から、一般に冷却塔の設置面積の実質的に全体に及ぶ溜桝まで落下するために、比較的大きな高さ寸法を必要とする。さらに、他の寸法属性及び構造属性により、互いに当接する、互いの頂部の上に積み重ねられるなどの、望ましい位置への冷却塔の配置は妨げられる。運搬性はさらに別の問題であり、冷却塔の寸法は地上高などによる問題を引き起こし、運搬のために移動可能な塔の分解を頻繁に必要とする。
【0005】
知られている先行技術の冷却塔はすべて、これらの問題及びさまざまな他の問題を提示しており、これらの問題に対処する改良された冷却塔に対する要求が生じている。
【発明の概要】
【0006】
本発明の原理を具現化する冷却塔は、好ましくは、多くの場合「輸送コンテナ」と呼ばれる、複合貨物コンテナ(Intermodal Freight Container)の規格寸法に適合する、又は、適合している可能性がある外部骨格フレームを備え、それによって、ISO(国際標準化機構(International Organization for Standardization))に準拠し、好ましくは、固定及び吊上機器を接続するために、フレームの4つの上隅部及び4つの下隅部にISO(国際標準化機構)認定されたコンテナブロック又は隅金具を有する。充填媒体の容積は、冷却塔本体全体の中心部分に位置付けられている。複数の低圧固定オリフィスノズル(可動部分なし)を備え、充填媒体の上面の上方の比較的近くに位置付けられた可変流量温水分配システムは、充填媒体上に(冷却される)温水を吹き付ける。好ましくは、(ヘッダ部と横管部とを備える)ノズルに供給するパイプは、気流によって上方に引き上げられている水ミストを捕捉するドリフトエリミネータの層内に位置付けられている。従って、ノズルは充填媒体の上面とドリフトエリミネータの下面との間に位置付けられている。
【0007】
水収集システムは、充填媒体の下に位置付けられ、充填媒体を出た冷水を収集し、必要に応じて、水が水システムに戻るように経路を定める。水収集システムは、好ましくは、冷却塔本体若しくは充填媒体の長さにわたる、又は、他の実施形態では、冷却塔本体の幅にわたる、複数の離間したトラフを備える。トラフの上に位置付けられて、トラフの第1の上縁に取り付けられ、水がトラフに衝突するように角度が付けられている又は傾斜しているバッフルの上に水は落ちる。トラフから、水は、冷却塔の一端の桝又は水溜めに重力によって流れ、そこから、水システムに戻る。本発明は、本明細書の出願人によって所有されている米国特許第8535024号に開示されているものに類似の水収集システムを備えてもよく、その特許の開示は、本開示と矛盾しない程度に、本明細書に組み込まれる。空気は、トラフ間の空間を通って、且つ、トラフの第2の上縁(すなわち、バッフルを備えていない上縁)の上方に一般に位置付けられた気流空間を通って、上向きに流れる。気流空間のルーバは、通過する水路を最小化する。
【0008】
1つ又は複数のファンは、(「吸出通風」システムでは)充填媒体の上方、又は、(「押込通風」システムでは)充填媒体の下方に位置付けられて、充填媒体を通して上向きに空気を移動させる。
【0009】
好ましくは、伸縮脚は、フレームの各隅部に配設される。空気入口のために要望通り冷却塔を上昇させるために、及び/又は、他の機器への排水のための十分な高さを得るために、脚を伸ばして、適切な位置に(穴を通して挿入されたピン、又は任意の他の適切な手段によって)係止することができる。各脚の下端は好ましくは、ISO準拠隅金具又は隅ブロックを備える。収縮させた(そして、所定の位置に係止した)とき、冷却塔は、規格化された複合貨物コンテナ(ISO準拠輸送コンテナ)の寸法に一致する全体的な箱寸法に変形する。
【0010】
好ましくは、サービスアクセスプラットフォームは、冷却塔の本体の外側ではあるが、骨格フレーム内にある。このプラットフォームは好ましくは、容易なアクセス及び点検のために、(冷却塔の本体を越えるが、骨格フレーム内で延在する)冷水桝より上に位置付けられる。ユニット全体のこの部分はまた、骨格フレーム内に、入口及び出口水配管接続、ファン制御パネル、水充填制御装置、水溜めスクリーン、アクセスドア、並びに、他の構成要素を備える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の原理を具現化する冷却塔の実施形態の斜視図である。
図2A】冷却塔の骨格フレームの斜視図である。
図2B】冷却塔の骨格フレームの上面図である。
図2C】冷却塔の骨格フレームの側面図である。
図2D】冷却塔の骨格フレームの側面図である。
図3】冷却塔骨格フレームの斜視図であり、側部の所定の位置にシートがかけられている。
図4】部分断面における冷却塔の端面図であり、伸縮脚は伸ばしている。
図5】部分断面における冷却塔の別の端面図であり、伸縮脚は伸ばしている。
図6】部分断面における冷却塔の別の端面図であり、伸縮脚は縮めている。
図6A】トラフの別の配置を示す部分断面図である。
図7】部分断面における冷却塔の側面図であり、伸縮脚は伸ばしている。
図8】部分断面における冷却塔の別の側面図であり、伸縮脚は伸ばしており、明瞭にするために特定の要素は省略されている。
図8A】「押込通風」の実施形態の図である。
図9】水収集システムトラフ、バッフルなどのさまざまな図を含む。
図10】水分配システムの斜視図である。
図11】部分断面における端面図であり、冷却塔を通る空気流路を示す。
図12】部分断面における端面図であり、冷却塔を通る水流路を示す。
図13A】先行技術の水ノズル配置を示す。
図13B】本発明の原理を具現化する例示的な水ノズルの配置を示す。
図14】単一の冷却塔の上面図である。
図15】複数の冷却塔の端面図であり、伸縮脚は縮めており、たとえば、バルク輸送又は収納のために積み重ねられた塔を示す。
図16】互いに隣接して位置付けられた複数の冷却塔の1つの配置の上面図である。
図17】互いに隣接して位置付けられた複数の冷却塔の別の配置の上面図である。
図18】上下に積み重ねられた2つの冷却塔の端面図であり、例示的な空気流路も示す。
図19】管を通って流れる流体の冷却のための、冷却塔を通る冷却管を備える冷却塔の実施形態の部分断面における側面図である。
図20】水流制御装置を示す。
図21】水流制御装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
さまざまな冷却塔が本発明の原理を具現化することができるが、図面を参照して、現在の好ましい実施形態のいくつかを説明することができる。
【0013】
図1は、本発明の原理を具現化する冷却塔10の一実施形態の斜視図である。冷却塔10は、好ましくは、複合貨物コンテナ寸法に適合するように寸法決めされた骨格フレーム20を備え、その中に冷却塔のさまざまな要素が位置付けられている。フレーム20は、ISO(国際標準化機構)準拠構造を形成し、そのような認証のためのすべての構造、材料、製造、及びその他に関する要件を満たす。フレーム20は、固定及び吊上機能のために、各隅部にISO準拠コンテナ隅金具22を備える。現在の好ましい実施形態において、伸縮脚24は、4つの隅部に配設され、望ましい長さまで伸ばして、所定の位置にピン留め又は別の方法で固定することができ、次いで、輸送などのために必要に応じて縮めることができる。その実施形態では、脚24の下端もISO準拠コンテナ隅金具22を備える。脚24が置かれる表面より上の冷却塔10の望ましい高さは、脚24を望ましい距離に伸ばすことによって容易に実現され、次いで、ピン又は当該技術分野において知られている他の適切な手段を介して所定の位置に係止されることが理解される。脚24がその収縮位置にあるとき、冷却塔は、複合貨物コンテナのために国際的な輸送規則を寸法的に準拠する。荷重負荷能力、製造工程及び人員、材料などに関する、ISO準拠のための他のすべての遵守要件が満たされ、それにより、冷却塔(又は、そのフレーム)は、すべてのISO準拠要件を満たすことが理解される。よって、冷却塔(又は、そのフレーム)は、準拠ラベルを表示してもよい。
【0014】
図2A図2Dは、フレーム20、脚24などの上面図、側面図、及び斜視図を示し、脚24は伸ばされて、望ましい伸長長さで所定の位置に係止されている。
【0015】
図3は、冷却塔10の斜視図である、特に、フレーム20及び脚24は縮められている。シート材料は、冷却塔の側部のまわりの所定の位置に示されており、充填媒体を取り囲んでいる。
【0016】
図4は、部分断面における冷却塔10の端面図であり、冷却塔の下部の内部の図を示す。特に、図4は、水が充填媒体60から流れ出たときに水が流れ込むトラフ30(「冷水桝トラフ」と示されている)の端面図を示す。図4及び5を参照すると、水は、水溜め又は桝40(「冷水桝水溜め」と示されている)に重力によってトラフ30から流れ、そこから、(パイプ、ポンプ、制御装置などを備える)収集システムへ流れ、水が来たシステムに戻される。トラフ30は、第1の上縁と第2の上縁とを備える。バッフル32は、上刃のうちの第1のものに取り付けられ、充填媒体60から下向きに落ちた水がトラフ30に送られるように角度が付けられている。空気は、最初にトラフ30の間を通ることによって、冷却塔に流れ込み、次いで、第2のトラフ端縁より上の気流空間52を通り、次いで、上向きに充填媒体60を通る。入口空気ルーバ50は、気流を方向的に制御するために設けられてもよく、水が気流空間を通過することを防ぎ、それによって、トラフ30に入らない。保守管理などのために冷却塔10の内部部品へのアクセスを提供するアクセスドア、さまざまな電気的構成要素の点検のための電動パネルドア、及び、温水(すなわち、冷却塔によって冷却される水)が水分配システム70まで、そして充填媒体60上まで圧送されるために通る温水上昇管72も図4に示されている。作業プラットフォームは、冷却塔10の一端(ガードレールが示されていることに注意)に位置付けられ、本明細書において後でさらに詳細に説明される。
【0017】
好ましくは、トラフ30は、(たとえば、冷却塔の長寸法と平行の)長さ方向である、充填媒体60の実質的に全長にわたり、そのため、すべての水が冷却塔の長寸法と平行な方向に排出され、交差する溝はない。従って、冷水は、比較的高速で、連続的な層流として排出することができ、固体を堆積させる非常に遅い流速の領域を防止する。さらに、冷水収集桝40は好ましくは、冷却塔の完全に下にあり、冷水が日光にさらされることを防ぐ。
【0018】
図5は、冷却塔のさまざまな属性をさらに詳細に示す断面の端面図である。図5において、脚24は、要望通り、冷却塔10を上昇させるように伸ばされて、冷却塔10からの望ましい長さで、ピン留め又は別の方法で所定の位置に固定されている。充填媒体60は一般に、冷却塔10の中心部分に位置付けられ、関連する技術分野で知られているような、フィルム充填材料又はスプラッシュ充填材料を備えてもよい。好ましい実施形態において、充填媒体60の重量は、内部の構造部材、たとえば、支持格子62によって支持され、支持格子62は、水収集システムによって充填媒体60の重量を支持するよりはむしろ、充填媒体60の重量をフレーム20に移す。いくつかの実施形態において、充填媒体60は水収集システムによって支持されることが理解されるべきである。
【0019】
前記充填媒体の上面全体に水を分配するための手段が提供され、その手段は、充填媒体60の上に位置付けられた水分配システム70を備えてもよく、冷却される水を充填媒体60の上に吹き付ける複数のスプレーノズル80を備える。本明細書において上で簡潔に説明されて、後でさらに詳細に説明されるように、水は、重力によって、充填媒体60を通って流れ落ち、最終的に、充填媒体60を出て、バッフル32上に落下し、次いで、トラフ30に流れ込む。図5は、さらに詳細に説明もされる、トラフ30の一縁端の上に位置付けられた気流空間52及び入口空気ルーバ50も示す。スプレーノズル80は、好ましくはドリフトエリミネータ84の層内に少なくとも部分的に位置付けられた温水ヘッダ82によって供給される。複数の水横管81はヘッダ82から伸び、スプレーノズル80は横管81上に取り付けられている。好ましくは、固定オリフィスを有する設計のスプレーノズル80は、可動部分のない、低圧で高さの低い可変流量システムを形成する。ノズル80は好ましくは、充填媒体60の上面の上方の、ほんの短い距離、たとえば、約0.25インチ~1.00インチの範囲内に取り付けられている。スプレーノズル80は、充填媒体60の上面とドリフトエリミネータ84の下面との間の空間内に位置付けられることが理解される。本発明の冷却塔の設計は、充填媒体60の上面とドリフトエリミネータ84の下面との間の比較的小さい距離を可能にする。現在の好ましい実施形態において、この距離は一般に約10インチ以下であり、一般に、約8インチ~10インチの範囲内である。
【0020】
充填媒体60を通して垂直上向きに空気を移動させるための手段が提供され、その手段は、水分配システム70の上に好ましくは位置付けられた複数のファン90を備えてもよく、関連する技術分野で知られているように、「吸出通風」配置でシステムを通して空気を引っ張る。ファンガード/歩行格子92は、ファン90の上方に位置付けられている。図8Aから分かるように、本発明はまた、充填媒体60の下に位置付けられたファン90を有する「押込通風」システムを備えることが理解される。
【0021】
当業者にはよく理解されているように、本発明の原理を具現化する冷却塔配置は、図5において寸法「X」として示されている、桝40のレベルから水分配システム70までの物質的な寸法を減少させることができ、結果として温水を温水分配システムまで垂直に圧送しなければならない距離が減少する(水頭値の減少)。これにより、ポンプの所要電力は減少し、よって、運転コストはより低くなる(すなわち、温水揚水のためのエネルギコストがより低くなる)。この寸法態様は、以下のようないくつかの構造要素によって実現される:
・充填媒体60の上面とドリフトエリミネータ84の下面との間の間隔を非常に小さくできるフローノズル配置
・離間したトラフ、バッフル、及び気流空間を備え、下にある水溜めの必要性を排除し、その代わりに、トラフの端部に配設された桝40を備える、水収集システム。
【0022】
図6は、図5と同様の図を示すが、輸送などのために、脚24は縮められて、所定の位置に固定されている。
【0023】
図6Aは、冷却塔10の部分断面であり、そのさまざまな要素を示し、トラフ30は別の配置となっている。
【0024】
図7は、断面における側面図であり、図5及び6で参照されて、上で説明された複数の同じ構造要素を示す。図7は、冷却塔を移動するために、フォークリフト又は類似の機器によって使用するためのフォーク管の配置を示すことに留意されたい。温水上昇管72は、水分配システム70、さらに詳細には温水ヘッダ82に温水を提供する。
【0025】
図8は、部分断面における別の側面図である。温水上昇管72、温水ヘッダ82、及び冷水桝40が明瞭に見える。
【0026】
図8Aは、押込通風の実施形態であり、ファンは充填媒体60の下にある。
【0027】
図9は、冷却塔の他の部分から取り外された、トラフ30及びバッフル32のいくつかの図を含む。現在の好ましい一実施形態において、トラフ30は一般に、冷却塔10の長さ、すなわち、ほぼ充填媒体60の長さにわたる。他の実施形態において、トラフ30が冷却塔10の幅(すなわち、より短い寸法)にわたることができることは理解されるべきである。システムの他の要素の配置のために、バッフル32は中央トラフ(示されている)に水を送る必要はないことに留意されたい。
【0028】
図10は、他の構成要素から分離された水分配システム70の詳細図である。水は、温水源から、温水上昇管72、温水ヘッダ82に、そして、横管83を通り、次いで、スプレーノズル80に圧送されて、充填媒体60の上面の上に出る。上向きの気流によって冷却塔から送り出される水滴の量を減少させるドリフトエリミネータ84が示されている。
【0029】
図11は、冷却塔10を通る典型的な空気流路を示し、「吸出通風」配置において、空気はファン90によってシステムを通して「引っ張られている」。特定の要素番号は、明瞭にするために省略されていることに留意されたい。空気は一般に、冷却塔10の底部から入り、トラフ30の間を垂直上向きに流れ、気流空間52及び入口空気ルーバ50を通り、次いで、充填媒体60を通って上向きに流れる。空気は充填媒体60を出て、ドリフトエリミネータ84を通って上向きに流れ、ファン90及びファンガード/歩行格子92を通り、次いで、冷却塔10を出る。図11及び他の図に示される配置は、単に1つの可能な配置にすぎないことが理解される。「押込通風」配置も可能であり、それは、トラフ及び他の構成要素の下に位置付けられるファンを有し、それによって、充填媒体及びシステムの他の構成要素を通して空気を「押し込む」(図8Aを再び参照)。
【0030】
図12は、システムを通る典型的な水流路を示す。特定の要素番号は、明瞭にするために省略されている。温水は、充填媒体60の最上面上に、フローノズル80を出る。水は、重力によって充填媒体60を通って流れ、「冷水」として充填媒体60を出て、バッフル32上に流れて、次いでトラフ30に流れ込むことによって、又は、直接トラフ30に流れ込むことによって、最終的にトラフ30に流れ込む。冷水は、重力によって桝40(図8参照)に流れ込み、次いで、冷却されるシステム、たとえば、暖房/換気/空調(HVAC)システム、内燃機関冷却システム、又は、関連する技術分野で知られている任意の他のシステムに水を戻すシステム(通常、ポンプ、パイプなどを備える)に流れる。上記のように、本発明は、本明細書の出願人によって所有されている米国特許第8535024号に開示されているものに類似の水収集システムを備えてもよく、その特許の開示は、本開示と矛盾しない程度に、本明細書に組み込まれる。
【0031】
図13A及び図13Bは、先行技術(13A)及び本発明(13B)によるフローノズル配置を示す。図13Aから分かるように、先行技術システムは一般に、単位面積あたりより少ない数のノズルが使用され、望ましい適用範囲を提供するために、通常は、より高い孤立(すなわち、ノズルから充填媒体表面までの距離)を必要とする。一例として、知られている先行技術のシステムは、6フィート×6フィートの領域に4つのノズル(すなわち、36平方フィートに4つのノズル)を採用してもよい。対照的に、本発明の原理を具現化するフローノズル配置は、図13Bから分かるように、単位面積あたりより多くのノズル、すなわち、水をより水平に吹き付ける/分散させる複数の低圧ノズルを備える。一例として、本発明の好ましい配置は、4フィート×4フィートの領域に5つのノズル(すなわち、16平方フィートに5つのノズル)を備えてもよい。本システムのこれらの特徴は、充填媒体の上方でのフローノズルのより低い孤立、よって、先行技術システムよりも小さい垂直空間の使用、すなわち、充填媒体60の上面からフローノズル80の放出まで、結果的にドリフトエリミネータ84の下面までの距離の大きな減少を可能にする。さらに、単位面積あたりのより多いノズルの数は、圧力/流量が変化するとき、充填媒体のより良好な適用範囲を実現する。
【0032】
図14は、冷却塔10の上面図である。作業プラットフォーム26は、冷却塔10の一端で、充填媒体60領域の外側ではあるがフレーム20内に見られる。好ましくは、桝40は、作業プラットフォーム26の下にあり、点検などのためにより容易なアクセスを可能にする。さらに、作業プラットフォーム26及び/又は冷却塔10の他の構造要素の下に桝40を位置付けることは、桝40内の水を日光から保護し、それによって、日光暴露による温度上昇を回避する。
【0033】
図15は、複数の冷却塔10を示し、輸送のために脚24を縮めて積み重ねられている。規格の複合貨物コンテナ寸法に従うフレーム20の寸法により、冷却塔10は、容易に取り扱い及び輸送することができ、バルク輸送及び収納のために積み重ねることができることは容易に理解されよう。関連する技術分野で知られているように、隅金具22は、冷却塔10を別の冷却塔10と連結することを可能にする。フレーム20の残りの要素と同様に、隅金具22はISO準拠コンテナ隅金具であり、輸送コンテナのためのISO要件に適合する。
【0034】
先に説明したように、空気は、側部からよりはむしろ底部から冷却塔10に入る。よって、本発明の複数の冷却塔10は、有効性を失うことなく、互いに隣接及び当接して配置することができる。空気が流れることを可能にするために、互いに間隔をあけて冷却塔10を配置する必要はない。そのような配置は、冷却塔「密度」、すなわち、単位土地面積あたりの冷却能力を非常に大きくすることができる。さまざまな配置構成が可能である。1つの構成が図16に示されており、これは、3つの冷却塔10の2つの組が互いに当接し、作業プラットフォームの端部が一緒になっている。図17は、冷却塔10配置の代替的な配置を示す。冷却塔10の任意の配置が可能であることが理解されるべきであり、たとえば、所定の冷却塔のいずれかの端部が別の冷却塔10のいずれかの端部に当接する。
【0035】
図18は、本発明の原理によって可能となる冷却塔10のさらに別の可能な配置である。これは、上下に積み重ねられた2つの冷却塔10を示す。それぞれを通る気流は矢印線で示されている。仕切り壁100は好ましくは、上の冷却塔10の下に位置付けられ、下の冷却塔10を出た温空気の向きを一方側に変え、一方側から上の冷却塔10に入る冷空気を提供することに留意されたい。冷却塔10を積み重ねる機能は、比較的高さはあるが、狭い空間が利用可能である状況において価値がある。
【0036】
図19は、本発明の原理を具現化する冷却塔10のさらに別の実施形態を示す。本実施形態において、システムの目的は、蛇管110を通って流れる流体を冷却することであり、同時に(必要に応じて)、充填媒体60及び/又は蛇管110上に吹き付けられた温水を冷却する。蛇管110は、通常は充填媒体60がある冷却塔10の中央部分に置かれ、それによって、上から下向きに落ちる冷水にさらされる。水は一般に、上記の実施形態に関連して説明されたように、システムを通して圧送されることが理解される。従って、熱は、蛇管110を通って流れる流体から、蛇管110表面に伝達され、次いで、蛇管上/近くを流れる冷水に伝達され、それによって、蛇管110を通って流れる流体は冷却される。蛇管110は充填媒体60の中に効果的に埋め込まれてもよいことが理解される。
【0037】
図20及び図21は水流制御装置を示し、ヘッダ82から各横管83への水流を個々に制御する。管状部200は、ヘッダ82を通して配設され、ヘッダ82の幅にわたる。管状部200はその壁を通る穴210を備え、その穴を通して、水はヘッダ82から流れることができる。管状部200は横管83に流体連結される。管状部200は、ヘッダ82及び横管83の両方に対して回転可能に取り付けられる(すなわち、管状部200は、ヘッダ82及び横管83を回転させることなく、回転することができる)。シール202は、管状部200とヘッダ82との間、及び、管状部200と横管82との間に流体シールを提供する。管状部200の回転によって、ヘッダ82から横管83への水流量は、横管83ごとに調整することができ、それによって、(各横管の流れを均一にするように)各横管83を通る水流量の平衡化することが可能になる。
【0038】
一般に関連する技術分野で知られているような、ポンプ、制御装置、弁、デジタルプロセッサ(すなわち、コンピュータ)、電気的構成部品、ゲージ、及び他の構成要素も、冷却塔10の一部であることが理解される。
【0039】
前述の説明は多くの特異性を含むが、それらは、本発明の現在の好ましい実施形態のいくつかを説明するためにのみ提示されており、限定するためではないことが理解されるべきである。本発明のさまざまな態様に対してその範囲を逸脱することなく、修正を行うことができる。
【0040】
従って、本発明の範囲は、上記の例示的な実施例によってではなく、添付の特許請求の範囲及びそれらの法的均等物によって定まるものである。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6
図6A
図7
図8
図8A
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21