(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-09
(45)【発行日】2022-08-18
(54)【発明の名称】ピペット操作補助システム
(51)【国際特許分類】
B01L 3/02 20060101AFI20220810BHJP
G01N 35/10 20060101ALI20220810BHJP
G01N 1/00 20060101ALI20220810BHJP
G01N 35/02 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
B01L3/02 Z
G01N35/10 C
G01N1/00 101K
G01N35/02 A
G01N1/00 101H
(21)【出願番号】P 2019562333
(86)(22)【出願日】2018-05-14
(86)【国際出願番号】 EP2018062343
(87)【国際公開番号】W WO2018210728
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2021-01-27
(32)【優先日】2017-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501186645
【氏名又は名称】エッペンドルフ・ソシエタス・エウロパエア
【氏名又は名称原語表記】Eppendorf SE
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ボリス フォン バイヒマン
(72)【発明者】
【氏名】イェンス ゲルケン
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05380493(US,A)
【文献】特開平08-094642(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第2669011(EP,A1)
【文献】特表2009-510441(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/302847(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01L 1/00-99/00
G01N 35/00ー37/00
G01N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料収容配置(20;120;120’;120”;220)の作業位置においてユーザーによって案内されるピペット操作装置又は分配装置によって多数の試料を手動でピペット操作もしくは分配することを支援するためのピペット操作補助システム(1;50;100;100’;200;300;400)であって、ピペット操作補助システムが:
位置決め装置(12a、12b;112a、112b;212a、212b)を備えたベース装置(10;110;110’、210)を有し、前記位置決め装置が、ベース装置の位置決め空間(11;111、211)の内部の作業位置において試料収容配置を位置決めするように、整えられており、前記位置決め空間が、ピペット操作のために少なくとも平面(A)に沿って開放されており、
試料収容配置(20;120;120’;120”;220)を有し、前記試料収容配置が試料収容部(21;121;121’;121”;221)を有し、
多数の測定部材(22、23;22’、23’;22”、23";116;117;116’;117’;116”、117”;116'”;117’”;222;223;42)を備えた測定配置(28;48;119;119’;228)を有し、前記測定部材が少なくとも作業位置においてこの平面(A)の下方に配置されており、かつ前記測定部材によって作業位置における少なくとも1つの試料収容部の占有状態が検出可能であって、
ユーザーに少なくとも1つの試料収容部の占有状態に関する情報を出力するための出力装置を有し、かつ
電子的な制御装置(13;33;113;213)を有し、前記制御装置が、測定配置の制御によって作業位置における少なくとも1つの試料収容部の占有状態を求め、出力装置の制御によってユーザーに、少なくとも1つの試料収容部の占有状態に従ってその占有状態に関する情報を出力するように、整えられて
おり、
前記測定配置(28;48;119;119’;228)は、前記作業位置において、部分的又は完全に前記位置決め空間(11;111、211)内に配置されており、
前記多数の測定部材が、前記試料収容配置の固定の構成要素であって、前記出力装置が前記ベース装置の固定の構成要素である、ピペット操作補助システム。
【請求項2】
少なくとも第1と第2のベース装置、少なくとも第1と第2の測定配置及び少なくとも第1と第2の出力装置を有し、
前記制御装置が、第1の測定配置、第2の測定配置、第1の出力装置及び/又は第2の出力装置を駆動するように、整えられて
いる、請求項
1に記載のピペット操作補助システム(300)。
【請求項3】
前記出力装置が発光配置(18;38;118;229)であって、前記発光配置によって
前記試料収容配置が、この少なくとも1つの試料収容部のこの占有状態に従って照明可能である、請求項1
又は2に記載のピペット操作補助システム。
【請求項4】
前記ピペット操作補助システムが
前記ピペット操作装置又は分配装置を有しており、前記装置が
電子的な制御装置又は第2の制御装置を有し、前記制御装置がピペット操作装置又は分配装置の電子的に駆動されるピペット操作又は分配を制御し、これらの電子的な
前記制御装置及び/又は
前記第2の制御装置が、信号接続を介して
前記測定配置及び/又は
前記出力装置を制御するように、整えられている、請求項1から
3のいずれか1項に記載のピペット操作補助システム。
【請求項5】
前記ピペット操作装置又は
前記分配装置の電子的な
前記制御装置が、
前記測定配置を制御し、かつ占有状態データの形式の占有状態に関する情報を受信するように、整えられている、請求項
4に記載のピペット操作補助システム。
【請求項6】
電子的な
前記制御装置又は
前記第2の制御装置は、
前記ピペット操作装置又は
前記分配装置と結合された少なくとも1つの試料移送容器が少なくとも1つの試料収容部に接近することを、測定配置による測定によって認識して、
前記ピペット操作装置又は
前記分配装置を制御して、自動的にそれぞれ定められた体積を少なくとも1つの試料収容部へ放出させるように、整えられている、請求項
4又は
5に記載のピペット操作補助システム。
【請求項7】
電子的な
前記制御装置又は
前記第2の制御装置が、ピペット操作プランプログラムを実施するように、整えられており、それによれば、
ユーザーに、それぞれピペット操作するための次の目標位置として定められた、
前記試料収容配置の少なくとも1つの試料収容部に関する情報が表示され、
前記測定配置によって、
前記試料収容配置への少なくとも1つの試料移送容器の手動で実施された接近と、到達した試料収容部の位置の認識が定められ、
ピペット操作プランプログラムの設定データと比較することによって、到達した位置がプランに従って定められた目標位置であるか、が定められ、
かつ、到達した位置がプランに従って定められた目標位置である場合に、自動的にあらかじめ定められた試料体積が目標位置へ放出され、
かつ、到達した位置がプランに従って定められた目標位置でない場合には、この自動的な放出が阻止される、
請求項
4、5又は6に記載のピペット操作補助システム。
【請求項8】
前記測定部材が電極として整えられており、かつ
前記測定配置が、少なくとも1つの試料収容部における容量値を測定するよう
に整えられており、この容量値が試料収容部の収容空間の内容によって影響されるので、容量測定によって占有状態が測定可能である、請求項
1に記載のピペット操作補助システム。
【請求項9】
前記測定部材が電極として形成されており、かつ電気的に導通するポリマーを有し、あるいはそれからなる、請求項
8に記載のピペット操作補助システム。
【請求項10】
電子的な
前記制御装置が、以下の機能を実装するように整えられている:
・少なくとも1つの試料収容部の照明種類が、試料収容部の測定された占有状態に依存しており、
・少なくとも1つの第2の試料収容部の照明種類が、少なくとも1つの第1の試料収容部の測定された占有状態に依存しており、
・ユーザーが少なくとも1つの試料移送容器を
、電子的な
前記制御装置によって次の手動のピペット操作のための目標として選択されておらず
、少なくとも1つの誤った試料収容部に近づけた場合に、誤った試料収容部の照明種類が変化され
る、
請求項1から
9のいずれか1項に記載のピペット操作補助システム。
【請求項11】
前記ベース装置とは別に配置された外部の器具を有し、前記器具がデータ処理装置を有し、
前記ベース装置がデータ処理する電子的な制御装置を有し、前記制御装置によって測定配置と発光配置が駆動され、占有状態に相当する、
前記測定配置によって測定された測定値が電子的な
前記制御装置によって占有状態として外部の器具のデータ記憶装置に格納される、請求項1から
10のいずれか1項に記載のピペット操作補助システム。
【請求項12】
前記測定配置は複数のセンサ装置を有し、前記センサ装置はそれぞれ、少なくとも1つの測定部材を有し、前記センサ装置の様々な占有状態の数Mが2<=M<=10となるように、整えられている、請求項1から
11のいずれか1項に記載のピペット操作補助システム。
【請求項13】
前記ベース装置がデータ処理する電子的な制御装置を有し、前記制御装置によって測定配置と発光配置が駆動され、かつ電子的な
前記制御装置がタッチセンシングコントローラ(TSC)-ハードウェアを備えたマイクロコントローラを有している、請求項1から
12のいずれか1項に記載のピペット操作補助システム。
【請求項14】
試料収容配置の作業位置における多数の試料の手動のピペット操作を支援するためのベース装置であって、
位置決め装置を有し、前記位置決め装置が
前記ベース装置の位置決め空間の内部の作業位置内で
前記試料収容配置を位置決めするように整えられており、前記位置決め空間がピペット操作のために少なくとも平面に沿って開放されており、
出力装置を有し、前記出力装置によって
前記試料収容配置における占有状態に依存する情報が出力可能であり、前記占有状態が
前記試料収容配置の測定部材によって測定されたものであ
り、
前記出力装置が前記ベース装置の固定の構成要素であり、
前記試料収容配置は、前記試料収容配置の作業位置内における多数の試料の手動のピペット操作を支援するための試料収容配置であって、前記試料収容配置が前記ベース装置の位置決め装置内で位置決めするために設けられており、
前記試料収容配置は、多数の試料収容部と、多数の測定部材を備えた測定配置とを有し、前記多数の測定部材は、少なくとも前記作業位置においてこの平面の下方に配置されており、かつ前記測定部材によって前記作業位置における少なくとも1つの試料収容部の占有状態が検出可能であり、
前記測定配置は、前記作業位置において、部分的又は完全に前記位置決め空間内に配置されており、前記多数の測定部材が、前記試料収容配置の固定の構成要素である、
ベース装置。
【請求項15】
試料収容配置の作業位置内における多数の試料の手動のピペット操作を支援するための試料収容配置であって、前記試料収容配置が請求項
14に記載のベース装置の位置決め装置内で位置決めするために設けられており、
前記試料収容配置が、
多数の試料収容部を有し、
多数の測定部材を備えた測定配置を有し、前記測定部材が少なくとも作業位置においてこの平面の下方に配置されており、かつ前記測定部材によって作業位置における少なくとも1つの試料収容部の占有状態が検出可能であ
り、
前記測定配置は、前記作業位置において、部分的又は完全に前記位置決め空間内に配置されており、前記多数の測定部材が、前記試料収容配置の固定の構成要素である、試料収容配置。
【請求項16】
請求項1に記載のピペット操作補助システムを用いて試料収容部の占有状態を測定する方法であって、導電性の試料で充填された、非導電性の材料からなる試料移送容器が、電極に近づくように案内され
る場合に、この電極として形成されている少なくとも1つの測定部材によって容量値又はその変化が測定されることにより、占有状態が測定される、方法。
【請求項17】
射出成形技術によって請求項
15に記載の試料収容配置を形成するための形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料収容配置、特にマイクロタイタープレート(microtiter plate)、の多数の試料の手動のピペット操作を支援するためのピペット操作補助システムに関する。本発明は、さらに、ピペット操作補助システムの構成要素及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロタイタープレートにおける試料のピペット操作というのは、ピペット操作装置を用いて試料収容部、特に試料容器から試料を試料移送容器、特にピペットチップ内へ吸い上げることであり、さらにこの種の試料移送容器から試料を試料収容部内へ放出することである。たとえばマイクロタイタープレートによって代表されるような、試料収容配置は、試料を保管するため、あるいは試料内の反応又は試料における作業ステップを実施するための、多数の試料収容部を有している。大体において所望の適用を実施する前に、一部においてはこの種の適用の間にも、この種の試料収容配置の試料収容部をピペット操作によって順次充填しなければならず、もしくはピペット操作によって順次作業をしなければならない。ラボ自動機械を使用する場合に、この種の充填は、ユーザー介入なしかつエラーなしで行うことができる。本発明は、ピペット操作を用いて順次手動で作業する場合の試料収容部の正しいアドレス指定に関する。
【0003】
手動でピペット操作する場合に、典型的な作業シーケンスは以下のごとくである:
(i)ピペット操作すべき1つ(複数)の試料を1つ(複数)の試料移送容器内へ収容し、
(ii)1つあるいは-たとえばマルチチャネルピペットの場合に-複数の試料収容部を選択し、
(iii)ピペット操作装置を用いて、前もって選択された試料収容部へ試料を放出し、
(iv)すでに充填されている試料収容部のアドレスを記憶し、
(v)場合によっては、ピペット操作装置を用いて1つ-又は複数-の他の試料を収容し、
(vi)順次まだ充填されていない試料収容部を選択し、
かつ、すべての試料収容部が所望のように充填されるまで、ステップ(ii)から(v)を繰り返す。このような手動のプロセスにおいて、上述したステップの間にユーザーによって誤って、たとえば1つ又は複数の試料収容部が意図せずに複数回充填され、あるいはうっかりと抜かしてしまって、充填されないことによって、種々のエラーが引き起こされることがあり得る。
【0004】
実際において手動でピペット操作する場合に、選択的な収容、すなわちマイクロタイタープレートのはっきりと定められたウェルからの試料の収容もしくはマイクロタイタープレートの間で選択的に放出し、かつ選択的に移送することも、重要である。試料は、たとえば他のマイクロタイタープレート内へ-同じパターン又は異なるパターンもしくは図式で、あるいは他の容器へ、たとえば反応容器/分析容器へ移送することもできる。マイクロタイタープレートのシステマティックな完全なピペット操作に比較して、選択的な作業は、ユーザーのずっと高い集中を必要とし、かつピペット操作エラーのより高いリスクをもたらす。
【0005】
試料収容部を正確に手動でアドレス指定し、かつ充填することは、ラボ実践においてユーザーに著しい程度の集中を要求し、かつしばしばラボ内の作業シーケンスも低速化させる。したがってそれは、自動化されたラボ器具においては生じない、技術的問題である。
【0006】
特許文献1(米国特許第7544330(B2)号明細書)からは、マイクロタイタープレートにおいて手動でピペット操作する際に支援するためのピペット操作補助システムが知られており、それによって上述したエラーが部分的に回避される。そこに記述されているマイクロタイタープレート用の試料トラッキングシステムにおいては、ピペット操作後に、試料収容部を照明することによって、試料収容部の占有状態に関する情報がユーザーに出力され、それによって処理すべき試料収容部を選択する際のアドレス指定エラーが回避される。ロボットアームに固定されている測定配置の赤外線レーザーが順次試料収容部の上方で自動的に走行し、かつ試料収容部を垂直に透過したレーザー光が検出器によって検出されることにより、ピペット操作後の占有状態が自動的に認識される。試料を有する試料収容部は、試料のない試料収容部とは異なる検出信号を発生させるので、少なくとも試料収容部のこの種の占有状態は、区別することができる。しかしその場合に使用すべき、測定配置の移動システムは、高い装置的費用と手間及び複雑な移動機構を必要とする。移動機構は、原則的にエラーが生じやすく、それが位置決めの問題とそれに伴って測定エラーを、かつ保守の手間の増大をもたらすことがあり得る。さらにこの測定配置においては、移動機構のロボットアームは、ユーザーがピペット操作装置を操作しなければならない空間内でマイクロタイタープレートの上方に配置されている。したがって操作する際に移動機構が接触して、調整が狂うリスクが生じる。他方で、この空間内での操作は困難である。というのは、空間が移動機構によって占められているからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これを背景にして、本発明の課題は、効果的に使用可能であり、かつ快適に操作可能な、試料収容配置の多数の試料を手動でピペット操作することを支援するピペット操作補助システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はこの課題を、請求項1に記載のピペット操作補助システム、請求項17に記載の試料収容配置と組み合わせた請求項16に記載のベース装置、請求項18に記載のベース装置及び請求項19と20に記載の方法によって、解決する。好ましい形態が、特に下位請求項の対象である。
【0010】
本発明に係るピペット操作補助システムは、ユーザーによって案内されるピペット操作又は分配装置によって、試料収容配置の作業位置において多数の試料を手動でピペット操作もしくは分配することを支援するために用いられ、その場合にピペット操作補助システムは:
位置決め装置を備えたベース装置を有し、その位置決め装置が作業位置においてベース装置の位置決め空間の内部で試料収容配置を位置決めするために用いられ、その位置決め空間がピペット操作のために少なくとも平面に沿って開放されており、
試料収容配置を有し、その試料収容配置が多数の試料収容部を有し、
多数の測定部材を備えた測定配置を有し、それらの測定部材が少なくとも作業位置において平面の下方に配置されており、かつそれらの測定部材によって、作業位置における少なくとも1つの試料収容部の占有状態が検出可能であり、
ユーザーに少なくとも1つの試料収容部の占有状態に関する情報を出力するための出力装置を有し、かつ
電子制御装置を有し、それが、測定配置を制御することによって作業位置における少なくとも1つの試料収容部の占有状態を求め、かつ出力装置を制御することによってユーザーに、少なくとも1つの試料収容部の占有状態に従って、その占有状態に関する情報を出力するように、整えられている。
【0011】
作業位置において位置決め空間の平面の下方に配置されている測定配置によって、ユーザーを支援する補助機能が実現されているので、操作する際に測定配置が損傷を受けるリスクが著しく低下する。この平面の上方の空間は、さらに、ユーザーが任意の角度から視覚的に検査するため、及びピペット操作によって試料収容部において操作するために、自由にアクセスすることができる。本発明に係る形態は、さらに、ピペット操作補助システムの適用柔軟性を拡大する。というのは、1つ又は複数の試料収容部の占有状態の認識が、ピペット操作の間にすでに可能になるからである。測定配置決め空間の上方の領域内でのユーザーの操作によって邪魔されないので、測定配置の形態が適切である場合に、試料移送容器、特にピペットチップの試料収容部の収容空間内への侵入をすぐに、占有状態としてリアルタイムで追跡することができる。その場合に同様にリアルタイムでユーザーは、出力装置を介して1つ又は複数の所定の試料収容部の占有状態に関する情報を知らされるので、ユーザーに、場合によっては誤ったピペット操作の前に、しかるべき情報出力、特に試料収容部の照明によって、警告を与えることができる。
【0012】
位置決め装置が、試料収容配置とベース装置の確実な相対的位置決めを保証するので、他のシステム構成要素、特に測定部材及び/又は出力装置は、試料収容配置とベース装置に関してそれぞれ唯一の相対位置をとることができる。それによってピペット操作補助システムを操作する際の精度が向上する。
【0013】
本発明の第1の好ましい実施形態において、多数の測定部材が試料収容配置の固定の構成要素であり、出力装置はベース装置の固定の構成要素である。測定部材は好ましくは電極であって、その電極は、試料収容配置の電気的な導線を介して実現可能である。これらの電気的導線は、特に電気的に導通するポリマーによって実現されるので、試料収容配置は射出成形方法、特に2K射出成形方法を介して形成可能である。第1の実施形態に基づくピペット操作補助システムは、好ましくは出力装置として、第1の好ましい実施形態に基づくベース装置の構成要素としての発光配置を有しており、その実施形態の位置決め空間内で、第1の好ましい実施形態に基づく試料収容配置が位置決め可能であり、その試料収容配置が多数の測定部材を有している。第1の好ましい実施形態に基づく試料収容配置と第1の好ましい実施形態に基づくベース装置は、好ましくはそれぞれカップリング装置を有しており、それによって多数の測定部材を導線配置に結合することができ、その導線配置は特にベース装置の構成要素である。さらに説明するように、導線配置は光学的及び/又は電気的な信号を案内するように形成することができる。本発明の第1の好ましい実施形態によれば、さらに、第1の好ましい実施形態に基づくベース装置が、第1の好ましい実施形態に基づく試料収容配置のために使用可能であって、自立した発明対象とみなされる。本発明の第1の好ましい実施形態によれば、さらに、第1の好ましい実施形態に基づく試料収容配置が、第1の好ましい実施形態に基づくベース装置において使用可能であって、自立した発明対象とみなされる。
【0014】
本発明の第2の好ましい実施形態において、多数の測定部材と出力装置がベース装置の固定の構成要素である。第2の好ましい実施形態に基づくピペット操作補助システムは、第2の好ましい実施形態に基づくベース装置を有しており、その位置決め空間内で、第2の好ましい実施形態に基づく試料収容配置が位置決め可能である。第2の好ましい実施形態に基づく試料収容配置は、多数の測定部材が作業位置において多数の試料収容部に、少なくとも1つの試料収容部の占有状態が測定可能であるように、配置することができるように、整えられている。これは特に、多数の測定部材が作業位置において試料収容配置の少なくとも1つの中空室内へ嵌入することによって、行うことができる。特に1つの測定部材が、2つの試料収容部の間に位置する中空室内へ嵌入することができる。本発明の第2の好ましい実施形態によれば、さらに、第2の好ましい実施形態に基づくベース装置が、第2の好ましい実施形態に基づく試料収容配置のために使用可能であって、自立した発明対象とみなされる。本発明の第2の好ましい実施形態によれば、さらに、第2の好ましい実施形態に基づく試料収容配置が、第2の好ましい実施形態に基づくベース装置において使用可能であって、自立した発明対象とみなされる。
【0015】
本発明の第3の好ましい実施形態において、多数の測定部材及び出力配置の多数の出力部材が、試料収容配置の固定の構成要素である。出力部材は、発光部材とすることができ、かつ特に光を拡散する手段によって実現することができ、その手段へ光が、試料収容配置の導波管を通して案内され、あるいは電子発光ポリマーによって実現することができ、そのポリマーが試料収容配置の電気的な導線を介して発光するように励起される。第3の好ましい実施形態に基づくピペット操作補助システムは、試料収容配置を有し、それが、多数の測定部材及び発光配置の多数の出力部材を有している。第3の好ましい実施形態に基づく試料収容配置と第3の好ましい実施形態に基づくベース装置は、好ましくはそれぞれカップリング装置を有しており、それによって多数の測定部材が、ベース装置の構成要素である導線配置に結合され、かつ多数の出力部材が、ベース装置の構成要素である他の導線配置と結合される。さらに説明するように、これらの導線配置の各々は、光学的及び/又は電気的な信号を案内するために形成することができる。本発明の第3の好ましい実施形態によれば、さらに、第3の好ましい実施形態に基づくベース装置が、第3の好ましい実施形態に基づく試料収容配置のために使用可能であって、自立した発明対象とみなされる。本発明の第3の好ましい実施形態によれば、さらに、第3の好ましい実施形態に基づく試料収容配置が、第3の好ましい実施形態に基づくベース装置において使用可能であって、自立した発明対象とみなされる。
【0016】
好ましくは試料収容配置が、電気的な導線を有している。これらの電気的な導線は、特に1つ又は複数の電気的に導通するポリマーによって実現されているので、試料収容配置は好ましくは完全にポリマーから形成可能であり、特に射出成形方法、特に2K射出成形方法を介して、あるいはサーモ成形方法によって、形成可能である。
【0017】
電気的に導通するポリマーは、特に担体材料、特にPP、PE、PS、PCを、グラファイト、炭素、カーボンナノチューブ及びこれらの物質からなる砕片のような、電気的に導通する充填材料によって、特に充填材料が電気的に導通するポリマーの40から80質量パーセントである場合に、富化することによって形成することができる。電気的に導通するポリマーは、特に内在的に導通するポリマーとして選択することができる:適しているのは、特にポリ-3.4エチレンジオキシチオフェン(PEDOT、PEDTも)、特に反イオンとしてポリスチロールスルホネート(PSS)を有する(PEDOT;PSS);ポリアニリン(PAni);ポリパラフェニレン(PPP)、特に好ましくは:ポリピロール(PPy);ドーピングされたポリチオフェン(PT)。
【0018】
測定配置は、好ましくはセンサ装置を有し、特に多数のセンサ装置を有する。センサ装置は、好ましくは1つ又は2つの測定部材を有している。センサ装置は、より多くの測定部材を有することもできる。これらのセンサ装置は、好ましくはパターンにおいて配置されている。このパターンは、好ましくは、試料収容配置の試料収容部が配置されているパターンに相当する。特に作業位置において、各試料収容部にセンサ装置が対応づけられている。これは、各センサ装置の少なくとも1つの測定部材が少なくとも1つの試料収容部に対して隣接して位置決めされ、特に正確に1つの試料収容部に対して隣接して位置決めされるように、行うことができる。少なくとも1つの測定部材は、作業位置において好ましくは試料収容部の側方に配置されている。センサ装置の少なくとも1つの測定部材は、作業位置において試料収容部の好ましくは下方、好ましくは部分的に下方又は完全に下方に配置されている。少なくとも1つの測定部材、特に1つより多い測定部材、かつ特に正確に2つの測定部材が、作業位置において好ましくは1つ又は複数の試料収容部の側方に配置することができ、特に試料収容部の下方の領域内に配置することができる。試料収容部の下方の領域は、試料収容部の全体高さの一部分に定めることができる。試料収容部の全体高さは、特に試料収容部の内壁の最も低い位置と最も高い位置の間の垂直の間隔として定めることができる。この一部分は、好ましい一部分f={0.5;0.33;0.25;0.2;0.15;0.1;0.05}のグループから選択することができる。1つの測定部材もしくは複数の測定部材を試料収容部の下方の領域内に配置することによって、測定部材をコンパクトに、そしてそれによって特に頑丈に形成することができる。さらに、測定部材が試料収容配置の少なくとも1つの中空室内へ嵌入するために必要な嵌入体積が小さいので、試料収容配置のコンパクトで単純な形態が可能になる。測定部材が作業位置において試料収容部の下方に配置されている場合に、測定部材を試料収容部の近傍に位置決めして、占有状態の失敗のない測定又は充填状態測定を可能にするために、試料収容配置の中空室は不要である。測定部材は、作業位置において試料収容部の外壁と、特に試料収容部の下方の領域内で、特に試料収容部の底壁と接触することができ、あるいはその外壁もしくは底壁から離隔することができる。特に容量的な測定は、測定部材をこのように配置する場合に成功することができる。というのは、コンデンサ電極として作用する2つの測定部材の間の電場の作用が、2つの測定部材の間の間隙の外部に位置する空間内へも達するからである。
【0019】
その場合に「上方へ向かう」方向は平面Aに対して垂直の方向であり、ピペット操作補助システムを定められたように使用する場合に、重力とは逆の方向、したがって従来の領域内の方向名称である。同様に「下方へ向かう」方向は、ピペット操作補助システムの従来的な使用において考えて、重力の方向である。「側方」は、同様に、試料収容部の中央の垂直の軸線に対して、特に試料収容部の実質的に垂直の側壁に対して、径方向に平行変位した位置である。これは、試料収容部壁が斜めの推移を有する場合でも、当てはまり、それは、試料収容部内への試料容器又はピペットチップの導入を容易にすることができる、通常の円錐状の推移において典型的である。
【0020】
測定配置、特にセンサ装置は、好ましくは、容量又は容量の変化を測定するように、整えられている。そのために測定配置、特にセンサ装置は、好ましくは少なくとも1対の電極を有しており、それらの電極は特に互いに電気的に絶縁されており、かつ特にそれらの間に、少なくとも1つの試料収容部の収容空間をコンデンサ空間の誘電体として少なくとも部分的に包囲するように、対向している。少なくとも1つの試料収容部の収容空間が、センサ装置の電極の間に位置せず、電極の間の間隙の外部に位置することも可能であり、かつ効果的である。その場合に少なくとも1つの試料収容部の収容空間が、特にコンデンサ空間として定められた空間領域内へ嵌入し、それが電極の電場として検出される。その場合にコンデンサ空間の内容の変化によってもたらされる誘電率の変化が、電気的に測定可能である。このようにして特に、試料収容部の収容空間内に試料があるかないかを、定めることができる。好ましくはそれによって、収容空間が1/4、1/2、3/4又は4/4(完全に)まで充填されているか、過剰充填されているか、あるいは充填されていないかを、区別することができる。このやり方で充填体積を正確に定めることは、不可能であって、この実施形態においてはその努力もなされない。それにもかかわらず、充填状態測定を実現することもでき、その測定解像度を簡単な実験によって求めることができる。センサ装置の好ましい測定解像度が、以下でさらに説明される。
【0021】
容量的に測定するための電極の形状は、棒状とすることができ、かつ/又は好ましくはプレート(プレート部材)の形状であって、その形状は特に試料収容部もしくは試料収容部の収容空間の形状に適合されている。電極は、特に平面的に形成することができる。この種の平面的な電極の主要平面は、水平であり、したがって特に試料収容部の開口部に平行であり、あるいは垂直であって、したがって特に試料収容部の開口部に垂直に配置することができる。電極の面AElektrodeは、試料収容部の底の面ABodenに、あるいはその開放断面AOffnungに、特にAElektrode=C*ABodenあるいはAElektrode=C*AOffnungを介して、依存する。試料収容部の底は、試料収容部の内側の領域とみなすことができ、それを水平の面上へ、あるいは平面A上へ投影したものは、ゼロとは異なる大きさを有している。試料収容部が円筒形状である場合に、その底面は円筒底面によって定められる。底形状が球セグメント形状もしくは面取りされている場合に、底面は試料収容部の内側の湾曲した、非垂直の成分によって定められる。さらに-あるいは代替的に-底は、収容部の、試料収容部の下方の領域内に位置する内側領域として定めることもでき、-この定義は特に大部分が先細りに、もしくは円錐状に延びる試料収容部において有意義である。電極は、特に円セグメント形状を有することができ、かつ特に実質的に半円形状とすることができる。センサ配置の2つの平面的な電極は、それぞれ円セグメントとして、もしくは半円として形成することができ、その場合に面のまっすぐな端縁が互いに離隔し、かつ対向するように配置することができ、特に互いに対して平行に延びることができる。2つの電極は、特に、試料収容部の底又は開口部の下方に実質的に完全に垂直に、あるいは大部分垂直に配置することができる。
【0022】
円筒形状の収容空間を有する、実質的に円筒形状の試料収容部の場合においては、好ましくは電極は、それに応じた円筒外表面セクションの形状を有し、それが収容空間もしくは試料収容部に隣接して配置されている。しかし電極の形状は、部分的又は実質的に、試料収容部の全体高さに沿って、試料収容部の形状、特にその外側形状とは異なることもできる。
【0023】
1つ又は複数のSLASインダストリースタンダードに従って整えられた試料収容配置の場合、特に1つ又は複数のSLASインダストリースタンダードに従って整えられたマイクロタイタープレートである試料収容配置の場合においては、特にベース装置の構成要素である、測定配置は、マイクロタイタープレートの試料収容部の下方に設けられている中空室内へ嵌入するように、整えることができる。インダストリースタンダードによれば、マイクロタイタープレートは、試料収容部のフラットな、円い、あるいは円錐状の底形状を有することができる。各場合において、試料収容部の下方に、少なくとも1mm高さの中空室が提供可能であって、作業位置においてその中に測定配置を部分的又は完全に配置することができる。これは、ANSI SLAS2-2004(E2012)から読み取ることができる。したがって測定配置は、好ましくは測定配置又はその測定部材が部分的又は完全に位置決め空間内に、特に作業位置において試料収容配置の中空室が配置される領域内に、配置されるように、整えられている。特に測定配置又はその測定部材は、好ましくはこの領域の上方には配置されていない。好ましくは測定配置又はその測定部材は部分的、大部分あるいは完全に、位置決め空間内でベース装置の上方0.0mmと1.0mmの間に位置し、特にベース装置の載置点の上方に位置する領域内に配置されている。載置点はベース装置の、作業位置において試料収容配置がそれに接触し、かつ作業位置においてその上に試料収容配置が載置される領域を形成する。マイクロタイタープレートの、載置点においてベース装置と接触する脚部及び脚部の下方の領域から-載置点に応じて-マイクロタイタープレートの試料収容部の底までの垂直の最小間隔(0.0394inch=1.0mm)が、ANSI SLAS2-2004(R2012)の6ページの上方の図に示されている。マイクロタイタープレートの底セクションが円い、あるいは円錐状である場合に、1.0mm平面の上方にもさらに、試料収容部の下方の中空室の割合が存在し、それを、作業位置において測定部材を配置するために利用することができる。
【0024】
直方体形状の収容空間を備えた、実質的に直方体形状の試料収容部の場合においては、電極は好ましくはそれに応じて平坦な、特に矩形の、プレートセクションの形状を有しており、そのプレートセクションが収容空間もしくは試料収容部に隣接して配置されている。少なくとも部分的に-たとえば底領域内で-球状に形成されている試料収容部の場合において、かつ/又は少なくとも部分的に球状に形成されている収容空間の場合において、好ましくは電極は、それに応じて少なくとも部分的に球状に形成されたプレートセクションの形状を有し、そのプレートセクションが収容空間もしくは試料収容部に隣接して配置されている。少なくとも部分的に-たとえば底領域内で-円錐状に形成された試料収容部の場合において、かつ/又は少なくとも部分的に円錐状に形成された収容空間の場合において、好ましくは電極はそれに応じて少なくとも部分的に円錐状に形成されたプレートセクションの形状を有し、そのプレートセクションが収容空間もしくは試料収容部に隣接して配置されている。この形態オプションは、マイクロタイタープレートェルの実証された、経済的に提供可能な形態を取り上げている。これらは、特にF底(フラット)、U底(ラウンド)及びV底(円錐)を有するマイクロタイタープレートとして入手できる。
【0025】
プレート部材は、それぞれ箔特性を有することもできる。電極は、好ましくは収容空間の実質的に全長において垂直方向に延びており、それによって占有体積がきわめてわずかである場合も、完全に充填されている場合も、測定を効率的に実施することができる。作業位置において電極は収容空間から、好ましくは絶縁、特に絶縁層によって分離されており、それによって作業位置において液状の試料が試料収容部内に配置されている場合に、電極における電気化学的な反応が阻止される。電極は、好ましくは箔状である。電極は、好ましくは電気的に導通するポリマーであって、特に射出成形方法によって、あるいはサーモ成形プロセスによって形成されている。電極は、金属からなることもでき、あるいは金属、特にアルミニウム、銅又は銀を有することができる。
【0026】
電極は、好ましくは収容空間の全長の下方の領域内で垂直方向に延びており、それによって同様に、占有体積がきわめてわずかである場合も、完全に充填されている場合も、測定を効率的に実施することができる。というのは、電極による容量的な測定の間に電極の間に発生される電場の作用が、電極の上方の領域内へも達するからである。
【0027】
電極の推移は、特に蛇行することができる。特に容量センサ装置の場合に、第2の電極を設けることができ、その第2の電極は特にアースに接続されており、かつ第1の電極に対して間隔をおいて配置されており、かつ特にこの第1の電極に対して平行に延びることができる。対をなす電極は、それぞれフィンガー部材を有することができ、それらは対向する電極のフィンガー部材に対して間に入り込むように、もしくは櫛状に配置されている。これらの電極は、蛇行して間に入り込むように配置することができる。第1の電極は、コア電極として、特に円電極として形成することができ、第2の電極は穴電極として実質的にこのコア電極の平面内でコア電極のコア面の外部に配置されているので、コア電極が穴電極の穴内に配置されている。第2の電極は、コア電極に対して平行に、特にコア電極の下方に配置することもでき、特に、カップ状電極の少なくとも1つの側壁がカップ状電極の底セクションから始まってコア電極の高さまで隆起することによって、カップ状電極として形成することができ、その場合にこれらの電極は、特に常に離隔している。
【0028】
測定配置の1つもしくは複数又はすべての電極は、少なくとも1つの導線、特に少なくとも1つ又は複数の導体トラックによって電子的な制御装置と接続することができ、その制御装置は特に試料収容配置に配置することができる。導体トラックは、電気的に導通するプラスチックからなることができ、あるいはそれを有することができる。これらの導通する構造は、同様に射出成形方法、特に2成分射出成形によって、実現することができる。代替的に電極も導体トラックも、電気的に導通する箔部材によって実現することもできる。試料収容配置、特にマイクロタイタープレートは、たとえばベース装置のばね接触ピン/接触ニードルによって外部から適切な乗り上げ面を介して接触することができる。代替的に、接触ばね又は接触ピンは、マイクロタイタープレートの導通可能なプラスチックを回りに吹き付けることができ、その後適切な乗り上げ面によってベース装置上に結合することができる。各センサ装置には、少なくとも1つ又は2つ、特に正確に1つ又は2つの導線を対応づけることができ、その導線によって少なくとも1つの測定部材が電子回路と接続可能であって、その電子回路は特に電子的な制御装置の一部とすることができる。各測定部材の個別の接触を有するこの種の配置は、特に高い測定精度を提供する。したがって96試料収容部の場合においては、特に全体で96又は192の導線を設けることができる。
【0029】
しかしまた、唯一の導線に1つより多い測定部材を対応づけることもでき、もしくはそれと結合することができ、それによって特に測定部材よりも、あるいは測定部材ペアよりも少ない導線しか必要とされない。特に、唯一の導線もしくは導体トラックによって一連の測定部材又は一連セクションの測定部材を接続することが、可能である。測定配置は、測定部材の列と行から、たとえば8行X12列=96測定部材/測定部材ペアのマトリクスから、形成することができる。たとえば測定部材のマトリクス内でセンサ配置がそれぞれ正確に1つの第1の電極と第2の電極を有する場合に、行の第1の測定部材が正確に第1の導線によって接続することができ、行の第2の測定部材は正確に第2の導線によって接続することができる。12行と8列の場合においては、ピペット操作において適切な測定とそれに伴ってピペット操作補助を実現する場合に、8X2=16の導線のみが必要である。ピペットチップの数と配置がこのマトリクスの列に相当する、マルチチャネルピペットによって順次列に沿った方向にピペット操作する場合に、列の各試料収容部の占有状態が個別に検出される。
【0030】
原則的に、複数の行の、又は列及び/又は行の、あるいはマトリクス配置全体とサブセクションの、すべての第1の測定部材をそれぞれ第1の導線と接続し、かつ、特に、たとえばワンチャネルピペットを使用する場合に、個々の試料収容部において逐次的にのみピペット操作される場合に、このように選択された配置のすべての第2の測定部材を第2の導線と接続することも、可能である。これは、電子的な制御装置の適切な感度を前提としており、その制御装置によって測定配置が駆動され、かつ測定信号が評価される。
【0031】
好ましくは、試料収容配置は、電子的な回路を有していない。試料収容配置に、特にその下側又は少なくとも1つの側に、好ましくは電子的な接触を形成するための接触箇所が設けられている。試料収容配置の接触箇所は、それぞれ少なくとも1つの接触箇所を介して、電子的な制御装置のしかるべき接触箇所と接続することができる。光学的な信号伝達によって作動する測定配置の場合においては、接触箇所は同様に光学的なカップリング箇所に代えられ、そのカップリング箇所がカップリング箇所を通る光信号の伝達を許す。
【0032】
好ましくは、少なくとも1つの測定部材が、試料収容部の上方の半体内に、特に試料収容部の上方の端縁に、配置されている。このようにして試料収容部の占有状態の変化をすでに早い時期に、特にユーザーが試料移送容器、特にピペットチップを、上方の平面を通して試料収容部の収容空間内へ挿入し始めた時に、認識することができる。唯一の電極(シングル電極)として形成された測定部材は、アース電極に対するこの電極の容量変化を測定するために、好ましくは試料収容部の上方の半体内に配置され、その場合にアース電極はベース装置を介して提供可能とすることができる。電気的に導通する試料移送容器-もしくは電気的に導通する材料を有する試料移送容器-、特に導電性のピペットチップを、シングル電極として形成されている測定部材の近傍へ近づけた場合に、特に容量の増大によって、シングル電極の容量が変化し、それを測定することができる。シングル電極は、特にリング電極として形成することができ、それは作業位置において試料収容部の上方の端縁に配置することができる。リング電極は、特に試料収容配置と堅固に結合することができる。特に試料収容配置に2つのセンサ装置を対応づけることができる。そのうちの1つは、特にその上方の領域内に、上述したシングル電極を有することができる。1つ又は2つの電極を有する、他方のセンサ装置は、特に試料収容部の下方の領域内に配置することができる。試料収容部の上方の領域は、特に、試料収容部の全体高さの一部fと見なすことができ、それが試料収容部の上方の端縁から下方へ延びている。
【0033】
測定部材、特に測定電極は、プリント方法によって試料収容配置又はベース装置の上にプリントすることもできる。同様に出力装置の出力部材、したがって特に発光配置の発光部材は、プリント方法によって試料収容配置又はベース装置上にプリントすることができる。同様に、特に測定部材又は出力部材を電子的な制御装置に接続する、電気的な導体トラックも、プリント方法によって試料測定配置又はベース装置上にプリントすることができる。測定電極と導体トラックは、導通可能な有機又は無機の材料を有する液体のプリントによってプリントすることができる。それらは特に、金属を含む液体を有する液体のプリントによってプリントすることができる。この種の金属を含む液体は、特に銀又は金、特に銀粒子又は金粒子を含むことができる。特に導通可能なポリマーをプリントすることもできる。プリント方法として、インクジェット、シルクスクリーン、及びオフセットフレクソ及び凹版プリントが考えられる。好ましくは試料収容配置は、平坦な表面を有しており、その上にしかるべきコンポーネント、したがって特に測定部材及び/又は導体トラック及び/又は出力部材がプリントされる。平坦な表面は、特に試料収容配置の平坦な上側又は平坦な下側とすることができる。コンポーネントのプリントは、試料収容配置を形成する場合に小さいコストと大きい通過量を提供する。これは、試料収容配置が使い捨て商品として設けられる場合に、特に効果的である。
【0034】
測定部材及び/又は導体トラック及び/又は出力部材は、部分的又は完全に前もって形成しておくことができ、かつ試料収容配置又はベース装置と結合することができる。その場合に、これらのコンポーネントに加えて、支持体部材、たとえば担体箔を取り付けるべきコンポーネントと一緒に結合することが、可能である。結合は、好ましくは材料結合で行われ、特に結合は、好ましくは接着によって行われる。
【0035】
本発明の基礎となる経験的に定められる技術的教示は、シングル電極のこの種の測定可能な容量変化を実現するために、すでに電気的に導通する試料で満たされている、しかしそれ自体は導通しない材料を有する試料移送容器が適していることである。経験的に、ピペットチップの接近によって容量の測定可能な変化を得るためには、プラスチックハウジング及びピペットを持つユーザー自体を介しての寄生的結合と回路質量に対する他の環境で充分であることを、示すことができた。その場合に導電性プラスチックからなるピペットチップは、満たされていても、満たされていなくても、検出される。非導電性のピペットチップは、たとえば水で満たされている場合に、検出される。このようにして、比較的わずかなコストで、試料収容配置もしくはピペット操作補助システムが提供される。
【0036】
占有状態の測定は、電気的な容量測定を介して行われるだけではない。測定配置は、さらに、好ましくは、収容空間もしくは測定空間の占有状態を求めるために、光学的な信号伝達を使用し、特に光品質又はその変化、特に光が試料収容部の収容空間もしくは測定空間を通過した後の光強度又は光の色を測定するように、整えられている。そのために、試料収容部に、光エミッターとして用いられる第1の測定部材が配置されており、光受信器として用いられる第2の測定部材が設けられている。測定部材は、特に光偏向部材として、特にプリズム部材又は反射する部材として、形成することができる。その場合に光源、特にLEDは、ベース装置の構成要素とすることができる。
【0037】
好ましくはセンサ装置は、容量性のセンサ装置であって、ピペット操作プロセスによってもたらされる、容量値の変化を検出する。好ましくはセンサ装置は光学的なセンサ装置であって、光学的特性の変化を検出する。測定は、測定空間の占有状態の変化が検出されるように、行われ、その場合にこの測定空間は試料収容部の一部を含み、あるいは試料収容部全体を含んでいる。占有状態は、測定空間内に対象が挿入された場合に、変化する。対象は、特に液状の試料あるいはピペットチップ、特に水性の溶液もしくは電解質で満たされたピペットチップとすることができ、それはピペット操作プロセスにおいて典型的である。
【0038】
センサ装置は、好ましくは、あらかじめ定められた占有状態に特徴的な、少なくとも1つの測定信号を発生させるように、形成されている。占有状態は、少なくとも1つの測定空間の一義的かつ区別可能な占有によって特徴づけられる。ここにおいて2つの区別可能な占有状態というのは、それぞれ測定空間と対象からなる2つの異なる配置が、センサ装置によって区別することができる、異なる状態にあることである。好ましくは少なくとも1つのセンサ装置又は好ましくは各センサ装置の区別可能な占有状態の数M>0は、好ましくは2<=M<=10であり、2<=M<=6、特に好ましくは2<=M<=4である。数Mは、ここではセンサ装置の測定解像度と称される。本発明の目的のためには、少ない測定解像度Mで充分である。というのは、本発明の目的は、充填体積の正確な決定ではなく、占有状態の一義的な区別だからである。
【0039】
測定解像度Mは、試料収容部の2つの異なる占有状態が1つの測定によって区別可能である場合に、好ましい問題解決とみなされ、その測定において、試料収容部が液状の試料によって0%、25%、50%、75%あるいは100%まで充填されている場合に、試料収容部の2つの充填が、試料収容部の全容積の好ましくは50%又は好ましくは25%だけ、特に充填状態の少なくとも2つが、互いに異なる。好ましくは測定解像度は、すべての占有状態0%、25%、50%、75%又は100%を互いに区別することができるものである。測定解像度は、占有状態0%と50%及び選択的に100%も互いに区別することができる場合にも、好ましい問題解決とみなされる。測定解像度は、水性の溶液でみたされたピペットチップの試料収容部内への、もしくは試料収容部の上方の端縁領域内への挿入及び/又は除去が認識できる場合にも、好ましい問題解決と見なされる。このように小さい測定解像度Mは、試料収容部の正確な充填状態を定めるためには適していないが、本発明の目的には適している。好ましくは測定配置は、少なくとも1つの試料収容部の充填状態を定めるように整えられていない。
【0040】
本発明の他の好ましい実施形態において、測定解像度M>10、特にM>20、特に6<=M<=10000、特に6<=M<=1000、特に6<=M<=100であって、したがって試料収容部のより正確もしくは精密な充填状態を定めるのに適している。特にこの目的のために、センサ装置は、充填状態を求める目的に適した測定方法を実施するように、特に、送信電極として用いられる一方の電極に交流電圧が印加され、他方の電極が受信電極として用いられることにより、インピーダンス測定を実施するように、整えることができる。
【0041】
占有状態を求める場合にこのようなきわめて小さい容量もしくは容量変化を測定するために、たとえば小さい容量及び/又は小さい容量変化を検出するための電子回路を有する、電子的な制御装置、特にマイクロコントローラ(MCU)を使用することができる。好ましくは測定配置は、特に電極として形成されている測定部材の少なくとも1つ、特に少なくとも2つを駆動し、あるいは特に多数の測定部材を個々に、あるいは特に対で駆動するために、マイクロコントローラを有している。好ましくはこのマイクロコントローラは、特にタッチセンサにおいて接触を感知する面を測定するために使用されるような、タッチセンシングコントローラ(TSC)を有している。このような、TSCを有するマイクロコントローラは、特にスイス、ジュネーブのSTMicroelectronicsから商業的に入手でき、特にモデルSTM32L073xxが適している。それは、小さい容量変化を検出するための電子回路である。
【0042】
この種のマイクロコントローラは、特に、容量的な「タッチキー」、したがって入力工具としての接触を感知する面を照会するための、タッチセンシングコントローラ(TSC)と称される、特殊なハードウェアを有している。このタッチセンシングコントローラの標準適用は、アース電位に関して接触面の容量を測定することである。TSC-MCUの適用は、特に、TSC-MCUと組み合わせて電子制御装置によって適切に実施することができる、以下のやり方を有している:この容量、ここでは1つ(複数)の電極の容量が繰り返し充電されて、参照コンデンサ内へ放電される。このプロセスは、参照コンデンサの電圧がしきい値に達するまでの間、繰り返される。必要な充電/放電サイクルの数が計数されて、特にそのために設けられているMCUのレジスタ内に記憶される。サイクル数が大きくなるほど、測定された容量もそれだけ大きくなる。本発明の基礎となる実験において驚くべきことに、特にこの種のTSC-MCUが本発明の枠内で占有状態を認識するのに適していることが、発見された。
【0043】
試料収容配置の試料収容部内の占有状態を認識するために、適切な測定方法を実施するために、試料収容部の壁における2つの電極の間の容量を測定することができる。そのためにたとえば電極の一方が回路アース(GND)と、そして他方がMCUのTSCの入力と接続される。このようにして回路アースに関する配置の容量を測定することができる。
【0044】
さらに、測定空間内もしくは試料収容部のすぐ近傍における、ピペットチップ又はディスペンサーチップ、特に登録商標Eppendorf Combitipsの存在も、検出することができる。そのために電極を試料収容部の上方の領域内に、特に上方の端縁に取り付けて、タッチセンシングコントローラの測定入力と接続することができる。電気的に導通するピペットチップ又はディスペンサーチップが回路アースと接続される場合に、ピペットチップ/ディスペンサーチップが接近すると、回路アースに対して試料収容部の上方の領域内の電極の容量が増大する。
【0045】
ピペットチップ/ディスペンサーチップの測定又は検出からの情報に基づいて、ユーザーに情報を出力することができる。これは、好ましくは試料収容部を特にカラーで照明することによって行うことができる。容量性のセンサ技術によって獲得された情報は、ピペット操作装置/ディスペンサー装置からの情報と組み合わせることもできる。この目的のために、特にベース装置内に配置されているピペット操作補助システムの電子制御装置及びピペット操作装置もしくはディスペンサー装置の他の電子制御装置は、信号接続、特にデータ接続を介して、したがって特にアナログ又はデジタルで、特にワイヤード又はワイヤレスで、たとえばブルートゥース(登録商標)接続又は無線網(WLAN)を介して、互いに通信するように、整えられている。WLANは、一般的に、IEEE-802.11Familieの標準に基づいて整えることができる。このデータ接続を具現化するために、それぞれ通信装置、たとえばネットワークアダプタが、電子制御装置に設けられている。データ接続は、一方向又は双方向で、データを交換するために用いられる。上述した制御装置、特にそのデータ処理装置によって実施される制御プログラムは、通信装置を介してデータを交換するように、整えることができる。たとえば、「液体放出」報告の内容を有する制御データをピペット操作補助システムの電子制御装置へ伝達することは、そこで占有状態測定を行わせることができ、かつ正しい試料収容部内への放出が成功したことに関してユーザーへ、出力装置、特に発光装置を介してフィードバックを行うことができる。
【0046】
2つの電極によって容量的な測定を実施するために、本発明の枠内において特に、電極の1つが送信電極として、他の電極が受信電極として形成されることは、行われない。特に正確なインピーダンス測定を行う努力はなされない。特に測定のために、永続的に時間的にサイン形状に変化する電圧が電極に印加されることはなく、特に交流電圧は印加されない。容量性の測定を用いて所望の、比較的小さい測定解像度を得るために、この種の測定は煩雑であって、ここでは必ずしも必要とされない。
【0047】
好ましくは光学的なセンサ装置は、測定部材として少なくとも1つの光学的な送信部材と少なくとも1つの光学的な受信部材とを有しており、それらは好ましくはセンサセクションのセンサ面に対して好ましくは平行に配置されており、そのセンサ面は特に平面Aに対して平行である。それによって光学的なセンサ装置のコンパクトな構造が可能である。光学的な送信部材と受信部材の間で測定空間を通して光を案内するために、光ガイド部材を設けることができ、特に光ガイド部材は、レンズ部材、プリズム部材、ミラー部材、光学的なファイバーのグループから選択することができる。少なくとも1つの送信部材と少なくとも1つの受信部材が測定空間又は測定空間のセクションの互いに対向する側に互いに対向して配置されることも、可能であり、かつ好ましい。このようにして特に、フォトインタラプタの原理に従って作動する、センサ装置が実現される。
【0048】
光学的なセンサ装置の送信部材は、好ましくはLED、特にOLED、好ましくはレーザーダイオード、特に垂直に放出するレーザー(VCSEL)である。というのは、この種の光源は、IC基板上に統合可能なコンパクトな構造において、同時に高い発光力、特に小さいエネルギ消費及び発光力/エネルギ消費の比較的小さい比率を有するからである。
【0049】
光学的なセンサ装置の送信部材は、さらに、好ましくはLED、特にOLED、特に赤外線LEDである。可視光からなる、特に380nmと780nmの間の波長を有する光源の使用は、ユーザーがセンサ機能を容易に検査することができ、さらに送信された光を反射して、再び受信するために、可視光が反射配置によく適している、という利点を提供する。特に780nmと1000nmの間、もしくは780nmと1500nmの間の波長を有する赤外線の使用は、センサ面を可視光を透過しない材料層、特に保護層又は汚れで覆うことができ、それが可視で放出するLEDの使用に比較して提供可能な材料層の選択を高め、かつ読みだしを確実にする、という利点を提供する。さらに、赤外光は赤外線スペクトルに基づいて、収容空間内でピペット操作される液状の試料の水性の溶液内の水によって、技術的に充分利用可能な程度に吸収されるので、赤外光によって水性の溶液による試料収容部の占有が検出可能である。
【0050】
出力装置は、好ましくはベース装置の構成要素である。出力装置は、好ましくは平面Aの下方に配置されており、かつ作業位置において好ましくは試料収容配置の下方に配置されている。出力装置は、多数の出力部材を有している。1つの出力部材、好ましくは各出力部材は、作業位置において好ましくは試料収容配置のそれぞれ1つ、あるいは正確に1つの試料収容部に対応づけられており、特に試料収容部の下方に配置されている。出力部材は、機械的な表示部材、たとえば回転する部材を有することができ、その部材が異なる外見の、特にカラーの、表示面を有しており、その表示面が回転によってユーザーに示され、かつ占有状態を表すことができる。表示部材は、ベース装置によって下から駆動することができ、かつ作業位置において特にそれぞれ試料収容配置内の開口部を通してユーザーの視野内へ達することができる。試料収容配置が透明に形成されている場合に、表示部材は作業位置において試料収容配置の下方に配置することができる。
【0051】
出力装置は、同様に、好ましくは試料収容配置の構成要素である。
【0052】
出力装置は、他のラボ器具の構成要素とすることもでき、それがピペット操作補助システムの一部を形成する。このラボ器具は、ピペット操作装置又はディスペンサー装置とすることができ、それを用いてユーザーが試料収容配置において試料を手動でピペット操作する。
【0053】
出力装置は、好ましくは光学的な信号を、特に発光配置又はディスプレイを介して表示するように、整えられている。しかし出力装置は、特に付加的に、音響信号を出力するように、整えることもできる。出力装置は、特に音声出力装置を有することもできる。電子的な制御装置は、少なくとも1つの試料収容部の測定された占有状態に従って、少なくとも1つの情報、特に測定された試料収容部の位置に関する情報及び/又はそこで測定された占有状態に関する情報を出力するように、整えることができる。情報は、グラフィックシンボル、特に文字記載を用いて、ディスプレイ上に表示することができ、かつ/又は音声出力を介してコード化して、音声出力装置を介して出力することができる。測定された試料収容部の位置は、特に座標として出力することができる:マイクロタイタープレートにおいては、典型的に文字と数字からなる座標が使用される。
【0054】
出力装置が発光配置として形成されている場合に、出力部材は発光部材に相当する。
【0055】
発光配置は、複数又は多数の発光部材を有している。発光部材は、好ましくは光源であるが、光放出部材であってもよい。たとえば発光部材は、光を案内するファイバーの出力によって形成することができ、そのファイバーが特に少なくとも1つの光源と接続されている。光源は、好ましくは少なくとも1つの発光ダイオード(LED)、特に半導体LEDあるいは有機LED(OLED)によって形成され、あるいはその種のものを有している。光源は、特に光発光ポリマーによって形成することができる。光源は、特にレーザーダイオード、好ましくは表面エミッターレーザー(VCSEL:英語では”vertical cavity surface-emitting laser)とすることができる。
【0056】
光ガイドのために:発光部材は、好ましくは、作業位置において正確に1つ-あるいは少なくとも1つ-の試料収容部を照明するように、整えられている。これは、試料収容配置を、通常、平面Aの上方から見るユーザーが、個々の試料収容部の照明を一義的に認識することができ、さらに他の、特に隣接の、試料収容部の照明から一義的に区別することができるように、行われる。その場合に発光部材から放出された光は、好ましくは少なくとも部分的に透明に形成された試料収容部もしくは試料収容配置内へ結合され、かつ表面において方向付けされ、あるいは試料収容部もしくは試料収容配置の、特にその表面で散乱されて、試料収容部もしくは試料収容配置を再び出てゆく。試料収容部もしくは試料収容配置は、少なくとも1つの開口部又は切り抜きを有することもでき、それによって発光部材から放出された光が、好ましくは下からこの開口部又は切り抜きを通して観察者の方向へ出てゆくことができる。作業位置において発光部材が試料収容配置の上側に配置されている場合に、光が試料収容部を透過することは不要であるが、しかるべき光ガイドにおいては排除されない。発光部材から放出された光は、ある空間角度に制限し、もしくは試料収容配置もしくは試料収容部の領域へ合焦させることができる。そのために、-特に発光配置の構成要素として、かつ特に発光部材に配置されて-光ガイド部材、特にレンズ部材、絞り、プリズム、ミラー部材などを、設けることができる。
【0057】
発光配置は、好ましくは多数の発光ダイオード、特に発光ダイオードマトリクスを有しており、それによって個々の試料収容部が照明可能である。これは、ユーザーを案内し、かつそれぞれの試料収容部内への液体の配量に関して知らせるために光学的なフィードバックを出力するために、用いられる。
【0058】
発光配置は、好ましくは発光部材、特に多数の発光部材を有している。発光部材は、パターンもしくはマトリクスで配置されている。このパターンは、好ましくは、試料収容配置の試料収容部が配置されているパターンに相当する。特に作業位置において、好ましくは各試料収容部に発光部材が対応づけられている。これは、少なくとも1つの発光部材が少なくとも1つの試料収容部に隣接して位置決めされ、特に正確に1つの試料収容部に隣接して位置決めされ、特に試料収容部の底壁の平面の下方に配置され、かつ特に試料収容部の垂直下方に配置されるように、行うことができる。しかし少なくとも1つの発光部材は、作業位置において試料収容部の側方に配置することもできる。試料収容配置が発光配置を有している場合に、発光部材はそれぞれ試料収容部の上方の端縁に配置することもできる。
【0059】
発光部材は、好ましくは、あらかじめ定められた照明種類において駆動されるように、整えられている。電子的な制御装置は、好ましくは、少なくとも1つの発光部材をあらかじめ定められた照明種類において駆動するように、整えられている。照明種類は、発光部材から放出される光によって、もしくは照明された試料収容部から観察者へ達する光によって定めることができる:光の色もしくは波長、強度、このパラメータ、特に強度の時間的な変化、すなわちパルス周波数又は連続的な光。試料収容部の照明の照明種類は、特に試料収容部の個別に測定された占有状態に依存する。照明の強度は、特にゼロとすることができるので、形式的には非作動にされた照明も、同様に照明種類とみなすことができる。
【0060】
制御装置とも称される、電子的な制御装置、特にその電子回路もしくはマイクロコントローラは、好ましくはベース装置の構成要素であって、そのバース装置は試料収容配置とは、好ましくは別の器具である。
【0061】
データ処理装置は、好ましくは、ピペット操作補助システムの機能を制御する電子的な制御装置の構成要素である。制御装置の機能は、特に電子回路によって実装されている。制御装置は、マイクロプロセッサを有することができ、それも同様にデータ処理装置を有することができる。制御装置及び/又はデータ処理装置は、好ましくは制御方法を実施するように形成されており、その制御方法は制御ソフトウェア又は制御プログラムとも称される。ピペット操作補助システム及び/又は制御装置の機能は、方法ステップにおいて記述することができる。それらは、制御プログラムの構成要素として、特に制御プログラムの下位プログラムとして、実現することができる。
【0062】
制御装置は、本発明の枠内において、一般的に特にデータ処理装置、特にデータを処理するための計算ユニット(CPU)及び/又はマイクロプロセッサを有し、あるいはデータ処理装置である。ピペット操作補助システムの制御装置のデータ処理装置は、好ましくは操作プロセス及び/又は個々の操作を制御するようにも整えられており、それらはラボ器具の1つ又は複数の特に選択的な操作装置によって実施される。
【0063】
データ処理装置は、代替的に、好ましくは、ピペット操作補助システムの外部かつそれとは別に配置された装置であって、外部の装置もしくは外部のデータ処理装置とも称される。その場合にデータ処理装置とピペット操作補助システムは、好ましくは信号接続あるいはデータ接続されており、かつ好ましくはデータ交換するためのネットワークの構成要素である。この場合において特に、データ処理装置とピペット操作補助システムは、手動で実施されるピペット操作プロセスを監視するための、本発明に係るシステムの構成要素である。この場合においてピペット操作補助システムは、電子制御装置なしで形成することができ、かつ特に実質的にアダプタ装置として用いられ、そのアダプタ装置によって、外部の電子的な制御装置もしくは外部のデータ処理装置と試料収容配置との間で測定配置と発光配置の駆動が仲介される。好ましくは制御装置は、占有状態を定める少なくとも1つの測定値を記憶するためのデータ記憶装置、特に測定データメモリを有している。それによってピペット操作補助システムの種々の本発明に係る形態を実現することができる。データ記憶装置は、好ましくは物理的に書き換え可能なメモリモジュール、たとえばRAM、Flashメモリ、EEPROM内に収容されているが、他のメモリモジュール内に配置することもできる。
【0064】
ピペット操作補助システムもしくはその電子的な制御装置は、特に、データを電子的なラボブック(ELN)、ラボインフォメーション及びマネージメントシステム(LIMS)又はラボ器具マネージメントシステムと交換するように、整えられている。このようにして、特に占有状態データ及び/又はピペット操作補助システムのデータ及び/又は制御データが上述したシステムと交換され、それによってこれらのデータが、特にドキュメンテーション目的でアーカイブに保管され、あるいはこの接続を介して少なくとも1つのラボ器具による制御、特にピペット操作補助システムの制御が実現される。
【0065】
ピペット操作補助システムの好ましい形態において、この形態はシステム構成要素としてピペット操作装置(あるいはディスペンス装置、以下においては必ずしも別に述べない)を有し、それを用いてユーザーが試料収容配置においてピペット操作プロセスを実施する。好ましくはピペット操作補助システムの電子制御装置及び/又はベース装置とピペット操作装置は、それぞれ通信装置を有しているので、データ交換のためにワイヤード又はワイヤレスのデータ接続が構築可能である。
【0066】
本発明の好ましい形態において、ピペット操作補助システムの電子制御装置は、このピペット操作装置の構成要素であって、このピペット操作装置を用いてユーザーが試料収容配置においてピペット操作プロセスを実施する。この場合において、ピペット操作補助システムは、ベース装置と試料収容配置に加えてピペット操作装置も有している。特にこの場合において、ピペット操作装置が特に次のものを制御する:-特にあらかじめ定められた順序に基づいて手動でピペット操作する際にユーザーを案内するピペット操作プランプログラムの実施;-少なくとも1つの試料収容部における測定配置の少なくとも1つの測定部材による測定の作動;-この少なくとも1つの試料収容部における占有状態に関する情報の出力。
【0067】
好ましくは制御装置は、少なくとも1つのプログラムデータメモリを有しており、その中にプログラムコードが格納可能である。プログラムコードは、好ましくは少なくとも1つの測定値を使用し、かつそれを評価するように、形成されている。
【0068】
ピペット操作補助システムあるいは、所定の機能を形成するように形成され、かつ整えられている、制御装置というのは、ここにおいては、たとえばソフトウェアの実施にしたがって、この機能を実施するのに適しているだけでなく、たとえば必要なエレクトロニクス、必要なプログラムコードもしくは必要なソフトウェアを、特にピペット操作補助システムのファームウェアもしくはその制御装置の形式で、すでに有していることによって、この機能を実際に満たすすべての手段をすでに有している、ピペット操作補助システム又は制御装置である。この機能を実施する手段は、特に評価装置を有している。特にこの機能を実施する手段、特に評価装置は、たとえば適切に形成された電気回路を有することができ、その電気回路は、たとえば測定値を表すアナログ信号を評価し、かつたとえば比較器回路によって参照信号(参照値)と比較する。特にデジタルで存在する測定値の場合においては、この手段は、デジタルの信号処理設備を有することができる。少なくとも1つの測定値を評価するために、制御装置は好ましくは電気的な評価装置を有している。
【0069】
電子的な制御装置は、特に、作業位置において測定配置を電気的に駆動し、かつ得られた測定信号を評価するように、整えられている。
【0070】
電子的な制御装置は、特に、少なくとも1つの試料収容部の占有状態を求めるために、測定配置において測定方法を実施するように、整えられている。電子的な制御装置は、特に、複数の試料収容部の、たとえば試料収容部がマトリクス状に配置されている場合に1列の試料収容部の、占有状態を求めるために、測定配置において測定方法を実施するように、整えられている。容量的な測定の場合においては、測定配置は電気的に駆動され、光学的な測定の場合においては、測定配置は好ましくは光信号によって駆動される。
【0071】
電子的な制御装置は、特に、充填されていない試料収容配置において、かつ/又は試料収容配置の、特に所定のタイプの試料収容配置の、サイクリックな充填の間に、較正方法を実施するように、整えられている。その場合に試料収容配置における空の状態において、あるいは認識された占有状態において生じる、測定結果が検出される。較正方法のこの種の測定結果は、好ましくは参照データとしてデータメモリに格納され、そのデータメモリは電子制御装置及び/又はベース装置の構成要素とすることができる。これらの参照データは、電子制御装置によって実施される評価方法において、測定値を参照データの参照値と比較することによってそれぞれの占有状態を求めるために、使用することができる。
【0072】
電子的な制御装置は、特に、充填されていない試料収容配置において、あるいは試料収容配置を装備していないが、選択的にテストプレートを装備しているベース装置によって、診断方法を実施するように、整えられている。その場合に1つ、複数あるいはすべての測定部材及び/又は出力部材及び/又は発光部材へ通じる導線が電気的又は光学的に駆動されて、その際に得られた測定結果が参照値と比較される。特に、好ましくはベース装置に設けられている隣接の、接触させるべきセンサ装置の接触箇所に、所定の参照容量が対応づけ可能であり、あるいは対応づけられている。この接触箇所の欠陥又は汚れは、この診断方法によって求めることができる。テストプレートは、参照モジュールを有することができ、それが、それぞれ測定部材を有する試料収容部を代用する。それによって特に、ベース装置の光学的なカップリング箇所の診断も可能である。
【0073】
特に、試料収容部が位置決め空間内に配置された後、かつ/又はその直後に、充填されていない試料収容配置において較正方法が各試料収容配置について義務的もしくは個別に実施されるように、電子的な制御装置が整えられ、あるいはユーザーによって調節可能とすることが、可能であり、かつ効果的である。この状況もしくは時点を定めるために、短い位置テスト方法を設けることができ、それにおいて特に、電子的な制御装置と接続された少なくとも1つの位置センサを介して、位置決め空間内の試料収容配置の到着を登録することができる。位置センサは、たとえば光学的なセンサ又は機械的なセンサとすることができる。登録する目的のために、測定配置を時間間隔で繰り返し照会することもできる。その場合に、試料収容配置が位置決め空間内に存在するための典型的な測定値が求められたか、もしくはそれがいつからか、が求められる。電子的な制御装置は、ユーザーに較正の成功もしくは失敗が、特に選択的な信号装置もしくは出力装置、特に発光装置によって、知らされるように、整えることができる-下の接続方法の実施例を参照。特に適切なデータ伝送によってユーザーに、較正の成功もしくは場合によっては失敗を、ピペット操作補助システムに対応づけられたラボ器具のディスプレイを介して、特にピペット操作装置のディスプレイを介して、知らせることができ、そのピペット操作装置によってユーザーが試料収容配置においてピペット操作プロセスも実施する。
【0074】
較正方法の義務的な実施によって、1つの占有状態もしくはすべての占有状態を求めることの信頼性を改良することができる。他方で、試料収容配置の個別の較正は、寸法と許容誤差の問題性が小さくなる、という利点を提供する。試料収容配置を形成する際の手間と費用は、測定のために重要な構造の寸法についての許容誤差をより大きくすることができる場合に、減少させることができる。この種の構造寸法は、特に接触箇所又はカップリング箇所の位置決めであり、あるいは試料収容配置における測定部材の位置決めである。
【0075】
電子的な制御装置は、特に、充填されていない試料収容配置において位置テスト方法を実施するように、整えられている。この位置テスト方法によって、作業位置が正しく形成されているか、が求められる。そのためにベース装置に、電子的な制御装置と接続された少なくとも1つの位置センサを設けることができ、その位置センサによって作業位置が検証可能である。代替的に、位置テスト方法を実施するために、測定配置及び位置決め空間内に収容されている試料収容配置を用いて作業位置を検証することができる。
【0076】
電子的な制御装置は、特に充填されていない試料収容配置において接続テスト方法を実施するように、整えられており、この接続テスト方法によって、測定配置のセンサ装置の各々が許容できるやり方で電子的な制御装置と、特に電気的又は光学的に接続されているかが、検査される。その場合に測定結果は、必ずしもデータとして記憶されない。電子的な制御装置は、センサ装置の少なくとも1つが正しく接続されなかったかを、特に光学的な信号装置を用いてユーザーに知らせ、かつ場合によってはどの信号装置が正しく接続されていないのかを知らせるように、整えることができる。代替的又は付加的に、すべてのセンサ装置が正しく接続されている場合も、知らせることもでき、かつ/又はセンサ装置のどれが正しく接続されているかを知らせることができる。これは特に、出力装置、特に発光配置を用いて行うことができる。
【0077】
出力装置、特に発光配置は、ユーザーに、登録方法、診断方法、個別の較正方法、位置テスト方法及び/又は接続テスト方法の結果に関する情報を出力装置、特に発光配置を用いて知らせ、特に差別化して知らせるように、整えることができる。特に、上述した各方法あるいは他の方法の結果は、出力装置/発光配置の少なくとも1つ又はすべての出力部材/発光部材の他の出力品質、特に色又は時間的な発光周波数、特に連続的又は明滅する出力/発光を用いて知らせることができる。
【0078】
電子的な制御装置は、好ましくは作業位置において試料収容配置を発光配置によって照明し、特に試料収容配置が位置決め空間内に配置されていない場合に、発光配置を能動化させないように、整えられている。
【0079】
電子的な制御装置は、好ましくは出力装置、特に発光配置をピペット操作プランプログラムに従って制御するように、整えられている。ピペット操作プランプログラムは、特に制御プランを具現化し、それを用いてユーザーが、ピペット操作すべき目標位置に関する情報の適切な出力によって案内される。この案内は、たとえば制御装置内に記憶されているピペット操作プランに従って、出力装置によって情報が出力され、その情報がユーザーに手動で実施すべきピペット操作プロセスのための目標位置を認識させることによって、行われる。目標位置は、試料収容配置の所定の試料収容部に相当する。例としてのピペット操作プランプログラムによって、ユーザーに、試料収容配置をシステマティックに、たとえば列として、かつ歩進的に充填することが示される。他の例としてのピペット操作プランプログラムによって、ユーザーに、試料収容配置をランダムに、したがってランダムパターンに従って、あるいはユーザーに知らせずに与えられるが、ピペット操作装置内に記憶されているパターンに従って、歩進的に充填することが、示される。
【0080】
電子的な制御装置は、好ましくは、測定配置によって検出された、少なくとも1つの試料収容部の占有状態に従って出力装置、特に発光配置を制御するように、整えられている。この目的のために電子的な制御装置は、好ましくは少なくとも1つの試料収容部における情報を出力し、特に少なくとも1つの試料収容部を照明するための論理装置を有している。
【0081】
論理装置は、アナログ-及び/又はデジタル電子回路によって実現することができる。特に測定配置の測定結果は、電子的に評価することができ、かつ-この電子的な評価に従って-少なくとも1つの出力部材/発光部材を用いて試料収容配置の情報/照明の出力を電子的に制御することができる。特に該当する出力部材/発光部材のアドレス指定及びその能動化もしくは非能動化を電子的に制御することができる。
【0082】
しかしまた、論理装置は、制御プログラムもしくは制御ソフトウェアによって実現することもできる。この目的のために、電子的な制御装置は、好ましくはデータ処理するように整えられている。
【0083】
電子的な制御装置もしくは論理装置は、好ましくは以下でリストアップする機能の少なくとも1つを実施するように整えられており、その機能によって特にピペット操作補助システムの出力論理/照明論理を定めることができ、それによってユーザーに、しかるべき信号及びそれに伴ってピペット操作補助によって提供される補助情報が提供される:
【0084】
-少なくとも1つの試料収容部のための出力種類/照明種類は、試料収容部の測定された占有状態に依存する。特に占有状態の変化は、出力品質、特に照明種類の変化によって、たとえばカラー変化によって、知らせることができる。それによってユーザーに、液状の試料による試料収容部の収容空間の占有を知らせることができ、あるいは少なくとも1つの試料移送容器、特にピペットチップが測定空間内へ進入したことをリアルタイムで知らせることができる。
【0085】
-少なくとも1つの第2の試料収容部の出力種類/照明種類は、少なくとも1つの第1の試料収容部の測定された占有状態に依存する。特に少なくとも1つの第1の試料収容部の占有状態の変化は、少なくとも1つの第2の試料収容部のための出力種類/照明種類の変化によって、たとえば照明の作動又はカラー変化によって、知らせることができる。このようにして少なくとも1つの第2の試料収容部は、光学的なマーキングによって強調される。これは、ユーザーに次の目標、すなわち連続ステップにおいて手動で作業すべき、特に充填すべき、少なくとも1つ又は複数の試料収容部(連続ピペット操作)を表示するために、利用することができる。すなわちすでに充填されている試料収容部をうっかりと二重に充填し、あるいは手動のピペット操作のための正しい目標(ここでは:少なくとも1つの第2の試料収容部)の充填をうっかりと抜かしてしまうリスクを、低下させることができる。典型的に、試料収容部のマトリクス状の配置を有する試料収容配置の充填は、特にマルチチャネルピペットを用いて列単位で行われる。しかしそれは、電子的な制御装置によって設定されるピペット操作プランプログラムに従って、特にデータ処理装置によって実施可能なピペット操作プランプログラムに従って行うことができ、そのピペット操作プランプログラムは特に電子的な制御装置内に格納することができ、かつ特にユーザーによって、電子的な制御装置のユーザーインターフェースを介してプログラムパラメータを入力することによって調節可能であり、もしくは定めることができる。
【0086】
-ユーザーが少なくとも1つの試料移送容器、特に少なくとも1つのピペットチップをうっかりと誤った試料収容部に近づけ、特に平面Aへ近づけ、あるいはそれを通して試料収容部の収容空間内へ進入し、その場合にこの試料収容部が電子的な制御装置によって、次の手動のピペット操作のための目標として選択されておらず、特に照明されている場合に、誤った試料収容部の照明種類が変化し、特に警告照明が作動され、その警告照明は好ましくは、誤った試料収容部に対応づけられた発光部材によって行われる。警告照明として、所定の信号色、たとえば「赤」を有する照明を設けることができ、高い強度及び/又は光強度の脈動(点滅)を設けることができる。警告照明に加えて、あるいはその代わりに、電子的な制御装置によって音響的な警告信号を出力することもできる。
【0087】
-ピペット操作プランプログラムに従って、すでに前もって充填されている試料収容部内へ連続ピペット操作する場合に、好ましくは風袋機能もしくはゼロが設けられている。その場合にすべての照明は、再び初期状態にセットされ、その初期状態は、充填されていない収容部においても設けられている(たとえば非作動にされた照明及び1つ/複数の目標の光学的なマーキング)。その後連続ピペット操作の枠内で新たに放出する場合に、1つ又は複数のそれぞれの目標(新たなピペット操作用に定められた試料収容部)の上方に、試料移送容器の尖端の1つ(複数)の目標位置及び1つ(複数)の存在が表示され、かつ収容空間内への放出が成功した後に、同様にそれぞれの占有状態が表示される。前もって充填されている試料収容部内へ2回目に放出する場合には、さらに明確にし、かつ/又は安全性をもたらすために、付加的な出力品質、たとえばカラートーンのような、特に照明種類を使用することができる。
【0088】
-出力装置を介して、もしくは光学的に表示される、プロセス順序及びその実施が正しいことを、コード化された試料収容配置に対応づけることができる。そのために試料収容配置は、好ましくはコード化セクションを有しており、それが個々の試料収容配置を一義的に同定する。個々の試料収容配置の占有に関する情報は、占有データの形式で電子制御装置内に、もしくはデータ記憶装置内に記憶することができる:これらはベース装置の一部、ピペット操作補助システムの一部とすることがで、あるいは外部の器具、特にコンピュータ又はラボ器具の、特にユーザーによって手動のピペット操作プロセスのために使用される、手で操作可能な電気的ピペット操作装置の、一部とすることができる。外部の器具への占有データの伝送は、ケーブルを介して、あるいはワイヤレスで、特に無線接続を介して、特にWLAN接続又はブルートゥース(登録商標)を介して、行うことができる。
【0089】
-試料収容配置における出力/照明は、本発明のそれぞれの好ましい形態において、個々に記述される以下の名称を有する方法から選択された方法の結果に従って行うことができる:診断方法、登録方法、較正方法、個別の較正方法、位置テスト方法、接続テスト方法。
【0090】
-ピペット操作体積の電子的な制御とデータ記憶装置とを有する、あるいはデータ記憶装置と接続されている、ピペット操作装置によってピペット操作する場合に、ピペット操作放出データの形式でデータ記憶装置内に放出された体積を記録することができる。このピペット操作放出データは、同様に個々の試料収容部に従って検出することができる占有データと共に一緒に記憶することができ、もしくは評価方法によって関連づけて、特に互いに比較することができる。したがって特に試料収容配置がコード化されている場合に、後の時点においてでも、どの体積が放出され、又は取り出されて、それぞれの試料収容部内にどのような残留体積がまだ見込まれるかを、確実に出力できることが、保証される。
【0091】
外部の器具とベース装置は、たとえばケーブルを介して、あるいはワイヤレスで互いにデータ、特に計画され、かつ手動で実施されたピペット操作プロセスの正しさについての情報に関するデータ、を交換し、記憶し、かつ文書化することができる。
【0092】
本発明の他の好ましい実施形態において、ピペット操作補助システムは、以下の機能を実施するように整えられている:ユーザーは、ピペット操作装置/ディスペンス装置を試料収容部から試料収容部へ順次案内する。その場合にピペット操作補助システムは、測定配置を用いて、ピペット操作装置/ディスペンス装置と結合された少なくとも1つの試料移送容器が少なくとも1つの試料収容部に接近することを認識する。この認識の結果として、ピペット操作装置/ディスペンス装置は自動的に、特にユーザーによってピペット操作装置/ディスペンス装置に設けられた手動で作動可能な放出用の作動ボタンを操作することなしに、それぞれ定められた体積を少なくとも1つの試料収容部へ放出する。そのためにピペット操作補助システムは、好ましくはピペット操作装置/ディスペンス装置を有しており、その装置が-特にベース装置の-電子的な制御装置とデータ接続されている。電子的な制御装置は、試料移送容器の尖端が試料収容部に接近したことが試料収容部の占有状態の変化として認識されるとすぐに、占有状態に関する情報を占有状態データの形式でピペット操作装置/ディスペンス装置へ伝達するように、整えられている。その後ピペット操作装置/ディスペンス装置は、占有状態データに従って、ピペット操作装置/ディスペンス装置のピペット操作ピストンのピペット操作ストロークを、好ましくは所定のピペット操作体積に従って、実施し、そのピペット操作体積は、特にこれらの試料収容部のために個別であることができる。その後ピペット操作装置/ディスペンス装置は、特に光学的及び/又は音響的な信号をユーザーへ出力することができ、その信号によって自動的なピペット操作ストロークの成功が知らされる。試料収容部を充填する場合に、ここでは所定の順序を維持する必要はない。というのは、ピペット操作補助システム、特にベース装置は、試料収容部の位置(たとえば「B11」)をデータ接続を介してピペット操作装置及び/又はディスペンス装置へ通信し、かつピペット操作装置及び/又はディスペンス装置は順序に関係なく正しい体積を対応づけることができるからである。これは、常に等しい固定のピペット操作図式による効果を回避するために、分析をランダム化する場合に、利点を提供する。全体として、プレートの充填がずっと快適になり、かつエラーが生じにくくなる。
【0093】
試料移送容器が所定の試料収容部に、あるいはその中に、あるという、ピペット操作装置及び/又はディスペンス装置へのピペット操作補助システムもしくはベース装置の情報は、本発明の他の好ましい形態においては、ピペット操作装置及び/又はディスペンス装置のピペット操作ストロークをブロックするために利用することもできる。ピペット操作装置及び/又はディスペンス装置が、ピペット操作補助システムもしくはベース装置によって報告された試料収容部が、計画された目標位置と、したがって目標試料収容部と同一ではないことを、確認した場合に、特に作動ボタンが「無効に切り替えられる」ことによって、作動が阻止され(機能:作動停止)、かつ警告信号が出力される。それによって、ユーザーが作動ボタンを操作した場合でも、彼が液体を誤った試料収容部内へ放出することが、阻止される。これが特に、高価な試料又は使い捨ての試料の場合に、高い利益を提供する。電子的な制御装置又は他の制御装置は、好ましくはピペット操作プランプログラムを実施するように、整えられており、それによれば、
*ユーザーに出力装置によって、それぞれピペット操作のための次の目標位置として定められた、試料収容配置の少なくとも1つの試料収容部に関する情報が表示され、
*測定配置によって、試料収容配置への少なくとも1つの試料収容容器の手動で実施される接近と、到達した試料収容部の位置の認識とが、確認され、
*ピペット操作プランプログラムの設定データと比較することによって、到達した位置がプランに従って定められた目標位置であるか、が確認され、
*かつ、到達した位置がプランに従って定められた目標位置である場合に、あらかじめ定められた試料体積が自動的に目標位置へ放出され、
*かつ、到達した位置がプランに従って定められた目標位置ではない場合には、この自動的な放出が阻止される。
【0094】
特に分析がランダム化される場合に、作動ストップの使用が有意義であって、それは、ユーザーがランダム化されたシーケンスの推移においてその前にすでに試料が放出されている、その同じ第1の試料収容部の上方で2回目に試料を放出する場合に、能動化される。ユーザーは、場合によってはもはや、自分がどの試料収容部へすでに液体を充填したのかを認識しない。
【0095】
ベース装置は、好ましくはテーブル器具であって、その上に試料収容配置が載置され、かつ/又は取り付けられ、それによって作業位置が形成される。場合によってはその場合に、ベース装置の接触箇所と試料収容配置の接触箇所との間に電気的な接触が形成される;センサ装置の信号伝達が光学的である場合に、ベース装置のカップリング箇所と試料収容配置のカップリング箇所との間に、同様に光学的なカップリングが形成される。
【0096】
ベース装置は、好ましくは位置決め領域を有しており、その上方に、試料収容配置を収容するための位置決め空間が存在する。位置決め領域は、平坦な面を有することができ、その面内に好ましくは出力装置、特に発光配置及び接触箇所又はカップリング箇所からなるマトリクスが設けられており、それによって作業位置において測定配置が電子的な制御装置と接続される。測定部材も、特に容量的な測定の場合には電極も、位置決め空間において、特に位置決め空間と接触して、位置決め空間の全体高さの一部fに沿ってのみこの位置決め空間内へ嵌入し、あるいは好ましくはこの位置決め空間内へ嵌入しないように、配置することができる。それによって、測定部材がコンパクトかつ頑丈になり、かつ試料収容配置もより簡単に構成することができる。
【0097】
ベース装置、特に電子的な制御装置は、特に個々の試料収容部の占有状態についての情報を伝達するために、たとえば電子的なピペット操作装置又はコンピュータのような、他のラボ器具とデータ接続を介してネットワーク化可能であり、あるいはネットワーク化することができる。
【0098】
ベース装置、特に電子的な制御装置は、ラボ器具の構成要素とすることもでき、この場合において手動のピペット操作を支援するためのピペット操作補助システムがそのラボ器具内へ部分的に統合されている。自動的なピペット操作のプロセスにおいては手動のピペット操作補助が必要とされないが、ラボ自動機械において時には手動の充填とピペット操作が望まれることが、考えられる。この場合において、ピペット操作補助装置もしくはベース装置は、ラボ自動機械の構成要素となることもできる。このラボ自動機械は、測定配置によって検出された、占有状態についての情報をデータとして記憶し、かつ/又は処理し、かつ/又はさらに伝達するように、整えることができる。
【0099】
ベース装置は、好ましくは出力装置もしくは発光配置を有している。
【0100】
好ましくはピペット操作補助システムは、少なくとも第1と第2のベース装置、特に少なくとも2つの本発明に従って構成されたベース装置を有している。好ましくはピペット操作補助システムは、少なくとも2つの測定配置を有している。好ましくは第1の測定配置が第1のベース装置に対応づけられており、第2の測定配置が第2のベース装置に対応づけられている。好ましくはピペット操作補助システムは、少なくとも2つの出力装置を有している。好ましくは第1の出力装置が第1のベース装置に対応づけられており、第2の出力装置が第2のベース装置に対応づけられている。
【0101】
好ましくは制御装置は、第1の測定配置、第2の測定配置、第1の出力装置及び/又は第2の出力装置も駆動するように、整えられている。
【0102】
好ましくは制御装置は、第1の測定配置の制御によって作業位置において、第1のベース装置に配置された少なくとも1つの試料収容部の第1の占有状態を求め、かつ好ましくは第1の出力装置の制御によって、ユーザーに、少なくとも1つの試料収容部の第1の占有状態に従って、第1の占有状態についての情報を出力するように、整えられている。
【0103】
好ましくは制御装置は、ユーザーに、第1のベース装置において測定された第1の占有状態に従って、-たとえばピペット操作プランプログラムに基づいて生じる-ピペット操作すべき目標についての情報を第2のベース装置へ出力するように、整えられている。これは特に、ユーザーに、第1の試料収容配置(たとえばマイクロタイタープレート)から試料を第2の試料収容配置(たとえばマイクロタイタープレート)へ移送する際のアシストを提供するために、用いられる。
【0104】
好ましくは制御装置は、第2の測定配置を制御することによって、作業位置において、第2のベース装置に配置された少なくとも1つの試料収容部の第2の占有状態を求め、かつ好ましくは第2の出力装置を制御することによって、少なくとも1つの試料収容部の第2の占有状態に従って、第2の占有状態に関する情報を出力するように、整えられている。
【0105】
試料収容配置は、好ましくはマイクロタイタープレート(英語:well-plate)であって、それは、特に本発明の第2の好ましい実施形態の場合において、少なくとも1つのSLAS標準に従って形成することができる。その場合にマイクロタイタープレートは、特に以下の工業標準の1つ又は複数あるいはそれぞれに従って形成することができる:ANSI SLAS 1-2004(R2012)(Footprint Dimensions 最新アップデート2004年、1月9日);ANSI SLAS 2-2004(R2012)(Hight dimensions, 最新アップデート2004年、1月9日);ANSI SLAS 3-2004(R2012)(Bottom Outside Flange Dimensions 最新アップデート2004年、1月9日);ANSI SLAS 4-2004(R2012)(Well Positions 最新アップデート2004年、1月9日);ANSI SLAS 6-2012(Well Bottom Elevation)。試料収容配置は、好ましくは多数の試料収容部からなる固定の複合体である。試料収容部は、結合プレートを介して、あるいは結合ウェブを介して、互いに結合することができる。試料収容部は、上方へ向かって開放した容器とすることができる。試料収容部は、典型的に12、48、96、384あるいはそれより多い試料収容部からなる格子配置で配置することができる。その場合にたとえば、試料収容部の行と列は互いに対して垂直であって、特に3x4、6x8、8x12、16x24の既知の幾何学配置をなす。測定部材及び/又は発光部材は、好ましくは同一の配置で、あるいはこの試料収容部幾何学配置に適合した配置で設けられている。
【0106】
試料収容配置は、好ましくは関連し合う、特に統合して形成された構成要素である。
【0107】
試料収容部は、試料容器のためのホルダとすることができ、その場合に試料収容部はシングル容器あるいはマルチ容器とすることができる。試料収容部は、開口部又は切り抜きを有する、あるいは開口部又は切り抜きをもたない、保持アームとすることができ、開口部又は切り抜きは、それぞれマイクロタイタープレートのシングル容器又は鉢(英語:well)を収容するように形成することができる。特に1つ又は2つの測定部材は、特に保持アームと堅固に結合されることによって、作業位置においてそれぞれ開口部に配置することができる。
【0108】
ピペット操作装置は、好ましくは手でもつ装置である。この目的のために、ピペット操作装置は、好ましくはグリップセクションを有している。好ましくはベースボディがグリップセクションとして形成されており、ピペット操作装置を保持し、特に移動させて操作するために、そのグリップセクションをユーザーの手が握る。好ましくはピペット操作装置は、片手で操作するように形成されているので、ピペット操作のために必要なすべてのプロセスを片手で実施することができる。ピペット操作装置に属するのは、特に手で駆動するピペットである。さらにシングルチャネル器具とマルチチャネル器具とが区別され、その場合にシングルチャネル器具は唯一の放出チャネルのみを有し、マルチチャネル器具は複数の放出チャネルを有し、それらが特に試料の並列の放出/収容を許す。
【0109】
この明細書のいくつかのパッセージにおいてピペット操作装置のみが参照されるが、本発明は、ディスペンス装置と組み合わせても、同様に使用することができる。ディスペンサーは、通常、ピペットよりも大きい最大の収容容積を有する流体移送容器を有し、かつユーザーが、流体移送容器をしばしば充填しなおす必要なしに、多数の放出ステップを実施することができるようにするために用いられる。ディスペンサーにおいては、吸い込み/放出を担当する押し出しピストンが、流体移送容器、すなわちディスペンサーチップ内に収容されている。
【0110】
手で駆動されるピペットの例が、ドイツ、ハンブルクのEppendorf AGの登録商標Eppendorf Reference2と登録商標Eppendorf plusである;手で駆動されるディスペンサーの例が、Eppendorf AGの登録商標Multipette M4である;電子的なピペットの例が、Eppendorf AGの登録商標Eppendorf XplorerとEppendorf Xplorer plusである;電子的なディスペンサーの例は、Eppendorf AGの登録商標Multipett E3とE3xである。
【0111】
ピペット操作装置のベースボディは、好ましくはハウジングを有しており、その中に移動装置を少なくとも部分的又は完全に配置することができる。好ましくは制御装置が少なくとも部分的又完全に、ベースボディ内に配置されている。
【0112】
移動装置は、移送のために流体を移動させるために用いられ、かつ特に流体を容器内へ収容し、かつ流体を容器から放出するために用いられる。手で駆動される移動装置の場合には、この移動装置は好ましくは操作部材、特に操作ボタンを有しており、それを操作することによってユーザーが流体を移動させるための力をもたらす。電気的に駆動される移動装置の場合には、移動装置を移動させるための力は、電気的なエネルギ源によってもたらされ、そのエネルギ源は特にバッテリ又はアキュムレータとすることができ、かつピペット操作装置の、特にベースボディの、構成要素とすることができる。移動装置は、好ましくはピストンを備えたピストン装置を有しており、そのピストンがピストン装置のシリンダ内で移動可能であって、それによってこのシリンダ内に負圧が発生される。しかし移動装置は、ピストンを移動させるように、形成することもでき、そのピストンは、たとえば射出容器のピストンの移動の場合にそうであるように、ピペット操作装置の単なる一部であり、あるいはまったくその構成要素ではない。
【0113】
好ましくはピペット操作装置及び/又はピペット操作補助システムが少なくとも1つの通信装置及び/又はユーザーインターフェース、特に操作部材を有し、その操作部材が特にユーザーと制御装置の間で情報の入力及び/又は出力に用いられる。操作部材は、少なくとも1つの操作ボタン又はキーボード、少なくとも1つのディスプレイ、特にタッチスクリーン及び/又は少なくとも1つのラウドスピーカーを有することができる。
【0114】
位置決め装置は、試料収容配置とベース装置の確実な相対位置決めをもたらすように、整えられているので、他のシステム構成要素、特に測定部材及び/又は発光部材は、試料収容配置及びベース装置に関してそれぞれ唯一の相対位置を占める。それによってピペット操作補助システムを操作する際の精度が改良される。位置決め装置は、1つ又は複数の支持セクションを有することができ、その支持セクションは、試料収容配置を支持し、保持し、あるいは懸架するために、ベース装置に設けられている。支持セクションは、支持体領域、特にプレートセクションとすることができ、その上に試料収容配置が載置される。少なくとも1つ、2つ、3つ又は4つの他の支持セクションによって、試料収容配置を一義的かつあそびなしで側方に位置決めすることができる。これらの支持セクションは、ストッパとして用いられる突出部材によって実現することができ、その位置は、試料収容配置の外側寸法に正確に合わせられている。位置決め装置は、少なくとも1つの位置センサを有することができ、その位置センサによって位置決め空間内の試料収容配置の手動の配置が、ベース装置の電子的な制御装置によって登録される。
【0115】
本発明は、さらに、本発明の第1、第2及び第3の好ましい実施形態に基づく、本発明に係るピペット操作補助システムに関連して説明されるような、特に本発明に係るピペット操作補助システムに関連して説明されたような、試料収容配置の作業位置において多数の試料の手動のピペット操作を支援するための、ベース装置に関する。ベース装置は:
位置決め装置を有し、その位置決め装置は、作業位置においてベース装置の位置決め空間の内部に本発明に係る試料収容配置の好ましい実施形態を位置決めするように整えられており、その位置決め空間はピペット操作のために少なくとも平面に沿って開放されており、
好ましくは作業位置においてこの平面の下方に配置された発光配置を有し、その発光配置によって試料収容配置が占有状態に従って照明可能であり、その占有状態は本発明に係るピペット操作補助システムの、特に本発明に係る試料収容配置の、好ましい実施形態の測定部材によって、測定されたものである。
【0116】
本発明は、さらに、本発明の第1、第2及び第3の好ましい実施形態に基づく、本発明に係るピペット操作補助システムに関連して説明したような、試料収容配置の作業位置において多数の試料の手動のピペット操作を支援するための、試料収容配置に関するものであり、その試料収容配置は、特に本発明に係るベース装置の位置決め装置内で位置決めするために設けられており、その場合に試料収容配置は、
多数の試料収容部を有し、
多数の測定部材を備えた測定配置を有し、それらの測定部材は少なくとも作業位置においてこの平面の下方に配置されており、かつそれらの測定部材によって、作業位置において少なくとも1つの試料収容部の占有状態が検出可能である。
【0117】
本発明は、さらに、本発明に係るピペット操作補助システムを用いて試料収容部の占有状態を測定する方法に関する。本発明の他の好ましい視点は、本発明のこの明細書から明らかにされる。特に方法は以下のステップを有する:導通する試料移送容器又は導通しない材料からなる試料移送容器が導通する試料で満たされて、電極に近づけられ、特に電極に接触し、あるいは電極を通過する場合に、電極として形成された少なくとも1つの測定部材を用いて容量値又はその変化が測定されることによって、占有状態が測定される。
【0118】
本発明は、さらに射出成形技術、特に少なくとも1つの電気的な導線又は電極あるいは、導通性のポリマーによる試料収容配置の電気的な接触箇所の実現を用いて、本発明に係る試料収容配置を形成する方法に関する。
【0119】
本発明に係るピペット操作補助システム、本発明に係るベース装置、本発明に係る試料収容配置及び本発明に係る方法の他の好ましい形態及び本発明の他の視点が、図との関連において実施例についての以下の説明から明らかにされる。同一の参照符号は、実質的に同一の構成部分を示している。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【
図1a】本発明の基礎となる適用シナリオを側面で示す斜視図であって、それにおいて96マイクロタイタープレートに手動で操作されるマルチチャネルピペットによって順次列毎にピペット操作による完全な充填が実施される。
【
図1b】本発明の基礎となる適用シナリオを側面で示す斜視図であって、96マイクロタイタープレートにおいて手動操作される電気的なワンチャネルピペットを用いてランダム化されたピペット操作による完全な充填が実施される。
【
図2a】例としての本発明に係るピペット操作補助システムの好ましい構成要素としての、本発明の第1の好ましい実施形態に基づく試料収容配置の実施例を示している。
【
図2b】例としての本発明に係るピペット操作補助システムの好ましい構成要素としての、特に
図2aに示す試料収容配置と共に使用することができる、本発明の第1の好ましい実施形態に基づくベース装置の実施例を示している。
【
図2c】
図2aの試料収容装置と
図2bのベース装置とを有する、ピペット操作補助システムを作業位置で示している。
【
図3a】例としての本発明に係るピペット操作補助システムの好ましい構成要素としての、本発明の他の実施例に基づく試料収容配置を示している。
【
図3b】例としての本発明に係るピペット操作補助システムの好ましい構成要素としての、
図3a内の試料収容配置と共に使用することができる、本発明の他の実施例に基づくベース装置を示している。
【
図3c】
図3aの試料収容配置と
図3bのベース装置とを有する、ピペット操作補助システムを作業位置で示している。
【
図4a】例としての本発明に係るピペット操作補助装置によって支援される、試料収容配置におけるピペット操作の1つの相を示し、かつピペット操作補助装置によってもたらされる、ピペット操作された、もしくはピペット操作すべき試料収容部を示している。
【
図4b】例としての本発明に係るピペット操作補助装置によって支援される、試料収容配置におけるピペット操作の他の相を示し、かつピペット操作補助装置によってもたらされる、ピペット操作された、もしくはピペット操作すべき試料収容部を示している。
【
図4c】例としての本発明に係るピペット操作補助装置によって支援される、試料収容配置におけるピペット操作の他の相を示し、かつピペット操作補助装置によってもたらされる、ピペット操作された、もしくはピペット操作すべき試料収容部を示している。
【
図4d】例としての本発明に係るピペット操作補助装置によって支援される、試料収容配置におけるピペット操作の他の相を示し、かつピペット操作補助装置によってもたらされる、ピペット操作された、もしくはピペット操作すべき試料収容部を示している。
【
図5a】2つのシリンダ外表面形状の電極を用いて容量的に測定する、例としてのピペット操作補助システムのセンサ装置を、唯一の図示される試料収容部の充填されていない状態において簡単に示す側断面図である。
【
図5b】2つのシリンダ外表面形状の電極を用いて容量的に測定する、例としてのピペット操作補助システムのセンサ装置を、唯一の図示される試料収容部の充填された状態において簡単に示す側断面図である。
【
図5c】2つのシリンダ外表面形状の、球形底を有する電極を用いて容量的に測定する、例としてのピペット操作補助システムのセンサ装置を、唯一の図示される試料収容部の充填されていない状態において簡単に示す側断面図である。
【
図5d】2つのシリンダ外表面形状の、球形底を有する電極を用いて容量的に測定する、例としてのピペット操作補助システムのセンサ装置を、唯一の図示される試料収容部の充填された状態において簡単に示す側断面図である。
【
図5e】2つのシリンダ外表面形状の、円錐状の底を有する電極を用いて容量的に測定する、例としてのピペット操作補助システムのセンサ装置を、唯一の図示される試料収容部の充填されない状態において簡単に示す側断面図である。
【
図5f】2つのシリンダ外表面形状の、円錐状の底を有する電極を用いて容量的に測定する、例としてのピペット操作補助システムのセンサ装置を、唯一の図示される試料収容部の充填された状態において簡単に示す側断面図である。
【
図6a】例として示す他のピペット操作補助システムの、電極によって容量的に測定するセンサ配置を、示される唯一の試料収容部の充填されない状態において、簡略化した側面で示す横断面図である。
【
図6b】例として示す他のピペット操作補助システムの、電極によって容量的に測定するセンサ配置を、示される唯一の試料収容部の充填された状態において、簡略化した側面で示す横断面図である。
【
図7a】例として示す他のピペット操作補助システムの、2つの光学的な測定部材によって光学的に測定するセンサ配置を、図示される唯一の試料収容部の充填されない状態において、簡略化した側面で示す横断面図である。
【
図7b】例として示す他のピペット操作補助システムの、2つの光学的な測定部材によって光学的に測定するセンサ配置を、図示される唯一の試料収容部の充填された状態において、簡略化した側面で示す横断面図である。
【
図8a】例として示す本発明に係るピペット操作補助システムの好ましい構成要素としての、本発明の第1の好ましい実施形態に基づく試料収容配置の実施例を示している。
【
図8b】例として示す本発明に係るピペット操作補助システムの好ましい構成要素としての、
図8aの試料収容配置と共に使用することができる。本発明の第2の好ましい実施形態に基づくベース装置の実施例を示している。
【
図8c】
図8aの試料収容配置と
図8bのベース装置とを有する、ピペット操作補助システムを作業位置で示している。
【
図9a】例として示す本発明に係るピペット操作補助システムの好ましい構成要素としての、本発明の第3の好ましい実施形態に基づく試料収容配置の実施例を示している。
【
図9b】例として示す本発明に係るピペット操作補助システムの好ましい構成要素としての、特に
図9a内の試料収容配置と共に使用することができる、本発明の第3の実施形態に係るベース装置の実施例を示している。
【
図9c】
図9aの試料収容配置と
図9bのベース装置とを有する、ピペット操作補助システムを作業位置で示している。
【
図10a】他の好ましい実施形態に基づく本発明に係るピペット操作補助システムを示す斜視図である。
【
図10b】他の好ましい実施形態に基づく本発明に係るピペット操作補助システムを示す斜視図である。
【
図11a】例として示す本発明に係るピペット操作補助システムの好ましい構成要素としての、本発明の第2の好ましい実施形態に基づく試料収容配置の実施例を示している。
【
図11b】例として示す本発明に係るピペット操作補助システムの好ましい構成要素としての、
図11a内の試料収容配置と共に使用することができる、本発明の第2の好ましい実施形態に基づくベース装置の実施例を示している。
【
図11c】
図11aの試料収容配置と
図11bのベース装置とを有する、ピペット操作補助システムを作業位置で示している。
【
図12a】例として示すピペット操作補助システムの、2つのプレート形状の電極を用いて容量的に測定するセンサ装置を簡略化した側面で示す横断面図であって、その場合にセンサ装置は、
図11bと11cに示すセンサ装置に相当する。
【
図12b】例として示すピペット操作補助システムの、2つのプレート形状の電極を用いて容量的に測定するセンサ装置を、図示される唯一の試料収容部が充填された状態において、簡略化した側面で示す横断面図である。
【
図12c】例として示すピペット操作補助システムの、2つのプレート形状の電極を用いて容量的に測定するセンサ装置を、図示される唯一の試料収容部が充填された状態において、簡略化した側面で示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0121】
図1は、本発明の基礎となる典型的な適用シナリオを示している。96マイクロタイタープレート69に手動で操作されるマルチチャネルピペット70を用いて、方向Fに順次列毎にピペット操作することによってマイクロタイタープレートの完全な充填が実施される。8つのピペットチップ71は、96マイクロタイタープレートの8列の数とパターンに相当する。ピペットチップ71は、例において、順次新たに充填され、それによってマイクロタイタープレートのすべての試料収容部が順次ピペット操作することによって充填される。ピペット操作は、マイクロタイタープレートのウェルの目標間隙の上方にピペット70を位置決めすること、垂直方向Vに沿って下降させること及びウェルの開口部をピペットチップ71と正確に合わせること、ウェル内へさらに下降させること及びピペット操作によって試料を放出することを、必要とする。それに続いてピペットを下降された位置から持ち上げて、方向Fに沿って正確な間隙間隔だけさらに移動させる。上述したプロセスが、第2の列にわたって同様に繰り返され、列番号3から12においても同様に繰り返される。
【0122】
ユーザーが順次充填する間に、たとえば第5の列が手動のピペット操作によって充填され、それが不注意になされた場合に、彼が次のピペット操作ステップにおいて、目標とされる後続の第6の列を満たさないか、あるいはすでに満たされている試料収容部を有する1から5の列の1つをうっかりと二重に満たしてしまう、確率が高い。本発明によれば、このような状況において、占有の測定と光学的なマーキングによって、ユーザーをエラーのないように案内する、ピペット操作補助システムが記述される。
【0123】
図1bは、ユーザーがマイクロタイタープレート69を電気的なワンチャネルピペット70’を用いて満たさなければならない、シナリオを示している。課題は、この図におけるユーザーにとって、マイクロタイタープレートにおいて確実にピペット操作プランを守ることにあり、そのピペット操作プランは、非逐次的なやり方に基づく個別容器におけるピペット操作を内容としている。ここではユーザーにとって、特に充填すべき座標あるいは試料容器もしくは、それぞれピペット操作を介して試料を取り出し、かつたとえば移送すべき試料容器がわかるようにすることができる。特にこの構成においては、正しいウェルにおいてピペット操作を行うために、ユーザーの著しい努力が必要である。ユーザーにとっては、96ウェルよりも多い、たとえば384ウェルを有する試料プレートの場合には、さらに困難である。上述したシナリオにおいて、本発明はきわめて効果的な解決を提供する。
【0124】
図2aは、例としての本発明に係るピペット操作補助システムの好ましい構成要素としての、本発明の第1の好ましい実施形態に基づく試料収容配置20の実施例を示している。試料収容配置20は、SBSスタンダードに従って形成されたマイクロタイタープレートのフォーマットを有している。試料収容配置20は、実質的に透明なプラスチックから2K射出成形方法によって形成されており、96試料収容部21(ウェル)のマトリクスを有し、ここではそのうちの12試料収容部21を有する列が横断面で示されている。
【0125】
試料収容配置20は、多数の測定部材、ここではたとえば192の測定部材を備えた測定配置28を有しており、そのうちの、電極として形成されている測定部材のペア22、23が次のように、すなわち試料収容部21の収容空間をコンデンサプレートの間に誘電体のように封じ込めるように、配置されている。
図2cには、作業位置が示されており、それにおいてマイクロタイタープレート20全体を順次充填するために、ピペットチップ71からピペット操作が行われる。それからは、測定配置28の測定部材22、23が少なくとも作業位置においては、平面Aの下方に配置されていることが、明らかであって、その場合に電極のペア22、23によって作業位置における少なくとも1つの試料収容部の占有状態が検出可能である。電極と導体トラックは、導電性のポリマーから形成されており、同様に、電気的に導体トラック24及び25と接続されている、試料収容配置20の接触箇所26と27も同様であって、それらがまた電極22、23と電気的に接続されている。
【0126】
図2bは、例としての本発明に係るピペット操作補助システムの好ましい構成要素としての、特に
図2aの試料収容配置20と共に使用可能な、本発明の第1の好ましい実施形態に基づくベース装置10の実施例を示している。ベース装置10は、複数の突出部材12a、12bを備えた位置決め装置を有しており、その位置決め装置が、作業位置においてベース装置の位置決め空間11の内部に試料収容配置を位置決めするように、整えられており、その位置決め空間はピペット操作のために少なくとも平面Aに沿って開放されている。
【0127】
ベース装置10は、作業位置においてこの平面Aの下方に配置された発光配置18を有しており、その発光配置によって試料収容配置20の試料収容部が、それぞれ測定された占有状態に従って照明可能であって、その占有状態は試料収容部20の測定部材22、23によって測定されている。
【0128】
それぞれLEDの形式で形成されている発光部材19は、導線束14の導線を介して個々に電気的な制御装置13によって駆動可能であり、発光部材がその制御装置と電気的なインターフェース13aを介して電気的に接続されている。
【0129】
ベース装置は、好ましくは中実の、金属及び/又はプラスチックから形成されたハウジングを有しており、その中に発光配置と制御装置が配置されている。マイクロタイタープレート20の測定部材22、23は、電気的な接触箇所26、27を介してしかるべき接触箇所16、17と接続されており、それらはベース装置10のプレート形状の収容領域の上側で収容空間11内に配置されている。接触箇所16、17は、導線15a、15bを介してそれぞれ電気的なインターフェース13bと接続されており、そのインターフェースによって測定部材が制御装置13に結合されている。ここに図示される列の試料収容部21のセンサ装置のすべての第1の測定電極22は、ここでは導線15aと接続されており、ここに図示される列の試料収容部21のセンサ装置のすべての第2の測定電極23は、ここでは導線15bと接続されている。きわめて小さい容量を測定するための測定エレクトロニクスが繊細であることに基づいて、このように導線を節約するやり方で、列のすべてのセンサ装置において順次占有状態を測定することが可能であって、その場合に列単位でそれぞれ8のセンサ装置が同時に測定される。
【0130】
位置決め装置12a、12bによって、位置決め空間11内でマイクロタイタープレート20が確実に位置決めされる。
【0131】
図2cは、
図2aの試料収容配置と
図2bのベース装置とを有する、ピペット操作補助システムが、作業位置で示されている。ピペット操作補助システム1は、試料収容配置20の作業位置において多数の試料を手動でピペット作業するのを支援するために用いられ、その場合にピペット操作補助システム1は:
位置決め装置12a、12bを備えたベース装置10を有し、位置決め装置は、ベース装置10の位置決め空間11の内部で作業位置において試料収容配置20を位置決めするように、整えられており、その作業空間がピペット操作のために少なくとも平面(A)に沿って開放されており、
多数の試料収容部21を備えた、試料収容配置20を有し、
多数の測定部材22、23を備えた測定配置28を有し、その測定部材が少なくとも作業位置においてこの平面Aの下方に配置されており、かつその測定部材によって作業位置における少なくとも1つの試料収容部21の占有状態が検出可能であり、かつ
少なくとも作業位置においてこの平面Aの下方に配置された発光配置18を有し、その発光配置によって試料収容配置20もしくはその試料収容部21が、それぞれ検出された、この少なくとも1つの試料収容部21の占有状態に従って照明可能である。
【0132】
図2cに示される、本発明の第1の好ましい実施形態において、多数の測定部材22、23は試料収容配置20の固定の構成要素であって、発光配置18はベース装置10の固定の構成要素である。
【0133】
図3aは、例としての、本発明に係るピペット操作補助システムの好ましい構成要素としての、本発明の他の実施例に基づく試料収容配置を示している。試料収容配置40は、ここでは試料収容部のそれぞれ上方の端縁に、個々のリング電極42を有しており、その機能が
図6aとbを用いて説明される。したがってここでは、
図2aの形態に比較して少ない導線44と接触箇所46が試料収容配置に設けられており、かつ
図2bの形態に比較して少ない導線35aと接触46が設けられている。さらに、
図2a-cと
図3a-cにおけるピペット操作補助システムの機能方法は、同様である。
【0134】
図3aと6aに基づく試料収容部の上方の領域内の個々の電極は、特に好ましくは
図2aと
図5a/5cの変形例と組み合わせることも可能であって、それらにおいて対の電極が試料収容部の長さの大部分に沿って垂直の方向に延びている。このようにして機能的に、唯一のピペット操作補助システムによって、ピペットチップが測定空間に近づくか、あるいはいつ近づくか、及び試料収容部がその収容空間内に液状の試料によるどのような占有状態を有しているか、についての情報を得ることができる。
【0135】
図4aから4dは、例としての本発明に係るピペット操作補助システム1によって支援される、試料収容配置20におけるピペット操作のそれぞれ異なる相を示しており、かつピペット操作補助装置の照明プログラムによってもたらされる、ピペット操作された、もしくはピペット操作すべき試料収容部の光学的なマーキングを示している。平面Aを通ってピペットチップが下降する場合に(
図4b)、試料収容部がたとえば下から黄色で照明され、それがここでは右外側に位置する試料収容部のより明るいハッチングによって象徴される。すでに充填されている収容部は、下から緑色で照明され、それが
図4cと4dに該当する試料収容部の黒いハッチングで象徴される。
【0136】
図5aと5bは、例としてのピペット操作補助システムの、2つの電極によって容量的に測定するセンサ装置を、図示される唯一の試料収容部の充填されない状態と充填された状態において簡略化した側面で示す横断面図である。それぞれ収容空間21を包囲する円筒外表面セグメント形状を有する1対の電極22、23の間の間隙が、電場Eによって貫通される誘電体を形成するので、21内の占有状態が変化した場合に(
図5b)、容量変化が検出される。
図5cと5dの配置は、
図5aと5bの配置とは実質的に異なっており、
図5cと5dの変形例の収容空間21’は、実質的に球形に形成された底(丸い底)を有している。この場合において電極22’、23’は、この球形の形状に適合されており、したがってその下方の領域内でおいて球状に延びるプレート形状を有している。同様に
図5eと5fの配置は
図5aと5bの配置とは異なっており、
図5eと5fの変形例の収容空間21”は、実質的に円錐状に形成された底(円錐底)を有している。この場合において電極22”、23”は、この円錐状の形状に適合されており、したがってその下方の領域内で円錐状に延びるプレート形状を有している。出力装置の発光部材(図示せず)は、それぞれ試料収容配置20又はベース装置10の構成要素とすることができる。
【0137】
図6aと6bは、例としての他のピペット操作補助システムの、電極を用いて容量的に測定するセンサ装置を、示される唯一の試料収容部の充填されない状態と充填された状態において簡略化した側面で示す横断面図である。試料収容部41の上方の端縁に配置された唯一のリング電極42によって、導電性の、あるいは導電性の水性の、溶液を搭載した、非導電性の材料からなるピペットチップの接近が検出される。ピペットチップの接近が測定される容量を増大させるので、適切なしきい値において「ピペットチップ添接」の占有状態が認識可能である。例において、リング電極42は、試料収容配置40の材料によって部分的に包囲されており、リング電極42は平面Aの下方に位置している。リング電極は、試料収容配置40の上面に配置することもでき、たとえば薄いプレート、箔又は層状の領域として取り付けることができる。試料収容配置40の上面におけるこの配置によって、試料収容配置40がその測定配置を含めて平面Aの下方に位置することが、保証されている。出力装置の発光部材(図示せず)は、それぞれ試料収容配置40又はベース装置30の構成要素とすることができる。
【0138】
図7aと7bは、例としての他のピペット操作補助システムの、2つの光学的測定部材によって光学的に測定するセンサ装置を、示される唯一の試料収容部の充填されない状態と充填された状態において、簡略化した側面で示す横断面図である。LED66から放出される光ビーム(赤外線)がミラー部材83へ入射し、そのミラー部材がビームを測定空間81を通して次のミラー部材84へ案内する。そこからビームが光センサ67上へ案内され、その光センサは特にフォトダイオード又はCMOSセンサとすることができる。光学的なセンサ装置に対応づけられた、ベース装置60内に配置されている光学的な測定部材66、67の電気的な駆動は、同様にそこに示唆されている個別の導線65a、65bを介して行われる。対象、たとえば液状の試料を、光ビームによって測定される測定室内へ挿入することによって、占有状態の変化を光学的に検出することができる。出力装置の発光部材(図示せず)は、それぞれ試料収容配置80又はベース装置60の構成要素とすることができる。
【0139】
図8aは、例としての本発明に係るピペット操作補助システムの好ましい構成要素としての、本発明の第2の好ましい実施形態に基づく試料収容配置120の実施例を示している。発光部材118aは、ここではそれぞれ中央かつ試料収容部121の垂直下方に配置されているので、これらは対称に発光可能である。
【0140】
図8bは、例としての本発明に係るピペット操作補助システムの好ましい構成要素としての、特に
図8aの試料収容配置と共に使用可能な、本発明の第2の好ましい実施形態に基づくベース装置の実施例を示している。位置決め装置112a、112bは、
図2と同様に形成されている。制御装置113も同様である。
【0141】
図8cは、
図8aの試料収容配置と
図8bのベース装置とを有するピペット操作補助システムを作業位置で示している。
図8bに示す本発明の第2の好ましい実施形態において、測定配置119の多数の測定部材116、117及び発光部材118aを有する発光配置118は、ベース装置110の固定の構成要素である。試料収容配置120は、作業位置において測定部材116、117を収容するための多数の開口領域122、123を有している。電気的な導線又は電気的に導通する領域をもつ必要のない、この種の試料収容配置120は、射出成形方法を用いて簡単かつ正確に形成することができる。
【0142】
図9aは、例としての本発明に係るピペット操作補助システムの好ましい構成要素としての、本発明の第3の好ましい実施形態に基づく試料収容配置の実施例を示している。
図9cに示す、本発明の第3の好ましい実施形態において、測定配置228の多数の測定部材222、223及び発光配置229の多数の発光部材224は、試料収容配置の固定の構成要素である。残りの部分は、
図2cと8cにおける実施形態に対して実質的に同様に形成されている。
【0143】
図9bは、例としての本発明に係るピペット操作補助システムの好ましい構成要素としての、特に
図9aの試料収容配置と共に使用することができる、本発明の第3の好ましい実施形態に基づくベース装置の実施例を示している。
【0144】
図9cは、
図9aの試料収容配置と
図9bのベース装置とを有する、ピペット操作補助システムを作業位置で示している。
【0145】
図10は、他の好ましい実施形態に基づく、本発明に係るピペット操作システム300を斜視図で示している。たとえば
図2bに示すベース装置に実質的に相当することができる、2つのベース装置10、10”が、信号交換及び/又はデータ交換「D」を介して接続されている。試料収容装置は、ここでは、
図2aに示すように形成されている。このベース装置の互いに交換可能な制御装置は、手動のピペット操作装置70のユーザーを移送プロセスを実施する際に支援するように、整えられている。
【0146】
その場合にユーザーは、少なくとも1つの制御装置によって実施されるピペット操作プランプログラムに従って、ピペット70を用いて試料プレート20の第1の列から試料を取り出して、試料プレート20”の第2の試料列内へ移送する。ピペット操作プランプログラムもしくはそれを実施する制御装置は、試料プレート20の第1の列を色で照明するように、整えられている。これが
図10に、試料プレート20の試料収容部の第1の列のよりダークなトーンによって象徴されている。ユーザーは、この列内でピペット操作することによって試料を収容する。取り出し後にユーザーには、試料プレート20のこの第1の列からの取り出しの成功又は失敗がシステムによって、試料プレート20のこの第1の列の照明種類の変化によって伝達される。試料プレート20の測定配置によって成果が検査される。第2の試料プレート20”において、ユーザーには、ピペットチップ71内に含まれている試料のための目標位置、ここでは右から4番目の列が、照明によって示される。ユーザーは、この列内でピペット操作することによって試料を放出する。放出後にユーザーには、試料プレート20”のこの第4の列内への放出の成功又は失敗が、試料プレート20”のこの第4の列の照明種類の変化によって伝達される。試料プレート20”の測定配置によって、成果が試験される。ピペット操作補助システムによって監視される2つの試料収容配置の間で試料を移送する際のこの支援は、ピペット操作プランプログラムが完了するまで、続行される。
【0147】
図10bは、構成要素としてピペット70’を有するピペット操作補助システム400を示している。ピペット70’もしくはその-ここでは「第2の」と称される-、ピペット操作装置70’の電子的に駆動されるピペット操作も制御する、電子制御装置は、ピペット操作補助システムのベース装置10”の電子制御装置と信号接続、ここではワイヤレスのデータ接続Wを介して信号もしくはデータ、特にピペット操作プランプログラムのデータ及び照明状態データを交換するように、整えられている。ピペット操作装置70’の電子的な制御装置は、ピペット操作補助装置の電子的な制御装置を介して測定配置を制御し、かつ占有状態データの形式の占有状態に関する情報を受信するように、整えられている。また、電子的な制御装置が出力装置を制御することも、可能であって、-これは、ピペット操作装置70’の電子的な制御装置が、ピペット操作補助システムの電子的な制御装置として使用できることを、意味している。電子制御装置は、ピペット操作装置と接続された少なくとも1つの試料移送容器71が少なくとも1つの試料収容部に接近することを、測定配置による測定によって認識して、ピペット操作装置を制御して、それぞれ定められている体積を自動的に少なくとも1つの試料収容部へ放出させるように、整えられている。電子制御装置又は第2の制御装置は、ピペット操作プランプログラムを実施するように整えられており、それによれば、
・出力装置を用いてユーザーに、それぞれピペット操作するための次の目標位置として定められている、試料収容配置の少なくとも1つの試料収容部、ここでは、ユーザーにとって補助なしでは正しく実施することが難しい、ウェルにおける逐次的でないピペット操作を有するピペット操作プラン、についての情報が示され、
・測定配置を用いて、手動で実施される、試料収容配置への少なくとも1つの試料移送容器の接近及び達成された試料収容部の位置の認識が定められ、
・ピペット操作プランプログラムの設定データとの比較によって、達成された位置がプランに従って定められた目標位置であるか、が定められ、
・かつ、達成された位置がプランに従って定められた目標位置である場合に、あらかじめ定められた試料体積が自動的に目標位置へ放出され、
・かつ、達成された位置がプランに従って定められた目標位置でない場合に、この自動的な放出が阻止される。
【0148】
本発明に係るピペット操作補助システムを用いて、ユーザーは特にプレート、細片及び容器からなる試料収容配置内で取り違えることなしに作業する。ユーザーは常に、プロセス内でどのウェルを次のウェルとして満たすべきか、かつどのような占有状態がそれぞれ存在するか、を認識している。ベース装置は、わずかなスペース需要を有する可搬のコンパクトなプレート収容工具である。それは特に、実施される実験の付加コントロールのためにラボワークステーション内へ組み込むことができる。試料収容配置は、必要に応じて、特に2K射出成形方法によって形成された、電気的に導通する領域として導電性ポリマーを有する試料収容配置を使用する場合に、閉鎖されたシステムとして形成することができる。
【0149】
必要に応じて、試料収容配置は「開放されたシステム」として、すなわちたとえばベース装置に配置されている、容量性センサ領域又はセンサピラー(
図8aを参照)を収容するための開口部又は切り欠きをもって、形成することもでき、
【0150】
図11aは、例としての本発明に係るピペット操作補助システム100’の好ましい構成要素としての、本発明の第2の好ましい実施形態に基づく試料収容配置120’の実施例を示している。
図8aの実施例における中空室122、123とは異なり、試料収容配置120'はここでは唯一の中空室122’を有し、その中空室は試料収容配置120’の試料収容部121’の下方に延びており、かつ下方へ向かって開放しているので、測定電極116’、117’が中空室122’内へ嵌入することができる。
【0151】
図11bは、例としての本発明に係るピペット操作補助システム100’の好ましい構成要素としての、本発明の第2の好ましい実施形態に基づく、特に
図11aの試料収容配置と共に使用することができる、ベース装置110’の実施例を示している。測定配置119’の測定電極116’、117’は、導線115a、115bを介して制御装置113に接続されており、かつベース装置110’と堅固に結合されており、そのベース装置はさらに、ベース装置110と同様に構成されている。測定電極116’、117’が下から、位置決め空間の高さ全体に沿った一部分f=0.15に沿ってこの位置決め空間内へ張り出している。
【0152】
図11cは、
図11aの試料収容配置と
図11bのベース装置とを有する、ピペット操作補助システム100’を作業位置で示している。作業位置において、センサ装置のそれぞれ2つの電極116’、117’が試料収容部121’の下方の領域内に、かつそれに対して側方に変位して配置されているので、試料収容部は電場を通して検出され、その電場は電極116’と117’の間に形成され、かつ電極116’、117’の上方の領域内にも延びている。これについては、
図12aに関してさらに説明される。試料収容部は円筒形状であるが、円錐形状又は面取りして形成することもでき、あるいは他の形状であってもよい。測定電極によって発生された電場は、この間隙の上方の空間領域内へも張り出すので、この領域内に配置されている液体も測定の調節に寄与し、もしくはそこに配置されている液体を検出することができ、かつそれに応じた充填状態を、この間隙の上方の空間領域内に液体がなく、液体は間隙内のみに存在する、他の充填状態から区別することができる。測定配置119’は、特にコンパクトであり、かつ頑丈である。
【0153】
図12aは、例としてのピペット操作補助システムの、ここでは平坦なプレート形状の2つの電極116’、117’によって容量的に測定するセンサ装置を、図示される唯一の試料収容部の充填状態において簡略化した側面で示す横断面図であって、その場合にセンサ装置は、
図11bと11cに示すセンサ装置に相当する。試料収容配置120”と120’及び試料収容部120"と120’は、互いに相当する。出力装置の発光部材(図示せず)は、それぞれ試料収容配置120’、120”あるいはベース装置110’、110”の構成要素とすることができる。
【0154】
図12bは、例としてのピペット操作補助システムの、2つのプレート形状の電極116”、117”によって容量的に測定するセンサ装置を、示される唯一の試料収容部の充填された状態において簡略化した側面で示す横断面図である。センサ装置の測定電極116”、117”は、ここではベース装置110”の上面に統合されている。測定電極116”、117”は、ここでは平坦かつプレート形状であって、ベース装置の上面に対して平行に延びている。測定電極116”、117”は、ここでは、作業位置において試料収容配置120”が配置されている位置決め空間内へは張り出さない。したがってこれは、測定電極が嵌入するための中空室を必要とせず、その場合にこの種の中空室が可能な場合もある。というのは、測定をもたらす電場が測定電極の上方の空間領域内へ達するからであり、その空間領域内には試料収容部の少なくとも下方の領域も配置されている。位置決め空間の下方の領域内に測定電極を配置することによって、この解決は特にコンパクトであり、かつ頑丈である。特に測定電極の上方には、測定を無効にすることなしに、保護層又はカバーを設けることもできる。それによって、測定電極を保護する、簡単に清掃できる上面が得られる。
【0155】
図12cはセンサ装置を示しており、そのセンサ装置は
図12bに示すセンサ装置とは異なり、プレート形状の電極116'”と117’”は、
図12bのプレート形状の電極116”と117"よりも大きい面を有している。試料収容部の上方へ向いた開口部に対して平行に延び、かつこの例において試料収容部121”の平坦な底に対しても平行に延びるこの面は、ここでは底面及び垂直方向における試料収容部の平均的な横断面とほぼ同じ大きさである。電極116’”、117’”の形状は、それぞれ半円であって、その場合に半円のまっすぐな端縁は互いに対して平行であり、かつ隣り合って延びている-図においては電極の間の隙間として見える。