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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-09
(45)【発行日】2022-08-18
(54)【発明の名称】樹脂パイプ切断システム
(51)【国際特許分類】
   B26D 3/16 20060101AFI20220810BHJP
   B26D 5/00 20060101ALI20220810BHJP
   B26D 3/06 20060101ALI20220810BHJP
   B26D 5/26 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
B26D3/16 D
B26D5/00 B
B26D3/16 B
B26D3/06
B26D5/26 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021081525
(22)【出願日】2021-05-13
【審査請求日】2021-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】392035972
【氏名又は名称】株式会社ヤマト
(74)【代理人】
【識別番号】100092808
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 亘
(74)【代理人】
【識別番号】100140981
【弁理士】
【氏名又は名称】柿原 希望
(72)【発明者】
【氏名】新井 孝雄
(72)【発明者】
【氏名】坂牧 謙一
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 剛
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-115828(JP,A)
【文献】特開2018-122372(JP,A)
【文献】特開平06-155142(JP,A)
【文献】特許第4809149(JP,B2)
【文献】米国特許第5038647(US,A)
【文献】米国特許第4589313(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/306780(US,A1)
【文献】国際公開第2014/153925(WO,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1216810(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0057814(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/100638(US,A1)
【文献】特許第5798262(JP,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0101426(KR,A)
【文献】特開平2-30492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 3/16
B26D 5/00
B26D 3/06
B26D 5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断前の原パイプの長さを測長する測長部と、
前記原パイプに対し切り出す管部材を割り当てるとともに前記原パイプの切断位置を決定する中央制御部と、
前記管部材の識別情報を切断前の原パイプにそれぞれ印刷する印刷部と、
前記原パイプを回転可能に保持するとともに前記原パイプに面取り溝を形成し、さらに前記面取り溝の底部で切断するパイプ切断装置と、
前記パイプ切断装置の加工位置と前記切断位置とが一致するように前記原パイプを位置させるパイプ送り装置と、
切断後の管部材を搬出する管部材搬出装置と、を有し、
前記パイプ切断装置は、ベース部と、前記ベース部に対し上下方向にスライド可能に設置されたパイプ保持部と、前記ベース部の正面側の前記パイプ保持部に設置され中央に前記原パイプが通るパイプ孔を備えたリング状を呈し前記原パイプを保持して回転する回転板と、前記回転板に固定され前記原パイプを両側から挟んで保持しながら前記回転板とともに回転するチャックと、前記回転板に固定し前記チャックを開閉する回転側開閉機構と、前記回転板の待機位置において前記回転側開閉機構を動作させるベース側開閉機構と、前記ベース部の背面側に位置し前記原パイプを左右から回転可能に挟持するローラクランプ部と、前記ベース部の背面側に上下方向にスライド可能に設置され前記原パイプに略V字状の面取り溝を形成する回転面取り刃と、前記ベース部の背面側に上下方向にスライド可能に設置され前記略V字状の面取り溝の底部で前記原パイプを切断する回転刃と、を有することを特徴とする樹脂パイプ切断システム。
【請求項2】
中央制御部が自動ネスティング機能を有し、原パイプの余剰部分が最小となるように管部材の割り当てを行うことを特徴とする請求項1記載の樹脂パイプ切断システム。
【請求項3】
原パイプの終端の面取りを行う終端面取り部をさらに有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の樹脂パイプ切断システム。
【請求項4】
印刷部が、原パイプの印刷面に他の印刷物が存在するか否かを判別するための画像センサと、前記画像センサの結果に応じて前記原パイプを回転させる回転ローラ部と、をさらに有し、
前記印刷部は、前記原パイプの印刷面に他の印刷物が存在する場合、前記回転ローラ部が回転し、前記原パイプを90°~180°回転させ、他の印刷物の無いきれいな面に識別情報を印刷することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の樹脂パイプ切断システム。
【請求項5】
印刷部が、原パイプの切断位置から予め設定された位置に管部材の挿し込み深さを示唆する差込代表示を印刷することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の樹脂パイプ切断システム。
【請求項6】
差込代表示が、横方向が開いた略コの字形状であることを特徴とする請求項5記載の樹脂パイプ切断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリ塩化ビニル等の樹脂パイプの切断、面取り等を連続して行う樹脂パイプ切断システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
VP管、VU管、HI管、HT管等のポリ塩化ビニル製の樹脂パイプ、所謂、塩ビパイプは様々な寸法のものが用意され給排水配管や通気管として広く一般に使用されている。そして、このような樹脂パイプは配管設計図に沿って適宜切断され、継手等で接続して配管経路を構築していく。また、近年では予め樹脂パイプを設計通りの寸法に切断しておき、この管部材を現地で組み立てることも行われている。ここで下記[特許文献1]には樹脂パイプを切断するときの切り屑を捕集する集塵機を備えた樹脂パイプの切断装置に関する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-300695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[特許文献1]に記載の発明により、樹脂パイプの切断を連続的に行うことが可能となった。しかしながら、樹脂パイプ(管部材)の切断部には面取りを行う必要があり、これも連続的に行うことが好ましい。また、省資源化とコスト削減の観点から、可能な限り余剰部分が出ないように樹脂パイプの切断を行うことが好ましい。ただし、この場合、1本の樹脂パイプから異なる長さの管部材が混在して切り出されることとなる。このような場合、切り出された管部材が配管経路のどこに使用されるものなのかを判別するのに手間が掛かり、配管構築作業が煩雑化するという問題点がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、切断部の面取りを連続して行うことが可能な樹脂パイプ切断システムの提供を目的とする。また、識別情報の印刷された管部材を切り出すことが可能な樹脂パイプ切断システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
)切断前の原パイプ1の長さを測長する測長部20と、前記原パイプ1に対し切り出す管部材5を割り当てるとともに前記原パイプ1の切断位置を決定する中央制御部80と、前記管部材5の識別情報を切断前の原パイプ1にそれぞれ印刷する印刷部30と、前記原パイプ1を回転可能に保持するとともに前記原パイプ1に面取り溝を形成し、さらに前記面取り溝の底部で切断するパイプ切断装置70と、前記パイプ切断装置70の加工位置と前記切断位置とが一致するように前記原パイプ1を位置させるパイプ送り装置40と、切断後の管部材5を搬出する管部材搬出装置50と、を有し、
前記パイプ切断装置70は、ベース部71と、前記ベース部71に対し上下方向にスライド可能に設置されたパイプ保持部74と、前記ベース部71の正面側の前記パイプ保持部74に設置され中央に前記原パイプ1が通るパイプ孔722aを備えたリング状を呈し前記原パイプ1を保持して回転する回転板722と、前記回転板722に固定され前記原パイプ1を両側から挟んで保持しながら前記回転板722とともに回転するチャック724a、724bと、前記回転板722に固定し前記チャック724a、724bを開閉する回転側開閉機構762aと、前記回転板722の待機位置において前記回転側開閉機構762aを動作させるベース側開閉機構762bと、前記ベース部71の背面側に位置し前記原パイプ1を左右から回転可能に挟持するローラクランプ部746と、前記ベース部71の背面側に上下方向にスライド可能に設置され前記原パイプ1に略V字状の面取り溝を形成する回転面取り刃782と、前記ベース部71の背面側に上下方向にスライド可能に設置され前記略V字状の面取り溝の底部で前記原パイプ1を切断する回転刃792と、を有することを特徴とする樹脂パイプ切断システム100を提供することにより、上記課題を解決する。
(2)中央制御部80が自動ネスティング機能を有し、原パイプ1の余剰部分が最小となるように管部材5の割り当てを行うことを特徴とする上記(1)記載の樹脂パイプ切断システム100を提供することにより、上記課題を解決する。
(3)原パイプ1の終端の面取りを行う終端面取り部60をさらに有することを特徴とする上記(1)または上記(2)に記載の樹脂パイプ切断システム100を提供することにより、上記課題を解決する。
(4)印刷部30が、原パイプ1の印刷面に他の印刷物が存在するか否かを判別するための画像センサ31と、前記画像センサ31の結果に応じて前記原パイプ1を回転させる回転ローラ部36と、をさらに有し、
前記印刷部30は、前記原パイプ1の印刷面に他の印刷物が存在する場合、前記回転ローラ部36が回転し、前記原パイプ1を90°~180°回転させ、他の印刷物の無いきれいな面に識別情報を印刷することを特徴とする上記(1)乃至上記(3)のいずれかに記載の樹脂パイプ切断システム100を提供することにより、上記課題を解決する。
)印刷部30が、原パイプ1の切断位置から予め設定された位置に管部材5の挿し込み深さを示唆する差込代表示Hを印刷することを特徴とする上記(1)乃至上記(4)のいずれかに記載の樹脂パイプ切断システム100を提供することにより、上記課題を解決する。
)差込代表示Hが、横方向が開いた略コの字形状であることを特徴とする上記(5)記載の樹脂パイプ切断システム100を提供することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る樹脂パイプ切断システムは、両端に面取りが施された管部材を連続して切り出すことができる。これにより、管部材の作製を極めて効率的に行うことができる。また、本発明に係る樹脂パイプ切断システムは、識別情報を印刷した後に原パイプの切り出しを行う。このため、全ての管部材に識別情報が印刷されており、長さの異なる管部材を混在して切り出した場合でも、この管部材がどこで使用されるものなのかを判別することができる。これにより、管部材の割り当てに自動ネスティングを使用することが可能となり、原パイプの余剰部分の削減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る樹脂パイプ切断システムを原パイプの挿入側から見た斜視図である。
図2】本発明に係る樹脂パイプ切断システムを原パイプの排出側から見た斜視図である。
図3】本発明に係る樹脂パイプ切断システムのパイプ搬入部、測長部、印刷部を示す図である。
図4】本発明に係る樹脂パイプ切断システムのパイプ搬入部、測長部、印刷部を示す図である。
図5】本発明に係る樹脂パイプ切断システムの印刷物の例を示す図である。
図6】本発明に係る樹脂パイプ切断システムのパイプ送り装置を示す図である。
図7】本発明に係る樹脂パイプ切断システムのパイプ切断装置の正面図である。
図8】本発明に係る樹脂パイプ切断システムのパイプ切断装置の側面図である。
図9】本発明に係る樹脂パイプ切断システムのパイプ切断装置の背面図である。
図10】本発明に係る樹脂パイプ切断システムの管部材搬出装置を示す図である。
図11】本発明に係る樹脂パイプ切断システムの終端面取り部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る樹脂パイプ切断システムについて図面に基づいて説明する。ここで、図1は、本発明に係る樹脂パイプ切断システム100を原パイプ1の挿入側から見た斜視図である。また、図2は本発明に係る樹脂パイプ切断システム100を原パイプ1の排出側から見た斜視図である。尚、ここでの原パイプ1とはVP管、VU管、HI管、HT管等の樹脂パイプが販売時の所定の長さ例えば4m程度に切断されたものを想定している。
【0010】
図1図2に示す本発明に係る樹脂パイプ切断システム100は、パイプ搬入部10と、切断前の原パイプ1の長さを測長する測長部20と、原パイプ1の切断位置を決定するとともに各部を制御する中央制御部80と、原パイプ1に対して識別情報等を印刷する印刷部30と、原パイプ1の面取りと切断とを行うパイプ切断装置70と、原パイプ1をパイプ切断装置70に送り出すパイプ送り装置40と、原パイプ1の終端の面取りを行う終端面取り部60と、切断後の管部材5を搬出する管部材搬出装置50と、を有している。
【0011】
次に、本発明に係る樹脂パイプ切断システム100の各部の構成とその動作を説明する。先ず、コンピュータ等の中央制御部80に、作業者等が指定した配管経路の施工データもしくは管部材データが入力すると、中央制御部80はこれらの管部材データを樹脂パイプの径及び種類ごとにまとめる。尚、これらの管部材データには配管経路のどの部分に使用するかを特定するための識別情報が予め個別に付与されている。次に、中央制御部80は対応する原パイプ1に対し切り出す管部材5を割り当てる。このとき、中央制御部80は自動ネスティング機能を備え、原パイプ1の余剰部分が最小となる組み合わせで管部材5の割り当てを行う。尚、本発明に係る樹脂パイプ切断システム100では、1つの配管経路の管部材内で自動ネスティングを行っても良いが、複数の配管経路及び施工現場の管部材を織り交ぜて自動ネスティングを行うことが特に好ましい。この構成では、自動ネスティングが更に効率的に行われ、原パイプ1の余剰部分の更なる削減が可能となる。これにより、部材コストの削減と廃棄物の低減、及び省資源化を図ることができる。尚、本発明に係る樹脂パイプ切断システム100では、後述のように切断後の全ての管部材5に識別情報が印刷されているため、複数の配管経路の管部材5が混ざっていてもこれを分別することが可能である。
【0012】
管部材5の割り当てが完了すると中央制御部80は作業者等に対し、これから切断を行う原パイプ1(樹脂パイプ)の径、種類、本数を指示する。また、中央制御部80はパイプ切断装置70に対し、これから切断する原パイプ1の径の情報を送信する。パイプ切断装置70はこの原パイプ1の径の情報を受けて、後述のパイプ保持部74をこれから切断する原パイプ1の径に対応した位置に調整する。また、作業者はパイプ切断装置70のチャック724a、724bやパイプ送り装置40の保持端462などを切断する原パイプ1の径と対応したものに交換する。
【0013】
次に、作業者は中央制御部80が指示した径、種類の原パイプ1を指示された本数、パイプ搬入部10のパイプストッカ12に載置する。ここで、図3(a)はパイプ搬入部10の側面図であり、図3(b)はパイプ搬入部10、測長部20、印刷部30の上面図である。また、図4(a)は測長部20、印刷部30の側面図であり、図4(b)はパイプ搬入部10、測長部20、印刷部30を原パイプ1の排出側から見た図である。尚、図3図11における矢印は原パイプ1の搬送方向を示す。
【0014】
先ず、パイプ搬入部10は、複数の原パイプ1を載置可能なパイプストッカ12と、このパイプストッカ12に載置した原パイプ1を測長部20に供給するパイプ供給機14と、を有している。また、パイプストッカ12は、図4(b)に示すように、測長部20の側に傾斜して構成され、その端部には上方に立ち上がった板状のストッパ12aが設けられている。そして、作業者によって載置された原パイプ1は自重によってパイプストッカ12上を転がり、ストッパ12aに当接して測長部20側に詰まった状態で配列する。尚、このとき原パイプ1は基本的にパイプ切断装置70の挿入方向と平行に配列される。
【0015】
そして、必要な数の原パイプ1がパイプストッカ12に載置されると、作業者は加工開始指示を中央制御部80に行う。これにより、中央制御部80はパイプ搬入部10に対して測長部20への原パイプ1の供給を指示する。この指示を受けてパイプ搬入部10は、パイプ供給機14を動作させる。ここで、パイプ供給機14は原パイプ1の径に応じた異なるサイズの複数の供給バーを備えており、パイプ供給機14はパイプストッカ12に載置された原パイプ1の径と対応した供給バーを伸長動作させる。これにより、供給バーはパイプストッカ12に載置されている原パイプ1のうち、最も測長部20側に位置する原パイプ1を下方から押し上げてストッパ12aを越えさせる。ストッパ12aを越えた原パイプ1は測長部20のパイプガイド22上を転がって測長部20に供給される。尚、このとき、後述の搬出バー38aは、図4(a)、(b)に示すように、屹立した状態にあり、原パイプ1のストッパとして機能する。
【0016】
また、測長部20は、原パイプ1の長さよりも長い筐体21と、この筐体21の上面に設置され原パイプ1を所定の位置で保持するパイプガイド22と、筐体21のパイプ切断装置70側に設けられ原パイプ1の一端が当接して測長の基準点となる測長ストッパ24と、筐体21の測長ストッパ24とは逆側の端部に設けられ測長プッシャ26を備えるとともにこの測長プッシャ26の伸長量から原パイプ1の長さを取得する測長装置28と、を有している。
【0017】
また、パイプガイド22は例えば略V字形状の板状部材であり、筐体21の上面に所定の間隔を開けて複数設置される。そして、パイプ搬入部10側から供給された原パイプ1は、自重によりパイプガイド22上を転がってV字の谷部で保持される。尚、このパイプガイド22による原パイプ1の保持方向は基本的にパイプ切断装置70への挿入方向と平行である。
【0018】
そして、原パイプ1がパイプガイド22によって所定の位置に保持されると、測長部20は測長装置28を動作させる。これにより、測長プッシャ26が測長ストッパ24側に伸長する。そして、測長プッシャ26の先端が原パイプ1の一端に当接して原パイプ1を押圧する。これにより、原パイプ1はパイプガイド22上を測長ストッパ24の側にスライド移動し、原パイプ1の他端が測長ストッパ24に当接したところで停止する。測長装置28はこのときの測長プッシャ26の伸長量から原パイプ1の長さ、即ち、測長ストッパ24の内面から測長プッシャ26の端面までの長さを算出し、中央制御部80に出力する。尚、原パイプ1は概ね一定の長さに切断されているものの、数ミリから数センチ程度の誤差が存在する。測長部20はこの原パイプ1の長さを正確に測長し、中央制御部80に出力するものである。
【0019】
中央制御部80はこの情報を受けて、原パイプ1が十分な長さを有していることを確認した上で、この原パイプ1に割り当てられた管部材5を切り出すための切断位置を設定する。次に、中央制御部80は印刷部30に対してこの原パイプ1への印刷内容と印刷位置を指示する。このときの印刷内容は、図5の例に示すように、切り出す管部材5の識別情報Dを少なくとも有し、さらに原パイプ1の切断位置(カットラインC)と差込代表示Hとを含むことが好ましい。尚、識別情報Dは人間に対する文字表記のみでも良いし、電子的なバーコードやQRコード(登録商標)等の情報読み取り印刷物としても良い。また、双方を併記しても良い。また、差込代表示Hは施工作業者に対し管部材5の継手等への挿し込み深さを示唆するものである。そして、この差込代表示Hは、図5に示すように、管端となるカットラインCから予め設定された位置に印刷され、挿し込み深さの下限を示す第1のラインH1と、それから所定の間隔を取って設けられ挿し込み深さの上限を示す第2のラインH2と、これらを繋ぐ挿し込み深さの好適範囲を表すラインH3とを有し、横方向(原パイプ1の周方向)が開いた略コの字形状とすることが好ましい。この構成では、下限を示す第1のラインH1が継手内に隠れて目視出来なくなった場合でも、挿し込み深さの好適範囲を示すラインH3が存在するため、施工作業者は管部材5の挿し込み量を直感的に把握することができる。
【0020】
そして、中央制御部80から印刷内容と印刷位置を指示された印刷部30は、この原パイプ1に対する印刷動作を行う。ここで、印刷部30は例えば周知の産業用インクジェットプリンタ等の印刷装置32と、この印刷装置32を原パイプ1に沿って移動させるプリンタ移動機構と、原パイプ1の印刷面に他の印刷物が存在するか否かを判別する画像センサ31と、この画像センサ31の結果に応じて原パイプ1を回転させる回転ローラ部360と、印刷後の原パイプ1をパイプ送り装置40に搬出する搬出装置(搬出バー38a、搬出板38b)と、を有している。また、プリンタ移動機構は、筐体21の側方に設置されパイプ切断装置70への挿入方向と平行なギアレール342と、このギアレール342と螺合して移動するプリンタベース344と、このプリンタベース344に設置され印刷装置32を上下方向に移動させるプリンタ保持部348と、を有している。尚、画像センサ310としてはワークの色や模様の有無を判別可能な周知の画像認識装置を用いることができ、中でも小型軽量で安価な面光電センサを用いることが好ましい。また、画像センサ31はプリンタ保持部348の印刷装置32の近傍に設置することが好ましい。この構成では、プリンタ移動機構が画像センサ31の移動機構を兼ねるため、装置構成の簡略化と部材コストの削減とを図ることができる。
【0021】
そして、印刷部30は中央制御部80からの印刷指示を受けると、先ず画像センサ31を制御して印刷装置32の印刷面(通常、原パイプ1の周面上部)に他の印刷物が存在しているか否かを判別する。尚、ここでの他の印刷物とは主に原パイプ1の製造メーカ等が印刷した原パイプ1の製品表示等を意味する。そして、原パイプ1の印刷面に他の印刷物が存在する場合、印刷部30は回転ローラ部360を動作させる。ここで、回転ローラ部360は、原パイプ1を回転させるローラと、このローラを回転させる回転機構と、ローラを軸支するローラベースと、ローラをローラベースごと上下方向に移動させるローラ移動機構と、を有している。そして、回転ローラ部360が動作指示を受けると、先ずローラ移動機構が動作して、ローラを所定の高さ位置に上昇させる。尚、このときの所定の高さとは、ローラの周面と原パイプ1の周面とが接触する高さである。次に、回転機構を所定の時間回転する。これにより、回転ローラ部360のローラが回転し、これに伴って原パイプ1が回転する。このときの所定の時間とは、原パイプ1が90°~180°程度回転する時間である。これにより、原パイプ1の製品表示等は印刷装置32の印刷面からずらされ、印刷装置32は他の印刷物の無いきれいな面に識別情報等を印刷することができる。これにより、印刷装置32の印刷物と原パイプ1の他の印刷物とが重なって識別情報等が判別不能となることを防止することができる。
【0022】
上記のようにして、原パイプ1の印刷面に他の印刷物が存在しない状態となると、次に印刷部30はプリンタ保持部348を制御して、原パイプ1の周面(印刷面)への印刷に最適な高さとなるよう印刷装置32を位置させる。次に、印刷部30は、印刷装置32をギアレール342に沿って移動させながら適宜印刷動作させる。これにより、印刷装置32は中央制御部80が指示した印刷位置に指定された識別情報等の印刷内容を印刷する。そして、この原パイプ1に対する印刷が全て完了すると、印刷装置32は待機位置に帰還する。
【0023】
次に、印刷部30はパイプ送り装置40に加工中の原パイプ1が無いことを確認し、搬出装置を動作させる。ここで、搬出装置はパイプ送り装置40側に回動可能に設置された搬出バー38aと、原パイプ1の保持位置の下方に設置され上下動する搬出板38bと、を有している。そして、原パイプ1への印刷が完了すると、印刷部30は搬出バー38aをパイプ送り装置40側に回転動作させる。これにより、搬出バー38aと後述のパイプ送り装置40のガイドバー44とが略直線状に並びパイプ送り装置40への誘導路が構築される。次に、印刷部30は搬出板38bを上昇動作させる。尚、搬出板38bの上面はパイプ送り装置40側が低い斜めに形成されており、原パイプ1はこの搬出板38bの上昇動作により押し上げられ、パイプガイド22の谷部の高さを越えた時点でパイプガイド22上を転がり、搬出バー38aとガイドバー44とで構築された誘導路上を転動してパイプ送り装置40に供給される。
【0024】
このようにしてパイプガイド22上から印刷後の原パイプ1が搬出されると、パイプ搬入部10のパイプ供給機14が動作して、パイプストッカ12に載置された次の原パイプ1を測長部20に供給する。そして、この原パイプ1に対する測長と印刷が行われる。
【0025】
また、パイプ送り装置40は、図6(a)の側面図及び図6(b)の上面図に示すように、原パイプ1の長さよりも長い筐体41と、この筐体41の上面に設置され原パイプ1を所定の位置で保持するガイドローラ42と、印刷部30から搬出された原パイプ1をガイドローラ42に誘導するガイドバー44と、原パイプ1を中央制御部80の指示に基づいてパイプ切断装置70側へ送り出す送出部46と、この送出部46の先端に設けられた保持端462と、を有している。尚、送出部46の保持端462は原パイプ1の回転軸としての機能も果たす。よって、原パイプ1の径ごとに専用のものに付け替えて、例えば、原パイプ1の内周面もしくは外周面を回転可能に保持することが好ましい。また、送出部46の移動機構は、例えば筐体41の側方に設置されパイプ切断装置70への挿入方向と平行なギアレール464と、このギアレール464と螺合して移動するプッシャベース466等で構成し、送出部46の移動量を制御可能なものを用いる。
【0026】
そして、印刷部30から供給された原パイプ1は、ガイドバー44によってガイドローラ42に誘導される。尚、筐体41にはパイプストッパ442が設置されており、ガイドバー44上を転がった原パイプ1がガイドローラ42を越えて脱落することを防止する。また、ガイドローラ42は回転可能に軸支され、その周面は中心側が凹んだ略V字形状を呈している。そして、印刷部30側から供給された原パイプ1は、自重によりガイドローラ42のV字の谷部で保持される。
【0027】
次に、パイプ送り装置40は送出部46を動作させ、送出部46を中央制御部80が指示した距離だけパイプ切断装置70側へ移動させる。これにより、送出部46の保持端462が原パイプ1の一端に当接し押圧する。これにより、原パイプ1がガイドローラ42に沿って移動して、原パイプ1の他端側がパイプ切断装置70に挿入される。ここで、原パイプ1の長さは測長部20によって正確に測長されているから、送出部46の移動量を制御することで、パイプ切断装置70の加工位置と原パイプ1の切断位置とを一致させることができる。
【0028】
次に、パイプ切断装置70に関して説明を行う。ここで、図7はパイプ切断装置70を原パイプ1を挿入する正面側から見た図である。また、図8はパイプ切断装置70の側面図である。また、図9はパイプ切断装置70を管部材5が搬出される背面側から見た図である。先ず、パイプ切断装置70は、ベース部71と、このベース部71に対し上下方向にスライド可能に設置されたパイプ保持部74と、このパイプ保持部74に設置され原パイプ1を保持して回転する回転板722と、この回転板722に固定され原パイプ1を両側から挟んで保持するチャック724a、724bと、このチャック724a、724bを開閉動作させるチャック開閉機構(回転側開閉機構762a、ベース側開閉機構762b)と、ベース部71に対し上下方向にスライド可能に設置され原パイプ1に面取り溝を形成する面取部78と、ベース部71に対し上下方向にスライド可能に設置され原パイプ1を切断する切断部79と、を有している。
【0029】
そして、回転板722は図7に示すように、中央に原パイプ1が通るパイプ孔722aを備えたリング状を呈しており、前述のようにパイプ保持部74に対し回転可能に設置されている。また、回転板722にはチャック724a、724bと、このチャック724a、724bを開閉する回転側開閉機構762aとが固定している。よって、このチャック724a、724bと回転側開閉機構762aとは回転板722とともに回転する。また、回転側開閉機構762aは、それぞれのチャック724a、724bと接続し一端が軸支され他端が上下動することでチャック724a、724bを挟持動作させるリンク763a、763bと、このリンク763a、763bの他端側を上下動する挟持機構764と、この挟持機構764の一端に設けられた連結端764aと、を有している。
【0030】
また、ベース側開閉機構762bは挟持機構764を閉方向もしくは開方向に回転させる回転機構765と、この回転機構765の先端部に設けられた連結端764aと、回転機構765を上下方向にスライド移動させる移動機構766と、を有している。尚、回転板722の停止位置(待機位置)は固定しており、回転板722が停止した状態では回転機構765の連結端764aと挟持機構764の連結端764bとは常に対向した位置をとる。
【0031】
また、パイプ保持部74は回転板722の回転機構(図示せず)を内在するとともに、移動機構744の動作によりベース部71に固定したスライドレール711に沿って上下方向への移動が可能である。そして、中央制御部80から原パイプ1の径の情報が入力すると、パイプ切断装置70はパイプ保持部74を加工する原パイプ1の径に対応する位置に移動させる。この位置とは、回転板722の回転軸、即ちパイプ孔722aの中心とガイドローラ42上で保持される原パイプ1の中心とが略一致する位置である。また、加工を行う原パイプ1の径が変わる場合、前述のように作業者は加工動作開始前に予めチャック724a、724bとパイプ送り装置40の保持端462とをこれから加工を行う原パイプ1の径に対応したものに付け替えておく。
【0032】
また、パイプ保持部74にはローラクランプ部746が左右に1つずつ固定している。また、ローラクランプ部746は図9に示すように、先端に設けられた2つのローラ746aと、これらローラ746aを内側に向けて押し引きするプッシャ機構746bと、を有している。そして、対向する左右のローラクランプ部746は回転板722の中心に対して点対称に位置する。よって、パイプ孔722aの中心と原パイプ1の中心とが略一致した状態では、左右のローラクランプ部746は原パイプ1の中心に対しても点対称に位置する。
【0033】
そして、パイプ送り装置40の送出部46が動作して、原パイプ1の最初の切断位置がパイプ切断装置70の加工位置に位置する。尚、原パイプ1の最初の切断位置は原パイプ1の余剰部分を切断する切断位置である。次に、パイプ切断装置70はベース側開閉機構762bの移動機構766を下降方向に動作させる。これにより、回転機構765が下降して連結端764aと挟持機構764の連結端764bとが係合する。これにより、回転機構765の回転動作が挟持機構764に伝達可能となる。次に、パイプ切断装置70は回転機構765を閉方向に回転させる。この回転は連結端764a、764bを介して挟持機構764に伝達し、挟持機構764が閉方向に回転する。
【0034】
ここで、挟持機構764は例えばリンク763a側とリンク763b側とで逆ネジの切られたボールネジ等が用いられ、挟持機構764が閉方向に回転すると、上側のリンク763aの挟持機構764側の端部が下降し、下側のリンク763bの挟持機構764側の端部が上昇する。これにより、リンク763aと接続したチャック724aが下降すると同時に、リンク763bと接続したチャック724bが上昇する。これにより、チャック724a、724bは閉動作し、原パイプ1を挟持固定する。
【0035】
原パイプ1が挟持固定されると、パイプ切断装置70は移動機構766を上昇方向に動作させる。これにより、回転機構765が上昇して、回転機構765の連結端764aと挟持機構764の連結端764bとが離間する。そして、回転機構765が待機位置まで上昇したところで、移動機構766は停止する。これにより、回転側開閉機構762aとベース側開閉機構762bとの結合は解除され、回転板722の回転が可能となる。
【0036】
次に、パイプ切断装置70はローラクランプ部746のプッシャ機構746bを前進動作させる。これにより、左右のローラクランプ部746のローラ746aが内側に押し出され、ローラ746aの周面と原パイプ1の周面とが当接する。尚、ローラクランプ部746はパイプ保持部74とともに原パイプ1の径に応じて上下し、常に回転板722の中心、即ち原パイプ1の中心に対して点対称に位置する。よって、ローラクランプ部746は原パイプ1を左右から回転可能に挟持して原パイプ1の回転軸を固定する機能を有する。これにより、原パイプ1はローラクランプ部746、チャック724a、724b、ガイドローラ42、保持端462により保持される。
【0037】
次に、パイプ切断装置70は面取部78の回転面取り刃782を回転させる。ここで、面取部78は、原パイプ1に面取り溝を切削する回転面取り刃782と、この回転面取り刃782を回転させる図示しない回転機構と、回転面取り刃782を上下方向に移動させる面取刃移動機構784と、を有している。また、面取部78には回転面取り刃782を覆うカバー782aを設けても良い。尚、回転面取り刃782は略V字の刃先を有し、V字の面取り溝を原パイプ1の周面に切削により形成するものである。次に、パイプ切断装置70は面取刃移動機構784を所定の位置まで上昇動作させる。これにより、回転面取り刃782は回転しながら原パイプ1に向かって徐々に上昇する。また、これと前後して、パイプ切断装置70は回転板722をゆっくり回転させる。これにより、回転板722に固定したチャック724a、724bが原パイプ1を挟持した状態で回転し、これによって原パイプ1が回転する。また、原パイプ1の回転によりローラクランプ部746のローラ746aが回転し、ローラクランプ部746は原パイプ1を保持しながら回転軸を固定する。
【0038】
そして、回転面取り刃782が原パイプ1の周面に接触し所定の位置で停止すると、原パイプ1の周面には所定の深さの略V字の面取り溝が形成される。また、この状態で原パイプ1がゆっくりと回転することで面取り溝の切削は原パイプ1の周面に沿って行われ、原パイプ1を一周した面取り溝が形成される。このようにして面取り溝が形成されると、パイプ切断装置70は面取刃移動機構784を下降動作させ、回転面取り刃782を待機位置まで下降させる。そして、パイプ切断装置70は回転面取り刃782の回転を停止する。
【0039】
次に、パイプ切断装置70は切断部79を制御して原パイプ1を切断する。ここで、切断部79は、回転可能に軸支され原パイプ1を切断する回転刃792と、この回転刃792を上下方向に移動させる回転刃移動機構794と、を有している。また、切断部79には回転刃792を覆うカバー792aを設けても良い。尚、カバー792a、及び面取部78のカバー782aには切り屑を吸引して捕集する集塵装置を設けても良い。これらの構成によれば、加工時の切り屑の飛散を抑制することができる。
【0040】
次に、パイプ切断装置70は回転刃移動機構794を所定の位置まで下降動作させる。これにより、回転刃792は原パイプ1に向かって徐々に下降する。尚、回転刃792の位置は回転面取り刃782のV字の刃先の先端の位置と略同等の位置にある。このため、回転刃792は面取部78が直前に形成した面取り溝の底に当接する。このとき回転刃792は原パイプ1の回転に伴って回転する。そして、この状態で回転刃移動機構794がさらに下降して回転刃792が原パイプ1の内周面を越えて貫通すると原パイプ1は面取り溝の底部で切断される。そして、底部で切断された面取り溝は管部材5の管端の面取りとなる。このようにして、原パイプ1の切断が完了すると、パイプ切断装置70は回転刃移動機構794を上昇動作させ、回転刃792を待機位置まで上昇させる。尚、回転面取り刃782の回転方向と原パイプ1の回転方向、及び回転面取り刃782による面取り溝の形成時と、回転刃792による原パイプ1の切断時とでは、原パイプ1の回転方向を逆とすることが切削効率の面から好ましい。尚、最初の切断位置は余剰部分の切断位置であるため、後述の管部材搬出装置50の部材受台52は待機位置にあり、余剰部分を支持しない。このため、切断された余剰部分は下方の端材ボックス716に落下して回収される。
【0041】
次に、パイプ切断装置70は回転板722を待機位置にて停止する。この回転板722の待機位置とは、前述のように連結端764a、764bとが対向した位置である。次に、パイプ切断装置70はローラクランプ部746のプッシャ機構746bを後退動作させる。これにより、左右のローラクランプ部746のローラ746aは引き込まれ原パイプ1の保持は解除される。
【0042】
次に、パイプ切断装置70はベース側開閉機構762bの移動機構766を下降方向に動作させる。これにより、回転機構765が下降して、回転機構765の連結端764aと挟持機構764の連結端764bとが係合する。次に、パイプ切断装置70は回転機構765を開方向に回転させる。この回転は連結端764a、764bを介して挟持機構764に伝達し、挟持機構764が開方向に回転する。挟持機構764が開方向に回転すると、リンク763aの挟持機構764側の端部が上昇し、リンク763bの挟持機構764側の端部が下降する。これにより、リンク763aと接続したチャック724aが上昇すると同時に、リンク763bと接続したチャック724bが下降する。これにより、チャック724a、724bは開動作し、原パイプ1の挟持は解除される。これにより、パイプ切断装置70による原パイプ1の固定は解除され、原パイプ1の移動が可能となる。
【0043】
ここで、図10(a)に管部材搬出装置50の側面図を示し、図10(b)に上面図を示し、図10(c)に管部材5を排出する側から見た図を示す。管部材搬出装置50は、原パイプ1を切断して得られる管部材5を受ける部材受台52と、この部材受台52をパイプ切断装置70側に前進及び後退させる受台移動機構54と、管部材5を原パイプ1毎に搬出する搬出台56と、部材受台52を旋回させて管部材5を搬出台56に排出する受台旋回機構58と、を有している。そして、部材受台52は原パイプ1よりも長く構成され、中心が凹んだ略V字形状の板状部材で構成される。
【0044】
そして、余剰部分が除去された後、原パイプ1の固定が解除されると、管部材搬出装置50は受台移動機構54を前進動作させる。これにより、部材受台52がパイプ切断装置70側に移動する。次にパイプ送り装置40は送出部46を中央制御部80が指示した距離だけパイプ切断装置70側に移動させる。これにより、パイプ切断装置70の加工位置には原パイプ1の次の切断位置が位置する。このとき、部材受台52の先側は切断前の原パイプ1の管部材搬出装置50側の下に位置する。
【0045】
次に、パイプ切断装置70は前述と同様にして、チャック724a、724bと、ローラクランプ部746とによる原パイプ1の挟持固定動作を行う。次に、原パイプ1を回転させながら、面取部78による面取り溝の形成と、切断部79による原パイプ1の切断を行う。そして、切断された原パイプ1(管部材5)は部材受台52にて受け止められる。次に、パイプ切断装置70は前述と同様にして、回転板722の回転を待機位置にて停止した後、チャック724a、724bと、ローラクランプ部746とによる原パイプ1の挟持固定を解除する。次に、パイプ送り装置40の送出部46が中央制御部80の指示した距離だけパイプ切断装置70側に移動する。これにより、パイプ切断装置70の加工位置には原パイプ1の次の切断位置が位置するとともに、部材受台52上の管部材5は原パイプ1の移動によって押し出され、部材受台52上を排出側に移動する。そして、前述と同様にして、原パイプ1の挟持固定動作及び回転、面取部78による面取り溝の形成、切断部79による原パイプ1の切断が行われる。そして、切断された管部材5は同様に部材受台52にて受け止められる。そして、原パイプ1の固定が解除され、パイプ送り装置40がパイプ切断装置70の加工位置に原パイプ1の次の切断位置を位置させると、部材受台52上の2つの管部材5は原パイプ1の移動によってさらに押し出され、切断順を維持しながら部材受台52上の排出側にそれぞれ移動する。そしてこれらの動作が原パイプ1に設定された全ての切断位置に対して行われることで、この原パイプ1に割り当てられた管部材5の切り出しが進行する。
【0046】
そして、この原パイプ1に割り当てられた最後の切断位置に対する切断動作が完了すると、パイプ送り装置40は送出部46を予め設定されている終端面取り位置に位置させる。これにより、原パイプ1の後端(終端)は終端面取り部60の加工位置に位置する。
【0047】
ここで、図11(a)に終端面取り部60の待機状態の斜視図を示す。また、図11(b)に終端面取り部60の加工時の斜視図を示す。図11に示す終端面取り部60はパイプ送り装置40のパイプ切断装置70側の端面近傍に設けられ、終端面取り刃62と、この終端面取り刃62を上下動させる移動機構64と、原パイプ1を上方からクランプして固定するパイプクランプ66と、このパイプクランプ66を旋回させる旋回機構67と、パイプクランプ66を上下動させるクランプ移動機構68と、を有している。
【0048】
そして、原パイプ1の後端が終端面取り部60の加工位置に位置すると、パイプ切断装置70は切断時と同様にチャック724a、724bと、ローラクランプ部746とによる原パイプ1の挟持固定動作を行う。次に、終端面取り部60はクランプ移動機構68を制御してパイプクランプ66を上昇させる。次に、旋回機構67を動作させ、パイプクランプ66を待機位置から原パイプ1(最後の管部材5)の後端部分の上方に位置させる。次に、終端面取り部60はクランプ移動機構68を下降動作させる。これにより、パイプクランプ66は下降して、図11(b)に示すように、原パイプ1(最後の管部材5)の後端部分を上方から押圧保持する。尚、パイプクランプ66は原パイプ1との接触部にローラ622を有しており、回転板722による原パイプ1の回転を妨げることはない。
【0049】
そして、パイプクランプ66により原パイプ1の挟持が行われると、パイプ送り装置40は送出部46を予め設定されている退避位置に後退させる。次に、終端面取り部60は図示しない回転モータを駆動して終端面取り刃62を回転させる。また、これと前後して、パイプ切断装置70は回転板722を回転させる。これにより、原パイプ1が回転する。次に、終端面取り部60は移動機構64を所定の位置まで上昇動作させる。これにより、終端面取り刃62は回転しながら原パイプ1に向かって徐々に上昇する。
【0050】
そして、終端面取り刃62が原パイプ1の終端に接触し所定の位置で停止すると、原パイプ1の終端面には斜めの面取りが形成される。また、この状態で原パイプ1が回転することで、原パイプ1の終端を一周した面取りが形成される。このようにして、原パイプ1の終端に面取りが形成されると、終端面取り部60は移動機構64を下降動作させ、終端面取り刃62を待機位置まで下降させる。そして、終端面取り刃62の回転を停止する。次に、終端面取り部60はクランプ移動機構68を上昇動作させる。これにより、パイプクランプ66は上昇して原パイプ1の保持は解除される。次に、終端面取り部60は旋回機構67を動作させ、パイプクランプ66を待機位置に旋回動作させた後、クランプ移動機構68を下降動作させ待機状態となる。
【0051】
次に、パイプ切断装置70は前述と同様にして、回転板722の回転を停止した後、原パイプ1の挟持固定を解除する。次に、パイプ送り装置40が送出部46を予め設定されたパイプ排出位置まで移動させる。このパイプ排出位置は送出部46のプッシャがパイプ孔722aを通してパイプ切断装置70の裏面側(排出側)に到達する位置である。これにより終端が面取りされた最後の管部材5は、部材受台52に切断順に並んだ管部材5を押し出しながらパイプ切断装置70から排出され、部材受台52にて受け止められる。そして、送出部46は初期位置に戻り、次の原パイプ1が供給されるまで待機する。また、最後の管部材5が部材受台52にて受け止められると、管部材搬出装置50は受台移動機構54を後退動作させる。これにより、部材受台52は管部材5を切断順に載せたまま、搬出台56と並ぶ搬出位置に後退する。次に、管部材搬出装置50は受台旋回機構58を動作させる。これにより、部材受台52は搬出台56側を回転軸にして上方に旋回動作し、部材受台52上の管部材5は切断順を維持したまま、搬出台56に排出される。尚、排出された管部材5には全て識別情報が印刷されているから、作業者は管部材5の識別情報を確認して仕分け等の然るべき措置を行う。また、識別情報がバーコードやQRコード等である場合、例えば読み取り装置がこの識別情報を読み取って仕分け等の然るべき措置を自動で行う。
【0052】
以上のように、本発明に係る樹脂パイプ切断システム100は、両端に面取りが施された管部材5を連続して切り出すことができる。これにより、管部材5の作製を極めて効率的に行うことができる。また、本発明に係る樹脂パイプ切断システム100は、識別情報を印刷した後に原パイプ1の切り出しを行う。このため、全ての管部材5に識別情報が印刷されており、1本の原パイプ1から長さの異なる管部材5を切り出した場合でも、この管部材5がどこで使用されるものなのかを判別することができる。これにより、管部材5の割り当てに自動ネスティングを使用することが可能となり、原パイプ1の余剰部分の削減が可能となる。これにより、部材コストの削減と廃棄物の低減、及び省資源化を図ることができる。
【0053】
尚、本例で示した樹脂パイプ切断システム100の各部の構成、機構、形状、寸法、動作手順等は一例であるから、特に本例に限定される訳ではなく、本発明は本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 原パイプ
5 管部材
20 測長部
30 印刷部
40 パイプ送り装置
50 管部材搬出装置
60 終端面取り部
70 パイプ切断装置
722 回転板
746 ローラクランプ部
782 回転面取り刃
792 回転刃
80 中央制御部
100 樹脂パイプ切断システム
H 差込代表示
【要約】      (修正有)
【課題】切断部の面取りを連続して行え、また、識別情報の印刷された管部材を切り出すことが可能な樹脂パイプ切断システムを提供する。
【解決手段】樹脂パイプ切断システム100は、両端に面取りが施された管部材を連続して切り出すことができる。これにより、管部材の作製を極めて効率的に行うことができる。また、この樹脂パイプ切断システム100は、識別情報を印刷した後に原パイプの切り出しを行う。このため、全ての管部材に識別情報が印刷されており、1本の原パイプから長さの異なる管部材を切り出した場合でも、この管部材がどこで使用されるものなのかを判別することができる。これにより、管部材の割り当てに自動ネスティングを使用することが可能となり、原パイプの余剰部分の削減が可能となる。
【選択図】図1
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