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  • 特許-掲示物の取付ツール及びその取付方法 図1
  • 特許-掲示物の取付ツール及びその取付方法 図2
  • 特許-掲示物の取付ツール及びその取付方法 図3
  • 特許-掲示物の取付ツール及びその取付方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-09
(45)【発行日】2022-08-18
(54)【発明の名称】掲示物の取付ツール及びその取付方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 7/18 20060101AFI20220810BHJP
【FI】
G09F7/18 N
G09F7/18 A
G09F7/18 J
G09F7/18 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021087397
(22)【出願日】2021-05-25
【審査請求日】2021-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】390014568
【氏名又は名称】東芝プラントシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 昌弘
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-038141(JP,A)
【文献】特開平11-282392(JP,A)
【文献】特開2014-145903(JP,A)
【文献】登録実用新案第3058674(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺体の外周面に架けられるバンドと、
前記バンドの両端部に設けられ、一方が磁石を他方が磁石もしくは磁性体を有し、磁力により着脱自在に相互連結する二個で一対の第1留具と、
前記バンドの途中から分岐したリードと、
前記リードの先端部に設けられ、磁石もしくは磁性体を有し、前記第1留具と協同して磁力により掲示物を挟持する第2留具と、を備える掲示物の取付ツール。
【請求項2】
請求項1に記載の掲示物の取付ツールにおいて、
前記第1留具及び前記第2留具が対向するそれぞれの挟持面には前記掲示物との摩擦抵抗を向上させる滑止処置がなされている掲示物の取付ツール。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の掲示物の取付ツールにおいて、
前記バンドの前記途中部分と前記リードの基端とを接続し前記分岐を実現するコネクタを備える掲示物の取付ツール。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の掲示物の取付ツールにおいて、
前記第1留具による前記相互連結並びに前記第2留具による前記掲示物の挟持は、磁石の吸着力により実現される掲示物の取付ツール。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の掲示物の取付ツールを用いて、
二個のうち一方の前記第1留具と前記第2留具とにより前記掲示物を挟持するステップと、
前記長尺体の外周面に前記バンドを架けてから二個で一対の前記第1留具を前記相互連結されるステップと、を含む掲示物の取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、長尺体に掲示物を取り付ける技術に関する。
【背景技術】
【0002】
掲示物を仮設設備(足場)のパイプ等に取り付ける際は、養生テープ等の粘着テープや紐類で取り付けるのが一般的である。その場合、粘着テープを貼り付けたり紐類で結んだりするために、掲示物取り付けの作業性が悪かった。また紐類で取り付ける際は、掲示物に穴あけ加工を加える作業やパイプ等に紐で結ぶ作業が必要となる為、作業効率はさらに悪化する。
【0003】
また使用後の取り外しの際、掲示物が破ける・割れる・汚れる等により破損することが多く、この掲示物を再利用することができなかった。他方において、上述した作業性や再利用上の欠点を補うために、掲示物をマグネット利用により取り付ける方法が数多く提案・実施されてきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平7-43374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、仮設設備(足場)は、高所作業を伴う屋外の工事現場に設置されるものである。このために、公知のマグネット利用では、パイプ等の長尺体に対する掲示物の取り付け強度が弱く、風雨にさらされて掲示物が脱落する可能性があった。また高所では、作業員の足元や手元が不安定な状態になるために、取り付けや取り外しの作業に失敗した場合、掲示物や取付ツールを落下させてしまう懸念があった。
【0006】
本発明の実施形態はこのような事情を考慮してなされたもので、長尺体に対し、作業が簡単・確実・安全でかつ取り付け強度に優れる、掲示物の取付技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る掲示物の取付ツールにおいて、長尺体の外周面に架けられるバンドと、前記バンドの両端部に設けられ一方が磁石を他方が磁石もしくは磁性体を有し磁力により着脱自在に相互連結する二個で一対の第1留具と、前記バンドの途中から分岐したリードと、前記リードの先端部に設けられ磁石もしくは磁性体を有し前記第1留具と協同して磁力により掲示物を挟持する第2留具と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態により、長尺体に対し、作業が簡単・確実・安全でかつ取り付け強度に優れる、掲示物の取付技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(A)実施形態に係る掲示物の取付ツールの正面図、(B)同 平面図、(C)同 底面図、(D)同 左側面図、(E)同 右側面図。
図2】長尺体に固定した掲示物の取付ツールの斜視図。
図3】長尺体に固定した掲示物の取付ツールのX-Y断面図。
図4】実施形態に係る掲示物の取付方法を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1(A)は実施形態に係る掲示物の取付ツール10(以下、単に「取付ツール10」という)の正面図である。図1(B)はその平面図である。図1(C)はその底面図である。図1(D)はその左側面図である。図1(E)はその右側面図である。なお、背面図は正面図と対象形であるために記載を省略している。図2は長尺体20に固定した取付ツール10の斜視図である。図3は長尺体20に固定した取付ツール10のX-Y断面図である。
【0011】
図1に示すように、実施形態に係る取付ツール10は、長尺体20(図2)の外周面に架けられるバンド15と、このバンド15の両端部に設けられ着脱自在に相互連結する二個で一対の第1留具11(11a,11b)と、このバンド15の途中から分岐したリード16と、このリード16の先端部に設けられ第1留具11bと協同して掲示物30(図2)を挟持する第2留具12と、を備えている。
【0012】
適用される長尺体20(図2)としては、建築用の仮設設備(足場)を組んだパイプが筆頭に挙げられるが、これに限定されることはなく、柵や手すり等にも適用される。また長尺体20は、直線状に限定されることもなく、曲線状にも適用できる。また長尺体20は、バンド15に対して剛体とみなせるようなものに限定されることもなく、チェーン、ロープ、ワイヤのような屈曲性を持つものやゴムバンドのような可撓性を持つものにも適用できる。
【0013】
バンド15は、形状としては短冊シート状、ホース状、コイル状、縄状のものであったり、材質としては樹脂、金属、ゴム、皮革のものであったりする。バンド15の長さは、対象となる長尺体20(図2)の外周よりも長く、この外周の二倍よりも短い範囲にある。そしてこのバンド15の両端部には、二個で一対の第1留具11(11a,11b)が設けられている。
【0014】
二個で一対の第1留具11(11a,11b)の少なくとも一方には、永久磁石26が設けられていることにより、両者は着脱自在に相互連結する。なおこの永久磁石26は、対極が互いに向き合うように、二個の第1留具11(11a,11b)の各々に配置することができる。もしくは、二個の第1留具11(11a,11b)のうちいずれか一方のみに永久磁石26を配置して、他方はこの永久磁石26に吸着する鉄片等といった磁性体で構成することもできる。永久磁石26としては、ネオジム磁石を好適に用いることができる。
【0015】
ところで、説明において第1留具11(11a,11b)の相互連結並びに第2留具12と協同した掲示物30の挟持は、両方とも磁石の吸着力により実現するものを例示した。しかし、発明の実施形態はこのような磁石の吸着力だけでなく、上述した相互連結及び挟持の少なくとも一方が、その他の方法を採用する場合も含まれる。具体的には、ボタンホックや面ファスナー等で留める方法が挙げられる。
【0016】
バンド15の途中部分には、コネクタ17が設けられており、このコネクタ17に基端が接続されるリード16が分岐している。そして、このリード16の先端部には第2留具12が設けられている。このリード16は、第2留具12がバンド15から分離するのを防止する役割を果たすものである。このために、リード16の形状や材質に特に限定はなく、製造コストの観点からバンド15と同じ材料を用いるのが好ましい。
【0017】
片側の第1留具11bと第2留具12の少なくとも一方は、永久磁石26が設けられていることにより、両者は協同して掲示物30(図2)を挟持する。なおこの永久磁石26は、対極が互いに向き合うように、片側の第1留具11bと第2留具12の各々に配置することができる。もしくは、片側の第1留具11bと第2留具12のうちいずれか一方のみに永久磁石26を配置して、他方は永久磁石26に吸着する鉄片等といった磁性体で構成することもできる。
【0018】
ところで、永久磁石26の配置を少なくしたい場合、第2留具12に対向する片側の第1留具11bのみに永久磁石26を配置し、残りの第1留具11a及び第2留具12は鉄片等の磁性体で構成するとよい。これにより、取付ツール10に掲示物30を先に取り付けてから後で長尺体20に取付ツール10を取り付ける場合でも、取り付け順番がその逆の場合でも、両方対応可能である。
【0019】
これに対して、二個の第1留具11(11a,11b)と第2留具12の三個全てに、永久磁石26を配置することもできる。この場合、第1留具11(11a,11b)及び第2留具12の三個全てを非磁性体で構成することにより、対向する永久磁石26同士が吸着させることができる。これにより、第1留具11(11a,11b)及び第2留具12を、互いにずらすことなく正確に位置合わせした状態で、相互に吸着させることができる。
【0020】
さらに取付ツール10は、第1留具11b及び第2留具12が対向するそれぞれの挟持面25に、掲示物30との摩擦抵抗を向上させる滑止処置がなされている。この滑止処置としては、例えば、市販されている滑り止めテープ、滑り止め塗料、機械的な凹凸等をこの挟持面25に施工する。これにより掲示物30の抜け落ちを効果的に抑制することができる。
【0021】
図4のフローチャートに基づいて実施形態に係る掲示物の取付方法を説明する。まず、図1に示される状態の取付ツール10を用いて、一方の第1留具11bと第2留具12とにより掲示物30を挟持する(S11)。これにより、取付ツール10と掲示物30とが一体化する。そして長尺体20の外周面にバンド15を架ける(S12)。この際に、一方の手で長尺体20を支持し、他方の手でバンド15を支持することができるので安定した作業を行うことができる。
【0022】
さらにバンド15の両端に設けられた一対の第1留具11(11a,11b)を相互連結させる(S13)。この際に、一方の手を長尺体20から移し替えて掲示物30又は第2留具12を支持するようにし、他方の手で反対端の第1留具11aを連結させる手順で作業する。これにより、常に取付ツール10と掲示物30とを一体化させた状態で、取付作業を両手で行うことができる。このため、掲示物30のみ又は取付ツール10のみを単独でもしくはその両方を誤って落下させる可能性を著しく低減させることができる。
【0023】
以上述べた少なくともひとつの実施形態の掲示物の取付ツールによれば、二個で一対の第1留具でバンドの両端部を相互連結し、第2留具で第1留具と協同して掲示物を挟持することにより、長尺体に対し、作業が簡単・確実・安全でかつ取り付け強度に優れる。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0025】
10…掲示物の取付ツール、11(11a,11b)…第1留具、12…第2留具、15…バンド、16…リード、17…コネクタ、20…長尺体、25…挟持面、26…永久磁石、30…掲示物。
【要約】
【課題】長尺体に対し、作業が簡単・確実・安全でかつ取り付け強度に優れる、掲示物の取付技術を提供する。
【解決手段】掲示物の取付ツール10は、長尺体の外周面に架けられるバンド15と、このバンド15の両端部に設けられ着脱自在に相互連結する二個で一対の第1留具11(11a,11b)と、このバンド15の途中から分岐したリード16と、このリード16の先端部に設けられ第1留具11bと掲示物を挟持する第2留具12と、を備えている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4