(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-09
(45)【発行日】2022-08-18
(54)【発明の名称】原料供給システムおよび原料供給方法
(51)【国際特許分類】
C10G 1/10 20060101AFI20220810BHJP
C08J 11/12 20060101ALI20220810BHJP
C08J 11/16 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
C10G1/10
C08J11/12 ZAB
C08J11/16
(21)【出願番号】P 2021123636
(22)【出願日】2021-07-28
【審査請求日】2022-06-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】308024395
【氏名又は名称】荏原環境プラント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】井原 貴行
(72)【発明者】
【氏名】藤原 孝
(72)【発明者】
【氏名】向井 健
【審査官】森 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-95024(JP,A)
【文献】特開2002-179837(JP,A)
【文献】特開2008-133398(JP,A)
【文献】特開2004-269838(JP,A)
【文献】特開2001-114929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10G 1/10
C08J 11/12
C08J 11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ塩化ビニルおよびポリエチレンテレフタレートを含む廃プラスチックを熱分解するための原料供給システムであって、
前記廃プラスチックに消石灰を投入する消石灰供給装置と、
前記廃プラスチック中のポリ塩化ビニルおよびポリエチレンテレフタレートの総モル数の1~4倍のモル数の消石灰を前記廃プラスチックに投入するように、前記消石灰供給装置に指令を発する動作制御部と、
前記廃プラスチックと前記消石灰とを加熱しながら、前記廃プラスチックと前記消石灰と混合することで、前記ポリ塩化ビニルを脱塩処理し、かつ前記ポリエチレンテレフタレートを加水分解する溶融脱塩装置と、
前記溶融脱塩装置に連結され、前記溶融脱塩装置により溶融した前記廃プラスチックを貯留する脱気ホッパと、
前記脱気ホッパ内の前記溶融した廃プラスチックを熱分解炉に送る原料供給機を備えて
おり、
前記熱分解炉は、流動床炉の熱分解炉であり、
前記流動床炉は、流動媒体が循環する前記熱分解炉と媒体再生炉を有し、
前記原料供給システムは、前記流動媒体の一部を前記媒体再生炉から前記溶融脱塩装置に送る流動媒体移送ラインをさらに備えており、前記流動媒体の一部は前記溶融脱塩装置の熱源を構成する、原料供給システム。
【請求項2】
前記原料供給システムは、前記消石灰が投入される前の前記廃プラスチックの重さを計測する重量計測器をさらに備えており、
前記動作制御部は、前記廃プラスチックの重さの計測値に基づいて、前記廃プラスチックに投入すべき前記消石灰の量を調整するように構成されている、請求項1に記載の原料供給システム。
【請求項3】
前記原料供給システムは、前記熱分解炉から排出された熱分解ガスから回収された分解油の性状を計測する分解油性状計測器をさらに備えており、
前記動作制御部は、前記分解油の性状の計測値に基づいて、前記廃プラスチックに投入すべき前記消石灰の量を調整するように構成されている、請求項1に記載の原料供給システム。
【請求項4】
前記分解油性状計測器は、前記分解油中の塩素の濃度を計測する塩素濃度計測器、前記分解油中の酸の濃度を計測する酸濃度計測器、前記分解油のpHを計測するpH計測器、および前記分解油から分離された水のpHを計測するpH計測器のうちの少なくとも1つである、請求項3に記載の原料供給システム。
【請求項5】
前記原料供給システムは、加熱された前記廃プラスチックから発生したガス状の炭化水素を凝縮させて分解油を回収する水スクラバをさらに備えており、
前記水スクラバは前記脱気ホッパに連結されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の原料供給システム。
【請求項6】
ポリ塩化ビニルおよびポリエチレンテレフタレートを含む廃プラスチックを熱分解するための原料供給方法であって、
前記廃プラスチック中のポリ塩化ビニルおよびポリエチレンテレフタレートの総モル数の1~4倍のモル数の消石灰を前記廃プラスチックに投入し、
溶融脱塩装置にて、前記廃プラスチックと前記消石灰とを加熱しながら、前記廃プラスチックと前記消石灰と混合することで、前記ポリ塩化ビニルを脱塩処理し、かつ前記ポリエチレンテレフタレートを加水分解し、
加熱されることにより溶融した前記廃プラスチックを熱分解炉に送る
工程を含み、
前記熱分解炉は、流動床炉の熱分解炉であり、
前記流動床炉は、流動媒体が循環する前記熱分解炉と媒体再生炉を有し、
前記流動媒体の一部を前記媒体再生炉から前記溶融脱塩装置に送り、前記流動媒体の一部を前記溶融脱塩装置の熱源として使用する、原料供給方法。
【請求項7】
前記原料供給方法は、前記消石灰が投入される前の前記廃プラスチックの重さを計測する工程をさらに含み、
前記廃プラスチックに投入すべき前記消石灰の量は、前記廃プラスチックの重さの計測値に基づいて調整される、請求項
6に記載の原料供給方法。
【請求項8】
前記原料供給方法は、前記熱分解炉から排出された熱分解ガスから回収された分解油の性状を計測する工程をさらに含み、
前記廃プラスチックに投入すべき前記消石灰の量は、前記分解油の性状の計測値に基づいて調整される、請求項
6に記載の原料供給方法。
【請求項9】
前記分解油の性状は、前記分解油中の塩素の濃度、前記分解油中の酸の濃度、前記分解油のpH、および前記分解油から分離された水のpHのうちの少なくとも1つである、請求項
8に記載の原料供給方法。
【請求項10】
加熱された前記廃プラスチックから発生したガス状の炭化水素を水スクラバにより凝縮させて分解油を回収する工程をさらに含む、請求項
6乃至
9のいずれか一項に記載の原料供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリ塩化ビニル(PVC)およびポリエチレンテレフタレート(PET)を含む廃プラスチックを熱分解するための原料供給システムおよび原料供給方法に関し、特に、廃プラスチックに含まれるPVCおよびPETを処理しながら、廃プラスチックを熱分解炉に供給する原料供給システムおよび原料供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
廃プラスチックにはPS(ポリスチレン)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)の他に、PVC(ポリ塩化ビニル)およびPET(ポリエチレンテレフタレート)が含まれている。このような様々な樹脂成分を含む廃プラスチックを処理して再利用するマテリアルリサイクルおよびケミカルリサイクルの開発が進められている。特に、廃プラスチックから油やガスなどを回収するケミカルリサイクルへの注目が高まっている。
【0003】
しかしながら、廃プラスチックをケミカルリサイクルするためには、以下の理由からPVCおよびPETの処理が必要である。
PVC(ポリ塩化ビニル)は、熱分解されるときに、HCl(塩化水素)を発生し、これが下流機器を腐食させたり、廃プラスチックから回収された分解油中に塩素を含んだ化合物が混入することで製品油の品質を悪化させてしまう。
PET(ポリエチレンテレフタレート)は、熱分解炉で熱分解されるときに、安息香酸やテレフタル酸を発生する。これらの酸は、いずれも昇華性があり、下流側で堆積して、下流機器のファウリングおよび腐食、分解油への酸混入(結晶析出)による品質の悪化を引き起こす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、ロータリーキルンに消石灰と廃プラスチックを供給し、廃プラスチックを熱分解しながら、廃プラスチック中のPVC由来の塩素を脱塩することが記載されている。しかしながら、廃プラスチックにはPVCのみならずPETが含まれていることが多く、廃プラスチックの処理の際には、PVCだけでなく、PETも合わせて処理する必要がある。特に、PVCには、柔軟性を持たせる目的でフタル酸エステル(PETの主成分)が可塑剤として添加されており、PVCまたはPETのいずれかを指向した処理では、意図したケミカルリサイクルが達成できない。
【0006】
そこで、本発明は、廃プラスチックを熱分解炉に送る前に、廃プラスチックに含まれるPVCおよびPETを適切に処理することで、ケミカルリサイクルの効率を向上させ、さらに機器のファウリングおよび腐食を防止することができる原料供給システムおよび原料供給方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、ポリ塩化ビニルおよびポリエチレンテレフタレートを含む廃プラスチックを熱分解するための原料供給システムであって、前記廃プラスチックに消石灰を投入する消石灰供給装置と、前記廃プラスチック中のポリ塩化ビニルおよびポリエチレンテレフタレートの総モル数の1~4倍のモル数の消石灰を前記廃プラスチックに投入するように、前記消石灰供給装置に指令を発する動作制御部と、前記廃プラスチックと前記消石灰とを加熱しながら、前記廃プラスチックと前記消石灰と混合することで、前記ポリ塩化ビニルを脱塩処理し、かつ前記ポリエチレンテレフタレートを加水分解する溶融脱塩装置と、前記溶融脱塩装置に連結され、前記溶融脱塩装置により溶融した前記廃プラスチックを貯留する脱気ホッパと、前記脱気ホッパ内の前記溶融した廃プラスチックを熱分解炉に送る原料供給機を備えている、原料供給システムが提供される。
【0008】
一態様では、前記原料供給システムは、前記消石灰が投入される前の前記廃プラスチックの重さを計測する重量計測器をさらに備えており、前記動作制御部は、前記廃プラスチックの重さの計測値に基づいて、前記廃プラスチックに投入すべき前記消石灰の量を調整するように構成されている。
一態様では、前記原料供給システムは、前記熱分解炉から排出された熱分解ガスから回収された分解油の性状を計測する分解油性状計測器をさらに備えており、前記動作制御部は、前記分解油の性状の計測値に基づいて、前記廃プラスチックに投入すべき前記消石灰の量を調整するように構成されている。
一態様では、前記分解油性状計測器は、前記分解油中の塩素の濃度を計測する塩素濃度計測器、前記分解油中の酸の濃度を計測する酸濃度計測器、前記分解油のpHを計測するpH計測器、および前記分解油から分離された水のpHを計測するpH計測器のうちの少なくとも1つである。
一態様では、前記原料供給システムは、加熱された前記廃プラスチックから発生したガス状の炭化水素を凝縮させて分解油を回収する水スクラバをさらに備えており、前記水スクラバは前記脱気ホッパに連結されている。
一態様では、前記熱分解炉は、流動床炉の熱分解炉であり、前記流動床炉は、流動媒体が循環する前記熱分解炉と媒体再生炉を有し、前記原料供給システムは、前記流動媒体の一部を前記媒体再生炉から前記溶融脱塩装置に送る流動媒体移送ラインをさらに備えており、前記流動媒体の一部は前記溶融脱塩装置の熱源を構成する。
【0009】
一態様では、ポリ塩化ビニルおよびポリエチレンテレフタレートを含む廃プラスチックを熱分解するための原料供給方法であって、前記廃プラスチック中のポリ塩化ビニルおよびポリエチレンテレフタレートの総モル数の1~4倍のモル数の消石灰を前記廃プラスチックに投入し、前記廃プラスチックと前記消石灰とを加熱しながら、前記廃プラスチックと前記消石灰と混合することで、前記ポリ塩化ビニルを脱塩処理し、かつ前記ポリエチレンテレフタレートを加水分解し、加熱されることにより溶融した前記廃プラスチックを熱分解炉に送る、原料供給方法が提供される。
【0010】
一態様では、前記原料供給方法は、前記消石灰が投入される前の前記廃プラスチックの重さを計測する工程をさらに含み、前記廃プラスチックに投入すべき前記消石灰の量は、前記廃プラスチックの重さの計測値に基づいて調整される。
一態様では、前記原料供給方法は、前記熱分解炉から排出された熱分解ガスから回収された分解油の性状を計測する工程をさらに含み、前記廃プラスチックに投入すべき前記消石灰の量は、前記分解油の性状の計測値に基づいて調整される。
一態様では、前記分解油の性状は、前記分解油中の塩素の濃度、前記分解油中の酸の濃度、前記分解油のpH、および前記分解油から分離された水のpHのうちの少なくとも1つである。
一態様では、加熱された前記廃プラスチックから発生したガス状の炭化水素を水スクラバにより凝縮させて分解油を回収する工程をさらに含む。
一態様では、前記熱分解炉は、流動床炉の熱分解炉であり、前記流動床炉は、流動媒体が循環する前記熱分解炉と媒体再生炉を有し、前記流動媒体の一部を前記媒体再生炉から前記溶融脱塩装置に送り、前記流動媒体の一部を前記溶融脱塩装置の熱源として使用する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
廃プラスチック中のPVC(ポリ塩化ビニル)およびPET(ポリエチレンテレフタレート)の総モル数の1~4倍のモル数の消石灰が廃プラスチックに投入されるので、PVCの適切な脱塩処理と、PETの適切な加水分解が達成される。結果として、後段の熱分解炉において、廃プラスチックの適切なケミカルリサイクルが達成できる。さらに、機器の腐食、ファウリングが抑制できる(信頼性向上)と共に、分解油収率(主としてベンゼン)の向上が期待できる。
【0012】
廃プラスチックに投入される消石灰の量は、処理すべき廃プラスチックの重さ、または熱分解炉での廃プラスチックの熱分解により発生した熱分解ガスから回収された分解油の性状に基づいて自動的に調整される。廃プラスチックの重さに占めるPVCおよびPETの重さは、廃プラスチックの組成を事前に調べることにより決定できる。また、熱分解ガスから回収された分解油の性状(例えば、pH)は、投入された消石灰の量に依存して変わりうる。したがって、これらの情報に基づいて、適切な量の消石灰を廃プラスチックに投入することができる。
加熱された廃プラスチックから発生したガス状の炭化水素は、水スクラバにより凝縮され、分解油として回収される。したがって、分解油の収率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】廃プラスチックを処理するための処理システムの一実施形態を示す概略図である。
【
図2】処理システムの他の実施形態を示す概略図である。
【
図3】処理システムのさらに他の実施形態を示す概略図である。
【
図4】処理システムのさらに他の実施形態を示す概略図である。
【
図5】廃プラスチックを処理するための流動床型処理システムの一実施形態を示す概略図である。
【
図6】廃プラスチックを処理するための流動床型処理システムの他の実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、廃プラスチックを処理するための処理システムの一実施形態を示す概略図である。処理対象となる廃プラスチックは、PVC(ポリ塩化ビニル)およびPET(ポリエチレンテレフタレート)を少なくとも含む。廃プラスチックは、さらに、PS(ポリスチレン)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)のうちの少なくとも1つを含むこともある。
【0015】
図1に示すように、処理システムは、廃プラスチックを熱分解し、炭化水素などの熱分解生成物を含む熱分解ガスを生成する熱分解炉6と、熱分解炉6に廃プラスチックを供給する原料供給システム2を備えている。熱分解炉6のタイプは特に限定されず、例えば後述する流動床式熱分解炉であってもよいし、あるいはキルン式熱分解炉であってもよい。
【0016】
原料供給システム2は、廃プラスチックを熱分解炉6に供給する機能のみならず、熱分解炉6に供給する前の廃プラスチックに含まれるPVCおよびPETを処理する機能も有している。より具体的には、原料供給システム2は、廃プラスチックに消石灰を投入する消石灰供給装置12と、廃プラスチック中のPVC(ポリ塩化ビニル)およびPET(ポリエチレンテレフタレート)の総モル数の1~4倍のモル数の消石灰を廃プラスチックに投入するように、消石灰供給装置12に指令を発する動作制御部15と、廃プラスチックと消石灰とを加熱しながら、廃プラスチックと消石灰と混合することで、PVCを脱塩処理し、かつPETを加水分解する溶融脱塩装置18と、溶融脱塩装置18に連結され、溶融脱塩装置18により溶融した廃プラスチックを貯留する脱気ホッパ20と、脱気ホッパ20内の溶融した廃プラスチックを熱分解炉6に送る原料供給機22を備えている。
【0017】
原料供給システム2は、消石灰が投入される前の廃プラスチックの重さを計測する重量計測器25をさらに備えている。原料である廃プラスチックは、その重さを重量計測器25によって計測された後、溶融脱塩装置18の原料ホッパ27に投入される。重量計測器25は、例えば、廃プラスチックの重さを計量しながら廃プラスチックを移送することができる計量コンベヤである。重量計測器25は、動作制御部15に接続されており、廃プラスチックの重さの計測値は動作制御部15に送られるようになっている。動作制御部15は、廃プラスチックの重さの計測値に基づいて、廃プラスチックに投入すべき消石灰の量を調整(または決定)するように構成されている。消石灰供給装置12は、溶融脱塩装置18の原料ホッパ27に連結されており、動作制御部15によって定められた量の消石灰を溶融脱塩装置18の原料ホッパ27に投入する。したがって、溶融脱塩装置18の原料ホッパ27には、原料である廃プラスチックと、消石灰が投入される。消石灰が廃プラスチックに投入される箇所は原料ホッパ27に限定されず、例えば、消石灰は廃プラスチックの貯留部あるいは搬送部に投入されてもよい。
【0018】
動作制御部15は、プログラムが格納された記憶装置15aと、プログラムに含まれる命令に従って演算を実行する演算装置15bを備えている。記憶装置15aは、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの主記憶装置と、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)などの補助記憶装置を備えている。演算装置15bの例としては、CPU(中央処理装置)、GPU(グラフィックプロセッシングユニット)が挙げられる。ただし、動作制御部15の具体的構成は本実施形態に限定されない。
【0019】
溶融脱塩装置18は、上記原料ホッパ27と、該原料ホッパ27に連結された第1原料フィーダ29と、第1原料フィーダ29を加熱するヒーター30を備えている。原料ホッパ27に投入された廃プラスチックと消石灰は、ヒーター30によって加熱されながら、第1原料フィーダ29によって混合され、かつ脱気ホッパ20に送られる。一実施形態では、ヒーター30は、廃プラスチックと消石灰を250℃~350℃の範囲内で加熱するように構成される。ヒーター30の構造および配置は、廃プラスチックと消石灰の混合物を250℃~350℃の範囲内で加熱することができるものであれば、特に限定されない。ヒーター30の具体例としては、スチームヒーター、電気式ヒーター、加熱された不活性ガス(例えば窒素ガス)を熱源とするヒーターなどが挙げられる。尚、加熱方式は直接加熱、間接加熱のいずれでもよく、あるいはそれらの併用であってもよい。
【0020】
溶融脱塩装置18は、廃プラスチックと消石灰の混合物をヒーター30により加熱することで、廃プラスチックに含まれるPVCを脱塩処理する。より具体的には、PVCに含まれる塩素は、250℃~350℃で加熱されることでHCl(塩化水素)として熱的に分離する。発生したHClは消石灰によって乾式処理され、HCl中の塩素はCa塩(CaCl2)として消石灰に固定される。結果として、後段の熱分解炉6内で発生した熱分解ガス中の分解油と塩素との接触および反応が回避でき、有機塩素化合物の生成が低減できる。
【0021】
さらに、溶融脱塩装置18は、廃プラスチックと消石灰の混合物をヒーター30により加熱することで、廃プラスチックに含まれるPETを加水分解する。より具体的には、PETを消石灰とともに250℃~350℃に加熱することで、テレフタル酸カルシウムを生成する。このテレフタル酸カルシウムは、熱分解炉6内で熱分解されるので、昇華性のある安息香酸およびテレフタル酸の生成が抑制され、分解油(特にベンゼン)の収率が向上される。
【0022】
本実施形態によれば、廃プラスチック中のPVC(ポリ塩化ビニル)およびPET(ポリエチレンテレフタレート)の総モル数の1~4倍のモル数の消石灰が廃プラスチックに供給されるので、PVCの適切な脱塩処理とPETの適切な加水分解が同時に達成される。結果として、後段の熱分解炉6において、廃プラスチックの適切なケミカルリサイクルが達成できる。
【0023】
本実施形態では、廃プラスチックに投入される消石灰の量は、処理すべき廃プラスチックの重さに基づいて動作制御部15により自動的に調整される。廃プラスチックの重さに占めるPVCおよびPETの重さは、廃プラスチックの組成を事前に調べることにより決定できる。したがって、消石灰供給装置12は、動作制御部15からの指令に基づき、廃プラスチック中のPVCおよびPETの両方を適切に処理することができる量の消石灰を廃プラスチックに投入することができる。
【0024】
廃プラスチックの重さに占めるPVCおよびPETの重さは、より具体的には、廃プラスチックの重さに占める塩素および酸の重さである。したがって、廃プラスチックに投入される消石灰の量は、廃プラスチック中に含まれる塩素および酸を処理するために必要な量である。以下、廃プラスチックへの消石灰の供給量の例を示す。
【0025】
(1)廃プラスチック中のPVCとPETの混入量が判っている場合
廃プラスチックの重量計測値をW(kg/H)、PVCの割合をx(wt%)、PETの割合をy(wt%)とすると、1倍モルの消石灰量w(kg/H)は以下の式で与えられる。
w=(W×x/100×0.57×74/35.5/2)+(W×y/100×0.33×74/16/4)
(2)廃プラスチック中のPVCとPETの混入量が不明な場合
廃プラスチックの重量計測値をW(kg/H)、元素分析結果による塩素割合をα(wt%)、酸素割合をβ(wt%)とすると、1倍モルの消石灰量w(kg/H)は以下の式で与えられる。
w=(W×α/100×74/35.5/2)+(W×β/100×74/16/4)
【0026】
各化合物の分子量および各元素の原子量は以下のとおりである。
PVC(骨格):(C2H3Cl)n, 分子量=62.5, PVC中の塩素割合=57wt%
PET(骨格):(C10H8O4)n, 分子量=192, PET中の酸素割合=33wt%
消石灰:Ca(OH)2, 分子量=74
塩素の原子量:35.5
酸素の原子量:16
【0027】
例えば、1モルのPVCに対し1モルのHClが熱分解で発生したとすると、中和に必要な消石灰Ca(OH)2は0.5モルである。また、1モルのPETに対し2モルの-COOHが加水分解で発生したとすると、中和に必要な消石灰Ca(OH)2は1モルである。
【0028】
廃プラスチックは、溶融脱塩装置18により250℃~350℃に加熱されることで、溶融する。廃プラスチックを溶融状態とすることで、廃プラスチックは消石灰と均一に混合し、PVCの脱塩素およびPETの加水分解効率が向上する。
【0029】
溶融した廃プラスチックは、第1原料フィーダ29によって脱気ホッパ20に移送される。重量計測器25の計測値が第1原料フィーダ29の駆動部に送られ、重量計測器25の計測値に応じて第1原料フィーダ29が動作する。脱気ホッパ20では、廃プラスチックの隙間に存在していた空気、Ca塩として消石灰に固定されなかったガス状のHCl、およびガス状の炭化水素が、溶融した廃プラスチックから分離される。廃プラスチックを溶融することで、廃プラスチック中の空気が分離され、原料供給システム2から熱分解炉6への空気供給を防止できる。結果として、熱分解炉6内での廃プラスチックの燃焼を防ぎ、廃プラスチックの熱分解を進行させることができる。脱気ホッパ20に窒素や水蒸気等の不活性ガスを導入することで熱分解炉6内での廃プラスチックの燃焼を防いでもよい。
【0030】
原料供給システム2は、脱気ホッパ20内に溜まった液状の廃プラスチックの液面を検出するレベルセンサ31を備えている。廃プラスチックの液面の測定値は第1原料フィーダ29の駆動部に送られる。第1原料フィーダ29は、脱気ホッパ20内の廃プラスチックの液面が所定の範囲内となるように動作する。ここでの所定の範囲とは、熱分解炉6内での圧力変動を考慮した上で熱分解炉6と脱気ホッパ20との間のシール性が確保されるレベル以上であって、且つ脱気ホッパ20の容積を超えるおそれの無いレベル以下ということを意味する。
【0031】
原料供給機22は、脱気ホッパ20内の溶融した廃プラスチックを熱分解炉6に送る第2原料フィーダ32を備えている。第2原料フィーダ32は、廃プラスチックを連続的または断続的に熱分解炉6に送るように構成されている。原料供給システム2によって処理された廃プラスチックは、熱分解室6で熱分解され、熱分解ガスを生成する。
【0032】
原料供給システム2は、溶融脱塩装置18により加熱された廃プラスチックから発生したガス状の炭化水素(HC)を凝縮させて分解油を回収する水スクラバ35をさらに備えている。水スクラバ35は脱気ホッパ20に連結されている。脱気ホッパ20内の溶融した廃プラスチックから発生したガス状の炭化水素(HC)、および消石灰に固定されなかった塩化水素は、水スクラバ35に送られる。水スクラバ35は、その内部を通過するガス状の炭化水素(HC)および塩化水素に水(本実施形態ではアルカリ水)を噴霧する。水スクラバ35内の炭化水素(HC)および塩化水素は水に接触し、その結果、塩化水素(HCl)は中和され、ガス状の炭化水素(HC)は凝縮して分解油を形成する。
【0033】
分解油と水との混合物は、水スクラバ35から排出され、油水分離器37に送られる。油水分離器37は、分解油を水から分離するように構成されている。油水分離器37の具体的構成は特に限定されないが、例えばコアレッサーや沈降分離槽を油水分離器37に使用することができる。油水分離器37により分離された分解油は分解油貯留槽38に送られ、分解油貯留槽38内に溜められる。油水分離器37により分解油から分離された水は、分離水排出ライン41を通って図示しない排水処理装置に送られる。
【0034】
このように、本実施形態によれば、溶融脱塩装置18により加熱された廃プラスチックから発生したガス状の炭化水素(HC)は、水スクラバ35によって分解油として回収されるので、分解油の全体の収率が向上する。使用される水スクラバ35の具体的構成は特に限定されず、公知の水スクラバを使用することができる。例えば、気体の通路が内部に形成された塔と、通路を流れる気体に水を噴霧するスプレーノズルを備えた洗浄塔を水スクラバ35として用いることができる。
【0035】
一実施形態では、脱気ホッパ20で発生し消石灰に固定されなかったHCl(塩化水素)を含む炭化水素ガスを燃焼炉(図示せず)に導き、HClを含む炭化水素ガスを燃焼炉内で燃焼処理してもよい。
【0036】
水スクラバ35は、以下に説明する油スクラバ40の下流側に配置されている。油スクラバ40は、熱分解炉6に連結されている。熱分解炉6で発生した熱分解ガスは、まず油スクラバ40に送られ、次いで水スクラバ35に送られる。油スクラバ40は、熱分解ガスから既に回収された分解油あるいは外部より別途調達した油を熱分解ガスに噴霧することで、熱分解ガスを冷却しつつ、熱分解ガス中のガス状の分解油(炭化水素)を凝縮させる。凝縮された分解油と、噴霧された油は、ともに油スクラバ40から排出され、分解油貯留槽38内に溜められる。
【0037】
油スクラバ40を出た熱分解ガスは、水スクラバ35に送られ、水スクラバ35によりさらに冷却されるとともに、熱分解ガス中に残留している分解油が回収される。このように、本実施形態では、熱分解炉6から排出された熱分解ガスは、油スクラバ40および水スクラバ35の二段階で冷却される。油スクラバ40と水スクラバ35で得られる油はそれぞれ冷却温度が異なることから蒸留特性が異なる。このため、油スクラバ40と水スクラバ35から得られた油をそれぞれ分けて貯留してもよい。
【0038】
使用される油スクラバ40の具体的構成は特に限定されず、公知の油スクラバを使用することができる。例えば、気体の通路が内部に形成された塔と、通路を流れる気体に油を噴霧するスプレーノズルを備えた洗浄塔を油スクラバ40として用いることができる。
【0039】
図2は、廃プラスチックを処理するための処理システムの他の実施形態を示す概略図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、
図1を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
図2に示す実施形態では、原料供給システム2は、熱分解炉6から排出された熱分解ガスから回収された分解油の性状を計測する分解油性状計測器45を備えている。
【0040】
分解油性状計測器45は、水スクラバ35の下流に配置されており、水スクラバ35から排出された分解油の性状を計測するように構成されている。より具体的には、
図2に示すように、分解油性状計測器45は、水スクラバ35から排出された油水混合物を分解油と水に分離させる油水分離器37の下流に配置され、油水分離器37から分解油貯留槽38に延びる配管に接続されている。一実施形態では、
図3に示すように、分解油性状計測器45は、油スクラバ40の下流に配置されてもよく、油スクラバ40から排出された分解油の性状を計測してもよい。
【0041】
分解油の性状の具体例としては、分解油中の塩素の濃度、分解油中の酸の濃度、分解油のpH、および分解油から分離された水のpHが挙げられる。これらの分解油の性状は、溶融脱塩装置18の原料ホッパ27に投入された消石灰の量に依存して変わりうる。例えば、消石灰の量が、廃プラスチック中のPVCおよびPETの量に対して多すぎる場合には、熱分解ガスから回収された分解油のpHは高い値を示す。したがって、分解油の性状の計測値に基づいて、適切な量の消石灰を廃プラスチックに投入することができる。分解油の性状は、分解油中の塩素の濃度、分解油中の酸の濃度、分解油のpH、および分解油から分離された水のpHのうちの少なくとも1つ、または2つ以上の組み合わせであってもよい。
【0042】
分解油性状計測器45の具体例としては、分解油中の塩素の濃度を計測する塩素濃度計測器、分解油中の酸の濃度を計測する酸濃度計測器、分解油のpHを計測するpH計測器、および分解油から分離された水のpHを計測するpH計測器が挙げられる。分解油性状計測器45が、分解油から分離された水のpHを計測するpH計測器である場合は、
図4に示すように、分解油性状計測器45は、油水分離器37によって分解油から分離された水を排出する分離水排出ライン41に接続される。この分離水排出ライン41は油水分離器37に接続されている。
【0043】
分解油性状計測器45は、分解油中の塩素の濃度を計測する塩素濃度計測器、分解油中の酸の濃度を計測する酸濃度計測器、分解油のpHを計測するpH計測器、および分解油から分離された水のpHを計測するpH計測器のうちの少なくとも1つ、または2つ以上の組み合わせであってもよい。
【0044】
分解油性状計測器45は動作制御部15に接続されており、分解油の性状の計測値は、動作制御部15に送られるようになっている。動作制御部15は、廃プラスチックの重さの計測値に代えて、分解油の性状の計測値に基づいて、廃プラスチックに投入すべき消石灰の量を調整(または決定)するように構成されている。廃プラスチックの性状(組成)が大幅に変化する場合は廃プラスチックの重量計量値に基づく比率制御を行い、通常運転時には分解油性状計測器45からの計測値に基づくフィードバック制御に切り換え、消石灰供給量を調整してもよい。
【0045】
このように、本実施形態では、廃プラスチックに投入される消石灰の量は、熱分解炉6から排出された熱分解ガス中に含まれる分解油の性状(例えば、酸濃度、塩素濃度、pH)に基づいて動作制御部15により自動的に調整される。したがって、消石灰供給装置12は、動作制御部15からの指令に基づき、廃プラスチック中のPVCおよびPETの両方を適切に処理することができる量の消石灰を廃プラスチックに投入することができる。
【0046】
図5は、流動床炉を利用した廃プラスチックの処理システムの一実施形態を示す模式図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、
図1を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0047】
図5に示す実施形態では、熱分解炉6および媒体再生炉7を備えた流動床炉1が処理システムに組み込まれる。すなわち、本実施形態の処理システムは、流動床炉1と、流動床炉1の熱分解炉6に廃プラスチックを供給する原料供給システム2を備えている。
図5に示す実施形態における熱分解炉6は、
図1に示す実施形態における熱分解炉6に相当する。
【0048】
流動床炉1は、廃プラスチックを熱分解し、炭化水素などの熱分解生成物を含む熱分解ガスを生成する熱分解炉6と、熱分解された廃プラスチックの残渣を燃焼する媒体再生炉7を有する。流動床炉1の内部は、仕切壁10によって熱分解炉6と媒体再生炉7に仕切られている。
【0049】
流動床炉1の全体の形状は特に限定されないが、例えば円筒形または矩形を有している。熱分解炉6および媒体再生炉7内には、流動媒体(例えば珪砂)が収容されている。流動媒体を流動させるために、熱分解炉6および媒体再生炉7には流動化ガスGが供給される。原料供給システム2は、熱分解炉6に連結されており、廃プラスチックは原料供給システム2によって熱分解炉6内に供給される。原料供給システム2の構成は、
図1を参照して説明した実施形態と同じである。
【0050】
流動媒体は熱分解炉6と媒体再生炉7との間を循環しながら、廃プラスチックは原料供給システム2によって熱分解炉6に投入される。廃プラスチックは熱分解炉6内で流動媒体により加熱され、熱分解後、熱分解ガスとなる。廃プラスチックの残渣は、流動媒体によって媒体再生炉7に運ばれ、媒体再生炉7内で燃焼処理される。廃プラスチックの残渣は媒体再生炉7内で燃焼して、流動媒体を加熱する。媒体再生炉7内で発生した排ガスは、排ガス処理装置(図示せず)に送られる。媒体再生炉7内で加熱された流動媒体は、熱分解炉6内に移動し、熱分解炉6内で熱源として機能する。このように流動媒体が炉内で循環する流動床炉1は、内部循環流動床ガス化システムと呼ばれる。
【0051】
原料供給システム2によって廃プラスチックに投入された消石灰は、以下の化学反応の後、媒体再生炉7から排出される。
PVC(HCl)+Ca(OH)2→CaCl2+H2O
PET+Ca(OH)2→TPA+CaO→TP-Ca→CaCO3+Benzene
上記で、PVC(HCl)はPVC中の塩素由来の塩化水素、TPAはテレフタル酸、TP-Caはテレフタル酸カルシウムを意味する。
【0052】
一実施形態では、脱気ホッパ20で発生し消石灰に固定されなかったHCl(塩化水素)を含む炭化水素ガスを、炭化水素ガス移送ライン50を通じて媒体再生炉7に導いてもよい。HClを含む炭化水素ガスは、媒体再生炉7内で燃焼処理され、媒体再生炉7の下流側の排ガス処理設備においてHCl(塩化水素)の脱塩中和処理が行われる。
【0053】
溶融脱塩装置18には、通常等モル以上の消石灰が供給される。また、媒体再生炉7では、中和反応により生成したCa塩(CaCl
2)の一部が熱分解する。そこで、溶融脱塩装置18の熱源として、媒体再生炉7で加熱された流動媒体を用いてもよい。より具体的には、
図6に示すように、媒体再生炉7から流動媒体の一部を流動媒体移送ライン51を通じて溶融脱塩装置18に送り、溶融脱塩装置18により廃プラスチックと消石灰と流動媒体とを混合することで、流動媒体自体を熱源として使用してもよい。この実施形態によれば、流動媒体に含まれる熱分解したCa塩および未反応の消石灰を再利用し、消石灰の供給量を削減することができる。
【0054】
なお、
図2乃至
図4を参照して説明した実施形態(分解油性状計測器45の配置および構成を含む)は、
図5および
図6の実施形態にも適用できるので、その重複する説明および図示を省略する。
【0055】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0056】
1 流動床炉
2 原料供給システム
6 熱分解炉
7 媒体再生炉
10 仕切壁
12 消石灰供給装置
15 動作制御部
18 溶融脱塩装置
20 脱気ホッパ
22 原料供給機
25 重量計測器
27 原料ホッパ
29 第1原料フィーダ
30 ヒーター
31 レベルセンサ
32 第2原料フィーダ
35 水スクラバ
37 油水分離器
38 分解油貯留槽
40 油スクラバ
41 分離水排出ライン
45 分解油性状計測器
50 炭化水素ガス移送ライン
51 流動媒体移送ライン
【要約】
【課題】廃プラスチックを熱分解炉に送る前に、廃プラスチックに含まれるPVCおよびPETを適切に処理することで、ケミカルリサイクルの効率を向上させ、さらに機器のファウリングおよび腐食を防止することができる原料供給システムを提供する。
【解決手段】原料供給システムは、廃プラスチックに消石灰を投入する消石灰供給装置12と、廃プラスチック中のPVCおよびPETの総モル数の1~4倍のモル数の消石灰を廃プラスチックに投入するように、消石灰供給装置12に指令を発する動作制御部15と、廃プラスチックと消石灰とを加熱しながら、廃プラスチックと消石灰と混合することで、PVCを脱塩処理し、かつPETを加水分解する溶融脱塩装置18と、溶融脱塩装置18に連結された脱気ホッパ20と、脱気ホッパ20内の溶融した廃プラスチックを熱分解炉6に送る原料供給機22を備えている。
【選択図】
図1