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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-09
(45)【発行日】2022-08-18
(54)【発明の名称】切断装置、及び切断品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 53/00 20060101AFI20220810BHJP
   B24B 53/12 20060101ALI20220810BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20220810BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20220810BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
B24B53/00 K
B24B53/12 Z
B24B49/12
B24B27/06 M
H01L21/78 F
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021167200
(22)【出願日】2021-10-12
【審査請求日】2021-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100150072
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 賢司
(74)【代理人】
【識別番号】100170748
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100185719
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 悠樹
(72)【発明者】
【氏名】坂本 真二
【審査官】城野 祐希
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-9652(JP,A)
【文献】特開2021-142616(JP,A)
【文献】特開2016-203352(JP,A)
【文献】特開2021-13984(JP,A)
【文献】特開2013-22713(JP,A)
【文献】特開2015-164750(JP,A)
【文献】特開2017-168575(JP,A)
【文献】特開2014-135424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 53/00
B24B 53/12
B24B 49/12
B24B 27/06
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレードによって切断対象物を切断するように構成された切断装置であって、
前記ブレードのドレッシングは、ドレスボードを用いることによって行なわれ、
前記切断装置は、
前記ドレスボードに対して相対的に移動すると共に、前記ドレスボードの一部の領域を撮像するように構成された撮像部と、
前記ドレスボードの複数の第1領域を順に撮像するように前記撮像部を制御すると共に、前記撮像部による撮像結果に基づいて、前記複数の第1領域の各々におけるカットラインの有無を判定するように構成された制御部とを備え、
前記複数の第1領域のうちの互いに隣り合う2つの第1領域は、互いに第2領域を挟んで離れており、
前記制御部は、前記複数の第1領域の各々における前記カットラインの有無に基づいて、前記第2領域における前記カットラインの有無の判定要否を決定する、切断装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記複数の第1領域の各々において前記カットラインが存在すると判定された場合に、前記第2領域における前記カットラインの有無を判定しない、請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記複数の第1領域の各々において前記カットラインが存在しないと判定された場合に、前記第2領域における前記カットラインの有無を判定しない、請求項1又は請求項2に記載の切断装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記互いに隣り合う2つの第1領域の各々において前記カットラインが存在すると判定された場合に、前記互いに隣り合う2つの第1領域によって挟まれた前記第2領域における前記カットラインの有無を判定しない、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の切断装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記互いに隣り合う2つの第1領域の各々において前記カットラインが存在しないと判定された場合に、前記互いに隣り合う2つの第1領域によって挟まれた前記第2領域における前記カットラインの有無を判定しない、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の切断装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記互いに隣り合う2つの第1領域の一方の第1領域において前記カットラインが存在すると判定され、かつ、前記互いに隣り合う2つの第1領域の他方の第1領域において前記カットラインが存在しないと判定された場合に、前記互いに隣り合う2つの第1領域によって挟まれた前記第2領域における前記カットラインの有無を判定する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の切断装置。
【請求項7】
前記第2領域における前記カットラインの有無の判定は、前記カットラインの存在しない所定広さの領域が検出されるのに応じて終了し、
前記所定広さは、前記ブレードのドレッシングに必要な広さである、請求項6に記載の切断装置。
【請求項8】
平面視における前記ドレスボードの形状は矩形状であり、
前記複数の第1領域の各々は、前記ドレスボードの対角線上に位置する、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の切断装置。
【請求項9】
画像を表示するように構成された表示部をさらに備え、
前記制御部は、前記複数の第1領域の各々における前記カットラインの方向が正しいか否かを判定し、前記方向が正しくないと判定された場合にメッセージを表示するように前記表示部を制御する、請求項8に記載の切断装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の切断装置を用いた切断品の製造方法であって、
前記カットラインが存在しないと前記制御部によって判定された前記ドレスボードの領域で前記ブレードのドレッシングを行なうステップと、
ドレッシングされた前記ブレードによって前記切断対象物を切断するステップとを含む、切断品の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断装置、及び切断品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2017-168575号公報(特許文献1)は、切削装置を開示する。この切削装置においては、例えば、切削ブレードのドレッシング時におけるスピンドル回転数と、被加工物の加工時におけるスピンドル回転数とが異なる。被加工物の加工時における切削ブレードの反りの影響を考慮するために、被加工物の加工時におけるスピンドル回転数でドレッシングボードに位置合わせ用溝が形成される。この位置合わせ用溝を用いて、切削ブレード(スピンドル)の位置合わせが行なわれる。これにより、被加工物の加工時における切削ブレードの反りによる位置ずれの影響が取り除かれるため、切削位置の位置合わせを精度よく実施することができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-168575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されている切削装置においては、ドレッシングボード(ドレスボード)に形成された位置合わせ用溝が撮像手段によって撮像される。しかしながら、特許文献1において、ドレスボードのうちドレッシング可能な領域を検出する技術は開示されていない。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、その目的は、ドレスボードのうちドレッシング可能な領域を効率的に検出可能な切断装置、及び該切断装置を用いた切断品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある局面に従う切断装置は、ブレードによって切断対象物を切断するように構成されている。ブレードのドレッシングは、ドレスボードを用いることによって行なわれる。切断装置は、撮像部と、制御部とを備える。撮像部は、ドレスボードに対して相対的に移動すると共に、ドレスボードの一部の領域を撮像するように構成されている。制御部は、ドレスボードの複数の第1領域を順に撮像するように撮像部を制御すると共に、撮像部による撮像結果に基づいて、複数の第1領域の各々におけるカットラインの有無を判定するように構成されている。複数の第1領域のうちの互いに隣り合う2つの第1領域は、互いに第2領域を挟んで離れている。制御部は、複数の第1領域の各々におけるカットラインの有無に基づいて、第2領域におけるカットラインの有無の判定要否を決定する。
【0007】
本発明の他の局面に従う切断品の製造方法は、上記切断装置を用いた切断品の製造方法であって、カットラインが存在しないと制御部によって判定されたドレスボードの領域でブレードのドレッシングを行なうステップと、ドレッシングされたブレードによって切断対象物を切断するステップとを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ドレスボードのうちドレッシング可能な領域を効率的に検出可能な切断装置、及び該切断装置を用いた切断品の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】切断装置を模式的に示す平面図である。
図2】保持部材の平面を模式的に示す図である。
図3】スピンドル部を模式的に示す側面図である。
図4】コンピュータのハードウェア構成を模式的に示す図である。
図5】何度かドレッシングに使用されたドレスボードの一例の平面を模式的に示す図である。
図6】各検出エリアについて説明するための図である。
図7】未使用領域の自動検出を実現するためのソフトウェア構成を模式的に示す図である。
図8】未使用領域が存在しないドレスボードの一例を模式的に示す図である。
図9】上方に未使用領域が存在するドレスボードの一例を模式的に示す図である。
図10】上方を含む半分以上の領域において未使用領域が存在するドレスボードの一例を模式的に示す図である。
図11】下方に未使用領域が存在するドレスボードの一例を模式的に示す図である。
図12】上方及び下方の各々に未使用領域が存在するドレスボードの一例を模式的に示す図である。
図13】新品のドレスボードの一例を模式的に示す図である。
図14】ブレードのドレッシングの準備手順を示すフローチャートである。
図15図14のステップS130において実行される処理を示すフローチャートである。
図16図15のステップS220において実行される処理を示すフローチャートである。
図17図16のステップS355において実行される処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施の形態」とも称する。)について、図面を用いて詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、各図面は、理解の容易のために、適宜対象を省略又は誇張して模式的に描かれている。
【0011】
[1.構成]
<1-1.切断装置の全体構成>
図1は、本実施の形態に従う切断装置1を模式的に示す平面図である。切断装置1は、パッケージ基板(切断対象物)を切断することによって、該パッケージ基板を複数の電子部品(パッケージ部品)に個片化するように構成されている。パッケージ基板においては、半導体チップが装着された基板又はリードフレームが樹脂封止されている。
【0012】
パッケージ基板の一例としては、BGA(Ball Grid Array)パッケージ基板、LGA(Land Grid Array)パッケージ基板、CSP(Chip Size Package)パッケージ基板、LED(Light Emitting Diode)パッケージ基板、QFN(Quad Flat No-leaded)パッケージ基板が挙げられる。
【0013】
この例においては、切断対象物としてパッケージ基板P1が用いられ、切断装置1によってパッケージ基板P1が複数の電子部品S1に個片化される。以下では、パッケージ基板P1の両面のうち、樹脂封止された面をモールド面と称し、モールド面と反対の面をボール/リード面と称する。
【0014】
図1に示されるように、切断装置1は、構成要素として、切断モジュールA1と、検査・収納モジュールB1とを含んでいる。切断モジュールA1は、パッケージ基板P1を切断することによって複数の電子部品S1(切断品)を製造するように構成されている。検査・収納モジュールB1は、製造された複数の電子部品S1の各々を検査し、その後、電子部品S1をトレイに収納するように構成されている。切断装置1において、各構成要素は、他の構成要素に対して着脱可能かつ交換可能である。
【0015】
切断モジュールA1は、主として、基板供給部3と、位置決め部4と、切断テーブル5と、スピンドル部6と、搬送部7とを含んでいる。
【0016】
基板供給部3は、複数のパッケージ基板P1を収容するマガジンM1からパッケージ基板P1を1つずつ押し出すことによって、パッケージ基板P1を1つずつ位置決め部4へ供給する。このとき、パッケージ基板P1は、ボール/リード面を上に向けて配置されている。
【0017】
位置決め部4は、基板供給部3から押し出されたパッケージ基板P1をレール部4a上に配置することによって、パッケージ基板P1の位置決めを行う。その後、位置決め部4は、位置決めされたパッケージ基板P1を切断テーブル5へ搬送する。
【0018】
切断テーブル5は、切断されるパッケージ基板Pを保持する。この例においては、2個の切断テーブル5を有するツインカットテーブル構成の切断装置1が例示されている。切断テーブル5は、保持部材5aと、回転機構5bと、移動機構5cとを含んでいる。
【0019】
図2は、保持部材5aの平面を模式的に示す図である。保持部材5aは、位置決め部4によって搬送されたパッケージ基板P1を下方から吸着することによって、パッケージ基板P1を保持する。
【0020】
図2に示されるように、保持部材5aは、保持部材本体部5a1と、ドレスボード保持部5a2とを含んでいる。保持部材本体部5a1は、平面視矩形状の形状を有し、パッケージ基板P1を下方から吸着するように構成されている。保持部材本体部5a1の側面には、ドレスボード保持部5a2が一体的に形成されている。ドレスボード保持部5a2は、平面視矩形状の形状を有し、ドレスボード8を下方から吸着するように構成されている。
【0021】
ドレスボード8は、ブレード6a(後述)のドレッシングに用いられる。ドレッシングとは、ブレード6aにおいて、砥粒を覆っているボンド材を除去し、砥粒を突出させる作業のことをいう。すなわち、ドレッシングとは、ブレード6aを目立てして、ブレード6aの目詰まりを解消することをいう。ブレード6aのドレッシングは、ブレード6aによってドレスボード8にカットラインを形成することによって行なわれる。例えば、ドレッシングされたブレード6aによって、パッケージ基板P1の切断が行なわれる。ブレード6aのドレッシングについては後程詳しく説明する。
【0022】
再び図1を参照して、回転機構5bは、保持部材5aを図のθ1方向に回転させることが可能である。移動機構5cは、保持部材5aを図のY軸に沿って移動させることが可能である。
【0023】
スピンドル部6は、パッケージ基板P1を切断することによって、パッケージ基板P1を複数の電子部品S1に個片化する。この例においては、2個のスピンドル部6を有するツインスピンドル構成の切断装置1が例示されている。スピンドル部6は、図のX軸及びZ軸に沿って移動可能である。なお、切断装置1は、一個のスピンドル部6を有するシングルスピンドル構成としてもよい。
【0024】
図3は、スピンドル部6を模式的に示す側面図である。図3に示されるように、スピンドル部6は、ブレード6aと、回転軸6cと、第1フランジ6dと、第2フランジ6eと、締結部材6fとを含んでいる。
【0025】
ブレード6aは、高速回転することによって、パッケージ基板P1を切断し、パッケージ基板P1を複数の電子部品S1に個片化する。ブレード6aは、一方のフランジ(第1フランジ)6d及び他方のフランジ(第2フランジ)6eにより挟持された状態で、回転軸6cに装着される。第1フランジ6d及び第2フランジ6eは、ナット等の締結部材6fによって回転軸6cに固定される。第1フランジ6dは奥フランジとも称され、第2フランジ6eは外フランジとも称される。
【0026】
スピンドル部6には、高速回転するブレード6aに向かって切削水を噴射する切削水用ノズル、冷却水を噴射する冷却水用ノズル、及び、切断屑等を洗浄する洗浄水を噴射する洗浄水用ノズル(いずれも不図示)等が設けられる。
【0027】
再び図1を参照して、切断テーブル5がパッケージ基板P1を吸着した後、第1位置確認カメラ5dによってパッケージ基板P1が撮像され、パッケージ基板P1の位置が確認される。第1位置確認カメラ5dを用いた確認は、例えば、パッケージ基板P1上に設けられたマークの位置の確認である。該マークは、例えば、パッケージ基板P1の切断位置を示す。
【0028】
その後、切断テーブル5は、図のY軸に沿いスピンドル部6に向かって移動する。切断テーブル5がスピンドル部6の下方に移動した後、切断テーブル5とスピンドル部6とを相対的に移動させることによって、パッケージ基板P1が切断される。その後、必要に応じて第2位置確認カメラ6bによってパッケージ基板P1が撮像され、パッケージ基板P1の位置等が確認される。第2位置確認カメラ6bを用いた確認は、例えば、パッケージ基板P1の切断位置及び切断幅の確認である。なお、第2位置確認カメラ6bは、ブレード6aのドレッシングのためにも使用される。詳細については後程説明する。
【0029】
切断テーブル5は、パッケージ基板P1の切断が完了した後、個片化された複数の電子部品S1を吸着した状態で、図のY軸に沿ってスピンドル部6から離れる方向に移動する。この移動過程において、第1クリーナ5eによって、電子部品S1の上面(ボール/リード面)の洗浄及び乾燥が行なわれる。
【0030】
搬送部7は、切断テーブル5に保持された電子部品S1を上方から吸着し、電子部品S1を検査・収納モジュールB1の検査テーブル11へ搬送する。この搬送過程において、第2クリーナ7aによって、電子部品S1の下面(モールド面)の洗浄及び乾燥が行なわれる。
【0031】
検査・収納モジュールB1は、主として、検査テーブル11と、第1光学検査カメラ12と、第2光学検査カメラ13と、配置部14と、抽出部15とを含んでいる。なお、第1光学検査カメラ12は、切断モジュールA1に設けられていてもよい。
【0032】
検査テーブル11は、電子部品S1の光学的な検査のために、電子部品S1を保持する。検査テーブル11は、図のX軸に沿って移動可能である。また、検査テーブル11は、上下反転することができる。検査テーブル11には、電子部品S1を吸着することによって電子部品S1を保持する保持部材が設けられている。
【0033】
第1光学検査カメラ12及び第2光学検査カメラ13は、電子部品S1の両面(ボール/リード面及びモールド面)を撮像する。第1光学検査カメラ12及び第2光学検査カメラ13によって生成された画像データに基づいて、電子部品S1の各種検査が行なわれる。第1光学検査カメラ12及び第2光学検査カメラ13の各々は、検査テーブル11の近傍において、上方を撮像するように配置されている。
【0034】
第1光学検査カメラ12は、搬送部7によって検査テーブル11へ搬送される電子部品S1のモールド面を撮像する。その後、搬送部7は、検査テーブル11の保持部材上に電子部品S1を載置する。保持部材が電子部品S1を吸着した後、検査テーブル11は上下反転する。検査テーブル11は第2光学検査カメラ13の上方へ移動し、電子部品S1のボール/リード面が第2光学検査カメラ13によって撮像される。
【0035】
配置部14には、検査済みの電子部品S1が配置される。配置部14は、図のY軸に沿って移動可能である。検査テーブル11は、検査済みの電子部品S1を配置部14に配置する。
【0036】
抽出部15は、配置部14に配置された電子部品S1をトレイに移送する。電子部品S1は、第1光学検査カメラ12及び第2光学検査カメラ13を用いた検査の結果に基づいて、「良品」又は「不良品」に分別される。抽出部15は、分別の結果に基づいて、各電子部品S1を良品用トレイ15a又は不良品用トレイ15bに移送する。すなわち、良品は良品用トレイ15aに収納され、不良品は不良品用トレイ15bに収納される。良品用トレイ15a及び不良品用トレイ15bの各々は、電子部品S1で満たされると、新たなトレイに取り換えられる。
【0037】
切断装置1は、さらにコンピュータ50とモニタ20とを含んでいる。モニタ20は、画像を表示するように構成されている。モニタ20は、例えば、液晶モニタ又は有機EL(Electro Luminescence)モニタ等の表示デバイスで構成される。
【0038】
コンピュータ50は、例えば、切断モジュールA1及び検査・収納モジュールB1の各部を制御する。コンピュータ50は、例えば、基板供給部3、位置決め部4、切断テーブル5、スピンドル部6、搬送部7、検査テーブル11、第1光学検査カメラ12、第2光学検査カメラ13、配置部14、抽出部15及びモニタ20を制御する。
【0039】
<1-2.コンピュータのハードウェア構成>
図4は、コンピュータ50のハードウェア構成を模式的に示す図である。図4に示されるように、コンピュータ50は、制御部70と、入出力I/F(interface)90と、受付部95と、記憶部80とを含み、各構成は、バスを介して電気的に接続されている。
【0040】
制御部70は、CPU(Central Processing Unit)72、RAM(Random Access Memory)74及びROM(Read Only Memory)76等を含んでいる。制御部70は、情報処理に応じて、コンピュータ50内の各構成要素及び切断装置1内の各構成要素を制御するように構成されている。
【0041】
入出力I/F90は、信号線を介して、切断装置1に含まれる各構成要素と通信するように構成されている。入出力I/F90は、コンピュータ50から切断装置1内の各構成要素へのデータの送信、切断装置1内の各構成要素からコンピュータ50へ送信されるデータの受信に用いられる。受付部95は、ユーザからの指示を受け付けるように構成されている。受付部95は、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス及びマイクの一部又は全部で構成される。
【0042】
記憶部80は、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等の補助記憶装置である。記憶部80は、例えば、制御プログラム81を記憶するように構成されている。制御プログラム81が制御部70によって実行されることにより、切断装置1における各種動作が実現される。制御部70が制御プログラム81を実行する場合に、制御プログラム81は、RAM74に展開される。そして、制御部70は、RAM74に展開された制御プログラム81をCPU72によって解釈及び実行することにより各構成要素を制御する。
【0043】
<1-3.ドレッシング可能な領域の自動検出に関するソフトウェア構成>
上述のように、切断装置1においては、ブレード6aのドレッシングが行なわれる。ブレード6aのドレッシングにおいては、常に新品のドレスボード8が使用されるわけではない。例えば、既に何度かドレッシングに使用されたドレスボード8が、ドレッシングに使用される場合もある。
【0044】
図5は、何度かドレッシングに使用されたドレスボード8の一例の平面を模式的に示す図である。図5に示されるように、ドレスボード8には、既に複数のカットラインCL1が形成されている。各カットラインCL1は、ドレッシング時にブレード6aがドレスボード8をカットすることによって形成された溝である。ブレード6aのドレッシングは、ドレスボード8のうちカットラインCL1が形成されていない領域(以下、「未使用領域」とも称する。)において行なわれる必要がある。
【0045】
未使用領域においてドレッシングを行なうために、ドレスボード8におけるカットラインCL1の位置を作業者が目視で確認し、作業者が手動でブレード6aとドレスボード8との相対的な位置を調整することが考えられる。しかしながら、このような方法は、多大な労力及び時間を要する。
【0046】
切断装置1においては、未使用領域が自動的に検出され、検出結果に基づいてドレスボード8におけるドレッシングの開始位置が自動的に決定される。したがって、切断装置1によれば、ブレード6aとドレスボード8との相対的な位置を作業者が手動で調整する必要がないため、ブレード6aのドレッシングを効率的に行なうことができる。
【0047】
切断装置1において、未使用領域の検出は、スピンドル部6に設けられた第2位置確認カメラ6bを用いることによって行なわれる。第2位置確認カメラ6bは、ドレスボード8に対して相対的に移動すると共に、ドレスボード8の一部の領域を撮像するように構成されている。切断装置1においては、ドレスボード8のうち、ドレッシング開始前に第2位置確認カメラ6bによって撮像される領域(検出エリア)の位置情報が記憶部80に予め記憶されている。切断装置1においては、例えば、13個の検出エリアの位置情報が記憶部80に記憶されている。なお、検出エリアの数はこれに限定されない。切断装置1においては、第2位置確認カメラ6bの撮像画像に基づいて未使用領域が検出される。
【0048】
図6は、各検出エリアについて説明するための図である。図6に示されるように、ドレスボード8における検出エリアとしては、第1検出エリアD11-D13と、第2検出エリアD21-D25,D31-D35とが設けられている。各検出エリアの位置情報は、記憶部80に記憶されている。
【0049】
第1検出エリアD11-D13及び第2検出エリアD21-D25,D31-D35の各々は、ドレスボード8の対角線上において直線状に位置している。第1検出エリアD11は、ドレスボード8のうち図中左下に位置する検出エリアである。第1検出エリアD12は、ドレスボード8のうち図中中央に位置する検出エリアである。第1検出エリアD13は、ドレスボード8のうち図中右上に位置する検出エリアである。ドレスボード8がドレスボード保持部5a2に保持された状態で、ドレスボード8の左右方向は図1のX軸方向に対応しており、ドレスボード8の上下方向は図1のY軸方向に対応している。ドレスボード8の上下左右方向は、本明細書において共通である。
【0050】
第1検出エリアD11-D13のうち互いに隣り合う第1検出エリアD11と第1検出エリアD12とは、互いに第2検出エリアD21-D25を挟んで離れている。第1検出エリアD11-D13のうち互いに隣り合う第1検出エリアD12と第1検出エリアD13とは、互いに第2検出エリアD31-D35を挟んで離れている。各検出エリアは、なるべく重ならないように配置されている。この例においては、第1検出エリアD12が第2検出エリアD25,D31の各々と重なっているが、他の部分においては検出エリア同士が重なっていない。
【0051】
仮に、ドレスボード8の左下の検出エリア(第1検出エリアD11)から右上の検出エリア(第1検出エリアD13)に向かって順に各検出エリア(第1検出エリア及び第2検出エリアを含む。)におけるカットラインCL1の有無が判定されるとする。このような手順で各検出エリアにおけるカットラインCL1の有無が判定されると、例えば、未使用領域がドレスボード8の上方にしか存在しない場合に、未使用領域の検出に長時間を要する。
【0052】
切断装置1においては、まず、第1検出エリアD11-D13の各々に関する撮像画像が取得され、第1検出エリアD11-D13の各々におけるカットラインCL1の有無が各第1検出エリアの撮像画像に基づいて判定される。そして、第1検出エリアD11-D13の各々におけるカットラインCL1の有無に基づいて、第2検出エリアD21-D25,D31-D35におけるカットラインCL1の有無の判定要否が決定される。したがって、この切断装置1によれば、まず、複数の第1検出エリアの各々におけるカットラインCL1の有無を判定することによってドレスボード8のどのあたりに未使用領域が存在するかが予測され、未使用領域が存在する可能性の高い領域がより詳細に調べられるため、未使用領域の検出を効率的に行なうことができる。このような機能を実現するためのソフトウェア構成について次に説明する。
【0053】
図7は、未使用領域の自動検出を実現するためのソフトウェア構成を模式的に示す図である。図7を参照して、例えば、コンピュータ50において制御プログラム81が実行されることによって、取得部51、判定部52、決定部53、カメラ制御部54、スピンドル部等制御部55及びモニタ制御部56の各々が実現される。
【0054】
取得部51は、例えば、第1検出エリアD11,D12,D13の各々の撮像画像を第2位置確認カメラ6bから取得するように構成されている。判定部52は、取得部51によって取得された撮像画像に基づいて、第1検出エリアD11,D12,D13の各々におけるカットラインCL1の有無を判定する。
【0055】
第1検出エリアD11,D12,D13のいずれかにカットラインCL1が存在する場合に、判定部52は、さらに、カットラインCL1の方向(向き)が正しいか否かを判定する。なお、切断装置1においては、ドレスボード8の左右方向に延びるカットラインCL1が正しい方向に延びるカットラインCL1である。切断装置1においては、第1検出エリアD11,D12,D13の各々がドレスボード8の対角線上に設けられているため、カットラインCL1の向きが正しいか否かを判定することができる。
【0056】
仮に、第1検出エリアD11,D12,D13がそれぞれドレスボード8の中央下、中央、中央上に設けられていたとする。この場合には、例えば、ドレスボード8の左において上下方向に延びるカットラインCL1を検出することができない。切断装置1においては、第1検出エリアD11,D12,D13の各々がドレスボード8の対角線上に設けられているため、このような上下方向に延びるカットラインCL1を検出することができる。
【0057】
決定部53は、判定部52における判定結果に基づいて、カメラ制御部54、スピンドル部等制御部55及びモニタ制御部56の各々に指示する。カメラ制御部54、スピンドル部等制御部55及びモニタ制御部56は、指示に従って第2位置確認カメラ6b、スピンドル部6等及びモニタ20をそれぞれ制御する。判定部52による判定パターンに応じて決定部53によってどのような決定が行なわれるかについて次に説明する。
【0058】
図8は、未使用領域が存在しないドレスボード8の一例を模式的に示す図である。図8に示されるように、ドレスボード8においては、第1検出エリアD11,D12,D13の各々において、カットラインCL1が形成されている。このような場合には、ドレスボード8に未使用領域が存在しないため、決定部53は、各第2検出エリアにおけるカットラインCL1の有無を判定しない旨を決定する。そして、決定部53は、ドレスボード8の交換を促すメッセージをモニタ20に表示させるようにモニタ制御部56に指示する。
【0059】
図9は、上方に未使用領域が存在するドレスボード8の一例を模式的に示す図である。図9に示されるように、ドレスボード8においては、第1検出エリアD11,D12の各々においてカットラインCL1が形成されている一方、第1検出エリアD13においてカットラインCL1が形成されていない。このような場合には、ドレスボード8の上方に未使用領域が存在するため、決定部53は、第2検出エリアD31から第2検出エリアD35(図6)に向かって順にカットラインCL1の有無を判定する旨を決定する。
【0060】
すなわち、決定部53は、互いに隣り合う第1検出エリアD11,D12の各々においてカットラインCL1が存在すると判定されたため、第2検出エリアD21-D25におけるカットラインCL1の有無を判定しない旨を決定する。また、決定部53は、第1検出エリアD12においてカットラインCL1が存在すると判定され、かつ、第1検出エリアD13においてカットラインCL1が存在しないと判定されたため、互いに隣り合う第1検出エリアD12,D13によって挟まれた第2検出エリアD31-D35におけるカットラインCL1の有無を判定する旨を決定する。
【0061】
そして、決定部53は、第2検出エリアD31から第2検出エリアD35に向かって順に第2位置確認カメラ6bを相対的に移動させるようにスピンドル部等制御部55に指示する。スピンドル部等制御部55は、例えば、指示に従って切断テーブル5及びスピンドル部6の位置を制御する。決定部53は、さらに、第2検出エリアD31から第2検出エリアD35に向かって順に第2位置確認カメラ6bに画像を撮像させるようにカメラ制御部54に指示する。
【0062】
例えば、第2検出エリアD31から第2検出エリアD35に向かって順に未使用領域の検出を行なう場合に、途中で十分な広さの未使用領域が検出されたときは、途中で第2検出エリアにおける検出が終了する。これにより、より早期にブレード6aのドレッシングを開始することができる。なお、十分な広さの未使用領域とは、例えば、ブレード6aのドレッシングに必要な広さの未使用領域である。例えば、ドレッシングにおいて形成するカットラインCL1の本数をユーザが設定可能な場合に、その本数のカットラインCL1を形成するために必要な未使用領域の広さがドレッシングに必要な未使用領域の広さとされてもよい。
【0063】
図10は、上方を含む半分以上の領域において未使用領域が存在するドレスボード8の一例を模式的に示す図である。図10に示されるように、ドレスボード8においては、第1検出エリアD11においてカットラインCL1が形成されている一方、第1検出エリアD12,D13の各々においてカットラインCL1が形成されていない。このような場合には、ドレスボード8の上方半分以上の領域に未使用領域が存在するため、決定部53は、第2検出エリアD21から第2検出エリアD25に向かって順にカットラインCL1の有無を判定する旨を決定する。
【0064】
すなわち、決定部53は、互いに隣り合う第1検出エリアD12,D13の各々においてカットラインCL1が存在しないと判定されたため、第2検出エリアD31-D35におけるカットラインCL1の有無を判定しない旨を決定する。また、決定部53は、第1検出エリアD11においてカットラインCL1が存在すると判定され、かつ、第1検出エリアD12においてカットラインCL1が存在しないと判定されたため、互いに隣り合う第1検出エリアD11,D12によって挟まれた第2検出エリアD21-D25におけるカットラインCL1の有無を判定する旨を決定する。
【0065】
そして、決定部53は、第2検出エリアD21から第2検出エリアD25に向かって順に第2位置確認カメラ6bを相対的に移動させるようにスピンドル部等制御部55に指示する。スピンドル部等制御部55は、例えば、指示に従って切断テーブル5及びスピンドル部6の位置を制御する。決定部53は、さらに、第2検出エリアD21から第2検出エリアD25に向かって順に第2位置確認カメラ6bに画像を撮像させるようにカメラ制御部54に指示する。例えば、第2検出エリアD21から第2検出エリアD25に向かって順に未使用領域の検出を行なう場合に、途中で十分な広さの未使用領域が検出されたときは、途中で第2検出エリアにおける検出が終了する。
【0066】
図11は、下方に未使用領域が存在するドレスボード8の一例を模式的に示す図である。図11に示されるように、ドレスボード8においては、第1検出エリアD11においてカットラインCL1が形成されていない一方、第1検出エリアD12,D13の各々においてカットラインCL1が形成されている。このような場合には、ドレスボード8の下方に未使用領域が存在するため、決定部53は、第2検出エリアD21から第2検出エリアD25に向かって順にカットラインCL1の有無を判定する旨を決定する。
【0067】
すなわち、決定部53は、互いに隣り合う第1検出エリアD12,D13の各々においてカットラインCL1が存在すると判定されたため、第2検出エリアD31-D35におけるカットラインCL1の有無を判定しない旨を決定する。また、決定部53は、第1検出エリアD11においてカットラインCL1が存在しないと判定され、かつ、第1検出エリアD12においてカットラインCL1が存在すると判定されたため、互いに隣り合う第1検出エリアD11,D12によって挟まれた第2検出エリアD21-D25におけるカットラインCL1の有無を判定する旨を決定する。
【0068】
そして、決定部53は、第2検出エリアD21から第2検出エリアD25に向かって順に第2位置確認カメラ6bを相対的に移動させるようにスピンドル部等制御部55に指示する。スピンドル部等制御部55は、例えば、指示に従って切断テーブル5及びスピンドル部6の位置を制御する。決定部53は、さらに、第2検出エリアD21から第2検出エリアD25に向かって順に第2位置確認カメラ6bに画像を撮像させるようにカメラ制御部54に指示する。例えば、第2検出エリアD21から第2検出エリアD25に向かって順に未使用領域の検出を行なう場合に、途中で十分な広さの未使用領域が検出されたときは、途中で第2検出エリアにおける検出が終了する。
【0069】
図12は、上方及び下方の各々に未使用領域が存在するドレスボード8の一例を模式的に示す図である。図12に示されるように、ドレスボード8においては、第1検出エリアD11,D13の各々においてカットラインCL1が形成されていない一方、第1検出エリアD12においてカットラインCL1が形成されている。このような場合には、ドレスボード8の上方及び下方の各々に未使用領域が存在するため、決定部53は、まずは、第2検出エリアD21から第2検出エリアD25に向かって順にカットラインCL1の有無を判定する旨を決定する。
【0070】
そして、決定部53は、第2検出エリアD21から第2検出エリアD25に向かって順に第2位置確認カメラ6bを相対的に移動させるようにスピンドル部等制御部55に指示する。スピンドル部等制御部55は、例えば、指示に従って切断テーブル5及びスピンドル部6の位置を制御する。決定部53は、さらに、第2検出エリアD21から第2検出エリアD25に向かって順に第2位置確認カメラ6bに画像を撮像させるようにカメラ制御部54に指示する。
【0071】
例えば、第2検出エリアD21から第2検出エリアD25に向かって順に未使用領域の検出を行なう場合に、途中で十分な広さの未使用領域が検出されたときは、途中で第2検出エリアにおける検出が終了する。一方、第1検出エリアD11及び第2検出エリアD21-D25において、十分な広さの未使用領域が検出されなかった場合に、決定部53は、第2検出エリアD31から第2検出エリアD35に向かって順にカットラインCL1の有無を判定する旨を決定する。
【0072】
そして、決定部53は、第2検出エリアD31から第2検出エリアD35に向かって順に第2位置確認カメラ6bを相対的に移動させるようにスピンドル部等制御部55に指示する。スピンドル部等制御部55は、例えば、指示に従って切断テーブル5及びスピンドル部6の位置を制御する。決定部53は、さらに、第2検出エリアD31から第2検出エリアD35に向かって順に第2位置確認カメラ6bに画像を撮像させるようにカメラ制御部54に指示する。例えば、第2検出エリアD31から第2検出エリアD35に向かって順に未使用領域の検出を行なう場合に、途中で十分な広さの未使用領域が検出されたときは、途中で第2検出エリアにおける検出が終了する。
【0073】
図13は、新品のドレスボード8の一例を模式的に示す図である。図13に示されるように、ドレスボード8においては、第1検出エリアD11-D13の各々において、カットラインCL1が形成されていない。このような場合には、ドレスボード8が新品であるため、決定部53は、各第2検出エリアにおけるカットラインCL1の有無を判定しない旨を決定する。そして、決定部53は、ブレード6aのドレッシングの開始位置をドレスボード8の第1検出エリアD11に決定する。
【0074】
[2.動作]
図14は、ブレード6aのドレッシングの準備手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、例えば、ドレッシング時に形成するカットラインCL1の本数がユーザによって設定され、ドレッシングの開始指示がユーザによって行なわれた後に制御部70によって実行される。
【0075】
図14を参照して、制御部70は、ドレスボード保持部5a2に取り付けられているドレスボード8のうち第1検出エリアD11(図6)を第2位置確認カメラ6bが撮像可能なように第2位置確認カメラ6bの相対位置を制御する。例えば、制御部70は、切断テーブル5及びスピンドル部6の各々の位置を制御することによって、第2位置確認カメラ6bの相対位置を制御する。そして、制御部70は、第1検出エリアD11を撮像するように第2位置確認カメラ6bを制御する(ステップS100)。
【0076】
制御部70は、第1検出エリアD12を第2位置確認カメラ6bが撮像可能なように第2位置確認カメラ6bの相対位置を制御する。制御部70は、第1検出エリアD12を撮像するように第2位置確認カメラ6bを制御する(ステップS110)。制御部70は、第1検出エリアD13を第2位置確認カメラ6bが撮像可能なように第2位置確認カメラ6bの相対位置を制御する。制御部70は、第1検出エリアD13を撮像するように第2位置確認カメラ6bを制御する(ステップS120)。
【0077】
制御部70は、第1検出エリアD11,D12,D13の各々における撮像結果に基づいた処理を実行する(ステップS130)。ステップS130における処理については、後程詳しく説明する。制御部70は、ステップS130における処理の結果、ドレスカット(ドレッシング)の開始位置が決定されているか否かを判定する(ステップS140)。
【0078】
ドレスカットの開始位置が決定されていると判定されると(ステップS140においてYES)、制御部70は、決定されている開始位置からドレスカットを開始するようにスピンドル部6を制御する(ステップS150)。一方、ドレスカットの開始位置が決定されていないと判定されると(ステップS140においてNO)、制御部70は、ドレスボード8の交換をユーザに促すメッセージ(ドレスボード8の方向の調整をユーザに促すメッセージを含む。)を出力するようにモニタ20を制御する(ステップS160)。
【0079】
図15は、図14のステップS130において実行される処理を示すフローチャートである。図15を参照して、制御部70は、第1検出エリアD11,D12,D13のいずれかにおいてカットラインCL1が検出されたか否かを判定する(ステップS200)。
【0080】
第1検出エリアD11,D12,D13のいずれにおいてもカットラインCL1が検出されていないと判定されると(ステップS200においてNO)、処理はステップS220へ移行する。一方、第1検出エリアD11,D12,D13のいずれかにおいてカットラインCL1が検出されたと判定されると(ステップS200においてYES)、制御部70は、第2位置確認カメラ6bの撮像画像に基づいて、検出されたカットラインCL1の方向が正しいか否かを判定する(ステップS210)。
【0081】
カットラインCL1の方向が正しいと判定されると(ステップS210においてYES)、制御部70は、ドレスカット位置の決定処理を実行する(ステップS220)。ステップS220における処理については、後程詳しく説明する。一方、カットラインCL1の方向が正しくないと判定されると(ステップS210においてNO)、制御部70はドレスボード8の方向の調整をユーザに促すメッセージをモニタ20に表示させることを決定し、このフローチャートに示される処理は終了する。
【0082】
図16は、図15のステップS220において実行される処理を示すフローチャートである。図16を参照して、制御部70は、第1検出エリアD11における撮像画像に基づいて、第1検出エリアD11にカットラインCL1が形成されているか否かを判定する(ステップS300)。
【0083】
第1検出エリアD11にカットラインCL1が形成されていると判定されると(ステップS300においてYES)、制御部70は、第1検出エリアD12における撮像画像に基づいて、第1検出エリアD12にカットラインCL1が形成されているか否かを判定する(ステップS305)。第1検出エリアD12にカットラインCL1が形成されていると判定されると(ステップS305においてYES)、制御部70は、第1検出エリアD13における撮像画像に基づいて、第1検出エリアD13にカットラインCL1が形成されているか否かを判定する(ステップS310)。第1検出エリアD13にカットラインCL1が形成されていると判定されると(ステップS310においてYES)、制御部70は、ドレスボード8の交換をユーザに促すメッセージをモニタ20に表示させることを決定する(ステップS315)。
【0084】
ステップS310において、第1検出エリアD13にカットラインCL1が形成されていないと判定されると(ステップS310においてNO)、制御部70は、第2検出エリアD31から第2検出エリアD35(図6)に向かってカットラインCL1を検出する(ステップS320)。すなわち、制御部70は、第2検出エリアD31から第2検出エリアD35に向かって未使用領域を検出する。例えば、この未使用領域の検出は、必要な広さの未使用領域が検出された時点で終了する。必要な広さの未使用領域が検出されると、制御部70は、未使用領域におけるドレスカットの開始位置を決定する(ステップS325)。
【0085】
ステップS305において、第1検出エリアD12にカットラインCL1が形成されていないと判定されると(ステップS305においてNO)、制御部70は、第2検出エリアD21から第2検出エリアD25に向かって未使用領域を検出する(ステップS330)。例えば、この未使用領域の検出は、必要な広さの未使用領域が検出された時点で終了する。必要な広さの未使用領域が検出されると、制御部70は、未使用領域におけるドレスカットの開始位置を決定する(ステップS325)。
【0086】
ステップS300において、第1検出エリアD11にカットラインCL1が形成されていないと判定されると(ステップS300においてNO)、制御部70は、第1検出エリアD12にカットラインCL1が形成されているか否かを判定する(ステップS335)。第1検出エリアD12にカットラインCL1が形成されていないと判定されると(ステップS335においてNO)、制御部70は、第1検出エリアD11をドレスカットの開始位置に決定する(ステップS340)。
【0087】
ステップS335において、第1検出エリアD12にカットラインCL1が形成されていると判定されると(ステップS335においてYES)、制御部70は、第1検出エリアD13にカットラインCL1が形成されているか否かを判定する(ステップS345)。第1検出エリアD13にカットラインCL1が形成されていると判定されると(ステップS345においてYES)、制御部70は、第2検出エリアD21から第2検出エリアD25に向かって未使用領域を検出する(ステップS350)。例えば、この未使用領域の検出は、必要な広さの未使用領域が検出された時点で終了する。必要な広さの未使用領域が検出されると、制御部70は、未使用領域におけるドレスカットの開始位置を決定する(ステップS325)。
【0088】
ステップS345において、第1検出エリアD13にカットラインCL1が形成されていないと判定されると(ステップS345においてNO)、制御部70は、カットラインCL1の検出処理を実行する(ステップS355)。すなわち、制御部70は、未使用領域の検出処理を実行する。
【0089】
図17は、図16のステップS355において実行される処理を示すフローチャートである。図17を参照して、制御部70は、第2検出エリアD21から第2検出エリアD25に向かって未使用領域を検出する(ステップS400)。制御部70は、必要な広さの未使用領域が検出されたか否かを判定する(ステップS410)。必要な広さの未使用領域が検出されたと判定されると(ステップS410においてYES)、制御部70は、未使用領域におけるドレスカットの開始位置を決定する(ステップS420)。
【0090】
一方、ステップS410において、必要な広さの未使用領域が検出されていないと判定されると(ステップS410においてNO)、制御部70は、第2検出エリアD31から第2検出エリアD35に向かって未使用領域を検出する(ステップS430)。制御部70は、必要な広さの未使用領域が検出されたか否かを判定する(ステップS440)。必要な広さの未使用領域が検出されたと判定されると(ステップS440においてYES)、制御部70は、未使用領域におけるドレスカットの開始位置を決定する(ステップS420)。一方、必要な広さの未使用領域が検出されていないと判定されると(ステップS440においてNO)、制御部70はドレスボード8の交換をユーザに促すメッセージをモニタ20に表示させることを決定し、このフローチャートに示される処理は終了する。
【0091】
[3.特徴]
以上のように、本実施の形態に従う切断装置1において、制御部70は、第1検出エリアD11,D12,D13を順に撮像するように第2位置確認カメラ6bを制御すると共に、第2位置確認カメラ6bによる撮像結果に基づいて、第1検出エリアD11,D12,D13の各々におけるカットラインCL1の有無を判定する。そして、制御部70は、第1検出エリアD11,D12,D13の各々におけるカットラインCL1の有無に基づいて、第2検出エリアD21-D25,D31-D35におけるカットラインCL1の有無の判定要否を決定する。この切断装置1によれば、まず、複数の第1検出エリアの各々におけるカットラインCL1の有無を判定することによってドレスボード8のどのあたりに未使用領域が存在するかが予測され、未使用領域が存在する可能性の高い領域がより詳細に調べられるため、未使用領域の検出を効率的に行なうことができる。
【0092】
なお、切断装置1は、本発明における「切断装置」の一例である。ブレード6aは本発明における「ブレード」の一例であり、パッケージ基板P1は本発明における「切断対象物」の一例である。ドレスボード8は、本発明における「ドレスボード」の一例である。第2位置確認カメラ6bは、本発明における「撮像部」の一例である。制御部70は、本発明における「制御部」の一例である。第1検出エリアD11,D12,D13の各々は本発明における「第1領域」の一例であり、第2検出エリアD21-D25,D31-D35の各々は本発明における「第2領域」の一例である。モニタ20は、本発明における「表示部」の一例である。電子部品S1は、本発明における「切断品」の一例である。
【0093】
[4.他の実施の形態]
上記実施の形態の思想は、以上で説明された実施の形態に限定されない。以下、上記実施の形態の思想を適用できる他の実施の形態の一例について説明する。
【0094】
<4-1>
上記実施の形態においては、第2位置確認カメラ6bとドレスボード8との相対位置を制御するために、切断テーブル5及びスピンドル部6の各々の位置が制御された。しかしながら、切断テーブル5及びスピンドル部6のいずれか一方の位置を制御することによって、第2位置確認カメラ6bとドレスボード8との相対位置が制御されてもよい。
【0095】
<4-2>
また、上記実施の形態においては、ドレスボード8が専用のドレスボード保持部5a2に取り付けられた。しかしながら、ドレスボード8の取り付け位置はこれに限定されない。例えば、ドレスボード8は、ブレード6aのドレッシング時に保持部材本体部5a1に取り付けられてもよい。また、この場合に、保持部材本体部5a1におけるドレスボード8の位置精度を向上させるために、専用の取付け治具が用いられてもよい。
【0096】
<4-3>
また、上記実施の形態においては、第2検出エリアD21-D25,D31-D35における未使用領域の検出が、必要な広さの未使用領域が検出されるのに応じて終了した。しかしながら、第2検出エリアD21-D25,D31-D35における未使用領域の検出は、必ずしも必要な広さの未使用領域が検出されるのに応じて終了しなくてもよい。例えば、第2検出エリアD21-D25における未使用領域の検出時に、必要な広さの未使用領域が検出されたか否かに拘わらず第2検出エリアD21-D25の全てで未使用領域の検出が行なわれてもよい。また、第2検出エリアD31-D35における未使用領域の検出時に、必要な広さの未使用領域が検出されたか否かに拘わらず第2検出エリアD21-D25の全てで未使用領域の検出が行なわれてもよい。
【0097】
<4-4>
また、第1検出エリアD11,D13においてカットラインCL1が検出されず、第1検出エリアD12においてのみカットラインCL1が検出された場合に(図12)、ドレスボード8に異常が生じていると判定されてもよい。この場合には、例えば、ドレスボード8の交換をユーザに促すメッセージがモニタ20に表示されてもよい。
【0098】
<4-5>
また、上記実施の形態においては、ドレスカットにおいてドレスボード8に形成されるカットラインCL1の本数がユーザによって設定されることとした。しかしながら、ドレスカットにおいてドレスボード8に形成されるカットラインCL1の本数は、必ずしもユーザによって設定されなくてもよい。ドレスカットにおいてドレスボード8に形成されるカットラインCL1の本数は、例えば、コンピュータ50によって自動的に決定されてもよい。
【0099】
また、上記実施の形態において、切断装置1は、ドレスボード保持部5a2に保持されているドレスボード8を自動的に交換する交換機構をさらに備えていてもよい。この場合に、例えば、図14のステップS160において、制御部70は、ドレスボード保持部5a2に保持されているドレスボード8を交換させる制御信号を交換機構に送信してもよい。これにより、ドレスボード保持部5a2に保持されているドレスボード8は、交換機構によって自動的に交換される。
【0100】
以上、本発明の実施の形態について例示的に説明した。すなわち、例示的な説明のために、詳細な説明及び添付の図面が開示された。よって、詳細な説明及び添付の図面に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須でない構成要素が含まれることがある。したがって、それらの必須でない構成要素が詳細な説明及び添付の図面に記載されているからといって、それらの必須でない構成要素が必須であると直ちに認定されるべきではない。
【0101】
また、上記実施の形態は、あらゆる点において本発明の例示にすぎない。上記実施の形態は、本発明の範囲内において、種々の改良や変更が可能である。すなわち、本発明の実施にあたっては、実施の形態に応じて具体的構成を適宜採用することができる。
【符号の説明】
【0102】
1 切断装置、3 基板供給部、4 位置決め部、4a レール部、5 切断テーブル、5a 保持部材、5a1 保持部材本体部、5a2 ドレスボード保持部、5b 回転機構、5c 移動機構、5d 第1位置確認カメラ、5e 第1クリーナ、6 スピンドル部、6a ブレード、6b 第2位置確認カメラ、6c 回転軸、6d 第1フランジ、6e 第2フランジ、6f 締結部材、7 搬送部、7a 第2クリーナ、8 ドレスボード、11 検査テーブル、12 第1光学検査カメラ、13 第2光学検査カメラ、14 配置部、15 抽出部、15a 良品用トレイ、15b 不良品用トレイ、20 モニタ、50 コンピュータ、51 取得部、52 判定部、53 決定部、54 カメラ制御部、55 スピンドル部等制御部、56 モニタ制御部、70 制御部、72 CPU、74 RAM、76 ROM、80 記憶部、81 制御プログラム、90 入出力I/F、95 受付部、A1 切断モジュール、B1 検査・収納モジュール、CL1 カットライン、D11,D12,D13 第1検出エリア、D21,D22,D23,D24,D25,D31,D32,D33,D34,D35 第2検出エリア、M1 マガジン、P1 パッケージ基板、S1 電子部品。

【要約】
【課題】ドレスボードのうちドレッシング可能な領域を効率的に検出可能な切断装置、及び該切断装置を用いた切断品の製造方法を提供する。
【解決手段】切断装置は、ブレードによって切断対象物を切断するように構成されている。切断装置は、撮像部と、制御部とを備える。撮像部は、ドレスボードに対して相対的に移動すると共に、ドレスボードの一部の領域を撮像するように構成されている。制御部は、ドレスボードの複数の第1領域を順に撮像するように撮像部を制御すると共に、撮像部による撮像結果に基づいて、複数の第1領域の各々におけるカットラインの有無を判定するように構成されている。複数の第1領域のうちの互いに隣り合う2つの第1領域は、互いに第2領域を挟んで離れている。制御部は、複数の第1領域の各々におけるカットラインの有無に基づいて、第2領域におけるカットラインの有無の判定要否を決定する。
【選択図】図1

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