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特許7121862屈折ファセットを有する回転型ポリゴン偏向器を備えたLIDAR装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-09
(45)【発行日】2022-08-18
(54)【発明の名称】屈折ファセットを有する回転型ポリゴン偏向器を備えたLIDAR装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20220810BHJP
   B60W 40/02 20060101ALI20220810BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20220810BHJP
   G01S 17/931 20200101ALI20220810BHJP
【FI】
G01S7/481 A
B60W40/02
B60W60/00
G01S17/931
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021538998
(86)(22)【出願日】2019-12-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(86)【国際出願番号】 US2019068351
(87)【国際公開番号】W WO2020142316
(87)【国際公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】62/788,368
(32)【優先日】2019-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519174791
【氏名又は名称】ブラックモア センサーズ アンド アナリティクス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】アンガス,エドワード ジョーゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ギャロウェイ,ライアン ムーア
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-148556(JP,A)
【文献】特開2007-155467(JP,A)
【文献】特開2006-226931(JP,A)
【文献】特開平11-044750(JP,A)
【文献】特開2007-214564(JP,A)
【文献】特開2011-203122(JP,A)
【文献】国際公開第2017/018065(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102017200692(DE,A1)
【文献】米国特許第05227910(US,A)
【文献】特表2004-538492(JP,A)
【文献】特開平11-305156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 - 7/51
17/00 - 17/95
G02B 26/10 - 26/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のファセット(Facets)を含むポリゴン偏向器(Polygon Deflector)と、
前記ポリゴン偏向器に回転可能に結合され、第1平面に直交する第1軸を中心に前記ポリゴン偏向器を回転させるように構成されるモーターと、
前記ポリゴン偏向器の内部に位置し、前記複数のファセットのうち、特定のファセットに入射される第1ビームをコリメート(Collimate)するように構成される光学装置と、を含み、
前記複数のファセットのうち、第1ファセットは、前記第1平面に対して第1ファセット角度で配向し、
前記複数のファセットのうち第2のファセットは、前記第1平面に対して第2ファセット角度で配向し、
前記第1ファセット角度は、前記第2ファセット角度とは異なり、
前記複数のファセットのうち、前記特定のファセットは、前記ポリゴン偏向器が第2ビームを出力するために前記第1軸を中心に回転する際、前記第1ビームを前記第1平面内で第1角度と第2角度との間で屈折させるように構成され、
前記ポリゴン偏向器は、50%よりも大きいデューティサイクル(Duty Cycle)を有し、前記デューティサイクルは、前記ポリゴン偏向器が回転する持続時間に対する前記ポリゴン偏向器が前記第1ビームを屈折させる持続時間に基づくLIDAR装置。
【請求項2】
前記複数のファセットは、前記複数のファセットのそれぞれが前記第1ビームを前記第1平面に直交する第2平面内で屈折させて構成されるように、前記ポリゴン偏向器の上部または下部のうちの1つと非直交(Non-Orthogonal)角度を形成する請求項1に記載のLIDAR装置。
【請求項3】
前記第1平面内の複数の第1ビームは、前記第1ビームを含み、
前記LIDAR装置は、前記ポリゴン偏向器の内部で前記複数の第1ビームを送信するように構成された平面ファイバーアレイ(Planar Fiber Array)を含み、
前記光学装置は、前記第1平面に直交する第2平面内で角度拡散(Angular Spread)を有する前記複数のビームを成形するように構成された請求項1に記載のLIDAR装置。
【請求項4】
前記平面ファイバーアレイは、前記光学装置の焦点面(Focal Plane)に取り付けられる請求項3に記載のLIDAR装置。
【請求項5】
前記角度拡散は、前記ファイバーアレイ内のファイバーの横方向の間隔に基づく請求項3に記載のLIDAR装置。
【請求項6】
前記光学装置は、前記第1ビームをコリメートするように構成される第1レンズおよび偏向した第1ビームを提供するために、前記コリメートされた第1ビームを偏向させるように構成された第2レンズを含み、
前記ポリゴン偏向器の内部表面は、前記ポリゴン偏向器内で前記偏向した第1ビームをコリメートするように構成された請求項3に記載のLIDAR装置。
【請求項7】
前記第1レンズは、非球面レンズ(Aspheric Lens)であり、前記第2レンズは、前記内部表面と同じ曲率を有するポジティブ円筒レンズ(Positive Cylindrical Lens)である請求項6に記載のLIDAR装置。
【請求項8】
前記光学装置は、一対のミラーをさらに含み、前記一対のミラーは、前記一対のミラーのうち、第1ミラーが前記第1ビームを前記平面ファイバーアレイから前記一対のミラーのうち、第2ミラーに反射して構成されるように互いに対して位置し、前記第2ミラーは、前記第1ビームを前記第1レンズに反射するように構成される請求項6に記載のLIDAR装置。
【請求項9】
前記光学装置は、自由形状の円環体単一レンズ(Free form Toric Single Lens)である請求項3に記載のLIDAR装置。
【請求項10】
それぞれのファセットは、前記ポリゴン偏向器の屈折率対前記ポリゴン偏向器を囲む媒質の屈折率の割合に基づいて前記第2平面内の前記第1ビームの角度拡散を増加させるように構成された請求項3に記載のLIDAR装置。
【請求項11】
前記モーターは、
前記内部を定義する前記ポリゴン偏向器の内部表面に回転可能に結合された複数のベヤリング(Bearing)と、
前記第1軸を中心に前記ポリゴン偏向器を回転させるためにコイルによって作動する回転子(rotor)と、
前記ポリゴン偏向器の前記内部に位置する固定子(Stator)と、を含むブラシレス(Brushless)DCモーターであり、
前記固定子は、前記光学装置が位置するキャビティ(Cavity)を定義する請求項1に記載のLIDAR装置。
【請求項12】
前記ポリゴン偏向器は、前記第1ビームの波長で透過性(Transmissive)である請求項1に記載のLIDAR装置。
【請求項13】
検出器アレイと、
プロセッシング回路をさらに含み
前記プロセッシング回路は、
前記ポリゴン偏向器が前記第1軸を中心に回転周波数で回転するようにし、
前記ポリゴン偏向器が前記第1ビームを前記第1軸に直交する第1平面内で第1角度と第2角度との間で屈折させるように、レーザーソース(Laser Source)が前記ポリゴン偏向器の内部で前記第1ビームを送信するようにし、
前記第1ビームに応答してオブジェクトから前記検出器アレイに受信された第2ビームに基づいて前記検出器アレイから信号を受信し、
前記検出器アレイから受信された前記信号に基づいて前記オブジェクトまでの距離を決定するように構成される請求項1ないし請求項12のいずれか一項に記載のLIDAR装置。
【請求項14】
請求項1ないし請求項13のいずれか一項に記載のLIDAR装置を含む自律走行車。
【請求項15】
請求項13に記載のLIDAR装置を備え、
前記プロセッシング回路は、ステアリングシステム(Steering System)または制動システム(Braking System)のうち、少なくとも1つに、1つ以上の信号を送信する請求項14に記載の自律走行車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願についての相互参照
本出願は、全開示の内容が本明細書に参照として含まれる2019年1月4日に出願した米国臨時出願番号第62/788、368号についての優先権およびその利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
光学検出および距離測定(Light Detection and Ranging)のための多くの場合ニーモニック(Mnemonic)のLIDARと呼ばれ、時々レーザーレーダー(Radio-Wave Detection and Ranging)とも呼ばれるレーザーを用いた光学距離検出は、高度測定から、イメージング、衝突回避に至るまで様々な応用のために使用される。LIDARは、RADARのような従来のマイクロ波距離測定システム(Microwave Ranging System)よりも小さいビームサイズでより微細なスケールの距離解像度(Range Resolution)を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
少なくとも1つの態様は、LIDAR装置に関するものである。LIDAR装置は、複数のファセット(Facets)を含むポリゴン偏向器(Polygon Deflector)を含み得る。LIDAR装置は、ポリゴン偏向器に回転可能に結合されたモーターを含み得る。モーターは、第1平面に直交する第1軸を中心にポリゴン偏向器を回転させるように構成される。LIDAR装置は、ポリゴン偏向器の内部に位置した光学装置を含み得る。光学装置は、複数のファセットのうち、特定のファセットに入射される第1ビームをコリメート(Collimate)するように構成される。複数のファセットのうち、特定のファセットは、ポリゴン偏向器が第2ビームを出力するために第1軸を中心に回転する際、第1ビームを第1平面内で第1角度と第2角度との間で屈折させるように構成される。
【0004】
少なくとも1つの態様は、LIDARシステムに関するものである。LIDARシステムは、複数のファセットを含むポリゴン偏向器を含み得る。LIDARシステムは、検出器アレイを含み得る。LIDARシステムは、ポリゴン偏向器が第1軸を中心に回転周波数で回転するようにし、ポリゴン偏向器が第1ビームを第1軸に直交する第1平面内で第1角度と第2角度との間で屈折させるように、レーザーソースがポリゴン偏向器の内部で第1ビームを送信するようにし、第1ビームに応答してオブジェクトから検出器アレイに受信された第2ビームに基づいて検出器アレイから信号を受信し、検出器アレイから受信された信号に基づいてオブジェクトまでの距離を決定するように構成されたプロセッシング回路を含み得る。
【0005】
少なくとも1つの態様は、LIDAR装置を含む自律走行車に関するものである。LIDAR装置は、複数のファセットを含むポリゴン偏向器を含み得る。LIDAR装置は、ポリゴン偏向器に回転可能に結合されたモーターを含み得る。モーターは、第1平面に直交する第1軸を中心にポリゴン偏向器を回転させるように構成される。LIDAR装置は、ポリゴン偏向器の内部に位置した光学装置を含み得る。光学装置は、複数のファセットのうち、特定のファセットに入射される第1ビームをコリメートするように構成される。複数のファセットのうち、特定のファセットは、ポリゴン偏向器が第2ビームを出力するために第1軸を中心に回転する際、第1ビームを第1平面内で第1角度と第2角度との間で屈折させるように構成される。
【0006】
少なくとも1つの他の態様は、方法に関するものである。この方法は、モーターによって複数のファセットを含むポリゴン偏向器を第1軸を中心に回転させるステップと、ポリゴン偏向器の内部にある光学装置によってファセットのうちの1つに入射するビームを成形(Shaping)するステップと、ポリゴン偏向器が第1軸を中心に回転することによって、前記複数のファセットのそれぞれによって前記ビームを第1軸に直交する第1平面内で第1角度と第2角度との間で屈折させるステップと、を含み得る。当該技術分野の通常の技術者は、本発明の内容が単に例示的であり、いかなる方式でも限定するものと意図されていないことを理解するであろう。本明細書に説明された任意の特徴は、任意の他の特徴とともに使用でき、これらの特徴の任意の部分集合は、様々な実施例に基づいて組み合わせて使用できる。請求項によってのみ定義される本明細書に説明された装置および/または方法の他の態様、発明的特徴と利点は、本明細書に説明され、添付された図面と一緒に取られる詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
添付図面において、実施例は、制限的な方式ではなく、例示的な方式で説明され、類似の参照番号については、類似の要素を指す。
【0008】
図1a】一実施例によって一連の2進数(Binary Digit)の例示的な送信された信号を距離の測定のためにリターンされた光信号とともに示す概略的なグラフであり、
図1b】一実施例によって基準信号の例示的なスペクトルとドップラーシフトされたリターンされた信号(Doppler Shifted Return Signal)の例示的なスペクトルを示す概略的なグラフであり、
図1c】一実施例によってドップラーシフトされたリターンされた信号の位相成分の例示的な交差-スペクトル(Cross-Spectrum)を示す概略的なグラフであり、
図1d】一実施例によって例示的な光チャープ(Optical Chirp)距離測定を示す一連のグラフであり、
図1e】対称LO信号を使用するグラフであって、一実施例によってドップラーシフトがないとき、リターンされた信号を周波数時間プロット(Frequency Time Plot)で破線として示し、
図1f】対称LO信号を使用する図1eと同様のグラフであって、一実施例によって非ゼロドップラーシフトがあるとき、リターンされた信号を周波数時間プロットで破線として示し、
図2a】一実施例によって高解像度(Hi-res)LIDARシステムの例示的なコンポーネントを示すブロック図であり、
図2b】一部の実施例で使用される高解像度ドップラーシステムのための鋸歯(Saw Tooth)スキャンパターンを示すブロック図であり、
図2c】一実施例によって高解像度ドップラーLIDARシステムによって生成された例示的な速度ポイントクラウド(Speed Point Cloud)を示すイメージであり、
図2d】一実施例によって図2aのシステムのスキャニング光学装置の例示的なコンポーネントを示すブロック図であり、
図2e】一実施例によって車両に取り付けられた少なくとも1つの高解像度LIDARシステムを含む例示的なシステムを示すブロック図であり、
図3】視野(Field of View)にわたって入射ビームを反射するように、モーターによって回転するポリゴンリフレクター(Polygon Reflector)を含む従来のアセンブリの一例を示すブロック図であり、
図4】一実施例によって偏向器の内部から入射されるビームを屈折させるように、モーターによって回転するポリゴン偏向器(Polygon Deflector)を含むアセンブリの一例を示すブロック図であり、
図5a】一実施例によって偏向器の内部から入射されるビームを屈折させるように、モーターによって回転するポリゴン偏向器を含むアセンブリの側面断面図(Cross-Sectional Side View)の一例を示す概略図であり、
図5b】一実施例によって図5aのポリゴン偏向器の上面断面図(Cross-Sectional Top View)の一例を示す概略図であり、
図5c】一実施例によって図5aのアセンブリの平面ファイバーアレイの側面図の一例を示す概略図であり、
図5d】一実施例によって図5aのアセンブリのレンズアセンブリの側面図の一例を示す概略図であり、
図5e】一実施例によって2つの回転位置にある図5aのポリゴン偏向器の一例を示す概略図であり、
図5f】一実施例によって図5aのポリゴン偏向器の部分側面断面図の一例を示す概略図であり、
図5g】一実施例によって図5aのアセンブリに使用された円環体レンズ(Toric Lens)の切断断面図の一例を示す概略図であり、
図6】一実施例によって第1平面内で第1角度と第2角度との間のビームのスキャンパターンを最適化するための例示的な方法を示すフローチャートであり、
図7】一実施例によるコンピュータシステムを示すブロック図であり、
図8】一実施例によるチップセット(Chip Set)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
LIDARシステムのスキャニングのための方法と装置、システム、およびコンピュータ読み取り可能な媒体が説明される。一部の実施例が高解像度LIDARシステムに関連して後述される。実施例は、ドップラー(Doppler)および非-ドップラー(Non-Doppler)LIDARシステムを含むLIDARシステムの単方向スキャン要素(Unidirectional Scan Element)によるビームスキャニングの最適化に関連して説明される。実施例は、ポリゴン偏向器(Polygon Deflector)、例えば、ポリゴン偏向器の内部からポリゴン偏向器のファセット(Facet)に入射するビームを偏向させたり屈折させるように構成されたポリゴン偏向器によるビームスキャニングの最適化に関連して説明される。ポリゴン偏向器は、ポリゴン構造に基づいた多数のファセットを有するポリゴン形状の要素であり得る。それぞれのファセットは、ポリゴン偏向器が軸を中心に回転する際、視野(Field of View)にわたって偏向を行うように(例えば、ファセット上の入射光ビーム(Incident Light Beam)を反射したり、ポリゴン形状の要素の内部からの入射光ビームを屈折するように)構成される。ポリゴン偏向器は、ポリゴン偏向器が回転する間、隣接するファセットの間のファセットブレーク(Facet Break)を介してビームが遷移するとき、視野にわたってビームを繰り返しにスキャンする。一部の実施例は、個人用自動車のフロントに設置された単一の高解像度ドップラーLIDARシステムに関連して説明されるが、様々な実施例は、これに限定されない。一部の実施例は、ビームのレーザーエッチング(Laser Etching)、表面処理、バーコードスキャニングおよび屈折スキャニングに関連して用いられ得る。
【0010】
一部のスキャニングシステムは、静的な入射光ビームに対して回転する規則的な形状の反射性オブジェクトであるポリゴンリフレクター(Polygon Reflectors)を活用する。反射性ファセットは、視野上の一方向に光の繰り返し反射を引き起こす。これらのポリゴンリフレクターは、いくつかの欠点が存在し得る。例えば、反射性ファセット上の入射光ビームは、視野が反射性ファセットと同一平面にある入射光ビームを含む角度を有し得ないため、本質的に視野を制限する。視野が入射光ビームを含む角度に拡張され、視野が本質的に入射光ビームによって制限される場合、有用なリターンビームデータを得られない。これは本質的にビームが視野にわたってスキャンされるデューティサイクルまたは時間の割合をポリゴンリフレクターの総動作時間に制限することもできる。本開示内容に応じた様々なシステムおよび方法は、視野にわたって入射光ビームを反射することよりも、視野にわたって入射光ビームを偏向(例えば、屈折)させるポリゴン偏向器を活用する屈折ビーム-ステアリングアセンブリ(Refractive Beam-Steering Assembly)および方法を使用できる。ポリゴン偏向器は、入射光ビームが偏向器の内部から指向されるため、本質的に視野を制限しないため、視野とデューティサイクルの両方を向上させ得る。
【0011】
LIDAR装置は、ビームを、第1平面内で第1角度と第2角度との間でスキャンすることができる。装置は、複数のファセットを含むポリゴン偏向器および当該ポリゴン偏向器に回転可能に結合され、ポリゴン偏向器を第1平面に直交する第1軸を中心に回転させるように構成されたモーターを含む。装置は、ポリゴン偏向器の内部からファセットに入射するビームをコリメートするためにポリゴン偏向器の内部に位置した光学装置をさらに含む。それぞれのファセットは、ポリゴン偏向器が第1軸を中心に回転することにより、ビームを第1平面内で第1角度と第2角度との間で屈折させるように構成される。LIDAR装置を実装するシステムおよび方法が提供され得る。

1.位相エンコーディング(Phase-Encoded)検出概要
【0012】
距離測定のための光位相エンコーディング信号を用いると、送信された信号は、送信された信号の一部についての搬送波(Carrier)と同相(In Phase)であり(位相=0)、次に、短い時間間隔の間にシンボルΔφによって表される1つ以上の位相変化だけ変動し(したがって、位相=Δφ)送信された信号について繰り返しに2以上の位相値の間で前後にスイッチングする。一定の位相の最も短い間隔は、パルス持続時間τと呼ばれるエンコーディングのパラメータであり、通常、帯域で最も低い周波数の多数の周期の持続時間である。逆(1/τ)は、ボーレート(Baud Rate)であり、それぞれのボーは、シンボルを示す。送信された信号の時間中のこのような一定の位相パルスの数(N)は、シンボルの数(N)であり、エンコーディングの長さを示す。2進(Binary)エンコーディングにおいて、2つの位相値が存在し、最も短い間隔の位相が1つの値について0とみなされ得、他の1つの値は、1とみなされ得るため、シンボルは、1ビット(Bit)であり、ボーレートは、ビットレート(Bit Rate)とも呼ばれる。多重(Multiple)位相エンコーディングにおいて、多数の位相値が存在する。例えば、Δφ*{0、1、2および3}のような4つの位相値は、Δφ=π/2(90度)に対して{0、π/2、πおよび3π/2}とそれぞれ同じであり、したがって、4つの位相値は、それぞれ0、1、2、3を示し得る。この例において、それぞれのシンボルは、2ビットであり、ビットレートは、ボーレートの2倍である。
【0013】
位相シフトキーイング(Phase-Shift Keying、PSK)は、基準信号(搬送波)の位相を変更(変調)させることによって、データを伝達するデジタル変調方式を意味する。変調は、正確な時間にサイン入力とコサイン入力を変化させることによって刻印される。無線周波数(RF)において、PSKは、無線近距離通信網(LAN)、無線周波数認識(RFID)およびブルートゥース(登録商標)通信のために手広く使用される。代替的に、一定の基準波(Reference Wave)に対して動作する代わりに、送信は、それ自体に対して動作し得る。単一の送信された波形の位相変化は、シンボルとみなされ得る。前記システムにおいて、復調器は、(基準波に対する)、位相その自体ではなく、受信信号の位相変化を決定する。前記方式が連続する位相の間の差に依存するため、これは、差動位相シフトキーイング(Differential Phase-Shift Keying、DPSK)と称される。復調器が受信信号の正確な位相を決定するために基準信号のコピーを有する必要がないため、DPSKは、通信アプリケーションで通常のPSKよりも確実かつ簡単に具現できる(したがって、これは非コヒーレント(Non-Coherent)すなわち、非同期方式である)。
【0014】
距離の光学的検出は、光学パルスのオブジェクトまでの往復移動時間(Round Trip Travel Time)に基づいた直接距離測定と、送信されたチャープされた(Chirped)光信号とオブジェクトから散乱したリターンされた信号との間の周波数の差に基づいたチャープされた検出と、自然信号から区別できる一連の単一周波数位相変化に基づいた位相エンコードされた検出と、を含むいくつもの他の技術で達成し得る。
【0015】
収容可能な距離精度および検出感度を実現するため、直接長距離(Direct Long Range)LIDARシステムは、低いパルス反復率および非常に高いパルスピークパワーを有する短いパルスレーザーを使用できる。高いパルスパワーは、光学コンポネントの急激な性能低下につながり得る。チャープおよび位相エンコーディングLIDARシステムは、相対的に低いピーク光パワーを有する長い光パルスを使用できる。この構成において、距離精度は、パルス持続時間ではなく、チャープ帯域幅または長さと、位相コードの帯域幅によって増加でき、したがって、優れた距離精度が相変らず獲得され得る。
【0016】
光搬送波(Optical Carrier)を変調するために広帯域無線周波数(Radio Frequency、RF)電気信号を用いて有用な光帯域幅が実現された。LIDARについて、光学検出器でリターンされた信号と組み合わさる基準信号として同じ変調された光搬送波を使用すると、結果に応じた電気信号で基準光信号とリターンされた光信号との間の周波数または位相差に比例するRF帯域における相対的に低いビート(Beat)周波数を生成し得る。検出器における周波数差についてのこのような種類のビート周波数検出は、ヘテロダイン検出(Heterodyne Detection)という。これは直ちに、そして安価に使用できるRFコンポネントを使用できるという長所のような様々な利点を有するものとして当業界に知られている。
【0017】
高解像度距離-ドップラーLIDARシステムは、リターンされた信号でドップラーシフトを検出するための光学コンポネントの配列およびコヒーレント(Coherent)処理を用いてLIDARシステムとそれぞれの外部オブジェクトの間のベクトルで改善された距離だけでなく、相対的な符号を有する速度(Relative Signed Speed)を提供し得る。
【0018】
場合によっては、このような改善は、ターゲット速度があるか、またはなくても、適切な周波数または位相コンテンツを有する鉛筆のような細いレーザービーム(Pencil Thin Laser Beam)で距離を提供する。このようなビームを場面(Scene)にスイープ(Sweep)すると、周囲のオブジェクトの位置および速度に関する情報が獲得され得る。この情報は、自律走行またはドライバー支援自動車のような自律走行車のための制御システムで使用できる。
【0019】
送信機および受信機が同じ装置内にあるため、光距離測定応用にコヒーレントPSKが使用できる。搬送波周波数(Carrier Frequency)は、光周波数(f)であり、RF周波数(f)は、光搬送波(Optical Carrier)に変調される。シンボルの数(N)と持続時間τは、要求される距離精度と解像度を実現するために選択される。シンボルのパターンは、ノイズとコード化した信号の他のソースから区別できるように選択される。したがって、送信された信号とリターンされた信号との間の強い相関関係は、反射するか、または後方散乱した(Backscattered)信号の強い表示であり得る。送信された信号は、1つ以上のシンボルブロックで構成され、それぞれのブロックは、ノイズが存在する場合にも反射するか、または後方散乱したリターンとの強い相関関係を提供するほど十分に長い。送信された信号は、ブロック当たりN個のシンボルのM個のブロックで構成され得、MとNは、負ではない整数である。
【0020】
図1aは、一実施例によって一連の2進数(Binary Digit)として例示的な送信された信号を距離の測定のためにリターンされた光信号とともに示す概略的なグラフ120である。水平軸122は、0(Zero)での開始時間後の時間を任意単位(Arbitrary Unit)で示す。 垂直軸124aは、周波数f+fで光送信信号の振幅を0に相対的な任意単位で表す。垂直軸124bは、周波数f+fで光リターン信号の振幅を0に相対的な任意単位で表し、トレースを分離するために軸124aからオフセットされる。トレース125は、00011010から開始して省略符号で表示されたように、継続するコードを生成するために図1aに示すような位相変化を有するM*N2進シンボルの送信された信号を示す。トレース126は、動いていないオブジェクトから散乱した理想的な(ノイズがない)リターン信号を示す(したがって、リターンは、ドップラーシフトされない)。振幅は、減少されるが、コード00011010は、認識可能である。トレース127は、動いているオブジェクトから散乱し、したがって、ドップラーシフトされる理想的な(ノイズがない)リターン信号を示す。リターンは、適切な光周波数(f+f)になく、予想した周波数帯域内でよく検出されず、したがって、振幅が減少する。
【0021】
リターンの観察された周波数(f’)は、数式1によって与えられるドップラー効果によるリターンの正確な周波数(f=f+f)と異なる。
【数1】

ここで、cは、媒質内の光の速度であり、vは、観察者の速度であり、vは、ソースと受信機を連結するベクトルに従うソースの速度である。観察者とソースが2つの間のベクトル上で同じ方向に、同じ速度で動いている場合、2つの周波数は、同じであることに注目するべきである。2つの周波数の間の差(Δf=f’-f)は、距離測定について問題点を引き起こすドップラーシフト(Δf)であり、数式2によって与えられる。
【数2】

誤差の大きさは、信号の周波数fに応じて増加することに注目するべきである。また、静止したLIDARシステム(v=0)の場合、毎秒10メートル(v=10)で移動するオブジェクトと約500THzの周波数を有する可視光線についてのドップラーシフトの大きさは、約16メガヘルツ(MHz、1MHz=10ヘルツ(Hz)、1Hz=毎秒1サイクル)であることに注目するべきである。以下に説明される様々な実施例において、距離計算のためのデータを処理するためにドップラーシフトの誤差が検出されて使用される。
【0022】
位相コード化した距離測定(Phase Coded Ranging)において、位相コード化したリターンの到達は、送信された信号または他の基準信号をリターンされた信号と交差相関(Cross-Correlations)させることによって、リターンで検出され得、これは、RF信号のためのコードをヘテロダイン(Heterodyne)検出を用いる光検出器(Optical Detector)からの電気信号と交差相関させ、RF帯域に戻すダウンミキシング(Down-Mixing)することによって、実質的に実施され得る。任意の1つのラグ(Lag)のための交差相関は、2つのトレースをコンボリューション処理(Convolving)することによって、すなわち、2つのトレース内の対応する値を乗じ、トレース内のすべての点(Point)について加算した後、それぞれのタイムラグ(Time Lag)について繰り返すことによって計算され得る。交差相関は、2つのトレースそれぞれのフーリエ変換を乗じた後に逆方向フーリエ変換(Inverse Fourier Transform )することによって達成され得る。順方向および逆方向の高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform、FFT)は、ハードウェアおよびソフトウェアで効率的に実施され得る。
【0023】
交差相関の計算は、リターンの振幅と位相が光検出器から検出された後に、アナログまたはデジタル電気信号を用いて行われることに注目するべきである。光検出器における信号を容易にデジタル化できるRF周波数の範囲に移動させるために、光リターン信号は、検出器に衝突する前に基準信号と光学的にミックス(Mix)される。位相エンコードされた送信された光信号のコピーは、基準信号として使用できるが、レーザーによって出力される連続波搬送周波数光信号(Continuous Wave Carrier Frequency Optical Signal)を基準信号として使用し、検出器によって出力される電気信号の振幅と位相の両方をキャプチャすることも可能であり、多くの場合好ましい。
【0024】
動いていないオブジェクトから反射した(したがって、リターンは、ドップラーシフトされない)理想的な(ノイズがない)リターン信号について、ピークは、送信された信号の開始後に時間Δtから発生する。これは、リターンされた信号が時間Δtで開始する送信された位相コードのバージョンを含むことを示す。反射する(または、後方散乱する)オブジェクトまでの距離Rは、数式3によって与えられるように、媒質内の光の速度Cに基づいた双方向の移動時間遅延(Two Way Travel Time Delay)から計算される。
【数3】
【0025】
動いているオブジェクトから散乱した(したがって、リターンがドップラーシフトされる)理想的な(ノイズがない)リターン信号について、リターン信号は、適切な周波数ビン(Frequency Bin)内の位相エンコーディングを含まず、相関関係は、すべてのタイムラグ(Time Lag)について低く保持され、ピークは、容易に検出されず、ノイズがある場合には、多くの場合に検出可能ではない。したがって、Δtは、容易に決定されず、距離Rは、容易に生成されない。
【0026】
ドップラーシフトは、リターンされた信号の電気的処理で決定され、交差相関計算を補正するために使用されることができる。したがって、ピークは、より容易に発見され、距離は、より容易に決定され得る。図1bは、一実施例によって、送信された信号の例示的スペクトルとドップラーシフトされた複素数リターン信号の例示的スペクトルを示す概略的なグラフ140である。水平軸142は、光搬送波fからオフセットされたRF周波数を任意単位で表す。垂直軸144aは、スペクトル密度(Spectral Density)とも呼ばれる特定の狭い周波数ビンの振幅を0に相対的な任意単位で表す。垂直軸144bは、スペクトル密度を0に相対的な任意単位で示し、トレースを分離するために軸144aからオフセットされる。トレース145は、送信された信号を示し、ピークは、適切なRFfで発生する。トレース146は、LIDARシステムを向かって動いているオブジェクトから後方散乱してより高い周波数にドップラーシフト(ブルーシフト(Blue Shift)と呼ばれる)された理想的な(ノイズがない)複素数リターン信号を示す。リターンは、適切なRFfでピークを有しない。しかし、代わりにシフトされた周波数fにΔfほどブルーシフトされる。実際に、リターンの同相および直交位相(In-Phase and Quadrature、I/Q)成分をすべて示す複素数リターンは、+Δfでピークを決定するのに使用されるため、ドップラーシフト方向と、センサとオブジェクトとの間のベクトル上でターゲットの移動方向が単一のリターンから検出され得る。
【0027】
一部のドップラー補償(Doppler Compensation)実施例において、図1bに示すように、送信された信号とリターンされた信号の両方のスペクトルを得、それぞれでピークを見つけた後,対応するピークの周波数を減算することによってΔfを捜す代わりに、RF帯域でダウンミックスされたリターンされた信号の同相および直交位相成分の交差スペクトル(Cross Spectrum)を取ることがより効果的であり得る。図1cは、一実施例によって、例示的な交差スペクトルを示す概略的なグラフ150である。水平軸152は、基準スペクトルについての周波数シフトを任意単位で示し、垂直軸154は、交差スペクトルの振幅を0に相対的な任意単位で表す。トレース155は、LIDARシステムを向かって動いている第1オブジェクト(ΔfD1のブルーシフト=図1bのΔf)とLIDARシステムから遠ざかっている第2オブジェクト(ΔfD2のレッドシフト(Red Shift))によって生成された理想的な(ノイズがない)リターン信号との交差スペクトルを示す。1つのピーク156aは、成分の1つがブルーシフトΔfD1されるときに発生し、他のピーク156bは、成分の1つがレッドシフトΔfD2されるときに発生する。したがって、ドップラーシフトが決定される。このシフトは、例えば、衝突防止アプリケーションのためにLIDAR付近でオブジェクトの符号を有する接近速度(Signed Velocity of Approach)を決定するのに用いられ得る。しかし、I/Q処理が完了していない場合、ピークは、+/-ΔfD1および+/-ΔfD2の両方に示され、したがって、ドップラーシフトの符号およびこれによる移動方向で曖昧さが存在し得る。
【0028】
交差スペクトルから検出されるドップラーシフトは、ピーク135がラグΔtでドップラー補償されたドップラーシフトされたリターンで明らかになり、距離Rが決定されるように、交差相関を補正するのに使用できる。一部の実施例において、同時I/Q処理が行われ得る。一部の実施例において、ドップラーリターンの符号(Sign)を決定するために直列I/Q処理が使用できる。一部の実施例において、ドップラーシフトに起因する誤差は、容認されるか、または無視されることがあり、いかなるドップラー補正も距離測定に適用されない。

2.チャープ検出概要(Chirped Detection Overview )
【0029】
図1dは、一実施例によって例示的な光チャープ距離測定(Optical Chirp Measurement of Range)を示す一連のグラフである。水平軸102は、4つのグラフすべてについて同じであり、約ミリ秒(ms、1ms=10-3秒)の時間を任意単位で表す。グラフ100は、送信された光信号として使用される光のビームのパワーを表す。グラフ100の垂直軸104は、送信された信号のパワーを任意単位で表す。トレース106は、時間0で開始する制限されたパルス持続時間τの間、パワーがオン(on)であることを示す。グラフ110は、送信された信号の周波数を示す。垂直軸114は、送信された信号の周波数を任意単位で表す。トレース116は、パルスの持続時間τの間、パルスの周波数がfからfに増加し、これによって帯域幅b=f-fを有することを表す。周波数変化率は、(f-f)/τである。
【0030】
リターンされた信号は、グラフ110のように時間を示す水平軸102と周波数を示す垂直軸114を有するグラフ160に示される。また、グラフ110のチャープ(例えば、トレース116)がグラフ160上に点線で示される。第1リターンされた信号は、強度(図示せず)が減少され、Δtだけ遅延した送信された基準信号を表すことができるトレース166aで与えられる。リターンされた信号が2Rの距離を移動した後に、外部オブジェクトから受信されるとき、リターンされた信号は、前述した数式3によって2R/cで与えられる遅延した時間Δtで開始し、ここで、Rは、ターゲットまでの距離であり、cは、媒質内の光の速度(約3×10m/s)である。この時間の間、周波数fは、距離に基づいた量だけ変更され、周波数変化率に遅延時間を乗じて与えられる。これは、数式4aによって与えられる。
【数4a】

の値は、デチャーピング(De-chirping)と呼ばれる時間ドメインミキシング動作で送信された信号116とリターンされた信号166aとの間の周波数差によって測定されることができる。したがって、距離Rは、数式4bによって与えられる。
【数4b】

パルスが完全に送信された後にリターンされた信号が到着すると、すなわち、2R/cがτよりも大きければ、数式4aおよび4bは、有効ではない。この場合に、基準信号は、リターンされた信号が基準信号と重畳することを保証するように知られている量または定められた量だけ遅延し得る。基準信号の定められた遅延時間または知られている遅延時間は、数式4bから計算された距離に追加される追加距離を提供するために光の速度Cと乗じられる。媒質で光の速度の不確実性によって絶対距離は、不正確であり得るが、これは、ほとんど一定の誤差(Near-Constant Error)であり、周波数差を基盤とした相対的距離は、相変らず非常に正確である。
【0031】
一部の環境において、送信された光ビームにより照明された地点(ペンシルビームの断面(Pencil Beam Cross Section))は、半透明オブジェクトの前方および後方、またはLIDARから様々な距離にあるオブジェクトのより近い部分とより遠い部分、または照明される地点内で2つの分離したオブジェクトのように異なる距離にある2つ以上の異なる散乱体に出会う。このような環境において、グラフ160にトレース166bに表示されたように、第2減少された強度および異なるように遅延した信号も受信されるであろう。これは、数式4bを使用して異なる距離を提供するfの異なる測定値を有することになる。一部の環境においては、複数の追加のリターンされた信号が受信される。
【0032】
グラフ170は、第1リターンされた信号166aと基準チャープ116との間の差の周波数fを示す。水平軸102は、図1dで整列した他のすべてのグラフのように時間を示し、垂直軸164は、はるかに拡大したスケール上で周波数差を示す。トレース176は、送信されたチャープに応答して測定された一定の周波数fを示し、数式4bによって与えられる特定の距離を示す。第2リターンされた信号166bは、存在する場合、デチャーピングの間に他のより大きい値のf(図示せず)を発生させ、結果的に数式4bを使用してより大きい距離を算出するものであろう。
【0033】
デチャーピングは、基準光信号とリターンされた光信号を同じ光検出器に指向させて行われ得る。検出器の電気的出力は、検出器に収束する2つの信号の周波数差と同じか、またはこれに依存するビート周波数(Beat Frequency)によって左右される。このような電気的出力信号のフーリエ変換は、ビート周波数でピークを算出するものであろう。このようなビート周波数は、テラヘルツ(THz、1THz=1012ヘルツ)の光周波数の範囲ではないメガヘルツ(MHz、1MHz=10Hz=毎秒10サイクル)の無線周波数(RF)の範囲内にある。このような信号は、マイクロプロセッサまたは特殊製作されたFFT(Fast Fourier Transform)またはその他のデジタル信号処理(Digital Signal Processing、DSP)集積回路で行われるFFTアルゴリズムのようなRFコンポーネントによって処理される。リターン信号は、(局部発振器(Local Oscillator)の役割をするチャープと比べて)局部発振器の役割をする連続波(Continuous Wave、CW)トーン(Tone)とミックスできる。これは、その自体がチャープである(または、どのような波形が送信されても)検出された信号につながる。この場合、検出された信号は、 デジタイザー(Digitizer)帯域幅の要求事項が一般的により高くなり得るが、デジタルドメインで整合フィルタリング(Matched Filtering)することができる。そうでない場合、コヒーレント検出の肯定的な面は保持される。
【0034】
一部の実施例において、LIDARシステムは、同時アップおよびダウンチャープ(Simultaneous Up and Down Chirps)を生成するように変更される。この接近方式は、他のものの中でも、オブジェクトの速度差、実際に距離を変更するオブジェクトについてのLIDAR位置変更またはビーム内の一時的な散乱体(Scatterers)、またはこれらの組み合わせによって誘発される変動性を除去できる。この接近方式は、アップおよびダウンチャープで測定されたドップラーシフトおよび距離が実質的に同じであり、最も有用に結合され得ることを保証する。ドップラー方式は、高い確率の正確な補償のために周波数空間で非対称にシフトされたリターンペアの並列キャプチャ(Parallel Capture)を保証する。
【0035】
図1eは、一実施例によって対称LO信号を使用するグラフであり、ドップラーシフトがないとき、リターン信号を周波数時間プロット(Frequency Time Plot)で破線として示す。水平軸は、時間を10-5秒(数十マイクロ秒)の例示的な単位で表す。垂直軸は、搬送波周波数fまたは基準信号についての送信された光信号の周波数をギガヘルツ(GHz、1GHz=10ヘルツ)の例示的な単位で表す。パルス持続時間の間、2つの光周波数を含む光ビームがいつでも生成される。1つの周波数が、fから(例えば、光搬送波より1ないし2GHz高い)fに増加し、同時に他の周波数がfから(例えば、光搬送波より1ないし2GHz低い)fに減少する。2つの周波数帯域(例えば、fないしfの帯域1と、fないしfの帯域2)は、重なっておらず、送信された信号およびリターンされた信号が通過周波数fから開始する通過帯域を有する高域通過フィルタや低域通過フィルタまたはこれらの組み合わせによって光学的に分離できる。例えば、f<f<f<f<fであり得る。示されるように、より高い周波数がアップチャープを提供し、より低い周波数がダウンチャープを提供し得る。一部の実施例において、より高い周波数がダウンチャープを生成し、より低い周波数がアップチャープを生成する。
【0036】
一部の実施例において、2つの異なるレーザーソースが毎時間ごとにそれぞれのビームで2つの異なる光周波数を生成するのに使用される。 しかし、一部の実施例において、単一の光搬送波は、単一のRFチャープによって変調され、同時アップおよびダウンチャープの役割をする対称的な側波帯(Symmetrical Sideband)を生成する。一部の実施例において、一般的に、搬送波周波数に多くのエネルギーを残さない2重側波帯マッハツェンダ強度変調器(Double Sideband Mach-Zehnder Intensity Modulator)が使用され、代わりに、ほとんどすべてのエネルギーが側波帯に入る。
【0037】
側波帯対称(Sideband Symmentry)の結果として、同じ次数の側波帯が使用されると、2つの光チャープの帯域幅は、同じであり得る。一部の実施例において、他の側波帯が使用され、例えば、2つの2次側波帯が使用されるか、1次側波帯および重畳しない2次側波帯が使用されるか、または一部の他の組み合わせが使用される。
【0038】
送信(TX)および局部発振器(LO)チャープ波形を選択するとき、システムの周波数シフトされた帯域(Frequency Shifted Band)が利用可能なデジタイザー(Digitizer)帯域幅を最大限に活用できるようにすることが有利である。一般的に、これは0に近い距離周波数ビート(Range Frequency Beat)を有するように、アップチャープまたはダウンチャープをシフトして達成される。
【0039】
図1fは、対称LO信号を使用する図1eと類似のグラフであり、0ではないドップラーシフトがあるとき、この周波数時間プロットでリターン信号を破線として示す。チャープ波形の場合、時間分離したI/Q処理(時間ドメインマルチプレクシング(Time Domain Multiplexing)とも呼ばれる)が他の接近方式のハードウェア要求事項を克服するために使用できる。その場合に、AOMが実数値(Real Valued)の信号についての距離ドップラーの曖昧さを打開するために使用できる。一部の実施例において、スコアリングシステム(Scoring System)がアップおよびダウンチャープリターンをペアリングするのに使用できる。一部の実施例において、I/Q処理がドップラーチャープの符号を決定するのに使用できる。

3.光検出ハードウェア概要
【0040】
図2aは、一実施例によって高解像度距離LIDARシステム200の例示的なコンポーネントを示すブロック図である。光信号は、矢印で表示される。電子的な(Electronic)有線または無線連結は、矢先がない線分で表示される。 レーザーソース212は、持続時間Dを有する位相コード化されるか、またはチャープされた光信号203を生成するために、スプリッタ216の以前または以後に、変調器282aから位相または周波数変調されたビーム(例えば、搬送波)201を放出する。スプリッタ216は、基準経路220に使用するための変調された(または、図示されたように、変調されない)光信号を分離する。ビーム201のエネルギーの大部分を有する本明細書で送信された信号(Transmitted Signal)とも呼ばれるターゲットビーム205が生成され得る。また、少ない量ではあるが、オブジェクト(図示せず)から散乱したリターンされた光291とよくミックスされるのに十分な量のエネルギーを有する変調されるか、または変調されていない基準ビーム207aが生成される。図2aに示されたように、基準ビーム207aは、変調器282bで個々に変調される。基準ビーム207aは、基準経路220を通過し、基準ビーム207bとして1つ以上の検出器に指向される。一部の実施例において、基準経路220は、基準ビーム207bが関心距離の範囲(Spread of Ranges of Interest)内でLIDAR外部のオブジェクトから散乱した光とともに検出器アレイ230に到逹するのに十分な知れた遅延を導入する。一部の実施例において、例えば、基準ビーム207bが別個の発振器から局部的に生成された場合、基準ビーム207bは、局部発振器(Local Oscillator、LO)信号と呼ばれる。様々な実施例において、 柔軟性が低い接近方式からより柔軟な接近方式まで網羅し、基準ビーム207bは、1)経路の長さがよくマッチングされるように検出器アレイで送信されたビームの一部をまた反射させるために場面(Scene)内にミラーを配置すること、2)経路の長さを近くマッチングさせ、特定の距離に対して観察されたり、予測された位相または周波数差を補償するための経路長さ調節を用いたり、利用せず、図2aで提案されたように、検出器アレイ付近の光学機器を用いて基準ビームをブロードキャスト(Broadcast)するためにファイバー遅延(Fiber Delay)を用いること、または、3)経路長さの不一致(Mismatch)を補償するための別個の変調を生成するために周波数シフティング(Frequency Shifting)デバイス(音響光学変調器(Acousto-Optic Modulator、AOM))または(例えば、変調器282b内)局部発振器の波形変調の時間遅延を用いること、または一部の組み合わせを通じて散乱するか、または反射したフィールド(視野)を持って到着することができる。一部の実施例において、オブジェクトは、十分に近く、送信された持続時間は、十分に長く、リターンが遅延なしに、基準信号と十分に重畳する。
【0041】
送信された信号は、例えば、1つ以上のスキャニング光学装置(Scanning Optics)218を介して関心領域を照明するために送信される。検出器アレイは、対をなしているか、または対をなしていない単一の検出器またはオブジェクトからリターンされたビーム291におおよそ垂直な平面に配列された対をなしているか、または対をなしていない検出器の1次元(1D)または2次元(2D)アレイであり得る。基準ビーム207bおよびリターンされたビーム291は、適切に検出される光特性信号を生成するために0またはその以上の光ミキサー284で結合され得る。干渉パターンの周波数、位相または振幅または一部の組み合わせは、獲得システム240によってそれぞれの検出器に対して信号持続時間Dの間、複数回記録され得る。信号持続時間当たり処理される時間的(Temporal)サンプルの数または累積時間(Integration Time)は、ダウン-レンジ規模(Down-Range Extent)に影響を与える。数または累積時間は、信号当たりシンボルの数、信号反復率(Signal Repetition Rate)および可用カメラフレームレート(Available Camera Frame Rate)に基づいて選択される実質的な考慮事項であり得る。フレームレートは、サンプリング帯域幅であり、「デジタイザー周波数(Digitizer Frequency)」と呼ばれる。距離規模(Range Extent)の唯一の根本的な限界は、レーザーのコヒーレンス(Coherence)長さおよび(明確な距離測定のために)それが繰り返す前のチャープまたは固有位相コードの長さである。これは、リターンされたヘテロダイン(Heterodyne)信号またはビット(Bits)のデジタルレコードが以前の送信履歴から送信されたビットの任意の部分と比較されたり、交差相関できるため可能になる。
【0042】
獲得されたデータは、図7を参照して後述されるコンピュータシステムまたは図8を参照して後述されるチップセット(Chip Set)のような処理システム250に利用可能に作られる。スキャナ制御モジュール270は、スキャニング光学装置218を駆動するためのスキャニング信号を提供する。スキャナ制御モジュール270は、図6のフローチャートに関連した方法600の1つ以上のステップを行うためのコマンドを含み得る。処理システム250で符号を有するドップラー補償(Signed Doppler Compensation)モジュール(図示せず)は、ドップラーシフトの符号と大きさを決定し得、任意の他の補正とともにそれに基づく補正された距離を決定し得る。処理システム250は、変調器282a、282bを駆動する1つ以上の電気信号を伝送するための変調信号モジュール(図示せず)を含み得る。一部の実施例において、処理システムは、システム200が設置される車両を制御するための車両制御モジュール272をさらに含む。
【0043】
ターゲット上の焦点または投光照明(Flood)または瞳孔面(Pupil Plane)を通過する焦点についての光カップリング(Optical Coupling)は図示されない。本明細書に使用されたように、光カプラ(Optical Coupler)は、他のものの中でも、真空、空気、ガラス、クリスタル、ミラー、レンズ、光サーキュレータ(Optical Circulator)、ビームスプリッタ、位相板(Phase Plate)、偏光子(Polarizer)、光ファイバー(Optical Fiber)、光ミキサーのような他のコンポーネントを単独または一部の組み合わせのように、1つのコンポーネントから他のコンポーネントに光を指向させるために空間座標内で光の伝搬(Propagation)に影響を与える任意のコンポーネントである。
【0044】
また、図2aは、一実施例による同時アップおよびダウンチャープLIDARシステムのためのコンポーネントの例を示す。図2aに示されたように、変調器282aは、送信されたビーム205の光経路に追加された周波数シフタであり得る。一部の実施例において、周波数シフタがリターンされたビーム291の光経路または基準経路220に追加される。変調器(例えば、AOM、Acousto-Optic Modulator)として使用される装置が関連する損失を有し、損失が多いコンポーネントを受信側に配置するか、または光増幅器の後ろに配置することは、不利であるため、周波数シフタが局部発振器(Local Oscillator、LO、基準経路ともいう)側または送信側(光増幅器の前)に変調器282bとして追加される。光シフタ(Optical Shifter)は、光検出器230によって出力される電気信号の分析において、例えば、処理システム250でFFTコンポーネントによってピックアップできる異なる周波数帯域でアップおよびダウンチャープのビート(Beat)周波数が発生するように、基準信号の周波数について送信された信号(または、リターン信号)の周波数を知られている量(Δf)ほどシフトできる。例えば、距離効果を発生させるブルーシフトがfであれば、アップチャープのビート周波数は、オフセットだけ増加されてf+Δfで表され、ダウンチャープのビート周波数は、f-Δfにオフセットだけ減少される。したがって、アップチャープは、ダウンチャープよりも高い周波数帯域内にあるものであり、これによってこれらを分離する。Δfが予想したドップラー効果よりも大きければ、アップチャープおよびダウンチャープに関連する距離での曖昧さはないだろう。次に、測定されたビートは、適切なアップチャープおよびダウンチャープ距離を得るために知られたΔfの正確に符号が付与された値に補正され得る。一部の実施例において、平衡検出器(Balanced Detector)から由来するRF信号は、FFTを介して分離される帯域とともに直接デジタル化される。一部の実施例において、平衡検出器から由来するRF信号は、直接デジタル化できる低帯域(アップチャープまたはダウンチャープのうち、1つに対応)と基底帯域に電子的にダウンミックスされた(Down-Mixed)後、デジタル化できる高帯域(反対するチャープに対応)に分離するためにアナログRF電子装置を用いて前処理される。様々なこれらの実施例は、検出された信号の帯域を使用可能なデジタイザーリソース(Digitizer Resource)に一致させる経路を提供する。一部(例えば、直接距離測定)の実施例において、変調器282aは除外される。
【0045】
図2bは、高解像度ドップラーシステムのための鋸歯型(Saw Tooth)スキャンパターンを示すブロック図である。スキャンは、(水平に)方位角(Azimuth Angle)の範囲をスイープ(Sweep)し、傾斜角(Inclination Angle)の範囲(0の傾斜で水平方向(Level Direction)の上下に軸224に沿っての垂直に)をスイープする。適応型(Adapted)スキャニングを含む様々なスキャンパターンが使用できる。図2cは、高解像度ドップラーLIDARシステムによって生成された例示的な速度ポイントクラウドを示すイメージである。
【0046】
図2dは、図2aのシステム200のスキャニング光学装置218の例示的なコンポーネントを示すブロック図である。一実施例において、スキャニング光学装置218は、1つの軸に沿って(例えば、図2bの軸222に沿って角度-Aと+Aとの間)ビーム205の作動を制御する振動スキャン要素(Oscillatory Scan Element)226と、他の軸に沿って(例えば、図2bの軸224に沿って)1つの方向にビーム205の作動を制御する単方向等速スキャン要素(Unidirectional Constant Speed Scan Element)228(例えば、ポリゴン偏向器)を含む2つの要素スキャンシステムである。スキャニング光学装置218は、図2aのシステム200に使用できる。スキャニング光学装置218は、ビームのレーザーエッチング、表面処理、バーコードスキャニングおよび屈折スキャニングを含むシステム200のようなLIDARシステム以外のシステムに使用できる。一部の実施例において、振動スキャン要素226は、単方向スキャン要素228なしで提供される。または、他の実装例において、単方向スキャン要素228は、振動スキャン要素226なしで提供される。一実施例において、単方向等速スキャン要素228が軸224に沿って1つの方向にビーム205を同時に作動させる間、振動スキャン要素226は、ビーム205を軸222に沿って反対方向に角度-Aと+Aとの間で作動させる。一実施例において、振動スキャン要素226の作動速度は、双方向であり、等速スキャン要素228の単方向作動速度よりも大きいため、ビーム205は、当該ビームが軸222に沿ってスキャンされるたびに(例えば、Dの角度から+Dまで)軸224に沿って前後(例えば、-Aと+Aとの間で)にスキャンされる。
【0047】
一部の実施例において、スキャナ制御モジュール270は、処理システム250から振動スキャン要素226および/または単方向スキャン要素228に機械的に結合されたモーター232に送信される信号を提供する。一実施例において、1つのモーターが振動スキャン要素226に機械的に結合され、他のモーターが単方向スキャン要素228に機械的に結合されるように2つのモーターが提供される。一実施例において、処理システム250から受信された信号に基づいて、モーター232は、信号内のパラメータ(例えば、角速度など)の値に応じて振動スキャン要素226および/または単方向スキャン要素228を回転させる。スキャナ制御モジュール270は、ビーム205が振動スキャン要素226によって要求されるスキャンパターン(例えば、軸222に沿って角度-Aと+Aとの間)で、および/または単方向等速スキャン要素228によって要求されるスキャンパターン(例えば、軸224に沿って角度Dと+Dとの間)でスキャンされるように、信号内のパラメータ値を決定し得る。

4.屈折ビーム-ステアリングのためのコヒーレントLIDARシステム
【0048】
図3は、視野310にわって入射ビーム311を反射するように(図3の平面内における第1角度と第2角度との間で)、モーター(図示せず)によって回転するポリゴンリフレクター304を含むアセンブリ300を示すブロック図である。ポリゴンリフレクター304は、複数の反射性ファセット306(例えば、六角形リフレクター内の6つのファセット)を含む。それぞれのファセット306は、リフレクター304が回転軸を中心に回転することにより、入射ビーム311を視野310を定義する反射されたビーム312に反射する。視野310は、入射ビーム311がファセット306内の第1および第2ブレーク(Break)に出会うときに定義できる。視野310が入射ビーム311と一致する角度を含むことができないため、視野310は、ファセット306と同一平面にある入射ビーム311の位置によって制限されることができる。このようなスキャン角度について有用なリターンビームデータが収集できないため、視野310は、入射ビーム311を含むことができない。したがって、同一平面であり、ファセット306の外部表面に入射する入射ビーム311の特性のために、ポリゴンリフレクター304は、限られた視野310を有する。この視野310は、ポリゴンリフレクター304のデューティサイクルを制限でき、このデューティサイクルは、アセンブリ300の総動作時間についてファセット306が視野310にわたってビーム312を反射する時間として定義される。このデューティサイクルは、従来のポリゴンリフレクター304の約50%であり得る。
【0049】
図4は、モーター232によって回転され、偏向器404の内部432から入射されるビーム411を偏向(例えば、屈折)させるポリゴン偏向器404を含むアセンブリ400を示すブロック図である。ポリゴン偏向器404は、単方向等速スキャン要素228を含み得、このスキャン要素は、図2aのシステム200に使用されたり、使用されないことがある。入射ビーム411は、ポリゴン偏向器404の内部432に位置した光学装置405(例えば、1つ以上のレンズまたはミラー)によって成形(Shaping)(例えば、コリメート)されることができる。入射ビーム411は、内部432の光学装置405によって成形される前にポリゴン偏向器404の外部から内部432に指向されることができる。一部の実施例において、複数の入射ビーム411は、ファセット406に向かう前に光学装置405によって提供されて成形される。ファセット406は、ファセット406の屈折率およびファセット406に入射されるビーム411の入射角に応じて、Snellの法則に基づいて、入射ビーム411を屈折したビーム412に屈折させることができる。一実施例において、視野410は、第1ファセット406で入射ビーム411のファセットブレークの間の屈折したビーム412によって定義される。一実施例において、視野410は、ポリゴンリフレクター304における視野310よりも大きい。一実施例において、約90度以下の視野310と比較すると、視野410は、約90度(例えば、シリコンのような高屈折率物質で製造されたポリゴン偏向器404)、または約50度(例えば、非特異(non-exotic)物質で製造されたポリゴン偏向器404)である。一実施例において、(例えば、対向するファセット406の間の距離として定義される)ポリゴン偏向器404の幅は、(例えば、対向するファセット306の間の距離として定義さされる)ポリゴンリフレクター304の幅とほぼ同じであり、それぞれのファセット406の幅は、それぞれのファセット306の幅とほぼ同じである。したがって、アセンブリ300と比較してアセンブリ400の省スペースは、ポリゴン偏向器404に対してアセンブリ300の外部コンポーネント(例えば、入射ビーム311を指向させるコリメータ)を必要としていないアセンブリ400に起因し得る。一実施例において、ポリゴン偏向器404は、(例えば、偏向器404両側のファセット406の間で測定された)約70mmの幅および各ファセット406を伴う約44mmの長さを有する。一実施例において、ポリゴンリフレクター304は、ポリゴン偏向器404と同様の寸法を有するが、(例えば、入射ビーム311を指向するために)約50mmの寸法にポリゴンリフレクター304から約25mm離隔された追加のコリメータを有する。したがって、ポリゴン偏向器404の前方領域の長さは、約140mmであるポリゴンリフレクター304に比べて約70mmである。一実施例において、ポリゴン偏向器404が、モーター232によって回転することにより、入射ビーム411は、それぞれのファセット406によって視野410にわったて連続的に屈折する。一実施例において、ポリゴン偏向器404のデューティサイクルは、50%よりも大きく、および/または約70%および/または約80%よりも大きい。デューティサイクルは、ポリゴン偏向器404の回転および入射ビーム411の成形に基づく第2時間に対する入射ビーム411の屈折に基づく第1時間の割合に基づくことができる。
【0050】
図5aは、モーター534によって回転され、偏向器501の内部532から入射されるビーム580を屈折させるポリゴン偏向器501を含むアセンブリ500の側面断面図の一例を示す概略図である。図5bは、図5aのポリゴン偏向器501の上面断面図の一例を示す概略図である。一実施例において、ポリゴン偏向器501は、複数のファセット506を含む。一実施例において、ポリゴン偏向器501は、透過性であるか、またはビーム580の波長で高い(例えば、約90%よりも高い)伝送特性(Transmission Characteristics)を有する物質で製造される。図5a-図5bは、六角形の偏向器(例えば、6つの側面)を示しているが、様々な実施例は、六角形の偏向器で制限されず、任意の数の側面を有する任意のポリゴン偏向器を含み得、同じ角度と同じファセット506の幅を有する正多角形である必要はないが、例えば、ファセット506の角度または幅が同じではない不規則な多角形であり得る。
【0051】
ポリゴン偏向器501は、モーター534に回転可能に結合し得る。一実施例において、モーター534は、回転軸540を中心にポリゴン偏向器501を回転させる。一実施例において、回転軸540は、ポリゴン偏向器501が回転速度502に回転する第1平面541(図5bの平面)に直交する。図5a-図5bは、回転速度502が時計回りであることを表現しているが、回転速度502は、反時計回りであり得る。一実施例において、回転速度の大きさは、約100rpm(Revolutions per Minute)ないし約1、000rpmおよび/または約10rpmないし約10、000rpmである。一部の実施例において、回転速度の大きさは、ここに開示された数値範囲よりも大きいサイズであり得る。一実施例において、モーター534は、内部532を定義するポリゴン偏向器501の内部表面536に回転可能に結合された複数のベアリング520a、520bを含むブラシレスDC(Brushless DC、BLDC)モーターである。モーター534は、回転軸540を中心にポリゴン偏向器501を回転させるためにコイル524によって作動する回転子(rotor)522を含み得る。モーター534は、ポリゴン偏向器501の内部532に部分的に位置する固定子(Stator)526を含み得、固定子526は、ファセット506に入射する入射ビーム580をステアリングするために光学機器が位置したキャビティ(Cavity)を定義する。固定子は、コイル524を駆動して回転子522を作動させるために電磁場を出力し得る。一実施例において、モーター534は、マサチューセッツ州ブレインツリーに所在するNidec Corporationによって製造されたBLDCモーターである。
【0052】
一実施例において、ファセット506に入射する入射ビーム580をステアリングするために1つ以上の光学装置がポリゴン偏向器501の内部532に配置される。一実施例において、光学装置は、複数のレンズおよび/または一対のミラー528a、528bを含むレンズアセンブリ505を含む。一実施例において、レンズアセンブリ505は、自由形状の円環体単一レンズ(Free form Toric Single Lens)である。
【0053】
図5gは、図5aのアセンブリ500に使用される円環体単一レンズ505’の切断断面図の一例を示す概略図である。一実施例において、円環体レンズ505’は、レンズアセンブリ505の代わりに使用される。一実施例において、円環体レンズ505’は、円筒レンズの一部の特性および球面レンズの他の特性を特徴とし、および/またはレンズアセンブリ505の第1および第2レンズの光学組み合わせであるドーナツ形のハイブリッドレンズであるため、選択される。一実施例において、モジュール270のソフトウェアコマンドは、レンズアセンブリ505と同等の円環体レンズ505’の複数のパラメータ値を決定するための複数のコマンドを含み得る。一実施例において、ビーム580が、レンズアセンブリ505の焦点面(Focal Plane)(例えば、図5aの平面543)に取り付けられた平面ファイバーアレイ(Planar Fiber Array)529を有する内部532に送信される。
【0054】
図5cは、一実施例によって図5aのアセンブリ500の平面ファイバーアレイ529の側面図の一例を示す概略図である。一実施例において、図5cは、図5aと同じ平面543(例えば、レンズアセンブリ505の焦点面)に沿って取ったものである。一実施例において、平面ファイバーアレイ529は、個々の横方向の間隔(Transverse Spacing)584a、584bほど離隔した複数のファイバー582a、582b、582cを含む。図5cの平面ファイバーアレイ529に3つのファイバー582が示されているが、これはただの一例であり、3つより多いか少ないファイバー582が平面ファイバーアレイ529に提供され得る。一部の実施例において、横方向の間隔584a、584bは、隣接するファイバー対の間で同じである。一部の実施例において、横方向の間隔584a、584bは、隣接するファイバー対の間で同じではない(例えば、ファイバー582a、582bの間の間隔584aは、ファイバー582b、582cの間の間隔 584bと同じではない)。一実施例において、個々のビーム580は、各ファイバー582の先端(Tip)から送信され、したがって、複数のビーム580がファイバー582の先端から内部532(例えば、固定子526のキャビティ530)内に送信される。1つの例示的な実施例において、平面ファイバーアレイ529は、中国広東省中山に所在するZhongshan Meisu Technology Companyによって製造された固定間隔ファイバーアレイ(Fixed Spacing Fiber Array)および平面光波回路(Planar Lightwave Circuit、PLC)連結体である。
【0055】
図5aに示すように、平面ファイバーアレイ529から送信された複数のビーム580は、第1ミラー528aによって、第2ミラー528bに反射されることができ、第2ミラーは、再び複数のビーム580をレンズアセンブリ505に反射する。一実施例において、ミラー528a、528bは、ミラー528bによって反射されたビーム580がミラー528aに入射するビーム580の方向から約180度の方向に指向されるように、互いに直角(例えば、90度または約70度ないし約110度の範囲内の角)をなす。一実施例において、ビーム580は、第1ミラー528aより第2ミラー528bの方が、より広い角度分布をカバーするため、第2ミラー528bは、第1ミラー528aよりも長い反射表面を有する。例示的な実施例において、ミラー528は、ニュージャージー州バーリントンに所在するEdmunds Opticsによって製造される。
【0056】
図5dは、一実施例によって図5aのアセンブリ500のレンズアセンブリ505の側面図の一例を示す概略図である。一実施例において、図5dは、図5bの平面541に沿って取ったものである(例えば、図5aの平面543に直交する)。一実施例において、レンズアセンブリ505は、第2ミラー528bから第1レンズ582に反射される発散するビーム580をコリメートする第1レンズ582を含む。一実施例において、第1レンズ582は、第2ミラー528bから発散するビーム580が非球面レンズ(Aspheric Lens)によってコリメートされるように選択される焦点距離(Focal Length)を有する非球面レンズである。一実施例において、非球面レンズの焦点距離は、第2ミラー528b越しに延長される。
【0057】
図5dに示すように、第1レンズ582からコリメートされたビーム580’は、第2レンズ584によって転向(Divert)することができる。一実施例において、第2レンズ584は、ポジティブ円筒レンズ(Positive Cylindrical Lens)の焦点距離に基づいてビームを収束させるポジティブ円筒レンズである。一実施例において、第2レンズ584から収束するビーム580’’は、ビーム580’’’がポリゴン偏向器501内でコリメートされ、ファセット506に入射するように、内部532を定義するポリゴン偏向器501の内部表面536によって屈折する。例示的な実施例において、第1レンズ582の焦点距離は、約40~50mm、および/または約20~60mmであるため、約10μmモードフィールド直径(Mode Field Diameter、MFD)および/または約6~14μmMFDの標準光ファイバーを使用して直径が約8~10mm、および/または約6~12mmであるビーム580’を生成する。一実施例において、ファイバーアレイ529内でビームの間隔584a、584bは、約127μmの増分またはその倍数であるため、約1~4度の総円弧角の範囲(Total Subtended Angular Spread)560を得られる。一実施例において、ポジティブ円筒レンズの曲率は、内部表面536の曲率と同じであり、および/またはポジティブ円筒レンズから空気への屈折率遷移は、内部表面536を超えて空気からポリゴン偏向器501への屈折率遷移と反対である。一実施例において、第2レンズ584の屈折率は、約1.7または約1.3ないし約1.8の範囲にあり、ポリゴン偏向器501の屈折率は、約1.7または約1.3ないし約1.8の範囲にあり、ポジティブ円筒レンズおよび内部表面536の曲率は、約25.4mmの半径および/または約20mmないし約30mmの範囲および/または約15mmないし約40mmの範囲にある。ファセット506aに入射するコリメートされたビーム580’’’は、平面541または図5dの平面内ビーム580’’’を表す図5bに示されている。
【0058】
図5eは、2つの回転位置550a、550bにある図5bのポリゴン偏向器501を示す概略図である。一実施例において、内部532からファセット506aに入射するコリメートされたビーム580’’’は、Snellの法則に基づいてファセット506aによって屈折する。
【数5】

ここで、nは、ポリゴン偏向器501の屈折率であり、θは、ファセット506a(の内部)における法線に対するビーム580’’’のファセット506aに対する入射角であり、nは、ビーム512が屈折しているポリゴン偏向器501を囲む媒質の屈折率(例えば、空気=1)であり、θは、ファセット506a(の外部)における法線に対するビーム512aの屈折角度である。屈折角度は、回転軸542に直交する軸544に対する角度552aとして測定することができる。図5eに示すように、複数のビーム512aは、(軸544に対して)角度552aに屈折する。ポリゴン偏向器501が軸542を中心に、第1回転位置550aから第2回転位置550bに回転することにより、入射ビーム580’’’は、軸544に対してファセット506aの一側によって屈折するビーム(例えば、角度552aで屈折したビーム512a)でファセット506aの反対側によって屈折するビーム(例えば、角度552bで屈折したビーム512b)になって屈折したビーム512の視野510を定義することができる。一実施例において、視野510は、約50度(例えば、ポリゴン偏向器501の屈折率が約1.6である場合)と、約90度(例えば、シリコンのような高屈折率の屈折物質について屈折率がより高い場合)である。
【0059】
図5fは、図5aのポリゴン偏向器501の部分側面断面図の一例を示す概略図である。一実施例において、図5fは、図5aの平面543内にある。一実施例において、入射ビーム580’’’が平面543内に示され、入射ビーム580’’’の角度拡散560が示される。一実施例において、角度拡散560は、数式6によって、平面ファイバーアレイ529のファイバー582の横方向の間隔584に関連している。
【数6】

ここで、yは、レンズアセンブリ505の焦点面外部のファイバー582の距離、例えば、平面543の外部のファイバー582の距離であり、焦点距離は、レンズアセンブリ505のレンズ582の焦点距離である。一部の実施例において、ファセット506は、ポリゴン偏向器501の上部または下部と非直交(Non-Orthogonal)角度574を形成する。一実施例において、非直交角度574は、90度以外の任意の角度および/または約75度ないし約105度の範囲の角度および/または約60度ないし約120度の範囲の角度である。さらに、図5fの非直交角度574は、90度未満であるが、例えば、図5aのファセット506bに対する非直交角度574のように、非直交角度574は、90度より大きいことがある。角度574は、ファセット506の一部または全部について直交し、および/または約90度であり得る。角度574は、各ファセット506について非直交であり得るが、1つ以上のファセットに対して変動できる(例えば、1つ以上のファセット506に対して、約90度未満であるが、1つ以上のファセット506に対して約90度より大きいことがある)。角度574が90度未満の1つ以上のファセット506および角度574が90度より大きい1つ以上のファセット506の配列の利点は、平面543(図5f)内の屈折したビーム512が(角度574が90度未満のファセット506に対して)水平軸544の上と(角度574が90度より大きいファセット506に対して)水平軸544の下の間を行き来する(Alternate)ことができるというものである。これは(例えば、種々の範囲内でオブジェクトからのリターンビームデータを取得するために)ビーム512が平面543内で種々の範囲にわたってスキャンされるように許容できる。
【0060】
一実施例において、ファセット506に入射される入射ビーム580’’’は、ファセット506による屈折後に、より大きな角度拡散562に広がる角度拡散560を有する。一実施例において、角度拡散562は、ポリゴン偏向器501を囲む媒質の屈折率(例えば、空気=1)に対するのポリゴン偏向器501の屈折率(例えば、n=1.5)の割合に応じて広がる。例示的な実施例において、各ビーム580’’’がファセット506に入射する約1度の角度の間隔を有する場合、それぞれの屈折したビーム512は、例えば、ポリゴン偏向器内のビーム580’’’の角度の間隔と屈折率の割合の積である約1.5度の角度の間隔を有する。
【0061】
一実施例において、角度拡散を広げることに加えて、平面543内のビーム512の順方向(Net Direction)がファセット506での屈折によって変更される。一実施例において、平面543内で数式5のSnellの法則に基づいて、ファセット506に入射する入射ビーム580’’’の中心線570は、屈折したビーム512の中心線572にファセット506によって屈折する。したがって、屈折したビーム512の角度拡散562の増加に加えて、ファセット506は、入射ビーム580’’の中心線570に対して、屈折したビーム512の中心線572の方向を変更できる。一実施例において、角度拡散560の変化は、例えば、ビーム580の間が約1度の角度拡散560からビーム580の間が約1.5度の角度拡散562まで約50%程度変化することができる。一実施例において、中心線572は、中心線570に対して+5度、+10度、-5度、-10度程度に変化する。

5.車両制御概要
【0062】
一部の実施例において、車両は、車両に取り付けられた高解像度ドップラーLIDARシステムから受信されたデータに基づいて少なくとも部分的に制御される。
【0063】
図2eは、一実施例によって車両238に取り付けられた少なくとも1つの高解像度ドップラーLIDARシステム236を含む例示的なシステム234を示すブロック図である。一実施例において、LIDARシステム236は、LIDARシステム200のうち、1つと類似している。車両は、星242に表示された質量中心を有し、矢印244によって与えられた前方方向に移動する。一部の実施例において、車両238は、処理システム250の車両制御モジュール272のようなプロセッサの信号に応答して動作されるステアリングまたは制動システム(図示せず)のようなコンポネントを含む。一部の実施例において、車両は、図8に示されたチップセットのようなオン-ボード(On-Board)プロセッサ246を有する。一部の実施例において、オン-ボードプロセッサ246は、図7に示されたように、遠隔プロセッサと有線または無線で通信する。一実施例において、LIDARシステムの処理システム250は、オン-ボードプロセッサ246と通信可能に結合されたり、(例えば、LIDARシステム236から受信された情報を使用して検出される1つ以上のオブジェクトに対する衝突回避を行うために)車両制御モジュール272が処理システム250にとって車両の方向および速度を制御するために車両のステアリングまたは制動システムに1つ以上の信号を送信させるように、オン-ボードプロセッサ246の動作を実行するのに使用される。車両制御モジュール272は、LIDARシステム236を使用して決定された距離データまたは速度データ(方向データ含む)のうち、少なくとも1つを使用して処理システム250の動作を制御できる。高解像度ドップラーLIDARは、方位角視野254だけでなく、車両238周辺のスポット(Spots)を照明する垂直角度を介して一側から将来(Future)のビーム253によって表示される他側にスイープ(Sweep)するスキャニングビーム252を使用する。一部の実施例において、視野は、360度の方位角である。一部の実施例において、振動スキャン要素226および/または単方向スキャン要素228を含むスキャニング光学装置218が方位角視野254または垂直角度を介してビームをスキャンするのに使用できる。一部の実施例において、傾斜角の視野は、約+10度ないし約-10度か、もしくはこれの部分集合である。一実施例において、視野254にわたる最大設計距離(Maximum Design Range)は、約200メートルまたは約150メートルないし約300メートルの範囲である。
【0064】
一部の実施例において、車両は、GPSセンサ、走行距離計(Odometer)、回転速度計(Tachometer)、温度センサ、真空センサ、電圧または電流センサのような補助的なセンサ(図示せず)を含む。一部の実施例において、回転情報を提供するためにジャイロスコープ256が含まれる。

6.コヒーレントLIDARシステムでスキャンパターンを最適化するための方法
【0065】
図6は、LIDARシステムのスキャンパターンを最適化するための例示的な方法600を示すフローチャートである。一実施例において、方法600は、線形勾配を有する要求される波形に基づいて、第1角度と第2角度との間で第1方向にビームのスキャンパターンを最適化するためのものである。一部の実施例において、システム600は、自律走行車に取り付けられたLIDARシステムのスキャンパターンを最適化するためのものである。ステップが図6で例示的目的で特定手順による統合ステップとして示されるが、1つ以上のステップまたはその一部は、異なる手順で行われるか、直列または並列に時間的に重畳して行われたり、省略されたりすることができ、または1つ以上のステップが追加されたり、方法がいくつかの組み合わせ方式に変更される。
【0066】
ステップ601において、ポリゴン偏向器404は、モーターを用いて第1軸を中心に回転する。一実施例において、ステップ601でポリゴン偏向器501は、軸540を中心にモーター534を用いて回転する。一実施例において、ステップ601でポリゴン偏向器404、501を回転させるために1つ以上の信号がモーター232、534に送信され、信号は、回転パラメータの複数の値(例えば、回転速度、回転速度方向、回転持続時間などの値)を表すデータを含む。
【0067】
ステップ603において、複数のビームがポリゴン偏向器404の内部432に送信される。一実施例において、ステップ603で、複数のビーム580がポリゴン偏向器501の内部532の平面ファイバーアレイ529から送信される。一実施例において、ステップ603で内部532からビームを送信するために光源(例えば、レーザーソース)が内部532に位置する。
【0068】
ステップ605において、複数のビームは、内部432の複数の光学装置405によって造形されてビームがコリメートされ、ポリゴン偏向器404の内部432からファセット406に入射される。一実施例において、ステップ605で平面ファイバーアレイ529からの複数のビーム580は、一対のミラー528a、528bによって内部532に位置した第1レンズ582を含むレンズアセンブリ505に反射される。
【0069】
ステップ607において、ステップ605でミラー528a、528bからの複数のビーム580は、第1レンズ582によってビーム580’にコリメートされる。一実施例において、第1レンズ582は、非球面レンズである。
【0070】
ステップ609において、ステップ607で第1レンズ582からの複数のビーム580’は、第2レンズ584によって転向する。一実施例において、第2レンズ584は、ポジティブ円筒レンズであり、ビーム580’は、ポリゴン偏向器501の内部表面534に入射される収束するビーム580’’に収束される。
【0071】
ステップ611において、ステップ609の収束するビーム580’’は、ポリゴン偏向器501の内部表面534によってコリメートされ、コリメートされたビーム580’’’がポリゴン偏向器501に送信され、ファセット506に入射する。
【0072】
ステップ613において、ファセット506に入射するコリメートされたビーム580’’’は、ファセット506によってビーム512として回転軸542に直交する第1平面541に第1角度から平面541内の視野510を定義する第2角度に屈折する。一実施例において、視野510は、ファセット506の一側から反対側に通過するコリメートされたビーム580’’’によって定義され、コリメートされたビーム580’’’がファセット506内のブレーク(Break)越しに通過するときに終了する。一実施例において、コリメートされたビーム580’’’が、隣接するファセット506に通過すると、屈折したビーム512は、平面541内で視野510を介して再-スキャンされる。他の実装例において、ステップ613でファセット506に入射するコリメートされたビーム580’’’は、ビーム512として、第1平面541に直交する第2平面543に屈折する。一実施例において、第2平面543内におけるビーム580’’’の屈折は、ビーム512の角度拡散562の増加および/またはポリゴン偏向器501の回転に基づいた平面543内のビーム512の中心線の屈折および/またはビーム512の回転を含む。ポリゴン偏向器404は、50%よりも大きいデューティサイクルを有し得、ここで、デューティサイクルは、屈折ステップに基づいた第1時間と回転および成形ステップに基づいた第2時間の割合に基づく。デューティサイクルは、70%よりも大きい可能性がある。

7.コンピュータハードウェア概要
【0073】
図7は、コンピュータシステム700を示すブロック図である。コンピュータシステム700は、コンピュータシステム700の他の内部および外部コンポーネントの間に情報を伝達するためのバス710のような通信メカニズムを含む。情報は、典型的には、電圧である測定可能な現状の物理的信号として表されるが、他の実施例では、磁気相互作用、電磁相互作用、圧力相互作用、化学相互作用、分子原子相互作用および量子相互作用のような現象を含む。例えば、N極およびS極磁場、または0の電圧および非ゼロの電圧は、2進数(ビット)の2つの状態(0、1)を示す。他の現象は、より高いベースの数を示し得る。測定前に複数の同時量子状態の重畳は、量子ビット(クビット)を示す。1つ以上の数字シーケンスは、数字または文字についてのコードを示すのに使用されるデジタルデータを構成する。一部の実施例において、アナログデータと呼ばれる情報は、特定の範囲内の測定可能な値の近接連続体(Near Continuum)に表示される。コンピュータシステム700またはその一部は、本明細書に説明された1つ以上の方法のうち、1つ以上のステップを行うための手段を構成する。
【0074】
2進数シーケンスは、数字または文字についてのコードを示すのに使用されるデジタルデータを構成する。バス710は、情報がバス710に連結された装置の間に迅速に送信されるように、多くの並列情報コンダクタ(Parallel Conductors of Information)を含み得る。情報を処理するための1つ以上のプロセッサ702がバス710と結合される。プロセッサ702は、情報についての一連の動作を行う。一連の動作は、バス710から情報を取得することおよびバス710上に情報を配置することを含む。また、一連の動作は、通常、2つ以上の情報単位の比較、情報単位の位置シフト、加算または乗算のような2つ以上の情報単位の結合を含む。プロセッサ702によって行われる動作シーケンスは、コンピュータコマンドを構成する。
【0075】
また、コンピュータシステム700は、バス710に結合されたメモリ704を含む。ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)または、他の動的格納装置のようなメモリ704は、コンピュータコマンドを含む情報を格納する。動的メモリは、その中に格納された情報がコンピュータシステム700によって変更されるようにする。RAMは、メモリアドレスと呼ばれる位置に格納された情報単位が隣接するアドレスの情報と独立して格納され、検索されるようにする。また、メモリ704は、コンピュータコマンドの実行中に臨時値を格納するためにプロセッサ702によって使用される。また、コンピュータシステム700は、読み取り専用メモリ(Read Only Memory、ROM)706またはコンピュータシステム700によって変更されないコマンドを含む靜的情報を格納するためにバス710に結合された他の靜的格納装置を含む。また、コンピュータシステム700がオフになったり、それとも電源が損失されるときにも持続するコマンドを含む情報を格納するための磁気ディスクまたは光ディスクのような不揮発性(永久)格納装置708がバス710に結合され得る。
【0076】
コマンドを含む情報は、人間ユーザーによって操作される文字と数字のキーを含むキーボードのような外部入力装置712またはセンサからプロセッサによる使用のためにバス710に提供される。センサは、その周辺の状態を検出し、このような検出をコンピュータシステム700で情報を表すために使用される信号と互換可能な信号に変換する。主に人間と相互作用するために使用されるバス710に結合された他の外部装置は、イメージを提供するためのCRT(Cathode Ray Tube)または液晶ディスプレイ(LCD)のようなディスプレイ装置714を含み、ディスプレイ714に提供される小さなカーソルイメージの位置を制御し、ディスプレイ714上に提供されるグラフィック要素に関連する命令を発行するためのマウスまたはトラックボールまたはカーソル方向キーのようなポインティング装置716を含む。
【0077】
図示された実施例において、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)720のような特殊目的のハードウェアがバス710に結合される。特殊目的のハードウェアは、特別な目的のためにプロセッサ702によって迅速に実行されない動作を十分に迅速に実行するように構成される。ASICの例は、ディスプレイ714のためのイメージを生成するためのグラフィックス加速器カード、ネットワークを介して送信されたメッセージを暗号化および復号化するための暗号化ボード(Cryptographic Board)、音声認識およびハードウェア内でより効率的に実装されている一部の複雑な一連の動作を繰り返しに行うロボットアーム(Robotic Arm)および医療スキャニング装備のような特別な外部装置とのインターフェースを含む。
【0078】
また、コンピュータシステム700は、バス710に連結された通信インターフェース770の1つ以上の例を含む。通信インターフェース770は、プリンター、スキャナおよび外部ディスクのような独自のプロセッサで動作する様々な外部装置についての双方向通信カップリングを提供する。一般的に、カップリングは、独自のプロセッサを有する様々な外部装置が接続されるローカルネットワーク780に接続されるネットワークリンク778を用いて行われる。例えば、通信インターフェース770は、パーソナルコンピュータ上の並列ポートまたは直列ポートまたはUSB(Universal Serial Bus)ポートであり得る。一部の実施例において、通信インターフェース770は、ISDN(Integrated Services Digital Network)カードまたはDSL(Digital Subscriber Line)カードまたは対応するタイプの電話回線への情報通信連結を提供する電話モデムである。一部の実施例において、通信インターフェース770は、バス710上の信号を同軸ケーブルを介する通信連結のための信号または光ファイバーケーブルを介する通信連結のための光信号に変換するケーブルモデムである。他の例として、通信インターフェース770は、イーサネット(Ethernet)のような互換可能な近距離通信網(Local Area Network、LAN)へのデータ通信連結を提供するLANカードであり得る。また、無線リンクが具現できる。電波(Radio Wave)、光波(Optical Wave)および赤外線波(Infrared Wave)を含む音波および電磁波のような搬送波は、ワイヤまたはケーブルなしで空間を通過する。信号は、振幅、周波数、位相、偏光または搬送波の他の物理的特性の人工的な変化を含む。無線リンクについて、通信インターフェース770は、デジタルデータのような情報ストリームを運搬する赤外線および光信号を含む電気、音響または電磁信号を送受信する。
【0079】
本明細書において、コンピュータ読み取り可能な媒体という用語は、実行のためのコマンドを含む情報をプロセッサ702に提供するのに参与する任意の媒体を指すのに使用される。このような媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体および送信媒体を含むが、ここに限定されない様々な形態を取り得る。不揮発性媒体は、例えば、格納装置708のような、光または磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、例えば、動的メモリ704を含む。送信媒体は、例えば、同軸ケーブル、銅線、光ファイバーケーブルおよび電波、光波および赤外線波を含む音波および電磁波のような、有線またはケーブルなしで空間を通過する波を含む。本明細書において、コンピュータ読み取り可能な格納媒体という用語は、送信媒体を除外し、プロセッサ702に情報を提供するのに参与する任意の媒体を指すために使用される。
【0080】
コンピュータ読み取り可能な媒体の一般的な形態は、例えばフロッピーディスク、フレキシブル(Flexible)ディスク、ハードディスク、磁気テープ、または任意の他の磁気媒体、コンパクトディスクROM(CD-ROM)、デジタルビデオディスク(DVD)または他の光媒体、パンチカード、ペーパーテープ、またはホールパターンを有する任意の他の物理的媒体、RAM、PROM(プログラム可能なROM)、EPROM(消去可能なPROM)、FLASH(登録商標)-EPROM、または他のメモリチップまたはカートリッジ、搬送波、またはコンピュータが読み取ることができる任意の他の媒体を含む。本明細書において、コンピュータ読み取り可能な非一時的な(Non-Transitory)格納媒体という用語は、プロセッサ702に情報を提供するのに参与する媒体として、搬送波および他の信号を除外する任意の媒体を指すために使用される。
【0081】
1つ以上の有形の媒体(Tangible Media)内にエンコードされたロジッグは、コンピュータ読み取り可能な格納媒体上のプロセッサコマンドおよびASIC720のような特殊目的のハードウェアのうち、1つまたは両方を含む。
【0082】
ネットワークリンク778は、通常、情報を使用するか、または処理する他の装置への1つ以上のネットワークを介する情報通信を提供する。例えば、ネットワークリンク778は、ローカルネットワーク780を介してホストコンピュータ782またはインターネットサービス提供者(ISP)によって運営される装備784に連結を提供し得る。ISP装備784は、現在に一般的にインターネット790と呼ばれるネットワークの公開的かつ全世界的なパケット交換通信ネットワークを介してデータ通信サービスを提供する。インターネットに接続されたサーバー792と呼ばれるコンピュータは、インターネットを介して受信された情報に応答してサービスを提供する。例えば、サーバー792は、ディスプレイ714でプレゼンテーションするためのビデオデータを表す情報を提供する。
【0083】
コンピュータシステム700は、本明細書に説明された様々な技術を実装するために使用できる。メモリ704に含まれた1つ以上のコマンドの1つ以上のシーケンスを行うプロセッサ702に応答してコンピュータシステム700によって様々な技術を行い得る。ソフトウェアおよびプログラムコードとも呼ばれるこのようなコマンドは、格納装置708のような他のコンピュータ読み取り可能な媒体からメモリ704に読み込まれることができる。メモリ704に含まれたコマンドシーケンスの実行は、プロセッサ702にとって本明細書に説明された方法のステップを行うようにする。代替的な実施例において、ASIC720のようなハードウェアがここに説明された様々な動作を具現するためにソフトウェアの代わりにまたはソフトウェアとともに使用できる。したがって、本発明の実施例は、ハードウェアとソフトウェアの任意の特定組み合わせに制限されない。
【0084】
ネットワークリンク778および通信インターフェース770を介する他のネットワークを介して送信された信号は、コンピュータシステム700に、そして、それから情報を運搬する。コンピュータシステム700は、他のものの中でも、ネットワーク780、790を介して、ネットワークリンク778および通信インターフェース770を介して、プログラムコードを含む情報を送受信し得る。インターネット790を用いる一例において、サーバー792は、インターネット790、ISP装備784、ローカルネットワーク780および通信インターフェース770を介して、コンピュータ700から送信されたメッセージによって要請された特定アプリケーションのためのプログラムコードを送信する。受信されたコードは、受信されるときにプロセッサ702によって行われるか、後で実行するために格納装置708または他の不揮発性格納装置に格納されるか、またはその両方であり得る。このような方式で、コンピュータシステム700は、搬送波上の信号の形態でアプリケーションプログラムコードを得られる。
【0085】
様々な形態のコンピュータ読み取り可能な媒体は、実行のためのコマンドまたはデータ、またはこの両方の1つ以上のシーケンスをプロセッサ702に運搬するのに関連し得る。例えば、コマンドおよびデータは、初期にホスト782のような遠隔コンピュータの磁気ディスク上に運搬され得る。遠隔コンピュータは、コマンドおよびデータをその動的メモリにローディングし、モデムを使用して電話回線を介してコマンドおよびデータを送信する。コンピュータシステム700にローカルモデムは、電話回線上でコマンドおよびデータを受信し、赤外線送信機を使用してコマンドおよびデータをネットワークリンク778の役割をする赤外線搬送波上の信号に変換する。通信インターフェース770の役割をする赤外線検出器は、赤外線信号内に運搬されたコマンドおよびデータを受信し、コマンドおよびデータを表す情報をバス710上に位置させる。バス710は、情報をメモリ704に運搬し、プロセッサ702は、コマンドとともに送信されたデータの一部を用いてメモリ704からコマンドを検索して実行する。メモリ704で受信されたコマンドおよびデータは、プロセッサ702による実行前または後に格納装置708に選択的に格納され得る。
【0086】
図8は、チップセット800を示す。チップセット800は、本明細書に説明された方法の1つ以上のステップを行うようにプログラミングされ、例えば、1つ以上の物理的パッケージ(例えば、チップ)に含まれた図7に関連して説明されたプロセッサおよびメモリコンポーネントを含む。例として、物理的パッケージは、物理的強度、サイズの保存および/または電気的相互作用の制限のような1つ以上の特性を提供するために構造的アセンブリ(例えば、ベースボード)上の1つ以上の材料、コンポーネントおよび/またはワイヤの配列を含む。所定の実施例において、チップセットは、単一チップで具現できることが考慮される。チップセット800またはその一部は、本明細書に説明された方法の1つ以上のステップを行うための手段を構成する。
【0087】
1つの実施例において、チップセット800は、チップセット800のコンポーネントの間で情報を伝達するためのバス801のような通信メカニズムを含む。プロセッサ803は、コマンドを実行し、例えば、メモリ805に格納された情報を処理するためにバス801に連結される。プロセッサ803は、それぞれのコアが独立して行うように構成された1つ以上のプロセッシングコアを含み得る。マルチコアプロセッサは、単一の物理的パッケージ内で多重処理を可能にする。マルチコアプロセッサの例は、2つ、4つ、8つまたはその以上のプロセシングコアを含む。代替的または追加的に、プロセッサ803は、コマンド、パイプライニング(Pipelining)およびマルチスレッディング(Multithreading)の独立した実行を可能にするためにバス801を介して直列で構成された1つ以上のマイクロプロセッサを含み得る。また、プロセッサ803は、1つ以上のデジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor、DSP)807または1つ以上のASIC809のような所定の処理機能および作業を行うための1つ以上の特殊コンポーネントを伴い得る。DSP807は、通常、プロセッサ803と独立して実世界の信号(例えば、サウンド)をリアルタイムで処理するように構成される。同様に、ASIC809は、汎用プロセッサによって容易に実行されない特殊機能を行うように構成され得る。本明細書に説明された発明的機能を実行することを支援するための他の特殊コンポーネントは、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array、FPGA)(図示せず)、1つ以上のコントローラ(図示せず)または1つ以上の他の特殊目的のコンピュータチップを含む。
【0088】
プロセッサ803および付随するコンポーネントは、バス801を介してメモリ805に連結される。メモリ805は、実行されるときに本明細書に説明された方法の1つ以上のステップを行うように、実行可能なコマンドを格納するための動的メモリ(例えば、RAM、磁気ディスク、書き込み可能な光ディスクなど)および靜的メモリ(例えば、ROM、CD-ROMなど)の両方を含む。また、メモリ805は、本明細書に説明された方法のうち、1つ以上のステップの実行に関連したり、その実行によって生成されたデータを格納する。
【0089】
これまで、一部の例示的な実施例を説明したが、前述の実施例は、例示的であり、制限的ものではなく、例として提示されたものは明らかである。特に、本明細書に提示された多くの例が方法の動作またはシステム要素の特定の組み合わせを含むが、このような動作とこのような要素は、同じ目的を達成するために他の方式で組み合わされ得る。1つの実施例に関連して議論された動作、要素および機能は、他の実施例の類似の機能から排除されるように意図されたものではない。
【0090】
本明細書で使用される語法および用語は、説明のためのものであり、限定するものとみなされてはならない。本明細書において、「含む」、「備える」、「含有する(Containing)」、「付随する(Involving)」、「~を特徴とする(Characterized by)」、「~であることを特徴とする(Characterized in that)」およびこれらの変形の使用は、その後に列挙される項目、その均等物および追加の項目のみならず、その後に列挙される項目からなる代替的な実施例を排他的に含むように意図される。1つの実施例において、本明細書に説明されたシステムおよび方法は、説明された要素、動作またはコンポネントのうちのいずれか、または2以上のそれぞれの組み合わせ、または両方からなる。
【0091】
本明細書において、単数形で言及したシステムおよび方法の実施例または要素または動作についての任意の言及は、複数のこのような要素を含む実施例も含み得、本明細書において、任意の実施例または要素または動作についての任意の複数形の言及は、単一の要素のみを含む実施例も含み得る。単数または複数形の言及は、現在開示されたシステムまたは方法、これらのコンポネント、動作または要素を単数または複数の構成に限定しようとする意図ではない。任意の情報、動作または要素に基づく任意の動作または要素についての言及は、動作または要素が任意の情報、動作または要素に少なくとも部分的に基づく実施例を含み得る。
【0092】
本明細書に開示された任意の具現例は、任意の他の具現例または実施例と結合され得、「一具現例」、「一部の具現例」、「1つの具現例」などは、必ず相互に排他的ではなく、具現例に関連して説明された特定の特徴、構造または特性が少なくとも1つの具現例または実施例に含まれ得ることを示すためのものである。本明細書に使用されたこのような用語は、必ずすべて同じ具現例を示すものではない。任意の具現例は、本明細書に開示された態様および具現例に符合する任意の方式で包括的または排他的に任意の他の具現例と結合され得る。
【0093】
図面、詳細な説明または任意の請求項の技術的特徴に参照記号が付いてくる場合には、参照記号は、図面、詳細な説明および請求の範囲の理解度を高めるために含まれている。したがって、参照記号の有無は、任意の請求項の要素の範囲にいかなる限定的効果も有しない。
【0094】
本明細書に説明されたシステムおよび方法は、その特性から逸脱することなく、他の具体的な形態で具体化できる。追加の相対的な平行、直角、垂直または他の位置設定または指向の説明は、純粋な垂直、平行または直角の位置設定の+/-10%または+/-10度内の変動を含む。「おおよそ(Approximately)」、「約(About)」、「実質的に(Substantially)」または程度(Degree)についての他の用語についての言及は、明示的に別の方法で示さない限り、与えられた測定値、単位または範囲から+/-10%の変動を含む。結合された要素は、直接または介在要素を用いて電気的、機械的または物理的に相互に結合され得る。したがって、本明細書に説明されたシステムおよび方法の範囲は、前述の説明ではなく、添付された請求の範囲によって表現され、請求の範囲の均等論の意味および範囲内にある変更が含まれる。
【0095】
「結合される(Coupled)」という用語およびその変形は、2つの部材を互いに直接的または間接的に結合することを含む。このような結合は、固定的な(例えば、永久的なまたは固定された)または移動可能な(例えば、除去可能なまたは分離可能な)ものであり得る。このような結合は、互いに直接結合された2つの部材、別の介在部材および互いに結合された任意の追加中間部材を用いて互いに結合された2つの部材または2つの部材のうち、1つと単一の統合体として一体に形成された介在部材を用いて互いに結合された2つの部材に実現されることができる。「結合される」またはその変形が追加用語によって修飾される場合(例えば、直接結合される場合)、前記の提供された「結合される」の一般的な定義は、追加用語の普通の言語意味によって限定され(例えば、「直接結合される」は、いかなる別の介在部材のない2つの部材の結合を意味する)、前記の提供された「結合される」の一般的な定義よりも狭い定義となる。このような結合は、機械的、電気的または流体的であり得る。
【0096】
「または」についての言及は、「または」を用いて説明された任意の用語は、説明された用語のうち、1つ、2以上または全部を包括するものと解釈され得る。「AまたはBのうち、少なくとも1つ」についての言及は、「A」のみ、「B」のみおよび「A」と「B」の両方を含み得る。「含む/備える」または他の開放型の用語とともに使用されるこれらの言及は、追加項目を含み得る。
【0097】
様々な要素の大きさ、寸法、構造、形状および割合、パラメータ値、装着配列、材料の使用、色、指向の変化のような説明された要素および動作の修正は、本明細書に開示された内容の教示(Teaching)および利点から実質的に逸脱することなく発生し得る。例えば、一体に形成されたものとして表された要素は、多数の部分または要素で構成され得、要素の位置は、反転されるか、または変更でき、個別要素または位置の特性または数は、変動されるか、または変更できる。本開示内容の範囲を逸脱しなく、開示された要素および動作の設計、動作条件および配列で他の代替、修正、変更および省略も行われ得る。
【0098】
本明細書で要素の位置(例えば、「上部(Top)」、「下部(Bottom)」、「上に(Above)」、「下に(Below)」)についての言及は、単に図面で様々な要素の指向を説明するために使用される。様々な要素の指向は、他の例示的な実施例によって異なり得、このような変動は、本開示内容によって含まれることが注目されるべきである。
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図1f
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図5d
図5e
図5f
図5g
図6
図7
図8